以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1-1.内視鏡手術システムの構成
1-2.画像処理システムの構成
1-3.画像処理方法
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.変形例
4-1.撮像画像に基づくミスト検出の他の方法
4-2.退避条件及び復帰条件の他の例
4-2-1.処置具と処置部との距離
4-2-2.エナジーデバイスの状態
4-2-3.エナジーデバイスの先端の動きの検出
4-2-4.ユーザによる指示
4-2-5.内視鏡の鏡筒の先端と処置具との距離
4-3.支持アーム装置の他の構成例
4-4.退避動作及び復帰動作の半自動化
5.補足
なお、以下では、本開示の好適な実施形態として、内視鏡手術システムに対して本技術が適用される場合を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「ユーザ」とは、内視鏡手術システムを用いる医療スタッフ(処置部に対して処置を行う医師(術者)、内視鏡を操作する医師(スコピスト)、又は助手等)の少なくともいずれかのことを意味するものとする。特に区別する必要がある場合のみ、当該ユーザを、術者又はスコピスト等と記載する。
また、以下に示す各図面では、説明のため、一部の構成部材の大きさを誇張して表現している場合があり、各図面において図示される各構成部材の相対的な大きさは、必ずしも実際の構成部材間における大小関係を正確に表現するものではない。
(1.第1の実施形態)
(1-1.内視鏡手術システムの構成)
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る画像処理システムが適用され得る内視鏡手術システムの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る内視鏡手術システム3000の一構成例を示す図である。図1では、術者(医師)3501が、内視鏡手術システム3000を用いて、患者ベッド3503上の患者3505に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム3000は、内視鏡3100と、その他の術具3200と、内視鏡3100を支持する支持アーム装置3300と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート3400と、から構成される。
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ3207a~3207dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ3207a~3207dから、内視鏡3100の鏡筒3101や、その他の術具3200が患者3505の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具3200として、気腹チューブ3201、エナジーデバイス3203及び鉗子3205が、患者3505の体腔内に挿入されている。また、エナジーデバイス3203は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具3200はあくまで一例であり、術具3200としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。なお、以下の説明では、術具のうち、患者の体腔内の生体組織(内蔵、血管等)に対して切除、把持、支持等、各種の処置を行うもののことを、処置具とも呼称する。上記で例示したものの中であれば、エナジーデバイス3203、鉗子3205、攝子、及びレトラクタが処置具に当たる。
内視鏡3100によって撮影された患者3505の体腔内の術部の画像が、表示装置3403に表示される。術者3501は、表示装置3403に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エナジーデバイス3203や鉗子3205を用いて、例えば病変に当たる体組織を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ3201、エナジーデバイス3203及び鉗子3205は、手術中に、術者3501又は助手等によって支持され、操作される。
(支持アーム装置)
支持アーム装置3300は、ベース部3301から延伸するアーム部3303を備える。図示する例では、アーム部3303は、関節部3305a、3305b、3305c、及びリンク3307a、3307bから構成されており、アーム制御装置3407からの制御により駆動される。アーム部3303によって内視鏡3100が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡3100の安定的な位置の固定が実現され得る。
ただし、図1では、簡単のため、アーム部3303の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部3303が所望の自由度を有するように、関節部3305a~3305c及びリンク3307a、3307bの形状、数及び配置、並びに関節部3305a~3305cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部3303は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部3303の可動範囲内において内視鏡3100を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡3100の鏡筒3101を患者3505の体腔内に挿入することが可能になる。
関節部3305a~3305cにはアクチュエータが設けられており、関節部3305a~3305cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。これらアクチュエータの駆動が後述するアーム制御装置3407によって互いに協調して制御されることにより、各関節部3305a~3305cの回転角度が適宜制御され、アーム部3303の姿勢が制御される。これにより、内視鏡3100の位置及び姿勢が制御される。
具体的には、関節部3305a~3305cに設けられるアクチュエータには、各関節部の回転角度を検出するエンコーダや、各関節部に作用するトルクを検出するトルクセンサ等の、各関節部の状態を検出するための各種のセンサが設けられる。これらのセンサの検出値は、アーム制御装置3407に送信される。アーム制御装置3407は、アーム部3303の幾何学的状態及び力学的状態が支持アーム装置3300の内部座標によって表現された内部モデルを有しており、当該内部モデルと、当該センサの検出値と、に基づいて、現在の関節部3305a~3305cの状態、すなわち現在のアーム部3303の状態(位置、姿勢、速度等)を把握することができる。アーム制御装置3407は、把握したアーム部3303の状態に基づいて、ユーザによるアーム部3303の動作に対する操作入力に対応する各関節部の駆動制御量(例えば、回転角度や駆動トルク)を算出し、当該駆動制御量に応じて各関節部を駆動させる。
例えば、ユーザが、入力装置3409(フットスイッチ3419を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置3407によってアーム部3303の駆動が適宜制御され、内視鏡3100の位置及び姿勢が制御されてよい。あるいは、アーム部3303は、ユーザのジェスチャ等によって操作されてもよい。あるいは、アーム部3303は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部3303は、手術室から離れた場所に設置される入力装置3409を介してユーザによって遠隔操作され得る。
なお、第1の実施形態では、アーム部3303の駆動方式は限定されず、アーム制御装置3407は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部3303の駆動を制御することができる。この際、力制御が適用される場合には、アーム制御装置3407は、内視鏡3100を操作するスコピストがアーム部3303又は内視鏡3100に直接触れて行う操作(以下、直接操作ともいう)に応じて、その直接操作における外力にならってスムーズにアーム部3303が移動するように各関節部3305a~3305cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行うことができる。これにより、スコピストが直接アーム部3303に触れながらアーム部3303を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部3303を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡3100を移動させることが可能となり、スコピストの利便性を向上させることができる。
(内視鏡)
内視鏡3100は、先端から所定の長さの領域が患者3505の体腔内に挿入される鏡筒3101と、鏡筒3101の基端に接続されるカメラヘッド3103と、から構成される。第1の実施形態では、内視鏡3100は、硬性の鏡筒3101を有するいわゆる硬性鏡として構成される。
鏡筒3101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。第1の実施形態では、内視鏡3100は、当該対物レンズが、その光軸が鏡筒3101の延伸方向と平行になるように設けられる、いわゆる直視鏡として構成される。内視鏡3100には光源装置3405が接続されており、当該光源装置3405によって生成された光が、鏡筒3101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者3505の体腔内の観察対象部位に向かって照射される。観察対象部位からの反射光(観察光)が、対物レンズ及び鏡筒3101内に設けられるリレー光学系を介して、カメラヘッド3103まで導かれる。
カメラヘッド3103の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察光は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)3401に送信される。なお、カメラヘッド3103には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離(フォーカス)を調整する機構が搭載される。
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド3103には撮像素子が複数設けられてもよい。すなわち、内視鏡3100は、ステレオカメラを搭載してもよい。この場合、鏡筒3101の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
(カートに搭載される各種の装置)
CCU3401は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡3100、表示装置3403及びアーム制御装置3407の動作を統括的に制御する。CCU3401は、本開示における画像処理装置に対応するものである。具体的には、CCU3401は、カメラヘッド3103から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)や拡大処理(電子ズーム処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示装置3403に表示させるための各種の画像処理を施す。つまり、CCU3401は、内視鏡3100によって撮影された撮像画像を表示装置3403に表示させるための画像データを生成する。CCU3401は、各種の画像処理が施された画像信号(すなわち、生成した画像データ)を表示装置3403に送信する。
また、CCU3401は、カメラヘッド3103に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率やフォーカス等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。
また、CCU3401は、所定の条件を満たした場合に、内視鏡3100の鏡筒3101を現在の位置から退避させる旨の指示を、その際の退避移動量についての情報とともに、アーム制御装置3407に送信する。アーム制御装置3407は、当該指示に基づいて、鏡筒3101がその退避移動量の分だけ観察対象部位から離れるように、アーム部3303を駆動させる。この際、アーム制御装置3407は、鏡筒3101を、その先端に設けられる対物レンズの光軸方向、すなわち鏡筒3101の延伸方向に移動させる。
第1の実施形態では、CCU3401は、この退避指示に従って鏡筒3101が移動している間及び移動後において、内視鏡3100による撮像画像のうち表示装置3403に表示される表示画像に表される範囲である表示範囲が、移動前における表示範囲から変化しないように、上述した画像データを生成する。これにより、鏡筒3101の移動中及び移動後において、表示装置3403には、内視鏡3100による撮像画像における観察対象部位内の同一の範囲が常に表示されることとなるため、術者3501に対して、鏡筒3101の移動にかかわらず略同一のより安定的な表示が提供されることとなる。
