JP7048451B2 - 超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法 - Google Patents

超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、MgB超電導体を用いた超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法に関する。
超電導線材の利点は、ゼロ抵抗で電流を流すことができる点にある。超電導材料の中でも、MgB超電導体は、金属系超電導体として最も高い臨界温度(約39K)を有している。そのため、MgB超電導体は、液体ヘリウム温度4.2Kまで冷却せずに超電導状態を維持できる特徴があり、優れた超電導材料として期待されている。
MgB超電導体を用いたMgB超電導線材の一般的な製造方法として、原料となる粉末を金属管に充填し、伸線加工するPowder in Tube(PIT)法がある。PIT法には、原料粉末として予めMgBに合成した粉末を用いる方法(ex-situ法)と、マグネシウム粉末とホウ素粉末を混合した混合粉を用いて、細線化後に熱処理を行ってMgBを合成する方法(in-situ法)と、がある。
実用化されている超電導線材では、磁束を安定に保持する目的から、線径を細くした超電導フィラメントを複数本束ねた多芯線を構成して用いられる。
例えば、特許文献1には、中心材と、前記中心材の周囲に配置された混合粉エレメントと、前記中心材および前記混合粉エレメントの外側に配置された外殻層を有する超電導線材の前駆体が記載されている。この超電導線材の前駆体において、前記混合粉エレメントは、マグネシウム粉末およびホウ素粉末を含む混合粉と、前記混合粉を覆う金属シース材と、で構成され、前記外殻層は前記中心材よりビッカース硬さが大きいことを特徴としている。
また、例えば、特許文献2には、二ホウ化マグネシウムからなる超電導相を備える超電導複合ワイヤが記載されている。この超電導複合ワイヤは、導電性の金属からなるコア(1)、二ホウ化マグネシウムのコアを有しており、導電性金属のコア(1)の周囲に配置されている複数のフィラメント(3)、前記複数のフィラメント(3)を囲んでいる収容および機械的補強のための外側の金属鞘(4)、および二ホウ化マグネシウムと化学的に適合でき、かつコア(1)の導電性金属の前記フィラメント(3)への拡散に対して障壁として機能できる金属からなる少なくとも1つの層(2、2a、2b)を有している。そして、特許文献2に記載されている超電導複合ワイヤは、前記層が、a)導電性金属のコアのコーティング(2)として、さらには/あるいはb)前記フィラメント(3)のコーティング(2a、2b)として、塗布されていることを特徴としている。
国際公開第2017/141410号公報 特表2008-508677号公報
これまでの研究の成果により、MgB超電導体を用いた多芯線において、多芯線を構成する中心材、MgB単芯線、外周材の材質やレイアウトによっては、伸線加工の際に、MgB超電導体を用いたコア材(MgBコア材)の形状が不均一に変形することが判明した。例えば、中心にCuを配置した場合、柔らかいCuの変形を受けて変形しやすく、また、外周に配置した金属の縮径による影響を受け不均一な変形を生じやすい。そのため、MgBコア材の面積の減少などによって超電導特性が低下することが懸念された。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、MgBコア材の形状の不均一な変形が抑制された超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究開発した結果、次のようにすることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る超電導線材は、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材と、前記中心材の周囲に複数配置されており、MgB超電導体のコア材が、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材によって被覆されている単芯線と、複数配置されている前記単芯線の外側に配置された外殻材と、を有し、前記外殻材における少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されており、前記外殻材は少なくとも2層からなり、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層であることとしている
本発明によれば、MgBコア材の形状の不均一な変形が抑制された超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法を提供できる。
前記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施形態に係る超電導線材100Aの概略断面図である。 第1実施形態に係る超電導線材100Aの概略断面図である。 細線化前の第1実施形態に係る組み込み材100aの概略断面図である。 第2実施形態に係る超電導線材100Bの概略断面図である。 細線化前の第2実施形態に係る組み込み材100bの概略断面図である。 本実施形態に係る超電導コイル600の構成を示す概略構成図である。 本実施形態に係る磁気発生装置700の構成を示す概略構成図である。 本実施形態に係る超電導線材の製造方法の内容を説明するフローチャートである。 比較例に係る超電導線材100Zの概略断面図である。 細線化前の比較例に係る組み込み材100zの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜上、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
