実施の形態1.
図20は、本開示の実施の形態1にかかる照明システム100を示す図である。照明システム100は、照明制御機器110と、この照明制御機器110によってネットワークNWを介して通信制御される複数の照明器具1a~1zを備えている。照明器具1a~1zは、それぞれ同一の構造を有する固体発光素子15a~15z、点灯装置18a~18z、照明用通信ユニット30a~30zを備えている。ネットワークNWは無線ネットワーク或いは有線ネットワークであり、以下の実施の形態1ではまず無線ネットワークについて説明する。照明器具1a~1zの具体的構造に関する実施の形態1を、以下、図1~図8を用いて後述する。
[照明器具の構成]
図1は、本開示の実施の形態1にかかる照明器具1を示す斜視図である。図2は、照明器具1を示す分解斜視図である。照明器具1は、器具設置部材2と、光源ユニット10とを備えている。光源ユニット10は、取付部材20と、光源基板14と、光源カバー12と、端部カバー13と、点灯装置18と、照明用通信ユニット30と、を備えており、これらが一体化されたものである。なお、光源基板14は、図1においては光源カバー12で覆われているため図中に現れていないものの、図17に示されている。図20における照明器具1a~1zは照明器具1と同じ構成を有するものとする。つまり、点灯装置18a~18zは点灯装置18と同じ構造を有し、照明用通信ユニット30a~30zは照明用通信ユニット30と同じ構造を有し、固体発光素子15a~15zは固体発光素子15と同じ構造を有するものとし、これ以外にも照明器具1が有する図20には図示していない構成が照明器具1a~1zに設けられているものとする。複数の照明用通信ユニット30を用いて、無線のネットワークNWを構築することができる。
器具設置部材2は、照明器具1の設置箇所に取り付けられるべき部材である。器具設置部材2は、板金に曲げ加工を施すことで長尺かつ扁平な箱状に形成され、長手方向全体に渡って伸びる長尺の取付開口4が設けられている。取付開口4の両脇には傾斜部3が設けられている。傾斜部3は、器具設置部材2の長手方向全長に渡って伸び、かつ器具設置部材2の短手方向外側にいくほど徐々に薄くなるようにその表面が傾斜している。詳細は図示しないが、器具設置部材2は、例えば図示しない吊りボルトを介して天井に固定される。取付部材20は、器具設置部材2に着脱可能に取り付けられる。具体的には、取付開口4は、長方形の取付部材20を受け入れるように取付部材20と同一寸法同一形状とされている。組み立ての際には、取付部材20の裏面に設けられた引掛金具26が取付開口4の内側に設けた吊り部材に引掛けられ、取付開口4に取付部材20が嵌め込まれるようになっている。なお、器具設置部材2と取付部材20との間の接続構造および装着動作については、例えば特開2015-88393号公報に記載された内容を流用してもよく、それ以外の各種公知の接続方法を使用してもよいので、詳細な説明は省略する。
[光源ユニットの構成]
図3は、本開示の実施の形態1にかかる照明器具1の光源ユニット10を示す斜視図である。図3は取付部材20をその裏面21b側から見た斜視図であり、この裏面21bには、取付部材20の長手両端部側に1つずつ引掛金具26が設けられている。点灯装置18は取付部材20の裏面中央に固定されている。
図3に示す光源ユニット10は、照明器具1の主たる電気的構成要素である光源基板14(図17)、点灯装置18、および照明用通信ユニット30を取付部材20上に集約したものである。光源基板14は実際には図17のように光源カバー12で覆われており、取付部材20に固定されている。
取付部材20は、表面21a(図16、図17)および表面21aと反対側の裏面21bを備えている。具体的には、取付部材20は、主たる構成要素として長尺平板状の底板部21を有し、この底板部21の有する2つの主面が表面21aと裏面21bとを構成している。取付部材20は、器具設置部材2に裏面21bを向けた状態で器具設置部材2に着脱可能に取り付けられる。光源基板14(図17)は、取付部材20の表面21a側に取り付けられている。点灯装置18は、取付部材20の裏面21bに固定されている。光源基板14は、少なくとも1つの固体発光素子が実装され取付部材20に固定されたものである。固体発光素子は、LED素子あるいは有機EL素子である。点灯装置18は取付部材20に固定されている。それらの固定方法には特に限定は無く、例えばネジ固定あるいは突起などの嵌め合わせによる固定方法を用いてもよい。
図4および図5は、照明器具1の光源ユニット10を示す部分拡大斜視図であり、光源ユニット10の長手端部を拡大したものである。図4は照明用通信ユニット30を取付部材20に嵌め込み固定した状態を示し、図5は照明用通信ユニット30を取り外した状態を示している。
図6は、本開示の実施の形態1にかかる照明器具1の光源ユニット10を示す部分平面図である。図7は、光源ユニット10を示す部分側面図である。図8は、光源ユニット10から照明用通信ユニット30を取り除いた状態を示す拡大平面図である。図6および図8を見比べると理解されるように、照明用通信ユニット30の下方には電源配線19が引き回されている。電源配線19は、商用交流電源などの電源と点灯装置18とを接続するための配線である。後述する図17に示すように照明用通信ユニット30のケース301が脚部334を有することで、取付部材20の裏面21bとケース301の下面330aとの間に隙間Qを設けている。この隙間Qを利用して、光源ユニット10の長手方向端部まで電源配線19を引き出すことができる。
図9~図13を用いて、照明用通信ユニット30の具体的構造をさらに説明する。図9は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30を示す上面図である。図10および図11は、照明用通信ユニット30を示す側面図であり、図10は図9の矢印S1方向に見た側面を、図11は図9の矢印S2方向に見た側面を、それぞれ示す。図12は、照明用通信ユニット30を示す下面図であり、図13は照明用通信ユニット30を示す分解斜視図である。
[照明用通信ユニットの構成]
照明用通信ユニット30は、無線通信回路モジュール322が設けられた回路基板320と、回路基板320を収納し取付部材20または器具設置部材2に対して嵌め込まれたケース301と、を備える。無線通信回路モジュール322は、点灯装置18と照明制御機器110(図20)の間で通信を行わせるための回路である。照明用通信ユニット30は、取付部材20の裏面21bにおける点灯装置18の隣に取り付けられている。ケース301は、嵌合ツメ333を備える。嵌合ツメ333が取付部材20の側板部22に設けられた嵌合凹部22aに引っ掛かることで、ケース301(トップケース310)を取付部材20に対して着脱可能に嵌め込み固定することができる。ケース301は上面310aに貫通穴を有しており、この貫通穴がアドレス設定部323を外部に露出させる上面開口312である。また、ケース301は、通信線接続部324に通信線32を接続させるために、側面330bに通信線連絡用の開口の側面連絡口335も備えている。
照明用通信ユニット30は、回路基板320と、内部に回路基板320を収納するケース301とを備える。実施の形態1において一例として示すケース301は扁平な立方体であり、回路基板320を挟み込むトップケース310とボトムケース330とで構成されている。図13に示されるように、ボトムケース330は、回路基板320を置くための内側底面3301と、内側底面3301の縁に沿って設けられ基板本体321の縁を囲う側壁3302を備えている。ボトムケース330の周縁部(側壁3302)に設けられたツメ部330eがトップケース310の内周面に設けた突起(図示せず)に嵌めあわされることで、ボトムケース330とトップケース310とが着脱可能に一体化されている。ケース301は、上面310aおよび下面330aと、上面310aおよび下面330aを接続する側面310b、330bと、を備える。図9~図12に示すように、トップケース310が上面310aおよび側面310bを構成し、ボトムケース330が下面330aおよび側面330bを構成し、側面310b、330bが一体となってケース301の側面を構成する。内側底面3301の反対側に下面330aが設けられており、側壁3302におけるボトムケース330の外側を向く面が、側面330bに対応している。ケース301は、後述するアンテナ325の電磁波を通過させるために、非導電性材料、一例として樹脂材料で形成されている。
