以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
図1は、本発明の実施形態に係る磁気ディスク装置としてのハードディスク装置(以下HDD装置と称する)100の機構に関わる概略構成図である。
HDD装置100は、記録媒体である磁気ディスク110と、磁気ディスク110に対して情報の書き込み及び読み込みを行う磁気ヘッド111(以下ヘッド111とも称されうる)と、磁気ヘッド111を磁気ディスク110の半径方向に対して移動自在に支持するアーム112と、磁気ディスク110を支持及び回転させるスピンドルモータ113(以下SPM113とも称されうる)と、アーム112を回転駆動及び位置決めすることで磁気ヘッド111を磁気ディスク110の半径方向に対して移動させ且つ位置決めするボイスコイルモータ114(以下VCM114とも称されうる)と、を備える。
HDD装置100は、更に、一対の圧電素子115と、ロードビーム116と、磁気ヘッド111を磁気ディスク110から離間した所定の退避位置に保持するランプ部117と、を備える。アーム112の先端にロードビーム116が取り付けられ、ロードビーム116の先端に磁気ヘッド111が取り付けられる。アーム112の先端部におけるロードビーム116の取り付け部付近に一対の圧電素子115が配置される。一対の圧電素子115に対して互いに逆位相の電圧を加えることで、一対の圧電素子115が互いに逆位相で伸縮し、ロードビーム116の先端の磁気ヘッド111を磁気ディスク110の半径方向において変位させることができる。
このように、HDD装置100では、いわゆる2段アクチュエータ方式が採用されている。VCM114は、アーム112を駆動することで磁気ディスク110上において磁気ヘッド111を荒く位置決めする(相対的に荒い分解能で位置決めする)粗動アクチュエータとして機能し、一対の圧電素子115は、アーム112の位置を基準にして磁気ヘッド111の位置を調整することで磁気ディスク110上において磁気ヘッド111を精密に位置決めする(VCM114よりも細かい分解能で位置決めする)微動アクチュエータとして機能する。以下では、一対の圧電素子115から成るアクチュエータを、マイクロアクチュエータの略称“MA”を用い、MA115と称する。
磁気ディスク110と、磁気ヘッド111と、MA115及びロードビーム116が取り付けられたアーム112と、SPM113と、VCM114と、ランプ部117は、HDD装置100の筐体内に収められる。尚、VCM114又はMA115による磁気ヘッド111の移動、変位に関し、磁気ディスク110の半径方向における移動、変位とは、円盤形状を有する磁気ディスク110の外周と中心とを結ぶ方向における移動、変位を意味するが、VCM114又はMA115による磁気ヘッド111の移動、変位が、磁気ディスク110の半径方向における移動、変位に加えて、他の方向(例えば磁気ディスク110の外周の接線方向)における移動、変位の成分を含むこともある。
図2は、HDD装置100の電気的な概略ブロック図である。HDD装置100には、電気的な構成部品として、ドライバIC10、信号処理回路120、MPU(micro-processing unit)130及び電源回路140が設けられている。電源回路140は、ドライバIC10及び信号処理回路120、MPU130を駆動するための電源電圧を、それらに供給する。MPU130は、信号処理回路120及びドライバIC10の夫々に対し、双方向通信が可能な形態で接続されている。
信号処理回路120は、磁気ディスク110への情報の書き込み時には、当該情報を書き込むための記録信号を磁気ヘッド111に出力し、磁気ディスク110から情報を読み出す時には、磁気ディスク110から読み出された信号に対して必要な信号処理を施し、これによって得られた信号をMPU130に送る。MPU130は、信号処理回路120の制御を通じて磁気ヘッド111による情報の書き込み動作及び読み込み動作を制御する。
ドライバIC10は、図3に示すような、半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(ドライバ装置)である。尚、図3に示されるドライバIC10のピン数(外部端子の数)は例示に過ぎない。ドライバIC10には、SPM113を駆動制御するためのSPMドライバ13、VCM114を駆動制御するためのVCMドライバ14及びMA115を駆動制御するためのMAドライバ15が設けられる他、MPU130及びドライバIC10間の双方向通信を可能とするためのIF回路(インターフェース回路)12や、IF回路12を通じてMPU130から受けた制御データに基づきドライバ13~15の動作を制御する制御回路11などが設けられる。
MPU130は、ドライバIC10のSPMドライバ13を制御することによりSPM113の駆動制御を通じて磁気ディスク110の回転制御を行い、ドライバIC10のVCMドライバ14及びMAドライバ15を制御することによりVCM114及びMA115の駆動制御を通じて磁気ヘッド111の移動制御及び位置決めを行う。磁気ディスク110の各箇所には磁気ディスク110上の各々の位置を示す位置情報が記録されており、磁気ディスク110上に磁気ヘッド111が位置しているとき、この位置情報は磁気ヘッド111により読み取られて、信号処理回路120を通じてMPU130に伝達される。MPU130は当該位置情報に基づいてVCMドライバ14及びMAドライバ15を制御でき、この制御を通じて、VCMドライバ14がVCM114に必要な駆動電流を供給することで磁気ヘッド111の第1段階の位置決めが実現され且つMAドライバ15がMA115に必要な電圧を供給することで磁気ヘッド111の第2段階の位置決めが実現される。尚、磁気ヘッド111が磁気ディスク110上に位置しているとは、磁気ヘッド111が微小な空間を隔てて磁気ディスク110の上方に位置していることを意味する。
図4に、VCM114及びVCMドライバ14並びにMA115及びMAドライバ15に関わるブロック図(部分的に回路図を含む)を示す。MA115としての一対の圧電素子115の内、一方を符号115aにて参照し、他方を符号115bにて参照する。ドライバIC10に設けられる外部端子には、端子AOUT、BOUT、ISNS、KSNS、P1OUT及びP2OUTが含まれる。
まず、VCM114及びVCMドライバ14について説明する。VCM114は、2つの永久磁石と該2つの永久磁石により形成される磁界中に配置されたコイルとで構成される。LVCMはVCM114を構成するコイルを表す。IOUTは、VCM114に供給される電流であるVCM114の駆動電流を表す。当然であるが、VCM114への電流供給はコイルLVCMへの電流供給を意味する。端子AOUT及びBOUT間にセンス抵抗RS及びコイルLVCMの直列回路が接続される。より具体的には、端子AOUTにセンス抵抗RSの一端が接続される一方で端子BOUTにコイルLVCMの一端が接続され、センス抵抗RS及びコイルLVCMの他端同士が共通接続される。
駆動電流IOUTは、センス抵抗RS及びコイルLVCMの直列回路を経由して端子AOUT及びBOUT間に流れる。ここでは、端子AOUTから端子BOUTに向けて流れる駆動電流IOUTの極性が正であるとし、端子BOUTから端子AOUTに向けて流れる駆動電流IOUTの極性が負であるとする。MPU130は、駆動電流IOUTの目標値を示すVCM制御データをドライバIC10に供給する。VCM制御データにより、VCM114に供給されるべき駆動電流IOUTの大きさや向きが指定される。VCMドライバ14はVCM制御データに従った正又は負の駆動電流IOUTをコイルLVCMに供給する。正の駆動電流IOUTをコイルLVCMに供給することで磁気ヘッド111は磁気ディスク110の外周側から磁気ディスク110の中心に向けて移動し、負の駆動電流IOUTをコイルLVCMに供給することで磁気ヘッド111は磁気ディスク110の中心から磁気ディスク110の外周側に向けて移動する。
