以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る漏洩検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の漏洩検出システムは、配管からの漏洩を検出するシステムである。本実施形態では、配管の周囲に複数のワイヤを張り巡らせ、複数のワイヤに対応させて設置されたセンサによってそれぞれのワイヤの状態を検出して、ワイヤの状態変化によって配管からの漏洩の有無や漏洩状態を判定する。
(構成)
図1は、本実施形態の漏洩検出システム1の概要について説明するためのブロック図である。漏洩検出システム1は、検出装置10と判定装置20とを備える。
検出装置10は、配管に設置されたセンサによって取得されるデータを収集する。検出装置10は、収集したデータを判定装置20に送信する。
判定装置20は、検出装置10による検出結果に基づいて、配管からの漏洩の有無を判定する。判定装置20は、配管から漏洩があると判定した場合、漏洩状況を判定する。例えば、判定装置20は、判定結果を図示しない表示装置に表示させることによって、配管の状態を管理者に通知する。
配管の周囲に張り巡らされた複数のワイヤのそれぞれは、配管からの漏気や漏液などによって、振動や張力などの状態が変化する。そのため、ワイヤの状態をセンサで取得し続ければ、配管からの漏気や漏液などに起因するワイヤの状態変化を検出し、配管からの漏洩の有無や漏洩状態を判定できる。
例えば、検出装置10と判定装置20とは、有線通信および無線通信のいずれかによって接続される。そのため、検出装置10と判定装置20とは、離れた場所に配置できる。検出装置10と判定装置20とを互いに離れた場所に配置すれば、配管からの漏洩状態を遠隔で把握できる。
図1には、一つの検出装置10に対して一つの判定装置20を配置する例を示しているが、複数の検出装置10に対して一つの判定装置20を配置するように構成してもよい。
以上が、漏洩検出システム1の概要についての説明である。漏洩検出システム1の詳細構成については、後ほど説明する。
〔漏洩検出構造〕
次に、検出装置10および判定装置20の詳細について説明する前に、その配管100に発生しうる漏洩を検出するための構成(以下、漏洩検出構造110と呼ぶ)について説明する。漏洩検出構造110は、漏洩検出対象の配管100に設置される。漏洩検出構造110は、検出装置10に含まれてもよいし、検出装置10とは別に構成してもよい。
図2は、本実施形態の漏洩検出システム1の漏洩検出対象の配管100に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造110について説明するための模式図である。図3は、図2のA-A’切断線で配管100を切断し、紙面に対して左方から見た際の左方側面図である。図3は、図2のB-B’切断線で配管100を切断し、紙面に対して右方から見た際の右方側面図である。
図2のように、漏洩検出構造110は、複数のワイヤ111、第1ワイヤ連結部112、第2ワイヤ連結部113、第1固定部115、および第2固定部117を備える。また、図2には、検出装置10に含まれる複数のセンサ11と収集部12を図示している。複数のセンサ11および収集部12については後程説明する。
図2のように、複数のワイヤ111(線状体とも呼ぶ)のそれぞれは、配管100の延伸方向に沿って配置される。図4のように、複数のワイヤ111は、配管100の周方向に沿って、配管100を取り巻くように配置される。なお、複数のワイヤ111と配管100との間隔は、配管100からの漏洩を検知できる距離に設定される。図2の例では、複数のワイヤ111のそれぞれと配管100との間隔を開けているが、複数のワイヤ111のそれぞれと配管100とを近接させてもよい。例えば、ワイヤ111(線状体)は、金属やカーボン、樹脂、繊維などを原料とする。たたし、ワイヤ111の原料には限定を加えない。
ワイヤ111の一端は、第1ワイヤ連結部112に連結される。ワイヤ111の他端は、第2ワイヤ連結部113に連結される。ワイヤ111は、一定の張力がワイヤ111に掛かるように第1ワイヤ連結部112および第2ワイヤ連結部113が配管100に固定されて、第1ワイヤ連結部112と第2ワイヤ連結部113との間に張られる。
また、複数のワイヤ111のそれぞれには、センサ11が接続される。図2には、複数のワイヤ111の一端側にセンサ11を接続する例を示す。センサ11は、ワイヤの111の一端と第1ワイヤ連結部112との間に配置されてもよいし、ワイヤ111の周囲に巻きつけられるように配置されてもよい。センサ11は、少なくともワイヤ111に接触するように配置される。
例えば、ワイヤ111とセンサ11とは、接着や溶接、ネジ止めなどの締結部品によって固定される。なお、ワイヤ111とセンサ11との接続方法は、ここで挙げた限りではない。
ワイヤ111は、配管100からの漏気や漏液などによって、振動や張力などの状態が変化する。そのため、ワイヤ111の状態をセンサ11で取得し続ければ、配管100からの漏気や漏液などに起因するワイヤ111の状態変化を検出し、配管100からの漏洩の有無や漏洩状態を判定できる。
第1ワイヤ連結部112は、第1固定部115によって配管100に固定される。図2には、一組の第1固定部115によって、第1ワイヤ連結部112を配管100に固定する例を示す。第1ワイヤ連結部112の第1の面には、複数のワイヤ111の一端と、複数のセンサ11とが連結される。第1ワイヤ連結部112の第2の面には、ボルト120によって第1固定部115が固定される。また、第1ワイヤ連結部112の第2の面には、収集部12が配置される。第1ワイヤ連結部112の第1の面に設置された複数のセンサ11は、第1ワイヤ連結部112の第2の面に設置された収集部12と電気的に接続される。
例えば、第1ワイヤ連結部112とワイヤ111とは、接着や溶接、ネジ止めなどの締結部品によって固定される。また、第1ワイヤ連結部112とセンサ11とを接続する場合、第1ワイヤ連結部112とセンサ11とは、接着や溶接、ネジ止めなどの締結部品によって固定される。なお、第1ワイヤ連結部112とワイヤ111、および第1ワイヤ連結部112とセンサ11との接続方法は、ここで挙げた限りではない。
第2ワイヤ連結部113は、一組の第2固定部117によって配管100に固定される。図2には、一組の第2固定部117によって、第2ワイヤ連結部113を配管100に固定する例を示す。第2ワイヤ連結部113の第1の面には、複数のワイヤ111の他端が連結される。第2ワイヤ連結部113の第2の面には、ボルト120によって第2固定部117が固定される。
例えば、第2ワイヤ連結部113とワイヤ111とは、接着や溶接、ネジ止めなどの締結部品によって固定される。なお、第2ワイヤ連結部113とワイヤ111との接続方法は、ここで挙げた限りではない。
