JP7036338B2 - インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、インクセット、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、記録媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。近年では、記録物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
しかしながら、顔料インクは、一般的に水系媒体中での顔料微粒子の分散安定性が悪く、顔料微粒子同士が凝集してしまい、保存安定性が悪化し易いという問題がある。
一方で、従来の普通紙、コピー紙と呼ばれる高吸液性記録媒体への印刷に加えて、オフセットコート紙のような低吸液性のコート紙、又はポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等の非吸液性樹脂のフィルムを用いた商業印刷向けの記録媒体への印刷が求められてきている。
これらの低吸液性、非吸液性の記録媒体上にインクジェット記録方法で印刷を行うと、液体成分の吸収が遅い、又は吸収されないため乾燥に時間がかかり、色間混色が起こり易く、印刷初期の耐擦過性が劣ることが知られている。また紙内に顔料が浸透する普通紙とは異なり、低吸液性、非吸液性の記録媒体は顔料粒子が紙上に上残りし、直接外力を受けるために乾燥後の耐擦過性も劣ることが知られている。
さらに、カラーインクを用いて重ねて記録すると、画像に滲みが生じたり、耐擦過性が悪化する場合があった。
これらの課題を解決するために、種々のインクセットが提案されている。
例えば、特許文献1には、赤色、青色又は緑色の色再現性に優れたインクセットとして、凝集剤を含有する処理液と、架橋された水溶性樹脂によって顔料が被覆されている樹脂被覆顔料と重合性化合物と水とを含有する、イエロー、マゼンタ及びシアンインクを含み、2色を重ねて画像を形成し、各顔料の含有量と質量比〔架橋された水溶性樹脂/顔料〕が特定の範囲にあるインクセットが開示されている。
特許文献2には、記録用ヘッドにおける顔料のコゲーションを防止して、インク中の顔料の分散性を高め、着弾精度を向上させたインクセットとして、顔料と、100~160mgKOH/gの酸価を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とを含有する水性インクを備え、インクの1種はフタロシアニン化合物を含有するシアンインクであり、かつ該シアンインクは、それ以外のインクに含有された前記共重合体に対して0.7~0.95倍の酸価を有するものであるインクセットが開示されている。
特許文献3には、記録ヘッドのミスト汚染を抑制しつつ高画質を形成できるインクセットとして、複数種のインク中に、架橋されていない樹脂で覆われた顔料粒子が分散しており、該インクとして、樹脂の酸価が100~180mgKOH/gである第1インクと、樹脂の酸価が60~90mgKOH/gである第2インクとを含むインクセットが開示されている。
特開2012-162655号公報 特開2015-052057号公報 特開2016-199684号公報
しかしながら、特許文献1のインクセットでは、耐擦過性が向上するものの、重合性化合物の使用と活性エネルギー線の照射が必要になり汎用性に欠ける。また、特許文献2及び3の技術では、低吸液性、非吸液性の記録媒体上への印刷に適用した際の耐擦過性や、重ね打ちにおける画質の低下に対して、十分に満足できるものではなかった。
本発明は、保存安定性に優れるインクを使用し、インクを重ね打ちしても、耐擦過性、画質に優れた記録物を得ることができるインクセット、及びインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
本発明者は、2種以上のインクを有するインクセットにおいて、高酸価のポリマーを架橋してなる水不溶性架橋ポリマーで顔料を分散したインクを用い、比較的高酸価のポリマーを有するインクと、比較的低酸価のポリマーを有するインクを組み合わせて使用することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]少なくともシアン、イエロー、マゼンタの各色のインクを含有するインクセットであって、該各色のインクは、以下の条件を満たすインク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、各色の全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはない、インクセット。
〔インク(A)又はインク(B)の条件〕
インク(A)及びインク(B)は、顔料をポリマーで水系媒体に分散させた水系インクであり、該ポリマーは、酸価が140mgKOH/g以上260mgKOH/g以下のポリマーを架橋剤で架橋してなる水不溶性架橋ポリマーであり、
インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が78mgKOH/g以上100mgKOH/g未満であり、インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が56mgKOH/g以上78mgKOH/g未満である。
[2]前記[1]に記載のインクセットを用いて、低吸液性記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
本発明のインクセット及びインクジェット記録方法によれば、保存安定性に優れるインクを使用し、インクを重ね打ちしても、耐擦過性、画質に優れた記録物を得ることができる。
[インクセット]
本発明のインクセットは、少なくともシアン、イエロー、マゼンタの各色のインクを含有するインクセットであって、該各色のインクは、以下の条件を満たすインク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、各色の全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはない、インクセット。
〔インク(A)又はインク(B)の条件〕
インク(A)及びインク(B)は、顔料をポリマーで水系媒体に分散させた水系インクであり、該ポリマーは、酸価が140mgKOH/g以上260mgKOH/g以下のポリマーを架橋剤で架橋してなる水不溶性架橋ポリマーであり、
インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が78mgKOH/g以上100mgKOH/g未満であり、インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が56mgKOH/g以上78mgKOH/g未満である。
本発明のインクセットは、保存安定性に優れるインクを使用し、インクを重ね打ちしても、耐擦過性、画質に優れた記録物を得ることができ、また、用いるインクは、インクジェット記録方式における吐出安定性に優れているため、インクジェット記録用インクセットとして用いることが好ましい。
なお、本明細書において、次の用語は、以下の意味を有する。
・「水系媒体」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めている媒体を意味し、「水系インク」とは、インク中の水の含有量が40質量%以上を占めているインクを意味する。
・「記録」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「記録物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念である。
・「重ね打ち」とは、2次色、3次色を表現するために、複数種のインクを記録物の同一範囲内に打ち込んで記録することをいう。
本発明のインクセットは、保存安定性に優れるインクを使用し、インクを重ね打ちしても、耐擦過性、画質に優れた記録物を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明のインクセットにおけるインク(A)及び(B)においては、酸価が140mgKOH/g以上260mgKOH/g以下の高酸価のポリマーが顔料表面に吸着し、そのポリマーが架橋されている。そのため架橋点の密度が高くなり、ポリマーが十分な立体網目構造を形成できるため、インク中の溶剤等によるポリマーの膨潤が抑制されていると推定される。そのため、顔料からポリマーが脱離しにくく、また、顔料粒子同士の静電反発力が大きくなり凝集が抑制されるため、インクの中の顔料粒子の粒径が安定に保たれ、インクの保存安定性が維持されるものと考えられる。
