JP7063676B2 - 車両用スポイラ - Google Patents

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本発明は、自動車等の車両に設けられるスポイラに関し、例えば、リアゲート(後部ドア)の上部に装着されるルーフスポイラに関する。
車両のルーフの後方にスポイラを設け、その空気整流作用により燃費の向上を図ったり、車両の装飾的効果を高めたりすることが知られている。
下記特許文献1に開示されたスポイラは、リアゲートのドアパネルの上端部に固定される。スポイラの下壁は、その前側及び後側を当て部として、ドアパネルに車幅方向のほぼ全幅にわたって当接している。
下記特許文献2に開示されたスポイラは、樹脂製のアッパ部材とロア部材を組み付けることにより構成され、リアゲートのドアパネルの上端部に固定される。ロア部材には、その車幅方向に離間してドアパネルに向かって突出する複数の板状のリブが設けられ、これらリブのドアパネルと対向する端面がドアパネルとの当て部となっている。
特開2012-81855号公報(図4、図5) 特開2015-63281号公報(図3)
特許文献1及び2に開示された各スポイラでは、下向きの荷重を受けた場合でも、当て部からドアパネルへ荷重が伝達され、ドアパネルの当接箇所によりスポイラは支えられる。しかし、これらのスポイラには次のような問題があった。
特許文献1のスポイラのように、広い面を当て部としてドアパネルに当接させると、ドアパネルに生じた変形や寸法のズレをスポイラが受けてしまい、スポイラのバランスが悪くなる。
特許文献2のスポイラのように、板状のリブの端面を当て部としてパネルに当接させると、当て部はパネルと線当たりすることになり、荷重がパネルに伝わりにくくなる。また、板状のリブを形成するための成形金型は細く深い溝を有することになり、成形時の成形収縮によりリブが金型に張り付き、成形品が離型し難く、成形性を悪化させる恐れがある。
上記課題を解決するために、本発明は、樹脂製のアッパ部材とロア部材を組み付けることにより構成され、車体パネルに固定される車両用スポイラにおいて、上記ロア部材は車体パネルに向かって突出する当て部を有し、この当て部は中空をなして車幅方向に広がる当接壁部を有し、この当接壁部が上記車体パネルに当たることを特徴としている。
上記構成によれば、突出する当て部を中空にして幅のある当接壁部を形成することにより、当接壁部と車体パネルとの当接面積を確保することができ、安定した当接状態を得ることができる。また、板状のリブを成形する場合に比べ金型が抜き易くなり、成形性を改善できる。
好ましくは、上記ロア部材には、下方に突出するとともに上記当て部より車幅方向の幅が広い基部が形成され、この基部に上記当て部が一体に連なるとともに、これら基部と当て部の内部空間が連なっている。
上記構成によれば、当て部をこれより幅広の基部に連ねたので、成形性をより一層高めることができる。
本発明によれば、車体との安定した当接状態を得ることができるとともに、成形性を改善させた車両用スポイラを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るルーフスポイラの平面図である。 同ルーフスポイラの底面図である。 図1のIII-III線に沿う断面図である。 同ルーフスポイラの底面を前方から見た要部拡大斜視図であって、図2の円IVに相当する当て部を示す図である。 図2の円Vに相当する同ルーフスポイラの要部拡大底面図であり、当て部の変形例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を、図1~図4を参照して説明する。この実施形態は、本発明を自動車のルーフスポイラに適用したものである。
図1に示すように、ルーフスポイラ1は、平面視U字形状をなし、車幅方向に長い左右対称形状をなしている。図3に示すように、ルーフスポイラ1は、自動車の車体後方に開閉可能に設置されたリアゲート2の上端部に取り付けられ、ルーフ3の後方でルーフ3の車幅方向に沿って配置されている。ルーフスポイラ1の前方内側の形状は、ルーフ3後端部の形状に対応している。