第1固定部115は、複数のボルト120を用いて、第1ワイヤ連結部112を配管100に固定するための部品である。第1固定部115は、板状の部材が直角に折り曲げられた構造であり、第1ワイヤ連結部112に固定される面と、配管100に固定される面とを有する。第1ワイヤ連結部112に固定される面は、第1ワイヤ連結部112の第2の面の形状に合わせた平面形状である。配管100に固定される面は、配管100の外周形状に合わせた曲面である。なお、第1固定部115の形状は、第1ワイヤ連結部112を配管100に固定できさえすれば、ここで挙げた形状に限定されない。
第2固定部117は、複数のボルト120を用いて、第2ワイヤ連結部113を配管100に固定するための部品である。第2固定部117は、板状の部材が直角に折り曲げられた構造であり、第2ワイヤ連結部113に固定される面と、配管100に固定される面とを有する。第2ワイヤ連結部113に固定される面は、第2ワイヤ連結部113の第2の面の形状に合わせた平面形状である。配管100に固定される面は、配管100の外周形状に合わせた曲面である。なお、第2固定部117の形状は、第2ワイヤ連結部113を配管100に固定できさえすれば、ここで挙げた形状に限定されない。
第1固定部115および第2固定部117の各面には、ボルト120を挿入するために貫通孔が形成される。第1固定部115および第2固定部117の各面に形成された貫通孔にボルト120を挿入し、連結対象物との間でネジ止めすることによって、第1ワイヤ連結部112および第2ワイヤ連結部113が配管100に固定される。第1ワイヤ連結部112および第2ワイヤ連結部113が配管100に固定されることによって、複数のワイヤ111は、第1ワイヤ連結部112と第2ワイヤ連結部113との間に張られた状態になる。複数のワイヤ111に掛かる張力は、ワイヤ111自身の材質や、第1ワイヤ連結部112と第2ワイヤ連結部113との間隔などによって調整できる。
複数のボルト120は、第1ワイヤ連結部112および第2ワイヤ連結部113を配管100に固定するために用いられる。ボルト120の形状や材質などには、特に限定は加えない。
第1ワイヤ連結部112、第1固定部115、および複数のボルト120は、第1ワイヤ固定部(第1固定手段とも呼ぶ)を構成する。第2ワイヤ連結部113、第2固定部117、および複数のボルト120は、第2ワイヤ固定部(第2固定手段とも呼ぶ)を構成する。第1固定手段と第2固定手段とによって、張架構造が構成される。
例えば、第1固定部115と第2固定部117とを防振機能を有する材料で構成してもよい。第1固定部115と第2固定部117とを防振機能を有する材料で構成すれば、配管100からの振動がセンサ21に伝達しにくくなるため、配管100に起因する攪乱を低減できる。第1ワイヤ連結部112および第2ワイヤ連結部113を配管100に直接触れさせない構成とすれば、配管100からの振動がセンサ21に伝達しにくくなり、配管100に起因する攪乱をより低減できる。
次に、漏洩検出システム1を構成する検出装置10および判定装置20の詳細構成について図面を参照しながら説明する。
〔検出装置〕
図5は、検出装置10の構成を示すブロック図である。図5のように、検出装置10は、複数のセンサ11と収集部12とを有する。
複数のセンサ11は、図2に示すように、複数のワイヤ111に対応させて、第1ワイヤ連結部112の第1の面に配置される。複数のセンサ11のそれぞれは、それぞれに対応付けられたワイヤ111の状態を検出する。センサ11は、取得したワイヤ111の状態を示すデータ(センサデータとも呼ぶ)を収集部12に送信する。
センサ11は、配管100からの漏洩物がワイヤ111に接触した際の衝撃を検出する。例えば、センサ11は、ワイヤ111の振動や張力の状態を検出する。例えば、センサ11は、振動センサや張力センサ、歪みゲージなどによって実現される。なお、センサ11は、振動や張力以外を検出対象とする場合は、それらの検出対象に応じた検出器をセンサ11として構成すればよい。
センサ11として歪みゲージを用いる場合、配管100からの漏洩物によってワイヤ111の張力が変化すると、歪みゲージ内の抵抗体にその歪みが伝わる。歪みゲージ内の抵抗体の抵抗値は、発生した歪みに対応して変化する。そのため、歪みゲージ内の抵抗体の抵抗値の変化によって、配管100からの漏洩物に起因するワイヤ111の張力変化を検出できる。
また、センサ11として振動センサを用いる場合、振動センサに内蔵された圧電素子によってワイヤの張力変化が振動として感知され、その振動の大きさに応じた電気信号が振動センサから出力される。そのため、振動センサから出力される電気信号の変化によって、配管100からの漏洩物に起因するワイヤ111の張力変化を検出できる。
収集部12(データ収集手段とも呼ぶ)は、複数のセンサ11のそれぞれから、ワイヤ111の状態を示すセンサデータを取得する。収集部12は、取得したセンサデータを収集するデータロガーである。収集部12は、収集したセンサデータを判定装置20に送信する。
例えば、収集部12は、複数のワイヤ111のそれぞれに対応付けられたセンサデータを、有線通信および無線通信のいずれかにとって判定装置20に送信する。収集部12は、一定の間隔で判定装置20にセンサデータを送信してもよいし、特定のタイミングで判定装置20にセンサデータを送信してもよい。
例えば、センサ11として歪みゲージを用いる場合、収集部12は、歪みゲージによって計測される抵抗値を電気信号に変換し、その電気信号を増幅させ、各歪みゲージの信号を独立に電気信号として収集する。例えば、センサ11として振動センサを用いる場合、収集部12は、振動センサからの出力電圧を増幅させ、各振動センサの信号を独立に電気信号として収集する。
〔判定装置〕
図6は、判定装置20の構成を示すブロック図である。図6のように、判定装置20は、計算部201、判定部202、判定データベース203、記録部204、漏洩状態データベース205、および表示部206を有する。
計算部201(計算手段とも呼ぶ)は、検出装置10から送信されたセンサデータを取得する。計算部201は、取得したセンサデータを、物理量を表すデータ(物理量データとも呼ぶ)に変換する。計算部201は、変換されたデータを判定部202に出力する。例えば、ワイヤ111の振動を検出対象とする場合、計算部201は、取得したセンサデータを振動値に変換する。
計算部201は、所定の計算式を用いて、電気信号をワイヤの張力や振動値に変換する。例えば、センサ11として歪みゲージを用いる場合、計算部201は、以下の式1を用いて、電気信号の出力電圧e0を歪みεに変換する(Ks:ゲージ率、E:ブリッジ電圧)。
e0=1/4×Ks×ε×E・・・(1)
