JP7064864B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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Description

本発明はディスプレイ表面の透明基板を保護するための表面保護フィルムに関する。
スマートフォン、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー等のディスプレイを備えた電子機器において、ディスプレイ表面の透明基板を保護するために、表面保護フィルムを貼り合わせる場合がある。表面保護フィルムには、光透過性、非着色性、耐候性、耐可塑剤性、防汚性などが求められる。また、近年、これらの電子機器は、静電容量式タッチパネルにより操作されることが一般的となり、タッチペンの書き味、操作性、耐擦傷性、タッチペンの先端で押し込まれたフィルムが経時で元に戻る自己修復性などが新たに求められている。
このような表面保護フィルムとして、本出願人らは、特許文献1として、ポリエーテルポリオールと脂肪族イソシアネートとアルコール系硬化剤と非アミン系触媒の硬化物である熱硬化性ポリウレタンからなる保護層、透明基材フィルム、粘着剤層の三層がこの順に積層されている表面保護フィルムを、また、本件出願時には未公開であるが、特許文献2として、ポリカーボネート系ポリウレタンからなる保護層、透明基材フィルム、粘着剤層の三層がこの順に積層されている表面保護フィルムを提案している。
表面保護フィルムは、指によって操作されるものであるため、指から皮脂、食用油、化粧品、ハンドクリーム等の様々な油分が付着する。表面フィルムに付着した油分は、拭き取られることなく長期に亘って表面フィルム上に留まる場合があるため、表面保護フィルムには高度な耐油性が要求される。
国際公開第2017/094480号 特願2016-163902号
本発明は、耐油性に優れた表面保護フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための、本発明の構成は以下のとおりである。
1.炭素含有ケイ素からなる防汚層、ポリウレタンからなる保護層の少なくとも二層がこの順に積層され、
前記防汚層のジヨードメタンに対する接触角が67.2度以上であることを特徴とする表面保護フィルム。
2.前記防汚層のジヨードメタンに対する接触角が71.0度以上であることを特徴とする1.に記載の表面保護フィルム。
3.前記防汚層、前記保護層、透明基材フィルムの少なくとも三層が、この順に積層されていることを特徴とする1.または2.に記載の表面保護フィルム。
4.前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の表面保護フィルム。
5.1.~4.のいずれかに記載の表面保護フィルムの前記防汚層側表面に離型フィルム、他方の表面に剥離フィルムが積層されていることを特徴とする表面保護フィルム積層体。
6.炭素含有ケイ素からなる防汚層、ポリウレタンからなる保護層の少なくとも二層がこの順に積層され、前記防汚層のジヨードメタンに対する接触角が67.2度以上である表面保護フィルムの製造方法であって、
材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、
前記材料組成物を、前記第一および第二の間隙維持部材の間に保持された状態で熱硬化して前記保護層とし、
第一および第二の間隙維持部材の一方を剥離し、前記保護層の露出面に有機ケイ素化合物の大気圧プラズマCVD法により前記防汚層を形成することを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。
7.前記第一および第二の間隙維持部材の他方を、表面保護フィルムの透明基材フィルムとすることを特徴とする6.に記載の表面保護フィルムの製造方法。
8.前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする6.または7.に記載の表面保護フィルムの製造方法。
9.前記第一および第二の間隙維持部材の一方が離型処理が施されているフィルム、他方が離型処理が施されていないフィルムであることを特徴とする6.~8.のいずれかに記載の表面保護フィルムの製造方法。
10.前記第一および第二の間隙維持部材の一方が凹凸を有するフィルムであり、該凹凸を有する面で材料組成物を保持することを特徴とする6.~9.のいずれかに記載の表面保護フィルムの製造方法。
本発明の表面保護フィルムは、耐油性に優れている。本発明の表面保護フィルムは、皮脂、食用油、化粧品、ハンドクリーム等の油分が長期に亘って付着しても、膨潤や変色が起こりにくい。
ポリカーボネート系ポリウレタンからなる保護層は、耐可塑剤性に優れ、ポリエステル系ポリウレタンからなる保護層は、耐可塑剤性、耐油性に優れる。そのため、これらのポリウレタンからなる保護層を用いた保護フィルムは、さらに耐油性に優れている。
