JP7053379B2 - 造波実験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、造波実験方法に関し、さらに詳しくは、実際の津波に近い段波波高が時間変化する複雑な目標波形を精度よく再現できる造波実験方法に関するものである。
津波の多くは海底地震による断層運動により発生し、水平スケールでは数十~100kmの範囲で数mの海面の変位が生じて海域全体に津波として伝播していく。津波の周期は数分から数十分と非常に長く、津波の進行方向先端が海底勾配の緩やかな浅海域に到達すると、段波は先端部の段波面からその後方が波状になり、この周期の短い波状の分散波が発達して波状段波となる。さらに波状段波が発達し砕波すると砕波段波となる。波状段波の後方は水位がほぼ一定で波高の変動が小さい波が続いた状態となる。段波の後方に別の段波が発生すると、進行方向前方の段波の後部に別の段波が重なった2段の波状段波を有する複合波が生じる場合もある。このような、波状段波が発生する津波は衝撃段波波力が大きくなるため、検証を行う重要性が高いが、複合波のような複雑な波形の波状段波は、従来提案されている衝撃段波波力の評価式を適用できない場合がある。それ故、実際に造波実験装置で津波を再現して衝撃段波波力を実測して確認する必要がある。しかし、従来の造波実験装置では、実際の津波のような波状段波を有する複雑な複合波形の段波を再現することができず、津波の衝撃段波波力を精度よく実測することができなかった。
本発明の発明者らは、津波波形の進行方向先端部分の立ち上がり波形とその後に続く周期の長い水位変化を連続的に造波することができる造波装置および造波方法を提案している(特許文献1参照)。本発明の発明者らは、特許文献1で提案されている造波装置および造波方法の改良を検討した。その結果、造波区間に形成される段波の段波波高と仕切り板の上方移動量との関係式が記憶させている演算部に、所望の段波波高を入力することで、演算部により、所望の段波波高を有する段波を造波するのに適した仕切り板の上方移動量を算出可能にした。その算出された上方移動量で仕切り板を上下移動させる制御を行うことで、造波区間に所望の段波波高を有する段波が発生することが確認できた。この改良した装置および方法は、所望の段波波高となる段波を発生させることができるので非常に有益である。しかしながら、津波の目標波形における周期が短く波高の高い分散波の波形を精度よく再現することは難しく、段波波高が時間変化する複雑な目標波形を精度よく再現するには、さらなる改善の余地がある。
特開2017-9587号公報
本発明の目的は、実際の津波に近い段波波高が時間変化する複雑な目標波形を一段と精度よく再現できる造波実験方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の造波実験方法は、幅方向寸法が一定の水槽の内部に、この水槽の長手方向に間隔をあけて堰部と貯水部とを配置して、この貯水部の前記堰部側の面を構成する仕切り板と前記堰部との間に造波区間を形成し、前記造波区間に所定水深の水が存在する状態で、前記仕切り板を上方移動させて前記仕切り板の下端と前記水槽の底面との間に形成した開口から前記貯水部の水を前記堰部に向かって流出させ、この流出させた水によって前記造波区間に段波を発生させる造波実験方法において、造波実験を行う前に、前記造波区間に発生する段波の段波波高と、その段波波高を発生させるために必要な前記開口から流出させる水のゲート流量との予め把握されている第1関係式に、目標波形データの所定の単位時間間隔毎の平均の前記段波波高を代入することにより、前記単位時間間隔毎の前記ゲート流量を算出して、前記目標波形データの段波を造波するのに必要な前記ゲート流量の時間推移を示す造波データを作成し、前記ゲート流量と前記仕切り板の上方移動量との予め把握されている第2関係式に、前記造波データの前記単位時間間隔毎の前記ゲート流量を代入することにより、前記単位時間間隔毎の前記上方移動量を算出して、その算出した前記単位時間間隔毎の前記上方移動量に基づいて前記仕切り板を上下移動させ、その際に前記仕切り板の上下移動速度を複数に異ならせた条件下で形成された段波の前記造波区間の所定位置における複数の波形データを事前波形データとして取得する事前データ取得工程を行い、それぞれの前記事前波形データと前記目標波形データとの比較に基づいて、前記目標波形データに対応する前記上下移動速度を推定し、造波実験を行う際には、前記第2関係式が記憶されている演算部に、前記造波データを入力することにより、その入力された前記造波データと前記第2関係式とから、前記演算部により前記仕切り板の前記単位時間間隔毎の前記上方移動量を算出し、その算出した前記単位時間間隔毎の前記上方移動量および前記推定された前記上下移動速度で、前記仕切り板を上下移動させる制御を行うことを特徴とする。
本発明の造波実験方法によれば、造波実験を行う前に、事前データ取得工程で取得した仕切り板の上下移動速度の条件が異なる複数の事前波形データと、目標波形データとの比較を行うことで、造波区間の所定位置における分散波の波形を目標波形に近似させるのに適した仕切り板の上下移動速度を推定することができる。そして、造波実験を行う際には、第2関係式が記憶されている演算部に造波データを入力して算出される仕切り板の単位時間間隔毎の上下移動量と、予め推定した仕切り板の上下移動速度で、仕切り板を上下移動させる制御を行うことで、事前波形データを取得した位置において、目標波形データと単位時間間隔毎の段波波高が概ね一致し、分散波の波形が目標波形データに近似する段波を発生させることができる。
