以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)~図1(f)は、実施形態に係るプラント制御装置及びその更新方法を模式的に表すブロック図である。
図1(a)は、更新前の既設のプラント制御装置100を表す。
図1(b)~図1(f)は、実施形態に係るプラント制御装置10を表す。すなわち、図1(b)~図1(f)は、既設のプラント制御装置100を、実施形態に係るプラント制御装置10に更新する工程を表している。
既設のプラント制御装置100は、第1仕様を有する。新設されるプラント制御装置10は、第1仕様と異なる第2仕様を有する。第1仕様及び第2仕様は、ソフトウェア的な仕様及びハードウェア的な仕様の少なくとも一方を含む。ソフトウェア的な仕様とは、例えば、使用されるプログラミング言語や、プログラミング言語のバージョンなどである。ハードウェア的な仕様とは、例えば、入出力点数、プログラム容量(ステップ数)、命令処理速度、又はメモリ容量などである。
例えば、新設されるプラント制御装置10では、既設のプラント制御装置100と比べて、異なるプログラミング言語や、新しいバージョンのプログラミング言語が用いられている可能性が高い。また、新設されるプラント制御装置10では、既設のプラント制御装置100と比べて、入出力点数やプログラム容量などのハードウェア構成が増強されている可能性が高い。
このように、プラント制御装置10は、第1仕様を有する既設のプラント制御装置100から置き換えて使用され、第1仕様と異なる第2仕様を有し、第2仕様のソフトウェアに基づいてプラントの動作を制御する。プラント制御装置10及び既設のプラント制御装置100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。
図1(a)に表したように、既設のプラント制御装置100は、制御部110を備える。制御部110には、例えば、リモートIO131、132やネットワークステーション135などの入出力装置が接続されている。制御部110には、例えば、複数の入出力装置が接続される。プラント制御装置100に接続されるリモートIO131、132及びネットワークステーション135などの入出力装置は、プラント制御装置100の第1仕様に対応する。
制御部110は、リモートIO131、132を介してプラントの各機器と接続される。制御部110は、例えば、リモートIO131、132を介して各種のセンサと接続されることにより、各種のセンサから制御に必要な情報を取得する。また、制御部110は、例えば、リモートIO131、132を介してモータドライバなどの駆動装置と接続され、センサの情報などに基づいて駆動装置に各種の制御信号を入力することにより、モータなどの駆動部の動作を制御する。
制御部110は、ネットワークステーション135を介してプラント内のネットワークに接続される。制御部110は、例えば、ネットワークステーション135及びネットワークを介してプラント内の別の制御装置などと接続される。
制御部110は、第1仕様に対応する第1ソフトウェア120を有する。制御部110は、第1ソフトウェア120に基づいて動作することにより、リモートIO131、132などを介して接続されたプラントの各機器の動作を制御する。
このように、制御部110は、リモートIO131、132及びネットワークステーション135を介してプラントの各機器やネットワークと接続され、第1ソフトウェア120に基づいて、プラントの動作を制御する。なお、制御部110に接続される入出力装置の数は、3つに限ることなく、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、入出力装置は、リモートIO131、132やネットワークステーション135に限ることなく、制御部110と他の機器との間でのデータの送受を可能にする任意の装置でよい。
図1(b)~図1(f)に表したように、実施形態に係るプラント制御装置10は、第1制御部11と、第2制御部12と、第3制御部13と、切替部14と、デバイス変換器15と、を備える。
