以下、図面を参照して一実施形態について説明する。以下の説明においては、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、図面には、X軸、Y軸、及びZ軸により規定される直交座標系Sを示し、説明においては、Z軸方向を上下方向として「上」及び「下」の語を用いる場合がある。
[吹付施工システムの構成]
図1~図4を参照して吹付施工システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る吹付施工システムの概略構成を示す側面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される吹付施工システム1は、所定の方向(例えば、X軸方向)に延在する梁2(構造物)に耐火被覆材Wを吹き付けるためのシステムである。
図1及び図2に示されるように、梁2は、例えばH形鋼によって構成され、上フランジ3と、下フランジ4と、上フランジ3及び下フランジ4に接続されたウェブ5と、を有する。ウェブ5には、補剛材としての複数のスチフナ6が設けられている。梁2は、例えば上フランジ3の上面を天井(不図示)等に固着させている。梁2(ここでは、ウェブ5)には、厚さ方向(ここでは、Y軸方向)に貫通する円形状の複数の開口2hが形成されている。吹付施工システム1は、上フランジ3、下フランジ4、ウェブ5及びスチフナ6のそれぞれの表面を被施工面2sとして耐火被覆材Wの吹付施工を行う。
以下の説明において、被施工面2sとは、未だ耐火被覆材Wが付着していない施工前の梁2の各部の表面と、施工途中の梁2の各部の表面に中間層として付着している耐火被覆材Wの層の表面と、吹付施工の完了後の梁2の各部の表面に付着した耐火被覆材Wの層の表面と、を含むものとする。なお、吹付施工システム1が耐火被覆材Wの吹付施工を行う構造物は梁2に限定されず、例えば壁、柱、天井等であってもよい。
吹付施工システム1は、装置本体部10と、装置本体部10を統合的に制御するコントローラ100(制御部)と、を備える。装置本体部10は、ロボットアーム20と、吐出手段30と、高所作業車40と、フレーム50(高所作業車取付用フレーム)と、を備える。
ロボットアーム20は、被施工面2s(例えば、ウェブ5の表面)に対して吹付施工作業を行うように動作する。ロボットアーム20は、例えば、汎用の多関節のロボットアームである。図3は、図2のIII-III線に沿った断面の分解図である。図2及び図3に示されるように、本実施形態におけるロボットアーム20は、垂直多関節型の7軸ロボットアームであって、先端部21と、基部22と、基部22に対する先端部21の位置及び姿勢を変更する多関節アーム部23とを有する。先端部21には、ツールとして、耐火被覆材Wを吐出するノズル31が設けられている。基部22は、フレーム50に固定されている。基部22の下端には、フランジ部22aが設けられている。フランジ部22aには、例えばボルト等の固定具B1が挿通可能な複数の挿通孔22hが形成されている。
多関節アーム部23は、旋回部23aと、2つの腕部23b,23cと、手首部23dと、複数(例えば7つ)の関節J1~J7と、各関節J1~J7にそれぞれ内蔵された複数(ここでは7つ)のアクチュエータ(不図示)とを有する。旋回部23a、腕部23b,23c及び手首部23dは、基部22に対して直列に連結されている。関節J1は、基部22に対して旋回部23aを旋回可能に連結する。関節J2~J7は、それぞれ、腕部23b,23c及び手首部23dを揺動可能に連結する。アクチュエータは、関節J1~J7をそれぞれ駆動する。なお、ロボットアーム20は、上記の構成に限定されない。ロボットアーム20は、汎用の多関節のロボットアームのうちのいずれのロボットアームであってもよく、例えば関節J7が省略された6軸ロボットアームでもよく、5軸以下のロボットアームでもよい。
図1及び図2に示されるように、吐出手段30は、上述したノズル31と、原料供給機構32と、スラリー供給機構33とを有する。耐火被覆材Wは、原料としてのロックウール粒状綿と、スラリーとを含む。原料供給機構32は、ノズル31にロックウール粒状綿を供給し、スラリー供給機構33は、ノズル31にスラリーを供給する。耐火被覆材Wは、ノズル31において原料及びスラリーが混合された状態で吐出されてもよく、ノズル31において原料及びスラリーが互いに同時に吐出されてもよい。
原料供給機構32は、供給源32aと、回収部32bと、ホース32c,32d,32eと、バルブ32fとを有する。供給源32aは、ロックウール粒状綿を収容する。回収部32bは、ノズル31に供給されなかったロックウール粒状綿を回収する。ホース32cは、供給源32aからノズル31及び回収部32bにロックウール粒状綿を圧送するための流路の一部を構成している。ホース32cには、ホース32d,32eがそれぞれ接続されている。ホース32dは、供給源32aからノズル31にロックウール粒状綿を圧送するための流路の残部を構成する。ホース32eは、供給源32aから回収部32bにロックウール粒状綿を圧送するための流路を構成する。
バルブ32fは、例えば三方バルブであって、ホース32c,32d,32eの接続部に設けられている。バルブ32fは、ロックウール粒状綿の供給量(ホース32dによってノズル31に圧送される量)及び回収量(ホース32eによって回収部32bに圧送される量)を相互に調節する。
スラリー供給機構33は、供給源33aと、回収部33bと、ホース33c,33d,33eと、バルブ33fとを有する。供給源33aは、スラリーを収容する。スラリーは、セメント及び水を含む。回収部33bは、ノズル31に供給されなかったスラリーを回収する。ホース33cは、供給源33aからノズル31及び回収部33bにスラリーを圧送するための流路の一部を構成している。ホース33cには、ホース33d,33eがそれぞれ接続されている。ホース33dは、供給源33aからノズル31にスラリーを圧送するための流路の残部を構成する。ホース33eは、供給源33aから回収部33bにスラリーを圧送するための流路を構成する。
