JP7063454B2 - 色素増感太陽電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発電面積効率が大きい色素増感太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
第一の主面及び第二の主面を有する透明電極と、
透明電極の第一の主面上に形成され、半導体層、光増感色素、及び電解質層からなり、主面及び側面を有する発電層と、
発電層上に形成され、主面、側面、及び電極取り出し領域を有する対電極と、
を備える色素増感太陽電池であって、
対電極の側面の少なくとも一部と発電層の側面の少なくとも一部とが同一面上に位置し、
対電極の電極取り出し領域が発電層の主面の少なくとも一部と平面視で重なり、
発電層の側面を覆うように、透明電極及び対電極の一方から他方に亘って、封止層を有するものである。
対電極の主面上の封止層を有しない領域に、対電極の電極取り出し領域を有するものであってもよい。
透明電極上に、半導体層を形成し、半導体層に光増感色素を吸着させ、光増感色素が吸着した半導体層上にゲル状又は固体状の電解質層を形成することにより発電層を形成する第一の工程と、
側面の少なくとも一部が、発電層の側面の少なくとも一部と同一面上に位置し、かつ、電極取り出し領域が発電層の主面の少なくとも一部と平面視で重なるように、発電層上に対電極を形成する第二の工程と、
発電層の側面を覆うように、透明電極及び対電極の一方から他方に亘って、封止層を形成する第三の工程と、を備えるものである。
透明電極上に、半導体層を形成し、半導体層に光増感色素を吸着させ、光増感色素が吸着した半導体層上に電解質層を形成することにより発電層を形成する第一の工程と、
側面の少なくとも一部が、発電層の側面の少なくとも一部と同一面上に位置し、かつ、電極取り出し領域が発電層の主面の少なくとも一部と平面視で重なるように、発電層上に対電極を形成する第二の工程と、
発電層の側面を覆うように、透明電極及び対電極の一方から他方に亘って、封止層を形成する第三の工程と、を備え、
電解質が、少なくとも、電解質層を形成する時から第三の工程が完了するまでの間、ゲル状又は固体状である。
<第一の工程>
図1(a)に示すように、矩形状の透明電極11を準備する。透明電極11は、第一の主面11aと第二の主面11kと側面11c、11d、及び11eを有する。まず、透明電極11の第一の主面11a上に、半導体層12を形成し、半導体層12に光増感色素(不図示)を吸着させ、光増感色素が吸着した半導体層12上に電解質層13を形成することにより発電層14を形成する。
透明電極11は、色素増感太陽電池の負極として機能する。透明電極11の第二の主面11k側が、光入射側である。透明電極11は、ガラス基板やプラスチック基板上に透明導電膜を設けることにより得ることができる。透明導電膜の材料としては、公知の色素増感太陽電池の負極材料を参照することができる。例えば、高い導電性及び透光性を重視する観点から、酸化亜鉛、インジウム-錫複合酸化物、インジウム-錫複合酸化物層と銀層とからなる積層体、アンチモンがドープされた酸化錫、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)等が挙げられる。なかでも、導電性及び透光性が特に高い、FTOが好ましい。
透明電極11は、導電性薄膜であってもよい。例えば、厚み10μm以上300μmのプラスチック基板上に、厚み0.01μm以上0.3μm以下の透明導電膜を設けたものが挙げられる。
発電層14について以下に説明する。発電層14は、半導体層12、光増感色素(不図示)、及び電解質層13からなるものである。発電層14の側面14bは、半導体層12の側面12b及び電解質層13の側面13bで構成され、発電層14の側面14cは、半導体層12の側面12c及び電解質層13の側面13cで構成される。発電層14の側面14bと向かい合う側面には符号14dを付し、発電層14の側面14cと向かい合う側面には符号14eを付している。側面14d及び側面14eも、側面14b及び側面14cと同様に、半導体層12及び電解質層13の側面で構成されている。
半導体層12は、酸化物半導体粒子が分散されたスラリーを、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法などにより、透明電極11上の第一の主面11aに塗布した後、焼結して形成することができる。
