JP7051087B2 - クロマチンの異常凝縮の検出方法 - Google Patents

クロマチンの異常凝縮の検出方法 Download PDF

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本発明は、特定のタンパク質のリン酸化の程度を指標として用いる、クロマチンの異常凝縮の検出方法、及びクロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質のスクリーニング方法に関する。
真核生物はGap 1期(G1期)、合成期(S期)、Gap 2期(G2期)、細胞分裂期(M期)からなる細胞周期を繰り返すことで細胞が増殖する。このうち、S期において遺伝情報を記録しているDNAが複製され、M期において2つの細胞に均等に分配される。細胞内のDNAは、タンパク質と結合してクロマチン(繊維)と呼ばれる状態で存在するが、このクロマチンはM期に劇的にその構造を変化させ、染色体へと凝縮する。染色体への凝縮は複製されたDNAを安全かつ均等に2つの細胞に分配するために必須であり(非特許文献1、2)、染色体構造に異常が生じると遺伝情報が異常になった細胞が生じ、様々な重篤な疾患が引き起こされる(非特許文献3)。このため、染色体構造は厳密に制御される必要があるが、クロマチン凝縮のメカニズムについては長年議論が続いており、いまだ統一した見解が得られていない。
細胞が分裂するときにクロマチンを凝縮させる因子としては、二価陽イオン、分子クラウディング効果、タンパク質の翻訳後修飾などが挙げられる。これらの中で最も研究が進んでいるものはタンパク質の翻訳後修飾で、特にリン酸化はタンパク質の局在や相互作用を可逆的に変化させるために用いられている。例えば、細胞周期は主にサイクリンと呼ばれる分子とサイクリン依存型キナーゼ(CDK)と呼ばれるリン酸化酵素の組み合わせによって、細胞周期特異的に特定のタンパク質がリン酸化されることで調節されている(非特許文献4、5)。分裂期にはCDKの他にも複数のリン酸化酵素が活性化することで細胞内のリン酸化レベルが上昇し、クロマチンの凝縮が誘導される(非特許文献6)。しかしながら、ヒストンやコンデンシンといったいくつかの重要なクロマチンタンパク質が分裂期特異的なリン酸化を受けることが報告されているものの(非特許文献7)、どのようなタンパク質のリン酸化がクロマチンの凝縮に関与するのかは、全てが明らかになっているわけではない。
Kornberg, R., Thomas, J. O. (1974) Science., 4139, 865-868 Kornberg, R. (1974) Science., 4139, 868-871 Venkitaraman, A. R. (2007) Annu Rev Cell Dev Biol., 13, 261-291 Morgan, D. O. (1997) Annu Rev Cell Dev Biol., 13, 261-291 David, O., Morgan. (2007) Yale J Biol Med., 3, 141-142 Bayliss, R., Fry, A., Haq, T., Yeoh, S. (2012) Open Biol., 11, 120-136 Van Hooser, A., Goodrich, D. W., Allis, C. D., Brinkley, B. R., Mancini, M. A. (1998) J Cell Sci., 23, 3497-5063
従って、本発明は、従来の方法とは異なるアプローチである、間期細胞からクロマチン凝縮のみを誘導できる早期染色体凝縮を利用して、クロマチン凝縮に必要なリン酸化されたタンパク質(以下「リン酸化タンパク質」と略記する場合がある。)を同定し、該タンパク質のリン酸化の程度を指標として用いることで、クロマチンの異常凝縮を検出する方法を提供することを課題とする。また、該ペプチドのリン酸化の程度を指標として用いることで、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質をスクリーニングする方法を提供することも課題とする。
本発明者は、クロマチン凝縮に関与するタンパク質のリン酸化部位の特定に関して、分裂期細胞と分裂していない間期細胞の比較をリン酸化状態の比較を行う従来の方法では、分裂期特有の様々な現象(例えば紡錘体形成)に関わるリン酸化もスクリーニングによりヒットすることになり、その結果候補因子の数が増加し、クロマチンの凝縮に本質的に関わるリン酸化タンパク質を特定することが困難であると考えた。そこで、このようなリン酸化タンパク質を特定するため、細胞核内のクロマチンの強制的な染色体への凝縮である、早期染色体凝縮(PCC)に着目した。PCCを誘導した細胞では間期細胞でも分裂期と同様に凝縮した染色体が観察されるが、通常の分裂細胞でみられる核膜崩壊や紡錘体の形成が起こらないことが知られている。本発明者は、本細胞を分裂期細胞と間期核細胞のタンパク質リン酸化状態の比較に組み込むことで、より本質的なクロマチン凝縮に必要なリン酸化タンパク質を同定することができるのではないかとの着想を得た。
そこで、分裂期のクロマチン凝縮に必要なタンパク質のリン酸化部位を同定するために、細胞分裂開始前のG2期の細胞、細胞分裂期(M期)の細胞に加えて早期染色体凝縮(PCC)を誘導した細胞を用いて、これら3つの細胞のクロマチンに結合しているタンパク質のリン酸化状態を質量分析により比較した(図1)。その結果、クロマチンが凝縮した状態にある分裂期細胞と早期染色体凝縮が誘導された細胞で検出され、凝縮していない分裂前の細胞で検出されないリン酸化ペプチドが85個同定された。これは、54個のタンパク質に由来し、これらのタンパク質のリン酸化状態の変化が、クロマチンの凝縮を誘導していると考えられた。
次に、これらのタンパク質の1つである、KIF4Aに着目した。質量分析の結果、KIF4AのS1186は、G2期細胞ではリン酸化が認められないものの、M期細胞とPCC誘導細胞において高いリン酸化レベルを示していた(表2)。そこで、アミノ酸置換によりリン酸化を受けないKIF4A変異体を用いて、クロマチン凝縮に与える影響を調べた。その結果、KIF4A変異体を導入した細胞では、野生型のKIF4Aを導入した細胞と比較して、染色体が太く短くなった形態になり、異常なクロマチン凝縮が認められた(図4)。このような知見を基に、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記(1)及び(2)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
(1)細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞を含む検出対象の細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C及びZNF512Bからなる群より選択される1種以上のタンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
