JP6092016B2 - 津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置 - Google Patents

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Description

本発明は、津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、陸上構造物の津波に対する耐性の実験的な評価に用いて好適な技術に関する。
個々の陸上構造物の津波に対する耐性を実験的に評価するには、周辺地形等の影響が反映された流れの条件下において構造物に作用する圧力を計測する必要がある。このような実験手法としては、対象構造物を含む周辺の地形を模型化して広域での津波氾濫流を平面水槽で全体的に再現し、対象構造物に作用する圧力を計測する手法がある。ただしこの手法では、構造物及び流れの空間スケールが小さくなるため、構造物面における圧力の計測精度に支障が生じる。この問題を解決する手法として、まず、広域を対象とした津波氾濫流の数値解析を実施し、次に、数値解析から得られた対象構造物近傍での流れを実験水路で部分的に再現することにより、実規模に近い津波氾濫流に対する構造物の耐性を実験的に評価できると考えられる。
任意の波形の津波を発生させる従来の津波実験装置としては、例えば、図12に示すように、水槽101に仕切り板102を設置すると共に当該仕切り板102に開けた穴にプロペラ104を内蔵したポンプ部103を設置し、当該ポンプ部103の両端に第一の拡幅管105Aと第二の拡幅管105Bとを取り付け、さらに、第一の拡幅管105Aの出口の前方に整流板106を設置し、ケーブル107を介してコンピュータ108でモータ109を制御しつつ当該モータ109でプロペラ104を回転させて水槽101内に任意の水流を起こし、整流板106を通過させるものがある(特許文献1)。なお、図12において、符号110は整流板106に設けられた多数の孔を示し、符号111は水面を示す。
特開2002−332621号
津波氾濫流に対する構造物の耐性を評価するには、対象とする構造物周辺の地形や他の構造物の影響を受けた水流を再現する必要がある。しかしながら、特許文献1の津波実験装置では、ポンプにより一方向のみから水流を制御するものであるため、対象とする構造物周辺の地形や他の構造物の影響を受けた水流を再現するには、対象とする構造物だけでなく、その周辺の地形や他の構造物を水槽内で模型化する必要がある。この結果、水槽内のスペースの制約により、水流または構造物のスケールが小さくなる。このため、津波耐力の評価に必要な圧力や流速を空間的に細かく計測できない。また、水流のスケールが小さすぎると水の粘性の影響を受ける(レイノルズ数が小さくなる)ため、構造物周りの水流の再現精度が低下する。このため、特許文献1の津波実験装置によって実験水路内に津波を発生させて行う陸上構造物の津波耐力の評価精度が高いとは言い難い。
そこで、本発明は、実際の津波の時系列変化を実験水路内に正確に再現して陸上構造物の津波耐力の評価の精度を向上させることができる津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の津波氾濫流再現方法は、ヘッドタンクと、バルブを備えると共にヘッドタンクと上流端が連通するバルブ付き配管と、当該バルブ付き配管の下流端と上流端が連なる矩形管路と、当該矩形管路の下流端と上流端が連なる試験水路と、矩形管路の下流端と試験水路の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲートと、試験水路の下流端に設けられて上端が水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲートとを備える実験装置を用い、ヘッドタンクと矩形管路とに貯水した状態でバルブを開くと共に底部放流型ゲートが上昇することによって試験水路に段波を生じさせ、続いてバルブの開度によって矩形管路内と試験水路内との流量及び矩形管路内の水位を調整すると共に底部放流型ゲートが上昇してその高さを調整することによって試験水路に射流を生じさせ且つ試験水路内の水位を調整し、続いて越流型ゲートが上昇することによって越流型ゲートからの跳水点の伝搬を調整し、続いて底部放流型ゲートを全開にし且つバルブの開度によって矩形管路内と試験水路内との流量を調整すると共に越流型ゲートの高さを調整することによって試験水路に常流を生じさせ且つ試験水路内の水位を制御するようにしている。
また、本発明の津波氾濫流実験装置は、ヘッドタンクと、バルブを備えると共にヘッドタンクと上流端が連通するバルブ付き配管と、当該バルブ付き配管の下流端と上流端が連なる矩形管路と、当該矩形管路の下流端と上流端が連なる試験水路と、矩形管路の下流端と試験水路の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲートと、試験水路の下流端に設けられて上端が水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲートとを備え、ヘッドタンクと矩形管路とに貯水した状態でバルブを開くと共に底部放流型ゲートが上昇することによって試験水路に段波を生じさせ、続いてバルブの開度によって矩形管路内と試験水路内との流量及び矩形管路内の水位を調整すると共に底部放流型ゲートが上昇してその高さを調整することによって試験水路に射流を生じさせ且つ試験水路内の水位を調整し、続いて越流型ゲートが上昇することによって越流型ゲートからの跳水点の伝搬を調整し、続いて底部放流型ゲートを全開にし且つバルブの開度によって矩形管路内と試験水路内との流量を調整すると共に越流型ゲートの高さを調整することによって試験水路に常流を生じさせ且つ試験水路内の水位を制御するようにしている。
したがって、これらの津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置によると、バルブの開度によってヘッドタンクから矩形管路への流入流量を調整して矩形管路内の水位を調整し、底部放流型ゲートの開度によって底部放流型ゲート直下流の水深及び矩形管路から試験水路への供給流量を調整し、さらに、越流型ゲートの開度によって越流型ゲートの越流部直上流の水深と越流型ゲートからの跳水点の伝搬とを調整するようにしているので、試験水路において段波→射流→常流の順に時系列で変化する津波の波形が再現される。