半導体層12を構成する酸化物半導体粒子としては、例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Cr、Nb等の金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3等のペロブスカイト型酸化物等が挙げられる。これらの酸化物のうち1種でもよく、2種以上を含む複合体としてもよい。なかでも、化学的に安定で、光電変換特性が優れるTiO2が好ましい。
半導体層12は、例えば、酸化物半導体粒子を含むペーストを塗布した後、乾燥及び加熱する方法等により製造することができる。
半導体層12上には増感色素が担持されており、半導体層12中の酸化物半導体粒子は、この増感色素によって増感される。
増感色素は、例えば、金属錯体色素、有機色素など各種色素を用いることができる。金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム-シス-ジアクア-ビピリジル錯体、ルテニウム-トリス錯体、ルテニウム-ビス錯体、オスミウム-トリス錯体、オスミウム-ビス錯体などの、遷移金属錯体、又は亜鉛-テトラ(4-力ルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄-ヘキサシアニド錯体、及びフタロシアニン等が挙げられる。有機色素としては、9-フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、カルバゾール化合物系色素等が挙げられる。
半導体層12を構成する酸化物半導体粒子の個々の粒子サイズは概ね直径5nm~1μmが好ましい。
電解質層13は、液体電解質、ゲル状電解質、又は固体電解質からなるものであってもよい。これらの中でも、製造容易性、及び得られる電圧を高くする観点から、ゲル状電解質又は固体電解質からなるものがより好ましく、酸化還元対を含むゲル状電解質又は固体電解質層がさらに好ましい。
なお、以下、酸化還元対を含む電解質層を例として説明する箇所があるが、これに限られるものではない。また、酸化還元剤を含む電解質層は、単一材料からなる単層構造でもよく、複数の化合物を含む積層構造でもよい。
酸化還元対としては、色素増感太陽電池に使用されている公知のものを使用することができる。例えば、例えば、I-/I3 -系、Br-/Br3 -系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。これらの中でもI-/I3 -系が好ましい。
I-/I3 -系は、テトラプロピルアンモニウムヨージド等のテトラアルキルアンモニウムヨージド、メチルトリプロピルアンモニウムヨージド、ジエチルジブチルアンモニウムヨージド等の非対称なアルキルアンモニウムヨージド、又は、ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物とヨウ素とによって形成することができる。
ヨウ化4級アンモニウム塩化合物は電離してアルキル基を含むアンモニウムイオンを生成する。電解質層が、アルキル基を含むアンモニウムイオンを含むと、低照度下においても、比較的高い電圧値を達成することができる。
また、電解質中のI-の濃度が高いことにより、I3 -の、透明電極11、酸化物半導体粒子、及び増感色素への接触確率が低下するため、発電量がさらに高くなることが期待される。
電解質がマトリックスを含有することにより、封止層との接着性が向上するため、より強固に封止することができ、経時的な信頼性を高めることができる。
また、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質および溶媒から溶液を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法などの方法により色素を担持した半導体層上にゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合することによっても得られる。
クレイとしては、二酸化ケイ素の粒子、酸化ジルコニウムの粒子、酸化チタンの粒子、モンモリロナイト鉱物の粒子等が挙げられる。
ポリマーの重量平均分子量は、2000以上1000万以下であることが好ましい。2000以上であることにより、電解質がゲル化して液状ではなくなるため、後述の封止層を容易に形成することができる。1000万以下であることにより、イオン伝導性を良好に維持することができる。
