JP7047343B2 - 電圧制御用計算装置、電圧制御用計算方法、および電圧制御用計算プログラム - Google Patents

電圧制御用計算装置、電圧制御用計算方法、および電圧制御用計算プログラム Download PDF

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本発明は、電圧制御用計算装置、電圧制御用計算方法、および電圧制御用計算プログラムに関する。
配電系統においては、LRT(Load Ratio Control Transformer)、SVR(Step Voltage Regulator)等の電圧制御機器が設置されている。電圧制御機器は、内蔵する変圧器の二次側の変圧比をタップ動作により制御することにより、負荷側の配電線の電圧の調整を行う。
電圧制御機器の設置位置(設置点とも記載する)が、電圧の値を補償すべき位置(制御目標点とも記載する)から離れている場合、制御目標点の電圧は、これら2つの位置の間の線路のインピーダンスや、負荷電流によって生じる電圧降下又は上昇により、電圧制御機器から出力される電圧から変化する。そのため、電圧制御機器の二次側電圧が一定値に維持されていても、電圧制御機器からインピーダンスを介した制御目標点においては、負荷変動により電圧が変動する。
図1は、設置点と制御目標点との間の線路における電圧の変化を例示する。図1には、制御目標点の電圧を、常に目標とする電圧の値(目標電圧とも記載する)から一定範囲に維持するための線路電圧降下補償器(LDC: Line Drop Compensator)が有る場合と無い場合の電圧の変化が示されている。なお、目標電圧は例えば6600Vであり、ここでの一定範囲とは例えば6600Vの2%から5%の範囲であるとする。なお、この範囲にある電圧を制御目標電圧とも記載する。
図1にはまた、線路における負荷が大きい場合と小さい場合における電圧の変化が示されている。LDCが無い場合、制御目標点における電圧には、軽負荷時において目標電圧からVd1の偏差が生じ、重負荷時において目標電圧からVd2の偏差が生じている。なお、Vd1<Vd2である。LDCは、線路における負荷に応じ、設置点における電圧を昇降させる。このため、図1に示されるように、LDCが有る場合では、軽負荷時においても重負荷時においても、制御目標点の電圧は、目標電圧、又は目標電圧から一定範囲の電圧となる。
LDCにおける電圧制御の一例を端的に説明する。電圧制御機器の二次側電圧値をV、電圧制御機器を通過する電流(通過電流とも記載する)をI(I=Ire+jIim)、制御目標点のインピーダンスをZ(Z=r+jx)とすると、制御目標点の電圧Vは、近似的に以下の数1式から算出される。
Figure 0007047343000001
ここでIreは通過電流の実部であり、有効電流を表し、Iimは通過電流の虚部であり、無効電流を表す。また、jは虚数の単位を表す。またrは抵抗を表し、jxはリアクタンスを表す。またここでの単位は、全て基準電圧[kV]と基準容量[kVA]によるpu値である。
数1式により算出された制御目標点の電圧Vが制御目標電圧Vrefとなるように、LDCは、電圧制御機器の二次側電圧を制御する。そのために、LDCは、V=Vrefとなるように、電圧制御機器の二次側電圧値Vが以下の数2式を満たすように変圧比を制御する。
Figure 0007047343000002
ここで、制御目標点は必ずしも配電線上にあるとは限らないため、制御目標点のインピーダンスのrとxの比率は、配電線のインピーダンスのrとxの比率と等しくなくともよい。このことは、以下の記載において同様である。
数1式および数2式におけるx、r、Vrefは、電圧制御機器による制御の前に、LDCにより設定される電圧制御機器のパラメータであり、これらの値は整定値と呼ばれる。なお、以下では、これらx、r、Vrefを整定値パラメータと記載する。また、これらの値、およびこれらパラメータの各々に値を入れた場合におけるx、r、Vrefを整定値とも記載する。これら整定値の算出方法としては、重負荷時の電圧制御機器の二次側電圧と通過電流と目標電圧とを用いて、計算式により求める方法が知られる(非特許文献1)。
一方、近年では、配電系統への再生可能エネルギーの導入が拡大しつつある。しかしながら、非特許文献1では、このような再生可能エネルギーの導入による力率変化や逆潮時の電圧上昇について考慮されているとは限らない。これらを考慮した手法として、配電系統におけるセンサー等によるデータであって、重負荷時や逆潮時を含む指定された期間におけるデータを用いて重回帰分析を行うことにより、整定値を算出する手法が提案されている。例えば、各時刻における電圧制御機器の二次側電圧と負荷側のノードの電圧の分布を用いて、電圧制御機器の理想的な二次側電圧を算出し、時系列の通過電流を用いて、電圧制御機器の理想的な二次側電圧が数2式の右辺と一致するよう重回帰分析を行う手法が提案されている(特許文献1)。
特開第2010-220283号公報
関根泰次著、「配電技術総合マニュアル」、オーム社、1991年、p.391―397
しかし、制御目標点における電圧を、rやxなどの整定値から数1式を用いて推定する場合、以下の問題が生じる。
1つ目は、電圧制御機器に入力される電力の有効電力と無効電力との間の相関が強い場合、適切に整定値r、xを算出することができないため、制御目標点の電圧を適切に推定することができない。
2つ目は、電圧制御機器に入力される有効電力と無効電力との間の比が大きく異なる場合、大きい比率の成分(例えば有効電力や通過電流の実数部)の推定誤差やノイズの影響等により、小さい比率の成分(例えば無効電力や通過電流の虚数部)の係数(例えば整定値x)を適切に算出できず、これにより制御目標点の電圧を適切に推定することができない。