本発明のインクセットは、少なくとも重ね打ちに供するシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクについて、顔料を残酸価が比較的高い水不溶性架橋ポリマーで分散したインク(A)と、顔料を残酸価が比較的低い水不溶性架橋ポリマーで分散したインク(B)とで構成する。インク(A)は記録媒体に着弾後にドットが広がり易いが、インク(B)はドットが広がり難い特徴がある。少なくとも重ね打ちに供するインクについて、前述の顔料粒子の粒径安定性を高め、保存安定性に優れるインク(A)と(B)とを構成することで、インク(A)と(B)それぞれの特徴が記録媒体上で発揮されると考えられる。そして、インク(B)のドット間に生じ易い凹凸をインク(A)で適度に埋めることができ、記録媒体上に平滑なインク膜が形成されることで、耐擦過性、及び画質が向上すると考えられる。
本発明のインクセットに用いられるシアン、イエロー、マゼンタの各色のインクは、インク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、各色の全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはない。そして、インク(A)及びインク(B)は、顔料を水不溶性架橋ポリマーで水系媒体に分散させた水系インクである。
本発明のインクセットにおいては、インク(A)及びインク(B)が、重ね打ちするインクであることが好ましい。インク(A)及びインク(B)を記録媒体に記録する順番には制限がなく、いずれの順番で記録してもよいが、先にインク(B)で記録し、後にインク(A)で記録するのがより好ましい。
また、本発明のインクセットには、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインク以外のその他のインクも装填することができるが、その他のインクは、必ずしもインク(A)又はインク(B)に該当するインクである必要はない。しかしながら、全てのインクがインク(A)又はインク(B)のいずれかに該当するインクのみからなるインクセットであることが好ましく、全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することがないインクセットであることが好ましい。
<顔料>
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
色相は、少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3色を有すればよく、その他の色は特に限定されず、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。インクを重ね打ちする場合、少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3色については、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・イエローの3種を選択することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記の顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、顔料は、インク中で、水不溶性架橋ポリマーで分散された顔料、又は顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子として含有される。
顔料は、耐水性を維持しつつ、顔料粒子の粒径安定性、及び記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子(以下、単に「顔料含有架橋ポリマー粒子」ともいう)として含有されることが好ましい。
<ポリマー>
本発明のインクセットにおけるインク(A)及びインク(B)は、顔料をポリマーで水系媒体に分散させた水系インクであり、該ポリマーは、酸価が140mgKOH/g以上260mgKOH/g以下のポリマー(以下、「架橋前ポリマー」ともいう)を架橋剤で架橋してなる水不溶性架橋ポリマーである。
架橋前ポリマーは、好ましくはカルボキシ基を有するポリマーであり、水溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーのいずれであってもよいが、水不溶性ポリマーであることが好ましい。
架橋前ポリマーのカルボキシ基の一部は、架橋剤で架橋され架橋構造を形成する。カルボキシ基を有するポリマーが水溶性ポリマーであっても架橋により水不溶性となる。
なお、「水不溶性ポリマー」とは、ポリマーを水に分散させたとき透明とならないものを意味し、具体的には、ポリマーを105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下であるポリマーをいう。
一方、「水溶性ポリマー」とは、上記条件における溶解量が10g以上であるポリマーをいう。
ポリマーがアニオン性ポリマーの場合は、ポリマーのアニオン性基をNaOHで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性架橋ポリマーは、カルボキシ基を有する架橋前ポリマーの少なくとも一部を中和剤で中和した状態で顔料を水系媒体に分散した後、架橋剤と架橋させることによって、水系媒体中で形成されることが好ましい。こうすると水不溶性架橋ポリマーは単離されないが、ポリマーのモノマー構成、分子量、中和剤の種類と使用量、架橋剤の種類と使用量の関係でその状態を調整することができる。
架橋前のポリマーの酸価は、インクの保存安定性、及び記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、好ましくは145mgKOH/g以上、より好ましくは150mgKOH/g以上、更に好ましくは170mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは255mgKOH/g以下、より好ましくは250mgKOH/g以下、更に好ましくは245mgKOH/g以下である。
酸価が前記の範囲であれば、カルボキシ基及び中和されるカルボキシ基の量は十分であり、顔料の分散安定性が確保される。またポリマーと水系媒体の親和性と、ポリマーと顔料との相互作用とのバランスの点からも好ましい。
なお、ポリマーの酸価は、実施例に記載の滴定法により行うことができる。また、構成するモノマーの質量比から算出することもできる。
水系インク中における、顔料及び水不溶性架橋ポリマーの存在形態としては、水不溶性架橋ポリマーが顔料に吸着している形態、水不溶性架橋ポリマーが顔料を含有している形態(顔料を内包(カプセル化)している粒子形態、顔料を均一に分散した粒子形態を含む)、及び顔料を吸着していない形態がある。顔料の分散安定性の観点から、本発明においては水不溶性架橋ポリマーが顔料を含有しているポリマー粒子(顔料含有架橋ポリマー粒子)の形態が好ましく、顔料を含有し顔料内包している粒子形態がより好ましい。
ポリマーは、顔料分散作用を発現する顔料分散剤としての機能と、記録媒体への定着剤としての機能を有する。
(架橋前ポリマー)
架橋前ポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、及びビニル系ポリマーから選ばれる1種以上が挙げられるが、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、ビニル化合物、ビニリデン化合物、及びビニレン化合物から選ばれる1種以上のビニルモノマーの付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
