JP7075383B2 - 廃車管理装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両の廃車情報を管理する廃車管理装置に関する。

この種の装置として、従来、廃車の手続きが車両販売ディーラ等の業者で行われた後に当該業者の端末から送信された廃車情報を記憶し、さらにその廃車情報を、車両の解体作業を行う解体業者の端末に送信するようにした装置が知られている（例えば特許文献１参照）。この特許文献１記載の装置では、車両販売ディーラで廃車の手続がなされると、オペレータの操作を介して廃車情報が入力される。

特開２００９－１５７４３３号公報

しかしながら、廃車の手続は車両販売ディーラ等の業者で行われるとは限らない。このため、車両販売ディーラのオペレータの操作を介して入力される廃車情報だけでは、各種車両の廃車状態を広く把握することが困難である。

本発明の一態様である廃車管理装置は、バッテリを搭載する車両と通信する通信部と、通信部を介して、バッテリの車両からの離脱を表すバッテリ離脱情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、車両情報取得部により取得された車両情報に基づいて、車両が廃車状態であるか否かを判定する廃車判定部と、を備える。

本発明によれば、各種車両の廃車情報を正確に把握することができる。

本発明の実施形態に係る廃車管理装置が適用される電動車両の走行駆動系の要部構成を概略的に示す図。 本発明の実施形態に係る廃車管理装置を有する廃車管理システムの全体構成を概略的に示すブロック図。 図２のサーバ装置のＣＰＵで実行される処理の一例を示すフローチャート。

以下、図１～図３を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る廃車管理装置は、車両に搭載されたバッテリの離脱の有無に基づいて、車両が廃車状態となったか否かを判定するように構成される。廃車状態の車両とは、車両の登録が抹消され、ナンバーが取り外された状態の車両である。廃車状態の車両は、解体業者で解体され、部品の一部がリユースまたはリサイクルされる。あるいは、解体されることなく再登録される。

図１は、本実施形態に係る廃車管理装置が適用される電動車両１０１（単に車両と呼ぶこともある）の走行駆動系の要部構成を概略的に示す図である。図１に示すように、車両１０１は、バッテリ１と、電力制御ユニット（ＰＣＵ）２と、走行モータ３とを有する。

バッテリ１は、単一のバッテリパック１０によりユニット化して構成される。なお、複数のバッテリパック１０によりバッテリ１を構成することもできる。本実施形態のように単一のバッテリパック１０によりバッテリ１を構成する場合、バッテリ１とバッテリパック１０とは同一であり、以下では、バッテリパック１０をバッテリ１と呼ぶ、またはバッテリ１をバッテリパック１０と呼ぶことがある。

バッテリパック１０は、複数のバッテリモジュール１１と、バッテリＥＣＵ１５とを有する。複数のバッテリモジュール１１は、バスバーなどを介して互いに直列または並列に接続される。これらバッテリモジュール１１は、それぞれ複数のセル１２を有する。それぞれのセル１２は、例えばラミネートフィルムでシールされた平坦形状のリチウムイオンセルであり、電極板を有する。これらセル１２は、密閉されたバッテリモジュール１１の筐体内に、電極板同士を互いに直列または並列に接続した状態で収容され、リチウムイオンバッテリを形成する。

バッテリＥＣＵ１５は、複数のバッテリモジュール１１それぞれの状態を検出する複数の検出回路１６と、バッテリパック１０の状態を検出する検出回路１７とを有する。検出回路１６は、例えば各バッテリモジュール１１の電流、電圧、温度などの各種物理量を検出するセンサを含む。検出回路１６は、これら検出された物理量に基づいて、各バッテリモジュール１１の充電率ＳＯＣ（State of Charge）と健全性を示す値ＳＯＨ（State of Health）とを演算する。検出回路１７は、検出回路１６からの信号に基づいて、バッテリ全体のＳＯＣとＳＯＨとを演算する。

バッテリパック１０が車両１０１から取り外されると、検出回路１６，１７は、例えばエラー信号を出力する。このエラー信号の出力の有無により、バッテリＥＣＵ１５またはバッテリＥＣＵ１５と通信する車載端末２０（図２）は、バッテリパック１０の車両１０１からの離脱を検出することができる。また、エラー信号から正常信号への変化の有無により、バッテリパック１０の車両１０１への取付を検出することができる。すなわち、バッテリパック１０の着脱を検出することができる。なお、バッテリパック１０の着脱を検出するセンサやスイッチ等の検出器を設け、検出器からの信号によりバッテリパック１０の着脱を検出することもできる。

