以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、特徴的な構造を有する光学モジュールと、この光学モジュールに内蔵された波長可変光フィルター及び波長可変光フィルターの製造方法について図面に従って説明する。光学モジュールについて図1~図2に従って説明する。図1及び図2は光学モジュールの構造を示す概略斜視図である。図1は光学モジュールの第1蓋体側から見た図であり、図2は光学モジュールの第2蓋体側から見た図である。図1に示すように、光学モジュール1は略直方体の形状となっている。光学モジュール1の図中下方向をZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ光学モジュール1の辺に沿う方向であり、直交する方向となっている。
光学モジュール1は有底角筒状の筐体2を備え、筐体2の-Z方向側には円形の第1孔2aが形成されている。そして、第1孔2aを塞ぐように第1蓋体3が設置されている。筐体2と第1蓋体3とは第1の低融点ガラス4により接合されている。筐体2において-Z方向側の面には第1端子5、第2端子6、第3端子7が設置されている。筐体2のZ方向側には第2蓋体8が設置され、筐体2と第2蓋体8とは第2の低融点ガラス9により接合されている。
第1蓋体3及び第2蓋体8は光透過性を有するケイ酸ガラスによって形成されている。筐体2の材質は第1蓋体3及び第2蓋体8と線膨張率が近い材質であれば良く特に限定されないが、本実施形態では例えば、筐体2の材質にセラミックを用いている。
図2に示すように、筐体2のZ方向には四角形の第2孔2bが形成されている。第2孔2bは第1孔2aより大きな孔となっている。そして、第2孔2bを塞ぐように第2蓋体8が設置されている。筐体2、第1蓋体3及び第2蓋体8に囲まれた内部空間10は密閉された空間であり、内部空間10には波長可変光フィルターとしての光フィルター11が設置されている。換言すれば、筐体2は内部空間10を有し内部空間10に光フィルター11を収納する。第2蓋体8は筐体2と接続され内部空間10を密閉する。筐体2、第1蓋体3及び第2蓋体8等により収納部が形成され、収納部の内部に光フィルター11が収納されている。
光学モジュール1の寸法は特に限定されないが、本実施形態では例えば、光学モジュール1の厚みが約3mmである。筐体2をZ方向から見た大きさは1辺が約15mmの四角形になっている。第2蓋体8の厚みは約1mmである。光フィルター11をZ方向から見た大きさは1辺が約11mm~12mmの四角形になっている。光フィルター11の厚みは約0.7mm~約1.5mmになっている。
図3は光フィルターの構造を示す模式側断面図である。図4は固定基板の構造を示す模式平面図である。図5は可動基板の構造を示す模式平面図である。図3は、図4及び図5のA-A線に沿う断面側から見た図である。
図3に示すように、光フィルター11は第1基板としての固定基板12及び第2基板としての可動基板13を備えている。固定基板12は四角形の板状になっている。固定基板12の中央には円柱状に-Z方向に突出する反射膜設置部12aが設置されている。この反射膜設置部12aを囲んで円環状に凹んだ電極設置溝12bが設置されている。電極設置溝12bの周囲には-Z方向に突出する第1接合部12cが設置されている。第1接合部12cは可動基板13と接合する部位である。
固定基板12の材質は光を透過する材質であり、強度があれば良く特に限定されない。固定基板12の材質にはケイ酸ガラスが用いられている。ケイ酸ガラスには例えばソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、水晶等が含まれる。本実施形態では、例えば、固定基板12の材質にケイ酸ガラスを採用している。そして、固定基板12は厚みが例えば500μm~1000μmに形成されたガラス基材を加工することで形成されている。
固定基板12の-Z方向側の面には第1反射膜14が設置されている。第1反射膜14のうち反射膜設置部12aに設置されている部分が第1反射体15である。第1反射膜14のうち電極設置溝12bに設置されている部分が第3反射体16である。従って、光学モジュール1は第1反射体15及び第3反射体16を備え、固定基板12は第1反射体15及び第3反射体16を支持する。固定基板12の可動基板13側の面に第1反射体15及び第3反射体16が設置されている。第1反射体15と重ならない場所に第3反射体16が設置されている。
従って、第1反射体15及び第3反射体16は同じ工程で製造できるので、第1反射体15と第3反射体16とを別々に製造するときに比べて生産性良く製造することができる。
第1反射膜14、第1反射体15及び第3反射体16はシリコン層と2酸化シリコン層とが多層に積層されている。従って、第1反射膜14、第1反射体15及び第3反射体16は多層膜ミラーになっている。
第1接合部12c上には第1反射膜14が設置されるのが好ましい。固定基板12と可動基板13との間に第1接合部12cから迷光が入ることを抑制できる。第1接合部12c上から固定基板12と可動基板13との間に入る迷光が少ないときには、第1接合部12c上の第1反射膜14を省略しても良い。
同様に、第1接合部12cの電極設置溝12b側の側面にも第1反射膜14が設置されるのが好ましい。第1接合部12cから固定基板12と可動基板13との間に迷光が入ることを抑制できる。第1接合部12cの電極設置溝12b側の側面から固定基板12と可動基板13との間に入る迷光が少ないときには、第1接合部12cの電極設置溝12b側の側面に第1反射膜14を設置しなくても良い。
同様に、反射膜設置部12aの電極設置溝12b側の側面にも第1反射膜14が設置されるのが好ましい。固定基板12と可動基板13との間に迷光が入ることを抑制できる。反射膜設置部12aの電極設置溝12b側の側面から固定基板12と可動基板13との間に入る迷光が少ないときには、反射膜設置部12aの電極設置溝12b側の側面に第1反射膜14を設置しなくても良い。
反射膜設置部12aでは第1反射体15の表面に表面膜としての固定電極17が設置されている。Z方向から見たときの反射膜設置部12a、第1反射体15及び固定電極17は同じ形状であり円形になっている。
固定電極17の材質にはITO(Indium Tin Oxide)、IGO(Indium-gallium oxide)、ICO(indium-doped cadmium oxide)等の透明な導電性ある材質を用いることができる。本実施形態では例えば固定電極17の材質にITOが用いられている。
電極設置溝12bでは第3反射体16上に光吸収体18、絶縁膜としての第1絶縁膜21及び第1電極22が重ねて設置されている。Z方向から見たときの第3反射体16、光吸収体18及び第1絶縁膜21の形状は同じ形状であり円環状になっている。Z方向から見たときの第1電極22の形状も円弧である。第1電極22の径方向の幅は第1絶縁膜21より狭くなっている。
光吸収体18の材質は光を吸収し成膜し易い材質であれば良く特に限定されない。光吸収体18の材質にはタングステン、銀、銅等の金属を用いることができる。本実施形態では、例えば、光吸収体18の材質にタングステンを採用している。
光吸収体18は金属膜である。金属膜はシリコン等の無機物に比べて消衰係数が高いので、光吸収体18を薄い膜にできる。その結果、光フィルター11を薄くできる。
第1絶縁膜21の材質は絶縁性があり成膜し易い材質であれば良く特に限定されない。第1絶縁膜21の材質には2酸化シリコンやアルミナを用いることができる。本実施形態では、例えば、第1絶縁膜21の材質に2酸化シリコンを採用している。
第1電極22の材質は導電性があり成膜し易い材質であれば良く特に限定されない。本実施形態では、例えば、第1電極22の材質にITOを用いている。第1電極22の材質には他にもTiW膜等の金属膜を用いることができる。第1電極22と固定電極17とを同じ材質にするときには、第1電極22と固定電極17とを同じ工程で成膜することができる。従って、生産性良く光学モジュール1を製造することができる。
第1接合部12cでは第1反射膜14に重ねて光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1接合膜23が設置されている。第1接合部12cにおける光吸収体18及び第1絶縁膜21は電極設置溝12bにおける光吸収体18及び第1絶縁膜21と同じ膜であり、同じ工程で設置される膜である。光吸収体18及び第1絶縁膜21は省略しても良い。
第1接合膜23は固定基板12と可動基板13とを接合するときに用いられる膜である。第1接合膜23には例えば、シロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された膜を用いることができる。
可動基板13には中央を囲む円環状の溝13aが設置されている。溝13aに囲まれた円柱状の部分を可動部13bとする。可動部13bは固定基板12の反射膜設置部12aと対向して配置されている。溝13aの部分では可動基板13の厚みが薄くなっているので、可動部13bは容易にZ方向に移動することが可能になっている。可動基板13の材質は光を透過する材質であり、強度があれば良く特に限定されない。可動基板13の材質には固定基板12と同じ材質を用いることができる。可動基板13は、厚みが例えば300μm~1000μmに形成されたガラス基材に平面研磨等の加工を施して形成されている。
可動基板13の+Z方向側の面には第2反射膜24が設置されている。第2反射膜24のうち第1反射体15と対向配置されている部分が第2反射体25である。第2反射膜24のうち第2反射体25以外の場所の部分が第4反射体26である。従って、光学モジュール1は第2反射体25及び第4反射体26を備え、可動基板13は第2反射体25及び第4反射体26を支持する。可動基板13の固定基板12側の面に第2反射体25及び第4反射体26が設置されている。
従って、第2反射体25及び第4反射体26は同じ工程で製造できるので、第2反射体25と第4反射体26とを別々に製造するときに比べて生産性良く製造することができる。
第1反射体15と第2反射体25とは対向配置されている。そして、第4反射体26は第1反射体15及び第2反射体25と重ならない場所に設置されている。第4反射体26は第3反射体16と対向配置されている。そして、第3反射体16は第1反射体15及び第2反射体25と重ならない場所に設置されている。第2反射体25と第4反射体26とは連続して設置されている。
反射膜設置部12aと対向する場所では第2反射体25の表面に表面膜としての可動電極27が設置されている。Z方向から見たときの反射膜設置部12a、第2反射体25及び可動電極27は同じ形状であり円形になっている。