なお、以上説明した、CCU3401及びアーム制御装置3407によって行われる、内視鏡3100の鏡筒3101の移動、及びその移動に伴う画像処理については、下記(1-2.画像処理システムの構成)で改めて詳述する。
表示装置3403は、CCU3401からの制御により、当該CCU3401によって生成された画像データに基づく画像を表示する。内視鏡3100が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置3403としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置3403として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置3403が設けられてもよい。
光源装置3405は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡3100に供給する。
アーム制御装置3407は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置3300のアーム部3303の駆動を制御する。
入力装置3409は、内視鏡手術システム3000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置3409を介して、内視鏡手術システム3000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置3409を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置3409を介して、アーム部3303を駆動させる旨の指示や、内視鏡3100による撮像条件(照射光の種類、倍率及びフォーカス等)を変更する旨の指示、エナジーデバイス3203を駆動させる旨の指示等を入力する。
入力装置3409の種類は限定されず、入力装置3409は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置3409としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ3419及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置3409としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置3403の表示面上に設けられてもよい。
あるいは、入力装置3409は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスを含んでもよく、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われてもよい。また、入力装置3409は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含んでもよく、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われてもよい。更に、入力装置3409は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含んでもよく、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われてもよい。このように、入力装置3409が非接触で各種の情報を入力可能に構成される場合には、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者3501)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
処置具制御装置3411は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエナジーデバイス3203の駆動を制御する。気腹装置3413は、内視鏡3100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者3505の体腔を膨らめるために、気腹チューブ3201を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ3415は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ3417は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
以上、内視鏡手術システム3000の構成について説明した。
(1-2.画像処理システムの構成)
図2を参照して、以上説明した内視鏡手術システム3000に適用される、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。画像処理システム1は、手術中に内視鏡3100が移動した場合における、表示装置3403に表示される表示画像を制御するものである。なお、図2では、上述した内視鏡手術システム3000のうち、画像処理システム1に関連する構成のみを抜き出して図示している。以下の画像処理システム1についての説明では、図1に示す内視鏡手術システム3000の構成も参照しながら、その構成について説明を行う。
図2を参照すると、画像処理システム1は、内視鏡3100と、CCU3401と、アーム制御装置3407と、支持アーム装置3300のアーム部3303と、から構成される。
内視鏡3100(より厳密には、内視鏡3100のカメラヘッド3103)には、上述したように、撮像素子111及びフォーカス調整機構112が搭載される。手術中には、撮像素子111によって得られた画像信号が、フレームレートに対応する所定の間隔で随時CCU3401に送信されている。
CCU3401は、その機能として、移動制御部121、画像処理部122及びフォーカス制御部123を有する。CCU3401を構成するプロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、これらの機能が実現され得る。
画像処理部122は、撮像素子111によって得られた画像信号に対して各種の画像処理を行うことにより、撮像画像に係る画像データを生成する。また、画像処理部122は、当該撮像画像に係る画像データに基づいて、出力用の画像データを生成する。出力用の画像データとは、具体的には、上述した内視鏡手術システム3000の表示装置3403、レコーダ3415、又はプリンタ3417等の各種のデータ出力用装置において処理可能な形式に加工された画像データのことである。本実施形態では、画像処理部122は、撮像画像に係る画像データに基づいて、表示装置3403に表示される表示画像に係る画像データを生成する。
ここで、本明細書において、撮像画像とは、撮像素子111、及びその前段に設けられる光学系等、内視鏡3100の撮像機構のハードウェアに従って決定される倍率、画角、フォーカス等を有する画像のことを意味する。一方、表示画像とは、実際に表示装置3403に表示される画像のことを意味する。表示画像は、撮像画像そのものであってもよい。あるいは、表示画像は、撮像画像の一部領域を切り出したものであったり、撮像画像の一部領域を電子ズーム機能によって拡大したものであったり等、撮像画像に対して所定の加工を施した画像であってもよい。つまり、画像処理部122は、撮像画像に係る画像データに各種の加工を施して、又は、何ら加工を施さず、表示画像に係る画像データを生成する。
手術中において、通常時、すなわち後述する移動制御部121による鏡筒3101の移動の制御が行われていない場合には、画像処理部122がどのような表示画像に係る画像データを生成するかは、ユーザによって適宜設定され得る。つまり、通常時には、このユーザによって適宜設定された条件(撮像画像の切り出し、電子ズームによる拡大等)に従って、画像処理部122が、表示画像に係る画像データを生成する。そして、この生成された画像データが、表示装置3403に送信され、表示される。術者3501は、この表示画像によって処置部の様子を観察しながら、処置具を操作して、当該処置部に対して各種の処置を行う。
移動制御部121は、所定の条件を満たした場合に、アーム制御装置3407に対して内視鏡3100の鏡筒3101を移動させる旨の指示を発行することにより、当該鏡筒3101の移動を制御する。具体的には、移動制御部121は、所定の退避条件を満たした場合に、鏡筒3101が観察対象部位から離れるように、鏡筒3101を移動させる。また、移動制御部121は、所定の復帰条件を満たした場合に、鏡筒3101が退避前の位置に戻るように(すなわち、鏡筒3101が観察対象部位に近付くように)、鏡筒3101を移動させる。なお、この退避動作時及び復帰動作時における鏡筒3101の移動方向は、鏡筒3101に設けられる対物レンズの光軸方向、すなわち、鏡筒3101の延伸方向である。
第1の実施形態では、退避条件は、エナジーデバイス3203による体組織の焼灼によって生じるミストの発生を検出した場合である。また、復帰条件は、当該ミストの消失を検出した場合である。具体的には、移動制御部121は、画像処理部122によって生成された撮像画像に係る画像データに基づいて、ミストの発生及び消失を検出する。なお、画像データに基づくミストの発生及び消失の検出の具体的な方法としては、各種の公知の画像認識処理に係る方法が用いられてよいため、ここでは詳細な説明を省略する。例えば、画像データに基づくミストの発生及び消失の検出には、上記特許文献2(特開2015-136470号公報)に記載の方法を好適に適用することができる。特許文献2に記載の方法では、撮像画像における輝度の時間変化を示す表価値、彩度の時間変化を示す表価値、及びダイナミックレンジの時間変化を示す評価値を算出し、これらの評価値に基づいて、ミストの発生及び消失を検出している。
移動制御部121は、ミストの発生を検出した場合には、退避動作時における鏡筒3101の移動量である退避移動量を決定し、退避動作を行わせる旨の指示、及び当該退避移動量についての情報を、アーム制御装置3407に対して送信する。第1の実施形態では、退避移動量としては、ユーザによって予め設定される一定の値が用いられる。例えば、当該退避移動量は、発生したミストが内視鏡3100による撮像画像に影響を与えないような値として、適宜設定されてよい。
また、移動制御部121は、ミストの消失を検出した場合には、復帰時の鏡筒3101の移動量である復帰移動量を決定し、復帰動作を行わせる旨の指示、及び当該復帰移動量についての情報を、アーム制御装置3407に対して送信する。この際、復帰移動量としては、退避移動量と同じ値が決定される。
フォーカス制御部123は、鏡筒3101の移動中及び移動後に、観察対象部位に常に焦点が合うように、内視鏡3100のフォーカス調整機構112の駆動を制御する。これにより、鏡筒3101の退避動作及び復帰動作における一連の移動中において、退避前に撮影されていた観察対象部位にフォーカスの合った撮像画像が常に得られることとなる。
アーム制御装置3407は、その機能として、アクチュエータ駆動制御部131を有する。アーム制御装置3407を構成するプロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、当該機能が実現され得る。
支持アーム装置3300のアーム部3303の各関節部には、アクチュエータ141が設けられる。アクチュエータ駆動制御部131は、移動制御部121からの指示に従って、各種の制御方式に従って、当該アーム部3303の各関節部に設けられるアクチュエータ141を互いに協調させて駆動させることにより、アーム部3303を動作させ、鏡筒3101に退避動作及び復帰動作を行わせる。なお、図2では、内視鏡3100がアーム部3303によって物理的に支持されていることを、破線の矢印で両者のブロックを結ぶことによって表現している。
退避動作時及び復帰動作時における実際の鏡筒3101の移動量は、アーム部3303の各関節部に設けられるセンサの検出値に基づいて、アーム制御装置3407によって随時把握されている。アーム制御装置3407は、退避動作時及び復帰動作時には、この鏡筒3101の移動量についての情報を、CCU3401に対して随時送信する。
第1の実施形態では、この鏡筒3101の退避動作及び復帰動作が行われている間、画像処理部122が、通常時とは異なる表示画像に基づく画像データを生成する。そして、この生成された画像データが、表示装置3403に送信され、表示される。具体的には、画像処理部122は、鏡筒3101の移動中又は移動後において、内視鏡3100による撮像画像のうち表示装置3403に表示される表示画像に表される範囲である表示範囲が、移動前における表示範囲から変化しないように、表示画像に係る画像データを生成する。
図3及び図4を参照して、この鏡筒3101の退避動作時及び復帰動作時における画像処理部122による処理についてより詳細に説明する。ここでは、退避動作時を例に挙げて画像処理の詳細について説明する。
