JP7064791B2 - 粉・粒物用バケット - Google Patents
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圃場にてコンバインハーベスターによって刈り取られた稲や麦は、脱穀され籾米や殻麦となって送出され、また、穀類の籾摺り加工によって発生した籾殻は、圃場のマルチング資材として利用したり、そのままか、または、籾殻燻炭に加工した上、圃場にすき込んで土壌を改善したりするのに用いる外、精米や精麦の加工の段階で発生した糠は、そのまま圃場にすき込んだり、肥料の材料に用いたりすることが一般的に広く行われており、こうした粉体や粒体の搬送には、トラックに搭載するコンテナーや、トラクターまたはフォークリフトなどで搬送可能なバケットなどが用いられている。
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、粒体収容部は、底収容部と、該底収容部の上方に連結されて一体に設けた可撓性シート材で構成された袋状収容部と、これらを支持する平面視略矩形状を呈する枠体とで構成され、前記底収容部は、下方に連通する開口部を有し、該開口部下方には収納粒体を排出する排出機構が設けられた粒体搬送容器において、前記底収容部底面は、底収容部底面内に設けた前記開口部に向けて開口部側が粒体収容部外側より低い傾斜を有して漏斗状に成形されるとともに、前記底収容部は前記枠体に対し弾性部材を介し支持されていて、収容された粒体の排出時に底収容部を振動させる振動手段が設けてあり、従来のように粒体収容部の下方部に大きな傾斜面を設ける必要が無く、僅かの傾斜の底面を有する底収容部を振動させることで排出部である底面開口部に粒体を移動させ排出可能となり、従来に比較して粒体収容部下方の空間部が少なくなり有効にスペースを利用できるため、同じ収容量であれば高さ寸法をより低くすることができるとともに重心を低くすることができる粒体搬送容器が知られている。
そして、特許文献1(2)のフレキシブルコンテナなどは、底蓋の開閉操作を胴部の前側から行うことができ、しかも特別な送出駆動源を要さずとも収容物の自重による落下によって送出を行うものとなっているが、底蓋の全幅が開放されてしまう上、一度開放してしまうと内容物の放出を一時的に停止するなどの細かな送出制御が困難な構造のものであったため、収容物を該フレキシブルコンテナよりも小さな容器に供給するのが困難となっていた。
上述したとおり、従前までに提案のある各種粒体搬送容器などは、何れも排出用モータや、粒体の排出を促進する振動用モータなどの排出専用の駆動装置類を必要とするものであり、必ず外部からの駆動用エネルギーや駆動力などの供給が不可欠なものであり、その利便性を考慮すると、トラックなどの電力や駆動力の供給源を備えた車両などに搭載して利用するのが望ましいものであり、また、底蓋の全幅を開放するフレキシブルコンテナなどは、外部からのエネルギーの供給や駆動力の入力を必要とせず、手作業によって底蓋を開放可能なものとなっているが、より小容量で供給口の小さなフレキシブルコンテナバッグなどに粒体を供給する場合には、漏斗を介して供給するか、注ぎ口を有するバケットに一時的に収容した上で、小さなフレキシブルコンテナに注ぎ込むなどの作業を要するものであり、また、一端開放した底蓋を再度閉鎖して粒体の流出を停止するような作業は、略不可能なものであるなど、複数個の小さなフレキシブルコンテナバッグに小分けに詰めるような作業は、非常に困難なものであるという欠点が残るものであり、こうした粉・粒体の運搬や小分け作業などをより、効率的に行える新たなバケット技術の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
そこで、この発明は、粉・粒体を効率的に収容し、簡便に運搬可能な上、底面の面積よりも小さく吐出口を開口し、より小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類に小分けする作業の効率化を実現化できる新たな粉・粒物用のバケット技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の粉・粒物用バケットを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の粉・粒物用バケットは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられた構成を要旨とする粉・粒物用バケットである。
また、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、この発明の粉・粒物用バケットや、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各摺接縁と各摺接内面壁との間から不用意に粉・粒体が漏出してしまうのをより完璧に阻止できるものとなる。
箱型容器は、粉・粒体などの収容の対象物を上部から収容可能とし、運搬用係合部を機能させ、下部に底壁ホッパー機構を吊下支持し、開閉機構を支持するなど、この発明の粉・粒物用バケットの本体機能を担い、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられたものとしなければならず、収容対象物である粉・粒体などをより効率的に充填可能とするには、後述する実施例にも示すように、できるだけ天面の全面を供給口として開口されたものとするのが望ましいが、天面の一部にのみ供給口が開口されたものとすることが可能であり、開閉蓋が設けられたものとすることができ、底口は、最内弁、一対の中位弁および最外弁の4枚の弁を有する底壁ホッパー機構が設けられる都合上、水平な四角形状に開口されたものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、底面の全面に開口されたものとするのが望ましい。
また、この底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示しているように、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装されたものとすることが可能であり、該漏出防止シートは、天然ゴムシート製や合成ゴムシート製、合成樹脂シート製、布製などとすることが可能であり、弁の開閉の動作に追従して柔軟に変形および伸縮し、開閉操作に支障を来さないものとするのが良い。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
