以下、添付図面を参照して、本願の開示する付着物検出装置および付着物検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、以下では、自車の周囲を撮像するために車両に搭載されたカメラのレンズに付着した水滴を、付着物として検出する場合を例に挙げて説明する。
また、以下では、本実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1A~図1Dを用いて説明した後に、実施形態に係る付着物検出方法を適用した付着物検出装置1について、図2以降を用いて説明する。
まず、本実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1A~図1Dを用いて説明する。図1Aは、付着物検出方法の基本的な考え方の説明図である。また、図1Bは、水滴の形状が円状から崩れている場合の説明図である。また、図1Cおよび図1Dは、実施形態に係る付着物検出方法の概要説明図(その1)および(その2)である。
付着物検出方法では基本的に、まずカメラ画像からエッジ情報を抽出する。ここで、エッジ情報は、たとえば、カメラ画像における各画素の輝度勾配を指す。付着物検出方法では、かかるエッジ情報に基づき、水滴の特徴を示すパターンの画素列をたとえばテンプレートマッチングなどの手法を用いることによってカメラ画像から探索して、探索した画素列の組み合わせにより、水滴が付着していると推定される領域を検出領域として検出する。
図1Aに示すように、雨滴のような水滴は、形状が崩れていない場合、一般的に円状となる。かかる円状の水滴を検出する場合、付着物検出方法では、たとえば同図に示すように、円状の水滴を内包する矩形の各辺に対応する各画素のエッジ情報のパターンをテンプレートとして用いる。
なお、図1Aでは、視覚的に分かりやすくするために、各画素の輝度勾配を、角度方向および明暗を含め、ピン状の記号を用いて模式的に示している。また、同図に示すのは、中心領域に向かって明るくなる水滴の場合の例である。中心領域に向かって暗くなる水滴の場合、同図の各辺パターンの角度方向がそれぞれ180°回転することとなる。
そして、付着物検出方法では、かかる各辺パターン、すなわち上辺パターン、下辺パターン、左辺パターンおよび右辺パターンに対し、たとえば異なる3辺以上で一致する画素列が抽出されたならば、前述の矩形を検出領域Rとして検出する。
ところで、図1Bに示すように、垂れた水滴のような、形状が円状とは異なる水滴が付着する場合がある。かかる場合、図1Aに示した円状の水滴を想定した各辺パターンでは、たとえば前述の3辺以上の一致により検出領域Rを検出することは難しい。
かと言って、図1Bに示すように、たとえば図1Aの下辺パターンと一致する複数の画素列の抽出で検出領域Rを検出することとしても、濡れた路面の反射や車のボディなどはカメラ画像中において垂れた水滴と似たような輪郭を描く場合がある。すなわち、図1Bに示すように、1辺のみでのマッチングでは、誤検出が多発するおそれがある。
そこで、本実施形態に係る付着物検出方法では、図1Aに示した各辺パターンの両端に、角度方向が逆向きのパターンを配置したテンプレートを用いることとした。具体的には、図1Cに示すように、所定の中心領域に向けて輝度が明るくなるこれまでの各辺パターンの両端に、上記中心領域に対して放射状に輝度が暗くなるパターンを配置することとした。端的に言えば、同図に示すように、これまでの各辺パターンに対し、両端に角度方向が逆向きのパターンを配置することとした。
なお、中心領域に向かって暗くなる水滴の場合、中心領域に向けて輝度が暗くなる各辺パターンの両端に、上記中心領域に対して放射状に輝度が明るくなるパターンを配置することとなる。
換言すれば、本実施形態に係る付着物検出方法では、所定の中心領域に対して一の方向に放射状に輝度が変化する第1の画素群に対応するパターンの両端に、上記中心領域に対して上記一の方向とは逆方向に放射状に輝度が変化する第2の画素群に対応するパターンが配置されたテンプレートを用いる。
これは、図1Dに示すように、たとえば垂れた水滴などの輪郭周辺においては、各画素の中心領域に対する角度方向が、輪郭の内側と外側で逆方向となる特徴を示すためである。
したがって、図1Cに示した各辺パターンを下辺パターンとしたテンプレートマッチングを行い、図1Dに示すように、かかる下辺パターンに一致する画素列をたとえば連続的に複数抽出できれば、かかる画素列の長さを1辺とする検出領域Rを、垂れた水滴の付着領域として検出することができる。換言すれば、両端に逆向きパターンのあるマッチング範囲である配列が、中心領域に対して複数パターン(複数列もしくは多段)抽出されている1辺を有する矩形を検出領域Rとして検出することができる。すなわち、同図に示すように、1辺のみのマッチングでも誤検出を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る付着物検出方法によれば、水滴の検出精度を向上させることができる。