図3は、退避動作時の鏡筒3101の動きについて説明するための図である。図3(a)は、退避前の状態を示している。この状態で、エナジーデバイス3203によって処置が行われ、ミスト201が発生したとすると、上述したように、CCU3401の移動制御部121によってこのミスト201の発生が検出され、退避動作を行わせる旨の指示が発行される。図3(b)は、退避中の状態を示している。当該指示に従い、アーム制御装置3407のアクチュエータ駆動制御部131によって、図3(b)に示すように、鏡筒3101が、その対物レンズの光軸方向に退避するように移動させられる。
図4は、鏡筒3101の退避動作前及び退避動作中における、撮影範囲、撮像画像、及び表示画像の関係を概略的に示す図である。図4では、左列に退避動作前における撮影範囲、撮像画像、及び表示画像を概略的に示しており、右列に退避動作中における撮影範囲、撮像画像、及び表示画像を概略的に示している。
図4に示すように、退避動作前(すなわち、通常時)における鏡筒3101の位置においては、ある撮影範囲203内の様子が、撮像画像205として撮影される。そして、ユーザによって切り出しや電子ズーム等の設定が特になされていなければ、この撮像画像205と略同一の画像が、表示画像207として表示されることになる。
一方、退避動作中には、鏡筒3101が観察対象部位から遠ざかるように移動することにより、図示するように、その撮影範囲209は、退避動作前の撮影範囲203よりも大きくなる。図4では、説明のため、退避動作中の撮影範囲209に対して、退避動作前の撮影範囲203を二点鎖線で示している。この場合、この撮影範囲209の様子が撮像画像211として得られるため、図示するように、退避動作前の撮像画像205を含むより広範囲の画像が、撮像画像211として得られることとなる。この際、退避動作前と同様に、この撮像画像211をそのまま表示画像として映し出すと、処置部の表示が徐々に小さくなるように表示画像が変化してしまうこととなるため、その間術者3501は処置を中断せざるを得ず、円滑な手術の実行が困難になってしまう。
そこで、第1の実施形態では、画像処理部122は、鏡筒3101の退避動作中に取得された撮像画像211内の、退避動作前における表示範囲に対応する領域213を切り出し、当該領域213を電子ズーム機能によって拡大することにより、表示画像に係る画像データを生成する。具体的には、上述したように、第1の実施形態では、退避動作時には鏡筒3101をその対物レンズの光軸方向に移動させることとしているため、画像処理部122は、切り出す領域213の中心を撮像画像211の中心に固定したまま、鏡筒3101の移動量に応じて当該切り出す領域213の大きさを徐々に小さくしていけばよい。なお、鏡筒3101の移動量は、アーム制御装置3407から送信される退避動作前の鏡筒3101の位置についての情報と、現在の鏡筒3101の位置についての情報に基づいて算出すればよい。これにより、退避中における表示画像215としては、電子ズームを行うことによる若干の画質の劣化は生じ得るものの、退避前における表示画像207と、ほぼ同様の画像が得られることとなる。
以上の説明では、退避動作時を例に挙げて当該退避動作時における画像処理について説明したが、復帰動作時にも、画像処理部122は、同様の処理を実行する。具体的には、画像処理部122は、鏡筒3101の復帰動作中に取得された撮像画像内の、退避動作前における表示範囲に対応する領域を切り出し、当該領域を電子ズーム機能によって拡大することにより、表示画像に係る画像データを生成する。この際、退避動作時には、画像処理部122は、切り出す領域の中心を撮像画像の中心に固定したまま、鏡筒3101の移動量に応じて当該切り出す領域の大きさを徐々に大きくしていけばよい。
第1の実施形態では、以上説明した画像処理を行うことにより、退避動作又は復帰動作に伴い鏡筒3101が移動したとしても、術者3501に対して提供される画像はほぼ変化しないこととなる。つまり、手術中に鏡筒3101が移動したとしても、術者に対してより安定的な画像を提供することができるため、手術の安全性をより高めるとともに、手術をより円滑に行うことが可能になる。また、手術時間をより低減することが可能になる。
以上、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成について説明した。なお、以上説明した構成例では、退避条件及び復帰条件を、それぞれミストの発生の検出及びミストの消失の検出としていたが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。例えば、ミストに代えて、又はミストとともに、処置具による処置に伴って生じる血液等の体液の飛散を対象として、退避条件及び復帰条件が設定されてもよい。また、以上の説明では、画像処理部122が、表示装置3403に表示される表示画像に係る画像データを生成する場合について説明したが、第1の実施形態はかかる例に限定されない。第1の実施形態では、上述したように、画像処理部122は、レコーダ3415又はプリンタ3417等の他のデータ出力用装置に対する出力用の画像データを生成することができる。この場合、画像処理部122は、鏡筒3101の移動中又は移動後において、内視鏡3100による撮像画像のうち表示装置3403に表示される表示画像に表される範囲である表示範囲が、移動前における表示範囲から変化しないように、各データ出力用装置に対応した出力用の画像データを生成することができる。つまり、画像処理部122は、必ずしも表示装置3403に表示されるための画像データを作成しなくてもよく、レコーダ3415等の記録装置によって記録されるための画像データや、プリンタ3417等の印刷装置によって印刷されるための画像データを作成してもよい。
ここで、一般的に、内視鏡下手術においては、上述したように、処置具によって処置部に対して処置を行う際に、ミストが発生したり、血液等の体液が飛散したりすることがある。内視鏡3100の鏡筒3101を処置部を含む観察対象部位に比較的近付けて撮影を行っている場合には、このようにミストや体液の飛散が発生すると、これらミスト及び/又は体液によって鏡筒3101の対物レンズが汚れてしまい、観察対象部位の観察及び撮影を鮮明に行えなくなってしまうことがある。
これに対して、一般的に、手術中にミスト及び/又は体液等によって鏡筒3101の対物レンズが汚れてしまった場合には、一旦鏡筒3101を患者の体腔から引き抜き、清浄な状態にしてから、再度鏡筒3101を患者の体腔内に挿入し、観察対象部位の撮影を再開する、という方法が取られている。
しかしながら、当該方法では、鏡筒3101を引き抜いている間は、当然、撮影が中断されることとなるため、その間は体腔内に挿入されている他の処置具の様子を視覚的に把握することができず、危険が生じる恐れがある。また、鏡筒3101を再挿入する際に、撮影中断前と略同一の観察状態を再現する必要があるため、その作業が、スコピストの負担を増加させるとともに、手術時間の増加にもつながり、術者3501及び患者3505の負担も大きくなってしまう。また、鏡筒3101を一旦引き抜き、再度挿入する作業自体が、スコピスト及び患者3505にとって負担となり得る。更に、鏡筒3101を再度挿入した際に、撮影中断前と全く同じ位置に鏡筒を位置させることは困難であるため、撮影中断前と撮影再開後とで、撮像画像が大きく変化してしまう可能性がある。この場合、術者3501は、中断前とは異なる撮影方向、撮影範囲で撮影された撮像画像を見ながら手術を再開しなければならないため、術者3501の負担が増加するとともに、手術のリスクも高まる恐れがある。
そこで、ミスト及び/又は体液等に対する対策として、鏡筒3101の対物レンズが汚れないように、予めより離れた位置から観察対象部位を撮影する方法も考えられる。しかしながら、遠距離から撮影すると、観察対象部位の詳細な撮影が困難となるため、処置を行う際の細部の観察が困難になる。電子ズーム機能を用いて処置部を拡大して表示させたとしても、近距離から撮影した場合に比べて画質は劣化してしまうので、最適な観察状態とは言えない。
また、ミスト及び/又は体液等に対する他の対策として、術者3501とスコピストが連携して、ミスト及び/又は体液等の飛散の発生時に予め鏡筒3101を退避させておく方法も考えられる。当該方法によれば、退避時にも体腔内の様子を撮影し続けることができるため、上述した一旦鏡筒3101を引き抜く方法に比べて、より安全に手術を続行できる可能性がある。しかしながら、当該方法も、一旦鏡筒3101を引き抜く場合と同様に、撮影再開時には再び鏡筒3101を観察対象部位に近付ける作業が発生するため、撮影中断前と同じ観察状態を再現することは困難であり、撮像画像は変化してしまう。また、退避時に撮影を続ける際には、退避後の位置で適切な撮像画像が得られるようにフォーカスの再調整を行う作業が必要となる場合があり、その場合には、撮影再開時に再度フォーカスを調整し直す作業を行う必要があるため、スコピストの負担の増加とともに手術時間の増加につながる。
上記の諸問題に対して、第1の実施形態では、上述したように、ミスト及び/又は体液等の飛散の発生を検出したことを退避条件として、支持アーム装置3300によって、鏡筒3101が、当該ミスト及び/又は体液等が撮像画像に影響を及ぼさない位置まで自動的に退避される。従って、ミスト及び/又は体液等によって鏡筒3101が汚れることが回避され得るため、上述した従来の方法のように一旦鏡筒3101を引き抜く作業は生じず、体腔内の様子を常に観察することができる。よって、より安全な手術が提供され得る。なお、鏡筒3101が自動的に退避してしまうと、ユーザ(特にスコピスト)にとっては、鏡筒3101の位置が把握できないという不都合が生じることが懸念されるが、第1の実施形態では、退避動作後に、ミストの消失及び/又は体液等の飛散が収まったことが検出された場合には、支持アーム装置3300によって、鏡筒3101が、元の位置まで自動的に復帰される。従って、このような不都合の発生も解消される。
また、第1の実施形態によれば、鏡筒3101の退避動作時及び復帰動作持に、フォーカス制御部123によるフォーカス制御処理、及び画像処理部122による上述した画像処理が行われるため、表示装置3403には、略一定の表示画像が映し出される。つまり、鏡筒3101の移動に伴う術者3501に提供される表示の変化がほとんど発生しない。このように、第1の実施形態によれば、安定的な表示を維持しながら、ミスト及び/又は体液等によって鏡筒3101が汚されることを防止することが可能になる。従って、手術をより円滑に行うことが可能となるため、手術時間の低減、医療スタッフの負担の軽減、患者3505の負担の軽減(侵襲性の低減)を実現することができる。
(1-3.画像処理方法)
図5を参照して、第1の実施形態に係る画像処理システム1において実行される画像処理方法の処理手順について説明する。図5は、第1の実施形態に係る画像処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。
なお、図5に示す各ステップにおける処理は、図2に示すCCU3401によって実行される処理に対応している。具体的には、ステップS101~ステップS107、及びステップS111~ステップS117における処理は、CCU3401の移動制御部121によって実行される処理に対応している。また、ステップS109及びステップS119における処理は、CCU3401の画像処理部122及びフォーカス制御部123によって実行される処理に対応している。各処理の詳細については、図2を参照して既に説明しているため、以下の画像処理方法の処理手順についての説明では、各処理についての詳細な説明は省略する。
また、図5に示す一連の処理の間、随時、内視鏡3100の撮像素子111によって画像信号が取得され、CCU3401の画像処理部122によって当該画像信号に基づいて撮像画像に係る画像データ、及び表示画像に係る画像データが生成されている。そして、この生成された表示画像に係る画像データに基づいて、当該表示画像が表示装置3403に表示されている。
図5を参照すると、第1の実施形態に係る画像処理方法では、まず、ミストの発生が検出されたかどうかが判定される(ステップS101)。具体的には、ステップS101では、撮像画像に係る画像データに基づいてミストの発生が検出されたかどうかが判定される。
ステップS101でミストの発生が検出されなかった場合には、鏡筒3101の退避動作は行われないので、画像処理方法を終了する。一方、ステップS101でミストの発生が検出された場合には、ステップS103に進む。
ステップS103では、鏡筒3101の退避移動量が決定される。第1の実施形態では、退避移動量としては、ユーザによって予め設定された所定の値が用いられる。
次いで、鏡筒3101の現在位置が最終位置かどうか、すなわちステップS103で決定された退避移動量だけ移動したかどうかが判定される(ステップS105)。ミストの発生が検出された直後であって退避動作開始前には、当然鏡筒3101の現在位置は最終位置でない。この場合、ステップS107に進む。
ステップS107では、鏡筒3101を退避方向に移動させる旨の指示が発行される。当該指示に従って、図2に示すアーム制御装置3407のアクチュエータ駆動制御部131が、支持アーム装置3300のアーム部3303の各関節部に設けられるアクチュエータ141を駆動させることにより、鏡筒3101が退避方向に移動する。