VCMドライバ14は、電流検出増幅回路14a、誤差増幅回路14b及び出力段回路14cを備える。センス抵抗RSにて発生する電圧降下(即ち、センス抵抗RSの端子間電圧)が駆動電流IOUTに応じた信号として電流検出増幅回路14aに入力される。
電流検出増幅回路14aは、その入力信号に基づいて駆動電流IOUTを検出し、検出結果を誤差増幅回路14bに出力する。より具体的には、センス抵抗RSの一端に接続された端子AOUTが端子KSNSに接続されると共に、センス抵抗RSの他端が端子ISNSに接続され、電流検出増幅回路14aは、駆動電流IOUTの大きさ及び向きに応じた信号である端子KSNS及びISNS間の電圧信号を増幅して当該増幅後の電圧信号を誤差増幅回路14bに出力する。尚、ここでは、センス抵抗RSがドライバIC10の外部に設けられた外付け抵抗であることを想定しているが、センス抵抗RSをドライバIC10の内部に形成しておいても良い。この場合、センス抵抗RSの電圧降下の信号を伝達する配線をドライバIC10内に設けておくことができる。
誤差増幅回路14bは、電流検出増幅回路14aの出力信号にて示される駆動電流IOUTの検出値と、VCM制御データにて示される駆動電流IOUTの目標値との誤差を検出し、検出誤差を表す信号を増幅したものを出力段回路14cに出力する。駆動電流IOUTの目標値を表すアナログ信号(詳細にはアナログの電圧信号)として、アナログ信号S_ch1が誤差増幅回路14bに供給される。アナログ信号S_ch1は、デジタル信号であるVCM制御データより生成されるが、その生成を担う回路については後述する。
出力段回路14cは、誤差増幅回路14bの出力信号に基づき、誤差増幅回路14bにて検出される誤差がゼロに向かうように、即ち、駆動電流IOUTの値がVCM制御データにて示される駆動電流IOUTの目標値と等しくなるように、端子AOUT及びBOUT間にVCM114の駆動電圧(換言すればコイルLVCMの印加電圧)を供給する。例えば、出力段回路14cは、端子AOUTに接続されるハーフブリッジ回路と端子BOUTに接続されるハーフブリッジ回路を有する。それら2つのハーフブリッジ回路間にセンス抵抗RS及びVCM114の直列回路が接続されることでVCM114に対するフルブリッジ回路が構成される。端子BOUTを低電位側とし且つ端子AOUTを高電位側とする駆動電圧の供給により正の駆動電流IOUTがVCM114に供給され、端子AOUTを低電位側とし且つ端子BOUTを高電位側とする駆動電圧の供給により負の駆動電流IOUTがVCM114に供給される。
この際、出力段回路14cは、パルス幅変調された電圧をVCM114の駆動電圧として供給することで間欠的にVCM114に電力を供給するPWM駆動方式、又は、パルス幅変調されていない連続的な電圧をVCM114の駆動電圧として供給することでVCM114に常時電力を供給するリニア駆動方式にて、動作することができる。出力段回路14cに、PWM駆動方式用の回路とリニア駆動方式用の回路の双方を設けておいて良く、この場合、それらの回路を切り替えて使用することでPWM駆動方式及びリニア駆動方式の何れかでVCM114が駆動される。尚、PWM駆動方式用の回路とリニア駆動方式用の回路の内、一方の回路の一部は他方の回路の一部として兼用されて良い。
次に、MA115及びMAドライバ15について説明する。MA115を構成する圧電素子115a及び115bの夫々は、基本的に、圧電体を2枚の電極で挟んだ構造を有しているため、回路構成上は、容量素子として表される。圧電素子115aの2つの電極の内、一方の電極は端子P1OUTに接続され、他方の電極はグランドに接続される。圧電素子115bの2つの電極の内、一方の電極は端子P2OUTに接続され、他方の電極はグランドに接続される。グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部を指す又は基準電位そのものを指す。本実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
MPU130はMA制御データをドライバIC10に供給する。MA制御データにより、圧電素子115a及び115bに印加される電圧の大きさ及び極性が指定される。圧電素子115aに印加されるべき電圧を表すアナログ信号(詳細にはアナログの電圧信号)として、アナログ信号S_ch2がMAドライバ15に供給される。アナログ信号S_ch2は、デジタル信号であるMA制御データより生成されるが、その生成を担う回路については後述する。MAドライバ15は、端子P1OUTに接続され、アナログ信号S_ch2にて指定される電圧Vpaを圧電素子115aに供給することで圧電素子115aを駆動する第1MAドライバ15aと、端子P2OUTに接続され、電圧Vpaの反転電圧Vpbを圧電素子115bに供給することで圧電素子115bを駆動する第2MAドライバ15bと、を備える。電圧Vpa及び電圧Vpbは互いに同じ大きさを有しているが、互いに極性が異なる。即ち例えば、端子P1OUTに電圧Vpaとして“5V(ボルト)”が印加されるとき、端子P2OUTには電圧Vpbとして“-5V”が印加される。
MPU130は、磁気ヘッド111が磁気ディスク110上に位置しているとき、磁気ヘッド111から読み出された位置情報に基づきVCM制御データ及びMA制御データを作成する。磁気ヘッド111が磁気ディスク110の外周の外側に位置している場合など、磁気ヘッド111にて位置情報が読み出されていない状態においては、MPU130は、位置情報に頼らずにVCM制御データを作成することができる。例えば、磁気ヘッド111をランプ部117における退避位置から磁気ディスク110上に移動させる場合には所定の正の駆動電流IOUTの供給を指示するVCM制御データを作成すれば良い。磁気ヘッド111にて位置情報が読み出されていない状態において、磁気ヘッド111の精密な位置制御は不要となるため、当該状態においてMA制御データは不要である又はMA制御データは固定データとされる(例えば電圧Vpa及びVpbは0Vとされる)。
デジタル信号であるVCM制御データを、駆動電流IOUTを指定するアナログ信号(詳細にはアナログの電圧信号)S_ch1に変換するためには、デジタル-アナログ変換器(以下、DA変換器と称する)が必要であり、デジタル信号であるMA制御データを、MA115の駆動電圧を指定するアナログ信号(詳細にはアナログの電圧信号)S_ch2に変換するためにも、DA変換器が必要である。但し、ドライバIC10に複数のDA変換器を設けると、ドライバIC10のチップ面積増大を招く。これを考慮し、ドライバIC10では、VCM制御データから信号S_ch1を得るためのDA変換器とMA制御データから信号S_ch2を得るためのDA変換器を共用する。
DA変換器を共用するためのDAC共用回路の詳細を説明するのに先立ち、幾つかの用語の定義を行う。今、1つの単位区間をフレームと称する。そうすると、図5に示す如く、時系列上に複数のフレームが並ぶことになる。隣接する任意の2つのフレームを、任意の整数nを用いて、第(n-1)フレーム、第nフレームと称する。第(n-1)フレームの終了タイミングと第nフレームの開始タイミングは一致しているものとする。