判定部202(判定手段とも呼ぶ)は、計算部201からデータを取得する。判定部202は、判定データベース203に格納された判定基準を参照してデータを解析し、配管100からの漏洩の有無を判定する。配管100からの漏洩の有無を判定する判定基準のことを第1判定基準とも呼ぶ。
また、判定部202は、配管100からの漏洩があると判定すると、判定データベース203を参照してデータを解析し、配管100からの漏洩状態を判定する。配管100からの漏洩状態を判定する判定基準のことを第2判定基準とも呼ぶ。なお、判定部202は、配管100からの漏洩の有無のみを判定する場合、第2判定基準を用いた配管100からの漏洩状態を判定を省略してもよい。
判定部202は、配管100からの漏洩の有無や漏洩状態に関する判定結果を含めたデータを記録部204に出力する。
例えば、判定部202は、判定データベース203を参照し、各ワイヤ111の張力や振動レベルに基づいて配管100の漏洩状態を判定する。
例えば、判定部202は、ワイヤ111が振動していない場合、配管100からの漏洩はないと判定する。判定部202は、ワイヤ111が振動している場合、振動するワイヤ111の本数や位置に応じて配管100からの漏洩状態を判定する。
例えば、判定部202は、1本のワイヤ111のみが振動している場合、そのワイヤ111の位置に基づいて漏洩状態を判定する。
例えば、1本のワイヤ111のみが振動し、そのワイヤ111が配管100の真下の位置にある場合、少量の漏液が配管100を伝わって真下に落下していることが推定される。この場合、判定部202は、配管100からわずかな漏洩があると判定する。
例えば、1本のワイヤ111のみが振動し、そのワイヤ111が配管100の真下の位置ではない場合、振動しているワイヤ111の直近で漏洩が発生していると推定される。この場合、判定部202は、振動しているワイヤ111の直近に漏洩があると判定する。
例えば、判定部202は、二本以上のワイヤ111が振動している場合、それらのワイヤ111の振動の周期性に基づいて漏洩状態を判定する。
例えば、二本以上のワイヤ111が振動し、それらのワイヤ111の振動が定期的かつ連続的(周期的)である場合、振動レベルが一番大きなワイヤ111の付近で漏洩が発生していると推定される。この場合、判定部202は、振動レベルが一番大きなワイヤ111の付近で漏洩が発生していると判定する。
例えば、二本以上のワイヤ111が振動し、それらのワイヤ111の振動が不定期かつ不連続(非周期的)である場合、雨や風などの外乱に起因してワイヤ111が振動していると推定される。この場合、判定部202は、配管100からの漏洩はないと判定する。
判定データベース203(第1データベースとも呼ぶ)には、ワイヤ111の状態の判定基準が格納される。判定データベース203に格納された判定基準は、判定部202によって参照される。
例えば、判定データベース203には、第1の漏洩状態に関する判定基準が格納される。第1の漏洩状態は、配管100から少量の漏液がある状態である。例えば、複数のワイヤ111のうち、配管100の直下にあるワイヤ111に振動が検知され、その他のワイヤ111には振動が検知されなかった場合、第1の漏洩状態であると判定される。
例えば、判定データベース203には、第2の漏洩状態に関する判定基準が格納される。第2の漏洩状態は、配管100のどこかから中程度の漏液がある状態である。例えば、複数のワイヤ111のうち、配管100の直下ではないいずれかのワイヤ111に振動が検知され、その他のワイヤ111には振動が検知されなかった場合、第2の漏洩状態であると判定される。第2の漏洩状態と判定された場合には、振動が検知されたワイヤ111の直近に漏洩があると推定される。
例えば、判定データベース203には、第3の漏洩状態に関する判定基準が格納される。第3の漏洩状態は、配管100のどこかから大量の漏液がある状態である。例えば、複数のワイヤ111に振動が検知され、その振動が定期的かつ連続的(周期的)であった場合、第3の漏洩状態であると判定される。第3の漏洩状態と判定された場合には、振動レベルが最大のワイヤ111の付近で漏洩があると推定される。
例えば、複数のワイヤ111に振動が検知され、その振動が不定期かつ不連続(非周期的)であった場合は、雨や風などの外乱によってワイヤ111が振動している可能性が高い。そのため、複数のワイヤ111に非周期的な振動が検知された場合は、配管100からの漏洩はないと判定される。
記録部204(記録手段とも呼ぶ)は、配管100からの漏洩の有無や漏洩状態に関する判定結果を含めたデータを判定部202から取得し、取得したデータを漏洩状態データベース205に記録する。
例えば、記録部204は、配管100の識別子(配管番号)や検出装置10の識別子(検出装置番号)に対応付けて、漏洩状況や漏洩レベル、アラームの有無、アラーム発生日時などを漏洩状態データベース205に記録する。
図7は、漏洩状態データベース205に格納される漏洩状態テーブル250の一例である。漏洩状態テーブル250には、配管100の識別子(配管番号)および検出装置10の識別子(検出装置番号)に対応付けて、漏洩状況や漏洩レベル、アラームの有無、アラーム発生日時などの項目が設けられている。例えば、漏洩レベルに応じた閾値を事前に設定しておき、漏洩レベルが閾値を超えたらアラームと発生日時を記録するようにすればよい。
漏洩状態データベース205(第2データベースとも呼ぶ)には、配管100からの漏洩の有無や漏洩状態に関する判定結果を含めたデータが格納される。漏洩状態データベース205に格納される判定結果を含むデータは、表示部206によって表示される。
表示部206(表示手段とも呼ぶ)は、漏洩状態データベース205に格納された判定結果を表示する。例えば、表示部206は、漏洩状態データベース205に格納された漏洩状態テーブル250を表示させる。
例えば、表示部206は、判定結果を含む画像を表示させるモニターを含む。また、表示部206は、判定結果を含む画像を投影するプロジェクタを含んでもよいし、判定結果を含む画像を印刷するプリンタを含んでもよい。なお、表示部206による判定結果の表示方法は、ここで挙げた限りではない。また、判定装置20は、表示部206を含まずに、外部のシステムや表示装置に判定結果を出力するように構成してもよい。
以上が、漏洩検出システム1の構成についての説明である。配管100の管理者は、表示部206によって表示された判定結果を参照し、配管100の漏洩の有無や漏洩状態を認識できる。
(動作)
次に、本実施形態の漏洩検出システム1の動作について図面を参照しながら説明する。以下の動作の説明においては、ワイヤ111の振動レベルをモニターする例について説明する。
〔概要〕
図8は、漏洩検出システム1の動作の概要について説明するためのフローチャートである。図8のフローチャートに沿った説明においては、漏洩検出システム1を動作の主体として説明する。
