以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
<実施形態>
図1は、実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の斜視図である。本願で用いる方向に関する用語は、おむつ1が着用者に着用された状態において該着用者の前後左右に一致する方向を意味するものとする。例えば、本願で左右方向という場合、おむつ1の着用者に着用された状態において該着用者の左右に一致する方向を意味する。
本実施形態では、吸収性物品の一例として、着用者の腹囲が入る開口部と、着用者の左下肢及び右下肢が挿通される左右一対の開口部とを有する筒状構造のパンツ型使い捨ておむつを例示するが、本願でいう「吸収性物品」は、パンツ型使い捨ておむつに限定されるものでない。本願でいう「吸収性物品」には、例えば、着用者の股下(陰部)を前身頃から後身頃にかけて覆うシート状の部材の一端部付近に固定されたテープを、該シート状の部材の他端部付近に貼り付けることで筒状構造を形成するテープ型使い捨ておむつ等、腹囲と股下を包み得る各種形態の吸収性物品が含まれる。
おむつ1は、着用状態において着用者の陰部(股下)を覆う股下領域に対応する部位である股下領域1Bと、着用者の胴周りにおける前身頃に対応する部位であって着用者の腹部側を覆うための前身頃領域1Fと、着用者の胴周りにおける後身頃に対応する部位であって着用者の背部側を覆うための後身頃領域1Rとを有する。ここで、前身頃領域1Fは股下領域1Bの前側に位置し、後身頃領域1Rは股下領域1Bの後側に位置する。本実施形態におけるおむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつであるため、前身頃領域1Fの左側の縁と後身頃領域1Rの左側の縁は互いに接合され、前身頃領域1Fの右側の縁と後身頃領域1Rの右側の縁は互いに接合されている。よって、おむつ1には、前身頃領域1Fの上側の縁と後身頃領域1Rの上側の縁とによって胴開口部2Tが形成されている。また、おむつ1には、上記接合が施されない股下領域1Bの左側の部位に左下肢開口部2Lが形成され、股下領域1Bの右側の部位に右下肢開口部2Rが形成されている。そして、おむつ1は、着用者の左下肢が左下肢開口部2Lに挿通され、着用者の右下肢が右下肢開口部2Rに挿通され、着用者の胴部が胴開口部2Tに入るように装着されると、前身頃領域1Fが着用者の腹部側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背部側に配置され、左下肢開口部2Lと右下肢開口部2Rが着用者の大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の左下肢の大腿部を取り巻く左下肢開口部2Lに立体ギャザー3BLが設けられ、着用者の右下肢の大腿部を取り巻く右下肢開口部2Rに立体ギャザー3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。立体ギャザー3BL,3BRとウェストギャザー3Rは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される排泄液は、おむつ1から殆ど漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
図2は、実施形態に係るおむつ1の分解斜視図である。また、図3は、実施形態に係るおむつ1を展開し、伸長した状態を模式的に示した図である。図3(A)は、展開及び伸長した状態のおむつ1を左側から見た場合の内部構造を模式的に示している。図3(B)は、展開及び伸長した状態のおむつ1の平面図を模式的に示している。
おむつ1は、着用者に着用された状態において外表面を形成するカバーシート4F,4Rとパッドカバーシート6とを有する。カバーシート4Fは、主におむつ1の前身頃領域1Fの外表面を形成する。また、パッドカバーシート6は、主におむつ1の股下領域1Bの外表面を形成する。また、カバーシート4Rは、主におむつ1の後身頃領域1Rの外表面を形成する。カバーシート4F,4Rとパッドカバーシート6は、おむつ1の外表面の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。ここで、液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。
また、おむつ1は、カバーシート4Fの着用者側の面(着用者の肌側面)に積層されるインナーカバーシート5Fと、カバーシート4Fの着用者側の面に積層されるインナーカバーシート5Rとを有する。インナーカバーシート5Fは、カバーシート4Fのうち後述する折り返し線4F6よりも股下領域1B側の部分に一致する形状を有するシート状の部材である。インナーカバーシート5Rもインナーカバーシート5Fと同様、カバーシート4Rのうち後述する折り返し線4R6よりも股下領域1B側の部分に一致する形状を有するシート状の部材である。