DAC共用回路では、フレームを単位としてアナログ信号S_ch1及びS_ch2を更新することができる。尚、アナログ信号S_ch1及びS_ch2に限らず、後述される任意のアナログ信号は、特に記述無き限り、アナログ電圧信号である。
図6を参照し、VCM制御データは、各フレームにおけるアナログ信号S_ch1の値を指定するデジタルデータdata_ch1から成る。アナログ信号S_ch1の値とは、詳細にはアナログ信号S_ch1の電圧値を指す。デジタルデータdata_ch1の内、第nフレームにおけるアナログ信号S_ch1の値を指定するものを“data_ch1[n]”と表記する。第nフレーム以外のフレームについても同様である。即ち、デジタルデータdata_ch1の内、第(n-1)、第(n+1)フレームにおけるアナログ信号S_ch1の値を指定するものは、夫々、“data_ch1[n-1]”、“data_ch1[n+1]”と表記される。
同様に、MA制御データは、各フレームにおけるアナログ信号S_ch2の値を指定するデジタルデータdata_ch2から成る。アナログ信号S_ch2の値とは、詳細にはアナログ信号S_ch2の電圧値を指す。デジタルデータdata_ch2の内、第nフレームにおけるアナログ信号S_ch2の値を指定するものを“data_ch2[n]”と表記する。第nフレーム以外のフレームについても同様である。即ち、デジタルデータdata_ch2の内、第(n-1)、第(n+1)フレームにおけるアナログ信号S_ch2の値を指定するものは、夫々、“data_ch2[n-1]”、“data_ch2[n+1]”と表記される。
ここでは、デジタルデータdata_ch1及びdata_ch2は15ビットのデジタルデータであるとする。但し、それらデジタルデータのビット数は15以外でも構わない。
上述した装置及び回路の各構成及び各動作等を、便宜上、基本実施例と称する。上述した装置及び回路についての詳細な説明や応用、変形技術を、以下の第1~第4実施例の中で説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、基本実施例に記載の事項が後述の第1~第4実施例に適用され、第1~第4実施例において基本実施例と矛盾する事項については、第1~第4実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる第1~第4実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち第1~第4実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
[第1実施例]
第1実施例を説明する。図7は、第1実施例に係るDAC共用回路の回路図である。第1実施例に係るDAC共用回路は、制御回路31と、DAC32と、演算増幅器(オペアンプ)34、基準電圧源35、抵抗36及び37から成る増幅回路33を備えると共に、チャネルch1に対するアナログブロックA_BL1及びチャネルch2に対するアナログブロックA_BL2を備える。アナログブロックA_BL1は、演算増幅器AMP1a及びAMP1bと、スイッチSW1a及びSW1bと、コンデンサC1と、を備える。アナログブロックA_BL2は、演算増幅器AMP2a及びAMP2bと、スイッチSW2a及びSW2bと、コンデンサC2と、を備える。第1実施例に係るDAC共用回路をドライバIC10内に設けておくことができる。制御回路31は、図2の制御回路11に内包されると考えても良い。
制御回路31には、VCM制御データによるデジタルデータdata_ch1及びMA制御データによるデジタルデータdata_ch2が供給される。制御回路31は、各フレームにおいて、デジタルデータdata_ch1又はdata_ch2をデジタルデータDACdataとしてDAC32に供給する。また、制御回路31は、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bのオン、オフを個別に制御する。第1実施例を含む本実施形態において、任意のスイッチは1以上のFET(電界効果トランジスタ)にて構成され、或るスイッチがオンのときには当該スイッチの両端子間が導通する一方で或るスイッチがオフのときには当該スイッチの両端子間が非導通となる。
DAC32は、デジタル-アナログ変換(以下DA変換と称することがある)によって、デジタル信号であるデジタルデータDACdataをアナログの電圧信号に変換するデジタル-アナログ変換器であって、当該変換によって得られたアナログ信号(アナログの電圧信号)を自身の出力端子32aから出力する。出力端子32aから出力されるアナログ信号は、増幅回路33により基準電圧VREFを基準としつつ増幅され、当該増幅により得られたアナログ信号DACOUTがDAC出力部38に加わる。DAC出力部38は、DAC32及び増幅回路33から成るDACブロックの出力部に相当し、DACブロックはDA変換の結果を示すアナログ信号を増幅を経てDAC出力部38より出力すると考えることができる。
具体的には、DAC32の出力端子32aは演算増幅器34の非反転入力端子に接続される。基準電圧源35は直流の所定基準電圧VREFを生成する。抵抗36の一端に基準電圧VREFが印加され、抵抗36の他端は演算増幅器34の反転入力端子に接続されると共に抵抗37を介して演算増幅器34の出力端子に接続される。演算増幅器34の出力端子そのもの又は演算増幅器34の出力端子に接続される配線がDAC出力部38に相当する。
増幅回路33は、DAC32の出力信号を高インピーダンスで受けて該出力信号を所望の増幅率で増幅し、得られた増幅信号DACOUTを低インピーダンスでDAC出力部38へと出力する役割を担う。数値例として、DAC32は0V~0.4Vの範囲内のアナログ信号を出力し、この際、0~1.5Vの範囲内のアナログ信号DACOUTが得られるように、基準電圧VREFの電圧値及び抵抗36及び37の抵抗値が設定されている。尚、基準電圧VREFはゼロボルトであっても構わない(この場合、基準電圧源35が削除されて、演算増幅器34の反転入力端子は抵抗36を介してグランドに接続される)。
アナログブロックA_BL1において、演算増幅器AMP1aの非反転入力端子は、コンデンサC1を介してグランドに接続され且つスイッチSW1aを介してDAC出力部38に接続される。演算増幅器AMP1aの反転入力端子及び出力端子は互いに共通接続される。演算増幅器AMP1aはコンデンサC1の保持電圧(即ちコンデンサC1の両極間電圧)を入力信号として受けるボルテージフォロア(バッファ回路)として機能する。即ち、スイッチSW1aがオンのときにDAC出力部38におけるアナログ信号DACOUTの電圧がコンデンサC1の両極間に加わってコンデンサC1にて保持され、その後、スイッチSW1aがオフとなっても、コンデンサC1にて保持された信号が演算増幅器AMP1aの出力端子から低インピーダンスで出力される。演算増幅器AMP1aにおいて出力インピーダンスは入力インピーダンスと比べて十分に低く、故に演算増幅器AMP1aはインピーダンス変換の機能を担う。
演算増幅器AMP1aの出力信号がアナログ信号S_ch1として用いられる。故に、演算増幅器AMP1aから出力されるアナログ信号S_ch1に応じた電流がVCM114に供給されることになる。
アナログブロックA_BL1において、演算増幅器AMP1bの非反転入力端子は演算増幅器AMP1aの出力端子に接続され、演算増幅器AMP1bの反転入力端子及び出力端子は互いに共通接続されてスイッチSW1bを介してDAC出力部38に接続される。演算増幅器AMP1bは演算増幅器AMP1aの出力信号(即ちアナログ信号S_ch1)を入力信号として受けるボルテージフォロア(バッファ回路)として機能する。演算増幅器AMP1bにおいて出力インピーダンスは入力インピーダンスと比べて十分に低く、故に演算増幅器AMP1bはインピーダンス変換の機能を担う。
