JP7045694B2 - 衣服 - Google Patents

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Description

本発明は、前頃のように、少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服において、手指などの身体の機能に不自由のある使用者が、脱いだり着たりし易い衣服に関する。
障害者やお年寄りなど、特に手指の不自由な人が脱いだり着たりし易い衣服として、たとえば特許文献1~3が提案されている。
特許文献1は、指先の不自由な人が脱ぎ着し易いように、衣服の前頃の合せ面を磁気で吸着するようにしたマグネットボタン付きの衣服であり、吸着を強力にするためにネオジウム磁石を用い、吸着面以外をシールド材で覆っている。そして、薄い円盤状の磁石を、前頃(前立て)に縫い合わせで袋状に形成された重ね合わせ部に収納している。
特許文献2も、指先の不自由な人が脱ぎ着し易いように、磁気を有する留具を備える衣服で、吸着面に、対応する凹凸が形成されることで、横滑りしないようになっている。
また、特許文献3では、電磁ボタンが提案されている。この従来技術によれば、使用者が上着を着て(袖を通して)、前頃(シャツの場合は前立て)を合せて、前記電磁石を励磁することで係合を行わせている。これによって、片手の不自由な人や、幼児・お年寄り等の細かな作業ができない使用者にも、脱いだり着たりし易い衣服が提案されている。
特開2005-28022号公報 特開平1-270804号公報 特開2001-210号公報
上述の従来技術では、ボタンに代わり磁石を用いることで、衣服を脱ぎ着し易くしている。しかしながら、磁石が着いているので、洗濯をし難いという問題がある。たとえば、洗濯機の内面と当ったりするという問題がある。また、特許文献1では、前記の袋に埋め込まれた磁石が錆びたりする可能性もある。
本発明の目的は、開閉部分に、ボタン代わりに磁石を使用することで、特に手指の不自由な人が脱いだり着たりし易くした衣服において、洗濯し易い衣服を提供することである。
本発明の衣服は、少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服において、対を成す開閉部分の裏側において、開閉端の内方から、他方の開閉部分の側に延びてそれぞれ形成される一対の支持体と、前記支持体にそれぞれ搭載され、相互に磁気吸着することで対を成す前記の開閉部分間を閉止する一対の磁石または磁性体と、前記の開閉部分の裏側に一端が取付けられる基材と、前記支持体に取付けられ、前記基材の他端側に噛合または解放自在のクリップとを備えて構成され、前記支持体を、前記開閉部分の裏側に着脱自在に取付ける取付け部材とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、前頃のような少なくとも一部を開閉することで着脱可能になるシャツなどの衣服において、その開閉部分に、ボタン代わりに、対を成し、相互に磁気吸着する磁石や磁性体(吸着される鉄板など)を使用することで、特に手指の不自由な人が脱いだり着たりし易い衣服を実現することができる。
一方、その磁石や磁性体を、前頃(前立て)の裏側に縫付けたり、該前頃(前立て)を袋にして収容したりするのではなく、本発明では、対を成す開閉部分の裏側において、開閉端の内方(内側に入り込んだ箇所)から、他方の開閉部分の側に延びる一対の支持体に搭載する。そして、その支持体も、前記開閉部分の裏側に縫付けなどで取付けられるのではなく、取付け部材によって、着脱自在に取付けられる。したがって、支持体およびそれに搭載される磁石や磁性体を衣服から取り外すことができ、洗濯機の内面と当ったり、磁石が錆びたりというような問題が無く、洗濯を容易に行うことができる。
また、のように、洗濯の際などに支持体およびそれに搭載される磁石や磁性体を衣服から取り外し自在とするにあたって、支持体の側にはクリップを縫付けなどで取付け、衣服の側には基材を縫付けや貼付けなどで取付け、その基材の端部にクリップを食い付かせることで支持体の衣服の裏地への取付けを行う。したがって、クリップを開閉するだけで、クリップから、支持体および磁石や磁性体を一体で、容易に着脱することができる。