保護層が50μm以上300μm以下の厚みを有する本発明の表面保護フィルムは、表面保護フィルムとして使用可能な光学特性を満足し、さらに、自己修復性、タッチペンでの筆記感に優れている。また、保護層の最表面に凹凸を形成した本発明の表面保護フィルムは、防眩性を有する。
本発明の表面保護フィルムに、離型フィルムと剥離フィルムとを積層した表面保護フィルム積層体は、防汚層と粘着剤層とが保護されており、取り扱い性に優れている。
本発明の製造方法により、保護層と防汚層を連続的に製造することができる。さらに、湿式塗布法では製造が困難な50μm以上300μm以下の厚みを有する保護層を、光学特性を低下させることなく製造することができる。また、転写法により、保護層の表面に凹凸を容易に形成することができる。
本発明の一実施態様である表面保護フィルムを示す図。 本発明の一実施態様である表面保護フィルムをディスプレイ表面の透明基板に貼り合わせた様を示す図。 表面保護フィルム積層体を示す図。 表面保護フィルムの保護層の製造方法を示す図。
図1、2に、それぞれ、本発明の一実施態様である表面保護フィルム、一実施態様である表面保護フィルムをディスプレイ表面に位置する透明基板に貼り合わせた様を示す。なお、図1、2において、各層の厚さは実際の厚さを意味するものではない。
一実施態様である表面保護フィルム10は、炭素含有ケイ素からなる防汚層1、ポリウレタンからなる保護層2、透明基材フィルム3、粘着剤層4の四層がこの順に積層されてなる。また、一実施態様である表面保護フィルム10は、透明基板20上に粘着剤層4を介して貼り合わせられる。
このように、本発明の表面保護フィルムは、透明基板表面に貼り付けられることにより、透明基板の傷付き、ひび割れ、汚れ等を防止するものである。
「防汚層」
本発明の表面保護フィルムは、最表面に炭素含有ケイ素からなる防汚層を有する。この防汚層は、少なくともSiとCとOを含有し、SiO、SiOC等の化学構造を有する。
防汚層の厚さは特に制限されないが、耐油性、柔軟性、透明性等の点から、1nm以上3000nm以下であることが好ましい。防汚層の厚さが1nm未満では、十分な防汚性が得られない場合がある。防汚層の厚さが3000nmより厚いと、柔軟性、透明性が低下する場合がある。
本発明の表面保護フィルムは、防汚層のジヨードメタンに対する接触角が67.2度以上であることを特徴とする。ジヨードメタンに対する接触角は、71.0度以上であることがより好ましく、80.0度以上であることがさらに好ましい。ジヨードメタンに対する接触角が大きいほど、耐油性に優れ、様々な油分が長期に亘って表面に付着しても、膨潤や変色が起こらない。
防汚層の製造方法は特に制限されず、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。これらの中で、減圧が不要で、連続生産が可能なため、大気圧プラズマCVD法が好ましい。
プラズマCVD法による防汚層の形成に用いる原料ガスとしては、有機ケイ素化合物を用いる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、単独、または2種以上を組合せて使用することができる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、取り扱い性、得られる防汚層の耐油性等の点から、ヘキサメチルジシラザン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
また、原料ガスとともに、酸化物を形成する酸素、オゾン等、窒化物を形成するアンモニア等の反応ガスを用いることもできる。また、これらの反応ガスは、単独、または2種以上を組合せて使用することができ、例えば、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組合せて使用することにより、酸窒化物を形成することができる。
「保護層」
保護層は、ポリウレタンからなる。ポリウレタンは、少なくともポリオールとイソシアネートとアルコール系硬化剤とを含有する材料組成物を反応させて得られる。
a.ポリオール
ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類、あるいは、ビスフェノールA、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド付加物類のポリエーテル系ポリオール;アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル系ポリオール;ポリカプロラクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール等のポリカーボネート系ポリオール等;及び、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変成体、さらにはこれらの混合物等を挙げることができる。