アナログブロックA_BL2において、演算増幅器AMP2aの非反転入力端子は、コンデンサC2を介してグランドに接続され且つスイッチSW2aを介してDAC出力部38に接続される。演算増幅器AMP2aの反転入力端子及び出力端子は互いに共通接続される。演算増幅器AMP2aはコンデンサC2の保持電圧(即ちコンデンサC2の両極間電圧)を入力信号として受けるボルテージフォロア(バッファ回路)として機能する。即ち、スイッチSW2aがオンのときにDAC出力部38におけるアナログ信号DACOUTの電圧がコンデンサC2の両極間に加わってコンデンサC2にて保持され、その後、スイッチSW2aがオフとなっても、コンデンサC2にて保持された信号が演算増幅器AMP2aの出力端子から低インピーダンスで出力される。演算増幅器AMP2aにおいて出力インピーダンスは入力インピーダンスと比べて十分に低く、故に演算増幅器AMP2aはインピーダンス変換の機能を担う。
演算増幅器AMP2aの出力信号がアナログ信号S_ch2として用いられる。故に、演算増幅器AMP2aから出力されるアナログ信号S_ch2に応じた電圧Vpa、Vpbが圧電素子115a、115aに供給されることになる(図4参照)。例えば、アナログ信号S_ch2を所定増幅率にて増幅した電圧信号、及び、その電圧信号の反転信号が、電圧Vpa、Vpbとして圧電素子115a、115aに供給される。
アナログブロックA_BL2において、演算増幅器AMP2bの非反転入力端子は演算増幅器AMP2aの出力端子に接続され、演算増幅器AMP2bの反転入力端子及び出力端子は互いに共通接続されてスイッチSW2bを介してDAC出力部38に接続される。演算増幅器AMP2bは演算増幅器AMP2aの出力信号(即ちアナログ信号S_ch2)を入力信号として受けるボルテージフォロア(バッファ回路)として機能する。演算増幅器AMP2bにおいて出力インピーダンスは入力インピーダンスと比べて十分に低く、故に演算増幅器AMP2bはインピーダンス変換の機能を担う。
図8及び図9を参照して、図7のDAC共用回路の動作を説明する。ここでは、説明の具体化のため、図8に示す如く、デジタルデータdata_ch1[n-1]、data_ch1[n]、data_ch1[n+1]のDAC出力部38での電圧換算値が、夫々、1.0V、1.1V、1.1Vであるとし、デジタルデータdata_ch2[n-1]、data_ch2[n]、data_ch2[n+1]のDAC出力部38での電圧換算値が、夫々、0.5V、0.3V、0.3Vであるとする。
デジタルデータdata_ch1[n]のDAC出力部38での電圧換算値が1.1Vであるとは、デジタルデータdata_ch1[n]がデータDACdataとしてDAC32に供給され且つデジタルデータdata_ch1[n]のDA変換の結果がDAC32の出力端子32aから出力されたときに、DAC出力部38におけるアナログ信号DACOUTの電圧の安定値が1.1Vであることを意味する(スイッチSW1b及びSW2bはオフであると仮定)。デジタルデータdata_ch1[n-1]等についても同様である。デジタルデータdata_ch2[n]のDAC出力部38での電圧換算値が0.3Vであるとは、デジタルデータdata_ch2[n]がデータDACdataとしてDAC32に供給され且つデジタルデータdata_ch2[n]のDA変換の結果がDAC32の出力端子32aから出力されたときに、DAC出力部38におけるアナログ信号DACOUTの電圧の安定値が0.3Vであることを意味する(スイッチSW1b及びSW2bはオフであると仮定)。
“n-1”、“n”若しくは“n+1”又はそれ以外の整数を指す変数として、記号“i”を導入する。図9では、“i=n”であるときのタイミングt[i]_1~t[i]_4(即ちタイミングt[n]_1~t[n]_4)と、 “i=n+1”であるときのタイミングt[i]_1~t[i]_4(即ちタイミングt[n+1]_1~t[n+1]_4)と、が示されている。任意の整数iについて、タイミングt[i]_1は第iフレームの開始タイミングであり、従って第iフレームはタイミングt[i]_1から始まってタイミングt[i+1]_1の直前で終了する。第iフレームにおいてタイミングt[i]_1の後に、タイミングt[i]_2、t[i]_3、t[i]_4がこの順番で訪れ、タイミングt[i]_4の後にタイミングt[i+1]_1に至る。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_1及びt[i]_2間の区間であるch1戻し区間では、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW1bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされ、当該ch1戻し区間においてch1戻し動作が行われる(図9では、“i=n”及び“i=n+1”であるときのch1戻し動作が示されている)。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_1及びt[i]_2間のch1戻し動作では、デジタルデータdata_ch1[i-1]をデータDACdataとしてDAC32に供給し且つデジタルデータdata_ch1[i-1]のDA変換の結果をDAC32の出力端子32aから出力する動作が行われる。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_2及びt[i]_3間の区間であるch1更新区間では、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW1aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされ、当該ch1更新区間においてch1更新動作が行われる。図9では、“i=n”及び“i=n+1”であるときのch1更新動作が示されている。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_2及びt[i]_3間のch1更新動作では、デジタルデータdata_ch1[i]をデータDACdataとしてDAC32に供給し且つデジタルデータdata_ch1[i]のDA変換の結果をDAC32の出力端子32aから出力する動作が行われる。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_3及びt[i]_4間の区間であるch2戻し区間では、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされ、当該ch2戻し区間においてch2戻し動作が行われる。図9では、“i=n”及び“i=n+1”であるときのch2戻し動作が示されている。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_3及びt[i]_4間のch2戻し動作では、デジタルデータdata_ch2[i-1]をデータDACdataとしてDAC32に供給し且つデジタルデータdata_ch2[i-1]のDA変換の結果をDAC32の出力端子32aから出力する動作が行われる。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_4及びt[i+1]_1間の区間であるch2更新区間では、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされ、当該ch2更新区間においてch2更新動作が行われる(但し、タイミングt[i+1]_1は第(i+1)フレームに属すると解される)。図9では、“i=n”及び“i=n+1”であるときのch2更新動作が示されている。