以下、上述した付着物検出方法を適用した付着物検出装置1の実施形態について、さらに具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る付着物検出装置1のブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。たとえば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図2に示すように、付着物検出装置1は、たとえば、付着物除去装置11および複数(ここでは、4台)のカメラ10に接続される。
各カメラ10は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、たとえば車両の前方、後方、右側方および左側方を撮像する位置にそれぞれ取り付けられる。なお、付着物検出装置1をカメラ10ごとにそれぞれ設けることとしてもよい。
付着物除去装置11は、付着物検出装置1の検出結果に基づき、カメラ10に付着した水滴を除去する。付着物除去装置11は、たとえば圧縮した空気をカメラ10へ向けて噴出することによって、水滴を除去する。なお、付着物除去装置11は、たとえばウォッシャ液をカメラ10へ向けて噴出させたり、ワイパーでカメラ10を拭ったりしてもよい。
付着物検出装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、画像取得部21と、抽出部22と、変換部23と、マッチング部24と、検出部25とを備える。また、記憶部3は、符号情報31と、テンプレート情報32と、検出情報33とを記憶する。
制御部2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の画像取得部21、抽出部22、変換部23、マッチング部24および検出部25として機能する。
また、制御部2の画像取得部21、抽出部22、変換部23、マッチング部24および検出部25の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
また、記憶部3は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、符号情報31、テンプレート情報32および検出情報33や各種プログラム等を記憶することができる。
なお、付着物検出装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
画像取得部21は、カメラ10からカメラ画像を取得し、かかるカメラ画像をグレースケール化することによりグレースケール画像に変換する。また、画像取得部21は、グレースケール画像を抽出部22へ出力する。
なお、グレースケール化とは、カメラ画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調で表現するように変換する処理である。なお、かかるグレースケール化処理を省略することにしてもよい。
抽出部22は、画像取得部21から入力されるグレースケール画像にソベルフィルタを用いることで、グレースケール画像における各画素のエッジ情報を抽出する。ここで、エッジ情報とは、各画素の輝度勾配のX軸方向およびY軸方向における大きさ、すなわちエッジ強度を指す。
また、抽出部22は、抽出したエッジ情報をグレースケール画像に対応付けて変換部23に出力する。なお、抽出部22は、ソベルフィルタに代えてたとえばラプラシアンフィルタ等の他のエッジ抽出法を用いることにしてもよい。
変換部23は、抽出部22から入力される各画素のX軸方向およびY軸方向のエッジ強度に基づいて各画素のエッジのベクトルを算出する。ここで、図3を用いてベクトルの算出方法について説明しておく。図3は、ベクトルの算出方法を示す図である。なお、図3では、X軸方向およびY軸方向におけるエッジ強度を示す。
上記したように、変換部23は、抽出部22から入力されるX軸方向のエッジ強度およびY軸方向のエッジ強度に基づいて各画素のベクトルを算出する。
具体的には、変換部23は、図3に示すように、X軸方向およびY軸方向のエッジ強度に基づき、三角関数を用いることで、各画素のベクトルを算出する。以下では、同図に示す算出したベクトルと、正方向側のX軸との成す角度θを、「エッジ向き」と言い、ベクトルの長さLを各画素の「エッジ強度」と言う。
なお、変換部23は、全ての画素についてエッジ向きを算出する必要はなく、優先度の低い領域については、所定間隔の画素ごとにエッジ向きを算出するなど、処理を簡略化することにしてもよい。
図2の説明に戻る。また、変換部23は、算出したエッジ向きをそれぞれ符号化する。符号化されたエッジ向きは、符号情報31として記憶される。そして、変換部23は、各画素を符号化したグレースケール画像をマッチング部24に出力する。
