JP7062315B2 - 遺伝子発現を制御するための核酸 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝子発現を制御するための核酸に関する。
生物を活用した物質生産プロセスにおいては、目的産物を生産するために、組換えDNA手法を用いて、対象となる遺伝子(群)を微生物や植物や動物などの適当な宿主において発現させることが多い。目的産物の生産量を増大するためには、宿主生物一個体あたりの目的遺伝子の発現量の増加を行うことが好ましい。このための既存の手法としては、たとえば目的の遺伝子の上流に強力なプロモーター配列を付加することや、コピー数の多い発現ベクターを用いることがある。
ここで、様々な手法で構築された既存の遺伝子発現系に、特定のDNA配列を追加的に挿入する工程のみで、付加的に目的遺伝子の発現の増加が可能になれば、生物を用いた物質生産において非常に有用である。
また、生物を宿主とした組換えDNA手法を活用した物質生産プロセスにおいては、複数の遺伝子を使用する場合がある。例えば、様々な基質の酸化反応を触媒するシトクロームP450酵素は、単独では酵素反応を発揮せず、外部からの電子供与体(NADPH)とレダクターゼのような電子伝達成分を介した電子伝達を必要とする。また、このような多成分複合酵素は、触媒反応それ自体よりも電子伝達の過程、つまり電子伝達成分酵素の不足が律速となることが多い(非特許文献1および2)。
したがって、電子伝達成分酵素のみを発現増加させることができれば、効率良い物質生産が可能となるが、既存の遺伝子発現系については、目的遺伝子の発現の有無(オン・オフ)の制御系の開発が中心である。そこで、遺伝子発現量を細かく調節するための制御系の開発が期待されている。
ここで、真核生物、特にヒトを含む進化した動植物の多くのゲノム上には、しばしば同一配列が連続した繰り返し配列(反復配列)が見られる。この反復配列の機能についてはほとんど不明であるが、ハンチントン病に代表されるヒトの疾病遺伝子を中心に一部機能が明らかになっている。近年のゲノム解析技術の発展により、原核微生物にも多くの反復配列が発見されてきたが、依然としてその多くが機能不明である。しかし最近になって、一部の病原菌を中心に、反復配列およびその繰り返し数と病原性との関係が明らかにされてきた(非特許文献3)。例えば、髄膜炎菌のNeisseria meningitidisはnadA遺伝子の上流に存在する反復配列(TAAA)nの繰り返しの数によってNadAタンパクの生産量が変化することにより、菌株の毒性が異なることが示された(非特許文献4)。また、呼吸器感染症のMoraxella catarrhalisでは、上流に存在する(AGAT)nの繰り返し数がUspA2の発現量に変化を与えることにより、病原性の違いが確認されている(非特許文献5)。
Hlavica et al. Biotechnol Adv. 27: 103-121. (2009) Verma et al. Biopolymers 101: 197-209. (2014) Zhou et al. FEMS Microbiol. Rev. 38: 119-141. (2014) Ahmed et al. J. Bacteriol. 188: 7840-7852. (2006) Attia and Hansen. Journal of Bacteriology, 188: 7840-7852. (2006)
本発明は、目的遺伝子の発現量の制御を行うことが可能な核酸の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、病原菌で見出されている反復配列の可能性に着目した。すなわち、目的遺伝子の上流に追加的に挿入することで目的遺伝子の発現量の制御を行うことが可能な新規な反復配列を見いだすことを着想した。また本発明者らは、見出した新規反復配列の繰り返し数の増減により下流の目的遺伝子の発現量を調整することが可能になれば、生物を活用した物質生産プロセスにおいて有用な手法となり得ると考えた。
さらに、前述の病原菌で見いだされた、下流の遺伝子の発現量を調整する反復配列は、一般的にはその反復配列が発見された生物においてのみ機能が検証されている。ここで、特定の生物種にとどまらず、様々な生物において遺伝子産物の生産量調節機能を保有する反復配列を発見できれば、本手法を様々な生物種を用いた物質生産プロセスに応用可能であると考えた。
上記着想に基づき鋭意検討の結果、本発明者らは環境中DNAから遺伝子の発現量を制御可能な新規の反復配列を見出した。
すなわち、本発明は以下を含む:
本発明は、一態様において、
〔1〕 遺伝子の発現量を調節するための核酸であって、下記(i)または(ii)に記載の塩基配列からなる核酸に関する:
(i)5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]n-3’
(上記塩基配列において、nは1~20の整数である。)、または、
(ii)上記(i)に示される塩基配列において1または数個の塩基が置換、付加、または、欠失した塩基配列からなり、かつ、前記塩基配列の下流に位置する遺伝子の発現量を調節することのできる塩基配列。
また、本発明の遺伝子の発現量を調節するための核酸は、一実施の形態において、
〔2〕上記〔1〕に記載の核酸であって、
上記(i)5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]n-3’で示される塩基配列におけるnが、1~7の整数であることを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の核酸を含むベクターに関する。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔4〕上記〔3〕に記載のベクターであって、
前記ベクターは発現量を調整する目的遺伝子をさらに含み、前記核酸が前記遺伝子の発現量を調節可能なように上流に配置されていることを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔5〕上記〔3〕または〔4〕に記載のベクターを含む宿主細胞に関する。
また、本発明の宿主細胞は、一実施の形態において、
〔6〕上記〔5〕に記載のベクターを含む宿主細胞であって、
前記目的遺伝子が宿主細胞に対する外来遺伝子であることを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔7〕目的遺伝子を発現させる方法であって、
上記〔1〕または〔2〕に記載の核酸が上流に連結された前記目的遺伝子を発現させる工程を含む、発現方法に関する。
ここで、本発明の目的遺伝子を発現させる方法は一実施の形態において、
〔8〕上記〔7〕に記載の発現方法であって、
前記核酸が、前記目的遺伝子の発現量が所望の量となるように選択された反復数を有する塩基配列からなる核酸であることを特徴とする。
また、本発明の目的遺伝子の発現方法は、一実施の形態において、
〔9〕上記〔7〕または〔8〕に記載の目的遺伝子の発現方法であって、
前記目的遺伝子を発現させる工程が、上記〔4〕に記載のベクターに含まれる前記目的遺伝子を細胞系または無細胞系において発現させる工程であることを特徴とする。
また、本発明の目的遺伝子の発現方法は、一実施の形態において、
〔10〕上記〔7〕または〔8〕に記載の目的遺伝子を発現させる方法であって、
前記目的遺伝子が細胞内の内在遺伝子であり、
