JP2009040145A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ロードノイズの有効なる低減を前提に、サイドウォール部の内部で発生した熱を効果的に放熱可能な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】多孔質材料からなる帯状の吸音層11をインナーライナ10の内面上に配設してなる空気入りタイヤにおいて、吸音層10は、比較的厚さの大きい厚肉部13と、厚肉部13よりも厚さの小さい薄肉部14を具え、薄肉部14は、タイヤ最大幅位置12を通ることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図1
【解決手段】多孔質材料からなる帯状の吸音層11をインナーライナ10の内面上に配設してなる空気入りタイヤにおいて、吸音層10は、比較的厚さの大きい厚肉部13と、厚肉部13よりも厚さの小さい薄肉部14を具え、薄肉部14は、タイヤ最大幅位置12を通ることを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図1
Description
この発明は、多孔質材料からなる帯状の吸音層をインナーライナの内面上に配設してなる空気入りタイヤに関し、特にかかるタイヤのサイドウォール部の内部で発生した熱の蓄積の防止を図る。
リム組みされ車両に取り付けられた空気入りタイヤは、車両の走行中にトレッド部が路面の凹凸に衝接して振動することによって、タイヤ内腔に充填された空気の空洞共鳴を生ずる。この空洞共鳴は、いわゆるロードノイズの主原因であり、その共鳴周波数の多くは180〜300Hzの範囲内に存在する。ロードノイズは、車室内に伝達されるに当たり、他の周波数帯域の騒音とは異なり、鋭く高いピーク値を取るため、車室内の乗員にとって耳障りな騒音となる。
かかる空洞共鳴を抑制し、ロードノイズを低減するため、特許文献1には、リムと、リムに接着される空気入りタイヤとがなすタイヤ内腔に、スポンジ材を用いた非リング状の制音用の帯状シートをタイヤ周方向に固定するとともに、前記帯状シートは、タイヤの内腔の全体積S1に対する比率S2/S1を、0.4%以上とした体積S2を有し、しかも前記スポンジ材は、比重が0.005〜0.06、かつ前記帯状シートのタイヤ内腔に向く面を、凹凸面とするとともに、前記凹凸面は、突起状の凸部と窪み状の凹部とが、タイヤ周方向、又はタイヤ軸方向に位置を揃えることなく点在させ凹凸を繰り返すことを特徴とする空気入りタイヤとリムとの組立体が提案されている。
しかし、特許文献1に記載された発明では、走行中のロードノイズは有効に低減できるものの、吸音効果の増大の観点からゴムや合成樹脂を発泡させたいわゆるスポンジ材からなる帯状シートを、サイドウォール部の内周側のインナーライナの内面上にも配設した場合には、その帯状シートが断熱機能も発揮するため、サイドウォール部内部で発生した熱を、空気入りタイヤとリムとによって区画される内腔内へ円滑に放散できなくなるという不都合があった。
すなわち、サイドウォール部は、タイヤの転動に伴い繰り返したわみ変形すること等よって内部で熱を発生するが、この熱の、タイヤ内腔への発散がインナーライナに固着した帯状シートによって妨げられている。このため、サイドウォール部の温度が過剰に上昇し、ゴム質の熱劣化等に起因して、カーカスコード等がゴム質から剥離して、タイヤの耐久性の低下を惹起するおそれが高かった。かかる熱劣化は、たわみ変形の支点となり熱の発生が大きいタイヤ最大幅位置で特に顕著に生じ、さらにこの熱劣化は、タイヤが凹凸の激しい路面を負荷転動する場合、高速で負荷転動する場合等に特に深刻である。
したがって、この発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、ロードノイズの有効なる低減を前提に、サイドウォール部の内部で発生した熱を効果的に放熱することができる空気入りタイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明は、多孔質材料からなる帯状の吸音層をインナーライナの内面上に配設してなる空気入りタイヤにおいて、前記吸音層は、比較的厚さの大きい厚肉部と、前記厚肉部よりも厚さの小さい薄肉部を具え、前記薄肉部は、タイヤ最大幅位置を通ることを特徴とする空気入りタイヤである。このように、タイヤ内面に吸音層を設けたことで、タイヤ内腔での空洞共鳴の発生に際する、充填空気の振動エネルギの多くを、吸音層を構成する多孔質材料の内部振動エネルギに変換し、そして熱エネルギとして消費させることで空洞共鳴音を有効に低減することができる。また、特に内部発熱の大きいタイヤ最大幅位置に比較的厚さの小さい薄肉部を設けたことで、発生した熱をこの薄肉部から内腔内へ円滑に放散することができる。