例えば図9の平面図からよく理解されるように、ケース301の外表面には、ケース301と同じ樹脂材料からなる嵌合ツメ333が設けられている。実施の形態1では、具体的には、嵌合ツメ333は、ボトムケース330の側面330bに設けられている。さらに、上面310aを貫通して設けられた上面開口312を通じて上面310a側にアドレス設定部323が露出させられる。
図10の側面図に示すように、嵌合ツメ333は、上面310a側に設けられた係合面333aと、下面330a側に設けられた斜面333bとを備えている。この斜面333bがあるので、嵌合ツメ333は、図10の側面図からわかるように側面視で先細り形状を有している。なお、斜面333bは丸みを帯びた凸曲面であってもよい。
ケース301は、下面330aから突出する複数の脚部334を有する。図12の下面図に示すように、脚部334は下面330aの四隅にそれぞれ設けられている。脚部334によりケース301を取付部材20から浮かせて、下面330aと取付部材20の底板部21の裏面21bとの間に隙間Qを作り出すことができる(図17参照)。
照明用通信ユニット30を取付部材20に取り付けた後であっても、無線通信回路モジュール322の設定を変更したりする可能性がある。この点、図9に示すように、アドレス設定部323が上面開口312を介してケース301の上面310a側に露出するので、照明用通信ユニット30を取付部材20に固定した後でも追加のアドレス設定作業を容易に行うことができる。
図13に示すように、回路基板320は、基板本体321に、無線通信回路モジュール322と、アドレス設定部323と、通信線接続部324と、アンテナ325と、が実装されたものである。ケース301は、アンテナ325が無線信号を送受信しうるように電磁波を反射したり吸収したりしない素材および形状とされており、具体的には樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。
通信線接続部324は、点灯装置18と接続する通信線32が差し込まれることで、通信線32と回路基板320との電気的機械的接触を仲介する部分である。実施の形態1にかかる通信線接続部324は、一例として通信線32を着脱可能なコネクタとしている。通信線32は、ボトムケース330の側面連絡口335を介してケース301の外部に引き出される。通信線32は、グランド線、電源配線、信号送信線、および信号受信線からなる4本の通信線を含んでおり、これら4本の通信線が通信線接続部324に接続されている。この場合には、通信線32が取り外された照明用通信ユニット30が提供され、別部品として提供される通信線32で照明用通信ユニット30が点灯装置18に接続されても良い。なお、変形例としては、通信線接続部324は、通信線32を基板本体321上に着脱できないように接続する半田付け部などであってもよく、この場合には通信線32が一体となった照明用通信ユニット30が提供される。これは後述する図18の変形例における通信線接続部423においても同様である。
アンテナ325は、照明制御機器110からの無線信号を受信するために設けられている。実施の形態1では回路基板320の裏面に設けられた金属パターンによりアンテナ325を形成している。
無線通信回路モジュール322は、アンテナ325で受信した無線信号を通信線接続部324に伝達して点灯装置18と照明制御機器110とで通信を行わせるための回路である。無線通信回路モジュール322は、シリアル通信回路を含んでいる。無線通信回路モジュール322は、シリアル通信により、少なくとも照明器具1のオンオフに関する信号および調光制御に関する信号を、照明制御機器110との間で送受信する。シリアル通信用の集積回路として例えばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などを用いても良い。調光制御に関する信号は、具体的には、MOSFETなどのスイッチング素子を駆動するPWM信号のオンデューティを決定するための信号である。送受信された情報に基づいて点灯装置18(具体的にはその内部にある制御回路およびドライブ回路)がスイッチング素子にPWM信号を供給し、コンバータ回路(例えばPFC回路およびバックコンバータ回路)を駆動させる。無線通信回路モジュール322は、例えばDALI(Digital Addressable Lighting Interface)あるいはDMX512などの照明用通信規格に準拠した通信を行うものであってもよい。
アドレス設定部323は、照明制御機器110と通信に必要な通信アドレスを設定するために設けられている。図20には1つの照明システム100が図示されているが、例えばこのような照明システム100が複数個、建物の同じフロアにあるいは異なるフロアに設置されているケースがある。そのような場合、照明制御機器110が、個々の照明システム100に少なくとも1つずつ設置されている。照明器具1は、自己が所属する照明システム100に設けられた照明制御機器110の制御命令のみに従って点灯制御(オンオフあるいは調光制御など)を実施すべきであり、他の照明システム100に設けられた照明制御機器110の制御命令は無視しなければならない。そのために、照明用通信ユニット30に設けたアドレス設定部323で照明システム100ごとに固有のアドレスが設定される。一例として、実施の形態1ではアドレス設定部323をディップスイッチとしているが、これ以外の手動操作スイッチを用いても良く、例えばロータリースイッチ、押しボタンスイッチ、あるいはスライドスイッチを用いても良い。或いは、アドレス設定部323を赤外線通信受光部としてもよく、作業者が予め定めたアドレス情報を赤外線で送信することで、無線通信回路モジュール322内のアドレス格納記憶領域に対してアドレスが書き込まれるようになっていても良い。他にも、例えば小型メモリーカードを読み込むリーダ装置をアドレス設定部323に設けてもよい。この場合には作業者が予めアドレス情報が書き込まれた小型メモリーカードをアドレス設定部323として設けたリーダ装置に差込むことで、アドレス設定が完了するようにしても良い。上記のいずれの手段も、比較的簡単な作業でもってアドレス設定を行うことができるので、照明器具設置現場でのシステム構築負担が飛躍的に低減されるという利点がある。
図14は、本開示の実施の形態1にかかる照明器具1の光源ユニット10が備える取付部材20を示す拡大斜視図である。図15は、取付部材20を示す平面図であり、図16は、取付部材20を示す断面図である。図16は、図15のC-C線に沿う取付部材20の切断面を示す。図17は照明器具1の光源ユニット10の組み立て状態を示す図である。
取付部材20は、表面21aおよび裏面21bを有する長方形の底板部21と、底板部21における長辺から裏面21bの側に延びる側板部22と、を備えている。図16に示すように、取付部材20は、板金に曲げ加工を施すことでU字状に形成されている。底板部21は長尺かつ矩形板状であり、側板部22は底板部21から直角に折れ曲がっている。取付部材20の長手方向と直角に交差する平面で取付部材20を切断したときの断面はU字型であり、取付部材20の長手全長に渡って一定である。
側板部22の上端はさらに内側に曲げられており、この側板部22上端の一部を切り欠いた嵌合凹部22aが設けられている(図14~図16参照)。嵌合凹部22aは側板部22の対向する2箇所に設けられており、この嵌合凹部22aにケース301の嵌合ツメ333が嵌め込まれる。なお、底板部21は、裏面21b側に切り起こされた切起し片23を備える。
[照明用通信ユニットの取り付け]
ここで取り付け作業について説明すると、図4~図5に示すようにケース301を取付部材20に嵌め込もうとするとき、まず嵌合ツメ333の斜面333bが側板部22上端に当たる。さらにケース301が取付部材20側に強く押し込まれると、嵌合ツメ333が側板部22上端を乗り越えて嵌合ツメ333が嵌合凹部22a内側に入り込み、ケース301が一対の側板部22の間に嵌め込まれる。
嵌合ツメ333における上面310a側の係合面333aは、側面330bに対して垂直に伸びている。よって、側板部22の嵌合凹部22aに嵌合ツメ333が引っ掛かることで、ケース301が取付部材20から抜けにくくなる。ただし、ケース301を取り外すようにさらに強い力で引き抜けば、やがて嵌合ツメ333の係合面333aは嵌合凹部22aを乗り越えて、ケース301が取付部材20から分離される。このように、照明用通信ユニット30は、取付部材20に対して着脱可能(着脱自在)に嵌め込み固定されている。
