JP7070963B2 - タンパク質又は抗体チップ用のカセット、及び該カセットを用いる検査装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、チップ(基体)を備えた検査システムが記載されている。具体的には、当該検査システムは、回転台と、回転台に支持される検査基体と、回転台を回転駆動する回転駆動機構と、検査基体に洗浄液を供給する洗浄液の供給部と、回転台を回転させて、液体を排液部に移動させる洗浄液の排液の制御手段と、検査基体上の検体のスポットを観測する観測部材と、が備えられている。
また、特許文献2には生化学反応用基体に用いられる反応用チップが記載されている。また、特許文献3には生化学分析や免疫分析による分析装置に用いられる試薬カートリッジが記載されている。これは、「ドロップスクリーン(登録商標)」として日本ケミファ株式会社から製造販売されている。
<1>タンパク質又は抗体チップ用のカセットであって、上記チップを格納するための格納室と、上記格納室に連通する1つ以上のシリンジと、を備えている、カセット。
図1~3に基づいて、本発明の実施形態1に係るタンパク質又は抗体チップ用のカセット1(以下、単に「カセット」と略記する場合がある)について説明する。図1はカセット1の上面模式図である。なお、カセット1は略矩形状の全形をしており、その高さ方向をz方向、長さ方向をy方向、幅方向をx方向と称する。
図1を参照して、カセット1について説明する。図1に示すように、カセット1は、チップを格納するための格納室6と、格納室6に連通する送液器具(シリンジ3、4、5、7、8)と、を備える。カセット1のカセット本体2の材質は、例えば、プラスチックである。カセット1は、使い捨てとして使用しても、複数回使用してもよい。
実施形態1のカセット1は、小型であり、製造コストを抑制することが可能である。また、実施形態1のカセット1は、必要な検査試料の量を減らすことができる。また、操作が簡便である。また、迅速かつ正確に目的成分の測定を行うことができ、早期診断が可能である。また、実施形態1のカセット1は、試薬と検査試料との反応、洗浄、及び試薬処理後の検査試料の測定まで1つのカセット内で行うことができる。
さらに、実施形態1のカセット1を後述する検査装置に設置して検査を行う場合、検査装置の小型化を実現することができる。
格納室6は、チップを格納するための内部空間61と、を備える。格納室6は、カセット1の上面に形成された窪みであり、正方形状の蓋体(例えば、透光性のプラスチック製である)によって閉じることが可能に構成されている。チップは、蓋体を開けた状態で、内部空間61内(格納室6の底面)に配置(格納)され、使用時には蓋体は閉じられている。格納室6の底面の形状は特に限定されないが、液切れの良さ等の観点では、好ましくは円形である。
また、蓋体を貫通するように形成されており、格納室6(の内部空間61)に連通している開口を設けてもよい。開口を設けることによって、検査試料をシリンジから送液する代わりに、例えば、検査試料を格納したシリンジの注射筒の先端部を開口に挿入して、検査試料を格納室6内のチップ上に導入することができる。開口は、1つであっても複数存在していてもよい。
格納室6に格納するチップは、複数のアレルゲン(抗原タンパク質)を固定しているアレルゲンチップであるとして説明する。例えば、図10に示すように、チップ上に、検査対象となる複数種のアレルゲンが、アレルゲンの種類毎に異なるスポットとして配置される。複数種のアレルゲンが、アレルゲンの種類毎に異なるスポットとしてチップ上に配置されることによって、多項目の同時検査が可能になる。例えば、評価例2に示すように、4種類のアレルゲンをチップ上に配置し、1種類のアレルゲン当たり複数のスポットを配置させた(マイクロアレイした)アレルゲンチップを作成してもよい。検査基体(チップ)として、例えば、意匠登録第1617016号の反応用チップを用いてもよい。
チップは、格納室6の内部空間61に格納可能な大きさであれば、四角形状であっても、円形状であってもよいが、円形状であることが好ましい。
チップの表面は、物質(ここではアレルゲン)をチップ上に固定化するために、通常の物質固定化のための化学処理をしてもよく、物質固定化剤を予め塗布しておいてもよい。物質固定化剤の例として、例えば、特許第4630817号公報、特開2007-302745号公報、特開2015-025788号公報に開示されている物質固定化剤が挙げられる。
検査試料の例として、血液及び尿等の液状の検査試料が挙げられる。チップがアレルゲンチップの場合には、検査試料は血液である。
なお、チップとしてアレルゲンチップを例示したが、チップは、抗体が固定化されてなる抗体チップ(例えば、ELISAチップ)であってもよく、アレルゲン以外のタンパク質が固定化されてなるタンパク質チップ(プロテインチップ)であってもよい。抗体チップまたはタンパク質チップは、多項目の同時検査が可能になる点で、複数種の抗体またはタンパク質が、抗体またはタンパク質の種類毎に異なるスポットとして配置されている(マイクロアレイされている)ことが好ましい。
図1のシリンジ3は洗浄液用のシリンジ、シリンジ4と5は検出試薬用のシリンジ、シリンジ7は検査試料用のシリンジ、シリンジ8は排液用のシリンジである。シリンジ3には、チップを洗浄する、チップ用の洗浄液が格納されている。シリンジ4と5には、検査試料中の検出対象の成分を検出する、チップ用の検出試薬が格納されている。シリンジ7には、検査試料を格納する。
