様々な実施形態では、本明細書において説明する焼灼デバイスおよびカテーテルは、2015年1月12日付けで出願された「Method and Apparatus for Tissue Ablation」と題する米国特許出願第14/594,444号明細書であって、2017年2月7日付けで発行された米国特許第9,561,068号明細書に記載されている加熱システムのうちの任意の1つまたは複数のものと組み合わせて使用されるものであり、その特許文書は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
「処置する」、「処置」、およびその変形は、疾患に関連する1つまたは複数の症状または兆候の、程度、頻度、または重症度、における何らかの減少を指す。
「持続時間」およびその変形は、疾患が解決されたために処置が終了したか、または何らかの理由で処置が中断されたかにかかわらず、開始から終了までの、所定の処置に関する時間経過を指す。処置の持続時間にわたって、1つまたは複数の所定の刺激が対象者に対して適用される複数の処置期間を規定してもよい。
「期間」とは、所定の処置計画の一部として、「投与量」の刺激が対象者に対して適用される時間を指す。
「および/または」という用語は、列挙された要素のうちの1つまたはすべてを意味する、あるいは、列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組合せを意味する。
本出願の明細書および特許請求の範囲において、「備える」、「含む」、および「有する」という各語句ならびにその形態のそれぞれは、それらの語句が関連し得るリスト内の構成部材に必ずしも限定されるものではない。「含む」という用語およびその変形は、これらの用語が本明細書および特許請求の範囲に現れる場合には、限定的な意味を有していない。本明細書では、別の態様が明確に指示されていない限り、特定の実施形態に関連して説明する任意の特徴点または構成要素を、任意の他の実施形態とともに使用して実装し得ることに、留意すべきである。
特に明記しない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」は、互換的に使用され、1つまたは複数を意味している。
「コントローラ」という用語は、1つまたは複数の処理要素が、1つまたは複数のメモリ要素に格納されたプログラムによる命令を実行するように構成されているランダムアクセスメモリまたは読み取り専用メモリなどのメモリ要素とデータ通信する、集積回路、特定用途向け集積回路、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ、などの複数の処理要素によって規定される統合ハードウェアおよびソフトウェアシステムを指す。
「蒸気生成システム」という用語は、本出願において説明するような、水から水蒸気を生成するための、ヒータまたは誘導ベースのアプローチのうちの、いずれかまたはすべてを指す。
「冷媒」、「冷却剤」、および「断熱剤」という用語は、互換的に使用してもよく、空気、水、またはCO2、を指してもよい。
「心臓組織」という用語は、肺静脈の一部、肺静脈口、左心房と肺静脈との接合部、心房、左心耳、これらに隣接する組織、あるいは、心臓の他の部分や隣接組織、を指す。
個別のステップを含む本明細書に開示された任意の方法について、ステップは、任意の実行可能な順序で実施してもよい。また、必要に応じて、2つ以上のステップの任意の組合せを、同時に実施してもよい。
また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、等を含む)。特段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、分子量、および同種のもの、を表すすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして、理解されるべきである。したがって、特段に逆の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本明細書によって得られるべき所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、また、通常の丸め技法(rounding technique)を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
本明細書の広範な範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、すべての数値は、それぞれのテスト測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
本明細書のデバイスおよび方法は、再上皮化を伴う完全な治癒を引き起こし得る態様で、ターゲット組織の制御された限局的なまたは円周方向の焼灼を様々な深さまで引き起こすために、使用することができる。加えて、蒸気を使用して、良性および悪性の組織成長を処置/焼灼することができ、これにより、焼灼された組織を、破壊して液化して吸収することができる。投与量および処置方法は、組織の種類に基づいて、および、必要とされる焼灼の深さに基づいて、調整することができる。焼灼デバイスは、心不整脈、心房細動、心室細動、心耳の縮小または閉塞、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎/非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH/NAFLD)、喘息、の処置のために使用することができ、また、炎症性病変、腫瘍、ポリープ、および血管病変、などの、任意の粘膜、粘膜下、または周辺病変、の処置のために使用することができる。焼灼デバイスは、また、身体内の任意の中空器官または中空の体腔の限局的なまたは周辺粘膜のまたは粘膜下の病変の処置のためにも、使用することができる。中空器官は、血管などの血管構造、心臓組織、肺動脈または肺静脈、肺静脈口、左心房、心室組織、左心耳、腎臓の動脈/静脈/神経、肝臓の動脈/静脈/神経あるいは門脈、ならびに、気管支または気管支神経、のうちの1つとすることができる。焼灼デバイスは、内視鏡的に、放射線的に、外科的に、または直接的な視覚化の下に、配置することができる。様々な実施形態では、無線内視鏡または単一ファイバ内視鏡を、デバイスの一部として組み込むことができる。別の実施形態では、磁気ナビゲーションまたは定位ナビゲーションを使用して、カテーテルを所望の位置にナビゲートすることができる。放射線的な位置特定のために、放射線不透過性材料または音波透過性材料を、カテーテルのボディ内に組み込むことができる。鉄材または強磁性材料をカテーテル内に組み込むことができ、磁気ナビゲーションを支援することができる。
水蒸気、加熱ガス、あるいは、限定するものではないが液体窒素や液体CO2のような寒剤、などの焼灼剤は、安価で容易に入手可能であり、焼灼ターゲットをなす組織であるとともに一定の距離に固定的に保持された組織上へと、注入ポートを介して案内される。これにより、ターゲット組織上に焼灼剤を均一に分布させることができる。本明細書に関して、好ましい焼灼剤は、生理食塩水または炭酸生理食塩水の供給源から生成された高温蒸気である。いくつかの実施形態では、焼灼剤は、電気穿孔を達成するために、高周波としてまたは電気パルスとして供給される電気エネルギを含む。
焼灼剤の流れは、焼灼すべき組織の特性に基づいて、また、必要とされる焼灼の深さに基づいて、さらに、組織からポートまでの距離に基づいて、所定の方法に従ってマイクロプロセッサによって制御される。マイクロプロセッサは、温度、圧力、電気的データ、または他の感知データ、を使用して、焼灼剤の流れを制御することができる。加えて、ターゲット組織の近傍から焼灼剤を吸引するために、1つまたは複数の吸引ポートが設けられる。ターゲットセグメントは、マイクロプロセッサによって決定および制御されるように、焼灼剤の連続的な注入によって、あるいは、焼灼剤の注入および除去のサイクルを介して、処置することができる。
本明細書において説明するデバイスおよび実施形態が、制御命令を実行するマイクロプロセッサを含むコントローラと協働して実装されることを、理解されたい。コントローラは、デスクトップ、ラップトップ、およびモバイルデバイス、を含む任意のコンピューティングデバイスの形態とすることができ、有線または無線の形態で焼灼デバイスに対して制御信号を通信することができる。
本発明は、複数の実施形態を対象としている。以下の開示は、当業者が本発明を実施し得るようにするために提供される。本明細書で使用される言語は、任意の特定の実施形態の一般的な否定として解釈されるべきではなく、また、特許請求の範囲をその中で使用される用語の意味を超えて限定するために使用されるべきではない。本明細書において規定する一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に対して適用されてもよい。また、使用される用語および表現は、例示的な実施形態を説明するためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。よって、本発明は、開示された原理および特徴点に合致する多くの代替、改変、および均等物、を含む最も広い範囲が与えられるべきである。明瞭化のために、本発明に関連する技術分野において知られている技術資料に関する詳細は、本発明を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明していない。
カテーテルに対して流体を供給するための、および、カテーテル内で流体を加熱するための、焼灼コントローラ
図1は、本明細書の一実施形態による焼灼デバイスを示している。焼灼デバイスは、焼灼剤制御アタッチメントとともに、好ましくは膨張可能バルーン11とされた遠位中心合わせアタッチメントまたは位置決めアタッチメントを有したカテーテル10を含む。カテーテル10は、カテーテルボディからの焼灼エネルギの漏出を防止するために、断熱材料から形成されている、あるいは、断熱材料によって被覆されている。焼灼デバイスは、焼灼剤を注入するための1つまたは複数の注入ポート12と、焼灼剤を除去するための1つまたは複数の吸引ポート13と、を含む。一実施形態では、注入ポート12と吸引ポート13とは、同じものである。一実施形態では、注入ポート12は、焼灼剤を異なる角度で案内することができる。一実施形態では、注入ポート12は、膨張可能バルーン11の内部に位置する。
焼灼剤は、カテーテル10に対して接続されたリザーバ14内に貯蔵される。焼灼剤の供給は、コントローラ15によって制御される。様々な実施形態では、コントローラ15は、カテーテル10に対して流体の流れを制御可能に供給する機械を含む。任意選択的なセンサ17が、焼灼剤の流れを案内するために、焼灼組織またはその近傍の変化を監視する。一実施形態では、任意選択的なセンサ17は、また、温度センサも含む。任意選択的な、赤外線センサ、電磁センサ、音響センサ、あるいは、高周波エネルギエミッタおよびセンサ18が、中空器官の寸法を測定する。一実施形態では、焼灼剤は、カテーテル10の長さに沿って蒸気へと変換される生理食塩水である。
一実施形態では、コントローラ15に含まれるユーザインターフェースにより、医師は、デバイス、器官、および状態、を規定することができ、これにより、温度、循環、音量(音)、および標準的なRF設定、に関する初期設定が作成される。一実施形態では、これらの初期設定は、医師によってさらに改変されることができる。ユーザインターフェースには、また、値が特定のレベルを超えたりまたは下回ったりした場合の警告とともに、すべての主要な変数の標準表示も含まれている。
焼灼デバイスは、また、カテーテルの動作時にユーザが火傷することを防止するための安全機構を含み、これには、断熱材、および任意選択的に、低温/室温の空気フラッシュまたは流体フラッシュ、低温/室温の水フラッシュ、および、処置の開始および停止を知らせるアラーム/トーン、が含まれる。
一般的な焼灼カテーテルおよび方法
図2は、本明細書の一実施形態による、焼灼デバイスを使用した中空組織または器官の焼灼プロセスに関与するステップを列挙したフローチャートである。ステップ202では、内視鏡を患者内へと挿入する。ステップ204では、本明細書の一実施形態によるカテーテルを含む焼灼デバイスを、内視鏡のワーキングチャネルを通して、ターゲット組織にまで前進させる。ステップ206では、カテーテルの遠位端または先端部を、ターゲットの中空組織または器官内へと挿入する。次に、ステップ208では、カテーテルの近位端に対して吸引を印加し、中空組織または器官の天然の内容物を除去する。次に、ステップ210では、カテーテルの遠位端に位置した少なくとも1つのポートを介して、中空組織または器官内へと導電媒質を注入する。ステップ212では、ターゲット組織を焼灼するための焼灼剤を、導電媒質内へと供給する。ステップ214では、導電媒質および焼灼剤を含む組織の残りの内容物を、カテーテルを使用した吸引によって除去する。別の実施形態では、ステップ214は任意選択的であり、中空組織または器官の残りの内容物は、身体によって再吸収される。別の実施形態では、ステップ208における中空組織または器官の天然の内容物の除去は、任意選択的であり、手順は、ステップ206におけるカテーテルを使用したターゲット組織内への進入から、ステップ210における導電媒質の注入へと、直接的に移行する。任意選択的に、いくつかの実施形態では、中空器官の天然の内容物を、導電媒質として使用することができる。
様々な実施形態では、本明細書の蒸気焼灼システムによって提供される焼灼療法は、以下の一般的な治療目標、すなわち、1秒間よりも長く続く期間にわたって45℃~100℃の組織温度を維持すること、組織温度を100℃以下に維持して、細胞内糖を炭化させずに細胞内タンパク質を凝固させること、組織の処理前圧力の125%以下の圧力を、焼灼されるべき組織に対して印加すること、および、組織への灌流を妨げないように、焼灼されるべき組織に対して、患者の平均動脈圧よりも低い圧力を印加すること、を達成するために提供される。
図3は、本明細書の一実施形態による、水の気化および融解に関する潜熱を示すグラフ30005を示している。グラフ30005は、X軸上に、入力されたまたは印加された熱エネルギを示し、Y軸上に、対応する水の温度上昇を示している。グラフ30005は、熱エネルギが、水の氷相に対して印加されてから水蒸気相に至る際の、様々な相転移を示している。第1相30010は、0℃以下の氷が0℃の温度になるまで加熱されることに対応している。第2相30015は、温度を変えることなく、0℃での氷の融解に対応している。第2相30015で印加される融解潜熱は、79.7カロリー/gmまたは334kJ/kgである。第3相30020は、水の温度が0℃から100℃まで上昇することに対応している。第3相30020で必要な熱量は、100カロリー/gmまたは418.6kJ/kgである。第5相30025は、100℃の水を沸騰させて、温度を何ら変えることなく、100℃の水蒸気へと転換することに対応している。第5相30025で印加される気化潜熱は、539カロリー/gmまたは2260kJ/kgである。本明細書の一態様によれば、水蒸気または蒸気を使用した焼灼は、水蒸気内に蓄えられた大きな気化潜熱を利用する。
図4Aは、本明細書の一実施形態によるマルチルーメン焼灼カテーテル400を示している。カテーテル400は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ405を含む。カテーテル400は、その遠位端の近くに少なくとも1つの位置決め部材を含む。様々な実施形態では、位置決め部材は、バルーンである。いくつかの実施形態では、カテーテルは、2つ以上の位置決め部材を含む。
図4Aに示す実施形態では、カテーテル400は、その遠位端の近くに2つの位置決めバルーン410、412を含み、それら2つのバルーン410、412の間においてボディ405上に配置された複数の注入ポート415を有している。ボディ405の遠位端には、流体供給ポート427および吸引ポート432が配置されている。ボディ405は、複数の注入ポート415と流体連通した第1ルーメン420と、流体供給ポート427と流体連通した第2ルーメン425と、吸引ポート432と流体連通した第3ルーメン430と、を含む。第1ルーメン420、第2ルーメン425、および第3ルーメン430は、近位端のハンドル435を通して、遠位端まで、ボディ405の長さに沿って延びている。焼灼剤421は、カテーテル400の近位端に位置した焼灼剤入力ポート401のところにおいて第1ルーメン420内へと導入され、焼灼のために注入ポート415を通して導出される。一実施形態では、焼灼剤421は、蒸気または水蒸気である。