また、本発明の衣服は少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服において、対を成す開閉部分の裏側において、開閉端の内方から、他方の開閉部分の側に延びてそれぞれ形成される一対の支持体と、前記支持体にそれぞれ搭載され、相互に磁気吸着することで対を成す前記の開閉部分間を閉止する一対の磁石または磁性体と、前記の開閉部分の裏側に、縫付けや貼付けなどで取付けられる第1の面ファスナーと、前記支持体に取付けられ、前記第1の面ファスナーに係合または解放自在の第2の面ファスナーとを備えて構成され、前記支持体を、前記開閉部分の裏側に着脱自在に取付ける取付け部材とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、上述のように、洗濯の際などに支持体およびそれに搭載される磁石や磁性体を衣服から取り外し自在とするにあたって、支持体の側には第2の面ファスナーを縫付けなどで取付け、衣服の側に第1の面ファスナーを縫付けや貼付けなどで取付け、それらの第1および第2の面ファスナーを係合させることで支持体の衣服の裏面への取付けを行う。したがって、面ファスナーを着け外しすることで、支持体および磁石や磁性体を一体で、容易に着脱することができる。
さらにまた、本発明の衣服では、前記開閉部分は、上下方向に延びる前身頃または後身頃であり、前記上下方向に、前記磁石または磁性体が、予め定める間隔で複数個配列され、それらの磁石または磁性体の間の少なくとも一部の箇所には、相互に圧着されることで係合する一対の係合部材が設けられ、前記一対の係合部材に関連して、もう1つの支持体およびもう1つの取付け部材をさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、開閉部分に磁石や磁性体が複数個並んで設けられる場合に、それらの間の少なくとも一部の箇所に、相互に圧着されることで係合する面ファスナーやホックなどの一対の係合部材を設け、この係合部材も、磁石や磁性体と同様に、前記一対の支持体および取付け部材と同様のもう1つの支持体およびもう1つの取付け部材によって、衣服の裏側で着脱自在とする。
したがって、同様に洗濯可能で、磁石で仮吸着して位置決めも行い(ボタンの掛け違いを無くし)、磁石の近傍に設けた面ファスナーまたはホックによって、本固定を行い、脱げ難くした衣服を実現することができる。
また、本発明の衣服では、前記開閉部分は、上下方向に延びる前身頃または後身頃であり、前記基材は、上下方向に延び、前記開閉部分の裏側に、幅方向の一端部が縫付けまたは貼付けによって取付けられる帯状体であり、他端部側には、複数のクリップが噛合し、前記一対の支持体は、前記開閉部分の裏側で、その先端部分が相互に重なり合う薄板状の基板から成り、前記基板上には、前記上下方向に間隔を開けて2つのクリップが配置されるとともに、他方の基板との突き合わせ面に臨んで、前記磁石または磁性体が搭載されることを特徴とする。
上記の構成によれば、衣服を前身頃(シャツの場合は前立て)または後身頃で上下方向に開閉する場合、その裏側で、基材を、複数のクリップが食い付く帯状体とする。したがって、基材が布地やメッシュ生地である場合、クリップ毎に切離されていたら、自己支持性が低いのに対して、一体であることで、自己支持性が高く、クリップを留め易くもなる。
さらに、基板、磁石または磁性体およびクリップが、開閉部分を閉じる連結手段としてモジュール化されることになり、帯状体の基材に、このモジュールを容易に取付けることができるとともに、剛性の基板上で、磁石または磁性体およびクリップのアライメント(位置決め)を正確に行うことができ、衣服の着脱も行い易くなる。
さらにまた、本発明の衣服では、前記基板上には、前記上下方向に間隔を開けて配置される2つのクリップ間に、他方の基板と連結する第3の面ファスナーが設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、モジュール化された前記の連結手段に、磁石が外れた、或いは外れそうな時に有効な面ファスナーを設けておくことで、前記前頃や後頃が不所望に開いてしまうことを防止することができる。
また、本発明の衣服では、前記磁石の少なくとも一部は電磁石であり、前記電磁石は、制御装置によって電力付勢が制御されており、前記制御装置には、情報処理端末と近距離無線通信によって、前記電力付勢の指示が与えられることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記面ファスナーまたはホックから成る係合部材を用いて本固定を行う場合、磁石の少なくとも一部を電磁石とすることで、該電磁石を付勢して吸着させたり、逆極性に付勢することで、解放、すなわち脱いだりすることが容易になる。さらに、スマートフォンなどの情報処理端末で、電磁石の吸着や解放を制御することで、利便性を向上することができる。