第4反射体26上には光吸収体28、絶縁膜としての第2絶縁膜29及び第2電極30が重ねて設置されている。従って、光吸収体18及び光吸収体28は第3反射体16と第4反射体26との間に配置されている。Z方向から見たときの第4反射体26、光吸収体28及び第2絶縁膜29の形状は同じ形状であり円環状になっている。Z方向から見たときの第2電極30の形状も円環状である。第2電極30の径方向の幅は第1電極22と同じになっている。
第2反射膜24の材質は第1反射膜14と同じ材質を用いている。可動電極27の材質は固定電極17と同じ材質であり、ITOを用いている。光吸収体28の材質は光吸収体18と同じ材質を用いている。第2絶縁膜29の材質は第1絶縁膜21と同じ材質を用いている。第2電極30の材質は導電性があり成膜し易い材質であれば良く特に限定されないが、本実施形態では、例えば、第2電極30の材質にITO膜を用いている。
光吸収体28は光吸収体18と同様に金属膜である。金属膜はシリコン等の無機物に比べて消衰係数が高いので、光吸収体28を薄い膜にできる。その結果、光フィルター11を薄くできる。光吸収体18及び光吸収体28の厚みは1nm以上10nm以下である。
光吸収体28が導電性であるときには、可動電極27と光吸収体28とを絶縁するために、可動電極27と光吸収体28との間に第2絶縁膜29を配置するのが好ましい。可動電極27と光吸収体28との間で雑音成分の信号が伝達されることを抑制することができる。
可動基板13において第1接合部12cと対向する場所には第2反射膜24が設置されるのが好ましい。第1接合部12cにおいて-Z方向側から固定基板12と可動基板13との間に迷光が入ることを抑制できる。第1接合部12c上から固定基板12と可動基板13との間に入る迷光が少ないときには、第1接合部12c上の第2反射膜24を省略しても良い。
第1接合部12cと対向する場所では第2絶縁膜29上に第2接合膜31が設置されている。第2接合膜31は第1接合膜23と同様の膜である。第1接合膜23及び第2接合膜31は固定基板12と可動基板13とを接合するときに用いられる。
図4に示すように、固定基板12の中央には円柱状の反射膜設置部12aが設置されている。反射膜設置部12aの-Z方向側の面に第1反射体15及び固定電極17が設置されている。反射膜設置部12aの周囲には円環状の電極設置溝12bが設置され、電極設置溝12bには第1絶縁膜21、光吸収体18及び第3反射体16が設置されている。第1絶縁膜21上には反射膜設置部12a側に円環状の第1電極22が設置されている。
電極設置溝12bは反射膜設置部12aの+X方向側及び-X方向側に延び固定基板12の外周にまで延びている。そして、固定基板12では電極設置溝12bが+X方向側及び-X方向側で開口している。
固定電極17と第1電極22とは第1配線32により電気的に接続されている。電極設置溝12bでは第1電極22から第2配線33が+X方向側かつ-Y方向側に延びて設置されている。電極設置溝12bには反射膜設置部12aの+X側に角柱状の突起部34が設置されている。突起部34の-Z方向側の面には第1導電膜端子35が設置されている。第2配線33は+X方向側及び+Y方向側に折れて配置され第1導電膜端子35と接続されている。
図5に示すように、Z方向から見た平面視で可動基板13には中央の可動部13bを囲む円環状の溝13aが設置されている。可動部13bは固定基板12の反射膜設置部12aと対向して配置されている。可動部13b上には第2反射体25及び可動電極27が設置されている。第2反射体25はZ方向から見た形状が円形の膜であり表面が鏡面となっている。第2反射体25は入射する光の一部を反射し一部を透過させる。
可動電極27の+X方向側には第3配線36が設置されている。可動基板13には+X方向側に第2端子37が設置され、第3配線36は可動電極27と第2端子37とを電気的に接続する。可動電極27と同心円状に並んで第2電極30が設置され、第2電極30は円弧状に可動電極27を囲んでいる。第2電極30は円弧状の+X方向側が分断され、分断された場所に第4配線38が設置されている。可動基板13には+X方向側に第3端子41が設置され、第4配線38は第2電極30と第3端子41とを電気的に接続する。
可動基板13の+X方向側には突起部34と対向する場所に第1端子42が設置されている。そして、第1端子42は第1導電膜端子35と電気的に接続されている。従って、第1端子42は固定電極17及び第1電極22と電気的に接続されている。
図6は第3反射体の構造を示す要部模式断面図である。図6に示すように、電極設置溝12bでは固定基板12上に第3反射体16、光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1電極22が重ねて設置されている。第3反射体16は2酸化シリコン層16aとシリコン層16bとが交互に積層されている。積層される層の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、2酸化シリコン層16aが4層であり、シリコン層16bが3層になっている。このとき、第3反射体16は高い反射率で光を反射することができる。そして、第4反射体26の構造は第3反射体16の構造と同じ構造になっている。
図7は第1反射体の構造を示す要部模式断面図である。図7に示すように、反射膜設置部12aでは固定基板12上に第1反射体15及び固定電極17が重ねて設置されている。第1反射体15は2酸化シリコン層15aとシリコン層15bとが交互に積層されている。さらに、2酸化シリコン層15aに重ねて2酸化シリコン層15cが設置されている。積層される層の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、2酸化シリコン層15aが4層であり、シリコン層15bが3層、2酸化シリコン層15cが1層になっている。このとき、第1反射体15は高い反射率で光を反射することができる。そして、第2反射体25の構造は第1反射体15の構造と同じ構造になっている。
第3反射体16における2酸化シリコン層16aと第1反射体15における2酸化シリコン層15aとは同じ膜厚であり、同じ工程で成膜されている。第3反射体16におけるシリコン層16bと第1反射体15におけるシリコン層15bとは同じ膜厚であり、同じ工程で成膜されている。第3反射体16における第1絶縁膜21と第1反射体15における2酸化シリコン層15cとは同じ材質であり、かつ、同じ膜厚であり、同じ工程で成膜されている。第3反射体16における第1電極22と第1反射体15における固定電極17とを同じ材質、かつ、同じ膜厚にしても良い。このとき、第1電極22と第1反射体15における固定電極17とを同じ工程で成膜することができる。
このように、第1反射体15と第3反射体16とは同じ工程で成膜される部分が多い。従って、第1反射体15と第3反射体16とを別々の工程で成膜するときに比べて、生産性良く第1反射体15及び第3反射体16を製造することができる。同様に、第2反射体25と第4反射体26とは同じ工程で成膜される部分が多い。従って、第2反射体25と第4反射体26とを別々の工程で成膜するときに比べて、生産性良く第2反射体25及び第4反射体26を製造することができる。
図8は光学モジュールにおける光路を説明するための模式図である。図8に示すように、第1反射体15と第2反射体25との間に入る光43は第1反射体15と第2反射体25との間で反射を繰りかえす。このとき、第1反射体15と第2反射体25との間の距離が波長の半分の整数倍の光43が通過する。従って、光学モジュール1は所定の波長の光43のみ通過させるフィルターになっている。
Z方向に対して斜めに第2反射体25または第1反射体15に入射する光43の一部が迷光44になる。迷光44は第1反射体15と第2反射体25との間で反射を繰りかえさないので、迷光44の波長は所定の波長に限定されない。迷光44は第3反射体16と第4反射体26との間に進行する。
第3反射体16と第4反射体26とは互いに対向配置されている。従って、第3反射体16と第4反射体26との間に進入した光は第3反射体16と第4反射体26との間を往復移動する。そして、第3反射体16と第4反射体26との間には光吸収体18及び光吸収体28が配置されている。第3反射体16と第4反射体26との間を往復移動する迷光44は光吸収体18及び光吸収体28通過するときに減衰する。従って、光フィルター11は特定の波長以外の波長の迷光44が通過することを抑制することができる。
可動基板13では第2反射体25と第4反射体26とが連続している。第2反射体25と第4反射体26との間に隙間があるときには、この隙間では迷光44が第3反射体16と第4反射体26との間で反復して反射しないので、減衰しない。第2反射体25と第4反射体26とが連続しているときには第1反射体15と第2反射体25との間から外れた迷光44を確実に減衰させることができる。
第1電極22及び第2電極30は対向配置されている。そして、第1電極22と第2電極30との間に電圧を印加することにより第1電極22と第2電極30との間隔が変化する。これにより、第1反射体15と第2反射体25との間の距離が調整できるので、第1反射体15及び第2反射体25を通過する光の波長を調整することができる。
そして、第3反射体16上には光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1電極22が重ねて設置されているので、第1電極22から光吸収体18に電気が流れることを抑制できる。第4反射体26上には光吸収体28、第2絶縁膜29及び第2電極30が重ねて設置されているので、第2電極30から光吸収体28に電気が流れることを抑制できる。
図9は光吸収体が設置されていないときの透過率スペクトルを示す図であり、第3反射体16と第4反射体26との間に光吸収体18及び光吸収体28が設置されていない形態における透過率スペクトルを示している。図9において、縦軸は透過率を示し、図中上側が下側より透過率が高くなっている。縦軸は目盛の1が100%に対応しているので、目盛の0.1は10%を示す。横軸は光43の波長を示し、図中右側が左側より波長が長くなっている。
第1曲線45は第1反射体15及び第2反射体25を通過する光43の透過率スペクトルの例である。そして、第2曲線46は第3反射体16及び第4反射体26を通過する光43の透過率スペクトルの例である。第1曲線45及び第2曲線46はシミュレーションにて算出した透過率スペクトルである。第2曲線46が示すように、波長が950nm付近に透過率のピークがあることを確認できる。第2曲線46のピークの大きさと波長は第3反射体16及び第4反射体26の構造により変わる。
図10は光吸収体が設置されているときの透過率スペクトルを示す図であり、第3反射体16と第4反射体26との間に光吸収体18及び光吸収体28が設置されている形態における透過率スペクトルを示している。図10において、縦軸及び横軸は図9と同じである。