本発明の造波実験方法で使用する造波実験装置の実施形態を水槽長手方向断面視で例示する説明図である。 図1の造波実験装置の水槽およびその内部の状態を平面視で例示する説明図である。 段波の波形と段波の単位時間間隔の平均の段波波高を示す波形図である。 目標波形データと目標波形データの単位時間間隔の平均の段波波高を示す波形図である。 図1の造波実験装置で造波した段波とその段波の単位時間間隔の平均の段波波高を示す説明図である。 段波発生プロセスを簡易化した計算モデルを例示する説明図である。 図6のβ矢視図である。 目標波形データと造波データを示すグラフ図である。 事前データ取得工程で取得した仕切り板の上下移動速度の条件が異なる複数の事前波形データと、目標波形データとを重ねて示す波形図である。 仕切り板の上下移動速度と、目標波形データおよび事前波形データの誤差の関係を示すグラフ図である。
以下、本発明の造波実験方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
本発明の造波実験方法は、図1および図2に例示する造波実験装置1を使用して段波Bを発生させる。造波実験装置1は、堰部3が内部に配置された水槽2と、水槽2の内部に堰部3に対して水槽2の長手方向に間隔をあけて設置される貯水部4と、貯水部4の堰部3側の面を構成する仕切り板5と、仕切り板5と堰部3との間に形成された造波区間6とを備えている。この造波実験装置1はさらに、仕切り板5を上下移動させる移動機構7と、入力された段波波高に基づいて仕切り板5の上方移動量を算出する演算部8と、移動機構7による仕切り板5の上下移動速度を設定する設定部9と、移動機構7を制御する制御部10と、を備えている。
尚、図中の矢印Xは水槽2の長手方向、矢印Yは水槽2の幅方向、矢印Zは上下方向を示している。以下では、発生させる段波Bの進行方向先端側(堰部3側)を下流側といい、発生させる段波Bの進行方向後端側(貯水部4側)を上流側という。
この実施形態の造波実験装置1は、さらに、貯水部4の水位を測定する水位計12aと、造波区間6の水位を測定する水位計12bと、造波した段波Bの波高を測定する波高計13(13a~13g)とが設けられている。造波実験装置1には、さらに、貯水部4から流出させた水Wを再び貯水部4に循環させる循環手段15と、循環手段15から貯水部4に供給される流量を計測する流量計16と、水槽2の底面2aに対する仕切り板5の上方移動量(水槽2の底面2aから仕切り板5の下端5aまでの上下方向の距離)を測定する測定機器18とが設けられている。
水槽2は上面を開口した直方体形状であり、幅寸法Lは一定である。水槽2のYZ平面における断面形状は、水槽2のX方向において一定になっている。水槽2の底面2aは水平になっていて、底面2aの上に水底の地形を再現する底上げ部材2bが設置されている。底上げ部材2bは、造波区間6の上流側に、上流側から下流側に向かって上方傾斜する傾斜部を有しており、傾斜部の下流側に堰部3まで延在する水平部を有している。底上げ部材2bの傾斜部の上流側端部は底面2aに対して1/10の勾配となっている。傾斜部の上流側端部よりも下流側の部分は底面に対して1/50の勾配となっている。底上げ部材2bの勾配や高さなどの寸法は再現したい地形に応じて適宜決定できる。
堰部3は、水槽2の下流側に配置されている。堰部3は、底面2aから上方に延設され、水槽2の幅方向全長に延びている。堰部3は、底上げ部材2bの上端面よりも上方に突出している。この実施形態では、水槽2の下流側の壁面から離間した位置に堰部3が配置されており、水槽2の下流側の壁面と堰部3との間に、堰部3を越えた水Wを溜める溜水部14が設けられている。堰部3を底上げ部材2bの上端面上に設置する構成にすることもできる。堰部3の高さは再現したい地形の水深や縮尺に応じて適宜決定できる。堰部3に高さを変更可能な機構を設けることもできる。
貯水部4は、水槽2の幅方向全長に延びる仕切り板5と、仕切り板5と水槽2の上流側の壁面と、水槽2の側壁面とで構成されている。仕切り板5は、下方移動するとその下端5aが水槽2の底面2aに当接する。この仕切り板5と水槽2の上流側の壁面とで水槽2の長手方向の一部が区画されて貯水部4が形成されている。この実施形態では、仕切り板5と底上げ部材2bは水槽2の長手方向に離間して配置されている。
移動機構7は、仕切り板5を上下移動させる際の底面2aからの上方移動量と上下移動速度を変更可能な構成になっている。移動機構7は、例えば、電動シリンダや油圧式シリンダ等のアクチュエータで構成される。この実施形態では、水槽2に対して仕切り板5および移動機構7を着脱可能に固定する固定フレーム17aと、貯水部4の水圧を受ける耐水圧フレーム17bとが設けられている。耐水圧フレーム17bと仕切り板5との間には、仕切り板5の上下移動をガイドするベアリング付きレールが設けられている。
この造波実験装置1では、造波する段波Bの大きさや段波Bを造波する継続時間に応じて、仕切り板5の設置位置を水槽2の長手方向に変更して貯水部4の貯水容量を変更することができる。仕切り板5は、底上げ部材2b上に配置することもできる。仕切り板5を底上げ部材2b上に配置する場合には、仕切り板5の上方移動量は、底上げ部材2bの上面から仕切り板5の下端5aまでの上下方向の距離となる。
