以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施の形態1)
まず、実施の形態に係る照明器具1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明器具1の断面図である。図1では、照明器具1が天井100に設置された状態を示している。
照明器具1は、天井又は壁等の建物の造営材に設置される。本実施の形態において、照明器具1は、天井100に埋め込み配設されることにより下方(床や壁等)に照明光を照明するダウンライト等の天井埋込型の照明器具である。
照明器具1は、光源10及び光制御部材20を有する灯具2と、電源ボックス3とを備える。灯具2は、天井100の開口孔101に埋め込み配設される。また、電源ボックス3は、天井100の天井裏に配置されている。灯具2と電源ボックス3とは、第1の電源線4a及び第2の電源線4bによって電気的に接続されている。
電源ボックス3は、灯具2の光源10を発光させるための電力を生成する第1の電源回路3a(光源駆動用電源回路)と、灯具2の光制御部材20を駆動するための電力を生成する第2の電源回路3b(光制御部材駆動用電源回路)とを有する。
第1の電源回路3aで生成された電力は、第1の電源線4aを介して光源10に供給される。第1の電源回路3aは、例えば、商用電源からの交流電力を直流電力に変換する。つまり、第1の電源回路3aでは、光源10を発光させるための電力として、直流電力が生成される。
一方、第2の電源回路3bで生成された電力は、第2の電源線4bを介して光制御部材20に供給される。第2の電源回路3bで生成される電力は、光制御部材20の駆動方式によって決定され、交流電力であってもよいし、直流電力であってもよい。なお、光制御部材20が商用の交流電力(例えばAC100V)で駆動する場合は、商用電源からの交流電力が第2の電源回路3b及び第2の電源線4bを介してそのまま光制御部材20に供給される。
また、光源10が調光制御及び調色制御できる構成を有している場合、電源ボックス3には、光源10の調光制御を行ったり光源10の調色制御を行ったりするための第1制御回路(光源用制御回路)が内蔵されていてもよい。また、電源ボックス3には、光制御部材20のモードの切り替え制御を行うための第2制御回路(光制御部材駆動用制御回路)が内蔵されていてもよい。この場合、照明器具1は、さらに、第1制御回路及び第2制御回路に入力されるユーザからの制御信号を受信するセンサ等を有していてもよい。このセンサは、例えば、電源ボックス3に内蔵されていてもよいし、電源ボックス3の外部に設置されていてもよい。
次に、灯具2の詳細な構造について、図1を用いて説明する。図1に示すように、灯具2は、光源10と、光制御部材20と、器具本体30とを備える。
光源10は、照明器具1の照明光となる光を発する。本実施の形態において、光源10は、LEDを有するLED光源であり、例えば白色光を発する。
光源10は、発光部11と、基板12とを有する光源モジュールとして構成されている。本実施の形態において、光源10は、LEDが基板12に直接実装されたCOB(Chip On Board)構造のLEDモジュールである。この場合、発光部11は、基板12に実装された複数のLEDと、複数のLEDを封止する封止部材とを有する。
発光部11のLEDは、発光素子の一例であり、本実施の形態では、単色の可視光を発するベアチップである。LEDは、例えば、通電されれば青色光を発する青色LEDチップである。LEDは、例えば基板にマトリクス状に複数個配置されている。なお、LEDは、少なくとも1つ配置されていればよい。
発光部11の封止部材は、例えば透光性樹脂である。本実施の形態における封止部材は、LEDからの光を波長変換する波長変換材として蛍光体を含んでいる。封止部材は、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体が分散された蛍光体含有樹脂である。蛍光体粒子としては、LEDが青色光を発光する青色LEDチップである場合、白色光を得るために、例えばYAG系の黄色蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体含有樹脂には、黄色蛍光体以外に、赤色蛍光体及び緑色蛍光体等が含有されていてもよい。
封止部材は、全てのLEDを一括封止しているが、全てのLEDを一括封止するのではなく、複数のLEDを列ごとにライン状に封止してもよいし、各LEDを1つずつ個別に封止してもよい。
基板12は、LEDを実装するための実装基板である。基板12は、例えば、樹脂基板、メタルベース基板又はセラミック基板等である。基板12には、LEDを発光させるための直流電力を受電する一対の接続端子と、LED同士を電気的に接続するための所定のパターンの金属配線とが形成されている。一対の接続端子は、第1の電源線4aに接続されている。
このように構成される光源10は、器具本体30に固定されている。器具本体30は、照明器具1の本体であり、光源10が配置されるベース部(基台)として機能する。具体的には、器具本体30は、光源10が配置される配置面30aを有しており、光源10は、器具本体30の配置面30aに配置されて器具本体30に固定される。例えば、光源10は、ホルダ(不図示)によって器具本体30の配置面30aに押さえつけられるようにして器具本体30に保持されている。
なお、光源10と器具本体30の配置面30aとの間には、熱伝導シート40が挿入されていている。具体的には、熱伝導シート40は、光源10の基板12と器具本体30の配置面30aとの間に配置されており、光源10(基板12)と器具本体30とに挟持されている。
また、器具本体30は、光源10で発生する熱を放熱するヒートシンクとしても機能する。したがって、器具本体30は、金属材料等の熱伝導率の高い材料によって構成されているとよい。本実施の形態において、器具本体30は、例えば略有底筒形状であり、例えば、アルミニウム合金板等の金属板をプレス加工することによって形成することができる。なお、器具本体30は、プレス加工による板金製ではなく、アルミニウム合金等からなるダイキャスト製であってもよい。
器具本体30は、枠体部31を有する。枠体部31は、天井100の開口孔101に埋め込み配設される。枠体部31が天井100の開口孔101に固定されることで、器具本体30が天井100に固定される。例えば、枠体部31の外周面に取り付けられた複数の取付バネ(不図示)を、天井100の開口孔101の内側面との間で弾性変形させることによって、器具本体30を天井100に固定することができる。
枠体部31は、開口部31aを有する筒状の構造であり、光源10から出射した光が通過する。枠体部31を通過した光源10の光は、光制御部材20に入射する。本実施の形態において、枠体部31は、例えば円錐台の筒状である。この場合、開口部31aの開口形状は、円形である。
