JP2006515160A - 抗癌剤のためのスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、腫瘍細胞を成長阻害または死滅させる化合物を同定するための方法および試薬を提供する。
Description
発明の背景
本出願は、2002年8月13日に出願された米国特許仮出願第60/402,995号および2003年6月10日に出願された同第60/477,465号に対する優先権を主張する。
本出願は、2002年8月13日に出願された米国特許仮出願第60/402,995号および2003年6月10日に出願された同第60/477,465号に対する優先権を主張する。
本出願は、国立健康研究所(National Institutes of Health)、番号R01 CA95727からの助成金によって支持された。政府は、本発明において、ある種の権利を有し得る。
1.発明の分野
本発明は、腫瘍細胞成長を阻害するための方法および試薬に関する。具体的には、本発明は、持続的に腫瘍細胞の成長を阻害し、または腫瘍細胞を死滅させる化学療法薬物といった化合物を同定するための方法を提供する。本発明の方法は、そのような薬物を、そのような薬物の存在下で、細胞をインキュベートすることに対する細胞の応答をアッセイすることによって同定し、ここに、細胞において老化または分裂死を生じる化合物が同定される。また、ヒトを含む腫瘍を有する動物を治療するのに、そのような薬物を用いる方法も提供される。
本発明は、腫瘍細胞成長を阻害するための方法および試薬に関する。具体的には、本発明は、持続的に腫瘍細胞の成長を阻害し、または腫瘍細胞を死滅させる化学療法薬物といった化合物を同定するための方法を提供する。本発明の方法は、そのような薬物を、そのような薬物の存在下で、細胞をインキュベートすることに対する細胞の応答をアッセイすることによって同定し、ここに、細胞において老化または分裂死を生じる化合物が同定される。また、ヒトを含む腫瘍を有する動物を治療するのに、そのような薬物を用いる方法も提供される。
2.関連分野の概要
抗癌剤の治療の有効性は、それらが正常な細胞に対して優先的に、腫瘍細胞の成長または生存と干渉する能力によって決定される。Roninsonら(2001, Drug Resist. Updat. 4: 303-313)において概説されるように、化学療法薬物および電離放射線を含む証明された臨床的有用性を有する抗癌剤の抗増殖性効果は、3つの文書化された細胞の応答によって仲介される。これらの応答は、プログラムされた細胞死滅(アポトーシス)、細胞死滅を引き起こす異常な分裂(分裂死)、および持続性細胞成長抑止(老化)を含む。最初の2つの応答は、腫瘍細胞の崩壊および消滅を招く一方で、老化はさらに細胞増加を予防するが、腫瘍細胞を、生存能力がありかつ代謝的に活性なままにする。Roninsonら(2003, Cancer Res. 63: 2705-2715)において概説されるように、老化腫瘍細胞は、2つのタイプの分泌蛋白質を生産することができ、それらのいくつかは非−老化隣接腫瘍細胞の成長を刺激し、他のものは阻害する。いくつかのケースにおいて、老化腫瘍細胞は、腫瘍−促進蛋白質に対して優先的に、分泌成長−阻害蛋白質を過剰生産し、それにより、腫瘍成長を止める際に補助する腫瘍−抑制因子の持続性貯蔵所である老化細胞を提供する(Roninson, 2003, 同上)。
抗癌剤の治療の有効性は、それらが正常な細胞に対して優先的に、腫瘍細胞の成長または生存と干渉する能力によって決定される。Roninsonら(2001, Drug Resist. Updat. 4: 303-313)において概説されるように、化学療法薬物および電離放射線を含む証明された臨床的有用性を有する抗癌剤の抗増殖性効果は、3つの文書化された細胞の応答によって仲介される。これらの応答は、プログラムされた細胞死滅(アポトーシス)、細胞死滅を引き起こす異常な分裂(分裂死)、および持続性細胞成長抑止(老化)を含む。最初の2つの応答は、腫瘍細胞の崩壊および消滅を招く一方で、老化はさらに細胞増加を予防するが、腫瘍細胞を、生存能力がありかつ代謝的に活性なままにする。Roninsonら(2003, Cancer Res. 63: 2705-2715)において概説されるように、老化腫瘍細胞は、2つのタイプの分泌蛋白質を生産することができ、それらのいくつかは非−老化隣接腫瘍細胞の成長を刺激し、他のものは阻害する。いくつかのケースにおいて、老化腫瘍細胞は、腫瘍−促進蛋白質に対して優先的に、分泌成長−阻害蛋白質を過剰生産し、それにより、腫瘍成長を止める際に補助する腫瘍−抑制因子の持続性貯蔵所である老化細胞を提供する(Roninson, 2003, 同上)。
抗増殖性応答のうちの2つ、アポトーシスおよび老化は、正常な細胞において現存している生理学的抗発癌性プログラムを表す。これらのプログラムは、数ある要因の中でも、増加された(アポトーシスを促進する)C−MYCの発現または(老化を引き起こす)RAS突然変異のような発癌性変異によって活性化する。しかしながら、発癌の過程において、腫瘍細胞は、アポトーシスまたは老化プログラムを抑制する種々の遺伝および非遺伝の変化を発達させる;これらの変化は、(アポトーシスおよび老化の両方の陽性調節因子として作用する)p53またはp16Ink4a(老化の媒介物)の変異不活性化、およびBCL−2(アポトーシスの阻害物質)の上方制御を含む。これらの発癌関連の変化にも拘わらず、特定の抗癌剤を用いる治療によって、腫瘍細胞においてアポトーシスまたは老化を誘導することは可能である。しかしながら、腫瘍細胞を成長阻害するためのアポトーシスおよび老化の効果は、腫瘍由来の細胞系統の間で大きく変動する(Changら, 1999, Cancer Res. 59:3767; Roninsonら, 2001, 同上)。
アポトーシスが、頻繁に、細胞の損傷の主要な結果としてではなく、異常な分裂の結果として起こる第二次応答として発達するという事実によって、治療応答におけるアポトーシスの重要性の分析は複雑になる(Roninson, 2001, Drug Resist. Updat. 5: 204-208)。アポトーシスなしでは、異常な分裂は微小核形成(つまり、完全にまたは部分的に断片化された核を持つ大きな間期細胞の形成)に終わる。分裂後アポトーシスおよび微小核形成の両方は、分裂死の代替の致命的な結果として見ることができる。LockおよびStribinskiene(1996, Caner Res. 56: 4006-4012)およびRuthおよびRoninson(2000, Cancer Res. 60: 2576-2578)は、薬物治療された細胞または照射された細胞におけるアポトーシスのプログラムの阻害は、微小核形成を介して死滅する細胞の画分の増加を招くことを発見した(後者の研究は、老化細胞の画分の同時的な増加も示した)。結果として、多くのヒト腫瘍細胞系統におけるアポトーシス阻害は、薬物治療された細胞または照射された細胞が増殖する能力に対して、ほとんど効果を持たないか、あるいは全く効果を持たないことが分かった(Borstら, 2001, Drug Resist. Update 4: 128-130; Roninsonら, 2001,同上)。
アポトーシスまたは老化とは対照的に、分裂死は、正常な生理学的プログラムを表さないが、代わりに、最適以下の状況下で、損傷細胞の分裂への進入を招く。正常な細胞は、例えば、染色体のDNAが損傷された後だが、修復プログラムが損傷されたDNAを修復することができる前に、分裂への不都合な進入を防ぐ種々の細胞周期チェックポイントメカニズムを有する。これらは、中でも、細胞周期のG1またはG2期のいずれかにおいて細胞を抑止するDNA損傷−誘導性チェックポイント、または微小管−標的薬物によって活性化される分裂前期チェックポイントを含む。チェックポイント抑止は、細胞に、細胞の損傷、特に染色体のDNA損傷を修復するための時間を与え、および異常な分裂の危険性を減少させる。
他方、腫瘍細胞は、これらの細胞周期チェックポイントの1またはそれ以上においてほとんど常に欠乏しており、これらの欠乏を利用することが、実験的薬物療法学における主な方向である(O'Connor, 1997, Cancer Surv. 29: 151-182; Pihan and Doxsey, 1999, Semin. Cancer Biol. 9: 289-302)。例えば、腫瘍細胞は、頻繁に、G1チェックポイントに必要な腫瘍抑制物質p53、ならびにG2チェックポイントを媒介するATMまたはATRのような遺伝子、および非−腫瘍細胞において分裂前期チェックポイントを媒介するCHFR遺伝子を不活性化させる。ScolnickおよびHalazonetis(2000, Nature 406: 430-435)は、高画分の腫瘍細胞系統は、CHFRにおいて欠乏すると開示した。抗微小管薬物の存在下で、CHFRは分裂前期にて、細胞周期を抑止するように見受けられる。しかしながら、CHFR欠乏腫瘍細胞は、薬物の影響を受けた異常な分裂中期へと進み(Scolnick and Halazonetis, 2000, 同上)、ここに、それらは、分裂死またはアポトーシスを介して死滅する(Torres and Horwitz, 1998, Cancer Res. 58: 3620-3626)。これらのチェックポイントの不活性化は、抗癌剤または照射による治療後、分裂死を促進させることが分かっている(Roninsonら, 2001, 同上)。
臨床的に有用な抗癌剤に対する主な腫瘍−特異的抗増殖性応答としての分裂死の役割は、先行技術において示唆されておらず、実験的にテストされてもいない。分裂死が正常な細胞に優先的に腫瘍細胞において誘導されたほとんどの研究は、腫瘍細胞が優先的に分裂に進入した状況を含み、そのような研究は、正常な分裂および異常な分裂の割合が、同様に処理された腫瘍細胞および正常な細胞の間で異なるか否かは調査しなかった。例えば、Powellら(1995, Cancer Res. 55: 1643-1648)は、カフェイン、損傷−誘導性G2チェックポイントを抑制する剤は、哺乳類細胞を照射−誘導性細胞死滅に感作させ、この感作は機能的p53を欠乏する細胞につき特異的であることを示した。より最近では、Jhaら(2002, Radiat. Res. 157: 26-31)は、カフェインによるG2チェックポイント抑制は腫瘍細胞で起こるが、正常なヒト細胞では起こらないことを示した。Nghiemら(2001,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 9092-9097)によって示されるように、G2チェックポイント抑制は、本明細書において「早期染色体凝縮」と関連している分裂死を促進させることによって、特異的に、異なるDNA−損傷剤に、p53−欠乏細胞を感作させる。同様に、Qiuら(2000, Molec. Biol. Cell 11: 2069-2083)は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC−I)は正常なヒト線維芽細胞においてG2チェックポイントを誘発するが、腫瘍細胞系統では誘発しないと報告した。HDAC−I処理の結果、腫瘍細胞は異常な分裂に進入し、分裂死を介して死滅したが、HDAC−I処理された正常な細胞は、G2で停止され、分裂に進入しなかった(Qiuら, 2000, 同上)。
異なるタイプの研究において、Cogswellら(2000, Cell Growth Differ. 11 : 615-623)は、Polo様キナーゼ1(PLK1)の優性ネガティブ突然変異体、分裂において重要な役割を演じる酵素は、正常な乳房上皮細胞に優先的にヒト腫瘍細胞において分裂死を誘導すると示した。これらの研究において、Cogswellらは、優性ネガティブPLK1を運ぶアデノウィルス性ベクターによって感染された正常な細胞および腫瘍細胞の間で、正常な分裂および異常な分裂の頻度を比較し、このベクターが正常な細胞においてよりもより頻繁に腫瘍細胞において異常な分裂を生じることを示した。Cogswellらは、腫瘍細胞および正常な細胞のこの反応差は、重要な分裂複合体の形成につき、PLK1に対する(PLK1を過剰発現する)腫瘍細胞のより大きい依存性を潜在的に反映することができると示唆した。言い換えれば、この応答の腫瘍特異性は、PLK1阻害につき特異的であると考えられた。
今日の臨床道具における抗癌剤の全クラスは、分裂死および老化の両方を誘導する(Changら, 1999,同上)。しかしながら、これらの剤はどれも、これらの有用な抗増殖性応答を誘導する能力に基づき発見されていない。腫瘍細胞において分裂死または老化のいずれかを誘導する化合物に対する定方向スクリーニング方法は、現在入手可能な薬物よりもより大きい効果および腫瘍特異性を持つ剤を発見する際に有用であるはずである。未だ、老化を誘導する能力に基づく薬物スクリーニングの報告はないが、マーカーとしての老化関連遺伝子の使用に基づくスクリーニング方法は、共有された同時係属特許出願(国際特許出願、公報第WO01/92578号および同第W02/061134号参照)の主題である。むしろ、先行技術は、分裂停止を誘導する剤を生じるためのスクリーニング方法を含有する(Mayerら, 1999, Science 286: 971-974; Robergeら, 2000, Cancer Res. 60: 5052-5058; Haggartyら, 2000, Chem. Biol 7 : 275-286)。他の先行技術のアプローチは、G2チェックポイントを無効にし、すなわち損傷されたDNAを持つ細胞が損傷の修復前に分裂に進入することを可能にする化合物を同定することを含む(Robergeら, 1998,Cancer Res 58: 5701- 5706);しかしながら、そのような剤は、DNA−損傷薬物で処理された細胞において分裂死を直接的に誘導せず、むしろそれを促進する。
しかしながら、分裂または分裂への細胞の進入に影響を及ぼす剤は、分裂死を誘導することができる唯一のものではない。例えば、間期にて細胞周期を阻害する全ての抗癌剤は、分裂死を効果的に誘導する(Changら, 1999,同上)。また、さらに、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21Wafl/Cipl/Sdilによる細胞増殖抑制成長阻害の後、周期に再び入る腫瘍細胞は、分裂に進入する際に、死を経験する(Changら, 2000, Oncogene 19: 2165-2170)。
