以下、好適な実施形態の例を説明するが、実施形態は以下の態様に限定されない。各図には右手系の直交三軸を示す。直交三軸は、前方・正面がX軸プラス方向、左方がY軸プラス方向、上方がZ軸プラス方向である。
図1は、シェアリングシステムのシステム構成の例を示す図である。
シェアリングシステム3は、シェアリング対象である車両5と、車両5に付属する純正の電子キー7を収容した車載器10と、ネットワーク9を介して車載器10と通信接続するサーバシステム1100と、ネットワーク9を介して車載器10と通信接続するシェアリング対象のユーザが使用するユーザ端末1500と、を有する。車両5には1つの車載器10が搭載される。実際のシェアリングシステム3の運用にあたっては、車両5及び車載器10のセットが1つ又は複数用意され、複数のユーザ端末1500が用いられることとなる。
電子キー7は、シェアリング対象の車両5が備える施錠機構を解錠/施錠する押下釦である解錠ボタン71及び施錠ボタン72を有する。電子キー7は、解錠ボタン71が押釦操作されると所定の解錠信号を電波発信し、施錠ボタン72が押釦操作されると所定の施錠信号を電波発信する。電子キー7は物理キーを内蔵或いは露出した構成であってもよい。また、電子キー7は、車両5に当初から付属するオリジナルの純正キーであるが、車両メーカが指定する所定手続を経て正規に複製されたキーであってもよい。
ネットワーク9は、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、ネットワーク9とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
サーバシステム1100は、シェアリングシステム3のユーザ登録と、予約管理と、ユーザ端末1500や車載器10への予約情報の提供と、を行う。具体的には、サーバシステム1100は、管理プログラム501を記憶し、これを実行することによって、(1)ユーザ登録機能、(2)車両5別の予約設定機能、(3)予約情報700(例えば、固有の予約ID、予約車両ID、予約期間、パスワードなどを含む。)の生成機能、(4)予約情報700の写し(予約情報700t)をユーザ端末1500へ提供する機能、(5)予約情報700の写し(予約情報700c)を車載器10へ提供する機能、を実装する。
ユーザ端末1500は、ユーザが使用するネットワーク9に接続可能なコンピュータシステムであって、例えばスマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、ウェアラブルコンピュータ等により実現される。
ユーザ端末1500は、アプリケーションプログラムを記憶し、実行することができる。アプリケーションプログラムとしては、端末プログラム502を記憶している。端末プログラム502は、(1)サーバシステム1100にアクセスするための機能と、(2)ユーザによる解錠操作に応じて車載器10へ所定の解錠要求を行い、予約情報700tを提供して車載器10に解錠させる機能と、(3)ユーザによる施錠操作に応じて車載器10と通信接続して所定の施錠要求を行い、予約情報700tを提供して車載器10に施錠させる機能と、を実現させる。
図2は、本実施形態の車載器10の構成例を示すXY断面図である。
図3及び図4は、車載器10に収容されるインナーケース60の構成例を示す斜視外観図であって、図3はインナーケース60を閉じた状態を示し、図4はインナーケース60を開けた状態を示している。
車載器10は、ユーザ端末1500からの解錠要求/施錠要求に応じて、収容する電子キー7に対して解錠動作/施錠動作をする鍵制御装置であって、シェアリング対象である車両5の車内に取り付けられる車載器である。車載器10は、アウターケース12内の前方寄りに、制御基板20と、第1アクチュエータ31と、第2アクチュエータ32と、収容センサ33と、内蔵バッテリー14と、を内蔵する。また、車載器10は、アウターケース12内の後方寄りに、シェアリング対象の車両5に付属する純正の電子キー7を収容する収容部50、を有する。
車載器10への電力供給元は、内蔵バッテリー14に限らず、車両のバッテリーであってもよい。その場合には、別途、車両のバッテリーと電源接続して、車載器10へ電力を常時供給する、又は電子キー7の装着/未装着に応じて電力を供給する/供給しないを切り替えるとしてもよい。
制御基板20は、CPU(Central Processing Unit)21、ICメモリ22、第1無線通信モジュール23、第2無線通信モジュール24、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32への電力供給を制御する電力制御回路25、インターフェースIC26、などの電子部品や各種回路を備える。インターフェースIC26は、第1無線通信モジュール23、第2無線通信モジュール24、及び収容センサ33からの信号の入出力を実現する。制御基板20は、ICメモリ22に記憶されているプログラムをCPU21で実行することで車載器10の動作を統合的に制御する。
第1無線通信モジュール23は、ネットワーク9(具体的には、携帯電話網、無線LANといった無線通信網)に接続し、シェアリング対象である車両5の予約を管理するサーバシステム1100と通信接続する。
第2無線通信モジュール24は、近距離無線通信を実現し、車両5を中心とした通信範囲内に入ったユーザ端末1500と通信接続する。
第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32は、制御基板20により制御されて押釦動作(ボタンスイッチを押す動作)を実現する機構部である。第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32は、例えば電動アクチュエータで実現される。採用される電動アクチュエータの動作が直動でない場合には、適宜動作を直動に変換する機構部(例えば、レバー機構や、倍力機構、カム機構など)を付属させることができる。第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32は、収容部50に収容される電子キー7の釦を押し下げる方向(図1の例ではX軸マイナス方向)へ向けて作動するように設定されている。