第1制御部11は、既設のプラント制御装置100に組み込まれていた第1仕様の第1ソフトウェア120を実行可能である。第2制御部12は、第2仕様の第2ソフトウェア20を実行可能とし、第2ソフトウェア20に基づいてプラントの動作を制御する。第3制御部13は、第2ソフトウェア20を実行可能とし、第1制御部11との並行動作を行うとともに、プラントの動作の制御を行わない。
第2制御部12は、入出力装置やネットワークからの信号の入力、及び入出力装置やネットワークへの信号の出力を可能としたオンライン系の制御部である。一方、第3制御部13は、入出力装置やネットワークからの信号の入力のみを可能とし、入出力装置やネットワークへの信号の出力を行えないようにしたオフライン系の制御部である。なお、信号の出力を行えないようにする構成は、第3制御部13自体が信号の出力を行わない構成でもよいし、第3制御部13の出力信号線などを非接続とすることにより、第3制御部13から信号が出力されないようにする構成などでもよい。信号の出力を行えないようにする構成は、第3制御部13から出力された信号が入出力装置などを介して他の機器に入力され、第3制御部13からの信号によって他の機器が動作してしまうことを抑制できる任意の構成でよい。
第1制御部11は、例えば、既設のプラント制御装置100の制御部110の動作を模倣するエミュレータである。第2制御部12及び第3制御部13は、例えば、仮想CPU(Central Processing Unit)である。第1制御部11、第2制御部12、及び第3制御部13は、例えば、同じプロセッサにソフトウェア的に構成される。
このように、プラント制御装置10では、第1制御部11と第2制御部12とを設けることにより、既設の第1ソフトウェア120と新設の第2ソフトウェア20とのいずれか一方で選択的にプラントの各機器の動作を制御できるようにする。また、プラント制御装置10では、第3制御部13をさらに設け、新設の第2ソフトウェア20による第3制御部13の動作を、既設の第1ソフトウェア120による第1制御部11の動作と並列動作させる。すなわち、第1制御部11と第3制御部13とを、いわゆるパララン運転させる。
例えば、第1制御部11と第3制御部13とを並行動作させ、新設の第2ソフトウェア20が、既設の第1ソフトウェア120と同等に動作するか否かを確認する。この後、第1制御部11による制御と、第2制御部12による制御と、を切り替えながらプラントの各機器を動作させる。これにより、新設の第2ソフトウェア20が、既設の第1ソフトウェア120と同様にプラントの各機器を制御可能であるか否かを容易に確認することができる。
切替部14は、第2制御部12と第3制御部13とを切り替える。切替部14は、例えば、第1制御部11と第2制御部12とでプラントの各機器の動作を交互に制御可能とする状態と、第1制御部11にプラントの各機器の動作を制御させつつ第3制御部13を第1制御部11と並列動作させる状態と、を切り替える。なお、切替部14による切り替えは、ソフトウェア的に行ってもよいし、機械式のスイッチなどによってハードウェア的に行ってもよい。
デバイス変換器15は、第1仕様と第2仕様との変換を行うことにより、既設のプラント制御装置100に接続されていた第1仕様に対応する既設のリモートIO131、132及びネットワークステーション135を第1制御部11及び第2制御部12に接続可能とする。
切替部14は、例えば、第2制御部12とデバイス変換器15とを接続した状態と、第3制御部13とデバイス変換器15とを接続した状態と、を交互に切り替える。切替部14が第2制御部12とデバイス変換器15とを接続している場合、デバイス変換器15は、入出力装置から入力された信号を第1制御部11及び第2制御部12に入力するとともに、第1制御部11及び第2制御部12から入力された信号を入出力装置に出力する。一方、切替部14が第3制御部13とデバイス変換器15とを接続している場合、デバイス変換器15は、入出力装置から入力された信号を第1制御部11及び第3制御部13に入力するとともに、第1制御部11から入力された信号のみを入出力装置に出力する。この構成は、第3制御部13の出力信号線をデバイス変換器15に接続しないことによって実現してもよいし、第3制御部13から信号を出力しないようにすることで実現してもよいし、第3制御部13からの信号をデバイス変換器15で受け付けないようにすることで実現してもよい。