正常な細胞よりも腫瘍細胞において細胞死滅を優先的に促進するための方法として腫瘍が発生する組織からの腫瘍細胞および正常な細胞の間の、癌関連の表現型差異を利用する化合物を同定する必要性が、当該分野において依然として存在する。また、当該分野において、腫瘍細胞において老化を誘導し、それにより腫瘍成長を停止させる化合物を同定する必要性も存在する。
発明の概要
本発明は、持続的に細胞成長を阻害するかあるいは腫瘍細胞を死滅させる化合物を同定するための方法を提供する。
本発明は、持続的に細胞成長を阻害するかあるいは腫瘍細胞を死滅させる化合物を同定するための方法を提供する。
第1の態様において、本発明は、正常な細胞に対して優先的に腫瘍細胞において細胞死滅を誘導する化合物を同定する方法を提供する。本明細書中で示されるように、一般に使用される抗癌薬物は、同質遺伝子的な正常な細胞に対して、新形成的に形質転換された細胞において(老化またはアポトーシスよりも)分裂死を優先的に誘導する。従って、腫瘍細胞において分裂死を誘導する剤は、腫瘍−特異的な様式で作用する可能性が高い。特定の具体例において、本発明の方法は、a)癌細胞培養物をテスト化合物と接触させ、引き続いて該化合物を除去し、または除去せず;次いでb)処理細胞における有糸分裂像の形態を評価することによって、あるいは2またはそれ以上の微小核を有する間期細胞の培養物における出現を検出することによって、分裂死の誘導のための化合物をアッセイする工程を含む。さらなる態様において、本発明は同定された化合物の腫瘍−特異的細胞毒性を確認するための方法を提供する。本発明の方法のこれらの態様は、腫瘍細胞において分裂死を誘導するのに十分な時間および化合物濃度にて、非−癌細胞の培養物を該化合物と接触させ;細胞死滅の誘導につき化合物をアッセイし;次いで非−癌細胞において細胞死滅を誘導しないまたはただ弱く誘導するだけである化合物を同定するさらなる工程を含む。
第2の態様において、本発明は、腫瘍細胞の分裂死または老化のいずれかを誘導する細胞分裂停止剤を同定するための効果的なスクリーニング方法を提供する。特定の具体例において、本発明の方法は、a)癌細胞の培養物を、細胞において細胞成長抑止を誘導するのに十分な時間および化合物濃度にて、テスト化合物と接触させ;b)処理細胞の一部をアッセイして、処理細胞において分裂指数の減少を検出し;c)化合物を除去し、細胞が細胞周期に再び入るのに十分な時間を含む回復期に細胞を培養し;d)回復された細胞の一部をアッセイして、回復された細胞の分裂指数の増加を検出し;e)老化の誘導につき、非処理細胞においてよりも小さい分裂指数の増加を生じる化合物を、該細胞における老化マーカーの生産を検出することによってアッセイし;f)処理細胞および回復された細胞において有糸分裂像形態を評価することによって、あるいは2またはそれ以上の微小核を持つ間期細胞の培養物において出現を検出することによって、分裂死につき、非処理細胞と同程度またはそれより大きい分裂指数の増加を生じる化合物をアッセイし;次いでg)癌細胞において老化−誘導化合物として、分裂指数の小さな増加および老化マーカーの発現を誘導する化合物を同定し、癌細胞において分裂死を誘導する化合物として、細胞において異常有糸分裂像または微小核を誘導する化合物を同定する工程を含む。好ましい具体例において、細胞は、ヒト癌細胞、より好ましくは固形腫瘍細胞、最も好ましくはHT1080細胞である。さらなる好ましい具体例において、細胞は工程(b)においてアッセイされて、分裂−特異的試薬で処理細胞の一部を染色することによって、分裂指数の減少を検出する。好ましくは、分裂−特異的試薬は、分裂細胞−特異的抗体である。特定の具体例において、細胞は、顕微鏡観察によってまたは蛍光活性化細胞ソーティングによってアッセイされる。さらなる具体例において、細胞は工程(d)においてアッセイされて、分裂−特異的試薬で回復された細胞の一部を染色することによって、分裂指数の増加を検出する。好ましくは、分裂−特異的試薬は、分裂細胞−特異的抗体である。特定の具体例において、細胞は、顕微鏡観察によってまたは蛍光活性化細胞ソーティングによってアッセイされる。本発明のこの態様の方法記載のインキュベーションおよび放出の後、分裂指数において小さな増加を示す細胞は、老化関連ベータガラクトシダーゼ(SA−β−gal)である老化マーカーでアッセイされるか、あるいは長期間コロニー形成を抑制する能力につきテストされる。分裂指数において大きな増加を示す細胞において、染色体形態学は、DNA−特異的検出試薬を用いて有利にアッセイされ、顕微鏡観察を用いて、または蛍光活性化細胞ソーティングによって検出される。代わりに、染色体形態学は、H2B−GFP融合蛋白質を用いてアッセイされる。
第3の態様において、本発明は、腫瘍細胞成長を阻害するための方法を提供し、該方法は、本発明の方法によって同定された癌細胞において分裂死を誘導する有効量の化合物と腫瘍細胞を接触させる工程を含む。
第4の態様において、本発明は、異常な細胞増殖または腫瘍細胞成長に関連する病気または状態を治療するための方法を提供し、該方法は、本発明の方法によって同定された癌細胞において分裂死を誘導する有効量の化合物と腫瘍細胞を接触させる工程を含む。
本発明の第5の態様は、腫瘍細胞成長を阻害する化合物を提供し、ここに細胞において分裂死を誘導する化合物は、本発明の方法によって同定される。
第6の態様において、本発明は、癌細胞において老化を誘導するための方法を提供する。これらの具体例において、該方法は、細胞が化合物と接触すると分裂指数を安定して減少させる有効量の化合物と腫瘍細胞を接触させる工程を含む。
第7の態様において、本発明は、異常な細胞増殖または腫瘍細胞成長に関連する病気または状態を治療するための方法を提供し、該方法は、細胞が化合物と接触すると分裂指数を安定して減少させる有効量の化合物と腫瘍細胞を接触させる工程を含む。
第8の態様において、本発明は、癌細胞において老化を誘導する化合物を提供し、ここに、該化合物は、細胞が化合物と接触すると、分裂指数を安定して減少させる。
腫瘍細胞成長を阻害することが可能な治療上有効量の本発明のペプチドまたはペプチドミメティックを特徴とする本発明の方法による有効な医薬上許容される組成物および医薬上許容される担体または希釈剤もまた提供される。
本発明の具体的な好ましい具体例は、特定の具体例および請求項の次のより詳細な記載から明白になるだろう。
好ましい具体例の詳細な記載
臨床的に有用な抗癌剤は、アポトーシス(プログラムされた細胞死滅)、分裂死(異常な分裂から生じる細胞死滅)、または老化(持続的細胞成長抑止)を誘導することによって、腫瘍細胞の成長を持続的に停止する。これらの3つのプロセスの特質および特徴は、表1において示される。
臨床的に有用な抗癌剤は、アポトーシス(プログラムされた細胞死滅)、分裂死(異常な分裂から生じる細胞死滅)、または老化(持続的細胞成長抑止)を誘導することによって、腫瘍細胞の成長を持続的に停止する。これらの3つのプロセスの特質および特徴は、表1において示される。
本発明は、細胞において、好ましくは腫瘍細胞において、最も好ましくは腫瘍細胞が生じた組織からの正常な細胞よりむしろ腫瘍細胞において、分裂死または老化を誘導する化合物を同定することができる細胞ベースのスクリーニング方法を提供する。これらの方法を使用すると、抗癌活性を持つ剤に対する天然および合成化合物ライブラリーのより効率的なスクリーニングが可能になる。
組織培養、薬物治療および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)につき、本発明の方法の実施において、標準的な技術を使用することができる。先述の技術および手順は、当該分野でよく知られ、本明細書を通して引用され論議される様々な一般的なより具体的な引用文献において記載されるように、慣用的方法によって、一般的に行うことができる。例えば、目的に応じて引用によって本明細書中に組み込まれるSambrookら, 2001, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,ならびに、目的に応じて引用によって本明細書中に組み込まれるFreshney, 2000, CULTURE OF ANIMAL CELLS: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUE, Wiley-Liss: New Yorkを参照されたし。特記されない限り、本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、および医薬品化学ならびに薬化学と関連して使用される用語および検査法ならびに技術は、当該分野でよく知られ、一般に使用されるものである。標準的な技術は、化学的合成、化学的分析、医薬品、製剤、および送達、ならびに患者の治療に使用することができる。
組織培養、薬物治療および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)につき、本発明の方法の実施において、標準的な技術を使用することができる。先述の技術および手順は、当該分野でよく知られ、本明細書を通して引用され論議される様々な一般的なより具体的な引用文献において記載されるように、慣用的方法によって、一般的に行うことができる。例えば、目的に応じて引用によって本明細書中に組み込まれるSambrookら, 2001, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.ならびに、目的に応じて引用によって本明細書中に組み込まれるFreshney, 2000, CULTURE OF ANIMAL CELLS: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUE, Wiley-Liss: New Yorkを参照されたし。特記されない限り、本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、および医薬品化学ならびに薬化学と関連して使用される用語および検査法ならびに技術は、当該分野でよく知られ、一般に使用されるものである。標準的な技術は、化学的合成、化学的分析、医薬品、製剤、および送達、ならびに患者の治療に使用することができる。
本発明の目的のため、「細胞」または「複数の細胞」への言及は、同意義であるように意図され、当該分野で知られるように成長させ維持した哺乳類細胞のイン・ビトロ培養物を特に網羅する。
本発明の目的のため、用語「老化」は、細胞毒性薬、DNA損傷または他の細胞損傷に対する正常な細胞の増殖性寿命の終わりにて、あるいは正常な細胞または腫瘍細胞において起こるようなDNA複製および成長因子によって可逆性でない細胞成長の持続的停止を含むように理解されるだろう。また、老化は、増加されたサイズ、平らになった形態、増加された粒度、および老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA−β−gal)を含む特定の形態学的特徴によって特徴付けられる。
細胞成長を阻害する細胞毒性薬の用量と細胞を接触させることによって、老化は、便宜には、哺乳類細胞に誘導することができる(Changら, 1999,同上に開示の通り)。剤の存在および不在下で培養された細胞の数を比較し、同等の培養時間の後、剤の不在下よりも剤の存在下においてより少ない細胞が存在する時の成長阻害を検出することによって、細胞成長は決定される。そのような細胞毒性薬の例は、ドキソルビシン、アフィジコリン、シスプラチン、シタラビン、エトポシド、タキソール、電離放射線、レチノイドまたは酪酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。適した用量は異なる細胞型と共に変動するだろう;老化を誘導する用量の決定は、Changら, 1999, 同上に開示のように、当業者の技量内である。
本発明の目的のため、用語「分裂死」は、細胞死滅を引き起こす異常な分裂のいずれの形態も含むように理解されるだろう。そのような細胞死滅は、常にではないが、頻繁に、微小核間期細胞の形成前に起こり、これはすなわち分裂死の指標である。加えて、また、分裂死はアポトーシスを招きかねない。分裂死は、便宜には、細胞を細胞毒性薬と接触させることによって、哺乳類細胞内に誘導される(Changら, 1999, 同上に開示の通り)。図2において図示されるように、正常とは明白に異なる分裂形態を観察することによって、あるいはお互いから完全にまたは部分的に離れていてもよい2またはそれ以上の微小核で、間期細胞を検出することによって、分裂死を顕微鏡的に決定できる。分裂死を誘導するのに有効な細胞毒性薬の例は、ドキソルビシン、アフィジコリン、シスプラチン、シタラビン、エトポシド、電離放射線、タキソール、またはビンカアルカロイドを含むが、これらに限定されるものではない。適した用量は異なる細胞型と共に変動するだろう;分裂死を誘導する用量の決定は、Changら, 1999, 同上に開示のように、当業者の技量内である。
本発明の目的のため、用語「アポトーシス」は、縮んだ細胞質、断片化された核、および凝縮クロマチンによって特徴付けされるプログラムされた細胞死滅のプロセスを含むように理解されるだろう(Trumpら, 1997, Toxicol. Patlzol. 25 : 82-88において概説される通り)。アポトーシスは、(FASまたはTRAILのような)特定の剤によって直接的に誘導され得、あるいはDNA損傷または異常な分裂に応答して起こり得る。
ヒト固形腫瘍(HT1080細胞、受託番号CCL−121、American Type Culture Collection, Manassas, Virginia)から由来する細胞系統におけるこれらの3つの応答の重要性は、共有され、同時係属の米国第09/449,589号(1999年11月29日に出願され、本明細書中に引用によって組み込まれる)において開示される。HT1080線維肉腫細胞を、ID85用量の6つのDNA損傷剤で処理することによって、細胞の15−79%において老化表現型が誘導されたが、3−9%のみが、2つの抗微小管薬物で治療された時にこの応答を発現した。他方で、分裂死は、テストされた剤のいずれかで処理された細胞の45−66%において観察されたが、いずれかの薬物での処理後にアポトーシスを発現するHT1080細胞はほとんどなかった(<10%)。この分析を中程度の等毒性用量のドキソルビシンで処理された14の固形腫瘍−由来細胞系統のパネルまで拡大した。2つの系統のみが主にアポトーシスの応答を示し、一方、全ての他の系統は、アポトーシスと、あるいはアポトーシスなしで、分裂死を発現した。また、14の系統のうちの11が、ドキソルビシン処理後に、老化表現型を呈した。
