JP7067341B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出装置に関する。
インク等の液体を吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンター(液体吐出装置)には、例えばピエゾ素子などの圧電素子を用いたものが知られている。圧電素子は、プリントヘッドにおいて、インクを吐出する複数のノズル、及びノズルから吐出されるインクを貯留するキャビティーに対応して設けられる。そして、圧電素子が駆動信号に従い変位することで、圧電素子とキャビティーとの間に設けられた振動板が変位し、キャビティーの容積が変化する。これにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインクが吐出され、媒体上にドットが形成される。
特許文献1には、上部電極と下部電極との間の電位差に基づき変位する圧電素子に対して、上部電極に印刷データに基づき生成された駆動信号を供給し、下部電極に基準電圧を供給し、駆動信号を制御することで圧電素子の変位を制御し、インクを吐出する液体吐出装置が開示されている。
特開2017-43007号公報
液体吐出装置には、上述したインクの吐出が可能な印刷状態以外に、印刷データが供給されておらずインクを吐出しない状態も存在する。インクを吐出しない状態としては、印刷データが供給された場合に短時間に印刷状態に移行することが可能な待機状態、待機状態に対して消費電力が低減されたスリープ状態、また、待機状態からスリープ状態に移行する移行状態等の複数の状態がある。そして、圧電素子は、このようなインクを吐出しない状態であっても、上部電極と下部電極との間に電位差が生じた場合には変位する。
圧電素子が変位した状態を継続した場合、圧電素子及び振動板に応力が生じる。当該応力は、例えば、振動板とキャビティーとの接点等に集中する。そして、当該応力に起因して振動板にクラック等が生じるおそれがある。
振動板にクラックが生じた場合、当該クラックからキャビティーに貯留されたインクが漏れ出し、キャビティーの容積の変化に対して吐出されるインク量にばらつきが生じるおそれがある。その結果、インクの吐出精度が悪化する。
さらに、当該クラックから漏れ出したインクが上部電極と下部電極との双方に付着した場合、上部電極と下部電極との間に当該インクを介して電流が流れる。そのため、下部電極に供給される基準電圧の電位が変動する。その結果、例えば、当該基準電圧が複数の圧電素子に共通に供給されている場合には、基準電圧の電位の変動が複数の圧電素子の変位に影響する。すなわち、クラックが生じた振動板に対応するノズルからの吐出精度に限らず、液体吐出装置全体におけるインクの吐出精度に影響を及ぼすおそれもある。
このようなインクを吐出しない状態における圧電素子の変位に起因する課題は、特許文献1にも開示されていない新規な課題である。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することが可能である。
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、出力端子から第1電圧信号を出力する駆動回路と、前記第1電圧信号が供給される第1電極と、第2電圧信号が供給される第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との電位差によって変位する圧電素子と、前記圧電素子の変位に伴いノズルから吐出される液体が充填されるキャビティーと、前記キャビティーと前記圧電素子との間に設けられている振動板と、前記出力端子と前記第1電極とに電気的に接続されている第1スイッチ素子と、を備え、前記液体が吐出され、前記第2電圧信号の電圧値が第1電圧に制御される第1モードと、前記液体が吐出されず、前記第2電圧信号の電圧値が前記第1電圧よりも低い第2電圧となるように制御され、且つ前記第1電圧信号の電圧値が前記第2電圧信号の電圧値に近づくように制御され、且つ前記第1スイッチ素子がオンに制御される第2モードと、を有する。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記第2モードでは、媒体に対して印刷を行わなくてもよい。
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、出力端子から第1電圧信号を出力する駆動回路と、前記第1電圧信号が供給される第1電極と、第2電圧信号が供給される第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との電位差によって変位する圧電素子と、前記圧電素子の変位に伴いノズルから吐出される液体が充填されるキャビティーと、前記キャビティーと前記圧電素子との間に設けられている振動板と、前記出力端子と前記第1電極とに電気的に接続されている第1スイッチ素子と、を備え、前記液体が吐出され、前記第2電圧信号の電圧値が第1電圧に制御される第1モードと、前記液体が吐出されず、前記第2電圧信号の電圧値が前記第1電圧よりも低い第2電圧であり、且つ前記第1電圧信号の電圧値が前記第2電圧信号の電圧値となるように制御され、且つ前記第1スイッチ素子がオンに制御される第3モードと、を有する。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記第3モードでは、媒体に対して印刷を行わなくてもよい。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記ノズルは1インチあたり300個以上の密度で複数設けられ、前記圧電素子は複数の前記ノズルに対応して複数設けられていてもよい。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記第1電圧信号の電圧値及び前記第2電圧信号の電圧値よりも高い電圧値の第3電圧信号が、前記出力端子と前記第1スイッチ素子とが電気的に接続されているノードに抵抗素子を介して入力されてもよい。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記駆動回路は、前記出力端子から出力される前記第1電圧信号を帰還する帰還回路と、前記第1電圧信号の元となる元信号と、前記第1電圧信号を帰還した信号と、に基づき変調信号を生成する変調回路と、前記変調信号を増幅して復調することで前記第1電圧信号を生成する出力回路と、を備えてもよい。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記出力端子と前記第1電極との間の電荷を放出するための放出回路を備えてもよい。
また、前記態様の液体吐出装置において、前記放出回路は、一端が前記出力端子と電気
的に接続され、他端がグラウンド電位に接続された第2スイッチ素子を有してもよい。
液体吐出装置の概略構成を示す斜視図である。 液体吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。 液体吐出装置の動作モード間におけるモード遷移を説明するためのフローチャート図である。 状態信号MC1,MC2と各動作モードとの関係を示す図である。 駆動回路の回路構成を示す図である。 電圧信号Asと変調信号Msとの波形を元駆動信号Aaの波形と関連付けて示す図である。 記録ヘッド21の分解斜視図である。 吐出部の概略構成を示す断面図である。 記録ヘッドに設けられた複数のノズルの配置の一例を示す図である。 印刷モードにおける駆動信号COM及び基準電圧信号VBSの一例を示す図である。 待機モード、移行モード及びスリープモードにおける駆動信号COM及び基準電圧信号VBSの一例を示す図である。 ヘッドユニットの電気的構成を示す図である。 選択回路の構成を示す図である。 デコード内容を示す図である。 印刷モードにおけるヘッドユニットの動作を説明するための図である。 待機モード、移行モード及びスリープモードにおけるヘッドユニットの動作を説明するための図である。 圧電素子に意図しない電圧が供給された場合における圧電素子及び振動板の変位、並びに振動板に生じる応力を説明するための図である。 振動板を方向Zから見た場合の平面図である。 振動板に一次の固有振動が生じた場合を例示した図である。 振動板に三次の固有振動が生じた場合を例示した図である。 液体吐出装置の一部の概略構成を示す構成図である。 待機モード、移行モード及びスリープモードにおける動作を説明するためのタイミングチャート図である。 移行モードにおける駆動信号COMの電圧値と基準電圧信号VBSの電圧値との関係を説明するための図である。 第2実施形態におけるデコード内容を示す図である。 第3実施形態における液体吐出装置の一部の概略構成を示す構成図である。 移行モードにおける駆動信号COMの電圧値と基準電圧信号VBSの電圧値との関係における変形例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、本発明に係る液体吐出装置について、液体としてインクを吐出する印刷装置であるインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。
なお、液体吐出装置としては、例えば、プリンター等の印刷装置、液晶ディスプレイ等
のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイ等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置等を挙げることができる。
1 第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホスト・コンピューターから供給された画像データに応じてインクを吐出させることによって、紙などの印刷媒体にドットを形成し、これにより、当該画像データに応じた文字、図形等を含む画像を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す斜視図である。図1には、媒体Pが搬送される方向を方向X、方向Xと交差し移動体2が往復動する方向を方向Y、インクが吐出される方向を方向Zとして図示する。なお、第1実施形態では、方向X、方向Y、方向Zは互いに直交する軸として説明を行う。
図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2と、移動体2を方向Yに沿って往復動させる移動機構3とを備える。
移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33とを有する。
移動体2に含まれるキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そして、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を駆動させることで、移動体2がキャリッジガイド軸32に案内されて方向Yに沿って往復動する。
移動体2のうち、媒体Pと対向する部分にはヘッドユニット20が設けられる。ヘッドユニット20は、後述するように、多数のノズルを有し、当該ノズルから方向Zに沿ってインクを吐出する。また、ヘッドユニット20には、フレキシブルケーブル190を介して各種の制御信号等が供給される。
液体吐出装置1は、媒体Pを、プラテン40上で方向Xに沿って搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して媒体Pを方向Xに沿って搬送する搬送ローラー42と、を備える。
そして、媒体Pが搬送機構4により搬送されるタイミングにおいて、ヘッドユニット20が媒体Pにインクを吐出することにより、媒体Pの表面に画像が形成される。
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御ユニット10とヘッドユニット20とを有する。制御ユニット10とヘッドユニット20とは、フレキシブルケーブル190を介して接続される。
制御ユニット10は、制御回路100、キャリッジモータードライバー35、搬送モータードライバー45、駆動回路50、電圧生成回路70及び検出回路80を備える。
制御回路100は、ホスト・コンピューターから供給された画像データに基づいて、各種構成を制御するための複数の制御信号等を出力する。具体的には、制御回路100は、キャリッジモータードライバー35に対して制御信号CTR1を供給する。キャリッジモ
ータードライバー35は、当該制御信号CTR1に従ってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、キャリッジ24の方向Yに沿った移動が制御される。
また、制御回路100は、搬送モータードライバー45に対して制御信号CTR2を供給する。搬送モータードライバー45は、当該制御信号CTR2に従って搬送モーター41を駆動する。これにより、媒体Pの搬送機構4による方向Xに沿った移動が制御される。
また、制御回路100は、駆動回路50にデジタル信号であるデータdAを供給する。詳細は後述するが、駆動回路50は、データdAをアナログ信号に変換した後、D級増幅して駆動信号COMを生成し、ヘッドユニット20に供給する。すなわち、データdAは、ヘッドユニット20に供給する駆動信号COMの波形を規定する信号である。