固体電解質は、溶媒を含む固体電解質前駆体(塗布組成物)を塗布及び溶媒除去工程を経て形成される。溶媒としては、上記のものを同様に用いることができる。
添加剤の含有量は、電解質層13中0.1質量%以上20質量%未満含有されることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上10質量%未満である。
なお、電解質層が、溶媒を有する液体電解質からなる場合、インクジェット又はディスペンサーで塗布して、溶媒を瞬時に揮発させることにより、ゲル状電解質層を得ることができる。また、基板を液体窒素等で、液体電解質の融点以下として、塗布直後に固化させることにより電解質層を形成することができる。液体電解質の融点以下として、塗布直後に固化させる場合、低温のまま封止層を形成することができる。
次に、図1(b)に示すように、発電層14の主面14a(図1(a)参照)の上に、対電極15を形成する。対電極15を、その側面15b及び15c、並びに側面15b及び側面15cと向かい合う側面15d及び側面15eが、発電層14の側面14b、14c、14d、及び14eと、それぞれ同一面上に位置し、かつ、対電極15の電極取り出し領域15h(図1(c)参照)が、上述の発電層14の主面14aと平面視で重なるように形成する。さらに、発電層14の側面14c、14d及び14eは、透明電極11の側面11c、11d、及び11eとも、それぞれ同一面上に位置している。
対電極15は、色素増感太陽電池10の正極として作用する。対電極15の材質は特に限定は無く、透明電極11と同様のものを用いることができる。また、対電極15は、還元体に電子を与える触媒作用を有する材料を含んでもよい。対電極15としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、グラファイト、白金を担持したカーボン、及び、インジウム-錫複合酸化物、アンチモンがドープされた酸化錫、フッ素がドープされた酸化錫等の金属酸化物を挙げることができる。また、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフエン)(PEDOT)、ポリチオフェン等の有機半導体等も挙げられる。なかでも、白金、グラファイト等が特に好ましい。
最後に、図1(c)に示すように、発電層14の側面14b、14c、14d、及び14eを覆うように、透明電極11から対電極15に亘って、封止層16を形成する。
ここで、「透明電極11及び対電極15の一方から他方に亘って」とは、封止層16が、透明電極11の側面の少なくとも一部から、発電層14を覆い、対電極15の側面の少なくとも一部まで形成されていればよい。必ずしも透明電極11及び対電極15の側面全体を覆っている必要はないが、ガスバリア性、透明性、強度、及び耐候性等の観点から、透明電極11、発電層14、及び対電極15の側面全体を覆っていることが好ましい。
本実施形態の色素増感太陽電池では、対電極15の主面15aが、対電極15の電極取り出し領域15hであり、透明電極11の第一の主面11a上の封止層16が形成されていない領域が、透明電極11の電極取り出し領域11hである。
また、封止層の樹脂に、反射性の金属酸化物粒子を含有させてもよい。反射性の金属酸化物粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
本実施形態におけるセル受光面積は、図1(c)に示すように、L×Wで表され、発電面積は、L1×Wで表され、発電面積効率は、(L1×W/L×W)×100で表される。
例えば、Lが12mm、L1が10mmであり、Wが10mmであるとき、発電面積効率は、100/120×100=83%である。
本発明の増感色素太陽電池は、さらに、透明電極11と半導体層12との間に、逆電子移動防止層を有してもよい。逆電子移動防止層は、酸化物半導体粒子からなり、半導体層12よりも緻密な膜構造を有するものである。逆電子移動防止層に用いられる酸化物半導体粒子は、半導体層12の酸化物半導体粒子と同様の材料を用いることができる。そして、逆電子移動防止層の酸化物半導体粒子と、半導体層12の酸化物半導体粒子は、同一材料でもよく、異なってもよい。逆電子移動防止層を有する場合、増感色素は、逆電子移動防止層の表面の少なくとも一部に吸着されることが好ましい。または、増感色素と酸化物半導体粒子とは混然一体として存在してもよい。
このように、封止層16が対電極15の主面15aの一部に亘って形成されていることにより、封止層が強固に形成されるため、より高い耐久性を実現することができる。