前者は、電圧制御機器の二次側における需要家側の多くが、力率が一定の負荷や電源である場合等において起こり得る。このような場合、有効電力と無効電力は、ほぼ一定の割合で変化するため、これらの間に強い相関が認められる。そしてこのことは、有効電流と無効電流に関する各係数(整定値r、x)の算出の際に、多重共線性の問題として現れ、これにより、数1式又は数2式等の線形式において、有効電流と無効電流の各係数(整定値r、x)は、適切に算出されなくなる。そしてこれにより制御目標点における電圧を適切に推定することができなくなる。なお、多重共線性とは、変数間に強い相関が認められることから、正しく計算が行えない状態を指す。
後者は、再生可能エネルギーの増大等により、有効電力の出力値や変化量が、無効電力の出力値や変化量に比べ、非常に大きくなる場合等に起こり得る。このような場合、無効電力は有効電力の推定誤差やノイズ等の影響を受け、無効電流(電流の虚数部)の係数である整定値xが一律に定まらなくなる。そしてこれにより、制御目標点の電圧を適切に推定することができなくなる。
電圧制御装置の二次側において、配電系統における抵抗等による電圧降下等の理由から、整定値r、xは正の値となるはずであるが、上述のことより、整定値r、xの少なくとも一方は、電圧制御機器等の設定範囲外の負の値として算出されるような場合が生じ得る。
上述のことより、電力(又は電流)等を調べ、整定値r、xの算出において適切な値が得られるか否かを検証する必要性、また適切な整定値が得られないと考えられる場合にはどのような対策を行うか検討する必要性がある。
配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出する電圧制御用計算装置は、整定値計算前処理部と整定値計算部とを備える。整定値計算前処理部は、測定点における有効電力と無効電力、又は、測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データを用いる統計処理により得られた値と、閾値とを比較し、適切な整定値が算出可能か否かを判定し、適切な整定値を算出できないと判定した場合には、整定値を固定値とする。整定値計算部は、整定値計算前処理部により、適切な整定値が算出可能と判定された場合に、整定値を算出する。
本発明の一態様によれば、適切ではない整定値の設定を未然に防止することが可能となる。
設置点と制御目標点との間の線路における電圧の変化を例示する図である。 実施形態に係る配電システムを例示する図である。 整定値計算装置の整定値計算前処理部による処理のフローを例示する。 相関分析を用いる、適切な整定値の算出の可否の判定に係る処理のフローを例示する図である。 配電系統における電圧等を用いて算出された整定値r、xを表したものの一例を示す図である。 仮説検定を用いる場合における整定値計算装置による処理のフローの一例を示す図である。 信頼度を用いる場合における整定値計算装置による処理のフローの一例を示す図である。 整定値計算装置のハードウェア構成を例示する図である。 その他の実施形態に係る整定値計算装置の機能ブロックを例示する図である。 入出力部により出力される画像を例示する図である。 整定値計算装置のハードウェア構成を例示する図である。
図2は、本実施形態に係る配電システム1を例示する。配電システム1は、電圧制御装置2、および整定値計算装置(電圧制御用計算装置)3等を有し、適宜、負荷や分散電源等を含む。また、配電システム1は、二次側に、1以上の電圧測定装置4を有してもよい。なお、図2において、電圧制御装置2と整定値計算装置3とは、互いに分離して示されているが、これらは一体であってもよい。図2における太線は配電線を示し、矢印付きの破線はその矢印方向へのデータの流れを示し、矢印付き破線の下の文字はやりとりされるデータを示す。
電圧制御装置2は、測定部20、制御部21、および通信部22を備える。測定部20は、電圧制御装置2の二次側電圧、通過電流(又は電力)、二次側電圧と通過電流の各位相を測定する。この測定部20により取得されたデータ、およびこれらデータが測定された地点を、以下では、それぞれ測定データ、測定点とも記載する。
測定部20は、通信部22および通信網を介し、整定値計算装置3へ測定データを送信する。
制御部21は、通信網および通信部22を介し、整定値計算装置3から整定値を取得し、この整定値に基づき、LDC制御により変圧比を制御し、二次側電圧を補償する。
通信部22は、測定部20からの指示等に基づき、通信網を介して整定値計算装置3に測定データを送信する。また通信部22は、通信網を介して受信した整定値計算装置3からの整定値を制御部21へ出力する。なお、通信網は、例えばインターネット、イントラネット、又は専用回線等である。
整定値計算装置3は、通信処理部30、記憶部31、整定値計算前処理部32、および整定値計算部33等を備える。通信処理部30は、電圧制御装置2や電圧測定装置4等との間で通信網を介して情報の授受を行う。通信処理部30は、電圧制御装置2から受信した測定データ、又は電圧測定装置4から受信した電圧に係るデータ等を、記憶部31に記憶する。また通信処理部30は、整定値計算部33により算出等された整定値を電圧制御装置2へ送信する。
記憶部31は、電圧制御装置2から受信した測定データを記憶する。この測定データは、記憶部31において、一定期間分、保持される。この一定期間とは、例えば、1週間、1か月、1年等である。
整定値計算前処理部32は、指定期間(例えば1日)における測定データを記憶部31から読み出し、これに基づいて後述する整定値計算前処理を実行する。このとき、整定値計算前処理部32は、適切な整定値が算出可能か否かを判定し、適切な整定値が算出不可能な場合には、この整定値に対応する整定値パラメータに対し固定値を与える。なお、適切な整定値とは、電圧制御対象装置2の設定範囲の値であり、制御目標点における電圧を制御目標電圧へと制御するための最適な整定値を指すものとする。また、整定値を適切に算出可能とは、整定値計算装置3が、適切な整定値を算出できることを指すものとする。また固定値とは、整定値の設定範囲における予め定められた値であり、これを整定値として用いても、制御目標点での電圧が、制御目標電圧から逸脱しない値を指すものとする。
整定値計算前処理部32は、判定結果や、固定値とされた整定値等を、整定値計算部33へ出力する。