また、制御回路100は、電圧生成回路70に、状態信号MC1,MC2を供給する。電圧生成回路70は、状態信号MC1,MC2に基づいた電圧値の基準電圧信号VBSを生成する。基準電圧信号VBSは、制御ユニット10において分岐され、検出回路80及びヘッドユニット20に供給される。検出回路80は、供給された基準電圧信号VBSの電圧値を検出し、検出結果を示す基準電圧値信号VBSLVを制御回路100に供給する。
さらに、制御回路100は、ヘッドユニット20に、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、状態信号MC1,MC2、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHを供給する。
ヘッドユニット20は、選択制御回路210、複数の選択回路230及び記録ヘッド21を備える。記録ヘッド21は、圧電素子60を含む複数の吐出部600を有する。複数の吐出部600は、複数の選択回路230に対応して設けられる。
詳細は後述するが、選択制御回路210は、各選択回路230に対して駆動信号COMを選択すべきか非選択とすべきかを、制御回路100から供給される印刷データ信号SI、状態信号MC1,MC2、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHに基づいて指示する。
選択回路230は、選択制御回路210の指示に従い、駆動信号COMを選択し、駆動信号VOUTとして記録ヘッド21に含まれる吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給する。圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に供給されている。
吐出部600が有する圧電素子60は、記録ヘッド21における複数のノズルのそれぞれに対応して設けられる。圧電素子60は、一端に供給される駆動信号VOUTの電圧値と他端に供給される基準電圧信号VBSの電圧値との電位差に応じて変位する。そして、圧電素子60の変位に応じた量のインクがノズルから吐出される。
なお、図2では、液体吐出装置1は、1つのヘッドユニット20を備えるものとして説明を行ったが、複数のヘッドユニット20が備えられてもよい。また、図2では、ヘッドユニット20は、1つの記録ヘッド21を備えるものとして説明を行ったが、1つのヘッドユニット20には、複数の記録ヘッド21が備えられてもよい。また、駆動回路50は、ヘッドユニット20に備えられていてもよい。
ここで、第1実施形態における液体吐出装置1は、複数の動作モードを有する。
具体的には、液体吐出装置1は、複数の動作モードの少なくとも一部として、印刷モード、待機モード、移行モード及びスリープモードを有する。印刷モードは、供給された画像データに基づいて媒体Pに対してインクを吐出することで、媒体Pに印刷を行う動作モードである。待機モードは、印刷モードに対して消費電力を低減しながら待機し、画像データが供給された場合に短時間で印刷の再開が可能な動作モードである。移行モードは、待機モードからスリープモードに移行する間の動作モードである。スリープモードは、待機モードに対して消費電力をさらに低減することが可能な動作モードである。この待機モード、移行モード及びスリープモードでは、液体吐出装置1に画像データが供給されておらず、そのため液体吐出装置1が媒体Pに対してインクを吐出しない。すなわち、待機モード、移行モード及びスリープモードは、液体吐出装置1が印刷を行わないモードである。
ここで、上述した液体吐出装置1が有する動作モードの関係について、図3を用いて説明する。図3は、液体吐出装置1の各動作モードのモード遷移を説明するためのフローチャート図である。
図3に示すように、液体吐出装置1に電源が供給されると、制御回路100は、動作モードを待機モードに制御する(S110)。そして、制御回路100は、待機モードに遷移した後、所定の時間が経過したか否かの判断を行う(S120)。
所定の時間が経過していない場合(S120のN)、制御回路100は、液体吐出装置1に画像データが供給されているか否かの判断を行う(S130)。
画像データが供給されていない場合(S130のN)、待機モードが継続される。一方、画像データが供給されている場合(S130のY)、制御回路100は、動作モードを印刷モードに制御する(S140)。
印刷モードにおいて、供給された画像データに対応する印刷が完了すると、制御回路100は、動作モードを待機モードに制御する(S110)。
また、所定の時間が経過した場合(S120のY)、制御回路100は、動作モードを移行モードに制御し(S150)、その後、動作モードをスリープモードに制御する(S160)。
そして、スリープモードに遷移した後、制御回路100は、液体吐出装置1に画像データが供給されているか否かの判断を行う(S170)。
画像データが供給されていない場合(S170のN)、スリープモードが継続される。一方、画像データが供給されている場合(S170のY)、制御回路100は、動作モードを印刷モードに制御する(S140)。
第1実施形態では、制御回路100は、液体吐出装置1が印刷モード、待機モード、スリープモード及び移行モードのいずれの動作モードであるかを示す状態信号MC1,MC2を出力する。図4は、状態信号MC1,MC2と各動作モードとの関係を示す図である。
図4に示すように、液体吐出装置1が印刷モードである場合、制御回路100は、状態信号MC1,MC2をともにHレベルにして出力する。また、液体吐出装置1が待機モードであるとき、制御回路100は、状態信号MC1,MC2をそれぞれH,Lレベルにして出力する。また、液体吐出装置1が移行モードである場合、制御回路100は、状態信
号MC1,MC2をともにLレベルにして出力する。また、液体吐出装置1がスリープモードである場合、制御回路100は、状態信号MC1,MC2をそれぞれL,Hレベルにして出力する。
なお、液体吐出装置1は、複数の動作モードとして、上述した動作モード以外の動作モードを含んでもよい。例えば、液体吐出装置1は、媒体Pに対してテスト印刷を行うテスト印刷モード、インク切れや媒体Pの搬送不良などにより動作を停止する停止モード等の動作モードを有してもよい。
また、第1実施形態では、液体吐出装置1の動作モードは、状態信号MC1,MC2の2つの信号を用いて示されるものとして説明を行うが、制御回路100は、3つ以上の信号を用いて動作モードを示してもよく、また、特定のコマンドを用いて動作モードを示してもよい。
1.2 駆動回路の電気的構成
次に、図5を用いて、駆動回路50の詳細について説明する。図5は、駆動回路50の回路構成を示す図である。図5に示されるように、駆動回路50は、制御回路100から入力されるデータdAに基づき、ヘッドユニット20が有する圧電素子60を変位させるための駆動信号COMを生成し出力する。
駆動回路50は、集積回路500、出力回路550、第1帰還回路570、第2帰還回路572及びその他複数の回路素子を有する。
集積回路500は、DAC511(Digital to Analog Converter)、変調回路510、ゲートドライバー520及び基準電圧生成回路580を含む。また、集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、端子Vfb及び端子Ifbを含む複数の端子で集積回路500の外部の各種構成と電気的に接続される。
集積回路500は、端子Inから入力される駆動信号COMの波形を規定するデータdAを変調し、出力回路550に含まれる第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2のそれぞれのゲートを駆動する第1増幅制御信号Hgd及び第2増幅制御信号Lgdを生成し出力する。
基準電圧生成回路580は、第1基準電圧DAC_HVと第2基準電圧DAC_LVとを生成し、DAC511に供給する。
DAC511は、データdAを、第1基準電圧DAC_HVと第2基準電圧DAC_LVとの間の電圧値のアナログの信号である元駆動信号Aaに変換する。そして、DAC511は、変調回路510に含まれる加算器512の入力端(+)に供給する。
変調回路510は、加算器512、加算器513、コンパレーター514、インバーター515、積分減衰器516及び減衰器517を含む。
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力された駆動信号COMの電圧を減衰するとともに積分し、当該電圧を加算器512の入力端(-)に供給する。
加算器512は、入力端(+)に入力される元駆動信号Aaの電圧から、入力端(-)に入力される積分減衰器516から出力された電圧を差し引き、積分した電圧を加算器513の入力端(+)に供給する。
ここで、元駆動信号Aaの最大電圧は第1基準電圧DAC_HVと第2基準電圧DAC_LVとで規定された2V程度であるのに対して、駆動信号COMの最大電圧は40Vを超える場合がある。このため、積分減衰器516は、偏差を求めるにあたり両電圧の振幅範囲を合わせるために、駆動信号COMの電圧を減衰させている。
減衰器517は、端子Ifbを介して入力された駆動信号COMの電圧の高周波成分を減衰し、当該電圧を加算器513の入力端(-)に供給する。
加算器513は、入力端(+)に入力される加算器512から出力された電圧から、入力端(-)に入力される減衰器517から出力された電圧を減算した電圧信号Asを、コンパレーター514に出力する。
この加算器513から出力される電圧信号Asは、元駆動信号Aaの電圧から端子Vfbに供給された電圧を差し引いて、さらに、端子Ifbに供給された電圧を差し引いた電圧である。すなわち、電圧信号Asは、目標である元駆動信号Aaの電圧から、出力される駆動信号COMの減衰電圧を指し引いた偏差を、当該駆動信号COMの高周波成分で補正した電圧信号といえる。
コンパレーター514は、入力される電圧信号Asに基づいて変調信号Msを生成し出力する。具体的には、コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asが電圧上昇時、且つ後述する閾値Vth1以上になった場合にHレベルとなり、電圧信号Asが電圧下降時、且つ後述する閾値Vth2を下回った場合にLレベルとなる変調信号Msを生成する。なお、閾値Vth1>閾値Vth2という関係に設定されている。
そして、コンパレーター514は、生成した変調信号Msを後述するゲートドライバー520に含まれる第1ゲートドライバー521に出力する。また、コンパレーター514は、生成した変調信号Msを、インバーター515を介して、ゲートドライバー520に含まれる第2ゲートドライバー522に出力する。したがって、第1ゲートドライバー521に供給される信号と第2ゲートドライバー522に供給される信号とは、互いの論理レベルが排他的な関係にある。
ここで、第1ゲートドライバー521及び第2ゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルが排他的な関係にあるとは、実際には、同時にHレベルとはならないようにタイミングが制御されてもよい。すなわち、ここでいう排他的とは、第1ゲートドライバー521及び第2ゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルが同時にHレベルにならないとの概念を含む。
以上のように変調回路510は、元駆動信号Aa(データdA)と、端子Vfbを介して帰還する駆動信号COMの電圧と、に基づき、変調信号Msを生成し、後述するゲートドライバー520を介して出力回路550に出力する。
ところで、ここでいう変調信号とは、狭義には、変調信号Msであるが、デジタル信号であるデータdAに基づくアナログ信号である元駆動信号Aaに応じてパルス変調したものであると考えれば、変調信号Msの否定信号も変調信号に含まれる。すなわち、変調回路510から出力される変調信号には、上述の変調信号Msのみならず、当該変調信号Msの論理レベルを反転させたものや、タイミング制御されたものも含まれる。
また、変調信号Msは、データdA(元駆動信号Aa)に合わせて周波数やデューティー比が変化する。そのため、減衰器517が変調利得(感度)を調整することで、周波数
やデューティー比の変化量を調整することができる。
ゲートドライバー520は、第1ゲートドライバー521と、第2ゲートドライバー522とを含む。
第1ゲートドライバー521は、コンパレーター514から出力される変調信号Msをレベルシフトして、端子Hdrから第1増幅制御信号Hgdとして出力する。第1ゲートドライバー521の電源電圧のうち高位側は、端子Bstを介して供給される電圧であり、低位側は、端子Swを介して供給される電圧である。端子Bstは、コンデンサーC5の一端及び逆流防止用のダイオードD1のカソード電極に接続される。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続される。ダイオードD1のアノード電極は、端子Gvdに接続され、不図示の電源回路から電圧Vmが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち電圧Vmにおよそ等しくなる。そして、第1ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msにしたがい、端子Swに対して電圧Vmだけ大きな電圧の第1増幅制御信号Hgdを生成し、端子Hdrから集積回路500の外部に出力する。
