JP7068483B2 - 薬液 - Google Patents

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Description

本発明は、薬液に関する。
半導体デバイスの微細化が進む中で、半導体デバイス製造プロセス中における、薬液を用いたエッチング又は洗浄等の処理を、高効率かつ精度よく実施する需要が高まっている。
特許文献1には、「ルテニウム含有膜が形成された基板に対して、基板のルテニウム含有膜が形成された面の外縁部及び/又は裏面に付着したルテニウム付着物を除去液により除去する除去工程、を含み、除去液が、オルト過ヨウ素酸を、除去液の全質量に対し、0.05~8質量%含有し、除去液のpHが、3.5以下であることを特徴とする基板処理方法(請求項1)」が記載されている。
特開2016-92101号公報
製造される半導体デバイスの高度化に伴い、欠陥の発生をより抑制できることが求められている。本発明者らが鋭意検討した結果、半導体デバイスの製造の過程で薬液を適用した際に発生する、有機物を主成分とした有機残渣の量を低減することが、欠陥の発生抑制に効果的であることが知見された。
また、薬液による処理を施した被処理部におけるラフネスを少なくできることも求められている。
そこで、本発明は、有機残渣抑制性及びラフネス抑制性に優れた薬液の提供を課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
酸化剤及び溶剤を含有する、半導体デバイスの製造に用いられる薬液であって、
上記薬液は、更に、炭素数12~50のアルカン及び炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される1種以上の有機成分を含有し、
上記有機成分の含有量が、上記薬液の全質量に対して、0.10~1,000,000質量pptである、薬液。
〔2〕
上記有機成分を2種以上含有する、〔1〕に記載の薬液。
〔3〕
上記炭素数12~50のアルカンの1種以上及び上記炭素数12~50のアルケンの1種以上の両方を含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の薬液。
〔4〕
更に、pH調整剤を含有する、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の薬液。
〔5〕
上記pH調整剤が、アンモニア水、第4級アンモニウム塩化合物、塩酸、及び、硝酸からなる群から選択される1種以上である、〔4〕に記載の薬液。
〔6〕
上記酸化剤が、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、硝酸セリウムアンモニウム、及び、過酸化水素からなる群から選択される1種以上である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の薬液。
〔7〕
上記有機成分の含有量が、上記薬液の全質量に対して、1~150質量pptである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の薬液。
〔8〕
更に、金属成分を含有し、上記金属成分の含有量が、上記薬液の全質量に対して、1~10,000質量pptである、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の薬液。
〔9〕
上記金属成分の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.00005~1000である、〔8〕に記載の薬液。
〔10〕
上記金属成分の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.003~45である、〔8〕又は〔9〕に記載の薬液。
〔11〕
上記金属成分の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.003~0.035である、〔8〕~〔10〕のいずれかに記載の薬液。
〔12〕
上記金属成分が、金属粒子及び金属イオンを含有する、〔8〕~〔11〕のいずれかに記載の薬液。
〔13〕
上記金属粒子の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.0001~1000である、〔12〕に記載の薬液。
〔14〕
上記金属粒子の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.012~180である、〔12〕又は〔13〕に記載の薬液。
〔15〕
上記金属粒子の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.012~0.15である、〔12〕~〔14〕のいずれかに記載の薬液。
〔16〕
上記金属イオンの含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.00005~500である、〔12〕~〔15〕のいずれかに記載の薬液。
〔17〕
上記金属イオンの含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.004~60である、〔12〕~〔16〕のいずれかに記載の薬液。
〔18〕
上記金属イオンの含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、0.004~0.05である、〔12〕~〔17〕のいずれかに記載の薬液。
〔19〕
上記酸化剤の含有量に対する、上記有機成分の含有量の質量比が、1.0×10-12~8.0×10-8である、〔1〕~〔18〕のいずれかに記載の薬液。
〔20〕
上記炭素数12~50のアルカンからなる群から選択される2種以上の上記有機成分を含有し、
上記2種以上の炭素数12~50のアルカンのうち、炭素数16~34のいずれかのアルカンの含有質量が最大である、〔1〕~〔19〕のいずれかに記載の薬液。
本発明によれば、有機残渣抑制性及びラフネス抑制性に優れた薬液を提供できる。
工程A1で用いられる被処理物の一例を示す断面上部の模式図である。 工程A1を実施した後の被処理物の一例を示す断面上部の模式図である。 工程A2で用いられる被処理物の一例を示す模式図である。 工程A4で用いられる被処理物の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に制限されるものではない。
本明細書における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を含有しないものと共に置換基を含有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を含有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を含有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。このことは、各化合物についても同義である。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、及び、EUV(Extreme ultraviolet)光等による露光のみならず、電子線、及び、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、本発明において、「ppm」は「parts-per-million(10-6)」を意味し、「ppb」は「parts-per-billion(10-9)」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10-12)」を意味し、「ppq」は「parts-per-quadrillion(10-15)」を意味する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、pHは、室温(25℃)において、pH計(HI 99131N(品番)、ハンナ インスツルメンツ・ジャパン(株))で測定した値である。
本明細書においてドライエッチング残渣とは、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)を行うことで生じた副生成物のことであり、例えば、フォトレジスト由来の有機物残渣、Si含有残渣、及び、金属含有残渣(例えば、遷移金属含有残渣)等をいう。
[薬液]
本発明の薬液は、半導体デバイスの製造に用いられる薬液である。
上記薬液は、酸化剤及び溶剤を含有する。
上記薬液は、更に、炭素数12~50のアルカン及び炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される1種以上の有機成分を含有する。
上記有機成分の含有量は、薬液の全質量に対して、0.10~1,000,000質量pptである。
このような薬液によって、本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の薬液は、炭素数が所定数以上である有機成分を、所定量以上含有しているため、薬液と薬液が適用される被処理部とが接触した際に、薬液中の有機成分が被処理部の表面上で層を形成しながら薬液が作用するため、薬液の反応が穏やかに進行し、処理後の被処理部におけるラフネスが抑制される。また、薬液が含有する有機成分の炭素数は所定数以下であり、その含有量も所定量以下であるため、有機成分自体が有機残渣として被処理部に残存することを回避しやすい、と推測している。
〔有機成分〕
薬液は、有機成分を含有する。
有機成分は、炭素数12~50のアルカン及び炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される1種以上である。
薬液は、有機成分を1種単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液は有機成分を2種以上含有するのが好ましい。
有機成分を2種以上含有する場合、薬液は、下記要件A~Cのいずれか1以上を満たす。中でも、要件Cを満たすのが好ましい。
要件A:薬液が、炭素数12~50のアルカンからなる群から選択される2種以上を含有する。
要件B:薬液が、炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される2種以上を含有する。
要件C:炭素数12~50のアルカンからなる群から選択される1種以上、及び、炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される1種以上を含有する。
有機成分の含有量は、薬液の全質量に対して、0.10~1,000,000質量pptであり、薬液の有機残渣抑制性とラフネス抑制性がバランス良く優れる点から、1~10,000質量pptが好ましく、1~1,000質量pptがより好ましく、1~150質量pptが更に好ましく、1~65質量pptが特に好ましい。
2種以上の有機成分を使用する場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、有機成分のClogPは、5.0以上が好ましく、8.0~26.0がより好ましく、9.0~17.0が更に好ましい。
ClogP値とは、1-オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法及びソフトウェアについては公知の物を使用できるが、特に断らない限り、本発明ではCambridgesoft社のChemBioDrawUltra12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いる。
有機成分の分子量は、200~600が好ましく、220~450がより好ましい。
有機成分の沸点は通常180℃以上であり、190~600℃が好ましく、200~500℃がよりに好ましい。
また、薬液が有機成分を2種以上含有し、そのうちの少なくとも1種の沸点が380℃以上(好ましくは380~480℃)なのが好ましい。
なお本明細書において沸点は、標準気圧における沸点を意味する。
<アルカン>
有機成分である炭素数12~50のアルカンは、C2j+2(jは12~50の整数を表す、2つのjは同一の値である)で表される化合物である。
上記アルカンは、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。一方で、炭素数12~50のアルカンは環状構造を含有しない。つまり上記アルカンはシクロアルカンではない。
上記アルカンの炭素数は14~40が好ましく、16~34がより好ましい。
