JP7052811B2 - 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理システム - Google Patents

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Description

本開示は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理システムに関する。
従来、携帯型のスマートフォン等の情報処理端末では、小型化、薄型化の要請から撮像部の画像性能が一眼レフカメラ等に比べて低下している。このため、例えば下記の特許文献1には、情報処理端末に対して着脱可能なカメラで生成された撮像画を、無線通信で情報処理端末に供給することが記載されている。また、下記の特許文献2には、複数の撮像部を設けて、画質の異なる複数の画像、例えば第1の画角と第2の画角よりも狭い第2の画角の画像を同時に生成することが記載されている。
特開2015-088824号公報 特開2013-219525号公報
デジタルカメラなどの感度を高める方法として、レンズ口径または撮像素子のセルサイズを大きくする方法がある。しかし、この方法では、撮像素子の小型化、薄型化をする上で障壁がある。
一方、感度の高い白黒の撮像素子から得られる白黒画像と、Bayer配列の撮像素子から得られるカラー画像とを合成することで、感度の高い画像を取得することを想定した場合、白黒画像を基準としたモードと、カラー画像を基準としたモードでは、視点位置に差異が生じてしまう。また、この場合、白黒画像を基準としたモードと、カラー画像を基準としたモードでは、それぞれの撮像素子の特性の相違等に起因して、輝度や色味に相違が生じる。従って、モードが遷移する際に、ユーザが視認する被写体画像に変化が生じ、ユーザに違和感を与える可能性がある。特に、動画を撮影する場合、これらのモードがリアルタイムで遷移すると、ユーザに違和感を与える可能性が高くなる。
そこで、複数の撮像素子から得られる画像を合成する際に、モードの遷移に伴う違和感を抑制することが求められていた。
本開示によれば、同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成する合成処理部と、所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、を備える、画像処理装置が提供される。
また、本開示によれば、同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成することと、所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定されることと、を備える、画像処理方法が提供される。
また、本開示によれば、白黒画像を撮像する第1の撮像装置と、カラー画像を撮像する第2の撮像装置と、前記白黒画像の画像情報と前記カラー画像の画像情報を合成する合成処理部と、所定の変数に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、を有する、画像処理装置と、を備える、画像処理システムが提供される。
以上説明したように本開示によれば、複数の撮像素子から得られる画像を合成する際に、モードの遷移に伴う違和感を抑制することが可能となる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の一実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す模式図である。 合成モードの例を示す模式図である。 モードA、モードB、モードCのそれぞれについて、白黒画像とカラー画像を合成した場合の効果(輝度のS/N比、解像感)、合成画の破綻の度合い、を示す模式図である。 モードBとモードCで行われる位置合わせの処理を示す模式図である。 撮像部100と撮像部110の位置の違いに起因する、カラー画像と白黒画像の視差とオクルージョンを示す模式図である。 ISO感度に応じてモードを遷移させる様子を示す模式図である。 カラー画像を撮像する撮像装置と白黒画像を撮像する撮像装置を画像処理装置とは別に構成した画像処理システムの構成を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.画像処理装置の構成例
2.合成モードの具体例
3.モード遷移のための切り換え閾値について
4.モード遷移のための他のパラメータについて
5.画像処理システムの構成例
1.画像処理装置の構成例
