以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、給水装置の一実施形態を示す模式図である。この給水装置は、オフィスビルや集合住宅などの建物への給水に使用される給水装置である。図1に示すように、給水装置の吸込口は、導入管5を介して水道本管または受水槽といった、水供給源4に接続されている。給水装置の吐出し口には配水管7が接続されており、この配水管7は、建物の内部に配置された給水器具(例えば蛇口)に連通している。給水装置は、水供給源4からの水を加圧して建物の各給水器具に供給するためのポンプ装置である。
給水装置は、導入管5を介して水供給源4から供給される水を加圧するポンプ2と、このポンプ2を駆動する駆動源としてのモータ3と、モータ3の可変速手段の一例であるインバータ21と、給水装置の給水動作(すなわちポンプ2の運転)を制御する制御部20と、ポンプ2の下流側に配置された逆止弁22と、逆止弁22の下流側に配置された流量検出器(フロースイッチ)24、吐出し側圧力センサ26、および圧力タンク28と、を備えている。これら構成要素(すなわち、ポンプ2,モータ3,インバータ21,制御部20,逆止弁22,流量検出器24,圧力タンク28など)は、キャビネット30内に収容されている。
逆止弁22は、ポンプ2の吐出し口に接続された吐出し管8に設けられており、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するための弁である。流量検出器24は吐出し管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを検出する装置である。吐出し側圧力センサ26は、ポンプ2の吐出し側圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク28は、ポンプ2が停止している間の吐出し側圧力を保持するための圧力保持器である。配水管7は吐出し管8に接続されている。
ポンプ2の吸込口には吸込管9の一端が接続されており、吸込管9の他端は導入管5に接続されている。吸込管9には、逆流防止器(図2で後述する減圧式逆流防止器15)と吸込側圧力センサ(図2で後述する吸込側圧力センサ17)が取り付けられてもよい。逆流防止器は、導入管5への水の逆流を防止するために設置される。
水供給源4の水は、導入管5および吸込管9を通じてポンプ2に供給される。モータ3がポンプ2を駆動すると、ポンプ2は水を加圧して建物に水を供給する。ポンプ2によって加圧された水の一部は圧力タンク28内に蓄えられる。ポンプ2の運転が停止しているとき、配水管7内の水圧は圧力タンク28によって保持される。
給水装置は、ポンプ2を迂回するバイパス管11を備えてもよい。バイパス管11の上流側端部は吸込管9に接続され、バイパス管11の下流側端部は吐出し管8に接続されている。バイパス管11には逆止弁16が取り付けられており、バイパス管11内での水の逆流を防止している。このバイパス管11は、流入圧のみで給水を可能とするために設けられている。
制御部20は、インバータ21およびモータ3の動作を制御することによって、ポンプ2の動作を制御する。より具体的には、制御部20は、吐出し側圧力センサ26の出力信号に基づいて、ポンプ2の回転速度を制御する。一般的には、吐出し側圧力センサ26により測定された圧力信号が設定された目標圧力と一致するようにポンプ2の回転速度を制御してポンプ2の吐出し圧力が一定になるように制御する吐出し圧力一定制御や、ポンプ2の吐出し圧力の目標値を適切に変化させることにより、建物内で最も下流側(末端)に配置された給水器具における水圧が一定となるように推定しながら制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
また、制御部20は、ポンプ2の起動および停止を制御する。一般的には、制御部20は、吐出し側圧力センサ26により測定された圧力信号が設定された始動圧より低くなるとポンプ2を起動し、流量検出器24が吐出し管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを検出すると、圧力タンク28に蓄圧をしてポンプ2を停止する。ここで、本実施形態の給水装置において、ポンプ2が固定速運転を行う場合は、可変速手段であるインバータ21はなくてもよい。
