JP7064894B2 - マススペクトル処理装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マススペクトル処理装置及び方法に関し、特に、関心領域間でのマススペクトルの比較に関する。
質量分析システムは、一般に、質量分析装置及び情報処理装置により構成される。質量分析装置は試料のマススペクトルを測定する装置である。情報処理装置はマススペクトル処理装置として機能する。近時、マスイメージング機能をもった質量分析システムが活用されている。
マスイメージングにおいては、まず、試料に対して観測領域が設定される。観測領域は複数のピクセルからなるものである。個々のピクセルは微小領域としての観測点である。観測領域の設定後、ピクセル単位で質量分析が実行される。すなわち、複数のピクセルに対応する複数のマススペクトル(マススペクトルセット)が測定される。そのマススペクトルセットに基づいて、質量電荷比(m/z)ごとに、当該質量電荷比を有する物質の二次元分布像(マスイメージ)が生成される(特許文献1,2を参照)。マスイメージによれば、通常の光学画像では得られない情報が得られる。
観測領域に含まれる複数の部分の間でマススペクトルを比較したい場合、観測領域を表すマスイメージ(又はそれに代わる画像)上において、複数の部分に対して複数の関心領域(ROI:region of interest)が設定される。続いて、関心領域ごとに、それに属する複数のピクセルに対応する複数のマススペクトルを積算することにより、積算マススペクトルが生成される。その上で、複数の関心領域に対応する複数の積算マススペクトルの相互関係が解析される。その際、一般に、多変量解析(multivariate analysis)が利用される。多変量解析の例として、階層クラスター解析(hierarchical cluster analysis)、主成分分析(principal component analysis)等が知られている。多変量解析の結果に基づき、関係図(樹形図、散布図等)が生成され、それが表示される。なお、特許文献3及び特許文献4には、マススペクトルに対する主成分分析についての記載がある。
特開2016-133339号公報 特開2017-173103号公報 特開2009-025268号公報 特表2016-092608号公報
上記関係図においては、一般に、1つの関心領域が1つのシンボルによって表現される。その場合、関係図上に表現された複数のシンボルの位置関係から、複数の関心領域についての相互関係(類似度等)を把握できる。しかし、そのような関係図から、個々の関心領域内におけるマススペクトルの一様性又はバラツキまでを読み取ることはできない。上記の関係図によると、関心領域間におけるマススペクトルの差が有意な差であるのか、そうでないのか、を正しく判断できないおそれが生じる。
本発明の目的は、関心領域間においてマススペクトルの比較を行う場合において、その比較結果の信頼性を評価できるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、関心領域間においてマススペクトル比較を行う場合において、その比較結果が関心領域間における有意な差を表している可能性、あるいは、その比較結果が関心領域内でのマススペクトルのバラツキの影響を受けている可能性を評価できるようにすることにある。
実施形態に係るマススペクトル処理装置は、観測領域に対して複数の関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記関心領域ごとに当該関心領域に対して複数のピクセルグループを設定するグループ設定手段と、前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに基づいて、ピクセルグループ間の関係を解析する解析手段と、前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する生成手段と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、複数のピクセルグループ間の関係を複数のグループシンボルの位置関係として表現した関係図(relationship diagram)が生成される。この関係図を観察することにより、関心領域ごとにマススペクトルに一様性があるか否かを判断することができ、その上で、関心領域間でのマススペクトルの関係を評価することが可能となる。
例えば、関係図上において、ある関心領域に帰属する複数のシンボルが密集しているならば、その関心領域内でのマススペクトルの一様性を推認できる。その場合においては、関心領域間におけるマススペクトルの差を有意な差であると評価することが可能となる。逆に、関係図上において、ある関心領域に帰属する複数のシンボルが散在しているならば、その関心領域内でのマススペクトルのバラツキを推認できる。その場合においては、関心領域間におけるマススペクトルの差は有意な差ではない可能性が高くなる。ピクセルグループ(サブ関心領域)単位でのマススペクトル解析の後に、関心領域単位でのマススペクトル解析が行われてもよい。
上記各ピクセルグループは1又は複数のピクセルにより構成される。実施形態において、複数の関心領域は、マニュアル指定に基づいて設定される。それらが自動的に設定されてもよい。また、実施形態において、複数のピクセルグループは、複数の関心領域の設定時又は設定後に自動的に設定される。それらがマニュアル指定に基づいて設定されてもよい。
実施形態に係るマススペクトル処理装置は、前記関係図を表示する表示器を含み、前記表示器において前記複数のグループシンボルが前記複数の関心領域を識別可能な表示態様で表示される。この構成によれば、個々のグループシンボルの観察時に、それが帰属している関心領域を直感的に認識することが可能となる。例えば、色相、輝度、文字、記号その他によって個々のシンボルが識別される。
実施形態においては、前記各グループシンボルは、当該グループシンボルに対応するピクセルグループが属する関心領域を識別するための関心領域識別情報を含む。実施形態において、前記各グループシンボルは、当該グループシンボルに対応するピクセルグループを識別するためのグループ識別情報を含む。各識別情報は、マーク、文字、数字その他によって構成され得る。