また、薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液は炭素数12~50のアルカンからなる群から選択される2種以上含有するのが好ましく、上記2種以上の炭素数12~50のアルカンのうち、炭素数16~34のいずれかのアルカンの含有質量が最大であるのが好ましい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が炭素数12~50のアルカンを含有する場合、薬液の有機残渣抑制性とラフネス抑制性がバランス良く優れる点から、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.1~1,000質量pptが好ましく、0.5~100質量pptがより好ましく、1~100質量pptが更に好ましく、1~60質量pptが特に好ましい。
2種以上の上記アルカンが含有される場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
<アルケン>
有機成分である炭素数12~50のアルケンは、分子中にC=C二重結合を1つ以上含有する。
分子中にC=C二重結合を1つ以上含有する炭素数12~50のアルケンは、C2n+2-2x(nは12~50の整数を表す。xは1以上の整数を表し、アルケンが有するC=C二重結合の数を表す)で表されるアルケンである。なお、C2n+2-2x中、2つのnは同一の値で、「2n+2-2x」は4以上の値である。
炭素数12~50のアルケンは、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。一方で、炭素数12~50のアルケンは環状構造を含有しない。つまり、炭素数12~50のアルケンはシクロアルケンではない。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が炭素数12~50のアルケンを含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、薬液の全質量に対して、0.1~1,000質量pptが好ましく、0.5~100質量pptがより好ましく、1~60質量pptが更に好ましい。
2種以上の上記アルケンを使用する場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、C2n+2-2xで表されるアルケンであってxが1であるアルケンの炭素数は14~40が好ましく、16~34がより好ましい。
薬液がC2n+2-2xで表されるアルケンであってxが1であるアルケンを含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.1~1,000質量pptが好ましく、0.1~100質量pptがより好ましく、1~100質量pptが更に好ましく、1~60質量pptが特に好ましい。
2種以上のC2n+2-2xで表されるアルケンであってxが1であるアルケンを使用する場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
2n+2-2xで表されるアルケンであってxが2以上であるアルケンの炭素数(つまりn)は30~50が好ましく、30~40がより好ましい。
二重結合の数(つまりx)は、2~15が好ましく、2~10がより好ましい。
2n+2-2xで表されるアルケンであってxが2以上であるアルケンは、スクアレン(C3050)、リコペン(C4056)、ネウロスポレン(C4058)、フィトエン(C4064)、又は、フィトフルエン(C4062)が好ましく、スクアレンがより好ましい。
薬液がC2n+2-2xで表されるアルケンであってxが2以上であるアルケンを含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.1~1,000質量pptが好ましく、0.5~1000質量pptがより好ましく、1~10質量pptが更に好まし、1~10質量pptが特に好ましい。
2種以上のC2n+2-2xで表されるアルケンであってxが2以上であるアルケンを使用する場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
なお、薬液中における有機成分の含有量は、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析装置;gas chromatography mass spectrometry)を用いて測定できる。
〔酸化剤〕
本発明の薬液は、酸化剤を含有する。
酸化剤としては、例えば、ハロゲンオキソ酸、ハロゲンオキソ酸塩、硝酸セリウム塩、硫酸セリウム塩、過酸化水素、過硫酸塩、過酸化物、及び、オゾン水が挙げられる。
中でも、酸化剤としては、過ヨウ素酸(オルト過ヨウ素酸及びメタ過ヨウ素酸等)、過ヨウ素酸塩(オルト過ヨウ素酸塩及びメタ過ヨウ素酸塩等)、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩(次亜塩素酸ナトリウム等)、硝酸セリウムアンモニウム(硝酸セリウム(IV)アンモニウム)、並びに、過酸化水素からなる群から選択される1種以上が好ましい。
酸化剤の含有量は、薬液の全質量に対して、0.1~40質量%が好ましい。
2種以上の酸化剤を使用する場合、合計含有量が上記範囲内なのが好ましい。
中でも、薬液が、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、及び、メタ過ヨウ素酸塩からなる群から選択される1種以上を含有する場合、その含有量(2種以上含有する場合はその合計含有量)は薬液の全質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~8.0質量%がより好ましい。
薬液が、次亜塩素酸及び次亜塩素酸塩からなる群から選択される1種以上を含有する場合、その含有量(2種以上含有する場合はその合計含有量)は薬液の全質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。
薬液が、硝酸セリウムアンモニウムを含有する場合、その含有量は薬液の全質量に対して、3.0~40質量%が好ましく、5.0~30質量%がより好ましい。
薬液が、過酸化水素を含有する場合、その含有量は薬液の全質量に対して、5.0~35質量%が好ましく、7.0~30質量%がより好ましい。
薬液中の酸化剤の濃度を測定する方法としては、イオンクロマトグラフ法が挙げられる。具体的な装置としては、例えば、サーモフィッシャー社のDionexICS-2100が挙げられる。
また、薬液中、酸化剤の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/酸化剤の含有質量)は1.0×10-12~8.0×10-8が好ましい。
〔溶剤〕
薬液は、溶剤を含有する。
溶剤としては、例えば、水、及び、有機溶剤が挙げられ、水が好ましい。
なお、炭素数12~50のアルカン及び炭素数12~50のアルケンは、たとえ液状であっても有機溶剤からは除外される。また、有機溶剤は、アルカン及びアルケン以外が好ましい。
水としては、不可避的な微量混合成分を含んでいてもよい。中でも、蒸留水、イオン交換水、又は、超純水といった浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に使用される超純水がより好ましい
薬液中の溶剤(好ましくは水)の濃度は、特に制限されないが、薬液の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。また、上限値は、特に制限はないが、99.9質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましい。
〔pH調整剤〕
本発明の薬液は、上述の成分とは異なる成分として、pH調整剤を含有するのが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、有機塩基、無機塩基、有機酸、及び、無機酸(塩酸、硝酸等)が挙げられる。
pH調整剤の具体例としては、アンモニア水、第4級アンモニウム塩化合物、塩酸、又は、硝酸が好ましい。
薬液は、有機成分を1種単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
上記第4級アンモニウム塩化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007068483000001
式(1)中、R4A~R4Dは、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はアリール基を表す。
式(1)中、R4A~R4Dは、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、及び、ブチル基等)、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及び、ヒドロキシブチル基等)、ベンジル基、又はアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、ナフタレン基等)を表す。中でも、アルキル基、ヒドロキシエチル基、又は、ベンジル基が好ましい。
式(1)で表される化合物としては、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物(ETMAH)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム水酸化物、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物、トリメチルベンジルアンモニウム水酸化物、ビスヒドロキシエチルジメチルアンモニウム水酸化物、及び、コリンよりなる群から選択される少なくとも1種の第4級水酸化アンモニウム塩化合物が好ましい。中でも、式(1)で表される化合物としては、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、及び、テトラブチルアンモニウム水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、特表2015-518068号公報に記載の4級アンモニウムヒドロキシド化合物を使用してもよい。遷移金属含有物の除去効果、使用後の金属残留の少なさ、経済性、及び、薬液の安定性等の理由からは、例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物、ビスヒドロキシエチルジメチルアンモニウム水酸化物、又は、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウム水酸化物が好ましい。
第4級アンモニウム塩化合物は1種単独で使用しても、2種類以上を使用してもよい。
pH調整剤として水溶性アミンを使用してもよい。
水溶性アミンのpkaは、7.5~13.0であるのが好ましい。なお、本明細書において、水溶性アミンとは、1Lの水中に50g以上溶解し得るアミンを意図する。また、水溶性アミンとして、アンモニア水は含めない。
pKaが7.5~13である水溶性アミンとしては、例えば、ジグリコールアミン(DGA)(pKa=9.80)、メチルアミン(pKa=10.6)、エチルアミン(pKa=10.6)、プロピルアミン(pKa=10.6)、ブチルアミン(pKa=10.6)、ペンチルアミン(pKa=10.0)、エタノールアミン(pKa=9.3)、プロパノールアミン(pKa=9.3)、ブタノールアミン(pKa=9.3)、メトキシエチルアミン(pKa=10.0)、メトキシプロピルアミン(pKa=10.0)、ジメチルアミン(pKa=10.8)、ジエチルアミン(pKa=10.9)、ジプロピルアミン(pKa=10.8)、トリメチルアミン(pKa=9.80)、及び、トリエチルアミン(pKa=10.72)が挙げられる。
また、水溶性アミンとして、無置換ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン誘導体を使用してもよい。
なお、本明細書における水溶性アミンのpkaは、水中における酸解離定数である。水中における酸解離定数は、スペクトロメーターと電位差測定の組み合わせにより測定できる。
中でも、pH調整剤としては、アンモニア水、TMAH、TEAH、TBAH、ETMAH、コリン、塩酸、又は、硝酸が好ましい。
pH調整剤の含有量は、薬液の全質量に対して、例えば、0.01~20質量%である。
〔金属成分〕
薬液は金属成分を含有してもよい。
本発明において、金属成分は、金属粒子及び金属イオンが挙げられ、例えば、金属成分の含有量と言う場合、金属粒子及び金属イオンの合計含有量を示す。