また、おむつ1は、パッドカバーシート6の着用者側の面において順に積層されるバックシート7、吸収体8、センターシート9を有する。パッドカバーシート6は、着用者の前身頃から股下を経由して後身頃へ届く長さを長手方向に有し、当該長手方向に対し直交する幅方向に所定の横幅を有する略長方形のシートである。また、バックシート7、吸収体8、センターシート9は、何れもパッドカバーシート6と同様に略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がパッドカバーシート6の長手方向と一致する状態でパッドカバーシート6に対して順に積層されている。バックシート7は、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。また、センターシート9は、吸収体8の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このセンターシート9は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るセンターシート9を通って吸収体8に浸入し、そこで吸収される。液透過性のシートとしては、例えば、織布、不織布、多孔質フィルムが挙げられる。また、センターシート9は親水性を有していてもよい。
吸収体8は、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性の高吸収性重合体等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体8は、着用者から排泄された液体を吸収すると、短繊維内の隙間に保持された吸収性樹脂を膨潤させて該液体を短繊維内に保持する。吸収体8は、1枚のマットからなる単層構造であってもよいし、複数枚のマットを重ね合わせた積層構造であってもよい。また、吸収体8は、目的に応じた適宜の形状を採ることができる。吸収体8の形状としては、例えば、矩形状、中央部付近が括れた砂時計型、その他各種の形状が挙げられる。
バックシート7、吸収体8、センターシート9は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート7、吸収体8、センターシート9が積層されているパッドカバーシート6で着用者の陰部(股下)を覆うと、バックシート7、吸収体8、センターシート9の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体8に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はセンターシート9を介して吸収体8に接触することになる。
また、おむつ1は、上述した立体ギャザー3BL,3BRを形成するための細長い帯状のサイドシート10L,10Rを有する。サイドシート10L,10Rは、センターシート9の長辺の部分に設けられる。そして、サイドシート10L,10Rには糸ゴム10L1,10R1が長手方向に沿って接着されている。よって、サイドシート10L,10Rは、前身頃領域1Fの左側の縁となるカバーシート4Fの縁4F7と、後身頃領域1Rの左側の縁となるカバーシート4Rの縁4R7とが互いに接合され、且つ、前身頃領域1Fの右側の縁となるカバーシート4Fの縁4F8と、後身頃領域1Rの右側の縁となるカバーシート4Rの縁4R8とが互いに接合されることにより、図1に示したような完成状態のおむつ1になると、糸ゴム10L1,10R1の収縮力で長手方向に引き寄せられて折り返し線10L2,10R2に沿ってセンターシート9から立ち上がる。その結果、左下肢開口部2L及び右下肢開口部2Rからの液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRが形成される。なお、カバーシート4Fにおける縁4F7及びカバーシート4Rにおける縁4R7、カバーシート4Fにおける縁4F8及びカバーシート4Rにおける縁4R8の接合方法は特に限定されないが、例えば、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等によって行うことができる。
ここで、図3に示すように、カバーシート4Fは、折り返し線4F6において一端側が折り返されている。上述したウェストギャザー3Rは、カバーシート4Fに対して糸ゴム(糸状のゴム)4F2,4F3が接着され、カバーシート4Rに対して糸ゴム(糸状のゴム)4R2,4R3が接着されることで形成される。カバーシート4Fに接着される糸ゴム4F2,4F3は、折り返されると前身頃領域1Fの上側の縁を形成することになる折り返し線4F6沿いに、折り返し線4F6側から糸ゴム4F2、糸ゴム4F3の順に設けられている。また、カバーシート4Rに接着される糸ゴム4R2,4R3も、糸ゴム4F2,4F3と同様、折り返されると後身頃領域1Rの上側の縁を形成することになる折り返し線4R6沿いに、折り返し線4R6側から糸ゴム4R2、糸ゴム4R3の順に設けられている。このため、糸ゴム4F2,4F3は、伸縮方向となる胴回り方向がおむつ1の左右方向となる向きでカバーシート4Fに設けられることになる。また、糸ゴム4R2,4R3は、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでカバーシート4Rに設けられることになる。よって、縁4F7と縁4R7が互いに接合され、縁4F8と縁4R8が互いに接合されると、糸ゴム4F2,4F3と糸ゴム4R2,4R3は、胴開口部2Tに沿って周回する実質的に環状の伸縮部材を形成し、胴開口部2Tを胴周り方向に収縮させる機能を発揮する。すなわち、糸ゴム4F2,4F3と糸ゴム4R2,4R3は、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
