JP7050175B2 - 医療機器 - Google Patents

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    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/09Guide wires

Description

本発明は、中空コイル、ダイレータ、および、ガイドワイヤに関する。
従来から、金属製の素線を巻回して形成された中空コイルを備える医療用のガイドワイヤが知られている。例えば、特許文献1には、コアシャフトの先端側に中空コイルが取り付けられたガイドワイヤが開示されている。
特表2003-505116号公報
このようなガイドワイヤは、例えば、血管病変部の拡径治療において、血管内に挿入され、ガイドワイヤの先端が血管病変部に到達するまで血管内を押し進められる。このとき、曲がりくねった複雑な経路の血管内や分岐血管部でガイドワイヤが折れ曲がるキンクと呼ばれる現象が発生する場合がある。特に、ガイドワイヤに取り付けられた中空コイルに、コイル外径が変化するテーパー部が設けられている場合、テーパー部付近において中空コイルの曲げ剛性が大きく変化する剛性ギャップが生じやすく、その部分に応力が集中してキンクが発生しやすい問題があった。なお、このような問題は、中空コイルを備えたガイドワイヤに限定されず、ダイレータ、カテーテル、内視鏡など人体の血管や消化器官に挿入される医療機器で中空コイルを備えたものにおいて同様に生じる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、医療機器に取り付けられた中空コイルのテーパー部付近において、キンクの発生を抑制する技術の提供を目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態は、中空コイルを備える医療機器であって、前記中空コイルは、前記医療機器の基端側から前記医療機器の先端側に向かってコイル外径が小さくなるテーパー部と、前記テーパー部と、前記中空コイルの前記先端側の端部との間に設けられ、コイル外径が一定の第1定径部と、を有しており、前記テーパー部は、隣接する素線が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻となっており(隣接する素線が互いに接触しない程度に疎に巻かれた疎巻のテーパー部が圧縮されて、前記密巻となった場合を除く)、前記基端側から前記先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。
このような形態であれば、テーパー部は、一方の端部側から他方の端部側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されているため、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップが生じにくい。よって、この中空コイルを用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
その他、本発明は、以下のような形態として実現することも可能である。
(1)本発明の一形態によれば、中空コイルが提供される。この中空コイルは、前記中空コイルの一方の端部側から他方の端部側に向かってコイル外径が小さくなるテーパー部を有しており、前記テーパー部は、前記一方の端部側から前記他方の端部側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。
この構成によれば、テーパー部は、一方の端部側から他方の端部側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されているため、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップが生じにくい。よって、この中空コイルを用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
(2)上記形態の中空コイルにおいて、前記テーパー部における前記コイル外径の減少度は、前記テーパー部の少なくとも一部の区間において曲げ剛性が線形変化するように設定されていてもよい。この構成によれば、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップをさらに生じにくくすることができる。この中空コイルを用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中することによるキンクの発生をさらに抑制できる。
(3)上記形態の中空コイルは、さらに、前記テーパー部と、前記中空コイルの前記一方の端部との間に、コイル外径が一定の定径部を有していてもよい。この構成によれば、テーパー部と中空コイルの他方の端部との間において剛性ギャップが生じにくい。そのため、この中空コイルを用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、テーパー部と中空コイルの他方の端部との間において、応力が集中することによるキンクの発生を抑制できる。
(4)上記形態の中空コイルにおいて、前記テーパー部は、外径が一定の素線によって形成されていてもよい。この構成によれば、素線径の変化による曲げ剛性の変化を抑制できるため、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップをさらに生じにくくすることができる。この中空コイルを用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中することによるキンクの発生をさらに抑制できる。
(5)本発明の他の一形態によれば、ダイレータが提供される。このダイレータは、上記形態の中空コイルと、前記中空コイルの基端に接続されるコネクタと、を備える。この構成によれば、中空コイルのテーパー部は、一方の端部側から他方の端部側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されているため、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップが生じにくい。よって、ダイレータを人体の血管に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
(6)本発明の他の一形態によれば、ガイドワイヤが提供される。このガイドワイヤは、上記形態の中空コイルと、少なくとも一部が前記中空コイルの内側に配置されるコアシャフトと、前記コアシャフトの先端と、前記中空コイルの先端とが接合される先端接合部と、前記コアシャフトと、前記中空コイルの基端とが接合される基端接合部と、を備える。この構成によれば、中空コイルのテーパー部は、一方の端部側から他方の端部側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されているため、テーパー部付近において曲げ剛性の剛性ギャップが生じにくい。よって、ガイドワイヤを人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイルのテーパー部付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、中空コイルを備える内視鏡、中空コイルの製造装置、中空コイルの製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態の中空コイルの全体構成を例示した説明図である。 中空コイルにおける図1のA-A断面を例示した図である。 テーパー部の詳細構成を例示した説明図である。 比較例の中空コイルの形状を説明するための図である。 比較例の中空コイルのコイルピッチ、1ピッチあたりの素線長さ、1ピッチあたりの素線長さの逆数を説明するための図である。 比較例の中空コイルの曲げ剛性を説明するための図である。 本実施形態の中空コイルの形状を説明するための図である。 本実施形態の中空コイルのコイルピッチ、1ピッチあたりの素線長さ、1ピッチあたりの素線長さの逆数を説明するための図である。 本実施形態の中空コイルの曲げ剛性を説明するための図である。 曲げ試験に用いた中空コイルのサンプルの構成を例示した説明図である。 曲げ試験の試験方法を説明するための図である。 ピッチ広げ率と実測曲げ剛性との関係を示した図である。 単位長さあたりの素線長さと実測曲げ剛性との関係を示した図である。 第2実施形態のダイレータの全体構成を例示した説明図である。 第3実施形態のダイレータの全体構成を例示した説明図である。 第4実施形態のガイドワイヤの全体構成を例示した説明図である。 第5実施形態のガイドワイヤの全体構成を例示した説明図である。 第6実施形態のガイドワイヤの全体構成を例示した説明図である。 第7実施形態の中空コイルの部分構成を例示した説明図である。 第8実施形態の中空コイルの部分構成を例示した説明図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の中空コイル1の全体構成を例示した説明図である。図2は、中空コイル1における図1のA-A断面を例示した図である。中空コイル1は、例えば、ダイレータや、ガイドワイヤ、カテーテル、内視鏡などの医療機器の一部に用いられる螺旋構造体であり、中空で略円筒形状の外形を有している。以下では、図1の左側(先端側開口部17側)を中空コイル1の「先端側」と呼び、図1の右側(基端側開口部19側)を中空コイル1の「基端側」と呼ぶ。