薬液は、金属粒子及び金属イオンのいずれか一方が含有してもよく、両方を含有してもよい。薬液は、金属粒子及び金属イオンの両方を含有するのが好ましい。
金属成分における、金属元素は、例えば、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Li(リチウム)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、及び、Zn(ジルコニウム)が挙げられる。金属成分は、金属元素を1種含有してもよいし2種以上含有してもよい。
ただし、金属成分における金属元素としてはセリウムを除外する。
金属粒子は、単体でも合金でもよく、金属が有機物と会合した形態で存在していてもよい。
金属成分は、薬液に含まれる各成分(原料)に不可避的に含まれている金属成分でもよいし、薬液の製造、貯蔵、及び/又は、移送時に不可避的に含まれる金属成分でもよいし、意図的に添加してもよい。
薬液が金属成分を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01~20,000質量pptが好ましく、1~10,000質量pptがより好ましく、10~5,000質量pptが更に好ましい。
金属成分の含有量が0.01質量ppt以上であれば、金属成分が、薬液によって処理される遷移金属含有物等に対して触媒的に作用して溶解能を向上できると考えられている。
また、金属成分の含有量が20,000質量ppt以下であれば、被処理物の表面上において金属成分に由来する金属残渣が発生するのを回避しやすいと考えられている。
薬液が金属イオンを含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01~20,000質量pptが好ましく、1~10,000質量pptがより好ましく、10~4,000質量pptが更に好ましい。
薬液が金属粒子を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01~10000質量pptが好ましく、1~4000質量pptがより好ましく、5~2000質量pptが更に好ましい。
また、薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属成分を含有する場合、金属成分の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属成分の含有質量)は、0.00005~1000が好ましく、0.003~45がより好ましく、0.003~0.035が更に好ましい。
薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属粒子を含有する場合、金属粒子の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属粒子の含有質量)は、0.0001~1000が好ましく、0.012~180がより好ましく、0.012~0.15が更に好ましい。
薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属イオンを含有する場合、金属イオンの含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属イオンの含有質量)は、0.00005~500が好ましく、0.004~60がより好ましく、0.004~0.05が更に好ましい。
なお、薬液中の金属イオン及び金属粒子の種類及び含有量は、SP-ICP-MS法(Single Nano Particle Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)で測定できる。
ここで、SP-ICP-MS法とは、通常のICP-MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)と同様の装置を使用し、データ分析のみが異なる。SP-ICP-MS法のデータ分析は、市販のソフトウェアにより実施できる。
ICP-MS法では、測定対象とされた金属成分の含有量が、その存在形態に関わらず、測定される。従って、測定対象とされた金属粒子と、金属イオンとの合計質量が、金属成分の含有量として定量される。
一方、SP-ICP-MS法では、金属粒子の含有量が測定できる。従って、試料中の金属成分の含有量から、金属粒子の含有量を引くと、試料中の金属イオンの含有量が算出できる。
SP-ICP-MS法の装置としては、例えば、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8800 トリプル四重極ICP-MS(inductively coupled plasma mass spectrometry、半導体分析用、オプション#200)が挙げられ、実施例に記載した方法により測定できる。上記以外の他の装置としては、PerkinElmer社製 NexION350Sのほか、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8900も使用できる。
本発明の薬液は、上述した以外の他の成分(界面活性剤、防食剤、及び、キレート剤等)を含んでいてもよい。
他の成分としては、特に制限はなく、公知の成分が挙げられる。例えば、特開2014-93407号公報の段落0026等に記載、特開2013-55087号公報の段落0024~0027等に記載、及び、特開2013-12614号公報の段落0024~0027等に記載の各界面活性剤が挙げられる。
また、特開2014-107434号公報の段落0017~0038、特開2014-103179号公報の段落0033~0047、及び、特開2014-93407号公報の段落0017~0049等に開示の各添加剤が挙げられる。
本発明の薬液のpHは特に制限されず、例えば、1~13である。
中でも、薬液が含有する酸化剤の主成分(薬液が含有する酸化剤のうち、最も含有質量が大きい酸化剤の種類)が、過ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩である場合、薬液のpHは、-1~8が好ましく、0~8がより好ましく、2~6が更に好ましい。
薬液が含有する酸化剤の主成分が、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩である場合、薬液のpHは、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。この場合、薬液のpHの上限は特に制限されないが、通常16以下である。
薬液が含有する酸化剤の主成分が、硝酸セリウムアンモニウムである場合、薬液のpHは、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。この場合、薬液のpHの下限は特に制限されないが、通常-2以上である。
薬液が含有する酸化剤の主成分が、過酸化水素である場合、薬液のpHは、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。この場合、薬液のpHの上限は特に制限されないが、通常16以下である。
また、言い換えると、薬液中における、上述のpH調整剤の含有量は、薬液を上記のようなpHの範囲にできる量であるのが好ましい。
〔薬液の製造方法〕
上述した薬液は、公知の方法により製造できる。中でも、薬液の製造方法の好適態様としては、少なくとも、酸化剤と溶剤(好ましくは水)と、を含有する被精製物を、フィルターでろ過するろ過工程を有するのが好ましい。
被精製物には、所望に応じて、ろ過工程の前にpH調整剤が添加されてもよいし、ろ過工程の後にpH調整剤が添加されてもよい。
被精製物には、ろ過工程の前に有機成分が添加されてもよいし、ろ過工程の後に有機成分が添加されてもよい。また、ろ過工程の最中にフィルター等に由来する有機成分が被精製物に含有されるように調整してもよい。
また、薬液が金属成分を含有する場合、被精製物には、ろ過工程の前に金属成分が添加されてもよいし、ろ過工程の後に金属成分が添加されてもよい。また、ろ過工程の最中に、使用した精製装置に由来する金属成分が被精製物に含有されるように調整してもよい。
<ろ過工程>
薬液の製造方法としては、フィルターを用いて上記被精製物をろ過して薬液を得るろ過工程を含有するのが好ましい。フィルターを用いて被精製物をろ過する方法としては特に制限されないが、ハウジングと、ハウジングに収納されたフィルターカートリッジと、を有するフィルターユニットに、被精製物を加圧又は無加圧で通過させる(通液する)のが好ましい。
・フィルターの細孔径
フィルターの細孔径としては特に制限されず、被精製物のろ過用として通常使用される細孔径のフィルターが使用できる。中でも、フィルターの細孔径は、薬液が含有する粒子(金属粒子等)の数を所望の範囲により制御しやすい点で、200nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましく、5nm以下が特に好ましく、3nm以下が最も好ましい。下限値としては特に制限されないが、一般に1nm以上が、生産性の観点から好ましい。
なお、本明細書において、フィルターの細孔径、及び、細孔径分布とは、イソプロパノール(IPA)のバブルポイントによって決定される細孔径及び細孔径分布を意味する。
フィルターの細孔径が、5.0nm以下であると、薬液中における含有粒子数をより制御しやすい点で好ましい。以下、細孔径が5nm以下のフィルターを「微小孔径フィルター」ともいう。
なお、微小孔径フィルターは単独で用いてもよいし、他の細孔径を有するフィルターと使用してもよい。中でも、生産性により優れる観点から、より大きな細孔径を有するフィルターと使用するのが好ましい。この場合、予めより大きな細孔径を有するフィルターによってろ過した被精製物を、微小孔径フィルターに通液させれば、微小孔径フィルターの目詰まりを防げる。
すなわち、フィルターの細孔径としては、フィルターを1つ用いる場合には、細孔径は5.0nm以下が好ましく、フィルターを2つ以上用いる場合、最小の細孔径を有するフィルターの細孔径が5.0nm以下が好ましい。
細孔径の異なる2種以上のフィルターを順次使用する形態としては特に制限されないが、被精製物が移送される管路に沿って、既に説明したフィルターユニットを順に配置する方法が挙げられる。このとき、管路全体として被精製物の単位時間当たりの流量を一定にしようとすると、細孔径のより小さいフィルターユニットには、細孔径のより大きいフィルターユニットと比較してより大きな圧力がかかる場合がある。この場合、フィルターユニットの間に圧力調整弁、及び、ダンパ等を配置して、小さい細孔径を有するフィルターユニットにかかる圧力を一定にしたり、また、同一のフィルターが収納されたフィルターユニットを管路に沿って並列に配置したりして、ろ過面積を大きくするのが好ましい。このようにすれば、より安定して、薬液中における粒子の数を制御できる。
・フィルターの材料
フィルターの材料としては特に制限されず、フィルターの材料として公知の材料が使用できる。具体的には、樹脂である場合、ナイロン(例えば、6-ナイロン及び6,6-ナイロン)等のポリアミド;ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリ(メタ)アクリレート;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及び、ポリフッ化ビニル等のポリフルオロカーボン;ポリビニルアルコール;ポリエステル;セルロース;セルロースアセテート等が挙げられる。中でも、より優れた耐溶剤性を有し、得られる薬液がより優れた欠陥抑制性能を有する点で、ナイロン(中でも、6,6-ナイロンが好ましい)、ポリオレフィン(中でも、ポリエチレンが好ましい)、ポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリフルオロカーボン(中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)が好ましい。)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの重合体は単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
また、樹脂以外にも、ケイソウ土、及び、ガラス等であってもよい。
他にも、ポリオレフィン(後述するUPE等)にポリアミド(例えば、ナイロン-6又はナイロン-6,6等のナイロン)をグラフト共重合させたポリマー(ナイロングラフトUPE等)をフィルターの材料としてもよい。