図1において、シリンジ3、4、5、7、8の注射筒は、カセット本体2と一体となっている。すなわち、シリンジ3、4、5、7、8の注射筒は、格納室6が形成されている基体(カセット本体2)に設けられた孔として構成されている。何れの注射筒もカセット1のy方向に沿う方向に形成されている。シリンジ3・8の注射筒は、各々が、カセット1における対向する長い端面の近傍に設けられ、何れも図1の紙面上の右側から左側に向かって伸びている。その結果、シリンジ3・8の注射筒の先端部は、格納室6を挟むように配置されている。通路31は、シリンジ3の注射筒の先端部と、格納室6の内部空間61とを接続するように、y方向に伸びた後、x方向(カセット1の内側方向)に曲がっている。同様に、通路81は、シリンジ8の注射筒の先端部と、格納室6の内部空間61とを接続するように、y方向に伸びた後、x方向(カセット1の内側方向)に曲がっている。通路81の端部81b(格納室6に連通する端部)は、スムーズな排液を実現するために、格納室6の底面と同じ高さに開口していることが好ましい。シリンジ3の容積は例えば、0.1mL以上で10mL以下の範囲内である。シリンジ8の容積は例えば、0.1mL以上で10mL以下の範囲内である。
シリンジ4、5の注射筒は、各々が、カセット1における同じ短い端面の中央部付近から、カセット1の内側方向に向けて、何れも図1の紙面上の左側から右側に向かって伸びている。その結果、シリンジ4、5の注射筒の先端部は、格納室6に対向して配置されている。通路41、51それぞれは、シリンジ4、5それぞれの注射筒の先端部と、格納室6の内部空間61とを接続するように、y方向に伸びている。シリンジ4、5の容積はそれぞれ、例えば、0.001mL以上で1mL以下の範囲内である。
シリンジ7の注射筒は、各々が、カセット1における同じ短い端面の中央部付近から、カセット1の内側方向に向けて、何れも図1の紙面上の右側から左側に向かって伸びている。その結果、シリンジ7の注射筒の先端部は、格納室6に対向して配置されている。通路71は、シリンジ7の注射筒の先端部と、格納室6の内部空間61とを接続するように、y方向に伸びている。シリンジ7の容積はそれぞれ、例えば、0.01mL以上で10mL以下の範囲内である。
図1では、シリンジ3、7と8は、シリンジ4と5に対向するように備えられているが、シリンジ3、4、5、7および8がカセット1における同じ端面上に備えられていても、またはカセットを円形にして放射状に備えられていてもよい。
シリンジの形状は、溶液の出し入れが可能であれば、特に限定されず、市販品を使用してもよい。シリンジ(注射筒)の形状の例として、筒状等が挙げられる。
また、送液器具としてシリンジの代わりにスポイトを用いてもよい。大量の液を容易に導入することができる点で、洗浄液の格納室6内への導入はシリンジを用いることが好ましい。検出試薬または検査試料の希釈液を格納室6内に導入するときはスポイトを用いることが好ましい。スポイトについては、後述する。
通路の端部に連通させたシリンジまたはスポイトの配置については後述する。
操作の簡便さ及び測定時間の短縮の点等から、洗浄液を、シリンジ3に予め格納しておくことが好ましい。洗浄液のシリンジ3への導入の方法は特に限定されないが、例えば、洗浄液用の開口11から、洗浄液をシリンジ3に導入し、洗浄液をシリンジ3に格納してもよい。開口11は、シリンジ3に連通していてもよい。あるいは、プランジャ3aを挿入する際に洗浄液をシリンジ3内に予め格納する等してもよい。また、シリンジ3は通路の端部31aと連通している。プランジャ3aを駆動させることによって、洗浄液をシリンジ3内から押し出し、通路31、通路の端部31bを通って、格納室6内に導入される。洗浄液の例として、生理食塩水およびリン酸緩衝液(PBS)等の緩衝液等が挙げられる。
操作の簡便さ及び測定時間の短縮の点等から、検査試料を、シリンジ7に予め格納しておくことが好ましい。検査試料のシリンジ7への導入の方法は特に限定されないが、例えば、検査試料用の開口17から、検査試料をシリンジ7に導入し、検査試料をシリンジ7に格納してもよい。開口17は、シリンジ7に連通していてもよい。あるいは、プランジャ7aを挿入する際に検査試料をシリンジ7内に予め格納する等してもよい。また、シリンジ7は通路の端部71aと連通している。プランジャ7aを駆動させることによって、検査試薬をシリンジ7内から押し出し、通路71、通路の端部71bを通って、格納室6内に導入される。検査試料は原液を使用してもよいし、シリンジ7内で希釈してもよい。または、予め希釈した検査試料をシリンジ7に格納してもよい。
また、シリンジ8は、通路の端部81aと連通している。洗浄液を格納室6内に導入し、チップを洗浄後に発生した排液を、プランジャ8aを駆動させることによって、通路の端部81b、通路81、通路の端部81aを通って、シリンジ8内に導入する。シリンジ8内に導入された排液が格納室6に逆流しないように、例えば、通路81に弁等を備えてもよい。
なお、本明細書において、「プランジャを駆動させる」には、プランジャを押し出す動作も含まれ、プランジャを引き出す動作も含まれる。
次に、図2に基づいて、本発明の実施形態2に係るカセット1について説明する。図2は、実施形態2のカセット1の上面模式図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
実施形態2のカセット1は、操作が簡便であり、迅速かつ正確に目的成分の測定を行うことができる。さらに、実施形態1のカセット1を後述する検査装置に設置して検査を行う場合、検査装置の小型化を実現することができる。
チップを洗浄後に発生した排液は、排液格納室70内に配した吸水材に吸収させることによって、チップから除去する。吸水材自体が排液格納室70を担ってもよい。吸水材によって排液を吸収させることによって、排水をチップから取り除くための部材(機構)を別途設ける必要がないので、傾斜をつけるだけで排液できることより、カセット1を小型化し、時間を短縮させることができる。また、吸水材によって、チップへの排液の逆流を防ぐことができる。