図17は、光源ユニット10の組み立て状態を示す図である。図17の組み立て状態に示されるように、ケース301は、取付部材20の裏面21b側に取り付けられている。取付部材20の表面21aには、固体発光素子15が実装された光源基板14が直接取付けられている。光源基板14を覆うように光源カバー12が取り付けられる。取付部材20は、光源基板14の発熱および点灯装置18の発熱によって高温になる。この点に関し、実施の形態1では、ケース301の下面330aと取付部材20の裏面21bとの間に、熱伝達を抑制する層(隙間Q)を設けている。実施の形態1における「熱伝達を抑制する層」は、脚部334によりケース301と取付部材20との間の隙間Qに生じた空気層である。これにより、取付部材20が高温になったときにも無線通信回路モジュール322の動作に影響が及ぶことを抑制することができる。なお、「熱伝達を抑制する層」として、空気以外の他の熱伝導性が低い材料からなる断熱層をケース301と取付部材20の間に挟んでもよい。
なお、照明用通信ユニット30が無線通信を行うためには照明器具1の外側に設けた照明制御機器110から送信された無線信号を受信する必要がある。このためにはアンテナ325が一定強度で電磁波を受信できるように照明器具1の外郭に工夫を施す必要がある。器具設置部材2の傾斜部3などを樹脂製にするなどして電磁波を通過させる構造とすることで、照明用通信ユニット30が照明器具1の外部と無線通信できるようにしてもよい。照明器具1の板金がスリットを有する場合に、このスリットに無線通信回路モジュール322のアンテナ325を近接させることで結合を強めるという方法を採用してもよい。これにより、電磁波を通すための改造を金属製の器具設置部材2に新たに施すことなく無線通信を行うこともできる。なお、後述する実施の形態2では、スリットを活用した無線通信性能向上の一例として、図25および図26を参照しつつスリット121を備える取付部材120の構造を例示する。この実施の形態2にかかるスリット構造は実施の形態1にも適用することができる。
図18は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30の変形例を示す図である。この変形例は、回路基板320を回路基板420に置換した点を除いては上述した照明用通信ユニット30と同じ構成を有する。この変形例にかかる照明用通信ユニット30は、点灯装置18と照明制御機器110との間を通信線432で有線接続する。この変形例にかかる照明用通信ユニット30は、回路基板420と、この回路基板420を収納する上述したケース301とを備える。回路基板420は、基板本体421に、通信線接続部324と、通信線接続部423と、有線通信回路モジュール422と、が実装されたものである。通信線接続部423は、照明制御機器110からの信号を受信する通信線432が接続されるコネクタである。有線通信回路モジュール422は、通信線接続部423から受信した信号を通信線接続部324に伝達することで点灯装置18と照明制御機器110との間で有線通信を行わせるためのシリアル通信回路を含む。図示しないケース301は、通信線接続部324および通信線接続部423を外部と連絡させつつ、内部に回路基板420を収納しており、上面310a側に通信線接続部423が露出させられる。この変形例ではアンテナ325が設けられないので、ケース301は樹脂性でも金属製でもよい。
図19は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30の変形例を示す図である。この変形例は、ケース301のうちトップケース310をトップケース410に置換した点を除いては上述した照明用通信ユニット30と同じ構成を有する。上面開口312ではなく、図19のように上面凹部412を介してアドレス設定部323あるいは通信線接続部423を上面410a側に露出させても良い。つまり、トップケース410がアドレス設定部323あるいは通信線接続部423を覆わないことでこれらをケース301から露出させればよい。
図21は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30の変形例を示す図である。なお、破線により取付部材20の底板部21および切起し片23を図示している。変形例として、ケース301の下面330aに位置決め突起50を設けてもよい。ケース301が取付部材20に取り付けられたときに、2つの位置決め突起50が切起し片23の前後にそれぞれ位置することで、ケース301が横方向に移動しないように位置決めしても良い。なお、位置決め突起50は底板部21に接しなくともよく、位置決め突起50の高さは脚部334より小さくしても良い。
図21では位置決め突起50と脚部334とを別々に設けているが、更なる変形例として、位置決め突起50を下面330aのおおむね全体に渡るほど大きく形成しつつ、脚部334を省略しても良い。これにより位置決め突起50が脚部334の機能を兼ねるようにしても良い。
なお、実施の形態1では取付部材20に点灯装置18および照明用通信ユニット30を取り付けたが、次のような変形も可能である。一つ目の変形として、取付部材20ではなく器具設置部材2に点灯装置18を内蔵させるタイプの照明器具においても、照明用通信ユニット30を取付部材20に取り付けてもよい。具体的には、器具設置部材2の取付開口4の底面中央に点灯装置18が固定されても良い。二つ目の変形として、照明用通信ユニット30を器具設置部材2に取り付けてもよい。その場合には、図示しないが、器具設置部材2における取付開口4の内周面に、側板部22の嵌合凹部22aと同様の切り欠き部を設ければよい。この二つ目の変形においては、点灯装置18は、取付部材20と器具設置部材2の何れに固定されてもよい。
なお、上記実施の形態1では、ケース301に設けた「嵌合ツメ333」が上記本開示における「ケース嵌合部」に相当しており、取付部材20に設けた「嵌合凹部22a」が上記本開示における「器具嵌合部」に相当している。しかしながら、実施の形態1は一例であり、下記の変形も可能である。
図22は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30の変形例を示す図である。一例として示す図22の変形例では、取付部材20に設けた突起部(一例としては切起し片23a)を「器具嵌合部」とし、ケース301の下面330aにこの突起部が嵌め合わされる嵌込部52を嵌合ツメ333の代わりに「ケース嵌合部」として設けることもできる。嵌込部52は、切起し片23aが貫通する貫通穴を有しており、この貫通穴は切起し片23aがきつめに差し込まれるように切起し片23aの板厚よりも若干小さくなっている。これにより、切起し片23aが嵌込部52の貫通穴に通されたときに抜けにくくなるので、このような方法でケース301が取付部材20に取り付けられてもよい。切起し片23aの先端を僅かに裏面21b側に向けて曲げてもよく、これにより切起し片23aから嵌込部52が外れることをさらに抑制しても良い。実施の形態1では切起し片23aが2つ設けられておりその対応箇所に嵌込部52を2つ設けることが考えられるが、切起し片23aと嵌込部52の数を3つ以上に増やしてもよい。また、嵌込部52を設ける部位を変形しても良く、例えば側面310bまたは側面330bに、嵌合ツメ333の代わりに「ケース嵌合部」としての嵌込部52を設けても良い。この変形に対応させて、取付部材20の側板部22内側に、この嵌込部52に差し込むべき「器具嵌合部」としての切起し片を設けてもよい。