ここで、付着物検出装置1では、たとえば、複数の画素におけるエッジの代表値を求め、かかる代表値を符号化することにしている。この点の詳細については、図4Aおよび図4Bを用いて後述する。
マッチング部24は、変換部23から入力される符号化されたグレースケール画像と水滴の特徴を示す符号パターンとの正規表現を用いたマッチング処理を行う。ここで、正規表現とは、符号列の集合を一つの符号で表したものである。
マッチング部24は、正規表現を用いてマッチング処理を行うため、煩雑な処理を必要としない。このため、処理負荷を抑えつつ、水滴を検出することができる。
なお、水滴の特徴を示す符号パターンは、テンプレート情報32に記憶される。かかる符号パターンの詳細については、図5Aおよび図7Aを用いて後述する。また、マッチング部24による処理の詳細については、図5B、図7B~図7Dを用いて後述する。
検出部25は、マッチング部24が抽出した符号パターンに基づいてカメラ10に付着した水滴を検出する。なお、検出部25による検出処理については、図6を用いて後述する。
次に、図4Aおよび図4Bを用いて変換部23による符号化処理について説明する。図4Aおよび図4Bは、代表値の算出方法の説明図(その1)および(その2)である。
まず、図4Aを用いて代表値を算出する画素について説明する。ここでは、8×8ピクセルの画素を「セル」と言い、3×3セルを「ブロック」と言う。また、ブロックの中央のセルを「注目セル」と言う。
変換部23は、ブロックごとに各画素のエッジ向きおよびエッジ強度を示すヒストグラムを作成する。かかるヒストグラムについては、図4Bを用いて説明する。ここで、変換部23は、注目セルにおける中央の座標のエッジ向きをブロックにおけるヒストグラムから導出する。
そして、変換部23は、1つのブロックにおいて注目セルの代表値を導出すると、ブロックを1つのセル分ずらしてヒストグラムを作成し、かかるブロックにおける注目セルの代表値を算出していく。
つまり、付着物検出装置1では、複数の画素ごとに代表値を算出することで、データ量を削減することができる。このため、マッチング部24によるマッチング処理を簡略化することができる。なお、同図に示す例では、セルが8×8ピクセルであるため、データ量は1/64に削減されることとなる。
なお、図4Aに示したブロックおよびセルのピクセル数は一例であって、セルおよびブロックのピクセル数は、任意に設定することができる。この際、検出したい水滴の大きさに応じて各セルのピクセル数を変更することもできる。
たとえば、小さい水滴を検出したい場合、セルのピクセル数を少なく設定し、大きい水滴を検出したい場合は、セルのピクセル数を多く設定する。これにより、検出したい大きさの水滴を効率よく検出することができる。
また、変換部23は、単にセルごとにヒストグラムを作成し、かかるヒストグラムに基づいて各セルの代表値を算出することにしてもよい。なお、変換部23は、代表値を算出せず、全ての画素を符号化することにしてもよい。
次に、図4Bを用いてヒストグラムについて説明する。なお、同図では、縦軸にエッジ強度を示し、横軸にエッジ向きの階級を示す。同図に示すように、付着物検出装置1では、たとえば、エッジ向きを20°ごとに18段階の各階級に割り当ててヒストグラムを作成する。
具体的には、変換部23は、ブロック内の各画素のエッジ強度をエッジ向きに対応する階級に加算していくことで、ブロックにおけるヒストグラムを作成する。続いて、変換部23は、作成したヒストグラムからエッジ強度の和が最大となる階級を求める。
同図に示す例では、80~100°の階級が最大の値をとる場合を示している。このとき、変換部23は、かかる階級においてエッジ強度の和が閾値以上である場合に、かかる階級を代表値とする。
同図に示す例では、80~100°の階級においてエッジ強度の和が閾値を超えているため、上記の条件を満たす。このため、かかるブロックにおける注目セルの階級は、80~100°となる。
つづいて、変換部23は、注目セルを階級に応じて割り当てられた符号に変換する。ここで、各階級には、0~9およびA~Hの18種類の符号がそれぞれ割り当てられる。なお、0~9およびA~Hは、0°から360°まで20度刻みの各階級に割り当てられる符号である。また、代表値が閾値を超えなかった場合、すなわち、エッジ強度が低いセルには、Zの符号が割り当てられる。
このようにして、変換部23は、全てのセルについて符号化を行う。これにより、符号化されたグレースケール画像において、符号が格子状に配列されることとなる。なお、変換部23は、上記した代表値を算出する以外に、他の統計学的な算出方法を用いて代表値を算出することにしてもよい。
また、同図では、エッジ向きを18段階に分類する場合について説明したが、これに限られず、18段階より少なくする、あるいは、多くすることにしてもよい。また、同図では、符号がA~HおよびZである場合を示したが、符号として、平仮名や数字など、他の文字、または図形等を用いることにしてもよい。