バルブ33fは、例えば三方バルブであって、ホース33c,33d,33eの接続部に設けられている。バルブ33fは、スラリーの供給量(ホース33dによってノズル31に圧送される量)及び回収量(ホース33eによって回収部33bに圧送される量)を相互に調節する。
なお、原料供給機構32及びスラリー供給機構33は、それぞれ、回収部32b,33bを有していなくてもよい。例えば、原料供給機構32は、ノズル31に供給されなかったロックウール粒状綿を、ホース32eによって供給源32aに戻すように構成されていてもよい。また、スラリー供給機構33は、ノズル31に供給されなかったスラリーを、ホース33eによって供給源33aに戻すように構成されていてもよい。或いは、スラリー供給機構33は、回収部33b及びホース33eを有していなくてもよい。この場合、バルブ33fは、開閉バルブであって、ホース33c,33dの接続部に設けられ、供給源33aからノズル31にスラリーを圧送するための流路の開度を調節する。
高所作業車40は、ロボットアーム20を昇降させる機能、及びロボットアーム20を水平移動させる機能を有する。高所作業車40は、高所作業に用いられる汎用の建設機械(所謂リフト車)である。本実施形態における高所作業車40は、垂直昇降型の高所作業車であって、作業床41と、作業床41を昇降させる昇降機構42と、昇降機構42を搭載させた車体43とを有する。作業床41上には、ロボットアーム20が設置される。作業床41には、手摺り(不図示)設置用の複数の穴41hが形成されている。昇降機構42は、例えばシザースリフトであって、垂直昇降可能に構成されている。車体43は、例えばクローラーであって、走行及び操舵可能に構成されている。なお、高所作業車40は上記の構成に限定されない。高所作業車40は、汎用の高所作業車のうちのいずれであってもよい。
フレーム50は、ロボットアーム20を高所作業車40に連結する。フレーム50は、高所作業車40の作業床41に対して着脱自在に接合される。なお、図1及び図2は、フレーム50が作業床41に装着された状態を示している。図2及び図3に示されるように、フレーム50は、載置部51と、接合部52とを有する。
載置部51は、矩形板状を呈しており、ロボットアーム20を載置させる主面51sと、主面51sの反対側の裏面51tとを含む。載置部51の主面51s側には、ロボットアーム20のフランジ部22aの複数の挿通孔22hにそれぞれ対応する複数の挿通孔51hが形成されている。複数の挿通孔51hには、固定具B1が挿通可能であり、複数の固定具B1が挿通孔22hから挿通孔51hに至るように挿入されることによって、ロボットアーム20がフレーム50に固定される。
接合部52は、載置部51を作業床41に着脱自在に接合する。接合部52は、載置部51の裏面51t側に設けられている。接合部52は、複数(例えば4つ)の脚部52aを含む。4つの脚部52aは、作業床41の複数の穴41hに対応する位置にそれぞれ設けられている。4つの脚部52aが作業床41の穴41hにそれぞれ挿入され(図3の矢印を参照)、手摺り設置用の固定具B2(例えば、ボルト及びナット)によって各脚部52aが作業床41に固定されることによって、フレーム50が作業床41に装着された状態となる。また、固定具B2による脚部52aの固定を解除することにより、作業床41からフレーム50が離脱可能となる。
また、図1に示されるように、高所作業車40には、フレーム50の位置(すなわち、ロボットアーム20の作業位置)を確認するためのセンサ44,45,46が設けられている。センサ44は、作業床41の高さを測定し、測定結果を随時出力する。センサ44は、例えばリニアエンコーダであって、ヘッド44a及びスケール44bを含む。センサ44は、スケール44bの下端が車体43に固定され、ヘッド44aが作業床41に固定されて作業床41と共に移動する。センサ45は、水平方向(X軸方向及びY軸方向)におけるフレーム50の位置情報を含むデータを取得する。センサ45は、例えば三次元レーザースキャナであって、車体43に固定されている。センサ45は、SLAM(Simultaneously Localization and Mapping)によって自己位置を推定するための周辺環境(例えば梁2)の走査を行い、走査結果を随時出力する。センサ46は、例えばロータリーエンコーダであって、車体43の走行用モータ(不図示)に接続されている。センサ46は、車体43の走行及び操舵による移動量を示すデータを検出し、検出結果を随時出力する。
本実施形態において、装置本体部10は、より詳細な作業位置を確認するため、センサ装置60と、レーザーポインタ70(図2参照)と、を更に備える。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。なお、図2では、センサ装置60の図示を省略している。図4に示されるように、センサ装置60は、被施工面2sに対向する位置に配置されることにより、被施工面2sの状態を確認するためのデータを取得する。
センサ装置60は、ロボットアーム20の先端部21に設けられている。センサ装置60は、センサ61(第1の距離センサ)と、センサ62(第2の距離センサ)と、保持部63とを有する。センサ61,62は、ノズル31を挟んで配置され、ノズル31と共に被施工面2sにそれぞれ対向する。センサ61,62は、被施工面2sまでのそれぞれの距離を測定し、測定結果を随時出力する。センサ61,62は、ノズル31を挟んで梁2の延在方向(X軸方向)に沿って並ぶように、保持部63に保持されている。保持部63は、センサ61,62を保持した状態でノズル31に取り付けられている。
