以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、ストッカシステム1は、一実施形態のストッカ2を複数含んで構成されている。ストッカ2においては、ストッカ本体(本体部)3の内部をスタッカクレーン7A,7Bが走行する。スタッカクレーン7A,7Bは、ストッカ本体3の内部に設けられたラック4A,4Bの棚Sと入出庫ポート(図示せず)との間で物品を搬送する。ストッカ2には、例えば、搬送装置によって搬送されてきた物品が保管される。物品は、例えば、半導体製造装置又は液晶製造装置等で処理されるウエハを収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)、及び半導体製造装置又は液晶製造装置等で用いられるレチクルを収容するレチクルポッド等の容器である。ストッカ2は、ストッカ本体3、ラック4A,4B、及びスタッカクレーン7A,7Bを備えている。
スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのそれぞれは、走行レール31に沿って走行し、棚Sと入出庫ポートとの間で物品を搬送し、棚Sに対して物品の移載(荷積み及び荷下ろし)を行う。スタッカクレーン7Bは、図1において、スタッカクレーン7Aに対して、走行レール31及び補助レール32の延在方向における右側に配置されている。図4に示されるように、スタッカクレーン7Aは、走行部71、マスト72、昇降台75、及び補助走行部90を備えている。走行部71は、走行用モータ78、昇降用モータ82を有している。
走行部71は、走行レール31に沿って走行する。走行部71は、走行レール31の上面に沿って転動する駆動輪を含んでいる。走行用モータ78は、駆動輪の駆動源である。昇降用モータ82は、昇降台75の駆動源である。マスト72は、走行部71の上部に立設されている。昇降台75には、図示しない移載装置が搭載されており、この移載装置によって棚Sとの間で物品を移載すると共に、入出庫ポートとの間で物品を移載する。補助走行部90は、補助レール32に沿って走行する。補助走行部90は、補助レール32を挟み込んだ状態で転動する一対の駆動輪を含んでいる。
図1に示されるように、ストッカシステム1においては、二つのストッカ2(ストッカ2A及びストッカ2B)が、ストッカ2の内部を走行するスタッカクレーン7A,7Bの走行方向に配列されている。そして、ストッカシステム1には、それぞれのストッカ2の内部に配備される二台のスタッカクレーン7A,7B等の走行を制御するコントローラ(図示せず)が設けられている。ストッカ2の内部に配備される二台のスタッカクレーン7A,7Bは、当該コントローラによる制御によって、ラック4A,4Bの棚Sに物品を載置したり、棚Sから物品を取り出したりする。
図1及び図2に示されるように、ストッカ本体3は、一方向に延在する所定の空間を囲う筐体状(例えば、中空の直方体状)に形成されている。ストッカ本体3の外形は、図示しないフレームとパネルとによって構成されている。ストッカ本体3は、ストッカ本体3の外側の床面Gよりも低い位置に、ストッカ本体3の内部空間の一部である床下空間3Sが形成されている。また、ストッカ本体3は、スタッカクレーン7A,7Bの走行方向においてラック4A,4Bを収容する物品収容空間11Aと、物品収容空間11Aの両外側にメンテナンス空間11Bと、を形成している。なお、図1における真ん中のメンテナンス空間11Bは、ストッカ2A及びストッカ2Bのメンテナンス空間11Bとして共用される。
図1~図4に示されるように、ストッカ本体3の内部には、スタッカクレーン7A,7Bが走行する走行レール31と、鉛直方向において走行レール31と対向するように配置された補助レール32が敷設されている。スタッカクレーン7A,7Bは、走行レール31及び補助レール32に沿って走行する。ストッカ本体3(すなわち物品収容空間11A及びメンテナンス空間11B)には、スタッカクレーン7A,7Bが走行する走行領域A1と、走行領域A1を挟むように形成された非走行領域A2と、が形成されている。非走行領域A2は、図2及び図8において左側(図1から見て前方)の領域である第一非走行領域A21と、右側(図1から見て後方)の領域である第二非走行領域A22とを有している。
ストッカ本体3の物品収容空間11Aには、ラック4A,4Bが配置されている。ラック4A及びラック4Bは、走行領域A1に沿って配置されている。すなわち、ラック4A及びラック4Bは、走行領域A1を挟むように、第一非走行領域A21及び第二非走行領域A22に配置されている。また、ラック4A及びラック4Bは、走行領域A1(走行レール31)の延在方向(X軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)に直交する幅方向(Y軸方向)に互いに対向するように配置されている。ラック4A,4Bのそれぞれには、物品が収容される棚Sが複数設けられている。