また、フィルターは表面処理されたフィルターであってもよい。表面処理の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。表面処理の方法としては、例えば、化学修飾処理、プラズマ処理、疎水処理、コーティング、ガス処理、及び、焼結等が挙げられる。
プラズマ処理は、フィルターの表面が親水化されるために好ましい。プラズマ処理して親水化されたろ過材の表面における水接触角としては特に制限されないが、接触角計で測定した25℃における静的接触角が、60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、30°以下が更に好ましい。
化学修飾処理としては、基材にイオン交換基を導入する方法が好ましい。
すなわち、フィルターとしては、上記で挙げた各材料を基材として、上記基材にイオン交換基を導入したフィルターが好ましい。典型的には、上記基材の表面にイオン交換基を含有する基材を含む層を含むフィルターが好ましい。表面修飾された基材としては特に制限されず、製造がより容易な点で、上記重合体にイオン交換基を導入したフィルターが好ましい。
イオン交換基としては、カチオン交換基として、スルホン酸基、カルボキシ基、及び、リン酸基等が挙げられ、アニオン交換基として、4級アンモニウム基等が挙げられる。イオン交換基を重合体に導入する方法としては特に制限されないが、イオン交換基と重合性基とを含有する化合物を重合体と反応させ典型的にはグラフト化する方法が挙げられる。
イオン交換基の導入方法としては特に制限されないが、上記の樹脂の繊維に電離放射線(α線、β線、γ線、X線、及び、電子線等)を照射して樹脂中に活性部分(ラジカル)を生成させる。この照射後の樹脂をモノマー含有溶液に浸漬してモノマーを基材にグラフト重合させる。その結果、このモノマーがポリオレフィン繊維にグラフト重合側鎖として結合したポリマーが生成する。この生成されたポリマーを側鎖として含有する樹脂をアニオン交換基又はカチオン交換基を含有する化合物と接触反応させて、グラフト重合された側鎖のポリマーにイオン交換基が導入されて最終生成物が得られる。
また、フィルターは、放射線グラフト重合法によりイオン交換基を形成した織布、又は、不織布と、従来のガラスウール、織布、又は、不織布のろ過材とを組み合わせた構成でもよい。
イオン交換基を含有するフィルターを用いると、金属原子を含有する粒子の薬液中における含有量を所望の範囲により制御しやすい。イオン交換基を含有するフィルターの材料としては特に制限されないが、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンにイオン交換基を導入した材料等が挙げられ、ポリフルオロカーボンにイオン交換基を導入した材料がより好ましい。
イオン交換基を含有するフィルターの細孔径としては特に制限されないが、1~30nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。イオン交換基を含有するフィルターは、既に説明した最小の細孔径を有するフィルターを兼ねてもよいし、最小の細孔径を有するフィルターとは別に使用してもよい。中でもより優れた本発明の効果を示す薬液が得られる点で、ろ過工程は、イオン交換基を含有するフィルターと、イオン交換基を有さず、最小の細孔径を有するフィルターとを使用する形態が好ましい。
既に説明した最小の細孔径を有するフィルターの材料としては特に制限されないが、耐溶剤性等の観点から、一般に、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
従って、ろ過工程で使用されるフィルターとしては、材料の異なる2種以上のフィルターを使用してもよく、例えば、ポリオレフィン、ポリフルオロカーボン、ポリアミド、及び、これらにイオン交換基を導入した材料のフィルターからなる群より選択される2種以上を使用してもよい。
・フィルターの細孔構造
フィルターの細孔構造としては特に制限されず、被精製物中の成分に応じて適宜選択すればよい。本明細書において、フィルターの細孔構造とは、細孔径分布、フィルター中の細孔の位置的な分布、及び、細孔の形状等を意味し、典型的には、フィルターの製造方法により制御可能である。
例えば、樹脂等の粉末を焼結して形成すれば多孔質膜が得られ、及び、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等の方法により形成すれば繊維膜が得られる。これらは、それぞれ細孔構造が異なる。
「多孔質膜」とは、ゲル、粒子、コロイド、細胞、及び、ポリオリゴマー等の被精製物中の成分を保持するが、細孔よりも実質的に小さい成分は、細孔を通過する膜を意味する。多孔質膜による被精製物中の成分の保持は、動作条件、例えば、面速度、界面活性剤の使用、pH、及び、これらの組み合わせに依存する場合があり、かつ、多孔質膜の孔径、構造、及び、除去されるべき粒子のサイズ、及び、構造(硬質粒子か、又は、ゲルか等)に依存し得る。
被精製物が負に帯電している粒子を含有する場合、そのような粒子の除去には、ポリアミド製のフィルターが非ふるい膜の機能を果たす。典型的な非ふるい膜には、ナイロン-6膜及びナイロン-6,6膜等のナイロン膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、本明細書で使用される「非ふるい」による保持機構は、フィルターの圧力降下、又は、細孔径に関連しない、妨害、拡散及び吸着等の機構によって生じる保持を指す。
非ふるい保持は、フィルターの圧力降下又はフィルターの細孔径に関係なく、被精製物中の除去対象粒子を除去する、妨害、拡散及び吸着等の保持機構を含む。フィルター表面への粒子の吸着は、例えば、分子間のファンデルワールス力及び静電力等によって媒介され得る。蛇行状のパスを有する非ふるい膜層中を移動する粒子が、非ふるい膜と接触しないように十分に速く方向を変られない場合に、妨害効果が生じる。拡散による粒子輸送は、粒子がろ過材と衝突する一定の確率を作り出す、主に、小さな粒子のランダム運動又はブラウン運動から生じる。粒子とフィルターの間に反発力が存在しない場合、非ふるい保持機構は活発になり得る。
UPE(超高分子量ポリエチレン)フィルターは、典型的には、ふるい膜である。ふるい膜は、主にふるい保持機構を介して粒子を捕捉する膜、又は、ふるい保持機構を介して粒子を捕捉するために最適化された膜を意味する。
ふるい膜の典型的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とUPE膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、「ふるい保持機構」とは、除去対象粒子が多孔質膜の細孔径よりも大きいことによる結果の保持を指す。ふるい保持力は、フィルターケーキ(膜の表面での除去対象となる粒子の凝集)を形成することによって向上させられる。フィルターケーキは、2次フィルターの機能を効果的に果たす。
繊維膜の材質は、繊維膜を形成可能なポリマーであれば特に制限されない。ポリマーとしては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、及び、ナイロン6,6等が挙げられる。繊維膜を形成するポリマーとしては、ポリ(エーテルスルホン)であってもよい。繊維膜が多孔質膜の一次側にある場合、繊維膜の表面エネルギーは、二次側にある多孔質膜の材質であるポリマーより高いのが好ましい。そのような組合せとしては、例えば、繊維膜の材料がナイロンで、多孔質膜がポリエチレン(UPE)である場合が挙げられる。
繊維膜の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。繊維膜の製造方法としては、例えば、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等が挙げられる。
多孔質膜(例えば、UPE、及び、PTFE等を含む多孔質膜)の細孔構造としては特に制限されないが、細孔の形状としては例えば、レース状、ストリング状、及び、ノード状等が挙げられる。
多孔質膜における細孔の大きさの分布とその膜中における位置の分布は、特に制限されない。大きさの分布がより小さく、かつ、その膜中における分布位置が対称であってもよい。また、大きさの分布がより大きく、かつ、その膜中における分布位置が非対称であってもよい(上記の膜を「非対称多孔質膜」ともいう。)。非対称多孔質膜では、孔の大きさは膜中で変化し、典型的には、膜一方の表面から膜の他方の表面に向かって孔径が大きくなる。このとき、孔径の大きい細孔が多い側の表面を「オープン側」といい、孔径が小さい細孔が多い側の表面を「タイト側」ともいう。
また、非対称多孔質膜としては、例えば、細孔の大きさが膜の厚さ内のある位置においてで最小となる膜(これを「砂時計形状」ともいう。)が挙げられる。
非対称多孔質膜を用いて、一次側をより大きいサイズの孔とすると、言い換えれば、一次側をオープン側とすると、前ろ過効果を生じさせられる。
多孔質膜は、PESU(ポリエーテルスルホン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシアルカンとの共重合体)、ポリアミド、及び、ポリオレフィン等の熱可塑性ポリマーを含んでもよいし、ポリテトラフルオロエチレン等を含んでもよい。
中でも、多孔質膜の材料としては、超高分子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレンは、極めて長い鎖を有する熱可塑性ポリエチレンを意味し、分子量が百万以上、典型的には、200~600万が好ましい。
ろ過工程で使用されるフィルターとしては、細孔構造の異なる2種以上のフィルターを使用してもよく、多孔質膜、及び、繊維膜のフィルターを併用してもよい。具体例としては、ナイロン繊維膜のフィルターと、UPE多孔質膜のフィルターとを使用する方法が挙げられる。
また、フィルターは使用前に十分に洗浄してから使用するのが好ましい。
未洗浄のフィルター(又は十分な洗浄がされていないフィルター)を使用する場合、フィルターが含有する不純物が薬液に持ち込まれやすい。
フィルターが含有する不純物としては、例えば、上述の有機成分が挙げられる。未洗浄のフィルター(又は十分な洗浄がされていないフィルター)を使用してろ過工程を実施すると、薬液中の有機成分の含有量が、本発明の薬液としての許容範囲を超える場合もある。
例えば、UPE等のポリオレフィン及びPTFE等のポリフルオロカーボンをフィルターに用いる場合、フィルターは不純物として炭素数12~50のアルカンを含有しやすい。
また、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、及び、ポリオレフィン(UPE等)にポリアミド(ナイロン等)をグラフト共重合させたポリマーをフィルターに用いる場合、フィルターは不純物として炭素数12~50のアルケンを含有しやすい。
フィルターの洗浄の方法は、例えば、不純物含有量の少ない有機溶剤(例えば、蒸留精製した有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はイソプロピルアルコール等))に、フィルターを1週間以上浸漬する方法が挙げられる。この場合、上記有機溶剤の液温は30~90℃が好ましい。
洗浄の程度を調整したフィルターを用いて被精製物をろ過し、得られる薬液が所望の量のフィルター由来の有機成分を含有するように調整してもよい。
上記のとおり、本発明の実施形態に係るろ過工程は、フィルターの材料、細孔径、及び、細孔構造からなる群より選択される少なくとも1種が異なる2種以上のフィルターに被精製物を通過させる、多段ろ過工程であってもよい。
また、同一のフィルターに被精製物を複数回通過させてもよく、同種のフィルターの複数に、被精製物を通過させてもよい。
ろ過工程で使用される精製装置の接液部(被精製物、及び、薬液が接触する可能性のある内壁面等を意味する)の材料としては特に制限されないが、非金属材料(フッ素系樹脂等)、及び、電解研磨された金属材料(ステンレス鋼等)からなる群から選択される少なくとも1種(以下、これらをあわせて「耐腐食材料」ともいう。)から形成されるのが好ましい。例えば、製造タンクの接液部が耐腐食材料から形成される、とは、製造タンク自体が耐腐食材料からなるか、又は、製造タンクの内壁面等が耐腐食材料で被覆されている場合が挙げられる。
上記非金属材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。
非金属材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、並びに、フッ素系樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂、及び、フッ化ビニル樹脂等)からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これに制限されない。