収容センサ33は、収容部50に電子キー7が正しい姿勢で収容されていることを検出するためのセンサであり、「正しい姿勢で収容されている」「誤った姿勢で収容されている」「収容されていない」といった収容状態を判定するためのセンサである。
例えば、収容センサ33を測距センサにより実現する場合は、予め正しい姿勢で収容されている場合の第1基準距離と、収容されていない空の状態を示す第2基準距離と、電子キー7が表裏反転や前後反転して誤った姿勢で収容されている状態を示す第3基準距離と、を予め設定し、収容センサ33で計測された距離とこれらを照合して、収容部50に電子キー7が正しい姿勢で収容されていることを検出する。
また例えば、収容センサ33をイメージセンサにより実現した場合、撮影画像が、電子キー7に別途貼り付けられた固有柄のマーカシール73の画像であるか否かにより、収容部50に電子キー7が正しい姿勢で収容されていることを検出する。この場合、収容センサ33は、収容部50に収容された電子キー7の所定マーカを検知するマーカ検知部として機能することになる。本実施形態は収容センサ33をイメージセンサにより実現するとして説明する。
また例えば、収容センサ33をコードリーダで実現した場合、電子キー7に貼り付けられたコードのシールを読み取り、正しい姿勢を示すコードであることを認証することで、収容部50に電子キー7が正しい姿勢で収容されることを検出するとしてもよい。
また例えば、収容センサ33を光電センサで実現した場合、電子キー7に光を反射可能なタグシールを張設する。電子キー7が正しい姿勢で収容されているときのタグシールからの反射光量を予め基準値として設定しておき、基準値と受光量を比較して収容状態を判定するとしてもよい。
収容部50は、インナーケース60を収容し、開閉部51を開けることで収容されているインナーケース60を出し入れできる。収容部50の内面と、収容状態のインナーケース60の外面との間には、若干のクリアランスが設けられている。この隙間により収容部50の内面がインナーケース60を出し入れする際のガイドレールとして機能する。
収容部50とインナーケース60は、インナーケース60を収容部50に所定姿勢でのみ収容可能とする第1誤組防止構造91を有する。第1誤組防止構造91は、適宜設定可能である。例えば図2のように、収容部50の内部空間の奥隅に凸部(図2の例では、図の右上部分の傾斜面状の凸部;収容部側第1誤組防止構造91a)を設け、インナーケース60に当該凸部に対応する凹部(図2の例では、インナーケース60の右上の角の面取り状の凹部;インナーケース側第1誤組防止構造91b)を設けるとしてもよい。
アウターケース12は、収容部50の前後の境に隔壁を有するが、当該隔壁には、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32それぞれの可動部が収容部50内へ挿通するためのアクチュエータ用挿通孔52と、収容センサ33の為のセンサ用窓66と、が開けられている。
インナーケース60は、弾性を有する合成樹脂により作られた開閉式ケースであって、アタッチメント80を交換可能に格納する。
図2及び図4に示すように、インナーケース60及びアタッチメント80は、アタッチメント80をインナーケース60に所定姿勢でのみ格納可能とする第2誤組防止構造92を有する。第2誤組防止構造92は、適宜設定可能である。例えば、インナーケース60は、収容部50に収容時された状態において右下部(Y軸マイナス方向及びZ軸マイナス方向の角部;図2に向かって右上の角部,図4に向かって左奥の角部)になる位置に傾斜面状に凸部をインナーケース側第2誤組防止構造92aとして有する。アタッチメント80にもこれに対応する位置に、面取り部をアタッチメント側第2誤組防止構造92bとして有する。
インナーケース60は、ケース本体部61の前面(図2に向かって右側、図3,図4に向かって上側の面)に開閉カバー62を有する。開閉カバー62を開けることでケース内に格納されたアタッチメント80を交換することができ、またアタッチメント80に嵌め込まれて保持された電子キー7を取り出すことができる。
なお、本実施形態では、インナーケース60とアタッチメント80が「電子キーを保持する保持部」に相当する。
開閉カバー62には、切り欠き溝63により辺縁部が形成された第1揺動片64と、第2揺動片65と、収容センサ33が使用する孔であるセンサ用窓66と、が形成されている。
第1揺動片64及び第2揺動片65のそれぞれZ軸プラス側の縁部には切り欠き溝63が達していない。この縁部を揺動支点として第1揺動片64及び第2揺動片65は前後(X軸方向;図2に向かって左右方向;図3,図4に向かって上下方向)に揺動する。この揺動方向は、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の押釦動作の方向に合わせてある。図3中の楕円破線の印は、第1アクチュエータ31が押釦動作によって押す第1押釦想定位置67、第2アクチュエータ32が押釦動作によって押す第2押釦想定位置68、をそれぞれ示している。
第1揺動片64の揺動端部64aは、インナーケース60を収容部50に収容した状態において、第1アクチュエータ31用のアクチュエータ用挿通孔52(図2参照)と対向する位置に設けられている。同様に、第2揺動片65の揺動端部65aは、インナーケース60を収容部50に収容した状態において、第2アクチュエータ32用のアクチュエータ用挿通孔52(図2参照)と対向する位置に設けられている。
第1揺動片64の揺動端部64a及び第2揺動片65の揺動端部65aは、揺動支点となる縁部よりも、左右方向(Y軸方向)の幅が広い。揺動端部64a,65aの拡幅によって、第1アクチュエータ31の押釦動作で押す位置が、第1押釦想定位置67から若干ずれる場合があっても許容できるようになっている。第2アクチュエータ32の押釦動作で押す位置も同様である。また、揺動端部64a,65aを拡幅したことで、第1押釦想定位置67と第2押釦想定位置68との間隔を広く取れ、アウターケース12内に2つのアクチュエータを納めるための配置レイアウトの設計自由度が高められている。
第1揺動片64及び第2揺動片65の内面側には、それぞれ凸部69が突設されている。第1揺動片64の凸部69は、インナーケース60に格納された電子キー7の解錠ボタン71に対向する位置に設けられており、第2揺動片65の凸部69は、施錠ボタン72に対向する位置に設けられている。