なお、ここでいう厚肉部及び薄肉部の「厚さ」とは、厚肉部及び薄肉部のそれぞれの範囲についての厚さを平均化して算出した厚さである。また、「タイヤ最大幅位置」とは、次の規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim”、”Recommended Rim”)にタイヤを組み付け、次の規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)および最大荷重に対応する空気圧を適用した条件での接地状態にて、タイヤ幅方向断面で見て、タイヤ幅方向で最も幅の大きい位置をいうものとする。そして、規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格をいい、例えば、アメリカ合衆国ではThe Tire and Rim Association Inc.の”Year Book”であり、欧州ではThe European Tire and Rim Technical Organizationの”Standards Manual”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の”JATMA Year Book”である。なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスに置換することも可能である。
また、吸音層は、サイドウォール部及びビード部の内面領域の少なくとも一部のインナーライナの内面上に配設することが好ましい。なお、ここでいう「サイドウォール部及びビード部の内面領域」とは、トレッド接地端の内面からビードトウまでの領域を意味し、この「トレッド接地端」とは、上記規格に記載されている適用サイズにおける標準リムにタイヤを組み付け、そのタイヤ内に同規格に定める最高空気圧を適用し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、最大負荷荷重(乗用車空気入りタイヤの場合にあっては、最大負荷能力の88%に相当する荷重)を加えたときの平板との接触面におけるタイヤ幅方向最外側の端部である。そして、ここでいう「トレッド接地端の内面」とは、タイヤ幅方向断面でみて、前記したトレッド接地端からタイヤの内面の輪郭線(ペリフェリ)に下ろした垂線とタイヤ内面との交点である。
さらに、薄肉部の厚さは、厚肉部のそれの75%以下であることが好ましい。
さらに、薄肉部の子午線方向の長さは、20mm以上とすることが好ましい。
さらに、薄肉部の子午線方向の中心位置は、タイヤ最大幅位置と一致することが好ましい。
さらに、薄肉部の子午線方向に長さは、タイヤ周方向にわたって同一とすることが好ましい。
さらに、薄肉部は、タイヤ周方向に連続して延びることが好ましい。
加えて、薄肉部は、全てタイヤ最大幅位置を通ることが好ましい。
この発明によれば、吸音層の配設により、ロードノイズを有効に低減しつつ、この吸音層の適正位置に設けた薄肉部により、サイドウォール部の内部で発生した熱を効果的にタイヤ内腔に放熱することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という。)を標準リムに装着して構成したタイヤとリムの組立体のタイヤ幅方向における断面を、最大荷重及び最大荷重に対応する空気圧を適用した条件での接地状態で示しており、図2(a)は、図1に示すタイヤの吸音層の展開図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面矢視図であり、図3は、この発明に従う他のタイヤを標準リムに装着して構成したタイヤとリムの組立体のタイヤ幅方向における断面を、最大荷重及び最大荷重に対応する空気圧を適用した条件での接地状態で示しており、図4(a)は、図3に示すタイヤの吸音層の一方の展開図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B断面矢視図である。
図1に示すように、この発明の空気入りタイヤ1は、慣例に従い、路面に接地するトレッド部2と、このトレッド部2の両側部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3のタイヤ径方向に設けられ、リムRに嵌合される一対のビード部4とでタイヤ本体部5を構成している。このタイヤ本体部5の内部には、各ビード部に埋設したビードコア6、6間にトロイド状に延びてタイヤ本体部5の骨格構造をなす、例えばラジアル構造のカーカス7と、このカーカス7のクラウン域の外周側に位置し、トレッド部2を補強するベルト8とが配設されている。また、タイヤ本体部5の内面側、すなわちタイヤ1とリムRとにより画定されるタイヤ内腔9に面する側には空気不透過性のインナーライナ10が配設されている。
インナーライナ10の内面上には、多孔質材料からなる1枚の帯状の吸音層11が全周にわたって配設されており、これにより、タイヤ内腔9で生じた空洞共鳴に伴う充填空気の振動エネルギを、吸音層11を構成する多孔質材料の内部エネルギに変換し、そして熱エネルギとして消費させ、空洞共鳴音の低減を達成している。