また、本発明の津波氾濫流再現方法は、矩形管路に整流材が設けられた実験装置を用いるようにしても良く、本発明の津波氾濫流実験装置は、矩形管路に整流材が設けられているようにしても良い。これらの場合には、バルブ付き配管から矩形管路に流入する流れが均一にされる。
また、本発明の津波氾濫流再現方法は、試験水路に等流時における限界勾配に相当する勾配が付けられた実験装置を用いるようにしても良く、本発明の津波氾濫流実験装置は、試験水路に等流時における限界勾配に相当する勾配が付けられているようにしても良い。これらの場合には、限界水深に近い流れを再現できる。
本発明の津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置によれば、試験水路において段波→射流→常流の順に時系列で変化する津波の波形を再現することができるので、実際の津波の時系列変化を試験水路内に正確に再現して陸上構造物の津波耐力の評価精度の向上を図ることが可能になる。
さらに、本発明の津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置は、矩形管路に整流材を設けるようにしても良く、この場合には、バルブ付き配管から矩形管路に流入する流れを均一にすることができるので、実際の津波の時系列変化をより一層正確に再現することが可能になる。
さらに、本発明の津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置は、試験水路に等流時における限界勾配に相当する勾配を付けるようにしても良く、この場合には、限界水深に近い流れを再現できるので、実際の津波の時系列変化をより一層正確に再現することが可能になる。
本発明の津波氾濫流実験装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。(A)は断面図である。(B)は平面図である。 実施形態の津波氾濫流実験装置の動作を説明する概略構成断面図であり、実験開始前の動作を示す図である。 実施形態の津波氾濫流実験装置の動作を説明する概略構成断面図であり、段波時の流況を示す図である。 実施形態の津波氾濫流実験装置の動作を説明する概略構成断面図であり、射流時の流況を示す図である。 実施形態の津波氾濫流実験装置の動作を説明する概略構成断面図であり、常流時の流況を示す図である。 津波氾濫流実験装置のゲート周辺における流況の概略を示す断面図である。(A)は底部放流型ゲート周辺の図である。(B)は越流型ゲート周辺の図である。 本発明の津波氾濫流再現方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。 実施例1のバルブの流量係数曲線を示す図である。 実施例1で用いられた氾濫流解析の範囲に含まれるKirinda港周辺の平面図である。 実施例1で用いられた氾濫流解析の結果における水理量(言い換えると、実験で再現する目標値)を示す図である。(A)は水深及び流速を示す図である。(B)は水深及びフルード数を示す図である。 実施例1において流入・流出境界条件を不等流計算の結果にした場合の非定常開水路流計算の結果を示す図である。 実施例1において流入・流出境界条件を目標流速及び目標水深に合う条件にした場合の非定常開水路流計算の結果を示す図である。 実施例1における最適な条件に基づくバルブ開度、底部放流型ゲート開度及び越流型ゲート開度の結果を示す図である。 実施例1における流速及び水深の時系列に関する実験値と目標値との比較結果を示す図である。 従来の津波実験装置を示す概略構成断面図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1から図4に、本発明の津波氾濫流再現方法及び津波氾濫流実験装置の実施形態の一例を示す。この津波氾濫流再現方法は、ヘッドタンク1と、バルブ5を備えると共にヘッドタンク1と上流端が連通するバルブ付き配管2と、当該バルブ付き配管2の下流端と上流端が連なる矩形管路3と、当該矩形管路3の下流端と上流端が連なる試験水路4と、矩形管路3の下流端と試験水路4の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲート6と、試験水路4の下流端に設けられて上端が水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲート7とを備える実験装置10を用い、ヘッドタンク1と矩形管路3とに貯水した状態でバルブ5を開くと共に底部放流型ゲート6が上昇することによって試験水路4に段波を生じさせ、続いてバルブ5の開度によって矩形管路3内と試験水路4内との流量及び矩形管路3内の水位を調整すると共に底部放流型ゲート6が上昇してその高さを調整することによって試験水路4に射流を生じさせ且つ試験水路4内の水位を調整し、続いて越流型ゲート7が上昇することによって越流型ゲート7からの跳水点の伝搬を調整し、続いて底部放流型ゲート6を全開にし且つバルブ5の開度によって矩形管路3内と試験水路4内との流量を調整すると共に越流型ゲート7の高さを調整することによって試験水路4に常流を生じさせ且つ試験水路4内の水位を制御するものである。
また、本実施形態の津波氾濫流実験装置10は、ヘッドタンク1と、バルブ5を備えると共にヘッドタンク1と上流端が連通するバルブ付き配管2と、当該バルブ付き配管2の下流端と上流端が連なる矩形管路3と、当該矩形管路3の下流端と上流端が連なる試験水路4と、矩形管路3の下流端と試験水路4の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲート6と、試験水路4の下流端に設けられて上端が水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲート7とを備え、ヘッドタンク1と矩形管路3とに貯水した状態でバルブ5を開くと共に底部放流型ゲート6が上昇することによって試験水路4に段波を生じさせ、続いてバルブ5の開度によって矩形管路3内と試験水路4内との流量及び矩形管路3内の水位を調整すると共に底部放流型ゲート6が上昇してその高さを調整することによって試験水路4に射流を生じさせ且つ試験水路4内の水位を調整し、続いて越流型ゲート7が上昇することによって越流型ゲート7からの跳水点の伝搬を調整し、続いて底部放流型ゲート6を全開にし且つバルブ5の開度によって矩形管路3内と試験水路4内との流量を調整すると共に越流型ゲート7の高さを調整することによって試験水路4に常流を生じさせ且つ試験水路4内の水位を制御するものである。