アポトーシス、分裂死および加速された老化の間の関係を分析するため、RuthおよびRoninson(2000, 同上)は、放射線耐性に対するMDR1 P−糖蛋白質(これは、多剤輸送体としてのよく知られた機能とは異なったメカニズムを介して、アポトーシスを阻害する)の効果を研究した。P−糖蛋白質は、放射線−誘導アポトーシスから2つのアポトーシスの傾向がある細胞系統を保護したが、放射線のクローン原性の生存を増加させなかった。この明らかな矛盾は、アポトーシス細胞の画分の減少に伴って、老化または分裂死のいずれかを経験している細胞の画分の比例した増加が起こり、これはアポトーシスなしの後者の応答が腫瘍細胞の増殖を止めるのに十分であることを示すという発見によって解明された。
過去10年にわたり、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導または刺激する剤の同定に、大きな努力が捧げられてきたが、癌細胞において老化または分裂死を誘導する剤を同定する大局的な努力はなされていない。しかしながら、後者の応答は癌治療において一般的なだけでなく、癌治療法としてアポトーシスに対してある程度の利点も有する。老化を経験する細胞は分裂しないが、代謝的かつ合成的に活性なままであり、重要なパラクリン活性を持つ分泌因子を生じる。これらの因子のうちのいくつかは、アポトーシスを阻害することによって、またはマイトジェンとして作用することによって、腫瘍成長を促進し得るが、他の因子(例えば、maspin、IGF−結合蛋白質またはamphiregulin)は反対の腫瘍抑制効果を有する(共有され、同時係属の2001年5月21日に出願された米国第09/861,925号および2002年8月29日に公開された国際特許出願、公報第WO02/066681に開示の通りであり、これらは各々、本明細書中に引用によって組み込まれる)。レチノイドのような老化の誘導体のいくつかは、腫瘍抑制蛋白質の生成を刺激するが、腫瘍促進蛋白質の生産は刺激せず(共有され、同時係属の2002年5月25日に出願された米国第09/865,879号に開示され、これは本明細書中に引用によって組み込まれる)、老化腫瘍細胞を非老化隣接物質の成長を阻害する分泌因子の貯蔵場所に変える。老化とは対照的に、アポトーシス細胞は、急速に死滅および消滅し、従って、遊出した致命的な損傷を有する腫瘍細胞の成長を抑制することができるいずれの因子も生じない。
抗癌薬物治療に対する治療の終点としてのアポトーシスを超える分裂死の利点は、次の考慮すべき事柄から明白である。アポトーシスは、正常な細胞の生理学的抗発癌性プログラムである。発癌の経路において、腫瘍細胞は、p53の分裂不活性化およびBCL−2(アポトーシスの阻害剤)の上方制御のようなアポトーシスプログラムを抑制する様々な変化を発達させる。結果として、多くの腫瘍細胞が、減少したアポトーシス応答を見せる(共有され、同時係属の2001年12月21日に出願された米国第10/032,264号、これは本明細書中に引用によって組み込まれる)。対照的に、分裂死は生理学的プログラムではなく、むしろ有糸分裂による直接的干渉(ビンカアルカロイドまたはタキサンのような抗有糸分裂薬物の効果)、または間期で損傷された細胞の有糸分裂への進入の結果である。後者の状況は、間期で作用するDNA−損傷剤または他の薬物で治療された細胞が、薬物への暴露後に有糸分裂に進入する時に起こり;また、異常な有糸分裂は、例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21Wafl/Cipl/Sdilによって生じた成長停止からの放出後に、DNA損傷なしに、細胞周期混乱後に起こり得る(2000年10月11日に出願された共有され、同時係属の米国第09/958,361号に記載の通りであり、これは本明細書中に引用によって組み込まれる)。正常な細胞は、損傷細胞が有糸分裂へ進入するのを防ぐ様々な細胞周期チェックポイントメカニズムを有する。これらは中でも、細胞周期のG1またはG2期のいずれかにおいて細胞を停止するDNA損傷誘導可能なチェックポイント、および微小管標的薬物によって活性化された分裂前期チェックポイントを含む。チェックポイント停止は、細胞に、細胞の損傷、特に染色体のDNA損傷を修復する時間を与え、異常な有糸分裂の危険性を減少させる。しかしながら、腫瘍細胞は、1またはそれ以上の細胞周期チェックポイントにおいて、ほとんど常に欠乏している。例えば、形質転換された細胞は、頻繁に、G1チェックポイントに必要な腫瘍抑制剤p53ならびに、G2チェックポイントを媒介するATMまたはATRのような遺伝子、および分裂前期チェックポイントを媒介するCHFR遺伝子を不活性化する(Stewart and Pietenpol, 2001, "G2 checkpoints and anticancertherapy," f/z CELL CYCLE CHECKPOINTS AND CANCER, (Blagosklonny, ed.), Georgetown, TX: Landes Bioscience, pp. 155-178; Scolnick and Halazonetis, 2000, Nature 406: 430-435)。これらのチェックポイントの不活性化は、抗癌薬物または照射による治療後の分裂死を促進させる。臨床状況下の分裂死の他の利点は、(i)分裂死は、アポトーシス細胞よりも低用量の薬物(すなわち、より低い全身毒性の状況下)で起こり(Tounektiら, 1993, Cancer Res. 53: 5462-5469; Torres and Horwitz, 1998, Cancer Res. 58: 3620-3626)、(ii)分裂死を経験している細胞および腫瘍は、主に、局所的炎症を含有する壊死を介して死滅し(Cohen-Jonathanら, 1999, Curr. Opin.Chenz. Biol. 3: 77-83)、これは、さらに、残存する腫瘍の根絶の際に補助し得る(対照的に、アポトーシスのプロセスは、非炎症性である)ことである。
本明細書において、実施例1に開示するように、ドキソルビシン、後期SおよびG2期において細胞周期を抑止する、一般に使用される抗癌剤は、テロメラーゼ(hTERT)およびhTERTおよびSV40の初期領域の両方で形質導入された同質遺伝子的、部分的に形質転換された誘導体BJ−ELBによって不死化された正常なヒトBJ−EN線維芽細胞に対して、異なる効果を有する。老化、アポトーシスおよび分裂死を誘導するドキソルビシンの能力を、BJ−ENおよびBJ−ELB系統の間で比較した。ドキソルビシンは、両方の細胞系統において同様の程度まで老化を誘導し、アポトーシスの比較的弱い誘導を示した。しかしながら、この薬物は、正常なBJ−EN細胞においてよりも部分的に形質転換されたBJ−ELBにおいて、ずっと効果的に分裂死を生じ、この違いは、BJ−EN細胞に対してよりも、BJ−ELB細胞に対して、全体的により強いドキソルビシンの阻害効果に付随した。この発見は、老化またはアポトーシスよりもむしろ分裂死が、この重要な、臨床的に有用な抗癌薬物の腫瘍特異性の重要な決定因子であることを示す。分裂死を促進させる際の腫瘍細胞のチェックポイント欠乏の上記論議した役割と共に、この発見は、分裂死が細胞死滅の腫瘍特異的メカニズムであることを示す。すなわち、癌細胞において分裂死を誘導する化合物は、腫瘍特異的効果を有する可能性が高く、つまり、非癌細胞においてではなく、癌細胞において分裂死および細胞死滅を誘導する可能性が高い。そのような化合物は、異常な有糸分裂像または分裂死の一般的な終点である2またはそれ以上の微小核を有する間期細胞に対する顕微鏡観察アッセイによって同定することができる。次いで、そのような化合物の腫瘍特異性は、該化合物が、非癌細胞において細胞死滅を誘導しないか、あるいは単に弱く誘導するだけであることを決定することによって確認できる。細胞死滅は、アポトーシス細胞、または2またはそれ以上の微小核を有する間期細胞、あるいは浮揚細胞、または生細胞を浸透しない色素(例えば、トリパンブルー)に対して浸透可能な細胞の出現を検出するといったいずれかの標準的な手順によってモニターすることができる。
また、本発明は、分裂死または老化のいずれかを誘導する化合物に対する効率的なスクリーニング方法を提供する。分裂死または老化を誘導する剤につき、合成または天然化合物をスクリーニングすることは、テストされた化合物による処理の後に、細胞培養物において、分裂細胞の画分(分裂指数、MI)を測定することに基づいている。MI測定は、今まで、分裂抑止を誘導する薬物のためのスクリーニングの原則として使用されてきた。そのような抗分裂薬物は、分裂を遅らせるか、あるいは阻害し、その結果としてMIを大きく増加させる。増加されたMIは、当該分野において、新規な抗分裂薬物につきスクリーンするために使用されてきた(Mayerら, 1999, Science 286: 971-974; Robergeら, 2000, Cancer Res. 60: 5052-5058; Haggartyら, 2000, Chenz. Biol 7: 275-286)。分裂−ベースのスクリーニングアッセイのもう1つのタイプは、G2チェックポイントを無効にする剤(例えば、カフェインまたはUCN−01)を同定することに向けられており;DNA損傷を被った後、ノコダゾール(nocodazole)処理細胞のMIの減少を防ぐ能力によって、そのような剤を同定することができる(Robergeら, 1998, Cancer Res 58: 5701-5706)。
しかしながら、先行技術において知られるMIベースのアッセイは、(DNA−損傷薬物のような)有糸分裂にて直接的に作用するよりも間期にて細胞周期を抑止した後に分裂死を誘導する細胞分裂停止剤、あるいはG1またはG2における持続性成長抑止と関連する老化を誘導する細胞分裂停止剤を検出することができない。後者の剤の両方のクラスは、有糸分裂にてよりも間期において細胞周期抑止を誘導し、従って、MIを増加させるよりもむしろ減少させる。すなわち、そのような剤の存在下でのMIの測定は、両方のクラスの剤に対するスクリーニングの最初の工程として使用することができる。MIの増加は、潜在的抗分裂薬物を示す(先に記載されたアッセイにおいてのように)一方、MIの減少は、間期−作用細胞周期阻害剤を同定するための新規な判定基準を提供する。
老化または分裂死を誘導する剤は、化合物の存在下での培養物からの放出後、MIの変化をモニタリングすることによって識別することができる。老化誘導剤は、化合物からの放出後、MIの完全な回復を許容しないだろう。対照的に、異常な分裂は正常な分裂より長くかかると考えられるため、分裂死を誘導する剤はMIの回復を許容するだけでなく、対照細胞に対して相対的にMIの増加を生じる可能性が高い。例えば、Mikhailovら (2002, Curr Biol 12: 1797-1806)は、分裂前期の間のDNA損傷は、動原体付着および機能の欠乏のため、分裂から出るのを遅らせることを示した。すなわち、化合物からの放出後のMI回復の程度は、老化または分裂死を誘導する化合物を同定するだろう。次いで、そのような化合物の効果は、(表1記載の通り)これらの2つの応答に対する慣用的アッセイによって確認することができる。このスクリーニング方法は、図1において、模式的に示される。
図1において示されるように、本発明のスクリーニング方法は、一般的には、2つの工程を含む。最初の工程において、腫瘍細胞は、テスト化合物の存在下でインキュベートされ、分裂指数(MI)が測定される。インキュベーションの時間は、分裂に進入する細胞の画分において有意な変化を生じるのに十分な長さであるべきであり;それは2−3時間(G2期の典型的な持続期間)ほどの短いものまたは全細胞周期の持続期間(ほとんどの腫瘍細胞系統につき20時間および45時間の間)ほどの長さあるいはより長いものであってもよい。
テスト化合物の存在下のインキュベーションの有益な結果は、MIは増加するか減少するかのいずれかであるということである。増加されたMIを示す化合物は、潜在的抗分裂剤として同定され、これは、次いで、当該分野でよく知られる方法を用いて抗分裂活性につきテストされる。その存在下で細胞がMIの低下を示す化合物は、間期−作用細胞周期阻害剤であって、アッセイの第2工程で用いられる。
第2の工程において、減少されたMIが検出されるのに十分な時間、工程1のMIの減少を引き起こす有効量のテスト化合物と細胞を接触させる。典型的には、この時間の量もまた、発明の方法の工程1において同定される。従って、例えばテスト化合物を欠乏している培養物培地における成長によって、細胞はテスト化合物処理から放出される。テスト化合物−遊離細胞のための時間の長さは、細胞が周期に再び入るのに十分であるべきであり、典型的には1および5日間の間が許容される。この時間の細胞のMIが決定される。
この治療の1つの有益な結果は、例えば、MI値が同一の密度まで成長された非処理細胞において観察されたレベルに達しない時のMIの乏しい(つまり、小さい)増加である。この結果は、いくつかの処理細胞が安定して成長−抑止になり、これはそれらが老化していることを反映する可能性が高いことを示唆する。化合物による老化の誘導は、なかでも、共有され同時係属の国際特許出願、公報第WO02/061134号開示のように、老化関連ベータガラクトシダーゼ(SA−β−gal)のような老化マーカーにつき、または老化関連遺伝子の発現につき、細胞をアッセイすることによって実験的に決定することができる。