本発明の衣服は、以上のように、前頃のような少なくとも一部を開閉することで着脱可能になるシャツなどの衣服において、その開閉部分に、ボタン代わりに磁石や磁性体を使用することで、手指の不自由な人が脱いだり着たりし易い衣服を実現するにあたって、その磁石や磁性体を、開閉部分に延びる一対の支持体に搭載し、その支持体も、取付け部材によって、開閉部分の裏側に着脱自在に取付ける。
それゆえ、支持体およびそれに搭載される磁石や磁性体を衣服から取り外すことができ、洗濯機の内面と当ったり、磁石が錆びたりというような問題が無く、洗濯を容易に行うことができる。
本発明の実施の一形態に係る衣服であるシャツの正面図であり、前頃を閉じた状態を示す。 本発明の実施の一形態に係る衣服であるシャツの一部を分解して示す正面図であり、前頃を開いた状態を示す。 前記衣服において、前頃を止める一実施形態の構成を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止める構成を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止める他の構成を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止めるさらに他の構成を拡大して示す斜視図である。
(実施の形態1)
図1および図2は本発明の実施の一形態に係る衣服1の正面図であり、図1は前頃2を閉じた状態、図2は開いた状態を示す。本発明の衣服1は、前頃2のような少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服を前提とする。本実施形態の衣服1は、シャツを模式的に示しており、上下方向に延びる前頃2、つまり前立て2A,2Bを開閉部分としているが、前記開閉部分は、ブラウスなどで後頃であってもよい。図2は、開閉部分である前立て2A,2B付近を裏返して(捲って)示している。
本実施形態の衣服1は、図面に向かって左側の前立て2Aに、ボタンB1,B2,B3,B4,B5,B6(以下、総称する際は、参照符号Bで示す)が縫付けられ、右側の前立て2Bに、対応するボタン孔H1,H2,H3,H4,H5,H6(以下、総称する際は、参照符号Hで示す)が形成されている。図1は、ボタンBを止めていない、つまり前立て2A,2Bを重ね合わせただけの状態を示している。たとえば、前立て2A,2Bの幅は、20~30mmである。本発明の衣服1は、後述するように、そのボタンBの止め外しに不自由のある、たとえば手指を怪我した使用者が、容易に脱ぎ着できるように、ボタンBを使用しないようにする衣服であるが、たとえば怪我の回復後には、通常のシャツと同様に着用できるように、本実施形態の衣服1では、ボタンBおよびボタン孔Hを形成している。
注目すべきは、本実施形態では、ボタンBの代わりに、対を成し、相互に磁気吸着する磁石M1A,M2A,M3A,M4A,M5A,M6A;M1B,M2B,M3B,M4B,M5B,M6B(以下、総称する際は、参照符号MまたはMA,MBで示す)を使用することである。磁石MA,MBは、一方が磁石で、他方がそれに吸着される鉄板などの磁性体であってもよい。そして注目すべきは、本実施形態では、その磁石MA,MBを、衣服1から着脱自在とすることである。これによって、磁石MA,MBが、洗濯機の内面と当ったり、錆びたりというような問題が無く、洗濯を容易に行うことができるようになっている。
図2では、図数の削減のために、多数の実施形態を示している。先ず、磁石M1A,M2A,M3A,M4A,M5A,M6A;M1B,M2B,M3B,M4B,M5B,M6Bは、それぞれ帯状の支持体P1A,P2A,P3A,P4A,P5A,P6A;P1B,P2B,P3B,P4B,P5B,P6B(以下、総称する際は、参照符号PまたはPA, PBで示す)の一端部に搭載される。支持体Pには、衣服の芯材として用いられるインサイドベルトなどを用いることができる。
その内、支持体P1A,P2A,P3A,P4A;P1B,P2B,P3B,P4Bの他端部には、クリップC1A,C2A,C3A,C4A;C1B,C2B,C3B,C4B(以下、総称する際は、参照符号CまたはCA, CBで示す)が取付けられている。残余の支持体P5A,P6A;P5B,P6Bの他端部における図2の裏面側には、面ファスナーD5A,D6A;D5B,D6B(以下、総称する際は、参照符号DまたはDA,DBで示す)が取付けられている。