上記金属材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。
金属材料としては、例えば、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料が挙げられ、中でも、30質量%以上がより好ましい。金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、一般に90質量%以下が好ましい。
金属材料としては例えば、ステンレス鋼、及びニッケル-クロム合金等が挙げられる。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼が使用できる。中でも、ニッケルを8質量%以上含有する合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
ニッケル-クロム合金としては、特に制限されず、公知のニッケル-クロム合金が使用できる。中でも、ニッケル含有量が40~75質量%、クロム含有量が1~30質量%のニッケル-クロム合金が好ましい。
ニッケル-クロム合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及びインコネル(商品名、以下同じ)等が挙げられる。より具体的には、ハステロイC-276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ-C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、及び、ハステロイC-22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)等が挙げられる。
また、ニッケル-クロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、及びコバルト等を含有していてもよい。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、特開2015-227501号公報の段落[0011]~[0014]、及び、特開2008-264929号公報の段落[0036]~[0042]等に記載された方法が使用できる。
金属材料は、電解研磨により表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっていると推測される。そのため、接液部が電解研磨された金属材料から形成された精製装置を用いると、被精製物中に金属含有粒子が流出しにくいと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていてもよい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われるのが好ましい。
被精製物の精製は、それに付随する、容器の開封、容器及び装置の洗浄、溶液の収容、並びに、分析等は、全てクリーンルームで行うのが好ましい。クリーンルームは、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644-1:2015で定めるクラス4以上の清浄度のクリーンルームが好ましい。具体的にはISOクラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、及び、ISOクラス4のいずれかを満たすのが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすのがより好ましく、ISOクラス1を満たすのが更に好ましい。
薬液の保管温度としては特に制限されないが、薬液が微量に含有する不純物等がより溶出しにくく、結果としてより優れた本発明の効果が得られる点で、保管温度としては4℃以上が好ましい。
上記精製方法により製造された薬液は、容器に収容されて使用時まで保管してもよい。
このような容器と、容器に収容された薬液とをあわせて薬液収容体という。保管された薬液収容体からは、薬液が取り出され使用される。
上記薬液を保管する容器としては、半導体デバイス製造用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないのが好ましい。
使用可能な容器としては、具体的には、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。
容器としては、薬液への不純物混入(コンタミ)防止を目的として、容器内壁を6種の樹脂による6層構造とした多層ボトル、又は、6種の樹脂による7層構造とした多層ボトルを使用するのも好ましい。これらの容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
この容器の接液部は、既に説明した耐腐食材料(好ましくは電解研磨されたステンレス鋼又はフッ素系樹脂)又はガラスであってもよい。より優れた本発明の効果が得られる点で、接液部の面積の90%以上が上記材料からなるのが好ましく、接液部の全部が上記材料からなるのがより好ましい。
薬液収容体の、容器内の空隙率は、2~80体積%が好ましく、2~50体積%がより好ましく、5~30体積%が更に好ましい。
なお、上記空隙率は、式(1)に従って計算される。
式(1):空隙率={1-(容器内の薬液の体積/容器の容器体積)}×100
上記容器体積とは、容器の内容積(容量)と同義である。
空隙率がある程度小さければ、空隙に存在する空気が少ないため、空気中の有機化合物等が薬液に混入する量を減らせるので、収容した薬液の組成を安定させやすい。
空隙率が、2体積%以上であれば、適当な空間があるため薬液の取り扱いが容易である。
〔用途〕
本発明の薬液は、半導体デバイスの製造に用いられる。
より具体的には、本発明の薬液は、半導体デバイスの製造に用いられるエッチャント又は洗浄液として使用されるのが好ましい。
上記エッチャントは、例えば、半導体デバイスに適用される基板上の特定の層又は構造(配線等)の、一部又は全部を溶解させて除去処理するのに用いられる。
上記洗浄液は、例えば、半導体デバイスの製造過程で、基板が特定の処理(ドライエッチング又はCMP(chemical mechanical polishing)等)を施されたことで発生した残渣を、基板上から除去処理するのに使用される。
また、本発明の薬液は、CMPの用途にも用いられる。
次に、まず、本発明の薬液で処理される対象となる典型的な被処理物について説明し、その後、より具体的な処理方法について説明する。
<被処理物>
本発明の薬液は、基板上の遷移金属含有物を除去するのに用いられるのが好ましい。
なお、本明細書における「基板上」とは、例えば、基板の表裏、側面、及び、溝内等のいずれも含む。また、基板上の遷移金属含有物とは、基板の表面上に直接遷移金属含有物がある場合のみならず、基板上に他の層を介して遷移金属含有物がある場合も含む。
遷移金属含有物に含まれる遷移金属は、例えば、Ru(ルテニウム)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Hf(ハフニウム)、Os(オスミウム)、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)、La(ランタン)、W(タングステン)、及び、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)から選択される金属Mが挙げられる。
つまり、遷移金属含有物としては、金属M含有物が好ましい。
中でも、遷移金属含有物はRu含有物であるのが好ましい。つまり、本発明の薬液は、Ru含有物を除去するのに用いられるのがより好ましい。
Ru含有物中のRu原子の含有量は、Ru含有物全質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が挙げられる。
遷移金属含有物は、遷移金属(遷移金属原子)を含有する物質でありさえすればよく、例えば、遷移金属の単体、遷移金属を含有する合金、遷移金属の酸化物、遷移金属の窒化物、及び、遷移金属の酸窒化物が挙げられる。中でも、遷移金属含有物としては、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物が好ましい。
なお、上記酸化物、窒化物、及び、酸窒化物は、遷移金属を含有する、複合酸化物、複合窒化物、及び、複合酸窒化物でもよい。
遷移金属含有物中の遷移金属原子の含有量は、遷移金属含有物全質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。上限は、遷移金属含有物が遷移金属そのものであってもよいことから、100質量%である。
被処理物は、遷移金属含有物を有する基板である。つまり、被処理物は、基板と、基板上にある遷移金属含有物とを少なくとも含有する。
基板の種類は特に制限はないが、半導体基板が好ましい。
上記基板には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び、光磁気ディスク用基板等の各種基板が挙げられる。
半導体基板を構成する材料としては、ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、及び、GaAs等の第III-V族化合物、又は、それらの任意の組合せが挙げられる。
基板上の遷移金属含有物の種類は、上述した通りである。
基板上の遷移金属含有物の形態は特に制限されず、例えば、膜状に配置された形態(遷移金属含有膜)、配線状に配置された形態(遷移金属含有配線)、及び、粒子状に配置された形態のいずれであってもよい。上述したように、遷移金属としてはRuが好ましく、被処理物としては、基板と、基板上に配置されたRu含有膜、Ru含有配線、又は粒子状のRu含有物とを含有する被処理物が好ましい。
2種以上の遷移金属含有物が基板上に同時に存在する場合、2種以上の遷移金属含有物は、別々に存在していてもよいし、均一に混合した形態で存在していてもよい。
なお、遷移金属含有物が粒子状に配置された形態としては、例えば、後述するように、遷移金属含有膜が配置された基板に対してドライエッチングを施した後に、残渣として粒子状の遷移金属含有物が付着している基板、及び、遷移金属含有膜に対してCMP(chemical mechanical polishing、化学的機械的研磨処理)を施した後に、残渣として粒子状の遷移金属含有物が付着している基板が挙げられる。
遷移金属含有膜の厚みは特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。
遷移金属含有膜は、基板の片側の主面上にのみに配置されていてもよいし、両側の主面上に配置されていてもよい。また、遷移金属含有膜は、基板の主面全面に配置されていてもよいし、基板の主面の一部に配置されていてもよい。
また、上記被処理物は、遷移金属含有物以外に、所望に応じた種々の層、及び/又は、構造を含有していてもよい。例えば、基板上には、金属配線、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、絶縁層、強磁性層、及び/又は、非磁性層等が配置されていいてもよい。
基板は、曝露された集積回路構造、例えば金属配線及び誘電材料等の相互接続機構を含有していてもよい。相互接続機構に使用する金属及び合金としては、例えば、アルミニウム、銅アルミニウム合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられる。基板は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び/又は、炭素ドープ酸化ケイ素の層を含有していてもよい。
基板の大きさ、厚さ、形状、及び、層構造等は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択できる。
本発明の薬液を用いた処理方法に用いる被処理物は、上述したように、基板上に遷移金属含有物を有する。
被処理物の製造方法は、特に制限されない。例えば、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等で、基板上に遷移金属含有膜を形成できる。なお、スパッタリング法及びCVD法等により遷移金属含有膜を形成した場合、遷移金属含有膜が配置された基板の裏面(遷移金属含有膜側とは反対側の表面)にも、遷移金属含有物が付着する場合がある。
また、所定のマスクを介して上記方法を実施して、基板上に遷移金属含有配線を形成してもよい。