吸水材の例として、吸収性ポリマーが挙げられる。吸収性ポリマーの例として、デンプン系ポリマー、セルロース系ポリマー及び合成ポリマー等が挙げられる。
排液格納室70を設けることによって、例えば、カセット1を水平方向から傾けることによって、排液を排液格納室70に移動させて、排液格納室70内に配した吸水材に吸収させることができる。したがって、吸引操作又は遠心操作によって排液をチップから除去する必要がなく、簡単な制御機構によって排液を除去することができる。これによって、チップの洗浄に必要な洗浄液の量を大幅に減らすことが可能である。
図4は実施形態2のカセット1の変形例を示す上面模式図である。図4に示すカセット1は、排液格納室70が格納室6の外部に配置されている点が図2と相違する。排液格納室70は格納室6に隣接して備えられている。排液格納室70には、吸水材73が備えられている。
また、図2のシリンジ4および5がそれぞれ、スポイト42および52であることも相違する。また、図4のカセットは、検査試料希釈用のスポイト72を備える点も相違する。さらに、検査試薬用のスポイト92を備える点も相違する。スポイト92を備えることによって、3種類の検出試薬を用いて検体中のタンパク質又は抗体を測定することができる。
また、図2のシリンジ3は開口を備えていない点も図2のカセットと相違する。シリンジ3に洗浄液予め格納してから、シリンジ3を通路の端部31aと連通させる。
図4に示すカセットでは、スポイト42、52と92は、シリンジ3と72(82)に対向するように備えられているが、スポイトおよびシリンジの配置はこれに限定されない。カセットは円形でもよく、シリンジおよびスポイトの配置は、例えば、カセットの上から見たときに、シリンジおよびスポイトが放射状に配置されていてもよい。
スポイトは、溶液の出し入れが可能であれば、特に限定されず、市販品を用いてもよい。スポイト本体部の形状の例として、筒状等が挙げられる。
以下、検出試薬用のスポイト42を一例として、スポイトの詳細および格納室6内への溶液(検出試薬)の導入方法を説明する。
スポイト42は、ポンプ部42aと、スポイト本体部42bと、導入部42cとを備える。
検出試薬用のスポイト42のポンプ部42aによって、溶液(検出試薬)を採取し、スポイト本体部42bまたは導入部42cに格納する。次に、スポイト42の先端部を通路の端部41aと連通させる。そして、ポンプ部42aを圧縮することにより、スポイト42内に格納された溶液(検出試薬)が格納室6内に導入される。検査装置にカセットを装着させる際に、ポンプ部42a及びスポイト本体部42bを、導入部42cから切り離してもよい。
まず、スポイト72のスポイト本体部72bまたは導入部72cに溶液を格納する。スポイト72に格納する溶液は、検査試料の希釈に適する溶液であればよい。次に、スポイト82に溶液(検査試料)を採取し、スポイト本体部82bまたは導入部82cに格納する。次に、スポイト72の先端部を通路の端部71aと連通させる。次に、スポイト本体部72bからポンプ部72aを外して、連結部82dを連結させる。そして、連結部82dに溶液を格納したスポイト82を連結させる。そして、ポンプ部82aを圧縮することにより、スポイト82に格納された溶液はスポイト72内に導入される。そして、溶液(検査試料)はスポイト72内の溶液によって希釈される。さらに、ポンプ部82aを圧縮することにより、検査試料の希釈液が格納室6内に導入される。検査装置にカセットを装着させる際に、スポイト82、連結部82dおよびスポイト本体部72bを、導入部72cから切り離してもよい。
図4は、検査試料希釈用のスポイト72を用いて検査試料の希釈を行っているが、予め一定の濃度に希釈された検査試料の希釈液をスポイト72内に導入してもよい。スポイト72のポンプ部72a(図示せず)を圧縮させることによって、検査試料の希釈液を格納室6内に導入することができる。
次に、図3に基づいて、本発明の実施形態3に係るカセット1について説明する。図3は、実施形態3のカセット1の上面模式図である。これにより、チップと試薬の組み合わせを代えることができる。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
シリンジ3、4、5、7の注射筒の先端部をそれぞれ、通路の端部31a、41a、51a、71aに挿入することによって、各シリンジ内に格納した液体は通路31、41、51、71を経由して、格納室6内に導入される。
図3において、排液格納室70は、格納室6内に備えられている。実施形態2のカセット1と同様に、排液格納室70は、格納室6内に備えられていてもよく、格納室6外に備えられていてもよい。また、排液格納室70は、チップと連結させてもよい。一例では、排液格納室70は、格納室6の底面から立ち上がる、格納室6の側壁上の窪みとして形成されている。他の例では、排液格納室70は、格納室6内に配置されるチップの底面から立ち上がる側壁(チップの底面を取り囲むチップの鍔)上の窪みとして形成されている。排液格納室70には、例えば吸水材が配されており、一度吸収した排液を、チップの底面側に戻さない(逆流しない)ようになっていることが好ましい。
実施形態3のカセット1は、例えば、カセット1を水平方向から傾けることによって、排液を排液格納室70に移動させて、排液格納室70内に配した吸水材に吸収させることができる。したがって、吸引操作又は遠心操作によって排液をチップから除去する必要がなく、簡単な制御機構によって排液を除去することができる。これによって、チップの洗浄に必要な洗浄液の量を大幅に減らすことが可能である。