[超電導線材100A]
[第1実施形態]
図1および図2は、第1実施形態に係る超電導線材100Aの概略断面図である。なお、図1は、ケミカルエッチング処理後の光学顕微鏡写真をもとに作図したものである。図2は、ケミカルエッチング処理を行わないで撮影した光学顕微鏡写真をもとに作図したものである。超電導線材100Aの横断面を単に観察した場合、図2に示すように構成要素の区別が難しい箇所があるが、ケミカルエッチング処理を行うと各構成要素の界面を際立たせることができ、区別が容易になる。そこで、第1実施形態に関して、主に図1を参照して説明する。なお、図1および図2に示す超電導線材100Aの断面形状は一例であり、図示しているものに限定されない。超電導線材100Aの断面形状は、中心材106の材料や単芯線103の材料、組み込み本数、配置位置などによって任意に設定できる。構成要素の確認のためのケミカルエッチング処理は、各構成要素の界面を際立たせることができればよく、任意の条件で行うことができる。
図1に示すように、超電導線材100Aは、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材106を有している。超電導線材100Aは、中心材106の周囲に複数配置された単芯線103を有している。この単芯線103は、MgB超電導体のコア材(MgBコア材)101が、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材102によって被覆されている。超電導線材100Aは、複数配置されている単芯線103の外側に配置された外殻材105を有している。
超電導線材100Aは、前記中心材106の少なくとも外周面(具体的には、後記する第2の被覆材107)、MgBコア材101の被覆層(第1の被覆材102)および外殻材105の内周面(具体的には、後記する緩和層104)にMgと反応しない金属を用いた構造としている。超電導線材100Aは、このようにすることによって、これまでの組み込み単芯線のシース材(MgBコアのシース材)だけでは不十分であった減面加工中の中心材106および外殻材105の形状変化などの影響によるMgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できる。
さらに、超電導線材100Aは、中心材106の外周面、MgBコア材101の被覆層および外殻材105の内周面に用いるMgと反応しない金属を同一の金属材料で構成するのが好ましい。それぞれの部分を異なる金属材料で被覆・配置した場合、金属材料の硬さや伸びなどの特性の違いが加工性に悪影響をおよぼすことが考えられる。しかし、当該好ましい実施形態のようにこれらを同一の金属材料で構成すると、そのような影響を大幅に低減できる。その結果、当該好ましい実施形態によれば、MgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制することができる。また、個々のMgBコア材101に異常な変形が生じないので、MgBコア材101の面積の減少や中心材106にCuを配置した場合にCuとの反応を防止できる。
(中心材106)
中心材106は、超電導線材100Aの中心に配置される。この中心材106は、前記したように、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている。具体的には、図1に示すように、中心材106は、例えば、Mgと反応し得る金属で形成されたコア109と、当該コア109を被覆するMgと反応しない金属で形成された第2の被覆材107と、で形成されている。中心材106は、第2の被覆材107を配置することで、MgBコア材101の不均一な変形を抑制することができる。特に中心に配置されるコア109にCuを用いた場合、Cuは柔らかく変形しやすいため、その影響を受けて、単芯線103が不均一に変形しやすくなる。第2の被覆材107を配置することで、Cuの変形を抑制することができ、不均一な変形を抑制することができる。
中心材106の外周面に用いられるMgと反応しない金属としては、例えば、Fe、NbおよびTaの群から選択される少なくとも1種が挙げられ、これらの中でもFeが好ましい。このようにすると、中心材106は、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成(被覆)されているので、例えば、コア109にCuを用いた場合、Cuの変形を抑制することができ、不均一な変形を抑制することができる。なお、前記したMgと反応しない金属は、本発明の効果を阻害しないものであれば、Fe、NbおよびTaのいずれか1種を主成分として含む合金であってもよい。
本実施形態において、中心材106は、MgBコア材101の超電導状態が破れたときに電流を迂回させて安定化を図る役割を担っている。そのため、中心材106は、電導性の良い材料で形成するのが好ましい。また、中心材106は、線材作製において減面加工(伸線加工)を行うので、延性(加工性)の良い材料で形成するのが好ましい。これらの理由から、本実施形態における中心材106のコア109は、Cuを用いることが好ましく、無酸素Cuを用いることがより好ましい。
(単芯線103)