第3曲線47は第1反射体15及び第2反射体25を通過する光43の透過率スペクトルの例である。そして、第4曲線48は第3反射体16及び第4反射体26を通過する光43の透過率スペクトルの例である。第3曲線47及び第4曲線48もシミュレーションにて算出した透過率スペクトルである。第4曲線48が示すように、透過率スペクトルには透過率のピークがないことを確認できる。つまり、第3反射体16と第4反射体26との間に光吸収体18及び光吸収体28が設置されることにより、光43が減衰して通過しなくなったことを示している。
図6に示すように、第3反射体16に設置された光吸収体18の厚みをd2とする。第4反射体26に設置された光吸収体28の厚みは光吸収体18の厚みと同じ厚みd2になっている。図7に示すように、第1反射体15に設置された固定電極17の厚みをd1とする。第2反射体25に設置された可動電極27の厚みは固定電極17の厚みと同じ厚みd1になっている。
固定電極17及び可動電極27は同じ材質であり、固定電極17の消衰係数と可動電極27の消衰係数は同じ消衰係数である。固定電極17及び可動電極27の消衰係数をk1とする。光吸収体18及び光吸収体28は同じ材質であり、光吸収体18の消衰係数と光吸収体28の消衰係数は同じ消衰係数である。光吸収体18及び光吸収体28の消衰係数をk2とする。
そして、光フィルター11は“k1×d1<k2×d2”の条件を満たしている。本実施形態では、例えば、k1×d1を約1に設定し、k2×d2を15~30の間に設定している。消衰係数と膜の厚みとを乗算した値が大きい膜は小さい膜に比べて膜が光43を吸収する。そして、消衰係数と膜の厚みとを乗算した値は光吸収体18及び光吸収体28の方が固定電極17及び可動電極27より大きい。従って、光フィルター11は光吸収体18及び光吸収体28を通過する光43を固定電極17及び可動電極27を通過する光より多く減衰させることができる。
尚、固定電極17及び可動電極27の代わりに光透過性の表面膜としての保護膜が設置されていても良い。このときにも、保護膜の厚みをd1とし、の消衰係数をk1とする。そして、光フィルター11は“k1×d1<k2×d2”の条件を満たすように設定する。その結果、光フィルター11は光吸収体18及び光吸収体28を通過する光43を保護膜を通過する光より多く減衰させることができる。
図11は光吸収体の透過率スペクトルを示す図であり、光吸収体18及び光吸収体28の消衰係数k2に光吸収体18及び光吸収体28の厚みd2を乗算した値をパラメーターにしている。図11において、縦軸及び横軸は図9と同じである。ただし、図9の場合とは各部位の寸法が異なるので、透過率がピークとなる波長は異なっている。図11に示すように、k2×d2が3nm以上では透過率のピークが10%未満となることがわかる。この10%未満は縦軸の0.1未満に相当する。
図12はk2×d2の値に対する光吸収体の最大透過率の関係を示す図である。図12において、縦軸は最大透過率を示し、図中上側が下側より最大透過率が高くなっている。最大透過率は透過率スペクトルにおける透過率のピークの値を示す。横軸はk2×d2の値を示し、図中右側が左側より高い値になっている。
図12の第5曲線49及び第6曲線50はk2×d2の値と最大透過率の関係を示す。第5曲線49の場合には固定基板12に光吸収体18が設置され、第3反射体16が設置されていない。さらに、可動基板13に光吸収体28が設置され、第4反射体26が設置されていない。このとき、光43は固定基板12と可動基板13との間で光43が往復移動せずに通過する。その結果、最大透過率が高くなっている。
第6曲線50の場合には固定基板12に第3反射体16及び光吸収体18が設置されている。さらに、可動基板13には第4反射体26及び光吸収体28が設置されている。このとき、光43は固定基板12と可動基板13との間で光43が往復移動する。その結果、最大透過率が低くなっている。つまり、第3反射体16及び第4反射体26の効果が大きくでていることが確認できる。
そして、k2×d2の値が15nm以上のとき、最大透過率が0.1%未満になっている。このとき、迷光44による影響は問題にならない。そして、光フィルター11は、15nm=<k2×d2=<30nmの条件を満たしている。この条件のとき、最大透過率が0.1%以下であり、反射体間を通過する光43を確実に低減できる。光吸収体18及び光吸収体28の膜厚を30nmを越えて厚くしなくても良いので、光吸収体の内部応力により固定基板12または可動基板13が反ることを抑制できる。
図13は制御部の電気制御ブロック図である。図13に示すように、光学モジュール1は制御部51と接続して用いられる。光フィルター11の第1電極22と第2電極30との間に電圧を印加することにより、第1電極22と第2電極30との間に静電気力が作用する。可動基板13には溝13aが設置されているので、可動部13bがZ方向に移動し易くなっている。そして、第1電極22と第2電極30との間に作用する静電気力により第1反射体15と第2反射体25との距離が変化する。第1電極22、第2電極30及び可動基板13等により静電アクチュエーター52が構成されている。
第1反射体15と第2反射体25との距離が変化するとき、固定電極17と可動電極27との距離が変化する。固定電極17と可動電極27との距離が変化するとき、固定電極17と可動電極27と間の電気容量が変化する。従って、固定電極17と可動電極27と間の電気容量を検出することにより第1反射体15と第2反射体25との距離を推定することができる。そして、固定電極17及び可動電極27は第1反射体15と第2反射体25との距離を推定する距離センサー53になっている。
制御部51には第1スイッチ54、第2スイッチ55の2個のスイッチと第1スイッチ54及び第2スイッチ55を制御するスイッチ制御部56とが設置されている。各スイッチは2回路2接点スイッチの形態となっている。第1スイッチ54は第1可動切片54a、第2可動切片54b、第1接点54c、第2接点54d、第3接点54e及び第4接点54fを備えている。
第1可動切片54a及び第2可動切片54bは共に接地されている。第1接点54cは孤立し接続されていない接点である。第2接点54dは第2端子6を介して可動電極27と接続されている。第1可動切片54aは第1接点54c及び第2接点54dの一方と導通する。同様に、第3接点54eは孤立し接続されていない接点である。第4接点54fは第1端子5を介して固定電極17及び第1電極22と接続されている。第2可動切片54bは第3接点54e及び第4接点54fの一方と導通する。
第1可動切片54aと第2可動切片54bとは連動しスイッチ制御部56に制御される。スイッチ制御部56が第1可動切片54aを第1接点54cと導通させて第2可動切片54bを第3接点54eと導通させる。このとき、第1スイッチ54では可動電極27が第1可動切片54aと切断され、固定電極17が第2可動切片54bと切断された状態となる。一方、スイッチ制御部56が第1可動切片54aを第2接点54dと導通させて第2可動切片54bを第4接点54fと導通させるとき、第1スイッチ54では可動電極27及び固定電極17が接地された状態となる。従って、スイッチ制御部56は可動電極27及び固定電極17を短絡させて且つ接地させるか開放するかを制御することができる。
第2スイッチ55は第1可動切片55a、第2可動切片55b、第1接点55c、第2接点55d、第3接点55e及び第4接点55fを備えている。第1可動切片55a及び第2可動切片55bは距離検出部57と接続されている。第1接点55cは第2端子6を介して可動電極27と接続されている。第2接点55dは孤立し接続されていない接点である。第1可動切片55aは第1接点55c及び第2接点55dの一方と導通する。同様に、第3接点55eは第1端子5を介して固定電極17と接続されている。第4接点55fは孤立し接続されていない接点である。第2可動切片55bは第3接点55e及び第4接点55fの一方と導通する。距離検出部57は可動電極27と固定電極17との間の電気容量を測定することにより可動電極27と固定電極17との間の距離を検出する機能を有する。
光フィルター11は第1端子5及び第2端子6の外部端子を備えている。そして、第1端子5及び第2端子6の外部端子を用いて距離検出部57が可動電極27と固定電極17との間の距離を検出することが可能になっている。
第1可動切片55aと第2可動切片55bとは連動しスイッチ制御部56に制御される。スイッチ制御部56が第1可動切片55aを第1接点55cと導通させて第2可動切片55bを第3接点55eと導通させる。このとき、第2スイッチ55では可動電極27及び固定電極17が距離検出部57と接続される。一方、スイッチ制御部56が第1可動切片55aを第2接点55dと導通させて第2可動切片55bを第4接点55fと導通させるとき、第2スイッチ55では可動電極27及び固定電極17が距離検出部57と切断される。従って、スイッチ制御部56は可動電極27及び固定電極17を距離検出部57に接続させるか接地させるかを制御することができる。
第1反射体15と第2反射体25との距離を反射膜間ギャップという。制御部51が反射膜間ギャップを検出するとき、まず、スイッチ制御部56が第1スイッチ54及び第2スイッチ55を切り替える。第1スイッチ54ではスイッチ制御部56が第1可動切片54aを第1接点54cと接触させる。さらに、スイッチ制御部56は第2可動切片54bを第3接点54eと接触させる。さらに、第2スイッチ55ではスイッチ制御部56が第1可動切片55aを第1接点55cと接触させる。さらに、スイッチ制御部56は第2可動切片55bを第3接点55eと接触させる。これにより、可動電極27及び固定電極17はそれぞれ距離検出部57と接続される。そして、距離検出部57は可動電極27及び固定電極17に通電して可動電極27と固定電極17との間の電気容量を測定する。これにより、距離検出部57は反射膜間ギャップを検出する。
距離検出部57が反射膜間ギャップを測定しないとき、第1スイッチ54ではスイッチ制御部56が第1可動切片54aを第2接点54dと接触させる。さらに、スイッチ制御部56は第2可動切片54bを第4接点54fと接触させる。第2スイッチ55ではスイッチ制御部56が第1可動切片55aを第2接点55dと接触させる。さらに、スイッチ制御部56は第2可動切片55bを第4接点55fと接触させる。これにより、可動電極27、固定電極17及び第1電極22はそれぞれ接地され、互いに導通する。
可動電極27と固定電極17との間には水分子や酸素分子等の分子が移動し、分子同士が衝突しあう。このとき、各分子に静電気が生ずることがある。そして、静電気をもつ分子が可動電極27及び固定電極17に接触するとき可動電極27及び固定電極17が帯電する。静電気により可動電極27と固定電極17との間で電圧差が生じるとき、可動電極27と固定電極17との間に静電気力が生じる。これにより反射膜間ギャップが変動する。反射膜間ギャップが変動することにより光フィルター11を通過する光の波長が変動する。そこで、スイッチ制御部56が所定の時間間隔にて可動電極27及び固定電極17を接地する。これにより、可動電極27及び固定電極17の静電気が除去される為反射膜間ギャップを精度良く制御することができる。