実施形態において、前記グループ設定手段は、前記関心領域ごとに当該関心領域を区分することによって前記複数のピクセルグループを設定する。このような区分方式によると、関係図から、個々の関心領域内におけるマススペクトルの変化を読み取ることが可能となる。
実施形態において、前記グループ設定手段は、前記関心領域ごとに当該関心領域に属する複数のピクセルを規則的に又はランダムにグルーピングすることにより前記複数のピクセルグループを設定する。このようなサンプリング方式によると、個々のグループが、それが帰属している関心領域の全体を代表するものとなるので、統計的な信頼性を高められる。
実施形態において、前記ピクセルグループごとに当該ピクセルグループを構成する複数のピクセルに対応する複数のマススペクトルを積算することにより積算スペクトルを生成する手段を含み、前記解析手段は、前記複数の関心領域に対して設定された前記複数のピクセルグループに対応する複数の積算スペクトルに対して多変量解析を実行する。多変量解析に先立って各積算スペクトルに対してピーク抽出その他の処理が適用されてもよい。各積算スペクトルそれ自体が多変量解析の対象とされてもよい。
実施形態において、前記多変量解析はクラスター解析であり、前記生成手段は、前記クラスター解析の結果に従って前記複数のグループシンボルを並べることにより前記関係図を生成する。実施形態において、前記多変量解析は主成分分析であり、前記生成手段は、前記主成分分析の結果に従って前記複数のグループシンボルをマッピングすることにより前記関係図を生成する。
実施形態に係るマススペクトル処理方法は、サブ関心領域単位解析工程と関心領域単位解析工程とを含み、前記サブ関心領域単位解析工程は、観測領域に対して複数の関心領域を設定する工程と、前記関心領域ごとに当該関心領域に対して複数のサブ関心領域としての複数のピクセルグループを設定する工程と、前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに基づいて、ピクセルグループ間の関係を解析する工程と、前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する工程と、を含み、前記関心領域単位解析工程では、前記複数の関心領域に対応する複数のマススペクトルに基づいて、関心領域間の関係が解析される、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、サブ関心領域単位解析工程の実行結果から関心領域ごとに当該関心領域内におけるマススペクトルの一様性又はバラツキを評価した上で、関心領域単位解析工程を実行することが可能となる。あるいは、サブ関心領域単位解析工程と関心領域単位解析工程の中から所望の解析工程を選択することが可能となる。サブ関心領域単位解析工程の実行過程で取得されたマススペクトルセット、及び、サブ関心領域単位解析工程の実行過程で設定された複数の関心領域が、関心領域単位解析工程でそのまま利用されてもよい。
実施形態に係るマススペクトル処理方法は、プログラムの機能として実現され得る。その場合、そのプログラムは、可搬型記憶媒体又はネットワークを介して、情報処理装置にインストールされる。
本発明によれば、関心領域間においてマススペクトル比較を行う場合において、その比較結果の信頼性を評価できる。あるいは、本発明によれば、関心領域間においてマススペクトル比較を行う場合において、その比較結果が関心領域間の有意な差を表している可能性、あるいは、その比較結果が関心領域内でのマススペクトルのバラツキの影響を受けている可能性を評価できる。
実施形態に係る質量分析システムを示すブロック図である。 マスイメージ生成方法を示す図である。 グルーピングの第1例を示す図である。 グルーピングの第2例を示す図である。 グルーピングの第3例を示す図である。 ピーク抽出処理を示す図である。 テーブル(ピークリスト)を示す図である。 第1関係図の第1例を示す図である。 第1関係図の第2例を示す図である。 第2関係図の第1例を示す図である。 第2関係図の第2例を示す図である。 マススペクトル処理方法を示すフローチャートである。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、実施形態に係る質量分析システムが示されている。この質量分析システムは、マスイメージング機能及びマススペクトル解析機能を有している。図示されるように、質量分析システムは、大別して、質量分析装置10及び情報処理装置12により構成される。情報処理装置12はマススペクトル処理装置として機能するものである。
図1において、質量分析装置10は、試料に対して設定された観測領域を構成する複数のピクセルに対して質量分析を実行する装置である。観測領域は、試料上に設定され、あるいは、試料を包含するように設定される。個々のピクセルは微小領域であり、それは観測点に相当する。観測領域は例えば矩形の領域であり、x方向のピクセル数及びy方向のピクセル数は、例えば、それぞれ数十個又は数百個である。1ピクセルは、例えば、100μm×100μmのサイズを有する。ユーザー(測定者)により、観測領域、その分割数(ピクセルサイズ)、ピクセル単位でのレーザー照射回数(例えば数十回~数百回)、等が指定される。指定された情報に従って、質量分析装置10が動作する。
質量分析装置10は、図示の構成例において、イオン源14、質量分析部16及び検出部18を有する。それらはいずれも電気的部品及び機械的部品を含む機器である。
イオン源14は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)法に従うイオン源である。MALDIによれば、もっぱら1価イオンが生成される。具体的に説明すると、試料プレート上に試料が配置され、試料に対してレーザーが照射される。レーザー照射点がピクセルに相当する。レーザー照射点から放出されたイオンが電界の作用により質量分析部16の内部へ導かれる。試料プレートの二次元走査により、試料上のレーザー照射点が二次元走査される。一次イオンを試料に照射し、それにより生じた二次イオンを測定する二次イオン質量分析(SIMS)法に従うイオン源が利用されてもよい。他のイオン源が利用されてもよい。