前記目的遺伝子を発現させる工程の前に、上記〔1〕または〔2〕に記載の核酸を前記細胞の染色体上に存在する前記目的遺伝子の上流に導入する工程をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔11〕宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法であって、
前記宿主細胞において前記タンパク質をコードする遺伝子の発現を促し、前記タンパク質を産生させる工程であって、前記宿主細胞は前記タンパク質をコードする遺伝子の上流に上記〔1〕または〔2〕に記載の核酸を有する工程を含む、タンパク質の産生方法に関する。
また、本発明の宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法は、一実施の形態において、
〔12〕上記〔11〕に記載のタンパク質の産生方法であって、
前記タンパク質を産生される工程において、前記宿主細胞が上記〔4〕に記載のベクターを含むものであることを特徴とする。
また、本発明のタンパク質の産生方法は、一実施の形態において、
〔13〕上記〔11〕または〔12〕に記載のタンパク質の産生方法であって、
前記核酸が、当該遺伝子の発現量が所望の量となるように、選択された反復数の塩基配列からなる核酸であることを特徴とする。
本発明の核酸によれば、当該目的遺伝子の上流に追加的に本発明の核酸を挿入することで目的遺伝子の発現量の調節を行うことが可能となる。
図1は、メタゲノム配列上流で発見された繰り返し数の異なる反復配列を3~5の繰り返し数で含む、下記実施例1で得られたショットガンクローンA~Cの当該反復配列挿入領域の概要図を示す。 図2は、大腸菌DH10B株宿主およびpUC118ベクターを用いて作製されたショットガンクローンA~Cにおけるカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違を示すグラフである。 図3は、本発明に係る核酸と、当該核酸に相当する各生物種における反復配列の塩基配列との比較を示す。 図4は、本発明に係る核酸と、当該核酸に相当する各生物種における反復配列の塩基配列との比較を示す。 図5は、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の上流に異なる繰り返し数の反復配列を有する大腸菌JM109株宿主における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違を示すグラフである。 図6は、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の上流に異なる繰り返し数の反復配列を有する大腸菌BL21(DE3)株宿主における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違を示すグラフである。 図7は、ベータガラクトシダーゼ遺伝子の上流に異なる繰り返し数の反復配列を有する大腸菌JM109株宿主におけるo-Nitrophenolの生産量の相違を示すグラフである。 図8は、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の上流に1または5の繰り返し数の反復配列を有するPseudomonas putida KT2440株宿主における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違を示すグラフである。 図9Aは、下記実施例6で用いた各レポータープラスミドにおけるレポーター遺伝子およびそのプロモーターの構成を示す概要図である。また図9Bは、図9Aで示す各レポータープラスミドにより形質転換された酵母YPH500株を、72時間培養した際の分泌型ルシフェラーゼ遺伝子(CLuc)の活性を示すグラフである。
本発明は、一態様において、遺伝子の発現量を調節するための核酸を提供する。ここで、当該核酸は、下記(i)または(ii)に記載の塩基配列からなる核酸である:
(i)5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]n-3’
(上記塩基配列において、nは1~20の整数である。)、または、
(ii)上記(i)に示される塩基配列において1または数個の塩基が置換、付加、または、欠失した塩基配列からなり、かつ、前記塩基配列の下流に位置する遺伝子の発現量を調節することのできる塩基配列。
本発明の核酸は、5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]-3’(配列番号1)の9塩基からなる塩基配列またはその反復配列を含む。本発明の核酸を構成する塩基配列としては、具体的に、5’-TGACATGAT-3’、5’-TGACATGCT-3’、5’-TAACATGAT-3’、5’-TAACATGCT-3’の4つの配列を含み、また前記4つの配列を複数回繰り返した反復配列を含む。繰り返される配列は、前記4つの配列のうち同じ配列が繰り返されてもよく、異なる配列の組み合わせにより繰り返されてもよい。また、反復配列における反復数は、目的遺伝子の発現を調節できる限りにおいて特に制限されず、目的遺伝子や当該目的遺伝子を発現させる細胞などの条件により適宜設定することができる。反復配列としては例えば、配列番号1に示される塩基配列が2~20個連結したものを挙げることができ、好ましくは2~15個、より好ましくは2~10個、さらに好ましくは2~7個連結したものを挙げることができる。しかしながら、本発明の核酸は配列番号1に示される塩基配列が20個を超えて連結したものを排除しない。好ましい反復配列の長さは目的遺伝子の種類や当該目的遺伝子を発現させる細胞等の条件により異なり、適宜好ましい反復配列の長さを採用することができる。当該塩基配列からなる核酸を、目的の遺伝子の上流に挿入することで当該目的遺伝子の発現量を調節することができる。
本明細書において、遺伝子の発現量を調節するとは、遺伝子の発現量を亢進させること、および、遺伝子の発現量を抑制することを含む。好ましい一実施の形態において、遺伝子の発現量の調節は、目的の遺伝子の発現量を亢進させることである。また、遺伝子発現量の調節の結果、通常の条件では不溶化するタンパク質を可溶化させることも可能である。
目的遺伝子の発現量を亢進させる場合、一実施の形態において、配列番号1に示される塩基配列が4または5個連結した塩基配列(反復数3または4の塩基配列)が好ましい。4、5個程度の連結数となる反復配列が下流の遺伝子の発現を最も亢進し、それよりも短い反復配列および長い反復配列になるほど遺伝子発現の亢進の程度が弱くなることが予想される。当業者であれば、目的遺伝子の所望する遺伝子発現量に応じて、塩基配列の反復数を適宜選択することができる。
本発明の核酸を追加的に挿入することにより目的遺伝子の発現量が調節されているか否かについては、例えば、本発明の核酸とともに酵素遺伝子を含むベクターを大腸菌などの宿主細胞に導入し、当該宿主細胞の培養や発現誘導によりタンパク質を産生し、産生されたタンパク質の発現量をマイクロプレートリーダー分光光度計などで測定することにより評価することができる。このとき本発明の核酸を導入していないもの、反復数が1~20それぞれの核酸を含むベクターを用いることで、核酸の反復数に応じた目的遺伝子の発現量を評価することができる。
上記のような評価を行うことで、目的遺伝子の発現量が所望の量となるように本発明の核酸の反復数を設定することができる。
本発明の核酸は、(i)5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]n-3’ (前記塩基配列において、nは1~20の整数である。)として示される塩基配列(または反復配列)において、1または数個の塩基が置換、付加、または、欠失した塩基配列からなり、かつ、前記塩基配列の下流に位置する遺伝子の発現量を調節することのできる塩基配列からなる核酸を含む。