流体426は、カテーテル400の近位端に位置した流体入力ポート402のところにおいて第2ルーメン425内へと導入され、流体供給ポート427を通して導出される。一実施形態では、流体426は、冷却剤である。一実施形態では、冷却剤は水であり、0℃~60℃の温度範囲にある。ポンプを使用して、カテーテル400の近位端に位置した吸引入力ポート403のところにおいて第3ルーメン430に対して負圧を印加することにより、吸引ポート432を介して、流体供給ポート427および注入ポート415からそれぞれ供給される流体を、吸引することができる。様々な実施形態では、流体供給ポート427および吸引ポート432を、位置決めバルーン412よりも遠位の、または位置決めバルーン410よりも近位の、カテーテル400の長さに沿った様々な位置に配置することができる。
図4Bは、本明細書の一実施形態による、図4Aの焼灼カテーテル400を使用するための基本的な手順ステップを示すフローチャートである。ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、ステップ462では、焼灼カテーテル400のボディ405を、焼灼されるべき器官内へと挿入する。例えば、患者のバレット食道内で焼灼を実行するためには、カテーテルを、患者の食道を介してバレット食道内へと挿入する。
ステップ464では、流体供給ポート427および吸引ポート432を、焼灼ゾーンから離間した部位に位置させつつ、位置決め部材またはバルーン410、412を、焼灼されるべき組織に対して複数の注入ポート415が近接して位置するようにして、配置する。その後、ステップ466では、焼灼剤(水蒸気など)を、注入ポート415を介して第1ルーメンを通して焼灼対象をなすターゲット組織に対して供給するのと同時に、流体を、流体供給ポート427を介して第2ルーメンを通して焼灼対象をなす組織から離間した部位に対して供給し、これにより、流体の供給が、焼灼剤の供給を著しく妨害しないようにする。いくつかの実施形態によれば、流体は、0℃~60℃の範囲の温度で供給される。また、同時に、供給された流体を、焼灼された組織から離間した部位のところから、吸引ポート432および第3ルーメン430を通して吸引し、これにより、流体の吸引が、供給された焼灼剤の吸引とならないようにする。代替的な実施形態によれば、ステップ468では、流体を、流体供給ポート427および第2ルーメン425を介して、交互的に供給および吸引する。別の実施形態では、ステップ469において、流体を、吸引ポート432を通して受動的に排出することができる。
一実施形態では、第1位置決めバルーン410は、第2位置決めバルーン412の内部にあり、蒸気供給ポート415は、第1位置決めバルーン410の内部に存在し、これとともに、冷却流体供給ポート427および冷却流体吸引ポート432は、第2位置決めバルーン412内に存在する。
図5Aは、一実施形態による、組織を焼灼するプロセスを示す第1グラフである。図5Aに示すように、蒸気などの焼灼剤が、第1期間570にわたってターゲット組織に対して供給され、その結果、ターゲット組織の温度は、第1温度576にまで上昇する。ターゲット組織の温度は、第1期間570にわたって、第1温度576に維持される。第1期間570の完了後、蒸気の供給が停止され、ターゲット組織の温度は、ベース温度575にまで冷却される。第2期間572の後、蒸気の供給が、ターゲット組織に対して再開され、焼灼プロセスサイクルが繰り返される。図5Bは、別の実施形態による、組織を焼灼するプロセスを示す第2グラフである。図5Bに示すように、蒸気などの焼灼剤が、第3期間580にわたってターゲット組織に対して供給され、その結果、ターゲット組織の温度は、第2温度586にまで上昇する。ターゲット組織の温度は、第3期間580にわたって、第2温度586に維持される。第3期間580の完了後、蒸気の供給が停止され、ターゲット組織の温度は、ベース温度585にまで冷却される。第4期間582の後、蒸気の供給が、ターゲット組織に対して再開され、所望であれば、焼灼プロセスサイクルが繰り返される。様々な実施形態では、第1期間570および第2期間572は、等しくても等しくなくてもよい。同様に、様々な実施形態では、第3期間580および第4期間582は、等しくても等しくなくてもよい。さらに他の実施形態では、第1期間570および第3期間580は、等しくなく、第2期間572および第4期間582も、また、等しくない。
様々な実施形態では、第1期間570および第3期間580は、1秒間~1800秒間の範囲であり、他方、第2期間572および第4期間582は、0秒間~1800秒間の範囲である。また、様々な実施形態では、ベース温度575,585は、37℃~45℃の範囲であり、他方、第1温度576および第2温度586は、60℃~110℃の範囲である。
図5Cは、図5Aおよび図5Bの焼灼プロセスに関連した複数のステップを示すフローチャートである。ステップ592では、焼灼カテーテルを器官内へと挿入し、蒸気供給ポートを、焼灼に関するターゲット組織に対して近接して配置する。ステップ594では、1秒間~1800秒間の加熱期間にわたって、ターゲット組織に対して蒸気を供給し、その結果、ターゲット組織の温度を、60℃~110℃の範囲へと上昇させる。ステップ596では、1秒間~1800秒間の冷却期間にわたって、蒸気の供給を停止し、その結果、ターゲット組織の温度を、37℃~45℃の範囲へと低下させる。冷却停止期間の完了後、ステップ592および594が繰り返される。
図6は、本明細書のいくつかの実施形態による、心臓組織の焼灼方法を示すフローチャートである。ステップ602では、本明細書の一実施形態による心臓焼灼カテーテルを、経中隔穿刺によって、患者の左心房内へと導入する。ステップ604では、カテーテルの非膨張状態の外側バルーンを、肺静脈内に配置する。ステップ606では、冷却流体によって外側バルーンを膨張させ、膨張後の外側バルーンを、肺静脈に近接した心臓組織に対して接触させて、肺静脈から左心房への血液流を閉塞する。任意選択的に、ステップ608では、血液流の閉塞を、色素検査によって確認する。ステップ610では、心臓焼灼カテーテルの内側バルーンを、蒸気によって膨張させ、膨張後の内側バルーンの一部を、膨張後の外側バルーンの一部に対して接触させ、これにより、両バルーンの中央領域に近接した高温ゾーンを形成し、ここで、高温ゾーンからの熱エネルギを心臓組織に対して伝達することにより、心臓組織を焼灼する。ステップ612では、蒸気の供給を終了し、蒸気の凝縮によって内側バルーンを収縮させ、外側バルーンを収縮させる。任意選択的に、ステップ614では、肺静脈および/または左心房のペーシングを実行し、焼灼の完了を確認する。一実施形態では、内側バルーンを、空気またはCO2によって事前に膨張させる。実施形態では、高温(焼灼ゾーン)は、2つのバルーンの遠位半球上に存在する。
図7Aは、本明細書の一実施形態による、水または生理食塩水によって冷却されるカテーテル700の図示であり、図7Bは、図7Aの水冷カテーテルのシャフトを示す断面図である。カテーテル700は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ705を含む。遠位端は、組織焼灼のための水蒸気または蒸気などの焼灼剤716の供給のための複数の注入ポート715を含む。冷却チャネルを含むシース710は、カテーテル700のボディ705に沿って延びている。いくつかの実施形態では、シース710は、カテーテルボディ705に沿って、ポート715よりも遠位側のポイントへとあるいはポート715に近接したポイントへと、延びている。これらの実施形態では、シース710は、ポート715を覆わないようにして配置され、これにより、図7Bに示すように、焼灼剤716が、ポート715を通してカテーテル700から導出されることを可能とする。他の実施形態では、シースは、カテーテルボディに沿って、ポートよりも近位のポイントにまで延びている。使用時には、水の供給源722からの水720を、シース710を通して循環させ、これにより、カテーテル700を冷却する。その後、冷却用の水710は、チャンバ721に対して供給され、そこで加熱されて蒸気716へと変化し、長尺ボディ705を通してそして注入ポート715を介して供給される。焼灼用の蒸気716と冷却用の水720とは、カテーテルの近位端のところにおいてカテーテル700に対して供給される。矢印723は、シースを通してチャンバ721内へと導入される水710の経路を示している。矢印724は、長尺ボディ705を通して、注入ポート715から導出される蒸気716の経路を示している。実施形態では、チャンバ721は、カテーテル700の長さに沿った任意の位置に配置される。
図8Aは、本明細書の一実施形態による焼灼カテーテル805を示し、他方、図8Bは、カテーテル805の長尺ボディまたはシャフト807を示す断面図である。長尺ボディまたはシャフト807は、遠位端および近位端を有するとともに、外側ルーメン809および同軸的な内側ルーメン811を含む。一態様によれば、限定するものではないが、空気、CO2水、または生理食塩水、などの冷却剤813は、ボディまたはシャフト807の近位端から、外側ルーメン809内を通過し、ボディまたはシャフト807の遠位端を通して導出される。同様に、蒸気815は、ボディまたはシャフト807が循環する冷却剤813によって冷却され続けている間に、ボディまたはシャフト807の近位端から、内側ルーメン811内を通過し、ボディまたはシャフト807の遠位端から導出される。
図9Aは、本明細書の一実施形態による焼灼カテーテル905を示し、他方、図9Bは、カテーテル905の長尺ボディまたはシャフト907を示す断面図である。長尺ボディまたはシャフト907は、遠位端および近位端を有するとともに、第1外側ルーメン909aと、第2外側ルーメン909bと、同軸的な内側ルーメン911と、を含む。一態様によれば、限定するものではないが、空気、CO2、水、または生理食塩水、などの冷却剤913は、ボディまたはシャフト907の近位端から、第1外側ルーメン909a内を通過し、ボディまたはシャフト907を通して循環した後に、ボディまたはシャフト907の近位端のところにおいて、第2外側ルーメン909bを通して導出される。蒸気915は、再循環する冷却剤913によってボディまたはシャフト907が冷却状態に維持されている間に、ボディまたはシャフト907の近位端から、内側ルーメン911内を通過して、ボディまたはシャフト907の遠位端から導出される。冷却剤913が空気またはCO2である実施形態では、空気またはCO2は、ボディまたはシャフト907の近位端に対して取り付けられたハンドルを介して放出または導出されてもよく、これにより、ハンドルが冷却される。冷却剤913が水または生理食塩水である実施形態では、水は、第1外側ルーメン909aを通してシャフト907内へと導入され、第2外側ルーメン909bを通して、ボディまたはシャフト907の近位端に対して取り付けられたハンドル内に封入された加熱チャンバ内へと供給される、あるいは、カテーテル905の長さに沿った任意の位置に配置される加熱チャンバ内へと供給される。加熱チャンバ内へと供給された水は、蒸気915へと変換されて、内側ルーメン911内へと導入される。
図10Aは、本明細書の一実施形態による焼灼カテーテル1005を示し、他方、図10Bは、カテーテル1005の長尺ボディまたはシャフト1007を示す断面図である。長尺ボディまたはシャフト1007は、遠位端および近位端を有するとともに、第1外側ルーメン1009aと、第2外側ルーメン1009bと、同軸的な内側ルーメン1011と、を含む。少なくとも1つのバルーン1025が、ボディまたはシャフト1007の遠位端に対して取り付けられており、第1外側ルーメン1009aおよび第2外側ルーメン1009bと流体連通している。いくつかの実施形態では、長尺ボディまたはシャフト1007は、様々なセンサのためなどのアクセサリチャネルとして機能する1つまたは複数の追加的な外側ルーメン1027(図10B)を、任意選択的に含む。一態様によれば、冷却剤1013は、好ましくは空気またはCO2は、ボディまたはシャフト1007の近位端から、第1外側ルーメン1009a内を通過し、ボディまたはシャフト1007内における空気またはCO2の循環を維持することによりシャフト温度を60℃未満に好ましくは45℃未満に維持しながら、バルーン1025を所望の圧力へと膨張させた後に、ボディまたはシャフト1007の近位端のところにおいて、第2外側ルーメン1009bを通して導出される。バルーン1025内の所望圧力は、第2外側ルーメン1009bの近位端に配置された圧力バルブ(あるいは、マイクロコントローラによって制御されるe-バルブ)によって維持され、この場合、圧力バルブは、空気流を維持するとともに、所望の圧力が定格になった時に開放する。同様に、蒸気1015は、循環する冷却剤1013によってボディまたはシャフト1007が冷却状態に維持されている間に、ボディまたはシャフト1007の近位端から、内側ルーメン1011内を通過して、ボディまたはシャフト1007の遠位端から導出される。いくつかの実施形態では、内側ルーメン1011が、バルーン1025内に配置されかつバルーン1025内で自由に移動可能とされた別のバルーンと流体連通していること、そして、蒸気が、第2バルーン内へと供給されること、を理解されたい。別の実施形態では、内側ルーメンは、バルーン1025よりも遠位に配置されかつバルーン1025の遠位で自由に移動可能とされた別のバルーンと流体連通しており、蒸気は、第2バルーン内へと供給される。
よって、一態様によれば、水などの冷却剤は、長尺ボディの外側のルーメン内を循環し、その後、図9Aおよび図9Bを参照して説明したように、蒸気への変換のために、加熱チャンバ内へと供給される。別の態様によれば、空気などの冷却剤は、図10Aおよび図10Bを参照して説明したように、長尺ボディの外側ルーメンを通してバルーン内を往復して循環することにより、長尺ボディまたはシャフトを冷却する。様々な実施形態では、加熱チャンバは、カテーテルの長さに沿った任意の位置に配置される。一実施形態では、加熱チャンバの一部は、バルーン125の内部の遠位先端に位置する。様々な実施形態では、カテーテルボディの外側から、カテーテルの長さに沿って、追加的な冷却流体が供給されることにより、治療のための冷却という目的を達成する。
ここで図8B、図9B、および図10Bを参照すると、本明細書の一態様によれば、カテーテルシャフト807、907、1007の内側層830、930、1030は、外側層832、932、1032と比較して、より厚いものとされており、これにより、熱損失を防止する、あるいは、カテーテルの内側から外側へのエネルギ伝達を最小限とする。これは、カテーテルの内部からカテーテルの外部への低温の伝達を最大化することを目的とする従来技術の冷却シャフトカテーテルとは、対照的である。
図11は、本明細書の一実施形態による焼灼カテーテル1120を示している。カテーテル1120は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ1121を含む。一実施形態では、カテーテルボディ1121は、内側ルーメン1122と、第1外側ルーメン1123aと、第2外側ルーメン1123bと、を含む。内側ルーメン1122は、熱エネルギの一部を内側ルーメン1122から外側ルーメン1123a、1123bに通過させることを可能とする熱半透過性壁1124によって、外側ルーメン1123a、1123bから隔てられている。カテーテルは、また、その遠位端に、少なくとも1つの位置決め部材またはバルーンを含む。図11に示す実施形態では、カテーテル1120は、その遠位端に、2つの位置決めバルーン1125、1126を含み、2つのバルーン1125、1126の間において、カテーテルボディ1121上に配置された複数の供給ポート1127を有している。供給ポート1127は、内側ルーメン1122と流体連通している。焼灼剤1128は、カテーテル1120の近位端のところにおいてルーメン1122内へと導入され、供給ポート1127を介して、焼灼のために食道などの器官内へと導出される。一実施形態では、焼灼剤1128は、水蒸気である。空気またはCO2などの冷却剤1129は、カテーテル1120の近位端のところにおいて第1外側ルーメン1123a内へと導入され、膨張ポート1130aを介してバルーン1125、1126内を移動してこれらバルーン1125、1126を膨張させ、その後、導出ポート1130bを介してバルーン1125、1126から導出されて、第2外側ルーメン1123b内へと進入し、最終的にカテーテルの近位端のところにおいて導出され、これにより、空気またはCO2 1129は、カテーテル1120の長さにわたっておよび1つまたは複数のバルーン1125、1126を通して、循環することができる。一実施形態では、空気またはCO2は、第1バルーン1125を通して循環し、焼灼剤は、第2バルーン1126内へと放出される。