まず、図8において、漏洩検出システム1は、複数のセンサ11によって検出されたセンサデータを収集する(ステップS11)。
次に、漏洩検出システム1は、センサデータの値に基づいて、ワイヤの振動レベルを算出する(ステップS12)。
次に、漏洩検出システム1は、各ワイヤ111の振動レベルを判定データベース203と照合する(ステップS13)。
次に、漏洩検出システム1は、判定データベース203との照合結果に基づいて、配管100の状態を判定する(ステップS14)。ステップS14の判定処理については、後ほど詳細に説明する。
次に、漏洩検出システム1は、判定結果を記録する(ステップS15)。
そして、漏洩検出システム1は、記録した判定結果を表示する(ステップS16)。
以上が、漏洩検出システム1の動作の概要についての説明である。
〔判定処理〕
図9は、漏洩検出システム1の判定装置20に含まれる判定部202による判定処理について説明するためのフローチャートである。図9のフローチャートに沿った説明においては、漏洩検出システム1を動作の主体として説明する。
まず、図9において、漏洩検出システム1は、ワイヤ111が振動しているか判断する(ステップS141)。
ワイヤ111が振動している場合(ステップS141でYes)、漏洩検出システム1は、振動しているワイヤ111の本数を判定する(ステップS142)。一方、ワイヤ111が振動していない場合(ステップS141でNo)、漏洩検出システム1は、配管100からの漏洩はないと判定する(ステップS143)。
ステップS142において、振動しているワイヤ111の本数が一本の場合(ステップS142でYes)、漏洩検出システム1は、振動しているワイヤ111の位置を判定する(ステップS144)。一方、振動しているワイヤ111の本数が二本以上の場合(ステップS142でNo)、漏洩検出システム1は、振動しているワイヤ111の振動の周期性を判定する(ステップS145)。
ステップS143において、振動しているワイヤ111の位置が配管100の真下である場合(ステップS143でYes)、漏洩検出システム1は、配管100からの漏洩が第1の漏洩状態であると判定する(ステップS146)。第1の漏洩状態は、配管100から少量の漏液がある状態である。
一方、振動しているワイヤ111の位置が配管100の真下ではない場合(ステップS143でNo)、漏洩検出システム1は、配管100からの漏洩が第2の漏洩状態であると判定する(ステップS147)。第2の漏洩状態は、配管100のどこかから中程度の漏液がある状態である。
ステップS145において、振動しているワイヤ111の振動が定期的かつ連続的(周期的)である場合(ステップS145でYes)、漏洩検出システム1は、配管100からの漏洩が第3の漏洩状態であると判定する(ステップS148)。第3の漏洩状態は、配管100のどこかから大量の漏液がある状態である。
一方、振動しているワイヤ111の振動が不定期かつ不連続(非周期的)である場合(ステップS145でNo)、漏洩検出システム1は、配管100からの漏洩がないと判定する(ステップS143)。
以上が、漏洩検出システム1の判定装置20に含まれる判定部202による判定処理についての説明である。
以上のように、本実施形態の漏洩検出システムは、漏洩検出構造と、検出装置と、判定装置とを備える。漏洩検出構造は、検査対象の配管の周囲に配置される複数のワイヤ(線状体)と、複数のワイヤを配管の周囲に張架させる張架構造と、を有する。検出装置は、複数のワイヤの状態を検出する少なくとも一つのセンサと、センサによって取得されるセンサデータを収集し、収集したセンサデータを送信するデータ収集手段と、を有する。判定装置は、データ収集手段によって送信されたセンサデータを受信し、受信したセンサデータを用いて複数のワイヤの状態を解析し、配管からの漏洩の有無を判定する。
本実施形態の漏洩検出方法においては、検査対象の配管の周囲に複数のワイヤ(線状体)を張架させておく。そして、実施形態の漏洩検出方法においては、複数のワイヤの状態を少なくとも一つのセンサによって検出し、センサによって取得されるセンサデータを収集し、収集したセンサデータを用いて複数のワイヤの状態を解析して配管からの漏洩の有無を判定する。
例えば、張架構造は、複数のワイヤ(線状体)のそれぞれの一端を配管に固定させる第1ワイヤ連結部(第1固定手段)と、複数の線状体のそれぞれの他端を配管に固定させる第2ワイヤ連結部(第2固定手段)と、を有する。センサは、第1ワイヤ連結部および第2ワイヤ連結部のうち少なくとも一方に設置される。本実施形態では、検出装置は、複数のワイヤのそれぞれに対応付けて設置される複数のセンサを有する。
本実施形態においては、複数のワイヤを配管の周囲に張り巡らせ、配管からの漏洩をワイヤの振動や張力などの状態によって検知する。本実施形態においては、対向する2枚のワイヤ連結部材の間に、一端にセンサが固定された複数のワイヤを一定の張力で張る。配管からの漏洩物によっていずれかのワイヤに何らかの衝撃が加わると、衝撃が加えられたワイヤに接続されたセンサが反応する。反応したセンサが接続されたワイヤを特定することによって、配管の漏洩箇所がそのワイヤの近傍であると判定される。本実施形態の漏洩検出システムの漏洩検出対象の配管を管理する管理者は、表示部によって表示された判定結果によって配管の状態を管理できる。
例えば、判定装置は、判定データベース(第1データベース)と、漏洩状態デーベース(第2データベース)と、計算部(計算手段)と、判定部(判定手段)と、記録部(記録手段)とを有する。判定データベースには、物理量データの大きさに基づいて、配管における漏洩の有無を判定するための第1判定基準が格納される。漏洩状態デーベースには、第1判定基準に基づいた判定結果が格納される。計算部は、検出装置から送信されるセンサデータを受信し、受信したセンサデータを物理量データに変換する。判定部は、計算部によって変換された物理量データを取得し、判定データベースに格納された第1判定基準を参照して物理量データの大きさを判定し、配管から漏洩の有無を判定した判定結果を出力する。記録手段は、判定部によって出力された判定結果を第2データベースに記録する。また、判定装置は、漏洩状態デーベースに格納された判定結果を表示させる表示部(表示手段)を有してもよい。
例えば、判定データベースには、配管からの漏洩状態を判定するための第2判定基準が格納される。判定部は、第1判定基準に基づいて配管に漏洩があると判定すると、判定データベースに格納された第2判定基準を参照して配管からの漏洩状態を判定する。