また、変換部23は、たとえば、一つのブロックで閾値を超える複数の階級が存在した場合、かかる複数の階級に対応する符号をグレースケール画像に関連付けてマッチング部24に出力することにしてもよい。
換言すると、変換部23は、複数のエッジ向きの情報をグレースケール画像に関連付けることにしてもよい。かかる場合、水滴を検出するためのデータ量が増えるため、より精密に水滴を検出することが可能となる。
次に、図5Aおよび図5Bを用いてマッチング部24による処理について説明する。図5Aは、実施形態に係るテンプレートの一例を示す図(その1)である。図5Bは、マッチング部24によるマッチング処理の一例を示す図(その1)である。なお、ここでは説明の便宜上、まず水滴が円状である場合を例に挙げて説明する。垂れた水滴のように、円状とは異なる形状の水滴の検出を含む場合については、図7A~図7Dを用いて後述する。
なお、図5Aでは、視覚的に分かりやすくするために、テンプレートを上記した符号ではなく、図1A~図1Dと同様に、実際のエッジ向きを模式的に示している。図5Aに示すように、付着物検出装置1では、テンプレートとして水滴の特徴を示す符号列である符号パターンを有する。具体的には、たとえば、上辺パターン、下辺パターン、左辺パターン、右辺パターンを有する。
ここで、同図に示す各辺のパターンは、水滴を内包または水滴を外包する矩形の各辺を示す。また、同図では、各辺のパターンのエッジ向きが、それぞれ中央に向かう場合について示している。この場合、水滴の輝度が端部から中央に向けて大きくなる、すなわち、中央が明るく端部が暗い水滴の特徴を示す。
なお、付着物検出装置1は、水滴の輝度が中央から端部にかけて大きくなる、すなわち、中央が暗く端部が明るい水滴の特徴を示す各辺のパターンを備えることにしてもよい。このようにすることで、多様な水滴を検出することが可能となる。
なお、同図では、上下左右の4方のパターンを例示したが、斜め方向を含むパターンを用いることもできる。このようにすることで、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、水滴の特徴を示す符号列は、たとえば、弧状に配列された各符号の並びであってもよい。また、マッチング部24は、各辺のパターンに応じて正規表現を行う領域を限定することにしてもよい。
次に、図5Bを用いてマッチング部24によるマッチング処理について説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、図5Aに示した上辺パターンをそれぞれA~Fの符号を用いて示す。また、同図のaおよびbには、変換部23によって符号化されたグレースケール画像の一部を模式的に示す。
同図のaに示すように、マッチング部24は、符号パターンがA~Fの順に順序良く並んでいれば、かかる符号パターンを上辺パターンと一致すると判定する。
具体的には、マッチング部24は、同図のaに示すように、たとえば、Aが3回、B、C、DおよびEがそれぞれ2回、そして、Fが3回など繰り返される配列を上辺パターンの各符号の配列順序を満たせば、上辺パターンとして抽出することにしている。
これは、水滴の大きさに応じて符号の繰り返し回数が異なるためである。すなわち、水滴が大きいほど、各符号列の長さが長くなるためである。このように、かかる符号の繰り返しを許容することで、1回のマッチング処理で、大きさが異なる複数の水滴を示す符号列を抽出することができる。
したがって、処理負荷を軽減しつつ、水滴を検出することができる。なお、マッチング部24は、水滴の大きさに応じて符号列の長さが異なる複数の各辺のパターンを用意し、全てのかかるパターンを用いて符号列を抽出することにしてもよい。
また、水滴は一般的に円状となるため、各符号の繰り返しの回数は、中心から線対称状となるはずである。このため、マッチング部24は、抽出した符号列の中で、バランスが悪い符号列を除外することにしている。
具体的には、同図のbに示すように、マッチング部24は、たとえば、両端に位置するAとFとのバランスを精査する。ここで、同図では、Aが3回繰り返され、Fが10回繰り返される場合を示している。
このとき、マッチング部24は、AおよびFの個数が2倍以上異なる場合に、配列順序を満たす場合であっても、かかる符号列パターンを除外することにしている。このようにすることで、水滴以外の不要な符号パターンの誤抽出を防ぐことができ、水滴の誤検出を抑えることができる。
また、マッチング部24では、たとえば、抽出した符号列が閾値より長い場合、かかる符号列をマッチングから除外することもできる。これは、符号列が長い場合、水滴である可能性が低いためである。このため、水滴の誤検出を抑えることができる。なお、かかる閾値は、統計等によって最適な値を予め導出しておくものとする。
次に、図6を用いて検出部25による検出処理について説明する。図6は、検出部25による検出処理の一例を示す図である。なお、同図では、図5Aと同様に、符号に代えて実際のエッジ向きを模式的に示す。