ルーフスポイラ1は、アッパ部材10と、このアッパ部材10の下側に組み付けられるロア部材20とを有している。アッパ部材10及びロア部材20は、例えば、ABS樹脂やAES樹脂等の合成樹脂材料からなり、射出成形等によってそれぞれ一体的に成形される。
図1に示すように、アッパ部材10は、ルーフスポイラ1の意匠面を構成する部材であり、ルーフスポイラ1の上面を形成する上面部11と、この上面部11に連続して形成される側面部12とを有している。側面部12は、ルーフスポイラ1の右側面、左側面及び後側面を構成している。
図2、図3に示すように、ロア部材20は、ルーフスポイラ1をリアゲート2に取り付ける機能を有する部材であり、アッパ部材10の下側に設置される。図3に示すように、ロア部材20は、アッパ部材10の上面部11の裏面と対向する上側接合部21と、リアゲート2のアウタパネル2aと対向する下面部22とを有している。
図3に示すように、上側接合部21には、溶着用リブ21aが適宜な位置に多数設けられている。上側接合部21が、アッパ部材10の上面部11の裏面に振動溶着により接合されることにより、ロア部材20は、アッパ部材10に組み付けられる。
図2に示すように、ロア部材20の下面部22には、ルーフスポイラ1をリアゲート2のアウタパネル2aに機械的に固定するためのクリップ固定部23及び締め付け固定部24が設けられている。
クリップ固定部23は、本実施形態では、下面部22の車幅方向の中央に1つ設けられ、取付座23aを有している。取付座23aに取り付けられる図示しないクリップは、アウタパネル2aに形成された図示しないクリップ挿通孔に取り付けられる。これにより、クリップ固定部23はリアゲート2に固定される。
締め付け固定部24は、本実施形態では、ルーフスポイラ1の長手方向である車幅方向に離間して複数設けられ、上記クリップ固定部23と、ルーフスポイラ1の車幅方向の左右両端部1A,1Bとの中間位置1C,1Cに、それぞれ2つ設けられ、左右両端部1A,1Bに、それぞれ2つ設けられている。
締め付け固定部24は、取付孔を備えてアウタパネル2aの外面に対応する取付面24aを有し、ボルトや固定金具等から構成される締結具によりアウタパネル2aの図示しない位置に固定される。
尚、左右両端部1A,1Bにそれぞれ2つずつ設けられたクリップ固定部25,25は、ルーフスポイラ1のサイド部材(図示しない)の取り付けに用いられる。
ロア部材20の下面部22には、アウタパネル2aに向かって突出する基部30と、この基部30からさらにアウタパネル2aに向かって突出し、アウタパネル2aに当接可能な当て部40とが設けられている。基部30は、本実施形態では、ルーフスポイラ1の長手方向(車幅方向)に離間して複数設けられ、車幅方向中間部1Cにある上記締め付け固定部24,24と車幅方向に交互に並ぶように配置されている。
図4は、基部30と当て部40を拡大して示している。各基部30は、中空をなして車幅方向に幅広に形成され、アウタパネル2a側を向く凸表面部31を有している。各当て部40は、基部30の凸表面部31に一体に連なっている。当て部40は、アッパ部材11側の第1当接壁部41と、これにアッパ部材11の反対側で連なる第2当接壁部42とを有している。第1当接壁部41の車幅方向両側部からは、第1側壁部41a,41aが延びており基部30の凸表面部31に連なっている。第2当接壁部42の車幅方向両側部からは、第1側壁部42a,42aが延びており基部30の凸表面部31に連なっている。
第1、第2の当接壁部41,42は、それぞれ中空をなして車幅方向に広がっており、当て部40と基部30の内部空間は連なっている。車幅方向の幅は、基部30の凸表面部31より第1当接壁部41が狭く、第1当接壁部41より第2当接壁部42が狭い。これら第1、第2の当接壁部41,42がアウタパネル2aに当接することになる。
第1当接壁部41は、第2当接壁部42に対し、鈍角をなしている。図3に示すように、当て部40は、アウタパネル2aの屈曲部2bと所定の間隙を設けて対向している。第1当接壁部41と第2当接壁部42のなす湾曲は、屈曲部2bのなす湾曲より緩やかである。