循環手段15は、溜水部14と貯水部4とを繋ぐ導水管15aと、導水管15aに接続されるポンプ15bとで構成されている。この循環手段15により、溜水部14に溜まった水Wを吸引し、貯水部3の下部に設けられた排出口から貯水部3に水Wを供給する。導水管15aには、流量計16が接続されている。
この実施形態では、演算部8、設定部9、および制御部10が1台のパーソナルコンピュータで構成され、演算部8および設定部9に入力および出力されるデータが、モニタ11に表示されるようになっている。さらに、モニタ11には、波高計13(13a~13g)で取得した段波Bの波形データが表示されるようになっている。演算部8、設定部9、および制御部10は、それぞれ別の機器に分担させることもできる。制御部10には、移動機構7、演算部8、設定部9、ポンプ15b、および測定機器18がそれぞれ有線または無線で接続されており、演算部8には、水位計12a、12bおよび流量計16が有線または無線で接続されている。
この実施形態では、水位計12a、12bとして超音波距離計を用い、波高計13(13a~13g)として容量式波高計を用いている。水位計12a、12bおよび波高計13としては他のセンサや測定器等を用いることもできる。水位計12a、12bおよび波高計13は例えば、水槽2の上端で幅方向に架けられた梁を介して水槽2の幅方向中央部に取付けられる。
この実施形態では、造波区間6における底上げ部材2bよりも上流側の位置に水位計12bと波高計13aが設置されている。そして、底上げ部材2bの傾斜部と水平部との境目の位置に波高計13bが配置されており、波高計13bよりも下流側に波高計13c~13gが水槽2の長手方向に互いに一定の間隔をあけて配置されている。水位計および波高計の設置台数や設置位置等は、実験内容や水槽2のサイズ等によって適宜決定できる。測定機器18としては例えば、レーザー変位計を用いることができる。測定機器18は例えば、仕切り板5の上部に取付けられる。
図3の実線は段波Bの波形を例示しており、一点鎖線は段波Bの単位時間間隔毎の平均の水位を示している。図3に示すように、本発明では、段波Bの単位時間間隔毎の平均の水位h(t)から初期水位h(t)を引いた高さを単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)とする。例えば、時間t~tにおける平均の段波波高H(t)は、時間t~tにおける段波Bの平均水位h(t)から初期水位h(t)を引いた高さとなる。この実施形態では、単位時間を1秒とした場合を例示するが、単位時間は任意に設定することができる。
図4の実線は、造波実験で再現する目標波形データBAの波形を例示し、破線は目標波形データBAの単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)を示している。この実施形態で再現する目標波形データBAは、進行方向前方に発生する1段目の段波Bの後部に、2段目の段波Bが重なった複合波になっている。この目標波形データBAは、1段目の段波Bの先端部に複数の分散波を含んだ波状段波が発生し、1段目の段波Bに重なった2段目の段波Bの先端部にも複数の分散波を含んだ波状段波が発生した波形となっている。
図4に示すように、本発明では、1段目の段波Bの分散波第1波B11(先端の分散波)が最大波高ηm1となる時間を第1到達時間tm1とし、2段目の段波Bの分散波第1波B21が最大波高ηm2となる時間を第2到達時間tm2とする。2段目の段波Bの分散波第1波B21は、例えば、1段目の段波Bの分散波第1波B11の最大波高ηm1よりも高い波高を有する分散波とする。第1到達時間tm1から第2到達時間tm2までの時間間隔は時間間隔Tとする。
図5に示すように、造波実験装置1の仕切り板5を上方移動させ、仕切り板5の下端5aと水槽2の底面2aとの間に開口Pを形成すると、開口Pを通じて貯水部4の中の水Wが造波区間6に向かって流出して段波Bが形成される。そして、造波区間6に形成された段波Bが伝播するにつれて分散波が発達し、造波した段波Bの進行方向最先端部に、分散波を含んだ波状段波が発生する。図5の実線は造波した段波Bの波形を例示しており、一点鎖線は段波Bの単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)を示している。
本発明の造波実験方法では、目標波形データBAの単位時間間隔毎の段波波高H(t)を造波するのに必要な所定の単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を示す造波データを作成する。そして、その作成した造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)になるように、仕切り板5の単位時間間隔毎の上方移動量a(t)を制御することで、造波実験装置1によって造波する段波Bの単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)を目標波形データBAに近似させる。
さらに、本発明では、造波実験装置1によって造波する段波Bの分散波の発達の早さが目標波形データBAに近似するように仕切り板5を上下移動させる際の上下移動速度Gsを適切な速度に調整することで、造波実験装置1によって造波する段波Bの分散波の波形を目標波形データBAに近似させる。分散波の波形を目標波形データBAに近似させるのに適切な仕切り板5の上下移動速度Gsは、造波実験前に事前データ所得工程を行って推定する。事前データ所得工程の詳細については、後述する。
