本出願は、「アブレーションのための方法およびシステム(“Methods and Systems for Ablation”)」と題され、2016年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/425144号、および「冷却同軸アブレーションカテーテル(“Cooled Coaxial Ablation Catheter”)」と題され、2016年5月19日に出願された米国仮特許出願第62/338871号の優先権を主張するものである。
本出願はまた、「誘導型微量加熱システム(“Induction-Based Micro-Volume Heating System”)」と題され、2016年5月2日に出願された米国特許出願第15/144768号の一部継続出願でもあり、この出願は、「組織切除のための方法および装置(“Method and Apparatus for Tissue Ablation”)」と題され、2015年1月12日に出願され、かつ2017年2月7日に米国特許第9561068号として発行された米国特許出願第14/594444号の一部継続出願であって、この出願は、同じ名称で2014年1月17日に出願され、かつ、2017年2月7日に米国特許出願第9561067号として発行された米国特許出願第14/158687号の一部継続出願であり、この出願は、同じ名称で2013年1月17日に出願された米国仮特許出願第61/753831号の優先権を主張するものである。
米国特許出願第14/158687号もまた、「組織切除のための方法および装置(“Method and Apparatus for Tissue Ablation”)」と題され、2012年6月1日に出願され、かつ、2017年2月7日に米国特許第9561066号として発行された米国特許出願第13/486980号の一部継続出願であり、この出願は、同じ名称で2011年6月3日に出願された米国仮特許出願第61/493344号の優先権を主張するものである。
米国特許出願第13/486980号はまた、「組織切除のための方法および装置(“Method and Apparatus for Tissue Ablation”)」と題され、2009年10月6日に出願された米国特許出願第12/573939号の一部継続出願でもあり、この出願は、同じ名称で2008年10月6日に出願された米国仮特許出願第61/102885号の優先権を主張している。
様々な実施形態において、本明細書に記載されているアブレーション装置およびカテーテルは、「組織切除のための方法および装置(“Method and Apparatus for Tissue Ablation”)」と題され、2015年1月12日に出願され、かつ、2017年2月7日に米国特許第9561068号として発行され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第14/594444号に記載の加熱システムのうち任意の1つ以上と共に使用される。
「治療する」、「治療」、およびそれらの変形は、状態に関連する1つ以上の症状または徴候の程度、頻度、または重症度における何らかの減少を指す。
「期間」およびその変形は、状態が解決されたために治療が終了したか、または何らかの理由で治療が中断されたかにかかわらず、開始から終了までの、規定された治療の時間経過を指す。治療期間にわたって、1つ以上の規定された刺激が被験体に与えられる間に複数の治療期間を規定することができる。
「期間」とは、規定された治療計画の一部として、「投与量」の刺激が被験体に与えられる時間を指す。
用語「および/または」は、列挙された要素のうちの1つもしくは全て、または列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
本出願の明細書および特許請求の範囲において、「備える」、「含む」、および「有する」という単語、およびその形態はそれぞれ、その単語が関連付けられ得るリスト内のメンバーに必ずしも限定されない。「備える」という用語およびその変形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を持たない。
特に明記しない限り、「a」、「an」、「the」、「1つ以上」、および「少なくとも1つ」は互換的に使用され、1つ以上を意味する。
「コントローラ」という用語は、1つ以上の処理要素が、1つ以上のメモリ要素に格納されたプログラムによる命令を実行するように構成されているランダムアクセスメモリまたは読み取り専用メモリ等のメモリ要素とデータ通信する、集積回路、特定用途向け集積回路、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ等の複数の処理要素によって定義される統合ハードウェアおよびソフトウェアシステムを指す。
「蒸気発生システム」という用語は、本出願に記載されている水からスチームを発生させるためのヒータまたは誘導ベースのアプローチのうちのいずれかまたは全てを指す。
個別のステップを含む本明細書に開示された任意の方法について、ステップは任意の実行可能な順序で実行されてもよい。また、必要に応じて、2つ以上のステップの任意の組み合わせを同時に実行してもよい。
また、本明細書において、目標による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。特記しない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量等を表す全ての数は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。従って、別段の記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本明細書によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、均等論を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、また、通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
本明細書の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、全ての数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
再上皮化し得る完全な治癒を実施することができるように、本明細書の装置および方法を使用して、標的組織の制御された限局的または円周方向の切除を様々な深さまで実施することができる。更に、蒸気を使用して、良性および悪性の組織成長を治療/切除することができ、その結果、切除された組織を破壊、液化および吸収することができる。投与量および治療方法は、組織の種類および必要とされる切除の深さに基づいて調整することができる。アブレーション装置は、心不整脈、バレット食道および食道異形成症、扁平結腸ポリープ、消化管出血性病変、子宮内膜剥離術、肺切除術の治療に使用することができるだけでなく、炎症性病変、腫瘍、ポリープおよび血管病変等の任意の粘膜、粘膜下または周辺病変の治療にも使用することができる。アブレーション装置はまた、体内の任意の中空器官または中空の体通路の限局的あるいは周辺粘膜または粘膜下病変の治療にも使用することができる。中空器官は、胃腸管、膵胆管、尿生殖管、気道または血管等の血管構造のうちの1つであり得る。アブレーション装置は、内視鏡的に、放射線学的に、外科的に、または直接視覚化の下に配置することができる。様々な実施形態では、無線内視鏡または単一ファイバ内視鏡を装置の一部として組み込むことができる。別の実施形態では、磁気ナビゲーションまたは定位ナビゲーションを使用して、カテーテルを所望の位置にナビゲートすることができる。放射線学的局在化のために、放射線不透過性または音波透過性材料をカテーテルの本体に組み込むことができる。鉄材または強磁性材料をカテーテルに組み込むことで、磁気ナビゲーションを支援することができる。
限定はしないが、液体窒素のような蒸気、加熱ガスまたは寒剤等の切除剤は、安価で容易に入手可能であり、かつ注入ポートを介して組織上に指向され、切除の対象となる固定された一定の距離に保持される。これにより、標的組織上に切除剤を均一に分散させることができる。切除剤の流れは、切除すべき組織の特性、必要とされる切除深さ、および組織からポートまでの距離に基づいて、所定の方法に従ってマイクロプロセッサによって制御される。マイクロプロセッサは、温度、圧力または他の感知データを使用して、切除剤の流れを制御することができる。更に、1つ以上の吸引ポートを設けて、標的組織の近傍から切除剤を吸引することができる。標的とされるセグメントを、マイクロプロセッサによって決定および制御されるように、切除剤の連続注入によって、または切除剤の注入および除去のサイクルを介して治療することができる。
本明細書に記載の装置および実施形態は、制御命令を実行するマイクロプロセッサを含むコントローラと協調して実施されることを理解されたい。コントローラは、デスクトップ、ラップトップ、およびモバイルデバイスを含む任意のコンピュータデバイスの形態とすることができ、有線または無線の形態でアブレーション装置に制御信号を伝達することができる。
本明細書は、複数の実施形態を対象としている。以下の開示は、当業者が本発明を実施することができるようにするために提供される。本明細書で使用される言語は、任意の特定の実施形態の一般的な否定として解釈されるべきではなく、または特許請求の範囲をその中で使用される用語の意味を超えて限定するために使用されるべきではない。本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および応用に適用されてもよい。また、使用される用語および表現は、例示的な実施形態を説明するためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。従って、本発明は、開示された原理および特徴に合致する多くの代替、修正、および均等物を含む最も広い範囲が与えられるべきである。明瞭にするために、本発明に関連する技術分野において知られている技術的材料に関する詳細は、本発明を不必要に不明瞭にしないように詳細には記載しないものとする。
本明細書では、特定の実施形態に関連して説明される任意の特徴または構成要素が、他に明白に示されない限り、任意の他の実施形態とともに使用および実施され得ることに留意すべきである。
図1Aは、本明細書の一実施形態によるアブレーション装置を示す。アブレーション装置は、膨張可能なバルーン11である遠位センタリングまたは位置決めアタッチメントを有するカテーテル10を含む。カテーテル10は、カテーテル本体から切除エネルギーが逃げるのを防ぐように絶縁材料から製造されるか、または絶縁材料で被覆される。アブレーション装置は、切除剤を注入するための1つ以上の注入ポート12と、切除剤を除去するための1つ以上の吸引ポート13とを備える。一実施形態では、注入ポート12および吸引ポート13は同じである。一実施形態では、注入ポート12により、切除剤を異なる角度に指向することができる。切除剤は、カテーテル10に接続されたリザーバ14に貯蔵される。切除剤の供給は、マイクロプロセッサ15によって制御され、治療の開始は、フットパドル16等の入力装置を用いて治療医によって制御される。別の実施形態では、入力装置は、(「開始」、「より多く」、「より少なく」等のコマンドに応答する)音声認識システム、マウス、スイッチ、フットパッド、または当業者にとって既知の任意の他の入力装置であり得る。一実施形態では、マイクロプロセッサ15は、フットペダル上に加えられる圧力、または「より多い」あるいは「より少ない」切除剤を提供するためのボーカルコマンド等の入力装置からの信号を、より多いまたはより少ない切除剤を分配すべきか否かを判定する制御信号に変換する。任意センサ17は、切除組織またはその近傍の変化を監視して切除剤の流れを誘導する。一実施形態では、任意センサ17は温度センサも含む。任意の赤外線、電磁気、音響または無線周波数エネルギーエミッタおよびセンサ18により、中空器官の寸法を測定する。
一実施形態では、マイクロプロセッサ15に含まれるユーザインタフェースにより、医師は装置、器官、および状態を定義することができ、それにより、温度、サイクリング、音量(音)、および標準RF設定のデフォルト設定が作成される。一実施形態では、これらのデフォルトは医師によって更に修正することができる。ユーザインタフェースには、値が特定のレベルを超えたり、または下回ったりした場合の警告とともに、全ての主要な変数の標準表示も含まれる。
アブレーション装置はまた、断熱材を含む、カテーテルを操作している間にユーザが火傷をするのを防ぐための安全機構と、任意に冷気フラッシュと、冷水フラッシュと、治療の開始および停止を示すアラーム/トーンと、も含む。
一実施形態では、膨張可能なバルーンは、1mm~10cmの直径を有する。一実施形態では、膨張可能なバルーンは、1mm~10cmの距離だけポートから分離されている。一実施形態では、ポート開口部のサイズは、1μm~1cmである。膨張可能なバルーンは装置を固定するために使用される故に、切除領域に接触しないように構成されていることを理解されたい。膨張可能なバルーンは、3つ以上の点で中空器官に接触する任意の形状であり得る。当業者は、三角測量を使用して、病変からカテーテルまでの距離を計算できることを認識するであろう。あるいは、赤外線、電磁気、音響または高周波エネルギーエミッタおよびセンサ18により、中空器官の寸法を測定することができる。赤外線、電磁気、音響または高周波エネルギーは、エミッタ18から放出され、組織からエミッタ18内の検出器に反射されて戻る。反射されたデータを使用して、中空の腔の寸法を決定することができる。当然のことながら、エミッタおよびセンサ18は、エネルギーの放出および反射されたエネルギーの検出の両方が可能な単一のトランシーバに組み込むことができる。
図1Bは、図1Aのアブレーション装置と共に使用するためのカテーテル110の別の実施形態を示す。カテーテル110は、その近位端に入口ポート119および送気ポート120を含む。切除剤は、入口ポート119を介してカテーテル110に導入され、カテーテル110の遠位端にある少なくとも1つの供給ポート112によって標的領域に供給される。空気を送気ポート120に導入して、少なくとも1つの位置決め要素111をカテーテルの遠位端にて膨らませる。一実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素111はバルーンである。
図2Aは、注入ポートの分布を描写する、アブレーション装置の長手方向断面図を示している。図2Bは、本明細書の一実施形態による、アブレーション装置上の注入ポートの分布の断面図を示す。図2Aおよび図2Bに示されるカテーテル10の長手方向断面図および断面図はそれぞれ、中空器官20内に円周方向のアブレーション領域を提供するための、切除剤21を均一に分散する注入ポート12の一配置を示す。図2Cは、本明細書の別の実施形態による、アブレーション装置の注入ポートの分布の断面を示す。図2Cに示すような注入ポート12の配置は、切除剤21の限局的な分配および中空器官20内に限局的な切除領域をもたらす。
本明細書に記載の全ての実施形態について、ポートのサイズ、ポートの数、およびポート間の距離は、必要な切除剤の量、中空器官が耐え得る圧力、ポートから表面までの距離によって測定される場合の中空器官のサイズ、切除すべき組織の長さ(これは概ね切除すべき表面積である)、切除すべき組織の特性および必要とされる切除の深さによって決定されることを理解されたい。一実施形態では、1μm~1cmの直径を有する少なくとも1つのポート開口部が配置される。別の実施形態では、1μm~1cmの直径を有し、装置の周囲に等間隔に配置される2つ以上のポート開口部が配置される。いくつかの実施形態では、ポートは、任意に、切除剤の放出を制御するための弁を有する。様々な実施形態において、弁は、圧力、温度、またはその両方によって調節される。
図2Dは、アブレーション装置の他の実施形態を示す。蒸気アブレーションカテーテルは、既知の長さ23を有する1つ以上の位置決めアタッチメント22を有する絶縁カテーテル21を備える。蒸気アブレーションカテーテルは、1つ以上の蒸気注入ポート25を有する。注入ポート25を有する蒸気アブレーションカテーテル21の長さ24は、切除すべき組織の長さまたは面積によって決定される。蒸気29は、蒸気注入ポート25を介して供給される。カテーテル21は位置決めアタッチメント22の中心に位置決めされることが好ましく、注入ポート25は円周方向の切除および蒸気の供給のために円周方向に配置される。別の実施形態では、カテーテル21を位置決めアタッチメント22の周縁に向けて配置することができ、注入ポート25を限局的切除および蒸気の供給のために片側に非円周方向に、好ましくは直線状に配置することができる。位置決めアタッチメント22は、膨張可能なバルーン、ディスクを被覆する絶縁膜を有するまたは有しないワイヤメッシュディスク、円錐形アタッチメント、リング状アタッチメント、または、以下に更に説明するように、所望の中空体器官または中空体通路に適合するように設計された自由形アタッチメントのうちの1つである。任意に、中空器官の寸法を測定するための赤外線、電磁気、音響または無線周波数エネルギーエミッタおよびセンサ28を組み込む。
蒸気アブレーションカテーテルはまた、冠状金属ステントに匹敵する方法で、位置決めアタッチメント22を拘束するための任意の同軸シート27を含んでもよい。一実施形態では、シートは、位置決めアタッチメントの形状の圧縮された線形形態および非圧縮形態を有する形状記憶金属または形状記憶材料から製造される。あるいは、内視鏡のチャネルが、例えば、拘束シースとして機能することによって、位置決めアタッチメント22を拘束する役割を果たすことができる。任意のセンサ26をカテーテル上に配置して、蒸気の供給または切除に関連する変化を測定する。センサは温度、圧力、光または化学センサのうちの1つである。
任意に、1つ以上の赤外線、電磁気、音響または高周波エネルギーエミッタおよびセンサ28により、中空器官の寸法を測定することができる。赤外線、電磁気、音響または高周波エネルギーは、エミッタ28から放出され、組織からエミッタ28内の検出器に反射して戻る。反射されたデータは、中空の腔の寸法を決定するために使用することができる。測定は、中空器官の寸法の正確な推定値を得るために1つ以上の地点で実施される。データを使用して、中空器官のトポグラフィック表現を作成することもできる。診断試験からの追加データを使用して、上記の測定値からのデータを検証または追加することができる。
図2Eは、本明細書の他の実施形態による、アブレーション装置のカテーテル21を示す。カテーテル21は、図2Dを参照して説明したものと類似しているが、図2Eのカテーテル21は、導電媒質31を供給するための少なくとも1つのポート19を更に含む。一実施形態では、切除剤29の導入前に、中空組織または器官に導電媒質31を注入する。組織が適切なレベルまで導電媒質31で充填されると、続いて、切除剤29を導電媒質31が充填された組織内に供給する。導電媒質31は、切除剤29を均一に分散するように作用し、その結果、標的組織のより一貫した効果的な切除がもたらされる。
図2Fは、本明細書の更に別の実施形態による、アブレーション装置のカテーテル21を示す。カテーテル21は、図2Eを参照して説明したものと類似しているが、図2Fのカテーテル21は、中空組織または器官の自然の内容物を吸引によって除去するための少なくとも1つのポート30を更に含む。一実施形態では、導電媒質31または切除剤29を導入する前に、中空組織または器官の自然の内容物を除去する。
別の実施形態では、図2Eに示すように、カテーテルは、切除剤を供給するための少なくとも1つのポート25と、導電媒質を供給するための少なくとも1つの別のポート19とを含み、切除剤供給ポート25を使用した吸引を介して、中空組織または器官の自然の内容物を除去することができる。別の実施形態では、図2Eに示すように、カテーテルは、切除剤を供給するための少なくとも1つのポート25と、導電媒質を供給するための少なくとも1つの別のポート19とを含み、導電媒質供給ポート19を使用した吸引を介して、中空組織または器官の自然の内容物を除去することができる。更に別の実施形態では、図2Dに示すように、導電媒質を供給することができ、切除剤供給ポート25を使用した吸引を介して、中空組織または器官の天然の内容物を除去することができる。様々な実施形態において、標的組織の切除後、上述した1つ以上のポートを使用した吸引を介して、中空組織または器官の残りの内容物を除去する。
様々な実施形態において、図2A~図2Fに示されるカテーテルに関して、切除剤は、蒸気、液体窒素、または任意の他の適切な切除剤のうちの任意の1つであり得る。
図2Gは、本明細書の一実施形態による、アブレーション装置を使用した中空組織または器官のアブレーションプロセスに伴うステップを列挙したフローチャートである。ステップ202では、内視鏡を患者に挿入する。ステップ204にて、本明細書の一実施形態によるカテーテルを含むアブレーション装置を、内視鏡のワーキングチャネルを通して標的組織まで前進させる。ステップ206にて、カテーテルの遠位端または先端部を標的の中空組織または器官に挿入する。次に、ステップ208にて、カテーテルの近位端に吸引が加えられて、中空組織または器官の自然の内容物を除去する。続いて、ステップ210にて、カテーテルの遠位端の少なくとも1つのポートを介して、中空の組織または器官に導電媒質を注入する。ステップ212にて、標的組織を切除するために切除剤を導電媒質に供給する。ステップ214にて、導電媒質および切除剤を含む組織の残りの内容物を、カテーテルを使用した吸引によって除去する。別の実施形態では、ステップ214は任意選択であり、中空組織または器官の残りの内容物を身体によって再吸収する。別の実施形態では、ステップ208における中空組織または器官の自然の内容物の除去は任意選択であり、手順はステップ206におけるカテーテルによる標的組織への進入から、ステップ210における導電媒質の注入に直接進んでもよい。任意に、いくつかの実施形態では、中空器官の天然の内容物を導電媒質として使用することができる。
図2Hは、本明細書の一実施形態による、従来のハンドル222から延在するカテーテル221の形態のアブレーション装置220を示す。カテーテル221は、上述したような種類のものであり、ハンドル222から延在してハンドル222に取り付けられる。一実施形態では、カテーテル221は、カテーテルを熱蒸気加熱することから生じる火傷からユーザを保護するために断熱される。一実施形態では、カテーテルは、使用中にカテーテルの外部温度が確実に60℃未満に維持される材料からなる。ハンドル222は、カテーテル221との取り付け点に耐圧ポートを含む。ハンドル222は、その中に蒸気をカテーテル221に指向するフローチャネルも含む。
一実施形態では、スネアハンドル222は、蒸気流とRF供給とを接続するための単一の取り付けポート223を含む。別の実施形態(図示せず)では、スネアハンドルは、蒸気流とRF供給とを接続するための2つの別個の取り付けポートを含む。取り付けポート223は、耐圧コネクタを介して蒸気供給コードとインタフェースする。一実施形態では、コネクタは、ルアーロックタイプである。一実施形態では、カテーテル221は、デュアルルーメンカテーテルである。第1ルーメンは、切除部位に蒸気を供給するように機能する。一実施形態では、蒸気は、カテーテル221の遠位端に近接して配置される小さなポート224を通して放出される。カテーテル221の遠位端は、組織を穿刺して、標的組織内の所望の深さおよび位置に蒸気を供給することができるように設計される。一実施形態では、カテーテル221の遠位端は、ある地点まで先細形状を有している。第2ルーメンは、RFアブレーションに使用される電極を収容する。一実施形態では、蒸気またはRF波の供給は、マイクロプロセッサの使用を通して達成される。別の実施形態では、ユーザは、ハンドル222上のアクチュエータ(図示せず)を使用することによって蒸気を放出するか、または標的組織をRF波に曝露することができる。一実施形態では、カテーテルは、その長さに沿って変化するまたは異なる絶縁を有する。一実施形態では、アブレーション装置220は、切除すべき組織を掴むためのスネアおよび、そのスネア内の組織の大きさを用いて、供給すべき蒸気の量を決定する機構を含む。
図2Iは、本明細書の別の実施形態による、予め取り付けられたコード235を有する従来のハンドル232から延在するカテーテル231の形態のアブレーション装置227の断面図を示す。コード235は、蒸気供給システムに直接取り付けられ、システムとアブレーション装置との間の1つのインタフェースを排除し、それによって断線の結果としてのシステム故障の可能性を減少させる。この実施形態では、ハンドル232は、RFまたは電気供給のための別個の取り付けポート(図示せず)を含む。
図2Jは、本明細書の一実施形態による、従来の食道プローブ226から延在するカテーテル241の形態のアブレーション装置229を示す。一実施形態では、カテーテル241は絶縁されており、プローブ226内に含まれる流路から蒸気を受け取る。カテーテル241は、標的組織に蒸気を供給するための多数の小さなポート244を含む。蒸気の供給はマイクロプロセッサによって制御される。一実施形態では、カテーテル241は、2つの膨張可能なバルーン228も含み、一方は最後の蒸気ポート244を超えた遠位端に、他方はプローブ226へのカテーテル241の取り付け部に近接した近位端に配置される。全ての蒸気ポートがこれら2つのバルーンの間に配置される。装置229が食道内に挿入されると、バルーン228が膨張して、カテーテル241を所定の位置に維持し、所望の治療領域内に蒸気を封じ込める。一実施形態では、バルーンは、0mmよりも長い、好ましくは1mm、理想的には1cmの距離だけ切除領域から分離されなければならない。一実施形態では、膨張時の各バルーンの直径は、10~100mm、好ましくは15~40mmの範囲であるが、当業者は、正確な寸法が患者の食道のサイズに依存することを理解するであろう。