図2は、複数のポンプを備えた給水装置の内部構造の一実施形態を示す正面図であり、図3は図2に示す給水装置の左側面図である。なお、図1と同様の構成には同じ符号を付与し、説明を省略する。キャビネット30の内部には、2台のポンプ2a,2bが横並びに配置されている。ポンプ2a,2bは立軸形ポンプであり、例えばブースタポンプから構成される。これらポンプ2a,2bはそれぞれモータ3a,3bに連結されている。ポンプ2a,2bの吸込側には、水平方向に延びる吸込ヘッダ18が配置されており、ポンプ2a,2bの吸込口は吸込ヘッダ18に連結されている。この吸込ヘッダ18とストレーナ付きボール弁12を備えた入口管10との間に、減圧式逆流防止器15が配置されている。入口管10には、吸込側の圧力を検出する吸込側圧力センサ17が取付けられている。ストレーナ付きボール弁12のストレーナ部に導入管(図1の符号5参照)を連結し、ボール弁12を開いた状態で各ポンプ2a,2bを運転すると、導入管(図1の符号5参照)の水が入口管10、減圧式逆流防止器15、および吸込ヘッダ18を経由して、各ポンプ2a,2bに吸い込まれる。本実施形態では、入口管10および吸込ヘッダ18は、図1に示す吸込管9を構成する。
ポンプ2a,2bの吐出し側には、吐出しエルボ管27がそれぞれ連結されており、各吐出しエルボ管27に、吐出された水の逆流を防止する逆止弁22並びに小水量を検出して信号を制御部20に送る流量検出器(フロースイッチ)24が配置されている。さらに、各吐出しエルボ管27は、ポンプ2a,2bから吐出された水を集合(合流)させる吐出し集合管34に連結されており、この吐出し集合管34には、吐出し側の圧力を検出する吐出し側圧力センサ26を有するバイパスヘッダ38の上端が接続され、このバイパスヘッダ38の長手方向に沿った所定の位置に、圧力タンク28から延びる圧力タンク配管28aが接続されている。さらに、このバイパスヘッダ38の下端は、ボール弁33を有する出口管29に連結される。この出口管29は、逆止弁(図1の符号16参照)が内部に配置されたバイパス管11を介して吸込ヘッダ18に連通している。本実施形態では、吐出しエルボ管27,吐出し集合管34,バイパスヘッダ38,および出口管29は、図1に示す吐出し管8を構成する。
この構成により、ポンプ2a(および/またはポンプ2b)の運転に伴って該ポンプ2a(および/またはポンプ2b)から吐出された水は、吐出しエルボ管27、逆止弁22、吐出し集合管34、バイパスヘッダ38、および出口管29を経由して外部(図1の配水管7)に吐出される。吸込ヘッダ18内の水の圧力が充分に高い場合には、吸込ヘッダ18内の水が直接出口管29に導かれて外部に吐出される。圧力タンク28は、ポンプ2a,2bから吐出された加圧水を蓄圧することでポンプ2a,2bの頻繁な起動停止を防止し、且つ給水圧を円滑に一定に保つ作用をする。
キャビネット30内におけるポンプ2a,2bの上方位置には、インバータ21を収納するインバータケース23が、ヒンジ25を介して前方に開閉自在に配置されている。インバータケース23は、例えばアルミニウム製で放熱フィン23Aを有するヒートシンク23Bを有しており、このヒートシンク23Bの上面にインバータ21が載置されている。インバータ21は、ポンプ2a,2bにそれぞれ連結されたモータ3a,3bに交流電力を周波数および電圧を変えて供給することで各モータ3a,3bを可変速駆動するための装置であり、内部に冷却が必要な半導体デバイスを有している。
各モータ3a,3bは、その上部において、モータ3a,3bの駆動に伴って回転する主軸100を外部に延出させている。そして、この各主軸100には、主軸100と一体に回転し、この回転に伴って上方へ向かう空気の流れを作る冷却ファン101が取付けられる。さらに、これら冷却ファン101は、モータ3a,3bに沿って上下に延びる円筒状のファンカバー102でそれぞれ覆われている。
モータ3a,3bによりポンプ2a,2bを運転すると、主軸100と一体に冷却ファン101が回転し、この冷却ファン101の回転に伴って、インバータケース23の放熱フィン23Aに向かう気流が形成される。ファンカバー102は、この気流をヒートシンク23Bの放熱フィン23Aに案内する。すると、ポンプ2a,2bで冷却された空気がモータ3a,3bの外周部を通って放熱フィン23Aに衝突し、この空気でモータ3a,3bが冷却され、更に放熱フィン23Aが冷却されてインバータ21が冷却される。そして、この気流は、放熱フィン23Aに衝突してその向きを変え、キャビネット30内に大きく循環する気流となる。このキャビネット30内の大きな気流の循環により、制御部20などが吸込管9、減圧式逆流防止器15、吸込ヘッダ18などの周辺から運ばれた冷却された空気と接触して冷却される。即ち、この冷却ファン101によって、キャビネット30内を全体的に循環する気流が形成されることにより、キャビネット30内の空気が常に攪拌され、その内部温度が均一化される。