次いで、この鏡筒3101が退避方向に移動している最中に、観察対象部位に焦点が合うようにフォーカスが制御されるとともに、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、撮像画像の切り出し及び電子ズーム処理が行われる(ステップS109)。すなわち、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、当該表示画像に係る画像データが生成される。
ステップS109における処理が終了すると、ステップS105に戻り、鏡筒3101の現在位置が最終位置かどうかの判定処理が再度行われる。以降、ステップS105で鏡筒3101の現在位置が最終位置と判定されるまで、すなわち鏡筒3101が退避移動量だけ移動するまで、ステップS105~ステップS109における処理が繰り返される。これにより、退避動作中に、ほぼ同一の表示画像が表示されることとなる。
ステップS105で鏡筒3101の現在位置が最終位置と判定された場合には、ステップS111に進む。ステップS111では、ミストの消失が検出されたかどうかが判定される。具体的には、ステップS111では、撮像画像に係る画像データに基づいてミストの消失が検出されたかどうかが判定される。
ステップS111でミストの消失が検出されなかった場合には、そのまま待機し、例えば撮像画像のフレームレートに対応する所定時間の後、ステップS111における判定処理を再度繰り返す。つまり、ミストが消失するまでは、鏡筒3101は、退避した位置で待機する。
ステップS111でミストの消失が検出された場合には、ステップS113に進む。ステップS113では、鏡筒3101の復帰移動量が決定される。第1の実施形態では、復帰移動量としては、退避移動量と同一の値が用いられる。
次いで、鏡筒3101の現在位置が最終位置かどうか、すなわちステップS113で決定された復帰移動量だけ移動したかどうかが判定される(ステップS115)。ミストの消失が検出された直後であって復帰動作開始前には、当然鏡筒3101の現在位置は最終位置でない。この場合、ステップS117に進む。
ステップS117では、鏡筒3101を復帰方向に移動させる旨の指示が発行される。当該指示に従って、図2に示すアーム制御装置3407のアクチュエータ駆動制御部131が、支持アーム装置3300のアーム部3303の各関節部に設けられるアクチュエータ141を駆動させることにより、鏡筒3101が復帰方向に移動する。
次いで、この鏡筒3101が復帰方向に移動している最中に、観察対象部位に焦点が合うようにフォーカスが制御されるとともに、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、撮像画像の切り出し及び電子ズーム処理が行われる(ステップS119)。すなわち、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、当該表示画像に係る画像データが生成される。
ステップS119における処理が終了すると、ステップS115に戻り、鏡筒3101の現在位置が最終位置かどうかの判定処理が再度行われる。以降、ステップS115で鏡筒3101の現在位置が最終位置と判定されるまで、すなわち鏡筒3101が復帰移動量だけ移動するまで、ステップS115~ステップS119における処理が繰り返される。これにより、復帰動作中においても、ほぼ同一の表示画像が表示されることとなる。
ステップS111で鏡筒3101の現在位置が最終位置と判定された場合には、画像処理方法に係る一連の処理を終了する。第1の実施形態では、手術中に内視鏡3100によって観察対象部位を撮影している最中に、以上説明した一連の処理が随時実行される。
以上、第1の実施形態に係る画像処理方法の処理手順について説明した。
(2.第2の実施形態)
図6を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態に係る画像処理システムの構成の一例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る画像処理システムが適用され得る内視鏡手術システムは、図1に示す内視鏡手術システム3000と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図6を参照すると、第2の実施形態に係る画像処理システム2は、上述した図2に示す第1の実施形態に係る画像処理システム1に対して、内視鏡3100及びCCU3401の機能が変更されたものに対応する。画像処理システム2のそれ以外の構成は、画像処理システム1と同様であるため、ここでは、画像処理システム1と重複する事項についてはその説明を省略する。また、第2の実施形態に係る画像処理方法についても、後述する退避移動量の決定方法が異なること、及び当該退避移動量に基づく退避動作の実行有無の判定処理が追加されること以外は、第1の実施形態に係る画像処理方法と同様であるため、その説明を省略する。
第2の実施形態に係る内視鏡3100aには、撮像素子111及びフォーカス調整機構112が搭載される。これらは、第1の実施形態に係る画像処理システム1の内視鏡3100に搭載されるものと同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、内視鏡3100aは、その機能として、距離検出部113を有する。
距離検出部113は、内視鏡3100aの鏡筒3101の先端から観察対象部位までの、当該鏡筒3101の対物レンズの光軸方向における距離(すなわち、鏡筒3101の延伸方向における距離)を検出する。距離検出部113は、検出した距離情報を、CCU3401に送信する。
なお、距離検出部113の具体的な構成は限定されない。例えば、内視鏡3100aにステレオカメラが搭載される場合であれば、距離検出部113は当該ステレオカメラによって構成され得る。ステレオカメラによる撮像画像には、当該撮像画像内に存在する物体の奥行き情報が含まれるため、当該ステレオカメラによる撮像画像から、上記の距離を検出することができる。なお、図2では便宜的に距離検出部113を内視鏡3100aの機能として図示しているが、ステレオカメラによる撮像画像から上記距離を検出する場合には、厳密には、当該ステレオカメラによって取得された画像信号に基づいて、CCU3401を構成するプロセッサが上記距離を算出することになる。その意味で、距離検出部113の機能は、内視鏡3100aのステレオカメラ及びCCU3401のプロセッサによって構成されるとも言える。
あるいは、例えば、距離検出部113は、鏡筒3101の先端に設けられる測距センサによって構成され得る。ただし、測距センサを設けると、その分鏡筒3101が大型化し侵襲性が増加する恐れがある。また、測距センサを設けることによるコストの増加も懸念される。従って、距離検出部113は、ステレオカメラによって実現されることがより好ましい。
第2の実施形態では、CCU3401には、その機能として、移動制御部121aと、画像処理部122と、フォーカス制御部123と、が設けられる。画像処理部122及びフォーカス制御部123の機能は、第1の実施形態におけるこれらの機能と同様である。第2の実施形態では、移動制御部121aの機能が第1の実施形態とは異なる。
具体的には、移動制御部121aは、ミストが撮像画像に影響を及ぼさない鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離をX1、ミストの発生を検出する直前における鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離をX2とした場合に、退避移動量X3を、X3=X1-X2として決定する。距離X2は、ミストの発生を検出する直前において上述した距離検出部113によって検出される距離である。また、距離X1は、過去の経験等に基づいて、ユーザによって適宜決定されてよい。例えば、観察対象部位である生体組織の種類や、エナジーデバイス3203の種類、術式等により、ミストの発生量に傾向がある場合であれば、過去の知見から得られた当該傾向に基づいて、距離X1が決定されてよい。
そして、移動制御部121aは、退避移動量X3>0である場合には、当該退避移動量X3だけ、退避動作を行うように、アーム制御装置3407に指示を発行する。退避動作では、アーム制御装置3407によって、当該退避移動量X3だけ鏡筒3101が移動される。この場合、上記のようにX3=X1-X2であるから、鏡筒3101は、その先端が、ミストが撮像画像に影響を及ぼさない距離X1だけ観察対象部位から離れた場所に位置するように移動することになる。
一方、退避移動量X3<0である場合には、移動制御部121aは、退避動作を行う旨の指示を発行しない。退避移動量X3<0である場合には、ミストの発生は検出されていたとしても、鏡筒3101は、既に、撮像画像が当該ミストの影響を受けない距離に存在している状態であるため、退避動作を行う必要がないからである。
なお、移動制御部121aのその他の機能は、第1の実施形態に係る移動制御部121と同様であるため、その説明を省略する。
以上、第2の実施形態について説明した。以上説明したように、第2の実施形態によれば、ミストの発生を検出する直前における鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離X2が検出され、当該距離X2と、ミストが撮像画像に影響を及ぼさない鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離X1と、に基づいて、X3=X1-X2として、退避移動量X3が決定される。また、当該退避移動量X3>0である場合のみ、退避動作が実行される。
ここで、第1の実施形態では、退避移動量は事前に設定される一定の値であった。従って、当該退避移動量に基づいて鏡筒3101を退避させると、必要以上に遠くまで鏡筒3101を退避させてしまったり、既に鏡筒3101が観察対象部位から十分離れており本来は退避させる必要がない場合であっても退避動作が実行されてしまう可能性がある。
これに対して、第2の実施形態では、上記のように、距離X1、X2を考慮することにより、ミストが撮像画像に影響を及ぼさない必要最低限の量だけ鏡筒3101が退避することになる。また、既に鏡筒3101が観察対象部位から十分離れている場合には、退避動作が行われない。例えば、退避移動量が大きければ、それだけ表示画像における電子ズームの倍率も大きくなるため、画質が粗くなることが懸念されるが、第2の実施形態では、このように、鏡筒3101の退避動作を最小化する、あるいは必要がなければ退避させないことができるため、術者に対して更に安定的に画像を提供することが可能になる。
(3.第3の実施形態)
図7を参照して、本開示の第3の実施形態に係る画像処理方法の処理手順について説明する。図7は、第3の実施形態に係る画像処理システムにおいて実行される画像処理方法の処理手順の一例を示すフロー図である。なお、第3の実施形態に係る画像処理システムが適用され得る内視鏡手術システムは、図1に示す内視鏡手術システム3000と同様であるため、ここではその説明を省略する。また、第3の実施形態に係る画像処理システムは、図2に示す第1の実施形態に係る画像処理システム1において、CCU3401の移動制御部121の機能が変更されたものに対応するため、ここではその説明を省略する。以下では、図7を参照して画像処理方法の処理手順について説明しつつ、この第3の実施形態に係る移動制御部の機能についても併せて説明する。
なお、図7に示す各処理のうち、ステップS201~ステップS205、ステップS209~ステップS211、及びステップS215における処理は、CCU3401の移動制御部によって実行される処理に対応している。また、ステップS207及びステップS213における処理は、CCU3401の画像処理部122及びフォーカス制御部123によって実行される処理に対応している。図7に示す各処理のうち、第1の実施形態と同様の処理については、その詳細な説明を省略する。
また、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、図7に示す一連の処理の間、随時、内視鏡3100の撮像素子111によって画像信号が取得され、CCU3401の画像処理部122によって当該画像信号に基づいて撮像画像に係る画像データ及び表示画像に係る画像データが生成されている。そして、この生成された表示画像に係る画像データに基づいて、当該表示画像が表示装置3403に表示されている。
図7を参照すると、第3の実施形態に係る画像処理方法では、まず、ミストの発生が検出されたかどうかが判定される(ステップS201)。ステップS201における処理は、第1の実施形態における図5に示すステップS101における処理と同様である。
ステップS201でミストの発生が検出されなかった場合には、鏡筒3101の退避動作は行われないので、画像処理方法を終了する。一方、ステップS201でミストの発生が検出された場合には、ステップS203に進む。