尚、第1スイッチ54及び第2スイッチ55はトランジスター等の半導体により構成されたスイッチング素子を用いても良く電磁スイッチでも良い。電流が小さいときには半導体により構成されたスイッチング素子を用いる方が製造し易く耐久性があり好ましい。本実施形態では、例えば、第1スイッチ54及び第2スイッチ55は半導体により構成されたスイッチング素子を用いている。
制御部51には電圧制御部58が設置され、電圧制御部58には第1電極22及び第2電極30が電気的に接続されている。電圧制御部58は第1電極22及び第2電極30に印加する電圧を制御することにより反射膜間ギャップを制御することが可能になっている。電圧制御部58が反射膜間ギャップを所定の間隔に変更する。そして、光43が光フィルター11に入射される。光43は第1反射体15と第2反射体25との間で多重反射し、反射膜間ギャップの寸法に応じた波長の光が光フィルター11を通過する。従って、電圧制御部58が反射膜間ギャップを制御することにより光フィルター11を通過する光43の波長を制御することが可能になっている。
次に、光フィルターの製造方法の例について説明する。光フィルターの製造方法は各種の方法で行うことができるので特に説明する方法に限定されない。図14~図30は光フィルターの製造方法を説明するための模式図である。まず、可動基板13の製造方法を説明する。図14に示すように、可動基板13にマスク61を設置する。マスク61は例えばクロム膜または金膜等の金属膜をスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法(Physical Vapor Deposition)やCVD法(Chemical Vapor Deposion)にて成膜する。次に、フォトレジストを塗布しマスクアライナーを用いて所定のパターンに露光する。次に、金属膜をエッチングする。クロム膜は塩酸、硫酸にてウエットエッチングする。金膜は王水や酸素を含むシアン化物イオン水にてウエットエッチングする。次に、フォトレジストを剥離することによりマスク61を設置することができる。
次に、可動基板13をエッチングして溝13a及び可動部13bを設置する。このとき、超高純度バッファードフッ酸を用いてエッチングすることにより溝13a及び可動部13bを形成する。
次に、図15に示すように、可動基板13からマスク61を除去する。マスク61がクロム膜のときには塩酸、硫酸にてウエットエッチングする。マスク61が金膜のときには王水や酸素を含むシアン化物イオン水にてウエットエッチングする。
次に、図16に示すように、可動基板13上に第2反射膜24を成膜する。第2反射膜24は2酸化シリコン層とシリコン層とを交互に積層した膜である。本実施形態では、例えば、第2反射膜24は4層の2酸化シリコン層と3層のシリコン層とで構成されている。2酸化シリコン層及びシリコン層の成膜方法は特に限定されず、スパッタ法、蒸着法、PVD法及びCVD法等を用いることができる。
第2反射体25及び第4反射体26は第2反射膜24の一部分である。従って、第2反射体25及び第4反射体26は同じ工程で製造される。第2反射体25及び第4反射体26を別々の工程で製造するときに比べて生産性良く第2反射体25及び第4反射体26を製造することができる。
次に、図17に示すように、第2反射膜24上に可動電極27を設置する。まず、第2反射膜24上に可動電極27の材料であるITOのベタ膜を形成する。ベタ膜は基板上全体に同じ膜厚で設置された膜を示す。ベタ膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、ベタ膜をパターニングして可動電極27を形成する。可動電極27を形成するには公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングしてベタ膜をエッチングすることにより形成することができる。
次に、図18に示すように、第2反射膜24上に光吸収体28を設置する。まず、可動電極27を覆ってマスクを設置する。マスクは感光性の樹脂膜をスピンコーター等で成膜して公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングして形成する。次に、マスク及び第2反射膜24上に光吸収体28の材料であるタングステンのベタ膜を形成する。ベタ膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、マスクを除去して光吸収体28を形成する。マスクは所定の除去液を用いて除去する。その結果、光吸収体28がパターニングされる。
次に、図19に示すように、光吸収体28上に第2絶縁膜29を設置する。まず、可動電極27を覆ってマスクを設置する。マスクは感光性の樹脂膜をスピンコーター等で成膜して公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングして形成する。マスク形状は可動電極27と光吸収体28との間に第2絶縁膜29が設置されるような形状にする。次に、マスク及び第2反射膜24上に第2絶縁膜29の材料である2酸化シリコンの膜を形成する。2酸化シリコンの膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、マスクを除去して第2絶縁膜29を形成する。マスクは所定の除去液を用いて除去する。その結果、第2絶縁膜29がパターニングされる。
次に、図20に示すように、第2絶縁膜29上に第2電極30、第3配線36、第4配線38、第2端子37及び第3端子41を設置する。まず、まず、可動基板13上にITOのベタ膜を重ねて積層する。成膜にはスパッタリング法、蒸着法、PVD法やCVD法にて成膜する。次に、フォトレジストを塗布しマスクアライナーを用いて所定のパターンに露光する。次に、ITO膜をエッチングする。次に、フォトレジストを剥離することにより第2電極30、第3配線36、第4配線38、第2端子37及び第3端子41が設置される。
次に、図21に示すように、第2絶縁膜29上に第2接合膜31を設置する。第2接合膜31にはシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜を成膜する。詳細には、第2接合膜31が設置される領域だけが露出するパターンのレジストを形成する。次に、厚み寸法30nmのポリオルガノシロキサンを用いたプラズマ重合膜をプラズマCVD法により成膜する。そして、レジストを除去することで、固定基板12を接合する面にプラズマ重合膜が設置される。
次に、固定基板12の製造方法を説明する。図22に示すように、固定基板12を用意する。固定基板12は、例えば、厚みが0.5mm~1mmの石英基板である。固定基板12にマスク62を設置する。マスク61は例えばクロム膜または金膜等の金属膜をスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法やCVD法にて成膜する。次に、フォトレジストを塗布しマスクアライナーを用いて所定のパターンに露光する。次に、金属膜をエッチングする。クロム膜は塩酸、硫酸にてウエットエッチングする。金膜は王水や酸素を含むシアン化物イオン水にてウエットエッチングする。次に、フォトレジストを剥離することによりマスク62を設置することができる。
次に、固定基板12をエッチングして反射膜設置部12a及び電極設置溝12bを設置する。このとき、超高純度バッファードフッ酸を用いてエッチングすることにより反射膜設置部12a及び電極設置溝12bを形成する。
次に、図23に示すように、固定基板12からマスク62を除去する。マスク62のクロム膜は塩酸、硫酸にてウエットエッチングする。マスク62の金膜は王水や酸素を含むシアン化物イオン水にてウエットエッチングする。
次に、図24に示すように、固定基板12上に第1反射膜14を成膜する。第1反射膜14は2酸化シリコン層とシリコン層とを交互に積層した膜である。本実施形態では、例えば、第1反射膜14は4層の2酸化シリコン層と3層のシリコン層とで構成されている。2酸化シリコン層及びシリコン層の成膜方法は特に限定されず、スパッタ法、蒸着法、PVD法及びCVD法等を用いることができる。
第1反射体15及び第3反射体16は第1反射膜14の一部分である。従って、第1反射体15及び第3反射体16は同じ工程で製造される。第1反射体15及び第3反射体16を別々の工程で製造するときに比べて生産性良く第1反射体15及び第3反射体16を製造することができる。
次に、図25に示すように、第1反射膜14上に固定電極17及び第1配線32を設置する。まず、第1反射膜14上に可動電極27の材料であるITOのベタ膜を形成する。ベタ膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、ベタ膜をパターニングして固定電極17及び第1配線32を形成する。固定電極17及び第1配線32を形成するには公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングしてベタ膜をエッチングすることにより形成することができる。
次に、図26に示すように、第1反射膜14上に光吸収体18を設置する。まず、固定電極17を覆ってマスクを設置する。マスクは感光性の樹脂膜をスピンコーター等で成膜して公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングして形成する。次に、マスク及び第1反射膜14上に光吸収体18の材料であるタングステンのベタ膜を形成する。ベタ膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、マスクを除去して光吸収体18を形成する。マスクは所定の除去液を用いて除去する。その結果、光吸収体18がパターニングされる。
次に、図27に示すように、光吸収体18上に第1絶縁膜21を設置する。まず、固定電極17を覆ってマスクを設置する。マスクは感光性の樹脂膜をスピンコーター等で成膜して公知のリソグラフィー法を用いてマスクをパターニングして形成する。次に、マスク及び光吸収体18上に第1絶縁膜21の材料である2酸化シリコンの膜を形成する。2酸化シリコンの膜の形成には蒸着法、スパッタ法、PVD法及びCVD法等の成膜方法を用いることができる。次に、マスクを除去して第1絶縁膜21を形成する。マスクは所定の除去液を用いて除去する。その結果、第1絶縁膜21がパターニングされる。
次に、図28に示すように、第1絶縁膜21上に第1電極22、第2配線33及び第1導電膜端子35を設置する。まず、固定基板12上にITOのベタ膜を重ねて積層する。成膜にはスパッタリング法、蒸着法、PVD法やCVD法にて成膜する。次に、フォトレジストを塗布しマスクアライナーを用いて所定のパターンに露光する。次に、ITOをエッチングする。次に、フォトレジストを剥離することにより第1電極22、第2配線33及び第1導電膜端子35が設置される。