代わりに、細胞はMIの強い増加を示し得、これは非処理細胞のものと同程度に高いまたはより高いレベルに達する。本明細書中に示されるように(図3Aから3Eおよび4)、そのような増加は、分裂死を経験する細胞の特徴であり、この持続期間は正常な分裂に対して大きく延長される。この場合、例えば、細胞を顕微鏡検査して、異常な有糸分裂像または微小核を検出することによって、または本明細書中の図に記載のように分裂死に対するいずれかの適したアッセイを用いることによって、分裂死につき細胞をアッセイする。
このスクリーニング方法は、個々にまたは組合せで、抗癌剤のための全ての他の細胞ベースのアッセイからそれを識別するいくつかの有用な態様を有する。これらは:(i)細胞数よりもMIの変化への依存が、非特異的成長阻害から細胞周期混乱を識別する;(ii)先のMIベースのスクリーニング方法は、(分裂にて直接的に作用する剤によって生じた)MIの増加を検出することに向けられていたが、本発明の方法の主なスクリーニング判定基準は、間期において細胞を抑止する剤によって生じるMIの減少である;(iii)本発明の方法において具体化される方法の工程2は、先のアッセイにおいて使用された化合物の存在下よりもむしろ、誘導する化合物からの放出後に起こるMIの変化に基づいている;(iv)分裂死およびアポトーシスの間を区別するために、スクリーニングが、限定されたアポトーシス応答を有する腫瘍細胞で好ましく実施され、主要なアッセイが、アポトーシス細胞よりも分裂細胞のためのアッセイを用いて実施される、を含む。
下記の実施例記載の結果は、老化ではないが、分裂死(およびその結果のアポトーシス)が、一般的に使用される臨床的に有用な抗癌剤(ドキソルビシン)による治療後に、形質転換された細胞において、好ましくは正常な細胞へと誘導されることを示す。形質転換細胞における増加された分裂死は、薬物治療の後の高い率の分裂だけでなく、(正常と比べて)異常な分裂の高頻度とも関連していた。これらの発見は、分裂死を誘導する能力が、臨床的に有用な抗癌剤の腫瘍細胞特異性の基礎を提供することを確証した。従って、腫瘍細胞において分裂死を誘導する能力を使用して、抗癌薬物として有用である可能性が高い腫瘍−特異的細胞毒性化合物を同定することができる。すなわち、分裂死を誘導する剤をスクリーニングする方法が、本発明によって提供される。
特定の具体例において、本発明の方法は次の工程を含む:
1.腫瘍細胞を、マルチ−ウェルプレートに入れ、(もし化合物が成長を阻害することが可能ならば)成長抑止を誘導するのに十分な時間、例えば24時間、テスト化合物に暴露する。
2.プレートを、MPM2、TG3またはGF7のような分裂−特異的抗体で染色し、例えば、非直接的免疫蛍光標識によって、有利に蛍光プレートリーダーを用いて、抗体結合を検出する。このアッセイ記載のMIを減少する化合物を同定し、工程3においてさらなるスクリーニングに使用する。また、このアッセイ記載のMIを増加する化合物を同定し、工程5においてさらなるスクリーニングに使用する。
3.MIを減少させるとして工程2において同定された化合物による治療に引き続いて、化合物−阻害された細胞が細胞周期に再び入るのに十分な時間(典型的には、24時間、36時間、および48時間)、細胞を回復させる。
4.工程3からのプレートを使用して、工程2記載の通り、MIを測定する。同一の密度まで成長させた非処理細胞と同様のまたはそれより高いMIの増加を生じる化合物は、分裂死の潜在的誘導物質として同定される。また、MIを全く増加させないまたは弱く増加させる(同一の密度まで成長させた非処理細胞のMI未満)化合物も、老化の潜在的誘導物質として同定される。
5.MIの増加によって工程2または工程4において同定された化合物を細胞に添加し、有糸分裂像形態(化合物による治療の間およびその後)および微小核が存在しているか否かを、顕微鏡観察アッセイによって分析する。
6.MIの持続された増加によって工程4において同定された化合物を、1−5日間、細胞に添加し、(SA−β−galのような)老化マーカーの発現または長期間コロニー形成を抑制する能力につき、テストする。
1.腫瘍細胞を、マルチ−ウェルプレートに入れ、(もし化合物が成長を阻害することが可能ならば)成長抑止を誘導するのに十分な時間、例えば24時間、テスト化合物に暴露する。
2.プレートを、MPM2、TG3またはGF7のような分裂−特異的抗体で染色し、例えば、非直接的免疫蛍光標識によって、有利に蛍光プレートリーダーを用いて、抗体結合を検出する。このアッセイ記載のMIを減少する化合物を同定し、工程3においてさらなるスクリーニングに使用する。また、このアッセイ記載のMIを増加する化合物を同定し、工程5においてさらなるスクリーニングに使用する。
3.MIを減少させるとして工程2において同定された化合物による治療に引き続いて、化合物−阻害された細胞が細胞周期に再び入るのに十分な時間(典型的には、24時間、36時間、および48時間)、細胞を回復させる。
4.工程3からのプレートを使用して、工程2記載の通り、MIを測定する。同一の密度まで成長させた非処理細胞と同様のまたはそれより高いMIの増加を生じる化合物は、分裂死の潜在的誘導物質として同定される。また、MIを全く増加させないまたは弱く増加させる(同一の密度まで成長させた非処理細胞のMI未満)化合物も、老化の潜在的誘導物質として同定される。
5.MIの増加によって工程2または工程4において同定された化合物を細胞に添加し、有糸分裂像形態(化合物による治療の間およびその後)および微小核が存在しているか否かを、顕微鏡観察アッセイによって分析する。
6.MIの持続された増加によって工程4において同定された化合物を、1−5日間、細胞に添加し、(SA−β−galのような)老化マーカーの発現または長期間コロニー形成を抑制する能力につき、テストする。
上記のアッセイは、腫瘍細胞において分裂死または老化を誘導するであろう化合物を同定するのに有用である。
分裂死の検出
分裂死を検出する最も一般的な方法は、断片化された核を持つ細胞を記録することに基づく。そのような記録は、固定されていない細胞に対して(位相差顕微鏡法を用いて)行うことができ、あるいは核を区別をつけて染色するいずれかの便利な色素(例えば、ヘマトキシリン−エオシン)で細胞を染色した後に、明視野顕微鏡観察によって、あるいはDNA特異的染色の後に、(明視野顕微鏡観察につき)フォエルゲン(Foelgen)のような有色色素または(蛍光顕微鏡観察につき)DAPIまたはHoeschst33342のような蛍光色素を用いることによって行うことができる。微小核細胞を分裂死の終点として同定する際、それらをアポトーシス細胞(これは、分裂死または分裂−独立アポトーシスのいずれかから生じ得る)から識別することが重要である。アポトーシス細胞もまた断片化された核を有するが、それらは小さなサイズおよび縮んだ細胞質によって識別され、一方、微小核細胞は大きく、正常なサイズの細胞質を有する。さらに、DNA−特異的色素で染色すると、アポトーシス細胞は凝縮クロマチンを有する一方、微小核細胞は異常な分裂の後に生じる非凝縮クロマチンを有する間期細胞であることを示す。微小核細胞は2またはそれ以上の完全にまたは部分的に分離された核を有し;部分的分離の場合には、核は複数に分葉されているように見受けられる。(HT1080線維肉腫細胞において)分裂死から生じる異常な核形態の代表的な例は、図2において示される。微小核を検出するもう1つの方法は、例えば、Torres and Horwitz (1998, Cancer Res. 58: 3620-3626)において記載されるように、蛍光−活性化細胞ソーティング(FACS)の使用に依存する。
分裂死を検出する最も一般的な方法は、断片化された核を持つ細胞を記録することに基づく。そのような記録は、固定されていない細胞に対して(位相差顕微鏡法を用いて)行うことができ、あるいは核を区別をつけて染色するいずれかの便利な色素(例えば、ヘマトキシリン−エオシン)で細胞を染色した後に、明視野顕微鏡観察によって、あるいはDNA特異的染色の後に、(明視野顕微鏡観察につき)フォエルゲン(Foelgen)のような有色色素または(蛍光顕微鏡観察につき)DAPIまたはHoeschst33342のような蛍光色素を用いることによって行うことができる。微小核細胞を分裂死の終点として同定する際、それらをアポトーシス細胞(これは、分裂死または分裂−独立アポトーシスのいずれかから生じ得る)から識別することが重要である。アポトーシス細胞もまた断片化された核を有するが、それらは小さなサイズおよび縮んだ細胞質によって識別され、一方、微小核細胞は大きく、正常なサイズの細胞質を有する。さらに、DNA−特異的色素で染色すると、アポトーシス細胞は凝縮クロマチンを有する一方、微小核細胞は異常な分裂の後に生じる非凝縮クロマチンを有する間期細胞であることを示す。微小核細胞は2またはそれ以上の完全にまたは部分的に分離された核を有し;部分的分離の場合には、核は複数に分葉されているように見受けられる。(HT1080線維肉腫細胞において)分裂死から生じる異常な核形態の代表的な例は、図2において示される。微小核を検出するもう1つの方法は、例えば、Torres and Horwitz (1998, Cancer Res. 58: 3620-3626)において記載されるように、蛍光−活性化細胞ソーティング(FACS)の使用に依存する。
所与の細胞系統における正常な分裂の形態学的範囲は、最初に、非処理細胞において分裂形態を検査することによって確立され、次いで、分裂のいずれかの位相にて正常な形態からの逸脱がすぐに同定され得る。微小核は分裂死の終点を表すが、異常な分裂の工程もまた、標準的な手順(例えば、Freshney, 2000, 同上 参照)を用いて、色素のようなDNA−特異的検出試薬(例えば、DAPI)によって染色された細胞の顕微鏡分析によってすぐに同定され得る。また、好ましい手順は、固化または染色手順なしに、無傷の細胞の蛍光顕微鏡観察によって、分裂形態の視覚化を許容するヒストンH2B−GFP融合蛋白質の発現ベクターで同時形質移入された細胞を含む(Kandaら, 1998, Curr Biol 8: 377-385記載の通り)。例として、この分析につき、細胞をいくつかのバックグラウンド蛍光を供するフェノールレッドなしの培地において培養する。細胞を、倒立蛍光顕微鏡および撮影された有糸分裂像を用いて検査して、十分な数(典型的には、約100)の分裂イメージ/試料を収集する。Therman and Kuhn (1989, Crit Rev. Oncog. l: 293-305)における有糸分裂像の分類を用いて、それらが表す正常な分裂または異常な分裂のタイプに関して、これらの有糸分裂像を検査し分類する;(DAPI−染色HT1080線維肉腫細胞における)異常な有糸分裂像の例は図2において示される。また、異常な紡錘糸の形成または中心体重複は、α、βまたはγチューブリンに対して抗体で染色することによって検出できる。異常な分裂のもう1つの指標は、分裂の異なる位相の改変された頻度の分布である。特徴的に、薬物誘導の異常な分裂は、分裂後期および分裂終期ならびに異常な形態のより低い頻度によって特徴付けられる。
経時的ビデオ顕微鏡検査法(位相差、DICまたは蛍光)を使用して、テストされた化合物によって誘導される異常な分裂の性質を確立できる。このタイプの分析の特定の例において、ヒストンH2B−GFP融合蛋白質を発現するHT1080細胞の蛍光ビデオ顕微鏡検査を使用することができる(Rieder and Khodjakov, 2003, Science 300: 91-96のオンライン補足に示される通り)。そのような分析につき、H2B−GFP発現細胞は、有利には、1”直径の丸ガラスカバースリップにプレートされ、6−ウェルプレートのウェルに入れられる。(1.5mL用量中に)テスト化合物を含有する培地を、24時間添加し、次いで、薬物なしの培地で置き換える。プレートを定期的に、有糸分裂像の再出現につき検査する。一旦、分裂が出現し始めると、カバースリップを、熱されたステージを備えた倒立蛍光顕微鏡法を用いるために、インキュベーターシステムのチャンバーに移す。チャンバーを、HEPESを含有する培地で満たし、密閉し、37℃に加熱されたステージ(あるいは所望により、37℃の温室中)に置く。顕微鏡を、イメージを撮影する時にのみ蛍光照明を許容する自動シャッターと同期化したデジタル経時的カメラに接続する。例えば3分間周期性を用いて、イメージを断続的に収集する。早い分裂前期の細胞を撮影用に選択し、(複数の)核膜が形成されるまでそれをモニターする。単一のチャンバーから、2−5分裂の持続期間が記録される。少なくとも20の分裂を、見込みのあるヒットの度に撮影し、カテゴリー化する。この分析は、異常な分裂のどの(複数の)タイプが、好ましく、テストされた化合物によって誘導されるかを示す。
分裂死または老化のためのハイスループット・スクリーニング
顕微鏡観察分析は困難ではないが、ハイスループット・スクリーニング(HTS)にとっては比較的遅い手順である。分裂死に対するHTSへのアプローチは単純で、簡単に測定可能な手順であり、これを顕微鏡検査の前に使用すれば、この予備スクリーニングで陽性であると分かった化合物のみが、顕微鏡観察アッセイを介してテストする必要がある。この予備工程を、主要なスクリーニングアッセイとして実施することができ、あるいは成長阻害活性のための予備スクリーニング(慣用的細胞成長阻害アッセイを介して)に引き続き、成長−阻害化合物とのみ、それを使用することもできる。提案されたスクリーニング手順を図1で図式化し、それを使用して、腫瘍細胞において老化を誘導する化合物をスクリーンすることができる。
顕微鏡観察分析は困難ではないが、ハイスループット・スクリーニング(HTS)にとっては比較的遅い手順である。分裂死に対するHTSへのアプローチは単純で、簡単に測定可能な手順であり、これを顕微鏡検査の前に使用すれば、この予備スクリーニングで陽性であると分かった化合物のみが、顕微鏡観察アッセイを介してテストする必要がある。この予備工程を、主要なスクリーニングアッセイとして実施することができ、あるいは成長阻害活性のための予備スクリーニング(慣用的細胞成長阻害アッセイを介して)に引き続き、成長−阻害化合物とのみ、それを使用することもできる。提案されたスクリーニング手順を図1で図式化し、それを使用して、腫瘍細胞において老化を誘導する化合物をスクリーンすることができる。