キャビネット30の右側面の上部には、制御部20が備えられており、この制御部20は、上記圧力センサ17,26などの信号を受けて、建物の各給水器具における給水圧が所定の圧力となるようにポンプ2a,2bを可変速運転する制御などを行う。より具体的には、制御部20は、上記圧力センサ17,26の出力信号に基づいて、建物内における給水圧を所定の圧力に維持するための指令信号をインバータ21に送る。インバータ21は、制御部20から送られた指令信号に基づいて、モータ3a,3bの回転速度を変更する。このような構成で、給水装置は、水供給源4からの水を所定圧まで加圧して、この加圧された水を建物内に供給する。
図4は、キャビネット30の斜視図であり、図5は、キャビネット30の側面図であり、図6は、キャビネット30の上面図である。以下、ポンプ2a、2bを特に区別する必要がない場合にはポンプ2と称し、同様にモータ3a,3bをモータ3と称す。給水装置は狭いスペースに設置されることが多いため、給水装置の設置面積は小さいことが求められる。このため、本実施形態のキャビネット30は、縦長の箱型である。また、給水装置は屋外に設置されることが想定されるため、キャビネット30は、キャビネット30内の機器(特に、ポンプ2,モータ3,インバータ21,制御部20)を雨や直射日光等の外部環境から保護する。なお、本実施形態では、キャビネット30は、ステンレス鋼などの耐腐食性のある金属から構成されているが、FRP等の複合材やプラスチックなどの有機高分子材にて構成されてもよい。キャビネット30の側面には、導入管5または配水管7をキャビネット30内に配管するための孔30aが形成されている。孔30aには不図示のグロメットを取り付けることで、配管を保護し、孔30aからキャビネット内に雨水やゴミ等が侵入するのを防ぐことができる。
キャビネット30は、キャビネット本体31と、このキャビネット本体31に着脱可能に取り付けられた扉35とを有している。扉35には、制御部20の表示部(図2の符号20a参照)を視認可能とさせるための開口36が形成されており、開口36は樹脂製等の透明なカバーで覆われている。扉35の中央部には、扉35を補強するための補強リブ39が形成されており、この補強リブ39上には樹脂プレート40が取り付けられている。さらに扉35の上部には、扉35をキャビネット本体31に締結するための締結具であるスイングハンドル45が取り付けられている。図7は、扉35をキャビネット本体31から取り外した状態を示す側面図である。
図8は、扉35の正面図であり、図9は、扉35の背面図であり、図10は、図9のA-A線断面図である。図8に示すように、扉35の正面壁48にはスイングハンドル45が取り付けられており、図9に示すように、扉35の下端には位置決め突起68が設けられている。キャビネット本体31の底壁には位置決め突起68が挿入される孔(図示せず)が形成されている。扉35は、スイングハンドル45および位置決め突起68によってキャビネット本体31に固定される。
スイングハンドル45は、扉35をキャビネット本体31に締結するための締結具の一例である。締結具の他の例としては、永久磁石、パチン錠、ローラーキャッチ、ねじ止めなどが挙げられる。締結具は、スイングハンドル45、永久磁石、パチン錠、ローラーキャッチ、ねじ止めから選択された少なくとも1つであってもよい。例えば、締結具は、スイングハンドル45、永久磁石およびねじ止めの組み合わせであってもよい。
扉35は、正面壁48、上壁49、底壁51、および2つの側壁52を有している。正面壁48には、上述した開口36が形成されている。扉35の内面には、トップシール55、ボトムシール56、およびサイドシール58が取り付けられている。より具体的には、トップシール55は上壁49の内面に沿って配置され、ボトムシール56は底壁51の内面に沿って配置され、サイドシール58は側壁52の内面に沿って配置されている。扉35は、トップシール55、ボトムシール56、サイドシール58を介してキャビネット本体31に固定される。以下の説明では、トップシール55、ボトムシール56、およびサイドシール58を単にシール部材55,56,58と称することがある。これらのシール部材55,56,58は扉35とキャビネット本体31との間に配置され、扉35とキャビネット本体31との間の隙間を塞いでいる。シール部材55,56,58は、スポンジゴムなどの弾性材料から構成されている。