第2ゲートドライバー522は、第1ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。第2ゲートドライバー522は、コンパレーター514から出力された変調信号Msがインバーター515で反転された信号をレベルシフトして、端子Ldrから第2増幅制御信号Lgdとして出力する。第2ゲートドライバー522の電源電圧のうち高位側は、電圧Vmが供給され、低位側は、端子Gndを介してグラウンド電位(0V)が供給される。そして、第2ゲートドライバー522は、入力される変調信号Msの反転信号に従って、端子Gndに対して電圧Vmだけ大きな電圧を第2増幅制御信号Lgdとして端子Ldrから出力する。
出力回路550は、第1トランジスターM1と、第2トランジスターM2と、ローパスフィルター560(Low Pass Filter)と、を有する。出力回路550は、入力される変調信号Msを増幅して復調することで駆動信号COMを生成する。なお、駆動信号COMはデータdAに応じた元駆動信号Aaが増幅されたものといえるので、換言すれば、データdAあるいは元駆動信号Aaは、駆動信号COMの元となる元信号である。
第1トランジスターM1のドレインには、電圧Vhが供給される。また、第1トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と接続され、抵抗R1の他端は集積回路500の端子Hdrと接続される。よって、第1トランジスターM1のゲートには、第1増幅制御信号Hgdが供給される。また、第1トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと接続される。
第2トランジスターM2のドレインは、第1トランジスターM1のソースと接続される。また、第2トランジスターM2のゲートは、抵抗R2の一端と接続され、抵抗R2の他端は集積回路500の端子Ldrに接続される。よって、第2トランジスターM2のゲートには、第2増幅制御信号Lgdが供給される。また、第2トランジスターM2のソースはグラウンド電位に接続される。
以上のように接続された第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2において、第1トランジスターM1がオフ、第2トランジスターM2がオンのとき、端子Swが接続される接続点の電圧はグラウンド電位となり、端子Bstには電圧Vmが印加される。一方、第1トランジスターM1がオン、第2トランジスターM2がオフのとき、端子Swが接続される接続点の電圧は電圧Vhとなり、端子Bstには電圧Vh+Vmが印加される。すなわち、第1トランジスターM1を駆動させる第1ゲートドライバー521は、コ
ンデンサーC5をフローティング電源として、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位が0V又は電圧Vhに変化することで、第1トランジスターM1のゲートに、Lレベルが電圧Vh、Hレベルが電圧Vh+電圧Vmの第1増幅制御信号Hgdを出力する。そして、第1トランジスターM1は、第1増幅制御信号Hgdに基づきスイッチング動作を行う。
第2トランジスターM2を駆動させる第2ゲートドライバー522は、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2の動作に関係なく、端子Gndの電位がグラウンド電位に固定されているため、Lレベルが0V、Hレベルが電圧Vmの第2増幅制御信号Lgdを出力する。そして、第2トランジスターM2は、第2増幅制御信号Lgdに基づきスイッチング動作を行う。
以上のように、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2は、変調信号Msに基づく第1増幅制御信号Hgd及び第2増幅制御信号Lgdによりスイッチング動作を行う。そして、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2のスイッチング動作により、第1トランジスターM1のソースと第2トランジスターM2のドレインとが接続される接続点に、変調信号Msが電圧Vhに基づき増幅された増幅変調信号が生成される。すなわち、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2が、増幅回路として機能する。なお、このとき、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2を駆動する第1増幅制御信号Hgd及び第2増幅制御信号Lgdは、前述のとおり排他的な関係であるため、第1トランジスターM1及び第2トランジスターM2は、同時にオンしないように制御される。
ローパスフィルター560は、インダクターL1とコンデンサーC1とを含む。
インダクターL1は、一端が第1トランジスターM1のソース及び第2トランジスターM2のドレインと共通に接続され、他端は駆動信号COMが出力される端子Outと接続される。また、端子Outは、コンデンサーC1の一端とも接続され、コンデンサーC1の他端は、グラウンド電位に接続される。
これにより、インダクターL1とコンデンサーC1とが、第1トランジスターM1と第2トランジスターM2との接続点に供給される増幅変調信号を平滑して復調することで、駆動信号COMを生成する。
以上のように、駆動信号COMは、電圧Vhに基づいて増幅された増幅変調信号を平滑することで生成される。すなわち、電圧Vhは、駆動信号COMよりも電圧値の大きな信号であり、第3電圧信号の一例である。
第1帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端は、端子Outと接続され、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端に接続される。抵抗R4の他端には電圧Vhが印加される。これにより、端子Vfbには、駆動回路50の出力端子である端子Outから第1帰還回路570を通過した駆動信号COMがプルアップされて帰還される。すなわち、第1帰還回路570が、帰還回路の一例である。
第2帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と、抵抗R5,R6を含む。
コンデンサーC2の一端は端子Outと接続され、他端は抵抗R5の一端と抵抗R6の一端とに接続される。抵抗R5の他端はグラウンド電位に接続される。これにより、コンデンサーC2と抵抗R5とがハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。なお、コンデンサーC2と抵抗R5とで構成されるハイパスフィルターのカットオフ周波
数は、例えば約9MHzに設定される。また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端とコンデンサーC3の一端とに接続される。コンデンサーC3の他端はグラウンドに接地される。これにより、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルター(Low Pass Filter)として機能する。なお、抵抗R6とコンデンサーC3とで構成されるローパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。このようにハイパスフィルターとローパスフィルターとを構成することで、第2帰還回路572は、駆動信号COMの所定の周波数域を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。
コンデンサーC4の他端は、集積回路500の端子Ifbに接続される。これにより、端子Ifbには、上記バンドパスフィルターとして機能する第2帰還回路572を通過した駆動信号COMの高周波成分のうち、直流成分がカットされて帰還されることになる。ところで、駆動信号COMは、増幅変調信号をローパスフィルター560によって平滑化した信号である。この駆動信号COMは、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。よって、帰還の遅延と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振することになる。しかしながら、端子Vfbを介した帰還経路の遅延量が大きいため、当該端子Vfbを介した帰還のみでは自励発振の周波数を駆動信号COMの精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して、駆動信号COMの高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみたときの遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMの精度を十分に確保できるほど高くなる。
図6は、電圧信号Asと変調信号Msとの波形を元駆動信号Aaの波形と関連付けて示す図である。
図6に示されるように、電圧信号Asは三角波であり、その発振周波数は、元駆動信号Aaの電圧に応じて変動する。具体的には、当該電圧が中間値である場合に最も高くなり、電圧が中間値から高くなる又は低くなるにつれて低くなる。
また、電圧信号Asの三角波の傾斜は、当該電圧が中間値付近であれば当該電圧の上昇と下降とでほぼ等しくなる。このため、電圧信号Asをコンパレーター514により閾値Vth1、Vth2と比較することで得られる変調信号Msのデューティー比は、ほぼ50%となる。電圧信号Asの電圧が中間値から高くなると、電圧信号Asの下りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間は相対的に長くなり、変調信号Msのデューティー比が大きくなる。一方、電圧信号Asの電圧が中間値から低くなると、電圧信号Asの上りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に短くなり、変調信号Msのデューティー比が小さくなる。
第1ゲートドライバー521は、変調信号Msに基づいて第1トランジスターM1をオン/オフさせる。すなわち、第1ゲートドライバー521は、第1トランジスターM1を、変調信号MsがHレベルであればオンさせ、変調信号MsがLレベルであればオフさせる。第2ゲートドライバー522は、変調信号Msの論理反転信号に基づいて第2トランジスターM2をオン/オフさせる。すなわち、第2ゲートドライバー522は、第2トランジスターM2を、変調信号MsがHレベルであればオフさせ、変調信号MsがLレベルであればオンさせる。
したがって、増幅変調信号をインダクターL1及びコンデンサーC1で平滑した駆動信号COMの電圧は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなる。よって、駆動信号COMは、データdAがア
ナログ信号に変換された元駆動信号Aaの電圧を拡大した信号となるように制御される。なお、変調信号Msのデューティー比が一定の状態を継続したとき、駆動信号COMは、一定の電圧信号となる。
この駆動回路50は、パルス密度変調を用いるため、変調周波数が固定のパルス幅変調に対して、デューティー比の変化幅を大きく取れる、という利点がある。
駆動回路50で用いることができる最小の正パルス幅と負パルス幅はその回路特性で制約される。そのため、周波数固定のパルス幅変調では、デューティー比の変化幅として所定の範囲しか確保できない。これに対し、パルス密度変調では、電圧信号Asの電圧が中間値から離れるにつれて、発振周波数が低くなり、当該電圧が高い領域においては、デューティー比をより大きくすることができ、また、当該電圧が低い領域においては、デューティー比をより小さくすることができる。よって、自励発振型パルス密度変調では、デューティー比の変化幅として、より広い範囲を確保することができる。
以上に説明したように、駆動回路50は、出力端子の一例である端子Outから駆動信号COMを出力する。この駆動信号COMが、第1電圧信号の一例である。
1.3 ヘッドユニットの構成
次に、ヘッドユニット20の構成及び動作について説明を行う。まず、図7から図9を用いて、記録ヘッド21及び記録ヘッド21に設けられる吐出部600の構成について説明する。次に、図10及び図11を用いて、ヘッドユニット20に供給される駆動信号COM及び基準電圧信号VBSの一例について説明する。その後、図12から図16を用いて、ヘッドユニット20の構成及び動作について説明する。
図7は、記録ヘッド21の分解斜視図である。また、図8は、図7のIII-III線の断面図であって、吐出部600の概略構成を示す断面図である。