また、遷移金属含有膜又は遷移金属含有配線が配置された基板に対して所定の処理を施して、本発明の薬液を用いた処理方法の被処理物として用いてもよい。
例えば、遷移金属含有膜又は遷移金属含有配線が配置された基板をドライエッチングに供して、遷移金属を含有するドライエッチング残渣を有する基板を製造してもよい。また、遷移金属含有膜又は遷移金属含有配線が配置された基板をCMPに供して、遷移金属含有物を有する基板を製造してもよい。
<基板の処理方法>
本発明の薬液を用いた基板の処理方法(以後、「本処理方法」ともいう)は、上述した薬液を用いて、基板上の遷移金属含有物を除去する工程Aを含有する。
上述したように、特に、遷移金属含有物がRu含有物を含有する場合に、本処理方法が好適に用いられる。
本処理方法で用いられる薬液は、上述した通りである。
また、本処理方法の被処理物である、遷移金属含有物を含有する基板に関しても、上述した通りである。
工程Aの具体的な方法としては、薬液と、被処理物である遷移金属含有物が配置された基板とを接触させる方法が挙げられる。
接触させる方法は特に制限されず、例えば、タンクに入れた薬液中に被処理物を浸漬する方法、被処理物上に薬液を噴霧する方法、被処理物上に薬液を流す方法、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。中でも、被処理物を薬液に浸漬する方法が好ましい。
更に、薬液の洗浄能力をより増進するために、機械式撹拌方法を用いてもよい。
機械式撹拌方法としては、例えば、被処理物上で薬液を循環させる方法、被処理物上で薬液を流過又は噴霧させる方法、及び、超音波又はメガソニックにて薬液を撹拌する方法等が挙げられる。
工程Aの処理時間は、適宜調整できる。
処理時間(薬液と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、0.25~10分が好ましく、0.5~2分がより好ましい。
処理の際の薬液の温度は特に制限されないが、20~75℃が好ましく、20~60℃がより好ましく、40~65℃が更に好ましく。50~65℃がより好ましい。
工程Aにおいて、除去する基板上の遷移金属含有物は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
工程Aにおいては、薬液中の酸化剤の濃度を測定しながら、必要に応じて、薬液中に溶剤(好ましくは、水)を添加する処理を実施してもよい。本処理を実施することにより、薬液中の成分濃度を所定の範囲に安定的に保つことができる。
薬液中の酸化剤の濃度を測定する方法としては、イオンクロマトグラフ法が挙げられる。具体的な装置としては、例えば、サーモフィッシャー社のDionex ICS-2100が挙げられる。
工程Aの具体的な好適態様としては、薬液を用いて基板上に配置された遷移金属含有配線をリセスエッチング処理する工程A1、薬液を用いて遷移金属含有膜が配置された基板の外縁部の遷移金属含有膜を除去する工程A2、薬液を用いて遷移金属含有膜が配置された基板の裏面に付着する遷移金属含有物を除去する工程A3、薬液を用いてドライエッチング後の基板上の遷移金属含有物を除去する工程A4、又は、薬液を用いて化学的機械的研磨処理後の基板上の遷移金属含有物を除去する工程A5が挙げられる。
以下、上記各処理に用いられる本処理方法について説明する。
<工程A1>
工程Aとしては、薬液を用いて基板上に配置された遷移金属含有配線をリセスエッチング処理する工程A1が挙げられる。
図1に、工程A1のリセスエッチング処理の被処理物である遷移金属含有配線を含有する基板(以後、「配線基板」ともいう)の一例を示す断面上部の模式図を示す。
図1に示す配線基板10aは、図示しない基板と、基板上に配置された溝を含有する絶縁膜12と、溝の内壁に沿って配置されたバリアメタル層14と、溝内部に充填された遷移金属含有配線16とを含有する。
配線基板中の基板及び遷移金属含有配線は、上述した通りである。
遷移金属含有配線としては、Ru含有配線(Ruを含有する配線)が好ましい。Ru含有配線は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含有することが好ましい。
配線基板中のバリアメタル層を構成する材料は特に制限されず、例えば、TiN及びTaNが挙げられる。
なお、図1においては、配線基板がバリアメタル層を含有する態様について述べたが、バリアメタル層を含有しない配線基板であってもよい。
配線基板の製造方法は特に制限されず、例えば、基板上に絶縁膜を形成する工程と、上記絶縁膜に溝を形成する工程と、絶縁膜上にバリアメタル層を形成する工程と、上記溝を充填するように遷移金属含有膜を形成する工程と、遷移金属含有膜に対して平坦化処理を施す工程と、を含む方法が挙げられる。
工程A1においては、上述した薬液を用いて、配線基板中の遷移金属含有配線に対してリセスエッチング処理を行うことで、上遷移金属含有配線の一部を除去して、凹部を形成することができる。
より具体的には、工程A1を実施すると、図2の配線基板10bに示すように、バリアメタル層14及び遷移金属含有配線16の一部が除去されて、凹部18が形成される。
工程A1の具体的な方法としては、薬液と、配線基板とを接触させる方法が挙げられる。
薬液と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
薬液と配線基板との接触時間及び薬液の温度の好適範囲は、上述した通りである。
なお、工程A1の後に、必要に応じて、所定の溶液(以後、「特定溶液」ともいう)を用いて、工程A1で得られた基板を処理する工程Bを実施してもよい。
特に、上述したように、基板上にバリアメタル層が配置されている場合、遷移金属含有配線を構成する成分とバリアメタル層を構成する成分とでは、その種類によって本発明の薬液に対する溶解性が異なる場合がある。そのような場合、バリアメタル層に対してより溶解性が優れる溶液を用いて、遷移金属含有配線とバリアメタル層との溶解の程度を調整するのが好ましい。
このような点から、特定溶液は、遷移金属含有配線に対する溶解性が乏しく、バリアメタル層を構成する物質に対して溶解性が優れる溶液が好ましい。
特定溶液としては、例えば、フッ酸と過酸化水素水との混合液(FPM)、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(APM)、及び、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM)からなる群から選択される溶液が挙げられる。
FPMの組成は、例えば、「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:200」の範囲内(体積比)が好ましい。
SPMの組成は、例えば、「硫酸:過酸化水素水:水=3:1:0」~「硫酸:過酸化水素水:水=1:1:10」の範囲内(体積比)が好ましい。
APMの組成は、例えば、「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:1」~「アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(体積比)が好ましい。
HPMの組成は、例えば、「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:1」~「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(体積比)が好ましい。
なお、これらの好ましい組成比の記載は、フッ酸は49質量%フッ酸、硫酸は98質量%硫酸、アンモニア水は28質量%アンモニア水、塩酸は37質量%塩酸、過酸化水素水は31質量%過酸化水素水である場合における組成比を意図する。
中でも、バリアメタル層の溶解能の点から、SPM、APM、又は、HPMが好ましい。
ラフネスの低減の点からは、APM、HPM、又は、FPMが好ましく、APMがより好ましい。
性能が、バランス良く優れる点からは、APM又はHPMが好ましい。
工程Bにおいて、特定溶液を用いて、工程A1で得られた基板を処理する方法としては、特定溶液と工程A1で得られた基板とを接触させる方法が好ましい。
特定溶液と工程A1で得られた基板とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、薬液を基板に接触させるのと同様の方法が挙げられる。
特定溶液と工程A1で得られた基板との接触時間は、例えば、0.25~10分が好ましく、0.5~5分がより好ましい。
本処理方法においては、工程A1と工程Bとを交互に実施してもよい。
交互に行う場合は、工程A1及び工程Bはそれぞれ1~10回実施されることが好ましい。
<工程A2>
工程Aとしては、薬液を用いて遷移金属含有膜が配置された基板の外縁部の遷移金属含有膜を除去する工程A2が挙げられる。
図3に、工程A2の被処理物である遷移金属含有膜が配置された基板の一例を示す模式図(上面図)を示す。
図3に示す、工程A2の被処理物20は、基板22と、基板22の片側の主面上(実線で囲まれた全域)に配置された遷移金属含有膜24とを含有する積層体である。後述するように、工程A2では、被処理物20の外縁部26(破線の外側の領域)に位置する遷移金属含有膜24が除去される。
被処理物中の基板及び遷移金属含有膜は、上述した通りである。
なお、遷移金属含有膜としては、Ru含有膜(Ruを含有する膜)が好ましい。Ru含有膜は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含有することが好ましい。
工程A2の具体的な方法は特に制限されないが、例えば、上記基板の外縁部の遷移金属含有膜にのみ薬液が接触するように、ノズルから薬液を供給する方法が挙げられる。
工程A2の処理の際には、特開2010-267690号公報、特開2008-80288号公報、特開2006-100368号公報、及び、特開2002-299305号公報に記載の基板処理装置及び基板処理方法を好ましく適用できる。
薬液と被処理物との接触方法は、上述した通りである。
薬液と被処理物との接触時間及び薬液の温度の好適範囲は、上述した通りである。
<工程A3>
工程Aとしては、薬液を用いて遷移金属含有膜が配置された基板の裏面に付着する遷移金属含有物を除去する工程A3が挙げられる。
工程A3の被処理物としては、工程A2で用いられた被処理物が挙げられる。工程A2で用いられる、基板と、基板の片側の主面上に遷移金属含有膜が配置された被処理物を形成する際には、スパッタリング及びCVD等で遷移金属含有膜を形成される。その際、基板の遷移金属含有膜側とは反対側の表面上(裏面上)には、遷移金属含有物が付着する場合がある。このような被処理物中の遷移金属含有物を除去するために、工程A3が実施される。
工程A3の具体的な方法は特に制限されないが、例えば、上記基板の裏面にのみ薬液が接触するように、薬液を吹き付ける方法が挙げられる。
薬液と被処理物との接触方法は、上述した通りである。
薬液と被処理物との接触時間及び薬液の温度の好適範囲は、上述した通りである。
<工程A4>
工程Aとしては、薬液を用いてドライエッチング後の基板上の遷移金属含有物を除去する工程A4が挙げられる。
図4に、工程A4の被処理物の一例を示す模式図を示す。
図4に示す被処理物30は、基板32上に、遷移金属含有膜34、エッチング停止層36、層間絶縁膜38、メタルハードマスク40をこの順に備え、ドライエッチング工程等を経たことで所定位置に遷移金属含有膜34が露出するホール42が形成されている。つまり、図4に示す被処理物は、基板32と、遷移金属含有膜34と、エッチング停止層36と、層間絶縁膜38と、メタルハードマスク40とをこの順で備え、メタルハードマスク40の開口部の位置において、その表面から遷移金属含有膜34の表面まで貫通するホール42を備える積層物である。ホール42の内壁44は、エッチング停止層36、層間絶縁膜38及びメタルハードマスク40からなる断面壁44aと、露出された遷移金属含有膜34からなる底壁44bとで構成され、ドライエッチング残渣46が付着している。
ドライエッチング残渣は、遷移金属含有物を含有する。
遷移金属含有膜としては、Ru含有膜(Ruを含有する膜)が好ましい。Ru含有膜は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含有することが好ましい。
遷移金属含有物としては、Ru含有物が好ましい。Ru含有物は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含有することが好ましい。
層間絶縁膜及びメタルハードマスクとしては、公知の材料が選択される。