正面壁48は、凹状断面を有する補強リブ39を有している。補強リブ39は、正面壁48の中央部に位置している。この補強リブ39は正面壁48に形成された溝(長尺の窪み)から構成されている。より具体的には、正面壁48の一部はキャビネット30の内側に窪んでおり、この窪んだ部分が補強リブ39を構成している。補強リブ39は正面壁48の一部から構成されている。
なお、正面壁48の中央部とは、具体的には正面壁48を垂直に左側部、中央部、右側部に3等分した中央部であり、本実施形態では、一例として補強リブ39の中央と正面壁48の中央が略一致している。
補強リブ39の表側には、樹脂プレート40が取り付けられている。図9に示すように、正面壁48の裏面には、補強リブ39に交わる複数の(本実施形態では2本の)補強板65が固定されている。一実施形態では、1つの補強板65のみが設けられてもよい。本実施形態では補強板65は補強リブ39に直交しているが、一実施形態では補強板65は補強リブ39と90度よりも小さい、または大きい角度で交わってもよい。
本実施形態では、キャビネット30が縦長の形状を有しているが、キャビネット30が横長である場合は、補強リブ39は水平方向に延びてもよい。図示しないが、一実施形態では、扉35は複数の補強リブ39を有してもよい。例えば、互いに平行な複数の補強リブ39を正面壁48に形成してもよい。
図10に示すように、扉35の正面壁48は、その両側から中央に向かって傾斜している。本実施形態では、補強リブ39は正面壁48の中央部に位置しており、正面壁48はその両端から補強リブ39に向かって外側に傾斜している。本実施形態によれば、扉35の正面壁48がその両側から中央に向かって傾斜しているので、正面壁48の全体の強度が向上する。したがって、扉35全体の振動が抑制される。
スイングハンドル45は、扉35をキャビネット本体31に締結するための締結具の一例であり、本実施形態では、スイングハンドル45は正面壁48の上部の中央部に位置している。締結具の他の例としては、永久磁石、パチン錠、ローラーキャッチ、ねじなどが挙げられる。締結具は、スイングハンドル45、永久磁石、パチン錠、ローラーキャッチ、ねじから選択された少なくとも1つであってもよい。例えば、締結具は、スイングハンドル45および永久磁石の組み合わせであってもよい。スイングハンドル45、永久磁石、パチン錠、ローラーキャッチは市販のものを使用することができる。
締結具は、キャビネット30の前面、上面、側面、またはキャビネット30の内部に設けられる。例えば、キャビネット30の前面にスイングハンドル45を取り付け、キャビネット30の内部に永久磁石またはローラーキャッチを設けてもよい。他の例では、キャビネット30の上面または側面にパチン錠を取り付け、キャビネット30の内部に永久磁石またはローラーキャッチを設けてもよい。
図11は、スイングハンドル45を示す正面図である。スイングハンドル45は、回転レバー70と、この回転レバー70に連結された留め金71と、回転レバー70をロックするロック機構73とを備えている。回転レバー70は扉35の表側に位置し、留め金71は扉35の裏側に位置している。留め金71は回転レバー70と一体に回転可能となっている。ロック機構73によって回転レバー70がロックされているときは、回転レバー70は閉位置にある。この閉位置では、回転レバー70および留め金71は図11に示すように鉛直姿勢にある。ロック機構73を解除すると、回転レバー70は回転可能な状態となる。図12は、回転レバー70を閉位置から開位置まで手動で回転させた状態を示す図である。図12に示すように、回転レバー70と留め金71は水平姿勢になるまで回転させることができる。
図13は、扉35およびキャビネット本体31の断面図である。図13に示すように、回転レバー70が閉位置にあるとき、留め金71はキャビネット本体31の上側縁31aに係合し、扉35の上部をキャビネット本体31に押し付ける。ロック機構73を解除して回転レバー70および留め金71を図12に示す開位置(水平姿勢)になるまで回転させると、留め金71が上側縁31aから外れ、これにより扉35の上部をキャビネット本体31から離すことが可能となる。
本実施形態では、締結具として、スイングハンドル45に加えて、永久磁石80がさらに使用されている。この永久磁石80はキャビネット30の内部に配置されている。より具体的には、永久磁石80はキャビネット本体31の上側縁31aに固定されている。永久磁石80は扉35の正面壁48の裏面に対向して配置されている。扉35は永久磁石80に接触する金属プレートを備えてもよい。扉35が永久磁石80に接触しているとき、永久磁石80は磁力により扉35を引き付け、扉35の上部をキャビネット本体31に押し付ける。このように、本実施形態では、スイングハンドル45と永久磁石80の組み合わせによって、扉35がキャビネット本体31に締結される。