本発明では、前述した造波データの作成と仕切り板5の上下移動の制御を、移動機構7、演算部8、設定部9、および制御部10によって行う。演算部8には、造波区間6に発生する段波Bの段波波高H(t)とその段波波高H(t)を発生させるために必要な開口Pから流出させる水Wのゲート流量Q(t)との関係式である第1関係式と、開口Pから流出させる水Wのゲート流量Q(t)と仕切り板5の上方移動量a(t)との関係式である第2関係式が記憶されている。第1関係式は下記の(1)式であり、第2関係式は下記の(2)式および(3)式である。
Figure 0007053379000001
Figure 0007053379000002
ここで、Lは水槽2の幅寸法、gは重力加速度、hは開口Pを形成する前の造波区間6における水槽2の底面2aに対する所定初期水深、h(t)は貯水部4における水深、H(t)は単位時間間隔毎の平均の段波波高、a(t)は仕切り板5の水槽2の底面2aからの上方移動量、Cは流量係数であり下記(3)式により算出される。
Figure 0007053379000003
ここで、Cは縮流係数、h(t)は仕切り板5の下流側の水深であり、h(t)=H(t)+hである。
(1)式は、長方形水路において段波波高H(t)を発生させるために必要な水Wのゲート流量Q(t)を算出する式である。図6および図7に示すように、(1)式は、段波発生プロセスを簡易化した計算モデルに基づいて導出している。図6では、初期の水面を実線で示している。図6に示すように、幅方向寸法が一定の造波区間6(一様断面水路)における段波Bの伝搬速度をωとし、段波Bが発生する前の下流側の断面α0の流水面積、流速、流量をそれぞれA、v、Qとし、段波B発生後の流れにおける断面α2の流水面積、流速、流量をそれぞれA、v、Qとする。
段波Bの進行方向において、断面α0と断面α2の間に位置する断面α1を、断面α0から上流側へl離れ、かつ、断面α2から下流側へl離れた初期の段波Bの不連続面として、単位時間後の水面を一点鎖線とすると、連続式は下記(4)式となる。
Figure 0007053379000004
そして、(4)式を式変形すると下記(5)式となる。
Figure 0007053379000005
ここで、Qは置換流量である。
単位時間における運動量の変化が両端の断面α0、断面α2にそれぞれ働く水圧の差に等しいとする運動量方程式は、下記(6)式となる。
Figure 0007053379000006
圧力は静水圧分布の下記(7)式に従うので、運動量方程式は(6)式および(7)式から下記(8)式となる。
Figure 0007053379000007
ここで、yは底面2aから上方向への距離である。
Figure 0007053379000008
図7に示すように、hG0、hG1は、それぞれ断面α0、断面α2における水表面から図心(重心位置)までの深さである。
前述した(5)式より、伝搬速度ωは下記(9)式で表される。
Figure 0007053379000009
ここで、qおよびqは、単位置換流量である。
また、(5)式と(8)式とからvを消去し、長方形水路の段波としてhG0=h/2、hG1=h(t)/2とおき、h(t)=H(t)+hとすると、伝搬速度ωは下記(10)式で表される。
Figure 0007053379000010
なお、(10)式における「±(プラスマイナス)」部分の符号を「+(プラス)」とした式が下流側に伝わる段波Bの伝搬速度ωを示し、「-(マイナス)」とした式が上流側に伝わる段波Bの伝搬速度ωを示している。ここでは、下流側に伝わる段波Bの伝搬速度ωを示す下記(10)’式を用いる。
Figure 0007053379000011
ここで、(9)式と(10)’式とからωを消去し、q=0、v=0、水槽2の幅寸法をLとすると、断面α2における段波波高H(t)の造波に必要なゲート流量Q(t)の算出式(1)が求められる。
Figure 0007053379000012
(2)式および(3)式は、開口Pを通過して貯水部4から造波区間6に流出する水Wのゲート流量Q(t)を算出する式であり、Henry型のスルースゲートのもぐり流出による流量式から導出している。
演算部8は、目標波形データBAが入力されると、その入力された目標波形データBAの所定の単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)を算出して第1関係式((1)式)に代入し、単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を算出する。そして、図8に示すような、目標波形データBAの段波Bを造波するのに必要なゲート流量Q(t)の時間推移を示す造波データを作成する。図8の実線は目標波形データBAを示しており、破線は造波データを示している。
さらに、演算部8は、移動機構7を制御する制御部10に造波開始の指令が入力されると、作成した造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を第2関係式((2)式)に代入することにより、単位時間間隔毎の仕切り板5の上方移動量a(t)を算出し、その算出した単位時間間隔毎の上方移動量a(t)を制御部10に逐次入力する構成になっている。
