JP7068111B2 - 採取器具及び弾性吸着体 - Google Patents

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Description

本発明は、検査対象物から揮発性物質を採取可能な採取器具及び弾性吸着体に関する。
香料設計や消臭技術開発を行う観点から、ヒトが知覚し得る香り成分や悪臭成分等の揮発性物質をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析することが行われている。例えば、汗をかいた後の着用衣類等から揮発する悪臭成分や、室内空間に残存する匂い成分等の分析が行われている。前記分析では、揮発性物質を捕集し得る採取器具によって衣類等の分析対象物から揮発性物質を捕集し、これをGCに導入することが行われる。前記採取器具として、例えば、多孔質シリカからなる吸着材(GL Sciences社製 商品名「MonoTrap(登録商標)」)が知られている。また、特許文献1には、金属管と、該金属管の外周面を被覆する吸着層とを備えた採取器が開示されている。
一方、近年、匂い成分の発生状況をより詳細に解析するために、検査対象物の表面に付着した揮発性成分の分析方法や、検査対象物の表面の揮発性成分の分布に着目した分析方法等に対する関心が高まっており、検査対象物の表面に存在する揮発性物質の分析方法について幾つか提案がなされている。
例えば、特許文献2には、捕集容器で捕集された皮膚放出成分を親水性溶媒で回収し、その回収液を固相抽出又は減圧濃縮して、ガスクロマトグラフィー分析を行う皮膚放出成分の測定方法が記載されている。
また、本出願人は、先に、対象物の表面上に複数の吸着片を配置して、吸着片に吸着された揮発性物質の情報と、該吸着片が配置された位置の情報とをそれぞれ対応付ける、揮発性物質の分布取得方法を提案した(特許文献3参照)。
特開2003-254954号公報 特開2006-343258号公報 特開2017-215172号公報
検査対象物の表面に存在する揮発性物質を採取する場合、前記吸着材では、検査対象物との接触により該吸着材自体が崩れる虞がある。特許文献1及び2に記載の技術では、検査対象物の表面に大きな凹凸がある場合、該表面の凹凸に沿った揮発性物質の採取が困難である。また、特許文献1及び2に記載の技術では、検査対象物の揮発性物質を採取する部位が狭い場合、揮発性物質を効率的に採取することが困難であり、検査対象物が壁や天井等の高い場所にある場合、採取器や捕集容器を対象物に固定する作業を要し、操作が煩雑になる。特許文献3は、検査対象物の表面における揮発性物質の分布を取得する技術であるため、前記問題を解決する技術を開示するものではない。
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る採取器具及び弾性吸着体を提供することにある。
本発明は、ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する採取器具であって、棒状の弾性吸着体と、該弾性吸着体を脱着自在に取り付け可能な支持体とを備えており、前記弾性吸着体は、表面が不活性化され且つ曲げ弾性を有する弾性芯と、該弾性吸着体の表面を形成し、前記揮発性物質を吸着可能な吸着層とを有しており、前記支持体に取り付けた状態下で、前記弾性吸着体を軸周りに回転させながら、前記検査対象物と接触させることにより、前記吸着層に前記揮発性物質を採取可能である、採取器具を提供するものである。
また、本発明は、ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する弾性吸着体であって、前記弾性吸着体は、表面が不活性化され且つ曲げ弾性を有する弾性芯と、該弾性吸着体の表面を形成し、前記揮発性物質を吸着可能な吸着層とを有しており、支持体に脱着自在に取り付けられた状態下で、軸周りに回転させながら、検査対象物と接触させることにより、前記吸着層に前記揮発性物質を採取可能である、棒状の弾性吸着体を提供するものである。
本発明の採取器具及び弾性吸着体によれば、採取し難い検査対象物の表面から揮発性物質を効率的且つ容易に採取することができる。採取し難い検査対象物は、例えば、表面に凹凸のある検査対象物や、揮発性物質を採取する部位が狭い検査対象物、高い場所にある検査対象物等である。