また、枠体部31は、開口部31aの端部から天井100の天井面に突出するフランジ部31bを有する。フランジ部31bは、枠体部31を天井100の開口孔101に配設する際、天井100の天井面に係止される。
また、器具本体30には、第1の電源線4a及び第2の電源線4bが挿通される挿通孔32が設けられている。挿通孔32は、器具本体30の底部に設けられているが、これに限るものではなく、器具本体30の側壁部に設けられていてもよい。
器具本体30に配置された光源10から出射した光は、光制御部材20に入射する。本実施の形態では、器具本体30内には反射板50が配置されているので、光源10から出射した光の一部は、反射板50で反射して光制御部材20に入射する。反射板50の内面は反射面となっている。
反射板50は、例えば、内面形状が漏斗状の円筒形状であり、内径が光入射側(光源10側)の開口部から光出射側の開口部に向かって漸次大きくなるように構成されている。反射板50は、例えば樹脂材料又は金属材料によって構成することができる。一例として、反射板50は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂材料を用いた作製された白色の樹脂成型品であってもよいし、樹脂成型品の内面にアルミニウム等の金属膜が形成されたものであってもよいし、アルミニウム等の金属材料によって形成された金属部品であってもよい。なお、反射板50は、器具本体30に直接取り付けられていてもよいし、光源10を保持するホルダ(不図示)に取り付けられていてもよい。
このように、光源10から出射した光は、直接又は反射板50で反射して光制御部材20に入射する。光制御部材20は、光源10から出射する光が透過する透光部材であり、光制御部材20に入射した光は、光制御部材20を透過する。
また、光制御部材20は、光制御部材20が電気的に制御されることで透過する光を制御する機能性部材である。具体的には、光制御部材20は、電気的に制御されることで透過率が変化する。したがって、光制御部材20に入射する光は、光制御部材20の透過率に応じて透過する光量が変化する。つまり、光制御部材20を透過する光の光束が変化する。
本実施の形態では、さらに、光制御部材20は、電気的に制御されることで光源10から出射した光の配光を変化させている。これにより、照明器具1(灯具2)の照明光の照明態様が変化する。つまり、光制御部材20は、光源10から出射した光の明るさを変化させるだけではなく配光も変化させている。
光制御部材20は、シート状又はフィルム状である。つまり、光制御部材20は、厚さが薄い平板部材であり、シート状の機能性シート又はフィルム状の機能性フィルムとして構成される。光制御部材20の厚さは、例えば、0.1mm~1mm程度である。
また、光制御部材20は、光源10を覆っている。具体的には、光制御部材20は、器具本体30の枠体部31の開口部31aを塞ぐように配置されている。したがって、光制御部材20の平面視形状は、略円形である。
本実施の形態において、光制御部材20は、さらに、枠体部31の開口部31aとともにフランジ部31bも覆っている。具体的には、光制御部材20は、フランジ部31bの表面及び側面を覆うように端部が折り曲げられている。これにより、照明器具1が天井100から露出する部分は、照明器具1の最外郭を構成する光制御部材20のみとなっている。したがって、光制御部材20の光出射面は、照明器具1の意匠面(外郭面)である。本実施の形態において、光制御部材20の光出射面は、平面であり、天井100の天井面に略平行となっている。つまり、光制御部材20は、光出射面(意匠面)が天井100の天井面に略平行となるように配置されている。
光制御部材20は、電気的に制御されることで複数のモードに切り替え可能に構成されている。光制御部材20の複数のモードには、光制御部材20の透過率が所定の閾値以下となる低透過率モードである第1のモードと、光制御部材20の透過率が所定の閾値を超える高透過率モードである第2のモードとが含まれている。後述するように、本実施の形態において、光制御部材20の第1のモードは、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードであり、光制御部材20の第2のモードは、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードである。
低透過率モードである第1のモード及び高透過率モードである第2のモードにおける光制御部材20の所定の閾値は、例えば、80%以下の値であり、より好ましくは、50%以下の値である。具体的には、所定の閾値は、80%、70%であり、より好ましく、50%、40%、30%であり、さらに好ましくは20%である。なお、この所定の閾値は、これらの値に限るものではなく、第1のモード(低透過率モード)時の光制御部材20の透過率が第2のモード(高透過率モード)時の光制御部材20の透過率よりも相対的に低ければよい。あるいは、第2のモード(高透過率モード)時の光制御部材20の透過率が第1のモード(低透過率モード)時の光制御部材20の透過率よりも相対的に高ければよい。一例として、第1のモード時の光制御部材20の光制御部材20の透過率は、40%であり、第2のモード時の光制御部材20の透過率は、90%である。
ここで、光制御部材20の具体的な構造と複数のモードとについて、図2A及び図2Bを用いて説明する。図2Aは、実施の形態1に係る照明器具1に用いられる光制御部材20の第1のモードを説明するための図である。図2Bは、同光制御部材20の第2のモードを説明するための図である。図2A及び図2Bは、図1の破線で囲まれる領域IIの拡大図である。
図2A及び図2Bに示すように、光制御部材20は、第1の透明基板21aと、第2の透明基板21bと、第1の透明電極22aと、第2の透明電極22bと、配光制御層23とを有する。
第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)又はアクリル等の透明樹脂材料からなる透明樹脂基板又はガラス材料からなるガラス基板等である。本実施の形態において、第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bは、透明樹脂基板である。なお、第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bは、リジッド基板であってもよいし、フレキシブル基板又はフィルム基板であってもよい。第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bとして、フレキシブル基板又はフィルム基板を用いることで、光制御部材20を湾曲させたり屈曲させたりすることができる。
第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bは、互いに対向して配置されている。具体的には、第1の透明基板21aは、第2の透明基板21bに対向して配置されており、第2の透明基板21bは、第1の透明基板21aに対向して配置されている。
