(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の実施形態において説明する図1~図13は、模式的な図であり、図1~図13中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
以下では、本実施形態の電磁石装置3、及び電磁リレー1の上下、左右、前後の方向を、図1、図3、図4及び図6に図示されている上下、左右、前後の矢印を用いて規定して説明する。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、これらの方向は、電磁石装置3、及び電磁リレー1の使用方向を限定する趣旨ではない。
本実施形態の電磁石装置3は、図1に示すように、電磁石5と、接極子ユニット6と、を備えている。電磁石5は、コイル50、及びコイル50より突出して設けられた継鉄52、を有している。
接極子ユニット6は、少なくとも一部の領域(第2領域72)が継鉄52と対向する接極子7、及び、接極子7を保持する保持部8、を有している。接極子7は、電磁石5の励磁/非励磁に応じて、上記領域(第2領域72)が継鉄52に近づく向き又は遠ざかる向きに移動する。
そして、本実施形態では、保持部8は、上記領域が継鉄52に近づいたとき、継鉄52と対向する接極子7の上記領域(第2領域72)のうち、少なくとも一部を継鉄52から離間させる電気絶縁性を有した離間部85を有している。
また、本実施形態の電磁リレー1は、上記の電磁石装置3と、2つの接点部2と、を備えている。各接点部2は、固定接点21、及び、接極子ユニット6の移動によって固定接点21に対して接触する閉位置と固定接点21から離れる開位置との間で変位する可動接点26、を有している。
この構成によれば、接極子7を保持する保持部8が、磁気ギャップとして機能する離間部85も有している。そのため、構成の簡素化を図りつつ、磁気ギャップを設けることができる電磁石装置3、及びそれを備えた電磁リレー1を提供することができる。
なお、本実施形態の電磁リレー1は、一例として、電磁石5の励磁時に接点が閉じる常開接点、及び電磁石5の非励磁時に接点が閉じる常閉接点を有し、接点溶着等の異常の発生を検出可能な、いわゆる安全リレーとして構成されることを想定する。そのため、接点部2の数は、常開接点に相当する第1接点部2Aと、常閉接点に相当する第2接点部2Bの、2つである。しかし、電磁リレー1は、安全リレーに限定されず、接点部2の数も、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の電磁リレー1について、図1~図13を参照して詳しく説明する。電磁リレー1は、図1に示すように、2つの接点部2(第1接点部2A、第2接点部2B)と、電磁石装置3と、カバー4A及びベース4Bからなる器体4と、を備えている。上の「(1)概要」の欄で説明したように、電磁リレー1は、例えば安全リレーとして適用される。具体的には、電磁リレー1は、常開接点である第1接点部2Aが溶着した場合、電磁石5が非励磁状態であっても、常閉接点である第2接点部2B間は、0.5mm以上離れるように構成されていることが好ましい。また、電磁リレー1は、常閉接点である第2接点部2Bが溶着した場合、電磁石5が励磁状態であっても、常開接点である第1接点部2A間は、0.5mm以上離れるように構成されていることが好ましい。つまり、第1接点部2Aが溶着した場合、第2接点部2Bにより溶着を検出可能である。第2接点部2Bが溶着した場合、第1接点部2Aにより溶着を検出可能である。電磁リレー1は、図1に示すように、全体として、へん平な略直方体形状に形成されている。
(2.2)接点部
(2.2.1)接点部の構成
2つの接点部2は、図11に示すように、第1接点部2A、及び第2接点部2Bから構成されている。第1接点部2Aは、常開接点に相当し、器体4のベース4Bの一面40(上面)において右端に配置されている。第2接点部2Bは、常閉接点に相当し、器体4のベース4Bの一面40(上面)において左端に配置されている。
(2.2.2)第1接点部
まず、第1接点部2Aについて、主に図7A、図7B、及び図11を参照しながら説明する。なお、図7Aは、電磁石5が非励磁状態における電磁リレー1の右側面図であり、図7Bは、電磁石5が励磁状態における電磁リレー1の右側面図である。
第1接点部2Aは、図11に示すように、固定接点21を有する固定端子20と、可動接点26(以下、第1可動接点26Aと呼ぶこともある)を有する可動ばね25と、可動ばね25を支持する支持端子27と、を有している。固定端子20は、左右方向から見て全体として略L字板状に形成されている。また、可動ばね25及び支持端子27は、可動端子を構成し、左右方向から見て全体として略L字板状に形成されている。
具体的には、第1接点部2Aの固定端子20は、導電性材料により形成されている。固定端子20は、固定接点21と、立設部22と、上壁部23と、端子片24と、を有している。立設部22、上壁部23、及び端子片24は、一枚の板状の部材(例えば銅合金等)に対して折り曲げ加工を施すことにより形成されている。つまり、立設部22、上壁部23、及び端子片24は、一体となって形成されている。
立設部22は、略矩形板状に形成され、その厚み方向が前後方向に沿うように配置される。上壁部23は、略矩形板状に形成され、立設部22の上部の右端から後方に突き出ている(図11参照)。上壁部23は、その厚み方向が上下方向に沿うように配置され、その下面には、図7A及び7Bに示すように、適宜の取付方法(例えば、かしめ固定や溶接等)によって固定接点21が取り付けられている。固定接点21は、例えば銀合金等で形成されている。端子片24は、上下方向に細長い帯板状に形成され、立設部22の下部から下方に向かって延びており、器体4から外部に導出される。
本実施形態では、一例として、固定接点21は、上壁部23とは別体となっており、かしめ固定等により固着されているが、上壁部23と一体となって構成されていてもよい。
第1接点部2Aの可動ばね25は、導電性薄板からなる板ばねであり、左右方向から見た形状が略L字状となるように形成されている。
可動ばね25は、図11に示すように、第1可動接点26Aと、横片251と、縦片252と、突片253とから構成されている。横片251、縦片252、及び突片253は、例えば一枚の板部材に対して折り曲げ加工を施すことにより形成されている。つまり、横片251、縦片252、及び突片253は、一体となって形成されている。
横片251は、前後方向に長尺の略矩形板状に形成され、その厚み方向が略上下方向に沿うように配置される。横片251の上面(一面250の一部)における先端には、図7A及び7Bに示すように、適宜の取付方法(例えば、かしめ固定や溶接等)によって第1可動接点26Aが取り付けられている。第1可動接点26Aは、例えば銀合金等で形成されており、上下方向において、固定接点21と対向するように配置されている。ただし、第1可動接点26Aと固定接点21との互いの位置関係は、第1可動接点26Aが下側に、固定接点21が上側となっている。