本実施形態では、シール55は、第1シール55Aおよび第2シール55Bを備えた二重シールである。第1シール55Aおよび第2シール55Bは並列に配置され、扉35の上壁49の内面に取り付けられている。第1シール55Aは第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されている。扉35がキャビネット本体31に取り付けられているときは、第1シール55Aは、キャビネット本体31の上壁82に形成された角部31bに接触し、第2シール55Bはキャビネット本体31の上面31cに接触する。角部31bは扉35の上壁49と平行に延びており、第1シール55Aは角部31bと扉35の上壁49との間に配置されている。
図13に示すように、スイングハンドル45および永久磁石80が扉35をキャビネット本体31に対して押し付けると、第1シール55Aはキャビネット本体31の角部31bに押し付けられて変形し、広い面積でキャビネット本体31に接触する。よって、第1シール55Aは扉35とキャビネット本体31との間の隙間を塞ぎ、雨水などの液体のキャビネット30内への浸入を防ぐことができる。さらに、第1シール55Aは締結具であるスイングハンドル45および永久磁石80によってキャビネット本体31に押し付けられるので、第1シール55Aが劣化しても、第1シール55Aはそのシール効果を発揮し続けることができる。
第2シール55Bは、扉35の上壁49の縁に沿って配置されている。扉35をキャビネット本体31に取り付けると、第2シール55Bはキャビネット本体31の上面31cに接触し、扉35とキャビネット本体31の上面31cとの隙間を塞ぐ。この位置に配置された第2シール55Bは、雨水などの液体が第1シール55Aに到達する量を少なくする機能を持つ。本実施形態によれば、第1シール55Aおよび第2シール55Bを含む二重シールによって雨水などの液体のキャビネット30内への浸入を防ぐことができる。
永久磁石80は、第1シール55Aおよび第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されており、永久磁石80は屋外環境から守られている。永久磁石80は1つであってもよいが、第1シール55Aに力を加えて変形させる観点から、本実施形態では複数の永久磁石80が設けられている。
図14はキャビネット本体31の上部を示す正面図である。図14に示すように、複数の永久磁石80はキャビネット本体31の上側縁31aに固定されている。本実施形態では2つの永久磁石80が対称位置に配置されている。
図15は、キャビネット30の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図13に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、キャビネット30の上面は、第1シール55Aからの距離とともに下方に傾斜する傾斜面30bを有している。本実施形態では、傾斜面30bはキャビネット本体31の上壁82の上面によって構成されている。キャビネット30の上面の全体が傾斜面30bを構成してもよい。傾斜面30bは、シール55からキャビネット本体31の背面31fに向かって下方に傾斜している。シール55は傾斜面30bの最上部に配置されている。雨水などの液体はキャビネット30の傾斜面30b上をシール55から離れる方向に流れ落ちるので、シール55は液体のキャビネット30内への浸入を確実に防ぐことができる。
図16は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図15に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、傾斜面30bの下端部は下方に湾曲している。より具体的には、傾斜面30bの下端部は湾曲面30gから構成されている。このような形状を有するキャビネット30によれば、傾斜面30b上に存在する雨水などの液体は、湾曲面30gに沿ってスムーズにキャビネット30の上面から排出される。したがって、扉35を開いたときに、液体がキャビネット30内に浸入することが防止できる。