単芯線103は、前記したように、超電導材料として機能するMgBコア材101が、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材102によって被覆されている。このように、単芯線103は、MgBコア材101を被覆する第1の被覆材102がMgと反応しない金属で形成されているので、減面加工中の中心材106および外殻材105の形状変化などの影響によるMgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できる。なお、本実施形態では、図1に示すように、単芯線103の本数を10本としているがこれに限定されるものではなく、必要とされる線材性能に応じて任意に設定できる。第1の被覆材102で用いることのできるMgと反応しない金属は、中心材106で述べたのと同じものが挙げられる。
なお、前記した第1の被覆材102の厚さは、第2の被覆材107の厚さよりも厚いことが好ましい。第1の被覆材102と第2の被覆材107の厚さをこのような関係にすると、第1の被覆材102の厚さが厚いので、減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制できる。
(外殻材105)
外殻材105は、前記したように、中心材106を中心にしてその周囲に複数配置されている単芯線103の外側に配置される。このような構成とすることにより、外殻材105は、超電導線材100Aに強度等の機械的特性を付与している。
そして、本実施形態における外殻材105は、少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されている。具体的には、図1に示すように、外殻材105は、少なくとも2層からなり、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層104である。ダイスを用いた伸線加工では、ダイス直下の線材表面で応力が高いため、外殻材105のうちの外層材108のみを配置した場合、外層材108の内側への縮径に伴う変形の影響が単芯線103に生じ、不均一な変形が生じやすくなる。本実施形態では、緩和層104を設けることにより、外層材108の特に内側への変形による影響を軽減することができる。なお、緩和層104および外層材108については後述する。外殻材105で用いることのできるMgと反応しない金属は、中心材106で述べたのと同じものが挙げられる。
前記したように、第1の被覆材102と、中心材106の外周面(具体的には、第2の被覆材107)と、外殻材105の内周面(具体的には、緩和層104)とは、同じ金属で形成されていることが好ましい。それぞれの部分を異なる金属材料で被覆・配置すると、金属材料の特性の違いが、加工性に悪影響をおよぼすことが考えられる。本実施形態のように前記した各部材を同一の金属材料で構成することでそのような影響を大幅に低減でき、その結果、MgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制することができる。
緩和層104の外側に配置される外層材108は、例えば、NiにCuを20~80質量%の範囲で添加した合金(モネル(登録商標))などを用いて好適に形成できる。
なお、前記した第1の被覆材102の厚さが、緩和層104の厚さよりも厚いことが好ましい。第1の被覆材102と緩和層104の厚さをこのような関係にすると、第1の被覆材102の厚さが厚いので、減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制できる。
本実施形態においては、細線化した後の外殻材105の外周表面にCuをめっきや蒸着などの手法で付着させてCu層(図示せず)を形成することができる。また、このCu層は、例えば、横断面がほぼU字形であるCu製の長尺部材の内側に超電導線材100Aを入れて減面加工を行うことで形成することができる。つまり、外殻材105を3層構造とすることができる。このようにすると、超電導線材100AにおけるCuの比率を調整することができ、電気抵抗率を抑制できるので、超電導線材100Aの超電導状態が破れたときの安定性が向上する。なお、MgBコア材101超電導状態が破れると超電導線材100Aは発熱するが、本実施形態のように、細線化した後の外殻材105の外周表面などにCu層を形成して電気抵抗率を調整しておくことで、超電導線材100Aが焼損し難くなる。
図3は、細線化前の第1実施形態に係る組み込み材100aの概略断面図である。つまり、図3に示す組み込み材100aを細線化し、熱処理を行うと、図1および図2に示す超電導線材100Aとなる。
なお、図1および図2に示す超電導線材100Aの線径(太さ)は、例えば、0.5~2mmφであり、図3に示す組み込み材100aの線径(太さ)は、例えば、30mmφ超であるが、これらに限定されない。
図3に示すように、細線化前の組み込み材100aは、コア109と第2の被覆材107とで形成された断面が円形の中心材106を有している。また、組み込み材100aは、中心材106の周囲に複数配置された断面が円形の単芯線103を有している。組み込み材100aは、複数配置されている単芯線103の外側に配置された外殻材105を有している。なお、外殻材105は、少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されている。外殻材105は、具体的には、図3に示すように、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層104となっている。これらの構成要素は、前述した第1実施形態に係る超電導線材100Aと同様である。