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係る画像処理装置(撮像装置)1000の概略構成について説明する。画像処理装置1000は、デジタルカメラなどの撮像装置、スマートフォンやタブレット端末などの電子機器に備えられる。画像処理装置1000は、二眼の撮像部100,110を有している。撮像部100,110のそれぞれは、撮像素子と光学レンズなどの光学系を備える。光学系は、ズーム光学系、フォーカス光学系を含むものであって良く、ズーム倍率やフォーカス位置を変更できるものであっても良い。
撮像部100と撮像部110のそれぞれが備える撮像素子は、CMOSイメージセンサ等から構成され、レンズにより取り込まれた光の光電変換を行い、撮像画の画像データを生成する。撮像部100の撮像素子は、カラー画像を撮像する。一方、撮像部110の撮像素子は、白黒(B/W)画像を撮像する。本実施形態において、撮像部100、撮像部110は、静止画及び動画を撮像することができる。
カラー画像を撮像する撮像部100の撮像素子は、ベイヤ配列のカラーフィルタを用いる。ベイヤ配列では2×2画素の画素単位において対角位置の2つの画素が緑色(G)画素で、残りの画素が赤色(R)画素と青色(B)画素とされている。すなわち、撮像部100の撮像素子は、各画素が赤色と青色と緑色のいずれか1つの色成分の入射光量に基づく電気信号を出力する色画素によって構成されており、各画素が三原色(RGB)成分のいずれかを示すカラー画像の画像データを生成する。ベイヤ配列の画像データは、デモザイク処理により同色間の画素を補間生成することでフルカラーの画像データを生成するため、実質解像感が低下する。また、モアレや迷路ノイズ等のアーティファクトを生成することがある。
一方、撮像部110の撮像素子は、全画素が、可視光の全波長領域の入射光量に基づく電気信号を出力するW(ホワイト)画素によって構成される。したがって、撮像部110の撮像素子は、白黒画像の画像データを生成する。また、撮像部110の撮像素子は、W(ホワイト)画素でのみ形成されているため、デモザイク処理を施す必要がなく、撮像部100の撮像素子よりも解像感が高く、アーティファクトの少ない画像データを得ることができる。
前述したように、デジタルカメラなどの感度を高める方法として、レンズ口径または撮像素子のセルサイズを大きくする方法がある。しかし、この方法では、撮像素子の小型化、薄型化をする上で障壁がある。本実施形態の画像処理装置1000では、撮像素子の小型化を維持しながら感度を高めるため、複数カメラの画像を合成する。具体的に、感度の高い白黒の撮像素子から得られる白黒画像と、Bayer配列の撮像素子から得られるカラー画像とを合成し、感度の高い画像を取得する。
図1に示すように、画像処理装置1000は、二眼の撮像部100,110に加え、前処理部200,210、合成処理部300、露出制御部400、合成モード判定部500、後処理部600、を有して構成されている。
前処理部200は、撮像部100で撮像されたカラー画像の画像データに対し、レンズ歪補正や欠陥画素補正等の補正処理を行う。前処理部200は、補正後のカラー画像データを合成処理部300へ出力する。
前処理部210は、撮像部110で撮像された白黒画像の画像データに対し、レンズ歪補正や欠陥画素補正等の補正処理を行う。前処理部210は、補正後の白黒画像データを合成処理部300へ出力する。
露出制御部400は、画像の露出制御を全般的に行う他、被写体画像の明るさに基づいてISO感度を決定し、合成モード判定部500へ出力する。ISO感度は、被写体画像の明るさを示す指標であり、撮像部100,110のレンズから入ってきた光を、画像処理装置1000でどのくらい増幅させるかの指標となる。例えば、ISO200はISO100の2倍感度が高いことを示し、ISO200の場合は、ISO100の時に比べて光の量が半分の場所でも同じ明るさの画像(写真)を得ることが可能である。
具体的に、露出制御部400は、前処理部200で得られた統計情報(検波値)に基づいて、適正露光で撮像するためのISO感度を決定する。この際、被写体画像が暗いほどISO感度が高くなるようにISO感度を決定する。露出制御部400は、撮像部110から得られる白黒画像に基づいて被写体画像の明るさを判定し、ISO感度を決定することもできる。また、露出制御部400は、前処理部200で得られた統計情報(検波値)に基づいて、適正露光で撮像するためのシャッター速度(F値)を決定することもできる。
合成処理部300は、撮像部100が撮像したカラー画像と撮像部110が撮像した白黒画像を合成(フュージョン(統合))する。合成モード判定部500は、合成処理部300が白黒画像とカラー画像を合成する際に、ISO感度に基づいて合成モードを変更する。合成処理部300は、合成モードにもとづいて、カラー画像と白黒画像の合成処理を行う。合成モード判定部500は、スタインバイ動画の撮像時に録画が開始されると、録画を開始した旨の情報(録画開始情報)に基づいて、録画中のモードを録画開始時のモードに固定しても良い。