図3に示されるように、ラック4A及びラック4Bの棚Sの下方には、ストッカ2内のメンテナンス時に用いられるメンテナンスステップ45が収容されている。メンテナンスステップ45は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、脱着バー47に取付可能に形成されている。脱着バー47は、例えば、角柱状の部材であって、両端が互いに対向するラック4Aのフレーム4fとラック4Bのフレーム4fに脱着自在に形成されている。脱着バー47,47は、使用しないときには、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。
ストッカ2内のメンテナンス時には、作業者は、脱着バー47を倉庫等から取り出して、その両端をラック4Aのフレーム4fとラック4Bのフレーム4fとに固定する。メンテナンスステップ45は、その長手方向を左右方向に一致させるように配置される。また、メンテナンスステップ45,45は、前後方向に二枚配列させた状態で、一対の脱着バー47,47に載置される。作業者は、当該メンテナンスステップ45に乗ってストッカ2A及びストッカ2Bの各部のメンテナンス作業を実施することができる。当該メンテナンスステップ45には、メンテナンス空間11Bから作業者がアクセス可能に設けられている。
ストッカ2Aとメンテナンス空間11Bとの境界部である第一境界部13及び第二境界部14について説明する。なお、第一境界部13と第二境界部14とは構成が同じであるので、ここでは第一境界部13を例に挙げて詳細の説明をする。第一境界部13は、ストッカ本体3のフレームに取り付けられるパネルによって構成される端部壁33と、ストッカ本体3のフレームに取り付けられる上方シャッタ35A及び下方シャッタ35Bと、カバー部材41と、によって構成されている。走行レール31の延在方向から見たときに、端部壁33は、走行領域A1を挟むように配置され、ストッカ本体3の上端から下端まで延びている。
上方シャッタ35A及び下方シャッタ35Bは、走行レール31の延在方向から見たときに、走行領域A1に重なる位置に配置されている。すなわち、上方シャッタ35A及び下方シャッタ35Bは、端部壁33,33によって挟まれている。また、上方シャッタ35Aは、下方シャッタ35Bよりも上方に配置されている。上方シャッタ35A及び下方シャッタ35Bは、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間をスタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bが行き来できる開状態、又は物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間を遮蔽し、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間をスタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bが行き来できない閉状態となるように開閉することができる。
カバー部材41は、シャッタ35と同様に、走行レール31の延在方向から見たときに、走行領域A1に重なる位置に配置されている。すなわち、カバー部材41は、端部壁33,33によって挟まれている。また、カバー部材41は、上方シャッタ35Aの下方かつスタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bの走行部71に対応する部分に配置されている。カバー部材41は、図示しない架台フレームに対して着脱自在に設けられた板状部材であり、走行レール31に対応する部分が切り欠かれている。すなわち、カバー部材41は、走行レール31が通過可能に形成されている。
カバー部材41は、架台フレームから取り外されることにより、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間をスタッカクレーン7A又はスタッカクレーン7Bが行き来できる開状態とすることができる。また、カバー部材41は、架台フレームに取り付けられることにより、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間を遮蔽し、物品収容空間11Aとメンテナンス空間11Bとの間をスタッカクレーン7A又はスタッカクレーン7Bが行き来できない閉状態とすることができる。
図5~図8に示されるストッカ本体3のメンテナンス空間11Bは、ストッカ2Aに配備されたスタッカクレーン7Bの一方及びストッカ2Bに配備されたスタッカクレーン7Aの一方を収容可能に構成されている。メンテナンス空間11Bには、床板部材51と、第一ステップ53と、第二ステップ55と、第三ステップ57と、第四ステップ59と、第五ステップ61Aと、第五ステップ61Bと、第六ステップ65と、が設けられている。