これらの中で、ポリカーボネート系ポリオールから得られるポリカーボネート系ポリウレタンは、耐可塑剤性に優れ、ゴム製品等の接触により可塑剤が表面保護フィルムに移行して膨潤することを防ぐことができる。また、ポリエステル系ポリオールから得られるポリエステル系ポリウレタンは、耐可塑剤性、耐油性に優れ、可塑剤、皮脂等の様々な油分が表面保護フィルムに移行して膨潤することを防ぐことができる。
a1.ポリカーボネート系ポリオール
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。また、ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変成体、さらにはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-ドデカンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記ジオールとしては、炭素数が4~9の脂肪族ジオール、または脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、および、1,9-ノナンジオールを単独で又は2種以上併用することが好ましい。また、分岐構造を有さないものがより好ましい。
a2.ポリエステル系ポリオール
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル系ポリオールが挙げられる。
これらの中で、二塩基酸としてコハク酸を使用したコハク酸エステル系のポリウレタンが、特に耐可塑剤性、耐油性に優れるため好ましい。
ポリオールの数平均分子量は、200以上10,000以下であることが好ましく、500以上5,000以下であることがより好ましく、800以上3,000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が200未満では、反応が速すぎて取り扱い性が悪く、また、成形体が柔軟性を失うとともに脆くなる場合がある。一方、数平均分子量が10,000より大きいと、粘度が高くなりすぎて取り扱い性に劣り、また、成形体が結晶化して白濁する場合がある。なお、本発明において、数平均分子量は、JIS K1557に準じて測定したポリオールの水酸基価より算出した分子量を意味する。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
b.イソシアネート
イソシアネートとしては、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものを特に制限することなく用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ-ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を用いることができる。これらの中から、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、保護層を形成するポリウレタンは、イソシアネート成分として芳香環を有さない脂肪族イソシアネートを用いることが好ましい。脂肪族イソシアネートから得られるポリウレタンは、黄変しにくく、光源、太陽光線等からの光や熱により、ポリウレタンが変色して透明性が低下することを防ぐことができる。
c.アルコール系硬化剤
本発明の保護層を形成するポリウレタンは、硬化剤としてアルコール系硬化剤を使用する。アルコール系硬化剤は、アミン系硬化剤と比較して人体、環境への悪影響が小さい。
アルコール系硬化剤としては、分子中に2つ以上のヒドロキシ基を有するものであれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、シクロペンタントリオール、シクロヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらの中で、2価アルコールとしては、取り扱い性、力学物性の観点からは1,4-ブタンジオールが好ましく、白濁防止の観点からはシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の環状構造を有する2価アルコールが好ましい。3価アルコールとしてはトリメチロールプロパンが、取り扱い性、力学物性の観点から好ましい。
アルコール系硬化剤として、2価アルコールを単独で使用した場合は、成形体が結晶化して白濁する場合があること、3価アルコールを主成分とした場合は、強度が低下する場合があることから、2価アルコールと3価アルコールとを併用することが好ましい。具体的には、2価アルコール50~100重量部、3価アルコール50~0重量部の範囲で用いることが好ましく、2価アルコール60~80重量部、3価アルコール40~20重量部の範囲で用いることがさらに好ましい。そして、2価アルコールとして1,4-ブタンジオールを使用すると白濁する場合には、1,4-ブタンジオールの一部、または全部を環状構造を有する2価アルコールに置き換えればよい。
d.触媒