(2)対照の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度と比較して、検出対象の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が低い場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
[2] 下記(1)~(3)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
(1)細胞分裂期に同調される前又は早期染色体凝縮が誘導される前の細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C及びZNF512Bからなる群より選択される1種以上のタンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、
(2)細胞分裂期に同調された後又は早期染色体凝縮が誘導された後の細胞集団における上記タンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、及び
(3)(1)と(2)の工程により得られた測定値の増加割合((2)の工程により得られた測定値/(1)の工程により得られた測定値)が基準値未満である場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
[3] 前記細胞がヒト由来である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記タンパク質のリン酸化部位が表2に記載のアミノ酸残基である、[3]に記載の方法。
[5] 前記タンパク質がKIF4Aを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] リン酸化部位がKIF4Aの1186番目のアミノ酸残基である、[5]に記載の方法。
[7] 下記(1)及び(2)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
(1)細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞を含む検出対象の細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C、ZNF512B、Topo IIα、NCAPH、SMC4及びATF2からなる群より選択される1種以上のタンパク質の、表2に記載のリン酸化部位のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
(2)対照の細胞集団における該タンパク質のリン酸化部位のリン酸化の程度と比較して、検出対象の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が低い場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
[8] 下記(1)~(3)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
(1)細胞分裂期に同調される前又は早期染色体凝縮が誘導される前の細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C、ZNF512B、Topo IIα、NCAPH、SMC4及びATF2からなる群より選択される1種以上のタンパク質の、表2に記載のリン酸化部位のリン酸化の程度を測定する工程、
(2)細胞分裂期に同調された後又は早期染色体凝縮が誘導された後の細胞集団における上記タンパク質のリン酸化部位のリン酸化の程度を測定する工程、及び
(3)(1)と(2)の工程により得られた測定値の増加割合((2)の工程により得られた測定値/(1)の工程により得られた測定値)が基準値未満である場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
[9] 前記早期染色体凝縮がカリクリンAにより誘導される、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 下記(1)~(3)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質のスクリーニング方法。
(1)被験物質と、細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞を含む細胞集団とを接触させる工程、
(2)前記細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C及びZNF512Bからなる群から選択される1種以上のタンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
(3)被験物質を接触させる前の細胞集団又は被験物質を接触させなかった細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度と比較して、被験物質を接触させた細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が変動した場合に、該被験物質をクロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質として選択する工程
[11] 前記細胞がヒト由来である、[10]に記載の方法。
[12] 前記タンパク質のリン酸化部位が表2に記載のアミノ酸残基である、[11]に記載の方法。
[13] 前記タンパク質がKIF4Aを含む、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] リン酸化部位がKIF4Aの1186番目のアミノ酸残基である、[13]に記載の方法。
[15] 下記(1)~(3)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質のスクリーニング方法。
(1)被験物質と、細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞を含む細胞集団とを接触させる工程、
(2)前記細胞集団における、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C、ZNF512B、Topo IIα、NCAPH、SMC4及びATF2からなる群から選択される1種以上のタンパク質の、表2に記載のリン酸化部位のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
(3)被験物質を接触させる前の細胞集団又は被験物質を接触させなかった細胞集団における該タンパク質におけるリン酸化部位のリン酸化の程度と比較して、被験物質を接触させた細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が変動した場合に、該被験物質をクロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質として選択する工程
