JP7064085B2 - プラント異常監視システム、および、プラント異常監視方法 - Google Patents

プラント異常監視システム、および、プラント異常監視方法 Download PDF

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Description

本開示は、プラントの異常を監視するプラント異常監視システム、および、プラント異常監視方法に関する。
プラントでは、故障の発生を未然に防止するための異常監視が行われており、例えば、プラントを構成する各種機器(設備)に対して設置された複数のセンサの測定値(センサ値)を監視し、センサ値が管理値を超えると運転者、管理者に対してアラームを発報するといった監視手法が知られている。この監視手法では、多数のセンサ値を含む状態量(運転データ)を監視する必要があると共に、状態量の傾向を監視してプラントが正常に運転されているか否かを判定するには熟練を要する。また、通知される異常の中には、例えば、ボイラの炉壁管などの伝熱管に高温腐食や摩耗により生じた損傷からの給水のリーク(漏れ)に伴ってアラームが発報されるなど、故障の発生を伴うものもあり、故障が発生した場合には、その拡大を防止するために機器(プラント)を停止させるといった対応の必要性が生じる。
そこで、異常が検知される前にその兆候を検知する手法が提案されている(特許文献1~2)。例えば、特許文献1では、MT法(マハラノビス・タグチ法)と呼ばれるパターン認識技術をプラントの監視に適用している。MT法は、監視する状態量が多数であっても比較的簡易にプラントの運転状態の監視が可能な監視技術であり、運転履歴として記憶されている多変量データをもとに正常な集団を単位空間と定義し、対象データの単位空間からの距離(マハラノビス距離)を求めて異常を判定する。これにより、マハラノビス距離という一つの指標のみによってプラントを総合的に診断することが可能である。また、MT法は、各種状態量が管理値以内であるか否かによって診断する手法に比べて、機器の損傷が進行する前に早期に異常を検知することが可能となり、このような異常の予兆を捉えることにより、機器の損傷を未然に防ぐ、あるいは最小限に抑えることが可能となる。
また、特許文献2には、プラントの監視診断方法において、プラントの運転状態、機器の作動状態、環境状態を検出して、検出データを蓄積し、プラントの検査データを蓄積し、上記蓄積された検出データ及び検査データからなるプラントの履歴情報(プラントカルテ)と、プラント状態の予測モデルとに従って、プラントの現在の状態が予測され、この予測された状態と、現在の検出データとの比較に基づいて、プラントの状態の異常を監視診断することが開示されている。
国際公開第2009/107805号公報 特開平6-331507号公報
上述した特許文献1~2のように、複数の運転データに基づいてプラントの異常診断を行う手法は様々あるが、本発明者らは、相互に異なる複数の異常判定手法をプラントの異常監視に適用すると、異常事象によっては、異常判定手法毎に正常、異常の判定結果が異なる場合があるとの知見を得た。この知見によれば、プラントにおける異常の検知漏れを無くすために、複数の異常判定手法を適用することが考えられる。
しかしながら、プラントが正常に運転している場合であってもセンサ値が例外的な値になる場合や、負荷変動に伴って複数のセンサ値が全体的に変化する場合があり、異常判定手法によっては、このような例外的な値などになったセンサ値(運転データ)のために、実際には正常であるにもかかわらず異常と判定する可能性がある(後述する図5参照)。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、複数の異常判定手法による監視により異常の検知力を高めつつ、適切な異常監視が可能なプラント異常監視システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るプラント異常監視システムは、
プラントの運転状態を示す複数の運転データに基づいて異常を監視するプラント異常監視システムであって、
前記複数の運転データを含む監視運転データに対して、相互に異なる異常判定手法を実行する複数の検知モデルをそれぞれ適用することにより得られる複数の検知モデル判定結果を取得するよう構成される検知モデル判定結果取得部と、
前記複数の検知モデル判定結果、および前記複数の検知モデルの各々に対して予め設定されている重み値に基づいて前記異常の有無を判定するよう構成される異常判定部と、
前記異常判定部によって前記異常が有ると判定された場合に通知するよう構成される異常通知部と、を備える。
上記(1)の構成によれば、異常判定手法がそれぞれ異なる複数の検知モデルでそれぞれ異常の監視を行うと共に、複数の検知モデルの各々による異常判定結果(検知モデル判定結果)と、複数の検知モデルの各々に対して予め設定されている重み値とに基づいて、プラントにおける異常の有無を総合的に判定する。これによって、複数の検知モデル判定結果が正常、異常のいずれかに統一されていないような場合であっても、プラントにおける異常の有無を適切に判定することができる。したがって、複数の異常判定手法による監視により異常の検出力を高めつつ、プラントの異常監視を適切に行うことができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記異常判定部は、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計と、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計との差異に基づいて、前記異常の有無を判定する。
上記(2)の構成によれば、複数の検知モデル判定結果から、複数の検知モデルを正常判定グループと異常判定グループとに分け、そのグループごとに重み値の合計を算出する。こうして得られた正常重み値合計と異常重み値合計との大小に応じて、総合的な正常、異常の判定を行う。これによって、プラントにおける異常の有無を総合的に判定することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記異常判定部は、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計よりも大きい場合に正常と判定し、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計以下の場合に異常と判定する。
上記(3)の構成によれば、プラントにおける異常の有無を総合的に判定することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
前記重み値は、過去に発生した前記異常の種類別の前記複数の検知モデルの各々による検知率が高いほど大きな値を有する。
上記(4)の構成によれば、重み値は、複数の検知モデルの各々による異常の検知率に基づいて異常事象(異常の種類)毎に設定されると共に、検知率が高いほど大きな値を有する。よって、例えば正常重み値合計と異常重み値合計の大小により総合的に異常判定を行う場合などには、検知率の高い検知モデルほど各合計への寄与が大きくなる。このように、検知率を各合計に反映することにより、異常の有無の総合的な判定を適切に行うことができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の構成において、
前記異常判定部による前記異常の有無の判定結果と、前記異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に前記重み値の再設定を決定する重み値再決定部を、さらに備える。
上記(5)の構成によれば、異常判定部による総合的な判定結果が現実の状況と異なる場合には、重み値の修正を行うようにする。これによって、異常の有無の総合的な判定の精度の維持、向上を図ることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記重み値再決定部によって前記重み値の再設定が決定された場合には、前記実際の確認結果と異なる判定をした前記検知モデルの前記重み値と、前記実際の確認結果と一致する判定をした前記検知モデルの前記重み値との差が大きくなるように前記重み値を再設定する重み値再設定部を、さらに備える。