(1)津波氾濫流実験装置の構成
津波氾濫流実験装置10は、ヘッドタンク1と、バルブ5を備えるバルブ付き配管2と、矩形管路3と、試験水路4とが連なって構成される。なお、津波氾濫流実験装置10は、ヘッドタンク1側が上流であり、試験水路4側が下流である(図1参照)。
本発明の津波氾濫流実験装置の各部の大きさは、特定の大きさに限定されるものではなく、実験の目的や評価対象の地上構造物・評価範囲などを考慮して適当な大きさに適宜設定され得る。なお、図1は、本発明の津波氾濫流実験装置の各部の接続関係などの構成を説明するための概略図であり、各部の相対的な寸法関係を厳密に表したものではない。
ヘッドタンク1と矩形管路3の上流端とはバルブ付き配管2を介して連通している。そして、バルブ付き配管2に設けられたバルブ5の開閉によってヘッドタンク1からバルブ付き配管2を通過させての矩形管路3への給水とバルブ付き配管2における止水とが制御される。なお、バルブ付き配管2及び当該配管2に設けられるバルブ5の本数・個数は、図1等に示すように一本・一個に限られるものではなく、複数本・複数個であっても構わない。また、バルブ5としては、開度(言い換えると、流量)が機械的に制御されるもの、具体的には例えば空気圧シリンダ式バタフライバルブが用いられる。
矩形管路3の天板には吸気・排気できる機能が設けられ、矩形管路3内の水位は自由に変動し得るようになっている。具体的には例えば、矩形管路3の天板に通気管3aが設置される。
なお、矩形管路3には、本実施形態のように、バルブ付き配管2から流入する流れをなるべく均一にするように、上流側の位置に、整流材9が設けられることが望ましい。
矩形管路3の底板と試験水路4の水路床とは段差なく滑らかに連接している。
矩形管路3の下流端と試験水路4の上流端との間に底部放流型ゲート6が設置される。底部放流型ゲート6は機械的に制御される。具体的には例えば、扉体が電動スライダ(図示省略)に接続され、当該電動スライダが機械的に制御されることによって底部放流型ゲート6としての開度(言い換えると、扉体の上下位置)が制御される。
底部放流型ゲート6により、扉体下端が水路床に当接した状態では試験水路4への水の供給が遮断され、扉体が上方に移動すると扉体下端と水路床との間に隙間が生じて、試験水路4への供給流量Q2〔m3/秒〕及び底部放流型ゲート6によって縮流された水深h2〔m〕が調整される(底部放流型ゲート6周辺における流況の概略を示す図3(A)も参照)。
なお、底部放流型ゲート6の扉体底部には、本実施形態のように、ゲート周辺の水面形を安定させるためのアングル6aが取り付けられるようにしても良い。
試験水路4は、上部開放の開水路に形成され、下流端に越流型ゲート7が設置される。越流型ゲート7は機械的に制御される。具体的には例えば、扉体が電動スライダ(図示省略)に接続され、当該電動スライダが機械的に制御されることによって越流型ゲート7としての開度(言い換えると、扉体の上下位置)が制御される。
越流型ゲート7により、扉体上端が水路床からせり出していない状態では試験水路4を流れた水が試験水路4から自由落下し、扉体が上方に移動すると扉体上端が水路床からせり出して堰となって越流型ゲート7において越流が生じ且つゲート直上流の水深hが制御される(越流型ゲート7周辺における流況の概略を示す図3(B)も参照)。
テストセクション8の位置や範囲は、特定の位置・範囲に限定されるものではなく、実験の目的や評価対象の地上構造物・評価範囲などを考慮して、試験水路4の中で適宜設定され得る。
そして、津波氾濫流実験装置10は、津波耐力の評価対象とされた地上構造物位置を含む範囲での津波氾濫流の数値シミュレーション結果などをもとに事前に与えられた流速及び水深の時系列に従って(言い換えると、流速及び水深の時系列を再現するように)、段波−射流−常流の順に時系列で変化する流れを生じさせる。
具体的には、津波氾濫流実験装置10により、バルブ付き配管2に設けられたバルブ5の開度並びに試験水路4上下流両端に設けられた底部放流型ゲート6及び越流型ゲート7の開度が通水中に動的に制御されることにより、段波−射流−常流によって構成される任意の津波氾濫流を縮小化した非定常流の流速及び水深がテストセクション8において再現される。
(2)津波氾濫流実験装置の動作
津波氾濫流実験装置10は、初期状態(即ち、実験開始前)においては、図2A1に示すように、バルブ5が閉じられると共に底部放流型ゲート6が閉じられ、ヘッドタンク1に貯水される。なお、越流型ゲート7は、試験水路4の水路床からせり出ないように下げられている。
続いて、図2A2に示すように、バルブ5が開けられ、ヘッドタンク1からバルブ付き配管2を介して矩形管路3に給水される。このとき、ヘッドタンク1内の水位の方が矩形管路3内の水位よりも高くなるようにされる。矩形管路3への給水後、図2A3に示すように、バルブ5が閉じられる。なお、底部放流型ゲート6は閉じられ、越流型ゲート7は試験水路4の水路床からせり出ないように下げられている。
そして、図2Bに示すように、底部放流型ゲート6を上昇させることにより、試験水路4において段波を生じさせる。このとき、バルブ5が開けられてヘッドタンク1からバルブ付き配管2を介して矩形管路3に対して給水されることによって、ヘッドタンク1内の水位は低下する。
続いて、図2Cに示すように、バルブ5の開度と底部放流型ゲート6の開度(即ち、底部放流型ゲート6の扉体下端と水路床との間の間隔a2〔m〕:図3(A)参照)とが調整されることにより、試験水路4において射流が生じさせられる。
さらに、越流型ゲート7の開度(即ち、水路床基準の、越流型ゲート7の扉体のせり出し部分の高さa3〔m〕:図3(B)参照)が調整され、所望の時間に跳水点がテストセクション8を通過するように制御される。
続いて、図2Dに示すように、底部放流型ゲート6が全開にされる。そして、バルブ5の開度が調整されると共に越流型ゲート7の開度(即ち、水路床基準の、越流型ゲート7の扉体のせり出し部分の高さa3〔m〕:図3(B)参照)が調整されることにより、試験水路4における常流が制御される。
(3)バルブ開度及びゲート開度の算出アルゴリズム
津波氾濫流実験装置10の制御ではバルブ5及び両ゲート6,7の開度が通水中に動的に制御されるため、予め、バルブ5及び両ゲート6,7の開度の時系列が算出される。