分裂死の誘導に関し、全ての抗癌剤は2つのタイプに分けられる。第1のタイプは、分裂に直接的に影響を及ぼし、腫瘍細胞において分裂遅延を誘導する薬物を含む。このカテゴリーは、ビンカアルカロイドまたはタキサンのような抗微小管剤を含み;また、HDAC−Iがこのカテゴリーに属することもある。分裂指数を、第1のタイプの薬物の存在下で増加させ、それにより、薬物の存在下でのMIの増加をこれらの化合物を分類する手段にする。顕微鏡観察計数を介してのみだけでなく、ずっと便利には、分裂細胞に特異的に結合するMPM2、TG−3またはGF−7のような抗体で染色することによって、MIを測定することができる(Rumbleら, 2001, J Biol Chem. 276 : 48231-48236)。(電離放射線への暴露後)分裂−特異的抗体の増加された結合は、当該分野において、G2チェックポイントを無効にする化合物のHTSの基本として使用されている(Robergeら, 1998, 同上 ; Rumbleら, 2001, 同上)。
(ドキソルビシンを含む)最も臨床的に有用な抗癌薬物は、第2のタイプに属する。これらの薬物は、細胞周期間期において(つまり、G1、SまたはG2において)細胞周期抑止を誘導し、そうすることで、これらの薬物の存在下で、MIは増加するよりもむしろ減少する。しかしながら、薬物−阻害細胞が周期に再び入り、分裂へと進行するように(図3参照)、MIはそのような薬物の除去の際に増加する。異常な分裂は正常な分裂よりも時間がかかるため、この増加は、分裂死を誘導する薬物につき、特に強調されるべきである。すなわち、薬物の除去後のMIの増加は、薬物治療が分裂死を経験する後に細胞が回復していることを示す。他方で、同一の密度まで成長された非処理細胞において観察されるレベルまでMIを増加できなかったことは、老化の結果であり得る、いくつかの処理細胞が延長された成長抑止を経験することを示す。次いで、このスクリーニング手順によって同定された化合物による分裂死または老化のいずれかの誘導は、特異的なアッセイを介して確証することができる。
MIの測定
MIを測定する最も一般的な検査法は、DAPIのようなDNA−特異的色素で染色することによって視覚化された凝縮クロマチンによる細胞の顕微鏡観察計数である。計数は労力を要し、時間のかかる手順である一方、レーザー走査顕微鏡法のような新規な顕微鏡技術を用いて、それを容易にし、自動化することができる。MI測定に基づく先行技術スクリーニング技術は、商業的に入手可能なMPM2またはTG3のような分裂細胞特異的抗体(MCSA)の結合に頼ってきた(Andersonら, 1998, Exp. Cell Res. 238: 498-502)。注目すべきは、MPM2抗体は、分裂細胞のみを染色し、アポトーシス細胞を染色しないと報告された(Yoshidaら, 1997, Exp. Cell Res. 232: 225-239)。MCSAは、細胞ブロット(cytoblot)(Haggartyら, 2000,同上)または修飾されたELISA手順(Robergeら, 1998, 同上; Robergeら, 2000,同上)のいずれかを介するMIの増加のために、公開されたスクリーニングアッセイにおいて使用されている。分裂細胞のMCSAベース測定のためのもう1つの方法は、FACSの使用に頼り、これはMCSA結合細胞の画分(これはMIの良好な近似値である)の定量的測定を提供する。また、FACSアッセイは、MIだけでなく、試料中の細胞の総数の決定も許容するため、有利である。さらに、FACSアッセイは、MCSA染色をDNA容量に対するヨウ化プロピジウム(PI)染色と組み合わせることを可能にし、それにより、MIの測定をG1またはG2成長抑止およびサブ−G1 DNA容量を有するアポトーシス細胞の出現と組み合わせることが可能になる。FACS計測手段における最近の進歩、特に自動FACSマルチウェルAutoSampler(Becton Dickinson)の発達によって、FACSを高速スクリーニング手順として使用することが可能になり、これは本発明の方法の実施において好ましい。
MIを測定する最も一般的な検査法は、DAPIのようなDNA−特異的色素で染色することによって視覚化された凝縮クロマチンによる細胞の顕微鏡観察計数である。計数は労力を要し、時間のかかる手順である一方、レーザー走査顕微鏡法のような新規な顕微鏡技術を用いて、それを容易にし、自動化することができる。MI測定に基づく先行技術スクリーニング技術は、商業的に入手可能なMPM2またはTG3のような分裂細胞特異的抗体(MCSA)の結合に頼ってきた(Andersonら, 1998, Exp. Cell Res. 238: 498-502)。注目すべきは、MPM2抗体は、分裂細胞のみを染色し、アポトーシス細胞を染色しないと報告された(Yoshidaら, 1997, Exp. Cell Res. 232: 225-239)。MCSAは、細胞ブロット(cytoblot)(Haggartyら, 2000,同上)または修飾されたELISA手順(Robergeら, 1998, 同上; Robergeら, 2000,同上)のいずれかを介するMIの増加のために、公開されたスクリーニングアッセイにおいて使用されている。分裂細胞のMCSAベース測定のためのもう1つの方法は、FACSの使用に頼り、これはMCSA結合細胞の画分(これはMIの良好な近似値である)の定量的測定を提供する。また、FACSアッセイは、MIだけでなく、試料中の細胞の総数の決定も許容するため、有利である。さらに、FACSアッセイは、MCSA染色をDNA容量に対するヨウ化プロピジウム(PI)染色と組み合わせることを可能にし、それにより、MIの測定をG1またはG2成長抑止およびサブ−G1 DNA容量を有するアポトーシス細胞の出現と組み合わせることが可能になる。FACS計測手段における最近の進歩、特に自動FACSマルチウェルAutoSampler(Becton Dickinson)の発達によって、FACSを高速スクリーニング手順として使用することが可能になり、これは本発明の方法の実施において好ましい。
細胞および化合物ライブラリー
原理上は、いずれの細胞系統もスクリーニングに使用することができるが、スクリーニング手順の最終目的は腫瘍細胞に対して効果的な新規な薬物を同定することであるため、腫瘍由来細胞系統が好ましい。アポトーシスの急速な開始は老化細胞または分裂死を経験している細胞の検出を分かりにくくするため、特に好まれる腫瘍細胞系統は、アポトーシスの低い発生率を有するものである。アポトーシス耐性系統は、アポトーシスに対して本質的に耐性のある系統またはBCL2のようなアポトーシス阻害遺伝子の過剰発現によってアポトーシス耐性になった系統の間で選択することができる。本発明の方法の実施につき、便利な細胞系統の一例は、HT1080ヒト線維肉腫であり、これはアポトーシスの非常に低い発生率のみを有する(Pellegataら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 93: 15209-15214; Changら, 1999, Cancer Res. 59: 3761-3767; 2000年4月7日に出願された、共有され、係属の米国第09/958,457号)。
原理上は、いずれの細胞系統もスクリーニングに使用することができるが、スクリーニング手順の最終目的は腫瘍細胞に対して効果的な新規な薬物を同定することであるため、腫瘍由来細胞系統が好ましい。アポトーシスの急速な開始は老化細胞または分裂死を経験している細胞の検出を分かりにくくするため、特に好まれる腫瘍細胞系統は、アポトーシスの低い発生率を有するものである。アポトーシス耐性系統は、アポトーシスに対して本質的に耐性のある系統またはBCL2のようなアポトーシス阻害遺伝子の過剰発現によってアポトーシス耐性になった系統の間で選択することができる。本発明の方法の実施につき、便利な細胞系統の一例は、HT1080ヒト線維肉腫であり、これはアポトーシスの非常に低い発生率のみを有する(Pellegataら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 93: 15209-15214; Changら, 1999, Cancer Res. 59: 3761-3767; 2000年4月7日に出願された、共有され、係属の米国第09/958,457号)。
スクリーニングは、天然または合成化合物の多くの商業的に入手可能なライブラリーまたは特別注文のライブラリーのいずれかで実施することができる。商業的に入手可能なライブラリーの一例は、ChemBridge DIVERSet、Chem−Xソフトウェアのバージョンを用いて、全コレクションにおいて活性基を定量化することによって合理的に選択された合成化合物のChemBridgeコレクションのサブセットである。得られたライブラリーは、最小数の化合物内で最大の活性基多様性を提供する。このライブラリーは、様々な細胞ベースのアッセイおよび無細胞アッセイにおいて、多くの産業的および学問的研究者によって、上手く使用されている(www.chembridge.com)。特に、ChemBridgeライブラリーは、紡錘体二極(Mayerら, 1999, 同上)およびMIを増加させる能力につきスクリーニングすることによって同定された有糸分裂の多くの他の阻害剤(Haggartyら, 2000, 同上)を阻害することによって、有糸分裂と干渉するマナストロール(monastrol)を同定するのに使用されてきた。後者の研究において、ChemBridgeライブラリーからの16,320の化合物がスクリーンされ、139の化合物がMIを増加させることが分かった。これらの結果は、同一のライブラリーを用いて、有糸分裂に対して続く効果を持つ細胞周期を阻害する数多くの化合物が発見され得るという信頼を促進する。最新のChemBridge DIVERSetライブラリーは、500μLのDMSOに先にプレートされ溶解された5μmol試料中に30,000化合物を含有する。本発明の方法によると、本明細書においてより完全に開示されるように、スクリーニングアッセイは、各化合物の20μM濃度(典型的には、細胞ベースのアッセイにつき当該分野で使用される)にて実施され;すなわち、該ライブラリー中の各化合物の総量は、250mLの培地を調製するのに十分である。これは、全スクリーニング目的に十分すぎるほどである。より大きいスケールの分析につき、個々のヒットは、10mgバイアルにおいてChemBridgeによって再度供給され得る。
アッセイ最適化
スクリーニングの調製において、アッセイに最も適したマルチウェルプレートおよび細胞がそのようなプレートにおいて成長することができる密度が同定される。本発明の実施において有用なアッセイの最初の最適化は、非処理細胞を用いて、ウェル−対−ウェルの変動性および異なる実験においてMI値の範囲を決定することで実施される。これらの最適化アッセイは、該アッセイが96ウェルフォーマットまたは24ウェルフォーマットにおいて機能することを示す。第1工程アッセイ条件が非処理細胞で確立されると、細胞周期阻害剤を検出する能力は、異なる細胞周期特異性を持ついくつかの既知の薬物を用いてテストされる。これらは、タキソール(これは有糸分裂において細胞を抑止し、従ってMIを増加させる)、および間期において細胞を抑止し、MIを減少させ、分裂死および/または老化を誘導するいくつかの薬物を含むことができる。後者の剤は、ミモシン(G1/S境界にて抑止)、アフィジコリン(S−位相抑止)およびドキソルビシン(後期SおよびG2抑止)を含むことができる。これらの化合物によるHT1080細胞成長の阻害の用量範囲は確立されている(Levensonら, 2000, Cancer Res. 60: 5027-5030)。G1においていくつかの腫瘍細胞系統を阻害すると報告された(Keyomarsiら, 1991, Cancer Res 51:3602-3609)ロバスタチンは、それがHT1080細胞で腫瘍細胞成長を阻害するか否かおよびそれが分裂死を誘導するか否かをテストするためのもう1つの候補である。
スクリーニングの調製において、アッセイに最も適したマルチウェルプレートおよび細胞がそのようなプレートにおいて成長することができる密度が同定される。本発明の実施において有用なアッセイの最初の最適化は、非処理細胞を用いて、ウェル−対−ウェルの変動性および異なる実験においてMI値の範囲を決定することで実施される。これらの最適化アッセイは、該アッセイが96ウェルフォーマットまたは24ウェルフォーマットにおいて機能することを示す。第1工程アッセイ条件が非処理細胞で確立されると、細胞周期阻害剤を検出する能力は、異なる細胞周期特異性を持ついくつかの既知の薬物を用いてテストされる。これらは、タキソール(これは有糸分裂において細胞を抑止し、従ってMIを増加させる)、および間期において細胞を抑止し、MIを減少させ、分裂死および/または老化を誘導するいくつかの薬物を含むことができる。後者の剤は、ミモシン(G1/S境界にて抑止)、アフィジコリン(S−位相抑止)およびドキソルビシン(後期SおよびG2抑止)を含むことができる。これらの化合物によるHT1080細胞成長の阻害の用量範囲は確立されている(Levensonら, 2000, Cancer Res. 60: 5027-5030)。G1においていくつかの腫瘍細胞系統を阻害すると報告された(Keyomarsiら, 1991, Cancer Res 51:3602-3609)ロバスタチンは、それがHT1080細胞で腫瘍細胞成長を阻害するか否かおよびそれが分裂死を誘導するか否かをテストするためのもう1つの候補である。
有利には、細胞は、(3つの)96−ウェルアッセイにおいて、(LD50ないしLD99の範囲を覆う)各薬物のいくつかの用量で処理し、MIに対する24時間インキュベーションの効果をFACSアッセイによって確立する。MIにおいて少なくとも2倍の減少(またはタキソールの場合、MIの5−10倍の増加)を生じる各化合物の最小用量を選択し、プレートの異なる位置で複数のウェルに薬物を添加することによって、MIに対する各化合物の効果の再現性をテストする。この分析はアッセイの再現性を確証し、同一の薬物の効果に対して変動性の範囲を提供し、アッセイにおいて潜在的な位置関連の問題を明らかにする。これらの薬物の1またはそれ以上の確立された用量を、化合物ライブラリーの実際のスクリーニングに対して、陽性対照として使用する。
