以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
なお図示及び理解を容易にするため、図面に示される各要素のサイズや要素間のサイズ比率等は必ずしも図面間で一致していないが、当業者であれば各図面に示された要素のサイズやサイズ比率等を容易に理解することができる。また以下の説明において、単に「光」と表記する場合には、主として可視光域の光が意図されているが、可視光域外の波長の光に対しても以下の一実施の形態を適用することが可能である。また「透明」とは、光を透過させることができる性質を意味し、波長毎の具体的な光の透過率は問われないが、通常は透過率が高いほど透明度が高いと言える。したがって、いわゆる半透明も、広義には透明の概念に含まれ得る。
また、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」、「パネル」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「調光パネル」は、「調光板」、「調光シート」、「調光フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
さらに、「板面(シート面、フィルム面、パネル面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状、パネル状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材、パネル状部材)の平面と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状、パネル状)の部材に対する法線方向とは、当該板状(シート状、フィルム状、パネル状)の板面(シート面、フィルム面、パネル面)への法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
以下に説明する一実施の形態において、調光パネル20及び調光セル30には、アクティブエリアAa内への液晶溜まり部の発生を効果的に防止するための工夫が成されている。結果として、この調光パネル20及び調光セル30は、期待された調光機能を安定して発揮することができる。以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1及び図2に示すように、調光装置10は、制御装置15、枠材18及び調光パネル20を有している。枠材18は、調光パネル20の周縁上に配置されている。枠材18は、調光パネル20を保護する機能を有している。また、枠材18は、調光パネル20をいずれかの場所に取り付ける機能を有している。枠材18は、例えば窓枠として機能する。
調光パネル20は、電圧印加に応じて透過率が可変な調光セル30を含んでいる。調光パネル20は、図示は省略するが電極基板としてのFPC(Flexible Printed Circuits)を有している。FPCは、調光セル30の電極(後述の図3の符合「43」及び「53」参照)に接続される。調光セル30は、FPCを介して、制御装置15と電気的に接続している。制御装置15は、調光セル30に印加する電圧を調節する。
調光パネル20は、透過率の調節に用いられるアクティブエリアAaと、アクティブエリアAaを取り囲む非アクティブエリアUAaと、を有している。非アクティブエリアUAaは、通常、透過率の調節に用いられない領域となる。図1及び図2に示された例において、調光パネル20のパネル面への法線方向に沿って、枠材18と重なる領域が、非アクティブエリアUAaを形成している。一方、調光パネル20のパネル面への法線方向に沿って、枠材18と重ならない領域が、アクティブエリアAaを形成している。図示された例において、アクティブエリアAaは、調光パネル20の中央の領域を形成している。非アクティブエリアUAaは、アクティブエリアAaを周状に取り囲む領域を形成している。非アクティブエリアUAaは、調光パネル20の周縁の領域を形成している。
調光パネル20は、第1透光部材21及び第2透光部材22と、一対の透光部材21,22の間に配置される調光セル30と、を含んでいる。透光部材21,22間の領域には、調光セル30が配置されるとともに、中間支持材とも呼ばれる接合層23が充填されている。調光セル30は、接合層23内に配置されている。言い換えると、調光セル30は、一対の透光部材21,22の間において、接合層23に取り囲まれて包囲されている。調光セル30は、接合層23を介して各透光部材21,22に接合されている。そして、調光セル30は、接合層23によって、各透光部材21,22に対して固定されている。
調光セル30は、液晶層(後述の図3等における符合「60」参照)を含み、印加される電圧に応じて光の透過率が変化する。調光セル30への印加電圧は、制御装置15によって、調節される。調光セル30の具体的な構成例については、後述する。
透光部材21,22は、光を透過させつつ調光セル30を外力から保護する。したがって透光部材21,22は、内側に配置される調光セル30を外部から加えられる力から守ることができる程度の強度、剛性及び弾性を有する。透光部材21,22は、典型的には、ガラスや熱可塑性プラスチック(例えば強化プラスチック等)によって構成され得る。透光部材21,22は、所望の機能を発揮しうる様々な材料(例えば透明ガラス繊維や紫外線吸収材等)を含んでいてもよい。また透光部材21,22は、典型的には透明だが、特定の波長域の光のみを透過可能な材料によって構成されてもよい。また透光部材21,22同士は、同一の組成を有してもよいし、互いに異なる組成を有してもよい。なお、例えばガラスからなる透光部材21,22の枠材18によって覆われた位置に、印刷層、例えば黒セラミックによる印刷層が、設けられていても良い。