図1に示すように、中空コイル1は、基端側が太径で先端側が細径とされた先細りした長尺形状の外径を有しており、先端側から基端側に向かって順に、細径部11と、テーパー部12と、太径部13とを有している。中空コイル1は、図1および図2に示すように、10本の金属の素線15(第1素線15a、第2素線15b、第3素線15c、第4素線15d、第5素線15e、第6素線15f、第7素線15g、第8素線15h、第9素線15i、第10素線15j)を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には、内腔16が形成されている。図1に示すように、中空コイル1の先端には、内腔16と連通する先端側開口部17が形成され、中空コイル1の基端には、内腔16と連通する基端側開口部19が形成されている。中空コイル1の長さについては特に限定されないが、例えば、1mm~3000mmの範囲を例示することができる。
細径部11は、中空コイル1においてコイル外径が最小となる円筒中空形状の部位であり、中空コイル1の先端から基端側に向かってコイルピッチおよびコイル外径が一定となっている。細径部11のコイルピッチについては、特に限定されないが、ここでは、隣接する素線15が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻きとなっている。細径部11のコイル外径については、特に限定されないが、例えば、0.1mm~2.0mmの範囲を例示することができる。細径部11の長さについても特に限定はないが、例えば、0.1mm~500mmの範囲を例示することができる。
テーパー部12は、細径部11と太径部13の間に形成されたテーパー中空形状の部位であり、基端側から先端側に向かってコイル外径が小さくなっている。テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイルピッチが大きくなるように形成されている。すなわち、テーパー部12のコイルピッチは、コイル外径が小さくなるにつれて大きくなる。テーパー部12は、隣接する素線15が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻きとなっている。テーパー部12の基端側のコイルピッチは、太径部13のコイルピッチとほぼ等しく、テーパー部12の先端側のコイルピッチは、細径部11のコイルピッチとほぼ等しい。テーパー部12の長さについては、特に限定はないが、例えば、0.1mm~100mmの範囲を例示することができる。テーパー部12の詳細構成については、図3を用いて後述する。
太径部13は、中空コイル1においてコイル外径が最大となる円筒中空形状の部位であり、中空コイル1の基端から先端側に向かってコイルピッチおよびコイル外径が一定となっている。太径部13のコイルピッチは、細径部11のコイルピッチよりも小さい。太径部13のコイルピッチについては、特に限定されないが、ここでは、隣接する素線15が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻きとなっている。太径部13のコイル外径については、特に限定されないが、例えば、0.2mm~3.0mmの範囲を例示することができる。太径部13の長さについても特に限定はないが、例えば、1mm~3000mmの範囲を例示することができる。
素線15は、中実円形断面のワイヤ部材であり、金属材料により形成されている。金属材料としては、例えば、ステンレス合金(SUS304、SUS316等)を採用できる。素線15の外径(素線径)は、細径部11、テーパー部12、太径部13のいずれにおいても変わらず一定となっている。素線15の素線径については、特に限定はないが、例えば、0.01mm~3mmの範囲を例示することができる。
図3は、テーパー部12の詳細構成を例示した説明図である。ここでは、テーパー部12を中空コイル1の軸線方向に沿って等間隔に5つに分割し、基端側から先端側に向かって順に「第1区間N1」、「第2区間N2」、「第3区間N3」、「第4区間N4」、「第5区間N5」と呼ぶ。また、第1区間N1の基端(P0地点)におけるテーパー部12のコイル外径をD0、第1区間N1と第2区間N2との境界(P1地点)におけるコイル外径をD1、第2区間N2と第3区間N3との境界(P2地点)におけるコイル外径をD2、第3区間N3と第4区間N4との境界(P3地点)におけるコイル外径をD3、第4区間N4と第5区間N5との境界(P4地点)におけるコイル外径をD4、第5区間N5の先端(P5地点)におけるコイル外径をD5と呼ぶ。図3には、各コイル外径D0~D5の上端同士および下端同士をつなぐ仮想線IMLが示されている。
本実施形態の中空コイル1のテーパー部12は、コイル外径が相対的に大きい側(基端側)からコイル外径が相対的に小さい側(先端側)に向かってコイル外径が順に小さくなっている。すなわち、コイル外径D0~D5が、D0>D1>D2>D3>D4>D5となるように構成されている。なお、本実施形態では、テーパー部12の構成を説明するための一例として、テーパー部12を等間隔に5つに分割したが、テーパー部12を5以外の数で等間隔に分割した場合であっても、各区間のコイル外径が、基端側から先端側に向かうにつれて小さくなっていればよい。
さらに、ここでは、第1区間N1(P0地点からP1地点までの間)におけるコイル外径の減少量(コイル外径D0-コイル外径D1)をA1、第2区間N2(P1地点からP2地点までの間)におけるコイル外径の減少量(コイル外径D1-コイル外径D2)をA2、第3区間N3(P2地点からP3地点までの間)におけるコイル外径の減少量(コイル外径D2-コイル外径D3)をA3、第4区間N4(P3地点からP4地点までの間)におけるコイル外径の減少量(コイル外径D3-コイル外径D4)をA4、第5区間N5(P4地点からP5地点までの間)におけるコイル外径の減少量(コイル外径D4-コイル外径D5)をA5とする。
本実施形態の中空コイル1のテーパー部12は、コイル外径が相対的に大きい側(基端側)からコイル外径が相対的に小さい側(先端側)に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。すなわち、コイル外径の減少量A1~A5が、A1>A2>A3>A4>A5となるように構成されている。上述のように、本実施形態では、テーパー部12の構成を説明するための一例として、テーパー部12を等間隔に5つに分割したが、テーパー部12を5以外の数で等間隔に分割した場合であっても、各区間のコイル外径の減少度が、基端側から先端側に向かうにつれて小さくなっていればよい。
本実施形態のテーパー部12において、コイル外径が相対的に大きい側(基端側)からコイル外径が相対的に小さい側(先端側)に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されているため、テーパー部12付近における中空コイル1の曲げ剛性の変化量を一定に近づけることができる。この理由については以下で説明する。
<中空コイルの曲げ剛性>
中空コイルは複数の素線を束ねたものと考えることができる。従って、中空コイルの曲げ剛性EIは、中空コイルを構成する素線の条数N[本]と素線の断面二次モーメントIに比例する。丸形断面を有する素線の断面二次モーメントIは、下記の式(1)によって表すことができる。
=π・d/64 ・・・(1)
ここで、dは素線径[mm]を表す。
中空コイルの曲げ剛性EIは、上述したようにコイルを構成する素線の条数Nに比例し、さらに、式(1)から、素線径dの4乗に比例することがわかる。一方、本件発明者らは、後述する中空コイルの曲げ試験によって、中空コイルの実測の曲げ剛性EIは、中空コイルの軸線方向の単位長さあたりの素線長さM[mm]に反比例することを見いだした。すなわち、本件発明者らは、中空コイルの曲げ剛性EIが下記の式(2)で表せることを見いだした。
EI=α・d・N/M ・・・(2)