ここで、数個の塩基とは、例えば1個、2個、3個、4個、5個、または、6個の塩基を指す。一実施の形態においては、反復数(n)に応じて90%以上(好ましくは、95%、98%、99%以上)の塩基配列の同一性を保持する範囲内で、1または数個の塩基が置換、付加、または、欠失することができる。例えば、反復数が4(n=4)のとき、1個、2個、または、3個の範囲内で塩基が置換、付加、または、欠失してもよい。
一実施の形態において、本発明のベクターは、上述の核酸に加えて発現量を調整する目的遺伝子をさらに含み、核酸が目的遺伝子の発現量を調節可能なように上流に配置されている。
本明細書において目的遺伝子とは、本発明の核酸の下流に配置された際に当制御された発現量の転写産物を生じる遺伝子である限りにおいて特に制限されない。目的遺伝子は、タンパク質をコードする遺伝子であってもよいし、ノンコーディングRNAであってもよい。好ましくはタンパク質をコードする遺伝子である。また、多成分複合酵素遺伝子における各成分をコードする遺伝子の発現量を制御するように、当該各成分をコードするそれぞれの遺伝子の上流に本発明の核酸を挿入することもできる。各成分の発現量を最適化することにより、単一の酵素活性を最適化可能となる。また、生合成遺伝子クラスターに属する各遺伝子の発現量を調整することにより、当該生合成遺伝子クラスターにより生合成される化合物の生産性の効率化を図ることができる。
一実施の形態において目的遺伝子は、目的遺伝子を発現させる宿主細胞に対して外来の遺伝子でもよく、宿主細胞に内在する遺伝子であってもよい。目的遺伝子はペプチド(ポリペプチド)、タンパク質、ノンコーディングRNA、機能性核酸などをコードする遺伝子であり、組換えペプチド、組換えタンパク質などの人工的に調製された遺伝子であってもよい。
ここで本発明の核酸は、目的の遺伝子を調節可能なように目的遺伝子の上流に連結される。より具体的には、以下に制限されないが、例えば目的遺伝子の上流約10~200bpsの範囲内に挿入することができる。目的遺伝子の発現を調節できる限りにおいて200bps以上の上流に配置されてもよい。好ましくは、目的遺伝子の上流約10~150bpsの範囲内である。また、本発明の核酸は、その上流または下流のいずれにプロモーターが存在していてもよい。目的遺伝子が内在遺伝子または外来遺伝子のいずれの場合においても、目的遺伝子の上流へ本発明の核酸を導入する方法は公知の方法に従い行うことができる。目的遺伝子が外来遺伝子である場合、例えば下記に記載するようなベクターを用いて外来遺伝子を宿主細胞に導入することができる。あるいは、既知の遺伝子工学手法により、宿主細胞の染色体上に挿入することもできる。また、目的遺伝子が対象の細胞が有する内在遺伝子である場合、例えば、ゲノム編集や相同組換え技術により当該細胞の染色体上へ本発明の核酸を導入することができる。本発明の核酸を目的遺伝子の上流である染色体上の領域へ導入するためのゲノム編集や相同組み換え技術に関する手法は特に限定されず、公知の手法に準じて行うことができる(例えば、Nature Reviews Genetics. 2001. 2:769-779参照)。相同組換えを利用する手法としては、例えばλRed法(Red/ET system, フナコシ社)を好適に用いることができる。
本発明は一態様において、上述する核酸を含むベクターを提供する。
本明細書においてベクターは、本発明の核酸と目的遺伝子とをプロモーターとともに作動可能なように連結して保持することにより、当該目的遺伝子の発現を調節可能なものであれば特に制限されない。本発明に用いることのできるベクターは、宿主においてタンパク質を発現させる細胞系ベクター、およびタンパク質翻訳系を利用する無細胞系ベクターのいずれであってもよく、プラスミド、ウイルスベクター、ファージ、組込み型(integrative)ベクターおよび人工染色体のいずれであってもよい。組込み型ベクターは、全体が宿主細胞のゲノムに組み込まれるタイプのベクターであってもよく、その一部(本発明のポリヌクレオチドが発現するために必要な部分など)のみが宿主細胞のゲノムに組み込まれるタイプのベクターであってもよい。発現ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであってもよい。以下に限定されないが、例えば、pUC118ベクター、pUC18ベクター、pET28aベクター、pCB192ベクターなど公知のベクターを挙げることができる。また、無細胞系ベクターとしては、T7またはT3プロモーターを有する発現ベクター、SP6プロモーターなどを有するpEU系プラスミド等の小麦無細胞タンパク質合成用ベクターなどを挙げることができる。
ベクターには、転写を進める要素(プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、分泌シグナル配列、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)など)、選択マーカーなどの、本発明のポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドが含まれていてもよい。転写に必要な要素は、宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であればよく、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。転写に必要な要素は、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結されていればよい。
プロモーターとしては宿主の種類や無細胞系の条件に応じて公知のプロモーターを選択すればよい。以下に限定されないが、pETベクター(Novagen社)、pQEベクター(Qiagen社)などを挙げることができる。
また本発明の核酸を含むベクターは公知のベクターの作製方法により作製することができる。
本発明は一態様において、上述するベクターを含む宿主細胞を提供する。
本明細書において宿主細胞とは、本発明の核酸とその下流に位置する目的遺伝子とを含むベクターが導入された際に、当該核酸の下流に位置する目的遺伝子について調節された遺伝子量が発現する限りにおいて限定されない。本発明の核酸は、様々な生物に存在することを確認している。表1に、5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]-3’またはその反復配列が確認された生物種を示す。宿主細胞の具体例としては、以下に制限されないが、例えば、大腸菌、大腸菌以外の原核微生物、カビや担子菌などの真核微生物、植物や魚類やほ乳類などの高等生物などを挙げることができる。大腸菌のような汎用性の高い宿主にとどまらず、様々な生物種を宿主とした物質生産プロセスにおいて応用可能となることが期待される。なお、由来する生物種ごとに反復配列の最初の塩基が異なる場合があり(すなわち、配列番号1に示される塩基配列の5’末端側の塩基が1~数個欠失している場合がある)、また配列番号1に示される塩基配列の反復配列と比較して、配列中に1~数個の変異が存在する。本発明のベクターを含む宿主細胞は特に制限されず、公知の方法により作製することができる。以下に限定されないが、宿主を形質転換する方法としては、安定的遺伝子導入法(例、遺伝子改変法、ゲノム編集技術)、一過的遺伝子導入法(例、ベクターの一過的導入)などを挙げることができる。
Figure 0007062315000001