第1の透明電極22aは、第1の透明基板21aの第2の透明基板21b側に配置されている。また、第2の透明電極22bは、第2の透明基板21bの第1の透明基板21a側に配置されている。具体的には、第1の透明電極22aは、第1の透明基板21aの第2の透明基板21b側の主面に形成されており、第2の透明電極22bは、第2の透明基板21bの第1の透明基板21a側の主面に形成されている。したがって、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bは、互いに対向するように配置されている。
第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明金属酸化物からなる透明導電膜又は銀等の金属材料からなる金属薄膜等を用いることができる。
第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bの平面視の形状は、第1の透明基板21a及び第2の透明基板21bの各々の表面のほぼ全面に形成されたべた電極であるが、これに限らない。
配光制御層23は、第1の透明電極22aと第2の透明電極22bとの間に配置されている。配光制御層23は、高分子材料と液晶との複合材料によって構成されている。具体的には、配光制御層23は、樹脂(樹脂層)23aと、樹脂23aの中に存在する液晶(液晶層)23bとによって構成されている。
本実施の形態における配光制御層23は、網目状のポリマー構造からなる樹脂23aと、ポリマー構造(網目)の間に存在する液晶23bとによって構成されている。樹脂23aは、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂等であり、液晶23bは、例えばネマティック液晶等である。
配光制御層23としては、例えば、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)又はポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)等を用いることができる。高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶は、樹脂23aの中に液晶23bが点状に存在する構造であるとよい。
なお、第1の透明基板21aの外面及び第2の透明基板21bの外面に、厚さが1~5mm程度の透明支持基板を接着剤等によって貼り合わせてもよい。これにより、光制御部材20の強度を向上させることができる。透明支持基板としては、ガラス基板を用いることができるが、透明樹脂基板であってもよい。
このように構成される配光制御層23は、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bに電圧が印加されることで液晶23bの液晶分子の配向状態が変化する。この場合、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bには、交流電圧が印加されてもよいし、直流電圧が印加されてもよい。交流電圧の場合、電圧波形は、正弦波でもよいし、矩形波でもよい。
本実施の形態では、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bに電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、図2Aに示すように、配光制御層23の液晶23bにおける液晶分子の配向状態が変化せず、液晶分子の向きはランダムな状態のままとなっている。つまり、配光制御層23内の液晶分子の向きは、一定の方向に揃っていない。この場合、配光制御層23に入射した光は、配光制御層23の液晶23bによって拡散(散乱)することになる。
このように、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bに電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)、光制御部材20は、図2Aに示すように、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードとなる。この拡散モードは、光制御部材20の第1のモードであって、光制御部材20の透過率が所定の閾値(例えば透過率80%)以下となる低透過率モードである。また、第1のモード(拡散モード)では、光制御部材20に入射する光が拡散されるので、光制御部材20を透過する光の配光が変化する。なお、第1のモード(拡散モード)における光制御部材20の色は、例えば、乳白色である。
一方、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bに電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、図2Bに示すように、配光制御層23の液晶23bにおける液晶分子の配向状態が変化する。具体的には、配光制御層23内の液晶分子が一定の方向に揃う。この場合、配光制御層23に入射した光は、配光制御層23によって配光が変化することなく、配光制御層23を直進透過する。つまり、配光制御層23は、透明状態となる。
このように、第1の透明電極22a及び第2の透明電極22bに電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)、光制御部材20は、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードとなる。つまり、電圧無印加時の場合、光制御部材20は、光制御部材20に入射する光を、屈折、拡散及び反射させることなく光制御部材20を通過させる。この透明モードは、光制御部材20の第2のモードであって、光制御部材20の透過率が所定の閾値(例えば透過率80%)を超える高透過率モードである。また、第2のモード(透明モード)では、光制御部材20に入射する光が直進透過するので、光制御部材20を透過する光の配光が変化しない。
以上のように構成される光制御部材20は、電圧印加の有無によって入射する光に対する光学作用を変化させることができるアクティブ型の光学制御デバイスである。具体的には、第1の透明電極22aと第2の透明電極22bとに印加する電圧を制御することによって、光制御部材20を複数の光学モードに切り替えることができる。本実施の形態では、光制御部材20を、低透過率モードである第1のモード(拡散モード)と高透過率モードである第2のモード(透明モード)との2つのモードに選択的に切り替えることができる。
次に、本実施の形態における照明器具1について、消灯時における照明器具1の制御と点灯時における照明器具1の照明光の照明態様の切り替え制御とについて、図3A、図3B及び図3Cを用いて説明する。図3Aは、実施の形態1に係る照明器具1の消灯時の状態を説明するための図である。図3Bは、同照明器具1の点灯時の第1の照明態様を説明するための図である。図3Cは、同照明器具1の点灯時の第2の照明態様を説明するための図である。なお、図3A~図3Cでは、照明器具1の灯具2のみを図示している。