上記(6)の構成によれば、重み値再設定部は、現実の状況と異なる判定をした検知モデルの重み値が、現実の状況と一致する判定をした検知モデルの重み値に対して、相対的に小さくなるように重み値を修正する。これによって、異常の有無の総合的な判定の精度の維持、向上を図ることができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記重み値再設定部は、前記異常判定部によって異常有りが判定された場合において前記実際の確認結果が異常無しである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常有りを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするか、
前記異常判定部によって異常無しが判定された場合において前記実際の確認結果が異常有りである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常無しを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするかの少なくとも一方を実行するように構成される。
上記(7)の構成によれば、現実の状況と異なる判定をした検知モデルの重み値が、現実の状況と一致する判定をした検知モデルの重み値に対して、相対的に小さくなるように重み値を修正することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)~(7)の構成において、
前記異常通知部は、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計よりも、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計の方が大きく、かつ、前記正常重み値合計と前記異常重み値合計との差異が閾値以上の場合に緊急対応を要請するための緊急異常アラームを通知する。
上記(8)の構成によれば、総合的に異常を判定した場合において、正常重み値合計と異常重み値合計との差分などの差異に応じて、緊急異常アラームの通知の必要性を判定する。これによって、緊急な異常であるか否かも含めて、プラントの運転員や管理者などに異常を報知することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)~(8)の構成において、
過去に取得された前記複数の運転データに基づいて作成された、複数の前記異常判定手法にそれぞれ対応した前記複数の検知モデルを、さらに備える。
上記(9)の構成によれば、複数の検知モデルを備えることにより、例えば他システムからの複数の検知モデル判定結果の入力を待つ必要が生じるなどを回避して、リアルタイムなどの適時の異常監視を行うことができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の構成において、
前記複数の検知モデル判定結果は、予め設定された閾値との比較により前記異常の有無を判定するための異常スコアを算出する異常スコア算出型の検知モデルによって取得された判定結果と、予め定められた前記運転データの予測値を算出する予測値算出型の検知モデルによって取得された判定結果との両方を含む。
異常スコア算出型の場合、正常なデータ群のばらつきが不適切である場合に異常判定結果の精度が低下する場合があるのに対し、予測値算出型の場合には学習データとして用いられる正常なデータ群のばらつきに起因した判定精度の低下は限定的である。また、異常事象による影響によって、多数のセンサ値が異常的な挙動を示す場合には、例えば、ニューラルネットワークのようなセンサ値を予測する予測値算出型の検知モデルの場合には、予測対象のセンサ値の全てが異常的に変化する場合があるため、異常の影響を最も受けているセンサ値がどれであるかなどの特定に時間がかかる可能性がある。その一方で、MT法(直行表分析を用いたSN比による要因分析を含む)などの異常スコア算出型の検知モデルの場合には、異常の影響を最も受けているセンサ値の判定が比較的容易である場合がある。
上記(10)の構成によれば、複数の検知モデル判定結果Rは、予測値算出型の検知モデルおよび異常スコア算出型の検知モデルの両方を含む。これによって、異常検知後の切り分けを容易化することができるなど、上述のような相互補完による効果を図ることができる。
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係るプラント異常監視方法は、
プラントの運転状態を示す複数の運転データに基づいて異常を監視するプラント異常監視方法であって、
前記複数の運転データを含む監視運転データに対して、相互に異なる異常判定手法を実行する複数の検知モデルをそれぞれ適用することにより得られる複数の検知モデル判定結果を取得する検知モデル判定結果取得ステップと、
前記複数の検知モデル判定結果、および前記複数の検知モデルの各々に対して予め設定されている重み値に基づいて前記異常の有無を判定する異常判定ステップと、
前記異常判定ステップによって前記異常が有ると判定された場合に通知する異常通知ステップと、を備える。
上記(11)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記異常判定ステップは、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計と、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計との差異に基づいて、前記異常の有無を判定する。
上記(12)の構成によれば、上記(2)と同様の効果を奏する。
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、
前記異常判定ステップは、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計よりも大きい場合に正常と判定し、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計以下の場合に異常と判定する。
上記(13)の構成によれば、上記(3)と同様の効果を奏する。
(14)幾つかの実施形態では、上記(11)~(13)の構成において、
前記重み値は、過去に発生した前記異常の種類別の前記複数の検知モデルの各々による検知率が高いほど大きな値を有する。
上記(14)の構成によれば、上記(4)と同様の効果を奏する。
(15)幾つかの実施形態では、上記(11)~(14)の構成において、
前記異常判定ステップによる前記異常の有無の判定結果と、前記異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に前記重み値の再設定を決定する重み値再決定ステップを、さらに備える。
上記(15)の構成によれば、上記(5)と同様の効果を奏する。
(16)幾つかの実施形態では、上記(15)の構成において、
前記重み値再決定ステップによって前記重み値の再設定が決定された場合には、前記実際の確認結果と異なる判定をした前記検知モデルの前記重み値と、前記実際の確認結果と一致する判定をした前記検知モデルの前記重み値との差が大きくなるように前記重み値を再設定する重み値再設定ステップを、さらに備える。
上記(16)の構成によれば、上記(6)と同様の効果を奏する。
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
前記重み値再設定ステップは、前記異常判定ステップによって異常有りが判定された場合において前記実際の確認結果が異常無しである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常有りを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするか、
前記異常判定ステップによって異常無しが判定された場合において前記実際の確認結果が異常有りである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常無しを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするかの少なくとも一方を実行するように構成される。
上記(17)の構成によれば、上記(7)と同様の効果を奏する。
(18)幾つかの実施形態では、上記(11)~(17)の構成において、
前記異常通知ステップは、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計よりも、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計の方が大きく、かつ、前記正常重み値合計と前記異常重み値合計との差異が閾値以上の場合に緊急対応を要請するための緊急異常アラームを通知する。