図5に示すように、第1アクチュエータ31が押す第1押釦想定位置67に対して、第1揺動片64の凸部69は、第1揺動片64の揺動支点Pの側にずれている。同様に、第2アクチュエータ32が押す第2押釦想定位置68に対して、第2揺動片65の凸部69は、第2揺動片65の揺動支点側にずれている。こうした凸部69のズレにより、次のような効果が得られる。
第1に、テコの原理で、第1アクチュエータ31や第2アクチュエータ32の押す力よりも強い力(図5の例では、A/B倍の力)で解錠ボタン71や施錠ボタン72を押すことができる。
第2に、解錠ボタン71や施錠ボタン72を保護することができる。具体的には、第1アクチュエータ31や第2アクチュエータ32は、部品寸法のバラツキや組み立てバラツキなどを吸収しつつも確実に押釦動作を実現するために、可動部39の作動ストローク(移動量)をある程度の大きさに設定しなければならない。可動部39の作動ストロークが、解錠ボタン71や施錠ボタン72を作動させるのに必要とされるストロークよりも大きい場合、凸部69のズレが無ければ、アクチュエータの作動で解錠ボタン71や施錠ボタン72を過度に押圧してしまう可能性がある。
しかし、凸部69のズレを設けることで、レバー比の関係で凸部69が実際に解錠ボタン71や施錠ボタン72を押し込むストロークを、アクチュエータの作動ストロークよりも小さくして、過度な押圧から保護できる。
また、凸部69のずれを設けることで、アクチュエータが押す位置(第1押釦想定位置67、第2押釦想定位置68)と、解錠ボタン71や施錠ボタン72を押す位置(凸部69)との間に、弾性変形する部位が介在することになり、解錠ボタン71や施錠ボタン72に作用する過度な力を弾性変形で吸収することができる。
なお、解錠ボタン71や施錠ボタン72の保護を更に高めるために、凸部69の先端に更に高弾性の部材を追加で取り付ける、或いは凸部69自体を高弾性の材料で作成して、第1揺動片64や第2揺動片65に取り付けるとしてもよい。
インナーケース60の中には、電子キー7の種類毎に専用で用意された硬質スポンジ製のアタッチメント80が着脱可能に嵌め込まれて格納されており、アタッチメント80に電子キー7が保持されている。アタッチメント80による電子キー7の保持力は、ユーザが、電子キー7に指を掛けて引っ張れば工具を使用せずとも取り付け及び取り外しが可能な程度に設定されている。硬質スポンジ製とすることで、アタッチメント80とインナーケース60への着脱、並びに電子キー7のアタッチメント80への着脱・保持において、適当な弾性変形が伴うことで容易な着脱が可能でありながら、装着時には弾性変形の復元により適当な密接関係及び保持力が生まれる。また、外部からの衝撃吸収により、ユーザがインナーケース60を持ち出している際に誤って落下等させても、電子キー7を衝撃から保護できる。なお、アタッチメント80は、硬質スポンジ製に限らず、インナーケース60への着脱と、電子キー7の着脱・保持を可能とする材質であれば、適宜変更可能である。
アタッチメント80は、電子キー7を背面側(解錠ボタン71、施錠ボタン72の反対側)から嵌め込み可能な保持凹部82を有する。保持凹部82の形状と、アタッチメント80における保持凹部82の設置位置とは、電子キー7の種類に応じて専用に設計されている。
図6~図8は、電子キー7とアタッチメント80とのバリエーションの例を示す2面図であって、電子キー7がアタッチメント80に嵌め込まれて保持された状態を示している。図6~図8において、左側に正面図を、右側に電子キー7と断面表示したアタッチメント80との側面図を示す。側面図におけるX軸と平行な長破線は、図の上から順に、第2揺動片65の凸部69に対する対向位置L2、第1揺動片64の凸部69に対する対向位置L1、収容センサ33用のセンサ用窓66に対する対向位置L3を示す目安である。対向位置L1~L3は、図2にも示している。
図6は、第1種類の電子キー7Aと第1種類のアタッチメント80Aとを示している。図7は、第2種類の電子キー7Bと第2種類のアタッチメント80Bとを示している。図8は、第3種類の電子キー7Cと第3種類のアタッチメント80Cとを示している。実際に運用するに当たって対応する電子キーの種類とそれに対応するアタッチメントの数は問わない。
アタッチメント80は、解錠ボタン71や施錠ボタン72が設けられた電子キー7の前面側を表(開閉カバー62側)にして嵌め込む正しい保持姿勢をユーザに想起させる保持姿勢ガイド84を有する。なお、保持姿勢ガイド84は、主に電子キー7の外形の非対称な形状的特徴を利用しているものである。よって、そうした形状的特徴が無い種類の電子キー7に関しては、凹部としての保持姿勢ガイド84は電子キー7を嵌め込む穴としてのみ機能し、正しい保持姿勢をユーザに想起させることができない場合もある。
電子キー7の形状は、車両によって様々である。保持凹部82の形状は、対応する電子キー7の形状に合わせて、電子キー7を取り付け/取り外し可能な形状に専用に設計されている。従って、保持凹部82には電子キー7の形状的特徴が現れている部位があり、当該部位が保持姿勢ガイド84として機能する。
例えば、図6の電子キー7Aでは、電子キー7AのY軸プラス側の側面に面取りが施されている。アタッチメント80Aの保持凹部82は、この面取り部分に対応している部分に傾斜面が形成されており、面取り部分に対応する部位、すなわち傾斜面が保持姿勢ガイド84に該当する。電子キー7Aを保持凹部82の形状に合わせて嵌め込むと、すなわち、電子キー7Aの形状的特徴が現れている面取り部分をアタッチメント80の傾斜面(保持姿勢ガイド84)に合わせて嵌め込むと、電子キー7A全体が操作面(キーとしての前面)を表にして、保持凹部82の形状に合わせて嵌め込まれることとなる。更に、解錠ボタン71が第1揺動片64と対向し、施錠ボタン72が第2揺動片65と対向する所定の位置関係となる。
図7の電子キー7Bは、正面視四角形状を有しており、その四角形状の4つの角のうちの1つが面取り部になっており、1つがキーホルダー用ホール74となっている。アタッチメント80Bの保持凹部82は、電子キー7Bの面取り部に対応している部分に傾斜部を有し、これが第1保持姿勢ガイド84aとなっている。また、アタッチメント80Bの保持凹部82は、電子キー7Bを正しい姿勢で取り付けた際にキーホルダー用ホール74に嵌合する凸部86を有し、これが第2保持姿勢ガイド84bとなっている。