開度の算定のためにまず、バルブ5及び両ゲート6,7近傍での水理量を流入・流出境界条件としてテストセクション8を含む試験水路4を計算範囲とした非定常流れの逆解析又はパラメータスタディなどが実施され、テストセクション8での解が目標値(水深、流速)となる境界条件が抽出される。具体的には例えば、2種類の数値計算(不等流計算、非定常開水路流計算)が行われる。この境界条件が用いられて、後述の算定手法などによって開度値に変換される。
(3−1)バルブ及びゲート近傍の水理量の算出例
バルブ5及び両ゲート6,7近傍での水理量を抽出するための数値計算は、非定常流を一定時間毎に定常流として近似した不等流計算と、計算の基礎式に非定常項を含む非定常開水路流計算との2つの手法により行われる。
具体的には、はじめに、一定時間毎に定常流量を与えた不等流計算が行われ、流入・流出境界での近似的な境界水深が算出される。次に、この境界水深を用いた非定常開水路流計算が行われる。その後、テストセクション8における水深及び流速について目標値と計算値との差異が参照され、境界条件(水深、流量)を修正しながら非定常開水路流計算が繰り返し行われ、テストセクション8で目標値となる流入・流出境界条件が抽出される。
それぞれの計算手法での計算範囲及び境界条件を表1に示す。計算範囲は、底部放流型ゲート6の使用の有無によって、段波・射流と常流とで異なった開水路区間になる。段波・射流時は底部放流型ゲート6直下流から越流型ゲート7直上流まで(つまり、試験水路4)が計算範囲であり、常流時は矩形管路3の上流端から越流型ゲート7までが計算範囲である。
Figure 0006092016
(3−1−1)不等流計算
不等流計算では、表1中の流入の境界水深h2、流出の境界水深h3を少しずつ変化させた計算を一定時間毎(時間間隔Δt〔秒〕毎)に行い、テストセクション8で目標値となる境界水深h2、h3が決定される。段波・射流時に用いる流入の境界水深h2は底部放流型ゲート6で縮流された流れの水深であり(図3(A)参照)、常流時に用いる流出の境界水深h3は越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深である(図3(B)参照)。計算に用いる定常流量は、各時間におけるテストセクション8での目標流量(=目標流速×目標水深×試験水路4の幅)とする。
不等流計算手法では、境界水深として流入・流出のいずれかしか設定できないため、射流時に越流型ゲート7を上昇させる場合(図2(C)参照)における流出の境界水深h3を求めることができない。そこで、射流時の流出の境界水深h3を算出するため、数式1に示すように、テストセクション8から越流型ゲート7までに運動量保存を仮定した跳水の伝搬速度式(本間仁・安芸皎一編:物部水理学、岩波書店、pp.83−84、1962年)が用いられる。
Figure 0006092016
ここに、cj:跳水点の移動速度(一定)(上流への方向が正)〔m/秒〕、
ts:テストセクションでの目標水深〔m〕、
ts:テストセクションでの目標流速〔m/秒〕、
g:重力加速度〔m/s2〕 をそれぞれ表す。
テストセクション8の流れを射流から常流に遷移させる時間(言い換えると、実験を開始してからテストセクション8でのフルード数が1になるまでの時間)が与えられると、数式1の左辺cjが既知になるため、流出の境界水深h3〔m〕を算出することができる。
(3−1−2)非定常開水路流計算
非定常開水路流計算には、例えば、従来から開発されているプログラムが使用され得る。具体的には、水理公式集例題プログラム集(土木学会編、2001年発行)の例題2−9に収録されているプログラムが使用され得る。
段波・射流時では、流入境界条件として底部放流型ゲート6によって縮流された流れの水深h2及び流量Q2が用いられ(図3(A)参照)、また、流出境界条件として越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深h3が用いられる(図3(B)参照)。ただし、越流型ゲート7を上昇させない場合(即ち、越流型ゲート7が試験水路4の水路床にせり出していない状態)は射流の自由落下となるので流出境界条件は設定されない。
また、初期条件はドライベッドとし、底部放流型ゲート6を上昇させて試験水路4に段波を生じさせる。
一方、常流時では、流入境界条件として矩形管路への流入流量Q1が用いられ(図3(A)参照)、また、流出境界条件として越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深h3が用いられる。
常流時の初期条件としては、段波・射流時の最後に算定された結果が引き継がれる。また、試験水路4については、水深及び流量の流路方向分布が与えられる。矩形管路3については、一様流が仮定され、後述の矩形管路内水深hcndと試験水路への供給流量Q2とが管路全体に与えられる。
そして、非定常開水路流計算を通じて表1中の流入・流出境界条件(水深h2,h3及び流量Q1,Q2)が求められると、バルブ5の開度並びに底部放流型ゲート6の開度及び越流型ゲート7の開度が時間間隔Δt〔秒〕毎に求められる。具体的にはそれぞれ以下のように算定される。
(3−2)底部放流型ゲート開度の算定例
底部放流型ゲート開度a2(即ち、底部放流型ゲート6の扉体下端と水路床との間の間隔a2〔m〕:図3(A)参照)は、例えば、縮流係数によって、具体的には数式2によって算定され得る。
Figure 0006092016
ここに、h2:底部放流型ゲートによって縮流された流れの水深〔m〕、
c:底部放流型ゲートに関する縮流係数 をそれぞれ表す。
また、上付き文字のnは時間間隔番号(即ち、経過時間の識別子)である。
なお、底部放流型ゲート縮流係数Ccは、ゲート固有のものであり、既存の文献値(具体的には例えば、水理公式集、土木学会編、丸善、1999年11月)などを参考にして予め適宜設定される。
(3−3)越流型ゲート開度の算定例
越流型ゲート開度a3(即ち、水路床基準の、越流型ゲート7の扉体のせり出し部分の高さa3〔m〕:図3(B)参照)は、例えば、堰の越流公式によって、具体的には数式3及び数式4によって算定され得る。
Figure 0006092016
Figure 0006092016
ここに、h3:越流型ゲートの越流部直上流の水路床基準の水深〔m〕、
o:越流型ゲートの越流部直上流の越流型ゲート扉体上端面基準の水深〔m〕、
3:越流型ゲートを通過する単位幅流量〔(m3/秒)/m〕、
f:越流型ゲートに関する越流係数、
g:重力加速度〔m/s2〕 をそれぞれ表す。