一方、前立て2Aから所定間隔Wを開けた内側において、ボタンB1~B4に対応する上部側には、該前立て2Aと平行する帯状のメッシュ材Eが、縫い目Sによって、その帯の一端部が縫付けられている。また、前立て2Bから所定間隔Wを開けた内側において、ボタン孔H1~H4に対応する上部側には、該前立て2Bと平行する帯状の布材Kが、粘着材Nによって、その帯の一端部が貼付けられている。布材Kには、前記のインサイドベルトなどを用いることができる。粘着材Nは、アイロンの熱などを使用して布地同士を熱圧着する、所謂裾上げテープなどで使用されるもので実現することができる。
同様に、前立て2Aから所定間隔Wを開けた内側において、ボタンB5,B6に対応する下部側には、該前立て2Aと平行する帯状の面ファスナーTAが、ファスナーGAによって、その帯の一端部が取付けられている。また、前立て2Bから所定間隔Wを開けた内側において、ボタン孔H5,H6に対応する下部側には、該前立て2Bと平行する帯状の面ファスナーTBが、ファスナーGBによって、その帯の一端部が取付けられている。
図3は、支持体P1Aならびにそれに搭載される磁石M1AおよびクリップC1Aの部分を拡大して示す斜視図である。磁石MA,MBは、表裏面方向で分極するように構成されており、支持体PAでは表面に磁石MAが、支持体PBでは裏面に磁石MBが搭載されている。
クリップCは、操作レバーCaの操作によって、揺動片Cbが、軸Ccを中心に、固定片Cdに対して開閉し、それらの間に前記メッシュ材Eまたは布材Kを挟み込む。固定片Cdの裏面が前記支持体Pの表面に固着され、固定片Cdおよび揺動片Cbの対向面間に前記メッシュ材Eまたは布材Kを挟み込む。そのため、前記固定片Cdおよび揺動片Cbの対向面には、適宜、相互に噛合する歯Ce,Cfが立設されている。その歯Ce,Cfは、メッシュ材Eの網目に噛み込む。また、この歯Ce,Cfによって、布材Kを波形に折り曲げて食付くようになるが、本実施形態では、より強固に外れ止めを行うために、歯Ce,Cfの対応位置に、表裏間を貫通する孔Q1,Q2,Q3,Q4(以下、総称する際は、参照符号Qで示す)が形成されている。操作レバーCaの基端側には、衝撃などによる不所望な開放を防止するために、図示しない係止構造が設けられている。
一方、図3のような拡大した図示は省略するが、支持体P5A,P6A;P5B,P6Bの場合、クリップCに代えて、面ファスナーDA,DBが設けられる。メッシュ材Eおよび布材Kの場合は、表裏は無いが、面ファスナーTA,TBには表裏があるので、該面ファスナーTA,TBの衣服1への取付け状況に応じて、対応する面ファスナーDA,DBが、支持体P5A,P6A;P5B,P6Bの表面に設けられるか、裏面に設けられるかが決定されればよい。
このように本実施形態の衣服1では、対を成す開閉部分である前立て2A,2Bの裏側付近において、開閉端2C,2Dの内方(図2では、前立て2A,2Bから所定間隔Wを開けた内側箇所)から、他方の開閉部分の側に延びて一対の支持体PA,PBを設け、その支持体PA,PBの、一端側にボタンBに代わって前記前立て2A,2Bを開閉する磁石MA,MBを搭載し、他端側は取付け部材となるメッシュ材Eまたは布材KとクリップCとの組合わせ、もしくは面ファスナーTA,TBと面ファスナーDA,DBとの組合わせによって着脱自在とする。
したがって、前述のように、特に手指の不自由な人が脱いだり着たりし易い衣服を実現することができる。また、その磁石Mを、前立て2A,2Bの裏側に縫い着けたり、該前立て2A,2Bを袋にして収容したりするのではなく、一対の支持体PA,PBに搭載し、その支持体PA,PBも着脱自在であるので、支持体PA,PBおよびそれに搭載される磁石Mを衣服1から取り外すことができ、洗濯機の内面と当ったり、磁石Mが錆びたりというような問題が無く、洗濯を容易に行うことができる。
また、取付け部材として、基材となるメッシュ材Eまたは布材Kと、その他端側に噛合または解放自在のクリップCとを用いることで、前述のように洗濯の際などに支持体Pおよびそれに搭載される磁石Mを衣服1から取り外し自在とするにあたって、クリップCを開閉して、メッシュ材Eまたは布材Kの端部に該クリップCを食い付かせるだけでよく、容易に着脱することができる。さらにまた、前記取付け部材の基材として、クリップ通し孔Qを有する布材Kや、メッシュ材Eを用いることで、それらのクリップ通し孔Qやメッシュ孔などを通して、クリップCの先端の歯Ce,Cfが表裏間で噛合って、不所望に外れ難くすることができる。