電子キー7Bの形状的特徴が現れている面取り部分をアタッチメント80Bの傾斜部(第1保持姿勢ガイド84a)に合わせて嵌め込む。次いで、電子キー7Bのキーホルダー用ホール74を凸部86(第2保持姿勢ガイド84b)に嵌め込む。すると、電子キー7B全体が操作面を表にして、保持凹部82の形状に合わせて嵌め込まれることとなる。更に、解錠ボタン71が第1揺動片64と対向し、施錠ボタン72が第2揺動片65と対向する所定の位置関係となる。
図8の電子キー7Cは、外周の面取りなどはないが、その正面視形状が楕円形を成しており、それが形状的特徴となっている。アタッチメント80Cの保持凹部82は、電子キー7Cの楕円形状に適合した形状(非対称な形状的特徴を有しない形状)に形成されている。また、アタッチメント80Cは、保持凹部82の外縁部に解錠ボタン71や施錠ボタン72を想起させるマークを保持姿勢ガイド84として有する。
保持姿勢ガイド84のマークの並び順にならって、施錠ボタン72、解錠ボタン71の順になるように電子キー7Cの操作面を表にしてアタッチメント80Cの保持凹部82の外縁部に電子キー7Cの外縁部を位置付けて嵌め込む。すると、解錠ボタン71が第1揺動片64と対向し、施錠ボタン72が第2揺動片65と対向する所定位置関係となる。
図2,図6~図8に示すように、対向位置L1~L3の位置関係は、第1アクチュエータ31・第2アクチュエータ32・収容センサ33の各設置間距離により定められている。一方、アタッチメント80における保持凹部82の形状や位置は、保持する電子キー7の解錠ボタン71を第1揺動片64の凸部69に対向させ、施錠ボタン72を第2揺動片65の凸部69に対向させるように設定されている。
インナーケース60は、異なるアタッチメント80に対して共通に使用される。インナーケース60に格納されるアタッチメント80が異なるとしても、当該アタッチメント80が、対応する電子キー7を保持した場合に、当該電子キー7の釦(解錠ボタン71及び施錠ボタン72)を押下可能な押釦想定位置(第1押釦想定位置67、第2押釦想定位置68;図3参照)は、インナーケース60に対して相対的に同じ位置となるように定められている。
また、電子キー7は、種類によって厚さが異なるが、保持凹部82の深さを適切に設定することで、第1アクチュエータ31や第2アクチュエータ32の押釦動作により第1揺動片64や第2揺動片65が揺動し、それぞれの凸部69で解錠ボタン71や施錠ボタン72を確実に押せるようになっている。
よって、電子キー7の種類によって解錠ボタン71及び施錠ボタン72の大きさや配置位置が変わるとしても、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32の押釦動作を、第1揺動片64及び第2揺動片65を介して解錠ボタン71及び施錠ボタン72に伝え、作動させることができる。つまり、車載器10を搭載する車両5の電子キー7の種類に応じて、使用するアタッチメント80の種類を選択することで、様々な種類の電子キー7に対応する車載器10が実現できることになる。
次に、シェアリングシステム3の動作について説明する。
図9は、サーバシステム1100の機能構成例を示す機能ブロック図である。サーバシステム1100は、操作入力部100sと、サーバ処理部200sと、表示部390sと、通信部394sと、サーバ記憶部500sとを備える。
操作入力部100sは、システム管理や保守等のための各種操作を入力するための機能部であり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等で実現できる。
サーバ処理部200sは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算回路やICメモリ等の電子部品によって実現され、装置各部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100sからの操作入力信号、ユーザ端末1500などから受信したデータ等に基づいて各種の演算処理を行い、サーバシステム1100の動作を統括制御する。
サーバ処理部200sは、ユーザ管理部202と、予約管理部204とを備える。勿論、サーバ処理部200sは、その他の機能部(例えば、現在日時を記憶更新する機能、など)を含むとしてもよい。
ユーザ管理部202は、ユーザ登録に係る処理を行う。具体的には、ユーザ管理部202は、ユーザ端末1500からのユーザ登録要求に応答してそのユーザに固有のアカウントを付与する。また、ユーザ管理部202は、当該ユーザ端末1500との間で登録に必要なデータを送受して、ユーザ登録情報600を登録管理する。
ユーザ登録情報600は、登録手続済みのユーザ毎に作成されてサーバ記憶部500sに記憶される。1つのユーザ登録情報600は、例えば、固有のユーザアカウント、個人情報(例えば、氏名、住所、年齢、性別、運転免許証番号、など)、連絡先情報(例えば、電話番号、電子メールアドレス、など)を含む。
予約管理部204は、シェアリング対象の予約に係る処理を行う。具体的には、ユーザ端末1500からの予約要求に応答して当該ユーザ端末1500との間で予約に必要なデータを送受し、予約要求別に予約情報700を作成・登録管理する。
予約情報700は、予約手続済み毎に作成され、サーバ記憶部500sに記憶されている。1つの予約情報700は、固有の予約ID、予約ユーザアカウント、予約シェアリング対象ID、予約期間、固有のパスワードと、を含む。そして、予約管理部204は、作成した予約情報700の写しを控えとして予約要求したユーザ端末1500へ提供する(図1の予約情報700t)。また、予約管理部204は、予約期間を過ぎたり予約に基づく使用が完了した予約情報700を削除する。
予約情報提供制御部206は、シェアリング対象登録台帳510と車載器登録台帳512とを参照して、シェアリング対象の車両5に搭載されている車載器10へ当該車両に係る未完了の予約情報700を抽出して提供する制御を行う(図1の予約情報700c)。
