JP7070847B2 - シート巻取装置 - Google Patents
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Description
また、近年では、腹腔鏡等を用いた鏡視下手術が行われており、この手術においてシート状の癒着防止材を体内に挿入するために当該癒着防止材を巻き取ることが可能な医療器具も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、このような問題は、シート状の癒着防止材に限ったものではなく、例えば、シート状の組織補填材など他のシート状の生体埋植材にも起こり得る。
シート状の生体埋植材を巻き取るシート巻取装置であって、
軸部材と、
前記軸部材に外挿され、前記軸部材に対して軸方向に相対的に移動可能な筒状部材と、を備え、
前記筒状部材は、前記軸部材の突起部が係止可能な抜止用スリットを有し、
前記軸部材に対して前記筒状部材が外挿された状態が解除されるのを規制するように構成され、
前記軸部材は、前記生体埋植材を差し込み可能な差込用スリットが形成された先端部を有し、
前記先端部は、前記生体埋植材が差し込まれる最先端側に前記差込用スリットの間隔が大きくなった平面状の傾斜面が形成され、
前記先端部が前記筒状部材により覆われて当該筒状部材の内側に前記生体埋植材が巻回された状態で保持可能に構成され、
前記先端部は、当該先端部に巻回された状態の前記生体埋植材の前記差込用スリットからの離脱を抑制する離脱抑制部を備えていることを特徴としている。
図1は、本発明に係る一実施形態のシート巻取システム100の概略構成を示す斜視図であり、図2は、シート巻取システム100を示す分解斜視図である。
また、シート巻取装置1を把持する使用者からみて遠い方(遠位側)を先端側とし、使用者からみて近い方(近位側)を基端側とする。
先ず、生体埋植材Fについて説明する。
生体埋植材Fは、例えば、生体組織の癒着を低減するために体内に挿入される癒着防止材を含む。また、生体埋植材Fは、例えば、所定の厚さを有するシート状(フィルム状)の形態をなし、左右方向に幅広の略矩形状に形成されている。
また、生体埋植材Fの寸法は、例えば、上下方向の厚さが20[μm]~1[mm]で、前後方向の長さが10~150[mm]で、左右方向の長さが10~150[mm]であるが、一例であってこれに限られるものではない。
次に、シートホルダ2について説明する。
シートホルダ2は、例えば、上側ホルダ構成部材21と、下側ホルダ構成部材22とを有して形成され、図示は省略するが、所定の一方向(例えば、前後方向や左右方向等)に沿って回動自在にヒンジ結合されてなる。
なお、図1には、上側ホルダ構成部材21の下面と下側ホルダ構成部材22の上面とを対向させるように、上側及び下側ホルダ構成部材21、22が重ね合わされた状態を表している。
すなわち、図2に示すように、上側ホルダ構成部材21の下面には、前面側から後面側にわたって座ぐられて断面略半円形状の上側溝部211が形成されている。この上側溝部211は、前面側の部分が後面側の部分よりも大径とされている。
下側ホルダ構成部材22の上面には、前面側から後面側にわたって座ぐられて断面略半円形状の下側溝部221が形成されている。具体的には、上側及び下側ホルダ構成部材21、22が重ね合わされた状態にて(図1参照)、上側ホルダ構成部材21の上側溝部211に対向する位置に、下側ホルダ構成部材22の下側溝部221が形成されている。この下側溝部221は、上側溝部211と略同様に、前面側の部分が後面側の部分よりも大径とされている。
つまり、前面側の大孔部23aと後面側の小孔部23bとを連通させて貫通孔部23が構成されている。この貫通孔部23は、シートホルダ2の左右方向の略中央部に形成されているが、貫通孔部23の配置は一例であってこれに限られるものではない。
小孔部23bの内径は、シート巻取装置1の筒状部材12(詳細後述)の外径よりも小さく、且つ、軸部材11の先端部112(詳細後述)の外径よりも大きくなっている。
すなわち、大孔部23aに対しては、軸部材11の先端部112も筒状部材12も挿脱可能となっているが、小孔部23bに対しては、先端部112を挿脱可能に、且つ、筒状部材12を挿入不可に構成されている。
また、小孔部23bの前後方向の長さは、生体埋植材Fの前後方向の長さと等しいか、或いは、この長さよりも長くなっている。
すなわち、下側ホルダ構成部材22の上面には、生体埋植材Fの厚さに応じて所定の深さ座ぐられることでシート配置部222が形成されている。このシート配置部222は、例えば、下側溝部221に連続して形成されており、上側及び下側ホルダ構成部材21、22が重ね合わされた状態で(図1参照)、上側ホルダ構成部材21の上面により覆われることで、貫通孔部23と連通された収容部24が構成される。
なお、図2に示すように、シート配置部222が、例えば、シートホルダ2の前面側まで切り欠かれている場合、上側及び下側ホルダ構成部材21、22が重ね合わされた状態でも(図1参照)、前面側から生体埋植材Fを収容部24に収容可能となる。
次に、シート巻取装置1について、図3(a)及び図3(b)を参照して説明する。