一実施形態では、食道プローブ226に取り付けられたカテーテル241は、デュアルルーメンカテーテルである。第1ルーメンは、上述のように蒸気を切除部位に供給するのに役立つ。第2ルーメンは、RFアブレーションに使用される電極を収容する。
様々な実施形態において、本明細書の蒸気アブレーションシステムによって提供されるアブレーション治療は、以下の一般的な治療目標、即ち、1秒より長く続く期間にわたって45℃~100℃の組織温度を維持すること、組織温度を100℃以下に維持して、細胞内糖を炭化せずに細胞内タンパク質を凝固させること、組織の治療前の圧力の125%以下の圧力を切除すべき組織に印加すること、および、組織への灌流を妨げないように、切除すべき組織に患者の平均動脈圧より低い圧力を印加することを達成するために供給される。
図3は、組織切除方法の一実施形態に伴うステップを詳細に説明するフローチャートである。第1のステップ301において、切除すべき組織が配置されている体腔、腔または空間を、部分的または完全に閉塞または閉鎖する。この閉鎖または閉塞は、患者の子宮内での切除の場合のようにカテーテルを通すことによって、または、切除が患者の消化管内で実施されるときのようなバルーンによって、達成することができる。次のステップ302では、蒸気を供給して腔を加熱し、これにより腔内の空気を膨張させる。膨張した空気により、腔内の圧力を増大させるように作用し、腔壁に陽圧を印加する。これにより、同様に体腔が拡張される。次のステップ303では、体腔内の熱風の一部を体腔から逃がすことができる。次に、ステップ304にて、蒸気の供給が停止され、腔内の空気が冷却される。これにより、腔内の空気が収縮し、腔内の圧力が低下する。これにより、同様に、腔がカテーテルまたはバルーンの周囲で収縮および崩壊し、それによって閉鎖または閉塞のレベルが増加し、シールが形成される。体腔が挿入されたカテーテルまたはバルーンの周りを封止する故、放出された空気が腔に再び入ることはできない。これにより腔内に負圧が生じ、この負圧が腔壁に印加される。負圧は、同様に、体腔壁への血流を増加させ、体腔壁を冷却する。更に、加熱された空気が腔から逃げることを可能にすることで、アブレーションサイクル間の切除剤の流れの停止中に、腔壁への圧力を軽減することができ、それによって毛細血管血流およびアブレーションゾーンの冷却を可能にする。
図4Aは、本明細書の一実施形態による、マルチルーメンアブレーションカテーテル400を示す。カテーテル400は、近位端および遠位端を有する細長い本体405を含む。カテーテル400は、その遠位端の近くに少なくとも1つの位置決め要素を含む。様々な実施形態において、位置決め要素はバルーンである。いくつかの実施形態では、カテーテルは2つ以上の位置決め要素を含む。
図4Aに示す実施形態では、カテーテル400は、その遠位端に近接する2つの位置決めバルーン410,412を含み、その2つのバルーン410,412の間の本体405上に配置される複数の注入ポート415を有する。本体405の遠位端には、流体供給ポート427および吸引ポート432が配置される。本体405は、複数の注入ポート415と流体連通する第1ルーメン420と、流体供給ポート427と流体連通する第2ルーメン425と、吸引ポート432と流体連通する第3ルーメン430とを含む。第1ルーメン420、第2ルーメン425、および第3ルーメン430は、近位端のハンドル435を通して遠位端まで本体405の長さに沿って延在する。切除剤421は、カテーテル400の近位端の切除剤入力ポート401の第1ルーメン420に導入され、切除のために注入ポート415を通して排出される。一実施形態では、切除剤421はスチームである。
流体426は、カテーテル400の近位端の流体入力ポート402にて第2ルーメン425に導入され、流体供給ポート427を通して排出される。一実施形態では、流体426は冷却剤である。一実施形態では、冷却剤は水であり、0℃~60℃の温度範囲にある。ポンプを使用して、カテーテル400の近位端の吸引入力ポート403にて第3ルーメン430に負圧を印加することで、吸引ポート432を介して、流体供給ポート427および注入ポート415からそれぞれ供給される流体の吸引が可能となる。様々な実施形態において、流体供給ポート427および吸引ポート432を、位置決めバルーン412に遠位の、または位置決めバルーン410に近位のカテーテル400の長さに沿った多様な位置に配置することができる。
図4Bは、本明細書の一実施形態による、図4Aのアブレーションカテーテル400を使用するための基本的な手順ステップを示すフローチャートである。ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、ステップ462において、アブレーションカテーテル400の本体405を切除すべき器官に挿入する。例えば、患者のバレット食道内で切除を行うためには、カテーテルを患者の食道を介してバレット食道に挿入する。
ステップ464において、流体供給ポート427および吸引ポート432をアブレーションゾーンから離れた部位に配置している間に、複数の注入ポート415が切除すべき組織に近接して位置するように、位置決め要素またはバルーン410,412を配置する。その後、ステップ466において、切除剤(スチーム等)を、注入ポート415を介して第1ルーメンを通して切除すべき標的組織に供給すると同時に、流体を、流体供給ポート427を介して、第2ルーメンを通して切除すべき組織から離れた部位に供給することで、流体の供給が切除剤の供給を著しく妨げないようにする。いくつかの実施形態によれば、流体は、0~60℃の温度範囲で供給される。また、同時に、供給された流体は、切除すべき組織から離れた部位から吸引ポート432および第3ルーメン430を通して吸引されることで、流体の吸引が、供給された切除剤の吸引に繋がらないようにする。代替的な実施形態によれば、ステップ468において、流体を流体供給ポート427および第2ルーメン425を通してそれぞれ交互に供給および吸引する。別の実施形態では、ステップ469にて、流体を吸引ポート432を通して受動的に逃がすことができる。
図5Aは、一実施形態による組織の切除プロセスを示す第1のグラフである。図5Aに示すように、蒸気等の切除剤が第1期間570の間、標的組織に供給され、その結果、標的組織の温度は第1温度576まで上昇する。標的組織温度は、第1期間570の間第1温度576に維持される。第1期間570が完了した後、蒸気の供給は停止され、標的組織温度はベース温度575まで冷却される。第2期間572の後、標的組織への蒸気供給が再開され、切除プロセスサイクルが繰り返される。図5Bは、別の実施形態による組織切除プロセスを示す第2のグラフである。図5Bに示すように、蒸気等の切除剤が第3期間580の間標的組織に供給され、その結果、標的組織の温度は第2温度586まで上昇する。標的組織温度は、第3期間580の間第2温度586に維持される。第3期間580の完了後、蒸気の供給は停止され、標的組織温度はベース温度585まで冷却される。第4期間582の後、標的組織への蒸気供給が再開され、切除プロセスサイクルが繰り返される。様々な実施形態において、第1期間570および第2期間572は等しくても等しくなくてもよい。同様に、様々な実施形態において、第3期間580および第4期間582は等しくても等しくなくてもよい。更に他の実施形態では、第1期間570および第3期間580は等しくなく、第2期間572および第4期間582もまた等しくない。
様々な実施形態において、第1期間570および第3期間580は、1~180秒の範囲であり、第2期間572および第4期間582は、1~1800秒の範囲である。また、様々な実施形態において、ベース温度575,585は、37~45℃の範囲であり、第1温度576および第2温度586は、60~100℃の範囲である。
図5Cは、図5Aおよび図5Bのアブレーションプロセスに関連する複数のステップを示すフローチャートである。ステップ592において、アブレーションカテーテルを器官内に挿入することで、蒸気供給ポートがアブレーションのために標的組織に近接して配置される。ステップ594では、1~180秒の範囲の加熱時間にわたって標的組織に蒸気を供給し、その結果、標的組織の温度が60~100℃の範囲に上昇する。ステップ596にて、蒸気供給は、1~1800秒の範囲の冷却期間の間停止され、その結果、標的組織温度は37~45℃の範囲内に低下する。冷却期間が完了すると、ステップ592および594が繰り返される。
本明細書の一実施形態による、体組織の切除方法を示すフローチャートである。図6Aを参照すると、第1ステップ631は、カテーテルの蒸気供給ポートが標的組織に近接して配置されるように、アブレーションカテーテルを体腔内に挿入するステップを含む。次に、ステップ632において、蒸気が1~180秒間にわたり供給される。その後、ステップ633において、蒸気供給が1~1800秒間にわたり停止される。次に、ステップ634において、1~180秒間続く第2期間にわたり蒸気を再度供給する。
本明細書の別の実施形態による、体組織の切除方法を示すフローチャートである。図6Bを参照すると、第1ステップ641は、カテーテルの蒸気供給ポートが標的組織に近接して配置されるように、アブレーションカテーテルを体腔内に挿入するステップを含む。次に、ステップ642では、標的組織の温度を60℃~100℃の範囲の温度に上昇させるのに十分な期間にわたり蒸気を供給する。その後、ステップ643において、標的組織を37℃~45℃の範囲の温度に冷却するのに十分な期間にわたり蒸気の供給を停止する。続いて、ステップ644において、標的組織の温度を60℃~100℃の範囲の温度に上昇させるのに十分な第2期間にわたり蒸気を再度供給する。
図6Cは、本明細書の更に別の実施形態による体組織の切除方法を示すフローチャートである。図6Cを参照すると、第1ステップ651は、複数のルーメンを有するアブレーションカテーテルを体腔に挿入するステップを含み、前記少なくとも1つの供給ポートが、切除すべき組織に近接して配置されるように、カテーテルは、前記複数のカテーテルのルーメンのうち第1ルーメンと流体連通する少なくとも1つの蒸気供給ポートを含む。ステップ652では、蒸気を前記第1ルーメンおよび前記少なくとも1つの蒸気供給ポートを通して切除すべき組織に供給しつつ、それと同時に、前記複数のルーメンのうち第2ルーメンおよび前記カテーテルの冷却流体供給ポートを通して、切除すべき組織から離間した部位に0~60℃の範囲の温度の流体を供給する。任意に、ステップ653では、切除すべき組織から離間した部位から、前記カテーテルの流体吸引ポートおよび前記複数のルーメンのうち第3ルーメンを通して流体を同時に吸引する。更に、任意に、ステップ654に示すように、前記冷却流体供給ポートおよび前記第2ルーメンを通して流体を交互に供給および吸引する。
図7Aは、本明細書の一実施形態による、水冷カテーテル700の説明図であり、図7Bは、図7Aの水冷カテーテルのシャフトの断面図である。カテーテル700は、近位端および遠位端を有する細長い本体705を含む。遠位端は、組織切除用のスチームまたは蒸気等の切除剤716を供給するための複数の注入ポート715を含む。冷却チャネルを備えるシース710は、カテーテル700の本体705に沿って延在する。いくつかの実施形態では、シース710は、カテーテル本体705に沿ってポート715の遠位またはポーチ715に近接した点まで延在する。これらの実施形態では、シース710は、ポート715を被覆しないことにより、図7Bに示すように、切除剤716が前記ポート715を通してカテーテル700から排出されるように配置される。別の実施形態では、シースはカテーテル本体に沿ってポートに近接した地点まで延在する。使用中、水源722からの水720がシース710を通して循環してカテーテル700を冷却する。続いて、冷却用の水710がチャンバ721に供給され、そこで加熱されて蒸気716に変化し、細長い本体705および注入ポート715を通して供給される。切除用の蒸気716および冷却用の水720がカテーテル700の近位端でカテーテル700に供給される。矢印723は、シースを通してチャンバ721内に入る水710の経路を示す。矢印724は、細長い本体705を通して注入ポート715から排出される蒸気716の経路を示す。
図8Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル805を示す一方、図8Bは、カテーテル805の細長い本体またはシャフト807の断面図である。細長い本体またはシャフト807は、遠位端、近位端を有し、外側ルーメン809および同軸内側ルーメン811を含む。一態様によれば、限定されないが、空気、水または生理食塩水等の冷却剤813は、本体またはシャフト807の近位端から外側ルーメン809に通過し、本体またはシャフト807の遠位端を通して排出される。同様に、蒸気815は、本体またはシャフト807の近位端から内側ルーメン811に進入し、本体またはシャフト807の遠位端から発散される一方、本体またはシャフト807は、循環する冷却剤813によって冷却状態が維持される。
図9Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル905を示す一方、図9Bはカテーテル905の細長い本体またはシャフト907の断面図である。細長い本体またはシャフト907は、遠位端、近位端を有し、第1外側ルーメン909aおよび第2外側ルーメン909b並びに同軸内側ルーメン911を含む。一態様によれば、限定されないが、空気、水または生理食塩水等の冷却剤913は、本体またはシャフト907を通して循環した後に、本体またはシャフト907の近位端においても、本体またはシャフト907の近位端から第1外側ルーメン909aに進入し、第2外側ルーメン909bを通して排出される。蒸気915は、本体またはシャフト907の近位端から内側ルーメン911に進入して、本体またはシャフト907の遠位端から発散されつつ、本体またはシャフト907は再循環する冷却剤913によって冷却状態が維持される。冷却剤913が空気である実施形態の場合、空気は、本体またはシャフト907の近位端に取り付けられたハンドルを介して解放または放出されてもよく、それによってハンドルを冷却する。冷却剤913が水である実施形態の場合、水は、第1外側ルーメン909aを通してシャフト907に進入し、第2外側ルーメン909bを通して本体またはシャフト907の近位端に取り付けられたハンドル内に包囲されている加熱チャンバに供給される。加熱チャンバに供給された水は蒸気915に変換され、次いで内側ルーメン911に進入する。
図10Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル1005を示す一方、図10Bは、カテーテル1005の細長い本体またはシャフト1007の断面図である。細長い本体またはシャフト1007は、遠位端、近位端を有し、第1外側ルーメン1009aおよび第2外側ルーメン1009b並びに同軸内側ルーメン1011を含む。少なくとも1つのバルーン1025が、本体または軸1007の遠位端に取り付けられており、第1外側ルーメン1009aおよび第2外側ルーメン1009bと流体連通する。いくつかの実施形態では、細長い本体またはシャフト1007は、任意に、多様なセンサ等のためのアクセサリチャネルとして機能する1つ以上の追加の外側ルーメン1027(図10B)を含む。一態様によれば、冷却剤1013、好ましくは空気が、本体またはシャフト1007の近位端から第1外側ルーメン1009aに進入し、本体またはシャフト1007における空気循環を維持して、軸温度を60℃未満に、好ましくは40℃未満に維持しつつ、バルーン1025を所望の圧力まで膨らませた後、本体またはシャフト1007の近位端においても、第2外側ルーメン1009bを通して放出される。バルーン1025内の所望の圧力は、第2外側ルーメン1009bの近位端に配置された圧力弁(またはマイクロコントローラによって制御されるeバルブ)によって維持され、この場合、圧力弁は、空気流を維持し、所望の圧力が定格になったときに開口する。同様に、蒸気1015は、本体またはシャフト1007の近位端から内側ルーメン1011に進入して、本体またはシャフト1007の遠位端から発散される一方で、本体またはシャフト1007は循環する冷却剤1013によって冷却状態が維持される。いくつかの実施形態では、内側ルーメン1011は、バルーン1025内に位置決めされ自由に移動可能な別のバルーンと流体連通していることを理解されたい。
従って、一態様によれば、水等の冷却剤は、細長い本体の外側ルーメン内を循環し、続いて、図9Aおよび図9Bを参照して説明したように、蒸気に変換するために加熱チャンバに供給される。別の態様によれば、図10Aおよび図10Bを参照して説明したように、空気等の冷却剤は、細長い本体の外側ルーメンを通してバルーン内を往復して循環することで、細長い本体またはシャフトを冷却する。
次に、図8B、図9Bおよび図10Bを参照すると、本明細書の一態様に従って、カテーテルシャフト807、907、1007の内層830、930、1030は、外層832、932、1032と比較してより厚く、熱損失を防ぎ、またはカテーテルの内側から外側へのエネルギー伝達を最小化する。これは、カテーテルの内側からカテーテルの外側への低温の伝達を最大化することを目的とする従来技術の冷却シャフトカテーテルとは対照的である。
図11は、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル1120を示す。カテーテル1120は、近位端および遠位端を有する細長い本体1121を含む。一実施形態では、カテーテル本体1121は、内側ルーメン1122、第1外側ルーメン1123aおよび第2外側ルーメン1123bを含む。内側ルーメン1122は、熱エネルギーの一部を内側ルーメン1122から外側ルーメン1123a、1123bに通過させることを可能にする熱半透過性壁1124によって外側ルーメン1123a、1123bから分離されている。カテーテルは、その遠位端に少なくとも1つの位置決め要素またはバルーンも含む。図11に示す実施形態では、カテーテル1120は、その遠位端に、2つの位置決めバルーン1125、1126を含み、2つのバルーン1125、1126の間のカテーテル本体1121上に位置する複数の供給ポート1127を有する。供給ポート1127は、内側ルーメン1122と流体連通している。切除剤1128は、カテーテル1120の近位端で内側ルーメン1122内に導入され、切除のために供給ポート1127を通して食道等の器官内に排出される。一実施形態では、切除剤1128は蒸気である。空気1129等の冷却剤は、カテーテル1120の近位端で第1外側ルーメン1123aに導入され、膨張ポート1130aを通してバルーン1125、1126内に移動して、前記バルーン1125、1126を膨張させ、その後、バルーン1125、1126から排出されて、排出ポート1130bを介して第2外側ルーメン1123bに進入し、最終的に、カテーテルの近位端にて排出され、空気1129がカテーテル1120の長さにわたって、かつバルーン1125、1126のうちの1つ以上を通して循環することを可能にする。
図12は、一実施形態による、シリンジ1220とカテーテル1210との間の接続を示す。図12に示されるように、コネクタ構成要素1215の遠位端がカテーテル1210の近位端に挿入されるときに流体シールを形成するために、カテーテル1210の近位端は、コネクタ構成要素1215の遠位端を受け取るように構成される。シリンジ1220はコネクタ構成要素1215の近位端に結合されて、カテーテル1210に結合されたコネクタ構成要素1215を通してカテーテル1210に水を供給する。様々な実施形態において、無線周波数識別構成要素1225をカテーテル1210の近位端に含むことで、カテーテル1210とシリンジ1220との間の良好な流体接続を伝達する。
図13Aは、別の実施形態による、シリンジポンプのような加熱チャンバと給水源とを連結するためのコネクタを示す一方、図13Bは、加熱チャンバ内の加熱コイルおよび強磁性コアを示す。次に、図13Aおよび図13Bを参照すると、加熱チャンバ1310の近位端は、コネクタ構成要素1315の遠位端を受容するように構成されている。コネクタ構成要素1315の遠位端は、コネクタ構成要素1315の遠位端が加熱チャンバ1310の近位端に挿入されるとき、液密シールを形成するOリング1316を含む。コネクタ構成要素1315は、その近位端に、例えば水を供給するためにシリンジポンプに結合される入口ポート1320を有する。加熱チャンバ1310は、強磁性コア1345の周りに巻かれたコイル1340を含む。ワイヤ1330は、コイル1340に高周波(RF)エネルギーを供給するためにコイル1340に取り付けられる。ワイヤ1335は、発電機に取り付けられて、電気エネルギーを供給する。一実施形態によれば、コネクタ構成要素1315の遠位端が加熱チャンバ1310の近位端に挿入されると、ワイヤ1330の電気接点1332がワイヤ1335の電気接点1337に結合され、それによって電気的接続が形成される。図13Cは、コネクタ構成要素1315と流体接続している加熱チャンバ1310の組み立てられた斜視図を示す。様々な実施形態では、流体接続は、5~500psiの範囲の流体圧力に耐えるように構成される。
図13Dは、非熱可塑性材料と強磁性コア1345との間に形成された水の経路のためのチャネルを含む加熱チャンバ1310の断面図を示す。コイル1340は、強磁性コア1345の周りに巻かれている。加熱チャンバ1310は、その遠位端に蒸気を供給するための出口ポート1350と、その近位端に水を受け取るための入口ポート1355とを含む。また、発電機からの電気エネルギーを供給するためのワイヤ(図13Aの1330)に対応する加熱チャンバ1310上の電気接点1332、およびワイヤ(図13Aの1335)に対応するコネクタ構成要素1315上の電気接点1337も示されている。コネクタ構成要素1315の遠位端が加熱チャンバ1310の近位端に挿入されて、流体接続および電気接続を形成するとき、電気接点1332および1337の結合により、コイル1340と発電機との電気接続を可能にし、不完全な流体接続により電気的接続がもたらされず、誘導加熱が発生しないフェイルセーフを提供する。
図14Aおよび図14Bは、加熱チャンバ1410上のバネ付勢機構1405を示す。加熱チャンバ1410の近位端は、コネクタ構成要素1415の遠位端を受けるように構成される。コネクタ構成要素1415の遠位端は、コネクタ構成要素1415の遠位端が加熱チャンバ1410の近位端に挿入されたときに流体シールを形成するOリング1416を含む。バネ付勢機構1405は、押圧されると、コネクタ構成要素1415の遠位端を加熱チャンバ1410の近位端内に容易に挿入することができ、流体結合を形成する。解放されると、バネ付勢機構1405は、更に流体結合を固定する。図14Aでは、コネクタ構成要素1415の近位端は、水を供給するシリンジポンプ1420を含む。図14Bは、コネクタ構成要素1415の近位端に、水を供給するための水入口ポート1430を示す。
様々な実施形態において、本明細書に記載されるコネクタは、ABS、アセタール、ナイロン(ポリアミド)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む熱可塑性樹脂、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むフルオロポリマーからなる。様々な実施形態において、Oリングは、フルオロカーボン(FKM)またはシリコーンからなる。
図15Aは、チャンバ1505を加熱する誘導加熱の使用を示す。交流1502がチャンバ1505内のワイヤのコイル1507を通過するとき、コイル1507は磁場1509を生成する。磁界1509の磁力線1510は、コイル1507の周りの空気を切断する。チャンバ1505が鉄、ステンレス鋼、または銅等の鉄材料で構成される場合、交流1502および磁束線1510を有する磁界1509が存在することで、渦電流1515として知られる電流がチャンバ1505内を流れるように誘導される。渦電流1515は、チャンバ1505の局所的な加熱を引き起こす。チャンバ1505が水等の流体で充填されると、チャンバから流体内に熱が伝達され、その結果、前記流体を気化する。図15Aに示す実施形態では、コイル1507は、4つのループでチャンバ1505の周りにループを描き、視覚化を助けるために前記チャンバ1505から離間している。図15Aのチャンバおよびコイルの設計は、可能な実施形態の1つのみを示しており、限定的であることを意図しない。当業者は、チャンバおよびコイルに関して多くの異なる設計構成が可能であることを理解するであろう。様々な実施形態では、コイルは、チャンバの周りに少なくとも1つのループを含み、コイルが前記チャンバと物理的に接触するようにチャンバの周りにループ状になっている。別の実施形態では、コイルは、チャンバの周りに少なくとも1つのループを含み、前記コイルと前記チャンバとの間に空気または他の絶縁材料の層によりコイルが前記チャンバから特定の距離だけ離間するように、前記チャンバの周りにループ状になっている。様々な実施形態では、コイルのループは互いに接触するように互いに密接に配置されている。他の実施形態では、コイルのループは互いに特定の距離を置いて配置される。一実施形態では、コイルのループはチャンバの全長に沿って延在する。様々な実施形態において、コイルのループはチャンバの長さを超えて延在する。他の実施形態では、コイルのループは、チャンバの全長よりも短いチャンバの長さの一部に沿って延在する。