また、ここでは、マッチング部24によって最初に上辺パターンが抽出された場合について説明する。まず、検出部25は、抽出された上辺パターンの長さに基づき、略正方形状の検出領域R1を設定する。
つづいて、マッチング部24によって検出領域R1から逸脱した位置に右辺パターンが抽出されたものとする。このとき、検出部25は右辺パターンの検出領域R2の中心座標が検出領域R1内にあれば、双方の検出領域R1,R2を統合する処理を行う。
その後、検出部25は、たとえば、統合した検出領域R3において、下辺パターンまたは左辺パターンが抽出された場合、統合した検出領域R3において水滴を検出する。換言すると、検出部25は、検出領域R3において異なる3方向以上の各辺を示すパターンが抽出されることを検出条件(以下、「方向条件」と言う)として水滴を検出することにしている。
なお、検出部25は、かかる方向条件以外に、たとえば、統合した検出領域R3において、各辺を示すパターンが所定回数(たとえば、上下左右を含めて4回)以上抽出されたことを水滴の検出条件(以下、「回数条件」と言う)とすることにしてもよい。
このように、検出条件として、3方向以上の方向条件や回数条件とすることで、上下左右の全ての辺が抽出されなくとも水滴を検出することとなる。すなわち、カメラ画像から見切れる水滴を検出することができる。
なお、たとえば、水滴を検出する領域に応じて方向条件を変更することにしてもよい。たとえば、カメラ画像の中央の領域については、方向条件を4方向に設定する。これにより、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、たとえば、カメラ画像の4隅の領域については、方向条件を2回に設定する。これにより、カメラ画像の4隅に写る見切れた扇状の水滴を検出することが可能となる。
なお、同図では、上辺パターンの検出領域R1内に検出領域R2の中心座標がおさまる場合に、検出領域を統合する場合について示したが、これに限定されるものではない。すなわち、検出領域R1および検出領域R2の少なくとも一部が重なっていれば双方の検出領域を統合することにしてもよい。
また、統合した検出領域R3を、検出領域R1および検出領域R2の論理積とすることにしてもよいし、検出領域の論理和とすることにしてもよい。また、同図では、検出領域R1および検出領域R2が矩形状である場合を示したが、これに限られず、検出領域を円形状など他の形状とすることにしてもよい。
また、検出部25は、複数フレームにおける検出結果に基づいて水滴を検出することにしてもよい。
次に、図7A~図7Dを用いて、円状とは異なる形状の水滴の検出を含む場合のマッチング部24による処理について説明する。図7Aは、実施形態に係るテンプレートの一例を示す図(その2)である。図7B~図7Dは、マッチング部24によるマッチング処理の一例を示す図(その2)~(その4)である。
なお、図7Aでは、図5Aと同様に、テンプレートを上記した符号ではなく、実際のエッジ向きを模式的に示している。図7Aに示すように、付着物検出装置1では、テンプレートとして円状とは異なる形状の水滴の特徴を示す符号列である符号パターンを有する。たとえば、図5Aと同様に、上辺パターン、下辺パターン、左辺パターン、右辺パターンを有する。
ただし、図5Aとは異なり、円状とは異なる形状の水滴にも対応する各辺パターンは、所定の中心領域に対して一の方向に放射状に輝度が変化するパターンの両端に、上記一の方向とは逆方向に放射状に輝度が変化するパターンを有する(図7A中の破線の閉曲線で囲まれた部分参照)。
なお、図7Aでは、中心領域に向かって明るくなる場合の例を示しているが、中心領域に向かって暗くなる場合は、各辺パターンの各エッジ向きを180°回転させればよい。
かかる図7Aのテンプレートを用いる場合、マッチング部24は、符号パターンが、前述の逆方向のパターンを含んでも含まなくても、水滴の特徴を示す各辺パターンに一致するとして判定する。具体的には、図7Bに示すように、中心領域に向かって明るくなる水滴の下辺パターンを例とすると、まず同図のaに示すように、マッチング部24は、マッチング処理により、両端に逆方向のパターンが配置された下辺パターンと一致する符号列を抽出する。
また、同図のbおよびcに示すように、マッチング部24は、マッチング処理により、左端または右端のいずれかに逆方向のパターンが配置された下辺パターンと一致する符号列を抽出する。
また、同図のdに示すように、マッチング部24は、左端および右端のいずれにも逆方向のパターンが配置されていない下辺パターンと一致する符号列を抽出する。
これにより、円状に限らず、垂れた水滴のように、円状とは異なる形状の水滴についてもマッチングさせることができる。また、パターンに部分的な欠落がある場合でも、マッチングさせることができる。