図1(a)は、本発明の採取器具の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示す採取器具の一部を拡大して示す拡大斜視図である。 図2は、図1(b)に示す支持体の支持部を示す斜視図である。 図3(a)は、図1(a)及び(b)に示す弾性吸着体の拡大斜視図であり、図3(b)は図3(a)のII-II線断面図である。 図4(a)は、図1に示す採取器具の使用態様の一例を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)の拡大模式図である。 図5は、図1(a)に示す弾性吸着体をガスクロマトグラフィーに導入した態様の一例を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である採取器具1は、ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する採取器具である。採取器具1は、図1(a)及び(b)に示すように、棒状の弾性吸着体2と、該弾性吸着体を脱着自在に取り付け可能な支持体3とを備えている。
本実施形態の弾性吸着体2は、後述する支持体3から取り外した状態で、ガスクロマトグラフ装置100に付設された公知の加熱脱着装置110の試料挿入部に挿入配置される(図5参照)。挿入配置された弾性吸着体2は、加熱脱着装置110によって高温で加熱されて、該弾性吸着体2の吸着層25に吸着させた揮発性物質を脱着する。脱着された揮発性物質は、ガスクロマトグラフ装置に導入されて分析される。このように、弾性吸着体2を用いて検査対象物から採取した揮発性物質を、ガスクロマトグラフィーで分析することができる。
支持体3は、図1(a)及び(b)に示すように、弾性吸着体2を軸周りに回転可能に、且つ脱着自在に取り付け可能なものである。本実施形態の支持体3は、図2に示すように、Y字状の形状を有しており、二股に分岐した支持部32と、該支持部32とは反対側に延設された把持部35とを有している。支持体3は、支持部32の先端部32aが鉤状に屈曲している。本実施形態の弾性吸着体2は、内部が中空の筒状を有しており、その中空部に鉤状に屈曲した前記先端部32aを挿入することで、支持部32に回転可能に支持される〔図1(b)参照〕。即ち、支持体3は、弾性吸着体2の回転軸上に、両支持部32の先端部32aを配置するようにして、弾性吸着体2を両支持部32の先端部32a間に挟持することで、該弾性吸着体2を軸周りに回転可能に支持する。また、支持体3は、図2に示すように、両支持部32それぞれの先端部32aが、互いに離れる方向及び近づく方向に移動可能である。即ち、支持体3は、両支持部32の先端部32aどうしの間を拡縮可能に移動可能である。これにより、弾性吸着体2を両支持部32に脱着自在に取り付けることができる。
弾性吸着体2は、図3(a)及び(b)に示すように、表面が不活性化され且つ曲げ弾性を有する弾性芯21と、該弾性吸着体2の表面を形成し、揮発性物質を吸着可能な吸着層25とを有している。本実施形態の弾性芯21は、その表面にケイ素を含有する層が形成されており、それにより表面が不活性化されていてもよく、また、本実施形態の弾性芯21は、内部に中空部を有しているところ、該中空部に面する内周面も不活性化されていてもよい。
弾性芯21は、前述のように曲げ弾性を有しているが、この「曲げ弾性」は、弾性芯21がその長手方向に直交する方向に外力を受けたときに、該弾性芯21が外力がかかる方向に撓んで湾曲し得ることを意味する。曲げ弾性の程度は、ヒトが支持体3を手で把持して、図1(a)及び(b)に示すように、弾性吸着体2が軸周りに回転可能に支持された状態下で、検査対象物の表面に該弾性吸着体2を押し当てたときに、弾性芯21が湾曲し得れる程度であればよい。
吸着層25は、図3(a)及び(b)に示すように、弾性吸着体2の表面を形成している。ここでいう「弾性吸着体2の表面」は、弾性吸着体2の外周面を意味する。吸着層25は、弾性吸着体2の表面の少なくとも一部、即ち弾性吸着体2の外周面の少なくとも一部を形成していてもよく、弾性吸着体2の表面全体、即ち弾性吸着体2の外周面全体を形成していてもよい。本実施形態の吸着層25は、内部が中空の弾性芯21の外周面を被覆している。