照明器具1では、光制御部材20を電気的に制御することで光制御部材20の透過率を変化させることができる。本実施の形態では、光制御部材20のモードを第1のモードと第2のモードとに切り替えることで、光制御部材20のモードに応じて光制御部材20の透過率を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードとなる。この拡散モードは、光制御部材20の透過率が所定の閾値以下となる低透過率モードである。
一方、光制御部材20に電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードとなる。この透明モードは、光制御部材20の透過率が所定の閾値を超える高透過率モードである。
そして、図3Aに示すように、本実施の形態における照明器具1では、光源10が消灯している場合(照明器具1の消灯時)に、光制御部材20は、低透過率モードである第1のモード(拡散モード)となるように制御されている。つまり、照明器具1では、光源10が消灯しているときの光制御部材20の透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20の透過率よりも低くなっている。
本実施の形態では、低透過率モードである第1のモードのときの光制御部材20の透過率は、消灯時の照明器具1をユーザが見たときに光源10の存在を認識できない程度の透過率に設定されている。具体的には、第1のモード(低透過率モード)のときの光制御部材20の透過率は、80%以上、好ましくは、90%以上である。
これにより、照明器具1の消灯時にユーザが照明器具1の意匠面(つまり光制御部材20の光出射面)を直視したとしても照明器具1の内部構造を視認することができない。したがって、消灯時の照明器具1の意匠性を向上させることができる。
なお、本実施の形態における照明器具1では、照明器具1(光源10)の消灯時には、光制御部材20が第1のモード(低透過率モード)となるように自動設定されている。つまり、照明器具1の点灯時に光制御部材20がどのモードになっていたとしても、ユーザが照明器具1(光源10)を消灯させたときには、照明器具1は、自動的に光制御部材20が第1のモード(低透過率モード)に切り替わるように制御されている。具体的には、照明器具1は、このような制御が行われるような制御回路を有している。
次に、点灯時における照明器具1の照明光の照明態様の切り替え制御について説明する。照明器具1では、光制御部材20を電気的に制御することで照明光の照明態様を変化させることもできる。本実施の形態では、照明器具1の点灯時に光制御部材20のモードを第1のモードと第2のモードとに切り替えることで、光制御部材20のモードに応じて照明光の照明態様を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードとなる。
この場合、図3Bに示すように、光源10から出射して光制御部材20に入射する光は、光制御部材20を通過する際に拡散して拡散光(散乱光)となる。つまり、光源10から出射する光の配光は、光制御部材20によって変化する。このように、図3Aにおいて、照明器具1は、照明光として拡散光を照射する態様になっている。
一方、光制御部材20に電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードとなる。
この場合、図3Cに示すように、光源10から出射して光制御部材20に入射する光は、光制御部材20を直進透過する。つまり、光源10から出射する光の配光は、光制御部材20によって変化しない。このように、図3Cにおいて、照明器具1は、光源10から出射した光の配光が維持された光を照明光として照射する態様になっている。
しかも、図3Cでは、光制御部材20が高透過率モードとなっているので、図3Bの低透過率モードの場合と比べて、光制御部材20に入射した光が光制御部材20を通過する際の光束の低下が小さい。本実施の形態では、光制御部材20の高透過率モードが透明モードであるので、図3Cでは、光制御部材20に入射した光は、光制御部材20を通過する際にほとんど光束が低下しない。
したがって、照明器具1(光源10)の点灯時においては、光制御部材20のモードを第1のモード(拡散モード)から第2のモード(透明モード)に切り替えることで、光束を大きくすることができる。
なお、本実施の形態における照明器具1では、照明器具1(光源10)の点灯時には、光制御部材20が第2のモード(透明モード)となるように自動設定されている。つまり、点灯時の初期設定としては、照明光の明るさを優先して、照明器具1は、自動的に光制御部材20が第2のモード(透明モード)となるように制御されている。具体的には、照明器具1は、このような制御が行われるような制御回路を有している。また、ユーザが照明器具1の照明光の配光を変えたい場合は、リモコン操作等によって光制御部材20のモードを第1のモード(拡散モード)に切り替えることで、照明器具1の照明光の配光を変えることができる。これにより、照明器具1が設置される部屋の明かりの雰囲気を変えることもできる。
以上説明したように、本実施の形態における照明器具1は、光源10と、光源10から出射する光が透過する光制御部材20とを備えており、光制御部材20の光出射面は、照明器具1の意匠面であり、光制御部材20は、電気的に制御されることで透過率が変化する。そして、照明器具1では、光源10が消灯しているときの光制御部材20の透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20の透過率よりも低くなっている。
これにより、照明器具1の点灯時の光束の低下を抑制しつつ、照明器具1の消灯時の意匠性を向上させることができる。
また、本実施の形態において、光制御部材20は、電気的に制御されることで複数のモードに切り替え可能に構成されており、複数のモードには、光制御部材20の透過率が所定の閾値以下となる低透過率モードである第1のモードと、光制御部材20の透過率が所定の閾値を超える高透過率モードである第2のモードとが含まれており、光源10が消灯している場合、光制御部材20は、第1のモードになっている。所定の閾値は、例えば、80%であり、より好ましくは、50%である。
これにより、光源10が消灯している場合の光制御部材20のモードを、高透過率モードの第2のモードから低透過率モードの第1のモードに切り替えることができる。したがって、光制御部材20のモードの切り替え制御によって、点灯時での高い光束の維持と消灯時での意匠性の向上との両立を容易に図ることができる。
ここで、照明器具1の意匠性と光制御部材20の透過率との関係についての実験を行ったので、以下説明する。