更に、カバーシート4Fには糸ゴム4F4,4F5が接着され、カバーシート4Rには糸ゴム4R4,4R5が接着されている。糸ゴム4F4,4F5は、カバーシート4Fのうち糸ゴム4F3よりも股下領域1B側の領域に設けられる伸縮部材である。ただし、糸ゴム4F4,4F5は、カバーシート4Fの左端から右端まで途切れることなく接着される糸ゴム4F2,F3とは異なり、吸収体8に対応する部位となる幅方向中央部が所定の横幅分だけカットされている。カバーシート4Fは、吸収体8に対応する部位となる幅方向中央部がカットされた糸ゴム4F4,4F5を有することにより、吸水による吸収体8の膨張を阻害することなく、着用者の下腹部に適度な密着感を付与する。カバーシート4Rについてもカバーシート4Fと同様であり、吸収体8に対応する部位となる幅方向中央部が所定の横幅分だけカットされた糸ゴム4R4,4R5がカバーシート4Rに接着されることで、着用者の下腹部に適度な密着感を付与する。
糸ゴム4F2は、図1に示した前身頃領域1Fの上側の縁となる部分に沿って左右方向に延在するように設けられている。糸ゴム4F2は、所定の間隔を空けて3本平行に設けられている。そして、糸ゴム4F3は、3本ある糸ゴム4F2の隣で糸ゴム4F2と同様に左右方向に延在するように複数本設けられている。糸ゴム4F3は、おむつ1が着用された状態において、着用者の骨盤の左右両端部が位置する部位の付近に位置することで、おむつ1を着用者の腰に保持させる機能を主に担う。また、糸ゴム4F2は、おむつ1が着用された状態において、着用者の腹囲を糸ゴム4F3よりも上側で包囲することにより、おむつ1から液体が漏出するのを防ぐ機能や、糸ゴム4F3の収縮力に起因する着用者への圧迫感を緩和する機能、おむつ1内の湿気を排出する機能を担う。なお、糸ゴム4F4と糸ゴム4F5は、図3に示されるように、糸ゴム4F3の隣で糸ゴム4F3と同様に左右方向に延在するように複数本設けられている。そして、上述したように、糸ゴム4F4,4F5は、吸収体8に対応する部位がカットされている。
また、おむつ1は、パッドカバーシート6、バックシート7、吸収体8、センターシート9、サイドシート10L,10Rを挟んでカバーシート4Fの着用者側の面に積層される通気路形成シート11Fと、カバーシート4Rの着用者側の面に積層される通気路形成シート11Rとを有する。通気路形成シート11F,11Rには不織布が用いられる。通気路形成シート11Fは、センターシート9の長手方向における一端側においてカバーシート4Fに重ねられる。また、通気路形成シート11Rは、センターシート9の長手方向
における他端側においてカバーシート4Rに重ねられる。なお、本願においてシートが重なる状態とは、重ね合わされるシート同士が互いに全面的に接触する状態で重なる形態に限定されるものでなく、シートの一部分同士が重なる形態を含む概念である。例えば、通気路形成シート11Fは、パッドカバーシート6の長手方向における一端側の一部分が、カバーシート4Fの一部分に触れる状態で重ねられる。おむつ1は、吸収体8を間に挟んだバックシート7及びセンターシート9の他、カバーシート4F,4R、通気路形成シート11F,11R、パッドカバーシート6、サイドシート10L,10Rが積み重なって形成されているため、これら複数のシートを積み重ねた積層体を有していると言える。
図4(A)は、通気路形成シート11Fを示す平面図である。通気路形成シート11Fを厚さ方向に貫通した非直線状の切り込み11F1が形成されている。切り込み11F1は、通気性を確保するために設けられており、通気路形成シート11Fに複数形成されている。切り込み11F1は、前身頃領域1Fの上側の縁に沿う左右方向に延在する領域(図2及び図4(A)において長方形状の点線で囲んだ領域)にマトリクス状に多数配列されている。なお、複数の切り込み11F1は、千鳥状やその他の配置パターンで配置されていてもよい。実施形態において、切り込み11F1は、略C字形状を有する。なお、切り込み11F1の形状はこれに限られず、切り込み11F1は、U字状や、V字状等であってもよい。なお、通気路形成シート11Fにおける切り込み11F1の大きさは特に限定されない。
図4(B)は、図4(A)の円形状の点線で囲んだ領域A内の切り込み11F1を拡大して示している。おむつ1は、切り込み11F1によって画定され、切り込み11F1の端部11F11と、切り込み11F12とを結ぶ切り残し11F2によって通気路形成シート11Fに接続された小片11F3を備えている。平面視において、切り込み11F2は、C字やU字やV字等の凸状となる曲線であって、切り残し11F2が直線状となり、切り残し11F2で小片11F3が通気路形成シート11Fに繋がるように形成されている。実施形態において、切り込み11F1は、中心角θが約270度の扇型を有し、略C字形状である。また、小片11F3は、切り残し11F2を起点として、通気路形成シート11Fの厚さ方向に曲げることができる。小片11F3を当該厚さ方向に曲げることで隙間が生じ、おむつ1は、この隙間により通気性をより確保することができる。