上記の内容をまとめると、実施の形態1における「嵌め合わせ」および「嵌合」とは、ケース嵌合部と器具嵌合部の一方を他方に差し込んだり、噛み合わせたりあるいは互いに引っ掛け合ったりすることによって、ケース嵌合部と器具嵌合部とを一定の強度で機械的に接続することである。「嵌合」の他に「係合」と表現しても良い。ツメなどの凸部、或いは切起し片などのいわばフック状の引っ掛け部などを「ケース嵌合部」として設けつつ、その一方で、これらのケース嵌合部を嵌め合わせる凹部、溝、貫通穴あるいは引っ掛け部などを「器具嵌合部」として設けることができる。実施の形態1では、一例として、ケース嵌合部と器具嵌合部を、一方を他方に押し込みつつ部材の弾性変形を利用してはめ込んだり(嵌合ツメ333と嵌合凹部22a)、一方を他方にスライドさせながらはめ込んだり(嵌込部52と切起し片23a)する構造とした。この他にも、図示しないが、回転噛込型の嵌込構造でもよく、具体的には平面視で円環状に並ぶ複数のツメ部を設けて、ケース301を回転させつつケース嵌合部を器具嵌合部に噛み込ませるような構造としてもよい。回転しやすいようにケース301の平面視輪郭が円形あるいは5角形以上の多角形であってもよい。また、図示しないが、ケース嵌合部をピン状突起とし、器具嵌合部に設けた穴にきつく差し込むようにする固定構造でもかまわない。さらに、ケース嵌合部と器具嵌合部の関係性、より具体的にはどちらを凸としどちらを凹とするかは、上記列挙した関係とは逆でもよい。つまり「ケース嵌合部」として凹部、溝あるいは貫通穴などを設け、「器具嵌合部」として凸部、突起、あるいは引っ掛け部などを設けてもよい。また、ケース301と取付部材20あるいは器具設置部材2とが強固に一体化されてガタツキあるいは位置ずれを生じないことが好ましいものの、必ずしもこれに限定されなくともよい。ケース301と取付部材20あるいは器具設置部材2とが容易に分離しない最低限の接続強度が得られればよいということであれば、通常使用に問題がない程度の位置ずれおよび緩みを有する嵌合構造を採用することもできる。
ダウンライト、直管型照明、高天井型照明、シーリングライト、グリッド型照明、あるいは足元灯などのさまざまな形状、用途の照明器具に、実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30を取り付けてもよい。これらの照明器具の設置箇所に設けた器具設置部材、光源基板を取り付ける取付部材、または、これら以外の照明器具のケース内表面あるいはケース外表面かつ屋根裏に隠れる部位などに「器具嵌合部」を設けつつ、この器具嵌合部と照明用通信ユニット30に設けた「ケース嵌合部」とを嵌め合わせて、両者を一体化すればよい。図23~図24は、本開示の実施の形態1にかかる照明用通信ユニットを取り付ける対象となる照明器具を例示する図である。一例として、図23にダウンライト500の外観を、図24に直管型LED照明502の外観を示す。これらはダウンライト、直管型照明の構造の一例を示すための図なので、詳細説明は省略する。
以上説明したように、実施の形態1では、取付部材20または器具設置部材2に対して嵌め込み固定される照明用通信ユニット30を、点灯装置18とは別部品として設けている。これにより、照明器具1に改造を施すことなく、必要に応じて照明通信機能を点灯装置18に付加することができる。つまり、通信機能が必要な場合には、ケース301に設けた嵌合ツメ333で取付部材20に照明用通信ユニット30を取り付けることができる。また、照明用通信ユニット30を取り付けた後に通信機能が不要となった場合に、照明用通信ユニット30を簡単に取り外すこともできる。特に、図20に示したような複数の照明器具1を含む照明システム100を構築する際に、複数の照明器具1それぞれに改造を施す煩雑さを抑制することができる。また、例えば事後的にネットワークの構成を変更したりするなどの場面で必要に応じて簡単に一部または全部の照明用通信ユニット30を取り外すこともできる。
実施の形態2.
[実施の形態2にかかる照明器具、光源ユニットおよび照明用通信ユニットの装置構成]
本開示の実施の形態2にかかる照明器具および照明システムは、光源ユニット10を光源ユニット102に置換した点を除いては、実施の形態1にかかる照明器具1および照明システム100と同様の装置構成を備えている。したがって、以下の説明では実施の形態1と同一または相当する構成については同一の符号を付して説明を行うとともに、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通事項は説明を簡略化ないしは省略する。
図25は、本開示の実施の形態2にかかる照明器具の光源ユニット102を示す部分拡大斜視図である。光源ユニット102は、光源基板14(図17参照)と、光源カバー12と、端部カバー13と、点灯装置18(図3参照)とを備えている点では、実施の形態1にかかる光源ユニット10と同様である。ただし、取付部材20(図17参照)および照明用通信ユニット30(図17参照)の代わりに取付部材120および照明用通信ユニット130を備えている点で、光源ユニット102は光源ユニット10と異なっている。図26は、光源ユニット102が備える取付部材120を示す拡大斜視図である。取付部材120は、スリット121を備える点以外は、取付部材20と同様の構造を備えている。スリット121は、取付部材120の底板部21をその厚さ方向に貫通する貫通長孔である。取付部材120は、裏面21bの側を器具設置部材2の側に向けた状態で器具設置部材2(図1参照)に取り付けられている。照明用通信ユニット130は、取付部材120における底板部21の表面21aに設置される。
図27~図34を用いて照明用通信ユニット130の具体的構造(特にケース601の形状など)を説明するとともに、図35~図39を用いて照明用通信ユニット130が内蔵する回路基板620の具体的構造(特にアンテナ導体625の形状など)を説明する。
図27は、本開示の実施の形態2にかかる照明用通信ユニット130を示す上面図である。図28および図29は、照明用通信ユニット130を示す側面図であり、図28は図27の矢印E1方向に見た側面を、図29は図27の矢印E2方向に見た側面を、それぞれ示す。図30は、照明用通信ユニット130を示す下面図である。実施の形態1におけるケース301(図13参照)と実施の形態2におけるケース601とを比較してみる。トップケース610も上面610a、側面610b、および上面開口312を備えており、トップケース310とトップケース610は基本的に同一形状である。一方、ボトムケース630は、ボトムケース330と同様に下面630a、側面630b、嵌合ツメ333および脚部334を備えるとともに、さらにスリット当接凸部634を備えている。スリット当接凸部634は、下面630aから部分的に突き出ており、図27の平面視において破線で示すように、平面視四角形のボトムケース630外周における4つの側面630bのうち1つの側面(具体的には、嵌合ツメ333が設けられた2つの側面630bのうち1つの辺)に沿って、その1つの側面630bの長さと同程度の長さ若しくはそれ以下の長さで伸びている。
図31は、照明用通信ユニット130の内部構造(トップケース610を外した状態)を示す上面図である。ケース601の内部には、回路基板620が収納されている。回路基板620は、基板本体321に無線通信回路モジュール322などが設けられている点では実施の形態1の回路基板320と同様の構成を備えている。しかし、回路基板620は、アンテナ325(図13参照)を備えておらず、その代わりに金属パターン623、スルーホール624、および基板本体321の基板裏面321b(図36参照)側に設けられたアンテナ導体625(図31では破線で図示)を備える点で、実施の形態1とは異なっている。アンテナ導体625は、図35~図39で説明するように、金属製の棒状導体(具体的にはリード線)を折り曲げ加工したものである。金属パターン623は、一例として基板本体321の表面(以下「基板表面321a」とも称す)に設けられているが、無線通信回路モジュール322との接続がされていればよく、基板裏面321bに設けられてもよい。
図32は、照明用通信ユニット130を示す断面図であり、図27のB-B線に沿う切断面を図示したものである。図33は、照明用通信ユニット130を示す部分拡大断面図であり、図32の一点鎖線円Fを拡大したものである。ボトムケース630に設けられたスリット当接凸部634の内側にはアンテナ収容凹部636が設けられており、このアンテナ収容凹部636にアンテナ導体625が収まる。アンテナ収容凹部636は、アンテナ導体625を受け入れるように内側底面3301の一部が凹まされたものである。このスリット当接凸部634は、内側底面3301を平面視したときにアンテナ収容凹部636の裏側に位置している。ボトムケース630も、ボトムケース330と同様に、回路基板620を置くための内側底面3301と、内側底面3301の縁に沿って設けられ基板本体321の縁を囲う側壁3302を備えている(図13参照)。