2.合成モードの具体例
図2は、合成モードの例を示す模式図である。図2では、モードA、モードB、モードCの3つのモードを示している。モードAは、撮像部100が備えるBayer配列の撮像素子による単眼のみで撮像を行うモードである。つまり、モードAでは、カラー画像と白黒画像の合成は行われない。
モードBは、撮像部100が撮像したカラー画像を基準に、撮像部110が撮像した、カラー画像に対して類似度の高い白黒画像の輝度を足し込むことで、画像のS/N比を改善するモードである。モードCは、白黒画像の輝度を基準にして、カラー撮像画像の色成分を足し込むことで画像のS/N比を改善するモードである。例えば、暗い被写体を撮像部100と撮像部110で撮像した場合に、撮像部110が撮像した白黒画像の方が、撮像部100が撮像したカラー画像よりもS/N比が良好になる。従って、白黒画像の輝度を用いることで、S/N比を改善することができ、暗い被写体であっても明るい画像として撮像することができる。
本実施形態では、露出制御部400が決定したISO感度に基づいて、ISO感度が大きいほどモードA→モードB→モードCのようにモードの遷移を行う。被写体の輝度が低い場合であっても、モードB、モードCにより合成処理を行うことで、輝度のS/N比を改善することが可能である。
図3は、モードA、モードB、モードCのそれぞれについて、カラー画像と白黒画像を合成した場合の効果(S/N比、解像感、合成画の破綻の度合い)を示す模式図である。被写体が暗く、ISO感度を高くする場合、モードAで撮像した画像は暗くなり、S/N比、解像感が低下する。このような場合、モードB、モードCを用いることで、S/N比、及び解像感を改善することができる。
図3に示すように、モードBは、モードAに対してS/N比は改善するが、その改善効果は小さい。また、モードBは、モードAに対して解像感は同等である。また、モードBでは、画像データの誤りや信号の歪み(以下、アーティファクト(Artifact)という)の発生度合いも小さく、画像の破綻はほぼ生じない。
モードCは、モードB対して更にS/N比の改善効果が大きい。また、モードCは、モードAに対して解像感も改善される。一方、モードCでは、アーティファクトの発生度合いも大きくなり、画像の破綻はモードBよりも多くなる。また、モードCは、白黒画像を基準とするため、モードA及びモードBに対して、視差分の視点移動が発生する。
なお、アーティファクトの発生要因としては、例えば、カラー画像と白黒画像の視差が大きすぎるため両者を合成可能なズレ量を超えてしまう、オクルージョンの情報が無いために合成処理ができず誤った色が合成されてしまう、輝度情報を用いた位置ベクトルの算出に失敗し適切な位置に色が合成されない、等が挙げられる。いずれの場合もアーティファクトの発生により色ずれが生じる。
以上のように、モードCは、S/N比、解像感の改善効果は大きいが、画像の破綻も多くなり、ハイリスク・ハイリターンのモードであるといえる。一方、モードBは、S/N比、解像感の改善効果は低いが、画像の破綻が少なく、ローリスク・ローリターンのモードであるといえる。換言すれば、ISO感度が上がるほど、ハイリスク・ハイリターンになる。
図4は、モードBとモードCで行われる位置合わせの処理を示す模式図である。図4に示す被写体1500を撮像した際に、二眼モジュールを構成する撮像部100と撮像部110の位置は完全に一致しない。このため、白黒画像810とカラー画像800には視差が生じる。モードBでは、カラー画像800を基準とし、白黒画像810の位置をカラー画像800に合わせる。一方、モードCでは、白黒画像810を基準とし、カラー画像800の位置を白黒画像に合わせる。このため、モードBとモードCの間でモードが遷移すると、視点の位置が視差分だけ移動することになる。合成処理部300は、位置合わせが行われたカラー画像と白黒画像について、合成処理を行う。
図5は、撮像部100と撮像部110の位置の違いに起因する、カラー画像800と白黒画像810の視差820とオクルージョン830を示す模式図である。なお、図5の上段の図は、撮像部100、撮像部110及び被写体1500を上方から見た様子を示している。
図5に示すように、撮像部100と撮像部110で被写体1500を撮像した場合、撮像部100と撮像部110のそれぞれでは見えているものが異なり、視差820、オクルージョン830が発生する。視差820とオクルージョン830の量は、撮像部100,110から被写体1500までの距離に応じて変化する。視差820、オクルージョン830の量は、被写体1500までの距離が遠いほど少なくなり、被写体1500までの距離が近いほど多くなる。
