JP7054176B2 - 畦形成機の畦成形ディスク - Google Patents
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さらに、特許文献2記載の畦形成装置の回転体であるディスクは、「円錐状ディスクの表面は、回転中心に向けた放射状の分割片を回転方向前方側に後方側を重ねて着脱可能に固着して構成した」と記載された畦形成機である。
特許文献1に記載の整畦機では、畦を締め固める圧締板体は、可撓弾性を有し、且つ桟材によって固定されているため、畦への桟材の間から逃げてしまい畦を締め固める押圧力が低下する問題がある。さらに、圧締板体は合成樹脂板により製作されているため、土壌に硬質な石や砂等が含まれていると、畦との摩擦による摩耗が激しく、部品交換頻度が高くなりランニングコストが悪化する問題がある。
また、特許文献2に記載の畦成形機は、畦側面を成形する円錐状ディスクのみの交換が可能である。しかし、複数ある圃場の土壌性質に合わせて、複数枚取り付けられている円錐状ディスクを、都度1枚ずつ交換していたのでは交換時間を要するため、作業効率が悪い問題がある。
説明においては、図1の右側方向を作業進行方向の前方とし、図5の上下方向を作業進行方向に対する左右方向として説明する。
畦成形機Fを構成する機枠1前方部は、畦成形機Fに備わる走行機体装着部10である。畦成形機Fは、走行機体C後方の三点リンク機構Dに走行機体装着部10を介して取り付けられ、使用される。走行機体装着部10は、畦成形機Fにおいて、走行機体Cが取り付けられる側の端部である進行方向前方側に設けられる。走行機体装着部10には、機枠1に固着している1個のトップブラケット上方部の前端部に設けたトップリンクピン101が上部の中央に、同じく機枠1に固着されたロアリンクピン100、100が下部の両端に、それぞれ取り付けられている。これらにより、畦成形機Fは走行機体Cの三点リンク機構Dに連結され装着される。
盛土部2の後方に位置する畦成形ディスク体3は、図2に示すように畦上面を成形する円筒状の上面ローラ30と、畦側面を形成する成形ディスク31により構成されている。畦成形ディスク体3は、進行方向と直行する回転中心軸を中心に進行速度より速く回転して、盛土部2により盛土された土壌をスリップ回転しながら進行し締め固める。成形ディスク31は、畦側面側から田面側に向かって徐々に半径を拡大するように設けた円錐台状となっている。また、成形ディスク31頂部側には水平円筒状の上面ローラ30が畦側に向けて突出するように取り付けられている。畦成形ディスク体3は、入力軸12を介して入力された走行機体Cの動力により、盛土部2の耕耘装置22と共に回転駆動される。
成形ディスク31は、複数の第1成形板310と複数の第1成形板34を備えている。図4乃至図10に示す成形ディスク31は、表面が畦成形ディスク体3の回転軸を中心とした放射状に配置した複数枚の第1成形板310によって、一体に溶接された構成になっている。この実施形態では、成形ディスク31は8枚の第1成形板310で構成され、材質はステンレス又は鉄からなる金属である。第1成形板310は、扇状の板で構成されていて、小径側で回転方向R側の端部の一部は、回転方向R側に延長するように延長部を形成されている。第1成形板310は、延長部を重ねながら放射状に配置されて円錐台状に形成される。成形ディスク31の田面側に向かって徐々に半径が拡大するように設けた円錐台状部を構成する第1成形板310は、上面ローラ30の一端側の外周から徐々に半径が拡大するように円錐状となる第1円錐面312と、第1円錐面312から連続して形成され、第1円錐面312より円錐の広がり角度が大きい第2円錐面313とからなる。また、この実施形態とは別に、第1円錐面312と第2円錐面313の円錐角度を同じ角度にしても畦の成形は可能である。
成形ディスク31の回転周方向に放射状に設置される第1成形板310は、互いに隣接する第1円錐面312の回転方向Rの後方側及び前方側に第1段差部322が形成されている。第1成形板310の第2円錐面313の回転方向Rの前方側及び後方側の端部には、隣り合う第2円錐面313と間隔を置いて配置され、隙間Gを設けている。隙間Gは、第2円錐面313の円周方向の端部全域に設けられている。この実施形態において、隙間Gは成形ディスク31に8箇所設けられている。また、第2円錐面313は、図8乃至図9に示すように回転方向R前方がリング材314に対し低く、後方が高い斜面部320があるため、隣接する第2円錐面313とは畦成形機Fの進行方向と直交する方向にも第2段差部323を有している。