図34は、光源ユニット102の組み立て状態を示す断面図である。図34は、実施の形態1における図17の断面図と対応する箇所について、光源ユニット102の断面を図示したものである。図34に示すとおり、光源基板14は表面14aと側端面14bを備えており、側端面14bは取付部材120における底板部21の幅方向端部よりも内側に収まっている。その結果、底板部21の表面21aの一部は、光源基板14によって覆われていない露出領域となっている。スリット121は、取付部材120の設置面(表面21a)における光源基板14と重ならないこの露出領域に設けられていることが好ましい。その理由は、光源基板14によっては光源基板14の裏面(表面14aの裏側)の全域にわたって銅等の金属材料によるランドが設けられており、このランドが電波の遮蔽層となるおそれが高いからである。なお、光源基板14の裏面のうち側端面14bの側にランドが設けられていない領域があればそのランド非形成領域とスリット121とを重ねるようにすればよいので、この場合には光源基板14とスリット121とが重ねて配置されることも許容される。実施の形態2によれば、光源基板14がスリット121を塞がないようにでき、スリット121を介して電波を透過させる効果を確実に発揮させることができる。
また、図34に示すように、内側底面3301のうちアンテナ収容凹部636の隣の部位で基板裏面321bが支持され、かつ脚部334による隙間Qも確保されている。このようにすることで、照明用通信ユニット130内に設けた基板本体321の基板裏面321bを、取付部材120の表面21aから遠ざけることができる。つまり、照明用通信ユニット130の設置面(つまり取付部材120の表面21a)から基板裏面321bを離間しつつ、アンテナ導体625を基板裏面321bの側へ突き出すことができる。これにより、設置面(表面21a)の温度変化に起因して回路基板620の温度が変化することを抑制し、無線通信回路モジュール322の動作を安定させることができる。
また、図34に示すように、スリット当接凸部634の少なくとも先端の幅および長さは、スリット121の幅よりも狭くかつスリット121の長さよりも短くすることが好ましい。これによりスリット当接凸部634をスリット121に突き当てることで、アンテナ収容凹部636に収められたアンテナ導体625をスリット121の上方に正確に位置決めすることもできる。
[実施の形態2にかかる回路基板およびアンテナ導体の構成]
実施の形態2にかかる照明用通信ユニット130は、図35~図49を参照して説明するアンテナ導体625~685が設けられた回路基板620~680を備える点で、実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30とは異なっている。すなわち、実施の形態1にかかる照明用通信ユニット30は、実施の形態1では回路基板320の裏面(つまり基板本体321の裏面)に設けられた金属パターンによりアンテナ325を形成している。これに対し、実施の形態2において回路基板620~680に設けられるアンテナは、基板本体321(図35~図38、および図40参照)および基板本体3211(図42~図46、および図49参照)に設けた金属パターン623と、この金属パターン623と接続されたアンテナ導体625~685とから構成されている。金属パターン623とアンテナ導体625~685との接続方法の一例として、実施の形態2では、基板本体321、3211に設けたスルーホール624への半田付けが採用されている。
アンテナ導体625~685に共通する事項について説明する。まず、アンテナ導体625~685は、基板本体321、3211の裏面(以下、「基板裏面321b」とも称す)が向く方向へと、言い換えると設置面(表面21a)の側へと、基板本体321から突き出たものである。つまり、アンテナ導体625~685は、「基板裏面321bが向く方向」へと基板裏面321bよりも突き出ている。「基板裏面321bが向く方向」は、すなわち基板裏面321bの法線ベクトル方向を意味し、図38および図40等の斜視図に明記したxyz直交座標系におけるz軸方向を意味している。基板本体321は厚さが実質的に均一な平面体なので、基板厚さ方向軸と基板裏面321bの法線ベクトル方向とが平行となる。z軸方向は、基板本体321の厚さ方向と一致しており、xy平面がちょうど基板裏面321bと平行となっている。
アンテナ導体625~685は、基板本体321、3211の基板裏面321bに固定されることで(具体的にはスルーホール624に半田付けされることで)、無線通信回路モジュール322と電気的に接続する。アンテナ導体625~685は、基板裏面321bの基板厚さ方向(z軸方向)および基板裏面321bと平行な方向(xy平面方向)に伸びる。このように、実施の形態2では、基板本体321、3211の厚さ方向(z軸方向)に沿って高さ寸法を有する立体アンテナ構造が用いられている。
図35~図39に一例として示されるアンテナ導体625は、棒状導体(リード線)を折り曲げたものである。図35は、照明用通信ユニット130の回路基板620を示す上面図である。図36および図37は回路基板620の側面図であり、図36は図35のG1方向側面図であり、図37は図35のG2方向側面図である。図38は、回路基板620の斜視図であり、アンテナ導体625を接続する前の分解斜視図である。図39は、回路基板620が備えるアンテナ導体625を示す図である。図38の分解斜視図からよく理解されるように、アンテナ導体625は、基板厚さ方向(z軸方向)へ伸びスルーホール624に半田付けされる2つの端部625dと、端部625dの端で折れ曲がり基板裏面321bと平行(y軸と平行)に伸びる2つの当接部625cと、当接部625cの端でさらに折れ曲がり基板厚さ方向(z軸方向)へ伸びる2つの突出部625bと、突出部625bの端でさらに折れ曲がりx軸と平行に伸びて2つの突出部625bの端をつなぐ長尺部625aと、を備える。図39(a)~(c)は、それぞれアンテナ導体625の正面図、上面図、および側面図である。当接部625cが基板裏面321bに当たることで、アンテナ導体625を基板本体321に接続する際の作業性、位置決め性が向上する。アンテナ導体625は、突出部625bによって寸法D1だけ基板裏面321bから突出している。長尺部625aは、基板本体321のほぼ全長にわたって伸びている。
なお、図35と類似する線状アンテナ導体として、剛性が少ない電線を用いてもよい。具体的には、基板裏面321bの向く側へと垂れ下がるのに十分な長さの電線を準備し、この電線の端部を、スルーホール624に半田付けし、ボトムケース630の内側底面3301の側へ垂れ下げればよい。特に実施の形態2によればアンテナ収容凹部636があることで電線の位置決めを正確に行うことができる。
なお、実施の形態2では、アンテナ導体625の2つの端部625dがそれぞれスルーホール624を介して基板本体321に接続されているが、これは必須ではなく、金属パターン623と接続するためのスルーホール624に片方の端部625dが接続していればよい。つまり、他方の端部625dは基板本体321に接続されていなくともよく、その場合、金属パターン623に接続しない側のスルーホール624は省略してもよい。この点は、後述する図40~図49で説明する構造においても同様である。
図40および図41に示すように、基板厚さ方向(z軸方向)に幅を有し基板裏面321bと平行な方向(x軸と平行)に長さを有する導体板を、アンテナ導体655として用いてもよい。図40は、本開示の実施の形態2の変形例にかかる照明用通信ユニット130の回路基板650を示す斜視図であり、アンテナ導体655を接続する前の分解斜視図である。アンテナ導体655は、基板厚さ方向(z軸方向)へ伸びスルーホール624に半田付けされる2つの端部655dと、端部655dの端で折れ曲がり基板裏面321bと平行(y軸と平行)に伸びる2つの幅広当接部655cと、幅広当接部655cの端でさらに折れ曲がり2つの幅広当接部655cをつなぐようにx軸と平行に伸びる長板部655aと、を備える。長板部655aの端面655eは、長板部655aの幅寸法D2だけ基板裏面321bから突出している。図41は、アンテナ導体655を示す図である。図41(a)~(c)は、それぞれアンテナ導体655の正面図、上面図、および側面図である。
図42~図45に示すように、アンテナ導体パターン667が形成されたアンテナ部材665を、基板本体3211に対してその基板厚さ方向(z軸方向)にずらしつつ固定してもよい。図42は、本開示の実施の形態2の変形例にかかる照明用通信ユニット130の回路基板660を示す上面図である。図43および図44は回路基板660の側面図であり、図43は図42のH1方向側面図であり、図44は図42のH2方向側面図である。図45は、本開示の実施の形態2の変形例にかかる照明用通信ユニット130の回路基板660を示す斜視図である。