上記の構成により、耐火被覆材Wの吹付施工が行われる際、梁2の延在方向(すなわち、センサ61,62の並び方向)に沿ってノズル31を移動するときに、センサ61によって未施工箇所の被施工面2sまでの距離L1が測定され、センサ62によって施工済み箇所の被施工面2sまでの距離L2が測定される。距離L1と距離L2との差は、吹付施工された耐火被覆材Wの吹付厚さDを示す。したがって、センサ装置60は、吹付厚さDを取得するためのデータを測定する機能を有している。また、センサ61,62の測定値によって、センサ61,62のうち少なくとも一方が被施工面2sに対向していない状態を把握することができる(図9参照)。ここで、センサ61,62の一方が被施工面2sに対向していない状態は、当該一方が開口2hに対向している状態を含み、センサ61,62の両方が被施工面2sに対向していない状態は、ノズル31が開口2hに対向している状態を含む。したがって、センサ装置60は、開口2hを検出する開口検出手段としても機能する。
レーザーポインタ70は、図2に示されるように、ノズル31の先端部に設けられている。レーザーポインタ70は、ノズル31からの耐火被覆材Wの吐出方向に向かうレーザービームLを出射する。レーザーポインタ70は、レーザービームLによってノズル31からの耐火被覆材Wの吐出位置を照射する。
[コントローラの構成]
次に、図1、図5及び図6を参照し、コントローラ100について説明する。コントローラ100は、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作を制御する。コントローラ100は、制御装置本体110と、リモコン120とを有する。リモコン120は、作業者による、制御装置本体110への情報入力に用いられる。
図5に示されるように、制御装置本体110は、機能的な構成(以下、「機能モジュール」という。)として、データ取得部111と、動作設定部112と、ロボット制御部113と、作業車制御部114と、吐出量調節部115とを有する。これらの機能モジュールは、制御装置本体110の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、制御装置本体110を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものであってもよく、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
データ取得部111は、センサ44,45,46,61,62のそれぞれの出力データを取得する。データ取得部111は、これらの出力データに基づいて、梁2の三次元形状を示すデータと、耐火被覆材Wの吹付厚さDを示すデータと、センサ装置60による開口2hの検出結果とを取得し、取得した各データを動作設定部112に送信する。また、データ取得部111は、これらの出力データに基づいて、ロボットアーム20の作業位置を示すデータを取得し、取得したデータを動作設定部112に送信する。
具体的に、データ取得部111は、センサ45の走査結果を取得し、走査結果に基づいて梁2の三次元形状を示すデータを導出する。梁2の三次元形状を示すデータとしては、例えばBIM(Building Information Modeling)による三次元モデルが挙げられる。なお、データ取得部111は、センサ45の走査結果によらず、作業者等から直接入力されることによって梁2の三次元形状を示すデータを取得してもよい。また、データ取得部111は、センサ61から取得した測定結果(すなわち、距離L1を示すデータ)とセンサ62から取得した測定結果(すなわち、距離L2を示すデータ)との差に基づいて、吹付厚さDを示すデータを導出する。また、データ取得部111は、センサ61,62から取得したデータによって、センサ61,62のうち少なくとも一方が被施工面2sに対向していない状態(すなわち、開口2hを検出したこと)を把握する。
動作設定部112は、データ取得部111から取得した各データに基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作を設定する。具体的に、動作設定部112は、梁2の三次元形状を示すデータに基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作の実行計画の初期値を設定する。また、動作設定部112は、吹付厚さDを示すデータ、及び開口2hの検出結果に基づいて、設定した実行計画を随時更新する。
ここで、実行計画は、被施工面2sのうち、梁2の延在方向(ここでは、X軸方向)に沿って並ぶ複数の領域(例えば、図6に示されるウェブ5の領域R1,R2)を順に吹付施工を行うことと、各領域において上から下に吹付施工を行うこととを含む。各領域におけるより具体的な実行計画としては、まず、ノズル31を当該領域の幅方向(ここではX軸方向)に沿って移動させて最上段の吹付施工を行い、ノズル31を所定のピッチで下方に移動させた後、ノズル31を上記幅方向に沿って折り返すように移動させて次の段の吹付施工を行う。以後同様に、ノズル31の下方への移動と幅方向への移動を繰り返し、最下段まで吹付施工を行う。最下段の吹付施工が終わると、一つの領域の吹付施工が終了する。
または、実行計画は、各領域において上から下に吹付施工を行うことに代えて、各領域において下から上に吹付施工を行うことを含んでいてもよい。この場合、各領域におけるより具体的な実行計画としては、まず、ノズル31を当該領域の幅方向(ここではX軸方向)に沿って移動させて最下段の吹付施工を行い、ノズル31を所定のピッチで上方に移動させた後、ノズル31を上記幅方向に沿って折り返すように移動させて次の段の吹付施工を行う。以後同様に、ノズル31の上方への移動と幅方向への移動を繰り返し、最上段まで吹付施工を行う。最上段の吹付施工が終わると、一つの領域の吹付施工が終了する。
ロボット制御部113は、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、ロボットアーム20を制御する。具体的に、ロボット制御部113は、梁2に沿ってノズル31を移動させるようにロボットアーム20を制御することと、被施工面2sの単位面積当たりにノズル31から吹き付けられる耐火被覆材Wの量(以下、「単位吹付量」という。)を調節するように、ロボットアーム20を制御することと、を実行する。