弾性芯21は、支持体3に取り付けられた状態下に軸周りに回転する弾性吸着体2の回転軸を形成している。本実施形態の弾性吸着体2において、弾性芯21と吸着層25とは筒状であり、同一の中心軸を有している。
採取器具1は、支持体3に取り付けた状態下で、弾性吸着体2を軸周りに回転させながら、検査対象物と接触させることにより、吸着層25に揮発性物質を採取可能である。具体的には、図4(a)に示すように、支持体3の把持部35を人の手やロボットハンド等によって把持して、弾性吸着体2を対象物の表面に接触させた状態で、該把持部35の延在方向に沿って支持体3を移動させることにより、弾性吸着体2を軸周りに回転させながら、対象物の表面に存在する揮発性物質を吸着層25に吸着させる。これにより、前記揮発性物質を採取することができる。
採取器具1は、曲げ弾性を有する弾性芯21を備えた弾性吸着体2を回転させながら、検査対象物と接触させるため、揮発性物質の採取時に、弾性吸着体2を検査対象物の形状に沿って湾曲させつつ、吸着層25と検査対象物との接触面積をある程度確保することができる。これにより、検査対象物の表面の凹凸に沿って揮発性物質を採取することができると共に、揮発性物質を効率的且つ容易に採取することができる。例えば、図4(b)に示すように、検査対象物である手指どうしの間の凹凸面に沿って弾性吸着体2を回転且つ湾曲させることによって、狭小で凹凸のある領域から揮発性物質を容易に採取することができる。弾性吸着体2は、検査対象物と接触させた該弾性吸着体の回転数に応じて、揮発性物質の採取量を多くすることができる。また、採取器具1を用いると、検査対象物が壁や天井等の高い場所にある場合であっても、該対象物に弾性吸着体2を固定する必要がないため、効率的且つ容易に揮発性物質を採取することができる。このように、採取器具1は、採取し難い検査対象物の表面から効率的且つ容易に揮発性物質を採取する。さらに、採取器具1を用いると、検査対象物を細かく裁断して溶剤抽出する方法に比して、検査対象物を傷つけない上、検査対象物由来の夾雑物を多量に採取して分析感度が低下することを効果的に抑制することができる。
一方、吸着層のみからなる吸着体では、柔らか過ぎて過度に変形するため、検査対象物の凹凸面に安定して接触させることが困難である上、該吸着体の厚みを厚くしてある程度の固さを得ても、厚みが増えた分、吸着体由来のアウトガスが増えて分析感度が低下する虞がある。
吸着層25は、加熱脱着の際に高温に加熱されるため、該吸着層25の耐熱温度が、好ましくは150℃以上400℃以下、より好ましくは200℃以上350℃以下である。耐熱温度は、吸着層25が熱分解したり、取り扱いに支障を来したりするような著しい変形を生じない温度の上限値を意味する。耐熱温度は、例えば、加熱による外形変化(ふくれ、ひび割れ、変形、変色)や引っ張り強さ、切断時伸び、硬さ等の特性について、JIS K6249、JIS 6257、あるいはそれらに準じる方法により試験(評価)を行うことで、設定することができる。
また、分析感度を向上させる観点から、吸着層25は、吸着層25で吸着した揮発性物質と化学反応したり、分析の妨害となるようなアウトガス等の夾雑物を発生したりしない材質であることが好ましい。即ち、吸着層25は、加熱によって発生するガス(アウトガス)の発生量がGC/MS等の分析装置によるデータ解析を著しく妨げないものが好ましい。アウトガスはGC/MS等の分析装置を使って分析することができる。上記と同様の観点から、弾性吸着体2は、JIS K6249若しくはJIS 6257又はこれらに準じる方法に従って該吸着層25を加熱した際に発生するガス(アウトガス)の発生量が、10mg/g以下、特に5mg/g以下であることが好ましい。
吸着層25を形成する形成材料としては、揮発性物質を吸着し得る材質を特に制限なく用いることができる。吸着層25は、例えば、シリコーン系材料、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン等のポリマー材料、二酸化ケイ素等の無機材料、グラファイトカーボン、カーボンモレキュラーシーブ、ヤシガラ活性炭のような炭素系吸着剤、及びTenax TA等の多孔質性高分子ビーズからなる群から選択される少なくとも1種の材料により形成することができる。シリコーン系材料としては、アルキルポリシロキサン、アリールアルキルポリシロキサン、ポリエーテル変性アルキルポリシロキサン等のアルキル基及びアリール基のうち少なくとも一つ以上の官能基を導入したポリシロキサンのいずれか1種以上を重合構造に含む重合体等が挙げられる。上述した形成材料は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