さらにまた、本実施形態のように、開閉部分が前立て2のように上下方向に開閉する場合、その裏側で、基材となる布材Kやメッシュ材Eが、クリップC毎に切離されていたら、自己支持性が低くなるとともに、各クリップが対応するクリップ通し孔Qやメッシュ孔が捜し難い、つまりボタンの掛け違いが起こり易くなるのに対して、本実施形態のように、基材が複数のクリップCが食い付く一体物の帯状体とすることで、自己支持性が高く、クリップCを留め易くなり、好適である。
一方、前記取付け部材としては、前記の開閉部分の裏側に、ファスナーGA,GBなどで取付けられる第1の面ファスナーTA,TBと、支持体PA,PBに取付けられ、第1の面ファスナーTA,TBに係合または解放自在の第2の面ファスナーDA,DBとの組合わせとすることで、それらを着け外しすることで、支持体Pおよび磁石Mを一体で、容易に着脱することができる。
なお、図2では、上述のように多数の実施形態を示すために、メッシュ材E、布材K、面ファスナーTA,TBおよびそれに対を成すクリップCや面ファスナーDA,DBを示しているが、何れか1つが統一して用いられればよい。
好ましくは、上述のように衣服1を前立て2で左右方向に開閉可能にし、上下方向に配列される複数対の磁石Mの磁気吸着で開閉を行う場合、最上段の磁石M1A,M1Bの対については、他の段の磁石M2A~M6A,M2B~M6Bの対とは異なる組合わせ形状とする。つまり、最上段の磁石M1A,M1Bは、他の段の磁石M2A~M6A,M2B~M6Bとは吸着しない。このように構成することで、ボタンの掛け違えのようなズレを未然に防止することができる。
さらにまた、本実施形態では、開閉部分に磁石Mが複数(図2の例では6)個並んで設けられるので、それらの間の少なくとも一部の箇所に、相互に圧着されることで係合する係合部材F(以下のF1~F4を総称する)を設けている。図2の例では、磁石M1A,M1B;M2A,M2B間に係合部材F1を、磁石M2A,M2B;M3A,M3B間に係合部材F2を、磁石M3A,M3B;M4A,M4B間に係合部材F3を、磁石M5A,M5B;M6A,M6B間に係合部材F4を、それぞれ設けている。
そして、その係合部材F1~F4は、磁石Mと同様に、もう1つの支持体P11A~P14A;P11B~P14Bならびにもう1つの取付け部材を構成するクリップC11A~C13A;C11B~C13Bおよび面ファスナーD14A;D14Bならびに前記のメッシュ材E、布材K、または面ファスナーTA,TBによって、衣服1の裏側で着脱自在となっている。係合部材Fは、面ファスナーやホックなどの一対の係合部材で実現することができる。本実施形態では面ファスナーとするので、前記もう1つの支持体P11A~P14A;P11B~P14Bの一端部側には、面ファスナーR11A~R14A;R11B~R14Bが取付けられている。このように構成することで、洗濯可能で、磁石Mで仮吸着して位置決めも行い(ボタンの掛け違いを無くし)、磁石Mの近傍に設けた係合部材Fによって本固定を行い、脱げ難くした衣服を実現することができる。
このように構成することで、磁石Mを仮固定とし、係合部材Fによって本固定を行い、衣服1を不所望に脱げないようにすることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止める構成であるモジュールsを拡大して示す斜視図である。本実施形態は、衣服本体であるシャツの部分は、前述の図1および図2で示すものを用いることができる。そして、取付け部材は、前述のメッシュ材Eまたは布材Kと、クリップc1a,c2a;c1b,c2bとによって構成されることになる。支持体pa,pbは、1枚の矩形の薄板の中央付近を凹凸になるように分割して形成され、その凹凸の境界部分には、相互に吸着する磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bが立設され、境界とは反対側の端部には、前記クリップc1a,c2a;c1b,c2bが、相互に間隔を開けて固着される。クリップc1a,c2a;c1b,c2b間で、磁石m2a,m2bの背後側には、面ファスナーra,rbが貼付けられている。面ファスナーra,rb間は、面ファスナーから成る係合部材fによって連結される。支持体pa,pbの一方(図4では支持体pa)の裏面には、他方(図4では支持体pb)の凹凸部分までをカバーする案内板gが貼付けられている。