図6に示されるように、床板部材51は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、メンテナンス空間11Bにおいて、床面Gと同一レベルの平面を構成する(面一となる)ように床下空間3Sを覆うと共に着脱自在に設けられている。床板部材51は、フレーム状の支持部材52によって下方から支持されている。支持部材52は、例えば4枚の床板部材51を下方から支持している。なお、図6では、ストッカ2Bの記載は省略している。
床板部材51は、通常時(スタッカクレーン7A又はスタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bにいないとき)において床下空間3Sを覆うために用いられる。また、床板部材51は、メンテナンス時(スタッカクレーン7A又はスタッカクレーン7Bをメンテナンス空間11Bに入場させるとき)においては支持部材52から取り外されることで、スタッカクレーン7A又はスタッカクレーン7Bをメンテナンス空間11Bに入場させることが可能となる。
図7及び図8に示されるように、第一ステップ53は、作業者が搭乗すること(踏み板とすること)が可能な板状部材であって、メンテナンス空間11Bの第一非走行領域A21において、メンテナンス空間11Bを形成するストッカ本体3の外形を構成するフレーム(図示せず)(以下、メンテナンス空間11Bのフレームとも称する。)に着脱自在に取り付けられる。第一ステップ53は、鉛直方向において、第二ステップ55と床面Gとの間に設けられる。
図5~図8に示されるように、第二ステップ55は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、メンテナンス空間11Bの第二非走行領域A22において、メンテナンス空間11Bのフレームに取り付けられている。第二ステップ55は、第二非走行領域A22から走行領域A1に向けて進出可能に設けられている。本実施形態では、第二ステップ55は、左右方向に延在する軸を回動軸ra1として、後側のパネルに立て掛けられた状態から手前側に回動することによって第二非走行領域A22から走行領域A1に向けて進出する。このとき、第二ステップ55における進出側の端部はメンテナンス空間11Bのフレーム等に固定されるようにしてもよい。第二ステップ55の進出位置における高さ位置は、スタッカクレーン7A,7Bの昇降台75を最下降位置に下降させた位置よりも上方となるように設けられている。
第二ステップ55は、長手方向が前後方向に沿って配置された矩形状の部材であって、左右方向に沿って三枚配列されている。第二ステップ55は、メンテナンス空間11Bにスタッカクレーン7A,7Bを入場させた状態において、スタッカクレーン7A,7Bに干渉しないで進出可能な第二非干渉ステップ55Aと、スタッカクレーン7Aに干渉して進出不能な第二干渉ステップ55Bとを有している。なお、第二ステップ55は、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのどちらがメンテナンス空間11Bに入場しているかによって第二非干渉ステップ55Aとなるステップと第二干渉ステップ55Bとなるステップとが変わる。
具体的には、図9(a)に示されるように、ストッカ2Aのスタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bに入場しているときには、正面方向から見て一番右側に配置された一枚のステップが第二干渉ステップ55Bとなり、残りの二枚のステップが第二非干渉ステップ55Aとなる。なお、第二干渉ステップ55Bは、スタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bに入場しているときは、後側のパネルに立て掛けられた状態が維持される。一方、図9(b)に示されるように、ストッカ2Bのスタッカクレーン7Aがメンテナンス空間11Bに入場しているときには、正面方向から見て一番左側に配置された一枚のステップが第二干渉ステップ55Bとなり、残りの二枚のステップが第二非干渉ステップ55Aとなる。
第三ステップ57は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンス空間11Bに入場させた状態において第二干渉ステップ55Bが進出できない第二非走行領域A22に、着脱自在に設けられる。すなわち、第三ステップ57は、後側のパネルに立て掛けられた状態の第二干渉ステップ55Bとスタッカクレーン7Bのマスト72との間に取り付けられる。第三ステップ57は、例えば、メンテナンス空間11Bのフレームに取り付けられる。上述したとおり、第二ステップ55の第二干渉ステップ55Bは、第二非走行領域A22から走行領域A1に向けて進出させることができないので、上方から見ると当該部分は穴があいた状態となる。第三ステップ57は、当該穴があいたような部分を覆うための部材である。