シェアリング対象登録台帳510は、シェアリング対象毎に用意され、固有のシェアリング対象IDと、個体情報(例えば、メーカ、車種、色、登録ナンバー、車体番号など)、当該シェアリング対象に使用されている車載器10の装置IDと、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
車載器登録台帳512は、車載器10毎に作成され、固有の装置IDと、当該装置とデータ通信するためのアクセス情報(例えば、携帯電話番号、MACアドレス、アクセスコードなど)と、を格納する。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
表示部390sは、フラットパネルディスプレイ等の表示装置によって実現され、システム管理等のための各種画面を表示する。
通信部394sは、無線通信回線やLAN等の所定の通信回線に接続し、ネットワーク9を介して外部装置(例えば、ユーザ端末1500や車載器10)とのデータ通信を行う。例えば、携帯電話網や無線LANに接続するための無線通信モジュール、モデム、TA等によって実現される。
サーバ記憶部500sは、サーバ処理部200sを動作させ、当該サーバシステム1100が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を予め記憶し、或いは処理の都度一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、光学ディスク、オンラインストレージ等によって実現される。サーバ記憶部500sは、管理プログラム501と、シェアリング対象登録台帳510と、車載器登録台帳512と、ユーザ登録情報600と、予約情報700と、を記憶する。勿論、これら以外のデータ(例えば、現在日時など)も適宜記憶することができる。
管理プログラム501は、サーバ処理部200sが実行することで、ユーザ管理部202、予約管理部204、予約情報提供制御部206の機能を実現させる。
図10は、ユーザ端末1500の機能構成例を示す機能ブロック図である。ユーザ端末1500は、操作入力部100tと、端末処理部200tと、表示部390tと、第1通信部394tと、第2通信部396tと、端末記憶部500tとを備える。
操作入力部100tは、ユーザによる各種操作を入力するためのものであり、例えば、タッチパネル、ボタンスイッチ等で実現できる。
端末処理部200tは、例えばCPU、GPU、ASIC、FPGA等の演算回路やICメモリ等の電子部品によって実現され、装置各部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100tからの操作入力信号、サーバシステム1100や車載器10などから受信したデータ等に基づいて各種の演算処理を行い、ユーザ端末1500の動作を統括制御する。
端末処理部200tは、登録時処理部210と、予約時処理部212と、解錠時処理部214と、施錠時処理部216と、返却時処理部218とを有する。
登録時処理部210は、ユーザ登録操作を受け付けてサーバシステム1100にユーザ登録要求を通知し、ユーザ登録手続きに係る処理を実行する。
予約時処理部212は、ユーザによる予約設定操作を受け付けてサーバシステム1100に予約要求を通知し、予約手続きに係る処理と、予約情報700tを取得する処理とを実行する。
解錠時処理部214は、ユーザによる解錠操作に応じて、車載器10との近距離無線通信を行って解錠要求を通知し、予約情報700tを送信してユーザが予約したシェアリング対象の解錠手続きに係る処理を実行する。
施錠時処理部216は、ユーザによる施錠操作に応じて、車載器10と近距離無線通信を行って施錠要求を通知し、予約情報700tを送信して施錠手続きに係る処理を実行する。
返却時処理部218は、ユーザによる返却操作に応じて、車載器10と近距離無線通信を行って返却要求を通知し、予約情報700tを送信して返却手続きに係る処理を実行する。
表示部390tは、フラットパネルディスプレイ等の表示装置によって実現され、端末処理部200tからの表示信号に基づく各種表示を行う。
第1通信部394tは、サーバシステム1100との間でネットワーク9を介してデータ通信をする。例えば、携帯電話網や無線LANに接続する無線通信モジュール等によって実現される。
第2通信部396tは、車載器10との間でネットワーク9を介してデータ通信をする。例えば、近距離無線用の無線通信モジュールによって実現される。
端末記憶部500tは、ユーザ端末1500が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を予め記憶し、或いは処理の都度一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、光学ディスク、オンラインストレージ等によって実現される。端末記憶部500tは、端末プログラム502と、予約情報700tとを記憶する。勿論、これら以外のデータ(例えば、現在日時など)も適宜記憶することができる。
端末プログラム502は、端末処理部200tが実行することで、登録時処理部210と、予約時処理部212と、解錠時処理部214と、施錠時処理部216と、返却時処理部218と、の機能を実現させる。
図11は、車載器10の機能構成例を示す機能ブロック図である。
車載器10は、収容検出部110と、第1動作部131と、第2動作部132と、処理部200と、第1通信部394と、第2通信部396と、記憶部500と、を有する。
収容検出部110は、電子キー7が収容されていることを検出するための機能部であり、各種センサや、イメージセンサ、などにより実現される。図2の例では、収容センサ33がこれに該当する。
第1動作部131及び第2動作部132は、それぞれ押釦動作を機械的に実現する。具体的には、処理部200により動作制御されるアクチュエータや機構部によって実現される。図2の例では、第1動作部131が第1アクチュエータ31、第2動作部132が第2アクチュエータ32に該当する。
第1通信部394は、サーバシステム1100との間でネットワーク9を介してデータ通信を行う。例えば、携帯電話網や無線LANに接続する無線通信モジュール等によって実現される。
第2通信部396は、ユーザ端末1500との間でネットワーク9を介してデータ通信を行う。例えば、近距離無線用の無線通信モジュールによって実現される。