上記(18)の構成によれば、上記(8)と同様の効果を奏する。
(19)幾つかの実施形態では、上記(11)~(18)の構成において、
過去に取得された前記複数の運転データに基づいて作成された、複数の前記異常判定手法にそれぞれ対応した前記複数の検知モデルを、さらに備える。
上記(19)の構成によれば、上記(9)と同様の効果を奏する。
(20)幾つかの実施形態では、上記(11)~(19)の構成において、
前記複数の検知モデル判定結果は、予め設定された閾値との比較により前記異常の有無を判定するための異常スコアを算出する異常スコア算出型の検知モデルによって取得された判定結果と、予め定められた前記運転データの予測値を算出する予測値算出型の検知モデルによって取得された判定結果との両方を含む。
上記(20)の構成によれば、上記(10)と同様の効果を奏する。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、複数の異常判定手法による監視により異常の検知力を高めつつ、適切な異常監視が可能なプラント異常監視システムが提供される。
本発明の一実施形態に係るプラント異常監視システムの構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る重み値の設定例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るプラント異常監視システムによる異常の判定例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常事象の検知率と重み値との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る(a)異常スコアの時間推移、および、(b)センサ値の予測値と実測値の時間推移を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常発生時の前後における機器別の温度センサの測定値の時間推移を示す図である。 本発明の一実施形態に係る異常発生時の前後における機器別のマハラノビス距離の時間推移を示す図である。 本発明の一実施形態に係るプラント異常監視方法を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラント異常監視システム1の構成を概略的に示す図である。図2、本発明の一実施形態に係る重み値Vの設定例を示す図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係るプラント異常監視システム1による異常の判定例を示す図である。
図1に示すように、プラント異常監視システム1は、プラント9の運転状態を示す複数の運転データDに基づいて異常を監視するシステムである。火力発電所や原子力発電所などの発電プラントや化学プラントなどといったプラント9では、運転制御や異常監視のために、プラント9を構成する複数の機器(設備)の状態を複数のセンサを設置するなどして測定される測定値や、バルブを含む各種機器のオン/オフなどの状態が取得されるなどして監視される。そして、プラント異常監視システム1は、これらの複数のセンサの測定値(以下、適宜、センサ値)や上記のオン/オフなどの状態に加えて、各種機器の作動を制御する分散制御システム(DCS)の制御内容や操作盤の操作内容などの制御情報をそれぞれ運転データDとして周期的に取得し、これら複数の運転データDに基づく異常監視を行う。
例えば、石炭炊きの火力発電プラントを構成する複数の機器はとしては、ボイラや、蒸気タービン(高圧タービン、低圧タービンなど)、過熱器、再熱器、節炭器などの熱交換器、蒸気タービンに送る蒸気の流量および圧力を調整するバルブやダンパ、ボイラから排出される排ガスを処理するため各種機器(脱硝装置や電気集塵機等)などがある。そして、この場合の運転データDは、ボイラによって生成される蒸気の温度、圧力、流量や、蒸気タービンの振動、回転数、バルブ、ダンパの開度、過熱器や再熱器の温度などとなる。
図1~図3に示す実施形態では、図1に示すように、プラント9は、コンピュータによって実現される運転履歴作成機能を備えており、周期的な各タイミングで取得される上述したような各種の運転データDのセット毎に運転履歴Hを作成するようになっている。また、こうして作成された運転履歴Hは、例えば1セットなどの所定数の運転履歴Hが生成された後や所定時間毎などにプラント異常監視システム1に送られるようになっている。プラント異常監視システム1が定期的などにプラント9に対して運転履歴Hの送信をプラント9側に要求するのを通して、運転履歴Hを受信しても良い。また、プラント異常監視システム1とプラント9とは広域通信網(WAN)を介して接続されても良く、MPLS-VPNなどIP-VPN技術を用いた仮想専用線を介して運転履歴Hの上記の送受信を行っても良い。
次に、プラント異常監視システム1について詳細に説明する。
図1に示すように、プラント異常監視システム1は、検知モデル判定結果取得部2と、異常判定部3と、異常通知部4と、を備える。プラント異常監視システム1はコンピュータで構成されており、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリや記憶装置14(外部記憶装置)を備えている。そして、メモリ(主記憶装置)にロードされたプログラムの命令に従ってCPUが動作(データの演算など)することで、プラント異常監視システム1が備える上記の各機能部を実現する。上記の機能部について、それぞれ説明する。
検知モデル判定結果取得部2は、複数の運転データDを含む監視運転データDtに対して、相互に異なる異常判定手法を実行する複数の検知モデル22をそれぞれ適用することにより得られる複数の検知モデル判定結果Rを取得するよう構成される。検知モデル22は、入力された監視運転データDtに所定の異常判定手法(異常判定アルゴリズム)を適用することにより、複数の運転データDに基づいてプラント9に異常(異常兆候。以下同様。)が発生しているか否かを判定する。異常判定手法は周知な手法で良く、例えば、MT法、K近傍法、ニューラルネットワーク法(NN法)、線形回帰やポアソン回帰、ロジスティック回帰などの一般化線形法、SVM法(support vector machine)、ランダムフォレスト法(RF法)、CART法、CHAID法などの回帰木手法が挙げられる。異常判定手法は、例えばK近傍法とRF法とを組み合わせるなど、これらの手法を組み合わせた手法であっても良い。
図1~図3に示す実施形態では、図1に示すように、プラント異常監視システム1は、上述したようにプラント9側から送られてくる複数の運転データD(運転履歴H)を取得する運転データ収集部12を備えており、検知モデル判定結果取得部2はこの運転データ収集部12に接続される。そして、プラント9が生成した運転履歴Hは作成される度にプラント異常監視システム1に送信されるようになっており、運転データ収集部12はプラント9から受信すると、受信した最新の運転履歴Hを検知モデル判定結果取得部2に入力する。また、検知モデル判定結果取得部2は、運転データ収集部12から入力された最新の運転履歴Hに含まれる複数の運転データDを監視対象(監視運転データDt)として、n個(n>2を満たす整数)の検知モデル22にそれぞれ入力する。n個の検知モデル22の各々は、入力された監視運転データDtに対してその各々が有する異常判定手法を実行することにより、監視運転データDtがプラント9の異常を示すか否かを判定し、その判定結果(検知モデル判定結果R)を得る。これによって、検知モデル判定結果取得部2は、n個の検知モデル判定結果R(R(1)、R(2)、・・・、R(n)の合計n個)を取得する。
つまり、図1~図3に示す実施形態では、プラント異常監視システム1は、過去に取得された複数の運転データDに基づいて作成された、複数の異常判定手法にそれぞれ対応した複数の検知モデル22を有する。より詳細には、プラント9が生成した運転履歴Hは、記憶装置14に例えば時刻情報と共に記憶されるなど、時系列が分かる状態などで蓄積される。そして、複数の検知モデル22は、それぞれ、記憶装置14に記憶された複数の運転履歴Hのうちプラント9の運転状態が正常である時に生成された1以上の運転履歴Hを学習データとして機械学習することにより、作成される。学習データは、例えば、ボイラにおける高温腐食や摩耗などによって生じる炉壁管の損傷や、過熱器の伝熱管の損傷、再熱器の伝熱管の損傷、スーツブロア嵌め込み管の損傷や、それらの損傷からの給水のリーク(漏れ)、燃焼・排気ガスによる各種機器の閉塞、振動・過電流などによる機器の故障などの異常事象(トラブル事例)の種類に応じて、その異常事象の検知に役立つ運転データDのみで構成しても良い。