設定部9は、仕切り板5の上下移動速度Gsを設定する。設定部9は、上下移動速度Gsを一定に設定することもできるし、上下移動速度Gsの所定の経過時間毎の時間推移を示すデータを入力することで、上下移動速度Gsを所定の経過時間毎に設定することもできる。設定部9によって仕切り板5の上下移動速度Gsが設定されると、その設定された上下移動速度Gsが制御部10に入力される。制御部10は、演算部8で算出された単位時間間隔毎の上方移動量a(t)と、設定部9で設定された上下移動速度Gsと、測定機器18の測定データとに基づいて、移動機構7に対して仕切り板5を上下移動させる指令を出す。
この実施形態の演算部8は、さらに、作成した造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を制御部10に入力する。制御部10は、仕切り板5を上方移動させる造波開始直後に、ポンプ15bに対して、造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)と同じ流量の水Wを貯水部4に供給させる指令を出す。ポンプ15bによる供給流量は流量計16によって測定され、逐次演算部8に入力される。
本発明の造波実験方法では、この造波実験装置1を使用して、造波区間6の長手方向の所定位置における波形が、津波の目標波形データBAに近似する段波Bを発生させる。本発明の造波実験方法の手順を以下に説明する。
本発明では、造波実験を行う前に、事前データ取得工程を行う。事前データ取得工程では、まず、第1関係式((1)式)に、目標波形データBAの所定の単位時間間隔毎の平均の段波波高H(t)を代入することにより、単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を算出する。そして、図8に示すような、目標波形データBAの段波Bを造波するのに必要なゲート流量Q(t)の時間推移を示す造波データを作成する。
そして、第2関係式((2)式および(3)式)に、作成した造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)を代入することにより、単位時間間隔毎の仕切り板5の上方移動量a(t)を算出する。そして、その算出した単位時間間隔毎の上方移動量a(t)に基づいて、仕切り板5の上下移動速度Gsを複数に異ならせた条件下で仕切り板5を上下移動させて、段波Bを複数回形成する。そして、図9に例示するように、上下移動速度Gsの条件が異なる段波Bの造波区間6の長手方向の所定位置における複数の波形データを事前波形データγ(γA~γE)として取得する。この所定位置は、目標波形データBAの段波Bを再現する所望の観測位置であり、任意に設定することも予め設定することもできる。
図9では、目標波形データBAを細い実線で示し、事前波形データγを太い実線で示している。γA~γEは、仕切り板5の上下移動速度Gsをそれぞれ5mm/s、20mm/s、35mm/s、50mm/s、65mm/sに設定した同じ所定位置における事前波形データγを示している。事前データ取得工程で設定する上下移動速度Gsの数値や、事前データ取得工程で取得する事前波形データγの数などは、目標波形データBAや造波実験1のサイズなどに応じて適宜決定できる。
以下では、事前データ取得工程を、造波実験装置1を使用して行う場合の具体的な作業手順を図1および図2を参照して説明する。まず、仕切り板5の下端5aを水槽2の底面2aに当接させた状態で貯水部4に水Wを十分に貯めておき、堰部3と仕切り板5とで仕切られた造波区間6に所望の初期水深hまで水Wを張る。貯水部4における水深h(t)は水位計12aによって計測され、演算部8に入力される。開口Pを形成する前の造波区間6における底面2aに対する所定初期水深hは、水位計12bによって計測され、演算部8に入力される。そして、演算部8に目標波形データBAを入力し、設定部9に任意の上下移動速度Gsを入力する。演算部8に目標波形データBAが入力されると、演算部8により造波データが作成される。設定部9によって上下移動速度Gsが設定されると、その上下移動速度Gsが制御部10に入力される。さらに、この実施形態では、作成された造波データの単位時間間隔毎のゲート流量Q(t)が演算部8から制御部10に入力され、ポンプ15bの単位時間間隔毎の供給流量の設定が行われる。
そして、造波区間6において目標波形データBAの波形を再現する観測位置を決定し、その観測位置に波高計13をセッティングする。この実施形態では、観測位置を底上げ部材2aの傾斜部と水平部の境目の位置とし、その上方に波高計13bを設置している。
次いで、制御部10に造波開始の指令を入力する。制御部10に造波開始の指令が入力されると、演算部8は第2関係式((2)式および(3)式)と造波データとから、単位時間間隔毎の仕切り板5の上方移動量a(t)を算出する。演算部8によって算出された上方移動量a(t)は単位時間間隔毎に制御部10に入力される。そして、演算部8から入力された上方移動量a(t)まで、設定部9で設定された上下移動速度Gsで仕切り板5を上下移動させる指令が、制御部10から移動機構7に単位時間間隔毎に入力される。
これにより、移動機構7によって仕切り板5が、単位時間間隔毎に設定された上方移動量a(t)となるように上下移動し、仕切り板5の下方に形成された開口Pから貯水部4内の水Wが造波区間6に流出する。貯水部4から流出させた水Wは造波区間6を堰部3(下流側)に向かって流れて段波Bを形成する。そして、観測位置に設置した波高計13bによって造波した段波Bの波形データを事前波形データγとして取得する。