本発明の保護層を形成するポリウレタンは、非アミン系触媒の存在下で熱硬化させることが好ましい。非アミン系触媒を使用することにより、非着色性、透明性、耐候性に優れたポリウレタンを得ることができる。それに対し、アミン系触媒で熱硬化させたポリウレタンは、出射光が黄色くなり、また、経時で外観が着色してしまう場合がある。
非アミン系触媒としては、例えば、ジラウリル酸ジ-n-ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、カルボン酸錫塩、カルボン酸ビスマス塩等が挙げられる。これらの中で、有機錫化合物が、反応速度を調節しやすいため好ましい。
非アミン系触媒は、上記したa.~c.の総量に対して、0.0005重量%以上3.0重量%以下となるように添加することが好ましい。0.0005重量%未満では、反応速度が十分に速くならず、効率よく成形体を得ることができない場合がある。3.0重量%より多いと、反応速度が速くなりすぎて、均一な厚みの成形体を得ることができなくなる、成形体の耐熱性や耐候性が低下する、光透過率が低下する、成形体が着色するなどの不具合を生じる場合がある。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
保護層を形成するポリウレタンは、その要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤等の各種添加剤を含有することができる。
保護層は、少なくとも、ポリオールとイソシアネートとアルコール系硬化剤を含む材料組成物を、触媒で硬化させたポリウレタンからなる成形体であり、その成形方法は、ワンショット法、プレポリマー法、擬プレポリマー法のいずれでもよい。
ワンショット法では、ポリオール、イソシアネート、アルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒を一括して投入し、硬化させることによりポリウレタンの成形体を作製することができる。
プレポリマー法では、ポリオールと化学量論的に過剰量のイソシアネートとを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを予め調製しておき、ここに所定量のアルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒を混合して、プレポリマーを硬化させることによりポリウレタンの成形体を作製することができる。
擬プレポリマー法では、ポリオールの一部を予めアルコール系硬化剤に混合しておき、残りのポリオールとイソシアネートによりプレポリマーの調製を行い、ここに予め混合しておいたポリオールとアルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒との混合物を混合して硬化させることによりポリウレタンの成形体を作製することができる。
本発明において、ポリウレタンの熱硬化前の材料組成物における、アルコール系硬化剤に含まれる水酸基(-OH)のモル数と、イソシアネートまたはプレポリマーのイソシアネート基(-NCO)のモル数との比(-OH/-NCO:以下、α比という。)が、0.80以上1.50以下であることがより好ましく、0.90以上1.45以下がより好ましく、1.02以上1.4以下がさらに好ましい。0.80未満では、力学物性が不安定になり、1.50より大きいと、表面粘着性が増し、良好な書き味が損なわれる。
また、ポリウレタンは、アクリル骨格(アクリル骨格又はメタクリル骨格)を含有しないことが好ましい。すなわち、本発明の保護層を形成するポリウレタンは、アクリル変性ポリウレタンを含まないことが好ましい。アクリル骨格を有するポリウレタンは、ポリウレタンの柔軟性が損なわれるとともに耐摩耗性や引裂強度などの力学的強度が低下することがあり、また、アクリル骨格又はアクリル骨格を導入するために使用した触媒の残渣により、出射光が着色することがある。
保護層の厚みは、50μm以上300μm以下が好ましく、100μm以上200μm以下がより好ましい。保護層が50μm以上300μm以下の厚みを有することにより、タッチペンの書き味、滑り性が非常に良好となり、操作性、自己修復性にも優れる。保護層の厚みが50μm未満では、書き味、自己修復性が低下する。保護層の厚みが300μmより厚いと、書き味、滑り性、操作性、自己修復性が低下し、また、均一な厚さで成形することが困難となる。50μm以上300μm以下であれば、表面保護フィルムに求められる性能がバランスよく発揮され、また、製造も容易である。
「透明基材フィルム」
透明基材フィルムは、保護層を保持するものである。透明基材フィルムを構成する材料は、透明性、可撓性、機械的強度に優れるものであれば特に制限することなく用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系樹脂(COP)、ポリイミド(PI)などを好適に用いることができる。