図3(a)に示すように、矩形状の透明電極21を準備する。透明電極21は、第一の主面21aと第二の主面21kと側面21b、21d、21e、21fを有する。まず、透明電極21の第一の主面21a上における三角形の領域21g以外の領域に、半導体層22を形成し、半導体層22に光増感色素(不図示)を吸着させ、光増感色素が吸着した半導体層22上に電解質層23を形成することにより五角形の発電層24を形成する。発電層24の側面24bは、半導体層22の側面22b及び電解質層23の側面23bで構成され、発電層24の側面24cは、半導体層22の側面22c及び電解質層23の側面23cで構成される。発電層24の側面24bと向かい合う側面には符号24eを付し、発電層24の側面24dと向かい合う側面には符号24fを付している(第一の工程)。
本実施形態の色素増感太陽電池20は、対電極25の主面25a上の封止層26を有しない領域が対電極25の電極取り出し領域25hである。封止層26が、対電極25の主面25aの一部まで形成されているため、封止を強固なものとすることができる。また、透明電極21の第一の主面21a上の三角形の領域21gにおいて、封止層26を有しない領域が透明電極21の電極取り出し領域21hであり、上記一実施形態の色素増感太陽電池に比べて電極取り出し領域21hが小さい。このような構造を有することにより、発電面積の割合をセル受光面積に対して大きくできるため、発電面積効率を高めることができる。
本実施形態の色素増感太陽電池20は、透明電極21の第二の主面21k側が光入射面であり、本実施形態におけるセル受光面積は、図3(c)に示すように、L×Wで表される。そして、発電面積は、セル受光面積から三角形の領域21gの面積を除いた面積であるので、L×W-((L2×W2)/2)で表され、発電面積効率は、L×W-((L2×W2)/2)/(L×W)×100で表される。
例えば、Lが10mm、Wが10mm、L2が2mm、W2が2mmである場合、発電面積効率は、98/100×100=98%であり、上記一実施形態よりさらに発電面積効率を高めることができる。
図4に示すように、色素増感太陽電池30は、透明電極31の第一の主面31a上に、半導体層32及び電解質層33からなる発電層34と、対電極35と、を備える色素増感太陽電池である。封止層36は、紙面右側側面では、対電極35の主面35aから透明電極31の側面及び透明電極31の第一の主面31aに亘って形成され、紙面左側側面では、対電極35の主面35aから透明電極31の側面及び透明電極31の第二の主面31kに亘って形成されている。図示しないが、その他の側面においては、封止層36は、対電極35の主面35aから透明電極31の側面及び透明電極31の第二の主面31kに亘って形成されている。そして、透明電極31の封止層36を有しない領域が透明電極31の電極取り出し領域31hであり、対電極35の主面35aの封止層36が形成されていない領域が対電極35の電極取り出し領域35hである。
透明電極31の第二の主面31k側が光入射面であるが、封止層36をアクリル樹脂等の透明な樹脂とすることにより、透明電極31の第二の主面31k上に封止層36が形成されていても、受光面積を減らすことなく、強固に封止することができる。
このように透明電極31を導電性薄膜とすることによりセルを搭載するシステムの薄型化に寄与するとともに、割れにくくセルの重量が軽減されるため可搬性に優れるという効果を奏する。
図5及び図6に示すように、色素増感太陽電池100は、透明電極101上に発電層102と対電極103を備え、発電層102の側面は、透明電極101及び対電極103の側面より内側に位置している。そして、透明電極101の電極取り出し領域101hと、対電極103の電極取り出し領域103hとは、本発明の色素増感太陽電池の上記実施形態と異なり、平面視において発電層102と重ならず、隣接して配置されている。
したがって、色素増感太陽電池100のセル受光面積は、上記実施形態に比べ、平面視において、透明電極101の電極取り出し領域101h、対電極103の電極取り出し領域103h、及び封止層104が存在することによって大きくなる。そして、発電面積は、封止層104がセル受光面積内に存在するため小さくなる。例えば、Lを14mm、Wを10mmとすると、セル受光面積は14×10=140mm2である。そして、発電面積L3×W3は、8×8=64mm2であり、発電面積効率は64/140×100=46%である。