ここで、図6に示されるように、梁2に沿ってノズル31を移動させるようにロボットアーム20を制御することは、ウェブ5の複数の領域R1,R2のうち、スチフナ6が設けられていない領域R1(すなわち、平板部分)において、ノズル31を平行移動させるようにロボットアーム20を制御することと、スチフナ6が設けられている領域R2において、スチフナ6に沿ってノズル31を首振り動作させるようにロボットアーム20を制御することと、を含んでいてもよい。
単位吹付量を調節するようにロボットアーム20を制御することは、ノズル31の移動速度を低下させて単位吹付量を増加させるようにロボットアーム20を制御することと、ノズル31の移動速度を上昇させて単位吹付量を減少させるようにロボットアーム20を制御することとを含む。または、単位吹付量を調節することは、次の段へのノズル31の移動ピッチを狭くして単位吹付量を増加させるようにロボットアーム20を制御することと、次の段へのノズル31の移動ピッチを広くして単位吹付量を減少させるようにロボットアーム20を制御することとを含んでいてもよい。
作業車制御部114は、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、高所作業車40を制御する。具体的に、作業車制御部114は、ロボットアーム20を作業位置に配置させるように昇降機構42及び車体43を制御する。
吐出量調節部115は、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、吐出手段30を制御する。具体的に、吐出量調節部115は、ノズル31が被施工面2sに対向するときに耐火被覆材Wを吐出した状態とし、ノズル31が開口2hに対向するときに耐火被覆材Wの吐出を停止した状態とするように、吐出手段30を制御することと、単位吹付量を調節するように、吐出手段30を制御することと、を実行する。
耐火被覆材Wを吐出した状態とするように吐出手段30を制御することは、耐火被覆材W(すなわち、ロックウール粒状綿及びスラリーのそれぞれ)を供給状態とするようにバルブ32f,33fの開度を調節する(すなわち、供給側の流路を開状態にする)ことを含む。耐火被覆材Wの吐出を停止した状態とすることは、耐火被覆材Wの回収量を最大値とするようにバルブ32f,33fの開度を調節する(すなわち、供給側の流路を閉状態にする)ことを含む。単位吹付量を調節するように吐出手段30を制御することは、耐火被覆材Wの供給量を増加させるようにバルブ32f,33fの開度を調節して単位吹付量を増加させることと、耐火被覆材Wの供給量を減少させるようにバルブ32f,33fの開度を調節して単位吹付量を減少させることとを含む。
なお、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115は、動作設定部112が設定した実行計画によらず、作業者によるリモコン120の操作内容に基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作をそれぞれ制御してもよい。例えば、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115は、作業者によるリモコン120の操作が行われたときにのみ、リモコン120の操作内容に基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作をそれぞれ制御してもよい。この場合、作業者によるリモコン120の操作が行われないときには、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115は、上記実行計画に基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作をそれぞれ制御してよい。
制御装置本体110のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。本実施形態では、吹付施工システム1は、一つのコントローラ100を備えているが、複数のコントローラ100で構成されるコントローラ群を備えていてもよい。吹付施工システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ100によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ100の組み合わせによって実現されていてもよい。制御装置本体110が複数のコンピュータで構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータによって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。
[吹付施工処理手順]
続いて、図7~図10を参照し、コントローラ100が実行する吹付施工処理の手順を説明する。図7は、吹付施工手順を示すフローチャートである。図7に示されるように、コントローラ100は、まず、ステップS01,S02を順に実行する。ステップS01では、データ取得部111が、梁2の三次元形状を示すデータを取得し、取得したデータを動作設定部112に送信する。ステップS02では、動作設定部112が、梁2の三次元形状を示すデータに基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作の実行計画の初期値を設定する。以後、動作設定部112は、データ取得部111から取得する各種のデータに基づいて、設定した実行計画を随時更新する。