図4(C)は、図4(B)中の小片11F3及び切り残し11F2の中心を通るB-B線で切断した断面図である。図4(C)では、紙面に向かって上側が肌側であり、その反対の下側が非肌側である。図4(C)に示す例では、小片11F3は、非肌側に曲がっている。これにより、小片11F3は、非肌側に弁状に開く状態となる。通気路形成シート11Fは、おむつ1の着用状態において着用者の肌に接する。当該着用者の肌表面から生じる汗は、通気路形成シート11Fと肌の間に流れ込む。非肌側に曲がる小片11F3は、この汗を非肌側へと案内することができる。これにより、小片11F3は、着用者がかいた汗を通気路形成シート11Fと肌面との間に滞留させずに非肌側に案内してこの汗により生じる蒸れを抑制することができる。
なお、図4(A)~(C)では、通気路形成シート11Fを例に挙げて説明したが、通気路形成シート11Rも同様に複数の切り込み11R1を複数備えている。図2に示す通気路形成シート11Rにおいて長方形状の点線で囲んだ領域に複数の切り込み11R1が複数形成されている。実施形態に係るおむつ1は、後身頃領域1Rに切り込み11R1を有する通気路形成シート11Fを備えているので、後身頃領域1Rにおける蒸れを抑制することができる。
図5は、前身頃領域1Fにおいて、糸ゴム4F2同士の間隔とウェストギャザー3Rに現れる通気路の大きさとの関係を示した図である。図5(A)で示される図は、ウェスト
ギャザー3Rを着用者の肌が触れる方から見た場合の図である。また、図5(B)で示される図は、おむつ1の側方から見た場合のウェストギャザー3R内の内部構造を示した図である。また、図5(C)で示される図は、おむつ1の上方からウェストギャザー3Rを見た場合の様子を示した図である。また、図5(D)で示される図は、ウェストギャザー3Rが収縮した状態における、おむつ1の上方からウェストギャザー3Rを見た場合の状態を示した図である。図5では、説明の便宜上、ウェストギャザー3Rのうち前身頃領域1Fが図示されているが、ウェストギャザー3Rのうち後身頃領域1Rの部分についても同様である。
図5に示されるように、カバーシート4Fは、図2に示した折り返し線4F6で折り返され、更に通気路形成シート11Fが重ねられて接合される。接合は、各糸ゴムとシートが伸長された状態で行われる。図5(A)で示される図にある符号Sの破線は、接合された部分である。また、図5(C)および図5(D)で示される図にある符号Sの箇所は、接合された部分である。
折り返し線4F6においてカバーシート4Fが折り返された状態でカバーシート4Fと通気路形成シート11Fとを接合する接合部分Sは、図5(A)で示される図を見ると判るように、図1に示した前身頃領域1Fの上側の縁に対し直角の方向に延在する直線状の形態となっている。接合部分Sは、平行に複数設けられており、更に各間隔が大小交互となるように設けられている。よって、接合部分Sは、図5を見ると判るように、二重線が等間隔で並ぶような形態となっている。接合部分Sによって構成される二重線が等間隔で並ぶような形態を採ることにより、図5(D)で示されるように、収縮後のウェストギャザー3Rに第1通気路12と第2通気路13が交互に形成される。これは、接合が各糸ゴムとシートを伸長した状態で行われ、その後に伸長状態が解かれてウェストギャザー3Rが糸ゴム4F2の収縮力で縮むと、二重線を構成する2つの接合部分Sの間という間隔の狭い部分でシートの撓みにより相対的に小さい第1通気路12が形成され、二重線同士の間という間隔の広い部分ではシートの撓みにより相対的に大きい第2通気路13が形成されるためである。
二重線が等間隔で並ぶような形態の接合部分Sが形成されることにより、収縮後のウェストギャザー3Rにはシートの撓みにより形成される第1通気路12と第2通気路13が大小交互に波型で形成される。図5(D)に二点鎖線で示す符号SSは、おむつ1を着用者が着用した場合に、通気路形成シート11Fに当接する肌面を仮想線として示したものである。第2通気路13は、おむつ1を着用者が装着した際に、通気路形成シート11Fの肌当接面と着用者の肌との間に形成される隙間として形成される。おむつ1と着用者の肌面との間における湿気は、ウェストギャザー3Rに形成される第2通気路13を通じて外部に排出することができる。第1通気路12は、通気路形成シート11Fの切り込み11F1や隙間11F4を透過した湿気が通る経路である。おむつ1は、おむつ1と肌面との間で生じる湿気を切り込み11F1や隙間11F4を介して第1通気路12に導入して外部に排出することができる。これにより、おむつ1は、着用者の蒸れ感を抑制できる。第2通気路13は、おむつ1と肌面との間の空間と、おむつ1の外部空間とを直接的に連通する経路であり、おむつ1内の湿気をより円滑に排出する。また、通気路形成シート11Rは切り込み11R1を備えているので、おむつ1は、ウェストギャザー3Rの後身頃領域1Rにおいても同様の効果を得ることができる。
実施形態では、切り込みが形成されている不織布は、通気路形成シート11F,11Rであるが、不織布が用いられたカバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6に切り込み11F1と同様の切り込みが形成されていてもよい。おむつ1において、上記の切り込みを備える不織布は、前身頃領域1F又は後身頃領域1Rの少なくとも何れかに配置されている。また、おむつ1において、切り込みが形成さ