図3に示すように、当て部40の後方では、ドアトリム2のアウタパネル2aに窓ガラス4がシール性のある緩衝部材41を介して設けられている。ロア部材20と窓ガラス4との間には、ゴム材料からなりシール性を有する緩衝部材42が設けられている。
上記ルーフスポイラ1は、通常はクリップ固定部23及び締め付け固定部24で自重を受けている。リアゲート2を閉める際や洗車の際等には、ルーフスポイラ1の上面部11に下向きの荷重が作用する。このとき、当て部40の第1及び第2当接壁部41,42がアウタパネル2aの屈曲部2bに当接し、荷重はリアゲート2に伝達される。すなわち、クリップ固定部23及び締め付け固定部24にかかる荷重は分散されるので、ルーフスポイラ1はリアゲート2に安定して支持される。
上記構成のルーフスポイラ1によれば、突出する当て部40を幅のある第1及び第2の当接壁部41,42として形成することにより、当接壁部41,42とアウタパネル2aとの適度な当接面積を確保することができる。その結果、当接面積が広すぎることにより、アウタパネル2aに生じた変形や寸法のズレをルーフスポイラ1が受けて、そのバランスが悪化することを防ぐことができる。また、板状のリブを用いる場合のように、当接面積が狭く、当て部がアウタパネルと線当たりすることにより、荷重がアウタパネルに伝わりにくくなって、荷重が分散されないことを防ぐことができる。さらに、従来、板状リブの端面を当接させる場合に、リブとパネルとの間に設けたパネルの傷付き防止のための緩衝部材は、当て部に幅があるので不要になる。
上記構成のルーフスポイラ1によれば、リアゲート2に向かって突出する基部30や当て部40を中空にして車幅方向に幅のある形状としたので、板状のリブを成形する場合に比べ、成形されたロア部材20を成形金型から抜き易くなり、成形性が改善される。また、ロア部材20の剛性を上げることができる。板状のリブを成形する場合に、隣接するリブのピッチが狭く、成形金型におけるリブ成形溝どうしが近接して、金型が弱くなりその寿命が短くなるという問題を、解消することができる。
次に、本発明の変形例について説明する。なお、以下の変形例については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図5は、図2の円Vに相当する拡大図であり、変形例としての当て部40Aを示している。図2、図5に示すように、当て部40Aは、ロア部材20bの車幅方向中央に設けられたクリップ固定部23の後方に配置されている。この当て部40Aでは、基部30に第2当接壁部42のみが形成されている。この当て部40Aでは、ルーフスポイラ1が下向きの荷重を受けた場合に、第2当接壁部42がアウタパネル2aの屈曲部2bに当接して、荷重をアウタパネル2に伝達させる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
本発明の車両用スポイラは、ルーフスポイラ以外の車両用スポイラにも適用可能である。
上記実施形態では、当て部が、第1及び第2当接壁部を有するか、又は第2当接壁部のみを有しているが、第1当接壁部のみを有するようにしてもよい。
上記実施形態では、ロア部材の下面部から基部を突出させ、基部から当て部を突出させているが、基部を設けずに下面部から当て部を突出させてもよい。
本発明は、自動車等の車両に設けられるスポイラに適用することができる。
1 ルーフスポイラ(車両用スポイラ)
2a アウタパネル(車体パネル)
10 アッパ部材
20 ロア部材
30 基部
40 当て部
41 第1当接壁部
42 第2当接壁部

Claims (1)

  1. 樹脂製のアッパ部材とロア部材を組み付けることにより構成され、車体パネルに固定される車両用スポイラにおいて、
    上記ロア部材は、下方に突出する基部と、この基部から車体パネルに向かって突出する当て部と、を有し、
    この当て部は中空をなして車幅方向に広がる当接壁部を有し、この当接壁部が上記車体パネルに当たり、
    上記基部は、上記当て部より車幅方向の幅が広く形成され、
    上記基部に上記当て部が一体に連なるとともに、これら基部と当て部の内部空間が連なっていることを特徴とする車両用スポイラ。
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