質量分析部16は、イオンが有する質量(正確には質量電荷比m/z)に応じて、質量分離を行うユニットである。質量分析部16として、非常に高い質量分解能(超高質量分解能)を有する質量分析計を利用し得る。そのような質量分析計として、飛行距離10m以上の飛行時間型質量分析計(TOFMS)、電場型フーリエ変換質量分析計(FTMS)、磁場型フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析計(FT-ICRMS)、等が挙げられる。ちなみに、飛行時間型質量分析計のタイプとして、リニア型、リフレクトロン型、多重周回型、多重反射型等が挙げられる。そのような超高質量分解能を有する質量分析計を利用した場合、それにより得られるマススペクトルはかなり複雑となり、マススペクトルの比較に際して多変量解析等の手法を利用すべき必要性が高くなる。なお、上記で挙げた質量分析計以外の質量分析計(例えば、四重極型質量分析計(QMS)、イオントラップ型質量分析計(ITMS))が利用されてもよい。
検出部18はイオンを検出する検出器を有する。検出部18の出力信号がマススペクトルに相当する。ピクセル単位でのレーザー照射ごと、複数のm/zに対応する複数のイオン強度(イオン強度列)が得られる。ピクセル単位での複数のレーザー照射により得られる複数のマススペクトルが積算され、積算されたマススペクトルが生成される。積算されたマススペクトルが以下に説明する情報処理装置12での処理単位となる。積算処理が当該情報処理装置12において実施されてもよい。
実施形態に係る情報処理装置12におけるマススペクトル解析モードとして、後述するピクセルグループ(サブ関心領域)を単位として多変量解析を行うモード(以下「サブROI単位解析モード」という。)と、後述する関心領域を単位として多変量解析を行う方法(以下「ROI単位解析モード」という。)と、がある。前者のサブROI単位解析モードに続いて後者のROI単位解析モードが実行される場合、前者のサブROI単位解析モードは事前解析工程に相当し、後者のROI単位解析モードは本解析工程に相当する。以下においては、サブROI単位解析モードを中心に説明し、その説明の過程で、必要に応じて、ROI単位解析モードを説明する。
情報処理装置12は、上記のようにマススペクトル処理装置として機能するものであり、それは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)により構成される。情報処理装置12は、CPU及び記憶部を有している。記憶部に格納された動作プログラムがCPUにおいて実行され、これにより、以下に説明する複数の機能が発揮される。図1においては、それらの機能が複数のブロックとして表現されている(符号20を参照)。情報処理装置12が複数のプロセッサからなる装置として構成されてもよいし、複数の情報処理デバイスにより構成されてもよい。マススペクトル処理のためのプログラムは、可搬型記憶媒体又はネットワークを介して、情報処理装置12にインストールされ得る。情報処理装置12で処理される個々のデータは、x座標、y座標及びm/zで特定されるイオン強度データである。
マススペクトルセット記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ又は半導体メモリにより構成される。マススペクトルセット記憶部22には、複数のピクセルに対応する複数のマススペクトル、つまりマススペクトルセット(マススペクトルアレイ)が記憶される。個々のマススペクトルの実体は、m/z軸上のイオン強度分布である。
マスイメージ生成部24は、二次元質量分布としてのマスイメージを生成するモジュールである。実施形態においては、m/z軸上のm/zチャンネルごとにマスイメージが生成されている。そのように生成された複数のマスイメージによりマスイメージセット(マスイメージアレイ)が構成される。
マスイメージセット記憶部26は、例えば、ハードディスクドライブ又は半導体メモリにより構成される。マススペクトルセット記憶部22には、マスイメージセットが記憶される。マススペクトルセットの取得と並行してマスイメージセットが生成されてもよいし、マススペクトルセットの取得後にマスイメージセットが生成されてもよい。
入力部30は入力手段として機能するものであり、それはキーボードやポインティングデバイス等によって構成される。入力部30を用いて、ユーザーにより、観測領域、ピクセル条件、照射回数等の測定条件が定められる。また、後述するスペクトル処理で必要となる各種のパラメータや条件が定められる。
表示部32は表示処理手段又は表示手段として機能するものであり、それは具体的には表示処理部及び表示器を含むものである。表示処理部は、画像合成、カラー処理等を実行するものである。表示器は、LCD、有機EL表示デバイス等によって構成される。情報処理装置で生成された画像データがネットワークを介して外部装置へ伝送されてもよい。
積算マススペクトル生成部28は、観測領域の全部又は一部から取得された複数のマススペクトルを積算し、これにより積算マススペクトルを生成する。積算マススペクトルとして平均化マススペクトルが生成されてもよい。積算マススペクトルは代表マススペクトルとして機能し、それが表示器の画面上に表示される。積算マススペクトルを観察したユーザーにおいて、例えば、積算マススペクトルに含まれる特定のピーク(つまり特定のm/z)が指定される。特定のピークが自動的に識別されてもよい。
マスイメージ選択部34は、マスイメージセット記憶部に記憶されたマスイメージセットの中から、ユーザーにより指定された特定のピークに対応するマスイメージを選択する。これにより、そのマスイメージが画面上に表示される。その場合、複数のマスイメージを合成することにより生成された合成マスイメージが表示されてもよい。ユーザーによりm/zが指定された段階で、マスイメージ生成部24がそのm/zに対応するマスイメージを生成するようにしてもよい。実施形態において、表示器の画面上に表示されるマスイメージは、複数のROIを設定するための参照画像である。よって、マスイメージに代えて観測領域を表す光学画像38等が表示されてもよい。