図7及び図8に示すように、記録ヘッド21は、方向Xに長尺な略矩形状の流路基板670を備える。流路基板670の方向Zにおける一方の面側には、圧力室基板630、振動板621、複数の圧電素子60、筐体部640及び封止体610が設けられる。また、流路基板670の方向Zにおける他方の面側には、ノズルプレート632及び吸振体633が設けられる。このような記録ヘッド21の各構成は、流路基板670と同様に方向Xに長尺な略矩形状の部材であり、接着剤等を利用して相互に接合される。
図7に示すように、ノズルプレート632は、方向Xに沿って並ぶ複数のノズル651が形成された板状部材である。このようなノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、後述するキャビティー631に連通する開孔部である。
流路基板670は、インクの流路を形成するための板状部材である。図7及び図8に示すように、流路基板670には、開口部671、供給流路672、及び連通流路673が形成されている。開口部671は、方向Zにおいて貫通し、方向Xに沿って複数のノズル651において共通に形成された長尺状の貫通孔である。また、供給流路672及び連通流路673は、複数のノズル651のそれぞれに対応して形成された貫通孔である。さらに、図8に示すように、流路基板670の方向Zにおける一方の面には、複数の供給流路672において共通に形成された中継流路674が設けられる。中継流路674は、開口部671と複数の供給流路672とを連通する。
筐体部640は、例えば樹脂材料の射出成形で製造される構造体であり、流路基板670の方向Zにおける他方の面に固定される。図8に示すように、筐体部640には供給流
路641と供給口661とが形成されている。供給流路641は、流路基板670の開口部671に対応する凹部であり、供給口661は、供給流路641に連通する貫通孔である。以上のような流路基板670の開口部671と、筐体部640の供給流路641とが相互に連通する空間が、供給口661から供給されるインクを貯留するリザーバーとして機能する。
吸振体633は、リザーバーの内部で生じる圧力変動を吸収する為の構成である。具体的には、吸振体633は、流路基板670に形成された開口部671、中継流路674及び複数の供給流路672を閉塞してリザーバーの底面を構成するように、流路基板670の方向Zにおける一方の面側に固定される。このような吸振体633は、例えば、弾性変形が可能な可撓性のシート部材であるコンプライアンス基板を含んで構成される。
図7及び図8に示すように、圧力室基板630は、複数のノズル651に対応する複数のキャビティー631が形成される板状部材である。複数のキャビティー631は、方向Yに沿った長尺状であって、方向Xに沿って並んで設けられる。そして、キャビティー631の方向Yにおける一方の端部は供給流路672と連通し、キャビティー631の方向Yにおける他方の端部は連通流路673と連通する。
図7及び図8に示すように、圧力室基板630のうち流路基板670が接続される面とは反対側の面には、振動板621が固定される。振動板621は、弾性的に変形可能な板状部材である。具体的には、図8に示すように、流路基板670と振動板621とは、各キャビティー631の内側で相互に間隔をあけて対向する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の壁面の一部である上面を構成する。このように、キャビティー631は、流路基板670と振動板621との間に位置し、当該キャビティー631の内部に充填されるインクに圧力を付与する圧力室として機能する。
図7及び図8に示すように、振動板621のキャビティー631と反対側の面には、複数の圧電素子60が設けられる。換言すれば、振動板621は、キャビティー631と圧電素子60との間に設けられる。複数の圧電素子60は、複数のキャビティー631に対応するように方向Xに並んで設けられる。そして、圧電素子60の変形に連動して振動板621が振動することで、キャビティー631の内部の圧力が変動し、ノズル651からインクが吐出される。具体的には、圧電素子60は、駆動信号COMの供給により変形し、方向Yに沿う長尺状のアクチュエーターである。そして、圧電素子60は、図8に示すように圧電体601を一対の第1電極611、第2電極612で挟んだ構造である。第1電極611には駆動信号VOUTが供給され、第2電極612には基準電圧信号VBSが供給される。この場合において圧電素子60は、第1電極611と第2電極612との電位差に応じて振動板621とともに圧電体601の中央部分が両端部分に対して上下方向に変形する。そして、圧電素子60の変形に伴いノズル651からインクが吐出される。すなわち、振動板621は、圧電素子60によって変位し、インクが充填されるキャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。ここで、圧電素子60の第2電極612に供給される基準電圧信号VBSが、第2電圧信号の一例である。
図7及び図8に示す封止体610は、複数の圧電素子60を保護するとともに圧力室基板630及び振動板621の機械的な強度を補強する構造体であり、例えば、接着剤で振動板621に固定される。封止体610のうち振動板621との対向面に形成される凹部の内側に、複数の圧電素子60が収容される。
ここで、記録ヘッド21において、圧電素子60、キャビティー631、振動板621及びノズル651を含む構成が吐出部600である。
図9は、方向Zに沿って液体吐出装置1を平面視した場合の、ヘッドユニット20が備える複数の記録ヘッド21と、記録ヘッド21に設けられた複数のノズル651の配置の一例を示す図である。なお、図9では、ヘッドユニット20は、4つの記録ヘッド21を備えるものとして説明を行う。
図9に示すように、各記録ヘッド21には、所定方向に列状に設けられた複数のノズル651からなるノズル列Lが形成されている。第1実施形態では、各ノズル列Lは、方向Xに沿って列状に配置されたM個のノズル651によって形成されている。
なお、図9に示すノズル列Lは一例であり、他の構成であってもよい。例えば、各ノズル列Lにおいて、端から数えて偶数番目のノズル651と奇数番目のノズル651とで方向Yの位置が相違するように、M個のノズル651が千鳥状に配置されてもよい。また、各ノズル列Lは方向Xとは異なる方向に形成されてもよい。また、第1実施形態では、各記録ヘッド21に設けられるノズル列Lの列数を「1」として例示しているが、各記録ヘッド21には、2列以上のノズル列Lが形成されてもよい。
ここで、第1実施形態においては、ノズル列Lを形成するM個のノズル651は、記録ヘッド21において、1インチあたり300個以上の高密度で設けられている。そのため、記録ヘッド21において、圧電素子60も、M個のノズル651に対応して高密度でM個設けられている。
また、第1実施形態においては、圧電素子60に用いられる圧電体601は、厚さが例えば1μm以下の薄膜であることが好ましい。これにより、第1電極611と第2電極612との間の電位差に対する圧電素子60の変位量を大きくすることができる。
次に、圧電素子60に供給される駆動信号COM及び基準電圧信号VBSについて、図10及び図11を用いて説明する。
図10は、印刷モードにおける駆動信号COM及び基準電圧信号VBSの一例を示す図である。図10には、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2と、期間T2の後、ラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3とを示している。なお、この期間T1、期間T2及び期間T3からなる期間が、媒体Pに新たなドットを形成する周期Taとなる。
図10に示すように、状態信号MC1,MC2が共にHレベルである印刷モードにおいて、駆動回路50は、期間T1において電圧波形Adpを生成する。そして、圧電素子60は、第1電極611に電圧波形Adpが供給されることにより、対応するノズル651から所定量、具体的には中程度の量のインクを吐出させるように変位する。また、駆動回路50は、期間T2において電圧波形Bdpを生成する。そして、圧電素子60は、第1電極611に電圧波形Bdpが供給されることにより、対応するノズル651から上記所定量よりも少ない小程度の量のインクを吐出させるように変位する。また、駆動回路50は、期間T3において電圧波形Cdpを生成する。そして、圧電素子60は、第1電極611に電圧波形Cdpが供給されることにより、対応するノズル651からインク滴が吐出されないように変位する。したがって、媒体Pには、ドットが形成されない。この電圧波形Cdpは、ノズル651の開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このような、対応するノズル651からインク滴が吐出されない程度に圧電素子60を変位させる状態を「微振動」と称する。なお、電圧波形Adp、電圧波形Bdp及び電圧波形Cdpの開始タイミングでの電圧値や終了タイミングでの
電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、電圧波形Adp、電圧波形Bdp及び電圧波形Cdpは、電圧値が電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する電圧波形である。以上のように、印刷モードにおいて駆動回路50は、電圧波形Adpと電圧波形Bdpと電圧波形Cdpとが周期Taにおいて連続した電圧波形を有する駆動信号COMを出力する。
また、印刷モードにおいて、電圧生成回路70は、周期Taにおいて、電圧値が電圧Vbs1の基準電圧信号VBSを生成して出力する。この基準電圧信号VBSが、圧電素子60の変位に対する基準電圧として機能する。
印刷モードの各周期Taにおいて、圧電素子60の第1電極611に、期間T1において電圧波形Adpが供給され、期間T2において電圧波形Bdpが供給されることで、ノズル651から中程度の量のインクと小程度の量のインクとが吐出される。これにより、媒体Pには「大ドット」が形成される。また、圧電素子60の第1電極611に、期間T1において電圧波形Adpが供給され、期間T2において電圧波形Bdpが供給されないことで、ノズル651から中程度の量のインクが吐出される。これにより、媒体Pには「中ドット」が形成される。また、圧電素子60の第1電極611に、期間T1において電圧波形Adpが供給されず、期間T2において電圧波形Bdpが供給されることで、ノズル651から小程度の量のインクが吐出される。これにより、媒体Pには「小ドット」が形成される。また、圧電素子60の第1電極611に、期間T1,T2において電圧波形Adp,Bdpが供給されず、期間T3において電圧波形Cdpが供給されることで、ノズル651からインクは吐出されず、微振動が生じる。このとき、媒体Pにドットは形成されない。
図11は、待機モード、移行モード及びスリープモードにおける駆動信号COM及び基準電圧信号VBSの一例を示す図である。図11に示すように、液体吐出装置1が待機モード、移行モード及びスリープモードの場合、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHは、Lレベルの信号である。
状態信号MC1,MC2がH,Lレベルである待機モードにおいて、駆動回路50は、電圧値が電圧Vseg1の駆動信号COMを生成して出力する。また、待機モードにおいて、電圧生成回路70は、電圧値が電圧Vbs1の基準電圧信号VBSを生成して出力する。
状態信号MC1,MC2がL,Hレベルであるスリープモードにおいて、駆動回路50は、電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMを生成して出力する。また、スリープモードにおいて、電圧生成回路70は、電圧値が電圧Vbs2の基準電圧信号VBSを生成して出力する。
状態信号MC1,MC2が共にLレベルである移行モードにおいて、駆動回路50は、電圧値が電圧Vseg1から電圧Vseg2へと変化する駆動信号COMを生成して出力する。また、移行モードにおいて、電圧生成回路70は、電圧値が電圧Vbs1から電圧Vbs2へと変化する基準電圧信号VBSを生成して出力する。
ここで、詳細は後述するが、待機モード、移行モード及びスリープモードにおいて、駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御される。すなわち、待機モードにおける駆動信号COMの電圧値である電圧Vseg1は、待機モードにおける基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbs1に近づくように制御される。また、スリープモードにおける駆動信号COMの電圧値である電圧Vseg2は、スリープモードにおける基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbs2に近づくように制御され