図15Bは、誘導加熱を使用してチャンバを加熱するのに伴うステップを列挙したフローチャートである。ステップ1552では、コイルがチャンバを包囲するように、金属コイルを強磁性材料からなるチャンバの周りに配置する。次に、ステップ1554にて、前記チャンバの近位入口ポートを介してチャンバを流体で充填する。ステップ1556において、コイルに交流電流を供給し、チャンバを包囲する領域に磁場を生成させる。磁界により、強磁性材料内に電流(渦電流)を誘発し、これによりチャンバを加熱する。熱は、チャンバ内の流体に伝達され、流体を気化する。気化した流体は、遠位出口ポートを介してチャンバから排出される。
図16Aは、本明細書の蒸気アブレーションシステムにおいて誘導加熱と共に使用されるコイル1670の一実施形態を示す。視覚化を助けるためにコイル1670の一部が切り取られている。コイル1670は、カテーテル流体加熱チャンバ1651を包囲するように配置される。コイル1670を通過する交流1602は、上述のように、チャンバ1670内に渦電流1615を流すように誘導する磁界を生成する。渦電流1615の流れは、カテーテル流体加熱チャンバ1651を加熱する。加熱されたチャンバは、内部の流体を加熱し、その流体を蒸気に変換し、この蒸気がアブレーション処置に使用するためにカテーテル1650に進入する。カテーテル1650は、その遠位端に、蒸気を供給するための少なくとも1つの供給ポート1652を含む。任意に、カテーテル1650は、その遠位端の近くに少なくとも1つの位置決め要素1653を含む。一実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素1653は膨張可能なバルーンである。コイル1670自体は加熱しないので、触れても安全である。滅菌水を供給するチューブを接続するために、ルアーフィッティングカプラ1649がカテーテル流体加熱チャンバ1651の近位端に設けられている。一実施形態では、一方向弁(図示せず)が、ルアーフィッティング1649の遠位側のカテーテル流体加熱チャンバ1651の近位端に含まれており、給水源に向けた蒸気の通過を防止する。一実施形態では、断熱材料(図示せず)がコイル1670と加熱チャンバ1651との間に配置される。別の実施形態では、チャンバ1651は、両者間に物理的な接触を有しないコイル1670の中心に懸架されている。この実施形態では、介在する空気は断熱材料として作用する。チャンバの設計は、その表面積を増加させて、接触および熱伝達を最大化するように最適化されており、その結果、より効率的な蒸気が生成される。一実施形態では、コイル1670は、図16Aに示す熱交換ユニット1660と同様に、「クラムシェル」型の設計で構成されており、加熱チャンバ1651の周りで開閉する。
図16Bは、本明細書の蒸気アブレーションシステムにおいて誘導加熱と共に使用されるカテーテルハンドル1672の一実施形態を示す。ハンドル1672は断熱されており、誘導コイルが組み込まれている。一実施形態では、ハンドル1672は、カテーテルが内視鏡に挿入された後に内視鏡チャネルと係合する絶縁先端部1673をその遠位端に含む。カテーテル1650は加熱チャンバ1651に接続されており、同様に、加熱チャンバ1651は絶縁コネクタ1674を介してポンプに接続されている。一実施形態では、加熱チャンバ1651の長さおよび直径は、ハンドル1672および誘導コイルの長さおよび直径よりも小さく、従って、加熱チャンバ1651は、誘導コイルによって生成される磁場内で一定の位置を維持しつつ、ハンドル1672の内側を同軸にスライドすることができる。オペレータは、絶縁コネクタ1674を握り、絶縁コネクタ1674をハンドル1672の内外に動かすことによってカテーテル1650を操作することができ、同様に、カテーテル先端部を内視鏡の遠位端の内外に動かす。この設計では、カテーテル1650の加熱された部分は内視鏡のチャネル内および断熱ハンドル1672内にあり、従って、操作中何時もオペレータと接触することはない。断熱先端部1673上の任意のセンサ1675は、カテーテルが内視鏡と係合していないことを感知し、カテーテルの加熱機能を一時的に無効にして、不慮の起動およびオペレータへの熱傷を防止することができる。図16Bに関して、カテーテル1650および加熱チャンバ1651は、システムの加熱された構成要素である一方、ハンドル1672、断熱先端部1673、および絶縁コネクタ1674は冷却構成要素であり、従ってユーザが触れても安全である。カテーテル1650は、その遠位端に蒸気を供給するための少なくとも1つの供給ポート1652を含む。任意に、カテーテル1650は、その遠位端の近位に少なくとも1つの位置決め要素1653を含む。一実施形態では、少なくとも1つの位置決め要素1653は、膨張可能なバルーンである。
図16Cは、本明細書の一実施形態による、誘導加熱システム1610の分解されたコイル部品1611および加熱チャンバ1612を示す。いくつかの実施形態では、コイル部品1611は、その周りに巻き付けられた電磁コイル1617を有する外側シェルまたはボビン1609を備える。別の実施形態では、コイル部品1611は、コイル1617のみを含む。いくつかの実施形態では、コイル1617は中実銅線を含む。別の実施形態では、コイル1617は銅管を含み、チューブを通る水の冷却を可能にする。様々な実施形態において、銅ワイヤまたは銅チューブは、ワイヤまたはチューブの剛性に起因して機械的に自立しており(ボビンは不要であり)、巻き数はほとんどない。いくつかの実施形態では、銅線または銅管は、各巻線の間に間隔をあけて10の巻線を有しており、絶縁を省略することができる。更に別の実施形態では、コイル1617は、互いに絶縁された何百もの個々のストランドを有することで表皮効果に対抗し、低損失の高周波動作を可能にするマルチストランドリッツ線を含む。いくつかの実施形態では、個々のワイヤはAWG46ストランドである。コイル1617がマルチストランドリッツ線を含む実施形態では、コイル1617を支持し、その周りに巻くためにボビン1609が必要とされる。コイル1617に高周波(RF)エネルギーを供給するために、ワイヤ1619をコイル1617に取り付ける。いくつかの実施形態において、誘導加熱システム1610への電気的接続を提供するワイヤ1619は、蒸気供給システムに流体を供給する流体コネクタに結合されている。電気的接続を流体接続と結合することにより、同時に、機械的に安定した流体接続およびRFコイルと発電機からのワイヤとの接続を提供し、電気回路を完成させる。不完全な流体接続は電気的接続をもたらさず、誘導加熱が開始されない故、この結合はフェイルセーフとして機能する。コイル構成要素1611は、近位端および遠位端を有する細長い形状を有しており、その近位端に、加熱チャンバ1612を受容するように構成された開口部1613を更に含む。加熱チャンバ1612は、内側導電性または強磁性コア1614を含み、その近位端に流体源に接続するための入口ポート1618と、その遠位端に発生した蒸気を供給するための出口ポート1616とを含む。コア1614と加熱チャンバ1612の壁との間に空間1655が存在しており、ここで、コア1614からの熱エネルギーがチャンバ1612内の流体に伝達され、流体を蒸気に変換する。
図16Dは、図16Cのコイル構成要素1611および加熱チャンバ1612を含む組み立てられた誘導加熱システム1610を示す。加熱チャンバ1612は、開口部1613を通して挿入され、コイル構成要素1611内を長手方向に移動可能である。ワイヤ1619によってコイル1617に供給されるRFエネルギーは、コイル1617の周りの磁場に変換されて、これが、渦電流損失および磁気ヒステリシス損失を通じて、コア1614内に熱エネルギーの生成を誘発させる。入力ポート1618に供給された流体は、加熱チャンバ1612内の空間1655内の熱エネルギーによって蒸気に変換され、出口ポート1616を介して排出される。
いくつかの実施形態では、図16Cおよび図16Dを同時に参照すると、誘導加熱システム1610は、更に、コイル構成要素内の加熱チャンバ1612の幾分かの同軸移動を依然として可能にしつつ、一旦組み立てられたコイル構成要素1611内の加熱チャンバ1612を維持するための機構を含む。いくつかの実施形態では、図16Cを参照すると、第1停止機構1658は、開口部1613によって画定される平面内に位置決めされているコイル1617の一部を含む。加熱チャンバ1612が、近位端からコイル構成要素1611内に摺動し、続いて、遠位端にて停止機構1658に突き当たり、遠位方向への更なる移動を防ぐように、第1停止機構1658は、機械的リミッタとして機能する。他の実施形態では、第2停止機構1659がボビン1609の近位端に設けられる。様々な実施形態では、第2停止機構はルアーロックまたは他のコネクタを含む。いくつかの実施形態では、第2停止機構1659は、図16Rおよび図16Sに示されているバネ付勢コネクタに類似している。第2停止機構1659は、開口部1613内に延在している。加熱チャンバ1612をコイル構成要素1611に挿入するために、第2停止機構1659を押し下げて、前記延在部を後退させて、完全な開口部1613を提供する。第2停止機構1659を押し下げながら、コイル構成要素1611の近位端の開口部1613を通して加熱チャンバ1612をコイル構成要素1611内に摺動させる。加熱チャンバ1612が完全に挿入されると、第2停止機構1659が解放され、延在部が開口部1613内に再度延在し、近位方向に加熱チャンバ1612のストッパとして機能する。いくつかの実施形態では、誘導加熱システム1610は、第1停止機構1658と第2停止機構1659の両方を含み、前記第1停止機構1658と前記第2停止機構1659との間の距離は、加熱チャンバ1612の長さよりも大きいことで、加熱チャンバ1612をコイル構成要素1611内で幾分か同軸方向に移動させることができる。他の実施形態では、誘導加熱システム1610は、第1停止機構1658のみを含む。更に別の実施形態では、誘導加熱システム1610は、第2停止機構1659のみを含む。様々な実施形態において、加熱チャンバ1612は、コイル構成要素1611内でコイル1617の長さの少なくとも5%に等しい距離だけ同軸に移動することができる。様々な実施形態において、コイル構成要素1611および加熱チャンバ1612は、図16Bのハンドル1672のようなハンドル内で、ハンドルの長さの少なくとも5%に等しい距離だけ同軸に移動することができる。いくつかの実施形態において、加熱チャンバ1612およびコイル構成要素1611のうち一方または両方は使い捨て可能である。いくつかの実施形態では、加熱誘導システム1610は、更に、システム1610のパラメータを感知し、加熱チャンバ1612をコイル構成要素1611から切り離しても安全であることをユーザに通知するように構成されたセンサ1671を含む。例えば、一実施形態では、センサ1671は、加熱誘導システム1610の温度を感知し、加熱チャンバ1612が火傷の危険なしに触れても安全であり、コイル構成要素1611から取り外すことができるほど、システム温度が十分に低下したときに使用者に信号を送信する。様々な実施形態では、以下で論じる他の加熱チャンバおよびコイル構成要素の実施形態もまた、図16Cおよび図16Dを参照して説明したように、第1停止機構、第2停止機構、およびセンサを含む。いくつかの実施形態では、図16Cおよび図16Dの加熱チャンバおよびコイルは、図16K~図16Mを参照して説明したものと類似している。
図16Eおよび図16Fは、それぞれ、本明細書の誘導加熱システムと共に使用するための第1の従来の内視鏡ハンドル1640および第2の従来の内視鏡ハンドル1644を示す。内視鏡ハンドル1640、1644は、他の制御の中でも、体腔に空気または流体を提供するための空気/水ボタン1641、1646と、体腔に吸引を提供するための吸引ボタン1642、1647と、作業工具の挿入および体組織の除去のための生検またはワーキングチャネル1643、1648とを含む。本明細書の様々な実施形態では、図16G~図16Sを参照して以下で論じるような誘導加熱システムを生検またはワーキングチャネル1643、1648に接続して、体腔にスチームを供給する。
図16Gは、本明細書の一実施形態による、内視鏡と共に使用するための誘導加熱システム1620の分解されたコイル構成要素1621および加熱チャンバ1622を示す。いくつかの実施形態において、コイル構成要素1621は、電磁コイル1627を有する外側シェルを含む。他の実施形態において、コイル構成要素1621は、コイル1627のみを含む。コイル1627に無線周波数(RF)エネルギーを提供するために、ワイヤ1629がコイル1627に取り付けられている。コイル構成要素1621は、近位端および遠位端を有する細長い形状を有し、その近位端に、加熱チャンバ1622を受容するように構成された開口部1623と、その遠位端に、内視鏡のワーキングチャネルポートに取り付けるように構成されたコネクタ1625とを更に含む。加熱チャンバ1622は、内側導電性または強磁性のコア1624を含み、その近位端に、流体源に接続するための入口ポート1628と、その遠位端に、発生した蒸気を供給するためのカテーテル1626とを含む。コア1624と加熱チャンバ1622の壁との間に空間1645が存在し、ここでコア1624からの熱エネルギーがチャンバ1622内の流体に伝達されて流体をスチームに変換する。
図16Hは、図16Gのコイル構成要素1621および加熱チャンバ1622を備える内視鏡と共に使用するための、組み立てられた誘導加熱システム1620を示す。加熱チャンバ1622は、開口部1623を通して挿入されており、コイル構成要素1621内を長手方向に移動可能である。カテーテル1626は、コネクタ1625を通過しており、内視鏡のワーキングチャネルの長さに沿って延在するように構成される。コイル構成要素1621に対する加熱チャンバ1622の移動により、体腔内でのカテーテル1626の位置決めが可能となる。ワイヤ1629によってコイル1627に供給されるRFエネルギーは、コイル1627の周りの磁界に変換され、これが、渦電流損失および磁気ヒステリシス損失を通して、コア1624内に熱エネルギーを生成させる。入力ポート1628にて供給される流体は、加熱チャンバ1622内の空間1645の熱エネルギーによってスチームに変換され、カテーテル1626を介して排出される。
図16Iは、本明細書の別の実施形態による、内視鏡と共に使用するための誘導加熱システム1630の分解されたコイル構成要素1631および加熱チャンバ1632を示す。いくつかの実施形態において、コイル構成要素1631は、電磁コイル1637を有する外側シェルを含む。他の実施形態において、コイル構成要素1631は、コイル1637のみを含む。コイル1637に無線周波数(RF)エネルギーを提供するために、ワイヤ1639をコイル1637に取り付ける。コイル構成要素1621は、近位端および丸みを帯びた遠位端を有する細長い形状を有し、その近位端に、加熱チャンバ1632を受容するように構成された開口部1633と、その遠位端に、内視鏡のワーキングチャネルポートに取り付けるように構成されたコネクタ1635を更に含む。加熱チャンバ1632は、内側導電性または強磁性のコア1634を含み、その近位端に、流体源に接続するための入口ポート1638と、その遠位端に、発生したスチームを供給するためのカテーテル1636とを含む。加熱チャンバ1632の遠位端は、コイル構成要素1631の丸みを帯びた遠位端内に収まるように丸みを帯びている。コア1634と加熱チャンバ1632の壁との間に空間1677が存在しており、ここで、コア1634からの熱エネルギーがチャンバ1632内の流体に伝達さて、流体をスチームに変換する。加熱チャンバ1632は、更に、チャンバ1632を操作し、チャンバ1632およびコア1634をコイル構成要素1631に対して移動させるための把持器1676を含む。
図16Jは、図16Iのコイル構成要素1631および加熱チャンバ1632を含む内視鏡と共に使用するための、組み立てられた誘導加熱システム1630を示す。加熱チャンバ1632は、開口部1633を通して挿入されており、コイル構成要素1631内を長手方向に移動可能である。カテーテル1636は、コネクタ1635を通過しており、内視鏡のワーキングチャネルの長さに沿って延在するように構成される。把持器1676の操作によるコイル構成要素1631に対する加熱チャンバ1632の移動により、体腔内でのカテーテル1636の位置決めが可能となる。ワイヤ1639によってコイル1637に供給されるRFエネルギーは、コイル1637の周りの磁界に変換され、これが、渦電流損失および磁気ヒステリシス損失を通して、コア1634内に熱エネルギーを生成させる。入力ポート1638にて供給される流体は、加熱チャンバ1632内の空間1677内の熱エネルギーによってスチームに変換され、カテーテル1636を介して排出される。
図16Kは、本明細書の一実施形態による、従来の内視鏡ハンドルに取り付けられるように構成されたハンドル1686を含む誘導加熱システム1680を示す。誘導加熱システムハンドル1686は、誘導加熱システム1680を内視鏡ハンドルに固定するための少なくとも1つのクランプ1681を含む。一実施形態では、誘導加熱システムは、ハンドル1686の近位端および遠位端にそれぞれ1つずつの2つのクランプ1681を含む。コイル構成要素1684は、ハンドル1686内に埋め込まれ、ハンドル1686上のホイール機構1683を操作することによって加熱チャンバ(図示せず)の周りを長手方向に移動可能である。一実施形態では、ハンドル1686の遠位端のバネ付勢コネクタ1682は、誘導加熱システム1680を内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートに取り付ける。カテーテル1685は、加熱チャンバの遠位端から延在しており、内視鏡のワーキングチャネルを通過するように構成されている。入口ポート1687は、流体源への接続のために加熱チャンバの近位端から延在している。
図16Lは、本明細書の一実施形態による、ハンドル1696を含み、加熱チャンバ1698に対してコイル構成要素1694を移動させるためのホイール機構1693を有する誘導加熱システム1690の断面図である。コイル構成要素1694は、ハンドル1696内に埋め込まれ、ハンドル1696上のホイール機構1693を操作することによって加熱チャンバ1698およびコア1699の周りを長手方向に移動可能である。コイル構成要素1694の遠位端のコネクタ1692は、誘導加熱システム1690を内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートに取り付ける。様々な実施形態において、コネクタ1692は、ルアーロックコネクタまたはバネ付勢コネクタである。カテーテル1695は、加熱チャンバ1698の遠位端から延在し、コネクタ1692を通過し、内視鏡のワーキングチャネルを通して延在するように構成される。入口ポート1697は、流体源に接続するために加熱チャンバ1698の近位端から延在する。いくつかの実施形態では、ハンドル1696は、誘導加熱システム1690を内視鏡ハンドルに取り付けるための、図16Kのクランプ1681に類似した少なくとも1つの機構を含む。
図16Mは、本明細書の一実施形態による、コイル構成要素1603に対して第1位置にある加熱チャンバ1604を含む誘導加熱システム1600を示す。第1位置では、加熱チャンバ1604は、コイル構成要素1603に対して最も遠位の位置に配置される。誘導加熱システム1600は、コイル構成要素1603に対して加熱チャンバ1604を操作するためのハンドル1606を含む。誘導加熱システム1600を内視鏡のワーキングチャネルポートに取り付けるために、コイル構成要素1603の遠位端にコネクタ1608を配置する。加熱チャンバ1604は、その近位端に、加熱チャンバ1604に流体を供給するための入口ポート1607と、その遠位端に、内視鏡のワーキングチャネルを通して延在するように構成されたカテーテル1605とを含む。図16Nは、加熱チャンバ1604がコイル構成要素1603に対して第2位置にある、図16Mの誘導加熱システム1600を示す。第2位置では、加熱チャンバ1604は、ハンドル1606の操作によってコイル構成要素1603に対して近位に移動されている。コイル構成要素1603がコネクタ1608を介して内視鏡ハンドルに取り付けられている故、コイル構成要素1603の位置は固定された状態を維持する。加熱チャンバ1604の移動により、取り付けられたカテーテル1605は同様に移動し、カテーテル1605の遠位端が体腔内に微調整されて配置される。
図16Oは、本明細書の一実施形態による、第2のハンドル構成要素1666に対して第1位置にある第1ハンドル構成要素1665を備える誘導加熱システム1660を示す。一実施形態において、第1ハンドル構成要素1665は、近位端および遠位端を有する細長い本体を有し、内部に加熱チャンバを備える。一実施形態では、第2ハンドル構成要素1666は、近位端および遠位端を有する細長い本体を有し、内部にコイルを備える。第2ハンドル構成要素1666は、第1ハンドル構成要素1665の遠位端に出入りするように伸縮する。入口ポート1661は、加熱チャンバに流体を供給するために第1ハンドル構成要素1665の近位端に含まれる。誘導加熱システム1660を内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートに取り付けるために、コネクタ1668を第2ハンドル構成要素1666の遠位端に含む。カテーテル1662は、第2ハンドル構成要素1666を通して延在し、第1ハンドル構成要素1665内の加熱チャンバと流体連通する。図16Oに示される第1位置では、第1ハンドル構成要素1665は、第2ハンドル構成要素1666に対して最も近位に配置される。第2ハンドル構成要素1666は、その本体に沿って複数のマーキング1663を含む。一実施形態では、マーキング1663は数字である。第1ハンドル構成要素1665は、その遠位端の近位に、第1ハンドル構成要素1665が第2ハンドル構成要素1666に対して長手方向に移動されたときに前記マーキングのうちの1つと整列するウィンドウ1664を含む。ウィンドウ1664のマーキング1663は、内視鏡のワーキングチャネルの遠位端を越えて患者の体腔内に延在するカテーテル1662の長さを示す。図16Pは、第2ハンドル構成要素1666に対して第2位置にある第1ハンドル構成要素1665を有する、図16Oの誘導加熱システム1660を示す。ウィンドウ1664内のマーキング1667は、第1ハンドル構成要素1665が第2ハンドル構成要素1666に対して最も遠位にあること、およびカテーテル1662が患者の体腔内に完全に延在していることをオペレータに示す。
図16Qは、本明細書の一実施形態による、誘導加熱システム1660のハンドルの遠位端にあるルアーロック機構1669を示す。カテーテル1662は、ルアーロック機構1669を通して存在し、内視鏡のワーキングチャネルを通して延在するように構成される。ルアーロック機構1669は、内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートで対応するコネクタに取り付けるように構成される。
図16Rは、本明細書の一実施形態による、誘導加熱システム1654のハンドルの遠位端の第1位置にあるバネ付勢コネクタ1656を示す。第1位置では、バネ付勢コネクタ1656は、内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートに係止および固定される。カテーテル1657は、誘導加熱システムハンドルの遠位端を通して延在する。図16Sは、第2位置にある図16Rのバネ付勢コネクタ1656を示し、コネクタ1656は、内視鏡ハンドルのワーキングチャネルポートに接続するために押し下げられて開口される。
図16Tは、本明細書の一実施形態による、内視鏡と共に使用するための閉ループ蒸気送供給システム1600tを示す。閉ループカテーテル1601t、加熱チャンバ1602t、および(流体源1606tからの)流体チャネル1603tが設けられる。様々な実施形態において、流体チャネル1603tは、中実チューブまたはハウジングを含み、医師によって保持され操作されるハンドルとして機能する。カテーテル1601tは、図16Eのワーキングチャネル1643等の内視鏡のワーキングチャネルに挿入されるように構成される。加熱チャンバ1602tは、誘導コイル支持構造1604t内に配置され、この誘導コイル支持構造1604tは、ワイヤ1605tを介して、駆動回路に取り付けられて、コイルに電力を供給し誘導加熱を発生させる。流体は、流体源1606tから流体チャネル1603tを通して加熱チャンバ1602t内に供給され、ここで誘導コイル支持構造1604tによって提供される誘導加熱によってスチームに変換される。スチームはカテーテル1601tを通して移動し、カテーテル1601tの遠位端にある1つ以上の開口部1607tを介して標的組織に供給される。いくつかの実施形態では、カテーテル1601tは、更に、体腔内にカテーテル1601tを位置決めするための1つ以上の位置決め要素、例えば膨張可能なバルーンを含む。誘導コイル支持構造1604tは、加熱チャンバ1602tと共に移動する。医師は、ハンドルを兼ねる流体チャネル1603tを保持し、内視鏡を介して必要に応じてカテーテル1601tを移動させる。この閉ループシステム1600tを使用した、切除治療のための蒸気の供給は、カテーテル1601tを内視鏡内に挿入し、前後に移動するステップを単に含む。