プラント制御装置10は、例えば、ネットワークインターフェイス16を、さらに備える。ネットワークインターフェイス16は、プラント制御装置10をプラント内のネットワークに接続する。ネットワークインターフェイス16は、例えば、第1制御部11、第2制御部12、第3制御部13、及びデバイス変換器15と同じ筐体内に組み込まれている。プラント制御装置10は、これに限ることなく、プラント制御装置100と同様に、外付け式のネットワークステーション135などを介してネットワークと接続してもよい。ネットワークインターフェイス16は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
第3制御部13は、外部機器40と接続される。第3制御部13は、コネクタなどを介して外部機器40と直接的に接続してもよいし、デバイス変換器15やネットワークインターフェイス16などを介して外部機器40と接続してもよい。
第3制御部13は、外部機器40からの入力に基づいて第2ソフトウェア20を更新することにより、第1制御部11との並行動作によって機能追加分を検証可能とする。外部機器40は、例えば、第3制御部13と通信を行い、第2ソフトウェア20を書き換えたり、新しいバージョンの第2ソフトウェア20に置き換えたりすることにより、第2ソフトウェア20を更新する。外部機器40は、例えば、第2ソフトウェア20を更新するための専用の端末やパーソナルコンピュータなどである。
第2制御部12は、外部機器40の入力を受け付けない。第2制御部12は、第3制御部13からの入力によって第2ソフトウェア20を更新する。すなわち、第2制御部12は、第3制御部13によって機能追加分の検証が行われた検証後の第2ソフトウェア20に更新する。これにより、パララン試験したい第2ソフトウェア20を間違えてオンライン系の第2制御部12に転送したり、パララン試験用の第3制御部13へのチューニング操作を間違えてオンライン系の第2制御部12に行ってしまうことを抑制でき、より安定した品質でシステムの更新を行うことが可能となる。なお、チューニング操作とは、例えば、各種のパラメータの設定や一部のプログラムの書き換えなどである。
外部機器40は、第2ソフトウェア20の更新などの種々の操作指示を入力するための操作部42を有する。操作部42は、例えば、キーボード、マウス、あるいはタッチパネルなどの周知の入力装置である。外部機器40は、操作部42の操作によって入力される種々の操作指示に基づいて、第2ソフトウェア20の更新などを第3制御部13に入力する。
切替部14は、例えば、外部機器40の操作部42の操作に基づいて、第2制御部12と第3制御部13との切り替えを行う。操作部42は、切替部14の切り替えを操作する。切替部14の切り替えは、外部機器40とは別に設けられた操作部によって行ってもよい。操作部は、第2制御部12や第3制御部13などを介して切替部14と接続してもよいし、切替部14に直接的に接続してもよい。また、操作部は、切替部14自体に設けてもよい。例えば、切替部14を機械式のスイッチとする場合などには、作業者などの手動操作によって切り替えを行ってもよい。
次に、本実施形態に係るプラント制御装置10の更新方法について説明する。
既設のプラント制御装置100をプラント制御装置10に更新する場合には、図1(a)及び図1(b)に表したように、まず、プラント制御装置100を取り外し、既設のリモートIO131、132及びネットワークステーション135をプラント制御装置10のデバイス変換器15に接続することにより、既設のプラント制御装置100をプラント制御装置10に置き換える。
そして、プラント制御装置10の第1制御部11に既設の第1ソフトウェア120を組み込む。これにより、プラント制御装置10においても、第1制御部11による制御によって、既設のプラント制御装置100と同様にプラントの各機器の動作を制御することが可能となる。既設の第1ソフトウェア120を第1制御部11に組み込むタイミングは、プラント制御装置10をプラント制御装置100と置き換えた後でもよいし、プラント制御装置10の置き換えを行う前に予め行ってもよい。