[16] 前記早期染色体凝縮がカリクリンAにより誘導される、[10]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 前記疾患が、がん、小頭症、早老症及びコルネリア・デ・ランゲ症候群からなる群より選択される、[10]~[16]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、新たに同定されたタンパク質のリン酸化の程度を指標として用いることで、染色体の形態を観察することなくクロマチンの異常凝縮を迅速に検出することができ、これにより細胞の品質評価や、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤のスクリーニング、さらには、染色体異常を伴った疾患の診断等に応用できる。
図1は、リン酸化ペプチドを同定するまでの実験の概要を示す。 図2は、リン酸化ペプチドを同定するまでのワークフローを示す。 図3は、細胞同調率の解析結果を示す。(A)FACSでチミジンリリースから6時間後の細胞の細胞周期の分布を解析した結果を示す。(B)DNAをDAPI染色し、DNAの凝縮状態を顕微鏡観察した結果を示す。各処理後の細胞で、凝縮していない染色体(Decondensation)と凝縮した染色体(Condensation)が観察される細胞の割合を示す。スケールバーは5 μm。 図4は、クロマチン凝縮の評価結果を示す。(A)内在性KIF4Aをノックダウンし、KIF4A野生型(KIF4AWT)およびKIF4AS1186Aを発現させた細胞の染色体の代表的な形態を示す。各染色体の長さ(黒線)と幅(灰色線)を計測した。(B)染色体の長さと幅の比較結果を示す。ノックダウンもKIF4A発現ベクターの導入も行っていない細胞をコントロールとして用いた。n=45。
1.本発明のクロマチンの異常凝縮の検出方法
本発明は、特定のタンパク質(以下「指標タンパク質」と略記する場合がある。)(本明細書において「タンパク質」は、そのペプチド断片も包含する意味で用いる。)のリン酸化の程度を指標として用いる、クロマチンの異常凝縮を検出する方法(以下「本発明の検出方法」と略記する場合がある。)を提供する。一実施態様において、本発明の検出方法は、
(1)細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞(以下「PCC誘導細胞」と略記する場合がある。)を含む検出対象の細胞集団における、1種以上の指標タンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、及び
(2)検出対象の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が低い場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
を含む。
検出対象の細胞集団における指標タンパク質のリン酸化の程度が、対照の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度と比較して、統計学的に有意に低下していれば、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価することができる。
後述の実施例で示す通り、微小管の形成や核膜崩壊といった、クロマチン凝縮以外の分裂期現象が生じないPCC誘導細胞を用いることで、クロマチンの凝縮に関与し得る54個のリン酸化タンパク質を精度よく同定することができた。これらのタンパク質の中には、Histone H1、Topo IIα、NCAPH、SMC4などのクロマチン凝縮に関与することが既知のリン酸化タンパク質が含まれており(Chu, C. S. et al., (2011) J Biol Chem., 41, 35843-35851、Ishida, R. et al., (2001) Cell Struct Funct., 4, 215-226)、また、同定されたタンパク質の1つであるKIF4Aについて解析したところ、KIF4Aのリン酸化を阻害することで、クロマチンの凝縮異常が認められた。従って、実施例で同定したKIF4A以外のタンパク質のリン酸化状態を指標とすることでも、クロマチンの異常凝縮を検出し得るため、本発明の検出方法に用いる指標タンパク質としては、AHCTF1、ATRX、BAZ1A、BAZ1B、CBX8、CDCA8、CHAF1A、CTDSPL2、CSNK2B、DNTTIP2、DSG2、ELAVL1、GTF21、HDGF、Histone H4、H2AFY、HMGA1、HP1BP3、ILF3、KIF22、KIF4A、LIG3、LMNA、MKI67、MBD1、MLL、MTA1、MYBBP1A、NONO、NUMA1、NUP107、PARP2、PLK1、PSIP1、RAI1、RRP1B、SAFB2、SGOL1、TCF20、TERF2、TFPT、TMPO α、TMPO β/γ、TUBA1B、UTP14A、VIM、ZC3HAV1、ZNF280C、ZNF512B、Topo IIα、NCAPH、SMC4及びATF2が挙げられる。これらのタンパク質は、1種類のみを指標としてもよいし、複数のタンパク質を指標としてもよい。好ましい指標タンパク質は、KIF4Aである。
細胞分裂期(以下「M期」と略記する場合がある。)の細胞を含む細胞集団は、通常の細胞培養により得ることもできるが、より正確にクロマチンの異常凝縮を検出するために、細胞集団を細胞分裂期に同調させる(即ち、細胞集団に含まれる各細胞の細胞周期のフェーズをM期に合せる)ことが好ましい。細胞集団の同調は、例えば、低分化合物、抗体および核酸分子(例:siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンス核酸等)などのM期停止剤を用いる方法、ならびに特殊な細胞処理等の方法などにより行うことができる。具体的なM期停止剤としては、例えば、微小管阻害剤(例、チューブリン重合阻害剤およびチューブリン脱重合阻害剤)などが挙げられる。チューブリン重合阻害剤としては、例えば、ノコダゾール、コルヒチン、コルセチン、コルセミド、ビンカアルカロイド(例、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、グリセオフルビン、2-メトキシエストラジオール、リゾキシン、5HPP-33などが挙げられる。チューブリン脱重合阻害剤としては、例えば、タキサン化合物(例、パクリタキセル、ドセタキシル)などが挙げられる。好ましくは、コルセミドである。また、細胞分裂期には器壁から細胞が剥がれ易くなる性質を利用して、物理的刺激を加えて分裂期の細胞を特異的に回収する方法も知られている。従って、トリプシン等のペプチダーゼを使用せず、物理刺激を加えて細胞を回収することにより、分裂期の細胞を回収することもできる。