本発明は一態様において、発現量が調節された目的遺伝子の発現方法を提供する。当該発現方法は、上述の本発明に係る核酸が上流に連結された目的遺伝子を発現させる工程を含む。
目的遺伝子の発現は、細胞系および無細胞系のいずれを使用することもできる。細胞系および無細胞系における目的遺伝子の発現条件は特に制限されず、公知の方法に準じて行うことができる。
無細胞系における目的遺伝子の発現には、細胞破砕液を必要に応じて精製して得られる細胞抽出液、または、人工的に調製した無細胞合成系を用いることができる。細胞合成系には一般に、タンパク質合成に必要なリボソーム、翻訳開始因子、翻訳伸長因子、解離因子、アミノアシルtRNA合成酵素等、翻訳に必要な要素が含まれている。タンパク質の合成を行う際には、この細胞抽出液に各種アミノ酸、ATP、GTPなどのエネルギー源、クレアチンリン酸など、タンパク質の合成に必要なその他の物質を添加する。勿論、タンパク質合成の際に、別途用意したリボソームや各種因子、及び/又は各種酵素などを必要に応じて補充してもよい。また細胞抽出液としては大腸菌抽出液、ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液等が挙ることができる。本発明に係る核酸が上流に連結された目的遺伝子を保持する無細胞系ベクターは、上記のような細胞合成系において目的遺伝子を発現する。
一実施の形態において、当該核酸は目的遺伝子の発現量を調節可能なように当該目的遺伝子の上流に配置されており、かつ、当該核酸は目的遺伝子の発現量が所望の量となるように選択された所望の反復数を有する塩基配列からなる。
また、当該発現方法は一実施の形態において、目的遺伝子を発現させる工程は、上述の本発明に係るベクターを含む宿主細胞において目的遺伝子を発現させる工程とすることができる。
一実施の形態において、当該ベクターには本発明の核酸と目的遺伝子とが発現量の制御を可能なように配置されており、かつ、当該核酸は目的遺伝子の発現量が所望の量となるように選択された反復数を有する塩基配列からなる。
また本発明は一態様において、宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法を提供する。本タンパク質の産生方法は、当該宿主細胞において当該タンパク質をコードする遺伝子の発現を促し、当該タンパク質を産生させる工程を含み、ここで当該宿主細胞は当該タンパク質をコードする遺伝子の上流に上述する本発明の核酸を有する。宿主細胞により発現するタンパク質は、宿主細胞に内在する遺伝子によりコードされるタンパク質としてもよいし、外来遺伝子によりコードされるタンパク質であってもよい。
本発明の宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法は一実施の形態において、上述する本発明のベクターを含む宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法である。
また、本発明のタンパク質の産生方法における一実施の形態において、ベクターに含まれる本発明の核酸は、目的遺伝子の発現量が所望の量となるように、選択された反復数を有する塩基配列からなる。
本発明の核酸と目的遺伝子とを含むベクターにより形質転換された宿主細胞において目的遺伝子を発現させる方法は、用いるベクター、宿主細胞、目的遺伝子などに応じて、公知の方法に準じ適宜実施することができる。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、本明細書に引用する特許文献および非特許文献の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(実施例1:遺伝子産物の生産量を調整する反復配列の発見)
(1-1)環境DNAライブラリーの作製
活性汚泥より抽出した環境DNAを、CopyControl Fosmid Library Production Kit(EPICENTRE社)に添付のEnd-Repair Enzymeを用いて末端の平滑化を行った。その後パルスフィールド電気泳動により平均鎖長33~48kb付近の大きさのDNAをゲルから分画した。β-アガラーゼ(NEB社)を用いて切り出した断片からDNAを精製した。
次いで精製後のDNAをインサートDNA断片として用い、pCC1FOSフォスミドベクター(EPICENTRE社)へ、T4DNAリガーゼを用いてライゲーション反応を行った。ベクターライゲーション後、MaxPlank Lambda Packaging Extracts(EPICENTRE社)を用いて、in vitro packagingを行った。宿主大腸菌としてEPI300(EPICENTRE社)を使用した。12.5μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地で、λファージにより形質転換した大腸菌をクロラムフェニコール耐性により選択した。
大腸菌のコロニーを取り、12.5μg/mLのクロラムフェニコールを含む2×YT培地1mL中で、37℃で18時間、1200rpmで培養した。ついで、このコロニーを採取した大腸菌の培養液のうち200μLを新しい800μLの2×YT培地に移して混合し、250rpmで振とうしながら37℃で30分間培養した後、1μLのCopy Control Induction Solution(EPICENTRE社)を添加し、宿主大腸菌EPI300が保有するフォスミドベクターのコピー数を増加させた。さらに大腸菌を37℃で2時間、1200rpmで激しく振とうしながら培養した後、遠心分離により菌体を回収し、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)に再懸濁した。その後、150μLのBugBuster Plus Benzoate Nuclease(Novagen社)を添加して、大腸菌の細胞を溶解させた。続いて、遠心分離により分離された上清を細胞抽出液として得た。
次に、カテコール(東京化成社)を最終濃度が0.5mMとなるように、5μLずつ、100μLの細胞抽出液に添加し、25℃において250rpmで混合しながら反応を行った。1時間および16時間後に、カテコールの分解により、2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの形成により黄色を示すフォスミドクローンを選択した。
(1-2)塩基配列の決定
カテコール分解活性を示すクローンより、FosmidMAX DNA Purification Kit(EPICENTRE社)を用いてフォスミドDNAを抽出した。次いで、当該DNAを、DNA断片化装置(Gene machines社)を用いてランダムに断片化し、アガロースゲル電気泳動により分画後、約2kb~3kbのDNAを含むアガロース断片を切り出した。切り出したアガロース断片よりDNAを精製後、T4DNA Polymerase(タカラバイオ社)を用いてDNA断片の平滑化を行った。平滑化したDNA断片は、脱リン酸化処理を行った50ngのpUC118/HincII/BAPとベクターライゲーション反応を行った後、エタノール沈殿を行い、10μLの滅菌水に溶解した。
作製したライブラリーの一部をライゲーション溶液1μL、宿主大腸菌DH10B(Invitrogen社)25μLを用いて、エレクトロポレーション法(Gene pulser、BIO RAD社)により大腸菌に導入した。100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTG、40μg/mLのX-galを含むLB寒天培地で、37℃で終夜培養し、形質転換体(ショットガンクローン)を得た。