ここで、αは係数を表し、dは素線径[mm]を表し、Nは素線の条数[本]を表し、Mはコイルの単位長さあたりの素線長さを表す。
コイルの単位長さあたりの素線長さMは、コイルピッチP[mm]と、1ピッチあたりの素線長さR[mm]を用いて下記の式(3)で表すことができる。
M=R/P ・・・(3)
式(2)と式(3)から、中空コイルの曲げ剛性EIは、下記の式(4)で表すことができる。
EI=β・d・N・P/R ・・・(4)
ここで、βは係数を表し、dは素線径を表し、Nは条数を表し、Pはコイルピッチを表し、Rは1ピッチあたりの素線長さを表す。
コイルピッチPは、複数の素線から成る中空コイルにおいて、軸線方向における同一素線間の距離(1ピッチの大きさ)である。1ピッチあたりの素線長さRは、中空コイルを構成する1本の素線が中空コイルの周方向に沿って巻き回されて1ピッチを形成するのに必要な長さである。
<テーパー部の曲げ剛性>
図4~9を用いて、中空コイルのテーパー部の曲げ剛性について説明する。ここでは、テーパー部の形状が異なる2種類の中空コイルの曲げ剛性の違いからテーパー部の形状と曲げ剛性との関係について説明する。2種類の中空コイルのうちの一方は、本実施形態の中空コイルであり、他方は、比較例としての中空コイルである。
一方の中空コイル(本実施形態の中空コイル)は、金属材料から成る複数の素線を、先端側の細径部、基端側の太径部、及び細径部と太径部の間のテーパー部を有する第1の芯金に螺旋状に巻回し、その後、芯金を抜去することにより形成された中空コイルである。他方の中空コイル(比較例の中空コイル)は、金属材料から成る複数の素線を、先端側の細径部、基端側の太径部、及び細径部と太径部の間のテーパー部を有する第2の芯金に、一方の中空コイルの場合と同じ巻回方法で螺旋状に巻回し、その後、芯金を抜去することにより形成された中空コイルである。第1の芯金と第2の芯金とはテーパー部の形状のみが異なる。第1の芯金のテーパー部では、その縦断面の形状が、太径部から細径部に向かうに連れて、第1の芯金の軸線に向かって凸の曲線状に小さくなっている。言い換えると、太径部から細径部に向かうに連れて、外径の減少度が小さくなっている。第2の芯金のテーパー部では、その縦断面の形状が、太径部から細径部に向かうに連れて、略直線状に小さくなっている。言い換えると、太径部から細径部に向かって外径の減少度が略一定となっている。
この2つの中空コイルは、テーパー部の形状のみが互いに異なる。即ち、この2つの中空コイルは、素線の材料、素線の条数、素線径、細径部のコイル外径及び内径、細径部のコイルピッチ、太径部のコイル外径及び内径、並びに太径部のコイルピッチが互いに等しい。この2つの中空コイルは、どちらも基端から先端までの素線径が一定であり、どちらも細径部のコイルピッチが太径部のコイルピッチよりも大きい。この2つの中空コイルは、細径部及び太径部では、どちらもコイルピッチが一定であり、テーパー部では、どちらも基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチが大きくなっている。この2つの中空コイルは、基端から先端まで、どちらも隣接する素線が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻きとなっている。一方、この2つの中空コイルは、テーパー部の形状が互いに異なることに起因して、テーパー部のコイルピッチ、及びテーパー部における1ピッチあたりの素線長さが互いに異なっている。
図4は、比較例の中空コイルの形状を説明するための図である。図4の横軸は、比較例の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置のコイル外径を示している。図4に示すように、比較例の中空コイルは、先端側に、コイル外径が相対的に小さい細径部、基端側に、コイル外径が相対的に大きい太径部、細径部と太径部の間に、基端側から先端側に向かってコイル外径が小さくなるテーパー部を備えている。この比較例のテーパー部は、基端側から先端側に向かってコイル外径が略直線状に減少している。言い換えれば、比較例のテーパー部は、コイル外径の減少度が略一定となっている。
図5は、比較例の中空コイルのコイルピッチP(実線)、1ピッチあたりの素線長さR(破線)、及び1ピッチあたりの素線長さの逆数1/R(一点鎖線)を説明するための図である。図5の横軸は、比較例の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置のコイルピッチP、1ピッチあたりの素線長さR、及び1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの大きさを示している。
図5に示すように、比較例の中空コイルは、先端側の細径部及び基端側の太径部では、コイルピッチPが一定であり、細径部のコイルピッチPの方が太径部のコイルピッチPよりも大きい。また、細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPが下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPの増加度が大きくなっている。
図5に示すように、比較例の中空コイルは、先端側の細径部及び基端側の太径部では、1ピッチあたりの素線長さRが一定であり、細径部の1ピッチあたりの素線長さRの方が太径部の1ピッチあたりの素線長さRよりも短い。また、細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さRは略直線状に減少している。これは、1ピッチあたりの素線長さRに対しては、コイル外径の影響の方がコイルピッチPの影響よりも大きい(支配的である)ためである。
図5に示すように、比較例の中空コイルは、先端側の細径部及び基端側の太径部では、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rが一定となり、細径部の1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの方が太径部の1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rよりも大きくなる。細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度が大きくなっている。
図6は、比較例の中空コイルの曲げ剛性を説明するための図である。図6の横軸は、比較例の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置の曲げ剛性を示している。図6に示すように、細径部の曲げ剛性は、太径部の曲げ剛性よりも高くなる。また、テーパー部の曲げ剛性は、反比例の曲線状(双曲線の正側の曲線状)となる。言い換えれば、比較例のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、曲げ剛性の増加度が大きくなっている。比較例の中空コイルの曲げ剛性が図6のようになる理由については後述する。比較例の中空コイルでは、テーパー部の曲げ剛性が反比例の曲線状となっているため、細径部とテーパー部の境界付近において曲げ剛性が急激に変化する剛性ギャップが生じている。中空コイルの曲げ剛性に剛性ギャップが生じていると、中空コイルが外力を受けた際に、剛性ギャップが生じている部分に応力が集中してキンクが発生しやすい。
比較例の中空コイルの曲げ剛性が図6のようになる理由について説明する。上述のように、中空コイルの曲げ剛性EIは、上述の式(4)によって算出することができる。比較例の中空コイルの素線径d、および、条数Nは、コイルの長手方向位置によらず一定である。従って、中空コイルの曲げ剛性EIは、コイルピッチPと1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの積に比例する。図5に示すように、比較例の中空コイルの細径部のコイルピッチPは、太径部のコイルピッチPよりも大きくなる。また、テーパー部のコイルピッチPは、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPの増加度が大きくなる。また、比較例の中空コイルの細径部における1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは、太径部における1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rよりも大きくなる。テーパー部では、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度が大きくなっている。