整定値計算部33は、整定値計算前処理部32による処理に基づき、適切に算出可能と判定された整定値を、記憶部31から読み出した測定データを用いて算出する。また整定値計算部33は、算出した整定値、又は整定値計算前処理部32により固定値とされた整定値を、通信処理部30および通信網を介して電圧制御装置2へ送信する。
1以上の電圧測定装置4は、二次側に設置され、それぞれ設置位置における電圧を測定し、この測定した電圧を、通信網を介して整定値計算装置3へ送信する。1以上の電圧測定装置4のうちの少なくとも1つは、制御目標点に設置されてもよい。
整定値計算装置3の通信処理部30は、1以上の電圧測定装置4から受信した各電圧のデータを、記憶部31に記憶する。また整定値計算前処理部32は、記憶部31からこれらデータを読み取り、整定値が適切に算出可能か否かの判定を行う。
図2における負荷は、二次側において配電線に接続された、需要家等の、電力を消費する任意のノードである。また分散電源は、配電系統において分散して配置された、電力を配電線に供給する電源である。
図3は、整定値計算装置3の整定値計算前処理部32による処理のフローを例示する。整定値計算前処理部32は、記憶部31から、指定期間における測定データを取得する(ステップS100)。
続いて、整定値計算前処理部32は、ステップS100で取得した測定データを用いて、後述する統計処理を行い、適切な整定値の算出可否の判定を行う(ステップS101)。
また続いて、整定値計算前処理部32は、適切な整定値が算出不可能な整定値パラメータに対し、固定値を設定する。そして整定値計算前処理部32は、適切な整定値が算出不可能な整定値パラメータの情報、この整定値パラメータに設定する固定値、ステップS101の判定結果、又は適切な整定値が算出可能な整定値パラメータの情報等を、整定値計算部33へ出力する(ステップS102)。なお、これらのように、整定値計算部33による処理に必要となる情報であって、整定値計算前処理部32から整定値計算部33へと出力される情報を、以下では判定結果情報とも記載する。
ステップS101において実行される統計処理は、例えば、相関分析や仮説検定等の処理であり、電圧制御機器2の二次側電圧、通過電流の実数部と虚数部(又は有効電力と無効電力)等の、測定データに含まれる、あるいは測定データから導かれる情報を用いて行われる。
まず、相関分析を行って適切な整定値が算出可能か否かを判定する処理について説明する。相関分析においては、測定データ中の、又は測定データから求められる有効電力と無効電力が用いられ、これらの間の相関の有無が調べられる。
有効電力と無効電力の相関が強い場合、線形モデルの前提である、互いの変数の独立性が失われることになる。すなわち、変数である有効電力と無効電力は、互いに独立ではなくなる。このような場合、得られる整定値の符号が電圧制御装置2の設定対象外のマイナスとなる可能性や、一方の電力(例えば有効電力)が他方の電力(例えば無効電力)に比べて非常に大きくなることで一方の電力からのノイズの影響を他方の電力が受けて当該他方の電力に関する整定値が適切に算出できない可能性や、整定値r、xの組合せの候補が無数に生じることにより適切な整定値が得ることができなくなる可能性がある。
本実施形態に係る整定値計算前処理部32は、VIF(Variance Inflation Factor)統計量を用い、有効電力と無効電力の相関の有無の判定を行う。ただし、用いられる統計量は、これに限定されない。
整定値計算前処理部32は、有効電力と無効電力との間に相関があると判定した場合、例えば整定値パラメータxに対し、固定値として例えば0を設定する。これにより整定値計算前処理部32は、固定値とした整定値を、後続の整定値計算部33による算出処理の対象から除外する。この場合、整定値計算部33は、整定値計算前処理部32からの判定結果情報に基づき、整定値パラメータxの整定値を0とし、整定値rの算出処理を実行する。
一方、整定値計算前処理部32が、有効電力と無効電力との間に相関がないと判定した場合には、整定値計算部33は、整定値計算前処理部32からの判定結果情報に基づいて、整定値rおよびxの算出処理を実行する。
以下、相関分析を用いての、適切な整定値の算出の可否について詳細に述べる。整定値計算前処理部32は、以下の数3式を用いて、相関係数を算出する。
Figure 0007047343000003
ここで、iは、1<i<Nの連続する番号であり、指定期間における測定データのインデックスに相当する。またNは、指定期間における測定データの総数に相当し、PとQは、それぞれi番目の測定データにおける有効電力と無効電力に相当する。また、PとQの上部に「^」を付したものは、それぞれ有効電力と無効電力の、N個の測定データの平均値である。なお、この数3式におけるrは、相関係数を示すものであり、整定値や整定値パラメータのrとは異なる。この相関係数rを、整定値又は整定値パラメータのrと区別するため、以下ではRとも記載することがあるものとする。この数3式において、分子には有効電力と無効電力の共分散が示され、分母には有効電力と無効電力の標準偏差の積が示されている。整定値計算前処理部32は、相関係数Rを用いて、VIF統計量を、以下の数4式から求める。
Figure 0007047343000004
ここでのrは相関係数Rに相当する。
VIF統計量は、相関係数Rが大きいほど、すなわち相関係数Rが1に近いほど、大きい値となる。一般的に、VIF統計量が10より大きい場合には、有効電力と無効電力との間の多重共線性が疑われる。このような場合には、整定値計算前処理部32は、無効電力に関する整定値パラメータxに、固定値として0を設定する。そして、整定値計算前処理部32は、整定値x(=0)と、有効電力に関する整定値rの算出指示等を含む判定結果情報を整定値計算部33へ出力する。
一方、VIF統計量が10以下の場合には、整定値計算前処理部32は、有効電力と無効電力との間に多重共線性はないと判定し、この判定結果に基づき整定値計算部33は、有効電力および無効電力に関する各整定値r、xを算出する。