図3に示す組み込み材100aは熱処理前であるので、単芯線103の第1の被覆材102で被覆されているものが、Mg粉末およびB粉末の混合粉末101aである。前記混合粉末101aは、目的の線径に加工した後、熱処理を行うことでMgBを生成してMgBコア材101となる。熱処理の温度は、例えば、600℃とすることが挙げられるが、前記反応を起こすことができればよく、これに限定されない。
超電導コイル600(図6参照)の作製では前記熱処理を行う。超電導コイル600の作製方法は、ワインド・アンド・リアクト法で行うのが好ましい。当該手法を採用した場合、細線化した組み込み材100a(細線化することにより組み込み材100aの断面形状は図1に図示した形状となる)をボビン602(図6参照)に巻き回して超電導コイル600(図6参照)を形成した後に前記熱処理を行い、超電導線材100Aにする。なお、本実施形態では、当該手法に限定されるものではない。ワインド・アンド・リアクト法を行う場合、ボビン602および超電導線材100Aに施す絶縁材601としては、熱処理に耐えられるガラス繊維を用いるのが好ましい。ボビン602に巻き回した超電導線材100Aは、この状態で必要に応じて樹脂含浸などを行い、固定する。
組み込み材100aの中心材106が、Mgと反応し得る金属で形成されたコア109と、当該コア109を被覆するMgと反応しない金属で形成された第2の被覆材107と、で形成されている場合において、第1の被覆材102の厚さが、第2の被覆材107の厚さよりも厚いことが好ましい。第1の被覆材102と第2の被覆材107の厚さをこのような関係にすると、第1の被覆材102の厚さが厚いので、減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制できる。
また、組み込み材100aの外殻材105が少なくとも2層からなり、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層104である場合において、第1の被覆材102の厚さが、緩和層104の厚さよりも厚いことが好ましい。第1の被覆材102と緩和層104の厚さをこのような関係にすると、第1の被覆材102の厚さが厚いので、減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形をより抑制できる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る超電導線材100Bの概略断面図である。なお、図4は、ケミカルエッチング処理後の光学顕微鏡写真をもとに作図したものである。図5は、細線化前の第2実施形態に係る組み込み材100bの概略断面図である。つまり、図5に示す組み込み材100bを細線化し、熱処理を行うと、図4に示す超電導線材100Bとなる。
図4に示す第2実施形態に係る超電導線材100Bと、図1に示す第1実施形態に係る超電導線材100Aとは、超電導線材100Bの中心材106bの構成が、超電導線材100Aの中心材106と異なっている。
同様に、細線化前の状態である、図5に示す第2実施形態に係る組み込み材100bと、図3に示す第1実施形態に係る組み込み材100aとは、組み込み材100bの中心材106bの構成が、組み込み材100aの中心材106と異なっている。
第1実施形態でも述べたように、中心材106は、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されていればよい。そこで、超電導線材100Bの中心材106bは、Mgと反応しない金属のみで形成したものである(つまり、中心材106bの全部がMgと反応しない金属で形成されている)。このようにすると、超電導線材100Bの内部にMgと反応する金属のない構成になる。そして、中心材106bは、少なくとも外周面がMgと反応しない金属のみで形成されている(中心材106bの全部がMgと反応しない金属で形成されている)ことから、MgBコア材101の形状の不均一な変形の抑制に寄与できる。
中心材106bを形成するMgと反応しない金属は、第1実施形態における中心材106で述べたものと同じものを用いることができる。もちろん、このような構成とした場合であっても、超電導線材100Bは、Mgと反応しない金属で形成した第1の被覆材102と、外殻材105の少なくとも内周面(具体的には、緩和層104)をMgと反応しない金属で形成している。そのため、超電導線材100Bは、従来の超電導線材のように、単芯線に被覆材を設けていただけでは不十分であった減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できる。
なお、第1実施形態のように、Mgと反応し得る金属で形成されたコア109と、当該コア109を被覆するMgと反応しない金属で形成された第2の被覆材107と、で中心材106を形成するか、第2実施形態のように、Mgと反応しない金属で中心材106bを形成するかは、任意に選択することができる。
[超電導コイル600]
図6は、本実施形態に係る超電導コイル600の構成を示す概略構成図である。
本実施形態に係る超電導コイル600は、第1実施形態で説明した超電導線材100Aまたは第2実施形態で説明した超電導線材100Bを用いている。超電導コイル600は、例えば、図6に示すように、ガラス繊維などの絶縁材601を被覆した金属製のボビン602と、このボビン602の所定の位置に巻き回した、細線化および絶縁材601を被覆した超電導線材100A(100B)と、超電導線材100Aを固定する図示しない樹脂と、を備えて構成されている。なお、この超電導コイル600は、ボビン602の所定の位置に巻き回した状態で前記した熱処理を行い、混合粉末101aをMgBコア材101(いずれも図6において図示せず)としている。そして、この超電導コイル600は、熱処理後に樹脂に含浸させて固定化したものである。ここで、絶縁材601としてガラス繊維を挙げたが、熱処理に耐えられるものであればこれに限定されることなく任意の絶縁材を用いることができる。