次に、コントローラ100は、ステップS03,S04,S05を順に実行する。ステップS03では、作業車制御部114が、ロボットアーム20を作業位置に配置させるように高所作業車40を制御する。ステップS04では、吐出量調節部115が、ノズル31からの耐火被覆材Wの吐出を開始するように吐出手段30を制御する。ステップS05では、ロボット制御部113が、梁2に沿ったノズル31の移動を開始するようにロボットアーム20を制御する。なお、コントローラ100は、ステップS03,S04,S05の順序を変更して実行してもよく、ステップS03,S04,S05を並行して実行してもよい。
次に、コントローラ100は、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、ロボットアーム20、吐出手段30、及び高所作業車40を制御する。例えば、コントローラ100は、ステップS06,S07を順に実行する。ステップS06では、コントローラ100が、開口2hを避けて吹付施工を行う処理(以下、「開口回避処理」という。)を実行する。ステップS07では、コントローラ100が、吹付厚さのフィードバック値に応じて吹付厚さDを調整する処理(以下、「吹付厚さFB処理」という。)を実行する。ステップS06,S07についてのより具体的な処理内容については後述する。
なお、コントローラ100は、ステップS06,S07の順序を変更して実行してもよく、ステップS06,S07を並行して実行してもよい。また、コントローラ100は、ステップS06,S07と共に、作業者によるリモコン120の操作内容に基づいて、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、ロボットアーム20、吐出手段30、及び高所作業車40を制御する処理を実行してもよい。このとき、作業者は、レーザービームLの照射位置によって耐火被覆材Wの吐出位置を確認しながらリモコン120を操作してもよい。
次に、コントローラ100は、ステップS08を実行する。ステップS08では、動作設定部112が、ロボットアーム20の動作範囲内の吹付施工が終了したか否かを確認する。ロボットアーム20の動作範囲内の吹付施工が終了していない場合、コントローラ100は、処理をステップS06に戻す。以後、コントローラ100は、ロボットアーム20の動作範囲内の吹付施工が終了するまで、ステップS06,S07を繰り返し実行する。
ロボットアーム20の動作範囲内の吹付施工が終了した場合、コントローラ100は、ステップS09,S10を順に実行する。ステップS09では、ロボット制御部113が、ノズル31の移動を停止するようにロボットアーム20を制御する。ステップS10では、吐出量調節部115が、ノズル31からの耐火被覆材Wの吐出を停止するように吐出手段30を制御する。なお、コントローラ100は、ステップS09,S10の順序を変更して実行してもよく、ステップS09,S10を並行して実行してもよい。
次に、コントローラ100は、ステップS11を実行する。ステップS11では、動作設定部112が、施工対象の全範囲(例えば、梁2の被施工面2sの全領域)の吹付施工が終了したか否かを確認する。施工対象の全範囲の吹付施工が終了していない場合、コントローラ100は、処理をステップS03に戻す。以後、コントローラ100は、施工対象の全範囲の吹付施工が終了するまで、実行計画に沿って吹付施工を行うように、ステップS03~S10を繰り返し実行する。施工対象の全範囲の吹付施工が終了したら、コントローラ100は処理を完了する。
[開口回避処理手順]
続いて、上記ステップS06の具体的な処理内容を説明する。図8は、開口回避手順を示すフローチャートである。図9は、開口回避手順を説明するための概略図である。図8に示されるように、コントローラ100は、まずステップS21を実行する。ステップS21では、動作設定部112が、センサ装置60によって開口2hが検出されることを待機する。このとき、図9(a)に示されるように、ノズル31から耐火被覆材Wが吐出された状態である。
図9(b)に示されるように、センサ装置60が開口2hを検出したら、コントローラ100は、ステップS22を実行する。ステップS22では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの吐出を停止するように吐出手段30の動作の実行計画を更新する。これにより、吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31から耐火被覆材Wの吐出を停止するように、吐出手段30を制御する。
次に、コントローラ100は、ステップS23を実行する。ステップS23では、動作設定部112が、センサ装置60によって開口2hが検出されなくなることを待機する。このとき、図9(c)に示されるように、ノズル31からの耐火被覆材Wの吐出が停止した状態である。
センサ装置60が開口2hを検出しなくなったら、コントローラ100は、ステップS24を実行する。ステップS24では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの吐出を再開するように吐出手段30の動作の実行計画を更新する。これにより、吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31による耐火被覆材Wの吐出を再開するように、吐出手段30を制御する(図9(c)の二点鎖線)。これにより、開口2hを避けて耐火被覆材Wの吹付施工が行われる。以上により、コントローラ100は、開口回避処理用の制御を完了する。コントローラ100は、以上の開口回避処理用の制御を吹付施工処理中に繰り返し実行する。
[吹付厚さFB処理手順]
続いて、上記ステップS07の具体的な処理内容を説明する。図10は、吹付厚さFB手順を示すフローチャートである。図10に示されるように、コントローラ100は、まずステップS31を実行する。ステップS31では、データ取得部111が、耐火被覆材Wの吹付厚さDを示すデータを取得し、取得したデータを動作設定部112に送信する。