図4に示すように、本実験では、光源10と光制御部材20との距離をLとし、光源10から出射した光が厚さ2mmの光制御部材20を透過したときの全光線透過率をαとしている。
そして、印加電圧を調整して光制御部材20の全光線透過率αを、38.7%、49.5%、76.7%、93.0%の4つに設定し、それぞれの全光線透過率αの場合について、光制御部材20越しに光源10を見たときに、光源10が完全に見えるときの距離L1と、光源10の発光部11(蛍光体含有樹脂)が基板12の色と同じになるときの距離L2と、光源10が完全に見えないときの距離L3とを測定した。
その結果、光制御部材20の全光線透過率αが38.7%である場合、距離L1は0mm、距離L2は5.0mm、距離L3は7.0mmであった。また、光制御部材20の全光線透過率αが49.5%である場合、距離L1は0mm、距離L2は7.0mm、距離L3は14.0mmであった。また、光制御部材20の全光線透過率αが76.7%である場合、距離L1は0mm、距離L2は18.0mm、距離L3は40.0mmであった。また、光制御部材20の全光線透過率αが93.0%である場合、距離L1は0mm、距離L2は0.0mm、距離L3は0.0mmであった。
この測定結果を図5に示す。図5において、距離L1は、四角マーク(□)、距離L2は、三角マーク(△)、距離L3は、円マーク(〇)で示している。照明器具1における光源10と光制御部材20との距離が概ね10mm~40mm程度であるとすると、図5に示すように、点灯時の器具効率(光束)と消灯時の意匠性のバランスを考慮した場合には、光制御部材20の全光線透過率αは40%以上80%以下の範囲が適切であることが分かる。また、その範囲において、光束を優先する場合には、光制御部材20の全光線透過率αと距離Lとは、さらに、距離L2の円マークを示す3点(点P1、点P2、点P3)の近似直線Yより上側の領域A1の範囲にするとよい。一方、意匠性を優先する場合には、光制御部材20の全光線透過率αと距離Lとは、近似直線Yより下側の領域A2の範囲にするとよい。なお、近似直線Yは、最小二乗法等により算出することができる。
このように、本実施の形態における照明器具1では、光制御部材20の透過率(全光線透過率)を適切に設定することで、点灯時での高い光束の維持と消灯時での意匠性の向上との両立を図ることができる。
また、本実施の形態において、低透過率モードである第1のモードは、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードであり、高透過率モードである第2のモードは、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードである。
これにより、光制御部材20を電気的に制御することによって、光制御部材20のモードを拡散モード(第1のモード)と透明モード(第2のモード)とに切り替えることができる。したがって、光制御部材20のモードを切り替えるだけで照明器具1の照明光を拡散させたり拡散させなかったりできるので、照明光の配光を簡単に変化させることができる。なお、本実施の形態では、光制御部材20が拡散モードのときの照明器具1の照明光の配光角は、光制御部材20が透明モードのときの照明器具1の照明光の配光角よりも大きい。
また、本実施の形態において、光制御部材20は、シート状又はフィルム状であり、光源10を覆っている。
これにより、光源10から出射する光の配光を光制御部材20によって簡単に変化させることができる。
また、本実施の形態では、光制御部材20は、器具本体30の枠体部31における開口部31a及びフランジ部31bを覆っている。
これにより、照明器具1の意匠面全体が光制御部材20の光出射面となるため、消灯時の照明器具1の意匠性を一層向上させることができる。
また、本実施の形態において、光制御部材20は、光源10が消灯しているときに照明器具1が設置される造営材の造営面(例えば天井面又は壁面)に同化するとよい。あるいは、光制御部材20の外面は、光源10が消灯しているときに照明器具1が設置される造営材の造営面と同じ色又は同じ模様であるとよい。
このように構成することで、消灯時に照明器具1を造営面に同化させて照明器具1の存在をユーザに感じにくくすることができる。つまり、照明器具1を建材と一体化させることができる。これにより、消灯時の意匠性をより一層向上させることができる。
なお、本実施の形態において、第1のモード(拡散モード)における光制御部材20の色は、乳白色であるが、造営面の色が乳白色ではない場合、第1のモード(拡散モード)における光制御部材20の色を造営面の色に合わせて、第1のモードにおける光制御部材20の色を有色にするとよい。例えば、液晶23bの材料として二色性色素を用いたり、第1の透明基板21a及び/又は第2の透明基板21bを有色に着色したりすることで、第1のモードにおける光制御部材20の色を有色にすることができることができる。この場合、光制御部材20は、電気的に制御されることで有色(電圧無印加時)と透明色(電圧印加時)とに切り替えられる。なお、電圧無印加時に暗色とする場合、暗色時の光制御部材20には、光制御部材20に入射する光をほぼ透過させずに遮光する場合だけではなく、暗色時の光制御部材20の透過率が透明色時の光制御部材20の透過率よりも低くなっている場合も含まれる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る照明器具1Aについて、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態2に係る照明器具1Aの断面図である。
本実施の形態における照明器具1Aは、上記実施の形態1における照明器具1に対して、さらに、透光部材60Aを備える。図6に示すように、透光部材60Aは、光源10と光制御部材20Aとの間に配置されている。したがって、光制御部材20Aは、透光部材60Aを透過した光源10の光の透過量を制御することになる。
透光部材60Aは、光源10から出射した光の配光を制御する配光制御機能を有する光学部材である。本実施の形態において、透光部材60Aは、集光レンズであり、入射する光を集光する。具体的には、透光部材60Aは、フレネルレンズである。透光部材60Aは、アクリル又はポリカーボネート等の透明樹脂材料又はガラス材料によって構成されている。なお、透光部材60Aは、レンズ機能だけではなく、光拡散機能を有していてもよい。この場合、光拡散機能としては、透光部材60Aの光出射側の表面に形成された複数の凹凸(ディンプル又はシボ)を形成したり、透光部材60Aの内部に光拡散材を分散させたり、乳白色の拡散膜を透光部材60Aの表面に形成したりすることで実現できる。
本実施の形態における光制御部材20Aは、上記実施の形態1における光制御部材20と同様に、電気的に制御されることで複数のモードに切り替え可能に構成されている。具体的には、光制御部材20Aは、光制御部材20Aを透過する光の配光が変化する第1のモードとして光制御部材20Aに入射する光を拡散させて透過させる拡散モードと、光制御部材20Aを透過する光の配光が変化しない第2のモードとして光制御部材20Aに入射する光を直進透過させる透明モードとに切り替えられる。