吸着層25の耐熱温度をより確実に確保すると共に、該吸着層25のアウトガスの発生を抑制する観点から、吸着層25はシリコーン系材料を含むことが好ましく、メチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンから選ばれるいずれか1種以上を含むことがより好ましく、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むことがさらに好ましい。吸着層25の弾性を向上させる観点から、吸着層25におけるシリコーン系材料の含有率は、好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上99質量%以下であり、シリコーン系材料と、ポリマー材料、無機材料、炭素系吸着剤、多孔質性高分子ビーズ等の他の吸着材とを併用すると良い。シリコーン系材料を含む吸着層25としては、例えば、PDMS等のポリシロキサンを主要な重合構造として高分子鎖に含む、該ポリシロキサンの重合体により形成されているもの等が挙げられる。
揮発性物質をより効率的に採取する観点から、弾性吸着体2の長手方向における吸着層25の長さL2〔図3(a)参照〕は、同方向における弾性吸着体2の長さL〔図3(a)参照〕に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは99%以下であり、また好ましくは50%以上100%以下、より好ましくは80%以上99%以下である。
夾雑物の発生を抑制する観点から、吸着層25の厚みT〔図3(b)参照〕は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、また好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、また好ましくは0.05mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。吸着層の厚みはデジタルマイクロスコープ(例えば、KEYENCE製VHX-1000)を用いて測定できる。具体的には、弾性吸着体から吸着層を取り外し、該吸着層を径方向に沿って切断した後、前記デジタルマイクロスコープを用いて吸着層の断面の任意の箇所を20~100倍の倍率で無荷重にて観察し、その厚みを測定する。測定は、弾性吸着体の長手方向に沿って離間した3か所の断面について行い、これら3か所の厚みの平均値を吸着層の厚みとする。本明細書において「径方向」は、弾性吸着体の長手方向と直交する方向であり、該弾性吸着体の外周面の法線方向と平行な方向である。
本実施形態の弾性吸着体2は、前述したように、公知の加熱脱着装置に導入することができる。弾性吸着体2を加熱脱着装置に容易に導入する観点から、弾性吸着体2の寸法等は下記の範囲内であることが好ましい。
弾性吸着体2の長手方向の長さL〔図3(a)参照〕は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは60mm以下、より好ましくは40mm以下であり、また好ましくは5mm以上60mm以下、より好ましくは10mm以上40mm以下である。
弾性吸着体2の外径D〔図3(b)参照〕は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上6mm以下、より好ましくは1mm以上5mm以下である。弾性吸着体2の外径Dは、弾性吸着体2を径方向に沿って見たとき、弾性吸着体2の外縁に両端を有する直線のうち、最も長い直線の長さを意味する。弾性芯21は円柱状であることが好ましく、弾性芯21の外径D1〔図3(a)参照〕は、弾性吸着体2の外径Dと近似していることが好ましい。