なお、他の幾つかの実施形態では、プラント異常監視システム1は、他のシステム(装置)で算出された少なくとも1つの検知モデル判定結果Rを、例えば通信線(通信ネットワーク)などを介するなどして取得しても良い。この場合は、検知モデル判定結果取得部2は、プラント異常監視システム1が有する1以上の検知モデル22によって得られる1以上の検知モデル判定結果Rと、他から得られる1以上の検知モデル判定結果Rとで構成される複数の検知モデル判定結果Rを取得しても良い。
異常判定部3は、検知モデル判定結果取得部2によって取得された複数の検知モデル判定結果R、および複数の検知モデル22の各々に対して予め設定されている重み値Vに基づいて異常の有無を判定するよう構成される。上記の重み値Vは、異常判定部3が複数の検知モデル判定結果Rに基づいて行う総合的な正常、異常の判定(以下、総合判定)の実行に際して参照する、検知モデル22から得られる複数の検知モデル判定結果Rの相対的な重要度を示す指標である。重み値Vは、相対的な重要度が示すことができれば、数値であっても良いし、記号などであっても良い。また、重み値Vは、過去の異常事象や経験上の知見に基づいて予め設定されて、記憶装置14などに記憶される。図2に示すように、重み値Vは過去の異常事象毎に設定されても良く、図2では、m個の異常事象毎にそれぞれ重み値Vが規定されている。
具体的な総合判定の詳細については後述するが、要するに、複数の検知モデル22からそれぞれ出力される検知モデル判定結果Rは一次診断結果に該当し、異常判定部3が行う総合判定は、一次診断結果を総合的に判断した総合診断結果に該当する。図1~図3に示す実施形態では、異常判定部3は、検知モデル判定結果取得部2に接続されており、検知モデル判定結果取得部2から複数の検知モデル判定結果Rが入力されるようになっている。また、後述するように、重み値Vは、異常事象に対する検知率Drに基づいて予め設定されている。
異常通知部4は、異常判定部3によって異常が有ると判定された場合に異常アラームWを通知するよう構成される。つまり、異常通知部4は、異常判定部3によって異常が有ると判定された場合に異常アラームWを出力装置16に出力する。出力装置16は、ディスプレイなどの表示装置(図1参照)や、警報や警報ランプといった音や光などで報知が可能な装置である。よって、異常アラームWが出力装置16に入力されることで異常アラームWが報知され、プラント9の運転員や管理者などに異常の発生を知らせる。
上述した構成を備えるプラント異常監視システム1において、上述した検知モデル判定結果取得部2が取得する複数の検知モデル判定結果Rは、図3に示すように、その全てが異常である場合と、全てが正常である場合と、異常および正常の両方が混在する場合が有り得る。そして、複数の検知モデル判定結果Rの全てが正常である場合(図3の判定例(1)参照)には正常である蓋然性は高く、この場合には特別な対応を行うことなく運転を継続することが可能である。逆に、複数の検知モデル判定結果Rの全てが異常である場合(図3の判定例(4)参照)には異常である蓋然性が高く、この場合には、詳細な解析や、現場での詳細調査などを行うことになる。
他方、複数の検知モデル判定結果Rに異常および正常の両方が含まれる場合(図3の判定例(2)~(3)参照)には、例えば、複数の検知モデル22の少なくとも1つが異常を判定したことから、プラント9に異常が発生していると考えて対応することが最も安全側の対応である。しかしながら、ある種のセンサ値(運転データD)が偶発的に異常値を示した場合や負荷変動に伴って複数のセンサ値が全体的に変化した場合などに起因して異常の誤判定が生じた場合(後述する図5の時刻t1など)など、プラント9の運転を通常通りに継続しても支障がない範囲を異常として判定している場合には、その度に異常に対する対応を行うと、メンテナンス回数が余分に増えるなど、その分だけコストや負担が増える。そこで、異常判定部3は、複数の検知モデル判定結果Rおよび重み値Vに基づいて、総合的な異常の有無の判定を行う。
具体的には、幾つかの実施形態では、異常判定部3は、複数の検知モデル判定結果Rのうちの正常の検知モデル判定結果Rを取得(出力)した検知モデル22の重み値Vの合計である正常重み値合計Snと、複数の検知モデル判定結果Rのうちの異常の検知モデル判定結果Rを取得(出力)した検知モデル22の重み値Vの合計である異常重み値合計Saとの差異に基づいて、異常の有無を判定しても良い。つまり、複数の検知モデル判定結果Rから、複数の検知モデル22を正常判定グループと異常判定グループとに分け、そのグループごとに重み値Vの合計を算出する。そして、こうして得られた正常重み値合計Snと異常重み値合計Saとの大小に応じて、総合的な正常、異常の判定を行う。
例えば、幾つかの実施形態では、図3に示すように、異常判定部3は、正常重み値合計Snが異常重み値合計Saよりも大きい場合(Sn>Sa)に正常と判定し、正常重み値合計Snが異常重み値合計Sa以下(Sn≦Sa)の場合に異常と判定しても良い。なお、他の幾つかの実施形態では、異常判定部3は、正常重み値合計Snから異常重み値合計Saを引いた差が0よりも大きい所定値(マージン値)以上の場合に正常と判定し、正常重み値合計Snから異常重み値合計Saを引いた差が上記の所定値よりも小さい場合に異常と判定するなど、所定値分のマージンを考慮して総合判定を行っても良い。
図3に示す実施形態について詳細に説明する。まず、図3では、説明を簡単化するために検知モデル22の数が4つであり、重み値Vは、検知モデルAがa、検知モデルBがb、検知モデルBがc、検知モデルBがdとなっている。上記の重み値のa、b、c、dは、整数や、小数、0を含む数値である。また、重み値Vの合計をStとしており(St=a+b+c+d)、また、c+d<a+bの関係が成り立っているものとする。
そして、図3の判定例(1)では、4つの検知モデル22からそれぞれ出力された検知モデル判定結果Rは全て異常であるので、正常重み値合計Snは0であり、異常重み値合計SaはStである(Sn=0、Sa=St)。よって、正常重み値合計Snよりも異常重み値合計Saが大きく、Sn≦Saの関係が成立しているので、異常判定部3は異常と判定する。また、異常判定部3の総合判定結果Rcが異常であるため、異常通知部4は異常アラームWを出力する。
判定例(2)では、検知モデルAおよび検知モデルBから出力された検知モデル判定結果Rが異常であり、検知モデルCおよび検知モデルDから出力された検知モデル判定結果Rが正常であるので、正常重み値合計Snはc+dであり、異常重み値合計Saはa+bである(Sn=c+d、Sa=a+b)。この場合、上述したようにc+d<a+bが前提なので、正常重み値合計Snよりも異常重み値合計Saの方が大きい(Sn<Sa)。よって、Sn≦Saの関係が成立しているので、異常判定部3は異常と判定する。また、異常判定部3の総合判定結果Rcが異常であるため、異常通知部4は異常アラームWを出力する。
判定例(3)では、検知モデルAおよび検知モデルBから出力された検知モデル判定結果Rが正常であり、検知モデルCおよび検知モデルDから出力された検知モデル判定結果Rが異常であるので、正常重み値合計Snはa+bであり、異常重み値合計Saはc+dである(Sn=a+b、Sa=c+d)。この場合、上述したようにc+d<a+bが前提なので、正常重み値合計Snよりも異常重み値合計Saの方が小さい(Sn>Sa)。よって、Sn>Saの関係が成立しているので、異常判定部3は正常と判定する。また、異常判定部3の総合判定結果Rcが正常であるため、異常通知部4は異常アラームWを出力しない。
判定例(4)では、4つの検知モデル22からそれぞれ出力された検知モデル判定結果Rは全て正常であるので、正常重み値合計SnはStであり、異常重み値合計Saは0である(Sn=st、Sa=0)。よって、正常重み値合計Snの方が異常重み値合計Saよりも大きく、Sn>Saの関係が成立しているので、異常判定部3は正常と判定する。また、異常判定部3の総合判定結果Rcが正常であるため、異常通知部4は異常アラームWを出力しない。