なお、図4においては、メタルハードマスクを用いる態様について述べたが、公知のフォトレジスト材料を用いて形成されるレジストマスクを用いてもよい。
工程A4の具体的な方法としては、薬液と、上記被処理物とを接触させる方法が挙げられる。
薬液と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
薬液と配線基板との接触時間及び薬液の温度の好適範囲は、上述した通りである。
<工程A5>
工程Aとしては、薬液を用いて化学的機械的研磨処理(CMP:chemical mechanical polishing)後の基板上の遷移金属含有物を除去する工程A5が挙げられる。
絶縁膜の平坦化、接続孔の平坦化、及び、ダマシン配線等の製造工程にCMP技術が導入されている。CMP後の基板は、多量に研磨粒子に用いられる粒子及び金属不純物等により汚染される場合がある。そのため、次の加工段階に入る前にこれらの汚染物を除去し、洗浄する必要がある。そこで、工程A5を実施することにより、CMPの被処理物が遷移金属含有配線又は遷移金属含有膜を含有する場合に発生して基板上に付着する遷移金属含有物を除去できる。
工程A5の被処理物は、上述したように、CMP後の、遷移金属含有物を含有する基板が挙げられる。
遷移金属含有物としては、Ru含有物が好ましい。Ru含有物は、Ruの単体、Ruの合金、Ruの酸化物、Ruの窒化物、又は、Ruの酸窒化物を含有することが好ましい。
工程A5の具体的な方法としては、薬液と、上記被処理物とを接触させる方法が挙げられる。
薬液と配線基板との接触方法は、上述した通りである。
薬液と配線基板との接触時間及び薬液の温度の好適範囲は、上述した通りである。
<工程C>
本処理工程は、上記工程Aの後に、必要に応じて、リンス液を用いて、工程Aで得られた基板に対してリンス処理を行う工程Cを含有していてもよい。
本発明の薬液を基板と接触させることで、処理の過程で生じた残渣(有機残渣、金属残渣等)を除去できる。
リンス液としては、例えば、フッ酸(好ましくは0.001~1質量%フッ酸)、塩酸(好ましくは0.001~1質量%塩酸)、過酸化水素水(好ましくは0.5~31質量%過酸化水素水、より好ましくは3~15質量%過酸化水素水)、フッ酸と過酸化水素水との混合液(FPM)、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニア水と過酸化水素水との混合液(APM)、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM)、二酸化炭素水(好ましくは10~60質量ppm二酸化炭素水)、オゾン水(好ましくは10~60質量ppmオゾン水)、水素水(好ましくは10~20質量ppm水素水)、クエン酸水溶液(好ましくは0.01~10質量%クエン酸水溶液)、硫酸(好ましくは1~10質量%硫酸水溶液)、アンモニア水(好ましくは10~5000質量ppmアンモニア水)、イソプロピルアルコール(IPA)、次亜塩素酸水溶液(好ましくは1~10質量%次亜塩素酸水溶液)、王水(好ましくは「37質量%塩酸:60質量%硝酸」の体積比として「2.6:1.4」~「3.4:0.6」の配合に相当する王水)、超純水、硝酸(好ましくは0.001~1質量%硝酸)、過塩素酸(好ましくは0.001~1質量%過塩素酸)、シュウ酸水溶液(好ましくは0.01~10質量%シュウ酸水溶液)、酢酸(好ましくは0.01~10質量%酢酸水溶液、若しくは、酢酸原液)、又は、過ヨウ素酸水溶液(好ましくは0.5~10質量%過ヨウ素酸水溶液。過ヨウ素酸は、例えば、オルト過ヨウ素酸及びメタ過ヨウ素酸が挙げられる)が好ましい。
FPM、SPM、APM、及び、HPMとして好ましい条件は、例えば、上述の特定溶液として使用される、FPM、SPM、APM、及び、HPMとしての好ましい条件と同様である。
なお、フッ酸、硝酸、過塩素酸、及び、塩酸は、それぞれ、HF、HNO、HClO、及び、HClが、水に溶解した水溶液を意図する。
オゾン水、二酸化炭素水、及び、水素水は、それぞれ、O、CO、及び、Hを水に溶解させた水溶液を意図する。
リンス工程の目的を損なわない範囲で、これらのリンス液を混合して使用してもよい。
また、リンス液は有機溶剤を含有してもよい。
中でも、リンス液としては、リンス工程後の基板表面における残存ハロゲンをより減少させる点から、二酸化炭素水、オゾン水、水素水、フッ酸、クエン酸水溶液、塩酸、硫酸、アンモニア水、過酸化水素水、SPM、APM、HPM、IPA、次亜塩素酸水溶液、王水、又は、FPMが好ましく、フッ酸、塩酸、過酸化水素水、SPM、APM、HPM、又は、FPMがより好ましい。
工程Cの具体的な方法としては、リンス液と、被処理物である工程Aで得られた基板とを接触させる方法が挙げられる。
接触させる方法としては、タンクに入れたリンス液中に基板を浸漬する方法、基板上にリンス液を噴霧する方法、基板上にリンス液を流す方法、又はそれらの任意の組み合わせた方法で実施される。
処理時間(リンス液と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、例えば、5秒間~5分間である。
処理の際のリンス液の温度は特に制限されないが、例えば、一般に、16~60℃が好ましく、18~40℃がより好ましい。リンス液として、SPMを用いる場合、その温度は90~250℃が好ましい。
また、本処理方法は、工程Cの後に、必要に応じて、乾燥処理を実施する工程Dを含有していてもよい。乾燥処理の方法は特に制限されないが、スピン乾燥、基板上での乾燥ガスの流動、基板の加熱手段例えばホットプレート又は赤外線ランプによる加熱、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、又は、それらの組合せが挙げられる。
乾燥時間は、用いる特定の方法に応じて変わるが、通例は30秒~数分程度である。
本処理方法は、基板について行われるその他の工程の前又は後に組み合わせて実施してもよい。本処理方法を実施する中にその他の工程に組み込んでもよいし、その他の工程の中に本処理方法を組み込んで実施してもよい。
その他の工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層及び/又は非磁性層等の各構造の形成工程(層形成、エッチング、化学機械研磨、変成等)、レジストの形成工程、露光工程及び除去工程、熱処理工程、洗浄工程、並びに、検査工程等が挙げられる。
本処理方法において、バックエンドプロセス(BEOL:Back end of the line)中で行っても、フロントエンドプロセス(FEOL:Front end of the line)中で行ってもよいが、本発明の効果をより発揮できる観点から、フロントエンドプロセス中で行うことが好ましい。
なお、薬液の適用対象は、例えば、NAND、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、又は、PRAM(Phase change Random Access Memory)等であってもよいし、ロジック回路又はプロセッサ等であってもよい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
また、実施例及び比較例の薬液の調製にあたって、容器の取り扱い、薬液の調製、充填、保管及び分析測定は、全てISOクラス2又は1を満たすレベルのクリーンルームで行った。測定精度向上のため、有機成分の含有量の測定、及び、金属成分の含有量の測定においては、通常の測定で検出限界以下の成分の測定を行う際には、薬液を濃縮して測定を行い、濃縮前の溶液の濃度に換算して含有量を算出した。
[薬液の作製]
〔フィルターの準備〕
薬液の精製に用いたフィルターは、いずれも、市販のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)又はIPA(イソプロパノール)を蒸留精製した洗浄液を用いて洗浄したフィルターを使用した。なお、洗浄に当たっては、フィルターを含有するフィルターユニット全体を、PGMEA又はIPAに沈め、接液部すべてを洗浄した。また、洗浄期間は最低1週間として、精製する薬液ごとに適宜調整した。洗浄中、上記PGMEA又はIPAの液温は30℃を維持した。
フィルターとしては、以下のフィルターを使用した。
・UPE:超高分子量ポリエチレン製フィルター、インテグリス社製、孔径3nm
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン製フィルター、インテグリス社製、孔径10nm
・ナイロン:ナイロン製フィルター、PALL社製、孔径5nm
・ナイロングラフトUPE:ナイロン/超高分子量ポリエチレングラフト共重合体製フィルター、インテグリス社製、孔径3nm
・ポリイミド:ポリイミド製フィルター、インテグリス社製、孔径10nm
〔精製〕
<被精製物>
実施例、及び、比較例で使用される薬液の製造のために、後段に示す表1a1~1a4に示す配合の混合液を被精製物として使用した。
なお、表に記載の成分中、HIO(オルト過ヨウ素酸)、CAN(硝酸セリウムアンモニウム)、NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)、及び、H(過酸化水素)は、酸化剤として使用した。
TEAH(テトラエチルアンモニウム水酸化物)、HNO(硝酸)、HCl(塩酸)、及び、TMAH(テトラメチルアンモニウム水酸化物)はpH調整剤として使用した。
混合液中の成分は、いずれも高純度グレードを使用した。表1a1~1a4に記載しない成分(残部)は水である。
表1a1~1a4中、酸化剤としてHIO(オルト過ヨウ素酸)を使用した被精製物(混合液)は、いずれもpHが-1~6の範囲内であった。
酸化剤としてCAN(硝酸セリウムアンモニウム)を使用した被精製物(混合液)は、いずれもpHが-2~2の範囲内であった。
酸化剤としてNaClO(次亜塩素酸ナトリウム)を使用した被精製物(混合液)は、いずれもpHが6~16の範囲内であった。
酸化剤としてH(過酸化水素)を使用した被精製物(混合液)は、いずれもpHが12~16の範囲内であった。
上記被精製物を、上述の洗浄を施したフィルターに1回以上通液した。
なお、一連の精製の過程で、被精製物及び薬液を移送する配管は、接液部が電解研磨されたステンレス製の配管、又は、電解研磨されていないステンレス製の配管を使用した。
被精製物の種類、フィルターの種類、フィルターの洗浄期間、通液の回数、配管の種類、及び、配管の長さ(配管による移送の距離)を適宜変更させて、それぞれ表1に示す薬液とした。
ただし、有機成分の含有量が1,000,000質量ppt超であった薬液は、上述の洗浄処理を施していないフィルターに通液させて作製した薬液である。
また、炭素数が12未満であるアルカン及び/又はアルケンを含有する薬液については、フィルターに通液させた後の被精製物に対して、炭素数6と10のアルカン及びアルケンを、表1に記載の含有量になるように添加して作製した。
以下、実施例又は比較例の番号と、薬液の番号とは一致する。例えば、実施例AA01において調製し、試験に供された薬液を、薬液AA01と呼称する。
なお、精製の前後において、被精製物(薬液)における、酸化剤及びpH調整剤の含有量、並びに、pHについて、変化はなかった。
〔分析〕
下記に示す方法で薬液の、有機成分及び金属成分の含有量を測定した。
<有機成分の含有量>
各種薬液における有機成分の含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)装置を使用して解析した。
<金属成分の含有量>
薬液中の金属成分(金属イオン及び金属粒子)の含有量は、ICP-MS及びSP-ICP-MSを用いる方法により測定した。
装置は以下の装置を使用した。
・メーカー:PerkinElmer
・型式:NexION350S
解析には以下の解析ソフトを使用した。
・“SP-ICP-MS”専用Syngistix ナノアプリケーションモジュール
・Syngistix for ICP-MS ソフトウェア
なお、薬液から検出されたアルカン又はアルケンの内、炭素数が20以上のアルカン又はアルケンは、いずれも、沸点が380℃以上であった。
下記表に、各実施例の薬液の製造条件、有機成分及び金属成分の含有量を記載する。
なお、表1a1~1a4には、薬液の製造に使用した被精製物の配合及びフィルターの種類等を記載する。
表1b1~1b4には、薬液中のアルカンの含有量を記載する。
表1c1~1c4には、薬液中のアルケンの含有量を記載する。
表1d1~1d4には、薬液中の金属成分の含有量等を記載する。
各表中、「E+n(nは整数)」及び「E-n(nは整数)」の記載は、それぞれ、「×10+n」及び「×10-n」を意味する。