図5~図8に示されるように、第四ステップ59は、作業者が搭乗することが可能な板状部材であって、メンテナンス空間11Bの第一非走行領域A21において、メンテナンス空間11Bのフレームに取り付けられている。第四ステップ59は、第一非走行領域A21から走行領域A1に向けて進出可能に設けられている。本実施形態では、左右方向に延在する軸を回動軸ra2として、前側のパネルに立てかけられた状態から後方に回動することによって第一非走行領域A21から走行領域A1に向けて進出する。このとき、第四ステップ59における進出側の端部は上記メンテナンス空間11Bのフレーム等に固定されるようにしてもよい。第四ステップ59の進出位置における高さ位置は、第二ステップ55を走行領域A1に進出させた位置よりも上方となるように設けられている。
第四ステップ59は、長手方向が前後方向に沿って配置された矩形状の部材であって、左右方向に沿って三枚配列されている。第四ステップ59は、メンテナンス空間11Bにスタッカクレーン7A,7Bを入場させた状態において、スタッカクレーン7A,7Bに干渉しないで進出可能な第四非干渉ステップ59Aと、スタッカクレーン7Aに干渉して進出不能な第四干渉ステップ59Bとを有している。なお、第四ステップ59は、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのどちらがメンテナンス空間11Bに入場しているかによって第四非干渉ステップ59Aとなるステップと第四干渉ステップ59Bとなるステップとが変わる。
具体的には、図10(a)に示されるように、ストッカ2Aのスタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bに入場しているときには、正面方向から見て一番右側に配置された一枚のステップが第四干渉ステップ59Bとなり、残りの二枚のステップが第四非干渉ステップ59Aとなる。なお、第四干渉ステップ59Bは、スタッカクレーン7Bがメンテナンス空間11Bに入場しているときは、前側のパネルに立て掛けられた状態が維持される。一方、図10(b)に示されるように、ストッカ2Bのスタッカクレーン7Aがメンテナンス空間11Bに入場しているときには、正面方向から見て一番左側に配置された一枚のステップが第四干渉ステップ59Bとなり、残りの二枚のステップが第四非干渉ステップ59Aとなる。
第四ステップ59においても、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンス空間11Bに入場させた状態において第四干渉ステップ59Bが進出できない第二非走行領域A22に、第三ステップ57が着脱自在に設けられる。第三ステップ57は、上述したとおりなので、ここでの説明は省略する。
図5~図8に示されるように、第五ステップ61A及び第五ステップ61Bは、作業者が搭乗することが可能な板状部材である。第五ステップ61Aは、第二非走行領域A22において着脱可能に設けられている。第五ステップ61Bは、着脱可能に設けられた第五ステップ61Aの上方に設けられると共に第二非走行領域A22において常設して設けられている。
落下防止バー68は、第五ステップ61A及び第五ステップ61Bに搭乗した作業者が落下することを防止する棒状部材である。落下防止バー68は、第五ステップ61A(第五ステップ61B)よりも上方において左右方向(走行方向)に沿って延在するように、進出可能又は着脱可能に設けられている。落下防止バー68は、メンテナンス空間11Bの内部に設けられる鉛直方向に延在するフレーム3fに一端が回動可能に設けられている。落下防止バー68は、非使用時には鉛直方向に延在するフレーム3fに沿った状態で配置されており、使用時には所定位置に進出させて他端をフレーム3fに取り付けて固定する。なお、落下防止バー68は、フレーム3fに対して着脱可能な構成として、メンテナンス時に取り付けてもよい。
第六ステップ65は、作業者が搭乗することが可能な板状部材である。第六ステップ65は、床下空間3Sにおいて、床下空間3Sの一部に着脱自在又は進出可能に設けられている。第六ステップ65は、床下空間3Sの一部に進出可能に設けられている。本実施形態では、左右方向に延在する軸を回動軸ra3として、前側のパネルに立てかけられた状態から後方に回動することによって床下空間3Sの一部に進出する。第六ステップ65の進出状態における高さ位置は、床面Gと床下面との間の中心部近傍である。なお、第六ステップに加えて、又は代えて、床下面に箱状の作業者の手によって持ち運び可能な踏み台を設置してもよい。
次に、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンスするときのストッカ2A,2Bの使用方法について説明する。ここでは、ストッカ2Aのスタッカクレーン7Bをメンテナンス空間11Bに入場させて、作業者がスタッカクレーン7Bのメンテナンス作業を実施する場合を例に挙げて説明する。ここでは、主に図5~図8を参照しながら説明する。