Q-Bot(GENETIX社)を用いて288個の大腸菌白コロニーをランダムにピッキングした。96穴のプレートに分注した120μLの100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地にそれぞれ植菌し、37℃で終夜培養を行った。上記培養液にTempliPhiDNA Sequencing Template Amplification Kit(GEヘルスケア社)を使用して、シーケンス用鋳型を調製した。TempliPhiの反応は付属の取扱説明書に従った。
次に、TempliPhiにより調製したDNAを鋳型として塩基配列の決定を行った。BigDye Terminator V3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystem社)によりシークエンス反応を行った。付属の取扱説明書に従いPCR、精製を行い、ABI3730XL(Applied Biosystem社)を用いて配列決定を行った。Artemis(Sanger Center)を用いて、カテコール分解活性を示すフォスミドクローンの塩基配列の解析を行った結果、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の上流に繰り返し数が3、4、5からなる機能未知の反復配列が存在することを偶然に見いだした(図1)。
反復配列は、5,-TGACATGATTAACATGATTAACATGATTGACATGATTGACATGCT-3’(配列番号49)であり、つまり5,-T(G/A)ACATG(A/C)T-3’からなる塩基配列であった。
(1-3)反復配列の機能解析
図1に示されたショットガンクローンA、B、Cを100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTGを含むLB液体培地で、37℃で終夜培養した。菌体を回収したのち、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈したBugBuster Protein Extraction Reagent(Merck社)を用いて可溶性タンパクを抽出し、Bradford法により抽出されたタンパク質を定量した。
得られた一定量の菌体抽出タンパク質に対し、終濃度において0.5mMのカテコールを添加し、マイクロプレートリーダー分光光度計(TECAN社)により375nmに最大吸収波長を持つ分解産物(2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒド)を定量した。その結果、反復配列の繰り返し数により、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼによるカテコール分解産物の生成量が異なることを明らかとした(図2)。
(1-4)当該反復配列の自然界における分布の探索
当該反復配列について相同性検索を行った。NCBI(National Center for Biotechnology Information)が提供しているweb上の相同性検索プログラムであるBLASTを利用し、塩基配列のデータベースはNucleotide collection(nr)を用いた。その結果、当該反復配列が、様々な繰り返し数において、各種生物種において検出された。その生物種の一例を表1に示す。また、特定の生物種における反復配列の例として、塩基配列(配列番号2~16)を具体的に図3および図4に示す。図3および図4において、上段の塩基配列は配列番号1に示される塩基配列の繰り返しを比較対象として、下段の塩基配列がそれぞれの生物種において見出された反復配列を示す。
Figure 0007062315000002
(実施例2:大腸菌JM109株宿主、pUC18ベクター、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子使用時における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違)
まずは、実施例1で使用したショットガンクローンAより、当該反復配列とカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子の配列のみをサブクローニングする実験を行った。ショットガンクローンAを鋳型にし、プライマー(配列番号17、18)を用いてPCRを行った。PCRは98℃で10秒、60℃で5秒、72℃で1分の処理を1サイクルとして合計25サイクル行った。PCR産物を精製し、このインサートDNAと、HindIIIとXbaIで処理したpUC18ベクターを混合し、In-Fushion HD Cloning Kit(タカラバイオ社)を使用してクローニングを行った。DNAを回収し、ヒートショック法で大腸菌JM109株に導入し、100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTG、40μg/mLのX-galを含むLB寒天培地で、37℃で終夜培養し、形質転換体を得た。カテコールを噴霧した結果、黄色を呈するコロニーを選択し、塩基配列を決定した。得られたクローンは、繰り返し数5の反復配列およびその下流にカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子を保有していたので、PUC-EDO-N5と名付けた(繰り返し数とは反復配列において繰り返される基本単位となる塩基配列の数を意味する。すなわち、繰り返し数5は、反復配列として繰り返される塩基配列の基本単位が5つ存在することを意味する)。
つぎに、PUC-EDO-N5において、当該配列の繰り返し数のみが異なるクローンの作成を行った。配列番号19~34に記載されたプライマーを使用し、PUC-EDO-N5を鋳型として、KOD Plus Mutagenesis Kit(TOYOBO社)の説明に従い実験を行った。得られた変異体の塩基配列を決定し、当該反復配列の0から10の繰り返し数を保有していることを確認した。それぞれ、反復配列の繰り返し数に応じてPUC-EDO-N0、PUC-EDO-N1(tgacatgct;実際に使用した反復配列を示す。以下同様。)、PUC-EDO-N2(tgacatgattgacatgct (配列番号50))、PUC-EDO-N3(taacatgattgacatgattgacatgct (配列番号51))、PUC-EDO-N4(taacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号52))、PUC-EDO-N5(tgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号49))、PUC-EDO-N6(tgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号53))、PUC-EDO-N7(tgacatgattgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号54))、PUC-EDO-N10(tgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号55))と名付けた。これらの株が保有するプラスミド上においては、目的遺伝子の12bp上流に当該反復配列が挿入されている。また、pUC18ベクター上にはlac promoterおよびlac operatorがもともと存在しており、当該反復配列の上流に位置する。