なお、同図のaに示した例の、両端に逆方向のパターンが配置された下辺パターンと一致する符号列が抽出された場合、検出部25は、かかる符合列が1辺のみについて連続的に複数抽出されているならば、かかる1辺を有する矩形を水滴の付着する検出領域Rとして検出することができる(図1D参照)。
また、同図のb~dに示した例の符合列が抽出された場合、検出部25は、図6で説明した検出処理に沿って検出領域Rを検出する。
また、図7Aのテンプレートを用いる場合でも、マッチング部24は、抽出した符号列の中で、バランスが悪い符号列を除外することができる。
具体的には、図7Cに示すように、マッチング部24は、たとえば、逆方向のパターンに対応する符号列のバランスを精査する。ここで、同図では、2~4で示すマッチング範囲の符合列が上記一の方向のパターンに対応し、1または5で示すマッチング範囲の符号列が、逆方向のパターンに対応する。
このとき、同図に示すように、マッチング部24は、1のマッチング範囲の長さ>2および3のマッチング範囲の長さの関係がある場合、たとえば1のマッチング範囲を除外する。また、図示していないが、同様に、5のマッチング範囲の長さ>3および4のマッチング範囲の長さの関係がある場合、たとえば5のマッチング範囲を除外する。なお、除外するのは、除外対象となるマッチング範囲の全体であっても一部であってもよい。このようにすることで、水滴以外の不要な符号パターンの誤抽出を防ぐことができ、水滴の誤検出を抑えることができる。
なお、検出部25は、このようにマッチング範囲のバランスを整えたうえで、マッチング範囲の両端に逆向きのパターンが含まれ、かつ、かかるマッチング範囲が1辺のみについて連続的に複数抽出されているならば、かかる1辺を有する矩形を水滴の付着する検出領域Rとして確定することができる(図1D参照)。
また、図7Aのテンプレートを用いる場合、マッチング部24は、図7Dに示すように、カメラ画像I上の位置に応じてマッチングの対象とする辺を切り替える。具体的には、同図に示すように、マッチング部24は、カメラ画像Iの上部では、「下辺」パターンへ切り替え、カメラ画像Iの下部では、「上辺」パターンへ切り替える。また、カメラ画像Iの左部では、「右辺」パターンへ切り替え、カメラ画像Iの右部では、「左辺」パターンへ切り替える。
これは、水滴の部分的な輪郭は、カメラ画像Iの中央方向へ向かって出現する特徴があることによる。このような切り替えを行うことによって、カメラ画像Iの端部に付着することで円状とは異なる形状となっている水滴を検出することが可能となる。
次に、実施形態に係る付着物検出装置1が実行する処理手順について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図8Aは、実施形態に係る付着物検出装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。また、図8Bは、検出処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、制御部2によって繰り返し実行される。
図8Aに示すように、まず、画像取得部21は、カメラ10からカメラ画像を取得し、かかるカメラ画像をグレースケール化する(ステップS101)。つづいて、抽出部22は、グレースケール画像から各画素のエッジ情報を抽出する(ステップS102)。
その後、変換部23は、抽出部22によって抽出されたエッジ情報に基づいて図4Aおよび図4Bに示したようにヒストグラムを作成し代表値を算出する(ステップS103)。その後、変換部23は、セルごとに代表値を符号化する符号化処理を行う(ステップS104)。
つづいて、マッチング部24は、符号化されたグレースケール画像に正規表現を用いてマッチング処理を行う(ステップS105)。そして、検出部25は、図1Dおよび図6に示したように水滴を検出する検出処理を行う(ステップS106)。
具体的には、図8Bに示すように、検出部25は、マッチング部24の抽出したマッチング範囲の両端に逆向きパターンがあるか否かを判定する(ステップS201)。ここで、逆向きパターンがある場合(ステップS201,Yes)、検出部25は、当該マッチング範囲が、各辺パターンの1辺のみについて複数抽出されているか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、両端に逆向きパターンがあるマッチング範囲がマッチング部24によって中心領域に対して複数パターン(複数列)抽出されているか否かを判定する。
ここで、複数抽出されている場合(ステップS202,Yes)、当該1辺を有する矩形を検出領域Rとして検出する(ステップS203)。かかる「複数抽出されている場合」は、たとえば図1Dに図示した例である。一方、ステップS201またはステップS202の判定条件を満たさない場合(ステップS201,No/ステップS202,No)、検出部25は、マッチング範囲を1辺とする検出領域(たとえば、検出領域R1)を検出する(ステップS204)。