透明基材フィルムの厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。本発明の表面保護フィルムにおいて、通常、保護層を形成するポリウレタンの熱膨張係数が、透明基材フィルムを構成する材料の熱膨張係数よりも大きいため、透明基材フィルムの厚さが50μm未満では、低温時の保護層の収縮に透明基材フィルムが抗しきれず、表面保護フィルムが透明基板から剥がれることがある。透明基材フィルムの厚さが500μmより厚いと、表面保護フィルムが嵩張り、コストが増加する。また、タッチパネル式のディスプレイ表面に貼り合わせた際の操作性が低下する。なお、下記「保護層の製造方法」で詳述するが、保護層は、透明基材フィルム上に直接成形することができる。この製造方法を用いる場合、材料組成物を熱硬化させて保護層とする際の加熱時の変形を防ぐために、透明基材フィルムは厚いほうが好ましい。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
「粘着剤層」
粘着剤層は、ディスプレイ表面の透明基板に、表面保護フィルムを貼り合わせるためのものである。粘着剤の種類は特に限定されず、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂等を用いることができる。これらの中で、アクリル系樹脂は、防汚処理、低反射処理等の表面処理がなされた透明基板であっても貼り付けることができる。また、シリコン系樹脂は、Wetting性に優れ、透明基板への貼り付け時に気泡が生じにくく、再剥離性がよく剥離時に糊残りしにくい。粘着剤層の厚みは、通常5μm以上60μm以下の範囲内であるが、要求仕様に合わせて適宜調節することができる。
「表面保護フィルム」
一実施態様である表面保護フィルム10は、炭素含有ケイ素からなる防汚層1、ポリウレタンからなる保護層2、透明基材フィルム3、粘着剤層4の四層がこの順に積層されてなる。本発明の表面保護フィルムは、各層の間に密着性を高めるための中間層や、ブルーライトをカットするブルーライトカット層を備えることもできる。
表面保護フィルムの全光線透過率は90%以上であることが好ましい。ただし、青色領域の可視光をカットするブルーライトカット能を備える場合は、全光線透過率は60%以上であることが好ましい。
本発明の表面保護フィルムを、生産から透明基板へ貼付して使用されるまで保護するために、表面保護フィルムの防汚層側、粘着剤層側の表面に、それぞれ離型フィルム、剥離フィルムを貼着し、表面保護フィルム積層体とすることができる。図3に、一実施態様である表面保護フィルム10に、離型フィルム5、剥離フィルム6を貼着した表面保護フィルム積層体30を示す。なお、図3において、各層の厚さは実際の厚さを意味するものではない。
離型フィルムは、最表面に位置する防汚層の汚れ、埃付着、傷付き等を防止するものであり、防汚層と貼り合わせる側の表面に離型処理が施されたフィルムを用いることが好ましい。離型処理が施された離型フィルムを、防汚層から剥離すると、防汚層表面に離型フィルムに含まれていた離型剤が移行し、離型フィルムを剥離した直後の防汚層表面に滑り性を付与することができ、使用開始直後からタッチ操作を違和感なく行うことができる。
剥離フィルムは、粘着剤層の汚れ、埃付着、粘着力の低下等を防ぐものである。剥離フィルムは、特に制限されず、粘着剤層と貼り合わせる側の表面に離型処理が施されたフィルムを好適に利用することができる。
「保護層の製造方法」
保護層は、未硬化の材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一、および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、材料組成物が二つの間隙維持部材の間に保持された状態で加熱装置に導入し、材料組成物を熱硬化してポリウレタンとすることにより製造することができる。材料組成物は、少なくともポリオール、イソシアネート(または、これらからなるウレタンプレポリマー)、アルコール系硬化剤を含有する。
図4に、保護層の製造方法の模式図を示す。以下、図4を用いて保護層の製造方法を説明する。
材料組成物40aを、注型機41を介して、離間して配置された一対の搬送ロール43a、43bにより送り出される第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に流し込む。第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、その間に材料組成物40aを保持した状態で加熱装置46内に導かれる。材料組成物40aは、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間に保持された状態で熱硬化して、ポリウレタンのシート状物40となる。
なお、図4において、44は第一、および第二の間隙維持部材42a、42bを送り出すための搬送ロール、45は補助ロール、47は材料組成物40aを間に保持した第一、および第二の間隙維持部材42a、42bを加熱装置46内で搬送するためのコンベアベルトである。