次に、図6に基づいて、本発明の実施形態4に係る検査装置200について説明する。図6は、実施形態4に係る検査装置の正面模式図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図6に示すように、検査装置200は、格納室6にチップが格納されているカセット1を取り付けるためのカセット受け13と、カセット1が備えるシリンジ3、5のプランジャ3a、5aをy軸方向に駆動させるプランジャ駆動部12、15と、カセット1を水平方向から傾けるカセット傾斜機構14(「機構14」と略記する場合がある)と、カセット1を収容する検査室16と、を備える。上記カセット1を用いることにより、検査装置200の小型化が可能となり、製造コストを抑制することができる。
プランジャ駆動部12と15は、検査室16の側面に設けられている。プランジャ駆動部12と15は、z方向(カセット1の高さ方向)に沿って配置されているときは、検査室16の上面に設けられていてもよい。プランジャ駆動部12はシリンジ3のプランジャ3aを駆動させ、プランジャ駆動部15はシリンジ5のプランジャ5aを駆動させる。カセット1に備えるシリンジの数によって、検査装置200のプランジャ駆動部の数を変更することができる。また、1つのプランジャ駆動部によって、複数のシリンジのプランジャをそれぞれ駆動させてもよい。プランジャ駆動部12、15は、例えば、検査装置200と通信するパソコンの制御によって、プランジャ駆動部を操作してもよい。また、シリンジのプランジャの先端部と連結するための部材を、プランジャ駆動部の先端部に備えてもよい。
図6に示す機構14は、検査室16の底面に設置される。機構14の上面には、カセット受け13が備えられる。機構14の両端の高さを変化させることにより、カセット1を水平方向から傾ける。例えば、機構14は、カセット受け13の一端又は両端の高さ位置を移動させることによって、カセット1を水平方向から傾けるように構成された機構であってもよい。
カセット傾斜機構14に加えて、カセット回転機構(図示せず)を備えてもよい。カセット回転機構を回転させることによって、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部12または15を単一にして駆動対象のシリンジ(送液器具)のプランジャ(またはスポイトポンプ)の付近に移動させることができる。または、検査室16の側面を構成する検査装置200の側壁を回転させることによって、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部12または15を単一にして駆動対象のシリンジ(送液器具)のプランジャ(またはスポイトポンプ)の付近に移動させることができる。したがって、カセット回転機構を備えるまたは検査装置200の側壁を回転させる場合、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部を複数備える必要がなくなる。
検査装置200は、例えば、発光試薬処理後のチップの発光画像を取得する撮像部を有していてもよい。撮像部は、検査室16の上面に設けられることが好ましいが、下面でもよい。また、検査装置200は、検査室16内の温度を所定温度で維持する温度調節部を有していてもよい。検査室内の温度は、30℃~45℃程度に維持することが好ましく、35℃~40℃程度に維持することがより好ましい。また、反応や洗浄を効率的に行うために振盪機構があることが望ましい。
図6の検査装置210は、検査装置200の変形例である。検査装置210に備えるカセット1は、図5のカセット1104のように、シリンジ(送液器具)3および5がz方向(カセット1の高さ方向)に沿って配置され、シリンジ(送液器具)の先端が変形している点が検査装置200と相違する。
また、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部12を回転させるプランジャ(またはスポイトポンプ)回転部22を備えることもできる。プランジャ(またはスポイトポンプ)回転部22を回転させることによって、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部12または15を単一にして駆動対象のシリンジ(送液器具)の直上に移動させることができる。したがって、この場合、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部を複数備える必要がなくなる。
また、カセット傾斜機構14に加えて、カセット回転機構(図示せず)を備えてもよい。カセット回転機構を回転させることによって、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部12または15を単一にして駆動対象のシリンジの直上に移動させることができ、プランジャ(またはスポイトポンプ)駆動部を複数備える必要がなくなる。
次に、本実施形態のカセットを用いた検査方法について説明する。以下、2種類の検出試薬を使用する場合の検査方法について説明するが、検出試薬の種類は1種類であっても、3種類以上であってもよい。また、チップは、複数のアレルゲン(抗原タンパク質)または抗体を固定しているアレルゲンチップまたは抗体チップであるとして説明する。
以下、図1及び4を参照して、実施形態1のカセット1を用いた検査方法について説明する。本検査方法においては、抗体試薬をシリンジ4に格納し、発光試薬をシリンジ5に格納する。
複数のアレルゲン(抗原タンパク質)を固定しているアレルゲンチップを、カセット1の格納室6に格納する。チップ上には、検査対象となる複数種のアレルゲンが、アレルゲンの種類毎に異なるスポットとして配置されている。