図45の斜視図からよく理解されるように、基板本体3211には、固定端子として機能する接続アンテナ導体668によってアンテナ部材665が一体化されている。基板本体3211は、基板本体321と比べて小さな幅W1を備えている。アンテナ部材665は、いわゆるプリント基板(PCB)アンテナであり、アンテナ形成用基材3212と、アンテナ導体パターン667と、を備えている。アンテナ形成用基材3212は、平面体形状を有し、樹脂等の絶縁材料(プリント基板材料)からなり、基板裏面321bから離れた位置で基板本体3211に固定される。アンテナ導体パターン667は、アンテナ形成用基材3212の表面に形成された金属パターンである。なお、アンテナ導体パターン667はアンテナ形成用基材3212の裏面に設けられていてもよい。
接続アンテナ導体668の一端はスルーホール624に半田付けされることで回路基板660の金属パターン623に接続する。接続アンテナ導体668の他端は、アンテナ導体パターン667に半田付けされる。これにより、金属パターン623、スルーホール624、接続アンテナ導体668、およびアンテナ導体パターン667が電気的に接続される。
アンテナ導体パターン667は、基板裏面321bから基板厚さ方向(z軸方向)に、接続アンテナ導体668の高さ寸法D3だけ突き出た位置に設けられる。なお、アンテナ導体パターン667は、アンテナ形成用基材3212の表面と裏面のどちらに設けられても良く、いずれの場合も接続アンテナ導体668によって基板本体3211の金属パターン623に電気的に接続されていればよい。なお、図43に示すボトムケース730では、アンテナ部材665を収納するためにアンテナ収容凹部636の幅をある程度大きくする必要があり、これに応じてスリット当接凸部634の幅W2もある程度大きくされている。
なお、アンテナ部材665を垂直に立てて(つまり、アンテナ部材665の表面がz軸方向と平行となるようにして)、回路基板660に接続しても良い。この場合にも、垂直に立てられたアンテナ部材665に形成されたアンテナ導体パターン667の端の部分が、基板裏面321bからz軸方向へと突き出されることになる。
なお、原理的には、上記アンテナ部材665の代わりに、プリント基板(PCB)アンテナ以外の各種公知のアンテナ部材を取り付けてもよい。プリント基板(PCB)アンテナ以外の公知のアンテナ部材としては、具体的には、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)アンテナ、LDS(レーザ直接構造化)アンテナ、およびチップアンテナがある。これらのアンテナ部材も、アンテナ形成用基材にアンテナ導体パターンを形成した点で同様であるから、アンテナ長の確保などの仕様を満たせば、原理的には上記アンテナ部材665の代わりとすることができる。アンテナ部材に形成されたアンテナ導体パターンが基板厚さ方向(z軸方向)に突き出るように、基板裏面321bに接続(例えば半田づけ)すればよい。
図46は、本開示の実施の形態2の変形例にかかる照明用通信ユニット130の回路基板670を示す斜視図であり、アンテナ導体675を接続する前の分解斜視図である。アンテナ導体675は、図35~図39に示したアンテナ導体675と同様に棒状導体を折り曲げたものであるが、アンテナ導体625に設けられていた当接部625cが省略されており、突出部625bが端部625dとしても機能する。当接部625cの省略分だけ、y軸方向に沿うアンテナ導体675の寸法を小さくできる。また、基板本体3211の幅W1も基板本体321と比べて小さくされており、その結果、回路基板670の小型化および照明用通信ユニット130の小型化も達成される。
更なる変形例として、例えば、少なくとも一部が曲線状に形成されたアンテナ導体を用いることができる。図47および図48は、本開示の実施の形態2にかかる照明用通信ユニット130の回路基板が備えるアンテナ導体の他の例を示す斜視図である。図47に示すアンテナ導体676は、z軸方向に凸曲線を描く長尺部625a1を備えている点を除いては、前述したアンテナ導体625と同様の構造を備える。端部625dにおける基板裏面321bからの突出高さはD51であり、さらに当接部625cに対する長尺部625a1のz方向高さがD52である。寸法D51および寸法D52の合計分だけ、長尺部625a1のz軸方向端部が基板裏面321bから突出する。また、図48に示すアンテナ導体677は、金属線が螺旋状に巻かれたコイルスプリング部677aを備えるスプリングアンテナである。アンテナ導体677は、高さD6だけ基板裏面321bから突出する。
なお、上述したアンテナ導体625~685は基板本体321、3211の基板裏面321bに固定されたが、基板表面321aに固定されるアンテナ導体685が提供されてもよい。図49は、本開示の実施の形態2の変形例にかかる照明用通信ユニット130の回路基板680を示す斜視図であり、アンテナ導体685を接続する前の分解斜視図である。アンテナ導体685は、端部625fの突出方向が、前述したアンテナ導体625の端部625dとは逆側である。このような構成によれば、端部625fを基板表面321aの側からスルーホール624に差し込んだ状態で半田付けをすることができる。アンテナ導体625と同様に、突出部625bによって、長尺部625aを寸法D7だけ基板表面321aからz方向へ向かって突き出すこともできる。このときも、実質的には、アンテナ導体685が基板裏面321bから突出した状態となっている。
以上説明したように、実施の形態2によれば、基板裏面321bから突出させたアンテナ導体625~685をスリット121に近づけることができるので、無線通信性能を向上させることができる。すなわち、基板本体321に導体パターンアンテナ(実施の形態1のアンテナ325)を設ける場合と比べて、アンテナ導体625~685を回路基板620~680の厚み方向(z軸方向)へと突出させることができる。これにより、照明用通信ユニット130を器具設置部材2あるいは取付部材120に設置したときに、設置面(取付部材120であれば表面21a)にスリット121を設けて、そのスリット121にアンテナ導体625~685の端部を近接させることができる。これにより、アンテナ導体625~685の電波感受性を高めて、無線通信性能を向上させることができる。
なお、実施の形態2における照明用通信ユニット130は、ケース601に設けた嵌合ツメ333を取付部材120に設けた嵌合凹部22aに嵌め込むことによって、取付部材120と一体化される。この点は実施の形態1の照明用通信ユニット30と同様の取付方法が採用されている。しかしながら、実施の形態2において照明用通信ユニット130を取付部材120に取り付ける方法に限定はない。嵌合ツメ333および嵌合凹部22aを用いた嵌め込み固定の代わりに、例えばネジなどによる締結固定であってもよい。また、取付部材120ではなく、板金などからなる器具設置部材2に照明用通信ユニット130が設置されてもよいことはもちろんであり、その場合には、器具設置部材2にスリット121を設ければよい。
また、器具設置部材2あるいは取付部材120が樹脂などの電波を透過する材料で形成されている場合には、スリット121を省略したうえで照明用通信ユニット130のみを使用することもできる。この場合にも、照明用通信ユニット130の設置面に対してアンテナ導体625~685を近づけることができるという利点がある。
なお、実施の形態2における照明器具および照明用通信ユニット130は、その基本構造に実施の形態1の照明器具1および照明用通信ユニット30の構造を流用しているので、実施の形態1と共通の構成を備えることで実施の形態1と共通の技術的効果を発揮することができる。また、実施の形態1で説明した各種の変形を実施の形態2にかかる装置に適用することもできる。しかしながら、実施の形態2の装置は実施の形態1の装置構造に限定されることなく単独で実施されてよい。例えば実施の形態2における「スリット121」および「アンテナ導体625~685」に関する構造のみを残して、アドレス設定部323などの構造が変形あるいは省略されてもよく、ケース601がケース301と類似する形状、構造である必要も無い。
実施の形態3.