接合層23は、光を透過させつつ、各透光部材21,22と調光セル30とを接着する。接合層23は、透光部材21,22間において調光セル30を保持し、各透光部材21,22に対する調光セル30の相対位置を定める。また、接合層23は、調光セル30を外力から保護する。さらに、接合層23は、調光セル30を密閉して、調光セル30を外部からの影響(例えば湿気等)から隔絶する。したがって接合層23は、これらの役割を果たすのに好適な材料(特に樹脂接着剤)によって構成されることが好ましい。例えば、ウレタン樹脂(PU:Polyurethane)、アイオノマー樹脂(IO:Ionomer)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB:Polyvinyl butyral)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA:Ethylen-Vinyl Acetate polymer)及びシクロオレフィンポリマー(COP:Cyclo Olefin Polymer)のうちのいずれか1以上の材料によって、接合層23を構成することが可能である。
図3は、調光セル30の一例の全体構成の概略を示す断面図であり、主として層構成を説明するための図である。
図3に示す調光セル30は、第1基板40及び第2基板50と、第1基板40及び第2基板50の間に配置された液晶層60及びシール材65と、を有している。
図示された例において、第1基板40は、第1配向膜42、第1電極層43及び第1樹脂基材41を、液晶層60に近接する側からこの順番で、含んでいる。同様に、第2基板50は、第2配向膜52、第2電極層53及び第2樹脂基材51を、液晶層60に近接する側からこの順番で、含んでいる。なお、図示された第1基板40は、さらに、部分被覆層35を含んでいるが、この部分被覆層35の詳細は、別途後述する。これらの樹脂基材41,51、電極層43,53及び配向層42,52は透明材料によって構成され、所望の透光性を有する。一方、液晶層60は、液晶材料61を有する層である。第2基板50の光透過度は、液晶材料61中の液晶分子の配向に応じて可変である。
樹脂基材41,51は、樹脂材を含み、ガラス基材に比べて薄く且つ軽量に構成可能である。樹脂基材41,51は、単一種類の樹脂を含んでいてもよいし、複数種類の樹脂を含んでいてもよい。また複数種類の樹脂によって複数の機能を樹脂基材41,51に持たせてもよい。例えば、樹脂基材41,51は、一対のハードコート層と、一対のハードコート層間に配置される主樹脂層とを有していてもよい。一対のハードコート層は、例えばTAC(Triacetylcellulose)やアクリルによって構成可能であり、透明粘着層を介して主樹脂層に貼り付けられてもよい。或いは、主樹脂層の表面に硬化皮膜(例えば二酸化チタン等の微小粒子を含むシリコーン系紫外線硬化樹脂の膜)を形成し、当該硬化皮膜をハードコート層としてもよい。なお樹脂基材41,51は、互いに同じ材料によって構成されてもよいし、互いに異なる材料によって構成されてもよい。
電極層43,53は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料によって構成され、図示しないFPCを介して調光コントローラに接続される。電極層43,53の配置態様は特に限定されず、パターニングによって所定箇所にのみ電極層43,53が形成されてもよいし、ベタ状に電極層43,53が形成されてもよい。またFPCに対する電極層43,53の接続態様も特に限定されない。電極層43,53に印加される電圧に応じて、第1電極層43と第2電極層53との間に形成される電界が変化し、当該電界に応じて液晶層60に含まれる液晶材料61中の液晶分子の配向が変わる。なお電極層43,53に印加される電圧は制御装置15によって制御される。
配向層42,52は、それぞれ液晶層60に隣接して設けられ、液晶配向能を有し、電界が作用しない場合の液晶層60の液晶分子の配向を決める。配向層42,52は、典型的には、ポリイミド等の樹脂層にラビング処理を施したり、高分子膜に直線偏光紫外線を照射して偏光方向の高分子鎖を選択的に反応させたりすることによって作られるが、他の任意の手法によって配向層42,52が作られてもよい。
次に、シール材65について説明する。後述する図4に示すように、シール材65は、液晶層60を周状に取り囲んでいる。すなわち、このシール材65が、液晶材料61が充填されてなる液晶層60を区画している。シール材65は、液晶層60を構成する液晶材料61の一対の基板40,50間からの漏出を防ぐ役割を果たすとともに、第1基板40と第2基板50に接着して両者を相互に固定する役割を果たす。