MIにおける減少は間期活性薬物に対する好ましい識別子を構成するが、いくつかのケースにおいて、細胞がテスト化合物、次いでノコダゾールのような既知の抗分裂剤と共にインキュベートされる(8時間または同様の時間;Robergeら, 1998,同上)最初の工程において、代替アッセイを使用するのが有利かもしれない。間期を阻害する化合物は、MIのノコダゾール媒介の増加と干渉するはずである。不利には、MI−減少アッセイと比較して、このノコダゾールアッセイは、より長い時間がかかり、さらなる薬物の使用を要する;また、それはMIを減少するよりも増加させる化合物を同定するのには不向きである。それでもなお、ノコダゾールアッセイは、測定されたシグナル(つまり、MI)を増加させる潜在的利益を有し、従って、FACS分析(またはサイトブロット(cytoblot)またはELISAアッセイ)につき、より少ない細胞を使用することを可能にし得る。
また、同一のプロトタイプを使用して、スクリーニング手順の第2の工程のための条件を確立する。この分析は、細胞培養の3−5日を要し、好ましくは、24−ウェルフォーマットで実施される。典型的には、薬物を24時間、細胞に添加し、次いで、薬物なしの培地で置き換える。マルチウェルプレートを固定し、薬物からの放出後(6−72時間、最初の24時間は6時間間隔で、次の48時間は8時間間隔で)異なる時点で処理し、FACS分析を使用して、MIを決定する。この分析は、異なる位相にて細胞周期を抑止する薬物から放出された細胞のMIの回復の時期および規模、ならびに放出後に異なる時間にて残る細胞の数を明らかにする。この分析に基づき、異なる薬物で処理された細胞による有糸分裂への再進入に対応する2つ(または必要に応じて3つ)の時点が選択される。この放出アッセイの再現性は、主に、最初の工程で決定される。この分析の結果は、スクリーニングの第2の工程の時間パラメータおよびスクリーニングの第2の工程の陽性対照を提供する。
分裂死および老化のための形態学的アッセイ
細胞がそれらの存在下でインキュベートされるとMIを減少させるが、放出後MIの増加を生成する化合物が実際に分裂死を誘導するか否かを決定するために、そのような化合物を、上記のように、有糸分裂像の形態学的分析によってテストする。
細胞がそれらの存在下でインキュベートされるとMIを減少させるが、放出後MIの増加を生成する化合物が実際に分裂死を誘導するか否かを決定するために、そのような化合物を、上記のように、有糸分裂像の形態学的分析によってテストする。
MIを減少させ、放出後完全な回復を許容しない化合物が老化を誘導するか否かを決定するため、そのような化合物で2日間ないしそれ以上の間処理された細胞を、Dimriら(1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92 : 9363-9367)によって記載されるように、老化関連β−ガラクトシダーゼ(SA−β−gal)活性につき、pH6.0のX−Galを用いて染色する。(光顕微鏡分析によって検出可能な)青色染色は、老化のこの一般的に使用されるマーカーの発現を示す。加えて、老化細胞は、増加された細胞サイズおよびより高い粒度(FACS分析の増加された側面分散によって明白であるように)を示す。老化に対する機能的なテストとして、細胞を化合物で処理するかあるいは処理せず、次いで、低密度(500−2000細胞/P100)にてプレートし、コロニーを形成させる。老化細胞は、非処理細胞に対して大きく減少された大きなコロニーの形成を示すが、顕微鏡観察は、ほとんどのプレートされた細胞は、単一細胞のままか、あるいは非常に小さな集団を形成しつつ、プレートに付着したままであることを示す。
スクリーンされた化合物のさらなる特徴付け
上記の手順を使用して、分裂死または老化のいずれかを誘導する化合物を同定する。次いで、最も効果的な化合物を、有利には、短期間成長阻害および長期間クローン原性アッセイを用いる用量応答分析のような、より慣用的なイン・ビトロアッセイによって、潜在的抗癌剤として、さらに特徴付けして、他の薬物との比較のため、ID50およびLD50値を確立する。化合物の活性の範囲は、異なるヒト腫瘍細胞系統、特に、下記の非修飾またはテロメラーゼ−不死化の正常な細胞において、プロファイルされて(実施例1に記載)、該化合物が腫瘍−特異的効果を有する可能性が高いか否かを決定する。最も期待できる化合物は、慣用的技術によって誘導体化され、誘導体は、老化または分裂死の誘導につき、再びスクリーンすることができる。続くイン・ビトロテストは、免疫不全マウス、または特異的な癌のトランスジェニックマウスモデルにおいて成長したヒト腫瘍の異種移植のような癌の動物モデルにおいて化合物の効果を決定することができる。また、慣用的動物テストを使用して、そのような化合物を抗癌薬物として認証するであろう臨床的研究に備えて、化合物の安全性および生物学的利用能を決定する。
上記の手順を使用して、分裂死または老化のいずれかを誘導する化合物を同定する。次いで、最も効果的な化合物を、有利には、短期間成長阻害および長期間クローン原性アッセイを用いる用量応答分析のような、より慣用的なイン・ビトロアッセイによって、潜在的抗癌剤として、さらに特徴付けして、他の薬物との比較のため、ID50およびLD50値を確立する。化合物の活性の範囲は、異なるヒト腫瘍細胞系統、特に、下記の非修飾またはテロメラーゼ−不死化の正常な細胞において、プロファイルされて(実施例1に記載)、該化合物が腫瘍−特異的効果を有する可能性が高いか否かを決定する。最も期待できる化合物は、慣用的技術によって誘導体化され、誘導体は、老化または分裂死の誘導につき、再びスクリーンすることができる。続くイン・ビトロテストは、免疫不全マウス、または特異的な癌のトランスジェニックマウスモデルにおいて成長したヒト腫瘍の異種移植のような癌の動物モデルにおいて化合物の効果を決定することができる。また、慣用的動物テストを使用して、そのような化合物を抗癌薬物として認証するであろう臨床的研究に備えて、化合物の安全性および生物学的利用能を決定する。
本発明の方法は、腫瘍細胞、最も好ましくはヒト腫瘍細胞の成長を阻害する化合物を同定するのに有用である。また、本発明は、同定された化合物および該同定された化合物を用いて腫瘍細胞、最も好ましくはヒト腫瘍細胞の成長を阻害するための方法を提供する。
また、本発明は、医薬組成物として本明細書中に開示される方法によって同定される化合物の具体例を提供する。本発明の医薬組成物は、それ自体が既知である様式、例えば、慣用的混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、閉じ込めまたは凍結乾燥工程の手段によって、製造することができる。
すなわち、本発明記載の使用のための医薬組成物は、活性化合物の医薬的に使用可能な調製物への処理を促進する賦形剤および補助剤を含む1またはそれ以上の生理学的に許容される担体を用いて、慣用的様式で処方することができる。
非毒性医薬塩は、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸、HOOC−(CH2)n−CH3[式中、nは0−4である]等のようなアルカン酸といった酸の塩を含む。当業者は、多種多様の非毒性の医薬上許容される付加塩を認識するだろう。
注入につき、本発明の方法によって同定された腫瘍細胞成長−阻害化合物は、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液といった生理学的に適合性のある緩衝液のような適当な水溶液中で処方することができる。経粘膜および経皮投与につき、浸透される関門に適した貫通刺胞を処方に使用する。そのような貫通刺胞は、当該分野において一般的に知られている。
経口投与につき、化合物は、当該分野でよく知られた医薬上許容される担体と活性化合物を組み合わせることによって、すぐに処方できる。そのような担体は、治療を受ける患者によって経口摂取できるように、本発明の化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方されるのを可能にする。経口使用のための医薬品は、固体賦形剤で得ることができ、所望により、得られた混合物を粉砕し、所望により、適した補助剤の添加後、粉末の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠核を得てもよい。特に、適した賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;例えば、トウモロコシスターチ、小麦スターチ、米スターチ、ジャガイモスターチ、ゼラチン、トラガカント・ガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物を含む。所望により、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸あるいはアルギン酸ナトリウムのようなその塩といった崩壊剤を添加してもよい。
糖衣錠核は、適当なコーティングと共に供される。この目的のため、所望により、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールジェル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適した有機溶媒または溶媒混合物を含有していてもよい濃縮された糖溶液を使用してもよい。異なる組合せの活性化合物用量を同定または特徴付けるために、色素または色素を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
経口使用可能な医薬品は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤で作られたソフトな密閉カプセル剤を含む。押し込み型カプセル剤は、ラクトースのような賦形剤、スターチのような結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムといった滑沢剤および所望により安定剤との混合物中に活性成分を含有していてもよい。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような適当な液体中に溶解または懸濁してもよい。加えて、安定剤を添加してもよい。経口投与用の全処方は、そのような投与に適した用量であるべきである。頬側投与につき、組成物は、慣用的様式で処方された錠剤またはトローチ剤の形態であってもよい。
吸入による投与につき、本発明による使用のための化合物は、便利には、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスといった適当なプロペラントの使用で、加圧されたパックまたは噴霧器からのエアゾールスプレー提示の形態で送達される。加圧されたエアゾールの場合、用量単位は弁を提供して測定された量を送達することによって決定することができる。インへイラーまたは吸入器における使用のための例えばゼラチンのカプセル剤および薬包は、ラクトースまたはスターチのような化合物および適した粉末の粉末ミックスを含有して処方することができる。
化合物は、例えば、ボーラス注入法または連続噴射といった注入によって非経口投与することができる。注入用の処方は、例えば、添加された保存料を有するアンプルまたはマルチ用量容器のような単位用量形態で提示することができる。組成物は、懸濁液、溶液または油性あるいは水性ビヒクルにおいて乳剤といった形態であってもよく、懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方剤を含有することができる。
非経口投与用の医薬処方は、水溶性形態中の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は適当な油性注射懸濁液として調製できる。適当な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステルのような脂肪油、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような懸濁液の粘度を増加させる物質を含有していてもよい。また、所望により、懸濁液は、化合物の溶解性を増加させて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする適した安定剤または剤を含有していてもよい。別法として、活性成分は、例えば、無菌発熱物質なしの水のような適当なビヒクルとの構成のために、使用前に粉末形態であってもよい。また、化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドのような慣用的坐剤の基剤といった坐剤または停留浣腸といった直腸組成物に処方されてもよい。
前記の処方に加えて、化合物は持続性製剤として処方されてもよい。そのような長時間作用型処方は、(例えば、皮下または筋肉内への)移植によって、あるいは筋肉内注射によって投与可能である。すなわち、例えば、化合物は、適した高分子材料または疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂、あるいは貧溶性誘導体、例えば貧溶性塩として、投与可能である。
本発明の疎水性化合物のための医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水性相を含む共溶媒系である。共溶媒系は、VPD共溶媒系であってもよい。VPDは、3重量%ベンジルアルコール、非極性界面活性剤有機ポリマー80の8重量%、および65重量%ポリエチレングリコール300の溶液であり、無水エタノールで所定の容量とする。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中で、5%ブドウ糖で1:1希釈されたVPDよりなる。この共溶媒系は、疎水性化合物をよく溶解し、それ自体は、全身投与の際に低い有毒性を生じる。天然に、共溶媒系の割合は、その溶解性および有毒性特徴を破壊せずに、かなり変動する。さらに、共溶媒系成分の同一性は変動する:例えば、他の低有毒性非極性界面活性剤を、ポリソルベート80の代わりに使用することができ;ポリエチレングリコールの画分サイズは変動し得;他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンが、ポリエチレングリコールを置き換えてもよく;他の糖または多糖はブドウ糖を代用してもよい。