従って、上述したように、中空コイルの曲げ剛性EIは、コイルピッチPと1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの積に比例することから、比較例の中空コイルでは、図6に示すように、細径部及び太径部の曲げ剛性EIは一定であり、細径部の曲げ剛性EIは、太径部の曲げ剛性EIよりも高くなる。また、テーパー部の曲げ剛性EIは、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、下に凸の曲線状に増加する、即ち、反比例の正側の曲線状(双曲線の正側の曲線状)となる。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、曲げ剛性EIの増加度が大きくなる。
図7は、本実施形態の中空コイルの形状を説明するための図である。図7の横軸は、本実施形態の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置のコイル外径を示している。図7に示すように、本実施形態の中空コイルは、比較例の中空コイルと同様に、先端側にコイル外径が相対的に小さい細径部を備え、基端側にコイル外径が相対的に大きい太径部を備え、細径部と太径部の間に基端側から先端側に向かってコイル外径が小さくなるテーパー部を備えている。本実施形態のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイル外形が中空コイルの軸線に向かって凸の曲線状に減少している。言い換えれば、本実施形態のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイル外径の減少度が小さくなっている。
図8は、本実施形態の中空コイルのコイルピッチP(実線)、1ピッチあたりの素線長さR(破線)、及び1ピッチあたりの素線長さの逆数1/R(一点鎖線)を説明するための図である。図8の横軸は、本実施形態の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置のコイルピッチP、1ピッチあたりの素線長さR、及び1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの大きさを示している。
図8に示すように、本実施形態の中空コイルは、先端側の細径部、基端側の太径部では、コイルピッチPが一定であり、細径部のコイルピッチPの方が太径部のコイルピッチPよりも大きい。また、細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPは略直線状に増加、又は、コイルピッチPは略直線状とみなせる程度に緩やかに下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPの増加度は略一定となっている、又は、コイルピッチPの増加度は略一定とみなせる程度に緩やかに大きくなっている。
図8に示すように、本実施形態の中空コイルは、先端側の細径部及び基端側の太径部では、1ピッチあたりの素線長さRが一定であり、細径部の1ピッチあたりの素線長さRの方が太径部の1ピッチあたりの素線長さRよりも短い。また、細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さRは下に凸の曲線状に減少している。言い換えれば、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さRの減少度が小さくなっている。これは、比較例の中空コイルの場合と同様に、1ピッチあたりの素線長さRに対しては、コイル外径の影響の方がコイルピッチPの影響よりも大きい(支配的である)ためである。
図8に示すように、本実施形態の中空コイルは、先端側の細径部及び基端側の太径部では、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rが一定となり、細径部の1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの方が太径部の1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rよりも大きい。細径部と太径部の間のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは略直線状に増加、又は、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは略直線状とみなせる程度に緩やかに上に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度は略一定となっている、又は、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度は略一定とみなせる程度に緩やかに小さくなっている。
図9は、本実施形態の中空コイルの曲げ剛性を説明するための図である。図9の横軸は、本実施形態の中空コイルの長手方向位置を示しており、縦軸は、その位置の曲げ剛性を示している。比較例の中空コイルと同様に、本実施形態の中空コイルでも、細径部の曲げ剛性は、太径部の曲げ剛性よりも高くなる。一方、比較例の中空コイルと異なり、テーパー部の曲げ剛性は、略線形形状(略直線形状)となる。言い換えれば、本実施形態のテーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、曲げ剛性の増加度が略一定となっている。本実施形態の中空コイルの曲げ剛性が図9のようになる理由については後述する。本実施形態の中空コイルでは、テーパー部の曲げ剛性が略線形形状となっているため(線形変化するため)、細径部とテーパー部の境界付近における曲げ剛性の変化が比較例(図6)よりも緩やかになっている。すなわち、本実施形態の中空コイルによれば、テーパー部を備えていてもテーパー部付近の剛性ギャップの発生が抑制される。これにより、中空コイルが外力を受けた際に応力集中が発生しにくく、キンクの発生を低減できる。
本実施形態の中空コイルの曲げ剛性が図9のようになる理由について説明する。比較例の中空コイルと同様に、本実施形態の中空コイルの曲げ剛性EIは、上述の式(4)によって算出することができる。本実施形態の中空コイルの素線径d、および、条数Nは、コイルの長手方向位置によらず一定である。従って、中空コイルの曲げ剛性EIは、コイルピッチPと1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの積に比例する。図8に示すように、本実施形態の中空コイルでは、比較例の中空コイルと同様に、細径部のコイルピッチPは、太径部のコイルピッチPよりも大きくなる。また、テーパー部のコイルピッチPは、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、略直線状に増加、又は、略直線状とみなせる程度に緩やかに下に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、コイルピッチPの増加度は略一定となっている、又は、コイルピッチPの増加度は略一定とみなせる程度に緩やかに大きくなっている。また、本実施形態の中空コイルの1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは、比較例の中空コイルと同様に、細径部の方が太径部よりも大きくなる。一方、テーパー部では、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rは、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、略直線状に増加、又は、略直線状とみなせる程度に緩やかに上に凸の曲線状に増加している。言い換えれば、テーパー部では、基端側から先端側に向かうに連れて、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度は略一定となっている、又は、1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの増加度は略一定とみなせる程度に緩やかに小さくなっている。