れた不織布は、股下領域1Bに配置されていてもよい。おむつ1は、切り込みが形成された不織布を備えることで、通気性を確保して蒸れを抑制することができる。なお、おむつ1は、不織布にミシン目状の切り込みが形成されていても通気性を確保することができる。
次に、実施形態に係るおむつ1の製造方法及びそれに用いる製造装置について説明する。実施形態では、おむつ1の製造工程のうち不織布を加工する工程に特徴を有しているため、以下では不織布を加工する工程について説明する。また、以下では、不織布21を通気路形成シート11Fに用いる場合について説明するが、以下に示す工程によって加工した不織布は、通気路形成シート11R、カバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6に用いることができる。
図6は、実施形態に係る吸収性物品の製造装置(以下、単に「製造装置」と称する)100を示している。製造装置100は、不織布に非直線状の切り込みを形成するために用いられる。製造装置100は、搬入ローラ部101と、搬出ローラ部102と、切り込みを形成する歯112を有する第1ローラ110と、第1ローラ110に対向して配置された第2ローラ120と、案内ローラ130と、を備えている。
搬入ローラ部101は、所定の間隙を設けて互いに対向配置された2つのローラ101a,101bを備えている。この2つのローラ101a,101bは、不図示の駆動源によって互いに反対方向に回転し、加工前の不織布21がロール状に巻かれた原反ロール20から不織布21を第1ローラ110と第2ローラ部との間の切り込み形成位置CPに搬入する。
第1ローラ110は、円柱形状を有し、円柱の側面である曲面状の外周面111に所定パターンで配置された歯112を複数備えている。歯112は、不織布21を厚さ方向に貫通して不織布21に非直線状の切り込みを形成する。実施形態において、複数の歯112は、外周面111を平面状に展開した場合にマトリクス状となるように配置されている。このため、第1ローラ110を通過した不織布21には、図4(A)に示すようにマトリクス状に複数の切り込み11F1が形成される。なお、歯112は、不織布21に形成する切り込みの配列パターンに対応して外周面111上に複数配置されていればよい。
また、図6(B)は、第1ローラ110の外周面111に直交する方向から上面視した歯112を示している。歯112は、上面視した状態において略C字形状を有している。この歯112が不織布21を厚さ方向に貫通することで、図4(B)に示すC字形状の切り込み11F1が形成される。なお、歯112の形状は、U字状やV字状等であってもよく、形成する切り込みの形状によって種々に変形可能である。
また、第1ローラ110と対向するように第2ローラ120が配置されている。第2ローラ120は、第1ローラ110と同様に円柱形状を有し、円柱の側面である曲面状の外周面121が第1ローラ110の外周面111と対向するように、且つ外周面111と所定の間隙を設けて配置されている。第2ローラ120の外周面121には、第1ローラ110の歯112の配置パターンに対応して複数の受入孔122が設けられている。図6(C)は、第2ローラ120の外周面121に直交する方向から上面視した受入孔122を示している。受入孔122は、上面視した状態において歯112と対応する略C字形状を有している。図6(A)に示すように、切り込み形成位置CPにおいて、不織布21を貫通した歯112が受入孔122に収容される。これにより、第2ローラ120の回転が歯112に干渉されることを防ぐことができる。なお、受入孔122の形状は、歯112を受け入れ可能な形状であればよい。
第1ローラ110の円柱形状の中心に設けられた回転軸110xと、第2ローラ120の円柱形状の中心に設けられた回転軸120xとは、互いに平行になるように配置されている。これらの回転軸110x,120xは、不図示の駆動源にそれぞれ接続されており、第1ローラ110と第2ローラ120とは、同じ回転速度で互いに逆方向に回転する。
案内ローラ130は、切り込みが形成された不織布21を次の工程に搬出する搬出ローラ部102に不織布21を案内する。第1ローラ110の歯112により切り込みが形成された不織布21は、第1ローラ110の回転によって外周面111の周方向に移動する。案内ローラ130の回転軸130xは、第1ローラ110の回転軸110xに平行に配置される。また、回転軸130xは、不図示の駆動源に接続されており、案内ローラ130は、第1ローラ110と反対方向に回転する。案内ローラ130は、曲面状の外周面131を備えており、外周面131が第1ローラ110の外周面111と所定の間隙を設けて配置されている。第1ローラ110の回転によって外周面111の周方向に移動してきた不織布21は、案内ローラ130の外周面131に接すると、外周面131に沿って案内されて搬出ローラ部102の方向に搬出される。
搬出ローラ部102は、互いに対向配置された2つのローラ102a,102bを備えている。この2つのローラ102a,102bは、不図示の駆動源によって互いに反対方向に回転し、加工後の不織布21を次の工程に搬出する。なお、搬出ローラ部102の先において、加工後の不織布21は巻き取りロールに一旦巻き取られてもよい。