シール材65は、一般的には、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて形成され得る。とりわけ、一対の基板40,50間への液晶材料61の充填方式が真空注入方式の場合にはエポキシ樹脂製のシール材65を好適に用いることができる。なお液晶材料61の充填方式としてODF(One Drop Fill)方式が用いられる場合には、熱硬化性及びUV硬化性(紫外線硬化性)を併せ持つハブリッドタイプの材料をシール材65として好適に用いることができる。これは、液晶材料61が硬化前のシール材65に触れることは外観上の不具合を誘発するためである。したがってシール材65を構成するシール材料に、例えば紫外線硬化型アクリル樹脂及びエポキシ樹脂が含まれることが好ましい。
次に、液晶層60について説明する。液晶層60は、透光部材21,22及び接合層23によって区画された領域内に形成されている。液晶層60は、液晶材料61を有している。液晶層60は、液晶材料61に含まれる液晶分子の配向に応じて光の透過又は遮断を行う。第1電極層43及び第2電極層53に印加される電圧に応じて液晶材料61の液晶分子の配向が変化し、この液晶分子の配向に応じて液晶層60における光の透過度が変化する。したがって第1電極層43及び第2電極層53に印加する電圧を制御装置15によって制御して液晶分子の配向を調整することで、液晶層60全体の光透過率を所望の値に変えられる。
図3には、一例として、偏光板を持たないゲストホスト型の調光セル30が示されており、液晶層60の液晶材料61は二色性色素及び液晶分子を含む。例えば一対の電極層43,53間の電圧がOFFの場合、液晶層60の二色性色素及び液晶分子は、調光セル30のシート面と平行な方向に並ぶ。特に、偏光板を持たないゲストホスト型の調光セル30では、二色性色素及び液晶分子の配向は、電界が印加されていない状態で調光セル30のシート面と平行な方向に二色性色素が向けられる。一方、一対の電極層43,53間の電圧がONの場合、二色性色素及び液晶分子が積層方向(厚さ方向、調光せセルの法線方向)D1に配向される。このような挙動を示す調光セル30によれば、一対の電極層43,53間の電圧がOFFの間は光が調光セル30(特に二色性色素)によって遮断され、一対の電極層43,53間の電圧がONの間は光が調光セル30を透過することができる。
なお、ゲストホスト型の液晶層60は図3に示す構造には限定されず、例えば調光セル30のうち光の入光側(例えば第1樹脂基材41上)又は光の出光側(例えば第2樹脂基材51上)に偏光板(図示省略)が設けられてもよい。この場合、一対の電極層43,53間の電圧がOFFにされると、液晶層60の二色性色素及び液晶分子は、調光セル30のシート面と平行な方向、特に偏光板の吸収軸方向とは垂直な方向に配向される。一方、一対の電極層43、53間の電圧がONの場合には二色性色素及び液晶分子が積層方向D1に配向される。このような挙動を示す調光セル30においても、一対の電極層43,53間の電圧がOFFの間は光が調光セル30(特に二色性色素及び偏光板)によって遮断され、一対の電極層43,53間の電圧がONの間は光が調光セル30を透過することができる。このような液晶層60の二色性色素及び液晶分子の挙動は、配向層42,52が液晶層60の液晶に付与する配向性を調整することによって変えられる。
また、液晶層60の駆動方式は、ゲストホスト型には限定されず、任意の方式を採用することが可能である。典型的には、VA(Vertical Alignment)型、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In-Place-Switching)型、或いはFFS(Fringe Field Switching)型の液晶層60を調光セル30で用いることができる。したがって、調光セル30の構成は図3に示す構成には限定されず、調光セル30は液晶層60の駆動方式に応じた適切な構成を有する。例えば、調光セル30が一般的なVA型或いはTN型等の液晶層60を採用する場合、調光セル30は、一対の偏光板と、偏光板間に配置される一対の電極層と、電極層間に配置される一対の配向層と、配向層間に配置される液晶層とを含みうる。また調光セル30がIPS型の液晶層60を採用する場合、液晶層を挟む位置に電極層を配置せずに、液晶層の片側にのみ電極層が配置されてもよい。
ところで、後述する図5に示すように、液晶層60内に、スペーサ62が配置されていてもよい。図5に示された例において、液晶層60は、液晶材料61と、液晶材料61内に分散配置されたスペーサ62と、を有している。スペーサ62は、第1基板40の第1配向膜42と第2基板50の第2配向膜52との間に配置されている。スペーサ62は、第1基板40と第2基板50との間に、スペースを確保する。このスペースに液晶材料61が充填されることで、液晶層60が形成されている。複数のスペーサ62は、一対の基板40,50間となる領域に、離散的に配置されている。各スペーサ62は、各種の樹脂材料によって構成可能であり、錐台(例えば円錐台や角錐台)等の形状を有していてもよいし、球状のビーズ形状を有していてもよい。柱形状のスペーサ62はフォトリソグラフィ技術を利用して所望箇所に形成可能であり、またビーズ形状のスペーサは予め作られて散布される。