本発明の色素増感太陽電池は、対電極の側面と発電層の側面とが同一面上に位置しているため、従来技術に比べて発電面積効率を大幅に向上させることができる。
図1に示す形態の色素増感太陽電池を作製した。
10mm×12mm×1.1mm厚のガラス/FTO基板のFTO表面に、チタンアルコキシドから調製したアルコール溶液を塗布し、550℃で加熱することにより逆電子移動防止層を形成した。逆電子移動防止層を形成したFTO表面に、日揮触媒化成製の酸化チタンペースト(PST-30NRD)をスクリーン印刷法により1cm2の面積で印刷を行った。この時、端部の10mm×2mmの面積は取り出し電極として残しておく。塗布した酸化チタンペーストをガラス/FTO基板ごと550℃で30分程度加熱し、酸化チタンペースト中に含まれる有機物成分を消失させた。このようにして得られた発電層を、アセトニトリルとt-ブタノールを体積比率1:1で混合した有機溶媒に溶解させた色素溶液(色素:CYC-B11(K)、濃度:0.2mmol/L)に浸漬し、50℃で4時間静置することで色素吸着を行った。別途、10mm×10mm×100μm厚のチタン基板の一方の表面に白金をスパッタし、正極を作製した。
固体電解質を浸漬させた発電層を形成した負極を室温に戻し、正極の白金側と対向させ、負極の取り出し電極部分を2mm保持した。この時、真空状態で正負極を対向させた。真空状態で正負極を対向させることで、固体電解質中への気泡の内包を抑制することができる。この状態で、負極のガラス/FTO基板の取り出し電極のない三方の側面に紫外線硬化樹脂(商品名「TB3017B」、スリーボンド社製)を塗布し、負極の側面と正極基板の白金の付いていない面の一部とに紫外線を照射することにより樹脂で封止した。一方で、負極の取り出し電極部分については、負極の電極部分の一部及び正極基板の白金の付いていない面の一部に紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射することで樹脂を硬化させ、封止した。
図3に示す形態の色素増感太陽電池を作製した。
10mm×10mm×1.1mm厚のガラス/FTO基板のFTO表面に、チタンアルコキシドから調製したアルコール溶液を塗布し、550℃で加熱することにより逆電子移動防止層を形成した。
逆電子移動防止層を形成したFTO表面に、日揮触媒化成製の酸化チタンペースト(PST-30NRD)をスクリーン印刷法により1cm2の面積で印刷を行った。この時、1つの角に対して、縦2mm×横2mmの直角三角形の面積は取り出し電極として残しておく。塗布した酸化チタンペーストをガラス/FTO基板ごと550℃で30分程度加熱し、酸化チタンペースト中に含まれる有機物成分を消失させた。このようにして得られた発電層を、アセトニトリルとt-ブタノールを体積比率1:1で混合した有機溶媒に溶解させた色素溶液(色素:CYC-B11(K)、濃度:0.2mmol/l)に浸漬し、50℃で4時間静置することで色素吸着を行った。別途、10mm×10mm×100μmtのチタン基板の1つの角に対して、縦2mm(L2)×横2mm(W2)の直角三角形の面積を切り落とし、五角形の基板を作製した。五角形の基板の一方の表面に白金をスパッタし、正極を作製した。
固体電解質を浸漬させた発電層を形成した負極を室温に戻し、正極の白金側と対向させ、正負極の縦2mm×横2mmの直角三角形の面積が一致するように重ねた。この時、真空状態で正負極を対向させた。真空状態で正負極を対向させることで、固体電解質中への気泡の内包を抑制することができる。この状態で、負極のガラス/FTO基板の取り出し電極のない部分の側面に紫外線硬化樹脂(商品名「TB3017B」、スリーボンド社製)を塗布し、負極の側面と正極基板の白金の付いていない面の一部とに紫外線を照射することにより樹脂で封止した。一方で、負極の取り出し電極部分については、負極の電極部分の一部及び正極基板の白金の付いていない面の一部に紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射することで樹脂を硬化させ、封止した。