バッテリ１の電力は、図示しないジャンクボックスを介して電力制御ユニット２に供給される。電力制御ユニット２は、インバータ回路を有し、インバータ回路でバッテリ１からの直流を交流に変換して、走行モータ３に駆動電力を供給する。これにより走行モータ３が駆動され、駆動輪４が回転駆動して車両１０１が走行する。なお、バッテリ１は、走行モータ駆動用の大容量バッテリであり、図示は省略するが、車両１０１には、小容量の補機用バッテリ（例えば鉛蓄バッテリ）も搭載される。したがって、バッテリパック１０が取り外された状態でも、車載端末２０（図２）等に電力を供給することができる。

図２は、本実施形態に係る廃車管理装置を有する廃車管理システム１００の全体構成を概略的に示すブロック図である。図２に示すように、廃車管理システム１００は、車両１０１の車載端末２０と、車両１０１の販売や廃車の手続等の業務を行うディーラ３１の端末（ディーラ端末３０）と、サーバ装置５０とを有する。サーバ装置５０は、主に本実施形態に係る廃車管理装置を構成し、例えばディーラ３１の事業を管理する事業所に設けられる。

図２に示すように、車載端末２０、ディーラ端末３０およびサーバ装置５０は、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網を含むネットワーク４０に接続され、ネットワーク４０を介して通信可能である。なお、ネットワーク４０には、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線ＬＡＮ、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）等も含まれる。

車載端末２０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成され、機能的構成として、ネットワーク４０を介して通信を行う通信部を有する。車載端末２０は、バッテリＥＣＵ１５（図１）に接続され、バッテリＥＣＵ１５から送信された情報を含む車両情報を、車両１０１を識別する車両ＩＤとともに、通信部を介して所定のタイミングでサーバ装置５０に送信する。

バッテリＥＣＵ１５から送信された車両情報には、バッテリＥＣＵ１５で検出されたバッテリパック１０の着脱情報、すなわち、バッテリパック１０の車両１０１からの離脱を表すバッテリ離脱情報と、バッテリパック１０の車両１０１への取付を表すバッテリ取付情報とが含まれる。バッテリパック１０が車両１０１に取り付けられることにより、車両１０１上に電力供給回路が形成され、バッテリパック１０が車両１０１から離脱することにより、電力供給回路が遮断される。車載端末２０は、バッテリＥＣＵ１５によりバッテリパック１０の着脱が検出される度に、その検出信号を、通信部を介してサーバ装置５０に送信する。

ディーラ端末３０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成されるとともに、機能的構成として、ネットワーク４０を介して通信を行う通信部を有する。ディーラ端末３０は、オペレータにより入力された車両１０１の各種情報、例えば車両１０１の廃車予定の有無、廃車予定日、廃車後の解体の有無等の情報、すなわち、車両１０１の廃車に関する情報（廃車情報）を、車両ＩＤとともにサーバ装置５０に送信することもできる。なお、仮に廃車情報がディーラ端末３０から送信されなくても、サーバ装置５０は、車載端末２０から送信された情報に基づいて、後述するように車両１０１が廃車状態であるか否かを判断することができる。

サーバ装置５０は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ装置５０を構成することもできる。サーバ装置５０は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ、およびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成される。

サーバ装置５０は、機能的構成として、通信部５１と、情報取得部５２と、廃車判定部５３と、情報出力部５４と、記憶部５５とを有する。記憶部５５には、予め車両１０１と当該車両１０１の点検などを行うディーラ３１との対応関係、すなわち車両ＩＤに対応するディーラ３１の識別ＩＤ（ディーラＩＤ）が記憶されている。

通信部５１は、ネットワーク４０を介し、車載端末２０およびディーラ端末３０と無線通信可能に構成される。通信部５１は、所定周期であるいは所定のタイミングで車載端末２０およびディーラ端末３０と通信し、各種情報を受信および送信する。

情報取得部５２は、車載端末２０から送信された車両情報およびディーラ端末３０から送信された廃車情報を車両ＩＤとともに取得する。情報取得部５２により取得される車両情報には、バッテリパック１０の着脱の度に送信されるバッテリ離脱情報とバッテリ取付情報とが含まれる。情報取得部５２により取得された情報は、記憶部５５に記憶される。

廃車判定部５３は、情報取得部５２により取得された車両情報に基づいて、車両１０１が廃車状態であるか否かを判定する。より具体的には、廃車判定部５３は、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得された後、通信部５１を介した車載端末２０との通信が不能になると、車両１０１が廃車状態であると判定する。この判定は、バッテリ離脱情報の取得により車両１０１が廃車状態であると予測し、その後に車両１０１と通信不能になると、廃車状態と確定するものである。