例えば、判定データベースには、第1乃至第3の漏洩状態と判定する第2判定基準が格納される。第1の漏洩状態は、複数の線状体のうち、配管の直下の位置のいずれかの線状体に振動が検知され、その他の線状体には振動が検知されなかった場合に判定される漏洩状態である。第2の漏洩状態は、複数の線状体のうち、配管の直下ではない位置のいずれかの線状体に振動が検知され、その他の線状体には振動が検知されなかった場合に判定される漏洩状態である。第3の漏洩状態は、複数の線状体に振動が検知され、その振動が周期的であった場合に判定される漏洩状態である。また、第1乃至第3の漏洩状態のいずれにも当てはまらない場合は、配管からの漏洩がないと判定される。判定部は、第1判定基準に基づいて配管に漏洩があると判定した際に、判定データベースに格納された第2判定基準を参照して配管の漏洩状態を判定する。
すなわち、本実施形態では、液体や気体などの流体がワイヤに接触したことを検知できるため、配管からの漏洩を確実に検出できる。本実施形態によれば、配管からの漏洩をワイヤの振動に置き換えて検知することで、配管からの漏洩の有無や漏洩状態を常時把握できるため、漏洩箇所の早期発見と早期修繕とが可能になる。また、本実施形態によれば、複数のワイヤによって配管の連結部分の漏れをセンシングするため、漏洩箇所を早期に特定したり、複数センサの比較によって漏洩状況を把握したりすることが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る漏洩検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の漏洩検出システムは、配管に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造の構成が第1の実施形態とは異なる。以下の説明においては、検出装置および判定装置については説明を省略する。
〔漏洩検出構造〕
図10は、本実施形態における漏洩検出対象の配管200に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造210について説明するための模式図である。図11は、図10のC-C’切断線で配管200を切断し、紙面に対して左方から見た際の左方側面図である。図12は、図10のD-D’切断線で配管200を切断し、紙面に対して右方から見た際の右方側面図である。
図10のように、漏洩検出構造210は、複数のワイヤ211、第1ワイヤ連結部212、第2ワイヤ連結部213、第1防振材214、第1固定部215、第2防振材216、および第2固定部217を備える。また、図10には、複数のセンサ21と収集部22を図示している。複数のセンサ21と収集部22とは電気的に接続される。
図10のように、複数のワイヤ211のそれぞれは、配管200の延伸方向に沿って配置される。図12のように、複数のワイヤ211は、配管200の周方向に沿って、配管200を取り巻くように配置される。
ワイヤ211の一端は、第1ワイヤ連結部212に連結される。ワイヤ211の他端は、第2ワイヤ連結部213に連結される。ワイヤ211は、第1防振材214および第2防振材216が配管200に固定されることによって、一定の張力がワイヤ211に掛かるように第1ワイヤ連結部212と第2ワイヤ連結部213との間に張られる。
また、複数のワイヤ211のそれぞれには、センサ21が接続される。図10には、複数のワイヤ211の一端側にセンサ21を接続する例を示す。
第1ワイヤ連結部212は、第1防振材214を介して配管200に固定される。図10には、一組の第1固定部215によって、第1防振材214を介して第1ワイヤ連結部212を配管200に固定する例を示す。第1ワイヤ連結部212の第1の面には、複数のワイヤ211の一端と、複数のセンサ21とが連結される。第1ワイヤ連結部212の第2の面には、第1防振材214の第1の面が固定される。第1ワイヤ連結部212の第1の面に設置された複数のセンサ21は、第1防振材214の第2の面に設置された収集部22と電気的に接続される。
第1防振材214は、第1固定部215によって配管200に固定される。図10には、一組の第1固定部215によって、第1防振材214を配管200に固定する例を示す。第1防振材214の第1の面には、第1ワイヤ連結部212が固定される。第1防振材214の第2の面には、ボルト220によって第1固定部215が固定される。また、図12のように、第1防振材214の第2の面には、収集部22が配置される。
第2ワイヤ連結部213は、第2防振材216を介して配管200に固定される。図10には、一組の第2固定部217によって、第2防振材216を介して第2ワイヤ連結部213を配管200に固定する例を示す。第2ワイヤ連結部213の第1の面には、複数のワイヤ211の他端が連結される。第2ワイヤ連結部213の第2の面には、第2防振材216の第1の面が固定される。
第2防振材216は、第2固定部217によって配管200に固定される。図10には、一組の第2固定部217によって、第2防振材216を配管200に固定する例を示す。第2防振材216の第1の面には、第2ワイヤ連結部213が固定される。第2防振材216の第2の面には、ボルト220によって第2固定部217が固定される。
第1固定部215は、複数のボルト220を用いて、第1防振材214を介して第1ワイヤ連結部212を配管200に固定するための部品である。第1固定部215の形状は、第1の実施形態の第1固定部115と同様である。
第2固定部217は、複数のボルト220を用いて、第2防振材216を介して第2ワイヤ連結部213を配管200に固定するための部品である。第2固定部217の形状は、第1の実施形態の第2固定部117と同様である。
複数のボルト220は、第1防振材214および第2防振材216を介して、第1ワイヤ連結部212および第2ワイヤ連結部213を配管200に固定するために用いられる。ボルト220の形状や材質などには、特に限定は加えない。
第1ワイヤ連結部212、第1防振材214、第1固定部215、および複数のボルト220は、第1ワイヤ固定部(第1固定手段とも呼ぶ)を構成する。第2ワイヤ連結部213、第2防振材216、第2固定部217、および複数のボルト220は、第2ワイヤ固定部(第2固定手段とも呼ぶ)を構成する。第1固定手段と第2固定手段とによって、ワイヤ張架手段が構成される。
以上が、本実施形態の漏洩検出構造210の構成についての説明である。漏洩検出構造210を用いた配管200の漏洩検出は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施形態においては、配管からの振動がセンサに伝達しにくいように、防振材を介してワイヤ連結部を配管に固定する。すなわち、本実施形態においては、防振材を介して張架構造を配管に固定する。そのため、本実施形態によれば、ワイヤの振動を検出する際に、配管からの振動に起因する攪乱を低減でき、漏洩の検出精度を向上できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る漏洩検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の漏洩検出システムは、複数のワイヤの状態を一つのセンサで検出する点が第2の実施形態とは異なる。以下の説明においては、検出装置および判定装置については説明を省略する。