そこで、各クローンを100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTGを含むLB液体培地で、37℃で終夜培養した。菌体を回収したのち、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈したBugBuster Protein Extraction Reagentを用いて可溶性タンパクを抽出し、Bradford法により抽出されたタンパク質を定量した。得られた一定量の菌体抽出タンパク質に対し、終濃度において0.5mMのカテコールを添加し、マイクロプレートリーダー分光光度計により375nmに最大吸収波長を持つ分解産物(2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒド)を定量した。その結果、反復配列の繰り返し数により、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼによるカテコール分解産物の生成量が異なることを明らかとした(図5)。
(実施例3:大腸菌BL21(DE3)株宿主、pET28aベクター、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子使用時における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違)
まずは、実施例2で使用した大腸菌変異株PUC-EDO-N0、PUC-EDO-N1、PUC-EDO-N2、PUC-EDO-N3、PUC-EDO-N4、PUC-EDO-N5、PUC-EDO-N6、PUC-EDO-N7を100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地で、37℃で培養した。菌体培養液よりプラスミドを抽出し、XbaIおよびHindIIIで消化することにより、当該反復配列とカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子を含む領域のみを切り出し、同じくXbaIおよびHindIIIで消化したpET28aベクターとligase反応を行った。DNAを回収し、ヒートショック法で大腸菌BL21(DE3)株に導入し、100μg/mLのカナマイシン、34μg/mLのクロラムフェニコール、100μM/mLのIPTG、40μg/mLのX-galを含むLB寒天培地で、37℃で終夜培養し、形質転換体を得た。カテコールを噴霧した結果、黄色を呈するコロニーを選択し、塩基配列を決定した。得られたクローンを、PET-EDO-N0、PET-EDO-N1(tgacatgct;実際に使用した反復配列を示す。以下同様。)、PET-EDO-N2(tgacatgattgacatgct (配列番号50))、PET-EDO-N3(taacatgattgacatgattgacatgct (配列番号51))、PET-EDO-N4(taacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号52))、PET-EDO-N5(tgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号49))、PET-EDO-N6(tgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号53))、PET-EDO-N7(tgacatgattgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号54))と名付けた。これらの株が保有するプラスミド上においては、目的遺伝子の12bp上流に当該反復配列が挿入されている。また、pET28aベクター上にはT7 promoterおよびlac operatorがもともと存在しており、当該反復配列の上流に位置する。
本クローンを100μg/mLのカナマイシン、34μg/mLのクロラムフェニコール、100μM/mLのIPTGを含むLB液体培地で、37℃で終夜培養した。菌体を回収したのち、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈したBugBuster Protein Extraction Reagentを用いて可溶性タンパクを抽出し、Bradford法により抽出されたタンパク質を定量した。得られた一定量の菌体抽出タンパク質に対し、終濃度において0.5mMのカテコールを添加し、マイクロプレートリーダー分光光度計により375nmに最大吸収波長を持つ分解産物(2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒド)を定量した。その結果、反復配列の繰り返し数により、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼによるカテコール分解産物の生成量が異なることを明らかとした(図6)。
PET-EDO-N0、PET-EDO-N1については、可溶性のカテコール2,3-ジオキシゲナーゼを生産せず、不溶性タンパクとして生産した。実際に、PET-EDO-N0について、可溶性タンパクを生産させるためには、培養温度、培地、IPTG濃度を厳密に調整する必要がある(参考文献:FEMS Microbiology Ecology,69, 472-480, 2009)。ここで、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼの上流に当該配列を3以上付加したプラスミドをもつ大腸菌においては、特段の工夫をすることなく通常の大腸菌の生育条件において可溶性のカテコール2,3-ジオキシゲナーゼの生産が見られた。
(実施例4:大腸菌JM109株宿主、pCB192ベクター、ベータガラクトシダーゼ遺伝子使用時におけるo-Nitrophenolの生産量の相違)
はじめに、プロモーター評価用のプラスミドベクターpCB192(国立遺伝学研究所)のベータガラクトシダーゼ遺伝子の上流に、異なる繰り返し数の当該反復配列を挿入する実験を行った。pCB192を鋳型とし、KOD Plus Mutagenesis Kit(TOYOBO社)の説明に従い実験を行った。配列番号35~48に記載されたプライマーを使用して、反復配列の繰り返し数が1から6のクローンを作成した。得られたクローンを、PCB-GAL-N1;実際に使用した反復配列を示す。以下同様。)、PCB-GAL-N2(tgacatgattgacatgct (配列番号50))、PCB-GAL-N3(taacatgattgacatgattgacatgct (配列番号51))、PCB-GAL-N4(taacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号52))、PCB-GAL-N5(tgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号49))、PCB-GAL-N6(tgacatgcttgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号53))と名付けた。これらの株が保有するプラスミド上においては、目的遺伝子の40bp上流に当該反復配列が挿入されている。また、pCB192ベクター上にはpromoterおよびoperator配列は存在しない。
