JP7046323B2 - 多層被覆製剤 - Google Patents
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Description
また、粉末や顆粒ではなくカプセル剤や錠剤についても、胃液によって速やかに溶解して崩壊してしまうと、内容物、薬剤等が、胃の中に放出されることとなり、それらが分解・変質等して薬効が失活したり、薬効の持続性が低下したり、胃に障害を与えたり、副作用が生じたりして問題を生じさせることがある。そして、それらの問題点を解決するために、腸溶剤が用いられることが知られている。
また、特許文献2には、ゼラチン、多価アルコール、多糖類、アルカリ金属塩及び水を含有するソフトカプセル剤において、特定の多糖類を用いることが記載されている。
また、特許文献4には、ゼラチンを含有せず、トウモロコシ澱粉と「エステル化度とアミド化度が特定された低メトキシルペクチン」等を含有するソフトカプセル皮膜が記載され、該皮膜は腸溶性を有するとされている。
一方、腸溶性を特殊な加工で付与したり、層を更に設けて腸溶性にしたりする技術は、製造工程が増えて製造が難しくなる、製造コストの上昇を招く、種々のバラツキが生じる等の理由から、むしろ少ない。
しかしながら、この形態は、カプセル剤や錠剤の製剤表面に、更に被覆材と外殻と言った2層が付与されているのではなく、内容物自体が被覆材と外殻で覆われているに過ぎない。また、腸溶性の外殻が最表面にあるために、服用する際に味や臭いがすると言った問題点があった。
しかしながら、この形態は、カプセル皮膜に腸溶性付与剤を含有させただけであり、層の数等の層構成や各層の機能等に改良を加えたものではなかった。
また、プロテクト層によって、味及び/又は臭いを有することが多い「腸溶性層を構成する成分」を、水や唾液に溶解させないようにできるため、服用したときに、特に腸溶性層を構成する成分の味及び/又は臭いを抑制できて服用し易くできる。特に腸溶性を上げるために(胃液への溶解を抑制するために)、腸溶性層に酢酸等の酸を含有させることがあるが、その際、該酸の味及び/又は臭いを抑制できる。
なお、以下、上記「腸溶性層を構成する成分」を、該腸溶性層に含有される配合成分や、該腸溶性層を形成する高分子成分をも含め「腸溶剤」と略記することがある。
それを解決するためには、通常は、該腸溶性層を厚くしたり、腸溶剤の胃液又は溶解試験第1液に対する溶解性を更に低下させたりせざるを得ないが、そうすると、腸内での崩壊性が劣る、口腔内での味若しくは臭いの問題が生じる、製造工程でバラツキが生じる、腸溶性層(腸溶剤)が無駄になる、等の種々の問題が発生した。
例えば、ソフトカプセル剤の場合、その表面には微細な凹凸があるため、その上の腸溶性層が不均一になる(例えば、腸溶性層の膜厚が該凹凸に対応して不均一となる)。本発明者は、微細な凹凸がソフトカプセル剤の表面にあり、該凹凸が腸溶性層の崩壊時間に影響を及ぼすことを見出して本発明に至った。
また、錠剤においても、その表面には凹凸があり上記問題が生じた。
前記したように、腸溶性層を厚くしたり、腸溶性層の胃液又は溶解試験第1液に対する溶解性を低下させたりすると、前記した問題点が生じることがあるところ、本発明によれば、第1層(平滑化層)を設けることによって、上記問題を生じさせずに崩壊時間を延ばす、すなわち腸溶性を上げることができる。
本発明によれば、第3層(プロテクト層)を設けることによっても崩壊時間を延ばす、すなわち腸溶性を上げることができる。
本発明においては、図1に示したように、製剤表面に下(該製剤表面に近い側)から順に、平滑化層、腸溶性層、及び、プロテクト層を設けることが必須であるが、平角化層を「第1層」と、腸溶性層を「第2層」と、プロテクト層を「第3層」と記載することがある。
図1は正円で総括して概念的に示したものであって、本発明の多層被覆製剤は、実際は、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、又は、錠剤の形状を有している。また、図1の各層の厚さは、製剤全体の大きさに対して拡大して、模式的に書かれている。
該ソフトカプセル剤としては、表面張力や油溶性・親水性の差を利用して液中で製造されるようなシームレスソフトカプセル剤も、例えばロータリーダイ等を用いて製造されるようなシームありソフトカプセル剤、すなわちダイ式ソフトカプセル剤も含まれる。
ソフトカプセル剤の場合、殻材として優れている点以外にも、殻材表面に生じる微細な凹凸が問題になり易く(生じ易く)、本発明の前記した効果が得られ易い点から、具体的には、上記した中でも、牛、豚、魚等に由来する(加工)ゼラチン;カラギーナン等の海草(海藻)に由来する多糖類;等が特に好ましい。
ハードカプセル剤の場合には、限定はされないが、殻材の段差部分をバンドシール等で覆ってから、平滑化層を設けることが特に好ましい。