上記の構成によれば、異常判定手法がそれぞれ異なる複数の検知モデル22でそれぞれ異常の監視を行うと共に、複数の検知モデル22の各々による異常判定結果(検知モデル判定結果R)と、複数の検知モデル22の各々に対して予め設定されている重み値Vとに基づいて、プラント9における異常の有無を総合的に判定する。これによって、複数の検知モデル判定結果Rが正常、異常のいずれかに統一されていないような場合であっても、プラント9における異常の有無を適切に判定することができる。したがって、複数の異常判定手法による監視により異常の検出力を高めつつ、プラント9の異常監視を適切に行うことができる。
次に、上述した重み値Vの設定に関する幾つかの実施形態について、図1~図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る異常事象の検知率Drと重み値Vとの関係を示す図である。
幾つかの実施形態では、図4に示すように、重み値Vは、過去に発生した異常の種類(異常事象)別の複数の検知モデル22の各々による検知率Drが高いほど大きな値を有する。これによって、異常判定部3は、各異常事象に対する検知モデル22毎に、過去の状況から得られる検知率Drが高いほど、その検知モデル判定結果Rを重視したような総合判定を行うことになる。検知率Drの算出方法について図4を用いて具体的に説明すると、過去の運転履歴Hなどの過去の情報に基づいて、m個(m≧1を満たす整数)の異常事象の各々の過去発生数をそれぞれ求めると共に、複数の検知モデル22の各々がその各々の発生異常を検知できた回数である検知回数を求めた後、検知回数を過去発生数で除算することで検知率Drを算出している(Dr=検知回数÷過去発生数)。例えば、過去に発生した異常の異常認識時から異常兆候が含まれるような所定の期間遡った分の過去の複数の運転データDを入手して、複数の検知モデル22にそれぞれ入力し、異常が検知できたか否かを調べることにより、検知回数を求めても良い。
なお、上記の異常認識時とは、例えばプラント9の停止時や、運転員などが異常を認識した時などであっても良い。また、検知率Drは、異常認識時の所定時間前までに異常を検知することができれば検知できたとみなし、異常認識時の所定時間前以降に検知した場合や全く検知ができなかった場合を検知できなかったとみなしても良い。また、既に、各検知モデル22によって、過去の異常が検知できたか否かの情報を有している場合には、複数の検知モデル22の各々が過去の異常を検知できたか否かを改めて調べる必要はない。
図4では、例えば、トラブル(1)の異常事象は、過去にC1回発生しており、過去発生数はC1である。そのうち、1番目の検知モデルAはCa1回検知し、2番目の検知モデルBはCb1回検知し、以下同様に続き、最後のn番目の検知モデルXはCx1回検知しており、検知回数は、上記の順で、Ca1、Cb1、・・・、Cx1となる。同様に、トラブル(2)からトラブル(m)までの異常事象の各々の過去発生数と、複数の検知モデル22の各々による検知回数が図4にまとめられている。
そして、図1~図4に示す実施形態では、重み値Vは、この検知率Drをそのまま使用している。よって、例えば、トラブル(1)の異常事象に対する検知モデルAの重み値VはCa1/C1である。ただし、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、検知率Drに所定の演算(例えば100倍)した値を重み値Vにしても良い。その他の幾つかの実施形態では、任意の異常事象に対する過去発生数が同じであることを前提に、検知回数を重み値Vにしても良い。
上記の構成によれば、重み値Vは、複数の検知モデル22の各々による異常の検知率Drに基づいて異常事象(異常の種類)毎に設定されると共に、検知率Drが高いほど大きな値を有する。よって、例えば正常重み値合計Snと異常重み値合計Saの大小により総合的に異常判定を行う場合などには、検知率Drの高い検知モデル22ほど各合計への寄与が大きくなる。このように、検知率Drを各合計に反映することにより、異常の有無の総合的な判定を適切に行うことができる。
また、幾つかの実施形態では、上述した予め設定されている重み値Vは、適宜、再設定(修正)されても良い。例えば、異常判定部3による総合判定結果Rcと、実際の異常の有無の確認結果とが異なる場合に重み値Vを再設定しても良い。また、他のプラント9などで新たに異常が発生した場合など、他のプラント9で発生した異常を含めて、各検知モデル22による検知率Drを算出するような場合に重み値Vを再設定しても良い。なお、図1に示す実施形態では、他のプラント9(例えば、図1のプラントB)で発生した異常時を含む所定期間分の運転履歴Hが、記憶装置14に記憶されるようになっている。つまり、複数のプラント9で運転履歴H(トラブル事例)を共有している。
このため、幾つかの実施形態では、図1に示すように、プラント異常監視システム1は、異常判定部3による異常の有無の判定結果(総合判定結果Rc)と、異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に重み値Vの再設定を決定する重み値再決定部5を、さらに備える。上記の異常の有無の実際の確認結果(以下、単に、実際の確認結果)は、例えば異常判定部3による異常有りとの総合判定結果Rcを契機に行うような、運転履歴Hの詳細な分析や現地調査などにより得られる現実の異常の有無の結果である。また、上記の異常判定部3の総合判定結果Rcと実際の確認結果とが一致しない状況は、上記の異常判定部3は正常との総合判定結果Rcを出力している中で、プラント異常監視システム1以外の他のシステムや運転員が経験などから異常を発見した場合にも生じ得る。図1に示す実施形態では、重み値再決定部5には実際の確認結果が入力されるようになっており、実際の確認結果が入力されると、重み値Vの再設定の必要性を判定するようになっている。
より具体的には、幾つかの実施形態では、図1に示すように、プラント異常監視システム1は、上述した重み値Vを再設定する重み値再設定部6を、さらに備えていても良い。そして、この重み値再設定部6は、重み値再決定部5によって重み値Vの再設定が決定された場合には、実際の確認結果と異なる判定をした検知モデル22の重み値Vと、実際の確認結果と一致する判定をした検知モデル22の重み値Vとの差(差分)が大きくなるように、重み値Vを再設定するように構成される。つまり、重み値再設定部6は、現実の状況と異なる判定をした検知モデル22の重み値Vが、現実の状況と一致する判定をした検知モデル22の重み値Vに対して、相対的に小さくなるように重み値Vを再設定する。
例えば、幾つかの実施形態では、重み値再設定部6は、異常判定部3によって異常と判定された場合において実際の確認結果が異常無しである場合には、複数の検知モデル判定結果Rのうちの異常有りを判定した検知モデル判定結果Rを取得した検知モデル22の重み値Vを小さくするよう構成されても良い。他の幾つかの実施形態では、重み値再設定部6は、異常判定部3によって異常無しが判定された場合において実際の確認結果が異常有りである場合には、複数の検知モデル判定結果Rのうちの異常無しを判定した検知モデル判定結果Rを取得した検知モデル22の重み値Vを小さくするよう構成されても良い。なお、このような状況の発生の可能性は現実的には大きくない。その他の幾つかの実施形態では、上記の2つの実施形態を組み合わせても良い。
そして、上記のいずれの実施形態においても、実際の確認結果と異なる検知モデル判定結果Rを出力した検知モデル22の重み値Vが所定値あるいは所定割合だけ減じられるように演算しても良い。あるいは、逆に、実際の確認結果と同じ検知モデル判定結果Rを出力した検知モデル22の重み値Vを所定値あるいは所定割合だけ増加されるように演算しても良い。その両方を行っても良い。
上記の構成によれば、異常判定部3による総合的な判定結果が現実の状況と異なる場合には、重み値Vの修正を行うようにする。これによって、異常の有無の総合的な判定の精度の維持、向上を図ることができる。
次に、異常通知部4に関する幾つかの実施形態について、上述した図3を用いて説明する。
幾つかの実施形態では、異常通知部4から出力される異常アラームWは、異常の緊急度に応じて緊急異常アラームWeと通常異常アラームWnとが使い分けられても良い。具体的には、図3に示すように、異常通知部4は、上述した正常重み値合計Snよりも、上述した異常重み値合計Saの方が大きく、かつ、正常重み値合計Snと異常重み値合計Saとの差異が閾値以上の場合(Sa>Sn、かつ、Sa-Sn≧閾値)に緊急対応を要請するための緊急異常アラームWeを通知するよう構成されても良い。上記の閾値は0以外の数値である。また、通常異常アラームWnは、緊急異常アラームWe以外で、かつ、緊急性が相対的に低い異常を通知するための異常アラームWである。これらの緊急異常アラームWeと通常異常アラームWnとは、ディスプレイへの表示形式、音の大小、LEDなどの発光態様の少なくとも1つが異なっていたり、緊急異常アラームWeは少なくとも音による警報が有る一方で通常異常アラームWnはなかったりするなど、報知の態様が異なる。そして、緊急性が高いほど、運転員には緊急対応が求められる。