なお、本実施形態に係る整定値計算装置3は、有効電力と無効電力との間に相関があると判定した場合に、xを0とし、無効電力についての計算を行わず、有効電力のみについて計算(整定値rの算出)を行っている。この理由は、配電系統においては、有効電力の時間的な変動量の絶対値が、無効電力の時間的な変動量の絶対値に比べて大きいためである。そしてこれにより、無効電力が有効電力からのノイズ等の影響を受け、整定値xが適切に求まらないと考えられるからである。
なお上述したように、整定値xを0とするのではなく、例えば、配電線上における任意の点において、整定値rと整定値xの比を推測し、この推測した比率に基づき、整定値r、xを算出してもよい。例えば、需要家側の力率を推測し、これを用いて整定値r、xを算出してもよい。あるいは、配電線上の或る点を推測点とし、当該推測点における配電線のインピーダンスのrとxの比率を用いて、整定値r、xを算出してもよい。
図4は、相関分析を用いる、適切な整定値の算出の可否の判定に係る処理のフローを例示する。ステップS200において、整定値計算前処理部32は、指定期間における測定データからの有効電力および無効電力から相関係数Rを算出する。続いて、整定値計算前処理部32は、算出した相関係数RからVIF統計量を算出する(ステップS201)。
VIF統計量が10以下の場合(ステップS202:NO)、整定値計算前処理部32は、整定値r、xが適切に算出可能であると判定する(ステップS203)。
一方、VIF統計量が10より大きい場合(ステップS202:YES)、整定値計算前処理部32は、整定値r又はxを適切に算出できないと判定する。そして整定値計算前処理部32は、整定値パラメータx(又はr)に、固定値(例えば0)を設定し、整定値r(又はx)の算出指示等を整定値計算部33に出力する(ステップS204)。
整定値計算部33は、ステップS203の判定結果に基づいて整定値r、xを算出、又は、ステップS204に基づく判定結果情報に基づいて整定値x(=0)(又はr(=0))を保持しながら、適切に算出可能な整定値r(又はx)を算出する(ステップS205)。なお、ここでの保持とは、固定値とされた整定値の電圧制御装置2への出力のための一定期間のものを指す。
さて上記相関分析を用いての整定値の計算は、有効電力と無効電力との間に相関が認められる場合に、有効な手法である。しかし、有効電力と無効電力との間に相関が認められない場合においても、適切に整定値が算出できるとは限らない場合がある。例えば、配電系統への再生可能エネルギーを含む分散電源の大量導入により、有効電力の時間的変動が無効電力の時間的変動に比べて非常に大きくなる場合があり得、これにより、電圧変動に対する無効電力による影響が非常に小さくなり、整定値xを適切に算出することが困難となる場合がある。この場合においては、電圧変動に対し支配的である整定値rを用いて電圧変動を推定する必要がある。この場合において用いられる統計処理として、上記相関分析に代わり、仮説検定が用いられてもよい。なお、この仮説検定は、有効電力と無効電力に相関が認められる場合にも用いられてよい。
まず、整定値r、xについて線形モデルを以下の数5式で与える。
Figure 0007047343000005
ここでのVcは、制御目標点において測定された電圧、又は推定された電圧である。また、P、Qは、それぞれ測定点における有効電力と無効電力である。またbは、バイアスに相当する。ここでは、制御目標点における電圧制御のために、r、x、およびbが推定の対象となるが、整定値として導出されるべきものはr、xであり、以下の説明では理解容易のためにbを一定値として説明を行う場合もあるものとする。
Vcとして、制御目標点における電圧が測定される場合には、これが用いられるが、電圧制御装置2の二次側の電圧の最大値と最小値の中点等が用いられてもよい。Vcは、上述した1以上の電圧測定装置4の全部又は一部の各々により取得された電圧から得られる。ここでは、Vcとして用いられる電圧は、1以上の電圧測定装置4の全部又は一部の各々により取得された電圧により決まる1つの値とは限らず、複数の値が用いられてもよい。また時間的に推移するVcの各値が用いられてもよい。
仮説検定を行うため、整定値計算前処理部32は、上述した1以上の電圧測定装置4の全部又は一部により測定された、これらの各設置点における電圧から得られる電圧Vcと、測定データにおける電力(又は電圧制御装置2の通過電流)と、数5式(又は数1式等)と、例えば、予め取得されているインピーダンスを用い整定値r、xを算出する。
図5は、このように配電系統における電圧等を用いて算出された整定値r、xを表したものの一例を示す。図5における黒点は、上記数5式や電力の値や配電系統における電圧等を用いて算出された整定値r、x(ここでは-x)を座標とする点である。整定値r、xは、数5式から、傾きが(-Q/P)の直線上における値(整定値r、-xの場合には、傾きが(Q/P)の直線上の値)となるはずである。しかし、Pに対しQが極端に小さい場合、すなわち有効電力に対し無効電力が小さい場合、上述したようにxは一律には定まらなくなる。図5では、Pに対しQが小さい直線としてαが示されるが、この場合のxは一律に求まらないことがわかる。
本実施形態における整定値計算前処理部32は、上記のように配電系統における電圧等を用いて算出された整定値r、xの各々の標準偏差を計算する。そして整定値計算前処理部32は、これらの標準偏差から整定値r、xの統計的な分布を導出する。この分布は本実施形態においては、t分布であるとする。このt分布は以下に説明する仮説検定において用いられる。
整定値計算前処理部32は、整定値r、xについて仮説検定を用い、この仮説検定の結果に基づいて、整定値r、xを算出の対象とするか否かを判定する。この仮説検定において、帰無仮説H0(否定されることが期待される仮説)として、整定値r、xのいずれかを0とする。なお理解容易のために、ここでは帰無仮説H0として、x=0とする。これに対する対立仮説H1は、x≠0となる。
整定値計算前処理部32は、t分布において、例えば1%の有意水準で、帰無仮説が棄却されるか否かを判定する。換言すれば、整定値計算前処理部32は、t分布において、この帰無仮説が満たされる確率がこの有意水準以上であるか否かを判定し、当該有意水準未満であれば、当該仮説を棄却する。なお、上述した帰無仮説ではx=0としたが、これに限らず帰無仮説としてr=0としてもよいし、r又はxを他の値としてもよい。