図16Uは、図16Tの蒸気供給システムを使用して蒸気アブレーション治療を提供する方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ1602uでは、閉ループ蒸気供給システムのカテーテルを内視鏡のワーキングチャネルに挿入する。続いて、ステップ1604uにて、誘導コイル支持構造体をワイヤを介して駆動回路に接続する。ステップ1606uで、駆動回路はコイルに電流を供給し、加熱チャンバの誘導加熱をもたらす。ステップ1608uでは、流体源から流体チャネルを通して加熱チャンバに流体を供給し、ここで蒸スチームに変換される。ステップ1610uにて、医師は流体チャネルを保持し、内視鏡チャネル内で閉ループシステムを移動させるか、または内視鏡全体を移動させて、蒸気切除のためにカテーテルの遠位端を標的組織に近接して配置する。
図16Vは、本明細書の別の実施形態による、内視鏡と共に使用するための閉ループ蒸気供給システム1600vを示す。閉ループカテーテル1601v、加熱チャンバ1602v、および(流体源1606vからの)流体チャネル1603vが提供される。様々な実施形態において、流体チャネル1603vは、中実のチューブまたはハウジングを含み、医師によって保持および操作されるハンドルとして機能する。この実施形態では、加熱チャンバ1602vは、支持なしに前後に移動するには大きすぎる。従って、システム1600vは、図16Kに示されるハンドル1686に類似する内視鏡ハンドルアタッチメント1608vを含む。カテーテル1601vは、図16Eのワーキングチャネル1643等の内視鏡のワーキングチャネル内に挿入されるように構成されており、加熱チャンバ1602vおよび流体チャネル1603vのハンドル部分は、内視鏡ハンドルアタッチメント1608v内に位置決めされる。図16Vに示す実施形態では、内視鏡ハンドルアタッチメント1608vは、内蔵された誘導コイルを有する。内蔵コイルは、次に、ワイヤ1605vを介して駆動回路に取り付けられて、コイルに給電し、誘導加熱を発生させる。流体は、流体源1606vから流体チャネル1603vを通して加熱チャンバ1602v内に供給され、ここで内視鏡ハンドルアタッチメント1608vの内蔵コイルによって提供される誘導加熱によってスチームに変換される。スチームはカテーテル1601vを通して移動し、カテーテル1601vの遠位端にある1つ以上の開口部1607vを介して標的組織に供給される。いくつかの実施形態では、カテーテル1601vは、更に、カテーテル1601vを体腔内に位置決めするための1つ以上の位置決め要素、例えば膨張可能なバルーンを含む。内視鏡ハンドルアタッチメント1608vは、加熱チャンバ1602vと共に移動しない。医師は内視鏡ハンドルアタッチメント1608vのスイッチを切り替えることにより、ハンドルを兼ねる流体チャネル1602vを操作し、内視鏡を介して必要に応じてカテーテル1601vを移動させる。この実施形態では、内視鏡に挿入された閉ループシステム1600vは前後に移動され、加熱チャンバ1602vは内視鏡ハンドルアタッチメント1608v内の静止誘導コイルによって生成されたフィールドに留まる。
図16Wは、図16Vの蒸気供給システムを使用して蒸気アブレーション治療を施す方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ1602wにて、閉ループ蒸気供給システムのカテーテルを内視鏡のワーキングチャネルに挿入する。次いで、ステップ1604wにて、内蔵コイルを含む内視鏡ハンドルアタッチメントをワイヤを介して駆動回路に接続する。ステップ1606wにて、駆動回路によりコイルに電流を供給して、加熱チャンバを誘導加熱する。ステップ1608wにて、流体源から流体チャネルを通して加熱チャンバに流体を供給し、ここでスチームに変換する。医師は、ステップ1610wにて、内視鏡ハンドルアタッチメントのスイッチを切り替えて、カテーテルを内視鏡チャネル内で移動させるか、または内視鏡全体を移動させて、蒸気切除のためにカテーテルの遠位端を標的組織に近接して配置する。
図16Xは、本明細書の更に別の実施形態による、内視鏡と共に使用するための閉ループ蒸気供給システム1600xを示す。閉ループカテーテル1601x、加熱チャンバ1602x、および(流体源1606xからの)流体チャネル1603xを設ける。様々な実施形態において、流体チャネル1603xは、中実チューブまたはハウジングを含み、医師によって保持および操作されるハンドルとして機能する。この実施形態では、加熱チャンバ1602xは、支持なしに前後に移動するには大きすぎる。従って、システム1600xは、図16Kに示されるハンドル1686と同様に、内視鏡ハンドルアタッチメント1608xを含む。カテーテル1601xは、加熱チャンバ1602xおよび流体チャネル1603xのハンドル部分が内視鏡ハンドルアタッチメント1608x内に配置された状態で、図16Eのワーキングチャネル1643等の内視鏡のワーキングチャネルに挿入されるように構成される。図16Xに示す実施形態では、誘導コイル1609xは、加熱チャンバ1602xに取り付けられ、その周りに巻かれており、内視鏡ハンドルアタッチメント1608xの一部として含まれていない。誘導コイル1609xは、ワイヤ1605xを介して駆動回路に取り付けられて、コイル1609xに給電し、誘導加熱を発生させる。流体源1606xから流体チャネル1603xを通して加熱チャンバ1602x内に流体を供給し、ここで誘導コイル1609xによって提供される誘導加熱によってスチームに変換される。スチームはカテーテル1601xを通して移動し、カテーテル1601xの遠位端にある1つ以上の開口部1607xを介して標的組織に供給される。いくつかの実施形態では、カテーテル1601xは、更に、体腔内にカテーテル1601xを位置決めするための1つ以上の位置決め要素、例えば膨張可能なバルーンを含む。内視鏡ハンドルアタッチメント1608xは、加熱チャンバ1602xと共に移動しないが、加熱チャンバ1602xおよび誘導コイル1609xは、互いに物理的に取り付けられている故に一緒に移動する。医師は、内視鏡ハンドルアタッチメント1608xのスイッチを切り替えることにより、ハンドルを兼ねる流体チャネル1602xを操作し、内視鏡を介して必要に応じてカテーテル1601xを移動させる。この実施形態では、内視鏡に挿入された閉ループシステム1600xは前後に移動され、加熱チャンバ1602xおよび取り付けられた誘導コイル1609xは、内視鏡ハンドルアタッチメント1608xに対して一緒に移動する。
図16Yは、図16Xの蒸気供給システムを使用して蒸気アブレーション治療を提供する方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ1602yにて、閉ループ蒸気供給システムのカテーテルを内視鏡のワーキングチャネルに挿入する。次に、ステップ1604yにて、加熱チャンバに取り付けられた誘導コイルをワイヤを介して駆動回路に接続する。ステップ1606yにて、駆動回路によりコイルに電流を供給し、加熱チャンバを誘導加熱する。ステップ1608yにて、流体源から流体チャネルを通して加熱チャンバに流体を供給し、ここでスチームに変換される。ステップ1610yにて、医師は、内視鏡ハンドルアタッチメントのスイッチを切り替えて、カテーテルを内視鏡チャネル内で移動させるか、または内視鏡全体を移動させて、カテーテルの遠位端を蒸気切除のために標的組織に近接して配置する。
いくつかの態様によれば、本明細書は、様々な実施形態において開示されているアブレーションカテーテルを操作するための内視鏡と共に使用することができるハンドル機構を提供する。図17Aは、ハンドル1780の例示的な図を提供する。図17Aを参照すると、ハンドル1780は、アブレーションカテーテルを受け入れて保持するためのポート1781を備える。ハンドル1780は、更に、内視鏡(図示せず)に固定するためのクランプ1782を含む。ハンドルは、電源コード1785を固定または取り付けるためのクランプ1783も含む。電源コードは、ハンドル1780内のチャンバまたはポート1786内に配置されるRFコイル1784に電力を供給するために使用される。いくつかの実施形態では、RFコイルは、アブレーションカテーテルを受容するポート1781と連絡しているハンドル上のポート内に配置される。
電源コードによってRFコイル1784に電流が供給されると、強磁性コアの周りに巻かれた金属コイルを含むRFコイルにより磁場が生成される。一実施形態では、チャンバ1786は、鉄、ステンレス鋼、または銅等の鉄材料からなる。これにより、本明細書で前述したように、交流電流および磁界の存在に起因して、渦電流として知られる電流がチャンバ内に流れる。渦電流は、チャンバ1786を局所的に加熱する。チャンバ1786が水等の流体で充填されると、チャンバから内部の流体に熱が伝達され、その結果、前記流体が気化する。この蒸気は、切除のためにポート1781によってカテーテルに供給される。図17Aのチャンバおよびコイルの構成は、単なる1つの可能な実施形態を描いており、限定することを意図していないことに留意されたい。当業者は、チャンバおよびコイルに関して、多くの異なる設計構成が可能であることを理解するであろう。一実施形態では、例えば、RFコイルは、アブレーションのために流体が蒸気に変換されるように、ハンドルに挿入されたカテーテルの加熱チャンバ内の流体を加熱する。この場合、加熱チャンバは、カテーテル組立体の一部として含まれる。
図17Bは、内視鏡1787に取り付けられた、図17Aのハンドル機構1780の図を提供している。図17Bを参照すると、ハンドルのRFコイル1784は、ハンドルのポート内に配置されている。一実施形態では、ハンドルが内視鏡にクランプ留めされると、RFコイルはアブレーションカテーテルを受容するように構成された内視鏡上の別のポートの上に配置され、そのポートと通信する。
一実施形態において、ハンドル1780は使い捨て可能である。別の実施形態では、ハンドル1780は再利用可能である。
図17Cは、ハンドル機構の代替的な実施形態を示し、ここで、ハンドル1780は、カテーテルポート1781をハンドルの近位部分1789に接続する支持構成要素1788も含む。これにより、一旦カテーテルが挿入されると、ポートおよびカテーテルに追加の支持を提供する。支持構成要素1788は図17Dにも見ることができ、ここで、ハンドル1780は、内視鏡1787に取り付けられて示されている。
図17Eは、ハンドル機構1790の別の図を提供する。図17Eを参照すると、一実施形態では、ハンドルは、ハンドルを内視鏡に固定するために使用されるクランプまたはブラケット等の留め具1791を含む。一実施形態では、ファスナ1791を内視鏡の周りにスナップ止めして、ハンドルを内視鏡に取り付けることができる。一実施形態では、クランプ1791は、ヒンジ1792によってハンドルユニットに取り付けられる。ヒンジ機構により、図17Fに示すように、クランプまたはファスナを容易に開くことができ、また図17Fに示すように、容易に閉じることができる。
図17Hは、クランプ1791を介して内視鏡1793に取り付けられるハンドル1790を示す。図17Hを参照すると、一実施形態では、ハンドルは、切除流体が流れるためのカテーテル1794を備える。ハンドルを内視鏡にクランプする前に、カテーテル1794を内視鏡の生検ポート1795に挿入し、そこから内視鏡のワーキングチャネルを通して内視鏡の遠位端から排出されるまで前進させる。流体は、カテーテル1794を通して加熱チャンバ1796に進入し、ここで加熱されて蒸気に変換され、内視鏡の遠位端でカテーテルの遠位端を通して蒸気として通過し、所望の組織を切除する。加熱チャンバ1796の詳細は、図17A~図17Dに示されている。ハンドルは、オペレータがカテーテルシャフトに物理的に接触する必要なしに、内視鏡の内外にアブレーションカテーテル1794を操作するためのノブ1797も備える。
図18Aは、本明細書の一実施形態による、誘導加熱を使用した蒸気アブレーションシステム1800の説明図である。蒸気アブレーションシステム1800は、隣接する流体チャネルによって接続された貯水槽1802、加熱チャンバ1804、およびカテーテル1810を含む流体回路を備える。様々な実施形態では、流体回路の構成要素を接続する連続する流体チャネルは、内腔を有する可撓性チューブを備える。様々な実施形態では、流体回路の構成要素のうち1つ以上は使い捨てであり、別々の構成要素は単一の使用後に廃棄され交換されるか、または流体回路全体が単一の使用後に廃棄される。一実施形態では、使用前に、貯水槽1802と加熱チャンバ1804との間に位置する流体チャネルの一部が障壁によって塞がれ、それによって水が貯水槽1802から加熱チャンバ1804に受動的に流れるのを阻止する。一実施形態では、貯水槽1802と加熱チャンバ1804との間の隣接する流体チャネルにチェックバルブまたは破断ダイヤフラム1807が配置されることにより、水に力が印加されて加熱チャンバ1804に指向されるまで、水が加熱チャンバ1804に進入するのを防ぐ。動作中、障壁、チェックバルブ、または破断ダイヤフラム1807は、水がポンプまたは駆動機構によって作用するときに水圧の上昇によって破られ、水が貯水槽1802から加熱チャンバ1804に流れることを可能にする。
水は貯水槽1802から加熱チャンバ1804に移動し、ここでスチームに変換される。結果として生じるスチームは、カテーテル1810内に移動し、切除剤としてその遠位端の外に移動する。水およびスチームが移動するための唯一の経路は、貯水槽1802から加熱チャンバ1804を通り、カテーテル1810の遠位端を出ることである。様々な実施形態では、外部供給源から流体回路に流体を受け取るための他の入力、ポート、または開口は存在しない。様々な実施形態では、流体回路の外部に流体を受容または排出するための他の出口、ポート、または開口部は存在しない。様々な実施形態において、貯水槽1802は、柔軟なバッグ、シリンジ、または所定量の水を収容するように構成された任意の三次元エンクロージャを備える。
加熱チャンバ1804は、誘導コイル1805内に配置されるように構成されている。様々な実施形態において、加熱チャンバは、円筒形、直方体形、または任意の他の形状とすることができる。いくつかの実施形態では、誘導コイル1805は、周囲に複数のコイルが配置される円筒形容積を有する誘導チャンバ1801と、加熱チャンバ1804を受容するように構成されたルーメン1803とを含む。他の実施形態では、誘導コイル1805は、加熱チャンバ1804の周囲を包囲するコイル自体のみを含む。誘導コイル1805は、電流を受け取り、加熱チャンバ1804の強磁性部分の誘導加熱をもたらす磁場を発生させるための複数のコイルを含む。様々な実施形態において、誘導コイルに供給される電流の周波数は、100Hz~200kHz、より好ましくは1kHz~100kHz、更により好ましくは10kHz~50kHz、最も好ましくは25kHz~35kHzの範囲内にある。様々な実施形態において、加熱チャンバ1804は、チャンバからの熱損失および/またはオペレータへの熱的損傷を防ぐために断熱されている。
水は、ポンプ、モータ、または他の機構によって印加される力を介して貯水槽1802から加熱チャンバ1804内に指向される。様々な実施形態において、水は、以下で更に説明されるように、モータによって駆動されるポンプによって加熱チャンバ1804内に指向される。他の実施形態では、貯水槽1802は、加熱チャンバ1804に対して上昇しており、貯水槽1802からの水は重力により加熱チャンバ1804に供給される。他の実施形態では、貯水槽1802から加熱チャンバ1804へ水を供給する機構は、ブラダータンクを含む。一実施形態では、ブラダータンクは、1つのタンク内で2つの区画を分離する隔壁を含む。第1区画は圧縮空気を含む一方、第2区画は水を含む。圧縮空気により隔壁を押し、それが水を第2区画から加熱チャンバに押し出す。別の実施形態では、貯水槽1802から加熱チャンバ1804に水を配給する機構は、吸蔵水タンクを備える。吸蔵水タンクは、歯磨き粉のチューブと同様に機能し、吸蔵水タンクの一部は圧縮可能であり、押し出されて水をタンクから加熱チャンバに押し出す。
様々な実施形態において、貯水槽1802からの流体は、加熱チャンバ1804内に正確に投与されながら汲み上げられる。一実施形態において、貯水槽1802は、200mLの水を収容するように構成される。精密に制御可能な容積式投与ポンプ1806は、要求に応じて正確な量の水を気化のために誘導加熱チャンバ1804に供給する。誘導加熱は、無菌性を備えることなく、無菌カテーテル内の要素を加熱することができ、かつ複雑な電気フィードスルーを必要としない故に好ましい。更に、カテーテル自体を使い捨てにすることができ、従って低コストで製造することができる。一実施形態では、加熱チャンバ1804は金属コアを含み、垂直に取り付けられている。一実施形態では、金属は鋼である。水は、その近位端の入口ポートで加熱チャンバ1804の底部に導入される。以下に更に説明するように、一実施形態では、金属コアは、コアの上に同軸に配置されたチューブの内径よりも僅かに小さい外径を有する滑らかなロッドである。誘導コイル1805は加熱チャンバ1804のチューブの周りに巻かれている。コアおよびチューブは、加熱チャンバ1804を構成している。加熱チャンバ1804に導入された水は、コアとチューブとの間の空間を通過する。従って、所与の流量に対して十分な加熱力が提供される限り、全ての水がコア付近に押し込まれ、金属表面に接触し、完全にスチームとして気化してチャンバから排出される。加熱チャンバ1804内に生成されたスチームは、その遠位端の出口ポートを介して排出される。
発生したスチームは、カテーテル1810の入力ポートに接続されたルアーロックコネクタ1808に供給される。カテーテル1810は、スチームと直接接触する全ての部品が100℃を超える温度に耐え得ることで、融解やその後の漏れや障害を防ぐように設計される。カテーテル1810は、その遠位端に、標的組織へのスチーム1814を供給する1つ以上の開口部を含む。様々な実施形態において、カテーテル1810は、その遠位端の付近に1つ以上の位置決めアタッチメント1816を含む。一実施形態では、位置決めアタッチメント1816は、膨張可能なバルーンを含み、カテーテル1810は、更に、その近位端に送気ポート1818を含む。送気ポート1818に接続されたエアポンプ1820は、前記バルーンを膨張させるために使用される。様々な実施形態では、位置決めアタッチメントまたはバルーン1816は、エアポンプ1820を通る空気を使用して膨張され、続いて、スチームがシステム1800によって生成されると空気が膨張する。いくつかの実施形態では、1つ以上のバルーン1816は、先ず、エアポンピ1820によって位置決め容積まで膨張され、続いて、スチームの供給によって空気が加熱され、非穿孔シールが確立されると、更に閉塞容積まで膨張される。一実施形態では、閉塞容積は、位置決め容積の120%未満である。様々な実施形態において、1つ以上のバルーン1816はシリコーンからなる。シリコーンは断熱性を有するので、バルーン1816の外側に近接する領域での切除から発生する熱は受動的に伝達されず、バルーン1816内の空気を膨張させない。従って、いくつかの実施形態において、送気に使用される空気は、所望の熱膨張を達成するために、カテーテルの内側からバルーン1816内に能動的に加熱されなければならない。様々な実施形態において、カテーテル1810は、スチームからの熱エネルギーが、両方ともカテーテル1810に沿って移動するときに送気に使用される空気に伝達されるように、同軸設計を有する。カテーテル1810の同軸設計により、カテーテルに沿った熱損失の捕捉を許容し、バルーン1816内の空気に伝達されて、治療応答シールを生成する。他の実施形態では、カテーテル1810は、空気を加熱するための同軸ルーメンを含むか、またはバルーン1816は、カテーテル内のスチームからバルーン1816内の空気に熱を伝導するための導電性金属を内部に含む。
37℃(体温)から100℃に空気を加熱すると、空気は約20%膨張する。従って、一実施形態では、エアポンプ1820を使用して1つ以上のバルーン1816を約75%まで膨張させ、体積膨張の残りをスチームからの熱伝達によって達成することができる。スチームはバルーン1816内に指向されない故、バルーン1816内の圧力は極度には変化しないであろう。1つ以上のバルーン1816を膨張させるために使用される空気は、図18Bに示されるように、400℃未満の温度で理想気体のように振る舞い、以下の理想気体の法則にほぼ従う。
PV=nRT
ここで、Pは気体の絶対圧力、Vは気体の体積、nは気体の量、Rは理想気体定数、Tは気体の絶対温度で、ケルビン度(℃+273)で表される。図18Bを参照すると、空気は約400℃を超えて加熱される故、理想気体のようには振る舞わず、アンモニア1815、窒素1817、およびヘリウム1819の密度の曲線は、400℃を超える温度では直線的でなくなる。様々な実施形態では、バルーンを膨張させるために使用される空気は、少なくとも3つの異なる温度、即ち、開始温度(Tstart)、理想温度(Tideal)、および最高温度(Tmax)によって定義される。様々な実施形態において、Tstartは25℃(室温)に等しく、Tidealは75℃以下であり、Tmaxは125℃に等しい。様々な実施形態において、Tstartでの体積に対するバルーンの体積膨張は、Tmaxで2%~40%の範囲であり、Tidealで1%~20%の範囲である。様々な実施形態において、システムは、5分以下の最大連続運転時間および2分以下の理想的な連続運転時間を有する。様々な実施形態において、バルーンは、5mm以下の最大直径変化または拡張、および3mm以下の理想的直径変化または拡張を有するように構成される。実質的に一定の圧力における異なる温度は、温度比に等しい体積比を提供する。従って、上に列挙した動作パラメータを有する一実施形態では、空気を25℃(Tstart)から125℃(Tmax)に加熱することにより、100K(398K/298K)の温度上昇をもたらし、これは3%以下の体積膨張に相当する。上記に列挙した動作パラメータを有する一実施形態では、空気を25℃(Tstart)から75℃(Tideal)に加熱することによって50K(348K/298K)の温度上昇がもたらされ、これは17%以下の体積膨張に相当する。様々な実施形態では、バルーンは、以下の表1に列挙されるように、エアポンプの作用によって膨張したときに第1位置決め直径を有し、また、システムによって生成されたスチームによってポンプ空気が加熱されたときに第2閉塞直径を有する。
表1を参照すると、18mmの位置決め直径を有するバルーンは、送気された空気が近くのスチームによって加熱されると、21mmの閉塞直径有するように拡張し、即ち36%増加する。20mmの位置決め直径を有するバルーンは、送気された空気が近くのスチームによって加熱されると、23mmの閉塞直径を有するように拡張し、即ち32%増加する。22mmの位置決め直径を有するバルーンは、送気された空気が近くのスチームによって加熱されると、25mmの閉塞直径を有するように拡張し、即ち29%増加する。
別の実施形態では、バルーンの更なる体積膨張は望ましくなく、バルーン内の圧力を監視し、膨張した空気の一部をバルーンから逃がして圧力を維持し、従って体積を一定に保つことによってバルーンの体積を一定に保つ。
図19Aは、本明細書の一実施形態による誘導加熱チャンバ1901の垂直断面図であり、図19Bは、チャンバの様々な構成要素を更に詳細に示す図19Aの誘導加熱チャンバの説明図である。図19Aおよび図19Bを同時に参照すると、加熱チャンバ1901は、非強磁性ハウジングまたは熱可塑性容器1905内に収容された強磁性コア1903を含む。熱可塑性容器1905は、その近位端に入口ポート1906と、その遠位端に出口ポート1908とを含む。誘導コイル1909が熱可塑性容器1905の周りに巻かれている。非熱可塑性絶縁体1910の第1部分は、熱可塑性容器1905内および熱可塑性容器1905の壁と強磁性コア1903との間に配置されている。非熱可塑性絶縁体1911の第2部分は、熱可塑性容器1905の壁と誘導コイル1909との間に配置されている。
いくつかの実施形態において、熱可塑性容器1905は、2.75インチ~3.75インチの範囲の長さ、7/32インチ~11/32インチの範囲の内径、および3/8インチ~0.5インチの範囲の外径を有する。いくつかの実施形態では、強磁性コア1903は、1.5インチ~2.5インチの範囲の長さ、および3/16インチ~5/16インチの範囲の直径を有する。
様々な実施形態において、熱可塑性容器1905はPEEK、ABS、アセタール、ポリアミド、またはポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)からなる。いくつかの実施形態では、非熱可塑性絶縁体1910の第1部分は、強磁性コア1903がPEEKに接触するのを防ぐために、熱可塑性容器1905の近位端および遠位端内にスタンドオフを作り出すように巻かれたマイカのフィルムを含む。マイカロールの外周もまた、熱可塑性容器1905内の長さに沿って延在しており、強磁性コアがPEEK壁と接触するのを防いている。一対の中央開口部1912、1914は、マイカロールの近位端および遠位端にそれぞれ配置されて、マイカロールと強磁性コア1903との間の空間に水を流入させる。
いくつかの実施形態では、強磁性コア1903は単一部材であり、その外周を取り囲む溝1998を含む。溝1998は、水またはスチームがコア1903に沿って流れ得るように構成する。一実施形態では、強磁性コア1903は、その近位端および遠位端に形成され、コア1903と周囲の絶縁体1910との間に水またはスチームを流すためのチャネルを形成する溝またはノッチ1915を含む。別の実施形態では、強磁性コアの近位端および遠位端は平坦であり、絶縁体1910は、強磁性コアの近位端および遠位端と接触する表面に形成された溝またはノッチを含み、水およびスチーム流のチャネルを形成する。