また、本実施の形態では、光制御部材20Aの一部に、貫通孔20aが設けられている。具体的には、貫通孔20aは、光制御部材20Aの中央に設けられている。このように、光制御部材20Aに貫通孔20aが設けられているので、光制御部材20Aに入射する光のうち貫通孔20aに入射する光は、光制御部材20Aのモードに関わらず光制御部材20Aで制御されることなく貫通孔20aを通過する。一方、光制御部材20Aに入射する光のうち貫通孔20a以外の部分に入射する光は、光制御部材20Aのモードに応じて光制御部材20Aで制御されて光制御部材20Aを通過する。
次に、本実施の形態における照明器具1Aについて、消灯時における照明器具1Aの制御と点灯時における照明器具1Aの照明光の照明態様の切り替え制御とについて、図7A、図7B及び図7Cを用いて説明する。図7Aは、実施の形態2に係る照明器具1Aの消灯時の状態を説明するための図である。図7Bは、同照明器具1Aの点灯時の第1の照明態様を説明するための図である。図7Cは、同照明器具1Aの点灯時の第2の照明態様を説明するための図である。なお、図7A~図7Cでは、照明器具1Aの灯具2Aのみを図示している。
本実施の形態における照明器具1Aでは、上記実施の形態1における光制御部材20と同様に、光制御部材20Aを第1のモード(拡散モード)と第2のモード(透明モード)とに切り替えることで、光制御部材20Aのモードに応じて光制御部材20Aの透過率を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20Aに電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20Aは、上記のように、光制御部材20Aに入射する光を拡散させて透過させる第1のモード(拡散モード)となる。この拡散モードは、光制御部材20Aの透過率が所定の閾値以下となる低透過率モードである。
一方、光制御部材20Aに電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20Aは、上記のように、光制御部材20Aに入射する光を直進透過させる第2のモード(透明モード)となる。この透明モードは、光制御部材20Aの透過率が所定の閾値を超える高透過率モードである。
そして、図7Aに示すように、本実施の形態における照明器具1Aでも、光源10が消灯している場合(照明器具1Aの消灯時)に、光制御部材20Aは、低透過率モードである第1のモード(拡散モード)となるように制御されている。つまり、照明器具1Aでも、光源10が消灯しているときの光制御部材20Aの透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20Aの透過率よりも低くなっている。
これにより、照明器具1Aの消灯時にユーザが照明器具1Aの意匠面を直視したとしても照明器具1Aの内部構造を視認することができないので、消灯時の照明器具1Aの意匠性を向上させることができる。
次に、点灯時における照明器具1Aの照明光の照明態様の切り替え制御について説明する。照明器具1Aでも、上記実施の形態1と同様に、光制御部材20Aを電気的に制御することで照明光の照明態様を変化させることもできる。つまり、本実施の形態でも、照明器具1Aの点灯時に光制御部材20Aのモードを第1のモードと第2のモードとに切り替えることで、光制御部材20Aのモードに応じて照明光の照明態様を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20Aに電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20Aは、上記のように、光制御部材20Aに入射する光を拡散させて透過させる拡散モードとなる。
本実施の形態では、光源10と光制御部材20Aとの間に透光部材60Aが配置されている。したがって、図7Bに示すように、光源10から出射した光は、透光部材60Aを透過してから光制御部材20Aに入射することになる。具体的には、透光部材60Aは集光レンズであるので、光源10から出射した光は、透光部材60Aで集光されてから光制御部材20Aに入射する。
このとき、本実施の形態では、光制御部材20Aには貫通孔20aが設けられているので、透光部材60Aで集光されて光制御部材20Aに入射した光のうち貫通孔20aに入射した光は、光制御部材20Aが拡散モードであっても、光制御部材20Aで拡散されることなく光制御部材20Aを通過する。一方、透光部材60Aで集光されて光制御部材20Aに入射した光のうち貫通孔20aに入射しなかった光は、拡散モード状態の光制御部材20Aを通過する際に拡散する。つまり、貫通孔20aに入射しなかった光は、貫通孔20aに入射した光に対して光制御部材20Aで遮断されることになり、貫通孔20aを通過した光と通過しない光とで光束差を大きく変えることができる。これにより、図7Bでは、貫通孔20aのピンホール効果によって、照明器具1Aは、照明光として、ピンホールタイプのダウンライトのような配光の光を照射する態様になっている。
一方、光制御部材20Aに電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20Aは、上記のように、光制御部材20Aに入射する光を直進透過させる透明モードとなる。
この場合も、図7Cに示すように、光源10から出射した光は、透光部材60Aで集光されてから光制御部材20Aに入射するが、光制御部材20Aは透明モードであるので、光制御部材20Aに入射する光のうち貫通孔20aを通過する光も貫通孔20aを通過しない光も光制御部材20Aを直進透過する。つまり、透光部材60Aで集光されて光制御部材20Aに入射した光は、光制御部材20Aによって配光が変化しない。このように、図7Cでは、照明器具1Aは、照明光として、透光部材60Aで集光された光の配光を維持した光を照射する態様になっている。つまり、照明器具1Aは、集光タイプのダウンライトのような配光の光を照射する態様になっている。
しかも、図7Cでは、光制御部材20Aが高透過率モードとなっているので、図7Bの低透過率モードの場合と比べて、光制御部材20Aに入射した光が光制御部材20Aを通過する際の光束の低下が小さい。具体的には、光制御部材20Aの高透過率モードが透明モードであるので、図7Cでは、光制御部材20Aに入射した光は、光制御部材20Aを通過する際にほとんど光束が低下しない。
したがって、照明器具1A(光源10)の点灯時においては、光制御部材20Aのモードを第1のモード(拡散モード)から第2のモード(透明モード)に切り替えることで、光束を大きくすることができる。
