JP7069693B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、熱伝導部材の追加により高速耐久性の改善を図ると共に、熱伝導部材の剥離の発生を防止し、重量の増加を抑制することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、騒音を発生させる原因の一つにタイヤ内部に充填された空気の振動による空洞共鳴音がある。この空洞共鳴音は、タイヤを転動させたときにトレッド部が路面の凹凸によって振動し、トレッド部の振動がタイヤ内部の空気を振動させることによって生じるものである。
このような空洞共鳴現象による騒音を低減する手法として、タイヤとホイールのリムとの間に形成される空洞部内に吸音材を配設することが提案されている。より具体的には、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に帯状の吸音材を接着することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
しかしながら、空洞共鳴音を低減するためにタイヤ内面に吸音材を接着した場合、高速走行に伴って空気入りタイヤの発熱が増大した際に、吸音材の断熱効果によりトレッド部からタイヤ空洞部内への放熱が阻害され、トレッド部に熱が蓄積される傾向がある。このようにして空気入りタイヤの温度が高くなると、その高速耐久性が低下するという問題がある。
これに対して、図10に示すように、タイヤ内面20と吸音材21との間に接着層23を介在させてシート状の熱伝導部材22を設置し、熱伝導部材22を吸音材21の貼り付け領域から外側に延在するように配置し、熱伝導部材22に吸音材21から突き出した放熱部22Aを形成することが行われている(例えば、特許文献3参照)。このような熱伝導部材を構成する材料として、例えば、金属箔や樹脂層を用いた場合、熱伝導部材が走行時の繰り返し変形に対応することができず、タイヤと熱伝導部材との間で剥離が生じるという問題がある。また、上述の特許文献3に記載の空気入りタイヤでは、熱伝導部材を吸音材の貼り付け領域を含んで該貼り付け領域から外側に延在するように配置しているので、熱伝導部材による重量の増加が大きいという問題がある。
特開2002-67608号公報 特開2005-138760号公報 特開2016-137882号公報
本発明の目的は、タイヤ内面に吸音材を接着するにあたって、熱伝導部材の追加により高速耐久性の改善を図ると共に、熱伝導部材の剥離の発生を防止し、重量の増加を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面に接着層を介して吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、前記接着層が基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなり、該粘着剤の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であり、前記接着層が前記吸音材の貼り付け領域から突出して配置され、前記接着層の前記吸音材から突出した部分にのみ熱伝導部材が配置されていることを特徴とするものである。
本発明では、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、接着層は基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなり、粘着剤の熱伝導率は0.4W/(m・K)以上であり、接着層は吸音材の貼り付け領域から突出して配置され、熱伝導部材が接着層の吸音材から突出した部分にのみ配置されているので、高速走行に伴って空気入りタイヤで発生した熱が、熱伝導性の接着層を介して熱伝導部材に伝達され、タイヤ空洞部内へ放熱される。そのため、タイヤ内面に吸音材を接着した場合であっても、空気入りタイヤの高速耐久性を改善することができる。特に、熱伝導部材を配置するにあたって、接着層の吸音材から突出した部分に局所的に配置することで、熱伝導部材が走行時の繰り返し変形に対応することができ、その剥離や破断の発生を防止することができると共に、重量の増加も抑制することができる。
本発明では、接着層のタイヤ幅方向の長さは吸音材のタイヤ幅方向の長さの110%~200%であることが好ましい。熱伝導部材を配置するにあたって、重量の増加を抑制しながら、タイヤ空洞部内への放熱量を十分に確保することができる。
本発明では、熱伝導部材の熱伝導率は5.0W/(m・K)以上であることが好ましい。熱伝導性の優れた熱伝導部材を用いることで、放熱効果を改善することができる。
本発明では、熱伝導部材は金属箔から構成されていることが好ましい。これにより、高い熱伝導率を確保することができ、放熱効果を十分に得ることができる。
本発明では、接着層の厚さは0.05mm~0.30mmであることが好ましい。タイヤ内面に接着層を設けるにあたって、重量の増加を抑制しながら、十分な粘着性を確保することができる。
本発明では、熱伝導部材の厚さは0.001mm~0.15mmであることが好ましい。熱伝導部材を配置するにあたって、熱伝導部材の面外曲げ応力に対する耐久性の低下を抑制しながら、十分な放熱効果を得ることができる。