別法として、疎水性医薬化合物のための他の送達システムを使用してもよい。リポソームおよび乳剤は、疎水性薬物のための送達ビヒクルまたは担体のよく知られた例である。また、大抵より大きい有毒性を犠牲にするが、ジメチルスルホキシドのような特定の有機溶媒を使用してもよい。加えて、化合物は、治療剤を含有する固形疎水性ポリマーの半浸透性マトリックスのような徐放システムを用いて送達することができる。様々な徐放物質が確立され、当業者によってよく知られている。それらの化学的性質によって、徐放カプセル剤は、2、3週間から100日以上の間、化合物を放出することができる。治療剤の化学的性質および生物学的安定性によって、蛋白質および核酸安定化のさらなる方法を使用することができる。
また、医薬組成物は、適当な固体またはゲル相担体または賦形剤を含むことができる。そのような担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。
本発明の化合物は、医薬上適合性のある対イオンを持つ塩として供することができる。医薬上適合性のある塩は、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、ヨウ化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、臭化水素酸、酢酸、HOOC−(CH2)n−CH3[式中、nは0−4である]等のようなアルカン酸を含むがこれらに限定されるものではない多くの酸で形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性または他のプロトン溶媒中により可溶性である傾向にある。非毒性医薬塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム等のような塩基の塩を含む。当業者は、広範囲な非毒性の医薬上許容される付加塩を認識するだろう。
本発明の化合物の医薬組成物は、全身投与、局在投与または局所投与を含む様々な手段を介して処方され投与され得る。処方および投与のための技術は、"Remington's Pharmaceutical Sciences," Mack Publishing Co., Easton, PA.で見い出すことができる。投与のモードを選択して、体内の所望の標的部位への送達を最大化することができる。例えば、投与の適当な経路は、経口、直腸、経粘膜、経皮、または腸投与;筋肉内、皮下、髄内注入を含む非経口送達、ならびにくも膜下腔内、直接的脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注入を含んでいてもよい。
別法として、例えば、特定の組織への直接的な、しばしば持続性薬剤または徐放処方の化合物の注入を介して、全身様式よりも局所様式で、化合物を投与してもよい。
本発明での使用に適した医薬組成物は、活性化合物が有効量中に含有されて、その意図される目的を達成する組成を含む。より具体的には、治療上有効量は、治療される対象の存在する症状の発達を予防するまたは緩和するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書中で提供される詳細な開示に鑑みて、十分、当業者の能力内である。
本発明の方法で使用されるいずれかの化合物につき、治療上有効な用量は、最初は、本明細書中に開示されるように、細胞培養アッセイから予測できる。例えば、用量を動物モデルにおいて処方して、細胞培養物において決定されるように、EC50を含む循環濃度範囲(50%増加につき効果的な用量)、つまり、腫瘍細胞成長の半最大阻害を達成するテスト化合物の濃度を達成することができる。そのような情報を使用して、より正確に、ヒトにおける有用な用量を決定することができる。
しかしながら、いずれかの特定の患者に対する特異的用量レベルは、使用される特異的化合物の活性、年齢、体重、一般的健康、性別、食事、投与の時間、投与の経路、および排出の割合、薬物の組合せ、治療下にある特定の病気の重症度および処方する医師の判断を含む様々な要因によって決定されるであろう。
本発明の好ましい化合物は、特定の薬理学的特性を有するであろう。そのような特質は、経口生物学的利用能、低毒性、低血清蛋白質結合および所望のイン・ビトロおよびイン・ビボ半減期を含むが、これらに限定されるものではない。アッセイを使用して、これらの所望の薬理学的特性を予測することができる。生物学的利用能を予測するのに使用されるアッセイは、Caco−2細胞単層を含むヒト腸細胞単層を横切る輸送を含む。血清蛋白質結合は、アルブミン結合アッセイから予測できる。そのようなアッセイは、Oravcovaら (1996, J. Chromat. B 677: 1-27)による概説に記載されている。化合物半減期は、化合物の用量の頻度に反比例する。化合物のイン・ビトロ半減期は、KuhnzおよびGieschen (1998, DRUG METABOLISM AND DISPOSITION, Vol. 26, pp. 1120-1127)によって記載されるように、ミクロソーム半減期のアッセイから予測できる。
そのような化合物の有毒性および治療的効果は、例えば、LD50(集団の50%に致命的な用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するための細胞培養物または実験動物における標準の医薬手順によって決定できる。有毒および治療効果の間の用量割合は、治療指数であり、それはLD50およびED50の間の割合として表現できる。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。これらの細胞培養物アッセイおよび動物研究から得られたデータを、ヒトにおける使用につき、用量の範囲を明確にするのに使用できる。そのような化合物の用量は、好ましくは、ほとんど毒性を持っていないかあるいは全く毒性を持っていないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、使用される用量形態および使用される投与の経路によって、この範囲内を変動し得る。的確な処方、投与の経路、および用量は、患者の状態に鑑みて、個々の医師によって選択され得る(例えば、Finglら, 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch.1, p.l 参照)。
用量および間隔を、個々に調節して、腫瘍細胞成長阻害効果を維持するのに十分な活性部位の血漿レベルを提供することができる。全身投与のための通常の患者用量は、100−2000mg/日を変動する。患者の体の表面領域の観点から言えば、通常の用量は、50−910mg/m2/日を変動する。通常の平均血漿レベルは、0.1−1000μM内で維持されるべきである。局所投与または選択的摂取の場合、化合物の効果的局所濃度は、血漿濃度に関連していてはならない。
次の実施例は、本発明の特定の好ましい具体例をさらに説明するためのものであって、制限する性質のものではない。
実施例1
ドキソルビシンは、優先的に、新形成的に形質転換された線維芽細胞において分裂死を誘導する。
ドキソルビシン、異なる癌の治療において、証明された臨床用途を持つ一般的に使用される薬物を、例示的化学療法剤として選択して、正常な細胞に優先的にチェックポイント−欠乏ヒト細胞を死滅させる剤の同定につき、本発明の方法の効果を示した。
ドキソルビシンは、優先的に、新形成的に形質転換された線維芽細胞において分裂死を誘導する。
ドキソルビシン、異なる癌の治療において、証明された臨床用途を持つ一般的に使用される薬物を、例示的化学療法剤として選択して、正常な細胞に優先的にチェックポイント−欠乏ヒト細胞を死滅させる剤の同定につき、本発明の方法の効果を示した。
テロメラーゼ−不死化ヒト線維芽細胞の同質遺伝子対をこれらのアッセイに使用した。ヒト線維芽細胞の対のうちの1つを、SV40の初期領域によって形質導入すると、チェックポイント制御衰弱および部分的形質転換が生じた。これらの細胞系統をヒトテロメラーゼ蛋白質構成成分(hTERT)による、または大−T(LT)および小−T(ST)発癌遺伝子をコードするSV40の初期領域とhTERTの組合せによるレトロウィルス性形質導入後に、BJ腫瘍ヒト線維芽細胞(受託番号 CRL-2522, American Type Culture Collection, Manassas, VA)から由来した(Hahnら, 1999, Nature 29: 464-468; Hahnら, 2002, Mol. Cell. Biol. 22: 2111-2123)。hTERTのみで形質導入された細胞系統を、BJ−ENと命名し、hTERTおよびSV40の初期領域で形質導入された系統はBJ−ELBと呼んだ。BJ−ENおよびBJ−ELB細胞系統の両方は、Dr. William Hahn (Massachusetts General Hospital, Boston, MA)によって提供された。これらの細胞系統を、グルタミン、ピルビン酸、ペニシリンおよびストレプトマイシンで補充された10%ウシ胎児血清を有するDMEMおよびMedium199の4:1混合物中で培養した。
hTERT−形質導入BJ線維芽細胞は不死であるが、それらは正常な核型、接触阻害、および柔らかい寒天中で成長できないまたは動物中で腫瘍を形成できないこと、および突然変異RASに応答して老化を経験する能力を含む正常な(非形質転換)細胞の全ての他の特質を維持する(Jiangら, 1999, Nat. Genet. 21: 111-114; Hahnら, 1999, 同上)。LTおよびSTをコードするSV40初期領域の導入は、部分的に形質転換された表現型を生じる(Hahnら,2002,同上)。LTは、網膜芽細胞腫およびp53腫瘍抑制剤経路を無効にし、すなわちほとんどの細胞のチェックポイント制御を無効にする。STは、蛋白質ホスファターゼ2Aを撹乱させ、これは細胞増殖および付着独立性成長を刺激する(Hahnら, 2002, 同上)。
BJ−ENおよびBJ−ELB細胞系統の成長率を、薬物の不存在下で、25,000細胞/ウェルの濃度にて、6−ウェルプレートに細胞を置くことによって比較し、コールター・カウンターを用いて、結果の日に細胞数を決定した。図3Aに示されるように、非形質転換BJ−EN細胞は、部分的に形質転換されたBJ−ELB細胞よりずっとゆっくりと成長する。次いで、これらの細胞系統における細胞成長に対する異なる濃度のドキソルビシンへの3日間暴露の効果を決定した。図3Bに示されるように、非形質転換BJ−EN細胞は、(最小薬物用量を除いて)BJ−ELB細胞よりもドキソルビシンに対してより耐性があり、これはドキソルビシンがこのシステムにおいて形質転換細胞特異性を示すことを指す。特異的細胞応答の比較分析につき、30nMの濃度のドキソルビシンを選択し、これは両方の細胞系統において、ほぼ同等の成長阻害効果を有した(図3B)。
比較アッセイにおいて、同等数の細胞をプレートし、次の日、ドキソルビシンを最終濃度の30nMに添加した。細胞を、この濃度にて、3日間、ドキソルビシンで培養し、次いで、さらに3日間、薬物無しの培地に移した。図4Cは、この実験の経過にわたる絶対細胞数の変化を示す。非形質転換BJ−EN細胞は、ドキソルビシン処理の間、細胞数において実質的に変化を全く見せず、これは不死化であるが細胞周期非撹乱細胞に対する薬物の細胞分裂停止効果を示し;BJ−EN細胞数は、薬物からの放出後3日間にわたり、有意には変化しなかった。対照的に、BJ−ELB細胞は、ドキソルビシンの第1日に、数を増加させ、これは続く成長を生じる非効率的な細胞周期抑止を示し、しかし放出後3日目までに(3dR)、この細胞系統の細胞数は、最終的に、ドキソルビシン添加時(d0)と同一の値まで減少し、これは細胞死滅を示す(図3C)。
ドキソルビシンに対する異なる細胞の応答の形態学的評価のために、各時点での細胞の1分割量を、Dimriら(1985, 同上)に記載のように、老化マーカーSA−β−galにつき染色し、もう1つの分割量を、メタノール/酢酸で固定し、蛍光顕微鏡分析につき、DAPI(DNA−特異的蛍光色素)で染色した。老化(SA−β−gal陽性)細胞のパーセンテージは、両方の細胞系統において同様の増加を示し(図3D)、これはSV40初期領域によって生成された形質転換関連の変化が薬物処理に対する老化応答を有意に改変しなかったことを示す。
他方で、DAPI染色細胞の分析は、非形質転換BJ−EN細胞に相対的に部分的に形質転換されたBJ−ELBにおいて、複数の微小核を持つ細胞の画分の大きな増加を示し、これは細胞死を示す。放出後2日目、微小核細胞画分は、BJ−EN細胞において1.7%であったが、BJ−ELB細胞においては26.4%であった。アポトーシスの形態を持つ細胞(凝縮かつ損傷クロマチンを持つ縮んだ細胞)の画分は、微小核細胞の画分ほど高くはなかったが、それもまたBJ−EN(0.9%)においてよりも、BJ−ELB(6.6%)においてより高かった。上記に示すように、ドキソルビシン処理細胞におけるアポトーシスもまた、分裂死の結果である可能性が高い。従って、ドキソルビシン誘導分裂死は、チェックポイント−欠乏形質転換細胞においてよりも、正常な細胞においてずっとより稀である。
形質転換細胞系統における増加された分裂死の原因を同定するために、DAPI−染色細胞の蛍光顕微鏡観察を使用して、実験の異なる時点での分裂細胞のパーセンテージ(分裂指数、MI)を決定した。図3Eに示されるように、ドキソルビシンを添加すると、正常なBJ−EN細胞において分裂の即時かつ完全な停止が生じた。対照的に、有糸分裂はBJ−ELB細胞では部分的に阻害されるだけであった。MI値は、放出後2日目にBJ−ELB細胞において急激に増加した(次の日に急に減少した)が、有糸分裂の回収は、BJ−EN細胞においてはそれほど明白ではなかった(図3E)。特に、薬物からの放出後第2日目、BJ−EN細胞のMIは0.4%にすぎなかったが、BJ−ELBのMIは8.0%まで上昇した。