次に、製造装置100の動作についてより詳細に説明する。図6の紙面に向かって、搬入ローラ部101のローラ101aは左回りに回転し、搬入ローラ部101のローラ部101bは右回りに回転して、原反ロール20から不織布21が第1ローラ110に向かって搬入される。また、図6の紙面に向かって、第1ローラ110は右回りに回転し、第2ローラ120は左回りに回転する。第1ローラ110に搬入された不織布21には切り込み形成位置CPで歯112により切り込みが形成される。また、図6の紙面に向かって案内ローラ130は左回りに回転し、不織布21は搬出ローラ部102に向かって案内される。また、図6の紙面に向かって、搬出ローラ部102のローラ102aは左回りに回転し、搬出ローラ部102のローラ部102bは右回りに回転して、不織布21が不図示の次の工程や巻き取りロールに向かって搬出される。
このように、おむつ1の製造方法は、不織布21に厚さ方向に貫通した非直線状の切り込みを形成するステップを含んでいる。これにより、不織布21に通気性を確保するための切り込みを形成することができる。
また、おむつ1の製造方法は、図4(C)に示すように、小片11F3を非肌側に曲げるステップを更に含んでいてもよい。例えば、図6(D)に示すように、第1ローラ110の外周面111であって歯112の中心に吸引部113を設けておく。吸引部113によって、図6(A)に示す切り込み形成位置CPやその後の位置において切り込みの中心(小片11F3の中心)を吸引しておき、案内ローラ130の近傍で不織布21から歯112が抜ける際に吸引部113に切り込みの中心を引き付けておくことで、小片は切り残しを起点として第1ローラ110の外周面111側に曲げられる。この場合、一旦曲げた小片が元に戻らないようにするために、搬出ローラ部102のローラ102bを設けなくてもよい。不織布21は、小片が曲がっている方が非肌側となるようにおむつ1に配置される。
また、不織布21の小片を曲げる工程は、図7(A)に示す変形例に係る製造装置100により行われてもよい。図7(A)は、変形例に係る製造装置100を示している。変形例に係る製造装置100は、図6(A)に示す製造装置100と異なり、切り込み形成
位置CPを通過した不織布21が第2ローラ120の外周面121の周方向に沿って移動する点が異なっている。この場合には、図7(A)に示すように製造装置100は案内ローラ130を備えていなくてもよい。
本変形例において、図7(B)に示すように、第2ローラ120の外周面121であって受入孔122の中心に吸引部123を設けておく。吸引部123によって、図7(A)に示す切り込み形成位置CPやその後の位置において切り込みの中心(小片11F3の中心)を吸引しておき、不織布21が第2ローラ120の外周面121から離れる際に吸引部123に切り込みの中心を引き付けておくことで、小片は切り残しを起点として第2ローラ120の外周面121側に曲げられる。この場合、一旦曲げた小片が元に戻らないようにするために、搬出ローラ部102には小片が曲げられた方の面と接するローラを設けないようにする。不織布21は、小片が曲がっている方が非肌側となるようにおむつ1に配置される。
このように加工した不織布21を通気路形成シート11Fに用いる場合には、おむつ1の製造方法は、不織布21を前身頃領域1Fに配置するステップを含む。また、不織布21を例えば通気路形成シート11Rに用いる場合には、おむつ1の製造方法は、不織布21を後身頃領域1Rに配置するステップを含む。これにより、不織布21を通気路形成シート11F,11Rに用いることができる。なお、加工した不織布21をカバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6の配置箇所に配置して、これらのシートとしても勿論よい。
ところで、特許文献1に記載の吸収性物品においては、通気性を確保するために穿孔針を用いて不織布に貫通孔が形成される。不織布に貫通孔を形成する穿孔針を所定温度以上に加熱し、穿孔を形成する際に不織布に含まれる熱可塑性樹脂材料を加熱変形させて、貫通孔の形状を維持するための熱処理が施される。しかしながら、穿孔針は、不織布への貫通孔形成時において不織布への接触と非接触とが繰り返される。また、不織布に貫通孔を形成するのに適した温度も存在する。これらを考慮して直径が数mmにも満たない穿孔針を貫通孔形成に適した所定温度に制御することは困難である。また、穿孔針を所定温度に制御できない場合や、不織布の地合いが不均一であると貫通孔が形成されない場合もある。不織布に貫通孔が形成されなければ吸収性物品は、通気性を得ることができず、蒸れによって着用感が低下してしまう。また、仮に貫通孔を形成できた場合には、熱処理された貫通孔周囲の不織布が硬くなってしまう。この貫通孔周囲の繊維が着用者の肌等に触れると着用者に不快感が生じて吸収性物品の着用感が低下してしまう虞もある。