る。そして、移行モードにおいて、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1からVbs2に変化し、駆動信号COMの電圧値は、当該基準電圧信号VBSの電圧値の変化に対して、近づくように電圧Vseg1からVseg2に変化するように制御される。換言すれば、待機モード、移行モード及びスリープモードにおいて、圧電素子60の第1電極611と第2電極612との間の電位差が小さくなるように制御される。したがって、待機モード、移行モード及びスリープモードにおいて、圧電素子60の変位は小さく、ノズル651からインクは吐出されない。
図12は、ヘッドユニット20の電気的構成を示す図である。図12に示すように、ヘッドユニット20は、選択制御回路210、複数の選択回路230及び記録ヘッド21を含む。
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、状態信号MC1,MC2、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHが供給される。選択制御回路210には、シフトレジスター212(S/R)とラッチ回路214とデコーダー216との組が、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、ヘッドユニット20が有するシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組の数は、ヘッドユニット20に含まれる吐出部600の総数nと同じである。
シフトレジスター212は、対応する吐出部600毎に、印刷データ信号SIに含まれる2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一旦保持するための構成である。
詳細には、吐出部600に対応した段数のシフトレジスター212が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される構成となっている。なお、図12では、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、n段と表記している。
n個のラッチ回路214の各々は、n個のシフトレジスター212の各々で保持された印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
n個のデコーダー216の各々は、n個のラッチ回路214の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]及び状態信号MC1,MC2をデコードして選択信号Sを生成し、選択回路230に出力する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つのヘッドユニット20が有する選択回路230の数は、ヘッドユニット20に含まれるノズル651の総数nと同じである。選択回路230は、入力される選択信号Sに基づき、駆動信号COMの選択動作を行う。
図13は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図13に示されるように、選択回路230は、インバーター232(NOT回路)と、第1スイッチ素子の一例であるトランスファーゲート234と、を有する。
デコーダー216が出力する選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に供給される。また選択信号Sは、インバーター232によって論理反転されて、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端にも供給される。
また、トランスファーゲート234は、駆動回路50の端子Outと圧電素子60の第
1電極611とに電気的に接続されており、その入力端には駆動信号COMが供給され、その出力端に生じる電圧信号が駆動信号VOUTとして吐出部600に供給される。
なお、トランスファーゲート234は、選択信号SがHレベルであれば、入力端と出力端との間を導通(オン)させ、選択信号SがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。
ここで、図14を用いて第1実施形態におけるデコーダー216のデコード内容について説明を行う。図14は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。
デコーダー216には、ラッチ回路214から出力された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]、状態信号MC1,MC2、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHが入力される。
デコーダー216は、状態信号MC1,MC2が共にHレベルの印刷モードの場合、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、印刷データ[SIH,SIL]に基づく論理レベルの選択信号Sを出力する。
具体的には、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が「大ドット」を規定する[1,1]である場合、期間T1,T2,T3のそれぞれで、H,H,Lレベルの選択信号Sを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が「中ドット」を規定する[1,0]である場合、期間T1,T2,T3のそれぞれで、H,L,Lレベルの選択信号Sを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が「小ドット」を規定する[0,1]である場合、期間T1,T2,T3のそれぞれで、L,H,Lレベルの選択信号Sを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が「微振動」を規定する[0,0]である場合、期間T1,T2,T3のそれぞれで、L,L,Hレベルの選択信号Sを出力する。
また、デコーダー216は、待機モード、移行モード及びスリープモードにおいて印刷データ[SIH,SIL]及び期間T1,T2,T3によらず選択信号Sの論理レベルを決定する。
具体的には、デコーダー216は、状態信号MC1,MC2のそれぞれが、H,Lレベルの待機モードの場合、Hレベルの選択信号Sを出力する。また、デコーダー216は、状態信号MC1,MC2のそれぞれが、共にLレベルの移行モードの場合、Hレベルの選択信号Sを出力する。また、デコーダー216は、状態信号MC1,MC2のそれぞれが、L,Hレベルのスリープモードの場合、Lレベルの選択信号Sを出力する。
以上に説明したヘッドユニット20において、駆動信号VOUTが吐出部600に供給される動作について、図15及び図16を用いて説明する。
図15は、印刷モードにおけるヘッドユニット20の動作を説明するための図である。
印刷モードでは、印刷データ信号SIがクロック信号SCKに同期してシリアルで供給され、ノズル651に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター212のそれぞれには、ノズル651に対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212における最終n段、…、2段、1段のノズル651に対応した順番で供給される。
ここで、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。図15において、LT1、LT2、…、LTnは、1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、期間T2及び期間T3のそれぞれにおいて、図14に示される内容に従う論理レベルの選択信号Sを出力する。
そして、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において電圧波形Adpを選択し、期間T2において電圧波形Bdpを選択し、期間T3において電圧波形Cdpを選択しない。その結果、図15に示す大ドットに対応する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
また、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において電圧波形Adpを選択し、期間T2において電圧波形Bdpを選択せず、期間T3において電圧波形Cdpを選択しない。その結果、図15に示す中ドットに対応する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において電圧波形Adpを選択せず、期間T2において電圧波形Bdpを選択し、期間T3において電圧波形Cdpを選択しない。その結果、図15に示す小ドットに対応する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において電圧波形Adpを選択せず、期間T2において電圧波形Bdpを選択し、期間T3において電圧波形Cdpを選択しない。その結果、図15に示す微振動に対応する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
図16は、待機モード、移行モード及びスリープモードにおけるヘッドユニット20の動作を説明するための図である。
待機モード、移行モード及びスリープモードでは印刷が行われないため、第1実施形態では、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、クロック信号SCK及び印刷データ信号SIはいずれもLレベルの信号である。したがって、シフトレジスター212及びラッチ回路214は動作しない。
待機モード、移行モード及びスリープモードでは、図14に示すように、デコーダー216は、状態信号MC1,MC2に従って、選択信号Sの論理レベルを決定する。そして、状態信号MC1,MC2がそれぞれH,Lレベルの待機モードの場合、選択回路230は、入力されるHレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg1の駆動信号COMを選択する。その結果、電圧値が電圧Vseg1の駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
また、状態信号MC1,MC2が共にLレベルの移行モードの場合、選択回路230は、入力されるHレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg1から電圧Vseg2へと変化する駆動信号COMを選択する。その結果、電圧値が電圧Vseg1から電圧Vseg2へと変化する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。
また、状態信号MC1,MC2がそれぞれL,Hレベルのスリープモードの場合、選択回路230は、入力されるLレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMを選択しない。その結果、駆動信号VOUTは、移行モードからスリープモードになる直前の電圧値、すなわち電圧Vseg2を保持する。
以上のように、第1実施形態における印刷モードは、ノズル651からインクが吐出され、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1に制御される。また、第1実施形態における待機モードでは、ノズル651からインクが吐出されず、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1に制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、電圧Vbs1に近づくように電圧Vseg1に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される。また、第1実施形態における移行モードでは、ノズル651からインクが吐出されず、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1から電圧Vbs1よりも低い電圧Vbs2となるように制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように電圧Vseg1から電圧Vseg2に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される。また、第1実施形態におけるスリープモードでは、ノズル651からインクが吐出されず、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1よりも低い電圧Vbs2となるように制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように電圧Vseg2に制御され、且つトランスファーゲート234がオフに制御される。
ここで、電圧Vbs1が第1電圧の一例であり、電圧Vbs2が第2電圧の一例である。また、印刷モードが、第1実施形態における第1モードの一例であり、移行モードが第1実施形態における第2モードの一例である。