〔漏洩検出構造〕
図13は、本実施形態における漏洩検出対象の配管300に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造310について説明するための模式図である。図14は、図13のE-E’切断線で配管300を切断し、紙面に対して左方から見た際の左方側面図である。図15は、図13のF-F’切断線で配管300を切断し、紙面に対して右方から見た際の右方側面図である。
図13のように、漏洩検出構造310は、複数のワイヤ311、第1ワイヤ連結部312、第2ワイヤ連結部313、第1防振材314、第1固定部315、第2防振材316、および第2固定部317を備える。また、図13にはセンサ31を図示している。また、図14には収集部32を図示している。センサ31と収集部32とは電気的に接続される。
図13のように、複数のワイヤ311のそれぞれは、配管300の延伸方向に沿って配置される。図15のように、複数のワイヤ311は、配管300の周方向に沿って、配管300を取り巻くように配置される。
ワイヤ311の一端は、第1ワイヤ連結部312に連結される。ワイヤ311の他端は、第2ワイヤ連結部313に連結される。ワイヤ311は、第1防振材314および第2防振材316が配管300に固定されることによって、一定の張力がワイヤ311に掛かるように第1ワイヤ連結部312と第2ワイヤ連結部313との間に張られる。
第1ワイヤ連結部312は、第1防振材314を介して配管300に固定される。図13には、一組の第1固定部315によって、第1防振材314を介して第1ワイヤ連結部312を配管300に固定する例を示す。第1ワイヤ連結部312の第1の面には、複数のワイヤ311の一端が連結される。第1ワイヤ連結部312の第2の面には、第1防振材314の第1の面が固定される。また、第1ワイヤ連結部312には、第1防振材314に形成させた切欠き部分にセンサ31が設置される。
第2ワイヤ連結部313は、第2防振材316を介して配管300に固定される。図13には、一組の第2固定部317によって、第2防振材316を介して第2ワイヤ連結部313を配管200に固定する例を示す。第2ワイヤ連結部313の第1の面には、複数のワイヤ311の他端が連結される。第2ワイヤ連結部313の第2の面には、第2防振材316の第1の面が固定される。
第1防振材314は、第1固定部315によって配管300に固定される。図13には、一組の第1固定部315によって、第1防振材314を配管300に固定する例を示す。第1防振材314の第1の面には、第1ワイヤ連結部312が固定される。第1防振材314の第2の面には、ボルト320によって第1固定部315が固定される。また、図14のように、第1防振材314の第2の面には、収集部32が配置される。第1防振材314の一部には切欠き部分が形成され、その切欠き部分から露出する第1ワイヤ連結部312にセンサ31が設置される。
第1固定部315は、複数のボルト320を用いて、第1防振材314を介して第1ワイヤ連結部312を配管300に固定するための部品である。第1固定部315の形状は、第1の実施形態の第1固定部115と同様である。
第2防振材316は、第2固定部317によって配管300に固定される。図13には、一組の第2固定部317によって、第2防振材316を配管300に固定する例を示す。第2防振材316の第1の面には、第2ワイヤ連結部313が固定される。第2防振材316の第2の面には、ボルト320によって第2固定部317が固定される。
第2固定部317は、複数のボルト320を用いて、第2防振材316を介して第2ワイヤ連結部313を配管300に固定するための部品である。第2固定部317の形状は、第1の実施形態の第2固定部117と同様である。
複数のボルト320は、第1防振材314および第2防振材316を介して、第1ワイヤ連結部312および第2ワイヤ連結部313を配管300に固定するために用いられる。ボルト320の形状や材質などには、特に限定は加えない。
第1ワイヤ連結部312、第1防振材314、第1固定部315、および複数のボルト320は、第1ワイヤ固定部(第1固定手段とも呼ぶ)を構成する。第2ワイヤ連結部313、第2防振材316、第2固定部317、および複数のボルト320は、第2ワイヤ固定部(第2固定手段とも呼ぶ)を構成する。第1固定手段と第2固定手段とによって、ワイヤ張架手段が構成される。
以上が、本実施形態の漏洩検出構造310の構成についての説明である。
ここで、本実施形態の漏洩検出構造310を用いた漏洩検出方法について簡単に説明する。以下の説明においては、第1の実施形態の判定装置20(図6)によって漏洩の有無を判定する例を示す。
配管300からの漏洩に起因して、漏洩検出構造310を構成する複数のワイヤ311のいずれかに衝撃が加わると、第1ワイヤ連結部312に振動が伝わり、第1ワイヤ連結部312に設置されたセンサ31によって振動が検知される。センサ31は、検出した信号に基づいたセンサデータを収集部32に送信する。
収集部32は、受信したセンサデータを収集し、収集したデータを所定のタイミングで判定装置20に送信する。
判定装置20は、収集部32からのデータを解析し、ワイヤ311の振動レベルに基づいて、配管300における漏洩の有無を判定する。本実施形態において、判定装置20は、配管300からの漏洩の有無のみを検出すればよい。判定装置20は、判定結果を記録し、記録した判定結果を表示する。例えば、図7の漏洩状態テーブル250の形式で判定結果を表示させる場合、配管番号、検出装置番号、アラーム、およびアラーム発生日時の項目が記録される。
以上のように、本実施形態においては、複数のワイヤのそれぞれにセンサを設置せずに、第1ワイヤ連結部に一つのセンサを設置する。
例えば、張架構造は、複数のワイヤ(線状体)のそれぞれの一端を配管に固定させる第1ワイヤ連結部(第1固定手段)と、複数の線状体のそれぞれの他端を配管に固定させる第2ワイヤ連結部(第2固定手段)と、を有する。センサは、第1ワイヤ連結部および第2ワイヤ連結部のうち一方に設置される。
本実施形態では、複数のワイヤごとにセンサが独立していないため、漏洩状態の検出はできないが、漏洩の有無は判定できる。そのため、本実施形態によれば、センサの数を削減できるため、漏洩検出システムを構築するコストを削減できる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る漏洩検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の漏洩検出システムは、配管の連結部分を含めて、配管からの漏洩を検出するように構成される点が第2の実施形態とは異なる。以下の説明においては、検出装置および判定装置については説明を省略する。