従って、本実施形態の中空コイルでは、コイルピッチPと1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの積は、細径部及び太径部では一定であり、細径部の方が太径部よりも大きくなる。テーパー部では、基端側(太径部側)から先端側(細径部側)に向かうに連れて、略直線状に増加すると考えられる。この結果、上述したように、中空コイルの曲げ剛性EIは、コイルピッチPと1ピッチあたりの素線長さの逆数1/Rの積に比例することから、図9に示すように、本実施形態の中空コイルでは、細径部及び太径部の曲げ剛性EIは一定となり、細径部の曲げ剛性EIは、太径部の曲げ剛性EIよりも高くなる。テーパー部の曲げ剛性EIは、基端側から先端側に向かうに連れて、略直線状に増加する。このように、本実施形態の中空コイルによれば、曲げ剛性を略線形形状にすることができる。なお、本実施形態のテーパー部の曲げ剛性は、概ね線形形状となっていればよく、図9のように、全体が線形形状となっている必要はない。また、例えば、本実施形態において、テーパー部の曲げ剛性が、テーパー部と細径部との境界付近を含む一部のみで線形形状になっている構成としてもよい。これらの場合であっても、テーパー部と細径部との境界付近における剛性ギャップの発生を抑制できる。
<中空コイル曲げ試験>
図10~13を用いて、上述の式(2)のように中空コイルの曲げ剛性EIがコイルの単位長さ辺りの素線長さMに反比例することについて説明する。ここでは、中空コイルの単位長さ辺りの素線長さMと中空コイルの曲げ剛性EIとの関係を明らかにするために、コイルピッチの異なる5つの中空コイルのサンプル1~5に対して曲げ試験をおこなった。
図10は、曲げ試験に用いた中空コイルのサンプル1~5の構成を例示した説明図である。中空コイルのサンプル1~5は、構成が同一の中空コイルに対してコイルピッチをそれぞれ異なる広げ率[%]で広げたものである。すなわち、中空コイルのサンプル1~5は、素線の条数N(ここではN=1)、素線径d、1ピッチあたりの素線長さRが互いに等しく、コイルピッチPのみがそれぞれ異なっている。
サンプル1は、基準とした中空コイルのコイルピッチに対してピッチの広げ率を119%とし、コイル1mmあたりの素線長さを8.755mmとした。サンプル2は、ピッチの広げ率を152%とし、コイル1mmあたりの素線長さを6.856mmとした。サンプル3は、ピッチの広げ率を206%とし、コイル1mmあたりの素線長さを5.058mmとした。サンプル4は、ピッチの広げ率を305%とし、コイル1mmあたりの素線長さを3.415mmとした。サンプル5は、ピッチの広げ率を377%とし、コイル1mmあたりの素線長さを2.755mmとした。
図11は、曲げ試験の試験方法を説明するための図である。2つの支点ST1、ST2の上部にサンプル1~5の中空コイルSAを順にセットし、それぞれのサンプルの中央部に集中荷重Wをかけ、中央部の変位量σを測定した。破線SBは、集中荷重Wをかける前のサンプル1~5の状態を示している。測定した変位量σ、集中荷重W、および、2つの支点ST1、ST2の間の距離(支点間距離)Lを用いてサンプル1~5の曲げ剛性(実測曲げ剛性)EI[N・mm]を算出した。
本曲げ試験のような両端支持梁の中心加重時において、サンプル中央部の変位量σは、集中荷重W、および、支点間距離Lを用いて下記の式(5)によって表すことができる。
σ=W・L/48・EI ・・・(5)
ここで、EIは、サンプルの中空コイルの曲げ剛性を表す。
式(5)から、サンプルの中空コイルの実測曲げ剛性EIは、変位量σ、集中荷重W、および、支点間距離Lを用いて下記の式(6)によって算出することができる。この式(6)を用いて、サンプル1~5の実測曲げ剛性を算出した。
EI=W・L/48・σ ・・・(6)
図12は、サンプル1~5のピッチ広げ率[%]と実測曲げ剛性EIとの関係を示した説明図である。図12の横軸は、各サンプルのピッチ広げ率を示しており、縦軸は、各サンプルの曲げ剛性を示している。図12から、各サンプルの曲げ剛性は、ピッチ広げ率と比例することがわかる。各サンプルのヤング率Eは同じであり、断面二次モーメントIは撚り角の違いによって若干変化するもののほぼ同一である。そのため、ヤング率Eと断面二次モーメントIとの積である理論値としてEIはサンプル1~5のいずれもほぼ同じとなる。一方、図11のように2つの支点ST1とST2との間に配置されたサンプルには、自重によって等分布荷重がかかっている。このとき、ピッチ広げ率が小さいと、単位長さあたりの自重が増加する。言い換えれば、サンプルにかかる等分布荷重が増加する。そのため、ピッチ広げ率が小さいと変位量σが大きくなり、実測のEIは減少すると考えられる。以上のことから、各サンプルの曲げ剛性は、ピッチ広げ率と比例すると考えられる。
図13は、サンプル1~5のコイル1mmあたりの素線長さ[mm]と実測曲げ剛性EIとの関係を示した説明図である。図13の横軸は、各サンプルのコイル1mmあたりの素線長さを示しており、縦軸は、各サンプルの曲げ剛性を示している。図13に示すように、曲げ剛性は、コイル1mmあたりの素線長さと反比例することがわかる。上述のように、コイル1mmあたりの素線長さが長いと、単位長さあたりの自重が増加し、実測の曲げ剛性EIが低下するためと考えられる。図13の結果から、上述の式(2)のように中空コイルの曲げ剛性EIがコイルの単位長さ辺りの素線長さMに反比例することが明らかとなった。
<本実施形態の効果例>
以上説明した、本実施形態の中空コイル1によれば、テーパー部12は、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている(図3)。これにより、テーパー部の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部12と細径部11との境界付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる(図9)。よって、本実施形態の中空コイル1を用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイル1のテーパー部12付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
また、本実施形態の中空コイル1によれば、テーパー部12におけるコイル外径の減少度は、テーパー部12の少なくとも一部の区間において曲げ剛性が線形変化するように設定されている(図9)。テーパー部12におけるコイル外径の減少度を調整することによって、テーパー部の曲げ剛性をより線形形状に近づければ、テーパー部12と細径部11との境界付近において曲げ剛性の剛性ギャップをさらに生じにくくすることができ、キンクの発生をより抑制できる。
また、本実施形態の中空コイル1によれば、テーパー部12と、中空コイル1の基端との間に、コイル外径が一定の太径部13を有しているため、テーパー部12と中空コイル1の基端との間における曲げ剛性を一定にすることができ、この区間におけるキンクの発生を抑制できる。また、この中空コイル1を用いた医療機器では、テーパー部12の基端よりも基端側において段差が生じにくいため、人体の血管や消化器官に挿入した際に、医療機器の引っ掛かりを抑制できる。また、この中空コイル1を用いた医療機器では、太径部13を介して手技側からの回転力(トルク)および押込み力(プッシャビリティー)をテーパー部12に伝達することができる。これにより、人体内において医療機器が湾曲した状態であっても、これらの伝達性能の低下を抑制できる。
また、本実施形態の中空コイル1によれば、テーパー部12は、外径が一定の素線15によって形成されているため、素線径の変化による剛性ギャップの発生を抑制できる。具体的には、上述の式(2)に示すように、テーパー部12の曲げ剛性EIは、素線径の4乗に比例する。そのため、テーパー部12の素線径に変化があるとテーパー部12の曲げ剛性も変化し剛性ギャップが生じやすくなる。本実施形態の中空コイル1によれば、テーパー部12の素線径が一定であるため、コイル外径の変化以外の要素による曲げ剛性の変化を抑制できる。
従来から、ガイドワイヤにおいてコアシャフトのテーパー部を曲線的に変化させることで、剛性を変化させる技術が知られている(例えば、特表2003-505116号公報)。この従来技術からわかるように、一般的にテーパー部は、外径が大きい側が小さい側よりも曲げ剛性が高くなるものと考えられている。しかし、本件発明者らは、螺旋構造体である中空コイルにおいては、テーパー部はコイル外径が大きい側が小さい側よりも曲げ剛性が小さくなることを見いだした。さらに、本件発明者らは、中空コイルにおいては、テーパー部は、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成することにより、テーパー部の曲げ剛性が線形形状に近づくことを見いだした。さらに、本件発明者らは、中空コイルにおいては、テーパー部の曲げ剛性を線形形状に近づけいることによって、テーパー部の先端側付近において曲げ剛性の剛性ギャップが生じにくくなることを見いだした。例えば、特表2003-505116号公報には、中空コイルのコイル外径を変化させることについては何ら記載されていないため、当業者はこの公報記載の発明から本願の構成を想到し得ません。むしろ、この公報には、テーパー部は、外径が大きい側が小さい側よりも曲げ剛性が高くなることが記載されているため、本願の構成を想到する上での技術的な阻害要因が存在するといえます。