こうして、支持体pa,pb、クリップc1a,c2a;c1b,c2b、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3b、面ファスナーra,rb、係合部材fおよび案内板gは、前記の前頃を止めるためのモジュールsを構成する。そのモジュールsは、たとえば、ボタンB1およびボタン孔H1に対応する、図3で示すような、支持体P1A,P1Bならびにそれに搭載される磁石M1A,M1BおよびクリップC1A,C1Bを備えて構成されるモジュールに代えて用いられてもよく、或いは、それらに、さらにもう1つの支持体P11A,P11Bならびにそれに搭載される面ファスナーR11A,R11B、クリップC11A,C11Bおよび係合部材Fを備えて構成されるモジュールを加えた構成に代えて用いられてもよく、もしくは、それらに、さらにボタンB2およびボタン孔H2に対応する、もう1組の支持体P2A,P2Bならびにそれに搭載される磁石M2A,M2BおよびクリップC2A,C2Bを備えて構成されるモジュールを加えた構成に代えて用いられてもよい。
このように構成することで、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bを搭載する支持体pa,pbを薄板状の基板として、それぞれの基板に、前記のクリップc1a,c2a;c1b,c2bを配置してモジュール化しているので、衣服の開閉部分を閉じる連結手段として、メッシュ材Eや布材Kに、このモジュールsを容易に取付けることができる。また、剛性の基板上で、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bおよびクリップc1a,c2a;c1b,c2bのアライメント(位置決め)を正確に行うことができ、しかもクリップc1a,c2a;c1b,c2bは上下に間隔を開けて2つ配置し、メッシュ材Eや布材Kは帯状体の基材であるので、帯状の支持体Pを用いる場合に比べて、衣服への着脱を格段に行い易くなる。
また、本実施形態では、一対の磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bは、正面から見て、互いの吸着面が、左右から相互に嵌り合う凹凸形状に形成される。つまり図4では、凹凸の頂部および底部に、所謂ゴム磁石(ボンド磁石)を分断したものを配置している。したがって、それらが嵌り合うことで、前記の上下方向に延びる前頃2における上下方向のズレを無くすことができる。
ここで、案内板gは、上述のように、2枚の支持体pa,pbの一方(図4では支持体pa)の裏面に設けられて、他方(図4では支持体pb)の裏面を案内し、それらの支持体pa,pbの凹凸形状が一致するように案内する。これによって、2枚の支持体pa,pbが隙間無く重なり、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bが密着し、外れ難く(脱げ難く)なるとともに、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bの吸着の際、肌着などを挟み込まず、容易に吸着させる(着易くする)ことができる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止める他の構成であるモジュールuを拡大して示す斜視図である。本実施形態も、衣服本体であるシャツの部分は、前述の図1および図2で示すものを用いることができる。図5の構成において、図4の構成に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。本実施形態では、取付け部材は、前述の面ファスナーTA,TBと、面ファスナーda,dbとによって構成されることになる。支持体ha,hbは、1枚の矩形で所定の厚みを有する発泡スチロール板などから、その中央付近を凹凸になるように分割して形成され、その凹凸の境界部分には、前記の磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bが貼付けられている。面ファスナーda,dbは、支持体ha,hbの裏面側で、境界とは反対側の端部側に設けられる。支持体ha,hbの表面側の中央部(磁石m2a,m2bの背後側)には、前記の面ファスナーra,rbが貼付けられている。面ファスナーra,rb間は、前記の面ファスナーから成る係合部材fによって連結される。支持体ha,hbの一方(図5では支持体ha)の裏面には、他方(図5では支持体hb)の凹凸部分までをカバーする前記の案内板gが貼付けられており、対応して、他方(図5では支持体hb)の裏面には、案内板gが支持体hbの凸部分の裏側に潜り込み易くするために、該案内板gと同じ厚さか、少し厚いスペーサー板g’が貼付けられている。前記の面ファスナーda,dbは、案内板gまたはスペーサー板g’に貼付けられる。