任意の第iフレームにおいて、タイミングt[i]_4及びt[i+1]_1間のch2更新動作では、デジタルデータdata_ch2[i]をデータDACdataとしてDAC32に供給し且つデジタルデータdata_ch2[i]のDA変換の結果をDAC32の出力端子32aから出力する動作が行われる。
図10に、タイミングt[i]_1及びt[i]_2間におけるDAC32の出力信号(即ち出力端子32aでの信号)及びDAC出力部38での信号DACOUTの波形の例を示す。タイミングt[i]_1及びt[i]_2間のch1戻し動作において、デジタルデータdata_ch1[i-1]をデータDACdataとしてDAC32に供給し且つデジタルデータdata_ch1[i-1]のDA変換の結果をDAC32の出力端子32aから出力すると述べたが、詳細には、DAC32がデータdata_ch1[i-1]をサンプリングしてからDAC32の出力信号がデータdata_ch1[i-1]のDA変換の結果を表す信号に安定化するには所定のセトリング時間ΔtAがかかり、且つ、信号DACOUTの電圧値がデータdata_ch1[i-1]に応じた電圧値に安定するまでにも増幅回路33の特性(スルーレート等)に依存した時間がかかる。タイミングt[i]_1から起算して、信号DACOUTの電圧値がデータdata_ch1[i-1]に応じた電圧値に安定化するまでの時間をΔtBで表すと、時間ΔtBは当然にDAC32単体のセトリング時間ΔtAよりも長くなる。ch1戻り動作に注目して時間ΔtA及びΔtBを説明したが、ch1更新動作、ch2戻し動作及びch2更新動作についても同様のことが言える。
実際には、DAC32と増幅回路33の双方の応答特性に依存して時間ΔtBが定まるが、ここでは、DAC32単体のセトリング時間ΔtAは十分に短くて無視できるものとし、時間ΔtB分の遅延の主要因は増幅回路33にあると考える。増幅回路33の応答を高速化すれば時間ΔtBの短縮化が図れるが、増幅回路33の応答の高速化は増幅回路33の消費電力増大を招くため限界がある。
尚、タイミングt[i]_1及びt[i]_2間のch1戻し動作において、DAC32がタイミングt[i]_1にてサンプリングが可能となるよう、制御回路31は、タイミングt[i]_1よりも若干前のタイミングからデータdata_ch1[i-1]をDAC32に供給するようにしても良い。ch1更新動作、ch2戻し動作及びch2更新動作についても同様である。以下では、タイミングt[i]_1、t[i]_2、t[i]_3、t[i]_4において、夫々、データdata_ch1[i-1]、data_ch1[i]、データdata_ch2[i-1]、data_ch2[i]のサンプリングがDAC32にて行われると考える。
図9を参照し、第(n-1)フレームから第nフレームへの切り替わりタイミングを起点にして、DAC共用回路の動作を説明する。
まず、タイミングt[n]_1に至る直前においては、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされており、信号DACOUTの電圧はデータdata_ch2[n-1]に基づく0.5Vにて安定している。また、第(n-1)フレームでの動作により、タイミングt[n]_1に至る直前においては、コンデンサC1、C2の保持電圧(即ちコンデンサC1、C2の両極間電圧)は、夫々、1.0V、0.5Vとなっており、従って、信号S_ch1、S_ch2の電圧も、夫々、1.0V、0.5Vとなっている。
タイミングt[n]_1において、第nフレームのch1戻し動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW1bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch1[n-1]がDAC32に供給されてデータdata_ch1[n-1]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_1及びt[n]_2間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を0.5Vからデータdata_ch1[n-1]に基づく1.0Vに上昇させるように動作する。この際、演算増幅器AMP1bもスイッチSW1bを通じて信号DACOUTの電圧を1.0Vに上昇させるように作用するため、信号DACOUTの電圧が1.0Vに到達するまでの時間は、図11の参考回路よりも短い。
図11の参考回路は、図7のDAC共用回路から演算増幅器AMP1b及びAMP2b並びにスイッチSW1b及びSW2bを除いた回路である。図12には、参考回路を用いたときの各部波形及びスイッチの状態が示されている。本実施例に係るDAC共用回路(図7)では、ch1戻し動作に必要な時間を図11の参考回路よりも短くすることができる。例えば、図11の参考回路ではch1戻し動作に100ns(ナノ秒)程度の時間が必要となるが、本実施例に係るDAC共用回路(図7)では、その時間を数分の1~数10分の1程度にまで低減することができる。
タイミングt[n]_1の後、信号DACOUTの電圧は、タイミングt[n]_2に至る前にデータdata_ch1[n-1]に基づく1.0Vに到達し、タイミングt[n]_2まで1.0Vに維持される。タイミングt[n]_1及びt[n]_2間ではスイッチSW1a及びSW2aがオフとされているため、コンデンサC1、C2の両極間電圧は、タイミングt[n]_1の直前と同様、夫々、1.0V、0.5Vとなっており、従って、信号S_ch1、S_ch2の電圧も、夫々、1.0V、0.5Vとなっている。
タイミングt[n]_2において、第nフレームのch1更新動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW1bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW1aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch1[n]がDAC32に供給されてデータdata_ch1[n]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_2及びt[n]_3間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を1.0Vからデータdata_ch1[n]に基づく1.1Vに上昇させるように動作する。
タイミングt[n]_2の後、信号DACOUTの電圧は、タイミングt[n]_3に至る前にデータdata_ch1[n]に基づく1.1Vに到達し、タイミングt[n]_3まで1.1Vに維持される。タイミングt[n]_2及びt[n]_3間では、スイッチSW1aがオンとされているためコンデンサC1の両極間電圧及び信号S_ch1の電圧は信号DACOUTの電圧と一致し、一方で、スイッチSW2aがオフとされているためコンデンサC2の両極間電圧及び信号S_ch2の電圧はデータdata_ch2[n-1]に基づく0.5Vに保持されている。