また、上付き文字のnは時間間隔番号(即ち、経過時間の識別子)である。
なお、越流型ゲート越流係数Cfは、ゲート固有のものであり、既存の文献値などを参考にして予め適宜設定される。
(3−4)バルブ開度の算定
本発明におけるバルブ開度a1とは、ヘッドタンク1と矩形管路3とのヘッド差(Htnk−Hcnd)とバルブ通過流量Qvとによって定められる流量係数Cv(数式6)の関数として表されるもの(数式5)であり、バルブ付き配管2に設けられたバルブの種類によって開度としての指標(尺度)は異なり、例えばバタフライバルブを用いた場合であれば弁軸の回転角度〔度〕である。
バルブ開度a1は、具体的には例えば、バルブ5の流量係数Cvを用いて以下のように表される。
Figure 0006092016
Figure 0006092016
ここに、Qv:バルブの通過流量〔m3/秒〕、
tnk:ヘッドタンクに関する比エネルギー〔m〕(=ヘッドタンク内の水深)、
cnd:矩形管路に関する比エネルギー〔m〕(=矩形管路内の水深)
をそれぞれ表す。
また、上付き文字のnは時間間隔番号(即ち、経過時間の識別子)である。
数式6のバルブの通過流量Qvは、段波・射流時では試験水路4への供給流量Q2に矩形管路3内での水位変化分を加味して算出され、常流時では非定常開水路流計算により得られた矩形管路3への流入流量Q1が用いられる。すなわち、バルブの通過流量Qvは数式7のように算出される。
Figure 0006092016
ここに、Q1:矩形管路への流入流量〔m3/秒〕、
2:試験水路への供給流量〔m3/秒〕、
cnd:矩形管路内の水深〔m〕、
cnd:矩形管路内の水平面積〔m2〕、
Δt:時間間隔〔秒〕 をそれぞれ表す。
また、上付き文字のnは時間間隔番号(即ち、経過時間の識別子)である。
また、数式6のヘッドタンク1に関する比エネルギーHtnkは数式8によって算出される。
Figure 0006092016
ここに、Qv:バルブの通過流量〔m3/秒〕
tnk:ヘッドタンク内の水平面積〔m2〕、
Δt:時間間隔〔秒〕 をそれぞれ表す。
また、上付き文字のnは時間間隔番号(即ち、経過時間の識別子)である。
数式7の矩形管路3内の水深hcndは、段波・射流時では既知の水深h2と流量Q2とを用いてベルヌーイ式により算定され、常流時では非定常開水路流計算により算出された水深を比エネルギーに換算することで求められる。
以上により、バルブの通過流量Qv及びヘッドタンク1と矩形管路3とのヘッド差(Htnk−Hcnd)が既知となるため、数式5及び数式6によってバルブ開度a1が算出される。
(4)装置制御の処理手順
上述の考え方を用い、以下に示す具体的な処理手順(図4も参照)に従って処理を行うことにより、所望の津波氾濫流を生じさせる(言い換えると、再現する)ように、本発明の津波氾濫流実験装置の制御を行うことが可能になる。
まず、広域レベルの津波氾濫流の設定が行われる(S1)。
このS1の処理としては、津波耐力の評価対象とされた地上構造物近傍における流れ(流速、水深)の時系列、言い換えると、本発明の津波氾濫流実験装置によって再現する流れの時系列が設定される。
具体的には例えば、評価対象の地上構造物を含む広域を対象とする、地震動に起因する津波氾濫流の解析結果が用いられ得る。あるいは、過去の津波氾濫流に関する流速及び水深の実測の時系列データが用いられ得る。
なお、S1の処理における広域レベルの津波氾濫流の設定としては、少なくとも、評価対象の地上構造物近傍における流速及び水深の時系列が含まれる。
次に、S1の処理で設定された広域レベルの津波氾濫流の時系列に基づいて目標流速及び目標水深の設定が行われる(S2)。
具体的には、S1の処理において設定された広域レベルの津波氾濫流の時系列のうち評価対象の地上構造物の位置(若しくは近傍位置)における流速及び水深の時系列が抽出される。そして、抽出された流速及び水深をフルード相似則に基づいて縮小化した縮尺が、目標流速vts、目標水深htsの時系列とされる。
目標流速vts、目標水深htsの時系列は、経過時間t=0〔秒〕から評価対象とする経過時間分の、時間間隔Δt〔秒〕毎の数値データとして設定される。なお、評価対象とする経過時間の終わりの時間をtend〔秒〕とする。
次に、S2の処理で設定された目標流速及び目標水深を用いて開水路流計算によって境界水深の近似値の算出が行われる(S3)。
具体的には、経過時間t=0〔秒〕から始めて時間間隔Δt〔秒〕毎に計算を行うようにし、まず、計算対象の経過時間t〔秒〕において流れが射流であるか否かが判断される(S3−1)。なお、流れが射流であるか否かは、フルード数によって判断される。フルード数が1より大きければ射流であり、1より小さければ常流である。
そして、S2の処理において設定された目標流速及び目標水深が用いられて開水路流計算(以下、S3の処理における計算として不等流計算という)によって近似的な境界水深が算出される。
まず、流れが射流である場合(即ち、段波・射流時である場合)には(S3−1:Yes)、底部放流型ゲート6直下流から越流型ゲート7直上流までの区間を対象として不等流計算が行われる。
具体的には、流入境界における近似的な水深として、底部放流型ゲート6によって縮流された流れの(即ち、底部放流型ゲート6直下流における)水深h2が目標流速及び目標水深から逆算される(S3−2)。
また、流出境界条件として、越流型ゲート7の越流部直上流における水路床基準の水深h3が、数式1によって算出される(S3−2)。なお、越流型ゲート7が上昇していない状況(即ち、越流型ゲート7が試験水路4の水路床にせり出していない状況)では射流の自由落下となるので流出境界条件は算出されない。
そして、S3−1の処理に戻る。
一方、流れが射流ではない場合(即ち、常流時である場合)には(S3−1:No)、矩形管路3上流端から越流型ゲート7までの区間を対象として不等流計算が行われる。
具体的には、流出境界条件として、越流型ゲート7の越流部直上流における水路床基準の水深h3が、目標流速及び目標水深から逆算される(S3−3)。
そして、経過時間tが、S2の処理において目標流速及び目標水深が設定された評価対象の経過時間の終わりの時間tend〔秒〕に達していない場合(即ち、t<tendである場合)には(S3−4:No)S3−1の処理に戻って常流時に関する計算が続けられ、評価対象の経過時間の終わりの時間tend〔秒〕に達した場合(即ち、t≧tendである場合)には(S3−4:Yes)S4の処理に進む。