血液等の検査試料を、検査試料用のシリンジ7に格納する。検査試料を適当な溶媒で希釈してから格納室6内に導入してもよい。希釈液を装填したシリンジをあらかじめ装填し、当該シリンジに検査試料を入れることにより希釈できるようにしてもよい。抗体試薬と発光試薬をそれぞれ、検出試薬用のシリンジ4、5に格納する。また、洗浄液を、洗浄液用のシリンジ3に格納する。検査試料、検出試薬及び洗浄液を格納する順番は特に限定されない。
なお、ステップ(S2)は、ステップ(S1)の前後に行ってもよい。
ステップ(S1)~(S2)の後、カセット1を検査装置200のカセット受け13に設置する。
ステップ(S3)の後、プランジャ駆動部21(図示せず)によってシリンジ7のプランジャ7aをy軸方向に駆動させ、シリンジ7内の検査試料を格納室6内に導入する。必要に応じて、機構14によってカセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、検査試料をチップ全体に行き渡らせることができる。
ステップ(S4)の後、カセット1をインキュベーションし、チップ上のアレルゲンと検査試料中の血清抗体とを抗原抗体反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部または振盪機構を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、振盪機構によって振盪することによって、アレルゲンと血清抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S5)の後、プランジャ駆動部12によってシリンジ3のプランジャ3aをy軸方向に駆動させ、シリンジ3内の洗浄液の一部を格納室6内に導入する。そして、チップを洗浄する。必要に応じて、機構14によってカセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、洗浄液をチップ全体に行き渡らせることができる。また、振盪機構によって振盪することによって、洗浄効率を促進させることができる。
ステップ(S6)の後、プランジャ駆動部18(図示せず)によってシリンジ8のプランジャ8aをy軸方向に駆動させることによって、格納室6からシリンジ8内に排液を移動させる。
ステップ(S6)と(S7)は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
ステップ(S7)の後、プランジャ駆動部19(図示せず)によってシリンジ4のプランジャ4aをy軸方向に駆動させ、シリンジ4内の検出抗体試薬(例えば、酵素標識二次抗体)を格納室6内に導入する。
ステップ(S8)の後、検査試料中のチップ吸着血清抗体と標識検出抗体とを反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部または振盪機構を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、振盪機構によって振盪することによって、チップ吸着血清抗体と標識検出抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S9)の後、プランジャ駆動部12によってシリンジ3のプランジャ3aをy軸方向に駆動させ、シリンジ3内の洗浄液の一部を格納室6内に導入する。そして、チップを洗浄する。必要に応じて、機構14によってカセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、洗浄液をチップ全体に行き渡らせることができる。また、振盪機構によって振盪することによって、洗浄効率を促進させることができる。
ステップ(S10)の後、プランジャ駆動部18(図示せず)によってシリンジ8のプランジャ8aをy軸方向に駆動させることによって、格納室6からシリンジ8内に排液を移動させる。
ステップ(S10)と(S11)は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
ステップ(S11)の後、プランジャ駆動部15によってシリンジ5のプランジャ5aをy軸方向に駆動させ、シリンジ5内の発光試薬を格納室6内に導入する。
ステップ(S12)の後、検出抗体を標識する酵素と発光試薬とを反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、生化学反応を促進させることができる。
ステップ(S13)の後、チップの発光強度を測定する。発光強度は、例えば、チップの画像を撮像し、得られた画像を解析ソフト等により数値化することによって、測定することができる。なお、蛍光法を用いる場合は、発光試薬を加えることなく、直接蛍光強度をチップの画像として撮影し、得られた画像を解析ソフト等により数値化することによって、測定することができる。
以下、図1及び4を参照して、チップに、複数の抗体を固定している抗体チップであるとしたサンドイッチ法による、実施形態1のカセット1を用いた検査方法について説明する。本検査方法においては、一次抗体試薬をシリンジ4に格納し、二次抗体試薬をシリンジ24(図示せず)に格納し、発光試薬をシリンジ5に格納する。
複数のキャプチャー抗体を固定している抗体チップを、カセット1の格納室6に格納する。チップ上には、検査対象となる複数種のキャプチャー抗体が、キャプチャー抗体の種類毎に異なるスポットとして配置されている。
血液等の検査試料を検査試料用のシリンジ7を格納する。検査試料を適当な溶媒で希釈してから格納室6内に導入してもよい。抗体試薬と発光試薬をそれぞれ、検出試薬用のシリンジ4、5に格納する。また、洗浄液を、洗浄液用のシリンジ3に格納する。検査試料、検出試薬及び洗浄液を格納する順番は特に限定されない。
なお、ステップ(S2)は、ステップ(S21)の前後に行ってもよい。