実施形態においては、画面上に表示されたマスイメージ(又はそれに代わる画像)上において、ユーザーにより、複数のROIが指定される。その際には、入力部30が利用され、各ROIの座標情報が入力される。ROI設定部36は、関心領域設定手段として機能するものであり、入力された複数のROI座標に基づいて、複数のROIを設定する。例えば、生物組織における正常部位及び異常部位に対して、それぞれ1つずつROIが設定されてもよい。分析対象となった構造物における3種類の部位に対して3つのROIが設定されてもよい。複数のROIが自動的に設定されてもよい。
各ROI座標の指定に際しては、マスイメージ上にROIを表すグラフィック(図形)が表示される。各ROIの形状及びサイズは任意に定め得る。複数のROI間でROIのサイズ及び形状を異ならせることも可能である。複数のROIの間に部分的な重複関係があってもよい。
個々のROIは、本来的には、そこに属する複数のピクセルに対応した複数のマススペクトルが一様性を有することを前提として(つまりROI間でマススペクトル比較を的確に行えるように)設定されるものであるが、実際には、ROI内においてマススペクトルにバラツキがあることもあり、あるいは、ROI内においてマススペクトルに変化が認められることもある。それらに対処するために、つまり、個々のROI内におけるマススペクトルの一様性を確認又は評価するために、個々のROI内に、以下に説明する複数のピクセルグループ(複数のサブROI)が設定される。以下においては、ピクセルグループを単に「グループ」と表現する。
グループ設定部40は、グループ(サブROI)設定手段であり、それはサブROI単位解析モードにおいて機能する。具体的には、グループ設定部40は、ユーザーにより指定されたグループ設定条件(グループ数、グルーピング方式等を含む)に従って、ROIごとに、ROI内に複数のグループを自動的に設定するモジュールである。実施形態においては、個々のROIにおいて、そのROI内の全ピクセルが複数のグループに振り分けられる。もっとも、個々のROI内においていずれのグループに属しない1又は複数のピクセルが存在してもよい。あるいは、複数のグループ間に部分的な重複関係があってもよい。個々のグループの形状及びサイズを異ならせることも可能である。変形例としては、1つのピクセルからなるグループの設定が挙げられる。グルーピング方式として後に図3に示す区分方式が選択された場合、マスイメージ上において、個々のROIを示すグラフィックと共に個々のグループを示すグラフィックが表示される。
積算マススペクトル生成部42は、サブROI単位解析モードにおいて、サブROI単位つまりグループ単位で、積算マススペクトルを生成し、一方、ROI単位解析モードにおいて、ROI単位で、積算マススペクトルを生成するモジュールである。具体的には、積算マススペクトル生成部42は、サブROI単位解析モードにおいて、個々のサブROIつまり個々のグループごとに、当該グループを構成する複数のピクセルに対応する複数のマススペクトルを積算することにより、積算マススペクトルを生成する。サブROI単位解析モードに続いてROI単位解析モードを実行する場合、サブROI単位解析モードで生成された複数の積算マススペクトルをROI単位で更に積算することにより、ROI単位解析モードで使用する複数の積算マススペクトルを生成し得る。
なお、積算マススペクトル生成部42は、既に説明した積算マススペクトル生成部28と同様の積算機能を有しているので、両者を合体させてもよい。また、マススペクトルセット記憶部22に格納されたマススペクトルセットに代えて、マスイメージセット記憶部26に格納されたマスイメージセットを参照し(符号43を参照)、それに基づいてグループ単位で積算マススペクトルが生成されてもよい。
テーブル作成部44は、ピーク抽出手段及びテーブル作成手段として機能する。それらの手段を解析手段の一部とみなすことも可能である。テーブル作成部44は、サブROI単位解析モード及びROI単位解析モードにおいて、複数の積算マススペクトルのそれぞれに対してピーク抽出処理を適用し、これによりピークリストとしてのテーブルを生成するものである。ピークリストは、複数の積算スペクトルに対応した複数のレコードからなり、個々のレコードは、複数のピーク(複数のm/z)に対応する複数のイオン強度(イオン量)を特定するデータを含む。例えば、ピーク波形の重心、頂点等の位置としてピーク位置が特定される。後述するように、抽出に失敗したピークに対応するセルには0又はそれに代わる数値(0に近い数値)が記入される。テーブルの具体例については後に説明する。
多変量解析部46は、解析手段の主要部を構成するものである。多変量解析部46は、サブROI単位解析モード及びROI単位解析モードにおいて、テーブルの内容つまり複数のピーク列に対して多変量解析を適用する。多変量解析の結果は、複数の積算スペクトル間の相互関係を示すものである。多変量解析の手法として、階層クラスター解析、主成分分析等があげられる。それら以外の解析法が利用されてもよい。
関係図作成部48は、関係図生成手段として機能するものである。それは、サブROI単位解析モード及びROI単位解析モードにおいて、多変量解析の結果を表す関係図(その実体は電子的なダイヤグラムとしての画像)を生成するモジュールである。関係図として、後に例示する樹形図、散布図等が挙げられる。関係図を表すデータが表示部32へ送られている。サブROI単位解析モードにおいては、表示器の画面上に、複数のグループを表す複数のシンボルを含む関係図が表示される。ROI単位解析モードにおいては、表示器の画面上に複数のROIを表す複数のシンボルを含む関係図が表示される。通常、サブROI単位解析モードの実行後に、ROI単位解析モードが実行されるが、2つの解析モードの中から選択された解析モードだけが実行されてもよい。また、2つの解析モードが並列的に実行されてもよい。その場合には2つの関係図が同時に表示されてもよい。