10mm×12mm×1.1mm厚のガラス/FTO基板のFTO表面に、チタンアルコキシドから調製したアルコール溶液を塗布し、550℃で加熱することにより逆電子移動防止層を形成した。逆電子移動防止層を形成したFTO表面に、日揮触媒化成製の酸化チタンペースト(PST-30NRD)をスクリーン印刷法により1cm2の面積で印刷を行った。この時、10mm×2mmの面積は取り出し電極として残しておく。塗布した酸化チタンペーストをガラス/FTO基板ごと550℃で30分程度加熱し、酸化チタンペースト中に含まれる有機物成分を消失させた。このようにして得られた発電層を、アセトニトリルとt-ブタノールを体積比率1:1で混合した有機溶媒に溶解させた色素溶液(色素:CYC-B11(K)、濃度:0.2mmol/L)に浸漬し、50℃で4時間静置することで色素吸着を行った。別途、10mm×12mm×1.1mm厚のガラス/FTO基板のFTOの表面に白金をスパッタし、正極を作製した。
11、21、31、101 透明電極
12、22、32 半導体層
13、23、33 電解質層
14、24、34、102 発電層
15、25、35、103 対電極
16、26、36、104 封止層
11a、21a、31a 透明電極の第一の主面
11k、21k、31k 透明電極の第二の主面
11c、11d、11e 透明電極の側面
12b、12c、12d、12e 半導体層の側面
13b、13c、13d、13e 電解質層の側面
14b、14c、14d、14e 発電層の側面
15b、15c、15d、15e 対電極の側面
11h、21h、31h、101h 透明電極の電極取り出し領域
15h、25h、35h、103h 対電極の電極取り出し領域
Claims (10)
- 第一の主面及び第二の主面を有する透明電極と、
該透明電極の前記第一の主面上に形成され、半導体層、光増感色素、及び電解質層からなり、主面及び側面を有する発電層と、
該発電層の前記主面上に形成され、主面、側面、及び電極取り出し領域を有する対電極と、
を備える色素増感太陽電池であって、
前記対電極の前記側面の少なくとも一部と前記発電層の前記側面の少なくとも一部とが同一面上に位置し、
前記対電極の電極取り出し領域が前記発電層の前記主面の少なくとも一部と平面視で重なり、
前記発電層の側面を覆うように、前記透明電極及び前記対電極の一方から他方に亘って、封止層を有し、
前記対電極の前記主面上の前記封止層を有しない領域に、前記対電極の電極取り出し領域を有する色素増感太陽電池。 - 前記電解質層が、ゲル状又は固体状である請求項1記載の色素増感太陽電池。
- 前記電解質層が、マトリックスを含有する請求項2記載の色素増感太陽電池。
- 前記封止層が、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂を含有する請求項1から3いずれか1項記載の色素増感太陽電池。
- 前記封止層が、反射性部材を含む請求項1から4いずれか1項記載の色素増感太陽電池。
- 前記対電極が導電性薄膜からなる請求項1から5いずれか1項記載の色素増感太陽電池。
- 前記封止層が、透明であり、かつ、前記対電極から前記透明電極の側面及び前記透明電極の前記第二の主面上の少なくとも一部に亘って形成されている請求項1から5いずれか1項記載の色素増感太陽電池。
- 前記透明電極が導電性薄膜からなる請求項7記載の色素増感太陽電池。
- 透明電極の第一の主面上に、半導体層を形成し、前記半導体層に光増感色素を吸着させ、前記光増感色素が吸着した前記半導体層上にゲル状又は固体状の電解質層を形成することにより発電層を形成する第一の工程と、
側面の少なくとも一部が、前記発電層の側面の少なくとも一部と同一面上に位置し、かつ、電極取り出し領域が前記発電層の主面の少なくとも一部と平面視で重なるように、前記発電層上に対電極を形成する第二の工程と、
前記発電層の側面を覆うように、前記透明電極及び前記対電極の一方から他方に亘って、封止層を形成する第三の工程と、を備える色素増感太陽電池の製造方法。 - 透明電極の第一の主面上に、半導体層を形成し、前記半導体層に光増感色素を吸着させ、前記光増感色素が吸着した前記半導体層上に電解質層を形成することにより発電層を形成する第一の工程と、
側面の少なくとも一部が、前記発電層の側面の少なくとも一部と同一面上に位置し、かつ、電極取り出し領域が前記発電層の主面の少なくとも一部と平面視で重なるように、前記発電層上に対電極を形成する第二の工程と、
前記発電層の側面を覆うように、前記透明電極及び前記対電極の一方から他方に亘って、封止層を形成する第三の工程と、を備え、
前記電解質層が、少なくとも、前記電解質層を形成する時から前記第三の工程が完了するまでの間、ゲル状又は固体状である色素増感太陽電池の製造方法。
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