本実施形態の採取器具1は、把持部35を指先で摘んで片手で揮発性物質の採取作業を行うのに適した形状及びサイズを有している。採取作業を容易に行う観点から、支持体3の全長は、好ましくは50mm以上300mm以下、より好ましくは50mm以上200mm以下である。
弾性吸着体2をより湾曲し易くする観点から、弾性芯21のばね定数(k)は、好ましくは0.01N/mm以上であり、また好ましくは0.2N/mm以下であり、また好ましくは0.01N/mm以上0.2N/mm以下である。
ばね定数(k)は、サンプルの長手方向に所定の荷重(F)を加えた際のサンプルの変位量(X)から、下記式(1)によって算出される。曲げ弾性を有する場合、サンプルの長手方向に該サンプルに引張荷重又は圧縮荷重を加えると、該サンプルは長手方向に伸長又は収縮する。サンプルの変位量は、サンプルの長手方向において、荷重を加える前のサンプルの自由長と、荷重を加えた時の伸長時又は収縮時の長さとの差の絶対値である。前記荷重(F)及び変位量(X)は、公知の測定装置により測定される。
k=F/X・・・(1)
k:ばね定数
F:サンプルの長手方向に加えられた荷重(N)
X:サンプルの変位量(mm)
弾性芯21は、湾曲状態からの弾性回復力を利用して凸曲面部等に対する追従変形性を向上させる観点から、弾性吸着体2を検査対象物の表面に強く押し当てる程度の力で、図4(b)に示すように湾曲し得ることが好ましい。
弾性芯21に曲げ弾性を容易に付与する観点から、弾性芯21はコイルバネであることが好ましい。弾性芯21がコイルバネである場合、該コイルバネとしては、圧縮荷重を受ける、いわゆる圧縮コイルバネを用いてもよいが、曲げ弾性を向上させる観点から、引張荷重を受ける、いわゆる引張コイルバネであることが好ましい。
弾性芯21の形成材料としては、銅、アルミニウム、鉄、金、ステンレス、又はそれらの合金等の金属を用いることができる。
支持体3の形成材料は、特に制限されず、それぞれ、プラスチック、テフロン(登録商標)、金属、セラミック、ガラス、グラファイト等から形成することができるが、弾性吸着体2を両支持部32の先端部32aの間に挟持しやすくする観点から、金属であることが好ましい。
弾性吸着体2は、前述したように、ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する。具体的には、弾性吸着体2は、支持体3に脱着自在に取り付けられた状態下で、軸周りに回転させながら、検査対象物と接触させることにより、吸着層25に揮発性物質を採取可能である。弾性吸着体2は、揮発性物質を採取した後、加熱脱着装置110の試料挿入部の大きさに応じたガラス管等に収容され、該加熱脱着装置110に挿入配置されて、加熱脱着される(図5参照)。これにより、吸着した揮発性物質を脱着して、ガスクロマトグラフ装置に導入することができる。弾性吸着体2は、揮発性物質を採取する前に、不活性化ガス雰囲気下で加熱処理して低分子成分を除去しておくことが好ましい。
弾性吸着体2の形成材料がPDMSである場合、弾性吸着体2は、加熱脱着により吸着した揮発性物質を脱着した後、吸着層25に再び揮発性物質を吸着させることができる。即ち、PDMSからなる弾性吸着体2は、揮発性物質の採取に繰り返し用いることができる。この場合、弾性吸着体2は、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン等の溶剤に浸漬させて洗浄した後、不活性化ガス雰囲気下で100℃~300℃の温度で加熱処理を行った上で繰り返し用いることが好ましい。
弾性吸着体2は、採取し得る揮発性物質の量等に応じて、別の弾性吸着体2に交換可能である。
採取器具1や弾性吸着体2は、検査対象物の表面に存在する揮発性物質の採取に好ましく用いることができる。検査対象物の表面に存在する揮発性物質は、検査対象物から生じた、又は検査対象物の表面に付着した揮発性物質である。例えば、ヒトを始めとする動物の手、足、腕、腋、体毛等の身体の一部、汗等を吸収した衣類や吸収性物品、食品等で生じた匂い成分や、室内空間を形成する天井、壁、床、絨毯、カーテンや、下駄箱、ソファ、ベッド等の家具の表面に付着したにおい成分、野菜、果物等の食品の表面に付着した農薬成分等が挙げられる。
採取器具1により揮発性物質を採取する際、検査対象物の表面における吸着層25との接触位置が重複するように弾性吸着体2を該検査対象物に接触させてもよく、該接触位置を異ならせるように弾性吸着体2を該検査対象物に接触させてもよい。