ビニル系ポリマーとしては、(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー(以下、「(a)成分」ともいう)と、(b)疎水性ビニルモノマー(以下、「(b)成分」ともいう)とを含むビニルモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位を有する。このビニル系ポリマーは、更に(c)マクロモノマー(以下、「(c)成分」ともいう)由来の構成単位や、(d)ノニオン性モノマー(以下、「(d)成分」ともいう)由来の構成単位を含有することができる。
〔(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー〕
(a)カルボキシ基含有ビニルモノマーは、顔料含有架橋ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、ポリマーのモノマー成分として用いられる。カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、カルボン酸モノマーが挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸等から選ばれる1種以上が挙げられるが、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上がより好ましい。
〔(b)疎水性ビニルモノマー〕
(b)疎水性ビニルモノマーは、ポリマーの顔料への吸着性を高め、顔料含有架橋ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、ポリマーのモノマー成分として用いられる。疎水性ビニルモノマーとしては、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上22以下のアリール基を有するアルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が好ましく挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1以上22以下、好ましくは炭素数6以上18以下のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる1種以上を意味する。以下における「(メタ)」も同義である。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、分子量が500未満、好ましくは炭素数6以上22以下の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(b)疎水性モノマーは、前記のモノマーを2種以上使用してもよく、スチレン系モノマーと芳香族基含有(メタ)アクリレートを併用してもよい。
〔(c)マクロモノマー〕
(c)マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、水系インクの分散安定性を向上させる観点から、ポリマーのモノマー成分として用いることができる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(c)マクロモノマーの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロモノマーとしては、水系インクの分散安定性を向上させる観点から、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー及びシリコーン系マクロモノマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記(b)疎水性モノマーで記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS-6(S)、AN-6(S)、HS-6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
ポリマーには、水系インクの分散安定性を向上させる観点から、更に、(d)ノニオン性モノマーをモノマー成分として用いることができる。
(d)ノニオン性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2~30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1~30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1~30、その中のエチレングリコール:n=1~29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレートが好ましく、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレートがより好ましい。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM-20G、同40G、同90G、同230G等、日油株式会社のブレンマーPE-90、同200、同350等、PME-100、同200、同400等、PP-500、同800、同1000等、AP-150、同400、同550等、50PEP-300、50POEP-800B、43PAPE-600B等が挙げられる。
上記(a)~(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
以上のとおり、本発明で用いられるカルボキシ基を有する架橋前ポリマーは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー由来の構成単位と、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上22以下のアリール基を有するアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及び芳香族基含有モノマーから選ばれる1種以上の(b)疎水性ビニルモノマー由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーであることが好ましい。
(モノマー混合物中又はポリマー中における各成分又は構成単位の含有量)
(a)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
(b)成分の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは88質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
(c)成分を含有する場合、(c)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(d)成分を含有する場合、(d)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[(a)成分/(b)成分]の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1以下である。
また、(c)成分を含有する場合、[(a)成分/〔(b)成分+(c)成分〕]の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.8以下である。
(架橋前ポリマーの製造)
架橋前ポリマーは、前記モノマー混合物を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上5以下のケトン類、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t-ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001モル以上5モル以下、より好ましくは0.01モル以上2モル以下である。
重合連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、2-メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは80℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明において、ポリマーを用いて顔料を分散する方法としては、任意の公知の方法を用いることができるが、後述する顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体とすることが好ましい。顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体の生産性を向上させる観点から、重合反応に用いた溶媒を除去せずに、含有する有機溶媒を後述する工程Iに用いる有機溶媒として用いるために、そのままポリマー溶液として用いることが好ましい。