以上説明した各処理について更に具体的に説明する。図2には、マスイメージ生成方法が例示されている。これは図1に示したマスイメージ生成部での処理内容を示すものである。
観測領域50はx方向及びy方向に整列した複数のピクセルpにより構成される。個々のピクセルpは上述したようにレーザー照射点つまり観測点に相当するものである。個々のピクセルpごとにマススペクトルが取得される。複数のピクセルpに対応する複数のマススペクトル52-1~52-Nがマススペクトルセット54を構成する。マススペクトルセット54から、選択されたm/zに対応するイオン強度列56が抽出され、それをマッピングすることにより、選択されたm/zに対応する物質の二次元分布を示すマスイメージが生成される(符号57を参照)。m/zを変えながら、その処理を繰り返すことにより複数のm/zに対応する複数のマスイメージが生成される。それらはマスイメージセットを構成する。
一方、マススペクトルセット54の全部又は一部に対する積算処理により積算スペクトル58が生成される。その場合、観測領域50内において積算処理対象となる範囲60がユーザーにより指定されてもよい。例えば、試料としての組織切片の中に範囲60が指定されてもよい。積算スペクトル58における特定のピークを指定することにより(符号62を参照)、m/zが指定される。その指定はマニュアルにて行われているが、それが自動化されてもよい。上記マスイメージセットの中から、指定されたm/zに対応する特定のマスイメージが抽出され、それが表示される。なお、指定されたm/zに対応するマスイメージだけが生成されてもよい。
図3には、ROI設定及びグループ設定が示されている。それらは図1に示したROI設定部及びグループ設定部の処理内容に相当するものである。なお、図3はグルーピングの第1例(区分方式)を示すものである。
観測領域を表すマスイメージ64には、図示の例において、3つの部位100,102及び104が含まれる。部位100の中にROI1が設定されており、部位102の中にROI2が設定されており、部位104の中にROI3が設定されている。例えば、試料としての組織切片の中の複数の部位に複数のROIが設定されてもよい。試料としての基板における劣化部位、異物、その他に対して複数のROIが設定されてもよい。
それぞれのROIのサイズは一致していてもよいし、異なっていてもよい。各ROIの設定は実施形態においてマニュアルでの座標指定に基づくものである。個々のROIの形状は図示の例において矩形である。もっとも個々のROIの形状を他の形状(例えば円形)としてもよい。個々のROIの形状をフリーハンドで定義してもよい。例えば、注目部位を囲むようにROIを指定してもよい。ROIの個数もユーザーにより選択され得る。
以上のように、ROI1,ROI2及びROI3が設定されると、ROIごとにROIの中に複数のグループ(サブROI)が自動的に設定される。図示の例では、ユーザーにより指定されたグループ数4に従って、ROIごとにその内部が4つのグループに区分されている。ROIごとにグループ数を異ならせてもよい。
具体的には、ROI1は、同じ面積(同じピクセル数)をもった4つのグループROI1-1,ROI1-2,ROI1-3及びROI1-4に区分されている。ROI2は、同じ面積(同じピクセル数)をもった4つのグループROI2-1,ROI2-2,ROI2-3及びROI2-4に区分されている。ROI3は、同じ面積(同じピクセル数)をもった4つのグループROI3-1,ROI3-2,ROI3-3及びROI3-4に区分されている。個々のグループの形状は矩形である。もちろん、他の形状を採用してもよい。
分割数の指定に代えてグループを構成するピクセル数を指定し、それに基づいて個々のROIが複数のグループに区分されてもよい。このことは図4に示す第2例及び図5に示す第3例においても同様である。なお、サブROI単位解析モードでは、以上のように設定されたグループを単位として多変量解析が実行される。関心領域単位解析モードでは、以上のように設定された関心領域を単位として多変量解析が実行される。
図4には、グルーピングの第2例(規則的サンプリング方式)が示されている。図4にはROI1だけが示されている。他のROIもROI1と同様に処理される。この第2例では規則性をもったサンプリングにより4つのグループROI1-1,ROI1-2,ROI1-3及びROI1-4が構成される。
具体的には、ROI1内に複数のブロックが定義される。個々のブロックは、ユーザー指定された分割数4に従って4つのピクセルにより構成される。個々のブロック内の4つのピクセルが同じパターンで4つのグループに振り分けられる。例えば、i番目のブロックBiにおいて、ピクセルaiは1番目のグループに振り分けられ、ピクセルbiは2番目のグループに振り分けられ、ピクセルciは3番目のグループに振り分けられ、ピクセルdiは4番目のグループに振り分けられる。振り分けの結果、ROI1を構成する全ピクセルの内の1/4のピクセル(a1,a2,a3,ai,・・・,am)によりROI1-1が構成される。同様の手法で、ROI1-2,ROI1-3及びROI1-4が構成される。
図5には、グルーピングの第3例(ランダムサンプリング方式)が示されている。図5においてもROI1だけが示されている。他のROIもROI1と同様に処理される。この第3例では、個々のROIに対するランダムサンプリングにより、4つのグループROI1-1,ROI1-2,ROI1-3及びROI1-4が構成される。
具体的には、ROI1を構成する全ピクセルがランダムに4つのグループに振り分けられる。これによりROI1-1,ROI1-2,ROI1-3及びROI1-4が構成される。例えば、ROI1を構成する全ピクセルの内の1/4のピクセル(a1,a2,a3,・・・,am)によりROI1-1が構成される。なお、個々のグループを構成するピクセル数は同一であるが、それらが異なっていてもよい。
複数のグルーピング方式の中から、ユーザーによって選択されたグルーピング方式が適用される。区分方式を選択した場合、関係図上において、ROI内におけるスペクトルの変動が現れ易くなる。規則的サンプリング方式又はランダムサンプリング方式を選択した場合、個々のグループがそれぞれROI全体を代表することになり、関係図上において、ROI内におけるスペクトルの変動が現れ難くなるが、統計的な信頼性は高まる。