縦片252は、略矩形板状に形成され、横片251の後端から下方に突出している。縦片252は、その厚み方向が前後方向に沿うように、例えばかしめ固定等により支持端子27に固定されている。
突片253は、横片251の先端寄りの左縁から左方に突出している。突片253は、矩形板状に形成され、その厚み方向は、上下方向に沿うように配置されている。なお、突片253は、後述する保持部8の第1押圧部80Aの第2突起802が上方から接触する部位となる。
本実施形態では、一例として、第1可動接点26Aは、横片251とは別体となっており、かしめ固定等により固着されているが、横片251と一体となって構成されていてもよい。
第1接点部2Aの支持端子27は、可動ばね25を支持するように構成されている。支持端子27は、器体4から外部に導出されるための端子片270を有している。端子片270は、上下方向に細長い帯板状に形成されている。
このように構成された第1接点部2Aにおいては、電磁石5が非励磁状態のとき、図7Aに示すように、可動ばね25の一面250(上面)が保持部8の第1押圧部80Aから押圧を受け続けている。そのため、可動ばね25の先端部は、弾性変形により下方に撓み、第1可動接点26Aが固定接点21から離れた開位置にある。
また、第1接点部2Aにおいては、電磁石5が励磁状態のとき、図7Bに示すように、保持部8の第1押圧部80Aからの押圧が消失されている。そのため、可動ばね25の先端部は、上方に弾性復帰し、第1可動接点26Aは、固定接点21に接触した閉位置にある。なお、本実施形態では、図7Bに示すように、電磁石5が励磁状態のとき、保持部8の第1押圧部80Aが可動ばね25の一面250と接触しないように、寸法関係が規定されている。つまり、電磁石5が励磁状態のとき、第1押圧部80Aと可動ばね25の一面250との間に、僅かな空隙が形成されていて、第1押圧部80Aからの押圧は、消失されている。
(2.2.3)第2接点部
次に、第2接点部2Bについて、主に図8A、図8B、及び図11を参照しながら説明する。なお、図8Aは、電磁石5が非励磁状態における電磁リレー1の左側面図であり、図8Bは、電磁石5が励磁状態における電磁リレー1の左側面図である。
本実施形態では、第2接点部2Bは、その構造が概ね第1接点部2Aと共通である。したがって、以下では、説明の簡略化のために、共通する構造については共通の参照符号を付与して適宜に説明を省略する。
第2接点部2Bは、図11に示すように、固定接点21を有する固定端子20と、可動接点26(以下、第2可動接点26Bと呼ぶこともある)を有する可動ばね25と、可動ばね25を支持する支持端子27と、を有している。可動ばね25及び支持端子27は、可動端子を構成している。
具体的には、第2接点部2Bの固定端子20は、導電性材料により形成されている。固定端子20は、固定接点21と、立設部22と、上壁部23と、端子片24と、を有している。第2接点部2Bの固定端子20は、図11に示すように、第1接点部2Aの固定端子20と、左右方向において面対称となる構成を採用している。
第2接点部2Bの可動ばね25は、導電性薄板からなる板ばねであり、左右方向から見た形状が略L字状となるように形成されている。可動ばね25は、図11に示すように、一対の第2可動接点26Bと、横片251と、縦片252と、から構成されている。つまり、第2接点部2Bの可動ばね25は、第1接点部2Aの可動ばね25と異なり、突片253を有していない。また、可動接点26の数が、第1接点部2Aと異なる。すなわち、第2接点部2Bの横片251の先端は、第1接点部2Aの横片251の先端と形状が異なり、その先端が二股に分かれている。そして、一対の第2可動接点26Bは、その二股に分かれた先端の上面に、それぞれ設けられている。
第1接点部2Aの可動接点26は、固定接点21に対して1つの接点で接触するように構成されている。第1接点部2Aが、常開接点に相当し、例えば負荷が接続されている電路に挿入されることを想定している。そのため、第1接点部2Aは、通電抵抗を出来るだけ小さくするように構成される。
一方、第2接点部2Bの可動接点26は、固定接点21に対して2つの接点で接触するように構成されている。これは、第2接点部2Bが、常閉接点に相当し、例えば接点溶着等の異常を検知するための検知回路に接続されることを想定しているためである。そのため、仮に一対の第2可動接点26Bの一方に異物等が付着しても、その他方が固定接点21に接触するため、接触信頼性が高められており、検知回路は、より確実に異常を検知することができる。また、第2接点部2Bの可動接点26は、第1接点部2Aの可動接点26と同様に、固定接点21に対して1つの接点で接触するように設けてもよい。
第2接点部2Bにおいても、第1接点部2Aと同様に、一対の第2可動接点26Bは、上下方向において、固定接点21と対向するように配置されている。一対の第2可動接点26Bと固定接点21との互いの位置関係は、一対の第2可動接点26Bが下側に、固定接点21が上側となっている。
なお、本実施形態では、一例として、第2接点部2Bの固定接点21は、上壁部23とは別体となっており、かしめ固定等により固着されているが、上壁部23と一体となって構成されていてもよい。また、第2接点部2Bの一対の第2可動接点26Bは、横片251とは別体となっており、かしめ固定等により固着されているが、横片251と一体となって構成されていてもよい。
このように構成された第2接点部2Bにおいては、電磁石5が励磁状態のとき、図8Bに示すように、可動ばね25の一面250(上面)が、後述する保持部8の第2押圧部80Bから押圧を受け続けている。そのため、可動ばね25の先端部は、弾性変形により下方に撓み、一対の第2可動接点26Bが固定接点21から離れた開位置にある。
また、第2接点部2Bにおいては、電磁石5が非励磁状態のとき、図8Aに示すように、保持部8の第2押圧部80Bからの押圧が消失されている。そのため、可動ばね25の先端部は、上方に弾性復帰し、一対の第2可動接点26Bは、固定接点21に接触した閉位置にある。なお、本実施形態では、図8Aに示すように、電磁石5が非励磁状態のとき、保持部8の第2押圧部80Bが可動ばね25の一面250と接触しないように、寸法関係が規定されている。つまり、電磁石5が非励磁状態のとき、第2押圧部80Bと可動ばね25の一面250との間に、僅かな空隙が形成されていて、第2押圧部80Bからの押圧は、消失されている。
(2.3)電磁石装置
(2.3.1)電磁石装置の構成
電磁石装置3は、図1に示すように、電磁石5と、接極子ユニット6とから構成されている。電磁石装置3においては、電磁石5の励磁/非励磁に応じて、接極子ユニット6が移動し、第1接点部2A及び第2接点部2Bの開閉状態が切り替わるように構成されている。本実施形態では、接極子ユニット6は、一例として、電磁石5の励磁/非励磁に応じて、回転軸A1(図1参照)を中心に揺動する。なお、本実施形態で言う「搖動」とは、長尺の接極子ユニット6における長手方向の両端部(左右両端部)が、その長手方向における中央部(厳密に中央でなくてもよい)を支点として、互い違いに上下に変位するように動くことを意味する。つまり、接極子ユニット6は、一例として、いわゆるシーソー型の接極子ユニットである。ただし、接極子ユニット6は、シーソー型に限定されない。