ステップ(S21)および(S2)の後に、上記ステップ(S3)および(S4)を行う。
ステップ(S3)および(S4)の後、カセット1をインキュベーションし、チップ上のキャプチャー抗体と検査試料中の(抗原)タンパク質とを抗原抗体反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部または振盪機構を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、振盪機構によって振盪することによって、抗原抗体反応を促進させることができる。
ステップ(S22)の後に、上記ステップ(S6)および(S7)を行う。
ステップ(S6)および(S7)の後、プランジャ駆動部19(図示せず)によってシリンジ4のプランジャ4aをy軸方向に駆動させ、シリンジ4内の一次抗体試薬を格納室6内に導入する。
ステップ(S23)の後、試薬中の一次抗体を反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部または振盪機構を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、振盪機構によって振盪することによって、一次抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S24)の後に、上記ステップ(S6)および(S7)を行う。なお、一次抗体を酵素標識している場合には、次のステップ(S25)を経ずに発光試薬を加えて発光強度を測定することができる。また一次抗体が蛍光標識されている場合は、直ちに蛍光強度を測定することができる。
ステップ(S6)および(S7)の後、プランジャ駆動部29(図示せず)によってシリンジ24のプランジャ24aをy軸方向に駆動させ、シリンジ5内の(酵素標識)二次抗体を格納室6内に導入する。
ステップ(S25)の後、二次抗体を反応させる。例えば、検査装置200の検査室16を所定温度に保つように、検査装置200に温度調節部または振盪機構を備えてもよい。温度調節部によって検査室16の温度を所定温度に保ち、振盪機構によって振盪することによって、二次抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S26)の後に、上記ステップ(S10)~(S14)を行い、チップの発光強度を測定する。なお、二次抗体が蛍光標識されている場合は、直ちに蛍光強度を測定することができる。
<3.実施形態2のカセット1を用いた検査方法>
以下、図2及び4を参照して、実施形態2のカセット1を用いた検査方法について説明する。なお、説明の便宜上、上記検査方法にて説明したステップと同じステップについては、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
上記ステップ(S1)~(S5)の後、プランジャ駆動部12によってシリンジ3のプランジャ3aを駆動させ、シリンジ3内の洗浄液を格納室6内に導入し、チップを洗浄する。
ステップ(S31)の後、機構14によってカセット1を水平方向から傾けることによって、排液を排液格納室70に移動させ、排液格納室70に配した吸水材に吸収させる。
ステップ(S31)と(S32)は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
<4.実施形態3のカセット1を用いた検査方法>
以下、図6を参照して、実施形態3のカセット1を用いた検査方法について説明する。以下、実施形態3のカセット1を手動で操作する場合の検査方法を説明するが、検査装置200を使用してもよい。
ステップ(S1)の後、検査試料を格納したシリンジ7の注射筒の先端部を通路の端部71aに連結させる。そして、シリンジ7内の検査試料を格納室6内に導入する。
ステップ(S41)の後、カセット1をインキュベーションし、チップ上のアレルゲンと検査試料中の血清抗体とを抗原抗体反応させる。例えば、カセット1を所定温度に保った恒温槽内で振盪することによって、アレルゲンと一次抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S42)の後、洗浄液を格納したシリンジ3の注射筒の先端部を通路の端部31aに連結させる。そして、シリンジ3内の洗浄液の一部を格納室6内に導入し、チップを洗浄する。必要に応じて、カセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、洗浄液をチップ全体に行き渡らせることができる。
ステップ(S43)の後、カセット1を水平方向から傾けることによって、排液を排液格納室70に移動させ、排液格納室70に配した吸水材に吸収させる。
ステップ(S43)と(S44)は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。
ステップ(S44)の後、検出抗体試薬が格納されているシリンジ4の注射筒の先端部を、通路の端部41aに連結させる。そして、シリンジ4のプランジャ4aを駆動させることによって、シリンジ4内の検出抗体試薬(例えば、酵素標識抗体)を格納室6内に導入する。
ステップ(S45)の後、検査試料中のチップ吸着血清抗体と標識検出抗体とを反応させる。例えば、カセット1を所定温度に保った恒温槽内で振盪することによって、チップ吸着血清抗体と標識検出抗体との反応を促進させることができる。
ステップ(S46)の後、シリンジ3内の洗浄液の一部を格納室6内に導入し、チップを洗浄する。必要に応じて、カセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、洗浄液をチップ全体に行き渡らせることができる。