本クローンを100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTGを含むLB液体培地で、37℃で終夜培養した。菌体を回収したのち、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈したBugBuster Protein Extraction Reagentを用いて可溶性タンパクを抽出し、Bradford法により抽出されたタンパク質を定量した。得られた一定量の菌体抽出タンパク質に対し、終濃度において34mMのONPG(o-Nitrophenyl-β-D-galactopyranoside)を添加し、マイクロプレートリーダー分光光度計により410nmに最大吸収波長を持つ分解産物ONP(o-Nitrophenol)を定量した。その結果、反復配列の繰り返し数により、ONPの生成量が異なることを明らかとした(図7)。
(実施例5:Pseudomonas putida KT2440株宿主、pMMB503EHベクター、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子使用時における2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒドの生産量の相違)
まずは、実施例2で使用した大腸菌変異株PUC-EDO-N1、PUC-EDO-N5を100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地で、37℃で培養した。菌体培養液よりプラスミドを抽出し、XbaIおよびHindIIIで消化することにより、当該反復配列とカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子を含む領域のみを切り出し、同じくXbaIおよびHindIIIで消化したpMMB503EHベクターとligase反応を行った。DNAを回収し、ヒートショック法で大腸菌JM109株に導入し、100μg/mLのストレプトマイシンを含むLB寒天培地で、37℃で終夜培養し、形質転換体を得た。コロニーを無差別に選択し、制限酵素処理をおよび塩基配列を決定することにより、pMMB503のtacプロモーター下に、当該反復配列(繰り返し数1および5)とカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子を保有する、EC-PMM-EDO-N1(tgacatgct;実際に使用した反復配列を示す。以下同様。)およびEC-PMM-EDO-N5(tgacatgattaacatgattaacatgattgacatgattgacatgct (配列番号49))を得た。これらの株が保有するプラスミド上においては、目的遺伝子の12bp上流に当該反復配列が挿入されている。
まず、宿主となるPseudomonas putida KT2440株についてコンピテントセルを作製した。KT2440株を、100μg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地で12時間培養した。培養液の一部をLB液体培地において4時間再培養した後、菌体を回収し、冷却滅菌水に懸濁した。再び遠心分離によって菌体を回収したのち、冷却滅菌水に懸濁した。さらに遠心分離によって回収した菌体に、少量のグリセロールを加え、懸濁したのちに-80℃で急速に冷凍し、使用時まで保管した。つぎに、EC-PMM-EDO-N1およびEC-PMM-EDO-N5クローンを、100μg/mLのストレプトマイシンを含むLB液体培地で、37℃で培養し、菌体培養液よりプラスミドを抽出した。プラスミドPMM-EDO-N1およびPMM-EDO-N5をエレクトロポレーション法(BIO-RAD社、MicroPulser)により、Pseudomonas putida KT2440株に導入した。得られた形質展開体をPS-PMM-EDO-N1およびPS-PMM-EDO-N5と名付けた。
本クローンを100μg/mLのストレプトマイシンと100μg/mLのアンピシリン、100μM/mLのIPTGを含むLB液体培地で、30℃で終夜培養した。菌体を回収したのち、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)出希釈したBugBuster Protein Extraction Reagent (Merck社)を用いて可溶性タンパクを抽出し、Bradford法により抽出されたタンパク質を定量した。得られた一定量の菌体抽出タンパク質に対し、終濃度において0.5mMのカテコールを添加し、マイクロプレートリーダー分光光度計(TECAN社)により375nmに最大吸収波長を持つ分解産物(2-ヒドロキシムコネート セミアルデヒド)を定量した。その結果、反復配列の繰り返し数により、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼによるカテコール分解産物の生成量が異なることを明らかとした(図8)。
(実施例6:酵母Saccharomyces cerevisiae YPH500株宿主、pCLYベクター、ルシフェラーゼ遺伝子使用時におけるルシフェリンの生産量の相違)
分泌型ルシフェラーゼ遺伝子(CLuc)を含み、プロモーターをその上流に含まないレポータープラスミド(pCLY-MCS、アトー株式会社)を用いて、CYC1最小プロモーター(出芽酵母CYC1遺伝子由来)または、反復配列をCYC1最小プロモーターの5’-末端に付与した各種プロモーターを、CLuc遺伝子の上流に導入したレポータープラスミドを以下の方法で作製した。
pCLY-MCSを鋳型として、inv_pCLY-MCS_R01およびinv_pCLY-MCS_F01をプライマーとして用いて、Platinum SuperFi DNA polymerase(Thermo Fisher Scientific)により、プレ変性96℃、2分の後、変性96℃、10秒、アニーリング55℃、10秒、伸張68℃、4分のサイクルを35サイクルの後、最終伸張68℃、5分の条件でPCR反応を行なった。その後、アガロース電気泳動による精製によって、目的のpCLY-MCSベクターフラグメント(7,265bp)を得た。
また、各種プロモーターフラグメントの調製は、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae S288C由来ゲノムDNAを鋳型として、if_PCYC1min_F01およびif_PCYC1min_R01プライマーセット、if_N1_PCYC1min_F01およびif_PCYC1min_R01プライマーセット、if_N2_PCYC1min_F01およびif_PCYC1min_R01プライマーセット、if_N3_PCYC1min_F01およびif_PCYC1min_R01プライマーセットをそれぞれ用いて、Platinum SuperFi DNA polymeraseにより、プレ変性96℃,2分の後、変性96℃,10秒、アニーリング55℃,10秒、伸張68℃,30秒のサイクルを35サイクルの後、最終伸張68℃,5分の条件でPCR反応を行なった。その後、アガロースゲル電気泳動による精製によって、それぞれPCYC1minプロモーターフラグメント(173bp)、N1-PCYC1minプロモーターフラグメント(182bp)、N2-PCYC1minプロモーターフラグメント(191bp)、およびN3-PCYC1minプロモーターフラグメント(200bp)を得た。