なお、図1中の一点鎖線で図示された回転軸A1は、説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。本実施形態では、接極子ユニット6の(後述する)保持部8の軸部813の中心軸が、回転軸A1に一致する。接極子ユニット6は、小型化(特に低背化)を図りつつ接極子ユニット6のストロークを大きくするために、電磁石5の励磁/非励磁に応じて器体4のベース4Bに対して回転軸A1を中心に揺動して可動接点26を変位させる。
(2.3.2)電磁石
まず、電磁石5について、主に図2及び図6を参照しながら説明する。電磁石5は、図6に示すように、コイル50と、継鉄52と、一対のコイル端子53と、を有している。
継鉄52は、磁性体であり、磁束が通る磁路を形成する。継鉄52は、全体として左右方向に長尺の略U字の板状に形成されている。
コイル50は、コイルボビン51に、導線が巻回されて構成されている。コイルボビン51は、例えば合成樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料により形成されている。また、コイルボビン51は、左右方向に長尺の略円筒状に形成されている。コイルボビン51は、その軸方向が左右方向と一致するように配置されている。コイルボビン51の軸方向は、コイル50の軸方向A2(図2参照)に相当する。
コイルボビン51は、図6に示すように、左右方向に貫通する貫通孔510しており、継鉄52の左右方向に延びる胴部がその貫通孔510を貫くようにして、継鉄52を保持している。そして、継鉄52の胴部の左右両端からは、一対の延出部520が前方に延び出ている(図6参照)。要するに、継鉄52は、コイル50より突出して設けられている。
コイルボビン51は、その左右方向の両端部において、一対の延出部520の下方に設けられた、略矩形板状の保持台511を有している。各保持台511は、その上面が貫通孔510内の底面と面一となるように、貫通孔510の下縁から連続して形成されている。保持台511は一対の延出部520を支持することが好ましい。
一対のコイル端子53は、コイルボビン51に保持されてコイル50に接続される。具体的には、コイルボビン51に巻回されている導線の一端に、一対のコイル端子53の一方が電気的に接続され、当該導線の他端に、一対のコイル端子53の他方が電気的に接続されている。さらに、コイルボビン51の各保持台511の前端部の下面に設けられた直方体形状の端子保持ブロック512が、コイル端子53を保持している。
各コイル端子53は、対応する端子保持ブロック512を前後方向に貫いた状態で保持されている、前後方向に長尺の第1端子片531を有している。第1端子片531の後端は、下方に折り曲げられて端子保持ブロック512から突出しており、コイルボビン51に巻回されている導線が端子保持ブロック512から表出した導線端部に接続されている。各コイル端子53は、更に、第1端子片531の前端から下方に延び出ている第2端子片532を有している。第2端子片532は、器体4から外部に導出される部位である。
このように構成された電磁石5において、コイル50の両端間、すなわち一対のコイル端子53に電圧が印加されると、コイル50に電流(コイル電流)が流れて、電磁石5が励磁される。コイル電流が流れていないときは、電磁石5は、非励磁状態にある。
本実施形態では、一対のコイル端子53と継鉄52とが、コイルボビン51に対して一体的に成形された一体成形品である。したがって、器体4のベース4Bに対する電磁石5の組立作業時の作業性に優れている。
(2.3.3)接極子ユニット
次に、接極子ユニット6について、主に図3~図5を参照しながら説明する。接極子ユニット6は、電磁石5の励磁/非励磁に応じて、可動接点26が固定接点21に接触する閉位置と固定接点21から離れる開位置との間で変位するように、移動(本実施形態では揺動)する部位である。接極子ユニット6は、図5に示すように、接極子7と、保持部8と、永久磁石9と、を有している。
接極子7(アーマチュア)は、例えば軟鉄製の部材である。接極子7は、保持部8によって保持されている。接極子7は、全体として、左右方向に長尺の、略U字の板状に形成されている。具体的には、接極子7は、図5に示すように、左右方向に長尺の胴片73と、胴片73の左右方向の両端にそれぞれ一体となって形成されている一対の脚片70と、を有している。
胴片73は、保持部8内に収容されている。胴片73は、矩形板状であり、その厚み方向が上下方向に沿うように配置される。一対の脚片70は、胴片73の両端からそれぞれ後方へ延び出るように形成されている。一対の脚片70は、矩形板状であり、その厚み方向が上下方向に沿うように配置される。各脚片70の後端部は、保持部8から突出するように配置されている。また、各脚片70の下面は、保持部8から概ね露出される。
ところで、接極子7は、少なくとも一部の領域が継鉄52と対向するように配置される。本実施形態では、保持部8から露出している各脚片70の下面が、継鉄52(の延出部520)と対向する領域である。以下では、一対の脚片70のうち右側の脚片70を第1脚片70Aと呼び、継鉄52の右側の延出部520と対向する領域を第1領域71(図4参照)と呼ぶこともある。また、一対の脚片70のうち左側の脚片70を第2脚片70Bと呼び、継鉄52の左側の延出部520と対向する領域を第2領域72と呼ぶこともある。第1領域71及び第2領域72は、接極子ユニット6における回転軸A1から互いに離れる方向(左右方向)に延びている先の両側に、それぞれ設けられている。
永久磁石9は、直方体形状に形成されている。永久磁石9は、保持部8によって保持されている。永久磁石9は、上下方向における両側の極性が互いに異なるように配置されている。本実施形態では、一例として、永久磁石9は、図9A及び図9Bに示すように、N極が上側に、S極が下側になるように配置されている。
保持部8は、左右方向に長尺で、へん平な略角筒状に形成されている。保持部8は、例えば、合成樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料により形成されている。保持部8は、接極子7及び永久磁石9の両方を一体に保持するように構成されている。具体的には、保持部8は、接極子7を保持するための第1保持ブロック81と、永久磁石9を保持するための第2保持ブロック82と、一対の押圧部80と、を有している。第1保持ブロック81、第2保持ブロック82、及び一対の押圧部80は、一体となって形成されている。なお、接極子7及び永久磁石9は、保持部8の内部において、互いに接触している(図9A及び9B参照)。