図12は、一実施形態による、シリンジ12020とカテーテル12010との間の接続を示している。図12に示すように、カテーテル12010の近位端は、コネクタ構成部材12015の遠位端がカテーテル12010の近位端に挿入された時に流体シールを形成するために、コネクタ構成部材12015の遠位端を受領するように構成されている。シリンジ12020は、コネクタ構成部材12015の近位端に結合されており、これにより、カテーテル12010に対して結合されたコネクタ構成部材12015を介して、カテーテル12010に対して、水または生理食塩水を供給する。様々な実施形態では、高周波識別部材12025が、カテーテル12010の近位端に含まれており、これにより、カテーテル12010とシリンジ12020との間の良好な流体接続を伝達する。
様々な実施形態では、本明細書において説明するコネクタは、ABS、アセタール、ナイロン(ポリアミド)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、を含む熱可塑性プラスチック、ならびに、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むフルオロポリマー、から構成される。様々な実施形態では、Oリングは、フルオロカーボン(FKM)またはシリコーンから構成される。
加熱チャンバ
図13Aは、本明細書の一実施形態による、カテーテルの遠位部または先端部のところにまたはカテーテルの遠位部または先端部内に組み込まれるように構成されたフレキシブルな加熱チャンバ1330を示す横断面図1321である。図13Bは、本明細書の一実施形態による、カテーテルのためのフレキシブルな加熱チャンバに関する、第1電極アレイ1336の横断面図1322aおよび長手方向断面図1322bと、第2電極アレイ1338の横断面図1323aおよび長手方向断面図1323bと、を示している。図13Cおよび図13Dは、組み立てられた第1電極1336および第2電極1338を含む加熱チャンバ1330に関する、それぞれの横断面図1324および長手方向断面図1325である。
ここで、図13A、図13B、図13C、および図13Dを同時に参照すると、加熱チャンバ1330は、外側カバー1332と、同軸的な内側コア1334と、を含む。第1電極アレイ1336および第2電極アレイ1338として構成された複数の電極が、外側カバー1332と内側コア1334との間に配置されている。いくつかの実施形態では、第1電極アレイ1336および第2電極アレイ1338は、それぞれ、金属リング1342、1344を含み、これら金属リング1342、1344からは、複数の電極フィンまたは電極部材1336’、1338’が、外側カバー1332と内側コア1334との間の空間内へと、径方向に延びている(1322a、1323aの図示を参照されたい)。電極フィンまたは電極部材1336’、1338’は、また、加熱チャンバ1330の長手方向軸線1350に沿って長手方向に延びている(1322b、1323bの図示を参照されたい)。言い換えれば、電極フィン1336’、1338’のそれぞれは、加熱チャンバ1330の半径に沿った第1寸法と、加熱チャンバ1330の長手方向軸線1350に沿った第2寸法と、を有している。電極フィンまたは電極部材1336’、1338’は、それらの間に複数のセグメント空間1340を規定しており、それらセグメント空間を通して、生理食塩水/水が流れて、水蒸気へと気化される。電極1336、1338に対して電流が供給されると、電極フィンまたは電極部材1336’、1338’が熱を生成し、この熱が、生理食塩水/水に対して伝達され、この生理食塩水/水が、水蒸気へと変換される。第1寸法および第2寸法により、電極1336、1338は、空間1340内を流れる生理食塩水/水を加熱するための増大した表面領域を有することができる。一実施形態によれば、第1電極1336は、第1極性を有し、第2電極1338は、その第1極性とは反対の第2極性を有している。一実施形態では、第1極性は、負(カソード)であり、他方、第2極性は、正(アノード)である。
実施形態では、外側カバー1332および内側コア1334は、シリコーン、テフロン(登録商標)、セラミック、あるいは、当業者に公知の任意の他の適切な熱可塑性エラストマ、から構成される。内側コア1334と、外側カバー1332と、電極1336、1338(リング1342、1344、および、フィンまたは部材1336’、1338’を含む)と、のすべては、フレキシブルなものとされており、これにより、カテーテルの遠位部または先端部を曲げることができて、焼灼手順時にカテーテルのより良好な位置決めを提供することができる。実施形態では、内側コア1334は、使用時にカテーテルの先端部を撓ませたり曲げたりする際に、電極1336、1338を安定化させるとともに、電極1336、1338の間の離間または間隔1340を維持する。
図13Cおよび図13Dに示すように、加熱チャンバ1330が組み立てられた時には、電極フィンまたは電極部材1336’、1338’は、互いに相互噛合または相互ロックし(握っている2つの手の指と同様)、これにより、各カソード部材および各アノード部材を離間している空間1340を有しつつ、カソード部材の次にアノード部材が続き、このアノード部材の次に再びカソード部材が続き、さらにこのカソード部材の後にアノード部材が続くというようなものとされる。様々な実施形態では、各空間1340において、カソード部材からアノード部材までの距離は、0.01mm~1mmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1電極アレイ1336は、1個~50個の範囲の電極フィン1336’を有し、8個の電極フィン1336’が好ましい数であり、他方、第2電極アレイ1338は、1個~50個の範囲の電極フィン1338’を有し、8個の電極フィン1338’が好ましい数である。様々な実施形態では、加熱チャンバ1330は、1mm~5mmの範囲の幅wと、1mm~150mmの範囲の長さlと、を有している。
本明細書の一態様によれば、複数の加熱チャンバ1330は、カテーテル先端部内に配置することができる。図13Eおよび図13Fは、本明細書の一実施形態による、2つの加熱チャンバ1330が直列で配置されているカテーテル先端部1355を示す長手方向断面図である。図13Eおよび図13Iを参照すると、2つの加熱チャンバ1330は、2つの加熱チャンバ1330の間の空間1360がより小さな剛性の領域として作用するようにして、直列で配置されており、これにより、カテーテル先端部1355に対して、曲がることができるだけのフレキシブルさが、追加されている。2つの加熱チャンバ1330は、それぞれ、相互噛合した第1電極アレイ1336および第2電極アレイ1338を含む。例えば2つなどの複数の加熱チャンバ1330を使用することにより、カテーテル先端部1355のフレキシブルさを維持しつつ、電極1336、1338の表面領域を、さらに増大させることができる。
ここで図13A~図13Fを参照すると、水蒸気を生成するために、ポンプまたは任意の他の加圧手段によって、リザーバから加熱チャンバ1330に対して、流体が供給される。実施形態では、流体は、一定または可変の流体流量でもって供給される滅菌生理食塩水または滅菌水である。加熱チャンバ1330に対して接続されたRF電源は、第1電極アレイ1336および第2電極アレイ1338に対して電力を供給する。図13Dに示すように、蒸気生成時には、流体が加熱チャンバ1330内の空間1340を流れ、そして、電力が電極1336、1338に対して印加されて電極が加熱され、これにより、流体は、加熱チャンバ1330の第1近位領域1370内で温められる。流体が、大気圧で100℃などの充分な温度にまで加熱されると、流体は、第2中間領域1375内において、蒸気または水蒸気へと変換され始める。第3遠位領域1380へと到達するまでに、すべての流体が蒸気へと変換され、その後、加熱チャンバ1330の遠位端1333から導出されて、カテーテルチップ1355から導出されることができる。加熱チャンバ内の圧力が大気圧よりも大きい場合には、より高い温度が必要とされることとなり、また、大気圧よりも低い場合には、より低い温度であっても、蒸気が生成されることとなる。
カテーテル先端部内に配置される標準的な円形または矩形の電極は、カテーテル先端部の効果的な曲げを妨げる寸法を有し得る。具体的には、電極は、カプトン上に印刷された後、円筒状に巻き取られ、これにより、剛性が高められている。本明細書によるカテーテルチップの実施形態は、3インチ~0.15インチの範囲内、好ましくは1インチ~0.5インチの範囲内の、曲げ半径を有している。曲げ半径よりも長い電極長さを組み込み得るような、電極に関する別の設計が要望されている。
先端部の曲げ半径のために、電極のサイズが重要となる。必要とされる曲げ半径を可能とするために、電極は、2.5インチ以下である必要があり、好ましくは1インチ以下である必要がある。一実施形態では、ガイドシースの曲げ半径は、1インチの半径のまわりにおいて180°である。一実施形態では、連続電極の最大長さは、曲げ半径に等しい。図13Gは、本明細書の一実施形態による、曲げ半径よりも長いけれども不連続ポイントにおいてはフレキシブルであり得る不連続電極1366および1368を示している。したがって、一実施形態では、高温流体チャネル1370は、2つ以上の電極セグメント1372および1374を含み、この場合、各電極セグメントは、空間1376によって隔てられ、各電極セグメントは、カテーテルの曲げ半径よりも長いものではない、あるいは、各電極セグメントは、2.5インチ以下の長さ、好ましくは1インチの長さ、を有している。
電極を最適に配置するために、主要な要件は、電極を、内側バルーン内への高温流体チャネルからの出口よりも近位に、配置することである。同時に、電極が近接しすぎないことが望ましく、これは、水蒸気の品質(水蒸気内の凝縮水の量)が低下するからである。いくつかの実施形態では、電極は、内側バルーン内に配置される。いくつかの実施形態では、電極は、内側バルーン内への高温流体チャネルからの出口よりも0mm~500mmだけ近位の距離に配置される。いくつかの実施形態では、電極は、内側バルーン内への高温流体チャネルからの出口よりも1mm~150mmだけ近位の距離に配置される。
いくつかの実施形態では、電極は、互いに電気的に接続された複数のセグメントであるとともに所望の曲げ半径を有したカテーテルボディのフレキシブルセクションに収容された複数のセグメントから形成され、電極の各セグメントの長さが、カテーテルの曲げ半径の4倍未満とされ、これにより、充分な長さのカバレッジを提供する。
図13Hは、本明細書の一実施形態による、カテーテルの遠位部または先端部に組み込むためにあるいはカテーテルの遠位部または先端部内に組み込むために、フレキシブルな加熱チャンバ内に構成され得る電極1336”、1338”の構成に関する別の実施形態を示している。2つの極性を示す電極1336”および1338”(図13A~図13Fに見られる電極1336および1338の端部)は、矩形であり、ダブル螺旋構成で配置されている。ダブル螺旋構造の使用は、カテーテル先端部のフレキシブルさを高め、カテーテル先端部を容易に曲げることを可能とする。いくつかの実施形態では、電極1336”および1338”の半径方向の寸法は、0.5mm~5mmの範囲であり、軸方向の寸法は、5mm~150mmの範囲である。
加えて、いくつかの実施形態では、電極は、ニチノールベースの材料を使用して製造され、これにより、実装プロセスが容易であることを確保する。
図13Iは、本明細書の一実施形態による、カテーテルの遠位部または先端部に組み込むためにあるいはカテーテルの遠位部または先端部内に組み込むために、フレキシブルな加熱チャンバ内に構成され得る電極1378に関する鋸歯状構成をなす別の実施形態を示している。電極1378は、ギザギザのエッジを有して設計されており、カテーテルの先端部まわりの周縁上において長手方向に配置されている。電極のギザギザパターンは、電極のエッジのところにおいて高電流密度をもたらし、結果として、加熱の増加あるいはエッジ効果の増加をもたらす。これにより、治療のために必要な水蒸気を生成するのに必要な電力を低減させ、システムの電力効率を向上させる。電極は、一実施形態では、電極の2倍(長さ+幅)よりも大きな周縁を有している。
別の実施形態では、電極は、平坦化された構造として構成される。平坦化された電極構成は、両方とも平面状とされた第1サイドおよび反対側の第2サイドを有した長尺の直線状部材を含む。平坦化された電極構成は、複数の印刷または蒸着された電極フィンによって規定されるバイポーラアレイを含むことができる。生理食塩水は、平坦化された電極構成の頂面上および底面上を均等に流れるように構成される。実施形態では、平坦化された電極構成を収容したカテーテルルーメンは、楕円形状を有し、これにより、楕円形ルーメンの大きな半径内において電極構成を中心合わせし、このため、電極構成の両サイドにおいて一定の水蒸気品質を確保する。
蒸気生成時には、加熱チャンバの遠位端から導出される前に、流体が完全に蒸気へと変換されたかどうかを決定するために、信号を感知することができる。いくつかの実施形態では、信号は、コントローラによって感知される。蒸気が完全に生成したかどうかを感知することは、様々な組織の焼灼などの、高品質で完全に生成された蒸気を供給することがより効果的な処置をもたらす多くの外科的用途において、特に有用なものとすることができる。いくつかの実施形態では、加熱チャンバは、少なくとも1つのセンサ1337を含む。様々な実施形態では、少なくとも1つのセンサ1337は、インピーダンスセンサ、温度センサ、圧力センサ、またはフローセンサ、を含む。一実施形態では、電極アレイ1336、1338の電気インピーダンスを感知することができる。他の実施形態では、流体の温度、電極アレイの温度、流体の流量、圧力、あるいは同様のパラメータ、を感知することができる。
器官内において組織を焼灼するために使用される本明細書における任意の焼灼カテーテルまたはシステムが、コントローラと共に使用されてもよく、コントローラが、水蒸気/蒸気などの焼灼流体によって器官内で生成される圧力を、5気圧または100psi未満に制限するように構成されることを、理解されたい。
心臓焼灼カテーテルおよび方法
様々な実施形態では、1つまたは複数の膨張可能バルーンを有した心臓焼灼カテーテルが開示される。様々な実施形態では、以下の表1に詳述するように、1つまたは複数のバルーンは、以下のタイプおよび仕様のものである。
以下は、バルーンのタイプおよび仕様に関するいくつかの規定である。
バルーン直径-規定の圧力で測定した公称膨張バルーン直径を指す。
バルーンの長さ-典型的には、動作長さ、あるいは、直線状ボディ部分の長さ、を指す。
破裂圧力-バルーンを破裂させるのに必要な平均圧力を指し、通常は体温で測定する。
定格破裂圧力-破裂することなくバルーンを膨張させ得る、統計的に保証された最大圧力を指す。PTCAカテーテルおよびPTAカテーテルの場合、これは、通常、95%信頼度/99.9%保証である。
バルーンプロファイル-収縮して包まれた状態でカテーテル上に取り付けた時のバルーンの最大直径、あるいは、収縮して包まれたバルーンカテーテルが通過できる最小の穴、を指す。
バルーンの柔軟性-膨張圧力の関数としてのバルーン直径の変化を指す。
様々な実施形態では、膨張した時には、1つまたは複数のバルーンは、円錐形状、正方形状、球形状、楕円形状、円錐形状-正方形、長円錐形状-正方形、円錐形状-球形状、長球形状、テーパー形状、ドッグボーン形状、段付き形状、オフセット形状、および、円錐形状-オフセット形状、などの形状を有してもよいが、これらに限定されない。
この場合にも、様々な実施形態では、1つまたは複数のバルーンの端部(遠位部および/または近位部)は、円錐形の鋭角、円錐半径の鋭角、正方形の端部、球形の端部、およびオフセットされたネック、などの形状を有してもよいが、これらに限定されない。