次に、コントローラ100は、ステップS32を実行する。ステップS32では、動作設定部112が、吹付厚さDが許容範囲外であるか否かを判断する。吹付厚さDの許容範囲は予め設定されていてよい。ステップS32において吹付厚さDが許容範囲外であると判断した場合、コントローラ100は、次に、ステップS33を実行する。ステップS33では、動作設定部112が、吹付厚さDが許容範囲より薄いか否かを判断する。
ステップS33において吹付厚さDが許容範囲より薄いと判断した場合、コントローラ100は、ステップS34を実行する。ステップS34では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの単位吹付量を増加させるように、ロボットアーム20の動作、又は吐出手段30の動作の実行計画を更新する。例えば、動作設定部112は、ノズル31の移動速度を低下させるようにロボットアーム20の動作の実行計画を更新する。これにより、ロボット制御部113は、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31の移動速度を低下させるようにロボットアーム20を制御する。
なお、ステップS34では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの供給量を増加させるように吐出手段30の動作の実行計画を更新してもよい。これにより、吐出量調節部115は、耐火被覆材Wの供給量を増加させるようにバルブ32f,33fの開度を調節する。または、動作設定部112が、次の段へのノズル31の移動ピッチを狭くするようにロボットアーム20の動作の実行計画を更新してもよい。これにより、ロボット制御部113は、次の段へのノズル31の移動ピッチを狭くするようにロボットアーム20を制御する。
一方、ステップS33において吹付厚さDが許容範囲より厚いと判断した場合、コントローラ100は、ステップS35を実行する。ステップS35では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの単位吹付量を減少させるように、ロボットアーム20の動作、又は吐出手段30の動作の実行計画を更新する。例えば、動作設定部112は、ノズル31の移動速度を上昇させるようにロボットアーム20の動作の実行計画を更新する。これにより、ロボット制御部113は、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31の移動速度を上昇させるようにロボットアーム20を制御する。
なお、ステップS35では、動作設定部112が、耐火被覆材Wの供給量を減少させるように吐出手段30の動作の実行計画を更新してもよい。これにより、吐出量調節部115は、耐火被覆材Wの供給量を減少させるようにバルブ32f,33fの開度を調節する。または、動作設定部112が、次の段へのノズル31の移動ピッチを広くするようにロボットアーム20の動作の実行計画を更新してもよい。これにより、ロボット制御部113は、次の段へのノズル31の移動ピッチを広くするようにロボットアーム20を制御する。
以上により、コントローラ100は、吹付厚さFB処理用の制御を完了する。なお、ステップS32において吹付厚さDが許容範囲内であると判断した場合、コントローラ100は、ステップS33~S35を省略して吹付厚さFB処理用の制御を完了する。コントローラ100は、以上の吹付厚さFB処理用の制御を吹付施工処理中に繰り返し実行する。
[作用]
以上のように、本実施形態に係る吹付施工システム1において、多関節のロボットアーム20には、耐火被覆材Wを吐出するノズル31が設けられている。また、当該ロボットアーム20は、高所作業車40の作業床41に対して着脱自在に接合されるフレーム50に固定されている。これにより、高所作業車40(例えば、汎用の高所作業車)の作業床41にフレーム50を装着させることで、当該高所作業車40によってロボットアーム20(例えば、汎用のロボットアーム)を昇降させて吹付施工を行うことが可能となる。一方で、吹付施工を行わないときには、高所作業車40の作業床41からフレーム50を離脱させて、当該高所作業車40を別の種類の施工に利用することが可能となる。したがって、この吹付施工システム1によれば、汎用性を有する高所作業車40及びロボットアーム20を組み合わせて吹付施工が行えるので、多関節のロボットアーム20を用いた耐火被覆材Wの吹付施工のコスト削減が可能となる。
本実施形態に係る吹付施工システム1は、ノズル31によって被施工面2sに耐火被覆材Wを吹付施工するように、ロボットアーム20の動作、及び高所作業車40の動作を制御するコントローラ100を更に備えていてもよい。この場合、汎用の高所作業車40及びロボットアーム20を用いた吹付施工を自動化することができる。
本実施形態に係る吹付施工システム1は、梁2に形成された開口2hを検出するセンサ装置60を更に備え、コントローラ100は、梁2に沿ってノズル31を移動させるようにロボットアーム20を制御すると共に、センサ装置60の検出結果に基づいて、ノズル31が被施工面2sに対向するときに耐火被覆材Wを吐出した状態とし、ノズル31が開口に対向するときに耐火被覆材Wの吐出を停止した状態とするように、吐出手段30を制御してもよい。この場合、ノズル31が開口2hに対向するときに吐出手段30がノズル31からの耐火被覆材Wの吐出を停止した状態とするので、吹付が不要な開口2hを避けて耐火被覆材Wの吹付施工が行われる。したがって、材料の無駄を低減することができる。
本実施形態に係る吹付施工システム1において、コントローラ100は、被施工面2s上に吹付施工された耐火被覆材Wの吹付厚さDを示すデータを取得することと、吹付厚さDを示すデータに基づいて、被施工面2sの単位面積当たりにノズル31から吹き付けられる耐火被覆材Wの量(すなわち、単位吹付量)を調節するように、吐出手段30又はロボットアーム20を制御することと、を実行してもよい。この場合、ノズル31から吹き付けられる耐火被覆材Wの量の調整によって、吹付施工される耐火被覆材Wの吹付厚さDが調整されるので、施工品質を確保しやすい。