仮説検定により、H1が採択された場合には、整定値r、xはそれぞれ適切に算出可能であると判定される。一方、H0が採択された場合には、整定値計算前処理部32は、例えば整定値xを0として計算処理の対象外とし、これ以外の、例えば整定値rを算出対象とする。
図6は、仮説検定を用いる場合における整定値計算装置3の処理のフローの一例を示す。
整定値計算前処理部32は、測定点における電力の値、配電線における電圧(Vc)のデータ等を用いて、整定値r、xを算出する(ステップS300)。
整定値計算前処理部32は、ステップS300において算出した整定値r、xの各標準偏差を計算する(ステップS301)。
続いて整定値計算前処理部32は、算出した整定値r、xの各値と各標準偏差から、これらのt分布を導出する(ステップS302)。整定値計算前処理部32は、このt分布に基づいて、仮説検定を行う。この仮説検定において、帰無仮説を例えばx=0(又はr=0)、有意水準を例えば1%とし、整定値計算前処理部32は、帰無仮説を棄却するか否か判定する(ステップS303)。
帰無仮説が棄却された場合(ステップS304:YES)、整定値計算前処理部32は、適切な整定値r、xが算出可能であると判定する(ステップS305)。帰無仮説が棄却されなかった場合(ステップS305)、整定値計算前処理部32は、整定値x(又はr)を0に固定し、固定されてない他方の整定値を算出するよう整定値計算部33に指示を出力する(ステップS306)。
整定値計算部33は、整定値計算前処理部32から出力された判定結果情報に従い、整定値の算出又は固定値の保持を行う(ステップS307)。ここでの保持とは、整定値計算装置3が電圧制御装置2へ、固定値とされた整定値を出力するまでの間のものとする。
上述した仮説検定に代わり、又はこれと共に、信頼度が用いられてもよい。この場合、整定値r、xの各信頼区間が予め設けられる。ここで用いられる信頼度とは、整定値r、xそれぞれの信頼度であり、信頼区間に、ステップS300において算出された整定値r、xが含まれる割合を指す。整定値計算前処理部32は、各整定値のt分布と信頼区間から、各整定値の信頼度を求め、その信頼度が閾値以上の場合、その整定値については適切な算出が可能と判定し、その信頼度が閾値より小さい場合に、その整定値については適切に算出が行えないと判定してもよい。そして、適切な整定値が算出不可能と判定された場合に、整定値計算前処理部32は、整定値rとxのいずれか一方を、0などの固定値としてもよい。
図7は、上述のように信頼度を用いる場合における整定値計算装置3による処理のフローの一例を示す図である。なお、この場合のフローは、図6に示したフロー中のステップS303、S304、S306の各処理を、ステップS403、S404、S406の各処理に置き換えたものに相当する。このため、ステップS403、S404、S406の各処理について説明を行うものとし、その他の処理についての説明は省略する。
整定値計算前処理部32は、ステップS302において導出された各整定値のt分布を用いて、ステップS300で得られた各整定値が、予め設けられたそれぞれの信頼区間に含まれる割合を計算し、各整定値の信頼度を求める(ステップS403)。
整定値計算前処理部32は、各信頼度が、閾値、例えば98~99%以上であるか否かを判定し、整定値r、xの各信頼度がいずれも閾値以上の場合には(ステップS404:YES)、ステップS305の処理を実行する。一方、整定値r、xの各信頼度のうちの少なくとも一方が閾値より小さい場合には(ステップS404:NO)、整定値計算前処理部32は、信頼度が閾値より小さい整定値については、これを適切に算出できないものとし、例えば固定値0とし、信頼度が閾値以上の整定値については、整定値計算部33に対して当該整定値の算出指示を行う(ステップS406)。
なお、整定値計算前処理部32による、適切な整定値の算出の可否を判定する手法は、上述した統計的な手法に限られず、有効電力と無効電力の相関の有無を判定するためのその他の手法や、有効電力と無効電力が電圧変動に与える影響の有無等を判定可能な手法等が含まれ得る。
次に整定値計算部33により実行される処理の詳細について説明する。整定値計算部33は、上述したように整定値計算前処理部32により適切な整定値の算出が可能であると判定された整定値のみを算出対象とする。整定値計算部33は、適切な整定値の算出が不可能であると判定された整定値に関しては、これを、整定値計算前処理部32により与えられた固定値とし、算出対象としない。
整定値計算部33は、制御目標点における電圧を制御目標電圧とするため、以下の数6式における関数値が、最小となる整定値r、xを算出する。
Figure 0007047343000006
ここで、Fは評価関数であり、tは指定期間における時刻(t=1~T)である。また、iは、制御目標点や測定点における電圧に対し付されるインデックスである。またV’(i,t)は、LDC制御等を行った場合の制御目標点における電圧であり、Vは、目標電圧である。
V’(i,t)は、時刻tにおける測定点の電圧V(i,t)を用いて、以下の数7式により表される。
Figure 0007047343000007
ここで、P(t)とQ(t)は、それぞれ時刻tでの測定点における有効電力と無効電力であり、dはバイアスである。
このとき制御目標電圧Vrefは、以下の数8式により表される。
Figure 0007047343000008
なお、上述したように、目標電圧であるVcは、例えば6600Vであり、バイアスdは、この電圧値の例えば2%から5%程度であるとする。
整定値計算前処理部32により、適切な整定値が算出可能であるものと判定された場合には、整定値計算部33は、上記の数6式において、例えばVc=6600Vとした場合における、F(r,x)が最小となるV’(i,t)を与える整定値r、xを、数7式等を用いて算出する。