表2は、様々な材質から作製された複数のバルーンに関する比較を提供する。
バルーンの材質は、重要な要素である。バルーンの材質の軟化温度(Tg)が低すぎると、バルーンは、使用時に水蒸気に曝された際にバルーンが変形してしまう可能性がある。例えば、PETのTgは、75℃である。これは、たった1回の使用で、PETバルーンが変形してしまう可能性があり、患者の所与のPVまたは他の複数のPVsに関する追加的な焼灼ショットを実行し得ない可能性があることを、意味する。したがって、機能的であるように、100℃よりも大きなTgを有した材質を使用することが望ましい。実施形態では、2つのバルーンがあり、各バルーンは、異なるTg値を有している。実施形態では、各バルーンのTg値は、60℃~約200℃の範囲である。いくつかの実施形態では、Tgは、80℃である。いくつかの実施形態では、Tgは、150℃である。いくつかの実施形態では、外側バルーンは、pellethane(登録商標)から構成される。
また、様々な動作温度で充分に広い弾性範囲を有した材質を使用することも、望ましい。弾性範囲が狭すぎると、動作時に降伏点を通過してしまい、バルーンが変形して、動作時に焼灼ゾーンが適切に位置決めされない可能性がある。
実施形態では、内側バルーンの材質は、非柔軟なものから半柔軟なものであり、これは、材質が、包装時に存在していた可能性のある折り目を排除し、心房の解剖学的構造に対して適合してより良好に接触することを意味する。柔軟なバルーンは、一定の圧力で一定の容積を有する傾向がある。特定の形状を維持するためには、内側バルーンの材質が、外側バルーンの材質よりも硬いことが望ましい。例えばPEBAファミリーなどの、いくつかの半柔軟なバルーン材質は、水蒸気に対して曝された時に、機械的な問題点および熱的な問題点に直面する。したがって、好ましいバルーン材質は、Arnitel(登録商標)と称されるコポリマーである。Arnitel(登録商標)も、比較的半柔軟であるけれども、標準的なPEBAポリマーと比較して、軟化温度および溶融温度がより大きい。Arnitel(登録商標)などの材質は、本明細書の一実施形態による、内側バルーン、外側バルーン、およびシャフト用途部材、を作製するために使用してもよい。シャフト材質としてそれを使用する利点は、PETを使用して現在作製されている内側バルーンに対して熱的に結合可能なことであり、これにより、接着剤結合プロセスを使用する必要がないことである。
焼灼カテーテルは、特に焼灼カテーテルがガイドシースよりもわずかに1fr以下である場合には、シースを被せたり外したりする必要がある。いくつかの実施形態では、焼灼カテーテル上において親水性コーティングを使用することにより、シース化を容易とすることができる。コーティングは、また、効率的なエネルギ伝達を可能とし、外側バルーンの表面を焦げ付きから保護する。実施形態では、バルーンは、右方向などの特定の方向においてプリーツ加工され、これにより、シース化/再シース化を容易とすることができる。
いくつかの実施形態では、ガイドシースは、編組であり、焼灼カテーテルよりも大きなデュロメータ硬さのものとされる。ガイドワイヤは、典型的には、カテーテルまたは外側カテーテルのシースライニング内に配置され、これにより、側面を曲げることを補助する。ガイドシースの遠位開口は、肺静脈口(開口)に対して垂直に配置される。いくつかの実施形態では、2つのガイドシースが設けられ、2つのガイドシースは、2つの異なる半径を有し、異なる偏向特性を有している。一実施形態では、第1シースに関する1つのプルワイヤは、0.1インチ~0.75インチの範囲の半径を生成する。一実施形態では、第2シースに対する第2プルワイヤは、0.5インチ~10インチの範囲の半径を生成する。いくつかの実施形態では、カテーテルの偏向は、ハンドルアクチュエータを介して実行される。各プルワイヤは、ハンドル内のノブまたはレバーに対して取り付けられる。ユーザは、ノブをひねったり、レバーを引いたりして、先端部に対して張力を印加して偏向させる。半径は、カテーテルの構造によって決定される。実施形態では、カテーテルの各半体が、個別で独自の構造を有しており、2つの独自の半径を可能としている。
図14Aは、本明細書の一実施形態による心臓焼灼カテーテル1442を示し、図14Bは、図14Aの心臓焼灼カテーテル1442によって実行される心臓焼灼を示している。心臓焼灼カテーテル1442を使用することにより、心房細動などの不整脈を処置するために心臓組織を焼灼することができる。カテーテル1442は、外側シャフト1444によって被覆された長尺の内側シャフト1443を含む。内側シャフト1443は、その遠位端よりも近位に膨張可能バルーン1445を含む。膨張可能バルーンは、バルーン1445から、内側シャフト1443を通して、コントローラ1430とデータ通信しかつコントローラ1430によって制御される空気源すなわち第1ポンプ1433にまで、延びる空気/蒸気チャネル1434と流体連通している。空気源1433は、任意選択的なフィルタ1438を介して外部環境から空気を吸引し、バルーン1445を充填する。一実施形態では、空気源または第1ポンプ1433は、可逆的であり、これにより、必要に応じて、またコントローラ1430が送出した指示に応じて、空気を、バルーン1445内へと送り込んだり、あるいは、バルーン1445から吸引したり、することができる。別の実施形態では、膨張および収縮のために、空気に代えて、CO2が使用される。
いくつかの実施形態では、カテーテル1442の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
径方向延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材1446が、バルーン1445よりも遠位側において内側シャフト1443の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材1446は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材1446は、カテーテルの延長部分を含み、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、カテーテルボディ軸線に対して垂直なループ形状へと、事前成形されている。いくつかの実施形態では、マッピング部材1446は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールまたはループの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材1446は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
外側シャフト1444の遠位端は、バルーン1445と外側シャフト1444との間において内側シャフト1443の一部が露出されるように、バルーン1445よりも近位の距離で終端する。水1447は、滅菌水リザーバ1431から、第2ポンプ1432を介して、外側シャフト1444内の第1水ルーメン1435を通して、ポンピングすることができ、ここで、水は、バルーン1445よりも近位のところから導出され、これにより、バルーン1445よりも近位の空間を冷却する。また、水1437は、滅菌水リザーバ1431から、第2ポンプ1432を介して、内側シャフト1443の第2水ルーメン1436を通して、ポンピングすることができ、ここで、水は、バルーン1445よりも遠位のところにおいて、かつ、マッピング部材1446よりも近位のところにおいて、導出され、これにより、バルーン1445よりも遠位の空間を冷却する。第1水ルーメン1435は、第2ポンプ1432から外側シャフト1444の遠位端まで、外側シャフト1444内を延びている。第2水ルーメン1436は、第2ポンプ1432から内側シャフト1443の遠位端まで、内側シャフト1443内を延びている。コントローラ1430は、第2ポンプ1432とデータ通信して第2ポンプ1432を制御し、第2ポンプ1432は、滅菌水リザーバ1431からの水1447、1437を、外側シャフト1444の第1水ルーメン1435および/または内側シャフト1443の第2水ルーメン1436内をそれぞれ通過させるように、構成されている。バルーン1445は、その赤道に近接した焼灼ゾーンまたは高温ゾーン1448と、その上半球1449にあって、内側シャフト1443を通してポンピングされた水1437によって冷却される第1低温ゾーンと、その下半球1450にあって、外側シャフト1444を通してポンピングされた水1447によって冷却される第2低温ゾーンと、を含む。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン1448の温度は、典型的には60℃~110℃であり、低温ゾーン1449、1450の温度は、典型的には35℃~60℃であり、低温ゾーン1449、1450が高温ゾーン1448から離間するにつれて、低温ゾーン1449、1450の温度は低下する。赤道の高温ゾーン1448は、バルーン1445の内部を加熱するために使用される蒸気によって加熱されたままであり、冷却されないように、内側シャフト1443および外側シャフト1444を通してポンピングされる水1437、1447から充分に離間している。
図14Bを参照すると、カテーテル1442のバルーン1445は、肺静脈1452に近接して心臓1451内に位置決めされている。蒸気によってバルーン1445に対して供給される熱は、高温ゾーン1448からターゲット心臓組織1453に対して伝達され、これにより、組織1453を焼灼して、不整脈を処置する。高温ゾーン1448は、バルーンのうちの、ターゲット心臓組織1453に対して接触している部分であって、冷却のための水がバルーン表面に対して接触していない部分によって規定され、他方、低温ゾーン1449、1450は、バルーンのうちの、ターゲット心臓組織1453に対して接触していない部分によって規定され、これにより、水は、バルーン表面に対して接触して冷却することができる。いくつかの実施形態では、2つの温度ゾーンは、また、異なる熱伝導率を有した2つの異なる材料によってバルーンを構築することによっても、規定することができる。一実施形態では、高温ゾーンは、バルーンのうちの、肺静脈(PV)口に面した遠位半球に向けて、より多く位置する。
図14Cは、図14Aのカテーテルを使用して心臓組織を焼灼する方法の一実施形態に関与するステップを示すフローチャートである。ステップ1454では、マッピングカテーテルを使用して、不整脈が発生しやすい心臓領域をマッピングする。ステップ1455では、空気によってバルーンを第1圧力(P1)へと膨張させて、バルーンを、ターゲット不整脈組織に対して接触させる。ステップ1456では、水を注入して、カテーテルを、ならびに任意選択的にバルーンの上半球および下半球を、冷却する。いくつかの実施形態では、ステップ1456は、ステップ1455の前に、あるいはステップ1455と一緒に、あるいはステップ1455の後に、実行される。いくつかの実施形態では、血液が、バルーンの上半球および下半球の冷却を補助する。ステップ1457では、水蒸気または蒸気をバルーン内に注入することにより、バルーンの内部を加熱しながら、同時にバルーンから空気を除去して、P1±25%に等しい第2圧力(P2)を維持する。また、バルーンに対して供給される蒸気の量を調節することにより(空気を除去することなく)、P1±25%に等しい第2圧力(P2)を維持することもできる。バルーン上には、注入された水蒸気によって高温ゾーンが形成され、ステップ1458では、高温ゾーンが心臓組織に対して接触することで、焼灼を実行する。
図14Dは、本明細書の別の実施形態による心臓焼灼カテーテル1460を示している。カテーテル1460は、長尺ボディ1461と、近位端と、この近位端のポートによって供給される空気/水ルーメン1462および蒸気ルーメン1463を有した遠位端と、を含む。空気/水ルーメン1462は、カテーテル1460の遠位端に対して取り付けられたバルーン1464と流体連通している。
バルーン1464は、その壁の外面内に位置したあるいは外面に対して取り付けられた複数の任意選択的なマッピング電極1466を含む。実施形態では、マッピング電極1466は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、マッピングバルーン1464は、最大で24個のマッピング電極を含む。
蒸気ルーメン1463は、カテーテル1460の遠位端に対して取り付けられかつバルーン1464内に配置された焼灼バルーン1465と流体連通している。両方のバルーン1464、1465が膨張した時には、バルーン1464の長さは、焼灼バルーン1465の長さよりも長く、焼灼バルーン1465の直径は、バルーン1464の直径と近似している。
いくつかの実施形態では、カテーテル1460の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。いくつかの実施形態では、焼灼バルーン1465は、バルーン1464、1465の長手方向軸線に沿って、および、バルーン1464の内部においてバルーン1464の全長に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル1460の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、バルーン1464の内部において焼灼バルーンをより良好に位置決めすることができる。
実施形態では、焼灼バルーン1465の少なくとも1つの寸法が、バルーン1466とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、焼灼バルーン1465の長さである。実施形態では、焼灼バルーン1465の形状は、バルーン1466の形状とは相違する。実施形態では、焼灼バルーン1465の形状とバルーン1466の形状との交点が、焼灼ゾーン1467の形状および/またはサイズを決定する。
使用時には、バルーン1464を、水または空気またはCO2によって膨張させるとともに、焼灼バルーン1465がバルーン1464と接触するように、かつ、バルーン1464が、両バルーン1464、1465の赤道に近接したターゲット心臓組織と接触するように、焼灼バルーン1466を、蒸気によって膨張させる。これにより、バルーン1464の赤道に近接して高温ゾーンまたは焼灼ゾーン1467が形成される。低温ゾーン1471は、バルーン1464上において、膨張した焼灼バルーン1465が、膨張したバルーン1464に対して接触していない場所に、位置している。熱は、焼灼バルーン1465の内部から、バルーン1464を介して、心臓組織に対して伝達され、これにより、組織を焼灼して不整脈を処置する。
図14Eは、図14Dのカテーテル1460の任意選択的なマッピング電極1466を有したバルーン1464を示している。図14Fは、図14Dのカテーテル1460の中間シャフト部分の断面図を示している。カテーテル1460は、空気/水ルーメン1462とマッピング電極用のワイヤ1469とを含むセグメント化された外壁1468を含む。カテーテル1460は、また、蒸気ルーメン1463を含み、一実施形態では、ガイドワイヤルーメン1470を含む。図14Gは、図14Dのカテーテル1460の遠位先端部分の断面図を示している。カテーテル1460は、その外壁内に構築されたあるいは一実施形態ではマッピングバルーンの壁内に構築された複数のマッピング電極1466と、蒸気ルーメン1463と、ガイドワイヤルーメン1470と、を含む。
図14Hは、図14Dのカテーテルを使用して心臓組織を焼灼する方法の一実施形態に関与するステップを示すフローチャートである。ステップ1472では、マッピングバルーンを、第1圧力(P1)へと膨張させる。ステップ1473では、マッピングバルーンを使用して、不整脈領域をマッピングする。ステップ1474では、焼灼バルーンを、空気またはCO2を含むあるいは含まない蒸気によって、P1よりも大きな第2圧力(P2)へと膨張させて、マッピングバルーンに対して接触させる。ステップ1475では、焼灼バルーンがマッピングバルーンに対して接触していない低温ゾーンを存在させつつ、マッピングバルーンの表面上において、焼灼バルーンがマッピングバルーンに対して接触しておりかつマッピングバルーンが心臓組織に対して接触している高温ゾーンを形成し、これにより、心臓組織を焼灼する。ステップ1476では、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を監視することにより、不整脈病巣の完全な焼灼を記録する。任意選択的に、ステップ1477では、マッピング電極が組織インピーダンスおよび組織温度を監視して、焼灼を誘導する。任意選択的に、ステップ1478では、バルーンよりも遠位側においてペーシングを実行し、焼灼の適切さをチェックする。カテーテルシャフト上に圧力を印加することができ、これにより、外側バルーンを心臓組織に対して押し付けることによって外側バルーンの形状を変形させることができ、これにより、内側バルーンと外側バルーンとの間の接触ゾーンの形状や寸法や表面領域を変化させることができ、これにより、焼灼ゾーンの形状や寸法や表面領域を変化させることができる。