上記結果は、部分的に形質転換された細胞における分裂死のより高い率は、少なくともある程度は、ドキソルビシン処理の間およびその後に有糸分裂に進入するそのような細胞のより高い画分から生じることを示す。増加された分裂死のさらなる理由は、薬物からの放出後に、有糸分裂に進入するBJ−ENおよびBJ−ELBの間の有糸分裂の「質制御」の差であろう。この問題を解決するため、DAPI−染色細胞の蛍光顕微鏡観察を使用して、ドキソルビシンからの放出後2日目に、これらの細胞系統において正常および異常な有糸分裂像の割合を比較した。非形質転換BJ−EN細胞は60%正常および40%異常な有糸分裂像を示し、一方、BJ−ELB細胞系統において8%のみが正常に見受けられた。2つの細胞系統の有糸分裂像の例は、図4に供される。特徴的に、BJ−EN細胞における有糸分裂像の29%は分裂中期および分裂終期である一方、BJ−ELB細胞系統における有糸分裂の1%のみが分裂後期または分裂終期を表した。従って、部分的に形質転換および非形質転換細胞系統は、ドキソルビシンからの放出後の有糸分裂の割合だけでなく、質においても異なった。
すなわち、老化ではなく、分裂死(およびその結果のアポトーシス)が、ドキソルビシン処理後、正常な細胞に優先的に形質転換細胞において誘導される。これらの結果は、臨床的に有用な抗癌剤(ドキソルビシン)が、正常な細胞に優先的に形質転換細胞において分裂死を誘導するという直接的証明を提供する。従って、腫瘍細胞において分裂死を誘導する能力につき、化合物をスクリーニングすることは、新しい抗癌薬物の同定への有用なアプローチである。
実施例2
分裂指数の決定および分裂死の実証
分裂指数および分裂死の発生率を、次の通り、分裂細胞特異的抗体(MCSA)を用いて決定した。3つの異なるMCSAを、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を用いて、DNA含有量のためのヨウ化プロピジウム(PI)染色と結合したMCSAによる免疫蛍光に基づき比較した。この手順において、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、同等容量の70%エタノール(氷上)で固定し、MCSAを含有する1%BSA−PBSの小容量中で再懸濁し、室温にて1時間インキュベートし、次いで洗浄し、二次(蛍光標識)抗体と結合させた。テストされたMCSAは、MPM2(Upstate Biotechnology, カタログ番号05-368から入手可能)および先に特徴付けられたTG3(Andersonら, 1998, Exp. Cell Res. 238: 498-502)および非公開のGF7抗体を含むDr. P. Davies (Albert Einstein College of Medicine)によって提供された2つの抗体を含んだ。抗体を結合させG2/M DNA含有量を有する指数関数的に成長する(非処理)HT1080細胞の画分は、GF7につき2.42±0.29%であり、MPM2につき2.27±0.71%であり、TG3につき1.76±0.57%であった。
分裂指数の決定および分裂死の実証
分裂指数および分裂死の発生率を、次の通り、分裂細胞特異的抗体(MCSA)を用いて決定した。3つの異なるMCSAを、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を用いて、DNA含有量のためのヨウ化プロピジウム(PI)染色と結合したMCSAによる免疫蛍光に基づき比較した。この手順において、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、同等容量の70%エタノール(氷上)で固定し、MCSAを含有する1%BSA−PBSの小容量中で再懸濁し、室温にて1時間インキュベートし、次いで洗浄し、二次(蛍光標識)抗体と結合させた。テストされたMCSAは、MPM2(Upstate Biotechnology, カタログ番号05-368から入手可能)および先に特徴付けられたTG3(Andersonら, 1998, Exp. Cell Res. 238: 498-502)および非公開のGF7抗体を含むDr. P. Davies (Albert Einstein College of Medicine)によって提供された2つの抗体を含んだ。抗体を結合させG2/M DNA含有量を有する指数関数的に成長する(非処理)HT1080細胞の画分は、GF7につき2.42±0.29%であり、MPM2につき2.27±0.71%であり、TG3につき1.76±0.57%であった。
MIの増加および減少の両方を検出するためのMCSAの用途は、図5Aおよび図5Bの実験によって説明される。GF7/PI染色細胞のFACS分析を使用して、異なる細胞周期チェックポイント完全性状態を持つHT1080線維肉腫細胞のMIの放射線誘導変化を分析した。次の細胞をこれらのアッセイにおいて使用した:機能的G1およびG2チェックポイントを有する野生型HT1080細胞;G1チェックポイントを抑止し、G2チェックポイントを弱めるp53の遺伝的阻害剤であるGSE56で形質導入されたHT1080細胞;およびG2チェックポイントを抑止する4mMカフェインで処理された細胞。非処理細胞および照射細胞の代表的染色を図5Aに示す。GSE56またはカフェインの存在下および不在下での照射HT1080細胞のMIの変化の経時変化を、図2Bに示す(図5Bの各点は3連のアッセイを表す)。カフェインの不在下での照射後すぐに、野生型HT1080細胞は、ほぼ0までのMIの一時的減少を示し、G2チェックポイント活性化を反映した。また、GSE56形質導入細胞は、GSEのG2チェックポイントに対する効果によって、野生型細胞ほど完全ではないにも拘わらず、MIの低下を示した。しかしながら、カフェインの存在下では、MIは減少しなかったが、野生型HT1080細胞において2倍近く、およびGSE56形質導入細胞において3倍まで増加した。これらの結果は、MIのMCSAベースのFACS測定が、異なる状況下で処理された細胞のMIの増加または減少のいずれかを測定するための高感度技術であることを示した。
スクリーニング手順を単純化するために、二次抗体を使用する代わりに、MCSAを、例えば、Molecular Probes(http://www.probes.com/products/zenon/)からのZenonキットを用いて、直接的に標識することが可能である。Zenon技術は、主要な抗体のFc領域に対する二次抗体の染色−または酵素−標識Fab断片を持つ主要な抗体の複合化に基づく。Zenon標識条件を、Zenon手順に記載のように、MCSAに最適化し、異なる蛍光色素とコンジュゲートされたZenon Fab断片をテストし、最適な検出につき比較する。スクリーニングにつき、細胞を、(MultiScreen−FLのような)検出可能なトレーを持つMillipore MultiScreen96−ウェルフィルタープレート内で成長させ、ここに、細胞を様々な溶液で継続的にインキュベートし、真空ろ過によって、同一のプレート内で濯ぐことができる。Millipore技術文献(http://www.millipore.com/publications.nsf/docs/PS1005EN00)によれば、MultiScreen−FLフィルタープレートは同様の免疫染色手順に適していることが分かった。MultiScreenフィルタープレートの利点の1つは、真空ろ過によるポリカルボネートフィルターへの細胞の最初の収集が、結合細胞および浮揚細胞を組合せ、すなわち偶然分離された分裂細胞の喪失を避けるということである。Millipore手順に始まり、トリプシン処理、固定、濯ぎおよび抗体標識手順を、この設定において最適化し、免疫蛍光標識に必要な工程の最小数および持続期間を確立する。別法として、スクリーニングの工程における抗体染色および洗浄を、Zymark Cell Stationのような自動ロボットシステムを用いて実施してもよい。
FACS分析につき、抗体標識細胞を、100μg/mL RNAseおよび5μg/mL PIを含有する50μL PBS中に懸濁し、37℃にて15−30分間インキュベートする。次いで、同一のプレートを、Becton Dickinson(BD)Multiwell AutoSamplerに入れる(BDによれば、50μLはAutoSamplerに適切な試料容量である)。細胞懸濁液を、自動的に取り込み、BD FACSCaliburのようなFACSシステムにおいて分析する。BDによれば、このシステムに対する96−ウェルプレートの処理時間は、最適な細胞濃度にて14分である。データを記録し、BD FACStationデータ管理システムを用いて分析する。FACS分析は、細胞の総数、処理集団における細胞周期分布、アポトーシス(サブ−G1)細胞の画分、およびG2 DNA含有量を持つMCSA+細胞の画分(MIの測定)を提供する。
そのようなアッセイを用いて、分裂指数の決定および分裂死の検出を、化合物の高速、高スループットスクリーニングにつき使用して、腫瘍細胞に対して特異性を持つ抗癌剤を検出することが可能である。
前記開示は本発明の特定の具体例を重視し、それへの全ての修飾または同等の別法は、添付の請求の範囲記載のように、本発明の精神および範囲内であることは理解されるべきである。本明細書中に引用された全ての引用文献は、その全文において、引用によって組み込まれる。
Claims (27)
- 腫瘍−特異的細胞死滅を誘導する化合物を同定するための方法であって、
a)癌細胞の培養物をテスト化合物と接触させ;
b)処理細胞における有糸分裂像形態を評価することによって、あるいは2またはそれ以上の微小核を有する間期細胞を検出することによって、分裂死の誘導を検出し;
c)腫瘍−特異的細胞死滅の誘導物質として、分裂死を誘導する化合物を同定する工程を含む該方法。 - テスト化合物が細胞と接触後に培養物から除去され、工程(b)の分裂死の誘導を検出する前に、細胞がテスト化合物の不在下で培養される請求項1記載の方法。
- 工程(c)で同定された化合物を、非−癌細胞と接触させ、該非−癌細胞における細胞死滅の誘導につきアッセイし、ここに該非−癌細胞において細胞死滅を誘導しない化合物、あるいは癌細胞においてよりも低い程度または度合いまで、該非−癌細胞において細胞死滅を誘導する化合物を同定する請求項1記載の方法。
- 癌細胞において分裂死または老化を誘導する化合物を同定する方法であって:
a)癌細胞の培養物を、細胞成長抑止を誘導するのに十分な時間および化合物濃度にて、化合物と接触させ;
b)処理細胞の一部をアッセイして、処理細胞において分裂指数の減少を検出し;
c)化合物を除去し、回復期に細胞を、細胞が細胞周期に再び入るのに十分な時間培養し;
d)回復された細胞の一部をアッセイして、回復された細胞の分裂指数の増加を検出し;
e)老化の誘導につき、非処理細胞においてよりも小さい分裂指数を生じる化合物を、老化マーカーの生産または該細胞において長期間成長抑止を検出することによってアッセイし;
f)処理細胞および回復された細胞において分裂指数の形態を評価することによって、あるいは2またはそれ以上の微小核を持つ間期細胞の出現を検出することによって、分裂死につき、非処理細胞と同程度またはそれより大きい分裂指数を生じる化合物をアッセイし;次いで
g)癌細胞における老化−誘導化合物として、分裂指数および老化マーカーの小さな増加または長期間成長抑止を誘導する化合物を同定し、癌細胞において分裂死を誘導する化合物として、細胞において異常有糸分裂像または微小核を誘導する化合物を同定する工程を含む該方法。 - 細胞がヒト癌細胞である請求項4記載の方法。
- 細胞が固形腫瘍細胞である請求項4記載の方法。
- 細胞がHT1080細胞である請求項4記載の方法。
- 細胞を、少なくとも3時間、工程(a)の化合物と接触させる請求項4記載の方法。
- 工程(b)において細胞をアッセイして、処理細胞の一部を分裂−特異的試薬で染色することによって、分裂指数の減少を検出する請求項4記載の方法。
- 分裂−特異的試薬が分裂細胞−特異的抗体である請求項9記載の方法。
- 細胞が顕微鏡観察によってアッセイされる請求項9記載の方法。
- 細胞が蛍光活性化細胞ソーティングによってアッセイされる請求項9記載の方法。
- 細胞を工程(d)においてアッセイして、回復された細胞の一部を分裂−特異的試薬で染色することによって、分裂指数の増加を検出する請求項4記載の方法。
- 分裂−特異的試薬が、分裂細胞−特異的抗体である請求項13記載の方法。
- 細胞が顕微鏡観察によってアッセイされる請求項13記載の方法。
- 細胞が蛍光活性化細胞ソーティングによってアッセイされる請求項13記載の方法。
- 工程(e)においてアッセイされた老化マーカーが老化関連ベータガラクトシダーゼ(SA−β−gal)である請求項4記載の方法。
- 分裂形態が、DNA−特異的検出試薬を用いてアッセイされる請求項4記載の方法。
- 細胞が顕微鏡観察によってアッセイされる請求項18記載の方法。
- 染色体形態が、H2B−GFP融合蛋白質を用いてアッセイされる請求項4記載の方法。
- 腫瘍細胞成長を阻害するための方法であって、腫瘍細胞を癌細胞において分裂死を誘導する有効量の化合物と接触させる工程を含み、ここに該化合物が請求項1または4記載の方法によって同定される該方法。
- 異常細胞増殖または腫瘍細胞成長に関連する病気または状態を治療するための方法であって、腫瘍細胞を癌細胞において分裂死を誘導する有効量の化合物と接触させる工程を含み、ここに該化合物が請求項1または4記載の方法によって同定される該方法。
- 化合物が請求項1または4記載の方法によって同定される癌細胞において分裂死を誘導する該化合物。
- 癌細胞において老化を誘導するための方法であって、腫瘍細胞を請求項4記載の方法の工程(g)で同定された有効量の化合物と接触させる工程を含む該方法。
- 異常細胞増殖または腫瘍細胞成長に関連する病気または状態を治療するための方法であって、腫瘍細胞を癌細胞において老化を誘導する有効量の化合物と接触させる工程を含み、ここに該化合物が請求項4記載の方法の工程(g)で同定される該方法。
- 化合物が請求項4記載の方法の工程(g)で同定される癌細胞の老化を誘導する該化合物。
- 分裂死の誘導物質として工程(g)で同定された化合物を、非−癌細胞と接触させ、該非−癌細胞において細胞死滅につきアッセイし、ここに該非−癌細胞において細胞死滅を誘導しない化合物、または癌細胞においてよりも低い程度または度合いまで、該非−癌細胞において細胞死滅を誘導する化合物が同定される請求項4記載の方法。
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