吸音層11を構成する多孔質材料としては、ゴムや合成樹脂を発泡させてなる、連続気泡若しくは独立気泡を有する発泡材料、又は動物繊維、植物繊維、合成繊維等を絡み合わせて一体化した織布、不織布、編布等を用いることができる。多孔質材料として例えば合成ゴムを用いると吸音層11に優れた耐熱性及び耐水性も付与することができ、エーテル系のポリウレタンフォームを用いると発泡材料が加水分解しにくいという特性も付与することができる。
かかる吸音層11は、インナーライナ10に固着させることができる。この固着には、例えば熱溶着、接着剤、両面テープ、面ファスナー等を用いることができ、さらに生タイヤの状態で吸音層を固着する場合には加硫接着を用いることもできる。
そして、この発明の構成上の主な特徴は、図1及び2に示すように、吸音層11は、比較的厚さの大きい厚肉部13と、この厚肉部13よりも厚さの小さい薄肉部14とを具え、この薄肉部14が、タイヤ幅方向で最も幅の大きいタイヤ最大幅位置12を通ることにある。
タイヤが負荷転動する際には、サイドウォール部のたわみ変形等によって内部に熱が発生する。通常のタイヤであれば、この熱はタイヤ内腔に充填された空気へ発散され、この空気がリムで冷却されるため、サイドウォール部の温度が過剰に上昇することはない。しかし、ロードノイズの低減を目的として多孔質材料からなる吸音層をタイヤ内面に配設した場合には、多孔質材料は高断熱材でもあるため、サイドウォール部内部で発生した熱のタイヤ内腔への放熱が吸音層によって妨げられ、この結果、サイドウォール部の温度が過剰に上昇するおそれがある。このような温度上昇は、サイドウォール部を構成するゴム質の熱劣化を招き、カーカスコード等がゴム質から剥離して、タイヤの耐久性を低下させる。
これに対し、この発明のタイヤでは、吸音層11に比較的厚さの小さい薄肉部14を設け、この薄肉部14を介してサイドウォール部3の内部で発生した熱をタイヤ内腔9の充填空気に円滑に放熱することができる。また、サイドウォール部3の内部での発熱は、タイヤ最大幅位置12の近傍で特に大きいことが知られている。そこで、薄肉部14を、タイヤ最大幅位置12を通るように配設することで、十分な放熱効果を得ている。これにより、サイドウォール部3の過剰な温度上昇を防止し、タイヤの耐久性を維持することが可能となる。
タイヤ内腔の充填空気への放熱性を確保するには、複数枚の多孔質材料をタイヤ幅方向及び/又はタイヤ周方向に離間させて配置し、これら離間部分から熱を放出することも考えられるが、この場合には、吸音層が複数になることから、インナーライナの内面へ多孔質材料の貼り付け工程が複雑になる上、均一な間隔で配設を行うには高い貼り付け精度が要求され、この結果製造コストが上昇する。また、吸音層の間隔が不均一になるとタイヤのユニフォミティが低下する。これに対し、この発明のタイヤでは、吸音層11を1枚の多孔質材料で構成することもでき、低コストでありながらユニフォミティを高く維持することができる。
また、図3及び4に示すように、吸音層11は、サイドウォール部3及びビード部4の内面領域(すなわち、トレッド接地端15からインナーライナ10の内面に下ろした垂線Kとインナーライナ10の内面との交点に対応するトレッド接地端の内面からビードトウ13までの領域)の少なくとも一部のインナーライナ10の内面上に配設することもできる。このようにすることは、特に、トレッド部2の内面にパンク修理剤を噴布する場合に有利である。吸音層11にパンク修理剤が浸透すると吸音効果が著しく低下するおそれがあるからである。また、吸音層を有する箇所が故障した場合には、故障箇所の修理作業において通常の修理作業の他に、事前に故障箇所の周囲の吸音層11を除去し、インナーライナ10が露出するまでグラインダ等でバフがけし、クスラッチャ等で表面を滑らかにする作業と、事後的に吸音層11を除去した部分に再度吸音層11を貼り付ける作業とが必要となり、パンク等の故障箇所の修理に相当の時間と手間を要することとなることから、吸音層11を比較的パンク等の故障が少ないサイドウォール部3やビード部4の内面領域に配設することは、パンク等の故障箇所を修理する場合にも有利である。
また、薄肉部14の厚さは、厚肉部13のそれの75%以下であることが好ましい。タイヤ最大幅位置12において、薄肉部14の厚さが、厚肉部13のそれの75%を超えると、十分な放熱効果が得られないおそれがあるからである。
さらに、薄肉部14の子午線方向の長さLは、20mm以上とすることが好ましい。薄肉部14の子午線方向の長さLが、20mm未満の場合は、放熱の効果が十分に得られなくなるからである。
さらに、薄肉部14の子午線方向の中心位置は、タイヤ最大幅位置12と一致することが好ましい。タイヤ最大幅位置12の近傍に発生する熱を、その子午線方向の上側及び下側に均等に放熱させることができ、放熱効果をより高めることができるからである。