図14Iは、本明細書の別の実施形態による心臓焼灼カテーテル1480を示し、図14Jは、図14Iのカテーテル1480の長尺ボディ1481の中間部分に関する断面図を示し、図14Kは、図14Iの心臓焼灼カテーテル1480によって実行される心臓焼灼を示している。ここで、図14I~図14Kを同時に参照すると、カテーテル1480は、長尺ボディ1481と、近位端と、この近位端のポートから供給される空気/水ルーメン1482および蒸気ルーメン1483を有した遠位端と、を含む。空気/水ルーメン1482は、カテーテル1480の遠位端に対して取り付けられたバルーン1484と流体連通している。空気/水ルーメン1482は、任意選択的に、複数のサブチャネルまたはルーメン(長尺ボディ1481の長さに沿って)を含み、これにより、カテーテル1480の近位端においてルーメン1482に対して空気/水を導入および導出することを可能としている。
バルーン1484は、その壁の外面内に配置されたあるいは外面に対して取り付けられた複数の任意選択的なマッピング電極1486を含む。実施形態では、マッピング電極1486は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、バルーン1484は、最大で24個のマッピング電極を含む。
蒸気ルーメン1483は、カテーテル1480の遠位端に対して取り付けられた焼灼バルーン1485であるとともに、バルーン1484内に配置された焼灼バルーン1485であり、さらに、バルーン1484の内部においてバルーン1484の全長に沿って長手方向軸線に沿って同軸的に自由に移動可能とされこれにより長手方向軸線1488に沿った複数の位置に配置され得るものとされた焼灼バルーン1485と、流体連通している。いくつかの実施形態では、カテーテル1480は、バルーン1484内で焼灼バルーン1485を移動させるために、カテーテル1480のハンドルのところにおいてユーザが操作可能なワイヤ機構1459を含む。例示的な実施形態によれば、カテーテル1480は、焼灼バルーン1485が、長手方向軸線1488に沿って第1位置1489aから第2位置1489bへと駆動されることを例示している。
いくつかの実施形態では、カテーテル1480の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
実施形態では、焼灼バルーン1485の少なくとも1つの寸法が、バルーン1484とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、焼灼バルーン1485の長さである。実施形態では、焼灼バルーン1485の形状は、バルーン1484の形状とは相違する。実施形態では、焼灼バルーン1485の形状とバルーン1484の形状との交点が、焼灼ゾーン1487aの形状および/またはサイズを決定する。両方のバルーン1484、1485が膨張した時には、バルーン1484の(長手方向軸線1488に沿った)長さは、焼灼バルーン1485の(長手方向軸線1488に沿った)長さよりも長く、焼灼バルーン1485の直径は、バルーン1484の直径に近似している。使用時には、バルーン1484を、CO2または空気によって膨張させ、さらに、焼灼バルーン1485を、蒸気によって膨張させるとともに第1位置1489a(バルーン1484内)に配置し、これにより、焼灼バルーン1485を、バルーン1484に対して接触させるとともに、バルーン1484を、心臓1401内において、肺静脈1402に対して近接した第1位置1489aの近くのターゲット心臓組織と接触させる。これにより、第1位置1489aに近接して、高温ゾーンまたは焼灼ゾーン1487aが形成される。熱は、焼灼バルーン1485の内部から、バルーン1484を介して、心臓組織に対して伝達され、これにより、第1位置1489aにおいて組織を焼灼する。その後、焼灼バルーン1485を、第2位置1489b(バルーン1484内)へと移動させ、これにより、焼灼バルーンを、バルーン1484に対して接触させるとともに、バルーン1484を、肺静脈1402内の第2位置1489bに近接したターゲット心臓組織に対して接触させる。これにより、第2位置1489bに近接して、高温ゾーンまたは焼灼ゾーン1487bが形成される。ここで、熱は、焼灼バルーン1485の内部から、バルーン1484を介して、心臓組織に対して伝達され、第2位置1489bにおいて組織を焼灼する。低温ゾーン1490は、バルーン1484上において、膨張した焼灼バルーン1485が、膨張したバルーン1484に対して接触していない場所に、位置している。肺静脈1402内の空間(第1位置1489aおよび第2位置1489bに関連した空間)に対して適合するために、バルーン1484および焼灼バルーン1485を、第1位置1489aおよび第2位置1489bにおいて異なる態様で膨張させ得ることは、理解されたい。
一態様によれば、バルーン1484は、(焼灼バルーン1485と比較して)よりフレキシブルであり、電極1486と心臓組織との間の電気的接触に関して充分な接触を形成するために、肺静脈1402の内腔などの解剖学的構造の形状に合わせるように自由形成または適合させることができる。焼灼バルーン1485は、より堅固であり、ターゲット心臓組織に対しての熱エネルギの理想的な供給のために、ターゲット組織に対しての軸方向接触ポイント(第1位置1489aおよび第2位置1489bに対応したポイントなど)でしっかりと接触することを意味する。
図14Lは、図14Iのカテーテルを使用して心臓組織を焼灼する方法の一実施形態に関与するステップを示すフローチャートである。ステップ1410では、任意選択的なマッピング電極を有した外側バルーンを、空気またはCO2を使用して、第1圧力(P1)へと膨張させる。ステップ1411では、外側バルーンを使用して、第1不整脈領域および第2不整脈領域に対応した第1位置および第2位置をマッピングする。ステップ1412では、焼灼バルーンを、蒸気を使用してP1以上の第2圧力(P2)へと膨張させ、第1位置で外側バルーンに対して接触させる。一実施形態によれば、外側バルーン内を循環する空気またはCO2は、外側バルーン内の圧力を、0.5×P1と1×P2との間に維持しながら、温度を60℃未満に維持する。ステップ1413では、内側焼灼バルーンが外側バルーンに対して接触していない低温ゾーンを存在させつつ、外側バルーンの表面上において、内側焼灼バルーンが外側バルーンに対して接触しておりかつ外側バルーンが第1心臓組織に対して接触している第1位置のところで、高温ゾーンを形成して、第1心臓組織を焼灼する。ステップ1414では、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を監視することにより、第1不整脈病巣の完全な焼灼を記録する。任意選択的に、ステップ1415では、マッピング電極が組織インピーダンスおよび組織温度を監視して、焼灼を誘導する。第1位置での焼灼が完了した後に、ステップ1416では、内側焼灼バルーンを駆動し、外側バルーンの表面上において、焼灼バルーンを外側バルーンに対して接触するように駆動した第2位置のところで、かつ、外側バルーンが第2心臓組織に対して接触している第2位置のところで、高温ゾーンを形成して、第2心臓組織を焼灼する。ステップ1414および1415は、第2位置での焼灼プロセスのために繰り返される。様々な実施形態では、焼灼バルーンを、複数の位置へと駆動し得ること、したがって、外側バルーンの表面上において複数の高温ゾーンを形成して、複数の位置に対応した心臓組織を焼灼し得ることは、理解されたい。実施形態では、マッピング電極および焼灼ゾーンは、焼灼されるべき心臓組織に面した外側バルーンの遠位表面上に配置される。
図14Mは、本明細書の一実施形態による、図13A~図13Dの少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ1330を組み込んだ心臓焼灼カテーテル1400を示している。カテーテル1400は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ1491を含み、長尺ボディ1491には、カテーテル1400の近位端に配置された空気ポンプ1494および水ポンプ1495と流体連通している空気ルーメン1492および水/蒸気ルーメン1493が設けられている。空気ルーメン1492は、カテーテル1400の遠位端に対して取り付けられた外側バルーン1496と流体連通している。
外側バルーン1496は、その壁の外面内に配置されたあるいは外面に対して取り付けられた複数の任意選択的なマッピング電極を含むことができる。マッピング電極は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。実施形態では、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン1496は、最大で24個のマッピング電極を含む。
水/蒸気ルーメン1493は、カテーテル1400の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン1496内に配置された焼灼バルーン1497と流体連通している。複数の注入ポート1499が、焼灼バルーン1497が取り付けられている遠位端の一部に含まれている。
いくつかの実施形態では、カテーテル1400の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。いくつかの実施形態では、焼灼バルーン1497は、バルーン1496、1497の長手方向軸線に沿って、および、外側バルーン1496の内部において外側バルーン1496の全長に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル1400の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側焼灼バルーンをより良好に位置決めすることができる。
実施形態では、内側焼灼バルーン1497の少なくとも1つの寸法が、外側バルーン1496とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、焼灼バルーン1497の長さである。実施形態では、焼灼バルーン1497の形状は、外側バルーン1496の形状とは相違する。実施形態では、焼灼バルーン1497の形状と外側バルーン1496の形状との交点が、焼灼ゾーン1417の形状および/またはサイズを決定する。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材1499mが、外側バルーン1496よりも遠位側においてボディ1491の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材1499mは、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材1499mは、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材1499mは、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材1499mは、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、カテーテル1400内のルーメンを介して挿入し得るまたは引き抜き得る別個のカテーテルである。
両方のバルーン1496、1497が膨張した時には、外側バルーン1496の長さは、内側焼灼バルーン1497の長さよりも長く、焼灼バルーン1497の直径は、外側バルーン1496の直径に近似している。カテーテル1400は、また、マッピングバルーン1496の近位端の近くに少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ1330(図13A~図13Dを参照して説明したもの)を含む。一実施形態では、図14Mに示すように、2つの加熱チャンバ1330が、ボディ1491内において直列で配置されている。RF電源1498が、加熱チャンバ1330内に含まれる複数の電極(例えば、図13Bの電極1336、1338)に対して結合されている。
使用時には、空気ポンプ1494は、空気またはCO2または別の冷却流体/断熱流体を、空気ルーメン1492を介して供給して、外側バルーン1496を膨張させ、また、水ポンプ1495は、水/生理食塩水を、水/蒸気ルーメン1493を介して、加熱チャンバ1330の近位端に対して供給し、さらに、RF電源1498は、電流を、電極に対して供給し、加熱チャンバ1330を通して流れる水/生理食塩水を加熱して気化させる。生成された蒸気は、注入ポート1499から導出されて、内側焼灼バルーン1497を膨張させ、これにより、焼灼バルーン1497が外側バルーン1496に対して接触するとともに、外側バルーン1496が、両バルーン1496、1497の赤道に近接したターゲット心臓組織に対して接触する。これにより、外側バルーン1496の赤道に近接して、高温ゾーンまたは焼灼ゾーン1417が形成される。低温ゾーン1418は、外側バルーン1496上において、膨張した焼灼バルーン1497が、膨張した外側バルーン1496に対して接触していない場所に、位置している。熱は、内側焼灼バルーン1497の内部から、高温ゾーン1417における外側バルーン1496を介して、心臓組織に対して伝達され、これにより、組織を焼灼して不整脈を処置する。フレキシブルな加熱チャンバ1330は、カテーテル1400に対して、改良されたフレキシブルさおよび操縦性を付与し、これにより、医師は、患者の心臓内の不整脈病巣を焼灼するなどの心臓焼灼処置を実行する際に、カテーテル1400をより良好に位置決めすることができる。
図14Nは、図14Mのカテーテル1400を使用して心臓組織を焼灼する方法の一実施形態に関与するステップを示すフローチャートである。ステップ1472nでは、任意選択的なマッピング電極を有した外側バルーンを、空気ポンプを駆動することによって、第1圧力(P1)へと膨張させる。ステップ1473nでは、外側バルーンを使用して、不整脈領域を任意選択的にマッピングする。ステップ1474nでは、水ポンプを駆動することにより、水/生理食塩水を、少なくとも1つの加熱チャンバに対して供給する。ステップ1475nでは、RF電源を使用して、加熱チャンバの電極に対して電流を供給し、水/生理食塩水を蒸気へと変換し、蒸気を注入ポートから導出することにより、P1以上の第2圧力(P2)へと焼灼バルーンを膨張させ、これにより、内側焼灼バルーンを外側バルーンに対して接触させる。ステップ1476nでは、焼灼バルーンが外側バルーンに対して接触していない低温ゾーンを存在させつつ、外側バルーンの前方表面または遠位表面上において、焼灼バルーンが外側バルーンに対して接触しておりかつ外側バルーンが心臓組織に対して接触している高温ゾーンを形成し、これにより、心臓組織を焼灼する。ステップ1477nでは、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を任意選択的に監視することにより、不整脈病巣の完全な焼灼を記録する。任意選択的に、ステップ1478nでは、マッピング電極が組織インピーダンスおよび組織温度を監視して、焼灼を誘導する。任意選択的に、ステップ1479nでは、バルーンの遠位側でペーシングを実行し、焼灼の適切さをチェックする。内側バルーンは、蒸気によって膨張させる前に、P2以下の圧力へとCO2または空気によって任意選択的に事前膨張させることができる。