次に、S3の処理で算出された境界水深の近似値を用いて非定常開水路流の計算が行われる(S4)。
このS4の処理としての非定常開水路流の計算は、S2の処理において設定された目標流速及び目標水深を良好に再現し得る設定になるまで流入・流出境界条件(言い換えると、バルブ5及び両ゲート6,7近傍の水理量)である水深h2,h3及び流量Q1,Q2を変化させて繰り返し行われる。
S4の処理としての非定常開水路流計算では、まず、S3の処理において算出された近似的な境界水深並びにテストセクション8での目標流量を用いた解析が行われる(S4−1)。
その後、テストセクション8における流速及び水深について目標値と計算値との差異が参照され、前記差異が小さくなるように境界条件(水深、流量)を修正しながら非定常開水路流計算が繰り返し行われ、テストセクション8で目標値となる(若しくは、目標値に十分に近くなる)流入・流出境界条件が抽出される(S4−2)。
目標値と計算値との差異が小さくて非定常開水路流計算の結果が目標流速及び目標水深を良好に再現しているか否かの判断の仕方は、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、計算の結果得られるテストセクション8における流速及び水深の時系列と目標流速及び目標水深の時系列とを経過時間t毎に比較し、両者の相関係数や時点毎の相対誤差の最大値などについて、良好に再現していると判断するための閾値を設定することなどが考えられる。
そして、非定常開水路流計算の計算結果としてS2の処理において設定された目標流速及び目標水深を良好に再現する流入・流出境界条件が得られたとき、S4の処理の結果に基づいて目標流速及び目標水深を良好に再現し得る最適な境界条件の抽出が行われる(S5)。
次に、S5の処理で抽出された境界条件の、バルブ開度並びに底部放流型ゲート開度及び越流型ゲート開度への変換が行われる(S6)。
具体的には、S5の処理において流入境界条件として抽出された底部放流型ゲート6によって縮流された流れの水深h2及び流量Q2と、数式2とが用いられ、縮流係数Ccによって底部放流型ゲート開度a2が算定される。
さらに、S5の処理において流出境界条件として抽出された越流型ゲート7の越流部直上流における水路床基準の水深h3と、数式3及び数式4とが用いられ、越流係数Cfを用いて越流型ゲート開度a3が算定される。
なお、数式3及び数式4に関する変数のうち、水深h3としてはS5の処理によって得られた値が用いられ、単位幅流量q3としては流入・流出境界条件(水深h2,h3及び流量Q1,Q2)が抽出された非定常開水路流計算によって得られる越流型ゲート7直上流位置における流量Q3を試験水路4の幅で除した値が用いられる。
またさらに、数式5乃至数式8が用いられてバルブ開度a1が算定される。
具体的にはまず、バルブ通過流量Qvが、数式7として示すように、段波・射流時についてはS5の処理において得られた試験水路4への供給流量Q2に矩形管路3内の水深hcndの変化分を加味して算定され、一方、常流時についてはS4−2の処理において得られた矩形管路への流入流量Q1の値として決定される。なお、数式7中の矩形管路3内の水深hcndは、段波・射流時ではベルヌーイ式により算定され、常流時では非定常開水路流計算により算出された水深を比エネルギーに換算することで算定される。
続いて、バルブ通過流量Qv等と数式8とによってヘッドタンク1に関する比エネルギーHtnkが算定される。なお、数式8に関し、ヘッドタンク1に関する比エネルギーHtnkの初期値(即ち、時間間隔番号n=0)は津波氾濫流実験装置を用いた実験開始時におけるヘッドタンク1内の水深の値として用いられる。
続いて、底部放流型ゲート6における損失係数と当該ゲート6を通過する単位幅流量と当該ゲート6によって縮流された流れの水深とに基づいて算定された矩形管路3に関する比エネルギーHcndの値、数式8によって算定されたヘッドタンク1に関する比エネルギーHtnkの値、数式7によって算定されたバルブ通過流量Qvの値と、数式6とにより、バルブ5の流量係数Cvが算定される。
そして、数式6によって算定されたバルブ5の流量係数Cvと数式5とによって底部放流型ゲート開度a2が算定される。
そして、S6の処理で変換された(言い換えると、算定された)バルブ開度並びに底部放流型ゲート開度及び越流型ゲート開度の時系列を用い、テストセクションにおいて任意の流速・浸水深を有する津波氾濫流の再現実験が行われる(S7)。
以上の構成を有する本発明の津波氾濫流実験装置によれば、バルブ5の開度a1によってヘッドタンク1から矩形管路3への流入流量Q1を調整して矩形管路3内の水位hcndを調整し、底部放流型ゲート6の開度a2によって底部放流型ゲート6直下流の水深h2及び矩形管路3から試験水路4への供給流量Q2を調整し、さらに、越流型ゲート7の開度a3によって越流型ゲート7の越流部直上流の水深h3と越流型ゲート7からの跳水点の伝搬とを調整することができる。このため、試験水路4において段波→射流→常流の順に時系列で変化する津波の波形を再現することができ、実際の津波の時系列変化を試験水路4内に正確に再現して陸上構造物の津波耐力の評価精度の向上を図ることが可能になる。
なお、上述の形態は本発明の好適な実施の形態の一例ではあるが本発明の具体的な実施の形態が上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では不等流計算及び非定常開水路流計算によってバルブ及びゲート制御の時系列を算定するようにしているが、バルブ及びゲート制御の時系列の算定方法(算定アルゴリズム)は特定のものには限定されない。
また、上述の実施形態では数式2によって底部放流型ゲート開度a2を、数式3及び数式4によって越流型ゲート開度a3を、数式5乃至数式8によってバルブ開度a1をそれぞれ具体的に算定するようにしているが、いずれの開度も算定方法は特定のものには限定されない。
本発明の津波氾濫流実験装置の制御方法の妥当性(言い換えると、津波氾濫流実験装置の再現性)の検証を行った実施例を図5乃至図11を用いて説明する。なお、本実施例では、水理量の計算において、「土木学会編:水理公式集・例題プログラム集・平成13年度版」(例題2−9、2002年3月)の、射流・常流混在流れや段波等を対象にした一次元解析コードが用いられた。
(1)実験装置の構成