第1保持ブロック81は、左右方向に長尺のへん平な角筒状に形成されている。第1保持ブロック81は、図4に示すように、その底部の左右両端が下方に開放されていて、接極子7の胴片73の周面を覆いつつ、接極子7の一対の脚片70の後端部が第1保持ブロック81から突出するように、接極子7を保持している。特に、接極子7の第1領域71及び第2領域72は、第1保持ブロック81の底部の右端の第1開口811及び左端の第2開口812を通じて、それぞれ露出している(図4参照)。
第1保持ブロック81は、その左右両端部の各々に、下方へ突き出ている第1差込片810が設けられている。また、第1保持ブロック81は、その底部における左右方向の中心に、外方(前方及び後方)へ突出する軸部813を有している。軸部813の中心軸は、接極子ユニット6が電磁石5の励磁/非励磁に応じて電磁石5に対して揺動する回転軸A1に相当する。言い換えると、軸部813は、接極子ユニット6が器体4のベース4Bに対して揺動可能となるように軸支される。
更に、第1保持ブロック81は、接極子7が継鉄52に近づいたとき、継鉄52と対向する接極子7の領域のうち、少なくとも一部を継鉄52から離間させる離間部85(図4、図9A、9B及び図10A、10B参照)を有している。離間部85は、接極子7が継鉄52に近づいたとき、継鉄52に当接する。離間部85は、保持部8が成形により形成されるときに一体に連続して形成され、合成樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料で構成される。この離間部85は、磁気ギャップを形成するために設けられている。
本実施形態では、一例として、離間部85は、接極子7の第1領域71及び第2領域72のうち一方(第2領域72)を継鉄52から離間させるように配置されている。そのため、第1領域71及び第2領域72の両方を離間させる構成に比べて、接極子ユニット6の製造が容易である。
また、離間部85は、第2領域72が継鉄52に近づいたとき、接極子7の第2領域72のうち少なくとも一部を継鉄52から離間させるように配置されている。本実施形態では、一例として、離間部85は、第2領域72が継鉄52に近づいたとき、接極子7の第2領域72の全部を継鉄52から離間させるように配置されている。離間部85は、接極子7の第2領域72と対向する継鉄52のうち少なくとも一部に当接し、接極子7の第2領域72を継鉄52から離間させるように配置されている。
本実施形態では、一例として、離間部85は、回転軸A1の径方向における第2領域72の両端(左右両端)のうち、外側の端(左端)のみに配置されている。すなわち、離間部85は、外側の端(左端)と対向する継鉄52に当接し、第2領域72を継鉄52から離間させるように配置されている。そのため、例えば接極子7の第2領域72の両端のうち内側の端(右端)に配置された構成、すなわち離間部85が内側の端(右端)と対向する継鉄52に当接し、第2領域72を継鉄52から離間させる構成に比べて、より精度良く磁気ギャップを形成できる。つまり、継鉄52に対する接極子7の引き離しが更に容易となる構成を採用している。
具体的には、離間部85は、第2開口812の左縁から右方向に突出し、前後方向に沿って長く延びている突出片として形成されている。言い換えると、離間部85は、接極子7の第2領域72に対して下方に段差を形成するように構成されている。
このように構成された離間部85は、電磁石5が励磁状態から非励磁状態へ切り替わったときに、接極子7の第2領域72と継鉄52の左側の延出部520とが、残留磁化で離隔し難くなって電磁リレー1の開放特性が劣化することを抑制する。
第2保持ブロック82は、第1保持ブロック81の底部と一体となっている。第2保持ブロック82は、略矩形箱状に形成されている。第2保持ブロック82は、その内部に永久磁石9を収容して保持している。第2保持ブロック82は、図4に示すように、左右両端の下部が開放されていて、永久磁石9の左右両端の下部を露出している。また、第2保持ブロック82は、その底部に円形状に貫通する孔820(図4参照)を有しており、永久磁石9の底部の一部を露出している。
ところで、第2保持ブロック82は、第1保持ブロック81の軸部813よりも左側に偏って配置されている。そのため、第2保持ブロック82の内部に収容されている永久磁石9は、回転軸A1に対して左側に偏った位置にある。そのため、例えば、永久磁石9が回転軸A1とほぼ同じ位置にある場合に比べて、電磁石5の励磁/非励磁に応じた接極子ユニット6の揺動を、永久磁石9を通じてより精度良く行うことができる。また、例えば永久磁石9が2つ設けられ、2つの永久磁石9が回転軸A1に対して左右対称となるようにそれぞれ配置される場合に比べて、部材点数の削減を図りながらも、接極子ユニット6の揺動を、1つの永久磁石9を通じてより精度良く行うことができる。
一対の押圧部80は、それぞれ、第1保持ブロック81の左右両端部と一体となって設けられている。各押圧部80は、可動ばね25における一面250に押圧を与えて可動接点26を変位させる部位である。以下、第1保持ブロック81の右端部から右方に突出する押圧部80を、第1押圧部80Aと呼ぶこともある。また、第1保持ブロック81の左端部から左方に突出する押圧部80を、第2押圧部80Bと呼ぶこともある。
各押圧部80は、細長い直方体形状に形成されている。第1押圧部80Aは、図3及び図4に示すように、その下面において、下方に凸状の第1突起801及び第2突起802を有している。第1突起801は、図7A及び図7Bに示すように、第1接点部2Aの可動ばね25における横片251と対向する。第2突起802は、図9Aに示すように、第1接点部2Aの可動ばね25における突片253と対向する。要するに、第1押圧部80Aは、第1突起801及び第2突起802を介して、可動ばね25と接触して押圧を与え、第1可動接点26Aを変位させる。なお、上述の通り第1接点部2Aは常開接点に相当するため、第1押圧部80Aは、電磁石5が非励磁状態のとき、可動ばね25と接触して押圧を与えている(図7A参照)。
一方、第2押圧部80Bは、図3及び図4に示すように、その下面において、下方に凸状の第3突起803を有している。第3突起803は、図8A及び図8Bに示すように、第2接点部2Bの可動ばね25における横片251と対向する。要するに、第2押圧部80Bは、第3突起803を介して、可動ばね25と接触して押圧を与え、第2可動接点26Bを変位させる。なお、上述の通り第2接点部2Bは常閉接点に相当するため、第2押圧部80Bは、電磁石5が励磁状態のとき、可動ばね25と接触して押圧を与えている(図8B参照)。
また、各押圧部80は、第1保持ブロック81から所定の距離を開けた位置に、矩形板状の第2差込片804を有している。第2差込片804は、その厚み方向が左右方向に沿うように配置されている。