なお、スペーサ62は、図示されたビーズ状の形状を有する例に限られず、円柱等の柱状の形状を有するようにしてもよいし、円錐台等の錐台状の形状を有するようにしてもよいし、円錐等の錐状の形状を有するようにしてもよい。また、柱状、錐台状、錐状のスペーサ62とビーズ状のスペーサとが混在していてもよく、この場合に、ビーズ状のスペーサが、柱状、錐台状、錐状のスペーサによって、保持されるようにしてもよい。さらに、柱状のスペーサ62は、シール材65と同一材料で形成されていてもよく、このような柱状スペーサ62は、シール材65と同一のタイミングで容易に形成することができる。
また、図示された例において、スペーサ62が、第1基板40の第1配向膜42と第2基板50の第2配向膜52との間に配置されている例を示したが、この例に限られない。スペーサ62は、第1基板40の第1樹脂基材41と第2基板50の第2樹脂基材51との間に位置していて、第1樹脂基材41と第2樹脂基材51との間に空間を形成することができればよい。例えば、スペーサ62が、いずれかの基板40,50の樹脂基材41,51と配向膜42,52との間に位置するようにしてもよい。
ところで、既に説明したように、調光パネル20及び調光セル30では、液晶層60の厚みが不均一になることがある。そして、液晶層60内に、他の部分よりも厚みが極端に大きくなる液晶溜まり部LCpが局所的に発生することがある。液晶層の正常部位に比べて数倍の厚さを有する液晶溜まり部LCpでは、液晶分子の配向による透過率制御が正常に機能せず、所望の調光機能を発揮することができない。したがって、調光パネル20及び調光セル30のアクティブエリアAa内に液晶溜まり部LCpが発生すると、調光パネル20及び調光セル30がもはや有効に調光機能を発揮することができなくなる。
ここで、液晶溜まり部LCpの発生について説明する。液晶溜まり部LCpの発生メカニズムは種々考えられるが、以下では、典型的な発生メカニズムについて以下説明する。
図14及び図15は、調光パネル20の概略を示す断面図であって、液晶溜まり部LCpの発生メカニズムの一例を説明するための図である。
図14及び図15に示す調光パネル20では、調光セル30及び透光部材21,22が積層する方向(すなわち積層方向)D1に関して、加熱環境下で透光部材21,22が互いに近づくように各透光部材21,22に力が加えられる。この加熱加圧により、調光セル30が、熱可塑性樹脂70からなる接合層23を介して、第1透光部材21及び第2透光部材22と熱圧着される。これにより、接合層23を介して、透光部材21,22及び調光セル30が互いに固定される。この熱圧着処理において、積層方向D1への押圧力Fが、積層方向D1と垂直を成す調光セル30のシート面に沿った方向に関し、調光セル30に対して不均等に作用すると、調光セル30には液晶溜まり部LCpが発生しうる。すなわち、液晶材料61は流動性を有するため、調光セル30のうち相対的に大きな押圧力Fを受ける箇所の液晶材料61は他の箇所に向けて押し出され、相対的に小さな押圧力Fを受ける箇所に液晶材料61が溜まる。その結果として、図15に示すように、積層方向D1への厚みが相対的に大きい液晶溜まり部LCpが発生する。
図16及び図17は、液晶溜まり部LCpの発生メカニズムの他の例を説明するための図である。図16及び図17に示された調光パネル20において、一対の透光部材21,22を積層方向D1に加圧する前、接合層23を構成するようになる熱可塑性樹脂70は、調光セル30のシート面に沿って調光セル30の外方となる外周部70aにおいて、厚くなっている。この例では、加圧時に、熱可塑性樹脂70は、調光セル30を取り囲む外周部70aにおいて、優先的に透光部材21,22に圧着される。熱可塑性樹脂70を用いた熱圧着は、通常、真空雰囲気下で実施される。この場合、図示された例では、熱可塑性樹脂70の外周部70aに取り囲まれた調光セル30と熱可塑性樹脂70との間に気密状態の空間が形成され、この空間内に、空気が残留したり、樹脂中に含有されていた水分が蒸発したりすることもある。結果として、接合層23中に気泡ABが発生することがある。
この調光パネル20を、さらにオートクレーブ等を使って加熱加圧環境下に置くことにより、接合層23が各透光部材21,22及び調光セル30に熱圧着され、調光セル30は接合層23を介して各透光部材21,22に対して強固に固定される。この熱圧着処理において、気泡ABは加熱されて接合層23中で膨張し、その気泡ABの膨張によって調光セル30は局所的に大きな力を受け、図17に示すように液晶溜まり部LCpが発生することがある。
なお図16及び図17に示す調光パネル20を作製する具体的な手法は特に限定されず、例えば、複数のピースによって熱可塑性樹脂70を構成し、調光セル30を取り囲むようにしてこれらの複数のピースを配置し、その後、これらの複数のピースを熱圧着してもよい。一例として、図16及び後述する図11に示すように、熱可塑性樹脂70が、第1熱可塑性樹脂材料71、第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73の三つに分割されていてもよい。第1熱可塑性樹脂材料71は、枠状に形成されており、調光セル30を収容可能な内部空間を有している。第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73は、板状に形成されている。第2熱可塑性樹脂材料72は、第1熱可塑性樹脂材料71及び調光セル30と、第1透光部材21との間に配置される。第3熱可塑性樹脂材料73は、第1熱可塑性樹脂材料71及び調光セル30と、第2透光部材22との間に配置される。この例において、熱可塑性樹脂70の外周部70aは、第1熱可塑性樹脂材料71と、第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73の各々の一部とによって構成される。第1熱可塑性樹脂材料71の積層方向D1における厚みを、調光セル30の積層方向D1における厚みよりも若干薄くしておくことにより、加熱加圧時に、第1熱可塑性樹脂材料71の内側空間を比較的容易に気密状態にすることができる。