特に、素粒子の大きな粉末の場合には、錠剤表面に凹凸が生じ易く、本発明の前記した効果が得られ易い点等から、その上に上記平滑化層を設けることが特に好ましい。
本発明の多層被覆製剤は、上記製剤表面に第1層として、「該製剤表面の凹凸を軽減させるための平滑化層」が設けられている。
上記平滑化層は、本発明の前記効果を奏するものであれば特に限定はないが、多糖、オリゴ糖、単糖、糖アルコール、有機酸、タンパク質、ペプチド、脂肪酸エステル、ワックス、乳化剤、及び、これらの誘導体よりなる群から選ばれた1種以上の可食性被覆材を含有するもの(それらの組み合わせ)であることが好ましい。
「平滑化層の可食性被覆材」としては、食に適した物質であり(すなわち可食性であり)、皮膜を形成するようなものであれば特に限定はない。
上記ガムとしては、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム等が特に好ましいものとして挙げられる。また、上記加工澱粉としては、多糖のコハク酸誘導体、酸化澱粉等が特に好ましいものとして挙げられる。
具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉等が、被覆性、平滑化性等の点から特に好ましいものとして挙げられる。これらは(一部)塩であってもよい。
以下、例えば「HPMC」等のように、それぞれの化合物を、上記括弧内のみで略記することがある。
また、上記多糖の発酵物としては、例えば、キサンタムガム等が挙げられる。
また、上記単糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N-アセチルグルコサミン等が挙げられる。
上記糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール等が挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンに上記脂肪酸等が結合したグリセリン脂肪酸エステル等が好ましいものとして挙げられる。
上記タンパク質又はペプチドとしては、例えば、ツェイン、ゼラチン、コラーゲン、卵白、卵白加水分解物、ホエイ、エラスチン、これらの分解物等が挙げられる。
上記乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
上記「平滑化層の可食性被覆材」は、被覆性・塗膜性が良好、味・臭いがない若しくは少ない、層に可塑性・柔軟性を与える、等の点から特に好ましい。
本発明は、崩壊試験第1液での崩壊時間が120分より長い多層被覆製剤でもある。
本発明の多層被覆製剤は、上記製剤表面に第2層として、「胃液での崩壊を抑制するための腸溶性層」が設けられている。腸溶性層は、胃の中で分解・変質等して薬効が失活したり、薬効の持続性が低下したり、胃に障害を与えたり、副作用が生じたりすることを抑制する。
限定はされないが、具体的には、例えば、セラック等のフェノール基を有する天然由来物;ツェイン等のタンパク質;カラギーナン、ペクチン(酸)、キトサン等の多糖類;オイドラギット(登録商標)等のポリ(メタ)アクリレート(メタクリル酸-メタクリル酸エステル共重合体等);酢酸フタル酸セルロース、セルロース・ヒドロキシプロピルメチル・フタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)等のカルボン酸基を有するセルロース誘導体;等が挙げられる。
また、カルシウムイオン等の2価以上の金属イオンで架橋して胃液に対する溶解性を抑えたものも挙げられる。また、酢酸等の可食性のカルボン酸化合物も挙げられる。
本発明の多層被覆製剤は、上記製剤表面に第3層として、「腸溶性層を水若しくは唾液から保護するため、及び/又は、腸溶性層の味若しくは臭いを遮断するためのプロテクト層」が設けられている。
上記プロテクト層は、本発明の前記効果を奏するものであれば特に限定はないが、多糖、オリゴ糖、単糖、糖アルコール、有機酸、タンパク質、ペプチド、脂肪酸エステル、ワックス、乳化剤、及び、これらの誘導体よりなる群から選ばれた1種以上の可食性被覆材を含有するもの(それらの組み合わせ)であることが好ましい。
「プロテクト層の可食性被覆材」としては、食に適した物質であり(すなわち可食性であり)、皮膜を形成するようなものであれば特に限定はないが、上記「平滑化層の可食性被覆材」の項で挙げものと同一のものが挙げられる。