次に、図29に示すように、第1絶縁膜21上に第1接合膜23を設置する。第1接合膜23にはシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜を成膜する。詳細には、第1接合膜23が設置される領域だけが露出するパターンのレジストを形成する。次に、厚み寸法30nmのポリオルガノシロキサンを用いたプラズマ重合膜をプラズマCVD法により成膜する。そして、レジストを除去することで、可動基板13を接合する面にプラズマ重合膜が設置される。
次に、図30に示すように、固定基板12と可動基板13とを接合する。固定基板12には第1接合膜23が設置されており、可動基板13には第2接合膜31が設置されている。第1接合膜23及び第2接合膜31に活性化エネルギーを付与するために、O2プラズマ処理またはUV処理を行う。O2プラズマ処理は、例えば、O2流量30cc/分、圧力27Pa、RFパワー200Wの条件で30秒間実施する。また、UV処理は、例えば、UV光源としてエキシマUV(波長172nm)を用いて3分間処理を行う。第1接合膜23及び第2接合膜31に活性化エネルギーを付与した後、固定基板12と可動基板13とのアライメントを行う。次に、固定基板12と可動基板13とを重ね合わせて荷重をかけることにより、固定基板12と可動基板13とを接合する。これにより、第1接合膜23及び第2接合膜31が接合されて1つの接合膜となる。以上の工程により光フィルター11が完成する。
続いて、図1及び図2に示すように、光フィルター11を筐体2及び第2蓋体8で密閉する。まず、筐体2及び光フィルター11を用意する。筐体2には第1蓋体3、第1端子5~第3端子7等が設置されている。尚、筐体2の製造方法は公知の方法を用いて製造することが可能であり説明を省略する。
次に、筐体2内の内部空間10に光フィルター11を配置し、図示しない固定治具を用いて筐体2と光フィルター11との位置関係を固定する。固定基板12の側面と筐体2との間に低融点ガラスペーストを配置する。続いて、低融点ガラスペーストを加熱してバインダー成分を蒸発させて除去する。
筐体2の内部には第1端子5~第3端子7と電気的に接続された端子が設置されている。これらの端子と可動基板の第1端子42、第2端子37及び第3端子41を金線で接続する。金線の接続はワイヤーボンディング法を用いて行われる。金線が設置された後で固定治具を除去する。
次に、筐体2上に第2蓋体8を配置し、真空チャンバー装置等によって真空雰囲気に設定された環境下で加熱する。低融点ガラスペーストが溶融した後、徐冷する。これにより、筐体2に設置された低融点ガラスペーストが第2の低融点ガラス9になる。そして、内部空間10が減圧された状態で光学モジュール1が封止される。以上の工程により光学モジュール1が完成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、光フィルター11は第1反射体15、第2反射体25、第3反射体16、第4反射体26、光吸収体18及び光吸収体28を備えている。第1反射体15と第2反射体25とは対向配置されている。第1反射体15及び第2反射体25の一方から入射する光43は第1反射体15と第2反射体25との間を往復する。このとき、第1反射体15と第2反射体25との間の距離と半波長の整数倍の長さが近い光43は強め合う。従って、第1反射体15と第2反射体25との間の距離を調整することで特定の波長の光43を取り出すことができる。
第3反射体16及び第4反射体26は第1反射体15及び第2反射体25と重ならない場所に設置されている。そして、第3反射体16と第4反射体26とは互いに対向配置されている。従って、第3反射体16と第4反射体26との間に進入した光は第3反射体16と第4反射体26との間を往復移動する。そして、第3反射体16と第4反射体26との間には光吸収体18及び光吸収体28が配置されている。第3反射体16と第4反射体26との間を往復移動する光43は光吸収体18及び光吸収体28を通過するときに減衰する。
第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43の波長は特定の波長と異なる波長である。そして、第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43は光吸収体18及び光吸収体28を複数回通過することにより減衰する。従って、光フィルター11は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制することができる。
(2)本実施形態によれば、光フィルター11は固定基板12及び可動基板13を備えている。固定基板12は第1反射体15を支持し、可動基板13は第2反射体25を支持する。第1反射体15及び第3反射体16は固定基板12の可動基板13側の面に設置されている。従って、第1反射体15及び第3反射体16は同じ工程で製造できるので、第1反射体15と第3反射体16とを別々に製造するときに比べて生産性良く光フィルター11を製造することができる。
第2反射体25及び第4反射体26は可動基板13の固定基板12側の面に設置されている。従って、第2反射体25及び第4反射体26は同じ工程で製造できるので、第2反射体25と第4反射体26とを別々に製造するときに比べて生産性良く第1反射体15~第4反射体26を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、光フィルター11は固定電極17及び可動電極27を備えている。固定電極17は第1反射体15の表面に設置され、可動電極27は第2反射体25の表面に設置されている。第1反射体15及び第2反射体25は対向配置されているので、第1反射体15の固定電極17及び第2反射体25の可動電極27も対向配置されている。このとき、対向する固定電極17及び可動電極27は電気的に電荷を蓄積するコンデンサーとして作用する。そして、第1反射体15と第2反射体25との距離の変化に伴ってコンデンサーの電気容量が変わる。従って、対向する固定電極17及び可動電極27間の電気容量を検出することで第1反射体15と第2反射体25との間の距離を検出できる。
固定電極17の厚みは可動電極27の厚みとおなじであり、d1とする。固定電極17及び可動電極27は同じ材質であり、消衰係数をk1とする。光吸収体18の厚みと光吸収体28の厚みは同じであり、d2とする。光吸収体18の材質と光吸収体28の材質は同じであり、光吸収体18及び光吸収体28の消衰係数をk2とする。そして、光フィルター11は“k1×d1<k2×d2”の条件を満たす。消衰係数と膜の厚みとを乗算した値が大きい膜は小さい膜に比べて膜が光43を吸収する。そして、消衰係数と膜の厚みとを乗算した値は光吸収体18及び光吸収体28の方が固定電極17及び可動電極27より大きい。従って、光フィルター11は光吸収体18及び光吸収体28を通過する光を固定電極17及び可動電極27を通過する光より多く減衰させることができる。
(4)本実施形態によれば、光吸収体18及び光吸収体28では消衰係数と膜の厚みとを乗算した値が15nm以上かつ30nm以下になっている。この条件のとき、光吸収体18及び光吸収体28は最大透過率が1/100以下であり、第3反射体16と第4反射体26との間を通過する光43を確実に低減できる。光吸収体18及び光吸収体28の膜厚を厚くしなくても良いので、光吸収体18及び光吸収体28の内部応力により固定基板12または可動基板13が反ることを抑制できる。
(5)本実施形態によれば、光フィルター11は第1電極22及び第2電極30を備えている。そして、第1電極22と第2電極30との間に印加する電圧を調整することにより第1電極22と第2電極30との間の間隔が変化する。これにより、第1反射体15と第2反射体25との間の距離が調整できるので、第1反射体15及び第2反射体25を通過する光43の波長を調整することができる。
そして、第3反射体16には光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1電極22が重ねて設置されているので、第1電極22から光吸収体18に電気が流れることを抑制できる。第4反射体26上には光吸収体28、第2絶縁膜29及び第2電極30が重ねて設置されているので、第2電極30から光吸収体28に電気が流れることを抑制できる。
(6)本実施形態によれば、光吸収体18及び光吸収体28は金属膜である。金属膜はシリコン等の無機物に比べて消衰係数が高いので、光吸収体18及び光吸収体28を薄い膜にできる。その結果、光フィルター11を薄くできる。
(7)本実施形態によれば、光吸収体18及び光吸収体28の厚みは1nm以上10nm以下になっている。光吸収体18及び光吸収体28の厚みは1nm以上なので、品質良く成膜することができる。また、光吸収体18及び光吸収体28の厚みが10nm以下なので、光吸収体18及び光吸収体28の内部応力を小さくできる。従って、固定基板12または可動基板13が反ることを抑制できる。
(8)本実施形態によれば、第2反射体25と第4反射体26とは連続している。第2反射体25と第4反射体26との間に隙間があるとき、この隙間では光43が第3反射体16と第4反射体26との間で反復して反射しないので、減衰しない。第2反射体25と第4反射体26とが連続しているときには第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43を確実に減衰させることができる。
(9)本実施形態によれば、光学モジュール1は光フィルター11及び筐体2を備えている。そして、光フィルター11は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制することができる。従って、光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光が通過することを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、光フィルターの一実施形態について図31の光フィルターの構造を示す模式側断面図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、固定基板12の+Z方向側の面に光吸収体及び反射体が設置されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図31に示すように、波長可変光フィルターとしての光フィルター65の電極設置溝12bには固定基板12と第3反射体16との間に光吸収体66が設置されている。従って、電極設置溝12bには光吸収体66、第3反射体16、光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1電極22がこの順に重ねて設置されている。光吸収体66の平面形状は電極設置溝12bと同じ円環状になっている。