ポリマー溶液の固形分濃度は、顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体の生産性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。
本発明で用いられる架橋前ポリマーの数平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは18,000以下である。ポリマーの分子量が前記の範囲であれば、顔料への吸着力が十分であり分散安定性を発現することができる。
なお、数平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
〔顔料含有架橋ポリマー粒子の製造〕
顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子は、水系顔料分散体として下記の工程I、工程II及び工程IIIを有する方法により、効率的に製造することができる。
工程I:架橋前ポリマー、有機溶媒、中和剤、顔料、及び水を含有する混合物(以下、「顔料混合物」ともいう)を分散処理して、顔料を含有するポリマー粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)の分散体を得る工程
工程II:工程Iで得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(以下、「顔料水分散体A」ともいう)を得る工程
工程III:工程IIで得られた顔料水分散体Aを、架橋剤で架橋処理し、顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子(顔料含有架橋ポリマー粒子)を含有する水系顔料分散体(以下、「水系顔料分散体B」ともいう)を得る工程
(工程I)
工程Iでは、まず、架橋前ポリマーを有機溶媒に溶解させ、更に中和剤、顔料、水、及び必要に応じて、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。架橋前ポリマーの有機溶媒溶液、中和剤、顔料、水等を混合する順序に特に制限はないが、架橋前ポリマーを有機溶媒に溶解し、これに中和剤、水、顔料の順に加えることが好ましい。
用いる有機溶媒に制限はないが、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、顔料への濡れ性、ポリマーの溶解性、及びポリマーの顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。
架橋前ポリマーを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
(中和)
架橋前ポリマーのカルボキシ基の少なくとも一部は中和されることが好ましい。得られる水系インクのpHは、皮膚刺激性を低減する等の取扱い性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6以上であり、そして、部材の腐食を抑制する観点から、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、更に好ましくは10以下である。
中和剤としては、アルカリ金属化合物、アンモニア等が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、上記の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
中和剤の使用当量(ポリマーの中和度)は、得られる水系インクの保存安定性の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、下記式によって求めることができる。
中和剤の使用当量(モル%)=〔[中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(mgKOH/g)×ポリマーの質量(g)/(56×1000)]〕×100
中和剤の使用当量が100モル%以下の場合、該使用当量は中和度と同義であり、上記式で中和剤の使用当量が100モル%を超える場合は、中和剤がポリマーのカルボキシ基に対して過剰であることを意味し、この場合の中和度は100モル%とみなす。
(顔料混合物中の各成分の含有量)
顔料混合物中の各成分の含有量は、得られる水系顔料分散体の保存安定性、生産性の観点から、以下のとおりである。
工程Iにおける顔料の顔料混合物中の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12.5質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
架橋前ポリマーの顔料混合物中の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
有機溶媒の顔料混合物中の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
水の顔料混合物中の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
架橋前ポリマーに対する顔料の顔料混合物中の質量比〔顔料/架橋前ポリマー〕は、得られる水系顔料分散体の保存安定性及び再分散性を更に向上させる観点から、好ましくは40/60以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。
(顔料混合物の分散処理)
工程Iにおいては、前記顔料混合物を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る。分散体を得る分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは顔料混合物を予備分散させた後、更に剪断応力を加えて本分散を行い、顔料粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
工程Iにおける温度、とりわけ予備分散における温度は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。分散時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.8時間以上であり、そして、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下である。
顔料混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができるが、中でも高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidic社製)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を小粒径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて本分散を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、そして、好ましくは300MPa以下、より好ましくは250MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは3以上、より好ましくは10以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
(工程II)