一方、整定値計算前処理部32により、適切な整定値が算出できないと判定された場合には、整定値計算部33は、整定値計算前処理部32により固定値とされていない整定値r、xのいずれか一方について計算を行う。例えば、整定値計算前処理部32によりx=0とされた場合、整定値計算部33は、数7式等においてx=0とし、整定値rの計算を行う。
整定値計算部33において算出された整定値、また整定値計算部33が整定値計算前処理部32から取得した、固定値とされた整定値は、上述した通信処理部30を介し、電圧制御装置2に送信される。電圧制御装置2は、整定値計算装置3から受信した整定値に基づいて、電圧を制御する。
上記の整定値計算前処理部32と整定値計算部33による各処理は、ユーザが必要に応じて整定値を更新するタイミングで実行されてもよい。また、整定値計算前処理部32と整定値計算部33は、蓄積した測定データ等に基づき、指定期間において検出又は算出等される、制御目標点の電圧の逸脱度合いから、整定値の更新が必要であるか否かの判定を行い、この更新が必要であると判定する場合に、上述した整定値の計算等の処理を行ってもよい。
図8は、上記整定値計算装置3のハードウェア構成を例示する図である。ここでは、整定値計算装置3は、一般的なコンピュータとしてハードウェアを有し、整定値計算装置3による処理は、以下に示すハードウェア5を具体的に利用することにより実行される。
ハードウェア5は、互いにバス54によって接続されたプロセッサ50、メモリ51、通信インターフェース回路52、および記憶装置53等を備える。
プロセッサ50は、例えばシングルコア、デュアルコア、またはマルチコアのプロセッサである。
メモリ31は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、若しくは半導体メモリ等、又はこれらの組み合わせである。
プロセッサ50が、メモリ51に記憶された各種プログラム等の情報を用いることにより、上記の整定値計算前処理部32および整定値計算部33の各機能が実現されることができる。
通信インターフェース回路52は、インターネット、イントラネット、又は専用線等を介し、整定値計算装置3が、例えば電圧制御装置2などの装置との間で、情報の授受を行うための回路である。
プロセッサ50が、メモリ51又は記憶装置53に記憶された通信用プログラム等を用い、通信インターフェース回路52を介することにより、上記の通信処理部30の機能が実現されることができる。
記憶装置53は、例えばハードディスクドライブ、光ディスク装置等、又はこれらの組み合わせであり、また可搬型記憶媒体等が含まれてもよい。当該記憶装置53により、上述した記憶装置31の機能が実現されることができる。
なお、上述した場合以外にも、図2に示す整定値計算装置3の機能ブロックの全て、又はその一部の機能は、適宜、専用のハードウェアにより実現されてもよい。
本実施形態に係る整定値計算装置3によれば、適切ではない整定値の設定を未然に防止することができ、実際の運用に応じた整定値を設定することができ、制御目標点の電圧をより適切な値に制御することができるようになる。
<その他の実施形態>
上述した、整定値計算装置3を用いた場合では、整定値r、xの各値を、ユーザが整定値計算装置3から認識することができるとは限らない。本実施形態に係る整定値計算装置3’は、整定値計算装置3’が求めた整定値r、xを、ユーザが確認するための機能を有する。またこの整定値計算装置3’は、ユーザから、より適切な整定値を入力されて、この入力された整定値を電圧制御装置2へ出力する等の機能を有してもよい。
図9は、本実施形態に係る整定値計算装置3’の機能ブロックを例示する。整定値計算装置3’は、上記整定値計算装置3において、さらに入出力部34等を備えたものである。ここでは、整定値計算装置3’の入出力部34以外の各機能ブロックは、特に断りがない限り、上記整定値計算装置3におけるものと同様であるため、これらのついての説明を省略する。
整定値計算部33は、上述したような整定値の算出等の処理を行った後、算出された整定値、又は固定値とされた整定値、および整定値計算前処理部32からの判定結果情報に含まれる判定結果を入出力部34へ出力する。なお、上述したようにこの判定結果は、適切な整定値の算出の可否に係る判定結果である。また、整定値計算部33は、算出等された整定値を用いた場合における、制御目標点での電圧であって、制御目標電圧となる電圧Vrefを算出し、これを入出力部34へ出力する。
入出力部34は、例えば液晶やCRT(Cathode Ray Tube)等を用いる表示装置を含む。また入出力部34は、キーボードやタッチパネル等の入力装置を含む。
入出力部34は、整定値計算部33から出力された上記整定値等の情報を、ユーザが認識できる画像へ加工し、これを表示する。
図10は、入出力部34により出力される画像を例示する。図10において、(1)~(3)の各画像は、本実施形態では別個に、又は隣接して表示画面に表示される。なお、これら(1)~(3)は、それぞれ表形式の画像であるが、これに限定されない。これら(1)~(3)の各々において、「判定」とは適切な整定値の算出の可否の判定結果を意味し、この「判定」の行における「-」、「〇」、「×」のそれぞれは、適切な整定値の算出の可否は未判定であること、適切な整定値が算出可能であること、適切な整定値が算出不可能であることを示す。また(1)~(3)におけるr、xは、それぞれ整定値計算部33から出力された整定値r、xを表す。また同様にVrefは、整定値計算部33から出力された制御目標点での電圧を表す。
ここで(1)の画像は、整定値が未定であるなどし、入出力部34が整定値等の情報を入力されていない場合におけるものに相当する。ここでは、「判定」、「Vref」「r」、「x」の各行には、全て「-」が示されている。
(2)、(3)の画像は、それぞれ(1)の状態から推移があった場合の画像に相当する。
(2)の画像は、適切な整定値の算出が不可能であるとの判定結果があったものに該当し、ここではxに対し、予め定められた固定値が与えられている。またこの場合、整定値rはb(b:正の実数)であることがわかり、この整定値rから算出された制御目標点での電圧Vrefはa(a:正の実数)であることがわかる。