タイミングt[n]_3において、第nフレームのch2戻し動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW1aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW2bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch2[n-1]がDAC32に供給されてデータdata_ch2[n-1]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_3及びt[n]_4間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を1.1Vからデータdata_ch2[n-1]に基づく0.5Vに減少させるように動作する。この際、演算増幅器AMP2bもスイッチSW2bを通じて信号DACOUTの電圧を0.5Vに減少させるように作用するため、信号DACOUTの電圧が0.5Vに到達するまでの時間は、図11の参考回路よりも短い。即ち、ch1戻し動作と同様に、本実施例に係るDAC共用回路(図7)では、ch2戻し動作に必要な時間を図11の参考回路よりも短くすることができる。
タイミングt[n]_3の後、信号DACOUTの電圧は、タイミングt[n]_4に至る前にデータdata_ch2[n-1]に基づく0.5Vに到達し、タイミングt[n]_4まで0.5Vに維持される。タイミングt[n]_3及びt[n]_4間ではスイッチSW1a及びSW2aがオフとされているため、コンデンサC1、C2の両極間電圧は、タイミングt[n]_3の直前と同様に、夫々、1.1V、0.5Vとなっており、従って、信号S_ch1、S_ch2の電圧も、夫々、1.1V、0.5Vとなっている。
タイミングt[n]_4において、第nフレームのch2更新動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW2aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch2[n]がDAC32に供給されてデータdata_ch2[n]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_4及びt[n+1]_1間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を0.5Vからデータdata_ch2[n]に基づく0.3Vに減少させるように動作する。
タイミングt[n]_4の後、信号DACOUTの電圧は、タイミングt[n+1]_1に至る前にデータdata_ch2[n]に基づく0.3Vに到達し、タイミングt[n+1]_1まで0.3Vに維持される。タイミングt[n]_4及びt[n+1]_1間では、スイッチSW2aがオンとされているためコンデンサC2の両極間電圧及び信号S_ch2の電圧は信号DACOUTの電圧と一致し、一方で、スイッチSW1aがオフとされているためコンデンサC1の両極間電圧及び信号S_ch1の電圧はデータdata_ch1[n]に基づく1.1Vに保持されている。
第(n+1)フレーム、及び、それよりも後にフレームについても同様の動作が行われる。図8及び図9の例では、データdata_ch1[n]及びdata_ch1[n+1]に対応する電圧値が共通の1.1Vであるため、第(n+1)フレームにおいて信号S_ch1に変化は無く、同様に、データdata_ch2[n]及びdata_ch2[n+1]に対応する電圧値が共通の0.3Vであるため、第(n+1)フレームにおいて信号S_ch2に変化は無い。
ch1戻し区間、ch1更新区間、ch2戻し区間及びch2更新区間の長さは、夫々に、予め定められている。本実施例において、信号DACOUTは0V~1.5Vの範囲内で変動する。このため、ch1戻し動作において、信号DACOUTの電圧が0Vから1.5Vまで上昇するために必要な時間及び信号DACOUTの電圧が1.5Vから0Vまで減少するために必要な時間を実験又は計算等を通じて導出しておき、導出したそれらの時間よりも長い時間をch1戻し区間の長さとして予め設定しておけば良い。ch1更新区間、ch2戻し区間及びch2更新区間についても同様である。
ch1戻し動作の意義について説明する。第(n-1)フレーム及び第nフレーム間において、データdata_ch1が1.0V相当から1.1V相当に変化する際、信号S_ch1の電圧は1.0Vを起点にして1.1Vに更新されるべきである。このため、第nフレームにおいて、ch1更新動作を行う前には、信号DACOUTからチャネルch2用の情報を消して信号DACOUTの電圧を起点となるべき1.0Vに戻す動作が必要になる。この動作がch1戻し動作に相当する。仮に、第nフレームにおいて、ch1戻し動作を行うことなくch1更新動作を行った場合、ch1更新動作にて信号DACOUTの電圧が0.5Vを起点にして1.1Vに変化してゆくことになり、その変化の過程において信号S_ch1の電圧が一時的にデータdata_ch2[n-1]に基づく電圧となって、信号S_ch1の連続性が損なわれる。信号S_ch1はVCM114の駆動制御用の信号である一方で信号S_ch2はMA115の駆動制御用の信号であり、一時的ではあっても、MA115の駆動制御用のデータdata_ch2をVCM114の駆動制御用の信号S_ch1に反映させるべきではない。
ch2戻し動作も同様の観点から実行される。ch1、ch2戻し区間の長さは、ch1、ch2更新動作を行うまでの待機時間に相当する、と考えることができる。この待機時間は、DAC32の共用を行うために必要となった、データ更新までの待ち時間であり、当該待ち時間が短ければ短いほど、各フレームにおけるデジタルデータの信号S_ch1及びS_ch2への反映が速くなる。
図7のDAC共用回路では、図11の参考回路との比較において、ch1、ch2戻し区間の長さを短くすることができる(換言すれば、ch1、ch2戻し動作におけるDAC32及び増幅回路33全体のセトリング時間を短くすることができる)。結果、各フレームにおいて信号S_ch1、S_ch2を速やかに更新することができ、DAC共用によってチップ面積の低減を図りつつも、VCM114及びMA115の制御の高速化を担保することができる(図11の参考回路ではch1、ch2戻し区間を長くする必要がある分、更新が遅れてVCM114及びMA115の制御の遅れが大きくなる;図12参照)。
DAC32を共用することなくDAC32の出力から信号S_ch1のみを得るシングル構成ではDAC出力部38が演算増幅器AMP1aの非反転入力端子に直接接続されることになるが、図9の信号S_ch1の波形から分かるように、第1実施例のDAC共用回路でも、上記シングル構成で得られる信号S_ch1と同等の信号S_ch1を得ることができる。第1実施例のDAC共用回路では、ch1戻し区間分だけ信号S_ch1の更新がシングル構成よりも遅延することになるが、演算増幅器AMP1b及びスイッチSW1bを利用したch1戻し動作により、その遅延時間(換言すればch1更新動作を行うまでの待機時間)を随分と短縮することが可能となる。チャネルch2についても同様である。
[第2実施例]
第2実施例を説明する。図13は第2実施例に係るDAC共用回路の回路図である。第2実施例に係るDAC共用回路をドライバIC10に設けるようにしても良い。第2実施例に係るDAC共用回路は、図7に示す第1実施例に係るDAC共用回路に対して電圧検出回路40を追加したものである。電圧検出回路40の有無を除き、第1実施例に係るDAC共用回路と第2実施例に係るDAC共用回路は同様の構成を有する。