第1成形板310の配置によって形成された隙間Gには、第2成形板34が回転周方向に出入り可能に配置されている。第2成形板34は弾性部材からなる扇状の板で、扇形の円弧を第2円錐面313の外周端側に沿わせるように配置されている。この実施形態において、第2成形板34は8枚設けられると共に、成形ディスク31より軟質なポリエチレン又はナイロン樹脂又はビニール樹脂からなる材質で構成される。第2成形板34の板部材は成形ディスク31の第2円錐面313と沿うように湾曲されている。畦成形ディスク体3の回転方向Rと逆の後方側に位置する一端側は、回転方向Rと逆の後方に向かうにしたがって第2円錐面313の畦接触面から徐々に離れるように設定されている。第2成形板34の畦成形ディスク体3の回転方向R前方に位置する他端側は、隙間Gから第2円錐面313の内側に挿入されていて、第2成形板34の内側面は第2成形板34を固定するための取付面341が設けられている。第2成形板34は、固定板35に取り付けられている。
第2成形板34の取付面341は、固定板35に当接させて、ボルト361、ナット362で固定される。固定板35は、矩形状の板の一端側を「6の字」状に巻かれたカール部351が形成されている。固定板35の他端側は、畦成形ディスク体3の回転方向R後方に向けられて第2成形板34を取り付けるための平面部352を有している。第2成形板34は、平面部352に複数箇所に設けられた孔部にボルト361を通し、ナット362で固定される。この実施形態において、平面部352に設けられる孔部は2箇所である。ボルト361、ナット362で固定された第2成形板34は取り外すことが可能であるため、メンテナンス性が向上や、部品交換が行い易いなどの利点がある。
フランジ部402の畦側の面には、第1成形板310に取り付けるためのディスク取付基部38が設けられる。ディスク取付基部38は円形状の板で、中央部はボス部401を逃がすための孔が開けられている。孔の近傍で畦側の面には、複数のナット381が固着されている。この実施形態において、ナット381は4個取り付けられている。また、ディスク取付基部38の外周部は第1円錐面312の内側面と固着されている。すなわち、ディスク取付基部38と成形ディスク31は一体となって、回転基部4に取り付けられている。ディスク取付基部38は、回転基部4に設けられた長穴403にボルト382を通されてナット381に締め込まれて固定される。このように構成した成形ディスク31は、出力軸Hの動力を受けて回転駆動することができる。
ここで、第2成形板34の動作を説明する。畦形成作業時の成形ディスク31及び第2成形板34は、第1円錐面312及び第2円錐面313及び第2成形板34を元畦側面の盛土に接地させて回転することによって新畦の側面を成形する。走行機体Cの動力を得て回転する畦成形ディスク体3と畦成形ディスク体3の重量とによって、盛土を擦り付ける共に押圧して盛土を締め固める。
第2成形板34は、第2成形板34の板面を第1円錐面の上に引き出して畦の側面に当接させることができる展開状態と、第2成形板34の板面を隙間Gから第1円錐面の内側に引き込んで、第1円錐面を畦の側面に当接する格納状態とがある。第2成形板34の展開状態と格納状態の切換えは、ボルト382を緩めてから行う。ボルト382を緩めると、成形ディスク31は出力軸Hを軸にして、フランジ部402に設けられた長穴403の範囲内で回転が可能である。第2成形板34の展開状態と格納状態の切換え動作は、成形ディスク31を回転させるだけで、複数配置された第2成形板34は同時に行うことができる。成形面の切換えが容易であることは、切換え時間と労力が低減するため、圃場内で作業途中でも成形面の切換えが容易にできる。展開状態及び格納状態の切換え後は、ボルト382を締め込んで固定することで、成形ディスク31と第2成形板34は一体となって回転駆動する。
第2成形板34の格納状態は、第2成形板34に対して成形ディスク31を回転方向R後方に長穴403端部まで回転させることで、第2円錐面313の内側に第2成形板34を引き込んだ形態になる。第2成形板34を格納する際は、連結棒37を軸に固定板35が揺動可能であるため、第2成形板34が第2円錐面313に引っかかることなくスムーズな格納ができる。格納状態の第2成形板34の後端部は、図9に示すように第2円錐面313の前端部近傍に位置している。畦の側面に対し、第2円錐面313の後端部は第2成形板34の後端部より近い位置に設定されている。
第2成形板34の展開状態は、第2成形板34に対して成形ディスク31を回転方向R前方に長穴403端部まで回転させることで、第2円錐面313の畦の側面と接する側を第2成形板34で覆う形態になる。第2成形板34を展開状態は、成形する畦の土壌に水分が多量で軟質な土壌や粘土成分が多量で強粘質な土壌の場合に用いられる。