〔漏洩検出構造〕
図16は、本実施形態における漏洩検出対象の配管401および配管402に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造410について説明するための模式図である。漏洩検出構造410は、配管連結部403によって連結された配管401と配管402とを漏洩検出対象とする。図17は、図16のG-G’切断線で配管401を切断し、紙面に対して右方から見た際の右方側面図である。
図16のように、漏洩検出構造410は、複数のワイヤ411、第1ワイヤ連結部412、第2ワイヤ連結部413、第1防振材414、第1固定部415、第2防振材416、および第2固定部417を備える。また、図16には、複数のセンサ41と収集部42とを図示している。複数のセンサ41と収集部42とは電気的に接続される。
図16のように、複数のワイヤ411のそれぞれは、配管401および配管402の延伸方向に沿って配置される。図17のように、複数のワイヤ411は、配管401および配管402の周方向に沿って、配管401および配管402を取り巻くように配置される。複数のワイヤ411は、配管連結部403を跨いで配置される。
ワイヤ411の一端は、第1ワイヤ連結部412に連結される。ワイヤ411の他端は、第2ワイヤ連結部413に連結される。ワイヤ411は、第1防振材414が配管401に固定され、第2防振材416が配管402に固定されることによって、一定の張力がワイヤ411に掛かるように第1ワイヤ連結部412と第2ワイヤ連結部413との間に張られる。
また、複数のワイヤ411のそれぞれには、センサ41が接続される。図16には、複数のワイヤ411の一端側にセンサ41を接続する例を示す。
第1ワイヤ連結部412は、第1防振材414を介して配管401に固定される。図16には、一組の第1固定部415によって、第1防振材414を介して第1ワイヤ連結部212を配管401に固定する例を示す。第1ワイヤ連結部412の第1の面には、複数のワイヤ411の一端と、複数のセンサ41とが連結される。第1ワイヤ連結部412の第2の面には、第1防振材414の第1の面が固定される。第1ワイヤ連結部412の第1の面に設置された複数のセンサ41は、第1防振材414の第2の面に設置された収集部(図示しない)と電気的に接続される。
第2ワイヤ連結部413は、第2防振材416を介して配管402に固定される。図16には、一組の第2固定部417によって、第2防振材416を介して第2ワイヤ連結部413を配管402に固定する例を示す。第2ワイヤ連結部413の第1の面には、複数のワイヤ411の他端が連結される。第2ワイヤ連結部413の第2の面には、第2防振材416の第1の面が固定される。
第1防振材414は、第1固定部415によって配管401に固定される。図16には、一組の第1固定部415によって、第1防振材414を配管401に固定する例を示す。第1防振材414の第1の面には、第1ワイヤ連結部412が固定される。第1防振材414の第2の面には、ボルト420によって第1固定部415が固定される。また、第1防振材414の第2の面には、収集部(図示しない)が配置される。
第1固定部415は、複数のボルト420を用いて、第1防振材414を介して第1ワイヤ連結部412を配管401に固定するための部品である。第1固定部415の形状は、第1の実施形態の第1固定部115と同様である。
第2防振材416は、第2固定部417によって配管402に固定される。図16には、一組の第2固定部417によって、第2防振材416を配管402に固定する例を示す。第2防振材416の第1の面には、第2ワイヤ連結部413が固定される。第2防振材416の第2の面には、ボルト420によって第2固定部417が固定される。
第2固定部417は、複数のボルト420を用いて、第2防振材416を介して第2ワイヤ連結部413を配管402に固定するための部品である。第2固定部417の形状は、第1の実施形態の第2固定部117とは異なり、平板状である。
複数のボルト420は、第1防振材414および第2防振材416を介して、第1ワイヤ連結部412配管401に固定し、第2ワイヤ連結部413を配管402に固定するために用いられる。ボルト420の形状や材質などには、特に限定は加えない。
第1ワイヤ連結部412、第1防振材414、第1固定部415、および複数のボルト420は、第1ワイヤ固定部(第1固定手段とも呼ぶ)を構成する。第2ワイヤ連結部413、第2防振材416、第2固定部417、および複数のボルト420は、第2ワイヤ固定部(第2固定手段とも呼ぶ)を構成する。第1固定手段と第2固定手段とによって、ワイヤ張架手段が構成される。
以上が、本実施形態の漏洩検出構造410の構成についての説明である。漏洩検出構造410を用いた配管401および配管402の漏洩検出は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施形態においては、複数のワイヤを配管連結部を跨ぐように配置することによって、配管連結部からの漏洩を検出することもできる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る漏洩検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の漏洩検出システムは、配管の屈曲部分を含めて、配管からの漏洩を検出するように構成される点が第2の実施形態とは異なる。以下の説明においては、検出装置および判定装置については説明を省略する。
〔漏洩検出構造〕
図18は、本実施形態における漏洩検出対象の配管500に発生しうる漏洩を検出するための漏洩検出構造510について説明するための模式図である。図19は、図18のH-H’切断面における断面図である。
図18のように、漏洩検出構造510は、複数のワイヤ511、第1ワイヤ連結部512、第2ワイヤ連結部513、第1防振材514、第1固定部515、第2防振材516、第2固定部517、およびワイヤ支持板518を備える。また、図18には、複数のセンサ51と二つの収集部52とを図示している。複数のセンサ51は、二つの収集部52のいずれかに電気的に接続される。以下においては、二つの収集部52が同じ構成を有するものとして説明する。
図18のように、複数のワイヤ511のそれぞれは、配管500の延伸方向に沿って配置される。複数のワイヤ511は、配管500の周方向に沿って、配管500を取り巻くように配置される。なお、図19のように、複数のワイヤ511のそれぞれと配管500との間隔は、ワイヤ511ごとに異なっているが、同じ感覚になるように配置してもよい。