そして、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れの場合であっても、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根(図示せず)が、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方の上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
以上のとおりの構成からなるこの発明の粉・粒物用バケット1は、図1ないし図4に示すように、前面シャッター25が開閉可能であるから、図14に示すように、底壁ホッパー機構3が全閉され状態の箱型容器2内に粉・粒体Gが収容されている場合に、該前面シャッター25をシャッターレール26,26に沿って開度を調節するよう引き揚げ操作すると、該箱型容器2内の粉・粒体Gを前方の下方に放出することが可能である。
叙述の如く、この発明の粉・粒物用バケットは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの粉体搬送用の容器類の、収容物の排出技術に比較して収容容器よりも小型のコンテナー類に対し、より効率的に小分けすることが可能となり、しかも必要に応じて全開放出も可能となるなど、その利用用途を大幅に拡大することが可能となる上、外部駆動源などを要さすに放出作業を行うことができ、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、小分け作業の際に取り扱いが困難であった粉・粒体の取り扱い作業性を大幅に改善し得るものとなることから、従前まで作業員を増員したり、粉体分配装置類などを準備したりして対応しなければならなかった小分け作業を格段に効率化できるものとなるから、穀物類を生産する農家は勿論のこと、粉・粒体を製造、輸送、保管、販売する各種工場や倉庫業界および販売業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
2 箱型容器
20 同 供給口(天面)
21 同 底口(底面)
A 同 一辺
B 同 他辺
D 同 一辺A(他辺B)に隣合う対辺
F 同 フォーク差し込み口(フォーク差し込み管路、フォーク差し込み上側カバー)
22 同 骨格枠
23 同 側面パネル
24 同 背面パネル
25 同 前面シャッター(前面)
26 同 シャッターレール
3 底壁ホッパー機構
30 同 吐出口
4 最内弁
40 同 基端縁
41 同 遊端縁
42 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
TD 同 上下厚み寸法相当分
HL 同 水平軸の軸心
5 中位弁
50 同 基端縁
51 同 遊端縁
52 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
53 同 摺接内面壁
6 最外弁
60 同 基端縁
61 同 遊端縁
62 同 摺接内面壁
63 同 舌縁部
7 開閉機構
70 同 角度調節部
71 同 遠隔操作部
HA 同 横架軸
CD 同 索条
TL 同 牽引杆
LV 同 操作レバー
GP 同 把持部
RB 同 解除ボタン
LP 同 係止パネル
AH 同 角度穴
L 漏出防止片
S 漏出防止シート
V 漏出防止カバー
G 粉・粒体(収容対象物)
FL フォークリフト
LF 同 フォーク
FC フレキシブルコンテナバッグ
Claims (8)
- 天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
- 天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられ、該底壁ホッパー機構が、該底口の直下に最内弁、上下中間位置に一対の中位弁、最下位に最外弁が積層状に重なり合うよう全閉され、該最内弁および一対の中位弁が、該最外弁の開閉動作に従動して各弁の遊端縁およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口を開閉可能なものとされたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
- 運搬用係合部が、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、またはフォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架された、前記請求項1または請求項2何れか一記載の粉・粒物用バケット。
- 底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設された、前記請求項1ないし請求項3何れか一記載の粉・粒物用バケット。
- 底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の粉・粒物用バケット。
- 底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の粉・粒物用バケット。
- 底壁ホッパー機構が、各ヒンジ機構に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
- 底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構が、最内弁、一対の中位弁および最外弁の夫々の板厚寸法の1/2の位置に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口から、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法の1/2に相当する寸法分下方に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の一対の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該最外弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
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