図6に示すように、超電導コイル600は、冷凍容器603内にセットし、冷媒または冷凍機で冷却された状態で通電することにより、磁気を発生することが可能な磁気発生装置700(図7参照)を作製することができる。
[磁気発生装置700]
図7は、本実施形態に係る磁気発生装置700の構成を示す概略構成図である。なお、図7は、磁気発生装置700の一例として、開放型の磁気共鳴イメージング(MRI)装置700Aを図示している。
MRI装置700Aは、一対の静磁場発生部701、701と連結部材(図示せず)を有する。一対の静磁場発生部701、701と連結部材により形成された空間を撮像領域702という。この撮像領域702を挟むようにして傾斜磁場発生部703、703が配置される。また、MRI装置700Aは、被写体704を載せるベッド705と、ベッド705に載せた被写体704を撮像領域702へ搬送する搬送機構706と、を備えている。
一対の静磁場発生部701、701は、図6を参照して説明した超電導コイル600が冷凍容器603内にセットされ、冷媒または冷凍機で冷却された状態となっている。一対の静磁場発生部701、701は、この状態で通電されることにより、静磁場を発生することができる。
なお、MRI装置700Aは、前記した構成要素以外の要素として、RF(Radio Frequency)発信部、受診コイル、制御装置、解析装置などのMRI装置が一般的に備えている装置等を備えている。
[超電導線材の製造方法]
図8は、本実施形態に係る超電導線材の製造方法の内容を説明するフローチャートである。
図8に示すように、本製造方法は、充填工程S1と、配置工程S2と、挿入工程S3と、減面加工工程S4と、熱処理工程S5と、を有する。
(充填工程S1)
充填工程S1は、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材102の中にMg粉末およびB粉末の混合粉末101aを充填する工程と、これに続けて伸線加工する工程とを行い、単芯線103を作製する工程である。この第1の被覆材102としては、Mgと反応しない金属で形成した金属パイプが挙げられる。
(配置工程S2)
配置工程S2は、少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材106の周囲に単芯線103を複数配置する工程である。
(挿入工程S3)
挿入工程S3は、少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されている外殻材105の中に、中心材106およびこの中心材106の周囲に複数配置した単芯線103を挿入して多芯組込み材、すなわち、組み込み材100a、100bを作製する工程である。挿入工程S3で用いる素材・構成を変更することで、第1実施形態に係る組み込み材100aおよび第2実施形態に係る組み込み材100bのいずれを作製するか任意に決定できる。
(減面加工工程S4)
減面加工工程S4は、多芯組込み材を減面加工して細線化する工程(伸線する工程)である。この減面加工工程S4は、例えば、ドローベンチなどを用いて行うことができる。減面加工工程S4を行うことにより、組み込み材100a、100bの線径(太さ)を目的の線径にすることができる。
(熱処理工程S5)
熱処理工程S5は、細線化した多芯組込み材(組み込み材100a、100b(なお、この段階での断面形状は図1、図4参照))を熱処理して混合粉末101a中のMgとBを反応させ、MgBコア材101とする工程である。熱処理工程S5は、例えば、ボビン602に巻き回した状態で電気炉などの熱処理装置で約600℃に昇温することにより好適に行うことができる。
本製造方法は、以上に述べた各工程を前記した順で行うことで、MgBコア材101の形状の不均一な変形が抑制された第1実施形態に係る超電導線材100Aおよび第2実施形態に係る超電導線材100Bを好適に製造できる。
実施例1では、図1に示す構造の超電導線材100Aを製造した。中心材106のコア109はCuで形成されている。このコア109は、Feで形成された第2の被覆材107で被覆されている。そして、Feで形成された第1の被覆材102でMgBコア材101を被覆した単芯線103を、前記中心材106を囲むように複数配置している。そして、外層材108の内側にFeの緩和層104を設けたパイプ状の外殻材105の内部に、中心材106および単芯線103が配置されている。
単芯線103は次のようにして作製した。まず、純Mg粉と純B粉をそれぞれ所定量秤量し、ボールミルを用いて混合粉末101aとした。混合粉末101aをFe製のパイプに充填し、ドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、Fe製の第1の被覆材102を設けた単芯線103を作製した。
そして、細線化前の多芯組込み材(図3に示す組み込み材100a)は次のようにして作製した。まず、Fe製のパイプ内にCuの棒(コア109)を挿入して中心材106を作製した。なお、必要に応じて、ドローベンチやスエージャーによる加工を加えてFeとCuの密着性を高めてもよい。これにより、Fe製の第2の被覆材107を被覆したCu製のコア109を有する中心材106となる。
そして、中心材106を囲むように単芯線103を10本配置し、Fe製のパイプ内に挿入した。さらに、これをモネル製のパイプ内に挿入して多芯組込み材を作製した。このように、Fe製のパイプをモネル製のパイプ内へ挿入することで、モネル製の外層材108の内側にFe製の緩和層104を配置した外殻材105を作製した。