造波区間6を通過し、堰部3を超えた段波Bは溜水部14に流れ込む。溜水部14に流れ込んだ水Wは、導水管15aを通してポンプ15bによって吸引され、再び貯水部4に供給される。この際、演算部8、制御部10、および流量計16によって、単位時間間隔毎に造波データのゲート流量Q(t)と同じ供給流量で貯水部4に水を供給することで、貯水部4の水深h(t)を一定にするポンプ15bの流量制御が行われる。
ポンプ15bの流量制御を行う場合にも、ポンプ15bの機械特性から急激な流量変化に対応することが難しいため、貯水部4の水深h(t)が変化する場合がある。それ故、貯水部4の水深h(t)が変化した場合には、演算部8により、その変化した貯水部4の水深h(t)を代入した第2関係式から、仕切り板5の上方移動量a(t)が算出される。水槽2内の水Wは貯水部4から流出されてから貯水部4に戻るまでの上記の工程を繰り返し、循環する。
前述した事前波形データγの取得作業を、設定部9に入力する仕切り板5の上下移動速度Gsを変えて複数回行い、図9に例示するように、仕切り板5の上下移動速度Gsが異なる複数の事前波形データγを取得する。そして、その取得したそれぞれの事前波形データγ(γA~γE)と目標波形データBAとの比較に基づいて、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsを推定する。
図9に示すように、仕切り板5の上下移動速度Gsが遅いほど、分散波の発達が遅く、第1到達時間tm1から第2到達時間tm2までの時間間隔Tは長くなり、1段目の段波Bの分散波第1波B11の最大波高ηm1は低くなる。2段目の段波Bの分散波第1波B21の最大波高ηm2も同様に上下移動速度Gsが遅いほど、概ね最大波高ηm2も低くなる傾向を示す。逆に仕切り板5の上下移動速度Gsが速いほど、分散波の発達が早く、時間間隔Tは短くなり、最大波高ηm1と最大波高ηm2は高くなる傾向を示す。上下移動速度Gsを5mm/sとした事前波形データγAのように、上下移動速度Gsが極端に遅い場合には、分散波が発達せず、波状段波を有しない波形となる。
この実施形態では、上下移動速度Gsを35mm/sとした事前波形データγCの時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2が、目標波形データBAの時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2に近く、全体的な波形が目標波形データBAに最も近似している。それ故、この実施形態では、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsは35mm/sであると推定できる。
仕切り板5の上下移動速度Gsと時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2は相関関係を有しているので、目標波形データBAに近い2つの事前波形データγに基づいて、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsを推定することもできる。具体的には、例えば、事前データ取得工程において、上下移動速度Gsを35mm/sとした場合のような目標波形データBAに近似する事前波形データγCを取得していなかった場合にも、目標波形データBAと事前波形データγの時間間隔Tを比較することで、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsが20mm/sと50mm/sとの間の35mm/s程度であると推定できる。
次いで、造波実験を行う際には、演算部8に造波データを入力し、設定部9には予め推定した仕切り板5の上下移動速度Gsの条件を入力する。この実施形態の場合には、設定部9により仕切り板5の上下移動速度Gsを35mm/sに設定する。そして、波高計13や、段波Bの影響を観測する測定対象物Mなど(港湾構造物の模型等)を予め設定した観測位置にセッティングし、事前データ取得工程と同様の手順で造波実験装置1により、造波区画6に段波Bを発生させる。
造波実験においては、制御部10による制御により、演算部8が造波データと第2関係式とから算出した仕切り板5の単位時間間隔毎の上方移動量a(t)と、設定部9により設定された予め推定した上下移動速度Gsとに基づいて、仕切り板5を上下移動させる制御が行なわれる。これにより、観測位置における波形が目標波形データBAに近似する段波Bが継続的に形成される。造波実験では、目的に応じて、観測位置において段波Bと測定対象物Mとが衝突している状況のデータなどを波高計13等で記録し、分析を行う。
このように、本発明によれば、造波実験を行う前に、事前データ取得工程で取得した仕切り板5の上下移動速度Gsの条件が異なる複数の事前波形データγ(γA~γE)と、目標波形データBAとの比較を行うことで、造波区間6の所定位置における分散波の波形を目標波形データBAに近似させるのに適した仕切り板5の上下移動速度Gsを推定することができる。
そして、造波実験を行う際には、第2関係式が記憶されている演算部8に造波データを入力して算出される仕切り板5の単位時間間隔毎の上下移動量a(t)と、予め推定した仕切り板5の上下移動速度Gsで、仕切り板5を上下移動させる制御を行うことで、事前波形データγを取得した位置において、目標波形データBAと単位時間間隔毎の段波波高H(t)が概ね一致し、分散波の波形が目標波形データBAに近似する段波Bを発生させることができる。このように、本発明は、造波区間6の所定位置において、波状段波を有する複雑な目標波形の段波Bを一段と精度よく再現できるので、津波による被災原因の検証実験や、防波堤の設計検討実験などに非常に有用である。