そして、検出部25は、検出領域R1を他の検出領域(たとえば、検出領域R2)と統合し(ステップS205)、たとえば検出領域R3を検出する。
そして、全マッチング範囲について終了したか否かが判定される(ステップS206)。ここで、全マッチング範囲について終了でない場合(ステップS206,No)、ステップS201からの処理を繰り返す。また、全マッチング範囲について終了である場合(ステップS206,Yes)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施形態に係る付着物検出装置1は、マッチング部24(「探索部」の一例に相当)と、検出部25とを備える。マッチング部24は、所定の中心領域に対して一の方向に放射状に輝度が変化する第1の画素群、および、上記中心領域に対して上記一の方向と逆方向に放射状に輝度が変化する第2の画素群を、カメラ10(「撮像装置」の一例に相当)によって撮像された撮像画像から探索する。検出部25は、第1の画素群および第1の画素群の両端に存在する第2の画素群からなる配列がマッチング部24によって抽出された場合に、カメラ10へ付着した水滴を検出する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置1によれば、円状とは異なる形状の水滴を検出することが可能となる。すなわち、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、検出部25は、撮像画像における矩形の検出領域Rのいずれか1辺について上記配列がマッチング部24によって上記中心領域に対して複数列抽出された場合に、検出領域Rに水滴を検出する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置1によれば、円状とは異なる形状の、たとえば垂れた水滴のような涙滴状の水滴であっても精度よく検出することができる。すなわち、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、マッチング部24は、第1の画素群に対する第2の画素群の長さが所定値以上である場合に、第2の画素群の全体または一部を除外する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置1によれば、たとえば濡れた路面の反射などによって第2の画素群が長すぎる配列で抽出されてしまった場合などの誤検出を防ぐことができる。すなわち、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、マッチング部24は、上記矩形の検出領域の各辺について第1の画素群および第2の画素群を探索し、上記配列を複数列抽出する場合に、撮像画像中の探索位置に応じて探索対象とする各辺を切り替える。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置1によれば、カメラ画像Iの端部に付着することで円状とは異なる形状となっている水滴を検出することが可能となる。すなわち、水滴の検出精度を向上させることができる。
また、検出部25は、上記配列以外の画素群がマッチング部24によって抽出された場合に、当該画素群の長さに基づく1辺を有する検出領域R1を検出し、当該検出領域R1の少なくとも一部が他の検出領域R2と重なるならば、双方の検出領域R1,R2を統合する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置1によれば、第1の画素群および第1の画素群の両端に存在する第2の画素群からなる配列以外の画素群についても、個々に検出領域Rを生成し、重なりがある場合には検出領域Rを統合することによって、検出領域Rに精度よく水滴を検出することができる。
(その他の実施形態)
なお、上述してきた付着物検出装置1は、自動駐車システムに適用することができる。自動駐車システムは、撮像画像に基づき、たとえば駐車場内で空いている駐車スペースを認識したならば、車両を自動的に駐車制御するものである。かかる駐車制御は、車両が備える駐車制御装置によって行われる。駐車制御装置は、図2の例では、付着物除去装置11に代えて設けられ、駐車制御装置は、付着物検出装置1が付着物の付着を検出し確定させた場合に、安全のために車両の駐車制御を停止する。
すなわち、その他の実施形態では、カメラ10は車両に搭載され、車両はカメラ10の撮像画像に基づき車両の駐車制御を行う駐車制御装置(「駐車制御部」の一例に相当)を備える。駐車制御装置は、検出部25によってカメラ10への水滴の付着が検出された場合に、車両の駐車制御を停止する。したがって、その他の実施形態に係る付着物検出装置1によれば、安全性の高い自動駐車システムを実現することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。