作製した多芯組込み材に対してドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで細線化した。その後、約600℃で熱処理を行って前記混合粉末101a中のMgとBを反応させてMgBコア材101とし、超電導線材100Aを製造した。
このようにして製造した超電導線材100Aの断面を光学顕微鏡で観察・撮影し、それをもとに作図したものが、図2である。図2に示すように、超電導線材100Aの断面を観察した結果、同一形状のMgBコア材101が形成されていることが確認された。ただし、各構成要素の区別が難しい箇所があった。
そこで、各構成要素の界面を際立たせるため、超電導線材100Aの断面をケミカルエッチング処理した。そして、光学顕微鏡でその断面を観察・撮影し、それをもとに作図したのが、図1である。図1に示すように、前記多芯組込み材で配置した第2の被覆材107、第1の被覆材102および緩和層104が、細線化した超電導線材100Aにおいても配置されていることが確認された。これらの構成要素の厚みを比較したところ、ほぼ同一の厚みであった。
そして、図1に示すように、超電導線材100Aは、第1の被覆材102と、第2の被覆材107と、外殻材105の緩和層104と、を有しているため、従来の超電導線材のように、単芯線に被覆材を設けていただけでは不十分であった減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できることが確認された。
実施例1と同様の手順で純Mg粉と純B粉の混合粉末101aを作製した。この混合粉末101aをNb製のパイプに充填し、ドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、Nb製の第1の被覆材102を設けた単芯線103を作製した。
そして、次のようにして、細線化前の多芯組込み材(組み込み材100a)を作製した。
まず、Nb製のパイプ内にCuの棒(コア109)を挿入して中心材106を作製した。これにより、Nb製の第2の被覆材107を被覆したCu製のコア109を有する中心材106となる。そして、この中心材106を囲むように単芯線103を10本配置し、Nb製のパイプ内に挿入した。さらに、これをモネル製のパイプに挿入して多芯組込み材を作製した。このように、Nb製のパイプをモネル製のパイプ内へ挿入することで、モネル製の外層材108の内側にNb製の緩和層104を配置した外殻材105を作製した。
作製した多芯組込み材に対してドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで細線化した。その後、約600℃で熱処理を行って前記混合粉末101a中のMgとBを反応させてMgBコア材101とし、超電導線材100Aを製造した。
このようにして製造した超電導線材100Aの断面を光学顕微鏡で観察・撮影した結果、同一形状のMgBコア材101が形成されていることが確認された(図2参照)。また、この断面を実施例1と同様にケミカルエッチング処理をした後に光学顕微鏡で観察・撮影した。この結果でも、同一形状のMgBコア材101が形成されていることが確認された(図1参照)。このことから、Nbでも第2の被覆材107と、第1の被覆材102と、緩和層104と、を形成できることが確認された。
そして、この結果から、これらの構成要素をNb製とした場合も、超電導線材100Aは、第1の被覆材102と、第2の被覆材107と、外殻材105の緩和層104と、を有しているため、従来の超電導線材のように、単芯線に被覆材を設けていただけでは不十分であった減面加工中の中心材106および外殻材105の変形の影響などによるMgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できることが確認された。
実施例1と同様の手順で純Mg粉と純B粉の混合粉末101aを作製した。この混合粉末101aを実施例1で使用したFe製のパイプ(第1の被覆材102)より厚みの厚いFe製のパイプに充填した。なお、実施例1で使用したFe製のパイプ(第1の被覆材102)の厚み:実施例3で使用したFe製のパイプ(第1の被覆材102)の厚み=1:1.5とした。そして、これをドローベンチを用いて減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで加工して厚みの厚いFe製の第1の被覆材102を設けた単芯線103を作製した。
そして、実施例1と同様にFe製のパイプ内にCu製の棒(コア109)を挿入して中心材106を作製した。これにより、Fe製の第2の被覆材107を被覆したCu製のコア109を有する中心材106となる。次いで、この中心材106を囲むように10本の単芯線103を配置し、Fe製のパイプ内に挿入した。さらに、これをモネル製のパイプに挿入して多芯組込み材(組み込み材100a)を作製した。
作製した多芯組込み材に対してドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで細線化した。その後、約600℃で熱処理を行って前記混合粉末101a中のMgとBを反応させてMgBコア材101とし、超電導線材100Aを作製した。