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態のダイレータ2の全体構成を例示した説明図である。ここでは、第1実施形態の中空コイル1(図1)を用いたダイレータについて説明する。第2実施形態のダイレータ2は、中空コイル20と、コネクタ200とを備えている。中空コイル20は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と同様の構成を備えている。すなわち、中空コイル20は、先端側から基端側に向かって順に、細径部21と、テーパー部22と、太径部23とを有している。細径部21、テーパー部22、および、太径部23の各構成は、第1実施形態の中空コイル1(図1)の細径部11、テーパー部12、および、太径部13と同様であるため説明を省略する。
中空コイル20は、10本の素線25(第1素線25a~第10素線25j)を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には、内腔が形成されている。中空コイル20の先端には、内腔と連通する先端側開口部27が形成され、中空コイル20の基端には、コネクタ200が接続されている。コネクタ200は、樹脂からなる中空形状の部材であり、コネクタ200の基端には、内腔と連通する基端側開口部209が形成されている。
以上説明した、本実施形態のダイレータ2によれば、テーパー部22は、コイル外径が相対的に大きい基端側(太径部23側)からコイル外径が相対的に小さい先端側(細径部21側)に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている(図14)。これにより、テーパー部22の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部22のと細径部21との境界付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態のダイレータ2であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、テーパー部22付近に応力が集中してキンクが発生することを抑制できる。
従来から、ダイレータを用いて患者の体内または体表の一部に形成された孔を拡径する手技が知られている。例えば、ダイレータを用いて患者の体内の一部に形成された孔を拡径する場合には、まず、患者の口又は鼻から挿入された内視鏡の先端から導入針を突出させて、胃などの消化管の壁の所定位置に導入針を使用して穿孔し、その孔にガイドワイヤを挿入する。そして、ガイドワイヤの基端にダイレータの先端を挿入させ、ダイレータをガイドワイヤに沿わせながら消化管の壁に挿入して消化管の壁に形成された孔を拡径する。また、例えば、ダイレータを用いて患者の体表の一部に形成された孔を拡径する場合には、まず、患者の皮膚の所定位置に導入針を使用して穿孔し、その孔よりガイドワイヤを血管等の体内管腔に挿入する。そして、シースと、シース内に挿入されたダイレータとを備えたシースイントロデューサーの先端にガイドワイヤの基端を挿入させ、シースイントロデューサーをガイドワイヤに沿わせながら体内管腔に挿入する。この際、ダイレータの先端が皮膚に形成された孔を拡径する。
このような手技に使用されるダイレータは、例えば、患者の体内または体表の一部に形成された孔を拡径する際などに、ダイレータが折れ曲がるキンクが発生する場合がある。特に、ダイレータの一部分に中空コイルが設けられ、その中空コイルにテーパー部が形成されている場合には、テーパー部付近においてコイルの曲げ剛性が大きく変化する剛性ギャップが生じやすく、その部分に応力が集中してキンクが発生しやすい問題があった。しかし、本実施形態のダイレータによれば、中空コイルのテーパー部付近において剛性ギャップの発生を低減できるため、テーパー部付近におけるキンクの発生を抑制できる。
<第3実施形態>
図15は、第3実施形態のダイレータ3の全体構成を例示した説明図である。第3実施形態のダイレータ3は、第2実施形態のダイレータ2(図14)と比較して、中空コイルの先端側の形状が異なる。第3実施形態のダイレータ3は、中空コイル30と、コネクタ300と、先端部材310とを備えている。中空コイル30は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と同様に、テーパー部32と、太径部33とを有している。一方、中空コイル30は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と異なり、細径部を有していない。テーパー部32、および、太径部23の各構成は、第1実施形態の中空コイル1(図1)のテーパー部12、および、太径部13と同様であるため説明を省略する。
中空コイル30は、10本の素線35(第1素線35a~第10素線35j)を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には、内腔が形成されている。中空コイル30の先端には、先端部材310が接続されており、中空コイル30の基端には、コネクタ300が接続されている。先端部材310は、中空コイル30の先端側にロウ材(銀ロウ、金ロウ等)を流し込んで形成されており、中空で略円筒形状を有している。先端部材310の先端には、内腔と連通する先端側開口部317が形成されている。コネクタ300は、樹脂からなる中空形状の部材であり、コネクタ300の基端には、内腔と連通する基端側開口部309が形成されている。
以上説明した、本実施形態のダイレータ3によれば、中空コイル30は、テーパー部32の先端側に細径部を有していなくても、中空コイル30のテーパー部32付近におけるキンクの発生を抑制できる。すなわち、本実施形態のテーパー部32においても、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている(図15)。これにより、テーパー部32の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部32付近の曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態のダイレータ3であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、テーパー部32付近に応力が集中してキンクが発生することを抑制できる。
<第4実施形態>
図16は、第4実施形態のガイドワイヤ4の全体構成を例示した説明図である。ここでは、第1実施形態の中空コイル1(図1)を用いたガイドワイヤについて説明する。第4実施形態のガイドワイヤ4は、中空コイル40と、コアシャフト410とを備えている。
中空コイル40は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と同様の構成を備えている。すなわち、中空コイル40は、基端側が太径で先端側が細径とされた先細りした長尺形状の外径を有しており、先端側から基端側に向かって順に、細径部41と、テーパー部42と、太径部43とを有している。細径部41、テーパー部42、および、太径部43の各構成は、第1実施形態の中空コイル1(図1)の細径部11、テーパー部12、および、太径部13と同様であるため説明を省略する。
中空コイル40は、複数の素線を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には内腔が形成されている。中空コイル40の内腔には、コアシャフト410の先端側が挿通されている。中空コイル40の先端は、先端接合部421によって、中空コイル40に挿通されているコアシャフト410の先端と固定されている。また、中空コイル40の基端は、基端接合部425によって、コアシャフト410の一部分と固定されている。
以上説明した、本実施形態によれば、中空コイル40がコアシャフト410の一部分を覆うガイドワイヤ4においても、テーパー部42の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部42の先端側付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態のガイドワイヤ4であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイル40のテーパー部42付近に応力が集中してキンクが発生することを抑制できる。
<第5実施形態>