ステップ(S47)の後、カセット1を水平方向から傾けることによって、排液を排液格納室70に移動させ、排液格納室70に配した吸水材に吸収させる。
ステップ(S47)と(S48)は、必要に応じて、複数回繰り返してもよい。なお、蛍光標識されている場合は、直ちに蛍光強度を測定することができる。蛍光強度は、例えば、チップの画像を撮像し、得られた画像を解析ソフト等により数値化することによって、測定することができる。
ステップ(S48)の後、発光試薬を格納されているシリンジ5の注射筒の先端部を、通路の端部51aに連結させる。そして、シリンジ5内の発光試薬を格納室6内に導入する。必要に応じて、カセット1を水平方向から傾けてもよい。カセット1を水平方向から傾けることによって、発光試薬をチップ全体に行き渡らせることができる。
ステップ(S49)の後、二次抗体を標識する酵素と発光試薬とを反応させる。例えば、カセット1を所定温度に保った恒温槽内に静置することによって、生化学反応を促進させることができる。
ステップ(S50)の後、チップの発光強度を測定する。発光強度は、例えば、チップの画像を撮像し、得られた画像を解析ソフト等により数値化することによって、測定することができる。
次に、図7を参照して、実施形態5の検査システム500について説明する。図7は、検査システム500の要部構成を示すブロック図である。検査システム500は、上記検査装置200と、パソコン(PC)300と、を備える。検査システム500によって、検査試料の投入、検査試薬等のカセット1への注入、チップの洗浄、発光強度の測定等を自動で行うことができる。また、操作が簡便であり、専門のスタッフを要さず、誰でも操作することができる。
図7を参照して、PC300について説明する。PC300は、通信部301と、制御部302と、を備える。制御部302は、例えば制御部302内に記録されているプログラムを実行することで、傾斜指示部303又は駆動指示部304としても機能する。以下、通信部301、傾斜指示部303、及び駆動指示部304、について説明する。
PC300は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行する。PC300は、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、PC300において、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してPC300に供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
通信部301は、検査装置200と通信を行う。例えば、傾斜指示部303又は駆動指示部304の指示内容を、検査装置200に送信する。
傾斜指示部303は、カセット傾斜機構14の一端又は両端の高さを変更して、検査装置200のカセット受け13を水平方向から傾ける。
駆動指示部304は、検査装置200のプランジャ駆動部12、15を駆動させて、各シリンジのプランジャを駆動させる。
制御部302は、振盪指示部、恒温指示部、又は撮影指示部として機能してもよい。振盪指示部は、検査装置200の振盪部を振盪させる。恒温指示部は、検査装置の温度調節部で調節する温度を所定温度にし、該所定温度を維持するようにする。撮影指示部は、検査装置200の撮影部を駆動させて、発光処理後のチップを撮影する。
通信部201は、PC300と通信を行う。例えば、PC300の傾斜指示部303又は駆動指示部304の指示内容を、PC300から受信する。
傾斜操作部203は、PC300の傾斜指示部303の指示内容に基づいて、カセット傾斜機構14の一端又は両端の高さを変更して、検査装置200のカセット受け13を水平方向から傾ける。
駆動操作部204は、PC300の駆動指示部304からの指示内容に基づいて、検査装置200のプランジャ駆動部12、15を駆動させて、各シリンジのプランジャを駆動させる。
制御部202は、振盪指示部、恒温指示部、又は撮影指示部として機能してもよい。振盪指示部は、PC300の振盪指示部の指示に基づいて、検査装置200の振盪部(図示せず)を振盪させる。恒温指示部は、PC300の恒温指示部の指示に基づいて、検査装置の温度調節部で調節する温度を所定温度にし、該所定温度を維持するようにする。撮影指示部は、PC300の振盪指示部の指示に基づいて、検査装置200の撮影部(図示せず)を駆動させて、発光処理後のチップを撮影する。
以上をまとめると、本発明は上記の課題を解決するために、以下の特徴を包含している。
<1>タンパク質又は抗体チップ用のカセットであって、上記チップを格納するための格納室と、上記格納室に連通する1つ以上のシリンジと、を備えている、カセット。
<2>上記シリンジが、チップ用の洗浄液用のシリンジ、チップの検出試薬用のシリンジ、および検査試料用のシリンジからなる群より選ばれる少なくとも1つのシリンジを含む、<1>に記載のカセット。
<3>上記格納室に上記チップが格納されている、<1>又は<2>に記載のカセット。<4>上記シリンジには、上記チップ用の洗浄液、検査試料、又は、上記チップ用の検出試薬が格納されている、<1>~<3>の何れかに記載のカセット。
<5>上記シリンジとして、上記チップ用の洗浄液が格納されている第一のシリンジと、上記チップ用の検出試薬が格納されている第二のシリンジと、を少なくとも備える、<4>に記載のカセット。なお、検査試料を投入する箇所として、検査試料投入用のシリンジを備えていてもよい。一例において、検査試料投入用のシリンジ内に対し、使用される直前に検査試料が格納される。
<6>上記格納室に導入された液体を、排液として保持する排液格納室を備える、<1>~<5>の何れかに記載のカセット。
<7>上記シリンジは着脱可能に構成されている、<1>~<6>の何れかに記載のカセット。