なお、ユーザが照明器具1Aの照明光の配光を変えたい場合は、リモコン操作等によって光制御部材20Aのモードを第1のモード(拡散モード)に切り替えることで、照明器具1Aの照明光の配光を変えることができる。これにより、照明器具1Aが設置される部屋の明かりの雰囲気を変えることもできる。
以上、本実施の形態における照明器具1Aでも、上記実施の形態1と同様に、光源10が消灯しているときの光制御部材20Aの透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20Aの透過率よりも低くなっている。
これにより、照明器具1Aの点灯時の光束の低下を抑制しつつ、照明器具1Aの消灯時の意匠性を向上させることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、光制御部材20Aのモードを拡散モード(第1のモード)と透明モード(第2のモード)とに切り替えることで、照明器具1Aの照明光の配光を簡単に変化させることができる。つまり、照明器具1Aの照明光の照明態様を変化させることができる。
この場合、本実施の形態では、光源10と光制御部材20Aとの間に透光部材60Aが配置されている。
これにより、光制御部材20Aには透光部材60Aを透過した光源10の光が入射するので、透光部材60Aを透過した光をもとに、照明器具1Aの照明光の照明態様を変化させることができる。
また、本実施の形態において、透光部材60Aは、集光レンズであり、光制御部材20Aの一部に、貫通孔20aが設けられている。
これにより、照明器具1Aの照明光を、ピンホールダウンライトのような配光の光と集光タイプのダウンライトのような配光の光とに切り替えることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る照明器具1Bについて、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態3に係る照明器具1Bの断面図である。
本実施の形態における照明器具1Bは、上記実施の形態2における照明器具1Aと同様に、光源10と光制御部材20との間に配置された透光部材60Bを備える。ただし、本実施の形態における透光部材60Bは、上記実施の形態2における透光部材60Bと異なり、集光機能等のレンズ機能を有しておらず、透過する光を拡散させる拡散部材である。つまり、透光部材60Bは、レンズ機能及び光拡散機能のうち光拡散機能のみを有している。
具体的には、透光部材60Bは、透光性及び光拡散性を有する拡散パネルである。透光部材60Bの光拡散性は、例えば、透光性樹脂材料に光反射微粒子等の光拡散材を分散させたり、透光部材60Bの表面(内面又は外面)に光拡散材等を含む乳白色の光拡散膜を形成したりすることで持たせることができる。また、光拡散材を用いることなく、透光部材60Bの表面にシボ加工処理等を施して表面に微小凹凸を形成したり無数のディンプルを形成したり、あるいは、透光部材60Bの表面にドットパターンを印刷したりすることでも、透光部材60Bに光拡散性を持たせることができる。
なお、透光部材60Bは、アクリル又はポリカーボネート等の透明樹脂材料又はガラス材料によって構成されている。
次に、本実施の形態における照明器具1Bについて、消灯時における照明器具1Bの制御と点灯時における照明器具1Bの照明光の照明態様の切り替え制御とについて、図9A、図9B及び図9Cを用いて説明する。図9Aは、実施の形態3に係る照明器具1Bの消灯時の状態を説明するための図である。図9Bは、同照明器具1Bの点灯時の第1の照明態様を説明するための図である。図9Cは、同照明器具1Bの点灯時の第2の照明態様を説明するための図である。なお、図9A~図9Cでは、照明器具1Bの灯具2Bのみを図示している。
本実施の形態における照明器具1Bでも、上記実施の形態1と同様に、光制御部材20を第1のモード(拡散モード)と第2のモード(透明モード)とに切り替えることで、光制御部材20のモードに応じて光制御部材20の透過率を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる第1のモード(拡散モード)となる。この拡散モードは、光制御部材20の透過率が所定の閾値以下となる低透過率モードである。
一方、光制御部材20に電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を直進透過させる第2のモード(透明モード)となる。この透明モードは、光制御部材20の透過率が所定の閾値を超える高透過率モードである。
そして、図9Aに示すように、本実施の形態における照明器具1Bでも、光源10が消灯している場合(照明器具1Bの消灯時)に、光制御部材20は、低透過率モードである第1のモード(拡散モード)となるように制御されている。つまり、照明器具1Bでも、光源10が消灯しているときの光制御部材20の透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20の透過率よりも低くなっている。
これにより、照明器具1Bの消灯時にユーザが照明器具1Bの意匠面を直視したとしても照明器具1Bの内部構造を視認することができないので、消灯時の照明器具1Bの意匠性を向上させることができる。
次に、点灯時における照明器具1Bの照明光の照明態様の切り替え制御について説明する。照明器具1Bでも、上記実施の形態1と同様に、光制御部材20を電気的に制御することで照明光の照明態様を変化させることができる。つまり、本実施の形態でも、照明器具1Bの点灯時に光制御部材20のモードを第1のモードと第2のモードとに切り替えることで、光制御部材20のモードに応じて照明光の照明態様を変化させることができる。
具体的には、光制御部材20に電圧が印加されていない場合(電圧無印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を拡散させて透過させる拡散モードとなる。
本実施の形態では、光源10と光制御部材20との間に透光部材60Bが配置されている。したがって、図9Bに示すように、光源10から出射した光は、透光部材60Bを透過してから光制御部材20に入射することになる。具体的には、透光部材60Bは拡散部材であるので、光源10から出射した光は、透光部材60Bで拡散されてから光制御部材20に入射する。
したがって、透光部材60Bで拡散されて光制御部材20に入射した光は、拡散モード状態の光制御部材20を通過する際に拡散する。つまり、光源10から出射した光は、透光部材60Bで拡散されてから、光制御部材20でさらに拡散されることになる。これにより、図9Bでは、照明器具1Bは、照明光として、高拡散タイプのダウンライトのような広配光角の配光の光を照射する態様になっている。また、透光部材60Bと光制御部材20とで二重に光を拡散することができるので、均斉度の高い照明光を実現できる。
一方、光制御部材20に電圧が印加されている場合(電圧印加時の場合)には、光制御部材20は、上記のように、光制御部材20に入射する光を直進透過させる透明モードとなる。