PCC誘導細胞を含む細胞集団は、通常の細胞培養物にPCCを誘導することにより得ることもできるが、より正確にクロマチンの異常凝縮を検出するため、あらかじめG1期又はS期(G1/S期)に同調させた後に、G2期へと移行させる方法により得ることが好ましい。細胞集団の同調は、例えば、低分化合物、抗体および核酸分子(例:siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンス核酸等)などのG1/S期停止剤を用いる方法、培地中から血清除去する方法などにより行うことができる。具体的なG1/S期停止剤としては、高濃度チミジン、アフィディコリン(aphidicolin)、ハイドロキシウレア(hydroxyurea)などが挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。また、これらの同種類又は複数種類のG1/S期停止剤を複数回用いて同調させてもよい(例:ダブルチミジンブロック法)。細胞集団のG2期への移行は、例えば、前記低分化合物、抗体および核酸分子を培地中から除去して所定期間培養することや、血清を除去した場合には、血清を再度添加して所定期間培養することなどにより行うことができる。この所定期間は、G1/S期にある細胞の大部分がS期を経てG2期へ移行するのにかかる時間であれば特に限定されない。該所定期間は、用いる細胞や方法等によって異なるが、当業者であれば適宜選択することができる。後述の実施例で示す通り、ヒト子宮頸がん由来の細胞(HeLa細胞)をダブルチミジンブロック法を用いて同調した場合には、6時間培養することで、大部分の細胞がG2期へ移行することが示されたため、好ましい実施態様において、G1/S期からG2期への移行の際の細胞培養期間は、約6時間である。
ここで、早期染色体凝縮(Premature Chromosome Condensation, PCC)は、未成熟染色体凝縮とも呼ばれ、センダイウィルスを用いた細胞融合実験によって発見された現象である(Johnson R. et al., (1970) Nature., 5247, 717-722)。PCCが誘導された細胞では、間期細胞でも分裂期と同様に凝縮した染色体が観察される。PCCはタンパク質の脱リン酸化酵素であるPP1もしくはPP2Aを阻害することでも誘導することができる。例えば、Discodermia calyxから単離されたカリクリンAを用いることでPCCを誘導できる(Dyban et al., (1995) Mol Reprod Dev., 4, 402-415 ; Miura T. and Blakely W.F., (2011) Cytometry Part A, 79A: 1016-1022)。カリクリンAを用いてG2期細胞でPCCが誘導された場合、分裂期の染色体と形態上はほとんど区別できない染色体が観察されることが知られている(Gotoh E. et al., (1995) Biomedical Research., 1, 63-68)。
カリクリンA以外のPCCを誘導できるタンパク質の脱リン酸化酵素阻害剤としては、例えば、オカダ酸、オカダ酸の塩、カンタリジン酸、カンタリジン、シペルメトリン、デルタメトリン、デホスタチン、3,4-デホスタチン、エンドタール、フェンバレート、ホストリエシン、ミクロシスチン-LA、ミクロシスチン-LF、ミクロシスチン-LR、ミクロシスチン-LW、ミクロシスチン-RR、ミクロシスチン-YR、カフェイン、2-アミノプリン、スタウロスポリン、メタバナジン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの脱リン酸化酵素阻害剤は、1種類のみを用いてもよく、2種以上用いてもよい。PCC誘導細胞は、自体公知の方法(例:特開平8-208526号公報、特表2004-529628号公報、Rybocaek D. et al., (2011) Histochem Cell Biol. 135(3): 263-280に記載の方法等)により、適宜調製することができる。本発明にカリクリンAを用いる場合、その培地中での濃度は、PCCが誘導される限り特に限定されないが、1~100 nMであることが好ましく、10~70 nMであることがより好ましい。好ましい実施態様において、カリクリンAの培地中の濃度は50 nMである。カリクリンA以外の脱リン酸化酵素阻害剤を用いる場合は、当業者は適宜濃度を設定することができる。例えば、カフェインの場合は、5 mMで、2-アミノプリンの場合は10 mMで、スタウロスポリンの場合は200 nMで、メタバナジン酸ナトリウムの場合は200 μMでPCCが誘導できることが報告されている(Rybocaek D. et al., (2011))ため、これらの値を適宜参考にすることができるが、これらの濃度に限定されるものではない。
本発明に用いる細胞集団を培養するための培地は、細胞培養に一般に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、MEM培地、DMEM培地、αMEM培地、ハム培地、RPMI1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地が挙げられる。培地は、例えば、血清(例:FBS、FCS)、血清代替物、脂肪酸又は脂質、アミノ酸、ビタミン、増殖因子、サイトカイン、抗酸化剤、2-メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等を含有していてもよいが、好ましくは無血清培地であってもよい。培養温度、CO2濃度等の他の培養条件は適宜設定することができる。培養温度は、特に限定されるものではないが、例えば約30~40℃、好ましくは約37℃である。また、CO2濃度は、例えば約1~10%、好ましくは約5%である。
本発明の検出方法で用いる細胞の由来は、特に限定されず、ヒト、ヒト以外の哺乳動物(マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物;ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ミンク等の家畜;イヌ、ネコ等のペット;サル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類等)を挙げることができるが、好ましくはヒトである。また、細胞の種類も特に制限されず、生体から単離した細胞、樹立した細胞株(例:HeLa細胞、HEK293細胞、CHO細胞、NIH3T3細胞、PC12細胞、Vero細胞等)、及び多能性幹細胞(例:胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等)から分化誘導して得られた細胞であってもよい。
リン酸化の程度は、指標タンパク質全体のリン酸化の程度を指標にしてもよく、あるいは該タンパク質中の特定のリン酸化部位を指標にしてもよい。特定のリン酸化部位を指標にする場合には、該部位は特に限定されないが、好ましくは表2に記載のリン酸化部位である。例えば、指標タンパク質がヒトKIF4Aである場合、好ましいリン酸化部位として、1186番目のセリン残基、1001番目のセリン残基及び1181番目のスレオニン残基が挙げられ、中でも、1186番目のセリン残基がより好ましい。また、Topo IIα、NCAPH、SMC4、ATF2については、新規なリン酸化部位(表2)を同定できたことから、これらのタンパク質において、表2に記載のリン酸化部位を指標とすることもまた好ましい。本発明において、指標タンパク質のリン酸化部位は、1箇所のみを指標としてもよいし、複数個所を指標としてもよい。また、表2で例示したリン酸化部位は、ヒトのタンパク質の場合であるが、ヒト以外のタンパク質を指標とする場合には、表2に記載のリン酸化部位に相当するセリン又はスレオニン残基を指標とすることができる。このリン酸化部位に相当する部位は、例えば、blast検索により同定することができる。また、タンパク質にスプライトバリアントが存在する場合にも、同様にリン酸化部位を同定することができる。