第1制御部11及び第1ソフトウェア120で既設のプラント制御装置100と同等の制御を行えることを確認した後、第3制御部13に第2ソフトウェア20を組み込み、切替部14を第3制御部13側に切り替える。これにより、第1制御部11にプラントの各機器の動作を制御させつつ、第3制御部13を第1制御部11と並列動作させ、新設の第2ソフトウェア20が、既設の第1ソフトウェア120と同等に動作するか否かを確認する。
図1(c)に表したように、必要に応じて既設のリモートIO131を新たなリモートIO31に更新する。新設のリモートIO31は、例えば、プラント制御装置10の第2仕様に対応したリモートIOである。
この場合、更新エンジニアリング業務を行う技術者などは、外部機器40の操作部42を操作することにより、第3制御部13に第2ソフトウェア20の更新を行わせる。第3制御部13は、外部機器40からの入力に基づいて、第2ソフトウェア20を、リモートIO31の更新に対応した第2ソフトウェア21に更新する。
また、この場合、第1制御部11は、外部機器40からの入力に基づいて、既設の第1ソフトウェア120を更新する。第1制御部11は、外部機器40からの入力に基づいて、第1ソフトウェア120を、リモートIO31の更新に対応した第1ソフトウェア121に更新する。外部機器40は、第3制御部13の第2ソフトウェア20を更新可能とするとともに、第1制御部11の第1ソフトウェア120をさらに更新可能としてもよい。
第1制御部11は、更新された第1ソフトウェア121に基づいて、プラントの各機器の動作を制御する。第3制御部13は、第1制御部11との並行動作によって、リモートIO31の更新などにともなう機能追加分を検証可能とする。
このように、プラント制御装置10は、リモートIO31などのハードウェア構成の更新があった場合に、第1制御部11(エミュレータ上)及び第3制御部13において第1ソフトウェア120及び第2ソフトウェア20の更新を可能にする。これにより、例えば、任意のタイミングでハードウェア構成の更新を行うことが可能になる。例えば、ソフトウェアの更新を行った後に全てのリモートIO131、132を更新する場合などと比べて、一度に必要となるプラントの停止時間を短くすることができる。
第3制御部13によって第2ソフトウェア21の機能追加分の検証を行った後、図1(d)に表したように、検証済みの第2ソフトウェア21を第3制御部13から第2制御部12に入力する。この後、更新エンジニアリング業務を行う技術者などは、外部機器40の操作部42を操作することなどにより、切替部14を第2制御部12側に切り替える。そして、第1制御部11と第2制御部12とでプラントの各機器を交互に制御することにより、新設の第2ソフトウェア21に基づく第2制御部12が、既設の第1ソフトウェア121に基づく第1制御部11と同様に動作するか否かを確認する。
更新エンジニアリング業務を行う技術者などは、第1制御部11及び第2制御部12のそれぞれの動作を確認し、第2ソフトウェア21を適宜更新する。第2ソフトウェア21の更新は、上述のように、第3制御部13で行う。このように、第1制御部11の実行結果と第2制御部12の実行結果とを比較する。これにより、新設の第2ソフトウェア21の完成度や品質を高めることができる。例えば、第2ソフトウェア21内に不要な内容が残ってしまうことを抑制することができる。
第2制御部12が適切に動作することを確認した後、図1(e)に表したように、第1制御部11及び既設の第1ソフトウェア121を除去する。これにより、例えば、更新後に誤って第1制御部11によってプラントの各部を動作させてしまうことなどを抑制することができる。また、次回の更新時などに、第1制御部11及び第1ソフトウェア121が誤って引き継がれてしまうことなどを抑制することもできる。但し、第1制御部11及び第1ソフトウェア121は、そのまま残しておいてもよい。あるいは、第1制御部11は残しておき、既設の第1ソフトウェア121のみを除去(消去)してもよい。
図1(f)に表したように、必要に応じて既設のリモートIO132を新たなリモートIO32に更新する。新設のリモートIO32は、例えば、プラント制御装置10の第2仕様に対応したリモートIOである。この場合、第2制御部12及び第3制御部13は、リモートIO32の更新に対応させて、第2ソフトウェア21を第2ソフトウェア22に更新する。