さらに、薄肉部14の子午線方向に長さLは、タイヤ周方向にわたって同一とすることが好ましい。周方向にわたる吸音層11の質量を均一化しユニフォミティの悪化を抑制することができるからである。
さらに、薄肉部14は、タイヤ周方向に連続して延びることが好ましい。これにより、薄肉部14の放熱面積を大きくすることができ、放熱効果をより高めることができるからであり、また、周方向にわたる吸音層11の質量を均一化しユニフォミティの悪化を抑制することができるからである。
加えて、薄肉部14は、全てタイヤ最大幅位置を通ることが好ましい。これにより、発熱の大きいタイヤ最大幅位置12に対応する薄肉部14を最大化でき、より効率の高い放熱が得られるからである。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、薄肉部14の肉厚は、図示例のように薄肉部14の幅方向にわたって同一としてもよいが、これに限らず、薄肉部14の幅方向中心に向かうほど徐々に肉厚を小さくしてもよい。また、図示は省略するが、薄肉部14は、タイヤ周方向に不連続に存在していてもよく、タイヤ周方向に曲線状やジグザグ状に延びていてよい。
次に、この発明に従うタイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1のタイヤは、タイヤサイズが215/45R17のラジアルタイヤであり、インナーライナの内周面上に、繊度が6dtex、厚さが14mm、幅が280mmのポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を吸音層として配設してなり、吸音層には、図1(b)に示すように、タイヤ最大幅位置を連続して通る、子午線方向の長さが20mm、厚さが10mm(厚肉部の厚さに対する薄肉部の厚さは71%)である薄肉部が設けられており、この薄肉部は、タイヤ最大幅位置が当該薄肉部のタイヤ幅方向の中心に位置するように配置されている。また、この薄肉部は、全てタイヤ最大幅位置を通る。
実施例2のタイヤは、吸音層の配設位置及び範囲が異なることを除いて、実施例1のタイヤと同一の構成を有するタイヤである。すなわち、実施例2のタイヤは、図3(a)に例示するように、サイドウォール部のインナーライナの内周面上の一部(トレッド接地端よりタイヤ径方向内側に10mmの位置から、ビードトウよりタイヤ径方向外側に30mmの位置までの範囲)に、繊度が6dtex、厚さが14mm、幅が50mmのポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を吸音層として配設してなる。吸音層には、図4(b)に示すように、タイヤ最大幅位置を連続して通る、子午線方向の長さが20mm、厚さが10mm(厚肉部の厚さに対する薄肉部の厚さは71%)である薄肉部が設けられており、この薄肉部は、タイヤ最大幅位置が当該薄肉部のタイヤ幅方向の中心に位置するように配置されている。また、この薄肉部は、全てタイヤ最大幅位置を通る。
実施例3のタイヤは、薄肉部の厚さが異なることを除いて、実施例2のタイヤと同一の構成を有するタイヤである。この実施例3のタイヤの薄肉部の厚さは、10.5mm(厚肉部の厚さに対する薄肉部の厚さは75%)である。
実施例4のタイヤは、薄肉部の厚さが異なることを除いて、実施例2のタイヤと同一の構成を有するタイヤである。この実施例4のタイヤの薄肉部の厚さは、11.5mm(厚肉部の厚さに対する薄肉部の厚さは82%)である。
比較のため、吸音層を有していないことを除いて、実施例1〜4のタイヤと同一の構成を有する従来例1のタイヤ、吸音層に薄肉部が設けられていないことを除いて、実施例1のタイヤと同一の構成を有する従来例2のタイヤ、及び吸音層に薄肉部が設けられていないことを除いて、実施例2〜4のタイヤと同一の構成を有する従来例3のタイヤについても併せて試作した。
前記各供試タイヤを、サイズ17×7Jのリムに装着してタイヤ車輪とし、このタイヤ車輪に空気圧210kPa(相対圧)を適用し、テスト車両に取り付け、タイヤ負荷荷重3.92kN、速度60km/hの条件下でアスファルト路面を走行した際の室内騒音を測定した。この測定結果を周波数分析し、230kHz付近に見られるピークの音圧レベルにより空洞共鳴の抑制効果を評価した。その評価結果を表1に示す。なお、表中の評価結果は、吸音層を有しない従来例1の音圧レベルに対する、吸音層を配設した従来例2及び3の空洞共鳴抑制効果をそれぞれ100としたときの指数比で表しており、数値が大きいほど空洞共鳴の抑制効果が大きい。