図19Cは、図19Aの誘導加熱チャンバ1901の水平断面図である。誘導加熱チャンバ1901は、熱可塑性容器1905によって包囲された非熱可塑性絶縁体1910の第1部分によって包囲された強磁性コア1903を含み、熱可塑性容器1905は、非熱可塑性絶縁体1911の第2部分によって包囲されている。誘導コイル1909が、非熱可塑性絶縁体1911の第2部分の周りに巻き付けられている。一実施形態では、強磁性コア1903は、その外側表面に沿って複数のチャネル1999が形成されることで、近位領域内の水またはスチームが強磁性コア1903と非熱可塑性絶縁体1910の第1部分との間の遠位方向に流れ得るように成形する。
心臓アブレーション
図20Aは、本明細書の一実施形態による心臓アブレーションカテーテル2042を示し、図20Bは、図20Aの心臓アブレーションカテーテル2042によって実施される心臓切除を示す。心臓アブレーションカテーテル2042を使用して、心房細動等の不整脈を治療するために心臓組織を切除することができる。カテーテル2042は、外側シャフト2044によって被覆された細長い内側シャフト2043を含む。内側シャフト2043は、その遠位端の近位に膨張可能なバルーン2045を含む。膨張可能なバルーンは、バルーン2045から内側シャフト2043を通して空気源に延在する空気/蒸気チャネル2034、または、コントローラ2030とデータ通信し、コントローラ2030によって制御される第1のポンプ2033まで延在する第1ポンプ2033と流体連通している。空気源2033は、任意のフィルタ2038を介して外部環境から空気を引き込むことで、バルーン2045を充填する。一実施形態では、空気源または第1ポンプ2033は可逆的であり、それによって、必要に応じて、コントローラ2030によって送信される命令によって、空気をバルーン2045内またはバルーン2045外に送り出すことができる。半径方向延在部、カテーテル、または複数のセンサ、検出器、もしくは電極を含む任意の基材とすることができるマッピング部材2046は、バルーン2045の遠位に、内側シャフト2043の遠位端に取り付けられる。マッピング部材2046は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。外側シャフト2044の遠位端は、バルーン2045と外側シャフト2044との間の内側シャフト2043の一部が露出するように、バルーン2045に近位の距離で終端する。水2047は、第2ポンプ2032を介して、外側シャフト2044内の第1水ルーメン2035を通して滅菌貯水槽2031から汲み出すことができ、ここで、バルーン2045付近の空間を冷却するためにバルーン2045に近接して排出される。第2ポンプ2032を介して、内側シャフト2043の第2水ルーメン2036を通して滅菌貯水槽2031から水2037も汲み出すことができ、ここで、バルーン2045に遠位の空間を冷却するためにバルーン2045の遠位かつマッピング部材2046の近位で排出される。第1水ルーメン2035は、第2ポンプ2032から外側シャフト2044の遠位端まで外側シャフト2044内を延在している。第2水ルーメン2036は、第2ポンプ2032から内側シャフト2043の遠位端まで内側シャフト2043内を延在している。コントローラ2030は、第2ポンプ2032とデータ通信し、かつ第2ポンプ2032を制御しており、第2ポンプ2032は、水2047、2037を、ぞれぞれ、滅菌貯水槽2031から外側シャフト2044および内側シャフト2043の第1水ルーメン2035および/または第2水ルーメン2036内へと通過させるように構成される。バルーン2045は、その赤道に近接したアブレーションまたはホットゾーン2048と、内側シャフト2043を通して汲みだされた水2037によって冷却されるその上部半球2049内の第1コールドゾーンと、外側シャフト2044を通して汲みだされる水2047によって冷却されたその下部半球2050内の第2のコールドゾーンとを含む。アブレーションまたはホットゾーン2048の温度は、典型的には、60~100℃の間であり、コールドゾーン2049、2050の温度は、典型的には35~60℃の間であり、コールドゾーン2049、2050の温度は、コールドゾーン2049、2050がホットゾーン2048から離れて延在する故に低下する。赤道のホットゾーン2048は、バルーン2045の内側を加熱するために使用される蒸気によって加熱状態を維持し、冷却しないように、内側シャフト2043および外側シャフト204を通して汲み上げられる水2037、2047から十分に離れている。図20Bを参照すると、カテーテル2042のバルーン2045は、肺静脈2052に近接して心臓2051内に位置決めされている。蒸気によってバルーン2045に供給された熱は、ホットゾーン2048から標的心臓組織2053に伝達されて、組織2053を切除し、不整脈を治療する。ホットゾーン2048は、冷却のための水がバルーン表面と接触しない、標的心臓組織2053と接触するバルーンの部分を画定する一方、コールドゾーン2049、2050は、標的心臓組織2053と接触しないバルーンの部分とによって画定されることで、水がバルーン表面に接触して冷却することを可能にする。いくつかの実施形態において、2つの温度帯は、異なる熱伝導率を有する2つの異なる材料でバルーンを構成することによって画定することもできる。
図20Cは、心臓組織を切除するために図20Aのカテーテルを使用する方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ2054にて、不整脈を起こしやすい心臓領域をマッピングカテーテルを使用してマッピングする。ステップ2055にて、バルーンを第1圧力(P1)まで空気で膨張させて、バルーンを標的不整脈組織に接触させる。ステップ2056にて、水を注入してカテーテル、および任意にバルーンの上下半球を冷却する。いくつかの実施形態では、血液はバルーンの上下半球を冷却するのを助ける。ステップ2057にて、蒸気をバルーンに注入して、バルーンの内側を加熱しながら、同時にバルーンから空気を除去して、P1+/-25%に等しい第2圧力(P2)を維持する。バルーンに供給される蒸気の量も(空気を除去することなく)調整されて、P1+/-25%に等しい第2圧力(P2)を維持することができる。バルーン上のホットゾーンが注入された蒸気によって生成され、ステップ2058において、ホットゾーンを心臓組織に接触させ、その結果切除が行われる。
図20Dは、本明細書の他の実施形態による心臓アブレーションカテーテル2060を示している。カテーテル2060は、細長い本体2061と、近位端と、その近位端のポートによって供給される空気/水ルーメン2062および蒸気ルーメン2063を有する遠位端とを含む。空気/水ルーメン2062は、カテーテル2060の遠位端に取り付けられたマッピングバルーン2064と流体連通している。マッピングバルーン2064は、その壁の外面内または外面に取り付けられた複数のマッピング電極2066を含む。マッピング電極2066は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。蒸気ルーメン2063は、カテーテル2060の遠位端に取り付けられ、マッピングバルーン2064内に配置されたアブレーションバルーン2065と流体連通している。両方のバルーン2064、2065が膨張すると、マッピングバルーン2064の長さはアブレーションバルーン2065の長さよりも長くなり、アブレーションバルーン2065の直径は、マッピングバルーン2064の直径に近似する。使用時に、マッピングバルーン2064は水または空気で膨張し、アブレーションバルーン2065がマッピングバルーン2064と接触し、マッピングバルーン2064が両方のバルーン2064、2065の赤道付近の標的心臓組織と接触するように、アブレーションバルーン2066を蒸気で膨張させる。これにより、マッピングバルーン2064の赤道付近にホットゾーンまたはアブレーションゾーン2067が形成される。コールドゾーン2071は、膨張したアブレーションバルーン2065が膨張したマッピングバルーン2064と接触していないマッピングバルーン2064上に位置する。切除バルーン2065の内側からマッピングバルーン2064を通して心臓組織内に熱が伝達されて、組織が切除され、不整脈を治療する。
図20Eは、図20Dのカテーテル2060のマッピング電極2066を有するマッピングバルーン2064を示す。図20Fは、図20Dのカテーテル2060の中央シャフト部分の断面図を示す。カテーテル2060は、空気/水ルーメン2062とマッピング電極用のワイヤ2069とを含む区画化された外壁2068を含む。カテーテル2060は、蒸気ルーメン2063も含み、および一実施形態では、ガイドワイヤルーメン2070を含む。図20Gは、図20Dのカテーテル2060の遠位先端部分の断面図を示す。カテーテル2060は、その外壁に、または一実施形態では、マッピングバルーンの壁、蒸気ルーメン2063、およびガイドワイヤルーメン2070に内蔵された複数のマッピング電極2066を含む。
図20Hは、心臓組織を切除するために図20Dのカテーテルを使用する方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ2072にて、マッピングバルーンを第1圧力(P1)まで膨張させる。ステップ2073にて、マッピングバルーンを使用して不整脈領域をマッピングする。ステップ2074にて、アブレーションバルーンを空気を伴うまたは伴わない蒸気でP1よりも大きい第2圧力(P2)まで膨張させて、マッピングバルーンに接触させる。ステップ2075では、アブレーションバルーンがマッピングバルーンに接触しないコールドゾーンが存在する一方で、アブレーションバルーンがマッピングバルーンに接触し、マッピングバルーンが心臓組織に接触して、心臓組織を切除するホットゾーンがマッピングバルーンの表面に形成される。ステップ2076において、切除プロセスの間および後に電気的活動を監視して、不整脈病巣の完全な切除を記録する。任意に、ステップ2077にて、マッピング電極により組織インピーダンスおよび組織温度を監視して、切除を誘導する。任意に、ステップ2078にて、バルーンの遠位側のペーシングが切除の適切性を確認するために実行される。
図20Iは本明細書の別の実施形態による心臓アブレーションカテーテル2080を示し、図20Jは図20Iのカテーテル2080の細長い本体2081の中央部分の断面図を示し、図20Kは図20Iの心臓アブレーションカテーテル2080によって実施される心臓アブレーションを示す。図20I~図20Kを同時に参照すると、カテーテル2080は、細長い本体2081と、近位端と、その近位端のポートによって供給される空気/水ルーメン2082および蒸気ルーメン2083を有する遠位端とを含む。空気/水ルーメン2082は、カテーテル2080の遠位端に取り付けられたマッピングバルーン2084と流体連絡している。空気/水ルーメン2082は、任意に、(細長い本体2081の長さに沿って)複数のサブチャネルまたはルーメンを含むことで、カテーテル2080の近位端にて空気/水をルーメン2082に進入およびルーメン2082から排出することができる。マッピングバルーン2084は、その壁の外面内またはその外面に取り付けられた複数のマッピング電極2086を含む。マッピング電極2086は、不整脈の原因となる複数の領域の心臓組織をマッピングする。蒸気ルーメン2083は、カテーテル2080の遠位端に取り付けられ、マッピングバルーン2084内に配置され、マッピングバルーン2084内で同軸上に自由に移動可能であることにより、長手方向軸線2088に沿って複数の位置に位置付けられるアブレーションバルーン2085と流体連通している。例示的な実施形態によれば、カテーテル2080は、長手方向軸2088に沿って、第1位置2089aから第2位置2089bへと移動されるアブレーションバルーン2085を示す。
両方のバルーン2084、2085が膨張すると、マッピングバルーン2084の(長手方向軸線2088に沿った)長さは、アブレーションバルーン2085の(長手方向軸線2088に沿った)長さより大きくなり、アブレーションバルーン2085の直径は、マッピングバルーン2084の直径に近似する。使用時に、マッピングバルーン2084は水または空気で膨張され、アブレーションバルーン2085は蒸気で膨張され、アブレーションバルーン2085がマッピングバルーン2084に接触し、マッピングバルーン2084が肺静脈2002に近接する心臓2001内の第1位置2089aに近接する標的心臓組織と接触するように、(マッピングバルーン2084内で)第1位置2089aに配置される。これにより、第1位置2089aに近接するホットゾーンまたはアブレーションゾーン2087aが生成される。アブレーションバルーン2085の内側からマッピングバルーン2084を通して心臓組織内に熱が伝達され、第1位置2089aで組織を切除する。その後、アブレーションバルーン2085は、アブレーションバルーンがマッピングバルーン2084と接触し、マッピングバルーン2084が肺静脈2002内の第2位置2089bに近接する標的心臓組織と接触するように、(マッピングバルーン2084内の)第2位置2089bに移動される。これにより、第2位置2089bの近くにホットゾーンまたはアブレーションゾーン2087bが形成される。ここで、アブレーションバルーン2085の内側からマッピングバルーン2084を通して心臓組織の中に熱が伝達され、第2位置2089bで組織を切除する。膨張したアブレーションバルーン2085が膨張したマッピングバルーン2084と接触していないコールドゾーン2090が、マッピングバルーン2084上に配置される。マッピングバルーン2084およびアブレーションバルーン2085は、肺静脈2002内の(第1および第2位置2089a、2089bに関連する)空間に適合するように、第1および第2位置2089a、2089bにて異なるように膨張しなければならない場合があることを理解すべきである。
一態様によれば、マッピングバルーン2084は、(アブレーションバルーン2085と比較して)より可撓性を有しており、電極2086と心臓組織との間の電気的接触に十分な接触を生成するために、肺静脈2002の内腔等の解剖学的構造の形状に合わせるように自由形成または適合させることができる。アブレーションバルーン2085は、より堅固であり、標的心臓組織への熱エネルギーの理想的な供給のために標的組織との軸方向接触の地点(例えば、第1および第2位置2089a、2089bに対応する地点)でしっかりと接触することを意味する。
図20Lは、心臓組織を切除するために図20Iのカテーテルを使用する方法の一実施形態に伴うステップを示すフローチャートである。ステップ2010において、マッピングバルーンを空気を用いて第1圧力(P1)まで膨張させる。第1および第2の不整脈領域に対応する第1および第2位置は、ステップ2011において、マッピングバルーンを使用してマッピングされる。ステップ2012において、アブレーションバルーンをP1以上の第2圧力(P2)まで蒸気で膨張させて、第1位置にてマッピングバルーンに接触させる。一実施形態によれば、マッピングバルーン内を循環する空気は、マッピングバルーン内の圧力を0.1×P1~10×P2の間に維持しながら、60℃未満の温度を維持する。ステップ2013において、アブレーションバルーンがマッピングバルーンに接触していないコールドゾーンが存在する一方で、アブレーションバルーンがマッピングバルーンに接触し、マッピングバルーンが第1心臓組織に接触して、第1心臓組織を切除するホットゾーンが、第1位置にて、マッピングバルーンの表面上に形成される。ステップ2014において、電気的活動をアブレーションプロセスの間および後に監視して、第1不整脈病巣の完全な切除を記録する。任意に、ステップ2015にて、マッピング電極により、組織インピーダンスおよび組織温度を監視して、切除を誘導する。第1位置での切除が完了すると、ステップ2016において、アブレーションバルーンを第2の位置で、マッピングバルーンの表面にホットゾーンを形成するように移動させ、ここで、アブレーションバルーンはマッピングバルーンに接触するように移動され、マッピングバルーンを第2心臓組織に接触させて、第2心臓組織を切除する。第2位置において、切除プロセスのためにステップ2014および2015が繰り返される。当然のことながら、様々な実施形態において、アブレーションバルーンは複数の位置に移動することができ、従ってマッピングバルーンの表面に複数のホットゾーンを形成して、複数の位置に対応する心臓組織を切除することができる。
図21は、本明細書の一実施形態による、経中隔アプローチを介して心臓2102の左心房に導入された蒸気アブレーションカテーテル2101を示す。一実施形態では、先端が柔軟なワイヤ(図示せず)が蒸気アブレーションカテーテル2101の温麺を通して導入され、標的肺静脈内に誘導される。20~40mmの蒸気アブレーションバルーンがワイヤの先端に配置され、次いで、これが左心房のチャンバ内で膨張され、ワイヤを介して標的肺静脈の前庭部に誘導される。マッピングカテーテル2103もその部位に導入されて、切除を誘導する。
図22Aは、本明細書の一実施形態による、心臓アブレーションカテーテル2201を示している。カテーテル2201は、ハンドル2204を含む。カテーテル2201は、細長い本体2202と、近位端と、その近位端のポートによって供給される空気、水または生理食塩水のルーメン2209およびその近位端のポートによって供給される蒸気の温麺2206を有する遠位端とを含む。いくつかの実施形態において、蒸気2208がルーメン2206に注入されている間、空気/水または好ましくは生理食塩水2207が生理食塩水ルーメン2209内を循環して、本体2202を冷却する。本体2202の遠位端は、上記ルーメン2206と流体連通している引き込み式の針2205等の遠位アタッチメントを有する。引き込み式の針2205は、その遠位端に、少なくとも1つの開口部または注入ポートを有し、本体2202が、生理食塩水ルーメン2209内を循環する生理食塩水2207によって冷却されている間に、蒸気2208をそこから発散して、標的心臓組織を切除することを可能にする。様々な実施形態において、カテーテル2201は、カテーテル2201の遠位端に、アブレーションプロセスの最中および後に電気的活動を監視し、組織インピーダンスを測定して標的心臓組織の完全な切除を記録する、電気センサ等の複数のセンサと、蒸気ルーメン2206内の圧力を測定し、蒸気が所定の基準に達すると蒸気供給を停止する圧力センサと、組織温度を監視して切除を誘導する温度センサと、を含む。
遠位アタッチメントの形状およびサイズは、アブレーションによって治療すべき特定の解剖学的構造に適合するように様々な実施形態において変化することを理解されたい。例えば、図22Bは、遠位アタッチメントが断熱膜で被覆され細長い本体2202の遠位端に取り付けられている格納式ディスク2216である、心臓アブレーションカテーテル2215の別の実施形態を示している。カテーテルは、ハンドル2204を含む。使用時には、生理食塩水2207が生理食塩水ルーメン2209を通して循環し、細長い本体2202およびディスク2216の外面の冷却状態を維持する間、蒸気2208は蒸気ルーメン2206を通してディスク2216に供給される。標的組織を切除するために、蒸気2208は、少なくとも1つの注入ポートまたは格納式ディスク2216の遠位表面の開口部から注入される。様々な実施形態では、カテーテル2215は、カテーテル2215の遠位端に、アブレーションプロセスの最中および後に電気的活動を監視し、組織インピーダンスを測定して標的心臓組織の完全な切除を記録する、電気センサ等の複数のセンサと、蒸気ルーメン2206内の圧力を測定し、蒸気が所定の基準に達すると蒸気供給を停止する圧力センサと、組織温度を監視して切除を誘導する温度センサと、を含む。
図22Cは、遠位アタッチメントがカテーテル2220の遠位端の外側バルーン2224内に配置される内側バルーン2222を含む、心臓アブレーションカテーテル2220の更に別の実施形態を示す。カテーテルは、ハンドル2204を含む。外側バルーン2224は、誠意食塩水ルーメン2209と流体連通している一方、内側バルーン2222は、蒸気ルーメン2206と流体連通している。使用時には、外側バルーン2224を生理食塩水2207(または代替的に空気/水)で膨張させて、外側バルーン2224が、切除すべき標的組織を含む切除領域に接触することを可能にする。内側バルーン2222に蒸気2208を通過させて、内側バルーン2222を膨張させ、切除領域の近傍で外側バルーン2224に接触させる。様々な実施形態において、内側バルーン2222と外側バルーン2224との間の接触面積は、5%~95%であり、外側バルーン2224の遠位端または先端に位置する。一実施形態では、内側バルーン2222は、外側バルーン2224内で移動可能であり、従って、異なる周囲領域で外側バルーン2224に接触する。内側バルーン2222からの熱エネルギーが、外側バルーン2224を通過して、外側バルーン224の遠位端または先端に近接する切除領域まで通過するように、内側バルーン2222と外側バルーン2224との間の接触領域にホットゾーンが形成される。ホットゾーンを除く、細長い本体2202および外側バルーン2224の部分は、循環する生理食塩水2207により冷却状態を維持している。様々な実施形態において、カテーテル2220は、カテーテル2220の遠位端に、アブレーションプロセスの最中および後に、標的組織をマッピングするために組織インピーダンスを測定し、電気的活動を監視して標的組織の完全な切除を記録する、電気センサ等の複数のセンサと、蒸気ルーメン2206内の圧力を測定し、蒸気が所定の基準に達すると蒸気供給を停止する圧力センサと、組織温度を監視して切除を誘導する温度センサと、を含む。様々な実施形態において、生理食塩水2207は、カテーテルの近位端で生理食塩水ルーメン2209に進入し、外側バルーン2224を通して循環した後に、カテーテルの近位端から排出されることに留意されたい。
図23は、本明細書の一実施形態による、心臓の左心房2302を通過して肺静脈2303内に進入する心臓アブレーションカテーテル2301の一実施形態を示す。一実施形態では、カテーテルは、操縦可能な外側シース2304内に収納されている。カテーテルの遠位端には、空気が循環する外側バルーン2305が配置される。外側バルーンの内側には、水蒸気で充填された内側バルーン2306がある。当然のことながら、この場合のアブレーションゾーン2309は、組織-バルーンインタフェースを含む。マッピングカテーテル2307は、先端部2308によってバルーンに連結されている。
様々な実施形態において、本明細書の蒸気アブレーションシステムによって提供される切除療法は、心臓切除においては以下の治療目標を達成するために提供される。即ち、組織温度を100℃以下に維持する。食道組織を損傷することなく心臓組織を切除する。患者の少なくとも10%が少なくとも1週間は正常な洞調律に戻る。少なくとも10%の患者が少なくとも1週間は正常な洞調律を維持する。治療前の心房性不整脈発作の回数に対して、心房性不整脈発作の回数を少なくとも5%減少させる。治療前の上室性不整脈発作の回数と比較して、上室性不整脈発作の回数を少なくとも5%減少させる。治療前の心室性不整脈発作の回数に対して、心室性不整脈発作の回数を少なくとも5%減少させる。治療中または治療後の任意の時点での食道温度の上昇は8℃未満であり、または治療中または治療後の任意の時点での食道温度は45℃未満である。
図24は、心臓切除方法の一実施形態に伴うステップを列挙したフローチャートである。使用されるアブレーション装置は、図23を参照して説明されたものと類似している。ステップ2401において、10~40mmの蒸気アブレーションバルーンを経中隔アプローチを介して左心房に導入する。次に、ステップ2402において、先端が柔軟なワイヤを蒸気アブレーションカテーテルのルーメンを通して導入し、標的肺静脈内に誘導する。次に、バルーンを左心房の房内で膨張させ、ステップ2403にて、ワイヤを介して標的肺静脈の前庭部まで誘導する。次に、ステップ2404で、95~105℃の範囲の蒸気を内側バルーンに送り込み、バルーン/組織/血液インタフェースの温度変化によりバルーン表面との接触時に水に変換する。この蒸気の水への変換は、組織に熱を伝達する発熱反応であり、その結果、バルーン/組織インタフェースが、例えば60~100℃の間まで非常に高温になる。バルーン/組織インタフェースは極めて高温であるため、肺静脈組織に不可逆的な損傷が生じ、それによって組織が切除される。空気が外側バルーンを通して循環し、所望の内側バルーン組織インタフェースを除いて外側バルーンを内側バルーンから分離し、ステップ2405において、内側バルーンの表面の残りが、周囲の組織または血液と接触するのを阻止する。
図25Aは、心臓アブレーションカテーテル2502の一実施形態の側断面図を示し、遠位アタッチメントは、カテーテル2502の遠位端の外側バルーン2503内にある内側バルーン2504を備える。冷却流体は、外側バルーン2503を通して循環する一方、内側バルーン2504は蒸気または水蒸気で膨張される。一実施形態では、外側バルーン2503は、PET等のより硬い材料で構成され、内側バルーン2504は、ラテックス等のより柔軟な材料で構成されている。