図6には、ピーク抽出処理の一例が示されている。図7にはテーブル作成処理の一例が示されている。それらの処理は図1に示したテーブル作成部において実行される。
図6において、(A),(B)及び(C)は、あるROIを構成する3つのグループに対応する3つの積算マススペクトルを示している。それぞれの積算マススペクトルに対してピーク抽出処理が適用される。ピーク抽出条件及びピーク抽出範囲はユーザーにより指定される。例えば、一定のm/z間隔でイオン強度が特定されてもよい。図示の例では、個々のピーク列はいずれもPeak1~Peak10を含んでいる(Peak10を超えるピークについては図示省略されている)。それぞれはイオン強度(イオン量)を示す。図示の例では、各ピーク列において、複数のピークは同じ複数のm/z(m/z列)において生じている。例えば、符号106で示す3つのPeak1はいずれも同じm/zで生じている。(B)に示したピーク列における5番目のピーク、及び、(C)に示したピーク列における9番目のピークは、抽出できていない。そのような場合には、以下に説明する穴埋め処理が適用される。
図7には、図6に示した3つのピーク列に基づいて作成されるテーブルが示されている。そのテーブルはピークリストに相当するものであり、図1に示したテーブル作成部により作成される。テーブルは、複数のグループに対応する複数のレコード66からなる。1つのグループにつき1つのレコード66が作成される。符号68はROI1に属する4つのグループに対応した4つのレコードを示しており、符号70はROI2に属する4つのグループに対応した4つのレコードを示しており、符号72はROI3に属する4つのグループに対応した4つのレコードを示している。個々のレコードは、符号74で示すように、複数のピークに対応した複数のセル74aからなる。個々のセル74aにはイオン強度が数値として記入される。なお、最上段の行73は、複数のピークを識別するための複数のラベルからなるものである。ラベルとしては、ピーク名、化合物名、m/z等が考えられる。テーブルの1行目においては複数のROI識別子が並んでいる。
テーブルにおいて、値を有しないセルが生じた場合、そこには0又は0に近い数値が記入される。これは多変量解析において解析対象となる要素数を揃えるためである。実施形態においてテーブルは自動的に生成される。テーブルがマニュアルで修正されてもよく、また、テーブルがマニュアルで生成されてもよい。
図8及び図9には、関係図作成部によって生成される第1関係図が示されている。図8は第1関係図の第1例を示すものであり、図9は第1関係図の第2例を示すものである。ここで、第1関係図は階層クラスター解析の結果を示す樹形図である。
図8に示されるように、複数のグループが複数のシンボル(グループシンボル)108によって表現されている。複数のシンボル108は、第1関係図において、複数のカテゴリーに分類されつつ、上下方向に一列に並んでいる。個々のシンボル108は、文字列(ROI)、ROI識別情報(ROI番号)110a及びグループ識別情報(グループ番号)110bを含んでいる。つまり、個々のシンボル108の参照により、当該シンボルが、どのROIに属する、どのグループに対応するものであるかを特定できる。符号80はROI1に属する4つのグループに対応する4つのシンボルを示しており、符号82はROI2に属する4つのグループに対応する4つのシンボルを示しており、符号84はROI3に属する4つのグループに対応する4つのシンボルを示している。いずれのROIにおいても4つのシンボルは密集(あるいは局在)しており、これをもって、各ROI内において複数のグループに対応する複数の積算マススペクトルについて類似性、一様性を認め得る。
一方、図9に示す第1関係図の第2例においては、符号86で示すように、複数のシンボルがROIごとに密集せず、離散的に存在している。このような表示態様は、個々のROI内において複数のグループに対応する複数の積算マススペクトルに一様性が乏しいことを示すものである。あるいは、ROI間において有意な差が生じていないことを示すものである。このような表示となった場合、必要に応じて、複数のROIを再設定してもよい。
ROI単位でシンボルが密集しているか否かをより分かり易く表現するため、ROIごとに、シンボルに対して色付けを施すのが望ましい。あるいは、マークその他を付して識別力を高めるようにしてもよい。
図10及び図11には、関係図作成部によって生成される第2関係図が示されている。図10は第2関係図の第1例を示すものであり、図11は第2関係図の第2例を示すものである。第2関係図は主成分分析の結果を示す散布図である。横軸が第1主成分に対応しており、縦軸が第2主成分に対応している。第2関係図上にマッピングされた各点が各グループについて算出された第1主成分及び第2主成分を示している。点ごとにその近傍にシンボルが表示されている。個々のシンボルは、文字列(ROI)、ROI識別情報(ROI番号)及びグループ識別情報(グループ番号)を含んでいる。二次元の散布図に代えて三次元の散布図が作成されてもよい。あるいは、他の関係図が作成されてもよい。
図10に示す第2関係図の第1例においては、符号90,92,94で示すように、個々のROI単位で特定の領域内に複数のシンボルが集まっている。このような表示態様から、個々のROI内においてマススペクトルの変動が小さいことを推察できる。また、ROI間において生じている差が有意な差であることを確認できる。
一方、図11に示す第2関係図の第2例においては、符号96で示すように、個々のROIに帰属する複数のシンボルが分散している。このような表示態様から、マススペクトル内においてマススペクトルのバラツキが大きいことを推察できる。このような表示態様が得られた場合、ROI間における差は有意な差ではない可能性が高くなる。つまり、関心領域単位解析モードを実行した場合、その結果の信頼性が低くなることを事前に確認できる。