処理部200は、ネットワーク9を介して外部装置から所与の情報を取得する制御を行う情報取得制御部220を有する。情報取得制御部220は、予約情報取得制御部221と、作動制御部222と、を有する。勿論、これら以外の機能部(例えば、現在日時を記憶し更新する機能)も適宜含めることができる。
予約情報取得制御部221は、サーバシステム1100から予約情報700を取得する制御を行う。具体的には、予約情報取得制御部221は、第1通信部394を使って所定周期にサーバシステム1100にアクセスし、装置ID504とともに所定の情報提供要求を送信し、これに応じてサーバシステム1100から提供された予約情報700の写しを予約情報700cとして記憶部500に記憶させる制御を行う。
作動制御部222は、所与の情報の取得がなされた場合に、第1アクチュエータ31に押釦動作を行わせる。作動制御部222は、解錠制御部223と、施錠制御部225と、返却制御部227と、を有する。
解錠制御部223は、ユーザ端末1500から所定の解錠要求を受信すると、当該ユーザ端末から予約情報700tを取得し、記憶部500に記憶されている予約情報700cと照合して解錠要求の有効性を判定する。具体的には、予約情報700tと予約情報700cとの内容が同じであり、現在日時が予約期間内であれば解錠要求は有効であると判定する。そして、解錠制御部223は、解錠要求が有効である場合に、第1動作部131を作動させる制御を行う。
施錠制御部225は、ユーザ端末1500から所定の施錠要求を受信すると、当該ユーザ端末1500から予約情報700tを取得し、記憶部500に記憶されている予約情報700cと照合して施錠要求の有効性を判定する。具体的には、予約情報700tと予約情報700cとの内容が同じであり、現在日時が予約期間内であれば施錠要求は有効と判定する。そして、施錠制御部225は、施錠要求が有効である場合に、第2動作部132を作動させる制御を行う。
返却制御部227は、ユーザ端末1500から所定の返却要求を受信すると、当該ユーザ端末から予約情報700tを取得し、記憶部500に記憶されている予約情報700cと照合して施錠要求の有効性を判定する。具体的には、予約情報700tと予約情報700cとの内容が同じであり、現在日時が予約期間内又は予約期間終了後であれば、返却要求は有効と判定する。そして、返却制御部227は、返却要求が有効である場合に、収容検出部110で電子キー7が収容されていることを検出し、第2動作部132を作動させる制御を行い、所定の返却通知をサーバシステム1100へ送信する。もし、電子キー7が収容されていなければ、所定のキー収容確認要求をユーザ端末1500に送信し、ユーザ端末1500にてユーザに電子キー7の収容状況の確認を促す処理を実行させる。
記憶部500は、処理部200を動作させ、車載器10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を予め記憶し、或いは処理の都度一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ等によって実現される。記憶部500は、制御プログラム503と、固有の装置ID504と、予約情報700cと、を記憶する。勿論、これら以外のデータ(例えば、現在日時など)も適宜記憶することができる。
制御プログラム503は、処理部200が実行することで、予約情報取得制御部221と、解錠制御部223と、施錠制御部225と、返却制御部227と、しての機能を実現させる。
図12~図13は、サーバシステム1100、ユーザ端末1500、車載器10の動作について説明するためのフローチャートであって、とあるユーザがユーザ登録し、予約を設定し、車両を利用して、返却するまでを一連の流れとしている。
図12に示すように、ユーザ端末1500にてユーザが所定の登録要求操作を入力すると、ユーザ端末1500は、ネットワーク9を介してサーバシステム1100に接続し、ユーザ登録要求を送信する(ステップS10)。サーバシステム1100はこれに対応して所定のユーザ登録手続処理を実行する(ステップS12)。ユーザ登録手続では、ユーザアカウントを付与するとともに、ユーザ端末1500にて所定の登録画面が表示され、ユーザ登録に必要な情報、例えば、個人情報(氏名、住所、年齢、性別、運転免許証番号、など)や連絡先情報(電話番号、電子メールアドレス、など)の入力をユーザに促す。ユーザ端末1500は、登録画面への入力結果をサーバシステム1100へ送信する。サーバシステム1100は、登録画面への入力結果に基づいて、新たなユーザ登録情報600を生成・記憶する。
ユーザ端末1500にてユーザが所定の予約設定操作を入力すると、ユーザ端末1500は、ネットワーク9を介してサーバシステム1100に接続し、予約設定要求を送信する(ステップS20)。サーバシステム1100はこれに対応して所定の予約手続処理を実行する(ステップS22)。予約手続処理では、ユーザ端末1500にて所定の予約設定画面(例えば、シェアリング対象の車両5の選択画面、予約期間の入力画面などを含む。)が表示され、予約設定に必要な情報の入力をユーザに促す。ユーザ端末1500は、予約設定画面への入力結果をサーバシステム1100へ送信する。
サーバシステム1100は、予約設定画面への入力結果に基づいて、新たな予約情報700(例えば、固有の予約ID、予約ユーザアカウント、予約シェアリング対象ID、予約期間、固有のパスワード、などを含む)を生成・記憶し(ステップS24)、その写しを予約の控え情報としてユーザ端末1500へ提供する(ステップS26)。ユーザ端末1500はこれを予約情報700tとして記憶する(ステップS28)。
一方、車載器10は、それぞれ所定のタイミングが到来するとサーバシステム1100へ接続して、予約情報提供要求と装置ID504とを送信する(ステップS40)。サーバシステム1100は、これに対応して、装置ID504に係る予約情報700を検索し(ステップS42)、該当する未完了の予約情報700の写しを返信・提供する(ステップS44)。車載器10は、これを受信して予約情報700cとして記憶する(ステップS46)。