上述のように、調光セル30の全体にわたって不均等な力が加えられたり、調光セル30に対して局所的に大きな力が加えられたりすると、液晶溜まり部LCpが発生する(図15及び図17参照)。この液晶溜まり部LCpは、積層方向D1に関して本来の厚みの数倍の厚みを持つこともあり、印加電圧に応じて光透過率を適切に変化させることができず、本来の調光機能が損なわれている。
なお液晶溜まり部LCpの発生メカニズムは上述の例には限定されず、例えば上述のメカニズムが組み合わさって液晶溜まり部LCpが発生することもある。例えば、透光部材21,22が互いに近づくように各透光部材21,22に力を加えて、主として熱可塑性樹脂70の外周部70aを各透光部材21,22に熱圧着することで、透光部材21,22及び熱可塑性樹脂70の外周部70aにより囲まれる領域を気密状態にする仮圧着処理をまず行う。そしてその後に、オートクレーブ処理によって、接合層23を介して調光セル30を各透光部材21,22に対して強固に接合する本圧着処理を行うようにしてもよい。このように接合処理を複数段階(この例では2段階)に分けて行うことにより、圧着処理を高精度且つ確実に行うことができ、液晶溜まり部LCpの発生を効果的に防ぐことができる。ただしこの場合にも、例えば、仮圧着処理において押圧力Fが調光セル30の全体にわたって不均等に作用すると、液晶溜まり部LCpは発生しうる(図14及び図15参照)。また、本圧着処理において気泡ABが接合層23に含まれていても、液晶溜まり部LCpは発生しうる(図16及び図17参照)。
このよう液晶溜まり部LCpの発生といった不具合に対して、本実施の形態では、液晶溜まり部LCpを、アクティブエリアAa外に発生させるための工夫、すなわち非アクティブエリアUAaに発生させるための工夫が、調光パネル20及び調光セル30になされている。
図4に示すように、図示された調光セル30は、積層方向D1への投影において(積層方向D1からの観察において)、液晶層60の一部分のみと重なる部分被覆層35を有している。部分被覆層35は、液晶層60のうちの、シール材65に隣接した周縁となる少なくとも一部の領域以外となる領域と、積層方向D1に重なっている。すなわち、部分被覆層35は、液晶層60の周縁領域の少なくとも一部分以外の領域と積層方向D1に重なっている。さらに言い換えると、部分被覆層35は、液晶層60の周縁領域の少なくとも一部分と積層方向D1に重なっていない。図示された例において、部分被覆層35は、液晶層60のうちの、シール材65に隣接した周縁となる一部の領域以外となる領域と、積層方向D1に重なっている。
また、図4に示すように、液晶層60は、アクティブエリアAa内に位置する第1区域Z1と、第1区域Z1に隣接する第2区域Z2と、を含んでいる。第2区域Z2は、非アクティブエリアUAa内に位置している。部分被覆層35は、液晶層60のうちの非アクティブエリアUAaとなる第2区域Z2の少なくとも一部の領域以外となる領域と、積層方向D1に重なっている。言い換えると、液晶層60は、第2区域Z2内に調光セル30と積層方向D1に重なっていない領域を少なくとも含んでいる。図示された例において、部分被覆層35は、液晶層60のうちのアクティブエリアAaとなる第1区域Z1の全域と、非アクティブエリアUAaとなる第2区域Z2の一部と、に積層方向D1に重なっている。
部分被覆層35は、第1透光部材21及び第2透光部材22によって挟持されるいずれかの層とすることができる。例えば、強度等の別の問題が生じない範囲で、第1基板40や第2基板50によって含まれる上述のいずれかの一以上の層、具体的には、第1樹脂基材41、第1配向膜42、第1電極層43、第2樹脂基材51、第2配向膜52及び第2電極層53の一以上を、部分被覆層35として用いることができる。また、第1基板40及び第2基板50が偏光板を含む場合や、第1透光部材21及び第2透光部材22の間に偏光板が設けられている場合には、この偏光板を部分被覆層35として用いることができる。同様に、第1基板40及び第2基板50が、紫外線吸収フィルム、赤外線吸収フィルム及びハードコート層等を含む場合や、第1透光部材21及び第2透光部材22の間に紫外線吸収フィルム、赤外線吸収フィルム及びハードコート層等が設けられている場合には、これらの一以上を部分被覆層35として用いることができる。さらに、部分被覆層35は、第1基板40または第2基板50の一部分をなす層である必要はなく、熱可塑性樹脂70の一部や第1基板40または第2基板50とは別途に設けられた層としてもよい。
部分被覆層35は、詳しくは後述するように、調光セル30のシート面に沿って、液晶層60が設けられている領域内に強度分布、言い換えると変形し易さの分布をもたらす。つまり、部分被覆層35が存在する領域と、部分被覆層35が存在しない領域との間で、調光セル30に強度分布が生じることがこのましい。この観点から、部分被覆層35の厚みは、10μm以上2000μm以下でとなっていることが好ましく、100μm以上1000μm以下でとなっていることがより好ましく、300μm以上500μm以下でとなっていることが更に好ましい。