得られたpCLY-MCSベクターフラグメントおよび、各プロモーターフラグメント(PCYC1min、N1-PCYC1min、N2-PCYC1min、およびN3-PCYC1minプロモーターフラグメント)をそれぞれ用い、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)を用いて、製品マニュアルに基づきIn-Fusion反応を行なった。本In-Fusion反応液を用いて、大腸菌DH5α株(Competent Quick DH5α、東洋紡)の形質転換を行い、各レポータープラスミドを有する形質転換体を得た。得られた形質転換体より、Monarch Plasmid Miniprep Kit(New England Biolabs)を用いてプラスミドを精製し、サンガーシークエンシング(ユーロフィンジェノミクス)による塩基配列の決定によって、各レポータープラスミドpCLY-PCYC1min, pCLY-N1-PCYC1min(tgacatgct;実際に使用した反復配列を示す。以下同様。), pCLY-N2-PCYC1min(tgacatgattgacatgct (配列番号50)),およびpCLY-N3-PCYC1min(taacatgattgacatgattgacatgct (配列番号51))を作製した。
作製した各レポータープラスミドを用いて、宿主酵母株としてYPH500株の形質転換を行なった。形質転換は、Frozen-EZ Yeast Transformation II Kit (Zymo Research)を用いて、製品マニュアルに基づき行なった。形質転換後の細胞は、平板合成培地(SC-ura平板培地: 6.7g/L Yeast Nitrogen Base without Amino Acids [Difco]、1.92g/L Yeast Synthetic Drop-out Media Supplements without uracil [Sigma-Aldrich]、2(w/v)% D -Glucose [Sigma-Aldrich]、2(w/v)% Bacto Agar [Difco])に植菌し、30℃にて3日間培養を行なった。得られた各形質転換体(3コロニーずつ)をレポーターアッセイ実験に用いた。
上記で作製した各形質転換体は、液体合成培地(SC-ura+PPB 液体培地)を用いて培養を行なった。本液体培地の組成は、6.7g/L Yeast Nitrogen Base without Amino Acids (Difco)、1.92g/L Yeast Synthetic Drop-out Media Supplements without uracil (Sigma-Aldrich)、0.2M Potassium phosphate buffer (pH6.0)、2(w/v)% D-Glucose (Sigma-Aldrich)からなる。前培養として、96穴ディープウェルプレートに1mLの本液体培地を分注し、各形質転換株(3コロニーずつ)を植菌後、30℃で3日間の振盪培養を行なった。その後、本培養として、同様に1mLの本合成液体培地を分注した96穴ディープウェルプレートに、10uLの前培養液を植菌し、30℃で3日間の振盪培養を行なった。本培養開始後、24時間ごと(24、48、および72時間目)に、培養液のサンプリングを行い、培地吸光度(OD600)の測定および、培地中に分泌されたCLuc活性の測定を行なった。培地吸光度(OD600)は、96穴透明マイクロプレートに200μLの本培養液を分注し、マイクロプレートリーダー(Infinite 200 PRO[Tecan])を用いて600nmでの吸光度を測定した。また、CLuc活性測定は、CLucレポーターアッセイキット(アトー株式会社)を用いて、製品マニュアルに基づき行なった。96穴黒色マイクロプレートに25μLの本培養液を分注し、75μLのCLuc発光基質溶液を加え、5秒間の発光をマイクロプレートリーダー(Infinite 200 PRO)を用いて測定した。得られたCLuc活性値は、培地吸光度(OD600)で除算することで、菌体量によるノーマライズを行なった。
前述のレポーターアッセイの結果、1回(pCLY-N1-PCYC1min)または2回(pCLY-N2-PCYC1min)の反復配列をCYC1最小プロモーターの5’-末端に付加した場合、CYC1最小プロモーター(pCLY-PCYC1min)を用いた場合の、約4倍のCLuc活性を示した。さらに、3回の反復配列をCYC1最小プロモーターの5’-末端に付加したもの(pCLY-N3-PCYC1min)では、約7倍のCLuc活性を示した(図9)。本結果から、本反復配列は、出芽酵母由来最小プロモーターにおいても、その転写活性の改善に寄与可能であることが示唆された。

Claims (12)

  1. 記(i)または(ii)に記載の塩基配列からなる核酸であって、前記核酸の下流に位置する目的遺伝子の発現量を調節するための核酸
    (i)5’-[T(G/A)ACATG(A/C)T]n-3’
    (上記塩基配列において、nは1~10の整数である。)、または、
    (ii)上記(i)に示される塩基配列に対して90%以上同一性を保持する塩基配列(ただし、5’-AGAT-3’および5’-UAAGGAGG-3’の塩基配列を除く)。
  2. 請求項1のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
  3. 請求項2に記載のベクターであって、
    前記ベクターは発現量を調整する目的遺伝子をさらに含み、前記核酸が前記目的遺伝子の発現量を調節可能なように上流に配置されている、ベクター。
  4. 請求項2または3に記載のベクターを含む宿主細胞。
  5. 請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞であって、
    前記目的遺伝子が宿主細胞に対する外来遺伝子である、宿主細胞。
  6. 目的遺伝子を発現させる方法であって、
    請求項1に記載の核酸が上流に連結された前記目的遺伝子を発現させる工程を含む、発現方法。
  7. 請求項6に記載の発現方法であって、
    前記核酸が、前記目的遺伝子の発現量が所望の量となるように選択された反復数を有する塩基配列からなる核酸である、発現方法。
  8. 請求項6または7に記載の発現方法であって、
    前記目的遺伝子を発現させる工程が、請求項4に記載のベクターに含まれる前記目的遺伝子を細胞系または無細胞系において発現させる工程である、発現方法。
  9. 請求項6または7に記載の目的遺伝子を発現させる方法であって、
    前記目的遺伝子が細胞内の内在遺伝子であり、
    前記目的遺伝子を発現させる工程の前に、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸を前記細胞の染色体上に存在する前記目的遺伝子の上流に導入する工程をさらに含む、発現方法。
  10. 宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法であって、
    前記宿主細胞において前記タンパク質をコードする遺伝子の発現を促し、前記タンパク質を産生させる工程であって、前記宿主細胞は前記タンパク質をコードする遺伝子の上流に請求項1に記載の核酸を有する工程を含む、タンパク質の産生方法。
  11. 請求項10に記載のタンパク質の産生方法であって、
    前記タンパク質を産生される工程において、前記宿主細胞が請求項2または3に記載のベクターを含むものである、タンパク質の産生方法。
  12. 請求項10または11に記載のタンパク質の産生方法であって、
    前記核酸が、前記目的遺伝子の発現量が所望の量となるように、選択された反復数の塩基配列からなる核酸である、タンパク質の産生方法。
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