予約を済ませたユーザは、予約期間の開始に合わせて、ユーザ端末1500を持って車両5の場所に行き、所定の解錠操作を入力する。ユーザ端末1500は、解錠操作に応じて当該車両の車載器10と通信接続し、解錠要求及び予約情報700tを送信する(ステップS60)。
車載器10は、これに対応して、解錠要求の有効判定処理を実行する(ステップS62)。有効判定処理では、解錠要求とともに受信した予約情報700tと、自機に記憶されている予約情報700cとを照合する第1判定と、現在日時が予約情報700cで設定されている予約期間内である事を確認する第2判定と、を行う。第1判定と第2判定との両方が肯定の場合に、解錠要求は有効と判定される。車載器10は、解錠要求が有効である場合(ステップS64のYES)、解錠動作制御処理を実行して、第1アクチュエータ31に押釦動作をさせる(ステップS66)。
第1アクチュエータ31が作動すると、図14に示すように、第1アクチュエータ31の可動部が収容部50に向けて(X軸マイナス方向へ)移動して、第1揺動片64の第1押釦想定位置67(図3参照)に接触し更に第1揺動片64をX軸マイナス方向へ押す。第1揺動片64の凸部69は、インナーケース60のアタッチメント80に保持されている電子キー7の解錠ボタン71を押す。電子キー7は、解錠ボタン71が押されると解錠信号を電波発信し、車両5はこれを受信して解錠動作をする。
車両5が解錠されれば、ユーザは当該車両に乗り込むことができる。ユーザが望むならば、車載器10の開閉部51を開けて(図2参照)、インナーケース60を取り出して、これを持ち歩いて使用することができる。電子キー7が嵌め込まれたままのインナーケース60を車載器10から取り出して使用する場合には、ユーザは、インナーケース60の開閉カバー62の第1揺動片64の揺動端部64a(図3参照)を指先で押すことで車両5のドアを解錠し、第2揺動片65の揺動端部65a(図3参照)を指先で押すことで車両5のドアを施錠することができる。つまり、インナーケース60から電子キー7を取り外すことなく解錠・施錠が可能であり利便性に優れる。
更にユーザが望むならば、インナーケース60の開閉カバー62を開けて(図4参照)、電子キー7を取り出し、そのデザインや使い心地を確認することができる。
電子キー7を戻すには、インナーケース60の開閉カバー62を開けてアタッチメント80の保持凹部82に、解錠ボタン71や施錠ボタン72のある側を表にして電子キー7を嵌める。保持凹部82の凹形状は、電子キー7を解錠ボタン71や施錠ボタン72のある側を表にして嵌め込むように成型されているので、形状を合わせるように電子キー7を保持凹部82に嵌めれば良い。
図12に戻って、ユーザがユーザ端末1500で、所定の施錠操作を入力すると、ユーザ端末1500は車載器10と通信接続し、施錠要求及び予約情報700tを送信する(ステップS70)。
車載器10は、これに対応して、施錠要求の有効判定処理を実行する(ステップS72)。有効判定処理では、施錠要求とともに受信した予約情報700tと、自機に記憶されている予約情報700cとを照合する第1判定と、現在日時が予約情報700cで設定されている予約期間内又は予約期間終了後である事を確認する第2判定と、を行う。第1判定と第2判定との両方が肯定の場合に、施錠要求は有効と判定される。車載器10は、施錠要求が有効である場合(ステップS74のYES)、施錠動作制御処理を実行して、第2アクチュエータ32に押釦動作をさせる(ステップS76)。
第2アクチュエータ32が作動すると、図15に示すように、第2アクチュエータ32の可動部が、収容部50に向けて(X軸マイナス方向へ)移動し、第2揺動片65の第2押釦想定位置68(図3参照)に接触し更に第2揺動片65をX軸マイナス方向へ押す。第2揺動片65の凸部69は、インナーケース60のアタッチメント80に保持されている電子キー7の施錠ボタン72を押す。電子キー7は、施錠ボタン72が押されると施錠信号を電波発信し、車両5はこれを受信して施錠動作をする。
図13に移って、ユーザは、今回の予約に係る車両5の利用を終了して返却する場合、ユーザ端末1500にて所定の返却操作を入力する。返却操作が入力されるとユーザ端末1500は車載器10と通信接続し、返却要求及び予約情報700tを送信する(ステップS80)。
車載器10は、これに対応して、返却要求の有効判定処理を実行する(ステップS82)。有効判定処理では、返却要求とともに受信した予約情報700tと、自機に記憶されている予約情報700cとを照合する第1判定と、現在日時が予約情報700cで設定されている予約期間内又は予約期間終了後である事を確認する第2判定と、を行う。第1判定と第2判定との両方が肯定の場合に、返却要求は有効と判定される。
車載器10は、返却要求が有効である場合(ステップS84のYES)、電子キー7の収容確認処理を実行する(ステップS86)。具体的には、収容センサ33でマーカシール73を正しい向きで撮影できている場合、電子キー7が正しく収容されていると判定する。
電子キー7が正しく収容されているならば(ステップS88のYES)、車載器10は、施錠動作制御を実行し(ステップS90)、サーバシステム1100へ接続して所定の返却通知と、有効判定に用いられたら予約情報700cの予約IDとを送信する(ステップS92)。サーバシステム1100はこれに対応して、当該予約IDの予約情報700を消去する(ステップS94)。
電子キー7が正しく収容されていない場合、具体的には、そもそも電子キー7をインナーケース60に戻し忘れている場合、又はアタッチメント80に嵌め込む向きを間違えている場合(ステップS88のNO)、車載器10は、所定の収容確認要求をユーザ端末1500へ送信する(ステップS100)。ユーザ端末1500は、これに対応して電子キー7を正しい姿勢でアタッチメント80に嵌めるように促す画面の表示と、注意を促す音の放音と、を所定時間実行する(ステップS102)。
<他の実施の形態>
以上、1つの実施形態について説明したが、本開示の態様は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
(その1)