図15は、本明細書の一実施形態による、心臓1502の左心房内へと経中隔アプローチを介して導入された蒸気焼灼カテーテル1501を示している。一実施形態では、先端がフレキシブルなワイヤ(図示せず)が、蒸気焼灼カテーテル1501のルーメンを介して導入され、ターゲットをなす肺静脈内へと案内される。ワイヤの先端には、20mm~50mmの蒸気焼灼バルーンが配置されており、この蒸気焼灼バルーンは、左心房のチャンバ内で膨張され、ワイヤ上を通して、ターゲットをなす肺静脈の前庭部へと案内される。マッピングカテーテル1503も、その部位へと導入され、焼灼を誘導する。
図16Aは、本明細書の一実施形態による心臓焼灼カテーテル1601を示している。このカテーテルは、ハンドル1604を含む。カテーテル1601は、長尺ボディ1602と、近位端と、この近位端のポートによって供給される空気または水または生理食塩水用のルーメン1609および蒸気ルーメン1606を有した遠位端と、を含む。いくつかの実施形態では、空気/水または好ましくは生理食塩水1607を、生理食塩水ルーメン1609内を通して循環させて、ボディ1602を冷却し、他方、蒸気1608をルーメン1606内に注入する。ボディ1602の遠位端は、蒸気ルーメン1606と流体連通している遠位アタッチメントであって、引き込み式の針1605などの遠位アタッチメントを有している。引き込み式の針1605は、その遠位端に、少なくとも1つの開口または注入ポートを有し、生理食塩水ルーメン1609内を循環する生理食塩水1607によってボディ1602が冷却されている間に、少なくとも1つの開口または注入ポートから蒸気1608を導出することにより、ターゲット心臓組織を焼灼することが可能とされている。様々な実施形態では、カテーテル1601は、カテーテル1601の遠位端において、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を監視するとともに組織インピーダンスを測定して、ターゲット心臓組織の完全な焼灼を記録するための電気センサ、蒸気ルーメン1606内の圧力を測定するとともに、予め規定された臨界圧力に到達した時点で蒸気の供給を停止させるための圧力センサ、組織温度を監視して焼灼を誘導するための温度センサ、などの複数のセンサを含む。
遠位アタッチメントの形状およびサイズが、焼灼によって処置されるべき特定の解剖学的構造に適応するように様々な実施形態において変化することを、理解されたい。例えば、図16Bは、遠位アタッチメントが、断熱膜によって被覆されかつ長尺ボディ1602の遠位端に対して取り付けられた格納式ディスク1616である、心臓焼灼カテーテル1615の別の実施形態を示している。カテーテルは、ハンドル1604を含む。使用時には、生理食塩水1607が生理食塩水ルーメン1609を通して循環することにより、長尺ボディ1602およびディスク1616の外面を低温状態に維持している間に、蒸気1608が、蒸気ルーメン1606を通してディスク1616に対して供給される。蒸気1608は、格納式ディスク1616の遠位面に位置した少なくとも1つの注入ポートまたは開口から注入され、これにより、ターゲット組織を焼灼する。様々な実施形態では、カテーテル1615は、カテーテル1615の遠位端において、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を監視するとともに組織インピーダンスを測定して、ターゲット心臓組織の完全な焼灼を記録するための電気センサ、蒸気ルーメン1606内の圧力を測定するとともに、予め規定された臨界圧力に到達した時点で蒸気の供給を停止させるための圧力センサ、組織温度を監視して焼灼を誘導するための温度センサ、などの複数のセンサを含む。
いくつかの実施形態では、カテーテル1615の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
図16Cは、遠位アタッチメントが、カテーテル1620の遠位端において外側バルーン1624内に位置した内側バルーン1622を含む、心臓焼灼カテーテル1620のさらに別の実施形態を示している。カテーテルは、ハンドル1604を含む。外側バルーン1624は、空気/CO2ルーメン1609と流体連通しており、他方、内側バルーン1622は、生理食塩水/蒸気ルーメン1606と流体連通している。いくつかの実施形態では、カテーテル1620の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
実施形態では、内側バルーン1622の少なくとも1つの寸法が、外側バルーン1624とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、内側バルーン1622の長さである。実施形態では、内側バルーン1622の形状は、外側バルーン1624の形状とは相違する。実施形態では、内側バルーン1622の形状と外側バルーン1624の形状との交点が、焼灼ゾーンの形状および/またはサイズを決定する。
使用時には、外側バルーン1624を、生理食塩水1607(あるいは代替的には、空気/水)によって膨張させ、これにより、外側バルーン1624は、焼灼されるべきターゲット組織を含む焼灼領域に対して接触することができる。蒸気1608を、内側バルーン1622内へと導入し、内側バルーン1622を膨張させて、焼灼領域の近くで外側バルーン1624に対して接触させる。様々な実施形態では、内側バルーン1622と外側バルーン1624との間の接触領域は、5%~95%であり、外側バルーン1624の遠位端または先端に位置している。
実施形態では、内側バルーン1622は、外側バルーン1624の内部で移動可能であり、したがって、異なる円周方向領域で外側バルーン1624に対して接触する。いくつかの実施形態では、内側バルーン1622は、バルーン1622、1624の長手方向軸線に沿って、および、外側バルーンの内部において外側バルーン1624の全長に沿って、移動可能であり、これにより、ハンドル1604内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めすることができる。内側バルーン1622と外側バルーン1624との間の接触領域のところに高温ゾーンが形成され、これにより、内側バルーン1622からの熱エネルギが、外側バルーン1624を通過して、外側バルーン1624の遠位端または先端に近接した焼灼領域へと、伝達される。長尺ボディ1602と、外側バルーン1624のうちの、高温ゾーンを除く部分とは、循環する空気またはCO2または別の冷却流体/断熱流体1607のおかげで、低温状態のままである。
様々な実施形態では、カテーテル1620は、カテーテル1620の遠位端において、焼灼プロセス時におよび焼灼プロセス後に電気的活動度を監視するとともに組織インピーダンスを測定して、ターゲット心臓組織の完全な焼灼を記録するための電気センサ、蒸気ルーメン1606内の圧力を測定するとともに、予め規定された臨界圧力に到達した時点で蒸気の供給を停止させるための圧力センサ、組織温度を監視して焼灼を誘導するための温度センサ、などの複数のセンサを含む。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材が、外側バルーン1624よりも遠位側においてカテーテルの遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン1624は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン1624は、最大で24個のマッピング電極を含む。
様々な実施形態では、生理食塩水、空気、CO2、または別の冷却流体/断熱流体1607が、カテーテルの近位端において生理食塩水ルーメン1609内へと導入され、外側バルーン1624を通して循環した後に、カテーテルの近位端から導出されることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、冷却流体/断熱流体1607は、同じ開口を介して、生理食塩水ルーメン1609に対して導入され導出される。他の実施形態では、冷却流体/断熱流体1607は、第1開口を介して生理食塩水ルーメン1609内へと導入され、第1開口とは異なる別個の第2開口を介して生理食塩水ルーメンから導出される。
図17は、本明細書の一実施形態による、心臓の左心房1702を通過して肺静脈1703内へと導入された心臓焼灼カテーテル1701の一実施形態を示している。一実施形態では、カテーテルは、操縦可能な外側シース1704内に封入されている。カテーテルの遠位端には、空気またはCO2を循環させる外側バルーン1705がある。外側バルーンの内部には、水蒸気によって充填された内側バルーン1706がある。ここで焼灼ゾーン1709が、組織-バルーン界面を含むことは、理解されよう。マッピングカテーテル1707は、先端部1708によってバルーンに対して結合されている。
いくつかの実施形態では、カテーテル1701の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
いくつかの実施形態では、内側バルーン1706は、バルーン1705、1706の長手方向軸線に沿って、および、外側バルーン1705の全長に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル1701の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、操縦可能な外側シースを使用して外側バルーンに対して圧力を印加し、これにより、外側バルーンを、焼灼されるべき心臓組織に対して押し付けることによって、2つのバルーンの間の交点に関するサイズや形状や寸法を変化させることができ、これにより、焼灼ゾーンのサイズや形状や寸法を変化させることができる。
実施形態では、内側バルーン1706の少なくとも1つの寸法が、外側バルーン1705とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、内側バルーン1706の長さである。実施形態では、内側バルーン1706の形状は、外側バルーン1705の形状とは相違する。実施形態では、内側バルーン1706の形状と外側バルーン1705の形状との交点が、焼灼ゾーンの形状および/またはサイズを決定する。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材が、外側バルーン1705よりも遠位側においてカテーテル1701の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、最大で50mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
実施形態では、外側バルーン1705は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン1705は、最大で24個のマッピング電極を含む。
図18Aは、心臓焼灼方法の一実施形態に関与するステップを列挙したフローチャートである。使用される焼灼デバイスは、図17を参照して説明したものと同様である。ステップ1801では、10mm~50mmの蒸気焼灼バルーンを、経中隔アプローチを介して左心房内へと導入する。次に、ステップ1802では、先端がフレキシブルなワイヤを、蒸気焼灼カテーテルのルーメンを通して導入して、ターゲット肺静脈へと案内する。その後、1803では、外側バルーンを、左心房のチャンバ内で膨張させ、ワイヤ上を通してターゲット肺静脈の前庭部へと案内する。次に、1804では、99℃~115℃の範囲の蒸気を、内側バルーン内へとポンピングし、バルーン/組織界面での温度変化により、バルーン表面との接触によって水へと変換する。蒸気から水へのこの変換は、組織に対して熱を与える発熱反応であり、その結果、バルーン/組織界面は、例えば60℃~115℃などの、極度の高温となる。バルーン/組織界面における極度の高温は、肺静脈/心房組織に対して不可逆的な損傷を与え、これにより、組織を焼灼する。1805では、空気またはCO2または冷却流体/断熱流体を、外側バルーンを通して循環させ、所望の内側/外側バルーン組織界面を除いては外側バルーンを内側バルーンから離間させ、内側バルーンの表面の残部が、周囲組織または血液に対して接触することを阻止する。
図18Bおよび図18Cは、本明細書の一実施形態によるデュアルバルーン心臓焼灼カテーテル1810を示している。心臓焼灼カテーテル1810は、心房細動などの不整脈を処置するために心臓組織を焼灼するに際して、使用することができる。カテーテル1810は、長尺ボディ1812と、近位端1812pと、この近位端においてポートから供給される少なくとも1つの空気ルーメンおよび蒸気ルーメンを有した遠位端1812dと、を含む。少なくとも1つの空気ルーメンは、カテーテル1810の遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン1815と流体連通している。少なくとも1つの空気ルーメンは、外側バルーン1815から、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される空気ポンプまで、延びている。空気ポンプは、任意選択的なフィルタを通して外部環境から空気(冷却流体)を吸引し、外側バルーン1815を充填する。一実施形態では、空気ポンプは、可逆的であり、これにより、必要に応じて、またコントローラが送出した指示に応じて、空気を、バルーン1815内へと送り込んだり、あるいは、バルーン1815から吸引したり、することができる。別の実施形態では、ボディ1812は、外側バルーン1815と流体連通しており、外側バルーン1815に対して空気を運ぶように構成された第1ルーメンと、同じく外側バルーン1815と流体連通しており、外側バルーン1815から空気を運ぶように構成された第2ルーメンと、を含む。一実施形態では、空気に代えて、CO2または別の冷却流体/断熱流体を使用することができる。
蒸気ルーメンは、カテーテル1810の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン1815内に配置された膨張可能な内側バルーン1816と流体連通している。蒸気ルーメンは、内側バルーン1816から、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプまで、延びている。水は、滅菌水リザーバから、水/蒸気ルーメンを通して、水/蒸気ポンプによってポンピングされる。いくつかの実施形態では、内側バルーン1816は、バルーン1815、1816の長手方向軸線に沿って、および、外側バルーン1815の内部において外側バルーン1815の全長に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル1810の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めすることができる。例えば、図18Cは、外側バルーン1815の遠位端の近くに位置するように移動した内側バルーン1816を示している。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ1820(図13A~図13Dを参照して説明したものなど)が、バルーン1815、1816に近接しかつバルーン1815、1816の近位において、長尺ボディ1812の蒸気ルーメンの内部にインラインで配置される。様々な実施形態では、カテーテル1810が、蒸気ルーメン内に加熱チャンバを含まないこと、また、本明細書における任意の加熱チャンバをカテーテル1810と共に使用して焼灼のための蒸気を生成し得ることを、理解されたい。動作時には、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ1820は、あるいは本明細書における任意の他の加熱チャンバは、近位端から流れてくる水を蒸気へと変換し、蒸気は、内側バルーン1816内に位置したボディ1812の一部上に配置された複数のポート1822を介して導出され、これにより、内側バルーン1816を膨張させる。