リン酸化の程度は、例えば、リン酸化タンパク質に特異的な抗体(以下「リン酸化タンパク質抗体」と略記する場合がある。)を用いて、対照の細胞集団との比較でのリン酸化タンパク質の量をウェスタンブロット法、プルダウンアッセイ、ELISA又はその他の免疫学的手法やフローサイトメトリーにより測定することができる。リン酸化タンパク質蛍光試薬やこれを含むキットを用いてもよい。32Pリン酸で細胞を代謝標識し、オートラジオグラフィーで検出することもできる。あるいは、リン酸化タンパク質抗体を用いたアフィニティカラムにより、細胞抽出液からリン酸化タンパク質を濃縮し電気泳動により比較同定する方法、細胞抽出液を酵素消化して得られたペプチドから固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(Immobilized Metal Affinity Chromatography:IMAC)、酸化金属クロマトグラフィー(Metal Oxide Chromatography:MOC)又はヒドロキシ酸修飾酸化金属クロマトグラフィー(Hydroxy Acid-Modified Metal Oxide Chromatography:HAMMOC)を用いてリン酸化ペプチドを精製し(2D-)LC-MS/MSによりリン酸化ペプチドを同定比較する方法、さらにこれに安定同位体標識法による定量法を組み合わせたリン酸化ペプチドのLC-MS/MSによる定量的変動解析方法などにより測定することができる。
本発明に用いるリン酸化タンパク質抗体は、指標タンパク質のリン酸化状態を識別できる限り特に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよく、さらには、抗原結合部位を有する抗体断片であってもよい。かかる抗体断片としては、例えば、Fab、F(ab')2などが挙げられる。
かかる抗体としては、市販品を利用してもよいし、または自体公知の方法により作製したものを利用してもよい。例えば、ポリクローナル抗体は、免疫動物(例:マウス、ラット、ウサギ、ヤギ等)に対して抗原(例えば、リン酸化された表2に記載のペプチド断片や、リン酸化ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等に結合させたKLH-ペプチド複合体など)を免疫し、該動物から血液(血漿、血清)を回収し、抗体を精製することにより作製することができる。モノクローナル抗体を作製する方法としては、例えば、前記同様の免疫動物に対して目的抗原を免疫し、該動物から抗体を産生しているB細胞を回収し、該B細胞とミエローマ細胞を人工的に融合させることでモノクローナル抗体を産生する細胞を作製する方法などが挙げられる。抗体断片は、例えば、抗体を酵素(例:パパイン、ペプシン)で処理し抗体断片を生成させるか、あるいは、これら抗体断片をコードする核酸を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させることにより得ることができる。スクリーニングは、培養上清の非リン酸化ペプチドやリン酸化ペプチドに対する反応性をELISA法により調べ、リン酸化ペプチドに対して反応性の高いクローンを選択することにより行う。クローニングされたハイブリドーマを培養すれば、必要なモノクローナル抗体を培養上清や腹水から精製することができる。
対照の細胞集団における指標タンパク質のリン酸化の程度との比較は、検出対象の細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度を測定する際に、併せて測定した値との比較により行うことができる。あるいは、対照の細胞集団における指標タンパク質のリン酸化の程度をあらかじめ測定し、その測定値(例:トータルイオンクロマトグラム(TIC))、又はその測定値から統計学的手法により算出した値を基準値(閾値)として設定しておき、その基準値(閾値)との比較により行うこともできる。
基準値として、染色体凝集前後のリン酸化の程度の増加割合を用いることもできる。具体的には、本発明の別の態様において、本発明の検出方法は、
(1)M期に同調される前又はPCCが誘導される前の細胞集団における、1種以上の指標タンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、
(2)M期に同調された後又はPCCが誘導された後の細胞集団における上記タンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、及び
(3)(1)と(2)の工程により得られた測定値の増加割合((2)の工程により得られた測定値/(1)の工程により得られた測定値)が基準値未満である場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
を含む。
染色体凝縮時におけるリン酸化ペプチドのTICが、染色体凝集前におけるリン酸化ペプチドのTICの1.3倍以上になっていれば、正常にリン酸化されていると通常考えられるため、例えば、検出対象の細胞集団において、M期に同調される前又はPCCが誘導される前の細胞集団におけるリン酸化ペプチドのTICの値と、M期に同調された後又はPCCが誘導された後の細胞集団におけるリン酸化ペプチドのTICの値とを比較し、TICの値の増加割合が1.3(この場合、1.3が基準値となる)未満の場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価することもできる。
本発明の検出方法によれば、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の診断等を行うことが可能となる。該疾患を有する患者の組織から単離した細胞を含む細胞集団を検出対象とする場合、例えば、同条件で単離した健常者由来の細胞を含む細胞集団を対照として用いることができる。また、初代培養細胞や、新たに樹立した細胞株(例:がん細胞株、多能性幹細胞株、多能性幹細胞から誘導した細胞株等)の品質を評価することも可能である。かかる細胞株等を含む細胞集団を検出対照とする場合、例えば、クロマチンの異常凝縮が認められないか、認められないと考えられる同種の細胞株等を含む細胞集団を対照として用いることができる。あるいは、検出対象の細胞集団をM期に同調する前又はPCCを誘導する前の細胞集団(好ましくは、G2期に同調された細胞集団)を、対照の細胞集団としてもよい。対照の細胞集団は、染色体の数や形態を観察する核型解析や、指標タンパク質の変異(特にリン酸化部位の変異)を検査するシークエンス解析等により、あらかじめ品質を評価してもよい。また、対照の細胞集団は、あらかじめ凍結保存等によりストックしておいた細胞集団を用いてもよく、あるいは該細胞集団の抽出物として保存したものを用いてもよい。本発明に用いることができる対照の細胞集団は、検出対照の細胞集団等によって異なるが、当業者であれば適宜選択することができる。