このように、デバイス変換器15は、リモートIO131、132及びネットワークステーション135などの複数の既設の入出力装置と接続され、複数の既設の入出力装置のそれぞれを第2仕様に対応する入出力装置と個別に更新可能である。そして、第2制御部12及び第3制御部13は、第2仕様に対応する入出力装置への更新に対応させて、第2ソフトウェア20を更新可能である。
なお、この例では、新設のリモートIO31、32をデバイス変換器15に接続している。プラント制御装置10の第2仕様に対応するリモートIO31、32は、例えば、第2制御部12に直接接続してもよい。この場合、デバイス変換器15は、除去してもよい。
また、図1(f)に表したように、例えば、プラント制御装置10の更新に対応させて新しいネットワークが引かれた場合などには、ネットワークステーション135が除去され、ネットワークインターフェイス16を介して第2制御部12が新設のネットワークと接続される。以上により、プラント制御装置100からプラント制御装置10への更新が完了する。
なお、第3制御部13は、第2制御部12が適切に動作することを確認した後に除去してもよいし、そのまま残しておいてもよい。第3制御部13を除去した場合には、プラント制御装置10の構成を簡素にすることができる。反対に、第3制御部13を残した場合には、システムに変更を加えたい場合などに、第3制御部13を用いて動作の検証を行うことができる。
また、第3制御部13を除去した場合には、切替部14をさらに除去し、第2制御部12のみが動作する構成としてもよい。これにより、第2制御部12でプラントの動作を制御している際に、意図せず切替部14が第3制御部13側に切り替わってしまうことを抑制することができる。
図1(b)に表したように、既設のリモートIO131、132及びネットワークステーション135をプラント制御装置10のデバイス変換器15に接続する際、リモートIO131、132とデバイス変換器15(プラント制御装置10)との間には、入線状況確認部51、52が設けられる。
入線状況確認部51、52は、第1仕様に対応する既設の入出力装置であるリモートIO131、132への入線状況を確認するための部材である。入線状況確認部51、52は、例えば、デバイス変換器15とリモートIO131、132とを接続するための配線の一端に設けられた接続部と、リモートIO131、132の接続部と、の間に設けられる。接続部とは、例えば、コネクタや端子台などである。
リモートIO131、132の接続部には、例えば、複数の端子が設けられ、複数の端子のいずれかがプラントの他の機器と接続される。リモートIO131、132の接続部の複数の端子には、他の機器と接続されている端子と、接続されていない端子と、が含まれる場合がある。
入線状況確認部51、52は、例えば、リモートIO131、132に入出力される信号を分岐させることにより、各端子への信号の入出力状況によって入線状況を確認する。すなわち、入線状況確認部51、52は、信号の入出力状況により、リモートIO131、132の複数の端子のうち、他の機器と接続された端子と、他の機器と接続されていない端子と、を識別できるようにする。但し、入線状況確認部51、52の構成は、上記に限ることなく、第1仕様に対応する既設の入出力装置への入線状況を確認することができる任意の構成でよい。
入線状況確認部51、52は、第3制御部13と接続される。入線状況確認部51、52は、入線状況の確認結果を第3制御部13に入力する。第3制御部13は、入線状況確認部51、52と接続され、入線状況確認部51、52からの入力に基づいて、既設の入出力装置であるリモートIO131、132への入線状況を確認する。
図2は、実施形態に係るプラント制御装置の更新方法の一例を模式的に表す説明図である。
図2は、既設のリモートIO131を新たなリモートIO31に更新する際の手順を模式的に表している。
図2に表したように、既設のリモートIO131を新たなリモートIO31に更新する場合には、まず、図庫図面と客先保有図面とを照合する(図2の(1)~(3))。図庫図面とは、例えば、更新エンジニアリング業務を行う技術者などが所有している既設の図面である。客先保有図面とは、例えば、プラントの管理業者などが所有している既設の図面である。各図面の照合においては、例えば、副番や記載項目などが照合される。図庫図面と客先保有図面とに差異がある場合には、例えば、更新履歴(更新日)などに基づいて適宜図面を修正する。これにより、図面を最新の状態にする。