実施形態では、内側バルーン1816の少なくとも1つの寸法が、外側バルーン1815とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、内側バルーン1816の長さである。いくつかの実施形態では、両方のバルーン1815、1816が膨張した時には、外側バルーン1815の長さは、内側バルーン1816の長さよりも長く、内側バルーン1816の直径は、外側バルーン1815の直径と近似している。様々な実施形態では、外側バルーン1815および内側バルーン1816は、膨張させた時に、球形状、円錐形状、楕円形状、正方形、または段付き形状、のいずれか1つを有している。実施形態では、内側バルーン1816の形状は、外側バルーン1815の形状とは相違する。実施形態では、内側バルーン1816の形状と外側バルーン1815の形状との交点が、2つのバルーン1815、1816の接触領域として規定される焼灼ゾーン1809の形状および/またはサイズを決定する。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材1818が、外側バルーン1815よりも遠位側においてボディ1812の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材1818は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材1818は、最大で50mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材1818は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材1818は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン1815は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン1815は、最大で24個のマッピング電極を含む。実施形態では、マッピング電極は、少なくとも1つの治療評価項目を評価するために、心臓の電気的活動度を測定する。
いくつかの実施形態では、バルーン1815、1816とマッピング電極とマッピング部材1818とを含めて、カテーテル1810の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
図18Dは、肺静脈1826を通しての左心房1827に対しての血液流1825を示している。動作時には、心臓焼灼カテーテル1810は、経中隔穿刺を介して、心臓の左心房1827内へと導入され、外側バルーンは、肺静脈1826へと進められる。次に、図18Eに示すように、外側バルーン1815を、空気によって膨張させて、肺静脈1826から左心房1827への血液流1825を閉塞させる。いくつかの実施形態では、血液流1825の閉塞を、色素検査で確認する。その後、図18Fおよび図18Hに示すように、内側バルーン1816を、蒸気によって膨張させ、これにより、内側バルーン1816を、外側バルーン1815の所望部分または所望領域に対して接触させるとともに、外側バルーン1815を、ターゲット心臓組織を含む高温ゾーン/高温領域または焼灼ゾーン/焼灼領域1830と接触させる。閉塞された血液流1825は、図18Fおよび図18Hにも示されている。いくつかの実施形態では、図18Fに示すように、高温ゾーン1830は、両方のバルーン1815、1816の赤道に近接して形成される。いくつかの実施形態では、図18Hに示すように、高温ゾーン1830は、外側バルーン1815の遠位端に近接して形成される。低温ゾーンまたは低温領域1850は、外側バルーン1815上において、膨張した内側バルーン1816が、膨張した外側バルーン1815に対して接触していない場所に、位置している。その結果、熱エネルギは、内側バルーン1816の内部から、焼灼ゾーン1830のところにおいて外側バルーン1815を介して、心臓組織に対して伝達され、これにより、組織を焼灼して不整脈を処置する。
内側バルーンと外側バルーンとの間の非接触領域または低温ゾーン1850は、断熱材として機能する空気またはCO2 1835によって充填されている。いくつかの実施形態では、遠位側および近位側の低温ゾーン1850は、圧力を平衡させるために、チャネルを通して連結される。一実施形態では、チャネルは、カテーテル内のルーメンであり、あるいは、内側バルーンの外面内に一体化されたルーメンであり、これにより、遠位側の低温ゾーン1850と近位側の低温ゾーン1850とを流体的に接続する。任意選択的に、外側バルーン1815内の空気またはCO2 1835を、カテーテル1810外へと循環させ、これにより、外側バルーン1815を積極的に冷却し、あるいは、外側バルーン1815内の加熱された空気をカテーテル1810外へと導出し、これにより、外側バルーン1815の非接触表面に対して近接した心臓組織に対しての不注意な損傷を防止する。熱エネルギは、所望の持続時間にわたって供給され、その後、外側バルーン1815を収縮させ、内側バルーン1816は、蒸気の凝縮により自己収縮する。カテーテル1810を取り外すと、図18Gに示すように、肺静脈1826(あるいは、いくつかの実施形態では、必要に応じて左心房1827)内には、円周方向の焼灼1837が形成されており、心房性不整脈が処置されている。任意選択的に、肺静脈1826(あるいは、いくつかの実施形態では、必要に応じて左心房1827)は、ペーシングカテーテルでペーシングされ、これにより、円周方向の焼灼の完全性を確認する。
いくつかの実施形態では、外側バルーン1815は、内側バルーン1816と外側バルーン1815との接触を検出するために、所定領域に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、外側バルーン1815は、ターゲット心臓組織に対しての熱エネルギの供給を監視するために、所定領域に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、外側バルーン1815は、外側バルーン1815内の温度を測定して、所定領域(高温ゾーン)から離間した場所の温度を60℃未満に維持するために、外側バルーン1815の所定領域の外側に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、内側バルーン1816は、内側バルーン1816の内部の圧力を測定するための圧力センサを含む。いくつかの実施形態では、内側バルーンは、適切な水蒸気生成を監視するための温度センサを含む。様々な実施形態では、内側バルーンおよび外側バルーンは、内側バルーンおよび外側バルーンの内部の圧力を一定に維持するために、圧力バルブに対して接続されている。
図18Iは、本明細書の一実施形態による、心臓焼灼カテーテルを使用して不整脈を処置するために、心臓組織を焼灼する方法における複数のステップを示すフローチャートである。ステップ1840では、カテーテルおよびバルーンを、患者の心臓の肺静脈内にまたは左心房内に配置する。ステップ1841では、外側バルーンを第1圧力(P1)へと膨張させて、肺静脈から左心房への血液流を閉塞し、この場合、圧力を、平均肺静脈圧力よりも大きくかつ5気圧未満とする。任意選択的に、ステップ1842では、限定するものではないが色素検査などの診断検査を使用して、血液流の閉塞の完全性を確認する。ステップ1843では、内側バルーン内への蒸気流を開始し、これにより、内側バルーンを膨張させて、内側バルーン内の温度を100℃超へと上昇させる。任意選択的に、圧力センサによって、内側バルーンの内部の圧力を測定する。任意選択的に、内側バルーンを、所定の圧力定格を有した圧力バルブに対して接続し、これにより、内側バルーンの内部の一定最大圧力を維持する。任意選択的に、いくつかの実施形態では、内側バルーンを、外側バルーンの内部においてカテーテルの長さに沿って移動させることができ、これにより、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めすることができる。ステップ1844では、内側バルーンの膨張および/または外側バルーン内の空気の加熱により、外側バルーン内の圧力を上昇させ、したがって、内側バルーンからの空気の吸引を開始して、外側バルーンの圧力P1を維持する。いくつかの実施形態では、外側バルーンを、所定の圧力定格を有した圧力バルブに対して接続し、これにより、外側バルーンの内部の一定最大圧力を維持する。
ステップ1845では、内側バルーンを、完全に膨張した状態で、外側バルーンの所定領域(高温ゾーンまたは焼灼ゾーンとも称される)に対して接触させ、これにより、熱エネルギを、内側バルーンの内部から、外側バルーンを介して、外側バルーンの所定領域と接触している周囲心臓組織に対して伝達し、これにより、円周方向パターンでもって心臓組織に対して熱損傷を引き起こす。任意選択的に、外側バルーンの外面上の少なくとも1つの電極を、心臓組織に対して接触させることにより、心臓の電気的活動度を測定して、複数の治療評価項目のうちの1つを評価する。任意選択的に、外側バルーンの所定領域内に配置された熱電対を使用することにより、内側バルーンと外側バルーンとの接触を検出する。任意選択的に、外側バルーンの所定領域内に配置された熱電対を使用することにより、心臓組織に対しての熱エネルギの供給を監視する。
任意選択的に、ステップ1846では、空気またはCO2を、外側バルーンの内外にわたって循環させて、外側バルーンの内部の空気を冷却し、これにより、外側バルーンの一部の温度を60℃未満に維持する。任意選択的に、外側バルーンの所定領域に配置された熱電対を使用することにより、外側バルーン内の温度を測定し、所定領域から離間した温度を60℃未満に維持する。
ステップ1847では、所定時間後に内側バルーンへの蒸気の供給を停止して、内側バルーンの収縮を可能とし、これにより、内側バルーンと外側バルーンとの間の接触領域を除去し、内側バルーンの内部から外側バルーンを介しての周囲心臓組織に対しての熱エネルギの供給を停止する。任意選択的に、バルーンをさらに収縮させるために、内側バルーンに対して追加的な吸引を実行する。内側バルーンが収縮すると、外側バルーン内の圧力が低下することとなり、外側バルーンと肺静脈との間のシールが破壊され、これにより、焼灼された心臓組織を横断して血液が流れ始め、心臓組織がさらに冷却される。コントローラレベルでポンプ内の流体に関連した外側バルーン内の流体圧力を自動制御することにより、この収縮を打ち消してもよい。
ステップ1848では、焼灼が完了した後にあるいは治療目的が達成された後に、空気を吸引することによって外側バルーンを収縮させるとともに、カテーテルを取り外す。いくつかの実施形態では、外側バルーンの収縮後には、蒸気の凝縮により、内側バルーンは、自己収縮する。任意選択的に、ステップ1848でカテーテルを取り外す前に、肺静脈を電気的にペーシングして、治療目的が達成されたかどうかをチェックする。
図19Aは、心臓焼灼カテーテル1902の一実施形態の側断面図を示しており、遠位アタッチメントは、カテーテル1902の遠位端において外側バルーン1903内に位置した内側バルーン1904を含む。冷却流体は、外側バルーン1903を通して循環させ、他方、内側バルーン1904は、水蒸気または蒸気によって膨張させる。一実施形態では、外側バルーン1903は、PETなどの、より硬い材料から形成され、他方、内側バルーン1904は、ラテックスなどの、よりフレキシブルな材料から形成される。カテーテル1902の近位端1902bには、水蒸気および冷却水を運ぶために内部を通して延びるチャネルまたはルーメン1908を有したハンドル1907が設けられている。
いくつかの実施形態では、カテーテル1902の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
いくつかの実施形態では、内側バルーン1904は、バルーン1903、1904の長手方向軸線に沿って、および、外側バルーン1903の内部において外側バルーン1903の全長に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル1902の近位端に位置したハンドル1907内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めすることができる。
実施形態では、内側バルーン1904の少なくとも1つの寸法が、外側バルーン1903とは、少なくとも10%は相違する。いくつかの実施形態では、その寸法は、内側バルーン1904の長さである。実施形態では、内側バルーン1904の形状は、外側バルーン1903の形状とは相違する。実施形態では、内側バルーン1904の形状と外側バルーン1903の形状との交点が、焼灼ゾーン1909の形状および/またはサイズを決定する。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材1952が、外側バルーン1903よりも遠位側においてカテーテル1902の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材1952は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材1952は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材1952は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材1952は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。別の実施形態では、マッピング部材1952は、最大で64個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン1903は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン1903は、最大で24個のマッピング電極を含む。他の実施形態では、外側バルーン1903は、最大で64個のマッピング電極を含む。
動作時には、100℃~125℃程度の温度の水の蒸気/水蒸気が、ルアーコネクタ1910から入力され、カテーテル1902を介して内側バルーン1904へと運ばれる。これにより、内側バルーン1904を、膨張させて、焼灼領域の近くで外側バルーン1903に対して接触させることができる。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン1909は、内側バルーン1904と外側バルーン1903との間の接触領域に形成され、これにより、内側バルーン1904からの熱エネルギが、外側バルーン1903を通過して、焼灼領域へと到達する。長尺ボディと、外側バルーン1903のうちの、高温ゾーン1909を除く部分とは、循環する水のおかげで、低温状態のままである。いくつかの実施形態では、生理食塩水が、ルアーコネクタ1910から入力され、カテーテル1902を通して、外側バルーンに近接したカテーテルの遠位端に位置したインライン加熱部材1999に対して運ばれ、インライン加熱部材1999が、100℃~125℃程度の温度で水の蒸気/水蒸気を生成し、内側バルーン1904に対して供給する。
上述したように、カテーテル1902には、冷却流体または断熱流体ならびに水蒸気を運ぶためのチャネルが設けられている。冷却流体または断熱流体は、カテーテルの近位端に位置したチューブ1911からカテーテル1902内へと入力され、外側バルーン1903を通して循環した後に、カテーテルの近位端に位置した別のチューブ1912から導出される。ルアーコネクタ1913は、冷却流体を、チューブ1911に対して供給したりチューブ1912から導出したりし得るように、設けられている。一実施形態では、水蒸気の入口に位置したルアーコネクタ1910は、耐圧ルアーロックである。一実施形態では、冷却流体は、水である。別の実施形態では、冷却流体は、空気またはCO2である。一実施形態では、冷却流体の温度は、0℃~40℃である。別の実施形態では、冷却流体は、室温である。
一実施形態では、その遠位端1902aと近位端1902bとの間におけるカテーテル1902の長さは、±500mmの公差を有しつつ約1800mmである。一実施形態では、外側バルーン1902は、テーパー形状の端部を有した実質的に円筒形状であり、他方、内側バルーン1904は、実質的に球形状である。別の実施形態では、外側バルーンは、洋ナシ形状である。一実施形態では、両端部間における外側バルーン1903の全長は、約83mmであり、他方、円筒部分の長さは、±25mmの公差を有しつつ約60mmであり、その幅は、±15mmの公差を有しつつ約24mmである。一実施形態では、内側バルーン1904の直径は、±15mmの公差を有しつつ約25mmである。別の実施形態では、外側バルーンの長さは、±25mmの公差を有しつつ約45mmである。