カテーテル2502の近位端2502bには、蒸気および冷却水を運搬するためにそこを通して延在するチャネルまたはルーメン2508を有するハンドル2507が配置される。動作中、約100~120℃の温度の水蒸気/スチームがルアーコネクタ2510から入力され、カテーテル2502を介して内側バルーン2504に運搬される。これにより、内側バルーン2504が膨張して、アブレーションの領域に近接する外側バルーン2503に接触させることができる。内側バルーン2504と外側バルーン2503との間の接触領域にホットゾーン2509が形成され、それによって内側バルーン2504からの熱エネルギーが外側バルーン2503を通過して切除領域に達するようにする。ホットゾーン2509を除いて、細長い本体および外側バルーン2503の部分は、循環する水により冷却状態を維持する。上記のように、冷却流体およびスチームを運搬するためのチャネルがカテーテル2502に設けられる。冷却水は、カテーテルの近位端のチューブ2511からカテーテル2502に進入し、外側バルーン2503を通して循環した後に、カテーテルの近位端の別のチューブ2512から排出される。チューブ2511および2512のそれぞれに冷却流体を供給し、チューブ2511および2512のそれぞれから排出されることができるようにルアーコネクタ2513が設けられる。一実施形態では、水蒸気の入口にあるルアーコネクタ2510は、耐圧ルアーロックである。一実施形態では、冷却流体は水である。他の実施形態では、冷却流体は空気である。
一実施形態では、カテーテル2502の遠位端2502aと近位端2502bとの間のカテーテル2502の長さは約1800mmであり、マージンは±500mmである。一実施形態では、外側バルーン2502は、先細の端部を有するほぼ円筒形の形状である一方、内側バルーン2504は、ほぼ球形の形状である。一実施形態では、外側バルーン2503の2つの端部間の外側バルーン2503の全長は約83mmである一方、円筒形部分の長さは約60mmであり、マージンは±25mmであって、幅は約24mmであり、マージンは±15mmである。一実施形態では、内側バルーン2504の直径は、約25mmであり、マージンは±15mmである。
図25Bは、様々なルーメンを有するカテーテル2502の詳細な内面図を示す。図25Bを参照すると、中央ルーメン2501を使用して、蒸気を内側バルーン2504内に搬送している。第1外側ルーメン2514を使用して、冷却水をチューブ2511から外側バルーン2503内に搬送し、カテーテルの第2外側ルーメン2515を使用して、外側バルーンから戻ってくる冷却水を運搬し、チューブ2512を通して排出する。全てのルーメンは、補強のために別のチューブまたはハンドル2505に包囲されている。
一実施形態では、図25Bに示されるカテーテル2502のチャネルまたはルーメンは、適切な場所に開口部を有するように設計することで、内側バルーンへのスチームおよび外側バルーンの内外への冷却水等の流体の正しい流れを確実にする。図25Cは、カテーテル2502が内側バルーン2504および外側バルーン2503を通過するときの、カテーテル2502の流れ機構を示す。図25Cを参照すると、位置2520、2530、および2540におけるカテーテルルーメンの断面図が2521、2531、および2541として示されている。断面図の詳細は、2522、2532および2542に見ることができる。2522にて見ることができるように、チューブ内に開口部2522aがあることにより、外側バルーンからチャネル内に冷却水を進入させることができる。この冷却水は、ルーメンによって出口(図25Bのバイアルチューブ2512)まで運搬される。2542に見られるように、チューブ内に開口部2542aがあることにより、冷却水をチャネルから外側バルーンに流すことができる。この冷却水はチューブ2511(図25Bに示す)によって供給され、チャネルによって外側バルーンに運搬される。ステップ2532では、チャネル内に2つの開口部2532aおよび2532bが見られ、そこを通してスチームが中央ルーメン2532cから内側バルーンに供給される。
図26Aは、バルーンが非拡張状態にあるとき、即ちスチームで膨張していないときの内側バルーン(図25A、図25B、および図25Cに2504として示す)の側面断面図2601および斜視図2602を示す。図26Aを参照すると、一実施形態では、非拡張形態のバルーン2603は、ほぼ円筒形の形状を有し、両端部2604および2605にて先細になっている。図25Aに示すように、端部、チューブ状構造2606および2607内に延在しており、これにより、バルーンを通過するときにカテーテルを定位置に保持するのに役立つ。一実施形態では、非拡張状態のバルーンの全長は、約28mmであり、マージンは±15mmである一方、円筒形部分2609の長さは、約13.2mmであり、マージンは±10mmである。各管状セグメント2606、2607の長さは約4.9mmである一方、先細部分2604、2605の長さは各側で2.5mmである。一実施形態では、各管状セグメントの内径は約2.9mmであり、外径は3.7mmである。バルーン2609の最も広い部分の幅は約5.6mmであり、マージンは±2.5mmである。
図26Bは、バルーンが拡張状態にあるとき、即ちスチームで膨張しているときの内側バルーン(図25A、図25B、および図25Cに2504として示す)の側面断面図2611および斜視図2612を示す。図26Bを参照すると、一実施形態では、拡張形態のバルーン2613は、細長い回転楕円体の形状を有する。図25Aに示すように、チューブ状構造2616および2617は、バルーン内の2つの対向する側から延在しており、これにより、カテーテルがバルーンを通過するときにカテーテルを定位置に保持するのに役立つ。一実施形態では、管状セグメント2616、2617を含む、拡張状態のバルーンの全長は、約28mmであり、マージンは±15mmである一方、各個々のチューブセグメントの長さは、約4.8mmであり、マージンは±2.0mmである。一実施形態では、バルーン2613が拡張状態にあるとき、各管状セグメントの内径は約2.9mmである一方、外径は3.3mmであり、マージンは±2.0mmである。一実施形態では、細長い回転楕円体形状のバルーンの長軸2619の長さは、バルーンが膨張したときに、約23.8mmであり、マージンは±15mmである。
図27は、拡張状態の外側バルーン(図25A、図25B、および図25Cに2503として示す)の側断面図2701および斜視図2702を示す。図27を参照すると、一実施形態では、バルーン2703はほぼ円筒形の形状を有し、両端部2704および2705は先細になっている。図25Aに示されるように、端部は、チューブ状構造2706および2707内に延在しており、これにより、カテーテルがバルーンを通過するときにカテーテルを定位置に保持するのに役立つ。一実施形態では、管状構造2706、2707を含むバルーンの全長は約113±35mmである一方、円筒形部分2709の長さは約60±25mmである。各管状セグメント2706、2707の長さは約15mmであり、マージンは±約15mmである一方、先細部分2708の長さは12mmであり、各側のマージンは±10mmである。一実施形態では、各管状セグメントの直径は約3mmである。バルーン2709の円筒形部分の幅は、約24mmであり、マージンは±15mmである一方、バルーンの材料の厚さは、約0.10mmである。
図28は、図25Aにおいて2510として示される、カテーテルの近位端に配置された耐圧ルアーロック2800の側面図2801、側面断面図2802、および斜視図2803を示す。図28を参照すると、一実施形態では、ルアーロック2803は、ロック2803を取り扱うために中央にグリップ2804と、その遠位端2809に雄コネクタ2803と、その近位端2810に雌コネクタ2806とを含む。雄コネクタ2803は、先細端部2808を含み、図25Aのハンドル2507の近位端部に固定的に取り付けられて、カテーテル内の蒸気入口のためのルアーロックを形成するように構成される。雌コネクタ2806は、蒸気源の管を受けるための開口部2811と、前記蒸気源の管を固定するための溝2807とを含む。グリップ2804は、ロックを蒸気源に取り付けるときにロック2800を取り扱うために使用される。一実施形態では、ロック2800の全長は約21.9mmである。雌コネクタ2806では、外径は約7.5mmであり、内径は約4.2mmである。一実施形態では、雌コネクタ2806の幅は約4mmである。一実施形態では、雌コネクタ2806に溝2807がエッチングされ、それらは約0.6mmの均一な幅を有する。雄コネクタ2803の直径が先細になる直前の直径は約4mmである一方、直径は遠位端2809で3.3mmに減少している。一実施形態では、ロック2800は6%の標準テーパを有する。
一実施形態では、ルアーロック2800のグリップ2804は、約7mmの幅と約11mmの直径を有する。
子宮内膜アブレーション
図29Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーション装置を使用することによって女性の子宮内で実施される子宮内膜切除を示す。膣2970、子宮頸部2971、子宮2972、子宮内膜2973、卵管2974、卵巣2975および子宮底2976を含む女性生殖管の断面が示されている。アブレーション装置のカテーテル2977は、子宮頸管2971を通して子宮2972内に挿入される。一実施形態では、カテーテル2977は、2つの位置決め要素、円錐形位置決め要素2978およびディスク形位置決め要素2979を有する。位置決め要素2978は、円錐形位置決め要素2978を被覆する絶縁膜を有する円錐形である。円錐形要素2978は、カテーテル2977を子宮頸部2971の中心に位置決めし、断熱膜により、子宮口2971oを通して子宮頸部2971から熱エネルギーまたは切除剤が逃げるのを防ぐ。第2のディスク形位置決め要素2979は、カテーテル2977を腔の中央に位置決めするように子宮底2976に近接して配置される。切除剤2977aを子宮腔内に均一に供給するために、切除剤2978aを注入ポート2977aに通過させる。カテーテルの切除部分の所定の長さ「l」および位置決め要素2979の直径「d」から、腔の大きさを推定することができ、子宮内膜を切除するのに必要な熱エネルギー量を計算するために使用される。一実施形態では、位置決め要素2978、2979はまた、子宮内膜組織をカテーテル2977上の注入ポート2977aから離れるように移動させて、切除剤の供給を可能にするように作用する。子宮内膜表面の近くに配置された任意の温度センサ2907を使用して、切除剤2978aの供給を制御することができる。複数の赤外線、電磁気、音響または高周波エネルギーエミッタおよびセンサを使用する任意のトポグラフィーマッピングを使用して、筋腫等の状態に起因する不規則なまたは変形した子宮腔を有する患者の腔のサイズおよび形状を画定することができる。更に、診断検査からのデータを使用して、子宮腔の大きさ、形状、または他の特徴を確認することができる。
一実施形態では、切除剤は、冷却時に収縮する蒸気またはスチームである。スチームは、膨張する極低温剤や、体積が一定である水熱アブレーションで使用される高温流体と比較して、体積の小さい水に変化する。極低温剤および高温流体の両方では、エネルギー供給の増大は切除剤の体積の増大に関連し、即ち、薬剤を除去するための機構を必要とし、さもなければ医療提供者は穿孔等の合併症に遭遇する。しかしながら、冷却時にスチームは水に変化し、その体積は極めて小さく、従って、エネルギー供給の増加は、残留切除剤の体積の増加とは関連せず、それにより、継続的な除去の必要性を排除する。これは、卵管2974または子宮頸管2971を介した熱エネルギーの漏洩のリスクを更に低減し、従って、隣接する健康な組織への熱損傷の何らかのリスクを低減させる。
一実施形態では、位置決めアタッチメントは、0.1mmよりも大きい距離、好ましくは1mm、より好ましくは1cmの距離だけ切除領域から分離されなければならない。別の実施形態では、位置決めアタッチメントは、それが大きな表面積を被覆しない限り、切除領域内にあってもよい。子宮内膜切除術では、所望の治療効果を達成するために組織のうち100%を切除する必要はない。
一実施形態では、好ましい遠位位置決めアタッチメントは、身体中央領域に近接して配置された被覆されていないワイヤメッシュである。一実施形態では、好ましい近位位置決め装置は、子宮頸部内に引き込まれ、装置をセンタリングし、子宮頸部を閉塞する被覆されたワイヤメッシュである。1つ以上のこのような位置決め装置は、子宮内の解剖学的多様性を補償するのに役立ち得る。近位位置決め装置は、長軸が0.1mm~10cm(好ましくは1cm~5cm)、短軸が0.1mm~5cm(好ましくは0.5cm~1cm)の楕円形であることが好ましい。遠位位置決め装置は、直径が0.1mm~10cm、好ましくは1cm~5cmの円形であることが好ましい。
別の実施形態では、カテーテルは、外部カテーテルおよび内部カテーテルを含む同軸カテーテルであり、挿入時に、外部カテーテルの遠位端は、その遠位端が子宮底に接触するまで内部が子宮内に延在している間、頸部に係合し停止している。続いて、子宮内を通過した内部カテーテルの長さを用いて、子宮腔の深さを測定し、使用する切除剤の量を決定する。次いで、切除剤は、内部カテーテルの少なくとも1つのポートを介して子宮腔に供給される。一実施形態では、治療中、子宮内の腔内圧力は100mmHg未満に維持される。一実施形態では、同軸カテーテルは、更に、腔内圧力を測定するための圧力センサを含む。一実施形態では、同軸カテーテルは、更に、腔内温度を測定するための温度センサを含む。一実施形態では、切除剤はスチームであり、スチームは100mmHg未満の圧力でカテーテルから放出される。一実施形態では、スチームは90~100℃の温度で供給される。
図29Bは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織アブレーションに使用される同軸カテーテル2920の説明図である。同軸カテーテル2920は、内側カテーテル2921および外側カテーテル2922を含む。一実施形態では、内側カテーテル2921は、切除剤2924を供給するための1つ以上のポート2923を有する。一実施形態では、切除剤はスチームである。一実施形態では、外側カテーテル2922は、子宮外および膣内への蒸気の漏出を防ぐために子宮頸部と係合する複数のフィン2925を有する。一実施形態では、フィンはシリコーンからなる。一実施形態では、外側カテーテル2922は、内側カテーテル2921と外側カテーテル2922との間の蒸気の漏出を防ぐルアーロック2926を含む。一実施形態では、内側カテーテル2921は、外側カテーテル2922の先端を超えて、内側カテーテル2921の挿入深さを測定する測定マーキング2927を含む。任意に、様々な実施形態では、腔内圧力または温度を測定する1つ以上のセンサ2928が内側カテーテル2921に組み込まれる。
図29Cは、本明細書の一実施形態による、同軸アブレーションカテーテルを使用した子宮内膜組織アブレーションプロセスに伴うステップを列挙するフローチャートである。ステップ2902で、同軸カテーテルを患者の膣に挿入し、子宮頸部まで前進させる。次に、ステップ2904において、外側カテーテルのフィンが子宮頸部と係合するように同軸カテーテルを前進させ、その地点にて外側カテーテルの前進を効果的に停止する。次に、ステップ2906において、内側カテーテルの遠位端が子宮底に接触するまで、内側カテーテルを前進させる。次いで、ステップ2908において、内部カテーテル上の測定マーカーを使用して挿入深さを測定し、それによって、処置に使用する切除剤の量を決定する。ステップ2910で、2つのカテーテル間で蒸気が逃げるのを防ぐためにルアーロックを締結する。続いて、ステップ2912で、内側カテーテルのルーメンを通して内部カテーテル上の供給ポートを介して子宮内に蒸気を供給し、子宮内膜組織を切除する。
図29Dは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織切除に使用される分岐同軸カテーテル2930の説明図である。カテーテル2930は、近位端、遠位端および内部に第1ルーメンを有する第1細長シャフト2932を含む。第1ルーメンは、遠位端において分割されて同軸シャフト2933を形成する。第1シャフト2932の遠位端は、患者の頸部を閉塞する第1位置決め要素または頸部プラグ2934も含む。カテーテル2930は、頸部プラグ2934から遠位に延在するにつれて分岐して、第2カテーテルシャフト2935および第3カテーテルシャフト2936を形成する。第2および第3カテーテルシャフト2935、2936はそれぞれ、近位端、遠位端、および1つ以上の蒸気供給ポート2937を有するシャフト本体を含む。第2および第3カテーテルシャフト2935、2936は、切除剤を供給するために、それぞれ第2および第3ルーメンを含む。第2および第3カテーテルシャフト2935、2936の遠位端は、切除治療処置中に患者の卵管に係合して切除エネルギーが逃げるのを防ぐように設計された第2および第3位置決め要素、または卵管プラグ2938、2939をそれぞれ含む。卵管プラグ2938、2939はまた、患者の卵管の壁内部分または峡部に第2および第3シャフト2935、2936をそれぞれ位置決めするのに役立つ。第2および第3カテーテルシャフト2935、2936は独立して同軸に伸張可能であり、各シャフト2935、2936の長さを使用して、患者の子宮内膜腔の寸法を決定することができる。切除剤2940は、第1カテーテルシャフト2932を通過し、第2および第3カテーテルシャフト2935、2936の両方を通過し、蒸気送出ポート2937から排出されて子宮内膜腔内に進入し、子宮内膜組織を切除する。
図29Eは、本明細書の一実施形態による、図29Dのアブレーションカテーテルを使用して子宮内膜組織を切除する方法のステップを列挙したフローチャートである。ステップ2943で、同軸カテーテルを患者の子宮頸部に挿入し、子宮頸部を頸部プラグに係合させる。次いで、ステップ2944において、各卵管プラグが卵管開口部に接近するまでカテーテルを前進させる。次いで、ステップ2945において、各卵管を卵管プラグと係合させ、子宮内腔の寸法を測定する。測定は、前進された各カテーテルシャフトの長さに基づく。ステップ2946において、測定された寸法は切除を実行するのに必要とされる切除剤の量を計算するために使用される。次いで、ステップ2947において、計算された投与量の切除剤をカテーテルシャフトを通して子宮内膜腔内に供給し、所望の子宮内膜切除術を行う。
図29Fは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織アブレーションに使用される拡張可能要素2951、2953を有する分岐同軸カテーテル2950の図である。図29Dのカテーテル2930と同様に、図29Fに示すカテーテル2950は、近位端、遠位端および内側に第1ルーメンを有する第1の細長の同軸シャフト2952を含む。第1ルーメンは、遠位端で分割されて同軸シャフト2949を形成する。第1のシャフト2952の遠位端は、患者の頸部を閉塞する第1位置決め要素または頸部プラグ2954も含む。カテーテル2950は、頸部プラグ2954から遠位に延在するにつれて分岐し、第2カテーテルシャフト2955および第3カテーテルシャフト2956を形成する。第2および第3のカテーテルシャフト2955、2956はそれぞれ、近位端、遠位端、および1つ以上の蒸気供給ポート2957を有するテーテルシャフト体を含む。第2および第3カテーテルシャフト2955、2956は、切除剤を供給するために、それぞれ第2および第3ルーメンを含む。第2および第3カテーテルシャフト2955、2956の遠位端は、アブレーション治療処置中に患者の卵管に係合して、切除エネルギーの漏出を防ぐように設計された、第2および第3の位置決め要素、または卵管プラグ2958、2959をそれぞれ含む。卵管プラグ2958、2959は、患者の卵管の壁内部分または峡部に第2および第3のシャフト2955、2956をそれぞれ位置決めするのにも役立つ。第2および第3カテーテルシャフト2955、2956は独立して同軸に伸張可能であり、各カテーテルシャフト2955、2956の長さは患者の子宮内膜腔の寸法を決定するために使用される。
カテーテル2950は、更に、同軸バルーン構造を含む第1の拡張可能部材またはバルーン2951および第2の拡張可能部材またはバルーン2953を含む。一実施形態では、第1バルーン2951はコンプライアントバルーン構造であり、第2バルーン2953は子宮腔の形状、サイズまたは容積に近似するように成形されたノンコンプライアントバルーン構造である。別の実施形態では、第2のバルーン2953は、部分的にコンプライアントである。別の実施形態では、2つのバルーン2951、2953のコンプライアンスはほぼ同等である。バルーン2951、2953は、各シャフト2955、2956の内面に沿って第2および第3カテーテルシャフト2955、2956に取り付けられている。第1の内側バルーン2951は、第2の外側バルーン2953内に配置される。内側バルーン2951は、空気で膨張するように設計され、内側バルーン2951の第1容積を使用して、患者の子宮内膜腔の寸法を測定する。切除剤2961は、その近位端でカテーテル2950に導入され、第1カテーテルシャフト2952を通過し、第2および第3カテーテルシャフト2955、2956内に進入する。第2および第3カテーテルシャフト2955、2956は、児湯給ポート2957を通して、2つのバルーン2951、2953の間の空間2960内に切除エネルギー2962を放出するように設計される。一部の切除エネルギー2963は、内側バルーン2951内の空気に伝達され、その容積を前記第1容積から第2容積に拡張させ、その結果、前記内側バルーン2951を膨張させて、理想的な蒸気供給のために患者の子宮内膜腔を更に閉塞する。一実施形態では、第2容積は、第1容積よりも25%未満大きい。拡張はまた、卵管プラグ2958、2959を更に卵管の開口部に係合させる。切除剤または切除エネルギー2964の一部は、熱透過性外側バルーン2953から出て子宮内膜腔内に拡散し、子宮内膜組織を切除する。様々な実施形態では、バルーン内の空気の熱加熱は、内側バルーンの壁を通して、カテーテルの長さを通して、またはその両方を通して行われる。一実施形態では、カテーテル2950は、任意に、第1カテーテルシャフト2952から延在する、内側バルーン2951内の第2および第3カテーテルシャフト2955、2956の間の第4のカテーテルシャフト2965を含む。第4カテーテルシャフト2965からの熱エネルギーを使用して、内側バルーン2951を更に拡張して切除を助ける。
一実施形態では、内側バルーン2951の容積を使用して、外側バルーン2953によって子宮の壁に及ぼされる圧力を制御する。内側バルーン2951内の圧力を監視し、内側バルーン2951に空気を追加するか、または内側バルーン2951から空気を除去することで、外側バルーン2953内に望ましい治療圧力を維持する。
図29Gは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織2967の切除のために患者の子宮腔2966に挿入された図29Fのカテーテル2950の図である。第2シャフト2955が患者の子宮腔2966の第1側面に沿って位置決めされ、第3シャフト2956が前記第1側面の反対側の第2側面に沿って位置決めされるように、第1シャフト2952を患者の子宮頸部2968に貫通させてカテーテル2950を挿入する。この配置により、第2シャフト2955と第3シャフト2956との間に内側バルーン2951および外側バルーン2953を配置する。図示の実施形態では、カテーテル2950は、任意に、熱エネルギーで内側バルーン2951を更に膨張させ、子宮内膜組織2967の切除を支援する第4シャフト2965を含む。一実施形態では、内側バルーン2951は任意であり、外側バルーン2953は切除剤のサイズ決定および供給の両方の機能を果たす。一実施形態では、外側バルーンは、室温で閉口し、体温より高い温度で開口する感熱孔2969を含む。一実施形態では、孔は形状記憶合金(SMA)からなる。一実施形態では、SMAはニチノールである。一実施形態では、SMAのオーステナイト終了(Af)温度、またはマルテンサイトからオーステナイトへの変態が加熱時に終了する(合金が形状変化を受けて開気孔2969になる)温度は、37℃より高い。他の実施形態では、SMAのオーステナイト終了温度は50℃より高いが100℃未満である。
本明細書の一実施形態による、図29Fのアブレーションカテーテルを使用して子宮内膜組織を切除する方法のステップを列挙したフローチャートである。ステップ2980で、同軸カテーテルを患者の子宮頸部に挿入し、子宮頸部を頸部プラグに係合させる。次いで、ステップ2981において、各卵管プラグが卵管開口部に接近するまでカテーテルを前進させる。次いで、ステップ2982において、各卵管を卵管プラグに係合させ、これにより、子宮内腔内に同軸バルーンも配置し、子宮内膜腔の寸法を測定する。測定は、前進させた各カテーテルシャフトの長さと、内側バルーンを所定の圧力まで拡張させるのに必要な第1容積とに基づいている。ステップ2983で、内側バルーンを前記所定の圧力まで膨張させ、前記圧力での内側バルーンの第1容積を用いて、子宮内膜腔の容積を計算する。次いで、ステップ2984にて、測定された寸法を使用して、切除を実施するのに必要な切除剤の量を計算する。次いで、ステップ2985にて、計算された投与量の切除剤がカテーテルシャフトを通して同軸バルーン間の空間に供給される。切除エネルギーの一部は、内側バルーンに伝達されて、内側バルーンを第2容積まで拡張し、これにより、更に子宮内膜腔を拡張し、任意に、更に、必要に応じて、卵管プラグを卵管開口部に押し込み、熱エネルギーの逃げを防止する。切除エネルギーの他の部分は、熱透過性外側バルーンを通過して所望の子宮内膜切除をもたらす。