こうして、支持体ha,hb、面ファスナーda,db、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3b、面ファスナーra,rb、係合部材f、案内板gおよびスペーサー板g’は、前記の前頃を止めるためのモジュールuを構成する。そのモジュールuも、モジュールsと同様に、ボタンBの1つ分から、間に面ファスナーFを挟む2つ分までの幅に対応して、設けられればよい。
このように構成することで、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bおよびそれを搭載する支持体ha,hbが、開閉部分を閉じる連結手段としてモジュール化されることになり、帯状体の基材である面ファスナーTA,TBに、このモジュールuを、面ファスナーda,dbによって容易に取付けることができるとともに、剛性の基板である支持体ha,hbで、磁石m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m3bのアライメント(位置決め)を正確に行うことができ、衣服の着脱も行い易くなる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の他の形態に係る衣服において、前頃を止めるさらに他の構成であるモジュールu’を、一部を透視して拡大して示す斜視図である。本実施形態も、衣服本体であるシャツの部分は、前述の図1および図2で示すものを用いることができる。図6の構成は、図5の構成に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。本実施形態でも、取付け部材は、前述の面ファスナーTA,TBと、面ファスナーda,dbとによって構成されることになる。本実施形態のモジュールu’は、図5のモジュールuと、支持体haおよび係合部材fについては、同一である。
注目すべきは、本実施形態では、支持体hb’に搭載される構成が、支持体hbに搭載される構成と、一部で異なることである。具体的には、磁石m2b’が、電磁石であることである。図6の例では、磁石m2aに対向するのは磁極プレートm2b1となり、その背後側に、ヨークm2b2およびそれに巻回されるコイルm2b3を備えて、磁石m2b’が構成される。
コイルm2b3は、制御装置ctlによって、その電力付勢が制御され、制御回路ctlは、電力付勢(通電)するか否か、および電力付勢(通電)する場合の付勢(通電)方向を制御する。制御装置ctlには、電池batから電源供給され、前記コイルm2b3の電力付勢の制御は、スマートフォンなどの外部の指示装置iから、無線LANなどの近距離無線通信jによって行われる。電池batには、図6では、電気浮き用のリチウム電池を使用しているが、所謂ボタン電池などが用いられてもよい。このような構成のため、支持体hb’の外筐は剛体であり、内部空間に、前記ヨークm2b2、コイルm2b3、制御装置ctlおよび電池batが収容される。
このように構成することで、制御装置ctlが、磁石m2b’を吸着方向に電力付勢(通電)することで、使用者が大まかに合せていた衣服1の前立て2A,2Bを完全に一致させて、他の磁石m1b,m3bと共に、対向する磁石m1a,m2a,m3aとの係合を行わせることができる。磁石m2b’の吸着後、制御装置ctlのタイマー機能によって、所定時間経過後に電力付勢(通電)が停止され、その所定時間の間に、前記係合部材fによる固定が行われる。係合部材fが剥がされている状態で、制御装置ctlが、磁石m2b’を反発方向に電力付勢(通電)することで、その反発力によって、他の磁石m1b,m3bが外れ易くなる。こうして、利便性を向上することができる。
好ましくは、スマートフォンiは、音声認識によって、制御装置ctlに前記電力付勢の指示を与えることである。その音声認識は、スマートフォン61が図示しないネットワークを介してサーバコンピュータに音声データを送信し、人工知能による音声認識機能などを利用して実現することができる。これによって、使用者がスマートフォンiに話し掛けるだけで、磁石m2b’の吸着や解放を制御、すなわち着たり脱いだりすることができ、特に手の不自由な使用者の利便性を向上することができる。
1 衣服
2 前
2A,2B 前立て
B1,B2,B3,B4,B5,B6 ボタン
C1A,C2A,C3A,C4A;C11A,C12A,C13A クリップ
C1B,C2B,C3B,C4B;C11B,C12B,C13B クリップ
Ca 操作レバー