工程IIでは、工程Iで得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を除去することで、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(顔料水分散体A)を得ることができる。得られた顔料水分散体A中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた顔料水分散体Aは、顔料含有ポリマー粒子が水を主媒体とする媒体中に分散しているものである。ここで、顔料含有ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよいが、前述のように、架橋前ポリマーに顔料が内包された粒子形態であることが好ましい。
得られた顔料水分散体Aの不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体Aの分散安定性を向上させる観点及び水系インクの調製を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
なお、顔料水分散体Aの固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体A中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
(工程III)
工程IIIでは、得られる水系顔料分散体B及び水系インクの保存安定性、及び記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、工程IIで得られた顔料水分散体Aを、架橋剤で架橋処理し、架橋された水不溶性架橋ポリマーを含有する水系顔料分散体Bを得る。この工程で、顔料含有ポリマー粒子を構成する架橋前ポリマーのカルボキシ基の一部を架橋し、顔料含有ポリマー粒子の表層部に架橋構造を形成させる。すなわち、本発明に係る水不溶性架橋ポリマーは、顔料表面上で架橋前ポリマーと架橋剤との架橋反応によって得られ、顔料水分散体A中の顔料含有ポリマー粒子に含まれる架橋前ポリマーが架橋剤によって架橋された水不溶性架橋ポリマーとなる。
こうして、本発明の水系顔料分散体Bは、顔料を本発明に係るポリマー分散剤で水系媒体に分散させた顔料含有架橋ポリマー粒子を含有する水系顔料分散体となる。
<架橋剤>
本発明で用いられる架橋剤としては、水を主体とする媒体中で効率よく架橋反応させる観点から、水溶率が好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である水不溶性多官能エポキシ化合物が好ましい。
ここで、水溶率とは、室温25℃にて水90質量部に架橋剤10質量部を溶解したときの溶解率(質量%)をいい、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
水不溶性多官能エポキシ化合物としては、好ましくは分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物、より好ましくはグリシジルエーテル基を有する化合物、更に好ましくは炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのグリシジルエーテル化合物である。
水不溶性多官能エポキシ化合物の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋ポリマーの安定性の観点から、好ましくは120以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上であり、そして、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である。
水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基の数は、効率よくカルボキシ基と架橋させて顔料含有架橋ポリマー粒子の安定性等を高める観点、及び市場入手性の観点から、1分子あたり好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、1分子あたり好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。
水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは220以下、より好ましくは160以下である。
水不溶性多官能エポキシ化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中では、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(水溶率31%)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(水溶率27%)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(水溶率0%)から選ばれる1種以上が好ましい。
(架橋反応)
架橋前ポリマーと架橋剤との架橋反応は、架橋前ポリマーで顔料を分散した後に行うことが好ましい。
その反応温度は、反応の完結と経済性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。また、その反応時間は、上記と同様の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8時間以下である。
水不溶性架橋ポリマーの架橋度は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。架橋度はポリマーの酸価と架橋剤のエポキシ基の当量から計算される見かけの架橋度である。即ち、架橋度は「架橋剤のエポキシ基のモル当量数/ポリマーのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。
水系顔料分散体B中の顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
また、水系インク中の顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径は、水系顔料分散体B中の顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径と同じであり、好ましい平均粒径の態様は、水系顔料分散体B中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
得られる水系顔料分散体BのpHは8以上であることが好ましい。pHが8以上であれば、アニオン性基の解離が促進され、顔料分散体の電荷量が十分であり、顔料分散体中の顔料粒子の粒径安定性を高めることができる。水系顔料分散体BのpHは、より好ましくは8.5以上であり、その上限に特に制限はないが、pHが11を超えると、該顔料分散体を用いたインクのpHが高くなりすぎ、該インクを用いるプリンタや印刷機の部材に悪影響を与えるため好ましくない。そのため、水系顔料分散体BのpHは、更に好ましくは10.5以下である。
pHの測定法に特に制限はないが、ガラス電極を用いたpH測定法がJIS Z8802に規定されており、簡便かつ正確な点から、この方法が好ましい。具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
[水系インク]
本発明のインクセットは、少なくともシアン、イエロー、マゼンタの3色のインクを含有し、各色のインクは、インク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、各色の全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはない。
インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価は、インクの保存安定性、及び記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、78mgKOH/g以上100mgKOH/g未満である。
インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価は、好ましくは80mgKOH/g以上、より好ましくは81mgKOH/g以上、更に好ましくは82mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは99mgKOH/g以下、より好ましくは98mgKOH/g以下、更に好ましくは97mgKOH/g以下である。
インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価は、インクの保存安定性、及び記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、56mgKOH/g以上78mgKOH/g未満である。
インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価は、好ましくは57mgKOH/g以上、より好ましくは59mgKOH/g以上、更に好ましくは60mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは76mgKOH/g以下、より好ましくは75mgKOH/g以下、更に好ましくは74mgKOH/g以下である。
なお、インクにおける水不溶性架橋ポリマーの残酸価は、架橋後の残酸価として次式で算出されるものである。
インクにおける水不溶性架橋ポリマーの残酸価(mgKOH/g)
=架橋前のポリマーの酸価(mgKOH/g)×(100-架橋度(モル%))
インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価と、インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価との差は、インクドットの凹凸を適度に埋め、記録物の耐擦過性、画質を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは45mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは35mgKOH/g以下である。
本発明に係る水系顔料分散体は、そのまま、又は必要に応じて、有機溶媒や水の含有量を調整し、水系インクとして利用することができる。本発明に係る水系インクは、前記顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子、有機溶媒、及び水を含有する。
有機溶媒としては、好ましくは多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、及び含硫黄化合物から選ばれる1種以上、より好ましくは多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上、更に好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる1種以上、より更に好ましくはグリセリン、トリエチレングリコール、及びトリメチロールプロパンから選ばれる1種以上が挙げられる。
[水系インクの製造方法]
本発明に係る水系インクは、前記工程I~IIIを有し、更に下記工程IVを有する方法により、効率的に製造することができる。
工程IV:前記工程IIIで得られた水系顔料分散体Bと有機溶媒とを混合し、水系インクを得る工程
工程IVにおける水系顔料分散体Bと有機溶媒との混合方法に特に制限はない。
工程IVにおける有機溶媒は、水系インクの保存安定性等を更に向上させる観点から用いられる。ここで用いられる有機溶媒は、沸点90℃以上の1種又は2種以上の有機溶媒を含むことが好ましく、沸点の加重平均値が250℃以下である有機溶媒が好ましい。有機溶媒の沸点の加重平均値は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
当該有機溶媒の具体例としては、前記の多価アルコール等が挙げられる。
本発明に係る水系インクの製造方法においては、更に必要に応じて、水系インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加し、更にフィルター等によるろ過処理を行うことができる。
前記の製造方法により得られる水系インクは、顔料含有架橋ポリマー粒子と水を含有する水系顔料分散体Bと、前記有機溶媒を含有し、前記有機溶媒が、好ましくは多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上、より好ましくはグリセリン、トリエチレングリコール、及びトリメチロールプロパンから選ばれる1種以上である水系インクである。
水系インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水系インク中の顔料の含有量は、水系インクの印刷濃度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上である。また、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性を更に向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましく7質量%以下である。
(顔料と水不溶性架橋ポリマーとの合計含有量)
水系インク中の顔料と水不溶性架橋ポリマーとの合計含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下である。
(水系インク物性)
水系インクの32℃の粘度は、インクの保存安定性を更に向上させる観点から、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは3.0mPa・s以上、更に好ましくは5.0mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9.0mPa・s以下、更に好ましくは7.0mPa・s以下である。
水系インクのpHは、インクの保存安定性を更に向上させる観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上である。そして、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下である。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクセットを用いて、低吸液性記録媒体に記録を行う方法である。
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のインクセットに装填されたインク(A)及びインク(B)を重ね打ちすることが好ましく、インクセットに装填されるインクは、インク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはないインクを用いる。
本発明で用いられる低吸液性記録媒体としては、低吸液性のコート紙及び樹脂フィルムが挙げられ、枚葉紙でも巻き取り紙でもよいが、生産性の観点から、ロール状の記録媒体が好ましい。本発明で用いられる低吸液性記録媒体は、処理液を塗布する等の前処理をしない記録媒体を用いることが好ましい。
コート紙としては、汎用光沢紙「OKトップコートプラス」(王子製紙株式会社製、接触時間100m秒における吸水量(以下同じ)4.9g/m)、多色フォームグロス紙(王子製紙株式会社製、吸水量5.2g/m)、UPMFinesse Gloss(UPM社製、吸水量3.1g/m)等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、透明合成樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルムであってもよい。これらの中では、ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましく、コロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステルフィルム、コロナ放電処理された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等の延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましい。
本発明においては、シリアルヘッド方式及びラインヘッド方式のいずれの記録ヘッドも用いることができるが、ラインヘッド方式が好ましい。ラインヘッド方式は、ヘッドを固定して、記録媒体を搬送方向に移動させ、この移動に連動してヘッドのノズル開口からインク液滴を吐出させ、記録媒体に付着させる方式であり、画像等をワンパス方式で記録することができる。