上述したように本実施形態では、被写体1500の明るさに応じて設定されるISO感度に基づいて、モードを遷移させる。一方、モードAまたはモードBと、モードCの間で遷移を行うと、モードA及びモードBではカラー画像800が位置の基準になり、モードCでは白黒画像810が位置の基準となるため、視点の変化が生じる。
また、モードAまたはモードBと、モードCの間で遷移を行うと、撮像部100の撮像素子と撮像部110の撮像素子との間の分光感度差に起因する色味の変化、輝度の変化が生じる。更に、モードAまたはモードBと、モードCの間で遷移を行うと、輝度のS/N比に差が生じる。
より具体的には、モードBでは、カラー画像の色を基準とし、白黒画像の輝度を足しこんでいるため、輝度と色のズレは生じにくい。一方、モードCでは、白黒画像の輝度を基準としてカラー画像の色を載せているため、輝度に対する色ずれが生じる場合がある。従って、モードBとモードCの間で遷移が行われると、輝度や色味が変化したり、S/Nが変化する場合がある。従って、モード遷移によりアーティファクトが目立ってしまう可能性がある。図3には、モードBとモードCとの間で遷移を行うと、視点の変化、輝度、色味の変化、S/N比の変化が生じることが示されている。同様に、モードAとモードBとの間で遷移を行った場合も、輝度やS/N比が変化する。
以上のように、モード遷移の際に、視点移動、画角、露出、色味、解像度、解像感、ノイズ等の、ユーザが視覚的に感知できる変化が生じる。そして、モード遷移時にこれらの変化が生じることにより、ユーザに違和感が生じる場合がある。特に、被写体1500の明るさに基づいて定められるISO感度が、2つのモードが切り換わる境界付近にある場合、被写体1500の明るさの多少の変化に応じて、2つのモードの間でモードが頻繁に切り換わり、ユーザに大きな違和感を与えてしまう可能性がある。
また、ユーザが知覚するこれらの変化は、特にユーザが動画を視認している場合に顕著になる。ユーザが動画を見ている最中にモードが切り換わると、視点の変化、輝度、色味の変化、S/N比の変化がリアルタイムで発生し、動画を視認しているユーザに違和感を与えてしまう。
3.モード遷移のための切り換え閾値について
本実施形態では、ISO感度に基づいてモードを遷移させる際に、各モードに応じてモードを判定するための閾値が設定される。より具体的には、モード遷移のためのISO感度のしきい値を、ISO感度が増加する場合とISO感度が減少する場合の双方で異なる値に設定し、ISO感度がモード切り換えの境界付近の値である場合に、モードが頻繁に切り換わることを抑制する。
図6は、ISO感度に応じてモードを遷移させる様子を示す模式図である。図6に示すように、ISO感度が増加する場合に、モードAからモードBに遷移する際のISO感度の閾値aと、モードA又はBからモードCに遷移する際のISO感度の閾値cが設定されている。ISO感度が閾値aよりも大きくなると、モードAからモードBへの遷移が行われる。また、ISO感度が閾値cよりも大きくなると、モードA又はBからモードCへの遷移が行われる。
また、ISO感度が減少する場合に、モードCからモードBに遷移する際のISO感度の閾値dと、モードB又はCからモードAに遷移する際のISO感度の閾値bが設定されている。ISO感度が閾値dよりも小さくなると、モードCからモードBへの遷移が行われる。また、ISO感度が閾値bよりも小さくなると、モードB又はCからモードAへの遷移が行われる。
図6に示すように、モードAからモードBに遷移する際のISO感度の閾値aは、モードB又はCからモードAに遷移する場合の閾値bよりも大きい。また、モードA又はBからモードCに遷移する場合のISO感度の閾値cは、モードCからモードBへ遷移する場合の閾値dよりも大きい。これらの閾値は、モードA,B,Cの両端のISO感度の境界において、モードA,B,C毎に個別に設定されている。つまり、ISO感度に基づいてモードを遷移させる際に、各モードに応じてモードを判定するための閾値が設定されている。
以上のように、本実施形態では、モードを切り換える際のISO感度の閾値を、ISO感度が増加する場合と低下する場合とで異なる値に設定している。モードを切り換える際のISO感度の閾値を、ISO感度が増加する場合と低下する場合とで同一に設定すると、被写体の輝度に基づいて決定されるISO感度が例えばモードBとモードCの切り換わりの閾値近傍にある場合に、ISO感度の増減に応じてモードBとモードCの間で遷移が頻繁に行われてしまう可能性がある。換言すれば、撮影環境に依存する変調軸(ISO感度)に従ってモード遷移を行う場合、変調の切り換え閾値付近で、ユーザが視覚的に感知できる変化を伴う遷移を頻繁に繰り返す場合がある。この場合、例えば上述のように、モードBとモードCの間でモードが遷移すると、視点変化、輝度変化、色味変化、S/N比の変化等が生じ、ユーザに違和感を与えてしまう。