展開状態の第2成形板34の湾曲された内側の面は、第2円錐面313の回転周方向の前端角部325に当接している。第2成形板34の回転周方向の後端側は、畦に向かうように第2円錐面313から離れている。第2成形板34が畦の側面に対して進行方向と直交する機枠1側の方向に押圧されると、第2円錐面313の第2斜面部321に沿うように押し付けられ、畦の側面に対する接触面積は第2斜面部321より第2成形板34が大きい。第2成形板34は押圧が解除されると、弾性によって元の位置に復帰することができる。
成形ディスク31の回転によって畦の上方へ出てきた第2成形板34は、弾性によって元の形状に復帰する。軟質又は粘土質の土壌での畦の成形作業は、第2成形板34に塗り付けられるように土壌が付着する。第2成形板34に付着した土壌は、第2成形板34の弾性によって撓んだ後端部が元に戻ろうとして、弾かれることで落下する。第2成形板34の畦との接触面を成形ディスク31と異なる樹脂材質とすることで、土壌の早期落下を促すと共に土壌の付着を予防できる。第2成形板34の展開状態での作業は、水分量が多量である又は粘土質成分が多い粘り気の強い土質に好適である。土壌の落下を促して面を露出した第2成形板34は、常に土壌等による凹凸物がない成形面で畦を押圧することができる。したがって、成形面に付着した土壌によって盛土を削ったり、成形後の畦を削ったりすることがない。また、多水分量、又は、多粘土質のため土壌が軟質で成形ディスク31の自重をかけると盛土が崩れるような土壌でも、第2成形板34の弾性によって、畦の成形面への押圧力が発生させるため、畦を強固に成形することができる。
第2成形板と一体になって回転駆動する成形ディスク31は、さらに上面ローラ30を取り付けて畦成形ディスク体3となる。上面ローラ30は、水平方向に向けた円筒状をなし、成形ディスク31の円錐台先端側に取り付けて固定される。上面ローラ30は、畦形成作業時には、外周を元畦上面の盛土に接地させて回転され、新畦の上面を成形する。走行機体Cの動力を得て回転する上面ローラ30と畦成形ディスク体3の重量とによって、盛土を擦り付ける共に押圧して盛土を締め固める。
次に、この実施形態の畦成形機Fによって畦成形作業を行う場合を説明する。図2は作業部Wが走行機体Cの右側にオフセットした状態を示していて、走行機体Cを前進させて作業する前進作業状態を示したものである。この実施形態の畦成形機Fは、旋回フレーム11を左側に旋回させると共に、作業部Wを走行機体Cの前進方向左側にオフセットさせ、さらに作業部Wを走行機体Cの左側反転させた後進作業状態にすることが可能である。後進作業状態では、圃場隅部の残部を処理するために走行機体Cを後進させて作業を行うことが可能である。畦成形作業は、前進作業状態及び後進作業状態ともに、作業部Wを走行機体C側方にオフセットさせ、走行機体Cを元畦に平行に走行させて行う。
第2成形板34が格納状態での畦の側面形成作業時には、第1円錐面312の第1斜面部320と、第2円錐面313の第2斜面部323によって、畦の側面を成形する。第1斜面部320と第2斜面部323の表面は、傾斜している元畦側面の盛土部2で盛り上げた盛土に押圧させ、さらに成形ディスク31を回転させて盛土を締め固める。同時に走行機体Cを進行させることで盛土を連続的に締め固めて、元畦側面上に新畦側面の傾斜面を成形する。成形ディスク31によって成形された新畦の側面は、第1円錐面312と第2円錐面313によって成形するため、2段階に角度が付けられている。畦の上部の角を第1円錐面312で成形することにより、角が崩れにくい畦の成形ができる。成形ディスク31は、畦に押し付けられて畦側面を成形するための必要な強度と重量を有する。第2成形板34が格納状態での畦の側面形成作業は、土壌が石や砂等の硬い異物が多い場合や粘り気の少ない土壌に好適である。畦との当接面が金属である第1円錐面312及び第2円錐面313で畦の側面形成作業行うと、成形ディスク31の自重及び回転駆動によって盛土中の石や砂等の硬い異物を押圧でき、滑らかで強固な畦が成形できる。
畦成形作業中に土質が変化した場合、詳細には、成形する畦の土壌に水分が多量で軟質な土壌や粘土成分が多量で強粘質な土壌の場合は、第2成形板34を展開状態にする。格納状態から展開状態への切換えは、畦の成形作業を一旦停止し、回転基部4とディスク取付基部38を固定しているボルト382を緩めて成形ディスク31を回転させることで容易に可能である。第2成形板34が格納状態での畦側面形成作業は、第2成形板34の後端側を成形ディスク31の隙間Gから回転周後方にせり出し、後端部を第2円錐面313に対し畦側に跳ね上げた状態で行う。第2成形板34は、弾性力によって撓りながら盛土を叩くようにして成形することで、軟質な土壌でも新畦を強固に固める。また、第2成形板34の弾性力は、畦側面を通過後の第2成形板34に張り付いた土を、元の形に復元する際に振り落とし、畦の成形面をきれいに保つ。また、第2成形板34の畦との接触面を成形ディスク31と異なる樹脂材質とすることで、土壌の早期落下を促すと共に土壌の付着を予防できる。