図3(a)は、シート巻取装置1を左側から見て示す側面図であり、図3(b)は、シート巻取装置1の平面図である。
先端部112は、例えば、軸本体部111よりも小径の円柱部分が先端側から軸方向に沿って二股に切り開かれ、断面略半円形状の二つの部材によって生体埋植材Fを先端側から差し込み可能な差込用スリット(差込部)113が形成されている。
また、先端部112の最も先端側には、その他の部分よりも径方向外側に突出した二つの突出部114、114が形成されている。これら二つの突出部114、114は、後述するように、先端部112に巻回された状態の生体埋植材Fが差込用スリット113から離脱してしまうのを抑制する離脱抑制部を構成している(詳細後述)。
なお、二つの突出部114、114が離間している距離(間隔)は、差込用スリット113に生体埋植材Fを差し込み易くなるように先端側ほど大きくなっている。
すなわち、収容部24に生体埋植材Fが収容されているシートホルダ2の小孔部23b内に、生体埋植材Fと差込用スリット113とが同じ方向となるように先端部112を挿入することで、収容部24に収容されている生体埋植材Fが差込用スリット113に差し込まれた状態となる(図4参照)。また、差込用スリット113に生体埋植材Fが差し込まれた状態で、先端部112を軸周りに回動させることにより、当該先端部112を中心として生体埋植材Fが巻回された状態となる。
なお、差込用スリット113の方向とは、先端部112を遠位側から基端側に視た場合の当該差込用スリット113を形成する二つの断面略半円形状の部材どうしの隙間の延在方向のことを言う。例えば、シートホルダ2に生体埋植材Fが水平に収容されている場合には、二つの断面略半円形状の部材どうしの隙間の延在方向が水平となるような向きに軸部材11を回動させた状態で、小孔部23b内に先端部112が挿入されることで、差込用スリット113に生体埋植材Fが差し込まれることとなる。
把持部115は、例えば、軸本体部111よりも大径に形成されている。また、把持部115の基端部には、差込用スリット113の方向と対応付けられ、生体埋植材Fに対する差込用スリット113の差し込み方向を指し示す指示部116が設けられている。具体的には、指示部116は、例えば、差込用スリット113の方向と略等しい方向に延在する平板形状をなし、把持部115の周方向に沿って所定の角度(例えば、180°等)を空けて二つ形成されている。
なお、指示部116の配置は、一例であってこれに限られるものではなく、例えば、図示は省略するが、把持部115の基端部以外の位置に設けられていてもよい。さらに、指示部116は、例えば、把持部115以外の軸部材11の構成要素(例えば、軸本体部111等)や、軸部材11以外のシート巻取装置1の構成要素(例えば、筒状部材12等)に設けられていてもよい。
これにより、軸部材11に対して筒状部材12が外挿された状態で、軸部材11及び筒状部材12のうちの少なくとも一方が軸方向に移動しても、軸本体部111の突起部117が抜止用スリット121の先端側或いは基端側に係合した状態となって、当該外挿状態が解除されるのが規制される。
すなわち、筒状部材12の外径は、大孔部23aの内径よりも小さく、且つ、小孔部23bの内径よりも大きくなっているため、筒状部材12は大孔部23a内に挿入されても小孔部23b内に挿入されることはない。そして、軸部材11の先端部112に生体埋植材Fが巻回された後、例えば、当該先端部112が貫通孔部23内から引き抜かれる動作に合わせて筒状部材12を先端部112側に変位させることで、先端部112が筒状部材12により覆われて当該筒状部材12の内側に生体埋植材Fが保持された状態となる。
先端部112が貫通孔部23内から引き抜かれる動作としては、例えば、シート巻取装置1の位置を固定した状態で、シートホルダ2を軸方向に遠位側に移動させる動作や、シートホルダ2の位置を固定した状態で、シート巻取装置1を近位側に移動させる動作や、シートホルダ2を軸方向に遠位側に移動させつつシート巻取装置1を近位側に移動させる動作等が挙げられる。
次に、シート巻取システム100の使用方法について、図1、図4及び図5を参照して説明する。
図4及び図5は、シート巻取システム100の使用方法を説明するために示す図である。
具体的には、シートホルダ2の下側ホルダ構成部材22のシート配置部222に生体埋植材Fを配置した後、上側ホルダ構成部材21を回動させて、上側及び下側ホルダ構成部材21、22が重ね合わされた状態とする。これにより、収容部24内に生体埋植材Fが収容された状態となる(図1参照)。
なお、生体埋植材Fは、左右方向及び前後方向に略平行となるように配設されているものとする。
具体的には、軸部材11の位置を固定した状態で筒状部材12を基端側に移動させることで、先端部112が筒状部材12により覆われていない状態(露出された状態)となる。
続けて、差込用スリット113に生体埋植材Fが差し込まれた状態で、先端部112が軸周りに回動するように軸部材11及び筒状部材12を一体的に回動させる。これにより、先端部112を中心として生体埋植材Fが巻回されていく。