2.本発明の治療及び/又は予防剤のスクリーニング方法
別の実施態様において、本発明は、指標タンパク質のリン酸化の程度を指標として用いる、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質のスクリーニング方法(以下「本発明のスクリーニング方法」と略記する場合がある。)を提供する。一実施態様において、本発明のスクリーニング方法は、
(1)被験物質と、細胞分裂期の細胞又はPCC誘導細胞を含む細胞集団とを接触させる工程、
(2)前記細胞集団における、1種以上の指標タンパク質のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
(3)被験物質を接触させた細胞集団における該タンパク質のリン酸化の程度が変動した場合に、該被験物質をクロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質として選択する工程
を含む。
細胞分裂期の細胞、PCC誘導細胞、指標タンパク質、リン酸化の程度の測定方法などに関する、1.の本発明の検出方法で説明した定義、例示、態様等の全ての事項は、本発明のスクリーニング方法においても同様の意味で用いる。
被験物質を接触させた細胞集団における指標タンパク質のリン酸化の程度が、被験物質を接触させる前の細胞集団又は被験物質を接触させなかった細胞集団(即ち、対照の細胞集団)における該タンパク質のリン酸化の程度と比較して、統計学的に有意に変動(即ち、低下又は増加)していれば、該被験物質をクロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤の候補物質として選択することができる。かかるクロマチンの異常凝縮が関連する疾患としては、例えば、がん、小頭症、早老症、コルネリア・デ・ランゲ症候群などが挙げられるが、これらに限定されない。がんとしては、例えば、急性リンパ球性癌、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱癌、骨癌、脳癌(例、髄芽細胞腫)、乳癌、肛門、肛門管若しくは肛門直腸の癌、眼の癌、肝内胆管の癌、関節の癌、頸部、胆嚢若しくは胸膜の癌、鼻、鼻腔若しくは中耳の癌、口腔の癌、外陰部の癌、慢性骨髄性癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、頭頸部癌(例、頭頸部扁平上皮癌)、下咽頭癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病(例、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病)、液性腫瘍、肝臓癌、肺癌(例、非小細胞肺癌)、リンパ腫(例、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫)、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌;腹膜、網及び腸間膜の癌;咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形腫瘍、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌などが挙げられる。早老症としては、例えば、ウェルナー症候群、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群、ロスモンド・トムソン症候群、コケイン症候群 (Cockayne Syndrome)などが挙げられる。
本発明のスクリーニング方法に用いることができる被験物質に特に限定は無く、タンパク質、ペプチド、核酸、無機化合物、天然もしくは合成化学的に調製された有機化合物等が挙げられる。被験物質として、具体的には、アミノ酸3~50残基、好ましくは5~20残基のペプチドライブラリーや、当業者に公知のコンビナトリアルケミストリーの技術を用いて調製された分子量100~2000、好ましくは200~800の低分子有機化合物ライブラリーを挙げることができる。細胞と接触させる被験物質の濃度としては、特に限定は無く、通常約0.1 μM~約100 μMであればよく、好ましくは1 μM~50 μMであればよい。
被験物質と細胞集団との接触は、該細胞集団の培養液に被験物質を添加することにより行ってもよく、あるいは、被験物質がタンパク質やペプチドなどの場合には、該タンパク質をコードする核酸を、例えば発現ベクターやRNAなどの形態として、該細胞集団へ導入することにより行ってもよいが、これらの方法に限定されない。
細胞と被験物質とを接触させる時間は、特に限定されるものでなく適時設定できるが、例えば5分間~30分間程度あり、好ましくは10分間~20分間程度である。被験物質は適宜、水、リン酸バッファーもしくはトリスバッファー等のバッファー、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドもしくはこれらの混合物などの溶媒に溶解又は懸濁して用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
後述の実施例では、以下のようにして実験を行った。
1.細胞培養
ヒト子宮頸がん由来細胞(HeLa細胞)をDulbecco’s modified Eagle’s medium (DMEM; GIBCO BRL)にウシ胎児血清(FBS; Equitech-Bio)を10%添加した培地中でインキュベーターを用いて5% CO2、37℃で培養した。細胞周期をG2期に同調した細胞を調製するために、培地中にチミジンを2.5 mMになるように添加し18時間培養した。チミジンを含まない培地に交換(チミジンリリース)し10時間の培養を行った後、再び培地にチミジンを2.5 mMになるように添加し18時間の培養を行った。チミジンを含まない培地でさらに6時間培養することでG2期の細胞を回収した。また、2度目のチミジンリリースを行った後、培地にノコダゾールを100 ng/mLになるように添加し、14時間培養することでM期細胞を回収した。さらに、2度目のチミジンリリースから5時間後にカリクリンA (Calyculin A)を50 nMになるように培地に添加し、1時間の培養を行うことでPCCを誘導した細胞を調製した。
2.クロマチン抽出液の調製