なお、図4及び図5に示された具体例において、調光セル30は、平面視において、矩形形状となっている。そして、部分被覆層35は、調光セル30をなす矩形形状の一つの短辺に沿った欠損部36を形成されている。この欠損部36は、平面視において台形形状となっている。そして、液晶層60の第2区域Z2のうちの、矩形形状の一つの短辺に沿って延びるシール材65に隣接する部分が、部分被覆層35と積層方向D1に重なっていない。
次に、このような調光セル30を用いて、調光パネル20を製造する方法について説明する。
まず、図6に示すように、一対の透光部材21,22の間に、調光セル30および熱可塑性樹脂70を配置する。熱可塑性樹脂70は、調光パネル20の接合層23を形成するようになる。したがって、熱可塑性樹脂70として、上述した接合層23をなす樹脂材料を用いることができる。一対の透光部材21,22の間に配置される熱可塑性樹脂70は、板状の形状を有していてもよい。また、上述したように、一対の透光部材21,22の間に、複数のピースに分割された熱可塑性樹脂70を配置することができる。
なお、部分被覆層35は、第1基板40又は第2基板50の他の部材と接合された状態で第1基板40又は第2基板50の一部分として一対の透光部材21,22の間に配置されるようにしてもよい。また、部分被覆層35は、第1基板40又は第2基板50とは別途の部材として、一対の透光部材21,22の間に配置されるようにしてもよい。
次に、図7に示すように、一対の透光部材21,22の間に調光セル30及び熱可塑性樹脂70を配置した状態で、一対の透光部材21,22を調光セル30に向けて加圧する。この加圧と並行して熱可塑性樹脂70を加熱してもよいし、この加圧工程に先行して熱可塑性樹脂70を加熱してもよい。これにより、熱可塑性樹脂70が調光セル30及び透光部材21,22に圧着し、調光セル30及び透光部材21,22が互いに固定される。
ところで、上述したように、液晶層60内において、液晶材料61が、調光セル30のシート面に沿った方向に流動することがある。このような液晶材料61の流動は、例えば、図14及び図15を参照して説明したように、調光セル30のシート面に沿った各位置において積層方向D1への押圧力Fが一様でないことを理由として、生じる。そして、液晶材料61の流動が生じた場合、調光セル30のシート面に沿った特定の部分に、液晶材料61が集まることもある。このとき、当該特定の部分での液晶層60の厚みが、他の部分での液晶層60の厚みの二倍以上にもなる。当該特定の部分は、いわゆる液晶溜まり部LCpを構成し、もはや液晶材料61中の液晶分子の配向を制御して透過率を調節することができなくなる。
これに対して、本実施の形態では、一対の透光部材21,22の間には、部分被覆層35が設けられている。部分被覆層35は、調光セル30に含まれる液晶層60の一部分のみと積層方向D1に重なっている。すなわち、第1基板40又は第2基板50は、部分被覆層35が重なることで補強された部分以外の部分で、変形し易くなっている。とりわけ、第1基板40及び第2基板50は、比較的変形しやすい樹脂製の基材41,51を含んでいるため、このような傾向は顕著となる。このため、液晶材料61は、部分被覆層35によって覆われていない第1基板40又は第2基板50の変形し易い部分に集まり、当該部分に液晶溜まり部LCpが形成される。
なお、上述したように、液晶溜まり部LCpの発生原因となる液晶層60内での液晶材料61の流動は、オートクレーブの際にも生じ得る。例えば、例えば、図16及び図17を参照して説明したように、調光セル30の近傍に生じた気泡ABによって調光セル30が局所的に押圧されることを理由として、液晶層60内で液晶材料61が流動する。この場合も、液晶材料61は、部分被覆層35によって覆われていない第1基板40又は第2基板50の変形し易い部分に集まり、当該部分に液晶溜まり部LCpが形成される。
そして、部分被覆層35は、液晶層60のうちのアクティブエリアAa内となる第1区域Z1の全域を覆っている。したがって、液晶溜まり部LCpは、アクティブエリアAa内には発生しにくい。一方、部分被覆層35は、液晶層60のうちの非アクティブエリアUAa内となる第2区域Z2の少なくとも一部分を覆っていない。したがって、液晶溜まり部LCpは、非アクティブエリアUAa内に発生し易くなる。
このようにして、図7に示すように、調光セル30は、非アクティブエリアUAa内となる第2区域Z2に液晶溜まり部LCpを含むようになる。この液晶溜まり部LCpでの液晶層60の厚みは、アクティブエリアAa内となる第1区域Z1での液晶層60の厚みの二倍以上となる。そして、第2区域Z2の一部を占める液晶溜まり部LCpは、枠材18の影響を排除して計測したとしても、同条件で印加電圧を変更した場合における第1区域Z1内での透過率の変化幅の20%未満でしか透過率を変更することができない。このような液晶溜まり部LCpによる透過率不可変部UWpが、アクティブエリアAaでなく非アクティブエリアUAa内に位置することから、調光装置10の調光機能に影響を及ぼすものとはならない。