本実施形態によれば、モードを切り換える際のISO感度の閾値を、ISO感度が増加する場合と低下する場合とで異なる値に設定したことにより、ヒステリシス制御によりモードを決定することができる。これにより、ISO感度がモード遷移の境界付近の値であったとしても、モードが頻繁に切り換わることを抑制でき、ユーザに違和感を与えることを抑制することが可能である。
4.モード遷移のための他のパラメータについて
上述した例では、ISO感度に基づいてモードを切り換える例を挙げたが、撮影環境に依存する他のパラメータに基づいてモードを切り換えることもできる。他のパラメータとして、例えば、シャッター速度、EV値、ズーム位置、フォーカス位置等を挙げることができる。これらのパラメータに応じてモードA~Cを切り換えることで、パラメータの値に応じた最適な画像を画像処理装置1000から出力することができる。また、複数のパラメータを組み合わせてモード制御を行っても良い。
例えば、ズーム位置に応じてISO感度によるモード遷移の閾値を複数備えることにより、ズームによる画像データの誤りや信号の歪み(Artifact)の目立ち方の変化に応じて、モード遷移の閾値を最適に設定することも可能である。
5.画像処理システムの構成例
図1に示す画像処理装置1000において、撮像部100と撮像部110は、画像処理装置1000とは別体の撮像装置として設けられていても良い。図7は、カラー画像を撮像する撮像装置1100と白黒画像を撮像する撮像装置1200を画像処理装置1000とは別に構成した画像処理システム2000の構成を示す模式図である。
図7において、撮像装置1100と撮像装置1200のそれぞれは、画像処理装置1000と無線又は有線により通信可能とされている。なお、通信の手法としては、任意の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。図7に示すように、撮像装置1100が撮像したカラー画像のデータは、画像処理装置1000に送信される。また、撮像装置1200が撮像した白黒画像のデータは、画像処理装置1000に送信される。画像処理装置1000における処理は、図1で説明した処理と同様に行われる。
以上説明したように本実施形態によれば、撮影環境に依存する変調軸(ISO感度)に従ってモード遷移を行う場合に、変調の切り換え閾値をモードの状態に応じて個別に設定することで、モード遷移が頻発することを抑制することができる。具体的には、モードを切り換える際のISO感度の閾値を、ISO感度が増加する場合と低下する場合とで異なる値に設定したことで、モード切り換えが頻繁に行われてしまうことがなく、ユーザの違和感を抑制することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1) 同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成する合成処理部と、
所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、
を備える、画像処理装置。
(2) 任意のモードと他のモードとが切り換わる境界に相当する前記閾値が、前記変数が増加する場合と前記変数が減少する場合とで異なる、前記(1)に記載の画像処理装置。
(3) 前記合成処理部は、白黒画像の前記画像情報とカラー画像の前記画像情報を合成する、前記(1)又は(2)に記載の画像処理装置。
(4) 複数の前記撮像素子は、前記被写体の動画を撮像する、前記(1)~(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5) 前記所定の変数は、前記被写体を撮像する際の環境に関する変数である、前記(1)~(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6) 前記所定の変数は、ISO感度、シャッター速度、EV値、ズーム倍率又はフォーカス位置である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7) 前記モードは、前記カラー画像と前記白黒画像を合成せずに前記カラー画像を前記合成処理部から出力する第1のモードと、前記カラー画像を基準として前記カラー画像の情報に前記白黒画像の情報を合成する第2のモードと、前記白黒画像を基準として前記白黒画像の情報に前記カラー画像の情報を合成する第3のモードと、を含む、前記(3)に記載の画像処理装置。