このようにして製造した超電導線材100Aの断面をケミカルエッチング処理して光学顕微鏡で観察・撮影した。その結果、実施例3は、実施例1、2と同一形状のMgBコア材101が形成されていることが確認された。また、第2の被覆材107の厚みと、第1の被覆材102の厚みと、緩和層104の厚みと、を比較したところ、実施例3で作製した超電導線材100Aは、実施例1で作製した超電導線材100Aよりも第1の被覆材102の厚みが厚くなっていた。このことから、第1の被覆材102が厚くなっても同一形状の単芯線103が形成されることが確認された。つまり、第1の被覆材102の厚みが、第2の被覆材107および緩和層104の厚みよりも厚い場合でも、同一形状のMgBコア材101を形成できることが確認された。
なお、第1の被覆材102の厚みが、第2の被覆材107の厚みおよび緩和層104の厚みよりも薄い場合でもこれと同様に同一形状のMgBコア材101を形成できた。このことから、MgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制するという効果を得るにあたって第2の被覆材107と、緩和層104が重要な役割を果たしていることがわかった。
実施例4では、図4に示す構造の超電導線材100Bを製造した。
まず、実施例1と同様の手順で純Mg粉と純B粉の混合粉末101aを作製した。混合粉末101aを実施例1と同様、Fe製のパイプに充填し、ドローベンチを用いて減面加工を繰り返し行い、Fe製の第1の被覆材102を設けた単芯線103を作製した。
そして、次のようにして、細線化前の多芯組込み材(図5に示す組み込み材100b)を作製した。
実施例4では、中心材106bをFeのみで作製した。すなわち、Feの棒を所定の径まで加工して中心材106bを作製した。このFe製の中心材106bを囲むように、単芯線103を10本配置し、Fe製のパイプ内に挿入した。そして、これをさらにモネル製のパイプ内に挿入して多芯組込み材を作製した。
作製した多芯組込み材に対してドローベンチを用いた減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで細線化した。その後、約600℃で熱処理を行って前記混合粉末101a中のMgとBを反応させてMgBコア材101とし、超電導線材100Bを製造した。
このようにして製造した超電導線材100Bの断面をケミカルエッチング処理して光学顕微鏡で観察・撮影し、それをもとに作図したものが、図4である。図4に示すように、超電導線材100Bの断面を観察した結果、同一形状のMgBコア材101が形成されていることが確認された。
このことから、Feで作製した中心材106bであっても、第1の被覆材102および緩和層104を有していれば、MgBコア材101の形状の不均一な変形を抑制できることが確認された。
〔比較例〕
図9は、比較例に係る超電導線材100Zの概略断面図である。図10は、細線化前の比較例に係る超電導線材100zの概略断面図である。
比較例では、図9に示す構造の超電導線材100Zを作製した。
図9および図10に示すように、比較例は、中心材106zに被覆材を設けておらず、また、外殻材105zの最も内側に緩和層を設けていない多芯構造を有する。
まず、実施例1と同様の手順で純Mg粉と純B粉の混合粉末101z(図10)を作製した。混合粉末101zをFe製のパイプに充填し、ドローベンチを用いて減面加工を繰り返し行い、Fe製の被覆材102zを設けた単芯線103z(図10)を作製した。
そして、Cu製の中心材106zを囲むように10本の単芯線103zを配置し、モネル製のパイプ内にこれらを挿入して、細線化前の多芯組込み材(図10に示す超電導線材100z)を作製した。
作製した多芯組込み材に対してドローベンチを用いて減面加工を繰り返し行い、所定の線径まで細線化した。その後、約600℃で熱処理を行って前記混合粉末101z中のMgとBを反応させてMgBコア材101Zとし、超電導線材100Z(図9)を作製した。
このようにして製造された超電導線材100Zの断面をケミカルエッチング処理して光学顕微鏡で観察・撮影し、それをもとに作図したものが、図9である。図9に示すように、超電導線材100Zの断面を観察した結果、個々のMgBコア材101Zの形状に違いが認められ、不均一な変形が生じていることが確認された。
このことから、MgBコア材101Zを覆うFe製の被覆材(シース材)102zだけでは、中心材106zおよび外殻材105zの加工による変形の影響に対して不十分であり、MgBコア材101Zの形状の不均一な変形につながったと考えられる。
次に、実施例5として、図6に示す超電導コイル600を作製した。まず、ガラス繊維製の絶縁材601を被覆した金属製のボビン602に、同様にガラス繊維の絶縁材を被覆した実施例1に示す構成の細線化した組み込み材100aを巻き回した後に、約600℃の熱処理を行ってMgBコア材101とした超電導線材100Aを製造した。そして、その後に、樹脂を含浸させて超電導線材100Aを固定することで、超電導コイル600を作製した。
作製した超電導コイル600は、冷凍容器603内にセットし、冷媒または冷凍機で冷却し、通電できるようにした。このようにすることで、超電導コイル600は、磁場を発生することが可能となる。
次に、実施例6として、図7に示す開放型のMRI装置700Aを作製した。MRI装置700Aは、一対の静磁場発生部701、701と連結部材(図示せず)を有している。一対の静磁場発生部701、701と連結部材により形成された撮像領域702を挟むようにして傾斜磁場発生部703、703が配置されている。また、MRI装置700Aは、被写体704を載せるベッド705と、ベッド705に載せた被写体704を撮像領域702へ搬送する搬送機構706と、を備えている。
一対の静磁場発生部701、701は、実施例5で説明した超電導コイル600が冷凍容器603内にセットされ、冷媒または冷凍機で冷却された状態となっている。一対の静磁場発生部701、701は、この状態で通電されることにより、静磁場を発生することできる。