なお、図4に示された調光セル30を用いた場合、液晶溜まり部LCpによって形成される透過率不可変部UWpは、平面視においては図1に示すように、矩形形状の一つの短辺に沿って延びる領域となり、非アクティブエリアUAa内に位置するようになる。
以上に説明した一実施の形態において、調光セル30は、第1樹脂基材41を含む第1基板40と、第2樹脂基材51を含む第2基板50と、第1基板40と第2基板50との間に設けられた液晶層60と、第1基板40と第2基板50との間に位置し液晶層60を周状に取り囲むシール材65と、を有している。そして、液晶層60のうちの、シール材65に隣接した周縁となる少なくとも一部の領域以外の領域と積層方向D1に重なるようにして、部分被覆層35が設けられている。このような一実施の形態によれば、液晶溜まり部LCpの発生位置を、液晶層60のうちのシール材65に隣接した周縁となる一部の領域に、安定して誘導することができる。これにより、アクティブエリアAa内に液晶溜まり部LCpが発生することを効果的に回避することができ、調光パネル20及び調光セル30に優れた調光機能を安定して付与することが可能となる。
また、上述の一実施の形態において、調光セル30は、第1樹脂基材41を含む第1基板40と、第2樹脂基材51を含む第2基板50と、第1基板40と第2基板50との間に設けられた液晶層60と、第1基板40と第2基板50との間に位置し液晶層60を周状に取り囲むシール材65と、を有している。そして、液晶層60のうちの非アクティブエリアUAa内に位置する少なくとも一部の領域以外の領域と積層方向D1に重なるようにして、部分被覆層35が設けられている。このような一実施の形態によれば、液晶溜まり部LCpの発生位置を、部分被覆層35が設けられていない非アクティブエリアUAa内に、安定して誘導することができる。これにより、アクティブエリアAa内に液晶溜まり部LCpが発生することを効果的に回避することができ、調光パネル20及び調光セル30に優れた調光機能を安定して付与することが可能となる。
上述した一実施の形態の具体例において、部分被覆層35は、偏光板、紫外線吸収フィルム又は赤外線吸収フィルムを含むようにした。このような例によれば、特定の機能を期待されて調光パネル20又は調光セル30に組み込まれた層が、部分被覆層35としても機能するようになる。すなわち、部分被覆層35としてのみ機能する層を設ける必要がない。このような例は、調光パネル20又は調光セル30の薄型化や低コスト化の観点において優れる。
上述した一実施の形態の具体例において、部分被覆層35の厚みを10μm以上2000μm以下とする、或いは100μm以上1000μm以下とする、或いは300μm以上500μm以下とした。このような厚みの部分被覆層35によれば、調光セル30のシート面に沿った強度分布(強度変動、強度ばらつき)を第1基板40又は第2基板50に付与することができる。すなわち。部分被覆層35で被覆されていない領域において、第1基板40又は第2基板50を十分に変形しやすくすることができる。これにより、液晶溜まり部LCpの発生位置を非アクティブエリアUAaに安定して誘導することができる。
なお、上述の調光装置10、調光パネル20、調光セル30の適用対象は特に限定されず、典型的には窓及びドア等に対して適用することができる。例えば、建築物の窓やドアだけでなく、飛行機、船、電車及び自動車等の乗り物や他の移動体80の窓やドア等にも調光装置10を適用することができる。
つまり、上述の調光装置10は、移動体80及び非移動体の両者に対して適用することが可能であり、例えば図13に示すように車両81のサンルーフ82として調光パネル20及び調光セル30を好適に用いることが可能である。例えば日光等の外光を車両81内に取り入れたい場合、FPC等を介して調光セル30の電極層43,53に印加する電圧を制御装置15により調整し、液晶層60の光透過率を増大させる。これにより、液晶層60における光透過が許容され、調光パネル20(すなわちサンルーフ82)に入射した外光が、車両81の内部に差し込む。一方、外光を車両81内に取り入れたくない場合、FPC等を介して電極層43,53間に印加する電圧を制御装置15により調整し、液晶層60の光透過率を減少させる。これにより、液晶層60における光透過が制限又は遮断され、調光パネル20(すなわちサンルーフ82)に入射した外光が車両81内部に差し込む量が制限され又は車両81内部には導かれない。なお、このような調光パネル20における光透過率の調整は、車両搭乗者からの指示に基づいて手動的に行われてもよいし、図示しないセンサ等の機器によって直接的又は間接的に取得される車両81の外部環境(例えば明るさ)に関する情報に基づいて自動的に行われてもよい。
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
まず、上述した例において、部分被覆層35は、液晶層60のうちの、シール材65に隣接した周縁となる一部の領域以外となる領域と積層方向D1に重なっていたが、この例に限られない。例えば、部分被覆層35は、液晶層60のうちの、シール材65に隣接した周縁となる領域以外となる領域と積層方向D1に重なるようにしてもよい。部分被覆層35は、シール材65から離間した液晶層60の領域とだけ、積層方向D1に重なるようにしてもよい。