本実施例の津波氾濫流実験装置は、ヘッドタンク1の水平面積が0.625×0.625〔m〕とされると共に高さ0.500〔m〕まで貯水できるようにされ、バルブ付き配管2の内径が0.100〔m〕とされると共に長さが1.200〔m〕とされ、矩形管路3の長さが0.800〔m〕とされ、試験水路4の長さが1.250〔m〕とされた。なお、本発明の津波氾濫流実験装置の各部の大きさは、本実施例の装置各部の寸法に限定されるものではなく、本実施例の装置各部の寸法よりも小さくても良いし大きくても良い。
ヘッドタンク1もバルブ付き配管2も鉄製とされ、バルブ5は空気圧シリンダ式のバタフライバルブ(巴バルブ製・700G−3E)とされた。
矩形管路3は、アクリル製とされ、幅が0.280〔m〕及び高さが0.190〔m〕とされると共に長さが0.800〔m〕とされた。また、バルブ付き配管2から流入する流れをなるべく均一にするように整流材9(新光ナイロン株式会社製・ヘチマロン:厚さ0.100〔m〕)が設置された。
試験水路4は、アクリル製とされ、幅が0.280〔m〕とされると共に長さが1.250〔m〕とされ、限界勾配相当である1/250の水路床勾配が付けられた。
底部放流型ゲート6は、アクリル製で厚さ0.050〔m〕とされ、側方部での水密を確保するためにゲート体が矩形管路3側壁の戸溝(幅0.050〔m〕)に埋め込まれた構造とされた。また、ゲート体底部には、ゲート周辺の水面形を安定させるための鉄製アングル(厚さ0.005〔m〕)が取り付けられた。
越流型ゲート7は、鉄板製で厚さ0.006〔m〕とされ、流れに接触する先端部は刃形に形成された。
底部放流型ゲート6及び越流型ゲート7はいずれも電動スライダによって稼働するようにされた。
バルブ5及び両ゲート6,7は、時間間隔Δt毎にPLC(プログラマブルコントローラ)からの指令によって稼働するようにされ、目標位置に到達後は次の指令が送られるまで停止するようにされた。両ゲート6,7は等速稼働するようにされ、バルブ5は0〜90度(全開:90度)の区間において等角速度で稼働するようにされた。
テストセクション8は、底部放流型ゲート6の底部戸当りから0.605〔m〕下流に設定された。そして、テストセクション8では、水路床から高さ10〔mm〕の箇所に2次元電磁流速計(東京計測製・SFT−200−05:センサー部5mmΦ×16mm)が設置されて平均流速が計測され、また、超音波距離計(オムロン製・E4C−DS30)によって水深が計測された。なお、電磁流速計及び超音波距離計ではドライベッドを通過する段波先端部を精度良く計測することは困難であるため、段波先端部の制御に関しては本実施例では検討の対象外とした。
(2)パラメータの決定
バルブ5及び両ゲート6,7の開度の算定に用いるパラメータは以下のように設定された。
時間間隔Δtは、バルブ5及び両ゲート6,7が時間内に目標位置に到達できる範囲内でなるべく小さい値として1.053〔秒〕に設定された。
底部放流型ゲート6の縮流係数曲線CcにはMontes(1997年)の理論曲線が用いられ、越流型ゲート7の越流係数曲線CfにはSwamee(1988年)の実験式が用いられた。バルブ5及び両ゲート6,7の開度を固定して通水させた予備実験を通じ、各パラメータが妥当であることが確認された。
また、バルブ5の流量係数曲線Cvとして、矩形管路3への流入流量Q1とヘッドタンク1〜矩形管路3間の比エネルギー差(Htnk−Hcnd)との間の関係についての検定結果が用いられた(図5参照)。なお、この検定曲線は、バルブ付き配管2の入口・摩擦・出口損失及び整流材9による損失も含まれた係数に設定された。
(3)再現対象の津波氾濫流
津波氾濫流実験装置によって再現する津波氾濫流として、2004年インド洋大津波によるスリランカのKirinda港を対象とした氾濫流解析の結果が用いられた(木原直人・松山昌史:津波による土砂移動問題に対する静水圧3次元津波解析システムC-HYDRO3D Tsunamiの適用性の検討−インド洋大津波によるKirinda港周辺における土砂移動解析−、電中研報告書 N09004、2009年)(S1)。
図6にKirinda港の平面図を示す。なお、図6において、括弧内の数値は海抜であり、海岸線近くでは概ね2〜4〔m〕程度であり、内陸ではそれ以上の海抜になっている。
解析結果から、第一波来襲時に副堤と防波堤との間の開口部に流れが集中して高流速の氾濫流が発生していることが確認された。
そこで、図6中の●印で示す位置の流速・水深時系列の計算結果が抽出され、フルード相似則に基づく1/130縮尺が、目標とする流速vts、水深hts、フルード数の時系列として採用された(図7参照)(S2)。なお、射流の最大フルード数は1.4程度であり、水位増加と共に射流から常流に遷移している(即ち、フルード数が1を下回る)ことが確認された。
(4)実験に用いるゲート開度時系列の抽出
次に、目標流速、目標水深、目標フルード数を最も良く再現する入口・越流型ゲート開度の時系列が開度算出のための一連の処理(S3〜S6)によって抽出された。なお、フルード数は流速と水深のみで表されるパラメータであるので、実際には、流速及び水深について計算値と目標値とを合致させるようにすればフルード数も合致する。
まず、不等流計算により、非定常開水路流計算に用いるための近似的な境界水深が算出された(S3)。
段波・射流時境界水深h3の算出(S3−2)においては、段波が越流型ゲート7に到達する時間(具体的には1秒程度)を踏まえ、実験開始(即ち、底部放流型ゲート6の上昇開始)から3Δt後(即ち、経過時間t=3.159秒)から越流型ゲート7を上昇させ、経過時間t=10.0秒でテストセクション8を跳水が通過するように数式1によって跳水点の移動速度cj(一定)が設定された。
不等流計算によって求められた、底部放流型ゲート6によって縮流された流れの水深h2、越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深h3、矩形管路3への流入流量Q1、試験水路4への供給流量Q2を境界条件の初期値として非定常開水路流計算が行われた(S4−1)。なお、時間間隔Δt内における過渡的な値は、前後の時間点で線形補間した値が用いられた。
計算により、テストセクション8における水深・流速時系列として図8に示す結果が得られた。なお、図8では、テストセクション8に流れが到達した時間を経過時間t=0にしている。
図8に示す結果から、段波・射流時では、目標値と概ね一致しているものの、最大流速が目標よりも早い時間で起きていることが確認された。この時間のずれは、流入境界を求めた不等流計算において段波がテストセクション8に達する時間を考慮できないために生じたものであると考えられた。そこで、射流フェーズの時間帯をより一層長く取る必要があると考えられた。