回収したG2期、M期、G2期でPCCを誘導した細胞について、それぞれ以下の処理を行うことでクロマチン結合タンパク質の抽出を行った(図2)。回収した細胞を1000 rpm、5分、室温で遠心後、細胞を沈殿として回収し、上清の培地を取り除いた。細胞の沈殿をPBS (137mM NaCl, 2.7 mM KCl, 10 mM Na2HPO4, 1.8 mM KH2PO4)に懸濁し、細胞数を数えた。1000 rpm、5分、室温で遠心後、上清を除き、細胞100万個に対し200 ulのCSK buffer (10 mM PIPES, pH 6.8, 300 mM sucrose, 3 mM MgCl2, 100 mM NaCl, 1 mM DTT, 0.25 mM PMSF, 0.3% triton X-100)を加え懸濁した(CSK buffer 10 mlに対してProtease inhibitor cocktail (Roche, 04693159001)とPhosphatase inhibitor (Roche, 04906845001)を1 tabletずつ加えたものを用いた)。氷上で30分間インキュベート後、2000g, 10分, 4℃の遠心を行い、上清を除いた後、沈殿をCSK bufferと等量の0.1 M Tris-HCl (pH 8.0)に懸濁した。2000g, 10分, 4℃の遠心を行い、上清を除いた後、沈殿をCSK bufferと等量のLysis buffer (8M Urea, 0.1M Tris-HCl (pH 8.0))に懸濁した。沈殿を超音波破砕し、クロマチン結合タンパク質抽出液として回収した。タンパク質濃度はBradford法によって測定した。
3.ペプチドの調製
30 μgのクロマチン結合タンパク質抽出液にデオキシコール酸ナトリウムを5%、ジチオトレイトールを10 mMになるように添加し、37℃で60分間加熱することでタンパク質の還元処理を行った。続いてヨードアセトアミドを55 mMになるように添加し、遮光して25℃で30分間インキュベートすることでタンパク質のアルキル化を行った。反応後の溶液を50 mM Tris-HCl pH 9.0で10倍希釈し、トリプシンをタンパク質量の1/20量添加して37℃で16時間酵素消化反応を行った。等量の酢酸エチルを添加することで反応を停止し、トリフルオロ酢酸(TFA)を0.5%になるように添加することで溶液を酸性化した。15700g、2分間の遠心後、水層を回収し、C18-StageTips (Thermo Scientific)を用いて脱塩を行った。
4.リン酸化ペプチドの濃縮
リン酸化ペプチドを濃縮するためにHAMMOC (hydroxy acid-modified metal oxide chromatography)法を用いた(Sugiyama N. et al., (2007) Mol Cell Proteomics., 6, 1103-1109)。タンパク質 100 μg当たり0.5 mgのTitansphere TiO (GL Science)をC8StageTips (Thermo Scientific)に充填することでMOC tipを作製した(Ishihama Y. et al., (2006) J. Proteome Res., 5, 988- 994)。MOC tipは、溶液A(0.1% TFA, 80% アセトニトリル)、続いて溶液B(0.1% TFA, 80% アセトニトリル, 300 mg/ml乳酸)で平衡化を行った。脱塩後のペプチド溶液を等量の溶液Bと混合し、MOP tipに注入した。MOP tipを溶液B、続いて溶液Cで洗浄し、20 μlの0.5% ピペリジン溶液で2回リン酸化ペプチドの溶出を行った。溶出したリン酸化ペプチド溶液にTFAを0.5%になるように添加し、溶液を酸性化した。
5.質量分析によるリン酸化ペプチドの同定
リン酸化ペプチドの同定はQ-Exactive hybrid quadrupole-Orbitrap mass spectrometer (Thermo Fisher Scientific) とUltiMate 3000 Nano LC systems (Thermo Fisher Scientific)を組み合わせたLC-MS/MSにより行った。リン酸化ペプチド溶液をオートサンプラーを用いて4 μl/minの流速でC18逆相トラップカラム(100 μm I.D. x 5 mm length, Thermo Fisher Scientific)に注入した。次に、C18逆相カラム(75 μm I.D. x 150 mm length, Nikkyo Technos Co. Ltd., Tokyo, Japan)を用いて、流速300 nl/min、移動相B 2%-35%線形グラジエントの条件でペプチドを分離した。移動相Aは2%アセトニトリル、0.1%ギ酸、移動相Bは95%アセトニトリル、0.1%ギ酸を用いた。ペプチドはポジティブイオンモードのnano-electrospray ionizationによりイオン化した。
6.データ解析
質量分析データはピークリストを作成するためにMascot Distiller v2.3 (Matrix Science)を用いて解析した。次に、ペプチドとタンパク質の同定をMascot v2.3 (Matrix Science)を用いて、「UniProtデータベース、precursor mass tolerance: 10 ppm、 fragment ion mass tolerance: 0.01 Da、 strict trypsin specificity allowing: up to 1 missed cleavage、variable modification: carbamidomethylation of cysteine; oxidation of methionine; deamidation of asparagine, glutamine; phosphorylation of serine, threonine, tyrosine」の検索条件で行った。同定したタンパク質とリン酸化ペプチドの定量は、質量分析で取得したTotal spectral count、およびTotal ion chromatogramに基づき、Scaffold 4 software (Proteome Software)を用いて行った。
7.KIF4A発現ベクターの構築
KIF4A cDNAが組み込まれたpF1Kベクター(かずさDNA研究所)を鋳型として、KIF4 cDNAの5’末端と3’末端に制限酵素部位BglIIとSalIをそれぞれの末端に付加されるようにプライマーを設計し、PCRによりKIF4A遺伝子の増幅を行った。PCRでの増幅産物およびpEGFP-C1 プラスミド(Takara)をBglII(NEB)とSalI(NEB)で切断した後、In-Fusion cloning kit (Takara)を用いて両者のライゲーションを行い、KIF4AのN末端にGFPを融合したタンパク質を発現するベクターを構築した。次に、質量分析により同定されたKIF4Aのリン酸化部位のセリン残基(S1186)をアラニンに置換したベクター(S1186A)をPrimeSTAR mutagenesis basal kit(Takara)を用いて作製した。作製したベクターは大腸菌DH5 株に導入し、プラスミドDNAを増幅した。大腸菌からのプラスミドDNAの抽出はFastGene plasmid mini kit(ニッポンジーン)を用いて行い、DNA配列を確認した。
8.KIF4AのRNAiによるノックダウンおよびKIF4A変異体の発現