別の実施形態では、子宮内膜組織を切除するための蒸気アブレーション装置は、子宮頸管口を通して子宮内膜腔内に挿入されるように設計されたカテーテルを含み、カテーテルは蒸気発生のために蒸気発生器に接続され、子宮内膜腔内に配置された少なくとも1つのポートを含むことで、子宮内膜腔内に蒸気を供給する。蒸気はポートを通して供給され、子宮内膜腔内の空気を加熱して膨張させて、子宮内膜腔の圧力を200mmHg未満、理想的には50mmHg未満に維持する。一実施形態では、任意の圧力センサにより圧力を測定し、所望の治療レベルに腔内圧力を維持し、この場合、子宮内膜腔を超えて切除エネルギーが極度に漏出し、隣接する正常組織を損傷するリスクなしに、切除エネルギーの一様な分布を可能にするように子宮内腔を最適に拡張させる。
図29Iは、本明細書の別の実施形態による、子宮内膜組織アブレーションに使用される分岐同軸カテーテル2970の図である。子宮頸部にシールを形成することは、そのシールが閉鎖された腔を形成する故に望ましくなく、その結果、蒸気が子宮内に供給されると圧力が上昇する。これにより、子宮内空気の温度を上昇させ、熱膨張および更なる腔内圧力の上昇を引き起こす。この圧力の上昇により、蒸気または熱気を卵管から逃がし、腹部内臓に熱傷を引き起こし得る。これは、腔外への熱エネルギーの漏出を防ぐために、腔内圧力の連続的な測定および切除剤の能動的除去を必要とする。図29Iを参照すると、カテーテル2970は、同軸ハンドル2971と、第1位置決め要素2972と、その遠位端に第2位置決め要素2938iを有する第1分岐カテーテルアーム2935iと、その遠位端に第3位置決め要素2939iを有する第2分岐カテーテルアーム2936iと、各分岐カテーテルアーム2935i、2936iに沿った複数の注入ポート2937iと、を含む。カテーテル2970は、同軸ハンドル2971および第1位置決め要素2972を貫通する通気管2976も含み、その結果、第1位置決め要素2972が子宮頸部に対する位置に配置されると患者の子宮の内腔が患者の体の外側と流体連通するようにする。これにより、カテーテル2970が子宮頸部に挿入されたときに、気密シールが形成されるのを防ぐ。子宮頸管は通常閉鎖位置にある故、いかなる装置の挿入も不注意にも望ましくないシールの形成をもたらす結果となり得る。通気管は、蒸気の供給により膨張して腔内圧力が上昇すると、加熱された空気または追加の蒸気2940iが放出されることを可能にする。いくつかの実施形態では、通気管は一方向に空気を流すための弁を含む。
図29Jは、本明細書の更に別の実施形態による、子宮内膜組織アブレーションに使用される分岐同軸カテーテル2973の図である。カテーテル2973は、同軸ハンドル2974と、第1位置決め要素2975と、その遠位端に第2位置決め要素2938jを有する第1分岐カテーテルアーム2935jと、その遠位端に第3位置決め要素2939jを有する第2分岐カテーテルアーム2936jと、各分岐カテーテルアーム2935j、2936jに沿った複数の注入ポート2937jと、を含む。カテーテル2973はまた、同軸ハンドル2974および第1位置決め要素2975を貫通すう2つの通気管2991、2992も含み、その結果、第1位置決め要素2975が子宮頸部に対する位置に配置されると、患者の子宮の内腔が患者の体の外側と流体連通するようにする。これにより、カテーテル2973を子宮頸部に挿入したときに気密シールが形成されるのを防ぐ。通気管2991、2992により、加熱空気または追加の蒸気2940jが蒸気の供給により膨張し腔内圧力が上昇すると、それを放出させることができる。いくつかの実施形態では、通気管2991、2992は、一方向に空気を流すための弁を含む。
図29Kは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織アブレーションに使用される水冷式カテーテル2900kの図である。カテーテル2900kは、近位端および遠位端を有する細長い本体2901kを備える。遠位端は、組織切除のために蒸気2907kを供給するための複数のポート2905kを含む。シース2902kは、カテーテル2900kの本体2901kに沿ってポート2905kに近接する地点まで延在する。使用時には、水2903kをシース2902kを通して循環させて、カテーテル2900kを冷却する。アブレーションのための蒸気2907kおよび冷却のための水2903kは、その近位端でカテーテル2900kに供給される。
図29Lは、本明細書の別の実施形態による、子宮内膜組織切除において使用され、患者の子宮2907l内に配置された水冷式カテーテル2900lの図である。カテーテル2900lは、細長い本体2901l、近位端、遠位端、および本体2901lの近位部分を被覆するシース2902lを備える。シース2902lから延在し、シース2902lと流体連通しているのは子宮頸部カップ2904lである。カテーテル2900lは、更に、その遠位端に、切除蒸気2908lを子宮2907lに供給するように構成された複数のポート2906lを含む。蒸気2908lは、カテーテル2900lの近位端に供給される。ポート2906lは、シース2902lに対して遠位のカテーテル本体2901l上に配置されている。子宮頸部カップ2904lは、子宮頸部2909lを被覆するように構成され、シース2902lの遠位端は子宮頸管2910l内に延在している。水2903lをシース2902lおよび子宮頸部カップ2904lを通して循環させて、子宮頸管2910lおよび/または子宮頸部2909lを冷却しながら、蒸気2908lを蒸気供給ポート2906lを通して供給して子宮内膜ライニング2911lを切除する。
様々な実施形態では、本明細書の蒸気切除システムによって提供される切除療法は、子宮切除のための以下の治療目標を達成するために供給される。即ち、組織温度を100℃以下に維持する。治療前のヘモグロビンと比較して、患者のヘモグロビンを少なくとも5%または少なくとも1gm%増加させる。治療前月経血流と比較して、月経パッド重量による測定時に月経血流を少なくとも5%減少させる。子宮内膜組織のアブレーションを10%~99%の範囲とする。治療前月経流と比較して、月経流の持続時間を少なくとも5%減少させる。治療前無月経率と比較して、無月経率を少なくとも10%減少させる。患者の子宮切除処置に対する満足度を25%超にする。
図29Mは、本明細書の一実施形態による、頸部アブレーションに使用される水冷式カテーテル2900mの図であり、図29Nは、患者の頸部2909nに配置された図29Mのカテーテル2900mの図である。図29Mおよび29Nを同時に参照すると、カテーテル2900mは、細長い本体2901m、近位端、遠位端、およびその遠位端に配置された水冷式先端部2902mを含む。子宮頸部カップ2914mは、カテーテル本体2901mに取り付けられ、カテーテル2900mの近位端と流体連通する複数のポート2906mを含む。蒸気2908mがカテーテル2900mの近位端に提供され、ポート2906mを介して子宮頸部2909nに供給される。一実施形態では、蒸気2908mは、子宮頸部2909nにて変態ゾーン2912nを切除する。カテーテル2900mの水冷式先端部2902mは、切除中に頸管2910nを冷却する。
図29Oは、図29Mのカテーテルを用いて行われる頸部アブレーションに伴うステップを列挙したフローチャートである。ステップ2902oにおいて、カテーテルの子宮頸部カップが子宮頸部を取り囲むまで、カテーテルの遠位先端部を子宮頸管内に挿入する。ステップ2904oでは、水冷式先端部を通して水を循環させて子宮頸管を冷却する。ステップ2906oでは、蒸気が子宮頸管カップ内の蒸気供給ポートを通過して、子宮頸部を切除する。
様々な実施形態において、本明細書の蒸気切除システムによって提供される切除療法は、子宮頸管切除のための以下の治療目標を達成するために提供される。即ち、組織温度を100℃以下に維持する。子宮頸管に重大な損傷を与えずに子宮頸管粘膜を切除する。治癒時に、異常子宮頸管粘膜が正常子宮頸管粘膜に置換されるように、標的異常子宮頸管粘膜の表面積の少なくとも50%を切除する。コルポスコピーで評価された異常子宮頸粘膜を25%超除去する。異常子宮頸管粘膜の25%超および子宮頸管の全長の25%未満を切除する。
図30Aは、本明細書の一実施形態による、子宮内膜組織の切除方法を示すフローチャートである。図30Aを参照すると、第1ステップ3001は、アブレーション装置のカテーテルを子宮頸部を通して患者の子宮内に挿入するステップを含み、ここで、カテーテルは、切除剤が通過する中空のシャフトと、少なくとも1つの第1位置決め要素と、少なくとも1つの第1の位置決め要素に対して遠位に位置決めされた少なくとも1つの第2位置決め要素と、切除剤を供給するための少なくとも1つの注入ポートと、を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、切除剤の供給を制御するためのマイクロプロセッサを含むコントローラを含む。第1位置決め要素が子宮頸部内に配置され、第2位置決め要素が子宮腔内に配置されるように、カテーテルを子宮頸部に通過させる。一実施形態では、第2位置決め要素は、子宮底に近接して位置決めされる。ステップ3002において、2つの位置決め要素は、第1位置決め要素が子宮頸部に接触し、第2位置決め要素が子宮腔の一部に接触し、カテーテルおよび注入ポートが患者の子宮腔内に位置決めされるように配置する。最後に、ステップ3005において、子宮内膜組織を切除するために切除剤を注入ポートを通して供給する。
任意に、ステップ3003にて、センサを使用して子宮腔の少なくとも1つの寸法を測定し、ステップ300にて、その測定値を使用して供給すべき切除剤の量を決定する。
図30Bは、子宮筋腫を切除する方法を示すフローチャートである。図30Bを参照すると、第1ステップ3011は、子宮鏡を子宮頸部を通して患者の子宮内に挿入するステップを含む。次に、ステップ3012において、アブレーション装置のカテーテルを子宮鏡に通過させるが、ここで、カテーテルは、切除剤を移動させることができる中空シャフトと、その遠位端に穿刺先端と、少なくとも1つの位置決め要素と、カテーテルの遠位端に、前記子宮筋腫に切除剤を供給するように構成された複数の針と、を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、切除剤の供給を制御するためのマイクロプロセッサを含むコントローラを含む。カテーテルの穿刺先端が子宮筋腫を穿刺するように、カテーテルを子宮鏡に通過させる。次のステップ3013において、前記カテーテルの遠位端の複数の針が子宮筋腫内に位置決めされるように、少なくとも1つの位置決め要素を配置してカテーテルを子宮筋腫内に位置決めする。最後に、ステップ3014において、切除剤が針を通して供給されて、子宮筋腫を切除する。
前立腺
図31Aは、本明細書の別の実施形態による、水冷式カテーテル3100の図であり、図31Bは、カテーテル3100の先端の断面図である。次に、図31Aおよび図31Bを参照すると、カテーテル3100は、近位端および遠位端を有する細長い本体3105を備える。遠位端は、膨張可能なバルーン等の位置決め要素3125を含む。針等の複数の関連する熱伝導性要素3116を(カテーテル3100から30~90度の範囲の角度に)延在させて、複数の開口部3115を介して配置または引き込むことができるように、複数の開口部3115を遠位端に近接して配置する。一態様によれば、複数の引き込み式針3116は中空であり、スチームまたは蒸気3117等の切除剤を、針3116が複数の開口部3115を介して延在し、配置されるとき、針3116を通して供給することができる。複数の開口部3115を通って延びて展開される。シース3110は、複数の開口部3115を含むカテーテル3100の本体3105に沿って遠位端まで延在する。複数の開口部3115は、本体3105からシース3110を通して延在し、配置時に、複数の針3116がシース3110を越えて延在することを可能にする。使用時には、水または空気3120等の冷却流体をシース3110を通して循環させて、カテーテル3100を冷却する。切除のための蒸気3117および冷却のための冷却流体3120が、その近位端でカテーテル3100に供給される。
代替的な実施形態は、開口部3115が2つのバルーンの間に配置されるように、一方が遠位端にあり、他方が開口部3115に近接した2つの位置決め要素またはバルーンを含むことができることに留意されたい。
図32Aは、本明細書の一実施形態による、(2つの位置決め要素を有する図31Aのカテーテル3100のような)カテーテルを使用することによって男性泌尿器系内の拡大前立腺に対して行われる前立腺切除を示す。拡大前立腺3201、膀胱3202、および尿道3203を有する男性の尿生殖路の断面図が示されている。尿道3203は、拡大された前立腺3201によって圧縮される。アブレーションカテーテル3205は、閉塞部の遠位側の尿道3203内に配置された膀胱鏡3204を通過する。カテーテルを尿道3203の中心に位置決めするために位置決め要素3206を配置し、1つ以上の絶縁針3207を通過させて前立腺3201を突き刺す。蒸気除去剤3208を絶縁針3207に通して、結果として罹患前立腺組織を切除することで、前立腺の収縮に繋がる。
前立腺肥大の大きさは、前立腺外尿道と前立腺内尿道の差を使用して計算することができる。基準値をベースラインとして使用することができる。切除エネルギーが切除のために前立腺に供給されている間に尿道への損傷を防ぐために尿道への冷却流体の注入のための追加のポートを設けて、狭窄形成等の合併症を防ぐことができる。
一実施形態では、位置決めアタッチメントは、0.1mmよりも大きい距離、好ましくは1mm~5mmかつ2cm以下の距離だけ切除領域から分離されなければならない。別の実施形態では、位置決めアタッチメントを膀胱内に配置し、膀胱の尿道開口部/頸部内に引き戻してカテーテルを固定することができる。一実施形態では、位置決め装置は、直径が0.1mm~10cmの間である。
図32Bは、本明細書の一実施形態による、(1つの位置決め要素を有する図31Aのカテーテル3100のような)アブレーション装置を使用して男性泌尿器系の拡大前立腺3201に対して行われる経尿道前立腺切除の図である。図32Bには、膀胱3202および前立腺尿道3203も示されている。ハンドル3220および位置決め要素3228を有するアブレーションカテーテル3223を尿道3203内に挿入し、膀胱3202内に前進させる。位置決め要素3228を膨張させて、膀胱と尿道との接合部に引き込むことで、針3207を接合部から所定の距離に位置決めする。次に、プッシャー3230を使用して、針3207がカテーテル3223から尿道3203を通して前立腺3201へ30~90度の角度で押し出される。蒸気は、カテーテル3223のシャフトを通して移動するポート3238を通して投与され、針3207の開口部3237から前立腺組織内に排出され、前立腺組織を切除する。一実施形態において、針3207は絶縁されている。任意のポート3239により、前立腺尿道を冷却するために、開口部3240を通して37℃未満の温度の冷たい流体を挿入することができる。任意に、前立腺尿道の温度を検出し、蒸気の送出を調節する温度センサ3241を設置することができる。
図32Cは、本明細書の別の実施形態による、アブレーション装置を使用して男性の泌尿器系の拡大前立腺3201に対して行われる経尿道的前立腺切除の図である。図32Cには、膀胱3202および前立腺尿道3203も示されている。ハンドル3220および位置決め要素3248を有するアブレーションカテーテル3223を尿道3203に挿入し、膀胱3202内に前進させる。位置決め要素3248は、膀胱3202内で拡張され、膀胱と尿道との接合部まで引っ張られる圧縮性椎間板であって、接合部から所定の距離に針3207を位置決めする。次に、プッシャー3230を使用して、針3207がカテーテル3223から尿道3203を通して前立腺3201へ30~90度の角度で押し出される。蒸気は、カテーテル3223のシャフトを通して移動するポート3238を通して投与され、針3207の開口部3237を通して前立腺組織内に排出されて、前立腺組織を切除する。一実施形態において、針3207は絶縁されている。任意のポート3239により、開口部3240を通して37℃未満の温度の冷たい流体を挿入して、前立腺尿道を冷却することができる。任意の温度センサ3241を設置して、前立腺尿道の温度を検出し、蒸気の供給を調節することができる。
図32Dは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテルを使用した経尿道拡大前立腺アブレーションプロセスに伴うステップを列挙したフローチャートである。ステップ3212で、アブレーションカテーテル(図31Aのカテーテル3100等)を尿道に挿入し、その遠位端が膀胱内に入るまで前進させる。次いで、ステップ3214で、位置決め要素をカテーテルの遠位端に配置し、位置決め要素が膀胱と尿道との接合部に当接するようにカテーテルの近位端を引っ張り、それによってカテーテルシャフトを尿道内に位置決めする。ステップ3216で、カテーテルの近位端にあるプッシャーを作動させて、カテーテルシャフトから尿道を通して前立腺組織内に針を配置する。ステップ3218で、切除剤を針を通して前立腺に供給して、標的前立腺組織を切除する。
図32Eは、本明細書の一実施形態による、アブレーション装置を使用して男性の泌尿器系内の拡大前立腺に対して行われる経直腸的前立腺切除の図である。図32Eには、膀胱3202および前立腺尿道3203も示されている。アブレーション装置は、針先3224を有するカテーテル3223を含む。内視鏡3222を、拡大前立腺3201を視覚化するために直腸3221内に挿入する。様々な実施形態において、内視鏡3222は、放射線技術を用いて内視鏡を視覚化することができるように、エコー内視鏡または経直腸的超音波である。針先3224を有するカテーテル3223を内視鏡のワーキングチャネルに通過させ、針先3224を直腸から前立腺3201内に通過させる。カテーテル3223および針先3204の遠位端の拡大図を図32Gに示す。次に、切除のために針先3224を通して前立腺組織に切除剤を供給する。一実施形態において、カテーテル3223および針先3224は断熱材料からなる。様々な実施形態において、針先3224は、前立腺組織における正確な局在化のための放射線学的技術を使用して観察することができるエコーチップまたはソノルーセントチップである。一実施形態では、前立腺尿道3203を冷却するために流体を挿入する任意のカテーテル(図示せず)を尿道内に配置することができる。一実施形態では、挿入された流体は37℃未満の温度を有する。
本明細書の別の実施形態による、位置決め要素を有する同軸アブレーション装置を使用して、男性の泌尿器系内の拡大前立腺に対して行われる経直腸的前立腺アブレーションの図である。図32Fには、膀胱3202および前立腺尿道3203も示されている。アブレーション装置は、針先3224を有する内側カテーテルと位置決め要素3228を有する外部カテーテルとを有する同軸カテーテル3223を含む。内視鏡3222は、拡大前立腺3201を視覚化するために直腸3221内に挿入される。種々の実施形態において、内視鏡3222は、内視鏡が放射線写真技術を使用して視覚化され得るように、内視鏡または経直腸的超音波である。針先3224および位置決め要素3228を有する同軸カテーテル3223は、位置決め要素3228が直腸壁に対して静止し、内側カテーテルを直腸内に前進させ、それによって針先端部3224を前立腺3201における所定の深さに位置決めするように、内視鏡のワーキングチャネルを通過させる。カテーテル3223の遠位端および針先端部3204の拡大図を図32Gに示す。一実施形態では、位置決め要素は、第1の圧縮された使用前構成と、内視鏡3222の遠位端を超えて通過した後の、第2の拡張展開構成とを有する圧縮性ディスクである。次に、切除のために針先端部3224を通して前立腺組織に切除剤を供給する。一実施形態では、同軸カテーテル3223、針先端部3224、および位置決め要素3228は、断熱材で構成されている。様々な実施形態において、針先端部3224は、前立腺組織における正確な局在化のための放射線学的技術を使用して観察することができるエコーチップまたはソノルーセントチップである。一実施形態では、前立腺尿道3203を冷却するために流体を挿入する任意のカテーテル(図示せず)を尿道内に配置することができる。一実施形態では、挿入された流体は37℃未満の温度を有する。
図32Hは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテルを使用した経直腸的拡大前立腺切除プロセスに伴うステップを列挙したフローチャートである。ステップ3242において、前立腺の視覚化のために内視鏡を患者の直腸に挿入する。次いで、ステップ3244で、針先端部を有するカテーテルを内視鏡のワーキングチャネルを通して、かつ直腸壁を通して、前立腺内に前進させる。ステップ3246で、放射線学的方法を使用して、針を標的前立腺組織に誘導する。ステップ3248で、切除剤を針を通して前立腺に供給して、標的前立腺組織を切除する。
図33Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル3300を示す一方、図33Bはカテーテル3300の先端の断面図である。ここで図33Aおよび図33Bを参照すると、カテーテル3300は、近位端および遠位端を有する細長い本体3305を含む。複数の開口部3315および膨張可能なバルーン3325を遠位端に近接して配置する。複数の開口部3315により、針等の複数の関連する熱伝導性要素3316を(カテーテル3300から30~90度の範囲の角度で)延在させるか、または複数の開口部3315を通して引き込むことが可能となる。一態様によれば、複数の引き込み式針3316は中空であり、針が複数の開口部3315を通して延在し配置されたときに、スチームまたは蒸気3317等の切除剤を針3316を通して供給することを可能にする少なくとも1つの開口部を含む。複数の開口部3315は、配置されたときに複数の針3316がバルーン3325を超えて延在することができるように、本体3305からバルーン3325を通して延在している。
加熱チャンバ3310は、カテーテル3300の近位端に配置されている。加熱チャンバ3310は、強磁性コアの周りに巻かれた金属コイルを含む。チャンバ3310は、チャンバ3310の近位端の水入口ポート3311を介して水で充填されている。コイルに交流を供給して、強磁性コア内に電流の流れを誘起する磁界を生成し、それによってチャンバ3310を加熱し、その中の水を気化する。結果として生じるスチームまたは蒸気3317は、標的組織を切除するために針3316から排出される。バルーン3325は、チャンバ3310の近位端の冷却剤ポート3312を通してバルーン3325に供給される冷却剤を充填することによって膨張される。使用時には、チャンバ3310に生成された蒸気またはスチーム3317を、複数の針3316を通して供給しつつ、バルーン3325を冷却剤で膨張させる。針3316は使用中に標的組織に刺し込まれる故、刺し込まれた針3316を通して供給されたスチームまたは蒸気3317は、標的組織内の深部に位置する組織の切除を引き起こす。冷却剤を充填した膨張バルーン3325は、非標的組織の表面に接触し、非標的組織の表面の周囲温度を所望のレベル、例えばいくつかの実施形態では60℃未満に維持する。これにより、表面における非標的組織を円周方向に切除することなく、蒸気3317によってより深い標的組織を切除することができる。
図33Cは、本明細書の一実施形態による、図33Aのアブレーションカテーテル3300を使用して男性の泌尿器系の拡大前立腺に対して行われる前立腺アブレーションの図である。図33Cには、前立腺3330および前立腺尿道3332も示されている。次に、図33Aおよび図33Cを参照すると、加熱チャンバ3310および膨張可能な冷却バルーン3325を有するアブレーションカテーテル3300を患者の尿道に挿入し、切除すべき組織に近接して複数の開口部3315を位置決めするように、前立腺尿道3332内に前進させる。膨張させた冷却バルーン3325が、切除すべき前立腺組織に近接する前立腺尿道の表面に当接するように、冷却バルーン3325に、冷却剤ポート3312から供給される冷却剤を充填することによって膨張させる。次に、プッシャーを使用して、針3316は、カテーテル3300から前立腺3330内にある角度(様々な実施形態では30~90度の範囲)で押し出される。(水入口ポート3311を通る)水は、チャンバ3310内に投与され、ここで、スチームまたは蒸気3317に変換される。スチームまたは蒸気3317は、カテーテルの本体3305を通して移動し、針3316内の開口部から前立腺組織内に排出されることで、前立腺組織を切除する。一実施形態では、針3316は絶縁されている。冷却剤で充填された膨張バルーン3325は、いくつかの実施形態では、前立腺尿道組織の表面の周囲温度を、60℃未満等の所望のレベルに維持する。これにより、蒸気3317は、表面における前立腺尿道組織を円周方向に切除することなく、より深い前立腺組織を切除することができる。任意に、前立腺尿道の温度を検出して蒸気の供給を調節する温度センサを設置することができる。
図33Dは、本明細書の一実施形態による、図33Aのアブレーションカテーテル3300を使用した経尿道拡大前立腺切除プロセスに伴うステップを列挙したフローチャートである。ここで、図33Aおよび図33Dを参照すると、ステップ3340で、アブレーションカテーテル3300を尿道に挿入し、複数の開口部3315が前立腺尿道内の切除すべき前立腺組織に近接して配置されるまで前進させる。ステップ3342において、冷却バルーン3325を冷却剤ポート3312から供給される冷却剤で膨張させて、カテーテル3300を前立腺尿道内に固定し、切除すべき組織の表面の周囲温度を維持する。次に、ステップ3344では、プッシャーを使用して、針3316を、カテーテル3300から前立腺尿道を通して前立腺内に、望ましい深さまで、ある角度(様々な実施形態では30~90度)で押し出す。針3316の開口部から所望の深さで前立腺組織内に蒸気を供給することによって、前立腺尿道の表面を切除することなく前立腺組織を切除する。前立腺尿道の表面の温度を監視し、かつ前立腺尿道の表面の温度を例えば60℃未満に維持するために冷却剤の流れを制御または調整する温度センサが、任意に利用される。