(3)の画像は、適切な整定値の算出が可能であるとの判定結果があったものに該当する。ここでは、整定値r、xとしてそれぞれd、e(d、e:正の実数)が算出されたことがわかる。またこれらd、eから、制御目標点での電圧Vrefがc(c:正の実数)であることがわかる。
ユーザは、(1)の画像を視認することにより、入力装置を介して、整定値計算装置3’に整定値の算出等の実行を指示することができる。またユーザは、(2)又は(3)の画像により、適切な整定値等であるか否かの確認を行うことができる。もし(2)又は(3)における画像から、ユーザが適切な整定値ではないと判断した場合には、ユーザは入力装置を介して整定値又は電圧Vrefの値を変更することができる。
変更後の整定値若しくは電圧Vrefの値、又は整定値の算出等の指示は、図9に示されるように整定値計算部33へ出力される。
整定値計算部33は、入出力装置34を介して、ユーザから整定値の算出等の指示を取得した場合には、整定値計算前処理部32に当該指示を出力する。整定値計算前処理部32は、この指示を受けて記憶部31から測定データを読み取り、上記実施形態において説明したような判定処理を実行し、これによる判定結果を含む判定結果情報を整定値計算部33へ出力する。整定値計算部33は、この判定結果情報に基づき、上記と同様に整定値の算出等の処理を実行する。そして整定値計算部33は、これにより得られた整定値を通信処理部30へ出力すると共に、この整定値と、この整定値から得られる電圧Vrefの値等を入出力部34へ出力する。通信処理部30は、整定値計算部33から出力された整定値を電圧制御装置2へ通知し、入出力部34は、整定値計算部33から出力された整定値等を表示する。
整定値計算部33は、入出力装置34を介して、ユーザから電圧Vrefの値を取得した場合には、判定結果情報と当該電圧値に基づき、適切に算出可能な整定値を算出する。またこの算出処理により得られた整定値を、通信処理部30と入出力部34へ出力する。続く通信処理部30と入出力部34による各処理は、上記と同様である。
また整定値計算部33は、入出力装置34を介して、ユーザから新たに整定値を取得した場合には、これを通信処理部30へ出力する。続く通信処理部30による処理は、上記と同様である。
図11は、本実施形態に係る整定値計算装置3’のハードウェア構成を例示する図である。整定値計算装置3’は、上記実施形態と同様、一般的なコンピュータとしてハードウェアを有し、整定値計算装置3’による処理は、以下に示すハードウェア5’を具体的に利用することにより実行される。
ハードウェア5’は、上記実施形態におけるハードウェア5に、ユーザインターフェース回路55をさらに付加させたものに該当する。ユーザインターフェース回路55以外は、上記と同様であるため、説明を省略する。
ユーザインターフェース回路55は、上述したような表示装置等の出力装置や、キーボード等の入力装置等を、整定値計算装置3’に接続するための回路である。ユーザインターフェース回路55と、これに接続された入力装置と出力装置等により、上記入出力部55の機能が実現される。
本実施形態によれば、電圧制御に用いられる整定値等を、ユーザが確認することが可能となる。そしてこれにより、ユーザがよりよい整定値を選択等することが可能となり、より適切な電圧制御が実行されることができる。
1 配電システム
2 電圧制御装置
3、3’ 整定値計算装置
4 電圧測定装置
5、5’ ハードウェア
20 測定部
21 制御部
22 通信部
30 通信処理部
31 記憶部
32 整定値計算前処理部
33 整定値計算部
34 入出力部
50 プロセッサ
51 メモリ
52 通信インターフェース回路
53 記憶装置
54 バス
55 ユーザインターフェース回路

Claims (11)

  1. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出する電圧制御用計算装置であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データに基づき、有効電力と無効電力の相関係数Rを算出し、算出した前記相関係数Rから下記式(1)を用いてVIF(Variance Inflation Factor)統計量を算出し、算出した前記VIF統計量の大きさに基づいて適切な前記整定値が算出可能か否かを判定する整定値計算前処理部と、
    Figure 0007047343000009
    前記整定値計算前処理部により、適切な前記整定値が算出可能と判定された場合に、該整定値を算出する整定値計算部と、
    を備え
    前記整定値計算前処理部は、前記VIF統計量が、前記有効電力と前記無効電力との間の多重共線性に基づいて設定された閾値以下である場合に、適切な前記整定値が算出可能と判定する
    ことを特徴とする電圧制御用計算装置。
  2. 前記整定値計算前処理部が算出する前記相関係数Rは、下記式(2)で表され、
    Figure 0007047343000010
    前記式(2)において、iは、指定期間における前記測定データのインデックスに相当する1<i<Nの連続する番号であり、Nは、前記指定期間における前記測定データの総数に相当し、P とQ は、それぞれi番目の測定データにおける前記有効電力と前記無効電力に相当し、PとQの上部に「^」を付したものは、それぞれ前記有効電力と前記無効電力の、N個の測定データの平均値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御用計算装置。
  3. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出する電圧制御用計算装置であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、前記整定値の統計的な分布を用いて適切な前記整定値が算出可能か否かを判定する整定値計算前処理部と、
    前記整定値計算前処理部により、適切な前記整定値が算出可能と判定された場合に、該整定値を算出する整定値計算部と、