図12には、マススペクトル処理方法がフローチャートとして示されている。マススペクトル処理方法は図1に示した情報処理装置において実行されるものである。S12からS30までがサブROI単位解析モードに相当し、S36及びS38がROI単位解析モードに相当する。
S12では、質量分析装置において取得されたマススペクトルセットが情報処理装置へ入力される。S14では、マススペクトルセットに基づいて積算マススペクトルが生成される。その場合には、必要に応じて、ユーザーにより、観測領域中において積算対象となる範囲が指定される。例えば、観測領域の全部が積算対象となってもよいし、観測領域の一部が積算対象となってもよい。S16では、積算マススペクトルに対するユーザーのピーク選択(m/z選択)に基づいて、そのピークに対応するマスイメージが選択され、それが表示される。マスイメージに代えて光学画像等の他の参照画像が表示されてもよい。
S18では、ユーザーにより指定されたROI座標が順次受け付けられる。ROIの個数はユーザーにより選択される。ROI間での多変量解析を行う場合、2つ以上のROI座標が指定される。S18においては、複数のROI座標に基づいて複数のROIが設定される。S20では、設定された個々のROIごとに、ROIに対して複数のグループ(サブROI)が自動的に設定される。その際には、ユーザーにより、グループ数(分割数)が指定され、また、グルーピング方式が指定される。グループ数に代えて1グループを構成するピクセルの個数が指定されてもよい。
S22では、グループ単位で積算マススペクトルが生成される。すなわち、グループを構成する複数のピクセルに対応した複数のマススペクトルが積算され、これにより積算マススペクトルが生成される。S24では、生成された各積算マススペクトルに対してピーク抽出処理が適用され、これによりピーク列が生成される。複数の積算マススペクトルから得られた複数のピーク列により、行列としてのテーブルが生成される。ピーク抽出処理は、ユーザーにより指定されたイオン条件やマスレンジ等に従って実行される。また、S24では、必要に応じて、値を有してないセルに対して0又はそれに相当する値を記入する穴埋め処理が実行される。
S26では、ユーザーにより選択された解析方法が受け付けられ、また、ユーザーにより指定された解析条件が受け付けられる。それらの受け付け情報に従って、S28において、テーブルを構成する複数のレコード(ピーク列)を解析対象として、多変量解析が実行される。S30では、多変量解析の結果に基づいて、その結果を空間的に表現した関係図が生成され、それが表示される。その際においては、表示方法がユーザーにより指定される。
S32で示すように、関係図を自動的に評価するようにしてもよい。例えば、ROI単位でグループ間の総距離を演算し、総距離に基づいてマススペクトルの一様性の程度を示すランクを算出するようにしてもよい。あるいは、ROI単位でグループ間の分散を演算し、その分散からマススペクトルの一様性を評価するようにしてもよい。S34では、ユーザーにより、関係図の内容が評価される。場合によっては、S18に戻って、複数のROIが再設定される。
S36及びS38は、必要に応じて実行されるものであり、それらの工程はROI単位解析モードに相当するものである。S36では、ROI単位で多変量解析が実行される。これはS28の工程で実行される多変量解析と同様の工程であるが、解析単位が異なっている。多変量解析に際しては、S18で設定された複数のROIに対応する複数の積算マススペクトルが対象となる。ROIごとに積算マススペクトルを生成する際には、ROIを構成する複数のピクセルに対応する複数のマススペクトルが積算されてもよいし、S22で生成された複数の積算マススペクトルがROI単位で更に積算されてもよい。S38では、S36で実行された多変量解析の結果に基づいて関係図が生成され、それが表示される。例えば、S16とS18との間に解析モードを選択する工程を設け、選択された解析モードが実行されるようにしてもよい。
上記実施形態によれば、関心領域間においてマススペクトル比較を行う場合において、その比較結果の信頼性を評価できる。すなわち、その比較結果が関心領域間の有意な差を表している可能性、あるいは、その比較結果が関心領域内でのマススペクトルのバラツキの影響を受けている可能性を評価できる。
10 質量分析装置、12 情報処理装置(マススペクトル処理装置)、36 ROI設定部、40 グループ設定部、42 積算マススペクトル生成部、44 テーブル作成部、46 多変量解析部、48 関係図作成部。

Claims (10)

  1. 観測領域に対して複数の関心領域を設定する関心領域設定手段と、
    前記関心領域ごとに当該関心領域を複数のサブ関心領域に区分することにより複数のピクセルグループを設定するグループ設定手段と、
    前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに対して多変量解析を実行し、ピクセルグループごとに多変量解析結果を得る解析手段と、
    前記ピクセルグループごとの多変量解析結果が表された関係図であって前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する生成手段と、
    を含み、
    前記各グループシンボルは、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループが属する関心領域を識別するための関心領域識別情報と、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループを識別するためのグループ識別情報と、
    を含む、ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  2. 観測領域に対して複数の関心領域を設定する関心領域設定手段と、
    前記関心領域ごとに当該関心領域に対して複数のピクセルグループを設定するグループ設定手段と、
    前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに対して多変量解析を実行し、ピクセルグループごとに多変量解析結果を得る解析手段と、