1.4 待機モード、移行モード及びスリープモードにおける液体吐出装置の動作
待機モード、移行モード及びスリープモードは、印刷モードよりも長い時間継続する可能性がある。そのため、これらの動作モードにおいて、圧電素子60に意図しない電圧が加わり、当該圧電素子60が大きく変位した状態で保持された場合、振動板621には当該変位に基づく応力が長時間継続して加わり、当該応力により振動板621にクラック等が生じる可能性がある。また、これらの動作モードにおいて圧電素子60が変位した状態で保持された場合、印刷モードに遷移した後、振動板621に必要以上の負荷がかかり、当該負荷に起因して振動板621にクラック等が生じるおそれもある。
具体的には、前述のとおり、圧電素子60は、第1電極611と第2電極612との間の電位差により変位する。そのため、第1電極611又は第2電極612のいずれかに意図しない電圧が供給された場合、圧電素子60には意図しない変位が生じる。そして、このような圧電素子60に生じる意図しない変位に伴い、圧電素子60及び振動板621に意図しない応力が生じるおそれがある。
図17は、圧電素子60に意図しない電圧が供給された場合における圧電素子60及び振動板621の変位、並びに振動板621に生じる応力を説明するための図である。なお、図17は、記録ヘッド21に含まれる複数の圧電素子60、キャビティー631及びノズル651の内の2つを方向Yから見た場合の断面図である。図17の(1)には、第1電極611及び第2電極612の双方に所定の電圧が供給されている場合における圧電素子60及び振動板621の変位が例示されている。また、図17の(2)には、第1電極611又は第2電極612のいずれかに一方に意図しない電圧が供給されている場合における圧電素子60及び振動板621の変位が例示されている。
図17の(1)に示すように、第1電極611及び第2電極612の双方に所定の電圧が供給されている場合、第1電極611と第2電極612との間には想定の範囲内の電位
差が生じる。したがって、圧電素子60は想定の範囲内で変位し、同様に、振動板621は想定の範囲内で変位する。このとき、振動板621とキャビティー631との接点αには、想定の範囲内の応力F1が生じる。
一方、図17の(2)に示すように、第1電極611又は第2電極612のいずれかに一方に意図しない電圧が供給されている場合、第1電極611と第2電極612との間には想定の範囲外の電位差が生じるおそれがある。したがって、圧電素子60には想定の範囲外の変位が生じるおそれがあり、同様に、振動板621にも想定の範囲外の変位が生じるおそれがある。このとき、振動板621とキャビティー631との接点αには、想定よりも大きな応力F2が集中して生じる場合がある。
また、振動板621とキャビティー631との接点に生じる応力は、方向Yにおける振動板621とキャビティー631との接点の位置によっても異なる場合がある。具体的には、振動板621とキャビティー631との接点に生じる応力は、振動板621とキャビティー631との接点であって、振動板621の方向Zにおける変位が最大となる点においてより大きな応力が生じる。
このような振動板621に生じる変位の要因としては、例えば、振動板621に生じる固有振動が挙げられる。図18は、振動板621を方向Zから見た場合の平面図である。図18に示すように、第1実施形態におけるキャビティー631は、方向Yに沿った長尺状であり、振動板621には、方向Yに沿った固有振動が生じる場合がある。このような固有振動は、振動板621とキャビティー631とが接する第1接点DLと、第2接点DRとの間の振動領域Dで生じる。
図19は、振動板621に一次の固有振動が生じた場合を例示した図である。図19に示すように、振動板621に一次の固有振動が生じた場合、当該固有振動に起因する振動板621の変位ΔDは、振動領域Dの中央部で最大となる。具体的には、振動領域Dにおいて、第1接点DLから第2接点DRまでの距離をdとした場合、第1接点DLからの距離がd/2であって第2接点DRからの距離がd/2となる点で振動板621の変位ΔDが最大となる。
また、図20は、振動板621に三次の固有振動が生じた場合を例示した図である。図20に示すように、振動板621に三次の固有振動が生じた場合、当該固有振動に起因する振動板621の変位ΔDは、第1接点DLからの距離がd/2であって第2接点DRからd/2となる点と、第1接点DLからの距離がd/6となる点と、第2接点DRからの距離がd/6となる点で最大となる。
以上のように、方向Yにおいて、振動板621の変位ΔDが最大となる点における振動板621とキャビティー631との接点αには、よりも大きな応力F2が加わるおそれがある。そして、振動板621とキャビティー631との接点αに想定よりも大きな応力F2が集中した場合、振動板621にクラックが生じるおそれが高まる。さらに、振動板621に想定よりも大きな変位が生じた状態で、第1電極611に駆動信号COMが加わった場合、圧電素子60の変位に伴って振動板621に必要以上の負荷が加わるおそれがある。その結果、振動板621にクラックが生じるおそれがある。
待機モードとスリープモードとで基準電圧信号VBSの電圧値が異なるため、移行モードにおいて、基準電圧信号VBSの電圧値が低下するように制御される。したがって、第1電極611に供給される駆動信号COMの電圧値が一定であれば、駆動信号COMと基準電圧信号VBSとの電位差が大きくなる。その結果、圧電素子60の第1電極611と第2電極612との間の電位差が大きくなり、圧電素子60は、当該電位差に起因して変
位する。そして、圧電素子60が変位した状態でスリープモードに遷移すると、圧電素子60は、当該変位を継続した状態で長時間保持される。その結果、振動板621にクラック等が生じるおそれがある。
仮に振動板621にクラックが生じた場合、当該クラックからキャビティー631に充填されたインクが漏れ出す。そのため、キャビティー631の内部容積の変化に対するインクの吐出量にばらつきが生じるおそれがある。その結果、インクの吐出精度が悪化する。
さらに、当該クラックから漏れ出したインクが、第1電極611と第2電極612との双方に付着した場合、第1電極611と第2電極612との間に、当該インクを介した電流が流れる。そのため、第2電極612に供給される基準電圧信号VBSの電圧値が変動する。第1実施形態に示す液体吐出装置1は、基準電圧信号VBSが複数の圧電素子60に共通に供給されている。そのため、基準電圧信号VBSの電圧値の変動は、複数の圧電素子60のそれぞれの変位に影響する。その結果、液体吐出装置1全体の吐出精度に影響を及ぼすおそれもある。
このような振動板621に生じるクラックを低減するために、第1実施形態では移行モードにおいて、トランスファーゲート234がオンに制御され、且つ駆動信号COMの電圧値が基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御される。これにより、移行モードにおいて、圧電素子60の第1電極611と第2電極612との間の電位差が小さくなる。したがって、スリープモードにおいて、圧電素子60が大きく変位した状態で保持されるおそれが低減される。その結果、圧電素子60の変位に生じる応力が小さくなり、振動板621にクラック等が生じるおそれが低減される。
ここで、図21及び図22を用いて、待機モード、移行モード及びスリープモードにおける液体吐出装置1の動作について具体的に説明する。
図21は、液体吐出装置1の一部の概略構成を示す構成図である。また、図22は、液体吐出装置1の待機モード、移行モード及びスリープモードにおける動作を説明するためのタイミングチャート図である。なお、図21には、選択回路230に含まれるトランスファーゲート234を簡略化して示している。
図22に示されるように、液体吐出装置1は、印刷モードが終了すると待機モードに遷移する。具体的には、制御回路100は状態信号MC2をLレベルにする。これにより、選択信号SがHレベルとなり、トランスファーゲート234(TG)はオンに制御される。
図21及び図22に示すように待機モードにおいて、制御回路100は、駆動回路50に電圧値が電圧Vseg1の駆動信号COMを生成させるためのデータdAを出力する。駆動回路50が生成した電圧値が電圧Vseg1の駆動信号COMは、端子Outとトランスファーゲート234の一端とが接続されたノードaに供給される。このとき、電圧Vseg1は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御される。
具体的には、制御回路100が出力するデータdAは、集積回路500から出力される第1増幅制御信号Hgdのデューティー比が時間に対して一定となるように制御するための信号である。このとき、第1増幅制御信号Hgdのデューティー比は、第1トランジスターM1のドレインに供給される電圧Vhに対する基準電圧信号VBSの電圧値の比と同等の値となるように制御されてもよい。詳細には、例えば電圧Vhが42V、基準電圧信号VBSの電圧値が5Vである場合、第1増幅制御信号HgdのHレベルのデューティー
比が、約12%(≒5/42×100)となるように制御される。
なお、電圧Vseg1は基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御されればよく、同じ電圧値でなくてもよい。例えば、電圧Vseg1と基準電圧信号VBSの電圧値との差が2V以下に制御されていればよい。具体的には、電圧Vhが42V、基準電圧信号VBSの電圧値が5Vである場合、電圧Vseg1は3Vから7Vの間に制御されればよい。したがって、第1増幅制御信号HgdのHレベルのデューティー比は、約7%(≒3/42×100)から約17%(≒7/42×100)までの範囲となるように制御されればよい。
ここで、前述のとおり、待機モード及び印刷モードにおける基準電圧信号VBSの電圧値は共に電圧Vbs1に制御されている。このように、待機モードにおいて、圧電素子60の第2電極612に供給される基準電圧信号VBSの電圧値を、印刷モードと同じ電圧Vbs1とすることで、印刷の再開に要する時間を短縮することができる。
次に、移行モードの動作について図23を用いて説明する。図18は、移行モードにおける駆動信号COMの電圧値と基準電圧信号VBSの電圧値との関係を説明するための図である。
液体吐出装置1は、待機モードに遷移後、所定の時間が経過すると、移行モードに遷移する。具体的には、制御回路100は状態信号MC1をLレベルにする。これにより、選択信号SがHレベルとなり、トランスファーゲート234はオンに制御される。移行モードにおいて、電圧生成回路70は、生成する基準電圧信号VBSの電圧値を電圧Vbs1から電圧Vbs2に向けて変化させる。電圧Vbs2は、スリープモードにおける電圧値であり、電圧Vbs1よりも小さい。すなわち、移行モードにおいて、基準電圧信号VBSの電圧値は、低下するように制御される。また、駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値の変化を追従するように電圧Vseg1から電圧Vseg2に向けて制御される。換言すれば、移行モードにおいて、駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御される。
具体的には、図23に示すように、待機モードから移行モードに遷移すると、まず、基準電圧信号VBSの電圧値は、電圧Vbs1から電圧Vbs1よりも小さな電圧値である電圧Vbs-aに制御される。なお、第1実施形態においては、基準電圧信号VBSの電圧値は、制御回路100が出力する状態信号MC1,MC2に基づいて電圧生成回路70によって制御されるものとして説明を行うが、制御回路100が出力する不図示の信号に基づいて制御される構成であってもよい。
検出回路80は、電圧Vbs-aを検出し、検出結果を示す基準電圧値信号VBSLVを制御回路100に出力する。例えば、検出回路80は不図示のA/D変換器を含み、電圧Vbs-aをデジタル信号に変換した後、当該デジタル信号を基準電圧値信号VBSLVとして制御回路100に出力してもよい。
制御回路100は、入力された基準電圧値信号VBSLVに基づきデータdAを生成し、駆動回路50に出力する。このときのデータdAは、駆動信号COMの電圧値が、電圧Vbs-aと同等の電圧Vseg-aとなるように制御する信号である。例えば、データdAは、第1増幅制御信号Hgdのデューティー比が、電圧Vhの電圧値に対する電圧Vbs-aの電圧値の比と同等の値となるように制御する信号であってもよい。
そして、駆動回路50は、入力されたデータdAに基づいて電圧値が電圧Vseg-aの駆動信号COMを生成し、ノードaに出力する。
その後、基準電圧信号VBSの電圧値は、電圧Vbs-aから電圧Vbs-aよりも小さな電圧Vbs-bとなる。
検出回路80は、電圧Vbs-bを検出し、検出結果を示す基準電圧値信号VBSLVを制御回路100に出力する。
制御回路100は、入力された基準電圧値信号VBSLVに基づきデータdAを生成し、駆動回路50に出力する。このときのデータdAは、駆動信号COMの電圧値が、電圧Vbs-bと同等の電圧Vseg-bとなるように制御する信号である。例えば、データdAは、第1増幅制御信号Hgdのデューティー比が、電圧Vhの電圧値に対する電圧Vbs-bの電圧値の比と同等の値となるように制御する信号であってもよい。