このように構成された接極子ユニット6においては、各押圧部80は、対応する可動ばね25の一面250に対して押圧を与えることで、可動接点26を開位置へ変位させる。また、各押圧部80は、対応する可動ばね25の一面250に対する押圧を消失させることで、可動接点26を閉位置へ変位させる。特に、接極子ユニット6はシーソー型であるため、第1押圧部80A及び第2押圧部80Bのうちの一方が、対応する可動ばね25の一面250に近づく向きに移動すると、その他方は、対応する可動ばね25の一面250から離れる向きに移動する。
本実施形態では、接極子7と永久磁石9とが、保持部8に対して一体的に成形された一体成形品である。したがって、器体4のベース4Bに対する接極子ユニット6の組立作業時の作業性に優れている。
ところで、本実施形態の離間部85は、接極子7の第1領域71及び第2領域72のうち第2領域72のみに配置されている。したがって、第1領域71が継鉄52に最も近接したときの第1領域71と継鉄52との第1間隔D1(図9A参照)と、第2領域72が継鉄52に最も近接したときの第2領域72と継鉄52との第2間隔D2(図10B参照)とは、互いに異なる。なお、「第1領域71が継鉄52に最も近接したとき」とは、例えば図9Aに示すように、電磁石5が非励磁状態のときに相当し、本実施形態では、第1領域71の外側の端(右端)が継鉄52に接触している状態である。したがって、第1間隔D1は、第1領域71の外側の端(右端)において、ゼロである。一方、「第2領域72が継鉄52に最も近接したとき」とは、図9B及び図10Bに示すように、電磁石5が励磁状態のときに相当し、本実施形態では、離間部85が継鉄52に当接することにより、第2領域72の外側の端(左端)が継鉄52に対して非接触の状態である。したがって、第2間隔D2は、第2領域72の外側の端(左端)において、ゼロより大きい。言い換えると、第2間隔D2は、第1間隔D1よりも大きい。このように、第1間隔D1と第2間隔D2とを異ならせることで、接極子7の動作(揺動)の制御が容易となる。
(2.4)器体
器体4は、例えば合成樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料により形成されている。器体4は、図1に示すように、全体として左右方向に長尺で、比較的低背化された略矩形箱状に形成されている。器体4は、カバー4A及びベース4Bから構成されている。なお、図1では、カバー4Aは、電磁リレー1の内部構成を理解し易くするために、二点鎖線でのみ示されている。カバー4Aは、下面が開放された矩形箱状であり、接点部2及び電磁石装置3が組み付けられたベース4Bを上方から覆うように取り付けられる。器体4は、接点部2及び電磁石装置3を収納する。
ベース4Bは、図1及び図2に示すように、全体としてへん平な略矩形の板状となっている。ベース4Bは、その一面40(上面)側で、接点部2及び電磁石装置3を保持するように構成されている。ベース4Bの一面40は、図1において、前後方向及び左右方向を含む平面に延設され、上下方向から見て略矩形状の外形を有している。すなわち、ベース4Bの一面40が延設された平面は、上下方向と直交している。なお、ここで言う「直交」は、幾何学上の「直交」よりも広い意味であり、厳密な「直交」でなくてもよく、略直交(互いに交わる角度が例えば90°±10°)でもよい。
具体的には、ベース4Bは、図2、図11~図13に示すように、その一面40側において、一対の接点部2及び電磁石装置3を、それぞれ一対一で収容するための3つの収容部401~403を有している。以下、第1接点部2Aが収容される収容部を第1収容部401と呼び、第2接点部2Bが収容される収容部を第2収容部402と呼ぶ。また、電磁石装置3が収容される収容部を第3収容部403と呼ぶ。これらの収容部は、それぞれ凹部空間として形成されている。
第1収容部401は、ベース4Bの一面40において右端に配置されている。第2収容部402は、ベース4Bの一面40において左端に配置されている。第3収容部403は、ベース4Bの一面40において第1収容部401と第2収容部402との間に配置されている。第3収容部403においては、電磁石装置3の接極子ユニット6が前側に、電磁石装置3の電磁石5が後側に、互いに並ぶように収容される。
したがって、第1収容部401に収容される第1接点部2Aと、第3収容部403に収容される電磁石5とは、ベース4Bの一面40側において上記の並び方向(上下方向)と交差する平面上(ここでは一面40上)に並んでいる。また、同じく、第2収容部402に収容される第2接点部2Bと、第3収容部403に収容される電磁石5とは、ベース4Bの一面40側において上記の並び方向(上下方向)と交差する平面上(ここでは一面40上)に並んでいる。そのため、電磁リレー1の小型化(特に低背化)が図られている。
更に、第3収容部403に収容される電磁石5は、第1接点部2Aと第2接点部2Bとの間に配置されている。そのため、電磁リレー1の小型化(特に低背化)が更に図られている。
特に、第1接点部2Aは、図2に示すように、コイル50の軸方向A2におけるコイル50の両端部の一方側(右側)に配置されている。また、第2接点部2Bは、図2に示すように、コイル50の軸方向A2におけるコイル50の両端部の他方側(左側)に配置されている。このような配置により、電磁石5の励磁/非励磁における接極子ユニット6のストロークを大きくすることができる。コイル50の軸方向A2は、図2に示すように、ベース4Bの一面40が延設された平面に略沿って配置されている。
第1収容部401と第3収容部403との間には、略矩形板状の第1仕切壁41が、ベース4Bの一面40から立設されている。また、第2収容部402と第3収容部403との間には、略矩形板状の第2仕切壁42が、ベース4Bの一面40から立設されている。第1仕切壁41及び第2仕切壁42は、それらの厚み方向が左右方向に沿うように配置されている。また、第1仕切壁41及び第2仕切壁42は、図1に示すように、それぞれ対応する押圧部80が挿入されるための切欠部410、420を有している。
第3収容部403には、電磁石5と接極子ユニット6とを仕切るための略矩形板状の第3仕切壁43が、ベース4Bの一面40から立設されている。第3仕切壁43は、その厚み方向が前後方向に沿うように配置されている。第3仕切壁43は、図11~図13に示すように、上下及び左右方向の中央において、厚み方向に貫通する軸受け孔430を有している。一方、ベース4Bは、その前縁の左右方向における略中央に、接極子ユニット6を介して第3仕切壁43と対向する前壁44を有している。前壁44は、厚み方向に貫通する軸受け孔440を有している。軸受け孔440は、第3仕切壁43の軸受け孔430と共に保持部8の軸部813を受けるように構成されている。なお、前壁44の左右両横の各々には、切り欠き441を介して前壁45が設けられている。
第1収容部401及び第2収容部402の各々は、図11に示すように、その前端に、固定端子20の立設部22が挿入されるための第1スロット部46を有している。第1スロット部46は、上記前端に形成された所定の肉厚のリブ4010の上面に設けられている。第1スロット部46内の底には、固定端子20の端子片24が挿入されて器体4の外部に導出されるための導出口460が形成されている。