ワイヤ511の一端は、第1ワイヤ連結部512に連結される。ワイヤ511の他端は、第2ワイヤ連結部513に連結される。ワイヤ511は、第1防振材514および第2防振材516が配管500に固定されることによって、ワイヤ支持板518を介して、一定の張力がワイヤ511に掛かるように第1ワイヤ連結部512と第2ワイヤ連結部513との間に張られる。
また、複数のワイヤ511のそれぞれには、センサ51が接続される。図18には、複数のワイヤ511の両端にセンサ51を接続する例を示す。
第1ワイヤ連結部512は、第1防振材514を介して配管500に固定される。図18には、一組の第1固定部515によって、第1防振材514を介して第1ワイヤ連結部512を配管500に固定する例を示す。第1ワイヤ連結部512の第1の面には、複数のワイヤ511の一端と、複数のセンサ51とが連結される。第1ワイヤ連結部512の第2の面には、第1防振材514の第1の面が固定される。第1ワイヤ連結部512の第1の面に設置された複数のセンサ51は、第1防振材514の第2の面に設置された収集部52と電気的に接続される。
第2ワイヤ連結部513は、第2防振材516を介して配管500に固定される。図18には、一組の第2固定部517によって、第2防振材516を介して第2ワイヤ連結部513を配管500に固定する例を示す。第2ワイヤ連結部513の第1の面には、複数のワイヤ511の他端と、複数のセンサ51とが連結される。第2ワイヤ連結部513の第2の面には、第2防振材516の第1の面が固定される。第2ワイヤ連結部513の第1の面に設置された複数のセンサ51は、第2防振材516の第2の面に設置された収集部52と電気的に接続される。
第1防振材514は、第1固定部515によって配管500に固定される。図18には、一組の第1固定部515によって、第1防振材514を配管500に固定する例を示す。第1防振材514の第1の面には、第1ワイヤ連結部512が固定される。第1防振材514の第2の面には、ボルト520によって第1固定部515が固定される。また、第1防振材514の第2の面には、収集部52が配置される。
第2防振材516は、第2固定部517によって配管500に固定される。図18には、一組の第2固定部517によって、第2防振材516を配管500に固定する例を示す。第2防振材516の第1の面には、第2ワイヤ連結部513が固定される。第2防振材516の第2の面には、ボルト520によって第2固定部517が固定される。また、第2防振材516の第2の面には、収集部52が配置される。
第1固定部515は、複数のボルト520を用いて、第1防振材514を介して第1ワイヤ連結部512を配管500に固定するための部品である。第1固定部515の形状は、第1の実施形態の第1固定部115と同様である。
第2固定部517は、複数のボルト520を用いて、第2防振材516を介して第2ワイヤ連結部513を配管500に固定するための部品である。第2固定部517の形状は、第1の実施形態の第2固定部117と同様である。
ワイヤ支持板518(張架方向変更手段ともよぶ)は、配管500の屈曲部分に設置される。図19のように、ワイヤ支持板518には、複数のワイヤ511を通すためのワイヤ支持孔519が開けられる。ワイヤ支持板518のワイヤ支持孔519にワイヤ511を通して、第1ワイヤ連結部512と第2ワイヤ連結部513とにワイヤ511を張ることによって、ワイヤ支持板518を介してワイヤ511の延伸方向を変更できる。例えば、ワイヤ支持板518を防振材で構成すれば、配管500の振動を複数のワイヤ511に伝えにくくできる。
複数のボルト520は、第1防振材514および第2防振材516を介して、第1ワイヤ連結部512および第2ワイヤ連結部513を配管500に固定するために用いられる。ボルト520の形状や材質などには、特に限定は加えない。
第1ワイヤ連結部512、第1防振材514、第1固定部515、および複数のボルト520は、第1ワイヤ固定部(第1固定手段とも呼ぶ)を構成する。第2ワイヤ連結部513、第2防振材516、第2固定部517、および複数のボルト520は、第2ワイヤ固定部(第2固定手段とも呼ぶ)を構成する。第1固定手段と第2固定手段とによって、ワイヤ張架手段が構成される。
以上が、本実施形態の漏洩検出構造510の構成についての説明である。漏洩検出構造510を用いた配管500の漏洩検出は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施形態において、漏洩検出構造は、複数のワイヤ(線状体)の張架方向を変更させるワイヤ支持板(張架方向変更手段)を有する。複数のワイヤは、ワイヤ支持板に形成された貫通孔を通して配置され、貫通孔において屈曲される。
本実施形態によれば、配管の屈曲部分にも漏洩検出構造を配置できるため、配管の屈曲部分からの漏洩も検出できる。
(ハードウェア)
ここで、本発明の第1の実施形態に係る判定装置20を実現するハードウェア構成について、図20の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、図20の情報処理装置90は、判定装置20を実現するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
図20のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96を備える。図20においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、バス99を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、判定装置20による処理を実行する。
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
また、情報処理装置90には、必要に応じて、ディスクドライブを備え付けてもよい。ディスクドライブは、バス99に接続される。ディスクドライブは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。
以上が、判定装置20を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図20のハードウェア構成は、判定装置20演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、判定装置20に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
判定装置20の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、判定装置20の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。