したがって、シート巻取装置1の軸部材11の先端部112をシートホルダ2の貫通孔部23に挿入することで差込用スリット113に生体埋植材Fを差し込むことができ、さらに、軸周りに回動させることで先端部112を中心として生体埋植材Fを巻回することができる。そして、先端部112側に筒状部材12が変位するように軸部材11や筒状部材12を軸方向に移動させるだけで、先端部112が筒状部材12により覆われて当該筒状部材12の内側に生体埋植材Fを保持することができる。このように、シート状の生体埋植材Fをより簡単に巻き取って保持することができる。
以下に、シート巻取装置1Aの変形例について、図6(a)~図6(c)を参照して説明する。
なお、図6(b)及び図6(c)にあっては、筒状部材12Aを破線とし、当該筒状部材12Aを透過した状態で模式的に表している。
大径部118は、例えば、円盤状に形成されているが、一例であってこれに限られるものではなく、大径部118の形状は適宜任意に変更可能である。
小径筒部124は、例えば、軸部材11Aの軸本体部111の外径よりもわずかに大きい内径に形成され、軸本体部111に外挿されるようになっている。
縮径筒部123は、例えば、大径筒部122の基端部分及び小径筒部124の先端部分の各々に連続して形成され、基端側が軸部材11Aの大径部118よりも小さい内径となるようにテーパ状に縮径されている。これにより、軸部材11Aの先端部112A側に筒状部材12Aが変位するように軸部材11A及び筒状部材12Aが相対的に移動(例えば、図6(c)中、白抜きの矢印で示す方向に筒状部材12Aが移動)しても、筒状部材12Aの縮径筒部123の内面と軸部材11Aの大径部118の外面とが当接して、当該移動が規制される。
このように、筒状部材12Aの縮径筒部123と軸部材11Aの大径部118は、軸部材11A及び筒状部材12Aの相対的な移動を規制する移動規制部を構成している。
さらに、筒状部材12Aは、小径筒部124よりも内径が大きい大径筒部122を有しているので、当該大径筒部122の内側の空間を相対的に大きくすることができ、先端部112Aに巻回された状態での巻き数が多くなる左右方向に幅広の生体埋植材Fであっても、大径筒部122の内側に適正に保持することができる。
さらに、筒状部材12の管壁に、差込用スリット113の方向に対応させて軸方向に延在するスリット(図示略)を設けるようにしてもよい。この場合、筒状部材23により先端部112が覆われた状態で貫通孔部23に挿入して、先端部112を軸周りに回動させることで当該先端部112に生体埋植材Fを巻回させるとともに、筒状部材12の内側に生体埋植材Fを保持することができる。
1、1A シート巻取装置
11、11A 軸部材
111 軸本体部
112、112A 先端部
113 差込用スリット
114 突出部(離脱抑制部)
115 把持部
116 指示部
117 突起部(外挿解除規制部)
118 大径部
12、12A 筒状部材
121 抜止用スリット(外挿解除規制部)
122 大径筒部
123 縮径筒部
2 シートホルダ(シート収容装置)
23 貫通孔部
23a 大孔部
23b 小孔部(穴部)
24 収容部
F 生体埋植材
Claims (5)
- シート状の生体埋植材を巻き取るシート巻取装置であって、
軸部材と、
前記軸部材に外挿され、前記軸部材に対して軸方向に相対的に移動可能な筒状部材と、を備え、
前記筒状部材は、前記軸部材の突起部が係止可能な抜止用スリットを有し、
前記軸部材に対して前記筒状部材が外挿された状態が解除されるのを規制するように構成され、
前記軸部材は、前記生体埋植材を差し込み可能な差込用スリットが形成された先端部を有し、
前記先端部は、前記生体埋植材が差し込まれる最先端側に前記差込用スリットの間隔が大きくなった平面状の傾斜面が形成され、
前記先端部が前記筒状部材により覆われて当該筒状部材の内側に前記生体埋植材が巻回された状態で保持可能に構成され、
前記先端部は、当該先端部に巻回された状態の前記生体埋植材の前記差込用スリットからの離脱を抑制する離脱抑制部を備えているシート巻取装置。 - 前記軸部材の前記先端部は、間隔を空けて配置された断面略半円形状の二つの部材により前記差込用スリットが形成されている請求項1に記載のシート巻取装置。
- 前記筒状部材により前記先端部を覆う際に、前記先端部側に前記筒状部材が変位する前記軸部材及び前記筒状部材の相対的な移動を規制する移動規制部を更に備える請求項1または2のいずれか一項に記載のシート巻取装置。
- 前記軸部材は、小径部と、前記先端部の基端側に設けられ、前記小径部よりも大きい外径の大径部と、を有し、
前記筒状部材は、前記大径部よりも大きい内径の大径筒部と、前記大径筒部に連続して形成され、前記大径部よりも小さい内径となるように縮径された縮径筒部と、を有し、
前記移動規制部は、
前記筒状部材の前記縮径筒部と前記軸部材の前記大径部とが当接して、前記軸部材及び前記筒状部材の相対的な移動を規制する請求項3に記載のシート巻取装置。 - 前記筒状部材を前記軸部材に対して軸方向に相対的に変位させるために操作される操作部を更に備える請求項1~4のいずれか一項に記載のシート巻取装置。
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