また、第1収容部401及び第2収容部402の各々は、図11に示すように、その後端に、可動ばね25を支持する支持端子27が挿入されるための第2スロット部47を有している。第2スロット部47は、上記後端に形成された所定の肉厚のリブ4011の上面に設けられている。第2スロット部47内の底には、支持端子27の端子片270が挿入されて器体4の外部に導出されるための導出口470が形成されている。
第3収容部403は、図11及び図12に示すように、第3仕切壁43よりやや前における左右両端に、電磁石5の一対のコイル端子53の第2端子片532が挿入されて器体4の外部に導出されるための導出口4030を有している。
ところで、本実施形態のコイル端子53は、図9A及び9Bに示すように、継鉄52に対して接極子7とは反対側に設けられている。さらに、コイル端子53は、接極子7から離れる方向(下方向)に延びている第2端子片532を有している。そして、第2端子片532が導出口4030を通じて、器体4の外部に導出されるため、電磁石装置3の小型化が図られている。特に、各コイル端子53は、電磁石5を上下方向に沿って見たときに、継鉄52の延出部520の投影領域内に収まるように設けられている。したがって、電磁石装置3の更なる小型化が図られている。
(3)動作説明
以下、本実施形態の電磁リレー1の動作について、図9A、9B及び図10A、10Bを参照しながら説明する。なお、永久磁石9について、上述したように、一例として上側の極性がN極で、下側の極性がS極であることを想定する(図9A及び9B参照)。
まず、電磁石5が非励磁状態にあるときの磁気経路について説明する。永久磁石9のN極から発生する磁束は、接極子7を通り、接極子7の右端から継鉄52の右側の延出部520に落ちている(図9A中の点線矢印B1で示す磁気経路を参照)。そして、磁束は、U字状の継鉄52を通り、継鉄52の左側の延出部520に到達する(図9A中の点線矢印B2で示す磁気経路を参照)。その結果、永久磁石9のS極である下部が左側の延出部520に引き寄せられる(図9A中の点線矢印B3で示す磁気経路を参照)。そして、接極子7を含む接極子ユニット6全体は、回転軸A1(図1参照)を中心に右端が沈んだ傾斜状態(以下、第1傾斜状態と呼ぶ)にある。
第1傾斜状態では、図9Aに示すように、接極子7の第2領域72は、対向する継鉄52(の左側の延出部520)から離れた位置にある。一方、接極子7の第1領域71は、対向する継鉄52(の右側の延出部520)と接触している。そして、第1傾斜状態では、右側の第1押圧部80Aが、第1接点部2Aの可動ばね25に接触しかつ押圧を与えている。そのため、第1可動接点26Aは、固定接点21から離れた開位置にある。一方、左側の第2押圧部80Bは、第2接点部2Bの可動ばね25から上方に離れて非接触の状態にある。そのため、第2可動接点26Bは、固定接点21に接触した閉位置にある。
電磁石5の非励磁状態から、例えばコイル50に直列に接続されているスイッチ(不図示)がオフ状態からオン状態に切り替えられると、一対のコイル端子53に電圧が印加されてコイル50にコイル電流が流れる。すると、電磁石5が励磁されて、図9Bに示すように、継鉄52の左側の延出部520の極性がN極からS極に反転する。その結果、永久磁石9のN極である上部と接触する接極子7の左端部が、左側の延出部520に引き寄せられる(図9B中の点線矢印B4で示す磁気経路を参照)。つまり、接極子7は、電磁石5の励磁により継鉄52から吸着力を受けて第2領域72が継鉄52に近づく向きに移動(揺動)する。言い換えれば、接極子7を含む接極子ユニット6全体は、第1傾斜状態から、回転軸A1(図1参照)を中心に揺動して左端が沈んだ傾斜状態(以下、第2傾斜状態と呼ぶ)に切り替わる。
第2傾斜状態では、接極子7の第2領域72は、第1傾斜状態と比較すれば、対向する継鉄52(の左側の延出部520)に近い位置にあるが、延出部520とは非接触な状態である。これは、保持部8の離間部85が、第2領域72と延出部520との接触を阻害しているからである(図9B参照)。一方、接極子7の第1領域71は、対向する継鉄52(の右側の延出部520)から離れた位置にある。そして、第2傾斜状態では、第1傾斜状態とは逆に、右側の第1押圧部80Aは、第1接点部2Aの可動ばね25から上方に離れて非接触の状態にある。そのため、第1可動接点26Aは、固定接点21に接触した閉位置にある。一方、左側の第2押圧部80Bは、第2接点部2Bの可動ばね25に接触しかつ押圧を与えている。そのため、第2可動接点26Bは、固定接点21から離れた開位置にある。
ところで、電磁石5の励磁状態から、コイル50に直列に接続されている上記スイッチがオン状態からオフ状態に切り替えられると、コイル電流がコイル50に流れなくなり電磁石5が非励磁状態になる。このとき、もし離間部85が設けられておらず、第2傾斜状態で接極子7の第2領域72が継鉄52の延出部520と接触していると、継鉄52には残留磁化が存在するため、コイル電流が流れなくなっても第2領域72が継鉄52から離隔し難くなる。この点で、本実施形態では、磁気ギャップとして離間部85が設けられていることで、第2領域72が継鉄52から離隔し難くなることを抑制し、電磁リレー1の開放特性の劣化を低減することができる。
特に、本実施形態では、電気絶縁性を有する(例えば合成樹脂製の)保持部8が、接極子7を保持し、かつ、離間部85を有しているため、構成の簡素化を図りつつ、磁気ギャップを設けることができる。また、本実施形態の保持部8は、接極子7だけでなく永久磁石9も保持するため、構成の簡素化が更に図られている。
また、本実施形態の各押圧部80は、対応する可動ばね25の一面250に対して押圧を与えることで、可動接点26を開位置へ変位させるように構成されている。そのため、例えば可動接点26と固定接点21との間で溶着が生じたとしても、開位置への変位時に押圧を与えることで引き離すことができる。したがって、例えば可動ばね25の一面250に対して押圧を与えることで可動接点26が閉位置へ変位する構成に比べて、接点間の信頼性を高めることができる。
更に、本実施形態の各押圧部80は、対応する可動ばね25の一面250に対する押圧を消失させることで、可動接点26を閉位置へ変位させるように構成されている。そのため、例えば経年劣化により可動接点26及び/又は固定接点21が摩耗してしまっても、接点間の閉状態を維持することができる。したがって、接点間の信頼性を高めることができる。つまり、例えば押圧を与えることで可動接点を閉位置へ変位する構成の場合であっても所定の範囲内(例えばOT(Over Travel)の距離内)であれば、たとえ摩耗しても接点間の閉状態を維持することができる。しかし、その構成だと、所定の範囲以上に摩耗してしまうと接点間に隙間が生じる虞がある。しかし、本実施形態では、押圧を消失させることで可動接点26を閉位置へ変位するため、所定の範囲内以上に摩耗が生じても可動ばね25の弾性復帰力により接点間の閉状態を維持することができる。