図8に示す結果から、また、常流時では、水深が過大となり、流速が過小となる傾向が確認された。これは、流入境界条件の矩形管路への流入流量Q1として用いた目標流量が過小であるにも関わらず、流出境界条件の越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深h3を強制的に引き上げているためであると考えられた。また、目標水深htsは常流時において経時的に増大しており、試験水路4内の水位増加に寄与する流量も必要になるため、目標流量よりも大きな流入流量が必要になる。
さらに、射流−常流遷移に至るまでの時間も、目標波形から少し外れていることが確認された。これは、数式1で近似的に適用した運動量保存則が、試験水路4における非定常流に必ずしも良く合っていないためと考えられた。
上記の計算結果及び考察をもとに、射流時における時間帯の増加及び流出境界条件の越流型ゲート7の越流部直上流の水路床基準の水深h3の調整、並びに、常流時における流入境界条件の矩形管路3への流入流量Q1の増加を行った条件で非定常開水路流計算を繰り返し行い(S4−2)、目標流速、目標水深に合う境界条件が抽出された(S5)。
最適な条件でのテストセクション8における流速及び水深の時系列として図9に示す結果が得られた。また、前記最適な条件に基づいてバルブ開度a1、底部放流型ゲート開度a2及び越流型ゲート開度a3として図10に示す結果が得られた(S6)。なお、図10では、計算開始時間を経過時間t=0にしている。
(5)実験手順
図10に示す結果を用いてテストセクション8における津波氾濫流の再現実験が行われた(S7)。
試験水路4がドライベッドにされ、ヘッドタンク1に給水されて水位がオーバーフロー堰に到達した後に給水が停止された。そして、ヘッドタンク1内の水が静水状態になるまで暫く時間をおいた後、バルブ5が僅かに開かれ、ヘッドタンク1から矩形管路3に給水された。矩形管路3の水深が数式6に用いられる最初のHcnd(n=0に対応)になった時点で底部放流型ゲート6が上昇させられて実験が開始された。
実験中、バルブ5はフィードバック水深を用いた制御がなされ、試験水路4では流速及び水深が計測された。
(6)実験結果
流速及び水深の時系列に関する実験値と目標値との比較として図11に示す結果が得られた。この結果から、全体として良く一致しており、上述の制御手法は妥当であることが確認された。
以上の結果から、本発明の津波氾濫流実験装置の制御方法は妥当であることが確認された。そして、本発明の津波氾濫流実験装置によれば、実際の津波の時系列特性を、正確に再現し、模型化した陸上構造物の津波耐力の評価の精度を向上させることが可能であることが確認された。
1 ヘッドタンク
2 バルブ付き配管
3 矩形管路
4 試験水路
5 バルブ
6 底部放流型ゲート
7 越流型ゲート
8 テストセクション
9 整流材
10 津波氾濫流実験装置

Claims (6)

  1. ヘッドタンクと、バルブを備えると共に前記ヘッドタンクと上流端が連通するバルブ付き配管と、当該バルブ付き配管の下流端と上流端が連なる矩形管路と、当該矩形管路の下流端と上流端が連なる試験水路と、前記矩形管路の下流端と前記試験水路の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲートと、前記試験水路の下流端に設けられて上端が前記水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲートとを備える実験装置を用い、前記ヘッドタンクと前記矩形管路とに貯水した状態で前記バルブを開くと共に前記底部放流型ゲートが上昇することによって前記試験水路に段波を生じさせ、続いて前記バルブの開度によって前記矩形管路内と前記試験水路内との流量及び前記矩形管路内の水位を調整すると共に前記底部放流型ゲートが上昇してその高さを調整することによって前記試験水路に射流を生じさせ且つ前記試験水路内の水位を調整し、続いて前記越流型ゲートが上昇することによって前記越流型ゲートからの跳水点の伝搬を調整し、続いて前記底部放流型ゲートを全開にし且つ前記バルブの開度によって前記矩形管路内と前記試験水路内との流量を調整すると共に前記越流型ゲートの高さを調整することによって前記試験水路に常流を生じさせ且つ前記試験水路内の水位を制御することを特徴とする津波氾濫流再現方法。
  2. 前記矩形管路に整流材が設けられた実験装置を用いることを特徴とする請求項1記載の津波氾濫流再現方法。
  3. 前記試験水路に等流時における限界勾配に相当する勾配が付けられた実験装置を用いることを特徴とする請求項1記載の津波氾濫流再現方法。
  4. ヘッドタンクと、バルブを備えると共に前記ヘッドタンクと上流端が連通するバルブ付き配管と、当該バルブ付き配管の下流端と上流端が連なる矩形管路と、当該矩形管路の下流端と上流端が連なる試験水路と、前記矩形管路の下流端と前記試験水路の上流端との間に設けられて下端が水路床に当接した状態から上下方向に移動可能な底部放流型ゲートと、前記試験水路の下流端に設けられて上端が前記水路床からせり出していない状態から上下方向に移動可能な越流型ゲートとを備え、前記ヘッドタンクと前記矩形管路とに貯水した状態で前記バルブを開くと共に前記底部放流型ゲートが上昇することによって前記試験水路に段波を生じさせ、続いて前記バルブの開度によって前記矩形管路内と前記試験水路内との流量及び前記矩形管路内の水位を調整すると共に前記底部放流型ゲートが上昇してその高さを調整することによって前記試験水路に射流を生じさせ且つ前記試験水路内の水位を調整し、続いて前記越流型ゲートが上昇することによって前記越流型ゲートからの跳水点の伝搬を調整し、続いて前記底部放流型ゲートを全開にし且つ前記バルブの開度によって前記矩形管路内と前記試験水路内との流量を調整すると共に前記越流型ゲートの高さを調整することによって前記試験水路に常流を生じさせ且つ前記試験水路内の水位を制御することを特徴とする津波氾濫流実験装置。
  5. 前記矩形管路に整流材が設けられていることを特徴とする請求項4記載の津波氾濫流実験装置。
  6. 前記試験水路に等流時における限界勾配に相当する勾配が付けられていることを特徴とする請求項4記載の津波氾濫流実験装置。
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