本実施形態に係る吹付施工システム1は、ロボットアーム20の先端部21に設けられノズル31を挟んで配置されたセンサ61(第1の距離センサ)及びセンサ62(第2の距離センサ)を更に備え、コントローラ100は、センサ61とセンサ62との並び方向(ここでは、X軸方向)にノズル31を移動させるときに、センサ61によって測定された被施工面2sとの距離と、センサ62によって測定された被施工面2sとの距離と、の差に基づいて、吹付厚さDを示すデータを取得してもよい。この場合、センサ61及びセンサ62によって未施工箇所及び施工済み箇所のそれぞれの被施工面2sまでの距離L1,L2に基づいて吹付厚さDを示すデータが取得される。これにより、簡易な構成によって吹付厚さDを示すデータを取得することができる。
本実施形態に係る吹付施工システム1において、コントローラ100は、梁2の三次元形状を示すデータを取得することと、三次元形状を示すデータに基づいて、ロボットアーム20の動作、及び高所作業車40の動作の実行計画を設定することと、を実行してもよい。この場合、吹付施工を行う際の各動作に関するロボットアーム20及び高所作業車40への指示を簡略化することができる。
本実施形態に係る吹付施工システム1は、ノズル31の先端部に設けられ、ノズル31からの耐火被覆材Wの吐出方向に向かうレーザービームLを出射するレーザーポインタ70を更に備えていてもよい。この場合、レーザービームLの照射位置によって吹付位置を確認することができる。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。図11は、変形例に係る開口回避手順を示すフローチャートである。図12は、変形例に係る開口回避手順を説明するための概略図である。図11に示されるように、上記ステップS06の具体的な処理内容の変形例として、コントローラ100は、まずステップS41を実行する。ステップS41では、上記ステップS21と同様に、動作設定部112が、センサ装置60によって開口2hが検出されることを待機する。図12(a)に示されるように、センサ装置60が開口2hを検出したら、コントローラ100は、ステップS42を実行する。ステップS42では、動作設定部112が、ノズル31の進行方向を変更するようにロボットアーム20の動作の実行計画を更新する。これにより、ロボット制御部113が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ノズル31の進行方向を変更するように、ロボットアーム20を制御する(図12(b)参照)。
これにより、耐火被覆材Wを吐出した状態のノズル31が開口2hを避けて被施工面2sに対向する位置を移動する。したがって、図12(c)に二点鎖線で示されるように、開口2hを避けて耐火被覆材Wの吹付施工が行われる。以上により、コントローラ100は、開口回避処理用の制御を完了する。コントローラ100は、上述したステップS21~S24に代えて、本変形例に係る開口回避処理用の制御を吹付施工処理中に繰り返し実行してもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、センサ装置60として、センサ61,62(被施工面2sまでのそれぞれの距離を測定するセンサ)を備えていたが、センサ61,62に代えて、フレーム50上の任意の位置に設置された三次元レーザースキャナを備えていてもよい。この場合、当該三次元レーザースキャナが梁2の走査を行うと共に走査結果を随時出力し、コントローラ100(特に、データ取得部111)が経時的な走査結果(例えば、ある被施工面2sにおける吹付施工前及び吹付施工後の位置情報)に基づいて、吹付施工された耐火被覆材Wの吹付厚さDを取得してもよい。また、コントローラ100(特に、データ取得部111)は、当該三次元レーザースキャナによる走査結果(例えば、被施工面2sの吹付施工前の位置情報)に基づいて、開口2hの検出結果を取得してもよい。
[吹付施工処理手順]
また、コントローラ100が実行する吹付施工処理の手順は、上記実施形態に限定されない。図13は、吹付施工手順の変形例を示すフローチャートである。図14は、変形例に係る吹付施工手順を説明するための概略図である。図13に示されるように、吹付施工処理手順の変形例として、コントローラ100は、まず、上記ステップS01と同様のステップS51を実行する。すなわち、データ取得部111が、梁2の三次元形状を示すデータを取得し、取得したデータを動作設定部112に送信する。
次に、コントローラ100は、上記ステップS02と同様のステップS52を実行する。すなわち、動作設定部112が、梁2の三次元形状を示すデータに基づいて、ロボットアーム20の動作、吐出手段30の動作、及び高所作業車40の動作の実行計画の初期値を設定する。本変形例において動作設定部112が設定する実行計画は、図14に示される梁2の被施工面2sとしての下フランジ4の下面、下フランジ4の上面、下フランジ4の小口面(すなわち、下フランジ4の上面及び下フランジ4の下面の間)、ウェブ5、及び上フランジ3の下面を、この順で吹付施工することと、ウェブ5のうち、梁2の延在方向(ここでは、X軸方向)に沿って並ぶ複数の領域R1,R2,R3を、当該延在方向に沿った並び順で吹付施工することとを含む。
ここで、領域R1は、ウェブ5のうち、開口2hもスチフナ6も設けられていない部分(すなわち、平板部分)である。領域R2は、ウェブ5のうち、スチフナ6が設けられている部分である。領域R3は、ウェブ5のうち、開口2hが設けられている部分である。領域R1,R2,R3は、例えば、同程度の幅(すなわち、X軸方向に沿った長さ)を有している。例えば、領域R1の幅L11と、領域R2の幅L12と、領域R3の幅L13とは、それぞれ500mm程度であって、一例として、幅L11,L13が480mm、幅L12が300mmである。