例えば、上記実施形態からインナーケース60や収容センサ33に係る要素を省略することができる。具体的には、図16に示す車載器10Bは、その両方を省略した例である。車載器10Bは、開閉部51Bを収容部50の背面にサムターン55を外すことで着脱できる裏蓋のように構成し、アタッチメント80Bは、電子キー7の正面を覆う部材とされる。電子キー7は、正面を、開閉部51Bを外して収容部50の空間の前方に向けて嵌め込まれる。
アタッチメント80Bは、上記実施形態の第1揺動片64及び第2揺動片65に相当する部位として、第1アクチュエータ31の押釦想定位置に対応する第1弾性部64Bと、第2アクチュエータ32の押釦想定位置に対応する第2弾性部65Bと、を有する。
当該構成であっても、電子キー7の種類別のアタッチメント80Bを用意することで、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(その2)
図17に示す車載器10Cのように、インナーケース60Cを収容部50から引き出す構造としてもよい。具体的には、車載器10Cは、車載器10Bと同様のアタッチメント80Bを有する。アタッチメント80を格納するインナーケース60Cは、開閉カバー62は有せず、前方(X軸プラス方向の側面)が開口した状態であり、収容部50内に設けられたガイドレール56に沿って、引き出し可能に構成されている。当該構成であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
この車載器10Cの場合、インナーケース60Cは車載器10Cから取り外すことはできない。従って、ユーザは、インナーケース60Cを引き出して、電子キー7のみをアタッチメント80から取り外して使用する。電子キー7を取り出して直接操作することで、電子キー7に備えられている解錠ボタン71や施錠ボタン72以外のボタン(例えば、電動スライドドアの開閉ボタンなど)を操作することができる。
(その3)
インナーケース60の開閉カバー62は、図3及び図4に示した一種類に限らず、図18に示すように、第1揺動片64や第2揺動片65の形成位置、凸部69の形成位置が異なるオプション開閉カバー62Dを1つ又は複数種類用意して、適宜、オリジナルの開閉カバー62から交換可能としてもよい。
(その4)
車載器10が、所定タイミング(例えば、周期的なタイミング)でサーバシステム1100から予約情報700を取得する構成を変更してもよい。例えば、車載器10がユーザ端末1500から何らかの要求を受信して有効判定を行う際に、サーバシステム1100に通信接続して、当該要求の受信に合わせてユーザ端末1500から提供された予約情報700tと、サーバシステム1100が記憶している予約情報700との照合をサーバシステム1100に要求し、適合する場合に当該要求が有効と判定するとしてもよい。
(その5)
上述した実施形態では、制御基板20と、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32とを同じアウターケース12に内蔵する構成例を示したが、これに限らない。例えば、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32と、収容部50などの機構部と、制御基板20などの制御部と、を別々のケースに内蔵し、両者を無線通信或いは有線通信可能に接続し、制御部から機構部を動作制御する、としてもよい。
(その6)
また、収容センサ33は、適宜省略することができる。例えば、第1誤組防止構造91及び第2誤組防止構造92が設けられていて、且つ、保持姿勢ガイド84が電子キー7を正しい姿勢以外で保持できない場合(具体的には、電子キ-7が嵌まらない、電子キー7が浮き上がっている、などでインナーケース60の開閉カバー62がそもそも閉まらないなどの場合)、収容センサ33を省略することができる。
(その7)
また、上述した実施形態では、アタッチメント80とインナーケース60とが別体であり、アタッチメント80がインナーケース60に対して着脱可能とする構成を例示したが、これに限らない。例えば、アタッチメント80をインナーケース60と一体化(同一素材で一体に成形する場合、別々に作成して接着する場合、など)した構成も可能である。この場合、電子キー7の種類に応じて、アタッチメント80を含むインナーケース60ごと交換することになる。
〔概括〕
上述した実施形態による本明細書の開示は、次のように概括することができる。
本開示態様は、車両の電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーに対して、押釦動作をするアクチュエータと、を備え、前記収容部は、異なる前記車両の異なる前記電子キーの押下釦に対して前記アクチュエータによる押釦動作が可能となるように構成されている、車載器である。
この態様によれば、電子キーは、分解することなくそのまま車載器に収容されて使用される。電子キーを分解して内部回路を取り出して車載器に組み付ける作業は不要である。
前記収容部は、前記電子キーを保持する保持部を収容し、前記保持部は、異なる前記電子キーに応じて交換可能である、としてもよい。
交換可能となる複数の前記保持部の各々は、異なる前記電子キーの押下釦を前記アクチュエータにて押下する押釦想定位置が相対的に同じ位置となるように構成されている、としてもよい。
前記保持部は、前記電子キーを取り付け及び取り外しが可能である、としてもよい。
前記保持部は、前記電子キーを保持するアタッチメントと前記アタッチメントを格納するケースと、を有し、前記ケースは、異なる前記電子キーの押下釦に対する前記押釦想定位置が同じ位置となるように前記アタッチメントを交換可能に格納する、としてもよい。
前記ケースは、前記押釦想定位置に対応する位置に凸部を有する揺動片を有し、前記アクチュエータは、前記揺動片に対する押す動作を前記押釦動作として行う、としてもよい。
前記アタッチメントは、前記押釦想定位置に対応する位置に弾性部を有し、前記アクチュエータは、前記弾性部に対する押す動作を前記押釦動作として行う、としてもよい。
外部から所与の情報を取得する情報取得制御部と、前記情報取得制御部による前記所与の情報の取得がなされた場合に、前記アクチュエータに前記押釦動作を行わせる作動制御部と、を更に備えるとしてもよい。
前記電子キーは所定マーカを有し、前記収容部に収容された前記電子キーの前記所定マーカを検知するマーカ検知部、を更に備えるとしてもよい。
前記電子キーは、前記車両の純正キーであってもよい。