第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、材料組成物を熱硬化させる際に熱変形しない材料であれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系樹脂(COP)、ポリイミド(PI)等の高分子材料からなる長尺フィルムを用いることができる。なお、図4に示す模式図では、間隙維持部材として高分子材料からなる長尺フィルムを用いているが、これらの高分子材料やアルミニウム等の金属材料からなる無端ベルトを用いることもできる。
第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、その間に材料組成物40aを保持しながら同一の張力で引っ張られて搬送されるため、その間隙を一定の大きさに維持することができる。材料組成物40aは、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bに挟まれ、一定の厚みを維持した状態で硬化することにより、厚み精度に優れたポリウレタンのシート状物40となる。この製造方法により、塗布では困難な50μm以上の厚みを有し、表面保護フィルムの保護層として実用的な光学特性を有するシート状物40を連続的に成形することができる。
注型機41のヘッド部41aの位置は、搬送ロール43a、43bの中央部(第一、および第二の間隙維持部材42a、42bがなす間隙の中央部)より、いずれか一方の搬送ロール側に偏在していることが好ましく、また、偏在距離が搬送ロールの半径以下であることが好ましい。すなわち、注型機41のヘッド部41aの直下は、一対の搬送ロール43a、43bの中央部から一方の搬送ロールの中心軸までの間に位置することが好ましい。また、ヘッド部41aの先端部と、搬送ロールの表面との最短距離は、5cm以下であることが好ましい。ヘッド部41aをこのように配設することにより、ポリウレタンのシート状物40の厚み精度がより向上するとともに、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に流し込まれた未硬化の材料組成物40aに気泡が混入しにくく、また、混入した気泡が抜けやすい。
搬送ロール43a、43bは、単に搬送機能のみを有するものでもよいが、加熱ロールであることが好ましい。搬送ロールが加熱ロールであると、材料組成物40aが、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に保持された直後から硬化を開始することができ、材料組成物40aが加熱装置46内に導入されるまでに厚さをより均一に維持することができ、より厚み精度に優れるポリウレタンのシート状物40を成形することができる。搬送ロール43a、43bを加熱する際の搬送面温度は、10℃以上60℃以下に設定することが好ましい。10℃未満では、材料組成物40aの粘度が高くなって気泡が抜けにくくなるとともに、硬化反応が遅くなってシート状物40の厚み精度が低下する。60℃を超えると、搬送ロール上で材料組成物40aが硬化したり、シート状物40に気泡が入ったりする場合がある。
加熱装置46は、ヒータを備えた加熱炉であり、材料組成物40aの硬化温度まで炉内温度を上昇させることができるものであればよい。また、加熱装置46内での加熱条件(硬化条件)は特に限定されず、材料組成物40aの組成に応じて適宜設定すればよく、例えば、40℃以上160℃以下、1分以上180分以下の条件で行えばよい。
加熱装置46からは、第一の間隙維持部材42a、ポリウレタンのシート状物40、第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体が搬出される。そして、この長尺状積層体のシート状物40が、本発明の表面保護フィルムにおける保護層となる。
「表面保護フィルム積層体の製造方法」
上記製造方法において、第一の間隙維持部材42a、第二の間隙維持部材42bの一方は、保護層表面に防汚層を形成する際に剥離される。そして、第一の間隙維持部材42a、第二の間隙維持部材42bの他方を、表面保護フィルムの透明基材フィルムとすることができる。以下、第一の間隙維持部材42aが透明基材フィルムとなる場合を例として説明する。
上記製造方法により、透明基材フィルムとなる第一の間隙維持部材42a、保護層となるポリウレタンのシート状物40、第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体が搬出される。この際、透明基材フィルムとなる第一の間隙維持部材42aは離型処理が施されていないフィルム、第二の間隙維持部材42bは離型処理が施されているフィルムを使用することが好ましい。
・防汚層の形成
加熱装置から搬出された長尺状積層体の第二の間隙維持部材42bを剥離し、保護層の露出面に有機ケイ素化合物の大気圧プラズマCVD法により防汚層を形成する。防汚層の形成後には、防汚層の汚れ、埃付着、傷付き等を防止するために、離型処理が施された離型フィルムを貼り合わせる。
・接着剤層の形成