作業者は、まずメンテナンス空間11Bに配置された四枚の床板部材51をメンテナンス空間11Bから取り出すと共に、床板部材51を下方から支持する支持部材52をメンテナンス空間11Bから取り出す。次に、作業者は、第一ステップ53を第一非走行領域A21の所定位置に取り付ける。第一ステップ53は、非使用時には、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。次に、作業者は、三枚の第二ステップ55を第二非走行領域A22から走行領域A1に進出させる。作業者は、第二ステップ55に乗って上方シャッタ35Aを開放する。
その後、作業者は、三枚の第二ステップ55を走行領域A1から退避させ(すなわち、後パネル側に立て掛け)、床面Gに降りる。ここで、作業者は、下方シャッタ35Bを開くと共に、カバー部材41をメンテナンス空間11Bから取り除く。この状態で、作業者は、リモコン等を操作してスタッカクレーン7Bを物品収容空間11Aからメンテナンス空間11Bに移動(入場)させる。この後で、作業者は、下方シャッタ35Bを閉めた状態とする。
次に、作業者は、前側のパネルに立て掛けられた状態の第六ステップ65を後方に倒し、第六ステップ65を第一非走行領域A21に進出させる。作業者は、第六ステップ65を利用して床下空間3Sに降りる。床下空間3Sにおいてスタッカクレーン7Bとメンテナンス空間11Bを画成するストッカ本体3のパネルとの間には作業スペースが確保されるので、作業者は、スタッカクレーン7Bの床下空間3Sにおける各部位のメンテナンス作業を実施することが可能となる。
スタッカクレーン7Bの比較的上方に位置する各部位のメンテナンス作業を実施する場合には、作業者は第一ステップ53を第一非走行領域A21の所定位置に取り付け、第二ステップ55を第二非走行領域A22から走行領域A1に進出させる。作業者は、先の作業とは異なり、スタッカクレーン7Bのマスト72と干渉しない領域に配置された第二ステップ55のみを第二非走行領域A22から走行領域A1に進出させる。
具体的には、作業者は、第二非干渉ステップ55Aのみを第二非走行領域A22から走行領域A1に進出させ、第二干渉ステップ55Bは、メンテナンス空間11Bの後フレームに立て掛けた状態のままとする(図9(a)参照)。次に、作業者は、第二干渉ステップ55Bが進出できない第二非走行領域A22に、第三ステップ57を取り付ける。第三ステップ57は、非使用時には、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。このとき、下方シャッタ35Bが誤って開かないように、下方シャッタ35Bが開く側に設置可能な開放防止バー69を設置してもよい。開放防止バー69はフレーム3fに着脱可能に設けられている。開放防止バー69は、非使用時には、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。
作業者は、第二ステップ55の上面に、はしご(図示せず)を設置する。はしごは、非使用時には、メンテナンス空間11B又はストッカ2の外部の倉庫等に収納されている。作業者は、はしごを利用することで、第二ステップ55に乗った状態では手が届かない、スタッカクレーン7Bにおける高い部位のメンテナンス作業が実施可能となる。次に、作業者は、はしごを昇り、第五ステップ61Aに乗る。次に、作業者は、落下防止バー68を所定位置に進出させる。これによって、更に高い位置での作業が可能となり、スタッカクレーン7Bにおけるより高い部位のメンテナンス作業が実施可能となる。
次に、作業者は、第五ステップ61Aに乗った状態で、進出位置に進出させた状態では第五ステップ61Aと同じ高さに配置される第三ステップ57を、第一非走行領域A21から走行領域A1に進出させる。具体的には、図10(a)に示されるように、作業者は、第四非干渉ステップ59Aのみを第一非走行領域A21から走行領域A1に進出させ、第四干渉ステップ59Bは、メンテナンス空間11Bの前フレームに立て掛けた状態のままとする。次に、作業者は、第四非干渉ステップ59Aが進出できない第一非走行領域A21に、第三ステップ57を取り付ける。
作業者は、第三ステップ57にはしご(図示せず)を設置する。作業者は、はしごを利用することで、第三ステップ57に乗った状態では手が届かない高い部位の箇所のメンテナンス作業を実施する。このとき、上方シャッタ35Aが誤って開かないように、上方シャッタ35Aが開く側に設置可能な開放防止バー69を設置してもよい。開放防止バー69は、上述したとおりの部材なのでここでの詳細な説明を省略する。次に、作業者は、はしごを登り、第五ステップ61Aの上方に設置されている第五ステップ61Bに乗る。次に、作業者は、落下防止バー68を所定位置に進出させる。これによって、更に高い位置での作業が可能となり、スタッカクレーン7Bにおけるより高い部位のメンテナンス作業の実施が可能となる。