電圧検出回路40は、スイッチSW1aの両端子間電圧V1(即ち、信号DACOUTの電圧とコンデンサC1の保持電圧との差)及びスイッチSW2aの両端子間電圧V2(即ち、信号DACOUTの電圧とコンデンサC2の保持電圧との差)を個別に検出する電圧検出処理、検出された電圧V1の大きさ(即ち絶対値)が所定値VTH以下であるか否かを判断する第1判定処理、及び、電圧検出回路40によって検出された電圧V2の大きさ(即ち絶対値)が所定値VTH以下であるか否かを判断する第2判定処理を実行する。VTHは、電圧を単位とする正の微小値(例えば0.01V)を持つ。第1判定処理及び第2判定処理の結果は制御回路31に与えられる。所定値VTHを有する電圧を電圧V1と比較する比較器及び所定値VTHを有する電圧を電圧V2と比較する比較器にて第1及び第2判定処理を実現できる。これらの判定処理をも担う電圧検出回路40は電圧判定回路と称されても良い。
第2実施例に係る制御回路31は、任意のフレームである第iフレームにおいて、タイミングt[i]_2を第1判定処理の結果を利用して動的に決定し、且つ、タイミングt[i]_4を第2判定処理の結果を利用して動的に決定する。図9の例を参照し、“i=n”であると考えて、より具体的に説明する。
タイミングt[n]_1において、第nフレームのch1戻し動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW2aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW1bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch1[n-1]がDAC32に供給されてデータdata_ch1[n-1]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_1及びt[n]_2間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を0.5Vからデータdata_ch1[n-1]に基づく1.0Vに上昇させるように動作する。この際、演算増幅器AMP1bもスイッチSW1bを通じて信号DACOUTの電圧を1.0Vに上昇させるように作用する。
タイミングt[n]_1の後、第1判定処理の継続実行により電圧V1の大きさ(即ち絶対値)が所定値VTH以下であるか否か監視され、制御回路31は電圧V1の大きさが所定値VTH以下となった時点でch1戻し動作を終了させる(従ってch1戻し区間を終了させる)。即ち、第2実施例では、タイミングt[n]_1の後、電圧V1の大きさが所定値VTH以下となった時点がタイミングタイミングt[n]_2として取り扱われる。尚、図9の数値例とは異なるが、仮に、データdata_ch2[n-1]に基づく信号DACOUTの電圧が偶然に1.0Vであったならば、ch1戻し動作の開始直後から電圧V1の大きさが所定値VTH以下となるため即座にch1戻し動作及びch1戻し区間が終了することになる。
タイミングt[n]_2から始まるch1更新動作は、第1及び第2実施例間で同じである。
タイミングt[n]_3において、第nフレームのch2戻し動作が開始されるため、スイッチSW1a、SW1b、SW2a及びSW2bの内、スイッチSW1aのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態からスイッチSW2bのみがオンとされて他の3つのスイッチはオフとされる状態へと切り替わり、且つ、データdata_ch2[n-1]がDAC32に供給されてデータdata_ch2[n-1]に対するDA変換が実行される。結果、タイミングt[n]_3及びt[n]_4間において、DAC32及び増幅回路33は、信号DACOUTの電圧を1.1Vからデータdata_ch2[n-1]に基づく0.5Vに減少させるように動作する。この際、演算増幅器AMP2bもスイッチSW2bを通じて信号DACOUTの電圧を0.5Vに減少させるように作用する。
タイミングt[n]_3の後、第2判定処理の継続実行により電圧V2の大きさ(即ち絶対値)が所定値VTH以下であるか否か監視され、制御回路31は電圧V2の大きさが所定値VTH以下となった時点でch2戻し動作を終了させる(従ってch2戻し区間を終了させる)。即ち、第2実施例では、タイミングt[n]_3の後、電圧V2の大きさが所定値VTH以下となった時点がタイミングタイミングt[n]_4として取り扱われる。尚、図9の数値例とは異なるが、仮に、データdata_ch1[n]に基づく信号DACOUTの電圧が偶然に0.5Vであったならば、ch2戻し動作の開始直後から電圧V2の大きさが所定値VTH以下となるため即座にch2戻し動作及びch2戻し区間が終了することになる。
タイミングt[n]_4から始まるch2更新動作は、第1及び第2実施例間で同じである。
第nフレームについて第2実施例の動作を述べたが、他のフレームについても同様の動作が行われる。
第2実施例によれば、各フレームにおいて、ch1、ch2戻し区間の長さが動的に最小化される。
[第3実施例]
第3実施例を説明する。ドライバIC10の各構成要素は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いてドライバIC10内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。
[第4実施例]
第4実施例を説明する。第1及び第2実施例において、DAC32及び増幅回路33から成るDACブロックを2つのアナログブロックA_BL1及びA_BL2にて共用するDAC共用回路を説明したが、本発明において、DACブロックは3以上のアナログブロックに共用されても良い。即ち、2以上の任意の整数mを用い、本発明の一側面に係るDAC共用回路を一般化して表示すると以下のようになる。
本発明の一側面に係るDAC共用回路は、第1~第mチャネルに対する第1~第mデジタル信号を受けて第1~第mデジタル信号に基づく第1~第mアナログ信号を時分割で切り替えながら繰り返しDAC出力部(38)より出力するDACブロック(32、33)と、DAC出力部(38)に接続される、第1~第mチャネルに対する第1~第mアナログブロックと、制御回路(31)と、を備える。
第1又は第2実施例において、第1~第mチャネルはチャネルch1及びch2に相当し、第1~第mデジタル信号はデータdata_ch1及びdata_ch2に相当し、第1~第mアナログ信号はデータdata_ch1に基づく信号DACOUT及びデータdata_ch2に基づく信号DACOUTに相当し、第1~第mアナログブロックはアナログブロックA_BL1及びA_BL2に相当する。
本発明の一側面に係るDAC共用回路において、各アナログブロックは、DAC出力部(38)に加わる、当該アナログブロックに対応するアナログ信号を保持するアナログ信号保持部と、アナログ信号保持部の保持信号をインピーダンス変換して出力する主出力回路と、DAC出力部(38)と主出力回路の出力部との間に設けられ、制御回路(31)による制御に応じて、主出力回路の出力信号をDAC出力部(38)に伝達可能な副出力回路と、を備える。
第1又は第2実施例において、チャネルch1、ch2についてのアナログ信号保持部はコンデンサC1、C2に相当し、チャネルch1、ch2についての主出力回路は演算増幅器AMP1a、AMP2aに相当し、チャネルch1、ch2についての副出力回路は演算増幅器AMP1b、AMP2bに相当する。