吸着層25に吸着された揮発性物質は、弾性吸着体2を加熱脱着することにより、該弾性吸着体2から脱離し、ガスクロマトグラフ装置に導入される。揮発性物質を効率的に脱着させる観点から、加熱脱着の加熱温度は、好ましくは100℃以上300℃以下、より好ましくは120℃以上300℃以下である。
吸着層25から脱着された揮発性物質の分析には、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS法)が好ましく用いられる。
採取器具1の弾性吸着体2は、弾性芯21の外周面に筒状の吸着層25を形成することで製造することができる。例えば、上述した吸着層25の形成材料からなるシート材料を筒状体に形成して、弾性芯21の外周面に装着可能な吸着層25を形成してもよい。また、液体状のPDMSを弾性芯21の外周面に塗布して、該弾性芯21にPDMSをコーティングさせることで、吸着層25を形成してもよい。
弾性芯21は、表面に不活性化処理層を形成することで不活性化されている。不活性化処理層としては,シリカ(SiO)及び変性シリコーンの何れか一方又は双方を含む層が挙げられる。例えば、弾性芯21の表面に、ポリシロキサン、メチル-ポリシロキサン、フェニル-メチル-ポリシロキサン、シアノプロピル-フェニル-メチル-ポリシロキサン等のシロキサン溶液を塗布することで、不活性化処理層を形成することができる。弾性芯21がコイルバネである場合、ワイヤ材の表面全体に不活性化処理層を形成した後、該ワイヤ材をコイル状に捲回して、弾性芯21を形成してもよい。
支持体3は、弾性吸着体2を軸周りに回転可能に支持し得る形状に成形することで製造することができる。例えば、上述した支持体3の形成材料からなる線材を2本用意し、該線材それぞれの一方の端部を同角度で屈曲させる。これら線材がV字状をなすように、該線材の他方の端部を、把持部を形成する棒状体に挿入固定し、Y字状の支持体3を形成する。支持部32と把持部35との固定には、溶接等の公知の手段を用いることができる。また、支持体3は、支持部32と把持部35とを公知の手段で一体成形してもよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態において、弾性芯21の外周面には、吸着層25が形成されているが、弾性芯21と吸着層25との間には、吸着層25とは別体の層を介在させていてもよい。
また、上述した実施形態において、弾性芯21は内部が中空であったが、内部が中実であってもよい。
また、上述した実施形態において、弾性芯21は、その長手方向の両端側から、該弾性芯21の中空部に支持部32の先端部32aを挿入させて、支持体3に支持されていたが、弾性芯21を軸方向に回転可能に支持し得るアタッチメントを介して、支持体3に支持されていてもよい。
また、支持体3の形態としては、上述した実施形態の他に、弾性吸着体2を軸周りに回転可能に支持し得るものを特に制限なく採用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
図1と同様の構成を有する採取器具を作製した。より具体的には、弾性芯として、ステンレス製の長さ20mm、外径1.5mmの引張コイルバネと、吸着層として、PDMSからなる円筒体を用意し、該弾性芯の外周面を該吸着層で被覆して、これを弾性吸着体とした。吸着層として用いた円筒体の寸法は、厚さ0.2mm、長さ20mm、内径1.5mm、外径1.7mmであった。支持体としては、ステンレス製の2本の線材をそれぞれ一方の端部を同角度で屈曲させたものをこれらの線材がV字をなすように線材の他方の端部を把持部を形成するステンレスの棒状体に挿入固定することにより、Y字状に成形したものを用意した。
前記採取器具を用いて、足の親指と人差し指との間の表面に存在する揮発性物質の採取を行った。より具体的には、健康な一人の成人男性を被験者とし、被験者の左足の親指と人差し指との間の表面と弾性吸着体とを接触させて、弾性吸着体を軸周りに5回回転させながら、吸着層に揮発性物質を吸着させた。次いで、弾性吸着体を加熱脱着し、吸着層に吸着された揮発性物質をGC/MS分析装置に導入して、ガスクロマトグラフィー質量分析を行った。分析条件は以下の通りである。また、採取器具により採取された揮発性物質の分析結果を表1~表4に示す。表中「R.T 1ST」及び「R.T 2ND」は、1stカラム及び2ndカラムのRT(Retention time)を意味し、「Area」はクロマトグラムのピーク面積を意味する。