一方、製造装置100を用いたおむつ1の製造方法においては、切り込み形成の際に歯112を所定温度に加熱する必要がない。この製造方法によれば、不織布に通気性を確保しつつ切り込み周囲の不織布を熱処理によって硬くすることがない。このため、この製造方法によれば、おむつ1に通気性を確保しつつ着用者に不快感が生じないように不織布を加工することができる。これにより、この製造方法によれば、おむつ1の通気性が得られ、蒸れを抑制することができる。また、切り残し(例えば、図4に示す切り残し11F2)を設けることで、切断部(例えば、図4に示す小片11F3)が不織布21から完全に切断されるのを防ぎ、おむつ1の製造時に小片が塵くずとして排出されるのを防ぐことができる。
次に、カバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6、通気路形成シート11F,11Rに用いることができる不織布について説明する。図8(A)は、カバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6、通気路形成シート11F,11Rに用いることができる不織布30,31の断面図である。なお、図8(A)及び後述する図8(B)、(C)では、不織布30,3
1の間の隙間を実際にこれらの間に生じる隙間よりも広く図示している。不織布30,31を重ねわせたものを一体としてカバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6、通気路形成シート11F,11Rに用いてもよい。また、完成状態のおむつ1において重なる2つシートの一方に不織布30を用い、他方のシートに不織布31を用いてもよい。例えば、通気路形成シート11Fに不織布30を用い、インナーカバーシート5Fに不織布31を用いてもよい。
図8(A)に示すように、不織布30は、図4(A)~(C)に示す通気路形成シート11Fと同様に、図6や図7に示す製造装置100で加工されて、切り込み30A1が複数形成されている。切り込みを30A1は、中心角(図4(B)に示す中心角θと同様)が約270度の扇型であって、略C字形状を有している。なお、中心角は、359度以下であることが好ましい。また、おむつ1は、不織布30を厚さ方向に貫通した非直線状の切り込みによって画定された小片30A3を備えている。小片30A3は、切り込み30A1の両端部を結ぶ切り残し30A2によって不織布30に接続されている。不織布30は「第1不織布」の一例であり、小片30A3は「第1不織布小片」の一例である。
小片30A3は、切り残し30A2を起点として、吸引部113,123で曲げられて、不織布31側に曲げられている。これにより、小片30A3は、不織布31側に弁状に開く状態となる。更に、小片30A2は、不織布31に超音波溶着やホットメルト等の接着剤や熱融着によって接着されている。図8(A)において、小片30A3と不織布31が接着する領域S1を点線で囲んで示している。小片30A3を不織布31に接着させることによって、外部からの力の作用等で小片30A3の曲がりが解消されるのを防ぎ、小片30A3が曲がることにより生じる隙間30A4を安定的に確保することができる。なお、不織布30側が着用者の肌側となり、不織布31側が肌側の反対である非肌側となるように配置される。
図8(B)は、図8(A)に示す構成の変形例である。本変形例では、小片30A3は、切り込み30A1の両端部を結ぶ切り残し30A2に沿って不織布30から切断されている。これにより、不織布30には、貫通孔30A5が形成されるので、おむつ1は、貫通孔30A5により通気性を確保することができる。また、小片30A3は不織布31に接着されているので、おむつ1の製造時に小片30A3が塵くずとして排出されるのを防ぐことができる。
図8(C)は、図8(A),(B)に示す構成の変形例である。本変形例では、不織布31Aに複数の貫通孔31A1が形成されている。貫通孔31A1は、例えば、穿孔針によって円形に開口されて形成されている。これによって、不織布30から不織布31向かって、貫通孔30A5,31A1を介する通気路を確保することができる。なお、本変形例においても、図8(A)に示す構成例のように、小片30A3は不織布30と接続されていてもよい。この場合であっても、不織布30から不織布31向かって、隙間30A4、貫通孔31A1を介する通気路を確保することができる。
また、貫通孔31A1は、不織布30,31の積層方向(厚さ方向)に見て、小片30A3と重ならない位置に形成されている。これによって、貫通孔31A1を形成する際に貫通孔31A1の周囲に熱処理を施したとしても、貫通孔31A1の着用者の肌側には不織布30が配置されているので、着用者の肌に貫通孔31A1やその周囲の不織布31が直接触れることがなく、着用感の低下を防ぐことができる。
図9(A)は、図8(A)~(C)に示す構成の変形例を更に示している。図9(A)に示す変形例では、不織布31の非肌側に更に不織布32が重ねられている。なお、図9(A)及び後述する図9(B)では、不織布30,31,32の間の隙間を実際にこれら
の間に生じる隙間よりも広く図示している。不織布30,31,32を重ねわせたものを一体としてカバーシート4F,4R、インナーカバーシート5F,5R、パッドカバーシート6、通気路形成シート11F,11Rに用いてもよい。また、完成状態のおむつにおいて重なる3つシートの一方に不織布30,31,32を用いてもよい。例えば、通気路形成シート11Fに不織布30を用い、インナーカバーシート5Fに不織布31を用い、カバーシート4Fに不織布31を用いてもよい。