また、いずれの種別の異常アラームWを通知するかは、上述した異常判定部3が判定しても良いし、異常通知部4が判定しても良い。異常通知部4が判定する場合には、異常判定部3からは、正常重み値合計Snおよび異常重み値合計Saなどのアラーム種別を判定するための情報が異常通知部4に対して出力される必要がある。なお、緊急異常アラームWeは、さらに、緊急性に応じて、複数のアラーム種別に分類されていても良い。
図3に示す実施形態では、例えば判定例(1)では、Sa-Sn≧閾値の関係が満たされていることにより、アラーム種別が緊急になっている。よって、このような場合には、異常アラームWとして、異常通知部4は緊急異常アラームWeを出力装置16へ出力する。逆に、図3の判定例(2)では、Sa-Sn<閾値の関係が満たされていることにより、アラーム種別が通常になっている。よって、このような場合には異常通知部4は通常異常アラームWnを出力装置16へ出力する。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、緊急異常アラームWeは、設定情報に基づいて出力されるようにしても良い。例えば、複数存在する異常事象の各々について緊急な対応が必要であるか否かを予め検討しておき、異常事象毎に、その異常が生じた場合には緊急異常アラームWeと通常異常アラームWnとのいずれを通知(出力)するかを規定したアラーム種別テーブル(不図示)を記憶装置14に記憶しておく。また、異常事象の判別方法を規定した異常判別テーブル(不図示)も記憶装置14に記憶しておく。そして、異常判定部3による総合判定結果Rcが異常有りの場合には、上記の異常判別テーブル(不図示)と監視運転データDtとを比較して異常事象を判別すると共に、判別された異常事象に対するアラーム種別を上記のアラーム種別テーブル(不図示)から特定し、特定した異常アラームWが出力装置16に出力されるようにする。
上記の構成によれば、総合的に異常を判定した場合において、正常重み値合計Snと異常重み値合計Saとの差分などの差異に応じて、緊急異常アラームWeの通知の必要性を判定する。これによって、緊急な異常であるか否かも含めて、プラント9の運転員や管理者などに異常を報知することができる。
次に、異常判定手法に関する幾つかの実施形態について、図5~図7を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る(a)異常スコアの時間推移、および、(b)センサ値の予測値と実測値の時間推移を示す図である。図6は、本発明の一実施形態に係る異常発生時の前後における機器別の温度センサの測定値の時間推移を示す図である。また、図7は、本発明の一実施形態に係る異常発生時の前後における機器別のマハラノビス距離の時間推移を示す図である。なお、図5(a)と図5(b)の横軸は時間(例えば、分、時、日など)を表し、両者の時間軸のスケールは合わされている。また、図示される時刻は、t1<t2<t3<t4の関係にあり、時刻t4以降はプラント9が停止しているものとする。
上述したような複数の異常判定手法は、それぞれ、予め設定された閾値との比較により異常の有無を判定するための異常スコアを算出する異常スコア算出型の手法(図5(a)参照)と、予め定められた運転データDの予測値を算出する予測値算出型の手法(図5(b)参照)に分類可能である。異常スコア算出型の手法は、例えばMT法や、K近傍法、が該当し得る。異常スコア算出型の手法は、各検知モデル22を通して異常スコア(図5(a)ではMD値)を算出すると共に、図5(a)に示すように、算出した異常スコアが所定の閾値Lを上回っている場合には異常と判定し、逆に、算出した異常スコアが閾値L以下であれば正常と判定する。他方、予測値算出型の手法は、NN法や、一般化線形法、SVM法、RF法、CART法、CHAID法が該当し得る手法である。予測値算出型の手法は、各検知モデル22を通して任意の運転データD(センサ値など)の予測値を他の1以上の運転データDに基づいて算出すると共に、図5(b)に示すように、算出した予測値と対応する実測値との差が閾値Lを上回っている場合には異常と判定し、逆に、その差が閾値L以下であれば正常と判定する。
より詳細には、図5(a)は、異常スコア算出型の検知モデル22によって算出される異常スコアの時間推移の例として、MT法によって算出されるマハラノビス距離(MD値)の時間推移を例示している。そして、MD値が異常有りとの判定の基準となる閾値Lを上回ると異常有りと判定し、上記の閾値L以下では正常と判定する。図5(a)に示す実施形態では、時刻t3以降においてMD値が閾値Lを超えており、時刻t3以降のような場合を検出することにより異常有りと判定する。なお、時刻t1付近において、センサ値が偶発的に例外的な値をとったことにより、MD値は一時的に閾値Lを超えている。
図5(b)は、予測値算出型の検知モデル22によって算出される運転データDの予測値の時間推移の例として、ニューラルネットワーク(NN)法によって算出される例えば熱交換器の伝熱管の温度を測定する温度センサなどのセンサ値(運転データD)の予測値の時間推移を、その実測値と共に例示している。そして、そのセンサ値を示す運転データDの値そのものと予測値との差が閾値Lを上回ると異常と判定し、その差が閾値L以内の場合に正常と判定する。図5(b)に示す実施形態では、時刻t2以降において予測値(太線)と実測値(細線)との差が閾値Lを上回るようになっており、時刻t2以降のような場合を検出することにより、異常有りと判定する。なお、時刻t1付近において、センサ値が偶発的に例外的な値をとってはいるものの、予測値も実測値も同様に変化したことから、異常有りとの判定は行われていない。
そして、幾つかの実施形態では、検知モデル判定結果取得部2よって取得される複数の検知モデル判定結果Rは、異常スコア算出型の検知モデル22によって取得された判定結果と、予測値算出型の検知モデル22によって取得された判定結果との少なくとも一方を含む。図1に示す実施形態では、検知モデル判定結果取得部2よって取得される複数の検知モデル判定結果Rは、異常スコア算出型の検知モデル22によって取得された判定結果と、予測値算出型の検知モデル22によって取得された判定結果との両方を含む。これは、異常スコア算出型の場合、正常なデータ群のばらつきが不適切である場合に異常判定結果の精度が低下する場合があるのに対し、予測値算出型の場合には学習データとして用いられる正常なデータ群のばらつきに起因した判定精度の低下は限定的であることによる。
例えば、図5の例示では、プラント異常監視システム1が、時刻t1における偶発的な例外値を示す運転データDを含む複数の運転データDを用いて異常判定をした場合には、図5(a)の異常スコア算出型の検知モデル22は異常有りと判定する一方で、図5(b)の予測値算出型の検知モデル22は異常無しと判定するため、予測値算出型の検知モデル22は、偶発的な例外値の影響を受けていない。
また、図6に示すように、異常事象による影響によって、多数のセンサ値が異常的な挙動を示す場合には、例えば、ニューラルネットワークのようなセンサ値を予測する予測値算出型の検知モデル22の場合には、予測対象のセンサ値の全てが異常的に変化する場合があるため、異常の影響を最も受けているセンサ値がどれであるかなどの特定に時間がかかる可能性がある。その一方で、図7に示すように、MT法(直行表分析を用いたSN比による要因分析を含む)などの異常スコア算出型の検知モデル22の場合には、異常の影響を最も受けているセンサ値の判定が比較的容易である場合がある。
図6~図7について説明すると、これらの図は、ボイラの煙道の内部おいて排ガスが流れる方向に沿って上流側から順番に、2次過熱器(2SH)、3次過熱器(3SH)、4次過熱器(4SH)、2次再熱器(2RH)、1次再熱器(1RH)1次過熱器(1SH)が相互に間隔を置いて設置されている場合において取得された複数の運転データDに基づいて作成された図である。ボイラの煙道には、上記の複数の機器の各々の伝熱管などのメタル温度を測定するための複数の温度センサが設けられており、これらのセンサ値が運転データDとして、プラント異常監視システム1に送られてくる。そして、図6~図7に示すように、時刻tnで異常が発生したとすると、図6では、時刻tn以降に示されるように、全てのセンサ値が影響を受けているため、予測値とセンサ値との差分を算出したとしても、どの機器に異常が発生しているかを特定することは難しい。他方、図7に示すように、機器毎のセンサ値のMD値を算出すると、時刻tn以降、1RHおよび1SHが急上昇しており、直交表分析を用いたSN比による要因分析を合わせて行うなどすることにより、どの機器に異常が発生しているかの切り分けが比較的容易となる。