ステップS203では、撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%以上かどうかが判定される。具体的には、ステップS203では、撮像画像に係る画像データに基づいて、撮像画像を多数の領域に分割するとともに、各領域について画像認識処理によりミストが存在する領域かどうかの判断が行われる。そして、その結果に基づいて、撮像画像内に占めるミストの存在領域が算出され、その値が30%というしきい値と比較される。なお、撮像画像内に占めるミストの存在領域の割合を算出する方法はかかる例に限定されず、各種の方法が用いられてよい。
ステップS203で撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%以上であると判定された場合には、鏡筒3101を退避方向に移動させる旨の指示が発行され(ステップS205)、当該指示に従って、アーム制御装置3407によって支持アーム装置3300のアーム部3303の駆動が制御され、鏡筒3101が退避方向に移動する。そして、この鏡筒3101が退避方向に移動している最中に、観察対象に焦点が合うようにフォーカスが制御されるとともに、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、撮像画像の切り出し及び電子ズーム処理が行われる(ステップS207)。ステップS205及びステップS207における処理は、第1の実施形態における図5に示すステップS107及びステップS109における処理と同様である。
ステップS207における処理が終了すると、ステップS203に戻り、撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%以上かどうかの判定処理が再度行われる。以降、ステップS203で撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%よりも少ないと判定されるまで、ステップS203~ステップS2097おける処理が繰り返される。これにより、退避動作中に、ほぼ同一の表示画像が表示されることとなる。
このように、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、移動制御部が、撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の第1の割合以上になった場合を退避条件として、退避動作を行う旨の指示を発行する。また、その際、退避移動量を決定して退避動作を行う旨の指示を発行するのではなく、撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%よりも少なくなるまで、退避動作を継続させる。撮像画像内に占めるミストの存在領域が大きいほど、鏡筒3101の先端とミスト発生位置との距離が近いことを意味しているため、このように、撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の割合よりも大きい場合に退避動作を行うことにより、ミスト発生位置からより遠ざかるように鏡筒3101を退避させることが可能となる。
ステップS203で撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%よりも少ないと判定された場合には、ステップS209に進む。ステップS209では、撮像画像内に占めるミストの存在領域が25%以下かどうかが判定される。具体的には、ステップS209では、撮像画像内に占めるミストの存在領域が、上述したステップS203と同じ方法によって算出され、その値が25%というしきい値と比較される。
ステップS209で撮像画像内に占めるミストの存在領域が25%よりも多いと判定された場合には、ステップS203に戻り、撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%以上かどうかの判定処理が再度行われる。そして、その結果に応じて、ステップS205及びステップS209のいずれかに再度進む。
一方、ステップS209で撮像画像内に占めるミストの存在領域が25%以下であると判定された場合には、鏡筒3101を復帰方向に移動させる旨の指示が発行され(ステップS211)、当該指示に従って、アーム制御装置3407によって支持アーム装置3300のアーム部3303の駆動が制御され、鏡筒3101が復帰方向に移動する。そして、この鏡筒3101が復帰方向に移動している最中に、観察対象に焦点が合うようにフォーカスが制御されるとともに、表示画像の表示範囲が退避動作前と同じになるように、撮像画像の切り出し及び電子ズーム処理が行われる(ステップS213)。ステップS211及びステップS213における処理は、第1の実施形態における図5に示すステップS117及びステップS119における処理と同様である。
このように、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、移動制御部が、撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の第2の割合以下になった場合を復帰条件として、復帰動作を行う旨の指示を発行する。撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の割合以下になった場合は、鏡筒3101がミスト発生位置から十分に離れた場合、及び/又はミストの発生が収まった場合を意味しているため、このような復帰条件に基づいて復帰動作を行うことにより、鏡筒3101が必要以上にミスト発生位置から遠ざからないように、当該鏡筒3101の移動を制御することが可能になる。
ステップS213における処理が終了すると、復帰動作が終了したかどうかが判定される(ステップS215)。具体的には、復帰動作が終了したかどうかは、退避動作を行う前の元の位置まで鏡筒3101が戻ったかどうかによって判定される。あるいは、別途復帰移動量が設定されており、最も退避した位置から当該復帰移動量だけ復帰方向に鏡筒3101が戻ったかどうかに応じて、復帰動作が終了したかどうかが判定されてもよい。
ステップS215で復帰動作が終了していないと判定された場合には、ステップS203に戻り、撮像画像内に占めるミストの存在領域が30%以上かどうかの判定処理が再度行われる。そして、その結果に応じて、ステップS205及びステップS209のいずれかに再度進む。このように、第3の実施形態では、画像処理方法に係る一連の処理が終了するまで、ステップS203及びステップS209における撮像画像内に占めるミストの存在領域の判定処理が繰り返し実行される。そして、撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の第1の割合以上であれば鏡筒3101に退避動作を行わせ、撮像画像内に占めるミストの存在領域が所定の第2の割合以下であれば鏡筒3101に復帰動作を行わせる。従って、ミストの発生が検出された場合に、鏡筒3101が、ミスト発生位置から、ミストの存在領域が所定の第1の割合よりも小さくなるような所定の第1の距離以上離れるように、かつ当該第1の距離とは異なる所定の第2の距離以上離れすぎないように、鏡筒3101を移動させることが可能となる。
ステップS215で復帰動作が終了したと判定された場合には、鏡筒3101がミスト発生位置に近付いても、撮像画像内に占めるミストの存在領域が25%以下となっていることを意味している。つまり、ミストの発生が撮像画像に影響を及ぼさない程度に収まっていることを意味しているため、この場合には、画像処理方法に係る一連の処理を終了する。第3の実施形態では、手術中に内視鏡3100によって観察対象部位を撮影している最中に、以上説明した一連の処理が随時実行される。
以上、第3の実施形態に係る画像処理方法の処理手順について説明した。なお、上記の例では、退避動作を行うかどうかの判定基準となる撮像画像内に占めるミストの存在領域の第1の割合を30%とし、復帰動作を行うかどうかの判定基準となる撮像画像内に占めるミストの存在領域の第2の割合を25%としていたが、これらの値はあくまで一例である。第3の実施形態では、これら第1及び第2のしきい値は、過去の経験等に基づいて、ユーザによって適宜設定されてよい。例えば、第1及び第2の割合は、過去の知見から得られた、撮像画像内に占めるミストの存在領域と、当該ミストが撮像画像に及ぼす影響との関係に基づいて、鏡筒3101の対物レンズがミストに汚されることなく撮像画像が鮮明に得られるような値として、適宜設定されてよい。
ここで、上述した第1及び第2の実施形態では、主にミストによって鏡筒3101の対物レンズが汚れることを避けるために、当該鏡筒3101を退避させていたが、ミストが発生した際には、当該ミストによって対物レンズが直接汚されなかった場合であっても、当該ミストが撮影範囲に充満することにより、視界が塞がれてしまい、鮮明な撮像画像を得ることが困難になる恐れがある。これに対して、第3の実施形態によれば、上記のように撮像画像内に占めるミストの存在領域の割合に応じて、鏡筒3101を退避させる。ミストの発生量自体は同量であったとしても、鏡筒3101を退避させることにより、撮像画像内に占めるミストの存在領域の割合は減少することになるため、より鮮明な撮像画像を得ることが可能になる。このように、第3の実施形態によれば、ミストによって鏡筒3101の対物レンズが汚れることを避けるだけでなく、撮影範囲に充満するミストによって撮影が困難になり得る場合であっても、好適により安定的な画像を提供することが可能になる。
(4.変形例)
以上説明した第1~第3の実施形態のいくつかの変形例について説明する。
(4-1.撮像画像に基づくミスト検出の他の方法)
以上説明した構成例では、CCU3401、3401aの移動制御部121、121aが、撮像画像に係る画像データからミストの発生を検出する際に、撮像画像の全体を対象として、ミストの発生を検出していた。しかし、第1及び第2の実施形態はかかる例に限定されない。移動制御部121、121aは、撮像画像内の一部にミスト検出対象領域を設定し、当該ミスト検出対象領域についてのみ、ミストの発生の検出処理を行ってもよい。
図8を参照して、第1及び第2の実施形態の一変形例として、このような、撮像画像内の一部にミスト検出対象領域を設定する変形例について説明する。図8は、撮像画像内の一部にミスト検出対象領域を設定する変形例における、ミストの発生を検出する方法について説明するための図である。なお、本変形例は、ミストの検出処理の詳細が第1及び第2の実施形態と異なるだけであり、その他の事項は第1及び第2の実施形態と同様である。従って、以下の本変形例についての説明では、第1及び第2の実施形態との相違点についてのみ主に説明する。
図8では、手術中に内視鏡3100によって得られる撮像画像217の一例を概略的に示している。図示するように、撮像画像217には、エナジーデバイス3203及び当該エナジーデバイス3203によって処置が行われる処置部219が含まれる。
本変形例では、移動制御部は、ミストを検出する際に、図8(a)に示すように、まず、撮像画像から、エナジーデバイス3203の先端221を検出する。このエナジーデバイス3203の先端221の検出処理には、各種の公知の画像認識技術が用いられてよい。なお、図示する例では、当該先端221は把持機構になっており、エナジーデバイス3203では、当該把持機構によって処置部を挟んだ状態で高周波電流を当該把持機構に印加することにより、当該処置部を焼灼し、切除する。
移動制御部は、検出したエナジーデバイス3203の先端221付近の領域として、ミスト検出対象領域223を設定する。ミストは、実際に処置部に対して処置を行う先端221近傍で生じるからである。
この状態で、移動制御部は、設定したミスト検出対象領域223について、ミストの検出処理を行う。図8(b)は、ミスト検出対象領域223内においてミスト201が発生した様子を模擬的に示している。
以上説明したように、本変形例では、撮像画像全体を対象としてミストの検出処理を行うのではなく、撮像画像内の一部にミスト検出対象領域を設定し、当該ミスト検出対象領域についてのみ、ミストの発生の検出処理を行う。このように、一部の領域に対象を限定することにより、ミストの検出処理において移動制御部を構成するプロセッサに掛かる負荷を軽減することが可能になる。
なお、以上の説明では、ミストの発生の検出を対象としていたが、ミストの発生に代えて又はミストの発生とともに、血液等の体液の飛散を退避条件とする場合には、本変形例に係る構成を、この血液等の体液の飛散の検出に適用してもよい。具体的には、移動制御部は、体液の飛散を発生させ得る処置具の先端を撮像画像内から検出するとともに、当該先端近傍に体液飛散検出対象領域を設定する。そして、移動制御部は、当該体液飛散検出対象領域についてのみ、体液の飛散の検出処理を行う。これにより、ミストの発生を検出する場合と同様に、体液の飛散の検出処理においてプロセッサに掛かる負荷を軽減することが可能になる。
(4-2.退避条件及び復帰条件の他の例)
以上の説明では、第1及び第2の実施形態において、鏡筒3101の退避条件及び復帰条件を、それぞれ、ミストの発生の検出及びミストの消失の検出としていた。しかし、第1及び第2の実施形態はかかる例に限定されない。第1及び第2の実施形態では、CCU3401、3401aの移動制御部121、121aは、他の退避条件及び復帰条件にそれぞれ従って、退避動作及び復帰動作を行う旨の指示を発行してもよい。