図9(A)に示すように、不織布32は、図4(A)~(C)に示す通気路形成シート11F及び不織布31と同様に、図6や図7に示す製造装置100で加工されて、切り込み32A1が複数形成されている。切り込みを32A1は、中心角(図4(B)に示す中心角θと同様)が約270度の扇型であって、略C字形状を有している。なお、中心角は、359度以下であることが好ましい。また、おむつ1は、不織布32を厚さ方向に貫通した非直線状の切り込みによって画定された小片32A3を備えている。小片32A3は、切り込み32A1の両端部を結ぶ切り残し32A2によって不織布32に接続されている。
小片32A3は、切り残し32A2を起点として、吸引部113,123で曲げられて、不織布31側に曲げられている。これにより、小片32A3は、不織布31側に弁状に開いた状態となる。更に、小片32A2は、不織布22に超音波溶着やホットメルト等の接着剤や熱融着によって接着されている。図9(A)において、小片32A3と不織布31が接着する領域S2を点線で囲んで示している。小片32A3を不織布31に接着させることによって、外部からの力の作用等で小片32A3の曲がりが解消されるのを防ぎ、小片32A3が曲がることにより生じる隙間32A4を安定的に確保することができる。なお、不織布30側が着用者の肌側となり、不織布32側が肌側の反対である非肌側となるように配置される。おむつ1は、不織布31,32,33を重ねた構成を備えていても、隙間30A4、貫通孔31A1,隙間32A4を介して肌側から非肌側への通気性を確保し、蒸れを抑制することができる。なお、貫通孔31A1か形成されていなくても、切り込み30A1,32A1を不織布30,32に形成することで、通気性を向上することができる。
図9(B)は、図9(A)に示す構成の変形例である。本変形例では、小片32A3は、切り込み32A1の両端部を結ぶ切り残し32A2に沿って不織布32から切断されている。これにより、不織布32には、貫通孔32A5が形成されるので、おむつ1は、貫通孔32A5により通気性を確保することができる。また、小片32A3は不織布31に接着されているので、おむつ1の製造時に小片30A3が塵くずとして排出されるのを防ぐことができる。おむつ1は、不織布31,32,33を重ねた構成を備えていても、貫通孔30A5,31A1,32A5を介して肌側から非肌側への通気性を確保し、蒸れを抑制することができる。なお、貫通孔31A1か形成されていなくても、貫通孔30A5,32A5を不織布30,32に形成することで、通気性を向上することができる。
次に、不織布30~32を用いたおむつ1の製造方法について説明する。この製造方法は、不織布30~32の加工に特徴を有しているので、以下では、不織布30~32の加工について主に説明する。
図10(A)は、図8(A)に示す構成の場合の製造工程を示すフローチャートである。まず、不織布30に図6、図7に示す製造装置によって切り込み30A1を形成する(ステップS101)。このステップにおいて、切り込み30A1によって画定され、切り込みの両端部を結ぶ切り残し30A2によって不織布30に接続された小片30A3を備えられる。なお、不織布30,31は、切り込み30A1を形成するステップS101において既に重ねられており、2枚重ねた不織布のうち1枚の不織布のみに歯を貫通させる
方法(半切)によって、不織布30にのみ切り込み30A1が形成されてもよい。
ステップS101の次のステップS102では、小片30A3を不織布31に接着する。なお、不織布30に切り込み30A1を形成した後であって、小片30A3を不織布31に接着する前に不織布30,31は重ねられてもよい。
以上のステップにより、図8(A)に示す構成を備えたおむつ1を製造することができる。なお、図9(A)に示す構成を製造する場合には、不織布32に切り込み32A1を形成した後に、小片32A3を不織布31に接着すればよい。
図10(B)は、図8(B)に示す構成の場合の製造工程を示すフローチャートである。ステップS201はステップS101と同様であり、ステップS202はステップS102と同様であるので、これらの説明は省略する。
ステップS202の次のステップS203は、小片30A3を不織布30から切断する。例えば、切り残し30A2の直交する方向に不織布31を引っ張ったり、同方向に不織布30を引っ張ったりして、切り残し30A2を引きちぎることにより小片30A3を切断する。なお、不織布30の繊維方向を切り残し30A2の直交する方向としておけば、小片30A3を容易に引きちぎることができる。このように、おむつ1の製造方法は、小片30A3を不織布21に接着した後に、小片30A3を不織布30から切断するステップを更に含んでいてもよい。なお、図9(A)に示す構成を製造する場合において、小片32A3を切断する方法は、小片30A3を切断する方法と勿論同じにすることができる。
なお、上記実施形態では、おむつ1が例示されていたが、その他の形態の吸収性物品においても上記構成や製造方法を適用可能である。上記構成や製造方法を適用可能な吸収性物品としては、例えば、パンツ型の使い捨ておむつ、テープ型の使い捨ておむつ、尿パッド、軽失禁パッドといったギャザー付きの各種形態の吸収性物品や、ギャザーの無いフラットな吸収性物品を挙げることができる。