上記の構成によれば、複数の検知モデル判定結果Rは、予測値算出型の検知モデルおよび異常スコア算出型の検知モデルの両方の判定結果を含む。これによって、異常検知後の切り分けを容易化することができるなど、上述のような相互補完による効果を図ることができる。
以下、上述したプラント異常監視システム1による処理に対応するプラント異常監視方法について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るプラント異常監視方法を示す図である。プラント異常監視方法は、プラント9の運転状態を示す複数の運転データDに基づいて異常を監視する方法であり、図8に示すように、プラント異常監視方法は、運転データ収集ステップ(S1)と、検知モデル判定結果取得ステップ(S2)と、異常判定ステップ(S3)と、異常通知ステップ(S4)と、を備える。
図8に示すフローに従ってプラント異常監視方法を説明する。なお、図8のフローは、プラント9から運転履歴Hを取得する度に行うものとする。
図8のステップS1において、運転データ収集ステップを実行する。運転データ収集ステップは、上述した監視運転データDt(運転履歴H)を取得するステップである。運転データ収集ステップは、上述した運転データ収集部12が行う処理と同様にプラント9側から送られてくる運転履歴Hを取得しても良いし、記憶装置14から運転履歴Hを取得しても良い。
ステップS2において、検知モデル判定結果取得ステップを実行する。検知モデル判定結果取得ステップは、上述した監視運転データDtに対して、上述したような複数の検知モデル判定結果Rを取得するステップである。検知モデル判定結果取得ステップは、上述した検知モデル判定結果取得部2が行う処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ステップS3(S31~S34)において、異常判定ステップを実行する。異常判定ステップは、検知モデル判定結果取得ステップ(S2)によって取得された複数の検知モデル判定結果R、および、上述した重み値Vに基づいて異常の有無を判定するステップである。異常判定ステップは、上述した異常判定部3が行う各実施形態における処理と同様であるため詳細な説明は省略するが、図8に示す実施形態では、異常判定ステップは、上述した正常重み値合計Snと、上述した異常重み値合計Saとの差異に基づいて、異常の有無を判定する。より具体的には、ステップS31において、正常重み値合計Snおよび異常重み値合計Saをそれぞれ算出した後、ステップS32において、正常重み値合計Snと異常重み値合計Saとの大小を判定する。その結果、正常重み値合計Snが異常重み値合計Saよりも大きい場合(Sn>Sa)には、ステップS33において正常と判定し(総合判定結果Rc=正常)、図8のフローを終了する。逆に、正常重み値合計Snが異常重み値合計Sa以下(Sn≦Sa)の場合には、ステップS34において異常と判定し(総合判定結果Rc=異常)、次に説明するステップS4以降を実行する。
ステップS4において、異常通知ステップを実行する。異常通知ステップは、上述した異常判定ステップ(S3)によって異常が有ると判定された場合に異常アラームW(We/Wn)を通知するステップである。異常通知ステップは、上述した異常通知部4が行う各実施形態における処理と同様であるため詳細な説明は省略するが、図8に示す実施形態では、正常重み値合計Snよりも異常重み値合計Saの方が大きく、かつ、正常重み値合計Snと異常重み値合計Saとの差異が閾値(アラーム種別判定閾値)以上の場合(Sa>Sn、かつ、Sa-Sn≧アラーム種別判定閾値)に上述した緊急異常アラームWeを通知する。より具体的には、ステップS3(S34)において総合判定結果Rcが異常と判定された場合には、ステップS41において、Sa-Sn≧アラーム種別判定閾値を満たすか否かを判定する。その結果、Sa-Sn≧アラーム種別判定閾値を満たすと判定された場合には、ステップS42において緊急異常アラームWeをプラント9の運転員などに通知する。逆に、Sa-Sn<アラーム種別判定閾値を満たすと判定された場合には、ステップS43において通常異常アラームWnをプラント9の運転員などに通知する。
また、幾つかの実施形態では、図8に示すように、プラント異常監視方法は、予め設定されている重み値Vの再設定を決定する重み値再決定ステップ(S5)を備えていても良い。図8に示す実施形態では、重み値再決定ステップ(S5)は、上述した異常判定ステップ(S3)による異常の有無の判定結果と、異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に重み値Vの再設定を決定する。重み値再決定ステップは、上述した重み値再決定部5が行う各実施形態における処理と同様であるため詳細な説明は省略するが、図8に示す実施形態では、重み値再決定ステップ(S5)は、上述したステップS3(S34)において総合判定結果Rcが異常有りであった場合において、ステップS4(S42またはS43)で異常アラームWを通知した後に実行される。具体的には、ステップS51において、取得した実際の確認結果からプラント9で実際に異常が発生していたか否かを確認する。その結果、実際に異常が発生していた場合は、上述したステップS34における異常との総合判定結果Rcが正しい場合であり、何もせずにフローを終了する。逆に、実際には異常が発生していなかった場合は、上述したステップS34における異常との総合判定結果Rcが間違いであった場合であり、ステップS52において重み値Vの再設定を決定する。
また、幾つかの実施形態では、図8に示すように、プラント異常監視方法は、重み値再決定ステップ(S5)によって重み値Vの再設定が決定された場合には、実際の確認結果と異なる判定をした検知モデル22の重み値Vと、実際の確認結果と一致する判定をした検知モデル22の重み値Vとの差(差分)が大きくなるように、重み値Vを再設定する重み値再設定ステップ(S6)を、さらに備えていても良い。重み値再設定ステップは、上述した重み値再設定部6が行う各実施形態における処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、図1に示す実施形態では、プラント異常監視システム1が複数のプラント9に対して共通して設けられているが、他の幾つかの実施形態では、プラント9毎にプラント異常監視システム1がそれぞれ設けられていて良い。
1 プラント異常監視システム
12 運転データ収集部
14 記憶装置
16 出力装置
2 検知モデル判定結果取得部
22 検知モデル
3 異常判定部
4 異常通知部
5 再決定部
6 重み値再設定部
9 プラント

D 運転データ
Dt 監視運転データ
H 運転履歴
V 重み値
R 検知モデル判定結果
Rc 総合診断結果
Sa 異常重み値合計
Sn 正常重み値合計
Dr 検知率
L 閾値
W 異常アラーム
We 緊急異常アラーム
Wn 通常異常アラーム
t 時刻

Claims (18)

  1. プラントの運転状態を示す複数の運転データに基づいて異常を監視するプラント異常監視システムであって、
    前記複数の運転データを含む監視運転データに対して、相互に異なる異常判定手法を実行する複数の検知モデルをそれぞれ適用することにより得られる複数の検知モデル判定結果を取得するよう構成される検知モデル判定結果取得部と、
    前記複数の検知モデル判定結果、および前記複数の検知モデルの各々と複数種類の前記異常の各々とに対応付けて予め設定されている重み値に基づいて前記異常の有無を判定するよう構成される異常判定部と、
    前記異常判定部によって前記複数種類の前記異常の少なくとも1つが有ると判定された場合に通知するよう構成される異常通知部と、を備え
    前記異常判定部は、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計と、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計との差異に基づいて、前記複数種類の前記異常の少なくとも1つの有無を判定することを特徴とするプラント異常監視システム。