ここでは、鏡筒3101の退避条件及び復帰条件が異なるいくつかの変形例について説明する。なお、以下に説明する退避条件及び復帰条件についての各変形例は、退避条件及び復帰条件が第1及び第2の実施形態と異なるだけであり、その他の事項は第1及び第2の実施形態と同様である。従って、以下の各変形例についての説明では、第1及び第2の実施形態との相違点についてのみ主に説明する。
(4-2-1.処置具と処置部との距離)
第1及び第2の実施形態では、処置具と処置部との距離を退避条件及び復帰条件としてもよい。図9は、処置具と処置部との距離を退避条件及び復帰条件とする変形例について説明するための図である。図9では、内視鏡下手術中における患者の体腔内の様子を概略的に示している。
本変形例においては、移動制御部は、退避条件又は復帰条件を満たしているかどうかを判定するために、撮像画像に係る画像データに基づいて、撮像画像の中から、ミストを生じさせ得る処置具、及びその先端を検出する。図9(a)に示す例では、検出対象として、エナジーデバイス3203、及びその先端221を示している。なお、このエナジーデバイス3203、及びその先端221の検出処理には、各種の公知の画像認識技術が用いられてよい。
そして、移動制御部は、エナジーデバイス3203の先端221と、当該エナジーデバイス3203の先端221が向いている方向に位置する処置部との距離dを算出する。より具体的には、移動制御部は、図10に示すように、エナジーデバイス3203の先端221方向への延長線と、処置部が含まれる臓器224の表面との交点を、当該エナジーデバイス3203の注目点Qと仮定し、当該エナジーデバイス3203の先端221と当該注目点Qとの距離を、当該エナジーデバイス3203の先端221と処置部との距離として算出する。図10は、エナジーデバイス3203の注目点Qについて説明するための図である。
当該注目点Qは、エナジーデバイス3203及び臓器224の3次元的な位置情報に基づいて算出され得る。3次元的な位置情報は、内視鏡3100、3100aがステレオカメラによって構成される場合であれば、その撮像画像から得ることができる。あるいは、複数の測距センサを患者の体腔内に別途挿入することにより、これらの測距センサの検出値に基づいて3次元的な位置情報が得られてもよい。
例えば、移動制御部は、このようにして得られた3次元情報に基づいて、本願出願人による先行出願である特開2015-228954号公報及び特開2015-228955号公報に記載の方法を用いて、エナジーデバイス3203の注目点Qの空間座標を求めることができる。そして、移動制御部は、この求めた注目点Qの空間座標と、エナジーデバイス3203の3次元情報から得られるその先端221の空間座標と、から、両者の間の距離dを算出する。
移動制御部は、このようにして求めたエナジーデバイス3203の先端221と処置部との距離dに基づいて、退避動作を行うかどうか、及び復帰動作を行うかどうかを判定する。例えば、移動制御部は、当該距離dが所定の第1のしきい値以下であることを退避条件として鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、例えば、移動制御部は、退避動作を行った結果当該距離dが所定の第2のしきい値以上となったことを復帰条件として鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。当該第1及び第2のしきい値としては、エナジーデバイス3203による処置によってミストが発生した場合に、当該ミストが撮像画像に影響を及ぼさないような値として、適宜設定され得る。
なお、退避条件における第1のしきい値及び復帰条件における第2のしきい値は、同じ値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。例えば、第2のしきい値を第1のしきい値よりも大きくすることにより、鏡筒3101が退避した後、エナジーデバイス3203が処置部から大きく離れた場合でないと復帰動作が実行されないこととなるため、鏡筒3101の過度な移動を好適に制限することが可能になる。
なお、以上の説明では、ミストを生じさせ得る処置具と処置部との距離を退避条件及び復帰条件としていたが、ミストを生じさせ得る処置具ではなく、血液等の体液の飛散を生じさせ得る処置具を対象として、当該処置具と処置部との距離を退避条件及び復帰条件としてもよい。また、上記の例では、処置具及び処置部が含まれる生体組織の3次元情報に基づいて処置具と処置部との距離が算出されていたが、例えば処置具の先端に測距センサを設ける等、他の方法によって当該距離が求められてもよい。
以上説明したように、本変形例によれば、ミストや体液の飛散を発生させ得る処置具が処置部に一定の距離以上近付いたことを退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示が発行される。従って、ミストや体液の飛散が実際に生じる前に退避動作を行わせることができるため、鏡筒3101が汚れることをより確実に回避することが可能になる。
(4-2-2.エナジーデバイスの状態)
第1及び第2の実施形態では、エナジーデバイス3203の状態を退避条件及び復帰条件としてもよい。図11は、エナジーデバイス3203の状態を退避条件及び復帰条件とする変形例に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。なお、本変形例に係る画像処理システム1aは、図2に示す第1の実施形態に係る画像処理システム1に対して、図1に示す処置具制御装置3411がその構成として追加されるとともに、退避条件及び復帰条件が異なることにより移動制御部121の機能が一部変更されたものに対応する。画像処理システム1aのそれ以外の構成は、画像処理システム1と同様であるため、ここでは、画像処理システム1と重複する事項についてはその説明を省略する。
図示するように、本変形例に係る画像処理システム1aでは、処置具制御装置3411から、処置具の状態についての情報が、CCU3401bに随時送信される。本変形例では、移動制御部121bは、この処置具の状態についての情報に基づいて、退避条件又は復帰条件が満たされているかどうかを判定する。
具体的には、処置具の状態についての情報には、エナジーデバイス3203が起動されたかどうかに関する情報が含まれる。移動制御部121bは、処置具の状態についての情報に基づいて、エナジーデバイス3203が起動されたこと(すなわち、エナジーデバイス3203に通電がされたこと)を退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、移動制御部121bは、処置具の状態についての情報に基づいて、エナジーデバイス3203の出力が停止されたこと(すなわち、エナジーデバイス3203への通電が停止されたこと)、かつ撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことを復帰条件として、鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。
あるいは、処置具の状態についての情報には、エナジーデバイス3203の先端の把持機構を開閉するためのハンドルに対する術者3501による操作に関する情報が含まれる。図12は、術者3501がエナジーデバイス3203を使用する際の様子を示す図である。図示するように、エナジーデバイス3203の基端側には、ハンドル225が設けられており、術者3501が当該ハンドル225を操作することにより、先端221の把持機構が開閉する仕組みになっている。つまり、術者3501がエナジーデバイス3203の把持機構を閉じるようにハンドル225を操作していることは、エナジーデバイス3203で処置が行われていることを意味している。また、術者3501がエナジーデバイス3203の把持機構を開くようにハンドル225を操作していることは、エナジーデバイス3203での処置が終了したことを意味している。
移動制御部121bは、処置具の状態についての情報に基づいて、術者3501がエナジーデバイス3203の把持機構を閉じるようにハンドル225を操作したことを退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、移動制御部121bは、処置具の状態についての情報に基づいて、術者3501がエナジーデバイス3203の把持機構を開くようにハンドル225を操作したこと、かつ撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことを復帰条件として、鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。
エナジーデバイス3203が起動されたこと、及び術者がエナジーデバイス3203の把持機構を閉じるようにハンドル225を操作したことは、間もなく当該エナジーデバイス3203を用いて処置が行われること、及び当該エナジーデバイス3203を用いて処置が行われていることをそれぞれ意味しているから、術者によるこれらの行為は、ミストを発生させる恐れのある行為とも言える。従って、本変形例では、これらの行為のいずれかを退避条件することにより、実際にミストが生じる前に退避動作を行わせることができるため、鏡筒3101が汚れることをより確実に回避することが可能になる。
(4-2-3.エナジーデバイスの先端の動きの検出)
第1及び第2の実施形態では、エナジーデバイス3203の先端の動きを退避条件及び復帰条件としてもよい。本変形例では、移動制御部は、撮像画像からエナジーデバイスの先端を検出するとともに、その動き、すなわち把持機構(図12に示す先端221に設けられる把持機構)の開閉動作を検出する。なお、このエナジーデバイスの先端の検出、及び当該動きの検出には、各種の公知の画像認識技術が用いられてよい。
そして、移動制御部は、エナジーデバイス3203の先端の把持機構が処置部に対応する生体組織の一部を把持する動作が検出されたことを退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、移動制御部は、エナジーデバイス3203の先端の把持機構が処置部に対応する生体組織の一部を解放する動作が検出されたこと、かつ撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことを復帰条件として、鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。
なお、以上の説明では、ミストを生じさせ得る処置具を対象として、エナジーデバイス3203の先端の把持機構の動作を退避条件及び復帰条件としていたが、血液等の体液の飛散を生じさせ得る処置具を対象として、当該処置具(例えば鉗子等)の先端の動作を退避条件及び復帰条件としてもよい。この場合、例えば、移動制御部は、撮像画像に基づいて、当該処置具の先端が処置部に対して処置を行っていること、すなわち体液が飛散し得る動作を行っていることが検出されたことを退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、例えば、移動制御部は、撮像画像に基づいて、当該処置具の先端が処置部に対して処置を行っていないこと、すなわち体液が飛散し得る操作を行っていないことが検出されたこと、かつ撮像画像に基づいて血液等の体液の飛散が収まったことが検出されたことを復帰条件として、鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。
本変形例のように、エナジーデバイス3203等の処置具の先端の動きに応じて退避動作を行わせることにより、実際にミスト及び/又は血液等の体液の飛散が生じる前に退避動作を行わせることができるため、鏡筒3101が汚れることをより確実に回避することが可能になる。
(4-2-4.ユーザによる指示)
第1及び第2の実施形態では、ユーザ(例えば、術者3501又はスコピスト)の指示を退避条件及び復帰条件としてもよい。図13は、ユーザの指示を退避条件及び復帰条件とする変形例に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。なお、本変形例に係る画像処理システム1bは、図2に示す第1の実施形態に係る画像処理システム1に対して、図1に示す入力装置3409がその構成として追加されるとともに、退避条件及び復帰条件が異なることにより移動制御部121の機能が一部変更されたものに対応する。画像処理システム1bのそれ以外の構成は、画像処理システム1と同様であるため、ここでは、画像処理システム1と重複する事項についてはその説明を省略する。
図示するように、本変形例に係る画像処理システム1bでは、入力装置3409を介して、ユーザからの鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示、及び鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示が、CCU3401cに対して入力される。ユーザからの指示入力は、図1に示すフットスイッチ3419のようなスイッチ、音声、又はジェスチャ等、あらゆる形式で行われてよい。ただし、手術中には、術者3501及びスコピストの両手は、処置具又は内視鏡3100等によって塞がれていることが想定され得るため、音声、又はジェスチャ等の非接触での入力が可能であると、術者3501及びスコピストの利便性を向上させることができる。本変形例では、移動制御部121cは、このユーザからの指示を退避条件及び復帰条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示及び鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を、それぞれアーム制御装置3407に対して発行する。