本発明では、熱伝導部材は少なくともタイヤ幅方向の端部に切り込みを有することが好ましい。熱伝導部材の伸縮性が乏しい場合、熱伝導部材がタイヤの変形に追従できずタイヤ内面から剥離し易くなる。しかしながら、熱伝導部材のタイヤ幅方向の端部に切り込みを設けることにより、熱伝導部材がタイヤの変形に追従し易くなり、タイヤ内面に対する接着性を改善することができる。
本発明では、熱伝導部材は少なくともタイヤ幅方向の端部において立体構造を有することが好ましい。熱伝導部材のタイヤ幅方向の端部を立体構造とすることにより、熱伝導部材の放熱効果を更に高めることができる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す赤道線断面図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材を示す斜視図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材を示す断面図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材を示す展開図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の変形例を示す展開図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の他の変形例を示す斜視図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の他の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの変形例を示す子午線断面図である。 従来の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。 図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図3~図5はそのタイヤ内面に接着された吸音材及び熱伝導部材を示すものである。図3~図5において、Tcはタイヤ周方向であり、Twはタイヤ幅方向である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
一対のビード部3の間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
上記空気入りタイヤにおいて、図1~図5に示すように、タイヤ内面10のトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って1枚の帯状の吸音材11が接着されている。吸音材11の貼り付け領域は、吸音材11がタイヤ内面10に対して当接する面の全域である。吸音材11は、連続気泡を有する多孔質材料から構成され、その多孔質構造に基づく所定の吸音特性を有している。吸音材11の多孔質材料としては発泡ポリウレタンを用いると良い。
タイヤ内面10と吸音材11との間には、タイヤ周方向に延在する接着層12が設けられている。この接着層12は、吸音材11の貼り付け領域から突出して形成されている。また、接着層12は、基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなる。接着層12を構成する粘着剤の熱伝導率は0.4W/(m・K)以上である。このような接着層12としては、例えば、熱伝導性アクリル系粘着剤の両面接着テープが好ましい。熱伝導率はASTM E1530の規定に基づいて算出される。
なお、基材とは粘着剤を支持する支持体である。基材を含む粘着剤からなる接着層は、基材の両面に粘着剤が積層されるのでタイヤの放熱を阻害することや、基材自体が発熱することがあるため、本発明の空気入りタイヤに用いる接着層として好ましくない。
接着層12の吸音材11から突出した部分である突出部12Aには、シート状の熱伝導部材13が設置されている。この熱伝導部材13は、接着層12のタイヤ幅方向の両端部に配置され、接着層12の突出部12Aの全面に設けられている。このような熱伝導部材13は空気入りタイヤで発生した熱を放熱する放熱部として機能する。なお、突出部12A及び熱伝導部材13は接着層12の両側に設けることが望ましいが、このような突出部12A及び熱伝導部材13は接着層12の片側だけに配置するようにしても良い。
上述した空気入りタイヤでは、タイヤ内面10のトレッド部1に対応する領域に接着層12を介して吸音材11を接着するにあたって、接着層12は基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなり、粘着剤の熱伝導率は0.4W/(m・K)以上であり、接着層12は吸音材11の貼り付け領域から突出して配置され、熱伝導部材13が接着層12の突出部12Aに配置されているので、高速走行に伴って空気入りタイヤで発生した熱が、熱伝導性の接着層12を介して熱伝導部材13に伝達され、タイヤ空洞部内へ放熱される。そのため、タイヤ内面10に吸音材11を接着した場合であっても、空気入りタイヤの高速耐久性を改善することができる。特に、熱伝導部材13を配置するにあたって、接着層12の突出部12Aに局所的に配置することで、熱伝導部材13が走行時の繰り返し変形に対応することができ、その剥離や破断の発生を防止することができると共に、重量の増加も抑制することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、接着層12のタイヤ幅方向の長さL2は、吸音材11のタイヤ幅方向の長さL1の110%~200%の範囲にあると良い。熱伝導部材13を配置するにあたって、重量の増加を抑制しながら、タイヤ空洞部内への放熱量を十分に確保することができる。この接着層12のタイヤ幅方向の長さL2が吸音材11のタイヤ幅方向の長さL1の110%よりも小さいと、それに伴って熱伝導部材13の設置領域も狭くなるので放熱量を十分に確保することができず、逆に吸音材11のタイヤ幅方向の長さL1の200%を超えると重量が過度に増加してしまう。