次に、客先凍結ソフトウェアと客先追加プログラムコメントとを基に、客先プログラムのマスターを作成する(図2の(4)~(6))。客先凍結ソフトウェアとは、プラントの管理業者などが所有している現時点のプログラムのバックアップである。
次に、最新の図面と客先プログラムのマスターとを比較することにより、既設のリモートIO131の入線に関する差分を抽出する(図2の(7))。
次に、第1制御部11にプラントの各機器の動作を制御させつつ、第3制御部13を第1制御部11と並列動作させることにより、入線状況確認部51からの入力に基づいて、既設のリモートIO131への入線状況を第3制御部13に確認させる(図2の(8)~(10))。
次に、最新の図面と客先プログラムのマスターとの差分と、入線状況確認部51を用いた入線状況の確認結果と、を基に、既設のリモートIO131のマスター展開図を作成する(図2の(11))。
次に、第1仕様の既設のリモートIO131のマスター展開図を、新たなリモートIO31の第2仕様に対応するように変換することにより、既設のリモートIO131のマスター展開図から新たなリモートIO31の展開図を作成する(図2の(12))。この後、作成した展開図に基づいてリモートIO31を配線する。これにより、既設のリモートIO131を新たなリモートIO31に更新することができる。
図3(a)~図3(d)は、参考のプラント制御装置及びその更新方法を模式的に表すブロック図である。
図3(a)~図3(d)は、既設のプラント制御装置100を、参考のプラント制御装置200に更新する工程を表している。
参考のプラント制御装置200は、制御部210と、ネットワークインターフェイス216と、を備える。制御部210は、ソフトウェア220を有する。プラント制御装置200の仕様は、プラント制御装置100の仕様と異なる。ソフトウェア220は、プラント制御装置200の仕様に対応したソフトウェアである。ネットワークインターフェイス216は、ネットワークインターフェイス16と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
図3(a)及び図3(b)に表したように、プラント制御装置100をプラント制御装置200に更新する場合には、まず、プラント制御装置100の制御部110とリモートIO131、132との間に接続装置240が設けられるとともに、プラント制御装置200の制御部210が接続装置240を介してリモートIO131、132と接続される。
接続装置240は、制御部110からリモートIO131、132に信号を入力可能とするとともに、リモートIO131、132から出力される信号を、制御部110及び制御部210の双方に入力可能とする。この際、接続装置240は、例えば、プラント制御装置100の仕様とプラント制御装置200の仕様との変換を行うことにより、仕様の異なるリモートIO131、132をプラント制御装置200の制御部210に接続可能とする。
プラント制御装置200の制御部210は、プラント制御装置100の制御部110と並列動作する。すなわち、プラント制御装置200の制御部210は、プラント制御装置100の制御部110とパララン運転を行う。プラント制御装置100からプラント制御装置200への更新においては、プラント制御装置100の制御部110にプラントの各機器の動作を制御させつつ、プラント制御装置200の制御部210を並列動作させることにより、制御部210の動作を検証する。
更新エンジニアリング業務を行う技術者などは、パララン運転によって制御部210の動作を確認し、必要に応じてソフトウェア220の書き換えを行う。
図3(c)に表したように、パララン運転によって制御部210の動作を確認した後、プラント制御装置100を除去する。この後、図3(d)に表したように、接続装置240を除去し、既設のリモートIO131、132を、プラント制御装置200の仕様に対応した新たなリモートIO231、232に更新する。また、制御部210は、リモートIO231、232の更新に対応させて、ソフトウェア220をソフトウェア221に更新する。以上により、プラント制御装置100からプラント制御装置200への更新が完了する。