インク液滴の吐出方式はピエゾ方式が好ましい。ピエゾ方式では、多数のノズルが、各々圧力室に連通しており、この圧力室の壁面をピエゾ素子で振動させることにより、ノズルからインク液滴を吐出させる。なお、サーマル方式を採用することもできる。
以下の調製例、製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
(1)ポリマーの数平均分子量の測定
N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolumn SuperAW-H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
(2)ポリマーの酸価の測定
電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、電動ビューレット、型番:APB-610)に樹脂をトルエンとアセトン(2+1)を混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1N水酸化カリウム/エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とした。水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から酸価を算出した。
(3)顔料含有(架橋)ポリマー粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELSZ-1000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、キュムラント平均粒径を測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度165°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度が5×10-3質量%(固形分濃度換算)になるように水で希釈して行った。
(4)顔料水分散体の固形分濃度の測定
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃、ゲージ圧-0.08MPaの環境下にて2時間維持して、揮発分を除去し、更に室温(25℃)のデシケーター内で15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(5)架橋剤の水溶率の測定
室温25℃にてイオン交換水90質量部及び架橋剤10質量部(W1)をガラス管(25mmφ×250mmh)に添加し、該ガラス管を水温25℃に調整した恒温槽中で1時間静置した。次いで、該ガラス管を1分間激しく振とうした後、再び恒温槽中で12時間静置した。次いで、水から分離して沈殿又は浮遊する未溶解物を回収し、40℃、ゲージ圧-0.08MPaの環境下で6時間乾燥後、秤量(W2)した。以下の式により、水溶率(質量%)を算出した。
水溶率(質量%)={(W1-W2)/W1}×100
(6)顔料水分散体A、水系顔料分散体BのpHの測定
pH電極「6337-10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F-71」(株式会社堀場製作所製)を用いて、20℃における分散体のpHを測定した。
<ポリマーの合成>
合成例1
アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)61.5部、スチレン(和光純薬工業株式会社製 試薬)129.5部、α-メチルスチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)9.0部を混合しモノマー混合液を調製した。反応容器内に、メチルエチルケトン(MEK)20部、2-メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、カルボキシ基を有するポリマー溶液(a)(ポリマーの数平均分子量:12000、酸価240mgKOH/g)を得た。
合成例2、比較合成例1
合成例1において、表1に示すようにアクリル酸、スチレン、α-メチルスチレンの混合量を変更した以外は、合成例1と同様の手順でポリマー溶液(b)及び(c)を得た。結果を表1に示す。
Figure 0007036338000001
<顔料水分散体Aの製造>
製造例A1
合成例1で得られたポリマー溶液(a)を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をMEK78.6部と混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分16.9%、和光純薬工業株式会社製、容量滴定用)12.7部を加え、ポリマーのカルボキシ基のモル数に対する水酸化ナトリウムのモル数の割合が50モル%になるように中和した(中和度50%)。更にイオン交換水400部を加えた。
さらに、シアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3、DIC株式会社製)100部を加え、ディスパー(浅田鉄工株式会社製、ウルトラディスパー:商品名)を用いて、20℃でディスパー翼を7000rpmで回転させる条件で60分間攪拌した。
得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。得られた分散液にイオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下、60℃でMEKを完全に除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料水分散体A1を得た。結果を表2に示す。
製造例A2~A6、比較製造例A1
製造例A1において、シアン顔料の代わりに表2に記載の顔料を使用し、ポリマー溶液(a)の代わりに、調製例2で得られたポリマー溶液(b)又は調製例3で得られたポリマー溶液(c)を減圧乾燥させて得られたポリマーを25部とし、5N水酸化ナトリウム水溶液の添加量を表2に記載の添加量に変えて、中和度50モル%とした以外は、製造例A1と同様の手順で顔料水分散体A2~A7を得た。結果を表2に示す。
なお、表2に示す顔料の詳細は、以下のとおりである。
・シアン :C.I.ピグメント・ブルー15:3(DIC株式会社製)
・マゼンタ:C.I.ピグメント・レッド150(大日精化工業株式会社製)
・イエロー:C.I.ピグメント・イエロー74(大日精化工業株式会社製)
Figure 0007036338000002
<水系顔料分散体Bの製造>
製造例B1
製造例A1で得られた顔料水分散体A1の100部(固形分濃度20%)をねじ口付きガラス瓶に取り、1分子内に3個のエポキシ基を有する架橋剤として、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX-321、分子量302、エポキシ当量140、水溶率27%)1.68部(架橋度70%)を加えて密栓し、スターラーで撹拌しながら70℃で5時間加熱した。5時間経過後、室温まで降温し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過して、水系顔料分散体B1を得た。
製造例B2~B10、比較製造例B1~B6
表3に示す顔料水分散体A1~A7を用いて、表3に示す条件としたこと以外は、製造例B1と同様の手順で水系顔料分散体B2~B16を得た。
Figure 0007036338000003
<水系インク、インクセットの調製と評価試験>
実施例1~4、比較例1~8
(1)水系インクの調製
製造例B1~B10、比較製造例B1~B6で得られた水系顔料分散体B1~B16を用いて、水系インク全体に対して、顔料濃度5%、プロピレングリコール20%、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、試薬)5%、アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのエチレンオキシド10モル付加物)1%とし、イオン交換水を加えて、全量が100%になるよう計量した。その後、上記成分をマグネチックスターラーで撹拌してよく混合し、1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過して、シアン、マゼンタ、イエローの水系インクC1~C16を得た。