ここで、以上説明した実施形態及び変形例では、いずれも、ミスト及び/又は体液等によって鏡筒3101が汚れることを防止することを目的として退避条件及び復帰条件が設定されていた。しかしながら、例えば、処置具によって処置を行う際の作業空間を確保するため等、他の目的で意図的に鏡筒3101を一旦観察対象部位から遠ざけたい場合がある。本変形例では、ユーザによる指示によって、任意のタイミングで、表示画像を変化させることなく退避動作を行わせることが可能となるため、このような意図的に一旦鏡筒3101を退避させたい場合に特に有用である。
(4-2-5.内視鏡の鏡筒の先端と処置具との距離)
第1及び第2の実施形態では、内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端と処置具との距離を退避条件及び復帰条件としてもよい。なお、本変形例は、以上説明した実施形態及び変形例とは異なり、ミスト及び/又は体液等によって鏡筒が汚れることを防止することを目的としたものではない。本変形例では、内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端と処置具との距離を退避条件及び復帰条件とすることにより、当該鏡筒3101が意図せず処置具と接触してしまうことを防止することが可能になる。
具体的には、本変形例では、内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端と処置具との距離が検出される。この距離の検出方法としては、各種の方法を用いることができる。例えば、当該距離は、内視鏡3100、3100aがステレオカメラによって構成される場合であれば、その撮像画像に基づいて検出され得る。あるいは、例えば、当該距離は、鏡筒3101の先端に測距センサを設けることにより、当該測距センサの検出値に基づいて検出され得る。あるいは、例えば、当該距離は、複数の測距センサを患者の体腔内に別途挿入することにより、これらの測距センサの検出値に基づいて鏡筒3101及び処置具の3次元的な位置情報が取得されることにより、当該3次元的な位置情報に基づいて検出され得る。
本変形例では、移動制御部は、この検出された内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端と処置具との距離に基づいて、退避動作を行うかどうか、及び復帰動作を行うかどうかを判定する。例えば、移動制御部は、当該距離が所定の第1のしきい値以下であることを退避条件として、鏡筒3101に退避動作を行わせる旨の指示を発行する。また、例えば、移動制御部は、退避動作を行った結果当該距離が所定の第2のしきい値以上となったことを復帰条件として、鏡筒3101に復帰動作を行わせる旨の指示を発行する。当該第1及び第2のしきい値としては、鏡筒3101と処置具との接触が確実に防止され得る値として、適宜設定され得る。
以上説明したように、本変形例によれば、内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端と処置具との距離を退避条件及び復帰条件とすることにより、手術中に鏡筒3101及び処置具が体腔内で移動した際に、意図せず両者が接触しそうになった場合であっても、その接触を防止することが可能となる。また、接触を防止するために鏡筒3101が移動している間も、表示装置の表示は略一定に保たれるため、円滑な手術の続行が実現される。
なお、体腔内に処置具が複数挿入されている場合には、内視鏡3100、3100aの鏡筒3101の先端とこれら複数の処置具との距離がそれぞれ検出され、これらの距離のそれぞれに基づいて、各処置具に対して、退避動作を行うかどうか、及び復帰動作を行うかどうかの判定処理が行われてよい。これにより、体腔内に処置具が複数挿入されている場合であっても、鏡筒3101とこれら複数の処置具との接触が防止され得る。
また、本変形例では、復帰移動量は、必ずしも退避移動量と同一でなくてもよい。また、復帰移動量は一定の値でなくてもよい。本変形例は、鏡筒3101が意図せず処置具と接触してしまうことを防止することを目的とするものであるから、例えば、復帰動作時に、退避動作前の元の位置まで鏡筒3101が戻るのではなく、処置具との距離がより安全に保たれ得る位置まで鏡筒3101が戻り、そこで鏡筒3101が停止した方が、この目的を達成する上では有用であると考えられる。従って、本変形例では、復帰移動量は、例えば鏡筒3101と処置具との間の距離が常に一定以上に保たれるように、復帰動作を行うごとに適宜設定されてもよい。
(4-3.支持アーム装置の他の構成例)
以上の構成例では、図1を参照して説明したように、例えば6自由度を有する支持アーム装置3300のアーム部3303によって内視鏡3100を支持し、当該アーム部3303の姿勢を制御することにより、内視鏡3100の鏡筒3101の退避動作及び復帰動作を行っていた。しかし、第1~第3の実施形態はかかる例に限定されない。他の構成を有する支持アーム装置によって退避動作及び復帰動作における鏡筒3101の移動が行われてもよい。なお、本変形例では、支持アーム装置の構成が異なり、そのために退避動作時及び復帰動作時における当該支持アーム装置の駆動制御方法が異なること以外は、上述した第1~第3の実施形態と同様である。従って、以下の本変形例についての説明では、第1~第3の実施形態との相違点についてのみ主に説明する。
図14は、支持アーム装置の他の構成例を概略的に示す図である。図14を参照すると、本変形例に係る支持アーム装置300は、ベース部310と、ベース部310から延伸するアーム部320と、を備える。また、アーム部320の先端には、内視鏡3100を支持するホールド部330が設けられる。本変形例では、図1に示す内視鏡手術システム3000において、上述した支持アーム装置3300に代えて、この支持アーム装置300が適用される。
図示する例では、アーム部320は、関節部321a、321b、321c、及びリンク323a、323b、323cから構成されており、図1に示すアーム制御装置3407からの制御により駆動される。ただし、図13では、簡単のため、アーム部320の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部320が所望の自由度を有するように、関節部321a~321c及びリンク323a~323cの形状、数及び配置、並びに関節部321a~321cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。上述した第1~第3の実施形態に係る支持アーム装置3300と同様に、例えば、アーム部320は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部320の可動範囲内においてホールド部330を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡3100の鏡筒3101を患者3505の体腔内に挿入することが可能になる。
ホールド部330は、内径が内視鏡3100の鏡筒3101の外径と略同径の略円筒形状の部材であり、その円筒内に当該鏡筒3101が挿通された状態で、当該内視鏡3100を支持する。ホールド部330の円筒の内壁には、鏡筒3101をその延伸方向(すなわち、対物レンズの光軸方向)に移動可能なスライダー機構、及び当該スライダー機構を駆動させるアクチュエータが設けられる。当該アクチュエータの駆動をアーム制御装置3407によって制御することにより、鏡筒3101をその延伸方向に所定量だけ移動させることができる。本変形例では、このホールド部330の機構を用いて、退避動作時及び復帰動作時の鏡筒3101の移動を行う。
ここで、上述した第1~第3の実施形態に係る支持アーム装置3300では、多軸のアーム部3303の姿勢を適宜制御することにより、退避動作時及び復帰動作時の鏡筒3101の移動を行っていた。この場合、鏡筒3101をその延伸方向に平行に移動させるためには、アーム部3303の動きは比較的複雑なものになる。また、アーム部3303の各関節部3305a~3305cの回転を協調して制御することによってこの鏡筒3101の移動を実現しなくてはいけないため、制御も比較的複雑になる。
一方、本変形例によれば、上記のような機構を有するホールド部330によって鏡筒3101を支持し、その延伸方向への移動を実現するため、退避動作時及び復帰動作時に、アーム部320自体は駆動させる必要がなく、ホールド部330のアクチュエータに対するより簡易な制御によって鏡筒3101の延伸方向への移動を実現することが可能になる。
(4-4.退避動作及び復帰動作の半自動化)
以上の構成例では、退避動作及び復帰動作は、退避条件及び復帰条件をそれぞれ満たした場合に、アーム制御装置3407によっていわば自動的に行われていた。しかし、第1~第3の実施形態はかかる例に限定されず、図1に示すように内視鏡3100を支持アーム装置3300によって保持した状態で、スコピストが当該内視鏡3100を操作している場合に、スコピストに退避動作及び復帰動作を促すように、アーム制御装置3407が支持アーム装置3300を駆動させてもよい。なお、本明細書では、このような、退避動作時及び復帰動作時に、スコピストに退避動作及び復帰動作を促すように支持アーム装置3300の駆動が制御される様態のことを、これまで説明したいわば自動的な退避動作及び復帰動作と区別するために、半自動の退避動作及び復帰動作と呼称する。本変形例では、半自動の退避動作及び復帰動作が行われること以外は、上述した第1~第3の実施形態と同様である。従って、以下の本変形例についての説明では、第1~第3の実施形態との相違点についてのみ主に説明する。
半自動の退避動作及び復帰動作は、上述したように、内視鏡3100を支持アーム装置3300によって保持した状態で、スコピストが当該内視鏡3100を操作している場合に行われることを想定している。また、支持アーム装置3300の駆動制御が力制御によって行われていることを想定している。また、この場合、例えば、スコピストは、直接操作によって内視鏡3100を操作している。
本変形例では、退避条件を満たした場合には、鏡筒3101を退避させる方向の力(退避方向へのアシスト力)をスコピストに与えるように、アーム制御装置3407が支持アーム装置3300を駆動させる。これにより、スコピストは、鏡筒3101を退避させるべき状況(すなわち、上述したような退避条件のいずれか)が発生していることを把握し、そのアーム部3303から与えられるアシスト力にならって、退避動作を行うように、内視鏡3100を操作することができる。
この際、図15及び図16に示すように、アシスト力Y(退避方向を正とする)は、エナジーデバイス3203と処置部との距離Xに応じて、変化してもよい。図15及び図16は、半自動の退避動作及び復帰動作に係るアシスト力について説明するための図である。図15では、図9と同様に、内視鏡下手術中における患者の体腔内の様子を概略的に示している。また、図16では、エナジーデバイス3203と処置部との距離Xと、アシスト力Yとの関係を概略的にグラフによって示している。
図示するように、本変形例では、エナジーデバイス3203と処置部との距離Xが、所定のしきい値thr以下になった場合に、退避方向へのアシスト力Yを発生させる。また、当該アシスト力Yは、エナジーデバイス3203と処置部との距離Xが短くなるほど、線形的に大きくなるように発生される。エナジーデバイス3203と処置部との距離Xが短い場合には、エナジーデバイス3203によって処置が行われミストが発生する可能性が高い状態であるから、このように距離Xに応じたアシスト力Yを発生させることにより、ミストが発生する可能性が高い場合には退避方向へのより強いアシスト力をスコピストが感じることとなり、スコピストに対して鏡筒3101を退避させるべき状況が発生していることをより強く喚起できるとともに、退避動作をスムーズに行うことが可能になる。なお、エナジーデバイス3203と処置部との距離Xは、上記(4-2-1.処置具と処置部との距離)で説明した方法と同様の方法によって検出され得る。
以上の説明では退避動作について説明したが、復帰動作時には、同様に、復帰方向へのアシスト力を発生させるように、アーム制御装置3407が支持アーム装置3300を駆動させる。
ここで、以上説明してきた各実施形態及び各変形例では、退避動作が開始されてから復帰動作が終了するまでの間は、画像処理部によって適宜撮像画像の切り出し処理及び電子ズーム処理が行われているため、表示装置3403における表示は略一定である。通常、スコピストは、内視鏡3100によって撮影された画像を見ることによって体腔内での鏡筒3101の位置を把握し、当該鏡筒3101を移動させているため、表示装置3403上の表示が略一定であると、スコピストが鏡筒3101を操作することが困難になる恐れがある。