固定基板12の可動基板13側と逆側の面に第5反射体69が設置されている。第5反射体69は第3反射体16と対向配置されている。固定基板12と第5反射体69との間には光吸収体70が設置されている。第3反射体16と第5反射体69との間には光吸収体66及び光吸収体70が配置されている。第3反射体16と第5反射体69との間に進入した光は第3反射体16と第5反射体69との間を往復移動する。そして、第3反射体16と第5反射体69との間には光吸収体66及び光吸収体70が配置されている。第3反射体16と第5反射体69との間を往復移動する光43は光吸収体66及び光吸収体70を通過するときに減衰する。
第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43の波長は特定の波長と異なる波長である。そして、第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43の一部は光吸収体66及び光吸収体70を複数回通過することにより減衰する。従って、光フィルター65は特定の波長以外の波長の光が通過することを、さらに、抑制することができる。
第3反射体16の第5反射体69側の面に光吸収体66が設置されている。さらに、第5反射体69の第3反射体16側の面に光吸収体70が設置されている。従って、光吸収体が2つ設置されている為、光吸収体が1つのときに比べて第3反射体16と第5反射体69との間を往復移動する光43を確実に減衰させることができる。
固定基板12の電極設置溝12b及び第1接合部12cにおいて、固定基板12と第3反射体16との間に光吸収体66が設置されている。そして、固定基板12の可動基板13側と逆側の面に第5反射体69が設置されている。第5反射体69は第3反射体16と対向配置されている。固定基板12と第5反射体69との間には光吸収体70が設置されている。第3反射体16と第5反射体69との間には光吸収体66及び光吸収体70が配置されている。従って、電極設置溝12b及び第1接合部12cにおいても第3反射体16と第5反射体69との間を往復移動する光43は光吸収体66及び光吸収体70を通過するときに減衰する。
固定基板12の可動基板13側と逆側の面には第1反射体15と対向する場所に光吸収体70が設置されている。光吸収体70は開口71を有する。光吸収体70は開口71を有し、第1反射体15及び第2反射体25に光が出入りする範囲を限定する。
固定基板12の可動基板13側と逆側の面に光吸収体70が設置されるとき、第1反射体15と対向する場所に設置された光吸収体70は固定基板12と第5反射体69との間に設置された光吸収体70と同じ工程で製造することができる。その結果、第1反射体15と対向する場所に設置された光吸収体70を第3反射体16と対向する場所に設置された光吸収体70と別々の工程で製造するときに比べて生産性良く光フィルター65を製造することができる。
図32は第3反射体及び第5反射体の構造を示す要部模式断面図である。図32に示すように、電極設置溝12bでは固定基板12上に光吸収体66、第3反射体16、光吸収体18、第1絶縁膜21及び第1電極22が重ねて設置されている。第3反射体16は2酸化シリコン層16aとシリコン層16bとが交互に積層されている。
電極設置溝12bと対向する場所の固定基板12では固定基板12上に光吸収体70及び第5反射体69が重ねて設置されている。第5反射体69は2酸化シリコン層69aとシリコン層69bとが交互に積層されている。積層される層の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、2酸化シリコン層69aが4層であり、シリコン層69bが3層になっている。このとき、第5反射体69は高い反射率で光43を反射することができる。
(第3の実施形態)
次に、光フィルターの一実施形態について図33の光フィルターの構造を示す模式側断面図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第4反射体26及び光吸収体28が固定基板12の+Z方向側の面に移設されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図33に示すように、光フィルター74は固定基板12及び可動基板13を備えている。固定基板12は第1反射体15を支持し、可動基板13は第2反射体25を支持する。固定基板12の可動基板13側と逆側の面は段差のない面になっている。
固定基板12の可動基板13側の面に第1反射体15及び第3反射体16が設置されている。固定基板12の電極設置溝12bには光吸収体66、第3反射体16及び第1電極22がこの順に重ねて設置されている。固定基板12の可動基板13側と逆側の面に光吸収体75及び第4反射体76がこの順に重ねて設置されている。
第1反射体15及び第3反射体16は固定基板12の可動基板13側の面に設置されている。従って、第1反射体15及び第3反射体16は同じ工程で製造できるので、第1反射体15と第3反射体16とを別々に製造するときに比べて生産性良く製造することができる。
固定基板12の可動基板13側と逆側の面は段差のない面である。段差がある面に第4反射体76を成膜するとき、膜厚が薄い場所ができるので膜の品質が低下する。そして、第4反射体76は固定基板12の可動基板13側と逆側の面に設置されている。この面は段差のない面なので第4反射体76を品質良く成膜することができる。
第4反射体76及び光吸収体75は固定基板12の可動基板13側と逆側の面に設置されている。固定基板12の可動基板13側と逆側の面は固定基板12と可動基板13とを組み合わせたときに外側を向く面である。従って、第4反射体76及び光吸収体75は固定基板12と可動基板13とを組み合わせた後にも組み合わせる前にも設置できる。その結果、光フィルター74の製造工程の自由度を高くすることができる。
光吸収体66及び光吸収体75は第3反射体16と第4反射体76との間に配置されている。そして、第3反射体16と第4反射体76とは互いに対向配置されている。従って、第3反射体16と第4反射体76との間に進入した光43は第3反射体16と第4反射体76との間を往復移動する。そして、第3反射体16と第4反射体76との間には光吸収体66及び光吸収体75が配置されている。第3反射体16と第4反射体76との間を往復移動する光は光吸収体66及び光吸収体75を通過するときに減衰する。
第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43の波長は特定の波長と異なる波長である。そして、第1反射体15と第2反射体25との間から外れた光43は光吸収体66及び光吸収体75を複数回通過することにより減衰する。従って、光フィルター74は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制することができる。
図34は第3反射体及び第4反射体の構造を示す要部模式断面図である。図34に示すように、電極設置溝12bでは固定基板12上に光吸収体66、第3反射体16及び第1電極22が重ねて設置されている。第3反射体16は2酸化シリコン層16aとシリコン層16bとが交互に積層されている。
電極設置溝12bと対向する場所の固定基板12では固定基板12上に光吸収体75及び第4反射体76が重ねて設置されている。第4反射体76は2酸化シリコン層76aとシリコン層76bとが交互に積層されている。積層される層の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、2酸化シリコン層76aが4層であり、シリコン層76bが3層になっている。このとき、第4反射体76は高い反射率で光43を反射することができる。
(第4の実施形態)
次に、光フィルターの一実施形態について図35の光フィルターの構造を示す模式側断面図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、電極設置溝12bの側面にも第3反射体16及び光吸収体80が設置されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図35に示すように、光フィルター79の電極設置溝12bでは固定基板12上に第3反射体16、光吸収体80、第1絶縁膜81がこの順に重ねて設置されている。さらに、電極設置溝12bでは反射膜設置部12a側の側面にも第3反射体16、光吸収体80、第1絶縁膜81がこの順に重ねて設置されている。さらに、電極設置溝12bでは第1接合部12c側の側面にも第3反射体16、光吸収体80、第1絶縁膜81がこの順に重ねて設置されている。
従って、第2反射体25と第1反射体15とが対向する場所を除いて、電極設置溝12bを囲む面はほぼ光吸収体80及び光吸収体28と第3反射体16及び第4反射体26とに囲まれている。従って、第2反射体25及び第1反射体15から電極設置溝12bに進行する迷光44は反射体で反射を繰りかえす間に光吸収体80及び光吸収体28に吸収されて減衰する。従って、光フィルター79は特定の波長以外の波長の迷光44が通過することを抑制することができる。
(第5の実施形態)
次に、上記の光学モジュール1、を備えた測色装置の一実施形態について図36を用いて説明する。尚、上記の実施形態と同じ点については説明を省略する。
(測色装置)
図36は、測色装置の構成を示すブロック図である。図36に示すように、電子機器としての測色装置120は、測定対象物121に光43を射出する光源装置122と、測色センサー123と、測色装置120の全体動作を制御する制御装置124とを備える。そして、この測色装置120は光源装置122から射出される光を測定対象物121にて反射させる。反射された検査対象光を測色センサー123が受光する。測色センサー123から出力される検出信号に基づいて測色装置120は検査対象光の色度すなわち測定対象物121の色を分析して測定する。
光源装置122は光源125及び複数のレンズ126(図中には1つのみ記載)を備え、測定対象物121に対して例えば白色光等の基準光を射出する。また、複数のレンズ126にはコリメーターレンズが含まれてもよい。この場合、光源125から射出された基準光をコリメーターレンズが平行光にし、光源装置122は図示しない投射レンズから測定対象物121に向かって光43を射出する。尚、本実施形態では、光源装置122を備える測色装置120を例示するが、例えば測定対象物121が液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置122が設けられない構成としてもよい。
測色センサー123は光学モジュールとしての光フィルター127と、光フィルター127を透過する光を受光するディテクター128と、光フィルター127を透過させる光43の波長を制御する制御部としての波長制御部129とを備える。光フィルター127には上記の光学モジュール1が用いられている。波長制御部129は光フィルター127を制御する。