「好ましいもの」、「より好ましいもの」、「特に好ましいもの」も、上記「平滑化層の可食性被覆材」の項で、「好ましいもの」、「より好ましいもの」、「特に好ましいもの」として挙げたものと同一のものが挙げられる。更に、上記「プロテクト層の可食性被覆材」が、プルラン、デキストリン、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、澱粉、酸化澱粉、セラック、卵白、卵白加水分解物、乳ホエイ、エラスチン、又は、グリセリン脂肪酸エステルであることが特に好ましい。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記平滑化層の層厚(被覆量)は、1個ずつで見るとバラツキはあるが、平均で3.5μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上150μm以下であることがより好ましく、35μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
下限が上記以上であると、腸溶性層が均一となり崩壊試験第1液に対しての崩壊時間を延ばすことができる。一方、上限が上記以下であると、崩壊試験第2液や溶解試験第2液に対して十分早く崩壊又は溶解し、また平滑化層が無駄に厚過ぎると言うことがない。
下限が上記以上であると、崩壊試験第1液や溶解試験第1液に対して抵抗でき、崩壊時間を十分長くすることができる。一方、上限が上記以下であると、崩壊試験第2液や溶解試験第2液に対して十分早く崩壊又は溶解し、製造時に被覆ムラができ難く、腸溶剤の味や臭いを抑えられ、また腸溶性層が無駄に厚過ぎると言うことがない。
下限が上記以上であると、腸溶性層の味や臭いを抑制でき、また、腸溶性層が唾液等で不安定(不均一)になり崩壊試験第1液で早期に崩壊してしまうことを抑制できる。すなわち、腸溶性層を唾液に対して安定化させて胃での崩壊時間を延ばすことができる。一方、上限が上記以下であると、崩壊試験第2液や溶解試験第2液に対して十分早く崩壊又は溶解し、またプロテクト層が無駄に厚過ぎると言うことがない。
また、該プロテクト層に、着色性、遮光性等の他の機能をも持たせる場合や、極めて味や臭いの強い腸溶性層の場合等は、上記した層厚の範囲の上の方、例えば100μm以上の範囲が好ましい。
本発明における多層被覆製剤の製造方法は、前記した各層の効果を十分に発揮するようにコートできれば特に限定はないが、(好ましくはコーティングパンを有する)自動コーティング法、ドラムコーティング法、(好ましくはコーティングパンを有する)手掛け(てがけ)のコーティング法等が好ましい。
自動コーティング法に用いられる装置としては、(株)パウレック製のパウレックコーター、フロイント産業(株)製のアクアコーター等が挙げられる。
実施例中の「%」は、それが質量に関するものは「質量%」を意味する。また、実施例中の物質や製剤の密度(比重)は、1g/cm3と換算して問題がない(換算できる)。各製剤の表面積はそれで推認することができる。
<ソフトカプセル剤の製造方法>
ゼラチン100質量部とグリセリン50質量部を水80質量部に溶解させてソフトカプセルの皮膜液を調製した。
該皮膜液から水を留去しつつ皮膜を作り、内容液としてドコサヘキサエン酸(以下、単に「DHA」と略記する)単独を用いて、ロータリーダイによって、OVAL型No.5のロータリーダイ式ソフトカプセルを製造した。
1個のソフトカプセルは、内容液(DHA)300mg、(乾燥)皮膜(ゼラチン/グリセリン=2/1(質量部))150mgで構成されていた。
<ハードカプセル剤の製造方法>
乳酸菌30質量部、食品加工用澱粉粉末265質量部、ステアリン酸カルシウム粉末3質量部、固結防止剤(微粉末シリカ)2質量部を混合して内容物とした。
該内容物を、HPMCを主とするカプセル剤皮に内包して、2号HPMCハードカプセルを製造した。1個のハードカプセルは、内容物300mg、及び、カプセル剤皮60mgで構成されていた。
その後、バンドシール(質量3mg)で、段差部分を覆って以下のコーティング工程に供した。
<錠剤の製造方法>
無臭ニンニク粉末100質量部、乳糖とマルチトールとの混合粉末101質量部、(微)結晶セルロース90質量部、グァーガム適量(微量)、シュガーエステル9質量部を混合し打錠して、9.0mmφの錠剤を製造した。1粒の錠剤は、300mgであった。
<ソフトカプセル剤の第1層目、第2層目コーティング>
実施例1で得られたソフトカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%からなる第1層コーティング液」2100gを噴霧し、平滑化層(第1層)を設け、5100gの第1層コーティングソフトカプセル剤を得た。
実施例4において、第1層コーティング液2100gを噴霧したことに代えて、第1層コーティング液3150gを噴霧した以外は実施例4と同様にして、平滑化層(第1層)を設け、5140gの第1層コーティングソフトカプセル剤を得た。