次いで、第一の間隙維持部材42a側表面に塗布等により粘着剤層を形成し、この粘着剤層上に剥離フィルムを貼り合わせることにより、長尺状の表面保護フィルム積層体30を得ることができる。
なお、上記した表面保護フィルム積層体の製造方法は一例であり、例えば、粘着剤層の形成後に防汚層の形成を行うこともできる。また、透明基材フィルム/粘着剤層/剥離フィルムがこの順に積層されてなる積層体を、第一の間隙維持部材42aとして用いることもできる。さらに、第二の間隙維持部材42bとして凹凸を有するフィルムを用い、凹凸を有する面で材料組成物40aを保持することにより、シート状物40の最表面に凹凸を転写し、得られる保護層に防眩性を付与することができる。
本製造方法により、表面保護フィルム積層体30をいわゆるロールtoロールで連続的に製造することができる。製造された表面保護フィルム積層体30は、両面にそれぞれ離型フィルム5と剥離フィルム6とを備えているため、表面保護フィルムの傷付き、汚染等を防ぐことができ、取り扱い性に優れている。なお、上記したとおり、表面保護フィルム積層体は、全体を通じてロールtoロールで製造することもできるが、裁断後に防汚層、粘着剤層の形成を行うこともできる。
表面保護フィルム積層体は、ロール状に巻回して出荷してもよく、シート状に裁断してから出荷してもよい。また、第一の間隙維持部材42a、ポリウレタンのシート状物40、第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体として、またはこの長尺状積層体を裁断したシート状積層体として出荷し、ディスプレイ工場等で防汚層、粘着剤層の形成を行うこともできる。
なお、上記製造方法は一例であり、例えば、上記「保護層の製造方法」で製造した保護層と、シート状またはロール状の透明基材フィルムを貼り合わせることにより製造することもできる。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
「保護層の製造」
分子量2000、水酸基価55であるポリ(1,6-ヘキサンカーボネート)ジオール(東ソー株式会社製、商品名:980R)を100g、イソホロンジイソシアネートを48.0g、1,4-ブタンジオール/トリメチロールプロパン=60/40の重量比からなるアルコール系硬化剤を16.0g(α比=1.05)、非アミン系触媒として有機錫化合物を250ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした。
離型フィルムとしてシリコン処理した厚み125μmのPET、透明基材フィルムとして厚み100μmのPETを使用し、上記成形方法により、ポリカーボネート系ポリウレタンからなり、表面が平滑な保護層(厚み150μm)と透明基材フィルムの積層体を製造した。
離型フィルムとしてシリコン処理した表面に凹凸を有する厚み125μmのPETを使用し、凹凸を有する面で材料組成物を保持した以外は、上記と同様にして、表面に凹凸を有する保護層(厚み150μm、防眩)と透明基材フィルムの積層体を製造した。
得られた積層体を10cm×15cmの大きさに裁断し、防汚層形成用のクリアサンプルと防眩サンプルとした。
「実施例1」
クリアサンプルから離型フィルムを剥離し、下記条件で大気圧プラズマCVD処理を行い、保護層上に炭素含有ケイ素からなる防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
この表面保護フィルム表面をFT-IR測定したところ、Si-C(1250cm-1付近)、Si-O(1100cm-1付近)に由来するピークの存在が確認できた。
「プラズマ処理条件」
処理装置:ジェネレーター(FG5001)、トランスフォーマー(HTR12)、ノズルジェット(PFW10)、コーティングシステム(PAD1)(日本プラズマトリート株式会社製)。
周波数:20kHz、電圧:300V、HMDS(ヘキサメチルジシラザン):10g/h、処理時間:0.5秒、距離:20mm、放電ガス:Air下、およびアルゴン(1%水素含有)。
「実施例2」
処理時間を1.5秒とした以外は、実施例1と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
「実施例3」
HMDSを20g/hとした以外は、実施例1と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
「実施例4」
HMDSを35g/h、処理時間を1.0秒とした以外は、実施例1と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
「実施例5」
防眩サンプルを使用した以外は、実施例4と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
「比較例1」
大気圧プラズマ処理を0.3秒とした以外は、実施例1と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
「比較例2」