また、接着層12の厚さg(図4参照)は0.05mm~0.30mmであることが好ましい。タイヤ内面10に接着層12を設けるにあたって、重量の増加を抑制しながら、十分な粘着性を確保することができる。接着層12の厚さgが0.05mmよりも小さいと粘着性が低下し、逆に0.30mmよりも大きいと重量が過度に増加してしまう。
上記空気入りタイヤにおいて、熱伝導部材13の熱伝導率は5.0W/(m・K)以上であることが好ましい。一般的なゴムの熱伝導率は0.1~0.2W/(m・K)であり、熱伝導性を有しない通常のアクリルの熱伝導率は0.2W/(m・K)である。このような熱伝導性に優れた熱伝導部材13を用いることで、空気入りタイヤで発生した熱が伝達され易くなり、放熱効果を改善することができる。
特に、熱伝導部材13は金属箔から構成されていることが好ましい。金属箔の材料としてはアルミニウムが好ましく、アルミ箔の熱伝導率は160W/(m・K)である。このように熱伝導部材13として金属箔を用いることで、高い熱伝導率を確保することができ、放熱効果を十分に得ることができる。
また、熱伝導部材13の厚さt(図4参照)は0.001mm~0.15mmであることが好ましい。熱伝導部材13を配置するにあたって、熱伝導部材13の面外曲げ応力に対する耐久性の低下を抑制しながら、十分な放熱効果を得ることができる。熱伝導部材13の厚さtが0.001mmよりも小さいと放熱性が低下し、逆に0.15mmよりも大きいと面外曲げ応力に対する耐久性が低下することになる。
図6は本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の変形例を示すものである。図1~5に示す実施形態では、熱伝導部材13が接着層12の突出部12Aの全面に設置されているが、図6に示す実施形態では、熱伝導部材13が接着層12の突出部12Aの一部に設置されている。即ち、図6に斜線部で示すように、熱伝導部材13が接着層12の突出部12Aにおいてタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に断続的に設置されている。この場合、タイヤ内面10の平面視において、熱伝導部材13の面積が接着層12の突出部12Aの面積の30%以上になるように構成すると良い。また、熱伝導部材13が接着層12の突出部12Aにおいてタイヤ幅方向に断続的に設置されている場合(図6の下側の突出部12Aの場合)、熱伝導部材13の幅W2が接着層12の突出部12Aの幅W1の50%以上になるように構成すると良い。
図7は本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の他の変形例を示すものである。図7において、熱伝導部材13は少なくともタイヤ幅方向の端部に複数個の切り込み14を有している。このように熱伝導部材13のタイヤ幅方向の端部に切り込み14を設けた場合、熱伝導部材13がタイヤの変形に追従し易くなり、熱伝導部材13のタイヤ内面10に対する接着性を改善することができる。なお、切り込み14を設けるにあたって、その切り込み14を熱伝導部材13の幅方向の全域にわたって形成し、熱伝導部材13をタイヤ周方向に分割することも可能である。
図8は本発明の空気入りタイヤの内面に接着された吸音材及び熱伝導部材の他の変形例を示すものである。図8において、熱伝導部材13は少なくともタイヤ幅方向の端部において立体構造を有している。つまり、熱伝導部材13のタイヤ幅方向の端部には切り込み部分を折り曲げて加工された複数個のフィンからなる立体放熱部15が形成されている。このように熱伝導部材13のタイヤ幅方向の端部を立体構造とすることにより、熱伝導部材13のタイヤ幅方向の端部からの放熱効果を更に高めることができる。なお、熱伝導部材13のタイヤ幅方向の端部をタイヤ周方向に引き伸ばして皺を形成することで立体構造としても良い。
図9は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの変形例を示すものである。図9に示す空気入りタイヤは、吸音材11の貼り付け枚数が異なる以外は図1の空気入りタイヤと同じ構造を有する。具体的に、図1~8に示す実施形態では、タイヤ内面10のトレッド部1に対応する領域において、タイヤ周方向に沿って1枚の帯状の吸音材11を接着されているが、図9に示す実施形態では、タイヤ周方向に沿って複数枚(図9では2枚)の帯状の吸音材11が接着されている。接着層12はこれら吸音材11の貼り付け領域から突出して配置されており、その接着層12の突出部12Aにはそれぞれ熱伝導部材13が設置されている。即ち、熱伝導部材13は、接着層12のタイヤ幅方向の中央部及び両端部の3箇所に接着されている。この場合、吸音材11のタイヤ幅方向の長さL1は、2枚の吸音材11のタイヤ幅方向外側に位置するそれぞれの端部の間の長さである。