この場合も、図9Cに示すように、光源10から出射した光は、透光部材60Bで拡散されてから光制御部材20に入射するが、光制御部材20は透明モードであるので、光制御部材20に入射する光は、光制御部材20を直進透過する。つまり、透光部材60Bで拡散されて光制御部材20に入射した光は、光制御部材20によって配光が変化しない。このように、図9Cでは、照明器具1Bは、照明光として、透光部材60Bで拡散された光の配光を維持した光を照射する態様になっている。つまり、照明器具1Bは、図9Bよりも配光角が狭い低拡散タイプのダウンライトのような配光の光を照射する態様になっている。
しかも、図9Cでは、光制御部材20が高透過率モードとなっているので、図9Bの低透過率モードの場合と比べて、光制御部材20に入射した光が光制御部材20を通過する際の光束の低下が小さい。具体的には、光制御部材20の高透過率モードが透明モードであるので、図9Cでは、光制御部材20に入射した光は、光制御部材20を通過する際にほとんど光束が低下しない。
したがって、照明器具1B(光源10)の点灯時においては、光制御部材20のモードを第1のモード(拡散モード)から第2のモード(透明モード)に切り替えることで、光束を大きくすることができる。
なお、ユーザが照明器具1Bの照明光の配光を変えたい場合は、リモコン操作等によって光制御部材20のモードを第1のモード(拡散モード)に切り替えることで、照明器具1Aの照明光の配光を変えることができる。これにより、照明器具1Aが設置される部屋の明かりの雰囲気を変えることもできる。
以上、本実施の形態における照明器具1Bでも、上記実施の形態1、2と同様に、光源10が消灯しているときの光制御部材20の透過率は、光源10が点灯しているときの光制御部材20の透過率よりも低くなっている。
これにより、照明器具1Bの点灯時の光束の低下を抑制しつつ、照明器具1Bの消灯時の意匠性を向上させることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、光制御部材20のモードを拡散モード(第1のモード)と透明モード(第2のモード)とに切り替えることで、照明器具1Bの照明光の配光を簡単に変化させることができる。つまり、照明器具1Bの照明光の照明態様を変化させることができる。
この場合、本実施の形態では、光源10と光制御部材20との間に透光部材60Bが配置されている。
これにより、光制御部材20には透光部材60Bを透過した光源10の光が入射するので、透光部材60Bを透過した光をもとに、照明器具1Bの照明光の照明態様を変化させることができる。
また、本実施の形態において、透光部材60Bは、透過する光を拡散させる拡散部材である。
これにより、点灯時の照明器具1Bの照明光を、低拡散タイプのダウンライトのような配光の光と高拡散タイプのダウンライトのような配光の光とに切り替えることができる。つまり、照明器具1Bの照明光を広配光角の光と狭配光角の光とに切り替えることができる。
(変形例)
以上、本発明について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1~3では、照明器具としてダウンライトを例示したが、これに限らず、上記実施の形態1~3に開示された技術は、ペンダントタイプ、ブラケットタイプ、シーリングタイプ又はスタンドタイプ等の他の照明器具にも適用することができる。
また、上記実施の形態2、3において、光制御部材20A及び20は、器具本体30の枠体部31に設けられていたが、これに限らない。例えば、光制御部材20A及び20は、透光部材60A及び60Bの光出射面側に貼り合わされていてもよい。
また、上記の各実施の形態における光制御部材20及び20Aについては、電圧無印加時に第1のモード(拡散モード又は遮光モード)となり、電圧印加時に第2のモード(透明モード)となるように構成されていたが、これに限らない。例えば、光制御部材20及び20Aは、電圧印加時に第1のモード(拡散モード)となり、電圧無印加時に第2のモード(透明モード)となるように構成されていてもよい。
また、上記の各実施の形態における光制御部材20及び20Aについては、第1のモード(拡散モード又は遮光モード)と第2のモード(透明モード)の2つのモードを切り替えることができるように構成されていたが、これに限らない。例えば、光制御部材20及び20Aは、第1のモード(拡散モード又は遮光モード)及び第2のモード(透明モード)に加えて、第1のモード時の透過率と第2のモード時の透過率との間の中間の透過率となるようなモード(中間モード)及び/又は透過する光の進行方向を変更するモード(屈折モード)等の第3のモードや第4のモードの他のモードが含まれていてもよい。なお、透過率に関する中間モードは、第1のモード時の電圧と第2のモード時の電圧との間の中間の電圧を印加することで実現できる。屈折モードは、例えば電圧印加の有無に応じて光制御部材の内部に屈折率差を生じさせる構成を設けることで実現できる。
また、上記の各実施の形態において、光源10は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するように構成したが、これに限らない。例えば、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、これと青色LEDチップとを組み合わせることによりに白色光を放出するように構成しても構わない。
また、上記の各実施の形態において、LEDとして、青色LEDチップを用いたが、これに限らない。例えば、LEDとしては、青色以外の色を発光するLEDチップを用いても構わない。この場合、蛍光体としては、LEDの発光波長に応じて適宜選択すればよい。
また、上記実施の形態において、光源10は基板12上にLEDチップを直接実装したCOB構造としたが、これに限らない。例えば、光源10として、SMD(Surface Mount Device)構造のLEDモジュールを用いても構わない。SMD構造のLEDモジュールは、基板12に、発光部11としてSMDタイプの発光素子を1個又は複数個実装することで実現できる。SMDタイプの発光素子は、例えば、樹脂製のパッケージ(容器)と、パッケージの凹部の中に実装したLEDチップと、パッケージの凹部内に封入された封止部材(蛍光体含有樹脂)と有するパッケージ型のLED素子である。
また、上記実施の形態では、発光素子としてLEDを例示したが、発光素子としては、半導体レーザ等の半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等のその他の固体発光素子を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、光源10として、LED等の固体発光素子を用いたが、これに限らない。例えば、光源10としては、蛍光ランプ又は白熱電球等の既存光源を用いてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。