    を備え、
    前記整定値計算前処理部は、
    前記整定値の統計的な分布において、前記整定値が所定の値であるという帰無仮説が満たされる確率が有意水準以上であるか否かを判定し、
    前記帰無仮説が満たされる確率が前記有意水準未満である場合に、適切な前記整定値が算出可能と判定する
    ことを特徴とする電圧制御用計算装置。
  4. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出する電圧制御用計算装置であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、前記整定値の統計的な分布を用いて適切な前記整定値が算出可能か否かを判定する整定値計算前処理部と、
    前記整定値計算前処理部により、適切な前記整定値が算出可能と判定された場合に、該整定値を算出する整定値計算部と、
    を備え、
    前記整定値計算前処理部は、
    前記整定値の統計的な分布に基づいて前記整定値の信頼度を導出し、前記整定値の信頼度を用いて適切な前記整定値が算出可能か否かを判定する
    ことを特徴とする電圧制御用計算装置。
  5. 前記電圧制御用計算装置で算出する前記整定値は、前記有効電力に関する整定値rと前記無効電力に関する整定値xとを含み
    前記整定値計算前処理部において適切な前記整定値(r,x)を算出できないと判定した場合、前記整定値計算前処理部、又は、前記整定値計算部は、前記整定値r又は前記整定値xのいずれか一方を固定値とし、他方の整定値を算出する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の電圧制御用計算装置。
  6. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するための電圧制御用計算方法であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データに基づき、有効電力と無効電力の相関係数Rを算出し、算出した前記相関係数Rから下記式(1)を用いてVIF(Variance Inflation Factor)統計量を算出し、
    Figure 0007047343000011
    前記VIF統計量が、前記有効電力と前記無効電力との間の多重共線性に基づいて設定された閾値以下である場合に、適切な前記整定値を算出可能と判定し、該整定値を算出する
    電圧制御用計算装置により実行される電圧制御用計算方法。
  7. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するための電圧制御用計算方法であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、前記整定値の統計的な分布において、前記整定値が所定の値であるという帰無仮説が満たされる確率が有意水準以上であるか否かを判定し、
    前記帰無仮説が満たされる確率が前記有意水準未満である場合に、適切な前記整定値が算出可能と判定し、該整定値を算出する
    電圧制御用計算装置により実行される電圧制御用計算方法。
  8. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するための電圧制御用計算方法であって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、
    前記整定値の統計的な分布に基づいて前記整定値の信頼度を導出し、前記整定値の信頼度を用いて適切な前記整定値が算出可能か否か判定し、
    適切な前記整定値が算出可能と判定された場合に、該整定値を算出する
    電圧制御用計算装置により実行される電圧制御用計算方法。
  9. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するためのプログラムであって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データに基づき、有効電力と無効電力の相関係数Rを算出し、算出した前記相関係数Rから下記式(1)を用いてVIF(Variance Inflation Factor)統計量を算出し、
    Figure 0007047343000012
    前記VIF統計量が、前記有効電力と前記無効電力との間の多重共線性に基づいて設定された閾値以下である場合に、適切な前記整定値が算出可能か否かを判定し、該整定値を算出する
    処理を電圧制御用計算装置実行させる電圧制御用計算プログラム。
  10. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するためのプログラムであって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、前記整定値の統計的な分布において、前記整定値が所定の値であるという帰無仮説が満たされる確率が有意水準以上であるか否かを判定し、
    前記帰無仮説が満たされる確率が前記有意水準未満である場合に、適切な前記整定値が算出可能と判定し、該整定値を算出する
    処理を電圧制御用計算装置に実行させる電圧制御用計算プログラム。
  11. 配電系統の制御目標点の電圧を制御するために用いられる整定値を算出するためのプログラムであって、
    測定点における有効電力と無効電力、又は、前記測定点における電流値の実数部と虚数部を含む測定データから算出したそれぞれの整定値の標準偏差を求め、前記整定値の統計的な分布を導出し、
    前記整定値の統計的な分布に基づいて前記整定値の信頼度を導出し、前記整定値の信頼度を用いて適切な前記整定値が算出可能か否か判定し、
    適切な前記整定値が算出可能と判定した場合に、該整定値を算出する
    処理を電圧制御用計算装置に実行させる電圧制御用計算プログラム。
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