そして、本発明の一側面に係るDAC共用回路において、DACブロック(32、33)によるDAC出力部(38)への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際(例えば当該出力信号がデータdata_ch1に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2に基づく信号DACOUTへと切り替わる際)、制御回路(31)は、第jチャネルの主出力回路(例えばAMP2a)の出力信号を第jチャネルの副出力回路(例えばAMP2b)を通じて一時的にDAC出力部(38)に伝達させる。ここにおけるi及びjはm以下の互いに異なる整数である。
これにより、DACブロックによるDAC出力部への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際において、DAC出力部の信号を、第jチャネルについての前回のアナログ信号に短時間で向かわせることができ、結果、第jチャネルのアナログ信号の更新を速やかに行うことが可能となる。
本発明の一側面に係るDAC共用回路に関し、具体的には、各アナログブロックにおいて、副出力回路は主出力回路の出力信号をインピーダンス変換して出力するバッファ回路(第1又は第2実施例においてAMP1b、AMP2b)であって、各アナログブロックは、アナログ信号保持部としてのコンデンサ(第1又は第2実施例においてC1、C2)とDAC出力部との間に挿入された主スイッチ(第1又は第2実施例においてSW1a、SW2a)、と、副出力回路としてのバッファ回路の出力部とDAC出力部との間に挿入された副スイッチ(第1又は第2実施例においてSW1b、SW2b)と、を備え、制御回路は、各アナログブロックの主スイッチ及び副スイッチのオン、オフを制御すると良い。
そして具体的には例えば、本発明の一側面に係るDAC共用回路において、DACブロックによるDAC出力部への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際(例えば当該出力信号がデータdata_ch1に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2に基づく信号DACOUTへと切り替わる際)、制御回路は、第1~第mチャネルの各主スイッチをオフとしつつ、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの副スイッチ(例えばSW2b)をオンとする期間を設け、その後に、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの主スイッチ(例えばSW2a)をオンとしつつ、第1~第mチャネルの各副スイッチをオフとすると良い(例えば、図9のタイミングt[n]_3及びt[n+1]_1間の動作に対応)。
更に具体的には例えば、本発明の一側面に係るDAC共用回路において、DACブロックは、時系列上に並ぶ複数のフレームの夫々において、第1~第mチャネルに対する第1~第mアナログ信号を時分割で切り替えながらDAC出力部より出力し、
特定のフレームにおいて、DACブロックによるDAC出力部への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際(例えば、第nフレームにおいて、DACブロックによるDAC出力部への出力信号がデータdata_ch1[n]に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2[n]に基づく信号DACOUTへと切り替わる際)、
DACブロックは、DAC出力部への出力信号を特定のフレームでの第iチャネルに対するアナログ信号から特定のフレームの前のフレームでの第jチャネルに対するアナログ信号への切り替える戻し動作を行った後に、DAC出力部への出力信号を特定のフレームでの第jチャネルに対するアナログ信号への切り替える更新動作を行い(例えば、DAC出力部への出力信号をデータdata_ch1[n]に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2[n-1]に基づく信号DACOUTへと切り替えるch2戻し動作を行った後に、DAC出力部への出力信号をデータdata_ch2[n]に基づく信号DACOUTへと切り替えるch2更新動作を行い)、
制御回路は、前記戻し動作が行われるときに、第1~第mチャネルの各主スイッチをオフとしつつ、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの副スイッチ(例えばSW2b)をオンとし、その後、前記更新動作が行われるときに、前記第1~第mチャネルの内、前記第jチャネルのみの前記主スイッチ(例えばSW2a)をオンとしつつ、前記第1~第mチャネルの各副スイッチをオフとすると良い(例えば、図9のタイミングt[n]_3及びt[n+1]_1間の動作に対応)。
本発明の一側面に係るDAC共用回路に第1実施例の方法を適用した場合、DACブロックによるDAC出力部への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際(例えば当該出力信号がデータdata_ch1に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2に基づく信号DACOUTへと切り替わる際)、制御回路は、第1~第mチャネルの各主スイッチをオフとしつつ、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの副スイッチ(例えばSW2b)をオンとする状態を所定時間だけ維持した後、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの主スイッチ(例えばSW2a)をオンとしつつ、第1~第mチャネルの各副スイッチをオフとする(例えば、図9のタイミングt[n]_3及びt[n+1]_1間の動作に対応)。
本発明の一側面に係るDAC共用回路に第2実施例の方法を適用した場合、当該DAC共用回路は各アナログブロックの主スイッチの両端子間電圧を検出する電圧検出回路(40)を更に備える。そして、DACブロックによるDAC出力部への出力信号が第iチャネルに対するアナログ信号から第jチャネルに対するアナログ信号へと切り替わる際(例えば当該出力信号がデータdata_ch1に基づく信号DACOUTからデータdata_ch2に基づく信号DACOUTへと切り替わる際)、制御回路は、第1~第mチャネルの各主スイッチをオフとしつつ、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの副スイッチ(例えばSW2b)をオンとする第1スイッチ制御(例えばch2戻し動作に対応)を行った後に、第1~第mチャネルの内、第jチャネルのみの主スイッチ(例えばSW2a)をオンとしつつ、第1~第mチャネルの各副スイッチをオフとする第2スイッチ制御(例えばch2更新動作に対応)を行い、第1スイッチ制御が行われているときにおける第jチャネルの主スイッチの両端子間電圧(例えばV2)に基づき第1スイッチ制御から第2スイッチ制御への切替タイミング(例えばt[n]_4)を決定する。
より詳細には、制御回路は、第1スイッチ制御が行われているときにおける第jチャネルの主スイッチの両端子間電圧の大きさが所定値以下となったときに、実行するスイッチ制御を第1スイッチ制御から第2スイッチ制御に切り替えると良い。
本発明に係るDAC共用回路は、HDD装置100に利用されるドライバIC10に限らず、DACを複数のアナログブロックにて共用する任意の用途に利用可能である。特に、DACの共用を行いつつも、各チャネルのアナログ信号を高速で更新していく必要のある用途に本発明に係るDAC共用回路は有益である。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。