図50は、本開示の実施の形態3にかかる照明システム1000を示す図である。照明システム1000は、実施の形態1で述べた図20の照明システム100と同様の構成を備えているが、照明制御機器110が照明制御機器1110に置換されている点が異なる。照明制御機器1110は、照明器具1a~1zの外部に設置され、照明器具1a~1zを制御するための無線信号を送信するときに、同一の指令を、2回以上の予め定められた回数だけ繰り返し送信する。複数の繰返し送信が行われる際には、予め定められた時間間隔が設けられる。照明器具1a~1zの内部には、照明用通信ユニット30a~30zが設置されている。照明用通信ユニット30a~30zは、照明制御機器1110からの無線信号を受信し、受信した無線信号を点灯装置18a~18zに伝達する。実施の形態3によれば、同一指令の無線信号送信を複数回行うようにしたので、照明用通信ユニット30a~30zと照明制御機器1110との間での情報伝達が安定して行われ、無線通信性能が向上する。
好ましくは、予め定められた繰返し送信回数は3回である。本願発明者が非常に膨大な回数の試験を行ったところ、3回の繰返し送信を行うことで送信エラーを実質的にゼロにできることが見出された。その一方で、送信回数が多すぎることも無駄が多く好ましくないので、繰返し送信の回数をある程度少ない数、具体的には5回以下に制限することが好ましい。
なお、図50に示す照明システム1000において、照明用通信ユニット30a~30zそれぞれを、実施の形態2にかかる照明用通信ユニット130に置換してもよい。また、照明システム1000においては、前述した実施の形態1、2に示した構成部品(照明器具1、器具設置部材2、光源ユニット10、102、点灯装置18、および照明用通信ユニット30、130など)およびそれらの変形例を用いてシステムを構築しても良いが、必ずしもこれに限定されない。照明器具、点灯装置、および照明用通信ユニットなどの構造、形状、機能および材質は特に限定されないので、実施の形態1、2に示した構成部品以外の構成部品を使用して照明システム1000を構築してもよい。
実施の形態4.
実施の形態4にかかる照明器具1001およびこれを備えた照明システムは、光源ユニット102を光源ユニット1010に置換した点、および取付部材120が有する嵌合凹部22aの数を1個に変更した点を除き、実施の形態2にかかる照明器具と同様の構成を備えている。したがって、以下の説明では実施の形態2と同一または相当する構成については同一の符号を付して説明を行うとともに、実施の形態2との相違点を中心に説明し、共通事項は説明を簡略化ないしは省略する。
図51は、本開示の実施の形態4にかかる照明器具1001を示す分解斜視図である。図51は、照明器具1001を天井側から見下ろした図である。照明器具1001は、光源ユニット102を光源ユニット1010に置換した点以外は、実施の形態2にかかる照明器具と同様の構成を備えている。光源ユニット1010は、照明用通信ユニット130を照明用通信ユニット1030に置換した点、および取付部材120が有する嵌合凹部22aの個数が1個である点(図52参照)を除き、実施の形態2にかかる光源ユニット102と同様の構成を備えている。
図52は、本開示の実施の形態4にかかる照明器具1001の光源ユニット1010を示す部分拡大斜視図である。図53は、光源ユニット1010を示す部分平面図である。図52および図53に示すように、取付部材120が有する底板部21の裏面21b上に、照明用通信ユニット1030が設置されている。照明用通信ユニット1030のケース1301には、嵌合ツメ1333aが設けられている。嵌合ツメ1333aは、取付部材120の嵌合凹部22aにはめ込まれている。
照明用通信ユニット1030は、ケース1301を備えている。照明用通信ユニット1030の内部構造は、照明用通信ユニット130と同様であるものとする。ケース1301の内部には、実施の形態2で説明した回路基板620~680を設けることができる。具体例として、実施の形態4では回路基板650をケース1301に収納している。ケース1301の上面1310aには、ケーブル固定部1400が設けられている。照明用通信ユニット1030は、ケース1301内部に繋がるケーブル1402と、ケーブル1402の先端に設けられたコネクタ1404と、を備えている。ケーブル1402は、ケーブル固定部1400に着脱自在に固定されている。ケーブル固定部1400を設けることにより、ケーブル1402の長さ調節が可能であり、また照明用通信ユニット1030単独での製品流通時にケーブル1402の取り扱いが煩雑にならない。ケーブル固定部1400は、ケーブル1402を挟み込む一対の挟持部からなる。
実施の形態1、2にかかる嵌合ツメ333と同様に嵌合ツメ1333aが嵌合凹部22aと嵌め合わされるので、ケース1301を取付部材120へと嵌め込み固定することができる。嵌合凹部22aの内側に嵌合ツメ1333aが引っ掛かることで、裏面21bから離間する方向へとケース1301が取付部材120から容易に取り外されないようになっている。また、嵌合ツメ1333aが嵌合凹部22aに収まることで、ケース1301が取付部材120の長手方向へがたつくことを抑制することもできる。固定方法の詳細については図62~図64を用いて後述する。
裏面21bにおける照明用通信ユニット1030の設置部位(設置面)には、実施の形態2と同様に、スリット121が設けられている。
図54~図61を用いて、照明用通信ユニット1030の具体的構造(具体的には、ケース1301の形状など)を説明する。図54および図55は、照明用通信ユニット1030を示す斜視図である。図56は、照明用通信ユニット1030を示す上面図である。図57~図60は、照明用通信ユニット1030を示す側面図である。図57は図56の矢印J1方向に見た照明用通信ユニット1030の側面を、図58は図56の矢印J2方向に見た照明用通信ユニット1030の側面を、図59は図56の矢印J3方向に見た照明用通信ユニット1030の側面を、図60は図56の矢印J4方向に見た照明用通信ユニット1030の側面を、それぞれ示す。図61は、照明用通信ユニット1030を示す下面図である。
実施の形態4におけるケース1301は、実施の形態2におけるケース601(図27~図32参照)と類似する構造を備えている。図54に示すように、ケース1301は、全体としては扁平な立方体であり、トップケース1310とボトムケース1330で構成されている。図55には、便宜上、ケース1301の長さLb、幅Wb、および厚さTHbについて寸法線を図示している。実施の形態4ではトップケース1310とボトムケース1330それぞれの長さLb及び幅Wbが同じであり、トップケース1310とボトムケース1330の厚さの合計がケース1301の厚さTHbとなる。
トップケース1310は、上面1310a、側面1310b、および上面開口1312を備えている。上面開口1312からアドレス設定部323を露出させることができる。その他、ケーブル固定部1400がある点を除いては、トップケース1310とトップケース610は基本的に同じ形状である。
ボトムケース1330は、下面1330a、側面1330b、嵌合ツメ1333a、凸曲面突起1333b、脚部1334a、下面1330aに設けられた脚部1334b(図54等では隠れており、図61参照)、およびスリット当接凸部1634を備えている。図57からわかるように、脚部1334aは、側面1330bと下面1330aとが繋がる角の部分からケース1301の外側へと斜めに突出しており、先細り形状を有し、先端が丸みを帯びている。スリット当接凸部1634は、下面1330aから部分的に突き出ており、実施の形態2におけるスリット当接凸部634と同様の構造とされている。