次に、コントローラ100は、ステップS53、S54,S55を順に実行する。ステップS53では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、下フランジ4の下面を吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。
ステップS54では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、下フランジ4の上面を吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。ステップS55では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、下フランジ4の小口面を吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。
次に、コントローラ100は、ステップS56を実行する。ステップS56では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、ウェブ5を吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。ステップS56の具体的な処理内容については後述する。
次に、コントローラ100は、ステップS57を実行する。ステップS57では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、動作設定部112が設定した実行計画に基づいて、上フランジ3の下面を吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。このとき、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115は、上フランジ3の下面から天井に至るように耐火被覆材Wを吹付施工する。以上により、コントローラ100は、処理を完了する。コントローラ100は、以上の処理を梁2の表側及び裏側に対してそれぞれ実行する。
なお、コントローラ100は、上記ステップS52において設定した実行計画のみに基づいて上記ステップS53~S57を実行してもよく、センサ装置60によって取得した情報に基づき上記ステップS52において設定した実行計画を更新しながら、上記ステップS53~S57を実行してもよく、上記ステップS51,S52を省略して、センサ装置60によって取得した情報に基づいて各施工対象箇所を把握して、上記ステップS53~S57を実行してもよい。
[ウェブ吹付施工手順]
続いて、上記ステップS56の具体的な処理内容を説明する。図15は、ウェブ吹付施工手順を示すフローチャートである。図15に示されるように、コントローラ100は、まずステップS61を実行する。ステップS61では、作業車制御部114が、ロボットアーム20を作業位置に配置させるように高所作業車40を制御する。次に、コントローラ100は、ステップS62を実行する。ステップS62では、動作設定部112が、当該作業位置に対応する吹付パターンを選択する。
ここで、吹付パターンは、作業対象の領域が、ウェブ5のうち上記領域R1,R2,R3のいずれであるかに応じた各吹付施工の内容を示す。例えば、作業対象の領域が上記領域R1である場合の吹付パターンは、ノズル31を平行移動させて、領域R1において上から下に順に吹付施工を行うことを示す。作業対象の領域が上記領域R2である場合の吹付パターンは、ノズル31を平行移動させつつ、スチフナ6に沿ってノズル31を首振り動作させて、領域R2において上から下に順に吹付施工を行うことを示す。作業対象の領域が領域R3である場合の吹付パターンは、ノズル31を平行移動させて、領域R3において上から下に順に吹付施工を行うことと、開口2hを避けて吹付施工を行うこととを含む。なお、各吹付パターンは、各領域R1,R2,R3において上から下に順に吹付施工を行うことに代えて、下から上に順に吹付施工を行うことを含んでいてもよい。
次に、コントローラ100は、ステップS63を実行する。ステップS63では、ロボット制御部113、作業車制御部114、及び吐出量調節部115が、ステップS62において動作設定部112が選択した吹付パターンに応じて吹付施工するように、それぞれ、ロボットアーム20、作業車制御部114、及び吐出量調節部115を制御する。
当該領域内の吹付施工が終了したら、コントローラ100は、ステップS64を実行する。ステップS64では、動作設定部112が、ウェブ5の全領域の吹付施工が終了したか否かを確認する。ウェブ5の全領域の吹付施工が終了していない場合、コントローラ100は、処理をステップS61に戻す。以後、コントローラ100は、ウェブ5の全領域の吹付施工が終了するまで、ステップS61~S63を繰り返し実行する。ウェブ5の全領域の吹付施工が終了したら、コントローラ100は、ウェブ吹付施工処理用の制御を完了する。
なお、コントローラ100は、ステップS64において、ウェブ5の表側及び裏側の全領域の吹付施工が終了したことを確認した後、開口2hの小口面を吹付施工するように、ロボットアーム20及び吐出量調節部115を制御することを更に実行してもよい。あるいは、上記の作業対象の領域が領域R3である場合の吹付パターンは、開口2hの小口面に沿ってノズル31を首振り動作させて、当該小口面を吹付施工することを更に含み、コントローラ100は、ステップS63において、作業対象の領域が領域R3である場合の吹付パターンとして、開口2hの小口面を吹付施工するように、ロボットアーム20及び吐出量調節部115を制御することを更に実行してもよい。
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態等に記載されている技術的事項を利用して変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。