Cb 揺動片
Cc 軸
Cd 固定片
Ce,Cf 歯
D5A,D6A;D5B,D6B 面ファスナー
D14A;D14B 面ファスナー
E メッシュ材
F1,F2,F3,F4 係合部材
GA,GB ファスナー
H1,H2,H3,H4,H5,H6 ボタン孔
K 布材
M1A,M2A,M3A,M4A,M5A,M6A 磁石
M1B,M2B,M3B,M4B,M5B,M6B 磁石
N 粘着材
P1A,P2A,P3A,P4A,P5A,P6A 支持体
P1B,P2B,P3B,P4B,P5B,P6B 支持体
P11A,P12A,P13A,P14A 支持体
P11B,P12B,P13B,P14B 支持体
Q1,Q2,Q3,Q4;Q11,Q12,Q13 孔
R11A,R12A,R13A,R14A 面ファスナー
R11B,R12B,R13B,R14B 面ファスナー
S 縫い目
TA,TB 面ファスナー
bat 電池
c1a,c2a;c1b,c2b クリップ
ctl 制御回路
da,db 面ファスナー
f 係合部材
g 案内板
g’ スペーサー板
ha,hb,hb’ 支持体
i 指示装置
m1a,m2a,m3a;m1b,m2b,m2b’,m3b 磁石
m2b1 磁極プレート
m2b2 ヨーク
m2b3 コイル
pa,pb 支持体
ra,rb 面ファスナー
s,u,u’ モジュール

Claims (6)

  1. 少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服において、
    対を成す開閉部分の裏側において、開閉端の内方から、他方の開閉部分の側に延びてそれぞれ形成される一対の支持体と、
    前記支持体にそれぞれ搭載され、相互に磁気吸着することで対を成す前記の開閉部分間を閉止する一対の磁石または磁性体と、
    前記の開閉部分の裏側に一端が取付けられる基材と、前記支持体に取付けられ、前記基材の他端側に噛合または解放自在のクリップとを備えて構成され、前記支持体を、前記開閉部分の裏側に着脱自在に取付ける取付け部材とを含むことを特徴とする衣服。
  2. 少なくとも一部を開閉することで着脱可能になる衣服において、
    対を成す開閉部分の裏側において、開閉端の内方から、他方の開閉部分の側に延びてそれぞれ形成される一対の支持体と、
    前記支持体にそれぞれ搭載され、相互に磁気吸着することで対を成す前記の開閉部分間を閉止する一対の磁石または磁性体と、
    前記の開閉部分の裏側に取付けられる第1の面ファスナーと、前記支持体に取付けられ、前記第1の面ファスナーに係合または解放自在の第2の面ファスナーとを備えて構成され、前記支持体を、前記開閉部分の裏側に着脱自在に取付ける取付け部材とを含むことを特徴とする衣服。
  3. 前記開閉部分は、上下方向に延びる前身頃または後身頃であり、前記上下方向に、前記磁石または磁性体が、予め定める間隔で複数個配列され、
    それらの磁石または磁性体の間の少なくとも一部の箇所には、相互に圧着されることで係合する一対の係合部材が設けられ、
    前記一対の係合部材に関連して、もう1つの支持体およびもう1つの取付け部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の衣服。
  4. 前記開閉部分は、上下方向に延びる前身頃または後身頃であり、
    前記基材は、上下方向に延び、前記開閉部分の裏側に、幅方向の一端部が縫付けまたは貼付けによって取付けられる帯状体であり、他端部側には、複数のクリップが噛合し、
    前記一対の支持体は、前記開閉部分の裏側で、その先端部分が相互に重なり合う薄板状の基板から成り、
    前記基板上には、前記上下方向に間隔を開けて2つのクリップが配置されるとともに、他方の基板との突き合わせ面に臨んで、前記磁石または磁性体が搭載されることを特徴とする請求項記載の衣服。
  5. 前記基板上には、前記上下方向に間隔を開けて配置される2つのクリップ間に、他方の基板と連結する第3の面ファスナーが設けられていることを特徴とする請求項記載の衣服。
  6. 前記磁石の少なくとも一部は電磁石であり、
    前記電磁石は、制御装置によって電力付勢が制御されており、
    前記制御装置には、情報処理端末と近距離無線通信によって、前記電力付勢の指示が与えられることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の衣服。
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