また、上述した例において、部分被覆層35は、液晶層60のうちの非アクティブエリアUAa内に位置する一部の領域以外となる領域と、積層方向D1に重なっている例を示した。つまり、部分被覆層35は、液晶層60のうちのアクティブエリアAaとなる第1区域Z1の全域と、非アクティブエリアUAaとなる第2区域Z2の一部の領域と、重なっていた。しかしながら、この例に限られず、部分被覆層35は、アクティブエリアAaとなる第1区域Z1の全域のみと重なるようにしてもよい。
さらに、既に説明したように、部分被覆層35は、第1基板40または第2基板50の一部分として形成されていてもよい。また、図8に示すように、第1基板40及び第2基板50とは別部材であってもよい。図8に示された例では、加圧後に、部分被覆層35は、第1基板40または第2基板50に接合して、調光セル30の一部分を構成するようになる。
さらに、調光セル30のうちの部分被覆層35と積層方向D1に重なる領域は、上述した例とは異なる位置の領域とすることができる。上述した例では、調光セル30が平面視において矩形形状となっており、部分被覆層35が、矩形形状の一つの短辺に沿った領域において、液晶層60と積層方向D1に重ならないようにした。この例に代えて、またはこの例に加えて、部分被覆層35が、調光セル30をなす矩形形状の一つの長辺に沿った領域において、液晶層60と積層方向D1に重ならないようにしてもよい。また、図9に示すように、部分被覆層35が、調光セル30をなす矩形形状の一つの角を形成する領域において、液晶層60と積層方向D1に重ならないようにしてもよい。
さらに、上述の記載において、部分被覆層35が、液晶層60の第2区域Z2内となる一つの領域において、液晶層60と積層方向D1に重ならない例を示したが、これに限られず、二以上の領域において、液晶層60と積層方向D1に重ならないようにしてもよい。すなわち、図9に二点鎖線で示すように、部分被覆層35は、二以上の欠損部36を有するようにしてもよい。
さらに、上述の記載において、部分被覆層35が、液晶層60を基準として、第1基板40の側のみに配置されている例を示したが、この例に限られない。部分被覆層35は、液晶層60を基準として、第2基板50の側のみに配置されていてもよい。図10に示すように、部分被覆層35は、液晶層60を基準とした第1基板40の側と、液晶層60を基準とした第2基板50の側と、の両方に配置されていてもよい。第1基板40側に位置する部分被覆層35の欠損部36と、第2基板50側に位置する部分被覆層35の欠損部36は、積層方向D1において重なるようにしてもよい。また、図10に示すように、第1基板40側に位置する部分被覆層35の欠損部36と、第2基板50側に位置する部分被覆層35の欠損部36が、積層方向D1において重ならないようにしてもよい。すなわち、図10に示された例のように、第1基板40側に位置する部分被覆層35の欠損部36と、第2基板50側に位置する部分被覆層35の欠損部36が、調光セル30のシート面に沿ってずれていてもよい。
さらに、上述の記載において、液晶層60の一部分を覆わない部分被覆層35により、液晶溜まり部LCpを非アクティブエリアUAaに誘導して、非アクティブエリアUAa内に透過率不可変部UWpを形成する例を示したが、この例に限られない。図11に示すように、調光セル30の非アクティブエリアUAa内での変形を促す切欠70bが、熱可塑性樹脂70の外周部70aに形成されるようにしてもよい。ここで、熱可塑性樹脂70の外周部70aとは、既に説明したように、調光セル30のシート面(調光セル30のセル面)に沿って、調光セル30の外方に位置する部分である。外周部70aに切欠70bを設けることで、調光セル30の第1基板40及び第2基板50が、外周部70aに近接する領域において、変形し易くなる。このため、図12に示すように、液晶溜まり部LCpの発生位置を非アクティブエリアUAa内に安定して誘導することができる。これにより、作成された調光パネル20において、透過率不可変部UWpが非アクティブエリアUAa内に位置し、アクティブエリアAa内では予定された調光機能を安定して発揮することが可能となる。
なお、図11に示された例において、一対の透光部材21,22間に配置されて接合層23を形成するようになる熱可塑性樹脂70は、第1熱可塑性樹脂材料71、第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73を含んでいる。第1熱可塑性樹脂材料71は、枠状に形成されており、調光セル30を収容可能な内部空間71aを有している。第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73は、板状に形成されている。第2熱可塑性樹脂材料72は、第1熱可塑性樹脂材料71及び調光セル30と、第1透光部材21との間に配置される。第3熱可塑性樹脂材料73は、第1熱可塑性樹脂材料71及び調光セル30と、第2透光部材22との間に配置される。そして、図11に示すように、切欠70bは、第1熱可塑性樹脂材料71の外周部70aとなる領域に形成されている。しかしながら、この例に限られず、切欠70bは、第1熱可塑性樹脂材料71の外周部70aとなる領域に代えて又は第1熱可塑性樹脂材料71の外周部70aとなる領域に加えて、第2熱可塑性樹脂材料72及び第3熱可塑性樹脂材料73の少なくとも一方の外周部70aとなる領域に形成されるようにしてもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。