(4)組立手順
以下、本実施形態の電磁リレー1の組立手順の一例について、図11~図13を参照しながら説明する。
まず、図11に示すように、器体4のベース4Bに対して、一対の接点部2を組み付ける。ここで、一対の固定端子20よりも先に、可動ばね25が固定された一対の支持端子27を、例えば圧入固定により、ベース4Bに取り付ける。具体的には、第1接点部2Aの支持端子27を、ベース4Bの右端にある第1収容部401における第2スロット部47に差し込み(圧入)、端子片270を、第2スロット部47内の導出口470から器体4の外部に導出させる。また、第2接点部2Bの支持端子27を、ベース4Bの左端にある第2収容部402における第2スロット部47に差し込み(圧入)、端子片270を、第2スロット部47内の導出口470から器体4の外部に導出させる。
次に、一対の固定端子20を、例えば圧入固定により、ベース4Bに取り付ける。具体的には、第1接点部2Aの固定端子20の立設部22を、ベース4Bの第1収容部401における第1スロット部46に差し込み(圧入)、端子片24を、第1スロット部46内の導出口460から器体4の外部に導出させる。また、第2接点部2Bの固定端子20の立設部22を、ベース4Bの第2収容部402における第1スロット部46に差し込み(圧入)、端子片24を、第1スロット部46内の導出口460から器体4の外部に導出させる。
続いて、図12に示すように、ベース4Bに対して、例えば圧入固定により、電磁石装置3の電磁石5を組み付ける。具体的には、電磁石5のコイル50の軸方向A2(図2参照)が左右方向に沿うようにして、コイル50がベース4Bの第3収容部403における第3仕切壁43よりも後ろの収容領域に対向させる。そして、一対のコイル端子53の第2端子片532(図6参照)が、第3収容部403内の一対の導出口4030を通るように、コイル50を第3収容部403の上記収容領域内に収める(圧入)。
そして、図13に示すように、ベース4Bに対して、電磁石装置3の接極子ユニット6を組み付ける。具体的には、接極子ユニット6の長手方向が左右方向に沿うようにして、接極子ユニット6がベース4Bの第3収容部403における第3仕切壁43よりも前の収容領域に対向させる。ただし、永久磁石9が収容されている保持部8の第2保持ブロック82が、下を向き、更に、回転軸A1より左位置となるように、接極子ユニット6の向きを整える。そして、第3収容部403内の継鉄52の一対の延出部520に対して、接極子7の第1領域71及び第2領域72がそれぞれ対向するように、接極子ユニット6を第3収容部403の上記収容領域内に収める。
このとき、保持部8の軸部813の前端及び後端は、前壁44及び第3仕切壁43の先端部がそれぞれ前後方向において互いに離間するように、前壁44及び第3仕切壁43の先端部を押し退けながら、下方向に進む。要するに、前壁44及び第3仕切壁43の先端部は、それぞれ前方向及び後方向に弾性変形する。その後、軸部813の前端及び後端が、軸受け孔440及び430に到達し、その中に嵌入することで、前壁44及び第3仕切壁43が弾性復帰する。その結果、接極子ユニット6が、ベース4Bに対して、揺動可能に取り付けられる。
このとき、接極子ユニット6の右端部において、第1押圧部80Aは、第1仕切壁41の切欠部410に収まり、第1押圧部80Aの先端が可動ばね25の一面250と対向するように配置される。また、第1保持ブロック81の右側の第1差込片810は、第3収容部403内の右端に設けられている差込口4031(図13参照)に挿入される。さらに、第1押圧部80Aの第2差込片804は、切欠部410よりも右側に配置される。
一方、接極子ユニット6の左端部においても、第2押圧部80Bは、第2仕切壁42の切欠部420に収まり、第2押圧部80Bの先端が可動ばね25の一面250と対向するように配置される。また、第1保持ブロック81の左側の第1差込片810は、第3収容部403内の左端に設けられている差込口4031(図13参照)に挿入される。さらに、第2押圧部80Bの第2差込片804は、切欠部420よりも左側に配置される。
そして、最後に、カバー4Aが、接点部2及び電磁石装置3が組み付けられたベース4Bを上方から覆うように取り付けられることで、電磁リレー1の組立が完了する。
本実施形態の電磁リレー1では、可動接点26が、ベース4Bと電磁石5とが並ぶ並び方向(図示例では上下方向)において、ベース4Bと固定接点21の間に配置されている。そのため、上述したように、ベース4Bの上から、例えば、可動接点26を有する可動ばね25、固定接点21を有する固定端子20、電磁石5、及び接極子ユニット6を順にベース4Bへ組み付けることができる。したがって、組立作業時の作業性に優れている。特に、電磁リレー1の組立の自動化を考慮すれば、本実施形態のように上記並び方向(図示例では上下方向)に沿って接点部2と接極子ユニット6とを順に組み付けることができることで、電磁リレー1の生産性が向上される。
(5)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。
基本例では、第1押圧部80Aは、第1突起801及び第2突起802の2つを有し、これらの突起で可動ばね25に接触するように構成されている。しかし、このような構成に限定されず、第1押圧部80Aは、第2押圧部80Bと同様に、1つの突起のみを有し、当該突起で可動ばね25に接触するように構成されていてもよい。
基本例では、図7Bに示すように、電磁石5が励磁状態のとき、保持部8の第1押圧部80Aが可動ばね25の一面250と接触しないように、寸法関係が規定されている。しかし、このような構成に限定されず、電磁石5が励磁状態であっても、第1押圧部80Aが可動ばね25の一面250と僅かに接触するように、寸法関係が規定されていてもよい。つまり、第1押圧部80Aからの押圧は、消失ではなく減衰するのみであってもよい。
また、基本例では、図8Aに示すように、電磁石5が非励磁状態のとき、保持部8の第2押圧部80Bが可動ばね25の一面250と接触しないように、寸法関係が規定されている。しかし、このような構成に限定されず、電磁石5が非励磁状態であっても、第2押圧部80Bが可動ばね25の一面250と僅かに接触するように、寸法関係が規定されていてもよい。つまり、第2押圧部80Bからの押圧は、消失ではなく減衰するのみであってもよい。
基本例では、接極子ユニット6は、保持部8の軸部813がベース4Bの軸受け孔430、440に嵌入して、ベース4Bに対して揺動可能に軸支されているが、この限りではない。保持部8に軸受け孔が設けられ、ベース4Bに保持部8の当該軸受け孔に嵌入する軸部が設けられていてもよい。
基本例では、離間部85は、電磁石5が励磁状態のとき、第2領域72全体が継鉄52から離間するように構成されている。しかし、この限りではなく、離間部85は、例えば第2領域72の左端が継鉄52から離間し、第2領域72の右端は継鉄52と接触するように構成されていてもよい。