実施例4において、第1層コーティング液2100gを噴霧したことに代えて、第1層コーティング液4200gを噴霧した以外は実施例4と同様にして、平滑化層(第1層)と腸溶性層(第2層)を設け、5200gの第1・2層コーティングソフトカプセル剤を得た。
<ソフトカプセル剤の第3層目コーティング>
実施例4で得られた第1・2層コーティングソフトカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン0.5%からなる第3層コーティング液」425gを噴霧し、5025gの第1・2・3層コーティングソフトカプセル剤を得た。
<ソフトカプセル剤の第3層目コーティング>
実施例7において、第3層コーティング液425gを噴霧したことに代えて、第3層コーティング液850gを噴霧した以外は実施例7と同様にして、プロテクト層(第3層)を設け、5050gの第1・2・3層コーティングソフトカプセル剤を得た。
<ソフトカプセル剤の第3層目コーティング>
実施例7において、第3層コーティング液425gを噴霧したことに代えて、第3層コーティング液2550gを噴霧した以外は実施例7と同様にして、プロテクト層(第3層)を設け、5150gの第1・2・3層コーティングソフトカプセル剤を得た。
<ハードカプセル剤の第1層目、第2層目コーティング>
実施例2で製造したハードカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%よりなる第1層コーティング液」3150gを噴霧し、平滑化層(第1層)を設け、5140gの第1層コーティングハードカプセル剤を得た。
<ハードカプセル剤の第3層目コーティング>
実施例10で得られた第1・2層コーティングハードカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン0.5%からなる第3層コーティング液」850gを噴霧し、プロテクト層(第3層)を設け、5050gの第1・2・3層コーティングハードカプセル剤を得た。
<錠剤の1層目、2層目コーティング>
実施例3で得られた錠剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%からなる第1層コーティング液」3150gを噴霧し、平滑化層(第1層)を設け、5140gの第1層コーティング錠剤を得た。
<錠剤の3層目コーティング>
実施例12で得られた第1・2層コーティング錠剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「99%エタノール66.5%に対し、精製水28%、HPMC5%、及び、グリセリン0.5%からなる第3層コーティング液」850gを噴霧し、プロテクト層(第3層)を設け、5050gの第1・2・3層コーティング錠剤を得た。
<ソフトカプセル剤の1層目なし>
実施例1で得られたソフトカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「95%エタノール69.5%に対し、セラック溶液30%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%からなる第2層コーティング液」2100gを噴霧し、腸溶性層(第2層)を設け、5125gの第2層コーティングソフトカプセル剤を得た。
<ハードカプセル剤の1層目なし>
実施例2で得られたハードカプセル剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「95%エタノール69.5%に対し、セラック溶液30%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%からなる第2層コーティング液」2100g噴霧し、腸溶性層(第2層)を設け、5125gの第2層コーティングハードカプセル剤を得た。
<錠剤の1層目なし>
実施例3で得られた錠剤5000gを、パウレックコーターPRC-07型((株)パウレック製)に入れ、給気温度28℃、アトマイズ空気圧0.26MPa、パターン空気圧0.1MPa、風量3m3/minに設定し、「95%エタノール69.5%に対し、セラック溶液30%、及び、グリセリン脂肪酸エステル0.5%からなる第2層コーティング液」2100gを噴霧し、腸溶性層(第2層)を設け、5125gの第2層コーティング錠剤を得た。
ここで、「コーティング率」とは、コートされるソフトカプセル剤、ハードカプセル剤又は錠剤の質量に対する各層の質量の割合(質量%)を示す。「コーティング率」は、コーターに投入したソフトカプセル剤、ハードカプセル剤又は錠剤の全質量と、各層のコーティング液に含有される「溶媒を除いた不揮発分」の全質量から求められる。
<崩壊時間の評価方法>