そして、駆動回路50は、入力されたデータdAに基づいて電圧値が電圧Vseg-bの駆動信号COMを生成し、ノードaに出力する。
その後、基準電圧信号VBSの電圧値は、電圧Vbs-bから電圧Vbs-bよりも小さい電圧Vbs2となる。
検出回路80は、電圧Vbs2を検出し、検出結果を示す基準電圧値信号VBSLVを制御回路100に出力する。
制御回路100は、入力された基準電圧値信号VBSLVに基づきデータdAを生成し、駆動回路50に出力する。このときのデータdAは、駆動信号COMの電圧値が、電圧Vbs2と同等の電圧Vseg2となるように制御する信号である。例えば、データdAは、第1増幅制御信号Hgdのデューティー比が、電圧Vhの電圧値に対する電圧Vbs2の電圧値の比と同等の値となるように制御する信号であってもよい。
そして、駆動回路50は、入力されたデータdAに基づいて電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMを生成し、ノードaに出力する。
その後、基準電圧信号VBSの電圧値は、電圧Vbs2を維持する。
制御回路100は、駆動信号COMの電圧値が電圧Vseg2となるように制御するデータdAを出力してから所定時間の経過後、移行モードからスリープモードに遷移させる。
なお、本実施形態においては、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1から電圧Vbs2に変化するまでに、電圧Vbs-a,Vbs-bの2つの段階の電圧値を介して変化するものとして説明したが、3つ以上の段階の電圧値を介して変化してもよく、また、1つの電圧値だけを介して変化してもよい。
液体吐出装置1がスリープモードに遷移すると、制御回路100は状態信号MC2をHレベルにする。これにより、選択信号SがLレベルとなり、トランスファーゲート234はオフに制御される。
スリープモードにおいて、制御回路100は、駆動回路50に電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMを生成させるためのデータdAを出力する。駆動回路50が生成した電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMはノードaに供給される。このとき、電圧Vseg2は、基準電圧信号VBSの電圧Vbs2に近づくように制御される。
例えば、データdAは、第1増幅制御信号Hgdのデューティー比が、電圧Vhの電圧値に対する電圧Vbs2の電圧値の比と同等の値となるように制御されてもよい。
ここで、スリープモードにおいては、消費電力を低減することが求められる。したがって、電圧生成回路70の動作が停止していることが好ましい。すなわち、スリープモードにおける基準電圧信号VBSの電圧Vbs2は、グラウンド電位(0V)に制御されることが好ましい。よって、第1増幅制御信号HgdのHレベルのデューティー比が0%となるように制御されることが好ましく、換言すれば、第2トランジスターM2がオン状態を継続するように制御される。これにより、スリープモードにおける液体吐出装置1の消費電力をさらに低減することが可能となる。
以上に説明したように、第1実施形態の液体吐出装置1では、移行モードにおいて、トランスファーゲート234がオンに制御され、駆動信号COMの電圧値は基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御される。このように、移行モードにおいて、駆動信号COMの電圧値を基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御することで、移行モードにおける圧電素子60の第1電極611と第2電極612との間の電位差を小さくすることが可能となる。これにより、圧電素子60及び振動板621の変位量を低減することができる。
さらに、移行モードにおける圧電素子60の第1電極611と第2電極612との間の電位差を小さくすることが可能となるため、移行モードから遷移するスリープモードにおいて、第1電極611に保持される電圧値と第2電極612に保持される電圧値との間の電位差を小さくすることが可能となる。これにより、圧電素子60及び振動板621の変位量を低減することができる。
さらに、第1実施形態の液体吐出装置1によれば、ノズル651が1インチあたり300個以上の密度で複数設けられ、且つ圧電素子60が複数のノズル651に対応して複数設けられている場合であっても大きな効果を奏することができる。
ノズル651が1インチあたり300個以上の高密度で設けられる場合、ノズル651に対応する圧電素子60も高密度に設けられる。そのため、圧電素子60が並設される方向Xにおける圧電素子60の長さが短くなり、その結果、第1電極611及び第2電極612の面積が小さくなる。
前述のとおり、圧電素子60は、第1電極611と第2電極612との間の電位差により変位する。すなわち、第1電極611と第2電極612の間には当該電位差に基づく電流が流れる。圧電素子60が高密度に設けられている場合、第1電極611及び第2電極612の面積が小さくなるため、第1電極611と第2電極612の間の電流密度が高くなる。したがって、圧電素子60の第1電極611と第2電極612の間の抵抗成分が大きくなる。
このような高密度に設けられたノズル651及び圧電素子60を備えた記録ヘッド21では、トランスファーゲート234がオフに制御されるスリープモードにおいて、第1電極611と第2電極612との間に大きな電位差が生じていた場合、第1電極611と第2電極612の間の抵抗成分が大きいため、第1電極611の電荷が放出され難く、そのため、第1電極611の電圧が放電され難い。
第1実施形態の液体吐出装置1においては、スリープモードに遷移する直前の移行モードにおいて、第1電極611の電圧値を第2電極612の電圧値に近づくように制御する
ため、スリープモードにおいて、第1電極611と第2電極612との間の電位差を小さくすることができる。したがって、圧電素子60が高密度に設けられることにより第1電極611と第2電極612の間の抵抗成分が大きくなった場合であっても、圧電素子60の変位を低減することが可能となる。よって、圧電素子60及び振動板621に応力が継続して加わり、当該応力により振動板621にクラック等が生じるおそれを低減することが可能となる。
また、駆動回路50は、図5及び図21に示すように高電圧の電圧Vhにプルアップされ、端子Outから出力される駆動信号COMを帰還する第1帰還回路570を備える。すなわち、駆動信号COMの電圧値及び基準電圧信号VBSの電圧値よりも高い電圧値の電圧Vhが、第1帰還回路570に含まれる抵抗素子である抵抗R3及び抵抗R4を介して、ノードaに入力される。そのため、駆動回路50によりノードaに出力される駆動信号COMが制御されていない場合、ノードaには、高電圧の電圧Vhに基づく電圧値が不定の信号が供給される。
このような電圧値が不定の信号がノードaに供給された状態でトランスファーゲート234がオンに制御されると、当該不定の電圧値の電圧信号が第1電極611に供給され、圧電素子60に意図しない変位が生じるおそれがある。あるいは、トランスファーゲート234がオフに制御されると、当該電圧値が不定の信号に基づくリーク電流により、第1電極611に意図しない電圧が供給され、圧電素子60に意図しない変位が生じるおそれがある。
第1実施形態においては、印刷モードにおいて、ノードaには電圧波形Adp,Bdp,Cdpが連続した電圧波形からなる駆動信号COMが供給される。また、待機モードにおいて、ノードaには基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbs1に近づくように制御された駆動信号COMが供給される。また、移行モードにおいて、ノードaには電圧Vbs1から電圧Vbs2へと変化する基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御された駆動信号COMが供給される。また、スリープモードにおいて、ノードaには基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbs2に近づくように制御された駆動信号COMが供給される。
以上のように、第1実施形態の液体吐出装置1においてノードaに供給される電圧信号は、印刷モード、待機モード、移行モード及びスリープモードのいずれの場合であっても駆動信号COMにより制御されている。したがって、圧電素子60の第1電極611に意図しない電圧が供給されず、圧電素子60に意図しない変位が生じるおそれがさらに低減される。
2.第2実施形態
次に第2実施形態における液体吐出装置1について説明する。なお、第2実施形態の液体吐出装置1を説明するにあたり、第1実施形態の液体吐出装置1と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。第2実施形態における液体吐出装置1では、スリープモードにおいて選択回路230に含まれるトランスファーゲート234がオンに制御されている点で、第1実施形態と異なる。
図24は第2実施形態の液体吐出装置1におけるデコーダー216のデコード内容を示す図である。第2実施形態におけるデコーダー216は、状態信号MC1,MC2が共にHレベルの印刷モードの場合、第1実施形態と同様に、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、印刷データ[SIH,SIL]に基づく論理レベルの選択信号Sを出力する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pに大ドット、中ドット又は小ドットの形成、若しくは微振動を行う。すなわち、
第2実施形態における印刷モードは、第1実施形態と同様に、ノズル651からインクが吐出され、基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1に制御される。
また、図24に示すように、デコーダー216は、待機モード、移行モード及びスリープモードでは、状態信号MC1,MC2に従って、選択信号Sの論理レベルを決定する。
具体的には、状態信号MC1,MC2がそれぞれH,Lレベルの待機モードの場合、選択回路230は、入力されるHレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg1の駆動信号COMを選択する。その結果、電圧値が電圧Vseg1の駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。すなわち、第2実施形態における待機モードでは、第1実施形態と同様に、ノズル651からインクが吐出されず、且つ基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1に制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、電圧Vbs1に近づくように電圧Vseg1に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される。
また、状態信号MC1,MC2が共にLレベルの移行モードの場合、選択回路230は、入力されるHレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg1から電圧Vseg2へと変化する駆動信号COMを選択する。その結果、電圧値が電圧Vseg1から電圧Vseg2へと変化する駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。すなわち、第2実施形態における移行モードでは、第1実施形態と同様に、ノズル651からインクが吐出されず、且つ基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1から電圧Vbs1よりも低い電圧Vbs2となるように制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように電圧Vseg1から電圧Vseg2に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される。
また、状態信号MC1,MC2がそれぞれL,Hレベルのスリープモードの場合、選択回路230は、入力されるHレベルの選択信号Sに従い、電圧値が電圧Vseg2の駆動信号COMを選択する。その結果、電圧値が電圧Vseg2の駆動信号VOUTが吐出部600に供給される。すなわち、第2実施形態におけるスリープモードでは、ノズル651からインクが吐出されず、且つ基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1よりも低い電圧Vbs2となるように制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように電圧Vseg2に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される。