また、前記各供試タイヤを、サイズ17×7Jのリムに装着してタイヤ車輪とし、このタイヤ車輪に空気圧130kPa(相対圧)を適用し、タイヤ負荷荷重5.345kN、速度60km/hの条件下で、ドラム試験機上を走行距離に換算して10,000km相当を目標に負荷転動させた際の、タイヤの故障の有無を調べ耐久性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、表中の評価結果は、10,000km完走を100としたときの、各タイヤが故障するまでの走行距離を指数比で表したものであり、数値が大きいほど耐久性に優れている。また、故障は、各タイヤのサイドウォール部又はビード部にクラック(亀裂)が発生した時点をもって故障有りと判断した。
表1に示す結果から、実施例1のタイヤは、空洞共鳴抑制効果を維持しながら、薄肉部を有していない従来例2のタイヤに比べて、耐久性が大幅に向上していることがわかった。また、実施例2〜4のタイヤは、空洞共鳴抑制効果を維持しながら、薄肉部を有していない従来例3のタイヤに比べて、耐久性が大幅に向上していることがわかった。また、薄肉部の厚さを薄くすればするほど、耐久性は向上することも確認された。
以上の説明から明らかなように、この発明により、ロードノイズの有効なる低減を前提に、サイドウォール部の内部で発生した熱を効果的に放熱することができる空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 タイヤ本体部
6 ビードコア
7 カーカス
8 ベルト
9 タイヤ内腔
10 インナーライナ
11 吸音層
12 タイヤ最大幅位置
13 厚肉部
14 薄肉部
15 トレッド接地端
16 ビードトウ
R リム
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 タイヤ本体部
6 ビードコア
7 カーカス
8 ベルト
9 タイヤ内腔
10 インナーライナ
11 吸音層
12 タイヤ最大幅位置
13 厚肉部
14 薄肉部
15 トレッド接地端
16 ビードトウ
R リム
Claims (8)
- 多孔質材料からなる帯状の吸音層をインナーライナの内面上に配設してなる空気入りタイヤにおいて、
前記吸音層は、比較的厚さの大きい厚肉部と、前記厚肉部よりも厚さの小さい薄肉部を具え、
前記薄肉部は、タイヤ最大幅位置を通ることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記吸音層は、サイドウォール部及びビード部の内面領域の少なくとも一部のインナーライナの内面上に配設される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部の厚さは、前記厚肉部のそれの75%以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部の子午線方向長さは、20mm以上である、請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部の子午線方向の中心位置は、タイヤ最大幅位置と一致する、請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部の子午線方向に長さは、タイヤ周方向にわたって同一である、請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部は、タイヤ周方向に連続して延びる、請求項1〜6の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記薄肉部は、全てタイヤ最大幅位置を通る、請求項1〜7の何れかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007205416A JP2009040145A (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | 空気入りタイヤ |
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Publication Number | Publication Date |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2009040145A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012126233A (ja) * | 2010-12-15 | 2012-07-05 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ |
JP2013525203A (ja) * | 2010-05-07 | 2013-06-20 | レクティセル エヌ.ヴィー. | 弾性車両タイヤ |
-
2007
- 2007-08-07 JP JP2007205416A patent/JP2009040145A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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