これに対して、以上説明した本変形例以外の各実施形態及び各変形例では、退避動作及び復帰動作はスコピストの操作に従って行われるのではなく、いわば自動的に行われる。そして、基本的には退避移動量と復帰移動量とは同じ値に設定されており、退避動作後に復帰条件を満たした場合には、元の位置まで鏡筒3101が戻ることになる。つまり、これらの各実施形態及び各変形例では、退避動作及び復帰動作をスコピストの操作によって行うことは想定されておらず、また、退避動作及び復帰動作が行われたとしても、最終的には元の位置まで鏡筒3101が戻るため、上記のように退避動作が開始されてから復帰動作が終了するまでの間、表示装置3403における表示が略一定であっても、大きな支障はないと考えられる。
一方、本変形例では、半自動での退避動作及び復帰動作が行われる、すなわちスコピストの操作によって退避動作及び復帰動作が行われる。従って、退避動作時及び復帰動作時に表示装置3403上の表示が略一定であると、スコピストは、鏡筒3101の体腔内での位置を把握できず、退避動作及び復帰動作に係る操作を行いにくくなってしまう恐れがある。
そこで、本変形例では、図17に示すように、表示画面227上において、表示画像に、現在の鏡筒3101の先端と観察対象部位である臓器231との距離を示すインジケータ229が重畳表示されてもよい。当該インジケータ229の表示制御は、CCUの画像処理部によって行われ得る。図17は、鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離の、表示画面上への一表示例を示す図である。なお、図示する例では、距離を示すためにインジケータ229が用いられているが、より具体的に当該距離が数値によって表示されてもよい。
以上、退避動作及び復帰動作が半自動で行われる変形例について説明した。ここで、力制御によって駆動される支持アーム装置3300によって保持されている内視鏡3100をスコピストが直接操作によって操作している場合に、上述したようないわば自動的な退避動作及び復帰動作が行われると、スコピストに対して比較的強い力が急に作用する可能性があるため、スコピストの操作性を低下させてしまう恐れがある。これに対して、本変形例では、退避動作及び復帰動作を促す程度の比較的弱いアシスト力を発生させ、あくまでもスコピストの操作が主体となって退避動作及び復帰動作が実行される。従って、力制御によって駆動される支持アーム装置3300によって保持されている内視鏡3100をスコピストが直接操作によって操作していることを想定した場合には、本変形例に係る半自動の退避動作及び復帰動作を実行することにより、スコピストの操作性を低下させることなく、退避動作及び復帰動作をより円滑に行うことが可能となる。
なお、本変形例では、復帰動作については、鏡筒3101が復帰位置(すなわち、退避動作前の元の位置)まで戻った際に、そのことをスコピストに通知する機能が、画像処理システムに設けられてもよい。退避動作が開始されてから復帰動作が終了するまでの間、表示装置3403上の表示は略一定に保たれるため、復帰動作時にスコピストが鏡筒3101を観察対象部位に近付くように移動させていった際に、スコピストは、当該表示を見ても、鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離が近付いていっていることを把握できないからである。たとえ上述したインジケータ229が重畳表示されていたとしても、鏡筒3101の先端と観察対象部位との距離を直感的に把握することは困難であるため、このような通知機能が更に設けられることが好ましい。
当該通知は、各種の方法によって行われてよい。例えば、アーム制御装置3407がパルス的なアシスト力を発生させてもよい。また、例えば、CCUが、表示画面にインジケータ229以外の何らかの通知を表示させてもよい。また、例えば、スコピストがHMDや各種のウェアラブルデバイスを身に付けている場合であれば、当該ウェアラブルデバイスが振動、音声、表示等各種の手段を介して当該通知を行ってもよい。
(5.補足)
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的なものではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏し得る。
例えば、以上説明した各実施形態及び各変形例に係る画像処理システムが適用され得る内視鏡手術システムの構成は、図1に示す例に限定されない。各実施形態及び各変形例に係る画像処理システムは、各種の内視鏡システムに適用可能である。また、各実施形態及び各変形例に係る画像処理システムの構成は、図2、6、11、13に示す例に限定されない。当該画像処理システムは、全体として以上説明した処理を実行可能であればよく、その構成は任意であってよい。例えば、画像処理システムを構成する各装置、特にCCU3401、3401a、3401b、3401c、及びアーム制御装置3407の機能は、それぞれ、1台の装置又は任意の複数の装置の協働によって実現されてもよい。
また、以上説明した各実施形態及び各変形例に係る画像処理システムの各装置、特にCCU及びアーム制御装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等の処理装置に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又はフラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
また、以上説明した各実施形態及び各変形例が有し得る各構成は、可能な範囲で互いに組み合わせて適用することが可能である。例えば、上記(4-2.退避条件及び復帰条件の他の例)で説明した退避条件及び復帰条件のうちのいくつかが組み合わされて設定されてもよい。この場合、設定された複数の退避条件のうちのいずれか及び複数の復帰条件のうちのいずれかを満たした場合に、それぞれ、退避動作及び復帰動作が実行され得る。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
内視鏡によって撮影された患者の体腔内の撮像画像から出力用の画像データを生成する画像処理部、を備え、
前記画像処理部は、撮影中に前記内視鏡の鏡筒が対物レンズの光軸方向に移動した際に、前記撮像画像のうち表示装置に表示される表示画像に表される範囲である表示範囲が、移動中及び移動後において移動前の表示範囲から変化しないように、前記画像データを生成する、
画像処理装置。
(2)
前記画像処理部は、移動中及び移動後に得られる撮像画像の中心から所定の距離の範囲を切り出し、拡大することにより、移動中及び移動後における前記画像データを生成する、
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記(1)に記載の画像処理装置と、
アーム部によって前記内視鏡を支持する支持アーム装置の駆動を制御し、前記内視鏡の鏡筒を移動させるアーム制御装置と、
を備え、
前記画像処理装置は、所定の退避条件を満たした場合に、前記鏡筒が対物レンズの光軸方向であって観察対象部位から遠ざかる方向である退避方向に移動する退避動作を実行させる旨の指示を前記アーム制御装置に対して発行し、所定の復帰条件を満たした場合に、前記鏡筒が対物レンズの光軸方向であって観察対象部位に近付く方向である復帰方向に移動する復帰動作を実行させる旨の指示を前記アーム制御装置に対して発行する移動制御部、を更に有する、
内視鏡手術システム。
(4)
前記退避条件は、前記撮像画像に基づいてミストの発生が検出されたことであり、前記復帰条件は、前記撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(5)
前記ミストの発生が検出される際に、前記撮像画像の中からエナジーデバイスの先端が検出され、検出された前記エナジーデバイスの先端を含む所定の領域内において、前記ミストの発生が検出される、
前記(4)に記載の内視鏡手術システム。
(6)
前記退避条件は、前記撮像画像に占めるミストの存在領域が所定の第1の割合以上であることであり、前記復帰条件は、前記撮像画像に占めるミストの存在領域が所定の第2の割合以下であることである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(7)
前記退避条件は、処置具と処置部との距離が所定の第1のしきい値以下であることであり、前記復帰条件は、処置具と処置部との距離が所定の第2のしきい値以上であることである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(8)
前記退避条件は、エナジーデバイスに通電がされたことであり、前記復帰条件は、エナジーデバイスの出力が停止され、かつ前記撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(9)
前記退避条件は、術者によるエナジーデバイスで処置を行う旨の操作が行われたことであり、前記復帰条件は、術者によるエナジーデバイスでの処置が終了した旨の操作が行われたことである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(10)
前記退避条件は、前記撮像画像に基づいて処置具の先端の把持機構が生体組織の一部を把持したことが検出されたことであり、前記復帰条件は、前記撮像画像に基づいて処置具の先端の把持機構が生体組織の一部を解放したことが検出され、かつ前記撮像画像に基づいてミストの消失が検出されたことである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(11)
前記退避条件及び復帰条件は、ユーザによる指示入力があったことである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(12)
前記退避条件は、内視鏡の先端と処置具との距離が所定の第1のしきい値以下であることであり、前記復帰条件は、内視鏡の先端と処置具との距離が所定の第2のしきい値以上であることである、
前記(3)に記載の内視鏡手術システム。
(13)
前記復帰動作時における前記鏡筒の移動量は、前記退避動作時における前記鏡筒の移動量と同じ値である、
前記(3)~(5)及び(7)~(11)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(14)
前記退避動作時における前記鏡筒の移動量は、ミストが前記撮像画像に影響を及ぼさない前記鏡筒の先端と観察対象部位との距離から、ミストの発生を検出する直前における前記鏡筒の先端と前記観察対象部位との距離を差し引いた値である、
前記(3)~(5)及び(7)~(11)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(15)
前記アーム制御装置によって前記アーム部を構成する複数の関節部における回転が互いに協調して制御されることにより、前記退避動作及び前記復帰動作が実行される、
前記(3)~(14)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(16)
前記内視鏡は、前記アーム部の先端に設けられる円筒形状のホールド部に前記鏡筒が挿通されることによって支持され、
前記ホールド部は、前記鏡筒を延伸方向に移動可能に支持するスライダー機構と、前記スライダー機構を動作させ前記鏡筒を延伸方向に移動させるアクチュエータと、を有し、
前記アーム制御装置からの制御により前記アクチュエータが前記スライダー機構を動作させることにより、前記退避動作及び前記復帰動作が実行される、
前記(3)~(14)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(17)
前記アーム制御装置は、操作者による外力をアシストするように前記アーム部を駆動させるパワーアシスト制御を行う、
前記(3)~(16)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(18)
前記アーム制御装置は、前記退避動作時には、前記アーム部又は前記内視鏡に直接触れて操作を行っているスコピストに対して、前記退避方向への前記鏡筒の移動操作を促すようなアシスト力を発生させるように前記支持アーム装置を駆動させ、前記復帰動作時には、前記スコピストに対して、前記復帰方向への前記鏡筒の移動操作を促すようなアシスト力を発生させるように前記支持アーム装置を駆動させる、
前記(3)~(17)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(19)
前記画像処理部は、前記退避動作時及び前記復帰動作時に、前記表示画像に、前記鏡筒の先端と観察対象部位との距離を重畳表示させる、
前記(3)~(18)のいずれか1項に記載の内視鏡手術システム。
(20)
内視鏡によって患者の体腔内を撮影中に前記内視鏡の鏡筒が対物レンズの光軸方向に移動した際に、プロセッサが、前記内視鏡による撮像画像のうち表示装置に表示される表示画像に表される範囲である表示範囲が、移動中及び移動後において移動前の表示範囲から変化しないように、前記撮像画像から出力用の画像データを生成する、
画像処理方法。