表1b1~1b4、及び、表1c1~1c4中、アルカン及びC2kで表されるアルケン(C=C二重結合を1つ含有するアルケン)の炭素数を記載した欄の下段に記載した値は、各炭素数のアルカン又はC2kで表されるアルケンの含有量を示す。例えば、表1b1において、薬液AA01は、炭素数18のアルカンを、薬液の全質量に対して、2質量ppt含有する。
なお、炭素数12~50のアルカン及びC2kで表されるアルケンのうち、記載されていない炭素数のアルカン及びC2kで表されるアルケンの含有量については記載を省略する。
アルカン及びアルケンの含有量について記載した「0」の値は、それらのアルカン及びアルカンの含有量が、薬液の全質量に対して、0.001質量ppt(検出限界)未満であったことを意味する。この場合、薬液が、含有量が「0」であるアルカン及びアルカンを含んでいないとみなす。
表1b1~1b4、及び、表1c1~1c4中、「総量」の欄は、それぞれ、薬液中の炭素数12~50のアルカンの合計含有量、及び、薬液中の炭素数12~50のアルケンの合計含有量を示す。つまり、薬液が、炭素数6又は10のアルカン又はアルケンを含有する場合でも、これらの含有量は、上記「総量」欄の計算のために合算されない。
表1b1~1b4中、「最大含有炭素数」の欄の下段に記載した値は、薬液が含有する各炭素数のアルカンのうち、最も含有質量の大きいアルカンの炭素数を示す。
表1c1~1c4中、「C」の欄の下段に記載した値は、C=C二重結合を2以上含有するアルケンの含有量である。C=C二重結合を2以上含有するアルケンとしては、スクアレン(clogP:12.9)のみが検出された。
表1d1~1d4の「有機成分総量」欄の下段に記載した値は、薬液中の有機成分(炭素数12~50のアルカン、及び、炭素数12~50のアルケン)の合計含有量を示す。つまり、薬液が、炭素数6又は10のアルカン又はアルケンを含有する場合でも、これらの含有量は、上記「有機成分総量」欄の計算のために合算されない。
表1d1~1d4の「比率1~4」欄の下段に記載した値は、それぞれ、薬液中の、”金属成分の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比”、”金属粒子の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比”、”金属イオンの含有量に対する、有機成分の含有量の質量比”、及び、”酸化剤の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比”を示す。
Figure 0007068483000002
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[試験]
〔残渣抑制性の評価〕
まず、直径300mmのシリコン基板に各薬液をスピン吐出し、基板を回転させながら、基板の表面に対して、各薬液を0.5ml吐出した。その後、基板をスピン乾燥した。次に、KLA-Tencor社製のウエハ検査装置「SP-5」を用いて、薬液塗布後の基板に存在する欠陥数を計測した(これを計測値とする)。次に、このウエハの欠陥をエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製)で評価して、欠陥の種類を、有機物を主成分とする有機残渣に基づく欠陥(この欠陥を単に「有機残渣」ともいう)と、金属を主成分とする金属残渣に基づく欠陥(この欠陥を単に「金属残渣」ともいう)とに分類した。
計測結果をそれぞれ、以下の基準により評価した。
<残渣抑制性(有機残渣、金属残渣)>
「A」:対応する欠陥数が20個/基板以下だった。
「B」:対応する欠陥数が20個/基板を超え、50個/基板以下だった。
「C」:対応する欠陥数が50個/基板を超え、100個/基板以下だった。
「D」:対応する欠陥数が100個/基板を超え、300個/基板以下だった。
「E」:対応する欠陥数が300個/基板を超え、500個/基板以下だった。
「F」:対応する欠陥数が500個/基板を超えていた。
<溶解能(エッチングレート)>
市販のシリコンウエハ(直径:12インチ)の一方の表面上に、CVD(Chemic
al Vapor Deposition)法によりルテニウム層を形成した基板をそれぞれ準備した。ルテニウム層の厚さは15nmとした。
ルテニウム層が消失するまでに要した時間(除去所要時間)を測定し、下記基準に当てはめて薬液の溶解能(エッチングレート)を評価した。
なお、除去所要時間が短いほど、薬液の溶解能が優れる。
A:除去所要時間≦30秒
B:30秒<除去所要時間≦45秒
C:45秒<除去所要時間≦60秒
D:60秒<除去所要時間≦80秒
E:80秒<除去所要時間≦120秒
F:120秒<除去所要時間
<ラフネス抑制性(平滑性)>
溶解能の評価で使用したのと同様の基板を準備した。
溶解能の評価で確認された除去所要時間の半分の時間だけ除去処理を実施した時点で除去処理を中断し、ルテニウム層の表面を走査型電子顕微鏡で観察して、被処理部の平滑性を下記基準で評価した。
なお、溶解能の評価がEであった薬液を用いた場合は、120秒間除去処理を行った時点での、ルテニウム層の表面を走査型電子顕微鏡で観察して平滑性を評価した。
A:ルテニウム層の表面が滑らかで、ラフネスがない。
B:ルテニウム層の表面が滑らかで、ほぼラフネスがない。
C:ルテニウム層の表面が滑らかで、若干ラフネスがある(Bよりラフネスが多い)。
D:ルテニウム層の表面が滑らかで、ラフネスがある(Cよりラフネスが多い)。
E:ルテニウム層の表面に粗さがあるが、許容レベル。
F:ルテニウム層の表面が粗い。
結果を表2-1~2-4に示す。
Figure 0007068483000018
Figure 0007068483000019
Figure 0007068483000020
Figure 0007068483000021
表に示す結果から、本発明の薬液は、有機残渣抑制性とラフネス抑制性に優れることが確認された。
薬液の有機残渣抑制性とラフネス抑制性がバランス良く優れる点から、1~150質量pptが好ましいことが確認された(実施例AA09、AA12~15の結果等)。
薬液の金属残渣抑制性と溶解能がバランス良く優れる点から、薬液が金属成分を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、1~10,000質量pptが好ましく、10~5,000質量pptがより好ましいことが確認された(実施例AA07、AA8、AA10、AA11の結果等)。
薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属成分を含有する場合、金属成分の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属成分の含有質量)は、0.003~45が好ましく、0.003~0.035がより好ましいことが確認された(実施例AA07~AA15の結果等)。
薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属粒子を含有する場合、金属粒子の含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属粒子の含有質量)は、0.012~180が好ましく、0.012~0.15がより好ましいことが確認された(実施例AA07~AA15の結果等)。
薬液のラフネス抑制性と溶解能と有機残渣抑制性とがバランス良く優れる点から、薬液が金属イオンを含有する場合、金属イオンの含有量に対する、有機成分の含有量の質量比(有機成分の含有質量/金属イオンの含有質量)は、0.004~60が好ましく、0.004~0.05がより好ましいことが確認された(実施例AA07~AA15の結果等)。
10a 配線のリセスエッチング処理前の配線基板
10b 配線のリセスエッチング処理後の配線基板
12 層間絶縁膜
14 バリアメタル層
16 遷移金属含有配線
18 凹部
20,30 被処理物
22 基板
24 遷移金属含有膜
26 外縁部
32 基板
34 遷移金属含有膜
36 エッチング停止層
38 層間絶縁膜
40 メタルハードマスク
42 ホール
44 内壁
44a 断面壁
44b 底壁
46 ドライエッチング残渣

Claims (20)

  1. 酸化剤及び溶剤を含有する、半導体デバイスの製造に用いられる薬液であって、
    前記薬液は、更に、炭素数12~50のアルカン及び炭素数12~50のアルケンからなる群から選択される1種以上の有機成分を含有し、
    前記有機成分の含有量が、前記薬液の全質量に対して、0.10~1,000,000質量pptである、薬液。
  2. 前記有機成分を2種以上含有する、請求項1に記載の薬液。
  3. 前記炭素数12~50のアルカンの1種以上及び前記炭素数12~50のアルケンの1種以上の両方を含有する、請求項1又は2に記載の薬液。
  4. 更に、pH調整剤を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬液。
  5. 前記pH調整剤が、アンモニア水、第4級アンモニウム塩化合物、塩酸、及び、硝酸からなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の薬液。
  6. 前記酸化剤が、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、硝酸セリウムアンモニウム、及び、過酸化水素からなる群から選択される1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬液。
  7. 前記有機成分の含有量が、前記薬液の全質量に対して、1~150質量pptである、請求項1~6のいずれか1項に記載の薬液。
  8. 更に、金属成分を含有し、前記金属成分の含有量が、前記薬液の全質量に対して、1~10,000質量pptである、請求項1~7のいずれか1項に記載の薬液。
  9. 前記金属成分の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.00005~1000である、請求項8に記載の薬液。
  10. 前記金属成分の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.003~45である、請求項8又は9に記載の薬液。
  11. 前記金属成分の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.003~0.035である、請求項8~10のいずれか1項に記載の薬液。
  12. 前記金属成分が、金属粒子及び金属イオンを含有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の薬液。
  13. 前記金属粒子の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.0001~1000である、請求項12に記載の薬液。
  14. 前記金属粒子の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.012~180である、請求項12又は13に記載の薬液。
  15. 前記金属粒子の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.012~0.15である、請求項12~14のいずれか1項に記載の薬液。
  16. 前記金属イオンの含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.00005~500である、請求項12~15のいずれか1項に記載の薬液。
  17. 前記金属イオンの含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.004~60である、請求項12~16のいずれか1項に記載の薬液。
  18. 前記金属イオンの含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、0.004~0.05である、請求項12~17のいずれか1項に記載の薬液。
  19. 前記酸化剤の含有量に対する、前記有機成分の含有量の質量比が、1.0×10-12~8.0×10-8である、請求項1~18のいずれか1項に記載の薬液。
  20. 前記炭素数12~50のアルカンからなる群から選択される2種以上の前記有機成分を含有し、
    前記2種以上の炭素数12~50のアルカンのうち、炭素数16~34のいずれかのアルカンの含有質量が最大である、請求項1~19のいずれか1項に記載の薬液。
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