以上、本発明に係る超電導線材、超電導コイル、磁気発生装置および超電導線材の製造方法について実施形態および実施例により詳細に説明したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100A、100B 超電導線材
100a、100b 組み込み材
101 MgBコア材(MgB超電導体のコア材)
102 第1の被覆材
103 単芯線
104 緩和層
105、105c 外殻材
106、106b 中心材
107 第2の被覆材
108、108c 外層材
109 コア
101a 混合粉末
600 超電導コイル
700 磁気発生装置

Claims (11)

  1. 少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材と、
    前記中心材の周囲に複数配置されており、MgB超電導体のコア材が、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材によって被覆されている単芯線と、
    複数配置されている前記単芯線の外側に配置された外殻材と、を有し、
    前記外殻材における少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されており、
    前記外殻材は少なくとも2層からなり、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層であることを特徴とする超電導線材。
  2. 少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材と、
    前記中心材の周囲に複数配置されており、MgB 超電導体のコア材が、Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材によって被覆されている単芯線と、
    複数配置されている前記単芯線の外側に配置された外殻材と、を有し、
    前記外殻材における少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されており、
    前記第1の被覆材と、前記中心材の外周面と、前記外殻材の内周面と、が同じ金属で形成されていることを特徴とする超電導線材。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記中心材が、
    Mgと反応し得る金属で形成されたコアと、当該コアを被覆するMgと反応しない金属で形成された第2の被覆材と、で形成されているか、または、Mgと反応しない金属で形成されていることを特徴とする超電導線材。
  4. 請求項において、
    前記Mgと反応し得る金属がCuであることを特徴とする超電導線材。
  5. 請求項1または請求項2において、
    前記Mgと反応しない金属が、Fe、NbおよびTaの群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする超電導線材。
  6. 請求項において、
    前記第1の被覆材の厚さが、前記第2の被覆材の厚さよりも厚いことを特徴とする超電導線材。
  7. 請求項において、
    前記第1の被覆材の厚さが、前記緩和層の厚さよりも厚いことを特徴とする超電導線材。
  8. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超電導線材を用いた超電導コイル。
  9. 請求項に記載の超電導コイルを用いた磁気発生装置。
  10. Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材の中にMg粉末およびB粉末の混合粉末を充填して単芯線を作製する充填工程と、
    少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材の周囲に前記単芯線を複数配置する配置工程と、
    少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されている外殻材の中に、前記中心材および前記中心材の周囲に複数配置した前記単芯線を挿入して多芯組込み材を作製する挿入工程と、
    前記多芯組込み材を減面加工して細線化する減面加工工程と、
    細線化した前記多芯組込み材を熱処理して前記混合粉末を反応させ、MgB超電導体のコア材とする熱処理工程と、
    を有し、
    前記外殻材は少なくとも2層からなり、最も内側の層がMgと反応しない金属で形成した緩和層であることを特徴とする超電導線材の製造方法。
  11. Mgと反応しない金属で形成された第1の被覆材の中にMg粉末およびB粉末の混合粉末を充填して単芯線を作製する充填工程と、
    少なくとも外周面がMgと反応しない金属で形成されている中心材の周囲に前記単芯線を複数配置する配置工程と、
    少なくとも内周面がMgと反応しない金属で形成されている外殻材の中に、前記中心材および前記中心材の周囲に複数配置した前記単芯線を挿入して多芯組込み材を作製する挿入工程と、
    前記多芯組込み材を減面加工して細線化する減面加工工程と、
    細線化した前記多芯組込み材を熱処理して前記混合粉末を反応させ、MgB 超電導体のコア材とする熱処理工程と、
    を有し、
    前記第1の被覆材と、前記中心材の外周面と、前記外殻材の内周面と、が同じ金属で形成されていることを特徴とする超電導線材の製造方法。
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