・GC/MS分析装置:Pegasus 4D(LECO社、GC×GC-TOFMS)
・キャリアガス(He)流速:1mL/min
・カラム:1stカラム、DB-WAX(アジレント社、60m×0.25mm、膜厚0.25μm);2ndカラム、DB-5(アジレント社、1.29m×0.18mm、膜厚0.18μm)
・GCオーブン昇温条件:1stオーブン、40℃を4分間維持した後、昇温速度6℃/minで70℃まで昇温し、更に昇温速度5℃/minで240℃まで昇温し、240℃を30分間維持。2ndオーブン、1stオーブンより+15℃
・加熱脱着システム:MPS2(ゲステル社、Multi Purpose Sampler2)+TDU(ゲステル社、Twister Desorption Unit)
・加熱脱着条件:Splitless;TDU:20℃から280℃まで昇温し5分間維持;CIS(ゲステル社、Cold Injection System):-80℃から250℃まで昇温し5分間維持。
Figure 0007068111000001
Figure 0007068111000002
Figure 0007068111000003
Figure 0007068111000004
表1~表4に示す分析結果から明らかなように、足の裏のにおい、又は汗や皮脂のにおいの構成成分として知られる各種揮発性成分が検出されている。例えば、Acetic acid(酢酸、表2中No.71)、iso-Valeric acid(イソ吉草酸、表3中No.153)が検出されている。このように、採取器具を用いることによって、検査対象物の表面に凹凸がある場合や、検査対象物の揮発性物質を採取する部位が狭い場合等、採取し難い検査対象物の表面から揮発性物質を容易且つ効率的に採取することができる。
1 採取器具
2 弾性吸着体
21 弾性芯
25 吸着層
3 支持体
31 支持部
35 把持部

Claims (8)

  1. ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する採取器具であって、
    棒状の弾性吸着体と、該弾性吸着体を脱着自在に取り付け可能な支持体とを備えており、
    前記弾性吸着体は、表面が不活性化され且つ曲げ弾性を有する弾性芯と、該弾性吸着体の表面を形成し、前記揮発性物質を吸着可能な吸着層とを有しており、
    前記支持体に取り付けた状態下で、前記弾性吸着体を軸周りに回転させながら、前記検査対象物と接触させることにより、前記吸着層に前記揮発性物質を採取可能である、採取器具。
  2. 前記吸着層がシリコーン系材料、ポリマー材料、無機材料、炭素系吸着剤、及び多孔質性高分子ビーズからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいる、請求項1に記載の採取器具。
  3. 前記吸着層がポリジメチルシロキサンを含んでいる、請求項2に記載の採取器具。
  4. 前記吸着層の厚さが0.05mm以上1mm以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の採取器具。
  5. 前記弾性芯が円柱状である、請求項1~4の何れか1項に記載の採取器具。
  6. 前記弾性芯がコイルバネである、請求項1~5の何れか1項に記載の採取器具。
  7. 前記弾性芯が引張コイルバネである、請求項1~6の何れか1項に記載の採取器具。
  8. ガスクロマトグラフィーで分析可能な揮発性物質を検査対象物から採取する弾性吸着体であって、
    前記弾性吸着体は、表面が不活性化され且つ曲げ弾性を有する弾性芯と、該弾性吸着体の表面を形成し、前記揮発性物質を吸着可能な吸着層とを有しており、
    支持体に脱着自在に取り付けられた状態下で、軸周りに回転させながら、検査対象物と接触させることにより、前記吸着層に前記揮発性物質を採取可能である、棒状の弾性吸着体。
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