図34Aは、本明細書の一実施形態による、アブレーションカテーテル3400を示し、図34Bはカテーテル3400の先端の断面図である。ここで、図34Aおよび図34Bを参照すると、カテーテル3400は、近位端および遠位端を有する細長い本体3405を備える。第1の複数の開口部3415と、第2の複数の開口部3418と、第1および第2の複数の開口部を被覆するシリコーンまたはテフロン(登録商標)膜3425を、遠位端に近接して配置する。第1の複数の開口部3415により、針等の複数の関連する熱伝導性要素3416を(カテーテル3400から30~90度の範囲の角度で)延在させ、または複数の開口部3415を通して引き込むことが可能となる。第2の複数の開口部3418により、カテーテル3400の近位端で冷却剤ポート3412を介して供給される冷却剤3419をアブレーションゾーンに供給することができる。一態様によれば、複数の引き込み式針3416は中空であり、針が第1の複数の開口部3415を通して延在され配置されたときに、針3416を通してスチームまたは蒸気3417等の切除剤の供給を可能にする少なくとも1つの開口部を含む。複数の開口部3415が、本体3405からバルーン3425を通して延在することで、配置時に複数の針3416が膜3425を越えて延在可能となる。針3416が展開されて標的組織内に刺し込まれると、膜3425が針3416を絶縁するように、針3416は、配置時に膜3425を貫通する。
加熱チャンバ3410は、カテーテル3400の近位端に配置される。加熱チャンバ3410は、強磁性コアの周りに巻かれた金属コイルを含む。チャンバ3410は、チャンバ3410の近位端の水入口ポート3411を介して水で充填される。コイルに交流を供給して、強磁性コア内に電流の流れを誘起する磁界を生成し、それによって、チャンバ3410を加熱し、その中の水を気化する。結果として生じるスチームまたは蒸気3417は、標的組織を切除するために針3416から排出される。チャンバ3410の近位端にある冷却剤ポート3412は、第2の複数の開口部3418を通して前立腺尿道に供給するための冷却剤3419を供給する。使用時には、冷却剤3419は、冷却剤開口部3418を通してアブレーションゾーンに供給される一方、チャンバ3410内で発生した蒸気またはスチーム3417は、複数の針3416を通して供給される。
使用時には、針3416が標的組織に刺し込まれる故、刺し込まれた針3416を通して供給されるスチームまたは蒸気3417は、標的組織内の深部に位置する組織の切除を引き起こす。冷却剤3419は、非標的尿道組織の表面に直接接触し、非標的組織の表面の周囲温度を所望のレベル、例えばいくつかの実施形態では60℃未満に維持することによって、非標的組織への臨床的に重大な熱損傷を防止または減少させる。これにより、蒸気3417が、表面における尿道組織を円周方向に切除することなく、より深い前立腺組織を切除することが可能となる。また、膜3425は、貫通針3416を絶縁し、冷却剤3419が針3416を著しく冷却するのを防ぐ。
図34Cは、本明細書の一実施形態による、図34Aのアブレーションカテーテル3400を使用して男性の泌尿器系の拡大前立腺に対して行われる前立腺アブレーションの図である。図34Cには、前立腺3430および前立腺尿道3432も示されている。ここで、図34Aおよび図34Cを参照すると、加熱チャンバ3410および膨張可能な冷却バルーン3425を有するアブレーションカテーテル3400を患者の尿道に挿入し、第1の複数の開口部3415および第2の複数の開口部3418を切除すべき前立腺組織に近接して位置決めするように、前立腺尿道3432内に前進させる。冷却剤3419を、第2の複数の開口部3418を通して前立腺尿道3432に供給する。次に、プッシャーを使用して、針3416をカテーテル3400から前立腺3415内にある角度(様々な実施形態では30~90度の範囲)で押し出す。押し出された針3416は、開口部3415を被覆する絶縁膜3425も穿孔する。
(水入口ポート3411を通した)水をチャンバ3410内に投与し、ここでスチームまたは蒸気3417に変換する。スチームまたは蒸気3417は、カテーテルの本体3405を通して移動し、針3416の開口部から前立腺組織内に排出されて、前立腺組織を切除する。針3416は膜3425を先行する一方で、針3416は、膜3421によって絶縁されている。冷却剤を充填した膨張バルーン3425、並びに、第2の複数の開口部3418を介して前立腺尿道3432に供給される冷却剤3419は、前立腺組織の表面上の周囲温度を、いくつかの実施形態では例えば60℃未満等の所望のレベルに維持する。これにより、蒸気3417が表面における前立腺尿道組織を切除することなく、より深い前立腺組織を切除することができる。前立腺尿道の温度を検出し、蒸気3417および/または冷却剤3419の供給を調節する温度センサを任意に設置することができる。
図34Dは、本明細書の一実施形態による、図34Aのアブレーションカテーテル3400を使用した経尿道拡大前立腺切除プロセスに伴うステップを列挙したフローチャートである。ここで、図34Aおよび図34Dを参照すると、ステップ3440で、アブレーションカテーテル3400を尿道に挿入し、第1の複数の開口部3415が前立腺尿道内の切除すべき前立腺組織に近接して配置されるまで前進させる。ステップ3442において、冷却バルーン3425を冷却剤ポート3412から供給される冷却剤で膨張させて、カテーテル3400を前立腺尿道内に固定し、切除すべき前立腺組織の表面の周囲温度を維持する。次に、ステップ3444にて、プッシャーを使用して、針3416をカテーテル3400からある角度(様々な実施形態では30~90度の間)で押し出して、絶縁膜3421を通して、前立腺尿道を通して前立腺内に所望の深さまで貫通させる。蒸気3417は、針3416の開口部から所望の深さで前立腺組織内に供給されることによって、前立腺組織の表面を切除することなく、前立腺組織を切除する。ステップ3446では、冷却剤3419を第2の複数の開口部3418を介して前立腺尿道に投与して、切除すべき前立腺組織の表面の周囲温度を維持する。膜3421により、穿刺針3416を前立腺尿道に投与される冷却剤3419から絶縁する。前立腺組織の表面の温度を監視し、前立腺組織の表面の温度を特定の温度、例えばいくつかの実施形態では60℃未満に維持するために冷却剤の流れを制御または調整する温度センサが任意に利用される。
図33Aおよび図34Aに戻ると、いくつかの実施形態によれば、シリンジポンプ等のポンプを使用して、加熱チャンバ3310、3410への水の流れを制御する。
様々な実施形態において、本明細書のカテーテルは、位置決め要素に取り付けられた少なくとも1つの熱伝導要素を更に含む。少なくとも1つの熱伝導要素は、標的組織に物理的に接触し、いくつかの実施形態では貫通し、切除のために標的組織への熱エネルギーの供給を増強するように構成される。図35Aは、アブレーションカテーテル3570の位置決め要素3571の一実施形態の図であり、そこに取り付けられた複数の熱伝導要素3572を示している。様々な実施形態において、位置決め要素3571は、膨張可能なバルーンである。位置決め要素、またはバルーン3571は、熱伝導要素3572を標的組織と接触させるように第1の容積まで膨張させる。次に、切除剤がカテーテル3570を通して標的組織に供給され、カテーテル3570の遠位端の少なくとも1つの供給ポートを介して排出される。切除剤からの熱エネルギーは、カテーテル3570のルーメンからバルーン3571内の空気中に伝達されバルーン3571の容積を更に拡張し、熱伝導要素3572を更に標的組織内に押し込む。バルーン3571内の空気からの熱エネルギーは、熱伝導要素3572に伝達され、切除のために標的組織内に放出される。様々な実施形態において、熱伝導要素3572は、中実または中空の金属スパイクまたは針を含む。様々な実施形態では、バルーン3571は断熱材料で構成されている故に、切除熱エネルギーは主に、熱伝導要素3572から標的組織に伝達される。
図35Bは、アブレーションカテーテル3570の位置決め要素3571の一実施形態の図であり、そこに取り付けられた複数の中空の熱伝導要素3573を示している。一実施形態では、中空の各熱伝導要素3573は、位置決め要素3571のルーメンから、中空の熱伝導要素3573のルーメンへの入口に弁3583を含む。様々な実施形態では、位置決め要素3571は、膨張可能なバルーンである。位置決め要素、またはバルーン3571は、熱伝導要素3572を標的組織に接触させるように第1容積まで膨張させる。次に、切除剤をカテーテル3570を通して標的組織に供給し、カテーテル3570の遠位端の少なくとも1つの供給ポートを介して排出する。切除剤からの熱エネルギーは、カテーテル3570のルーメンからバルーン3571内の空気中に伝達されて、バルーン3571の容積を更に拡張し、熱伝導要素3573を更に標的組織内に押し込む。バルーン3571内の空気からの熱エネルギーは、熱伝導要素3573に伝達され、切除のために標的組織内に放出される。様々な実施形態において、熱伝導要素3573は、中空の金属スパイクまたは針を含む。熱伝導要素3573は、熱伝導要素3573のルーメンと流体連通する少なくとも1つの開口部をそれらの遠位端に含み、熱伝導要素3573は、同様に、バルーン3571の内部と流体連通する。カテーテル3570の断面に見られるように、蒸気は第1通路3584をたどり、バルーン3571の内部から熱伝導要素3573を通して標的組織に排出される。一実施形態では、各熱伝導要素3573は、バルーン3571との接合部に配置されて、中空の各熱伝導要素3573への蒸気の流れを制御する弁3583を含む。一実施形態では、蒸気、バルーン3571の内部への第2経路3585もたどって、熱エネルギーを伝達し、バルーン3571の膨張を支援する。別の実施形態では、可撓性チューブ3586は、バルーン3571の内部を迂回して、各熱伝導要素3573のルーメンをカテーテル3570のルーメンに接続する。一実施形態では、チューブ3586は、シリコーンからなる。この実施形態では、蒸気は第1経路3584を介してのみ移動することができ、バルーン3571を膨張させるために空気3587が使用される。様々な実施形態では、切除熱エネルギーが主に熱導電要素3573から標的組織内に伝達されるように、バルーン3571は断熱材料から構成される。様々な実施形態において、熱伝導要素3573は、患者の体温より低い温度でカテーテル3570とほぼ平行である状態から、患者の体温より高い温度でカテーテル3570とほぼ垂直である状態へと形状が変化するように、形状記憶特性を有する。
図36は、上記のようなニードルカテーテル装置を使用して組織を切除する方法の一実施形態を示すフローチャートである。この装置は、中空シャフトを有する断熱カテーテルと、切除剤を通過させることができる引き込み可能な針と、切除剤を供給するための針上の少なくとも1つの注入ポートと、カテーテルの遠位端上の少なくとも1つの位置決め要素と、切除剤の供給を制御するためのマイクロプロセッサを含むコントローラと、を含む。図36を参照すると、第1ステップ3601において、位置決め要素が切除すべき組織に近接して位置決めされるようにカテーテルを挿入する。次のステップ3602は、注入ポートが組織に近接して配置されるように、針をカテーテルに貫通させるステップを伴う。最後に、ステップ3603において、組織を切除するために、注入ポートを通して切除剤を供給する。別の実施形態では、装置は位置決め要素を含まず、この方法は、切除すべき組織に近接して位置決め要素を配置するステップを含まない。
一実施形態では、図35Aおよび図35Bに記載されているニードルカテーテル装置は、粘膜下組織の蒸気切除にも使用される。
図37は、上述したものと同様のニードルカテーテル装置を用いた粘膜下組織の切除方法を示すフローチャートである。図37を参照すると、第1ステップ3701において、内視鏡を、その遠位端が切除すべき組織に近接している状態で体腔内に挿入する。次に、ステップ3702において、粘膜下腔を蒸気供給針を用いて穿刺し、この針はカテーテルによって内視鏡のワーキングチャネルを通過する。次に、ステップ3703において、粘膜下腔内に蒸気を供給して、不可逆的または有意に深部筋層または漿膜を切除することなく、主に粘膜下組織および/または粘膜を切除する。一実施形態において、ステップ3704では、組織学的評価のために、スネアまたはニードルナイフで任意に粘膜を切除することができる。
別の実施形態では、本明細書は、前立腺組織の切除用の形状変化針を開示する。図38は、形状変化針の例示的な図である。図38を参照すると、針3801aは、ニチノール等の可撓性材料で構成されており、-30~120°の範囲の曲率を有する。一実施形態では、熱が針3801aに加えられると、3801bで示されるように、その曲率が増加する。一実施形態では、25℃~75℃の範囲の温度上昇に対して、針の曲率の上昇は-30~120℃の範囲である。一態様によれば、針3801aは中空であり、針を通るスチームまたは蒸気等の切除剤の供給を可能にする少なくとも1つの開口部を含む。
図39は、本明細書の一実施形態による、形状変化針を利用するアブレーション装置を使用して男性の泌尿器系の拡大前立腺3901に対して行われる経尿道的前立腺切除の図である。図39には、膀胱3902および前立腺尿道3903も示されている。ハンドル3920および位置決め要素3928を有するアブレーションカテーテル3923を尿道3903に挿入し、膀胱3902内に前進させる。一実施形態では、位置決め要素3928を拡張し、膀胱と尿道との接合部に引っ張ることで、接合部から所定の距離に針3907aを位置決めする。次に、ハンドル3920に連結されたプッシャー(図示せず)を使用して、針3907aを、カテーテル3923から尿道3903を通して前立腺3901内に10~45度の角度で押し出す。蒸気はポート(図示せず)を通して投与され、カテーテル3923のシャフトを通して移動し、針3907aの開口部3937から前立腺組織内に排出されて、前立腺組織を切除する。一実施形態によれば、蒸気の供給により針を加熱し、蒸気が供給されている間、針はほぼ直線的な形状3907aから湾曲した形状3907bに変化する。蒸気の供給が停止すると、針は元の真っ直ぐな形状に戻ることにより、カテーテル内に容易に後退することができる。針の機械的形状変化は、前立腺組織内での切除エネルギーのより効果的な分配を可能にする。
図40Aは、カテーテル本体に取り付けられた針4073を有するアブレーションカテーテル4070の位置決め要素4001の一実施形態の図である。様々な実施形態において、位置決め要素4001は、膨張可能なバルーンである。位置決め要素、またはバルーン4001を第1容積まで膨張させることにより、膀胱頸部4050から所定の距離に針4073を位置決めし、それらを標的組織と接触させる。一実施形態では、スチームまたは蒸気等の切除剤をカテーテル4070を通して標的組織に供給する。カテーテルのシャフト4071を通して移動すると、蒸気は針4073の開口部(図示せず)から前立腺組織に排出されることによって、前立腺組織を切除する。一実施形態では、バルーン4001は、異なるサイズに拡張することができる。一実施形態では、この特徴を用いてバルーン4001を異なるサイズに漸進的または逐次的に膨張させることによって、膀胱頸部4050から様々な固定距離4051、4052に針を位置決めし、前立腺組織の個別領域の治療を可能にする。一実施形態では、針を配置するためにバルーンを使用することができる所定の距離は、膀胱頸部から1mm~50mmの範囲である。
図40Bに示す別の実施形態では、複数の膨張可能なバルーン4011、4012、4013が位置決め要素として使用されている。これらのバルーンは、膀胱頸部4060から様々な固定距離4061、4062に針4083を位置決めするために使用することができ、前立腺組織の個別の領域の治療を可能にする。切除すべき組織の領域に応じて、複数のバルーンのうち任意の1つを膨張させることができることに留意されたい。バルーンはまた、標的組織の包括的な被覆を可能にするために、順次に切除されてもよい。一実施形態では、バルーンの数は1~5の範囲である。
図40Cは、本明細書の一実施形態による、カテーテル4091の遠位先端の断面図を示す。一実施形態では、前立腺組織の切除のために、使用されるカテーテルの内径(ID)は約4mmであり、外径(OD)は約6mmである。針等の複数の熱伝導性要素4090は、カテーテル4091からある角度で延在しており、その角度は30~90度の範囲である。一実施形態では、針は切除後にカテーテル内に引き込まれてもよい。
一実施形態では、バルーンは切除の前に膨張させる。別の実施形態では、スチームまたは蒸気等の切除剤も熱エネルギーを伝達し、バルーンの拡張を助ける。即ち、切除剤からの熱エネルギーはカテーテルのルーメンからバルーン内の空気に伝達され、バルーンの体積を更に拡張し、針を標的組織内に更に押し込む。更に別の実施形態では、バルーンは、カテーテルの近位端にある冷却剤ポートを通してバルーンに供給される冷却剤で満たすことによって膨張させる。使用時には、バルーンは、蒸気またはスチームが複数の針を通して供給されている間に冷却剤で膨張させる。使用中に針が標的組織に刺し込まれる故に、刺し込まれた針を通して供給されるスチームまたは蒸気は、標的組織内の深部に位置する組織の切除を引き起こす。冷却剤を充填した膨張バルーンは、標的組織の表面と接触し、標的組織の表面上の周囲温度を所望のレベル、例えばいくつかの実施形態では60℃未満に維持する。これにより、表面における組織を切除することなく、蒸気がより深い組織を切除することが可能となる。
図41は、前立腺組織を切除するときに、様々な挿入深さにて針を配置および回収するために使用することができるハンドル機構4100の一実施形態を示す。図41を参照すると、一実施形態では、ハンドル4100は、ハンドヘルドガンまたはピストルのような形状であり、それによって、医師は前立腺組織の治療のために便利に操作することができる。ハンドルの先端部4101はスロットを備えており、そこにアブレーションカテーテル4102を挿入して患者の尿道に通過させることができる。上記の実施形態で説明したように、アブレーションニードルはカテーテルに結合され、標的組織にスチームまたは蒸気を供給するために使用される。ハンドル4100の上部には、針の挿入深さを示すマーカー4103が配置されている。マーカーは、印刷、エッチング、塗装、彫刻によって、または目的に適した当技術分野で公知の他の任意の手段を使用することによって配置することができる。一実施形態では、アブレーションニードルは、5mm等の固定距離の増分で挿入または後退させることができ、従って、マーカーは増分を反映するように対応して配置される。マーカー上にボタン4105が設けられており、これはカテーテルおよび針が予め設定された距離だけ前進または後退するたびに、マークによって前進または後退する。一実施形態では、トリガ4104がハンドル機構に設けられており、トリガを押して、予め設定された距離の増分のために針を前進させることができる。一実施形態では、マーカー上のボタン4105によって示されるように、トリガを繰り返し押すことによって針が最大距離まで前進すると、トリガを更に押すことによって針が後退し、一度に距離が1インクリメント増加する。上記の実施形態で説明したように、カテーテルは、カテーテルおよび針が尿道内で一定距離を超えて前進することを可能にしないバルーン等の位置決め要素も備えていることに留意されたい。
一実施形態では、カテーテルおよび針の移動方向を制御するために回転または押圧され得るノブまたはボタン4106が設けられる。即ち、ノブ4106を使用して、トリガ4104が押されるたびに、カテーテルおよび針が前方(前進)または後方(後退)のいずれに移動されるかを決定することができる。
一実施形態では、ハンドル機構4100は、カテーテル4102に供給するためのスチームまたは蒸気を発生させるために使用される加熱チャンバ4110も含む。加熱チャンバ4110は、強磁性コアの周りに巻かれた金属コイル4112を含む。チャンバは、ハンドル機構4100の近位端に位置する水入口ポート4111を介した水で充填される。一実施形態では、蒸気に変換するために、滅菌水が水源からハンドルに供給される。ハンドルは、電流発生器からの電流をコイル4112に供給するための電気接続部4108も備える。交流がコイル4112に供給されることによって、強磁性コア内に電流を誘発させる磁界を生成する。これにより、チャンバ4110内で加熱が起こり、内部の水が気化する。チャンバ4110内で生成された、結果として生じるスチームまたは蒸気は、標的組織を切除するために適切な位置に配置された針を通して供給される。
一実施形態では、必要に応じて、切除治療を開始または停止するために、開始/停止ボタン4107もハンドル4100に設けられている。
本明細書の一実施形態による、前立腺組織の切除方法を示すフローチャートである。図42Aを参照すると、第1ステップ4201は、アブレーション装置のカテーテルを患者の尿道に通過させるステップを含み、カテーテルは切除剤を通過させることができる中空シャフトと、少なくとも1つの第1位置決め要素と、前記少なくとも1つの第1位置決め要素に遠位に配置された少なくとも1つの第2位置決め要素と、切除剤を受容するための少なくとも1つの入力ポートと、前記第1および第2位置決め要素の間で前記カテーテル上に位置決めされ、かつ、切除剤を前立腺組織に供給するように構成される複数の針と、を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、切除剤の供給を制御するためのマイクロプロセッサを含むコントローラを含む。第1の位置決め要素が切除すべき前立腺組織の近位に位置決めされ、第2位置決め要素が切除すべき前立腺組織の遠位に位置決めされるように、カテーテルを尿道に通過させる。次に、ステップ4202において、位置決め要素が尿道に接触し、カテーテルが切除すべき前立腺組織に近接して尿道内に位置決めされるように、位置決め要素を配置する。次のステップ4203では、複数の針を尿道を通して切除すべき前立腺組織内に通過させる。最後に、ステップ4204において、切除剤を針を通して供給して、前立腺組織を切除する。任意に、ステップ4205で、センサを使用して前立腺のパラメータを測定し、ステップ4206で、この測定結果を使用して、供給される切除剤の流れを増減する。任意に、一実施形態では、膀胱鏡を最初に患者の尿道に挿入し、カテーテルを膀胱鏡を通して挿入する。
本明細書の別の実施形態による前立腺組織の切除方法を示すフローチャートである。図42Bを参照すると、第1ステップ4211は、カテーテルを患者の尿道に通過させるステップを含み、カテーテルは切除剤が移動可能な中空シャフトと、少なくとも1つの第1位置決め要素と、前記少なくとも1つの第1位置決め要素より遠位に位置決めされる少なくとも1つの第2位置決め要素と、切除剤を受容するための少なくとも1つの入力ポートと、前記第1および第2の位置決め要素の間で前記カテーテル上に位置決めされ、かつ、切除剤を前立腺組織に供給するように構成される複数の針と、を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、切除剤の供給を制御するためのマイクロプロセッサを含むコントローラを含む。カテーテルは、第1位置決め要素が切除すべき前立腺組織に近接して位置決めされ、第2位置決め要素が患者の膀胱内に位置決めされるように、尿道を通過する。次に、ステップ4212において、第2位置決め要素が膀胱頸部の尿道開口部に当接するように、第2位置決め要素を配置し、カテーテルが引き戻される。4213では、カテーテルが切除すべき前立腺組織に近接して尿道内に位置決めされるように、第1位置決め要素を配置する。次のステップ4214では、複数の針が尿道を通して切除すべき前立腺組織内を通過する。最後に、ステップ4215において、切除剤が針を通して供給されて、前立腺組織を切除する。任意に、一実施形態では、膀胱鏡が最初に患者の尿道に挿入され、カテーテルが膀胱鏡を通して挿入される。様々な実施形態において、位置決め要素の配置の順序は逆にすることができる。他の実施形態では、治療を供給するために2つの位置決め要素のうちの一方のみを展開することができる。
様々な実施形態において、本明細書の蒸気切除システムによって提供される切除療法は、前立腺切除のための以下の治療目標を達成するために供給される。即ち、組織温度を100℃以下に維持する。治療前の尿流に対して患者の尿流を少なくとも5%改善する。治療前の前立腺の量に対して少なくとも5%前立腺の量を減少させる。尿道組織を円周方向に切除することなく前立腺組織を切除する。図43Aに示されるIPSS質問表は、各質問についての数値スコア4381を有する患者の排尿習慣に関する一連の質問4380を含む、治療前IPSSスコアと比較して国際前立腺症状スコア(IPSS)を少なくとも5%改善する。図43Bに示すBPHIIQは、各質問に対する患者の尿路問題に関する一連の質問4385を含む、良性前立腺肥大影響指数アンケート(BPHIIQ)スコアを治療前のBPHIIQスコアと比較して少なくとも10%改善する。切除処置に対する患者の満足度を25%超にする。
上記の例は、本発明のシステムの多くの用途の単なる例示である。本発明のいくつかの実施形態のみが本明細書に記載されているが、本発明は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の多くの特定の形態で具体化され得る。従って、本実施例および実施形態は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は添付の特許請求の範囲内で変更され得る。