以上のように構成された第2実施形態における液体吐出装置1は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。ここで、印刷モードが、第2実施形態における第1モードの一例であり、スリープモードが第2実施形態における第3モードの一例である。
なお、第2実施形態における液体吐出装置1の移行モードにおいて、デコーダー216は、Lレベルの選択信号Sを出力してもよい。移行モードは、待機モード及びスリープモードに対して滞在する時間の短い動作モードである。そのため、スリープモードにおいて基準電圧信号VBSの電圧値が電圧Vbs1よりも低い電圧Vbs2となるように制御され、且つ駆動信号COMの電圧値は、基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように電圧Vseg2に制御され、且つトランスファーゲート234がオンに制御される場合、移行モードにおいてトランスファーゲート234がオフに制御されていたとしても、スリープモードにおいて、圧電素子60の第1電極611に供給される電圧値を制御することができる。したがって、圧電素子60及び振動板621に意図しない応力が継続して加わることを低減することができる。すなわち、第2実施形態における液体吐出装置1では、移行モードにおいてトランスファーゲート234がオフに制御されていたとしても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
3.第3実施形態
次に第3実施形態における液体吐出装置1について説明する。なお、第3実施形態の液体吐出装置1を説明するにあたり、第1実施形態及び第2実施形態の液体吐出装置1と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。第3実施形態における液体吐出装置1では、端子Outと第1電極611との間のノードaに蓄えられた電荷を放出するための放出回路300を備える点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
図25は、第3実施形態における液体吐出装置1の一部の概略構成を示す構成図である。図25に示すように、第3実施形態における液体吐出装置1は、駆動信号COMが出力される端子Outとグラウンド電位との間に、電荷を放出するための放出回路300を備える。
具体的には、放出回路300は、トランジスター350を含む。トランジスター350は、例えばNMOSトランジスターである。トランジスター350の一端であるドレイン端子は、端子Outと電気的に接続されている。また、トランジスター350の他端であるソース端子は、グラウンド電位に接続されている。また、トランジスター350のゲート端子には、制御回路100から出力された制御信号SOCが入力される。
制御回路100は、液体吐出装置1の動作モードがスリープモードに遷移した場合、Hレベルの制御信号SOCを出力すると共に、駆動回路50の動作を停止させる為のデータdAを駆動回路50に供給する。これによりトランジスター350がオンに制御されると共に、駆動回路50の動作を停止させる。
これにより、スリープモードにおいてノードaに蓄えられた電荷は、放出回路300を介して放出されると共に、スリープモードにおける駆動回路50の動作を停止することが可能となる。したがって、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することが可能であるとともに、スリープモードにおける液体吐出装置1の消費電力をさらに低減することが可能となる。
なお、トランジスター350は、NMOSトランジスターに限らず、例えばPMOSトランジスターであってもよい。この場合、当該PMOSトランジスターの一端であるソース端子が端子Outと電気的に接続され当該PMOSトランジスターの他端であるドレイン端子がグラウンド電位と接続される。そして、液体吐出装置1がスリープモードに遷移した場合、当該PMOSトランジスターのゲート端子には制御回路100からLレベルの制御信号SOCが供給される。ここで、トランジスター350が第2スイッチ素子の一例である。
4.変形例
上記の実施形態では、検出回路80は、移行モードにおいて基準電圧信号VBSを検出し、基準電圧値信号VBSLVを生成し制御回路100に出力しているが、検出回路80は、移行モードにおいて駆動信号COMと基準電圧信号VBSとを検出し、差分を示す基準電圧値信号VBSLVを制御回路100に出力してもよい。これにより、移行モードにおける駆動信号COMの電圧値を、基準電圧信号VBSの電圧値により近づけることが可能となる。
また、上記の実施形態では、移行モードに遷移した場合に、基準電圧信号VBSは、電圧Vbs1から電圧Vbs2に向かって、徐々に低減するように制御されているが、基準電圧信号VBSは、移行モードに遷移した場合に、電圧Vbs1から直接電圧Vbs2となるように制御されてもよく、駆動信号COMは、移行モードに遷移した場合に、所定の
時間において、電圧Vseg1から電圧Vseg2に向かって徐々に変化するように制御されてもよい。
具体的には、図26に示すように、移行モードに遷移した場合、基準電圧信号VBSは、電圧Vbs1から電圧Vbs2となるように制御されてもよい。この場合、基準電圧信号VBSの電圧値は、例えば、液体吐出装置1が有する容量成分等に起因して、図26の破線で示すように徐々に低下する。
一方、駆動信号COMは、移行モードに遷移した場合、所定の期間t毎に所定の電圧値だけ低下した電圧信号を出力する。具体的には、図26に示すように、移行モードに遷移した直後に、駆動信号COMの電圧値は、電圧Vseg1から電圧Vseg-aとなるように制御される。そして、移行モード遷移後、所定の期間tを経過した場合、駆動信号COMの電圧値は、電圧Vseg-aから電圧Vseg-bとなるように制御される。同様に、駆動信号COMの電圧値が電圧Vseg-bに制御された後、所定の期間tを経過した場合、駆動信号COMの電圧値は、電圧Vseg-bから電圧Vseg-cとなるように制御される。そして、駆動信号COMの電圧値が電圧Vseg-cに制御された後、所定の期間tを経過した場合に、駆動信号COMの電圧値は、電圧Vseg-cから電圧Vseg2となるように制御される。この場合において、所定の期間t毎の駆動信号COMの電圧値の変化量、及び電圧Vseg1から電圧Vseg2までの時間を制御することで、駆動信号COMの電圧値が基準電圧信号VBSの電圧値に近づくように制御されてもよい。
また、上記の実施形態では、液体吐出装置1は、吐出部600を有するヘッドユニット20がキャリッジ24に設けられ、キャリッジ24が移動することで媒体Pに対して印刷を行うシリアル型のインクジェットプリンターとしているが、媒体Pの搬送方向に直交する主走査方向である方向Xに沿って複数の記録ヘッド21が設けられ、媒体Pを搬送するだけで印刷を行うラインヘッド型のインクジェットプリンターであってもよい。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、2…移動体、3…移動機構、4…搬送機構、10…制御ユニット、20…ヘッドユニット、21…記録ヘッド、24…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、35…キャリッジモータードライバー、40…プラテン、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、45…搬送モータードライバー、50…駆動回路、60…圧電素子、70…電圧生成回路、80…検出回路、100…制御回路、190…フレキシブルケーブル、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、300…放出回路、350…トランジスター、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…
ゲートドライバー、521…第1ゲートドライバー、522…第2ゲートドライバー、550…出力回路、560…ローパスフィルター、570…第1帰還回路、572…第2帰還回路、580…基準電圧生成回路、600…吐出部、601…圧電体、610…封止体、611…第1電極、612…第2電極、621…振動板、630…圧力室基板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、633…吸振体、640…筐体部、641…供給流路、651…ノズル、661…供給口、670…流路基板、671…開口部、672…供給流路、673…連通流路、674…中継流路、C1,C2,C3,C4,C5…コンデンサー、D1…ダイオード、Bst,Gnd,Gvd,Hdr,Ifb,In,Ldr,Out,Sw,Vfb…端子、L1…インダクター、M1…第1トランジスター、M2…第2トランジスター、P…媒体、R1,R2,R3,R4,R5,R6…抵抗

Claims (9)

  1. 出力端子から第1電圧信号を出力する駆動回路と、
    前記第1電圧信号が供給される第1電極と、第2電圧信号が供給される第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との電位差によって変位する圧電素子と、
    前記圧電素子の変位に伴いノズルから吐出される液体が充填されるキャビティーと、
    前記キャビティーと前記圧電素子との間に設けられている振動板と、
    前記出力端子と前記第1電極とに電気的に接続されている第1スイッチ素子と、
    を備え、
    前記液体が吐出され、前記第2電圧信号の電圧値が第1電圧に制御される第1モードと、
    前記液体が吐出されず、前記第2電圧信号の電圧値が前記第1電圧よりも低い第2電圧となるように制御され、且つ前記第1電圧信号の電圧値が前記第2電圧信号の電圧値に近づくように制御され、且つ前記第1スイッチ素子がオンに制御される第2モードと、
    を有する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記第2モードでは、媒体に対して印刷を行わない、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 出力端子から第1電圧信号を出力する駆動回路と、
    前記第1電圧信号が供給される第1電極と、第2電圧信号が供給される第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との電位差によって変位する圧電素子と、
    前記圧電素子の変位に伴いノズルから吐出される液体が充填されるキャビティーと、
    前記キャビティーと前記圧電素子との間に設けられている振動板と、
    前記出力端子と前記第1電極とに電気的に接続されている第1スイッチ素子と、
    を備え、
    前記液体が吐出され、前記第2電圧信号の電圧値が第1電圧に制御される第1モードと、
    前記液体が吐出されず、前記第2電圧信号の電圧値が前記第1電圧よりも低い第2電圧であり、且つ前記第1電圧信号の電圧値が前記第2電圧信号の電圧値となるように制御され、且つ前記第1スイッチ素子がオンに制御される第3モードと、
    を有する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  4. 前記第3モードでは、媒体に対して印刷を行わない、
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記ノズルは1インチあたり300個以上の密度で複数設けられ、
    前記圧電素子は複数の前記ノズルに対応して複数設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記第1電圧信号の電圧値及び前記第2電圧信号の電圧値よりも高い電圧値の第3電圧信号が、前記出力端子と前記第1スイッチ素子とが電気的に接続されているノードに抵抗素子を介して入力される、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記駆動回路は、
    前記出力端子から出力される前記第1電圧信号を帰還する帰還回路と、
    前記第1電圧信号の元となる元信号と、前記第1電圧信号を帰還した信号と、に基づき
    変調信号を生成する変調回路と、
    前記変調信号を増幅して復調することで前記第1電圧信号を生成する出力回路と、
    を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記出力端子と前記第1電極との間の電荷を放出するための放出回路を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 前記放出回路は、一端が前記出力端子と電気的に接続され、他端がグラウンド電位に接続された第2スイッチ素子を有する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
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