図17は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図13に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、シール55は、第1シール55A、第2シール55B、および第3シール55Cを備えた三重シールである。キャビネット本体31の上壁82は、上側縁31aおよび角部31bに接続された段部31dを有している。この段部31dは、上側縁31aと角部31bとの間に位置しており、かつ角部31bよりも低い位置にある。扉35がキャビネット本体31に取り付けられているとき、第3シール55Cは段部31dに接触する。
第3シール55Cは扉35の上壁49の内面に取り付けられており、第1シール55Aおよび第2シール55Bと並列に配置されている。第1シール55Aは、第2シール55Bと第3シール55Cとの間に配置され、第3シール55Cは、第1シール55Aおよび第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されている。さらに、第3シール55Cは、第1シール55Aおよび第2シール55Bよりも低い位置に配置されている。第1シール55Aおよび第3シール55Cは、段部31dに沿って配置され、段部31dは第1シール55Aと第3シール55Cとの間に位置している。
扉35がキャビネット本体31に取り付けられているときは、第1シール55Aはキャビネット本体31に押し付けられ、第2シール55Bはキャビネット本体31の上面31cに接触し、第3シール55Cは段部31dの上面に接触する。より具体的には、スイングハンドル45および永久磁石80が扉35をキャビネット本体31に対して押し付けると、第1シール55Aはキャビネット本体31の角部31bに押し付けられて変形するとともに、第2シール55Bおよび第3シール55Cはキャビネット本体31の上面31cおよび段部31dの上面にそれぞれ接触する。
本実施形態によれば、万が一、第1シール55Aを通過した雨水などの液体は第3シール55Cによってその浸入が防止される。第3シール55Cによって流れが遮られた液体は、段部31dを通ってキャビネット本体31の側部を流れ落ち、キャビネット30から排出される。本実施形態によれば、第1シール55A、第2シール55B、および第3シール55Cを備えた三重シールによって雨水などの液体のキャビネット30内への浸入を防ぐことができる。
ここで、第3シール55Cは、第1シール55Aと同様に、キャビネット本体31の角部31b1に押し付けられて変形する位置に取り付けられてもよい。また、第1シール55Aと第3シール55Cの組み合わせ、もしくは、第2シール55Bと第3シール55Aの組み合わせによって、二重シールとしてもよい。
図18は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図13に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、扉35は箱型の形状を有しており、扉35の上壁49の上面はキャビネット本体31の上壁82の上面よりも広い面積を有している。本実施形態では、締結具としてねじ91が使用されている。ねじ91は扉35の上壁49およびキャビネット本体31の上壁82を貫通して延びている。ねじ91を締め付けると、上壁49が上壁82に締結されるとともに、第1シール55Aおよび第2シール55Bは扉35の上壁49とキャビネット本体31との間に挟まれる。
図19は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図16に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。扉35の上壁49と、キャビネット本体31の上壁82は、ラビリンス流路(または蛇行流路)95を形成しており、第1シール55Aおよび第2シール55Bはラビリンス流路95内に配置されている。第1シール55Aは第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されている。第1シール55Aおよび第2シール55Bは、扉35の上壁49とキャビネット本体31との間に配置されている。
図20および図21は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図19に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。図20および図21に示すように、第2シール55Bはラビリンス流路95内に配置されている。より具体的には、第2シール55Bはラビリンス流路95の折り返し部に配置されている。第1シール55Aは、ラビリンス流路95および第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されている。