すなわち、バッテリパック１０の修理や交換時には、バッテリパック１０が一旦車両１０１から取り外された後、再度取り付けられる。したがって、バッテリパック１０が取り外されただけでは、廃車状態であると確定することはできない。一方、車両１０１が廃車状態になると、車両１０１から補機用バッテリが取り外されて車両１０１の電源がオフされることから、車両１０１の通信部が通信不能になる。この点を考慮し、廃車判定部５３は、車両１０１と通信不能になったことを条件として、廃車状態を確定する。

さらに廃車判定部５３は、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得されてから所定時間内にバッテリ取付情報が取得されないときも、車両１０１が廃車状態であると判定する。すなわち、バッテリパック１０の修理や交換のためにバッテリパック１０が車両１０１から取り外されたのであれば、所定時間（例えば１時間）内に、バッテリパック１０が再度、車両１０１に搭載されるはずである。この点を考慮し、廃車判定部５３は、所定時間内にバッテリ取付情報が取得されないことを条件として、廃車状態を確定する。

情報出力部５４は、廃車判定部５３により車両１０１が廃車状態であると判定されると、その判定結果を含む廃車情報を、対応する車両１０１の車両ＩＤとともにディーラ端末３０に送信する。この場合、情報出力部５４は、予め記憶部５５に記憶された対応関係に基づいて車両ＩＤに対応するディーラ端末３０を特定し、特定されたディーラ端末３０に廃車情報を送信する。これによりディーラ３１では、車両１０１の状態を把握することができ、車両１０１のユーザに対し有用なサービスを提供することができる。すなわち、廃車状態と判定されたユーザに対しては、車両販売の営業活動等を行うことができる。廃車状態と判定さないユーザに対しては、車両１０１の定期点検等の案内を通知することができる。

図３は、予め定められたプログラムに従い、サーバ装置５０のＣＰＵで実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば通信部５１を介して車載端末２０との間で通信が確立すると開始され、所定周期で繰り返される。

まず、ステップＳ１で、情報取得部５２での処理により、車載端末２０から送信された車両情報を車両ＩＤとともに取得する。次いで、ステップＳ２で、廃車判定部５３での処理により、ステップＳ１で取得された車両情報に、バッテリ離脱情報が含まれるか否かを判定する。ステップＳ２で肯定されると、車両１０１が廃車状態であると予測し、ステップＳ３に進む。一方、ステップＳ２で否定されると、処理を終了する。

ステップＳ３では，廃車判定部５３での処理により、通信部５１を介した車載端末２０との通信が不能になったか否かを判定する。Ｓ３で肯定されるとステップＳ５に進み、否定されるとステップＳ４に進む。ステップＳ４では、廃車判定部５３での処理により、ステップＳ２で最初にバッテリ離脱情報ありと判定されてから、所定時間が経過したか否かを判定する。すなわち、ステップＳ２が最初に肯定されると、ステップＳ２が否定されるまでタイマのカウントが継続されるようになっており、ステップＳ４では、タイマのカウント値が所定時間に達したか否かが判定される。ステップＳ４で肯定されるとステップＳ５に進み、否定されると処理を終了する。

ステップＳ５では、廃車判定部５３での処理により、車両１０１が廃車状態であると判定する。すなわち、車両１０１の廃車状態を確定する。次いで、ステップＳ６で、情報出力部５４での処理により、記憶部５５に記憶された対応関係から、車両ＩＤに対応するディーラＩＤを有するディーラ端末３０を特定し、当該ディーラ端末３０に廃車情報を送信する。

本実施形態に係る廃車管理装置の動作をまとめると以下のようになる。車両１０１の廃車の手続がなされると、車両１０１からバッテリパック１０が取り外される。その後、車載端末２０の通信部の電源がオフされると、サーバ装置５０と車載端末２０との間で通信が不能になり、車両１０１が廃車状態であると判定される（ステップＳ２→ステップＳ３→ステップＳ５）。また、車載端末２０の通信部の電源がオフされなくても、バッテリパック１０が取り外されてから所定時間が経過した場合にも、車両１０１が廃車状態であると判定される（ステップＳ２→ステップＳ４→ステップＳ５）。

車両１０１が廃車状態であると判定されると、その判定結果は、車両１０１に対応するディーラ３１の端末３０に送信される。これにより、ディーラ３１では、ディーラ３１以外で廃車の手続がなされた場合であっても、車両１０１の廃車情報を容易に把握することができ、車両情報を適切に管理することができる。このため、車両１０１のユーザに対し、適切なタイミングで良好な営業活動等を行うことが可能である。