また、測色センサー123は、光フィルター127に対向する場所に図示しない入射光学レンズを備えている。入射光学レンズは測定対象物121で反射された反射光(検査対象光)を測色センサー123の内部に導光する。そして、測色センサー123では入射光学レンズから入射した検査対象光のうち所定の波長の光43を光フィルター127が分光し、分光した光をディテクター128が受光する。
制御装置124は測色装置120の全体動作を制御する。この制御装置124としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや携帯情報端末の他にも測色専用コンピューター等を用いることができる。そして、制御装置124は光源制御部130、測色センサー制御部131及び測色処理部132等を備えて構成されている。光源制御部130は光源装置122に接続され、例えば、操作者の設定入力に基づいて光源装置122に所定の制御信号を出力して所定の明るさの白色光を射出させる。測色センサー制御部131は測色センサー123の波長制御部129に接続されている。例えば、操作者の設定入力に基づいて測色センサー123にて受光させる光の波長を測色センサー制御部131が設定する。そして、設定した波長の光43の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー制御部131が波長制御部129に出力する。これにより、制御信号に基づいて波長制御部129は光フィルター127を駆動させる。測色処理部132は、ディテクター128により検出された受光量から、測定対象物121の色度を分析する。
光フィルター127には上記の光学モジュール1が用いられている。そして、光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できるモジュールとなっている。従って、測色装置120は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できる光学モジュール1を備えた電子機器とすることができる。
(第6の実施形態)
次に、上記の光学モジュール1を備えたガス検出装置の一実施形態について図37及び図38を用いて説明する。このガス検出装置は、例えば、特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器等に用いられる。尚、上記の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図37は、ガス検出装置の構成を示す模式正面図であり、図38は、ガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。図37に示すように、電子機器としてのガス検出装置135はセンサーチップ136と吸引口137a、吸引流路137b、排出流路137c及び排出口137dを備えた流路137と本体部138とを有する構成となっている。
本体部138は、センサー部カバー139、排出手段140及び筐体141を備えている。センサー部カバー139を開閉することにより、流路137を着脱することが可能になっている。さらに、本体部138は光学部142、フィルター143、光学モジュールとしての光フィルター144、受光素子145(検出部)等を含む検出装置を備えている。光フィルター144には上記の光学モジュール1が用いられている。
さらに、本体部138は検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部146(処理部)及び電力を供給する電力供給部147等を備えている。光学部142は、光43を射出する光源148、ビームスプリッター149、レンズ150、レンズ151及びレンズ152により構成されている。ビームスプリッター149は光源148から入射された光43をセンサーチップ136側に反射し、センサーチップ側から入射された光43を受光素子145側に透過する。
図38に示すように、ガス検出装置135には操作パネル155、表示部156、外部とのインターフェイスのための接続部157及び電力供給部147が設けられている。電力供給部147が二次電池の場合には充電のための接続部158を備えてもよい。更に、ガス検出装置135の制御部146は、CPU等により構成された信号処理部159及び光源148を制御するための光源ドライバー回路160を備えている。更に、制御部146は光フィルター144を制御するための制御部としての波長制御部161、受光素子145からの信号を受信する受光回路162を備えている。波長制御部161は光フィルター144を制御する。更に、制御部146はセンサーチップ136のコードを読み取り、センサーチップ136の有無を検出するセンサーチップ検出器163からの信号を受信するセンサーチップ検出回路164を備えている。更に、制御部146は排出手段140を制御する排出ドライバー回路165等を備えている。
次に、ガス検出装置135の動作について説明する。本体部138の上部のセンサー部カバー139の内部にはセンサーチップ検出器163が設けられている。センサーチップ検出器163によりセンサーチップ136の有無が検出される。信号処理部159はセンサーチップ検出器163からの検出信号を検出するとセンサーチップ136が装着された状態であると判断する。そして、信号処理部159は表示部156へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
そして、操作者により操作パネル155が操作され、操作パネル155から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部159へ出力される。まず、信号処理部159は光源ドライバー回路160に光源駆動の指示信号を出力して光源148を作動させる。光源148が駆動されると、光源148から単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が射出される。光源148には温度センサーや光量センサーが内蔵されており、センサーの情報が信号処理部159へ出力される。光源148から入力された温度や光量に基づいて、光源148が安定動作していると信号処理部159が判断すると、信号処理部159は排出ドライバー回路165を制御して排出手段140を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口137aから吸引流路137b、センサーチップ136内、排出流路137c、排出口137dへと誘導される。尚、吸引口137aには、除塵フィルター137eが設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気等が除去される。
センサーチップ136は金属ナノ構造体が複数組み込まれた素子であり、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ136ではレーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成される。この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、及びレイリー散乱光が発生する。これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は光学部142を通ってフィルター143に入射する。フィルター143によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光フィルター144に入射する。
そして、信号処理部159は波長制御部161に対して制御信号を出力する。これにより、波長制御部161は光フィルター144のアクチュエーターを駆動させて検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を光フィルター144に分光させる。分光した光43が受光素子145にて受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路162を介して信号処理部159に出力される。
信号処理部159は、得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータとROMに格納されているデータとを比較する。そして、検出対象となるガス分子が目的のガス分子か否かを判定し物質の特定をする。また、信号処理部159は表示部156にその結果情報を表示し、接続部157から外部へ出力する。
ラマン散乱光を光フィルター144により分光し、分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置135を例示した。ガス検出装置135はガス固有の吸光度を検出してガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーに光フィルター144を用いる。そして、ガス検出装置はガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別する電子機器である。ガス検出装置135はこのような構成にすることで光フィルター144を用いてガスの成分を検出することができる。
光フィルター144には上記の光学モジュール1が用いられている。そして、光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できるモジュールとなっている。従って、ガス検出装置135は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できる光学モジュール1を備えた電子機器とすることができる。
(第7の実施形態)
次に、上記の光学モジュール1を備えた食物分析装置の一実施形態について図39を用いて説明する。上記の光学モジュール1は近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や食物、生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の物質成分分析装置に用いることができる。食物分析装置は物質成分分析装置の1種である。尚、上記の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図39は、食物分析装置の構成を示すブロック図である。図39に示すように、電子機器としての食物分析装置168は検出器169、制御部170及び表示部171を備えている。検出器169は光43を射出する光源172、測定対象物173からの光43が導入される撮像レンズ174、撮像レンズ174から導入された光を分光する光学モジュールとしての光フィルター175を備えている。光フィルター175には上記の光学モジュール1が用いられている。さらに、検出器169は分光された光を検出する撮像部176(検出部)を備えている。