次に、作業者は、第五ステップ61Bに乗った状態で、進出位置に進出させた状態では第五ステップ61Bと同じ高さに配置される、二段目の第四ステップ59を、第一非走行領域A21から走行領域A1に進出させる。具体的には、図10(a)に示されるように、作業者は、第四非干渉ステップ59Aのみを第一非走行領域A21から走行領域A1に進出させ、第四干渉ステップ59Bは、メンテナンス空間11Bの前フレームに立て掛けた状態のままとする。次に、作業者は、第四干渉ステップ59Bが進出できない第一非走行領域A21に、第三ステップ57を取り付ける。
作業者は、二段目の第四ステップ59にはしご(図示せず)を設置する。このときも、先の説明と同様に、上方シャッタ35Aが誤って開かないように、上方シャッタ35Aが開く側に設置可能な開放防止バー69を設置してもよい。作業者は、はしごを利用することで、二段目の第四ステップ59に乗った状態では手が届かない高い部位のメンテナンス作業を実施する。
次に、本実施形態のストッカ2A,2Bの作用効果について説明する。上記実施形態のストッカ2A,2Bによれば、通常時(スタッカクレーン7A,7Bが物品収容空間11Aにいるとき)は、床下空間3Sを覆う床板部材51が設置されるので、床下空間に作業者等が落下するのを確実に防止することができるだけでなく、美観も向上する。また、メンテナンス時(スタッカクレーン7A,7Bがメンテナンス空間11Bにいるとき)は、床板部材51を取り外すことで、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンス空間11Bに入場させることが可能になると共に、作業者が床下に降りることでスタッカクレーン7A,7Bにおいて床面Gよりも低い位置にある部位のメンテナンスが容易に実行できる。更に、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンス空間11Bに入場させたあと、第一ステップ53及び第二ステップ55を利用できる状態にすれば、作業者が第一ステップ53及び第二ステップ55を踏み板にして、スタッカクレーン7A,7Bにおいて比較的高所にある部位のメンテナンスを容易に実行できる。この結果、メンテナンス空間11Bにおけるスタッカクレーン7A,7Bのメンテナンス作業を容易に実施することが可能となる。
上記実施形態のストッカ2A,2Bでは、第二ステップ55の進出位置における高さ位置は、スタッカクレーン7A,7Bの昇降台75を最下降位置に下降させた位置よりも上方となるように設けられているので、スタッカクレーン7A,7Bの昇降台75に干渉(接触)することなく第二ステップ55を設置することが可能になる。また、第一ステップ53は、第二ステップ55と床面Gとの間に取り付け可能に設けられているので、第二ステップ55への昇り降りが容易になる。
上記実施形態のストッカ2A,2Bでは、スタッカクレーン7A,7Bをメンテナンス空間11Bに入場させた状態において第二干渉ステップ55Bが進出できない第二非走行領域A22に、着脱自在に設けられる第三ステップ57を備えている。第二ステップ55を第二非走行領域A22から走行領域A1に向けて進出させることができずに穴があいたような状態となる部分を第三ステップ57が覆うため、作業者の安全の確保を図ることができる。
上記実施形態のストッカ2A,2Bでは、メンテナンス空間11Bにおいて、第一非走行領域A21から走行領域A1に向けて進出可能に設けられると共に、鉛直方向において第二ステップ55よりも上方に設けられている第四ステップ59を備えている。これにより、高所でのメンテナンス作業を実施したい場合に、踏み板となるステップを他の場所から持ってきて取り付ける手間を省ける。また、第四ステップ59は、必要に応じて第一非走行領域A21から走行領域A1に向けて進出させることができるので、第四ステップ59よりも下方でのメンテナンス作業において第四ステップ59が邪魔になるのを回避できる。
上記実施形態のストッカ2A,2Bでは、第五ステップ61A,61Bから作業者が落下することを防止する落下防止バー68が設けられている。これにより、作業者が第五ステップ61A,61Bに昇ったときの安全性が確保される。
上記実施形態のストッカ2A,2Bでは、床下空間3Sにおいて、床下空間3Sの一部に着脱可能又は進出可能に設けられた第六ステップ65を備えているので、作業者が床下空間3Sに降りることが容易となる。
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、スタッカクレーン7A,7Bの搬送方向に二つのストッカ2A,2Bを並べて配置した例を挙げて説明したが、ストッカは一つであってもよい。また、上記実施形態では、スタッカクレーン7A,7Bの搬送方向において物品収容空間11Aの両外側にメンテナンス空間が配置された例を挙げて説明したが、物品収容空間11Aの一方にのみメンテナンス空間11Bを配置してもよい。