また、従来の伝搬距離を変える分散波波高の調整方法では、実験を行う前に、波高計の設置位置を変えながら造波を繰り返し行い、造波実験装置で発生させる段波Bの分散波の波形が目標波形データBAに比較的近くなる位置を探して、その位置を観測位置に設定していた。そのため、目標波形データBAに近い波形となる観測位置が、堰部3に近い下流側の位置である場合には、段波Bが観測位置に到達してから、段波Bが堰部3から反射する反射波の影響を受けるまでの時間が短く、目標波形データBAに近い波形の段波Bを長時間再現することが困難になる。一方、本発明では、目標波形データBAの段波Bを再現する観測位置を造波区間6の所望の位置に設定できるので、堰部3から離れた上流側に観測位置を設定することで、目標波形データBAの段波Bを長時間再現することが可能となる。
この実施形態のように、事前データ取得工程を、造波実験を行う造波実験装置1を使用して行うと、造波実験と同じ条件で、事前波形データγを取得することができる。それ故、目標波形データBAの段波Bを再現するのに適した上下移動速度Gsを精度よく推定するには有利になる。
事前データ取得工程は、コンピュータシミュレーションによって行うこともできる。造波実験を行う造波実験装置1の造波条件(水槽の幅や初期水位など)をコンピュータ上で再現し、仕切り板5の上下移動速度Gsを複数に異ならせた条件下でシミュレーションすることで、複数の事前波形データγを取得することができる。コンピュータシミュレーションを使用する場合は造波実験装置1を使用する場合に比して、多様な条件を試みることが容易になる。
この実施形態では、事前データ取得工程で取得した複数の事前波形データγと目標波形データBAとを、互いの時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2を総合的に比較して全体的な波形が目標波形データBAに最も近似している事前波形データγの上下移動速度Gsを、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsとして推定したが、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsを推定する基準は、造波実験の目的に応じて適宜決定できる。
例えば、複数の事前波形データγにおいて、時間間隔Tが目標波形データBAの時間間隔Tに最も近い事前波形データγの上下移動速度Gsを、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsとして推定することもできる。また、段波Bを構成する分散波の最大波高η(例えば、最大波高ηm1や最大波高ηm2)が目標波形データBAの最大波高ηに最も近い事前波形データγの上下移動速度Gsを、目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsとして推定することもできる。
図10に例示するグラフ図のように、目標波形データBAとそれぞれの事前波形データγとの時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2に関するそれぞれの誤差を比較すると、時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2をそれぞれ目標波形データBAに近似させるのに有利な上下移動速度Gsを簡易に推定できる。
図10の縦軸は、事前波形データγの実験値を目標波形データBAの目標値で割った比を示しており、1に近いほど目標波形データBAと事前波形データγとの誤差が小さいことを示している。図10の一点鎖線が時間間隔Tを示し、破線が最大波高ηm1を示し、実線が最大波高ηm2を示している。図10の黒丸印はそれぞれ、時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2がそれぞれ目標波形データBAと事前波形データγとで最も近くなる上下移動速度Gsを示している。図10では、上下移動速度Gsの条件を5mm/sから70mm/sまで5mm/sずつ変えた計14通りの事前波形データγの結果を示している。図10のグラフから、時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2をそれぞれ目標波形データBAに最も近似させるのに有利な上下移動速度Gsはそれぞれ、35mm/s、20mm/s、15mm/sであると推定できる。
この実施形態のように、造波実験中の仕切り板5の上下移動速度Gsを一定とすると、非常に簡易な制御で目標波形データBAの段波Bを再現することができる。
本発明では、段波Bを発生させる所定の経過時間毎にそれぞれ目標波形データBAに対応する上下移動速度Gsを推定し、造波実験中に、仕切り板5の上下移動速度Gsを所定の経過時間毎に変化させる構成にすることもできる。所定の経過時間毎に仕切り板5の上下移動速度Gsを変化させることで、造波実験で発生させる段波Bの時間間隔T、最大波高ηm1、および最大波高ηm2などをそれぞれより詳細に調節することが可能となるので、目標波形データBAの段波Bをより精度よく再現するには有利になる。
上記で例示した実施形態では、目標波形データBAが1段目の段波Bと2段目の段波Bが重なる複合波である場合を例示したが、本発明の造波実験方法では、目標波形データBAが、単波の場合や3つ以上の段波が重なる複合波の場合にも同様の方法で目標波形データBAの段波Bを再現することが可能である。