また基本例では、離間部85は、第2開口812の左縁から右方向に僅かに突出した突出片として形成されている。しかし、この限りではなく、離間部85は、例えば第2領域72全体を覆うように形成されていてもよい。
また基本例では、離間部85は、第2領域72のみに対応するように配置されている。しかし、この限りではなく、離間部85は、第1領域71にも対応するように設けられていてもよい。つまり、離間部85の数は、1つに限定されない。
(6)利点
以上説明したように、第1の態様に係る電磁石装置(3)は、電磁石(5)と、接極子ユニット(6)と、を備える。電磁石(5)は、コイル(50)、及びコイル(50)より突出して設けられた継鉄(52)、を有する。接極子ユニット(6)は、少なくとも一部の領域が継鉄(52)と対向する接極子(7)、及び、接極子(7)を保持する保持部(8)、を有する。接極子(7)は、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じて、上記領域が継鉄(52)に近づく向き又は遠ざかる向きに移動する。保持部(8)は、上記領域が継鉄(52)に近づいたとき、継鉄(52)と対向する接極子(7)の上記領域のうち、少なくとも一部を継鉄(52)から離間させる電気絶縁性を有した離間部(85)を有する。第1の態様によれば、構成の簡素化を図りつつ、磁気ギャップを設けることができる。
第2の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1の態様において、接極子ユニット(6)は、永久磁石(9)を更に有することが好ましい。保持部(8)は、接極子(7)と永久磁石(9)とを一体に保持することが好ましい。第2の態様によれば、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じた接極子ユニット(6)の移動を、永久磁石(9)を通じてより精度良く行うことができ、更に、保持部(8)が接極子(7)及び永久磁石(9)の両方を保持するため、構成の簡素化も図れる。
第3の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第2の態様において、接極子ユニット(6)は、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じて電磁石(5)に対して回転軸(A1)を中心に揺動することが好ましい。永久磁石(9)は、回転軸(A1)に対して偏った位置にあることが好ましい。第3の態様によれば、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じた接極子ユニット(6)の揺動を、永久磁石(9)を通じてより精度良く行うことができる。
第4の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、離間部(85)は、接極子(7)の上記領域のうち一部のみを継鉄(52)から離間させるように配置されていることが好ましい。第4の態様によれば、例えば上記領域の全部を継鉄(52)から離間させる構成に比べて、接極子ユニット(6)の製造が容易となる。
第5の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、離間部(85)は、接極子(7)の上記領域と対向する継鉄(52)のうち少なくとも一部と当接するように配置されていることが好ましい。第5の態様によれば、更に簡単な構成でありながら、磁気ギャップを設けることができる。
第6の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、接極子ユニット(6)は、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じて電磁石(5)に対して回転軸(A1)を中心に揺動することが好ましい。離間部(85)は、回転軸(A1)の径方向における接極子(7)の上記領域の両端のうち、外側の端を継鉄(52)から離間させるように配置されていることが好ましい。第6の態様によれば、例えば接極子(7)の上記領域の両端のうち内側の端を継鉄(52)から離間させる構成に比べて、より精度良く磁気ギャップを形成できる。つまり、継鉄(52)に対する接極子(7)の引き離しが容易となる。
第7の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、接極子ユニット(6)は、電磁石(5)の励磁/非励磁に応じて電磁石(5)に対して回転軸(A1)を中心に揺動することが好ましい。接極子(7)は、継鉄(52)と対向する上記領域を、第1領域(71)及び第2領域(72)として、2つ有することが好ましい。第1領域(71)及び第2領域(72)は、接極子ユニット(6)における回転軸(A1)から互いに離れる方向(左右方向)に延びている先の両側に、それぞれ設けられていることが好ましい。第1領域(71)が継鉄(52)に最も近接したときの第1領域(71)と継鉄(52)との第1間隔(D1)と、第2領域(72)が継鉄(52)に最も近接したときの第2領域(72)と継鉄(52)との第2間隔(D2)とは、互いに異なることが好ましい。第7の態様によれば、接極子(7)の動作(揺動)の制御が容易となる。
第8の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第7の態様において、離間部(85)は、接極子(7)の第1領域(71)及び第2領域(72)のうち一方のみを継鉄(52)から離間させるように配置されていることが好ましい。第8の態様によれば、例えば第1領域(71)及び第2領域(72)の両方を離間させる構成に比べて、接極子ユニット(6)の製造が容易となる。
第9の態様に係る電磁石装置(3)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、電磁石(5)は、コイル端子(53)を更に有することが好ましい。コイル端子(53)は、コイル(50)のコイルボビン(51)に保持されてコイル(50)に接続されることが好ましい。コイル端子(53)は、継鉄(52)に対して接極子(7)とは反対側に設けられ、接極子(7)から離れる方向に延びていることが好ましい。第9の態様によれば、電磁石装置(3)の小型化を図ることができる。
第10の態様に係る電磁リレー(1)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおける電磁石装置(3)と、接点部(2)と、を備える。接点部(2)は、固定接点(21)、及び、接極子ユニット(6)の移動によって固定接点(21)に対して接触する閉位置と固定接点(21)から離れる開位置との間で変位する可動接点(26)、を有する。第10の態様によれば、構成の簡素化を図りつつ、磁気ギャップを設けることができる電磁石装置(3)を備えた電磁リレー(1)を提供できる。