制御部170は光源172の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部177及び光フィルター175を制御する制御部としての波長制御部178を備えている。波長制御部178は光フィルター175を制御する。さらに、制御部170は撮像部176を制御して撮像部176で撮像された分光画像を取得する検出制御部179、信号処理部180及び記憶部181を備えている。
食物分析装置168を駆動させると光源制御部177により光源172が制御されて光源172から測定対象物173に光43が照射される。そして、測定対象物173で反射された光43は撮像レンズ174を通って光フィルター175に入射する。光フィルター175は波長制御部178の制御により駆動される。これにより、光フィルター175から精度よく目的波長の光を取り出すことができる。そして、取り出された光43は、例えば、CCDカメラ等により構成される撮像部176に撮像される。また、撮像された光43は分光画像として記憶部181に蓄積される。また、信号処理部180は波長制御部178を制御して光フィルター175に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
そして、信号処理部180は記憶部181に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部181にはスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されている。記憶部181に記憶された食物に関する情報を基に信号処理部180は求めたスペクトルのデータを分析する。そして、信号処理部180は測定対象物173に含まれる食物成分と各食物成分含有量を求める。また、得られた食物成分及び含有量から信号処理部180は食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。更に、画像内のスペクトル分布を分析することで、信号処理部180は検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができる。更には、信号処理部180は食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。そして、信号処理部180は上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部171に表示させる処理をする。
光フィルター175には上記の光学モジュール1が用いられている。そして、光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できるモジュールとなっている。従って、食物分析装置168は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できる光学モジュール1を備えた電子機器とすることができる
また、食物分析装置168の他にも略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば、血液等の体液成分を測定する装置に食物分析装置168を用いることができる。他にも、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置に食物分析装置168を用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。更には、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
更には、上記の光学モジュール1を用いた電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、上記の光学モジュール1により特定波長の光を分光する。そして、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このように上記の光学モジュール1でデータを抽出する電子機器により各波長の光のデータを処理することで、複数波長の光通信を実施することもできる。
(第8の実施形態)
次に、上記の光学モジュール1を備えた分光カメラの一実施形態について図40を用いて説明する。光43を分光させて分光画像を撮像する分光カメラや分光分析機等に上記の光学モジュール1を用いることができる。このような分光カメラの一例として、上記の光学モジュール1を内蔵した赤外線カメラが挙げられる。尚、上記の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図40は、分光カメラの構成を示す概略斜視図である。図40に示すように、電子機器としての分光カメラ184はカメラ本体185、撮像レンズユニット186及び撮像部187を備えている。カメラ本体185は操作者により把持され操作される部分である。
撮像レンズユニット186はカメラ本体185に接続され、入射した画像光を撮像部187に導光する。また、この撮像レンズユニット186は対物レンズ188、結像レンズ189及びこれらのレンズ間に設けられた光学モジュールとしての光フィルター190を備えて構成されている。光フィルター190には上記の光学モジュール1が用いられている。さらに、カメラ本体185には光フィルター190が分光する光の波長を制御する制御部としての波長制御部191が設置されている。波長制御部191は光フィルター190を制御する。
撮像部187は受光素子により構成され、撮像レンズユニット186により導光された画像光を撮像する。分光カメラ184では光フィルター190が撮像対象となる波長の光を透過させて、撮像部187が所望の波長の光の分光画像を撮像する。
光フィルター190には上記の光学モジュール1が用いられている。そして、光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できるモジュールとなっている。従って、分光カメラ184は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できる光学モジュール1を備えた電子機器とすることができる。
更には、光フィルター190を組み合わせた光学モジュールをバンドパスフィルターとして用いてもよい。例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを光フィルター190で分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。また、光学モジュールを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた血管、指紋、網膜及び虹彩等の認証装置にも適用できる。更には、光学モジュールを濃度検出装置に用いることができる。この場合、上記の光学モジュール1により物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
上記に示すように、上記の光学モジュール1は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、上記の光学モジュール1は上記のように複数の波長を効率良く分光させることができる。このため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を効率よく実施することができる。したがって、単一波長を分光させる複数の光学モジュールにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の光学デバイスとして好適に用いることができる。このときにも、上記の光学モジュール1は特定の波長以外の波長の光43が通過することを抑制できる為、これらの光学モジュールを用いた電子機器は複数の波長の光を精度良く取り出して利用することができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、可動基板13が板状の基板であった。可動基板13を膜状にしてもよい。このときにも、第3反射体16、光吸収体18、光吸収体28及び第2反射膜24を設置することにより、迷光44を効率よく減衰させることができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、第3反射体16と第2反射膜24との間に光吸収体18及び光吸収体28を設置した。第3反射体16と第2反射膜24との間には光吸収体18と光吸収体28とのうちの一方だけ設置してもよい。このときにも、第3反射体16と第2反射膜24との間で反射する迷光44を減衰させることができる。
同様に、前記第2の実施形態では、第3反射体16と第5反射体69との間に光吸収体66及び光吸収体70を設置した。第3反射体16と第5反射体69との間には光吸収体66と光吸収体70とのうちの一方だけ設置してもよい。このときにも、第3反射体16と第5反射体69との間で反射する迷光44を減衰させることができる。
同様に、前記第3の実施形態では、第3反射体16と第4反射体76との間に光吸収体66及び光吸収体75を設置した。第3反射体16と第4反射体76との間には光吸収体66と光吸収体75とのうちの一方だけ設置してもよい。このときにも、第3反射体16と第4反射体76との間で反射する迷光44を減衰させることができる。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、固定電極17及び第1電極22の材質にITOを用いた。固定電極17及び第1電極22の材質にTiW膜及び金膜等の金属膜を用いても良い。第1電極22の材質を固定電極17と同じにしてもよい。そして、第1電極22と固定電極17とを同じ工程で設置しても良い。第1電極22と固定電極17とを別々に設置するときに比べて生産性良く第1電極22及び固定電極17を設置できる。
同様に、可動電極27及び第2電極30の材質にITOを用いた。可動電極27及び第2電極30の材質にTiW膜及び金膜等の金属膜を用いても良い。第2電極30の材質を可動電極27と同じにしてもよい。そして、第2電極30と可動電極27とを同じ工程で設置しても良い。第2電極30と可動電極27とを別々に設置するときに比べて生産性良く第2電極30及び可動電極27を設置できる。
(変形例4)
前記第1の実施形態では、第1反射膜14、第1反射体15及び第3反射体16はシリコン層と2酸化シリコン層とが多層に積層された多層膜ミラーになっていた。同様に、第2反射膜24、第2反射体25及び第4反射体26もシリコン層と2酸化シリコン層とが多層に積層された多層膜ミラーになっていた。第1反射膜14、第1反射体15、第3反射体16、第2反射膜24、第2反射体25及び第4反射体26は反射率の高い材質であれば良く特に限定されない。例えば、金膜、TiW膜や金とTiWとの合金膜、銀合金膜等の金属膜を用いることができる。