内在性KIF4Aのノックダウンを行うためにKIF4A遺伝子の非翻訳領域(UTR)を標的としたsiRNAを合成した(標的配列:5’-CAGGTCCAGACTACTACTC-3’(配列番号87))。合成したsiRNAを6 well plateで培養したHeLa細胞へ300 pmol/wellの濃度で添加し、RNAiMAX transfection reagents (Invitrogen)を用いて形質転換を行った。8時間後に培地交換を行い、野生型KIF4AおよびKIF4A変異体(S1186A)発現ベクターを1.6 μg/wellの濃度で添加し、Lipofectamine 3000 reagent (Invitrogen)を用いて形質転換を行った。24時間後、コルセミドを100 ng/mlで添加し、さらに12時間培養後、分裂期細胞を回収した。回収した細胞の染色体の形態を調べるために、Cytospin 4(ThermoScientific)を用いて細胞をスライドガラス上に展開後、DNAをDAPIで染色し、蛍光顕微鏡(AxioPlan2, Zeiss)で観察した。
実施例1.細胞同調の確認
細胞周期をG2期に同調した細胞を取得するために、チミジンからリリースして6時間後の細胞を回収し、その同調率をFACS(fluorescence activated cell sorting)により解析した(図3A)。その結果、G2/M期の細胞は全体の63.4%であることが示された。FACSではG2期細胞とM期細胞が区別できないため、細胞内のDNAをDAPI染色し、蛍光顕微鏡下で観察することでDNAの凝縮状態を確認した(図3B)。その結果、99%の細胞はDNAが凝縮していない間期状態にありM期細胞はほとんど存在しないことが示された。このことから、FACSで解析された63.4%のG2/M期の細胞はほぼすべてG2期の細胞と考えられる。また、ノコダゾール処理を行った細胞、カリクリンA処理を行った細胞の95%以上で凝縮した染色体が観察された(図3B)。このように、本条件で細胞を薬剤処理することで染色体凝縮が起こっていないG2期細胞とクロマチンが凝縮したM期、PCC誘導細胞を高効率で取得できることが示された。
実施例2.質量分析によるリン酸化ペプチドの同定
質量分析の結果、3種類の細胞全体でリン酸化されたタンパク質が441個、リン酸化されたペプチドが870個同定された(表1)。このうち、G2期細胞と比較してM期細胞とPCC誘導細胞でリン酸化の定量値が1.3倍以上増加する、クロマチンの凝縮に関わる可能性が大きいリン酸化ペプチドは85個同定された(表2)。また、同定されたタンパク質の間期における局在を調べた結果、いずれのサンプルにおいても70%以上が核局在タンパク質であることが示された。細胞全体で、核局在タンパク質が占める割合は10-20%と見積もられていることから(Narula K. et al., (2013) Front Plant Sci., 4, 1-14)、本解析ではクロマチン結合タンパク質の精製度が高いことが示された。
Figure 0007051087000001
Figure 0007051087000002
Figure 0007051087000003
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実施例3.KIF4Aのリン酸化の機能解析
質量分析により同定されたリン酸化ペプチドがクロマチン凝縮に寄与するかどうかを調べるために、KIF4Aに着目した。KIF4Aは染色体スキャフォールドと呼ばれる染色体腕の中心に軸上に分布することが知られており、染色体構築への寄与が大きいと考えられている。KIF4Aは細胞周期を通じてクロマチンと結合しているため、分裂期開始時にリン酸化を受けることでクロマチン凝縮に関する機能が現れると予想される。質量分析の結果、KIF4AのS1186はG2期細胞ではリン酸化が見られないもののM期細胞とPCC誘導細胞において高いリン酸化レベルを示している(KpTPPAPpSPFDLPELK(配列番号86;表2の配列番号31で示されるペプチド配列の2番目と7番目のアミノ酸残基がリン酸化))。そこで、KIF4AのS1186をアラニンに置換することでリン酸化を受けないKIF4A(S1186A)を細胞内で発現させることで、S1186のリン酸化がクロマチン凝縮に与える影響を調べた。内在性のKIF4AをRNAiでノックダウンし、野生型KIF4A(KIF4WT)およびKIF4A変異体(S1186A)を発現させたところ、野生型KIF4Aでは正常な細胞と同様の凝縮した染色体が観察されるのに対して、変異体では染色体が太く短くなった形態になった(図4)。このことから、KIF4AのS1186のリン酸化がクロマチンの正常な凝縮に必要であることが示された。
本研究で用いた早期染色体凝縮を誘導する方法は、細胞をカリクリンAで1時間処理するのみで、形態上は分裂期の染色体と大差ない染色体を観察することができる。通常、培養細胞の場合、分裂期細胞の割合は5%程度であるが、カリクリンAで処理することで90%以上の細胞で凝縮した染色体が観察される。このため、細胞をカリクリンAで処理を行い、今回同定されたタンパク質のリン酸化状態を調べることで、迅速に染色体異常を検出することができる。
本発明の同定方法により、染色体の形態を観察することなくクロマチンの異常凝縮を迅速に検出することができ、これにより細胞の品質評価や、クロマチンの異常凝縮に関連する疾患の治療及び/又は予防剤のスクリーニング、さらには、染色体異常を伴った疾患の診断等に応用できる。

Claims (4)

  1. 下記(1)及び(2)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
    (1)細胞分裂期の細胞又は早期染色体凝縮が誘導された細胞を95%以上含む検出対象の細胞における、KIF4Aの1186番目のアミノ酸残基のリン酸化の程度を測定する工程、並びに
    (2)対照の細胞におけるKIF4Aの1186番目のアミノ酸残基のリン酸化の程度と比較して、前記検出対象の細胞におけるKIF4Aの1186番目のアミノ酸残基のリン酸化の程度が低い場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
  2. 下記(1)~(3)の工程を含む、クロマチンの異常凝縮の検出方法。
    (1)細胞分裂期に同調される前又は早期染色体凝縮が誘導される前の細胞における、KIF4Aの1186番目のアミノ酸残基のリン酸化の程度を測定する工程、
    (2)細胞分裂期に同調された後又は早期染色体凝縮が誘導された後の細胞におけるKIF4Aの1186番目のアミノ酸残基のリン酸化の程度を測定する工程、及び
    (3)(1)と(2)の工程により得られた測定値の増加割合((2)の工程により得られた測定値/(1)の工程により得られた測定値)が基準値未満である場合に、クロマチンの異常凝縮が検出されたと評価する工程
  3. 前記細胞がヒト由来である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記早期染色体凝縮がカリクリンAにより誘導される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
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