図22は、キャビネット30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図20に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。図22に示すように、第2シール55Bはラビリンス流路95内に配置されている。より具体的には、第2シール55Bはラビリンス流路95の出口を塞ぐ位置に配置されている。第1シール55Aは、ラビリンス流路95および第2シール55Bよりもキャビネット30の内部側に配置されている。
図23は、締結具としてパチン錠92と永久磁石80との組み合わせを備えた実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構造は図13に示す構造と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、スイングハンドル45に代えてパチン錠92が使用されている。パチン錠92は、キャビネット30の上面31cに固定されている。図23では1つのパチン錠92のみが描かれているが、複数のパチン錠92が設けられている。一実施形態では、パチン錠92は、キャビネット30の側面の上部に固定されてもよい。例えば、2つのパチン錠92が、キャビネット30の両側面の上部に固定されてもよい。
パチン錠92は、キャビネット本体31に設けられたパチン錠本体92aと蓋35に設けられた突起92bを備える。パチン錠本体92aには、レバー部92a1、引っかけ部92a2を備え、突起92bには、蓋35がキャビネット本体31に締結された状態にて引っかけ部92a2が引っかかる形状となっている。レバー部92a1が上面31cに対して略垂直の位置の状態で引っかけ部92a2を突起92bに引っ掛けてレバー部92a1を上面31cに対して略平行の位置となるまで倒すことにより蓋35とキャビネット本体31を締結する。このように、蓋35がキャビネット本体31に締結されているときには、ばねに連動したレバー92a1が取り付け面であるキャビネット本体31の上面31cに対して略平行の位置となる。図24に示すように、蓋35がキャビネット本体31に締結されていないとき、レバー92a1はキャビネット本体31の上面31cに対して略垂直の位置となる。
パチン錠92は、扉35をキャビネット本体31に強固に締結することが可能であり、引っかかる部分があるため、屋外設置時に背面側からの強風で扉35が開いてしまうのを防止できる。
締結具の一例であるパチン錠92は、そのレバー部92a1が、取り付け面と略平行の位置か、または略垂直の位置にあるかを目視で確認することにより、扉35をキャビネット本体31に取り付けた状態にて、締結されているか否かが目視にて確認できる締結具である。また、締結具の一例であるスイングハンドル45は、回転レバー70が鉛直姿勢か水平姿勢かを目視で確認することにより、扉35をキャビネット本体に取り付けた状態にて締結状態が視認できる締結具である。このように、扉35をキャビネット本体31に取り付けた状態にて、締結されているか否かが目視にて確認できる締結具を用いることで、扉35の締め忘れを防止できる。
図15に示す傾斜面30b、および図16に示す湾曲面30gは、図17乃至図24に示す実施形態にも適用することができる。さらに、図17に示す三重シールは図18乃至図24に示す実施形態にも適用することができる。
上述した給水装置では、扉35がキャビネット本体31に着脱可能に取り付けられるが、扉35は、通常はキャビネット本体31内の機器を外環境から保護し、メンテナンス時にはキャビネット本体31内の機器のメンテナンスが可能なものであればよい。扉35の一例として、キャビネット本体31にヒンジ等で接続された開き戸としてもよい。
上述した実施形態に係る給水装置は、水供給源4に直接接続される直結式の給水装置であるが、本発明の給水装置は、受水槽を介して水供給源4に接続される受水槽式の給水装置であってもよい。さらに、上述した実施形態に係る給水装置は、1台または2台のポンプを備えているが、本発明の給水装置は、3台以上のポンプを備えていてもよい。給水装置に、並列に複数台のポンプ2が備えられる場合には、複数台のポンプ2毎に、モータ3とインバータ21と逆止弁22とフロースイッチ24の何れかが備えられてもよい。また、本実施形態の扉35はキャビネット30の側面に設けてもよい。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。