図17は、第5実施形態のガイドワイヤ5の全体構成を例示した説明図である。第5実施形態のガイドワイヤ5は、第4実施形態のガイドワイヤ4(図16)と比較して、中空コイルの先端側および基端側の形状が異なる。第5実施形態のガイドワイヤ5は、中空コイル50と、コアシャフト510とを備えている。中空コイル50は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と同様にテーパー部52を有している。一方、中空コイル50は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と異なり、細径部および太径部を有していない。テーパー部42の構成は、第1実施形態の中空コイル1(図1)のテーパー部12と同様であるため説明を省略する。
中空コイル50は、複数の素線を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には内腔が形成されている。中空コイル50の内腔には、コアシャフト510の先端側が挿通されている。中空コイル50の先端は、先端接合部521によって、中空コイル50に挿通されているコアシャフト510の先端と固定されている。また、中空コイル50の基端は、基端接合部525によって、コアシャフト510の一部分と固定されている。
以上説明した、本実施形態のガイドワイヤ5によれば、中空コイル50は、テーパー部52の両側に細径部および太径部を有していなくても、中空コイル50のテーパー部52付近におけるキンクの発生を抑制できる。すなわち、本実施形態のテーパー部52においても、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている(図17)。これにより、テーパー部52の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部52付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態のガイドワイヤ5であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、テーパー部52付近に応力が集中してキンクが発生することを抑制できる。
<第6実施形態>
図18は、第6実施形態のガイドワイヤ6の全体構成を例示した説明図である。第6実施形態のガイドワイヤ6は、第4実施形態のガイドワイヤ4(図16)と比較して、中空コイルの形状が異なり、中空コイルがコアシャフトの全体を覆っている。第6実施形態のガイドワイヤ6は、中空コイル60と、コアシャフト610とを備えている。中空コイル60は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と同様の構成を備えている。すなわち、中空コイル60は、基端側が太径で先端側が細径とされた先細りした長尺形状の外径を有しており、先端側から基端側に向かって順に、細径部61と、テーパー部62と、太径部63とを有している。細径部61、テーパー部62、および、太径部63の各構成は、第1実施形態の中空コイル1(図1)の細径部11、テーパー部12、および、太径部13と同様であるため説明を省略する。
中空コイル60は、複数の素線を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであり、内側には内腔が形成されている。中空コイル60の内腔には、コアシャフト610が挿通されている。中空コイル40の先端は、先端接合部621によって、中空コイル60に挿通されているコアシャフト610の先端と固定されている。また、中空コイル60の基端は、基端接合部625によって、コアシャフト610の基端と固定されている。
以上説明した本実施形態によれば、中空コイル60がコアシャフト610の全体を覆うガイドワイヤ6においても、テーパー部62の曲げ剛性をより線形形状に近づけることができ、テーパー部62の先端側付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態のガイドワイヤ6であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイル60のテーパー部62付近に応力が集中してキンクが発生するこおとを抑制できる。
<第7実施形態>
図19は、第7実施形態の中空コイル7の部分構成を例示した説明図である。図19では、中空コイル7の細径部71、テーパー部72、太径部73を含む一部分が拡大表示されている。第7実施形態の中空コイル7は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と比較すると、テーパー部の形状が異なる。第7実施形態のテーパー部72は、基端側(太径部73側)から先端側(細径部71側)に向かってコイル外形が曲線状(放物線状)に減少しておらず、傾斜の異なる2種類の直線状に減少している。
ここでは、テーパー部72を中空コイル7の軸線方向に沿って等間隔に2つに分割し、基端側から先端側に向かって順に「第1区間N1」、「第2区間N2」と呼ぶ。そして、第1区間N1(P0地点からP1地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA11、第2区間N2(P1地点からP2地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA21とする。図19には、P0~P2の各地点におけるコイル外径の上端同士をつなぐ仮想線IMLが示されている。
このとき、本実施形態の中空コイル7のテーパー部72は、コイル外径の減少量A11~A12が、A11>A12となるように構成されている。すなわち、コイル外径が相対的に大きい側(基端側)からコイル外径が相対的に小さい側(先端側)に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。
以上説明した本実施形態によれば、テーパー部72は、基端側(太径部73側)から先端側(細径部71側)に向かってコイル外形が曲線状に減少していない。一方、この中空コイル7においても、テーパー部72は、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなる。これにより、テーパー部72の曲げ剛性を線形形状に近づけることができ、テーパー部72の先端側付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態の中空コイル7を用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイル7のテーパー部72付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
このように、本実施形態のテーパー部は、コイル外径の変化が曲線形状でなくてもよい。テーパー部を中空コイルの軸線方向に沿って等間隔に2以上に分割して複数の区間を設定し、各区間のコイル外径の減少度が、コイル外径が相対的に大きい側からコイル外径が相対的に小さい側に向かうにつれて小さくなっていれば本実施形態のテーパー部に該当する。ここでは、テーパー部を2つの区間に分割した例を示したが、分割数は2以上の任意の数字であってよい。
<第8実施形態>
図20は、第8実施形態の中空コイル8の部分構成を例示した説明図である。図20では、中空コイル8の細径部81、テーパー部82、太径部83を含む一部分が拡大表示されている。第8実施形態の中空コイル8は、第1実施形態の中空コイル1(図1)と比較すると、テーパー部の形状が異なる。第8実施形態のテーパー部82は、基端側(太径部83側)から先端側(細径部81側)に向かってコイル外形が曲線状(放物線状)に減少しておらず、段々状に減少している。
ここでは、テーパー部82を中空コイル8の軸線方向に沿って等間隔に4つに分割し、基端側から先端側に向かって順に「第1区間N1」、「第2区間N2」、「第3区間N3」、「第4区間N4」と呼ぶ。そして、第1区間N1(P0地点からP1地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA21、第2区間N2(P1地点からP2地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA22、第3区間N3(P2地点からP3地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA23、第4区間N4(P3地点からP4地点までの間)におけるコイル外径の減少量をA24とする。図20には、P0~P4の各地点におけるコイル外径の上端同士をつなぐ仮想線IMLが示されている。
このとき、本実施形態の中空コイル8のテーパー部82は、コイル外径の減少量A21~A24が、A21>A22>A23>A24となるように構成されている。すなわち、コイル外径が相対的に大きい側(基端側)からコイル外径が相対的に小さい側(先端側)に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている。