タイヤサイズ275/35R20で、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面に接着層を介して吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、接着層は基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなり、粘着剤の熱伝導率は0.4W/(m・K)であり、接着層を吸音材の貼り付け領域から突出して配置し、その接着層の吸音材から突出した部分に熱伝導部材を配置し、吸音材のタイヤ幅方向の長さL1に対する接着層のタイヤ幅方向の長さL2の比率(L2/L1×100%)を表1のように異ならせた実施例1~5のタイヤを製作した。
比較のため、接着層を構成する粘着剤の熱伝導率が0.2W/(m・K)であり、接着層が吸音材から突出しておらず、熱伝導部材を備えていないこと以外は実施例1と同じ構造を有する従来例のタイヤを用意した。また、接着層を構成する粘着剤の熱伝導率が0.2W/(m・K)であり、接着層及び熱伝導部材の構造が異なること以外は実施例1と同じ構造を有する比較例のタイヤを用意した。
なお、従来例、比較例及び実施例1~5において、いずれも接着層として基材を含まない粘着剤からなる両面接着テープ(厚さ0.05mm)を用いた。また、比較例及び実施例1~5において、熱伝導部材として熱伝導率が160W/(m・K)のアルミ箔(厚さ0.01mm)を使用すると共に、その熱伝導部材を接着層の吸音材から突出した部分の全面に設置した。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、高速耐久性、荷重耐久性及び重量を評価し、その結果を表1に併せて示した。
高速耐久性:
各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9.5Jのホイールに組み付け、空気圧220kPa、荷重6.6kN、初期速度150km/hの条件でドラム試験機にて走行試験を開始し、10分毎に速度を5km/h増加させ、タイヤのトレッド部に故障が発生した際の速度を調べ、その結果を表1に示す。この速度が大きいほど、高速耐久性が優れていることを意味する。
荷重耐久性:
各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9.5Jのホイールに組み付け、空気圧250kPa、走行速度80km/h、走行距離2600km、荷重8.3kNから80km走行毎に荷重を10%増加させる条件でドラム試験機にて走行試験を実施した後、吸音材、接着層及び熱伝導部材の各接着面における剥離の有無を目視により確認した。
重量:
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、比較例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が軽いことを意味する。
Figure 0007069693000001
この表1から判るように、従来例との対比において、実施例1~5はいずれも高速耐久性が改善されていた。また、比較例との対比において、実施例1~5はいずれも荷重耐久性及び重量が改善されていた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
10 タイヤ内面
11 吸音材
12 接着層
12A 突出部
13 熱伝導部材
14 切り込み
15 立体放熱部

Claims (8)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、タイヤ内面に接着層を介して吸音材を接着した空気入りタイヤにおいて、
    前記接着層が基材を含まない熱伝導性の粘着剤からなり、該粘着剤の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であり、前記接着層が前記吸音材の貼り付け領域から突出して配置され、前記接着層の前記吸音材から突出した部分にのみ熱伝導部材が配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記接着層のタイヤ幅方向の長さが前記吸音材のタイヤ幅方向の長さの110%~200%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記熱伝導部材の熱伝導率が5.0W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記熱伝導部材が金属箔から構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記接着層の厚さが0.05mm~0.30mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記熱伝導部材の厚さが0.001mm~0.15mmであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記熱伝導部材が少なくともタイヤ幅方向の端部に切り込みを有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記熱伝導部材が少なくともタイヤ幅方向の端部において立体構造を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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