本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
（１）本実施形態に係る廃車管理装置（サーバ装置５０）は、バッテリパック１０（バッテリ１）を搭載する車両１０１の車載端末２０と通信する通信部５１と、通信部５１を介して、バッテリパック１０の車両１０１からの離脱を表すバッテリ離脱情報を含む車両情報を取得する情報取得部５２と、情報取得部５２により取得された車両情報に基づいて、車両１０１が廃車状態であるか否かを判定する廃車判定部５３と、を備える（図２）。このように本実施形態では、車両１０１が廃車状態になると車両１０１からバッテリパック１０が取り外される点を考慮し、バッテリ離脱情報に基づいて廃車状態であるか否かを判定するので、各車両１０１の廃車状態をサーバ装置５０側で広く把握することが可能である。

（２）廃車判定部５３は、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得された後、通信部５１を介した車載端末２０との通信が不能になると、車両１０１が廃車状態であると判定する（図３）。これにより、バッテリパック１０が修理や点検等により車両１０１から一時的に取り外された場合に、誤って廃車状態であると判定することを防止でき、廃車状態を正確に把握することができる。

（３）情報取得部５２が取得する車両情報は、バッテリパック１０が離脱された車両１０１へのバッテリパック１０の取付を表すバッテリ取付情報をさらに含む。廃車判定部５３は、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得されてから所定時間内にバッテリ取付情報が取得されないとき、車両１０１が廃車状態であると判定する（図３）。この場合も、バッテリパック１０が修理や点検等により車両１０１から一時的に取り外された場合に、誤って廃車状態であると判定することを防止でき、廃車状態を正確に把握することができる。なお、バッテリ取付情報に含まれるバッテリ（バッテリパック１０）は、離脱したバッテリと同一のものであっても異なるものであってもよい。

上記実施形態は、種々の形態に変更することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、二次電池としてのバッテリ１をリチウムイオンバッテリとして構成したが、他のバッテリも廃車状態では同様に車両１０１から取り外される。したがって、バッテリの構成は上述したものに限らない。バッテリが複数のバッテリパックによって構成されてもよい。

上記実施形態では、情報取得部５２がバッテリ離脱情報とバッテリ取付情報とを含む車両情報を取得するようにしたが、車両情報取得部により取得される車両情報はこれに限らない。上記実施形態では、廃車判定部５３が、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得された後、通信部５１を介した車両１０１との通信が不能になると、あるいは、情報取得部５２によりバッテリ離脱情報が取得されてから所定時間内にバッテリ取付情報が取得されないとき、車両１０１が廃車状態であると判定するようにした。しかしながら、車両情報取得部により取得された車両情報に基づいて車両が廃車状態であるか否かを判定するのであれば、廃車判定部の構成はいかなるものでもよい。

上記実施形態では、廃車判定部５３による判定結果を、情報出力部５４がディーラ端末３０に出力（送信）するようにしたが、判定結果を解体業者等の端末に送信するようにしてもよい。これにより、車両１０１を解体作業へとスムーズに移行させることができる。情報出力部５４から出力された情報を、車両１０１と同一車種の市場における占有率（マーケットシェア）等の把握に用いるようにしてもよい。

以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の１つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。

１ バッテリ、１０ バッテリパック、２０ 車載端末、５０ サーバ装置、５１ 通信部、５２ 情報取得部、５３ 廃車判定部、５４ 情報出力部、１００ 廃車管理システム、１０１ 車両

Claims (3)

1. バッテリを搭載する車両と通信する通信部と、
   前記通信部を介して、前記バッテリの前記車両からの離脱を表すバッテリ離脱情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、
   前記車両情報取得部により取得された車両情報に基づいて、前記車両が廃車状態であるか否かを判定する廃車判定部と、を備えることを特徴とする廃車管理装置。
2. 請求項１に記載の廃車管理装置において、
   前記廃車判定部は、前記車両情報取得部により前記バッテリ離脱情報が取得された後、前記通信部を介した前記車両との通信が不能になると、前記車両が廃車状態であると判定することを特徴とする廃車管理装置。
3. 請求項１または２に記載の廃車管理装置において、
   前記車両情報は、前記バッテリが離脱した前記車両への前記バッテリもしくは前記バッテリとは異なるバッテリの取付を表すバッテリ取付情報をさらに含み、
   前記廃車判定部は、前記車両情報取得部により前記バッテリ離脱情報が取得されてから所定時間内に前記バッテリ取付情報が取得されないとき、前記車両が廃車状態であると判定することを特徴とする廃車管理装置。

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