〔水系インクの評価〕
得られた水系インクC1~C16を用いて、下記の試験1(保存安定性評価)を行った。結果を表3に示す。
(試験1:保存安定性評価)
各水系インクを、株式会社マルエム社製のスクリュー管に密栓して60℃に設定した恒温室内にそれぞれ1週間静置した後、平均粒径を測定して、下記式から平均粒径増大率を算出した。粒径増大率が小さいほど顔料粒子の凝集が抑制され、保存安定性が優れている。
平均粒径増大率(%)=〔(保存後のインクの平均粒径-インク調製に用いた水分散体の平均粒径)/インク調製に用いた水分散体の平均粒径〕×100
(2)インクセットの調製
上記(1)で得られた水系インクを表4に示すように組み合わせて、インクセット1~12を得た。
〔インクセットの評価〕
得られたインクセット1~12を用いて、下記の試験2(色間混色評価)及び試験3(耐擦過性評価)を行った。結果を表4に示す。
(試験2:色間混色評価)
(a)インクジェット印刷物の調製
温度25±1℃、相対湿度30±5%の環境で、インクジェット記録ヘッド「KJ4B-HD06MHG-STDV」(京セラ株式会社製、ピエゾ式)を装備した印字評価装置(株式会社トライテック製)に実施例、比較例で得られた水系インクを充填した。
ヘッド電圧26V、周波数30kHz、吐出液適量12pl、ヘッド温度32℃、解像度600dpi、吐出前フラッシング回数200発、負圧-4.0kPaを設定した。
記録媒体の長手方向と搬送方向が同じになる向きに、記録媒体(グロスコート紙「OKトップコートプラス」(王子製紙株式会社製)、A4サイズ、吸水量:4.9g/m)を搬送台に減圧で固定した。
印字命令を前記印字評価装置に転送し、水系インクをインクジェット記録方式で記録媒体上に、打ち込み量12pl、600×600dpiの各種印刷物を作成し、次の色間混色の評価試験を行った。
(b)色間混色の評価
第1のインクで文字「a」を記録した後1秒以内に、第2のインクを100%Dutyでベタ印字(1C)した。その後1秒以内に、この第2のインクが記録された部位に第3のインクを100%Dutyでベタ印字(2C)し、計200%Dutyを記録した際、文字「a」が鮮明に確認できるか否かを、下記の基準で評価した。第1、第2、第3のインクの組み合わせを(i)シアン、マゼンタ、イエロー、(ii)イエロー、マゼンタ、シアン、(iii)マゼンタ、シアン、イエローで同様に評価し、これら3つの評価結果の最も劣る値を評価値とした。
(評価基準)
評価5:2Cベタ印字部の200%Duty部分において、「a」印字部の滲みがなく、文字を認識できる。
評価4:2Cベタ印字部の200%Duty部分において、「a」印字部が若干滲むが、文字を認識できる。
評価3:2Cベタ印字部の200%Duty部分において、「a」印字部が滲み、文字品位の低下がみられるが、文字を認識できる。
評価2:2Cベタ印字部の200%Duty部分において、「a」印字部が滲み、顕著な文字品位の低下がみられるが、文字を認識できる。
評価1:2Cベタ印字部の200%Duty部分において、「a」印字部が滲み、文字を認識できない。
(試験3:3C打ち込み時の耐擦過性の評価)
3Cのベタ印字は、第1のインクでベタ印字(1C)した後1秒以内に、この第1のインクが記録された部位に重ねて第2のインクでベタ印字(2C)し、その後1秒以内に、更にこの第2のインクが記録された部位に重ねて第3のインクでベタ印字(3C)した。これらのベタ印字は単色のDutyをそれぞれ70%に設定した状態で実施した。
印刷後、温度23℃、湿度50%の環境で24時間放置し、得られた印刷物について、クロックメーター(株式会社井元製作所製、QC-621A)を用いて、摩擦材としてコート紙(王子製紙株式会社製、OKトップコート)で5回(5往復)擦過することで、印刷物の擦過試験を行った。
試験後の摩擦材として用いたコート紙に転写したインクの印字濃度を、光学分光光度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製、SpectroEye)により測定した。
第1、第2、第3のインクの組み合わせを(i)シアン、マゼンタ、イエロー、(ii)イエロー、マゼンタ、シアン、(iii)マゼンタ、シアン、イエローで同様に評価し、これら3つの評価結果の最も劣る値を評価値とした。
転写濃度が小さいほど、インクの転写が少なく、定着性が良い。
Figure 0007036338000004
表3及び表4から、実施例のインクセットは、比較例のインクセットに比べて、インクの保存安定性が優れ、この保存安定性に優れるインクを使用して重ね打ちしても、耐擦過性、画質に優れた記録物を得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 少なくともシアン、イエロー、マゼンタの各色のインクを含有するインクセットであって、該各色のインクは、以下の条件を満たすインク(A)又はインク(B)のいずれかに該当し、かつ、各色の全てのインクがインク(A)に該当すること、又は全てのインクがインク(B)に該当することはない、インクセット。
    〔インク(A)又はインク(B)の条件〕
    インク(A)及びインク(B)は、顔料をポリマーで水系媒体に分散させた水系インクであり、該ポリマーは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上のカルボキシ基含有ビニルモノマー由来の構成単位と、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上22以下のアリール基を有するアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及び芳香族基含有モノマーから選ばれる1種以上の疎水性モノマー由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーであって、酸価が140mgKOH/g以上260mgKOH/g以下のポリマーを、炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのグリシジルエーテル化合物である架橋剤で架橋してなる水不溶性架橋ポリマーであり、
    インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が78mgKOH/g以上100mgKOH/g未満であり、インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価が56mgKOH/g以上78mgKOH/g未満であり、
    インク(A)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価と、インク(B)における水不溶性架橋ポリマーの残酸価との差が、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である。
  2. 芳香族基含有モノマーが、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上である、請求項1に記載のインクセット。
  3. スチレン系モノマーが、スチレン及びα-メチルスチレンから選ばれる1種以上である、請求項2に記載のインクセット。
  4. 架橋剤が、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれかに記載のインクセット。
  5. インクジェット記録用である、請求項1~のいずれかに記載のインクセット。
  6. 請求項1~のいずれかに記載のインクセットを用いて、低吸液性記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
  7. 低吸液性記録媒体が、コート紙又は樹脂フィルムである、請求項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 先にインク(B)で記録し、後にインク(A)で記録を行う、請求項6又は7に記載のインクジェット記録方法。
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