上述の実施形態で説明した第2成形板34は、樹脂からなる材質で構成されているが、これに限定するものではない。図11に示す第1の変形例として、第2成形板34aの本体34bをバネ鋼等の弾性力を有する金属とし、畦と接する面のみを樹脂34cとするものである。これにより、第2成形板34aは弾性力を樹脂からなる材質のみで構成されたものより、組み合わせによって弾性力の特性を自由に変えることが可能である。したがって、畦成形ディスク体3又は畦成形機Fを変更することなく、第2成形板34a変更するのみで、畦を成形する土質の適応性を幅広く受け持たせることができ、経済的である。
また、図12に示す第2の変形例として、成形ディスク30を構成する第2円錐面の前端部と後端部を回転周方向にそれぞれ重ね合わせて重合部Gbを形成したものである。第2円錐面の互いの端部を畦側からの側面視で重ね合わせるものの、重合部Gbは進行方向と直交する方向に離して配置することで、進行方向と直交する方向に隙間G2が形成される。この隙間G2に第2成形面34の前端側を入れることで、第2成形面34は格納状態と展開状態に出し入れができる。畦側からの側面視による重合部Gbは、畦に対する面の開口部を減少させ、成形ディスク30の円錐台状の内側に入る土壌が軽減できる。これにより、作業後に円錐台状の内側土壌を取り除く清掃に要する労力を軽減できる。
10 走行機体装着部
11 旋回フレーム
2 盛土部
3 畦成形ディスク体
30 上面ローラ
31 成形ディスク
310 第1成形板
312 第1円錐面
313 第2円錐面
320 第1斜面部
321 第2斜面部
325 前端角部
34 第2成形板
38 ディスク取付基部
4 回転基部
D 三点リンク機構
E ヒッチ装置
F 畦成形機
G 隙間
H 出力軸
R 回転方向
W 作業部
Claims (7)
- 走行機体に装着される機枠と、
該機枠に設けられ元畦の一部および元畦裾部の圃場の土壌を切削して跳ね上げ元畦に盛土する多数の切削爪を有する耕耘装置を備えた盛土部と、
該盛土部の後方に位置して前記盛土を回転しながら押圧して畦を成形する畦成形ディスク体と、を備えた畦成形機において、
前記畦成形ディスク体は、畦の上面を成形する円筒状の上面ローラおよび畦の側面を成形する成形ディスクを備え、
該成形ディスクは、前記上面ローラの一端側の外周から径を拡大するように円錐状の一部を形成し、回転する周方向に等間隔で放射状に配置された複数の第1成形板と、
前記第1成形板を複数配置させたそれぞれの隣接する端部間に設けられる隙間と、
該隙間から一端側を回転する周方向へ出し入れ自在で複数設けられる第2成形板と、
を備えたことを特徴とした畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第2成形板は分離自在にするための取付面を有し、
前記第2成形板の収納状態及び展開状態へ出し入れする回転軸は前記畦成形ディスク体の回転軸と同一である、
ことを特徴とした請求項1に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第1成形板及び前記第2成形板の畦と接する面はそれぞれ異なる材質である、
ことを特徴とした請求項1及び2に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第2成形板は弾性体である、
ことを特徴とした請求項1乃至3に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第2成形板の畦と接する面は樹脂からなる材質である、
ことを特徴とした請求項1乃至4に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第1成形板は、前記上面ローラの一端側の外周から径を拡大するように重ねながら放射状に配置することによって円錐状の一部を形成した第1円錐面と、
前記第1円錐面から連続して形成され、前記第1円錐面に対して円錐角度が異なる、又は、前記第1円錐面に対して円錐角度が同じ第2円錐面と、を備え、
前記第1円錐面及び前記第2円錐面の回転する周方向の回転方向前方側は低く、回転方向後方側は高く配置された斜面部を有し、
該斜面部は円錐面外側に膨らんだ円弧状に湾曲して形成されている、
ことをさらに特徴とした請求項1乃至5に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。 - 前記第1成形板で形成された円錐状部の内側で回転外周部に取り付けられるリング材と、
をさらに備えたことを特徴とした請求項1乃至6に記載の畦成形機の畦成形ディスク体。
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