自動検知式崩壊試験機ZT-722(EWEKA社製)を用いて常法に従って崩壊時間を測定した。試験液として、日本薬局方に準じた崩壊試験第1液(pH1.2)及び崩壊試験第2液(pH6.8)を用い、該試験液を37℃に設定し、各実施例・比較例につき6個(6カプセル又は6錠)の崩壊時間を測定し、その相加平均値を算出し、以下の判定基準で判定した。
表2に崩壊時間の判定結果を示す。
[崩壊試験第1液の場合]
○:120分以上でも崩壊しなかった
△:60分以上120分未満で崩壊した
×:30分以上60分未満で崩壊した
[崩壊試験第2液の場合]
○:30分以下で崩壊した
×:30分以下では崩壊しなかった
<口腔内での腸溶性層の溶解性の評価方法>
<苦味の評価方法>
口腔内での腸溶性層の溶解性の有無(量)を評価するため、5人の被験者に、製造例4~16のカプセル又は錠剤それぞれ1個を口に含んでもらい、苦味を感じ始める時間を測定してもらい、5人の相加平均を求め、以下の判定基準で判定した。
苦味が感じた場合は、腸溶性層が口腔内で溶解したことを示す。
表2に、口腔内での腸溶性層の溶解性(苦味)の判定結果を合わせて示す。
<苦味の判定基準>
○:10秒以上でも苦味を感じなかった
△:5秒以上10秒未満で苦味を感じた
×:5秒未満で苦味を感じた
<最初の唾液(水)を考慮した崩壊時間の評価方法>
最初に、pH=7.0の中性の水(純水)に10秒間浸漬し、次いで、取り出して直ぐに崩壊試験第1液に浸漬した以外は、上記の<崩壊時間の評価方法>と同様に評価を行い、上記の<崩壊時間の判定基準1>[崩壊試験第1液の場合]と同様の判定基準で判定した。
表2に、この「中性水を通した後の崩壊試験第1液での崩壊時間」の判定結果を合わせて示す。
総合評価の判定を以下のように行った。
崩壊時間の評価において、崩壊試験第1液では120分以上でも崩壊せず(判定「○」のみ)、かつ崩壊試験第2液では30分以下で崩壊し(判定「○」のみ)、かつ口腔内で5秒未満では苦味を感じず(腸溶性層の口腔内での溶解が殆どなく、苦味のマスキングができていて)(試験例2の判定「○」又は「△」)、かつ試験例3で判定「○」のものを、総合評価「○」と判定した。
そして、上記基準で総合評価「○」と判定されなかったものを、総合評価「×」と判定した。
表2に、総合評価の判定結果を合わせて示す。
製造例8(第1・2・3層コーティングソフトカプセル剤)、製造例11(第1・2・3層コーティングハードカプセル剤)、製造例13(第1・2・3層コーティング錠剤)において、平滑化層(第1層)とプロテクト層(第3層)のコーティング液の「HPMC5%、及び、グリセリン0.5%」を、何れも「HPC5%」又は「プルラン10%」にそれぞれ代えた以外は、同様にして多層被覆製剤を調製した。
2 腸溶性層(第2層)
3 プロテクト層(第3層)
4 ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、又は、錠剤である製剤
Claims (7)
- ソフトカプセル剤、又は、ハードカプセル剤の製剤表面に、下から順に、少なくとも、該製剤表面の凹凸を軽減させるための平滑化層、胃液での崩壊を抑制するための腸溶性層、並びに、該腸溶性層を水若しくは唾液から保護するため、及び/又は、該腸溶性層の味若しくは臭いを遮断するためのプロテクト層を有する健康食品である多層被覆製剤であって、
該平滑化層がヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、グリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする多層被覆製剤。 - 上記平滑化層の層厚が、3.5μm以上500μm以下である請求項1に記載の多層被覆製剤。
- 上記平滑化層の層厚が、35μm以上50μm以下である請求項1に記載の多層被覆製剤。
- 上記腸溶性層の被覆量が、2.5μm以上400μm以下である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の多層被覆製剤。
- 上記腸溶性層の被覆量が、25μm以上40μm以下である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の多層被覆製剤。
- 上記プロテクト層の被覆量が、1μm以上1000μm以下である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の多層被覆製剤。
- 上記平滑化層が、「該平滑化層だけがない場合の崩壊試験第1液での崩壊時間」を1.5倍以上15倍以下にするように設計されているものである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の多層被覆製剤。
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