  2. 前記異常判定部は、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計よりも大きい場合に正常と判定し、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計以下の場合に異常と判定することを特徴とする請求項に記載のプラント異常監視システム。
  3. 前記重み値は、過去に発生した前記異常の種類別の前記複数の検知モデルの各々による検知率が高いほど大きな値を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラント異常監視システム。
  4. 前記異常判定部による前記異常の有無の判定結果と、前記異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に前記重み値の再設定を決定する重み値再決定部を、さらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプラント異常監視システム。
  5. 前記重み値再決定部によって前記重み値の再設定が決定された場合には、前記実際の確認結果と異なる判定をした前記検知モデルの前記重み値と、前記実際の確認結果と一致する判定をした前記検知モデルの前記重み値との差が大きくなるように前記重み値を再設定する重み値再設定部を、さらに備えることを特徴とする請求項に記載のプラント異常監視システム。
  6. 前記重み値再設定部は、前記異常判定部によって異常有りが判定された場合において前記実際の確認結果が異常無しである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常有りを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするか、
    前記異常判定部によって異常無しが判定された場合において前記実際の確認結果が異常有りである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常無しを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするかの少なくとも一方を実行するように構成されることを特徴とする請求項に記載のプラント異常監視システム。
  7. 前記異常通知部は、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計よりも、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計の方が大きく、かつ、前記正常重み値合計と前記異常重み値合計との差異が閾値以上の場合に緊急対応を要請するための緊急異常アラームを通知することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプラント異常監視システム。
  8. 過去に取得された前記複数の運転データに基づいて作成された、複数の前記異常判定手法にそれぞれ対応した前記複数の検知モデルを、さらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプラント異常監視システム。
  9. 前記複数の検知モデル判定結果は、予め設定された閾値との比較により前記異常の有無を判定するための異常スコアを算出する異常スコア算出型の検知モデルによって取得された判定結果と、予め定められた前記運転データの予測値を算出する予測値算出型の検知モデルによって取得された判定結果との両方を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプラント異常監視システム。
  10. プラントの運転状態を示す複数の運転データに基づいて異常を監視するプラント異常監視方法であって、
    前記複数の運転データを含む監視運転データに対して、相互に異なる異常判定手法を実行する複数の検知モデルをそれぞれ適用することにより得られる複数の検知モデル判定結果を取得する検知モデル判定結果取得ステップと、
    前記複数の検知モデル判定結果、および前記複数の検知モデルの各々と複数種類の前記異常の各々とに対応付けて対して予め設定されている重み値に基づいて前記異常の有無を判定する異常判定ステップと、
    前記異常判定ステップによって前記複数種類の前記異常の少なくとも1つが有ると判定された場合に通知する異常通知ステップと、を備え
    前記異常判定ステップは、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計と、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計との差異に基づいて、前記複数種類の前記異常の少なくとも1つの有無を判定することを特徴とするプラント異常監視方法。
  11. 前記異常判定ステップは、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計よりも大きい場合に正常と判定し、前記正常重み値合計が前記異常重み値合計以下の場合に異常と判定することを特徴とする請求項1に記載のプラント異常監視方法。
  12. 前記重み値は、過去に発生した前記異常の種類別の前記複数の検知モデルの各々による検知率が高いほど大きな値を有することを特徴とする請求項10または11に記載のプラント異常監視方法。
  13. 前記異常判定ステップによる前記異常の有無の判定結果と、前記異常の有無の実際の確認結果とが異なる場合に前記重み値の再設定を決定する重み値再決定ステップを、さらに備えることを特徴とする請求項1~1のいずれか1項に記載のプラント異常監視方法。
  14. 前記重み値再決定ステップによって前記重み値の再設定が決定された場合には、前記実際の確認結果と異なる判定をした前記検知モデルの前記重み値と、前記実際の確認結果と一致する判定をした前記検知モデルの前記重み値との差が大きくなるように前記重み値を再設定する重み値再設定ステップを、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプラント異常監視方法。
  15. 前記重み値再設定ステップは、前記異常判定ステップによって異常有りが判定された場合において前記実際の確認結果が異常無しである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常有りを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするか、
    前記異常判定ステップによって異常無しが判定された場合において前記実際の確認結果が異常有りである場合には、前記複数の検知モデル判定結果のうちの前記異常無しを判定した前記検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの前記重み値を小さくするかの少なくとも一方を実行するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプラント異常監視方法。
  16. 前記異常通知ステップは、前記複数の検知モデル判定結果のうちの正常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である正常重み値合計よりも、前記複数の検知モデル判定結果のうちの異常の検知モデル判定結果を取得した前記検知モデルの重み値の合計である異常重み値合計の方が大きく、かつ、前記正常重み値合計と前記異常重み値合計との差異が閾値以上の場合に緊急対応を要請するための緊急異常アラームを通知することを特徴とする請求項1~1のいずれか1項に記載のプラント異常監視方法。
  17. 過去に取得された前記複数の運転データに基づいて作成された、複数の前記異常判定手法にそれぞれ対応した前記複数の検知モデルを、さらに備えることを特徴とする請求項1~1のいずれか1項に記載のプラント異常監視方法。
  18. 前記複数の検知モデル判定結果は、予め設定された閾値との比較により前記異常の有無を判定するための異常スコアを算出する異常スコア算出型の検知モデルによって取得された判定結果と、予め定められた前記運転データの予測値を算出する予測値算出型の検知モデルによって取得された判定結果との両方を含むことを特徴とする請求項1~1のいずれか1項に記載のプラント異常監視方法。
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