1 造波実験装置
2 水槽
2a(水槽の)底面
2b 底上げ部材
3 堰部
4 貯水部
5 仕切り板
5a (仕切り板の)下端
6 造波区間
7 移動機構
8 演算部
9 設定部
10 制御部
11 モニタ
12a、12b 水位計
13(13a~13g) 波高計
14 溜水部
15 循環手段
15a 導水管
15b ポンプ
16 流量計
17a 固定フレーム
17b 耐水圧フレーム
18 測定機器
P 開口
W 水
B 段波
BA 目標波形データ
1段目の段波
11 1段目の段波の分散波第1波
2段目の段波
21 2段目の段波の分散波第1波
γ(γA~γE) 事前波形データ
M 測定対象物

Claims (8)

  1. 幅方向寸法が一定の水槽の内部に、この水槽の長手方向に間隔をあけて堰部と貯水部とを配置して、この貯水部の前記堰部側の面を構成する仕切り板と前記堰部との間に造波区間を形成し、前記造波区間に所定水深の水が存在する状態で、前記仕切り板を上方移動させて前記仕切り板の下端と前記水槽の底面との間に形成した開口から前記貯水部の水を前記堰部に向かって流出させ、この流出させた水によって前記造波区間に段波を発生させる造波実験方法において、
    造波実験を行う前に、前記造波区間に発生する段波の段波波高と、その段波波高を発生させるために必要な前記開口から流出させる水のゲート流量との予め把握されている第1関係式に、目標波形データの所定の単位時間間隔毎の平均の前記段波波高を代入することにより、前記単位時間間隔毎の前記ゲート流量を算出して、前記目標波形データの段波を造波するのに必要な前記ゲート流量の時間推移を示す造波データを作成し、前記ゲート流量と前記仕切り板の上方移動量との予め把握されている第2関係式に、前記造波データの前記単位時間間隔毎の前記ゲート流量を代入することにより、前記単位時間間隔毎の前記上方移動量を算出して、その算出した前記単位時間間隔毎の前記上方移動量に基づいて前記仕切り板を上下移動させ、その際に前記仕切り板の上下移動速度を複数に異ならせた条件下で形成された段波の前記造波区間の所定位置における複数の波形データを事前波形データとして取得する事前データ取得工程を行い、それぞれの前記事前波形データと前記目標波形データとの比較に基づいて、前記目標波形データに対応する前記上下移動速度を推定し、
    造波実験を行う際には、前記第2関係式が記憶されている演算部に、前記造波データを入力することにより、その入力された前記造波データと前記第2関係式とから、前記演算部により前記仕切り板の前記単位時間間隔毎の前記上方移動量を算出し、その算出した前記単位時間間隔毎の前記上方移動量および前記推定された前記上下移動速度で、前記仕切り板を上下移動させる制御を行うことを特徴とする造波実験方法。
  2. 前記第1関係式が、長方形水路において前記段波波高を発生させるために必要な水の前記ゲート流量Q(t)を算出する下記(1)式であり、
    前記第2関係式が、前記開口を通過して前記貯水部から前記造波区間に流出する前記ゲート流量Q(t)を算出する下記(2)式であることを特徴とする請求項1に記載の造波実験方法。
    Figure 0007053379000013
    Figure 0007053379000014
    ここで、Lは前記水槽の幅寸法、gは重力加速度、hは前記開口を形成する前の前記造波区間における前記水槽の底面に対する所定初期水深、h(t)は前記貯水部における水深、H(t)は前記単位時間間隔毎の平均の前記段波波高、a(t)は前記仕切り板の前記水槽の底面からの前記上方移動量、Cは流量係数であり下記(3)式により算出される。
    Figure 0007053379000015
    ここで、Cは縮流係数、h(t)は前記仕切り板の下流側の水深であり、h(t)=H(t)+hである。
  3. 前記事前データ取得工程を、前記造波実験を行う造波実験装置を使用して行う請求項1または2に記載の造波実験方法。
  4. 前記事前データ取得工程を、コンピュータシミュレーションによって行う請求項1または2に記載の造波実験方法。
  5. 前記事前データ取得工程で取得した前記事前波形データにおいて、前記段波の分散波の最大波高が前記目標波形データの前記段波の分散波の最大波高に最も近い前記事前波形データにおける前記上下移動速度を、前記目標波形データに対応する前記上下移動速度として推定する請求項1~4のいずれかに記載の造波実験方法。
  6. 前記目標波形データおよび前記事前波形データが複数の段波が重なった複合波である場合に、進行方向前方に発生する1段目の段波の分散波第1波が最大波高となる時間から、その1段目の段波の後方に重なる2段目の段波の分散波第1波が最大波高となる時間までの時間間隔が、前記目標波形データの前記時間間隔と最も近い前記事前波形データにおける前記上下移動速度を、前記目標波形データに対応する前記上下移動速度として推定する請求項1~5のいずれかに記載の造波実験方法。
  7. 造波実験中の前記上下移動速度を一定とする請求項1~6のいずれかに記載の造波実験方法。
  8. 段波を発生させる所定の経過時間毎にそれぞれ前記目標波形データに対応する前記上下移動速度を推定し、造波実験中に、前記上下移動速度を前記所定の経過時間毎に変化させる請求項1~6のいずれかに記載の造波実験方法。
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