<8>上記シリンジの注射筒は、上記格納室が形成されている基体に設けられた孔として構成されている、<1>~<6>の何れかに記載のカセット。
<9>上記格納室に連通する1つ以上のスポイトをさらに備えている、<1>~<8>の何れか一項に記載のカセット。
<10>タンパク質又は抗体チップ用のカセットであって、上記チップを格納するための格納室と、上記格納室に連通する1つ以上の送液器具と、を備えている、カセット。
<11><1>~<9>の何れかに記載のカセットを用いる検査装置であって、上記カセットを取りつけるためのカセット受けと、上記カセットが備える上記シリンジのプランジャを駆動させるプランジャ駆動部と、を備える検査装置。
<12>上記カセットを、水平方向から傾ける機構を備える、<11>に記載の検査装置。
(1)基板の調製
ビオチン化BSA(1.5mg/mL)をPBSに溶解し、5μg/mL、7.5μg/mL、15μg/mLの濃度でコーティングした基材(チップ)にマイクロアレイ(スポット)した(図8)。乾燥後、光照射し、固定化することによって基材(チップ)を調製し、図1のカセットに装填した。
シリンジからビオチン-アビジン溶液(100μL)を加え、8分間浸漬した。PBSをシリンジから加え、6回洗浄し、その後ストレプトアビジン結合アルカリフォスファターゼ(Promega社)を加え、3分間浸漬した。浸漬後洗浄し、ダイナライト(化学発光基質、Molecular Probes社)を加え、60秒後に撮影した。得られた画像を解析ソフトにより数値化することによって、発光量を測定した。測定結果を図9に示す。
(1)基板の調製
エビ、ネコ、ミルク、ダニを基材(チップ)にマイクロアレイ(スポット)した(図10)。乾燥後、光照射し、固定化することによって基材(チップ)を調製し、図1のカセットに装填した。
アレルギー陽性血清(100μL)を加え、8分間浸漬した。PBSをシリンジから加え、6回洗浄し、その後アルカリフォスファターゼ(Promega社)標識抗IgE抗体を加え、3分間浸漬した。浸漬後洗浄し、ダイナライト(化学発光基質、Molecular Probes社)を加え、60秒後に撮影した。得られた画像を解析ソフトにより数値化することによって、発光量を測定した。測定結果を図11に示す。
(1)基板の調製
固相化用抗ヒト・カリクレイン5抗体(濃度:480μg/mL)を基材(チップ)にマイクロアレイ(スポット)した。乾燥後、光照射し、固定化することによって基材(チップ)を調製し、図4のカセットに装填した。
(2)カセットを用いた測定
ヒト・カリクレイン5水溶液(150μL)を加え、30分間浸漬した。PBSをシリンジから加え、3回洗浄し、その後、抗ヒト・カリクレイン5一次抗体(300ng/mL;150μL)を加え、30分間浸漬した。そして、PBSをシリンジから加え、3回洗浄し、最後にHRP標識抗IgG抗体を加え、5分間浸漬した。浸漬後洗浄し、Luminata Forte(化学発光基質、ミリポア社)を加え、180秒後に撮影した。得られた画像を解析ソフトにより数値化することによって、発光量を測定した。測定結果を表1に示す。
2 カセット本体
3 洗浄液用のシリンジ
3a、4a、5a、7a、8a プランジャ
4、5 検出試薬用のシリンジ
6 格納室
7 検査試料用のシリンジ
8 排液用のシリンジ
9、10 検出試薬用の開口
11 洗浄液用の開口
12、15 プランジャ駆動部
13 カセット受け
14 カセット傾斜機構
16 検査室
17 検査試料用の開口
20 チップ
22 プランジャ回転部
31、41、51、71、81、91 通路
31a、41a、51a、71a、81a、91a 通路の端部
31b、41b、51b、71b、81b、91b 通路の端部
42 検出試薬用のスポイト
42a、52a、72a、82a、92a ポンプ部
42b、52b、72b、82b、92b スポイト本体部
42c、52c、72c、82c、92c 導入部
52 検出試薬用のスポイト
61 内部空間
70 排液格納室
72 検査試料希釈用のスポイト
73 吸水材
82 検査試料用のスポイト
92 検出試薬用のスポイト
200、210 検査装置
300 PC
201、301 通信部
202、302 制御部
203、303 傾斜指示部
204、304 駆動指示部
500 検査システム
Claims (8)
- タンパク質又は抗体チップ用のカセットであって、
上記チップを格納するための格納室と、
上記格納室に連通する1つ以上の送液器具と、を備え、
上記送液器具には、上記チップ用の洗浄液、又は、上記チップ用の検出試薬が格納され、
上記送液器具として、上記チップ用の洗浄液が格納されている第一の送液器具と、上記チップ用の検出試薬が格納されている第二の送液器具と、を少なくとも備える、カセット。 - 上記格納室に上記チップが格納されている、請求項1に記載のカセット。
- 上記格納室に導入された液体を、排液として保持する排液格納室を備える、請求項1または2に記載のカセット。
- 上記排液格納室は吸水材を備える、請求項3に記載のカセット。
- 上記送液器具は着脱可能に構成されている、請求項1~4の何れか一項に記載のカセット。
- 上記送液器具の一部は、上記格納室が形成されている基体に設けられた孔として構成されている、請求項1~4の何れか一項に記載のカセット。
- 請求項1~6の何れか一項に記載のカセットを用いる検査装置であって、
上記カセットを取りつけるためのカセット受けと、
上記カセットが備える上記送液器具のプランジャを駆動させるプランジャ駆動部と、を備える検査装置。 - 上記カセットを、水平方向から傾ける機構を備える、請求項7に記載の検査装置。
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