ボトムケース1330の外形が扁平な四角形とされているので、ボトムケース1330の側面1330bは、第1~第4の側面部1330b1~1330b4を含んでいる。互いに隣り合う第1~第4の側面部1330b1~1330b4は直角に連結している。第1~第4の側面部1330b1~1330b4がそれぞれ連結する箇所には面取りが施されており、具体的には図56からもわかるようにR面取りが施されている。第1の側面部1330b1が図54において紙面手前側を向いており、第1の側面部1330b1に2つの凸曲面突起1333bが設けられている。凸曲面突起1333bの詳細な構造については後述する。第1の側面部1330b1の反対側に位置する第2の側面部1330b2が、図55における紙面手前側を向いている。この第2の側面部1330b2に、嵌合ツメ1333aおよび脚部1334aが設けられている。第2の側面部1330b2の中央に、1つの嵌合ツメ1333aが設けられている。第2の側面部1330b2の両端に脚部1334aが設けられ、2つの脚部1334aが嵌合ツメ1333aを挟むように位置している。図54および図55に示すように、ボトムケース1330の長さLb及び幅Wbに比べて、嵌合ツメ1333a、凸曲面突起1333b、および脚部1334aそれぞれの大きさは十分に小さい。なお、第3の側面部1330b3および第4の側面部1330b4には、それぞれ薄板凸部1331が設けられている。薄板凸部1331は貫通孔1331aを有している。貫通孔1331aは、ボトムケース1330の厚さ方向に薄板凸部1331を貫通している。
図62~図64は、本開示の実施の形態4にかかる照明用通信ユニット1030の取り付け作業を説明するための断面図である。なお、本来は光源カバー12の内側に、光源基板14(図17、図34参照)が設けられるが、説明の簡略化のため図62~図64においては図示を省略している。まず、図62に示すように、底板部21の裏面21bに対してケース1301を傾けつつ、脚部1334aを底板部21の裏面21bに当てる。次に、図63に示すように、ケース1301全体を側板部22側へずらし、嵌合凹部22aに嵌合ツメ1333aをはめ込む(破線JJ参照)。これにより、光源ユニット1010の長手方向(つまり取付部材120の長手方向)に対して、照明用通信ユニット1030の位置決めがなされる。次に、図64に示すように、ケース1301を取付部材120へと押し込むことで、凸曲面突起1333bを側板部22の上端に押し当てる。側板部22の上端は内側に曲げられているので、この丸みが凸曲面突起1333bに当たる。しかし、ケース1301を取付部材120へと押し込むことで、凸曲面突起1333bがやがて側板部22の上端の丸みを乗り越えて図64のように側板部22内側へと収まる。
嵌合ツメ1333aが嵌合凹部22aにはめ込まれるのとは異なり、側板部22における凸曲面突起1333bとの当接部位に、嵌合凹部22aが設けられていない。嵌合ツメ1333aの形状は、図55に示すように、第2の側面部1330b2から垂直に突出した板状凸部である。係合面333a(図10参照)と同様に、嵌合ツメ1333aも上面1310a側を向く係合面1333a1(図57参照)を備えている。係合面1333a1と第2の側面部1330b2は互いに垂直に交わっている。なお、嵌合ツメ1333aは、実施の形態1の嵌合ツメ333とは異なり、斜面333b(図10参照)は備えていない。その代わりに、嵌合ツメ1333aの下面1330a側を向く面は、第2の側面部1330b2と垂直を成す平面であり、下面1330aと平行な面とされている。
一方、凸曲面突起1333bの形状は、第1の側面部1330b1から山なりに出張った凸部である。図57、図60、および図63を参照しつつ凸曲面突起1333bの形状についてより詳しく説明する。凸曲面突起1333bは、第1の側面部1330b1と下面1330aとが交わるボトムケース1330の角部から突出している。凸曲面突起1333bは、第1の側面部1330b1から突き出た頂部1333bpと、頂部1333bpから第1の側面部1330b1側へ延びる第1の斜面1333bs1と、頂部1333bpから第1の斜面1333bs1とは反対側へ延びる第2の斜面1333bs2とを備えている。第1の斜面1333bs1は、第1の側面部1330b1と繋がる。第2の斜面1333bs2の端はスリット当接凸部1634の先端部分に合流しており、第2の斜面1333bs2は第1の側面部1330b1の下端を越えて下面1330aの下方に達している。頂部1330bp付近が丸みを帯びるように、頂部1330bpに対して第1の斜面1333bs1および第2の斜面1333bs2が滑らかに繋がっている。図60および図63には、第2の斜面1333bs2が第1の側面部1330b1に対して成す角度θbが図示されている。なお、実施の形態4にかかるケース1301では、トップケース1310の側面1310bとボトムケース1330の側面1330bは平行な面である。従って、角度θbは、第2の斜面1333bs2がトップケース1310の側面1310bに対して成す角度でもある。角度θbは90度より小さく、0度より大きい任意の角度に設計してもよく、例えば45度~50度の範囲内、あるいは例えば30度~60度の範囲内などで設計しても良い。図63に示す状態からケース1301を取付部材120へと押し込んだときに、凸曲面突起1333bが有する緩やかな曲面、具体的には第2の斜面1333bs2から頂部1333bpにかけての曲面が、側板部22の上端の丸みに当たる。ケース1301を取付部材120へとさらに押し込むと、側板部22が外側へ開く弾性変形を伴って凸曲面突起1333bが側板部22の上端の丸みを乗り越える。その結果、図64に示すように凸曲面突起1333bが側板部22の内側へと収まる。
また、ケース1301を取付部材120から引き離そうとしたときには、凸曲面突起1333bが有する緩やかな曲面が側板部22の内側端部に当たるので、凸曲面突起1333bが側板部22の内側端部を乗り越えやすくなっている。その結果、図64から図62までの作業を逆に行うようにして照明用通信ユニット1030を取り外しやすい構造にもなっている。
図57および図60に示すように、嵌合ツメ1333aは第2の側面部1330b2から垂直に突出しているので、係合面1333a1と第2の側面部1330b2が成す角度は90度である。嵌合ツメ1333aは図52および図62~図64に示すように嵌合凹部22aと噛み合わせられるべき部位なので、嵌合ツメ1333aは第2の側面部1330b2からある程度急な角度で突出することが好ましい。これに対し、凸曲面突起1333bの形状は、図62~図64に示すように側板部22を乗り越えて側板部22の内側へと収まるという効果を得るために、頂部1333bpおよび第1の斜面1333bs1および第2の斜面1333bs2を有する緩やかな山なりの形状であることが好ましい。この点を比較すると、第1の斜面1333bs1および第2の斜面1333bs2が第1の側面部1330b1に対して成す傾斜の度合いは、係合面1333a1が第2の側面部1330b2に対して成す傾斜の度合いよりも、緩やかである。
ケーブル固定部1400は必ずしも上面1310aに設けなくともよい。ケーブル固定部1400は、ケース1301の外表面(すなわち、上面1310a、側面1330b、および下面1330a)の任意の箇所に設ければよい。実施の形態4では、図64に示すように第1の側面部1330b1および第2の側面部1330b2が取付部材120の側板部22と重なるようになっているので、第3の側面部1330b3および第4の側面部1330b4にケーブル固定部1400を設けることができる。下面1330aにケーブル固定部1400を設ける場合には、脚部1334a、1334bで形成される隙間Q(図64参照)以下で下面1330aから突出するようにケーブル固定部1400の寸法を設計すればよい。
なお、実施の形態4の照明用通信ユニット1030は実施の形態2の照明用通信ユニット130の装置構成を前提としたものであるため、ケース1301内に回路基板620~680が収納され、ケース1301がスリット当接凸部1634を有している。しかしながら、実施の形態1の照明用通信ユニット30を前提としてもよく、この場合にはケース1301に回路基板320または回路基板420が収納され、ケース1301からスリット当接凸部1634が省略されてもよい。