防眩サンプルを使用した以外は、上記比較例1と同様にして防汚層を形成し、表面保護フィルムを得た。
上記で製造した各表面保護フィルムと、クリアサンプル、防眩サンプルについて、下記に示す評価を行った。結果を表1に示す。
・ジヨードメタン接触角
形成直後の防汚層、及び、離型フィルム剥離直後の保護層について、全自動ハンディ接触角計(KRUSS社製 MSA)を用いて、ジヨードメタンの接触角を測定した。
また、同時に測定した純水の接触角から、表面自由エネルギーを求めた。

・ウォーレス硬度
Micro Hardness Tester(cogenix社製)を用い、透明基材フィルムを下側に載置して、防汚層側、または保護層側表面を測定した。

・ヘイズ、全光線透過率
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH7000(CU-II仕様))にて、防汚層側、または保護層側を光源側に配置して、ヘイズと全光線透過率を測定した。

・耐油性
防汚層、または保護層に、オレイン酸を1滴滴下した。滴下して1日後、3日後、7日後に、オレイン酸を全て拭き取り、滴下箇所を目視で確認し、下記基準で評価した。
1 :液滴の跡が見られない。
2 :液滴が存在した箇所が変色、または、若干膨潤している。
3 :液滴が存在した箇所が膨潤している。
Figure 0007064864000001
防汚層のジヨードメタン接触角が67.2度以上である本発明の表面保護フィルムは、耐油性に優れ、オレイン酸付着1日後に、液滴の跡が見られなかった。ジヨードメタン接触角が大きくなるほど耐油性に優れ、ジヨードメタン接触角が71.0度以上である実施例3~5で製造した表面保護フィルムはオレイン酸付着3日後、ジヨードメタン接触角が80.0度以上である実施例4、5で製造した表面保護フィルムはオレイン酸付着7日後も、液滴の跡が残らなかった。
それに対し、防汚層または保護層のジヨードメタン接触角が67.2度未満である比較例の表面保護フィルムは、オレイン酸付着1日後に、膨潤し、液滴の跡がはっきりと視認できた。
1 防汚層
2 保護層
3 透明基材フィルム
4 粘着剤層

5 離型フィルム
6 剥離フィルム

10 表面保護フィルム
20 透明基板
30 表面保護フィルム積層体

40 シート状物
40a 材料組成物
41 注型機
41a ヘッド部
42a 第一の間隙維持部材
42b 第二の間隙維持部材
43a 搬送ロール
43b 搬送ロール
44 搬送ロール
45 補助ロール
46 加熱装置
47 コンベアベルト

Claims (9)

  1. 炭素含有ケイ素からなる防汚層、ポリウレタンからなる保護層の少なくとも二層がこの順に積層され、
    前記防汚層のジヨードメタンに対する接触角が71.0度以上であることを特徴とする表面保護フィルム。
  2. 前記防汚層、前記保護層、透明基材フィルムの少なくとも三層が、この順に積層されていることを特徴とする請求項に記載の表面保護フィルム。
  3. 前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の表面保護フィルムの前記防汚層側表面に離型フィルム、他方の表面に剥離フィルムが積層されていることを特徴とする表面保護フィルム積層体。
  5. 炭素含有ケイ素からなる防汚層、ポリウレタンからなる保護層の少なくとも二層がこの順に積層され、前記防汚層のジヨードメタンに対する接触角が67.2度以上である表面保護フィルムの製造方法であって、
    材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、
    前記材料組成物を、前記第一および第二の間隙維持部材の間に保持された状態で熱硬化して前記保護層とし、
    第一および第二の間隙維持部材の一方を剥離し、前記保護層の露出面に有機ケイ素化合物の大気圧プラズマCVD法により前記防汚層を形成することを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。
  6. 前記第一および第二の間隙維持部材の他方を、表面保護フィルムの透明基材フィルムとすることを特徴とする請求項に記載の表面保護フィルムの製造方法。
  7. 前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする請求項またはに記載の表面保護フィルムの製造方法。
  8. 前記第一および第二の間隙維持部材の一方が離型処理が施されているフィルム、他方が離型処理が施されていないフィルムであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の表面保護フィルムの製造方法。
  9. 前記第一および第二の間隙維持部材の一方が凹凸を有するフィルムであり、該凹凸を有する面で材料組成物を保持することを特徴とする請求項のいずれかに記載の表面保護フィルムの製造方法。
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