(8) 前記第2のモードでは、前記カラー画像の情報に前記白黒画像の輝度情報を合成する、前記(7)に記載の画像処理装置。
(9) 前記第3のモードでは、前記白黒画像の情報に前記カラー画像の色情報を合成する、前記(7)又は(8)に記載の画像処理装置。
(10) 前記合成モード判定部は、スタインバイ動画の撮像時に録画が開始されると、録画開始時の前記モードに固定する、前記(1)~(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11) 同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成することと、
所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定されることと、
を備える、画像処理方法。
(12) 白黒画像を撮像する第1の撮像装置と、
カラー画像を撮像する第2の撮像装置と、
前記白黒画像の画像情報と前記カラー画像の画像情報を合成する合成処理部と、所定の変数に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、を有する、画像処理装置と、
を備える、画像処理システム。
1000 撮像装置
100,110 撮像部
300 合成処理部
500 合成モード判定部

Claims (10)

  1. 同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成する合成処理部と、
    所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、
    を備え
    任意のモードと他のモードとが切り換わる境界に相当する前記閾値が、前記変数が増加する場合と前記変数が減少する場合とで異なり、さらに、前記変数とは異なる他の変数に応じて、複数設定される、画像処理装置。
  2. 前記合成処理部は、白黒画像の前記画像情報とカラー画像の前記画像情報を合成する、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 複数の前記撮像素子は、前記被写体の動画を撮像する、請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記所定の変数は、前記被写体を撮像する際の環境に関する変数である、請求項1に記載の画像処理装置。
  5. 前記所定の変数及び前記他の変数は、ISO感度、シャッター速度、EV値、ズーム倍率又はフォーカス位置である、請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記モードは、
    前記カラー画像と前記白黒画像を合成せずに前記カラー画像を前記合成処理部から出力する第1のモードと、
    前記カラー画像を基準として前記カラー画像の情報に前記白黒画像の情報を合成する第2のモードと、
    前記白黒画像を基準として前記白黒画像の情報に前記カラー画像の情報を合成する第3のモードと、
    を含む、請求項に記載の画像処理装置。
  7. 前記第2のモードでは、前記カラー画像の情報に前記白黒画像の輝度情報を合成する、請求項に記載の画像処理装置。
  8. 前記第3のモードでは、前記白黒画像の情報に前記カラー画像の色情報を合成する、請求項に記載の画像処理装置。
  9. 同一の被写体を撮像する複数の撮像素子のそれぞれから得られる複数の画像情報を合成することと、
    所定の変数の値に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定されることと、
    を備え
    任意のモードと他のモードとが切り換わる境界に相当する前記閾値が、前記変数が増加する場合と前記変数が減少する場合とで異なり、さらに、前記変数とは異なる他の変数に応じて、複数設定される、画像処理方法。
  10. 白黒画像を撮像する第1の撮像装置と、
    カラー画像を撮像する第2の撮像装置と、
    前記白黒画像の画像情報と前記カラー画像の画像情報を合成する合成処理部と、所定の変数に応じて前記合成のモードを判定し、前記モードを判定するための前記変数の閾値が複数の前記モードのそれぞれに応じて設定される合成モード判定部と、を有する、画像処理装置と、
    を備え
    任意のモードと他のモードとが切り換わる境界に相当する前記閾値が、前記変数が増加する場合と前記変数が減少する場合とで異なり、さらに、前記変数とは異なる他の変数に応じて、複数設定される、画像処理システム。
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