    前記ピクセルグループごとの多変量解析結果が表された関係図であって前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する生成手段と、
    を含み、
    前記グループ設定手段は、前記関心領域ごとに関心領域分割数に従うサンプリングパターンで当該関心領域に属する複数のピクセルを規則的にサンプリングすることにより前記複数のピクセルグループを設定する、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  3. 観測領域に対して複数の関心領域を設定する関心領域設定手段と、
    前記関心領域ごとに当該関心領域に対して複数のピクセルグループを設定するグループ設定手段と、
    前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに対して多変量解析を実行し、ピクセルグループごとに多変量解析結果を得る解析手段と、
    前記ピクセルグループごとの多変量解析結果が表された関係図であって前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する生成手段と、
    を含み、
    前記グループ設定手段は、前記関心領域ごとに当該関心領域に属する複数のピクセルをランダムにグルーピングすることにより前記複数のピクセルグループを設定する、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  4. 請求項2又は3記載の装置において、
    前記各グループシンボルは、当該グループシンボルに対応するピクセルグループが属する関心領域を識別するための関心領域識別情報を含む、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  5. 請求項記載の装置において、
    前記各グループシンボルは、当該グループシンボルに対応するピクセルグループを識別するためのグループ識別情報を含む、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  6. 請求項1、2又は3記載の装置において、
    前記ピクセルグループごとに当該ピクセルグループを構成する複数のピクセルに対応する複数のマススペクトルを積算することにより積算マススペクトルを生成する手段を含み、
    前記解析手段は、前記複数の関心領域に対して設定された前記複数のピクセルグループに対応する複数の積算マススペクトルに対して前記多変量解析を実行する、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  7. 請求項1、2又は3記載の装置において、
    前記多変量解析はクラスター解析であり、
    前記生成手段は、前記クラスター解析の結果に従って前記複数のグループシンボルを並べることにより前記関係図を生成する、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  8. 請求項1、2又は3記載の装置において、
    前記多変量解析は主成分分析であり、
    前記生成手段は、前記主成分分析の結果に従って前記複数のグループシンボルをマッピングすることにより前記関係図を生成する、
    ことを特徴とするマススペクトル処理装置。
  9. サブ関心領域単位解析工程と関心領域単位解析工程とを含み、
    前記サブ関心領域単位解析工程は、
    観測領域に対して複数の関心領域を設定する工程と、
    前記関心領域ごとに当該関心領域複数のサブ関心領域に区分することにより複数のピクセルグループを設定する工程と、
    前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに対して多変量解析を実行し、ピクセルグループごとに多変量解析結果を得る工程と、
    前記ピクセルグループごとの多変量解析結果が表された関係図であって前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する工程と、
    を含み、
    前記各グループシンボルは、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループが属する関心領域を識別するための関心領域識別情報と、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループを識別するためのグループ識別情報と、
    を含み、
    前記関心領域単位解析工程では、前記複数の関心領域に対応する複数のマススペクトルに基づいて、関心領域間の関係が解析される、
    ことを特徴とするマススペクトル処理方法。
  10. 情報処理装置においてマススペクトル処理方法を実行するためのプログラムであって、
    観測領域に対して複数の関心領域を設定する機能と、
    前記関心領域ごとに当該関心領域を複数のサブ関心領域に区分することにより複数のピクセルグループを設定する機能と、
    前記複数の関心領域に対して設定された複数のピクセルグループに対応する複数のマススペクトルに対して多変量解析を実行し、ピクセルグループごとに多変量解析結果を得る機能と、
    前記ピクセルグループごとの多変量解析結果が表された関係図であって前記ピクセルグループ間の関係が複数のグループシンボルの位置関係によって表現された関係図を生成する機能と、
    を含み、
    前記各グループシンボルは、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループが属する関心領域を識別するための関心領域識別情報と、
    当該グループシンボルに対応するピクセルグループを識別するためのグループ識別情報と、
    を含む、ことを特徴とするプログラム。
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