以上説明した本実施形態によれば、テーパー部82は、基端側(太径部83側)から先端側(細径部81側)に向かってコイル外形が曲線状に減少していない。一方、この中空コイル8においても、テーパー部82は、コイル外径が相対的に大きい基端側からコイル外径が相対的に小さい先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなる。これにより、テーパー部82の曲げ剛性を線形形状に近づけることができ、テーパー部82の先端側付近において曲げ剛性の剛性ギャップを生じにくくすることができる。よって、本実施形態の中空コイル8を用いた医療機器であれば、人体の血管や消化器官に挿入した際に、中空コイル7のテーパー部82付近に応力が集中しにくくなり、キンクの発生を抑制できる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
第1実施形態の中空コイル1は、テーパー部12の曲げ剛性が一方の端部側から他方の端部側に向かって線形変化するものとして説明した(図9)。しかし、テーパー部12の曲げ剛性は、必ずしも一方の端部側から他方の端部側に向かって全体が線形変化しなくてもよい。すなわち、テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されていれば、曲げ剛性を線形に近づけることができ、曲げ剛性を線形に近づけることができれば、剛性ギャップの発生を抑制できる。ただし、テーパー部12は、曲げ剛性が線形変化するように形状が醸成されている方が、剛性ギャップの発生をより抑制することができるためより好ましい。
[変形例2]
第1実施形態では、テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が順に必ず小さくなるように形成されているものとして説明した。しかし、テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が概ね順に小さくなるように形成されていればよく、基端側から先端側に向かってコイル外径の減少度が小さくなっていない部分を有していてもよい。
[変形例3]
第1実施形態では、細径部11および太径部13のコイル外径は一定であると説明した。しかし、細径部11および太径部13のコイル外径は、一定ではなく一部においてコイル外径が変化していてもよい。また、細径部11は、中空コイル1においてコイル外径が最小となっていなくてもよい。また、太径部13は、中空コイル1においてコイル外径が最大となっていなくてもよい。また、中空コイル1は、細径部11および太径部13の少なくとも一方を備えていなくてもよい。
[変形例4]
第1実施形態では、細径部11、テーパー部12、および、太径部13のそれぞれの素線径は、いずれも一定であり、互いに素線径が等しいるものとして説明した。しかし、テーパー部12、および、太径部13のそれぞれの素線径は、それぞれ一定でなくてもよいし、互いに素線形が異なっていてもよい。すなわち、素線15は、一部において素線径が変化していてもよい。また、素線15は、中空であってもよいし、円形以外の断面形状を有していてもよい。
[変形例5]
第1実施形態では、テーパー部12は、基端側から先端側に向かうにつれてコイルピッチが大きくなるように形成されているものとした。しかし、テーパー部12のコイルピッチは全体にわたって一定であってもよい。また、テーパー部12のコイルピッチは、細径部11または太径部13のコイルピッチと等しくてもよい。また、太径部13のコイルピッチは、細径部11のコイルピッチよりも小さいものとした。しかし、太径部13のコイルピッチは、細径部11のコイルピッチと等しくてもよい。このような構成とした場合、コイルピッチの変化による剛性ギャップの発生を抑制できる。具体的には、上述の式(4)に示すように、テーパー部12の曲げ剛性EIは、コイルピッチに比例する。そのため、テーパー部12のコイルピッチに変化があるとテーパー部12の曲げ剛性も変化し剛性ギャップが生じやすくなる。よって、この構成によれば、コイル外径の変化以外の要素による曲げ剛性の変化をさらに抑制できる。
[変形例6]
第1実施形態の中空コイル1は、10本の素線によって形成されるものとして説明した。しかし、中空コイル1は、2~9本の素線、または、10本よりも多い素線を撚り合わせた中空撚線コイルであってもよし、1本の素線を螺旋状に巻いて円筒形状に形成した単コイルであってもよい。
[変形例7]
第1実施形態の素線15は、ステンレス合金以外の金属によって形成されていてもよい。例えば、素線15は、例えば、ニッケル-チタン合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金、タングステン等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができる。また、素線15は、上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。
[変形例8]
第2~3実施形態のダイレータでは、テーパー部は、ダイレータの基端側から先端側に向かってコイル外形が小さくなる向きに形成されている。しかし、テーパー部は、ダイレータの先端側から基端側に向かってコイル外形が小さくなる向きに形成されていてもよい。第4~6実施形態ガイドワイヤにおいても同様に、テーパー部は、ガイドワイヤの先端側から基端側に向かってコイル外形が小さくなる向きに形成されていてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1、7、8、20、30、40、50、60…中空コイル
2、3…ダイレータ
4、5、6…ガイドワイヤ
11、21、41、61、71、81…細径部
12、22、32、42、52、62、72、82…テーパー部
13、23、33、43、63、73、83…太径部
15、25、35…素線
16…内腔
17、27、317、…先端側開口部
19、209、309…基端側開口部
200、300…コネクタ
310…先端部材
410、510、610…コアシャフト
421、521、621…先端接合部
425、525、625…基端接合部

Claims (6)

  1. 中空コイルを備える医療機器であって、
    前記中空コイルは、
    前記医療機器の基端側から前記医療機器の先端側に向かってコイル外径が小さくなるテーパー部と、
    前記テーパー部と、前記中空コイルの前記先端側の端部との間に設けられ、コイル外径が一定の第1定径部と、を有しており、
    前記テーパー部は、隣接する素線が互いに接触する程度に密に巻かれた密巻となっており(隣接する素線が互いに接触しない程度に疎に巻かれた疎巻のテーパー部が圧縮されて、前記密巻となった場合を除く)、前記基端側から前記先端側に向かうにつれてコイル外径の減少度が小さくなるように形成されている
    ことを特徴とする医療機器
  2. 請求項1に記載の医療機器において、
    前記テーパー部における前記コイル外径の減少度は、前記テーパー部の少なくとも一部の区間において曲げ剛性が線形変化するように設定されている
    ことを特徴とする医療機器
  3. 請求項1または請求項2に記載の医療機器において、
    前記中空コイルは、さらに、前記テーパー部と、前記中空コイルの前記基端側の端部との間に、コイル外径が一定の第2定径部を有している
    ことを特徴とする医療機器
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の医療機器において、
    前記テーパー部は、外径が一定の素線によって形成されている
    ことを特徴とする医療機器
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の医療機器であって、
    前記医療機器は、ダイレータであり、さらに、
    前記中空コイルの基端に接続されるコネクタを備える
    ことを特徴とする医療機器
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の医療機器であって、
    前記医療機器は、ガイドワイヤであり、さらに、
    少なくとも一部が前記中空コイルの内側に配置されるコアシャフトと、
    前記コアシャフトの先端と、前記中空コイルの先端とが接合される先端接合部と、
    前記コアシャフトと、前記中空コイルの基端とが接合される基端接合部と、を備える
    ことを特徴とする医療機器
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