既設のプラント制御装置100では、仕様の異なる新たなリモートIO231、232を接続し、プラントの各機器の制御を行うことができない。このため、参考のプラント制御装置200では、既設のリモートIO131、132を、一度に新たなリモートIO231、232に更新する必要があるとともに、これにともなうソフトウェア220からソフトウェア221への更新も一度に行う必要がある。従って、機能の確認のために、プラントを長時間停止させる必要がある。
これに対して、本実施形態に係るプラント制御装置10では、第1制御部11と第2制御部12とデバイス変換器15とを備えている。これにより、既設のリモートIO131、132と、新たなリモートIO31、32と、のそれぞれを、デバイス変換器15によって第1制御部11及び第2制御部12のそれぞれに接続することができる。これにより、既設のリモートIO131、132を、個別に新たなリモートIO31、32に更新することが可能となる。従って、一度に必要となるプラントの停止時間を短くすることができる。例えば、プラントの改造が可能な時に、小さな単位でリモートIO131、132などの入出力装置の更新を行うことができる。
また、既設の第1ソフトウェア120の実行結果と、新たに更新される第2ソフトウェア20の実行結果と、を比較しながら第2ソフトウェア20の更新を行うことができる。これにより、第2ソフトウェア20の完成度や品質を高めることができる。例えば、第2ソフトウェア20内に不要な内容が残ってしまうことを抑制することができる。
従って、本実施形態に係るプラント制御装置10によれば、一度に長い停止時間をプラントに必要とすることなく、より高い完成度のソフトウェアに更新することができる。
また、プラント制御装置10では、第1制御部11が、第1ソフトウェア120を更新可能である。これにより、例えば、図1(c)に表したように、第2制御部12に第2ソフトウェア20を組み込む前からリモートIO131、132の更新を行うことも可能となり、更新の自由度をより高めることができる。
また、プラント制御装置10では、オンライン系の第2制御部12と、オフライン系の第3制御部13と、これらを切り替える切替部14と、を設け、第1制御部11にプラントの各機器の動作を制御させつつ、第3制御部13を第1制御部11と並列動作させることにより、新設の第2ソフトウェア20が、既設の第1ソフトウェア120と同等に動作するか否かを確認できるようにしている。これにより、第2ソフトウェア20の完成度や品質をより高めることができる。第2ソフトウェア20内に不要な内容が残ってしまうことを、より確実に抑制することができる。
また、プラント制御装置10では、第3制御部13が、外部機器40からの入力に基づいて第2ソフトウェア20を更新することにより、第1制御部11との並行動作によって機能追加分を検証可能である。これにより、第2ソフトウェア20の完成度や品質をより高めることができる。第2ソフトウェア20内に不要な内容が残ってしまうことを、より確実に抑制することができる。
また、プラント制御装置10では、第2制御部12は、外部機器40の入力を受け付けず、第3制御部13からの入力によって第2ソフトウェア20を更新する。これにより、パララン試験したい第2ソフトウェア20を間違えてオンライン系の第2制御部12に転送したり、パララン試験用の第3制御部13へのチューニング操作を間違えてオンライン系の第2制御部12に行ってしまうことを抑制でき、より安定した品質でシステムの更新を行うことができる。
さらに、プラント制御装置10では、第3制御部13が、入線状況確認部51、52と接続され、入線状況確認部51、52からの入力に基づいて、既設の入出力装置であるリモートIO131、132への入線状況を確認可能である。これにより、例えば、既設のリモートIO131、132への入線状況を目視で確認する場合などと比べて、既設のリモートIO131、132への入線状況を、より容易に確認することができる。例えば、既設のリモートIO131、132を新たなリモートIO31、32に更新する際に、既設のリモートIO131、132のマスター展開図を作成し易くすることなどができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。