図19Bは、様々なルーメンを有したカテーテル1902に関しての、詳細な内部の図を示している。図19Bを参照すると、中央ルーメン1901は、内側バルーン1904内において水蒸気を運ぶために使用される。第1外側ルーメン1914は、チューブ1911から外側バルーン1903内へと冷却流体を運ぶために使用され、カテーテルの第2外側ルーメン1915は、外側バルーンから戻ってくる冷却流体を運ぶために使用され、また、チューブ1912から導出するために使用される。すべてのルーメンは、補強のために別のチューブまたはハンドル1905内に封入されている。
一実施形態では、図19Bに示すように、カテーテル1902のチャネルまたはルーメンは、適切な場所に開口を有するように設計され、内側バルーン内への水蒸気の流れに関し、ならびに、外側バルーン内へのおよび外側バルーンからの冷却流体の流れに関し、流体の適切な流れを確保する。図19Cは、内側バルーン1904および外側バルーン1903を通過する際の、カテーテル1902に関するフロー機構を示している。図19Cを参照すると、位置1920、1930、1940におけるカテーテルルーメンの断面図が、1921、1931、1941として図示されている。断面図の詳細は、1922、1932、および1942に見ることができる。1922に見られるように、チューブには、冷却流体を外側バルーンからチャネル内へと導入するための開口1922aが、設けられている。この冷却流体は、ルーメンによって出口(図19Bにおけるチューブ1912を経由して)まで運ばれる。1942に見られるように、チューブには、冷却流体をチャネルから外側バルーン内へと導出するための開口1942aが、設けられている。この冷却流体は、チューブ1911(図19Bに示す)によって供給され、チャネルによって外側バルーンへと運ばれる。1932では、チャネルに、2つの開口1932aおよび1932bが見られ、これらの開口を介して、水蒸気が、中央ルーメン1932cから内側バルーンに対して供給される。いくつかの実施形態では、冷却流体は、空気、CO2、または水、である。
図20Aは、バルーンが非膨張状態にある場合の、すなわち水蒸気によって膨張していない場合の、内側バルーン(図19A、図19B、および図19Cでは、1904として示されている)の側断面2001および斜視図2002を示している。図20Aを参照すると、一実施形態では、非膨張状態のバルーン2003は、実質的に円筒形状を有し、両方の端部2004および2005においてテーパー形状である。端部は、管状構造体2006および2007内へと延びており、これらは、図19Aに示すように、バルーンにカテーテルを通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、非膨張状態でのバルーンの全長は、±15mmの公差を有しつつ約28mmであり、他方、円筒部分2009の長さは、±10mmの公差を有しつつ約13.2mmである。各管状セグメント2006、2007の長さは、約4.9mmであり、他方、テーパー部分2004、2005の長さは、各サイドで2.5mmである。一実施形態では、各管状セグメントの内径は、約2.9mmであり、他方、外径は、3.7mmである。バルーン2009の最も広い部分の幅は、±2.5mmの公差を有しつつ約5.6mmである。
図20Bは、膨張状態とされた時の、すなわち水蒸気によって膨張された時の、内側バルーン(図19A、図19B、および図19Cでは、1904として示されている)の側断面図2011および斜視図2012を示している。図20Bを参照すると、一実施形態では、膨張状態のバルーン2013は、細長い球体の形状を有している。管状構造体2016および2017が、バルーンの互いに反対側に位置した2つのサイドから延びており、これらは、図19Aに示すように、カテーテルをバルーン内に通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、管状セグメント2016、2017を含めて膨張状態のバルーンの全長は、±15mmの公差を有しつつ約28mmであり、他方、個々の管状セグメントの長さは、±2.0mmの公差を有しつつ約4.8mmである。一実施形態では、バルーン2013が膨張状態にある時には、各管状セグメントの内径は、約2.9mmであり、他方、外径は、±2.0mmの公差を有しつつ3.3mmである。一実施形態では、細長い球形状バルーンの長軸2019の長さは、バルーンが膨張した状態で、±15mmの公差を有しつつ約23.8mmである。
図21Aは、膨張状態の外側バルーン(図19Aでは1903として示されている)の側断面図2101および斜視図2102を示している。図21Aを参照すると、一実施形態では、バルーン2103は、実質的に円筒形状を有し、両方の端部2104および2105において、実質的にテーパー形状または円錐形状である。端部は、管状構造体または管状ネック2106および2107内へと延びており、これらは、図19Aに示すように、カテーテルを外側バルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、管状ネックまたは管状構造体2106、2107を含めてバルーンの全長は、約113±35mmであり、他方、円筒部分2109の長さは、約60±25mmである。各管状セグメント2106、2107の長さは、±15mmの公差を有しつつ約15mmであり、他方、テーパー形状部分2104、2105の長さは、各サイドで、±10mmの公差を有しつつ12mmである。一実施形態では、各管状セグメントの直径は、約3mmである。バルーン2109の円筒部分の幅は、±15mmの公差を有しつつ約24mmであり、他方、バルーンをなす材料の厚さは、約0.10mmである。
図21Bは、本明細書の別の実施形態による、膨張状態の外側バルーン(図19Aでは1903として示される)の側断面図2110を示している。バルーン2115は、実質的に円筒形状を有し、両方の端部2120および2125において、実質的にテーパー形状または円錐形状である。端部は、管状構造体または管状ネック2130および2135内へと延びており、これらは、図19Aに示すように、カテーテルを外側バルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、テーパー形状または円錐形状の端部2120、2125を含めてバルーンの全長は、約120mmであり、他方、円筒部分2122の長さは、約80±4mmである。一実施形態では、各管状セグメントの内径は、約3.52±0.1mmであり、各管状セグメントの外径は、約4.06mmである。バルーン2115の円筒部分の幅は、+0.5mmまたは-0.5mmの公差を有しつつ約34mmである。
図22は、図19Aでは1910として示されているカテーテルの近位端に配置された耐圧ルアーロック2200の、側面図2201、側断面図2202、および斜視図2203、を示している。図22を参照すると、一実施形態では、ルアーロック2203は、ロック2203を取り扱うための中央に配置されたグリップ2204と、その遠位端2209に位置したオス型コネクタ2203と、その近位端2210に位置したメス型コネクタ2206と、を含む。オス型コネクタ2203は、テーパー形状の端部2208を含み、図19Aのハンドル1907の近位端に対して固定的に取り付けられて、カテーテルに水蒸気入口のためのルアーロックを形成するように構成されている。メス型コネクタ2206は、水蒸気供給源のチューブを受領するための開口2211と、水蒸気供給源のチューブを固定するための溝2207と、を含む。グリップ2204は、ロックを蒸気供給源に対して取り付ける際に、ロック2200を取り扱うために使用される。一実施形態では、ロック2200の全長は、約21.9mmである。メス型コネクタ2206では、外径は、約7.5mmであり、他方、内径は、約4.2mmである。メス型コネクタ2206の幅は、一実施形態では、約4mmである。一実施形態では、メス型コネクタ2206上には、溝2207がエッチングされており、この溝は、約0.6mmの均一な幅を有している。テーパー形状部分の手前でのオス型コネクタ2203の直径は、約4mmであり、他方、遠位端2209では直径が3.3mmへと縮小される。一実施形態では、ロック2200は、6%の標準的なテーパー形状を有している。
一実施形態では、ルアーロック2200のグリップ2204は、約7mmの幅と、約11mmの直径と、を有している。
図23Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、デュアルバルーン心臓焼灼カテーテル2310の長手方向断面図および側方からの斜視図を示し、図23Bおよび図23Cは、それぞれ、カテーテル2310の外側バルーンおよび内側バルーンに関する様々な図を示し、図23Dは、カテーテル2310の長尺ボディ2312の長手方向断面図および横断面図を示している。図23A~図23Dを同時に参照すると、特段に言及しない限り、長尺ボディ2312は、近位端と、遠位端と、複数のルーメンと、を有している。
ここで、図23Dにおける長手方向断面図2380および横断面図2385とともに図23Aを参照すると、一実施形態では、長尺ボディ2312は、カテーテル2310の遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン2360と流体連通している第1冷却流体注入ルーメン2320および第2冷却流体吸引ルーメン2322(いくつかの実施形態では、第1冷却流体注入ルーメン2320に対して径方向反対側に配置されている)を含む。実施形態では、冷却流体は、水、空気、または二酸化炭素、である。動作時には、冷却流体は、カテーテルの近位端から、第1冷却流体注入ルーメン2320内へと導入され、外側バルーン2360を通して循環した後に、第2冷却流体吸引ルーメン2322を通してカテーテルの近位端から導出される。冷却流体は、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプを使用することにより、カテーテル2310および外側バルーン2360を通して循環される。
実施形態では、長尺ボディ2312は、また、カテーテル2310の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン2360の内部に配置された膨張可能な内側バルーン2365に対して複数の蒸気注入ポート2368を介して流体連通している中央の水/蒸気ルーメン2317も含む。いくつかの実施形態では、複数の蒸気注入ポート2368は、水/蒸気ルーメン2317のうちの、内側バルーン2365の内部に位置した一部に沿って、配置される。長尺ボディ2312は、また、第3ルーメン2370および第4ルーメン2371(互いに径方向反対側に配置されている)を含む。
いくつかの実施形態では、長尺ボディ2312は、1800mmの長さと、2.9mmの外径と、2.6mmの内径と、を有している。いくつかの実施形態では、長尺ボディ2312の材質(PETなど、ただしこれに限定されない)の厚さは、0.15mmである。いくつかの実施形態では、中央の水/蒸気ルーメン2317は、0.9mmの内径を有している。
いくつかの実施形態では、複数の電極を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、中央の水/蒸気ルーメン2317の内部にインラインで配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、複数の電極が少なくとも部分的に内側バルーン2365の内部に位置しているようにして、中央の水/蒸気ルーメンの内部にインラインで配置される。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水を、滅菌水リザーバから、水/蒸気ルーメン2317を通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバの近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、水を蒸気へと変換し、蒸気を少なくとも1つの蒸気注入ポート2368から導出することにより、内側バルーン2365を膨張させるとともに、焼灼領域の近くで外側バルーン2360に対して接触させる。内側バルーン2365と外側バルーン2360との間の接触領域では、焼灼ゾーンまたは高温ゾーンが形成され、これにより、内側バルーン2365からの熱エネルギが、外側バルーン2360を通過して、焼灼領域へと到達する。長尺ボディ2312と、外側バルーン2360のうちの、高温ゾーンを除く部分とは、循環する冷却流体のおかげで低温状態のままである。
図23Bを参照すると、一実施形態では、外側バルーン2360は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2360aおよび遠位端2360cを有した実質的に円筒形状の部分2360bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している(外側バルーン2360に関する、図23Aにおける側方からの斜視図2340および図23Bにおける側方からの斜視図2342にそれぞれ示されている)。端部は、管状構造体2361および2362内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、外側バルーン2360は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2360aおよび遠位端2360cの間に、130mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2360bは、90mmの長さおよび30mmの外径を有し、管状構造体2361、2362のそれぞれは、10mmの長さおよび4mmの内径を有している(管状構造体のうちの1つに関する拡大図示2352にも示されている)。一実施形態では、外側バルーン2360は、内側バルーンと比較して、PETなどのより硬い材質から形成されており、その厚さは、0.1mmである。
図23Cを参照すると、一実施形態では、内側バルーン2365は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2365aおよび遠位端2365c(内側バルーン2365に関する側方からの斜視図2344にも示されている)を有した実質的に円筒形状の部分2365bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している。端部は、管状構造体2366および2367内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、内側バルーン2365は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2365aおよび遠位端2365cの間に、86mmの長さを有し、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2365aおよび遠位端2365cのそれぞれは、17mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2365bは、55mmの長さおよび20mmの外径を有し、管状構造体2366、2367のそれぞれは、10mmの長さおよび2.9mmの内径を有している(管状構造体の1つに関する拡大図示2353に示されている)。一実施形態では、内側バルーン2365は、外側バルーンと比較して、ラテックスなどのよりフレキシブルな材質から形成されている。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2365は、外側バルーン2360の内部において長尺ボディ2312の一部に沿って移動可能であり、これにより、カテーテル2310の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めし得るとともに、外側バルーンに対して内側バルーンを適切に接触させること確保することができる。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材が、外側バルーン2360よりも遠位側においてボディ2312の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状または投げ縄形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2360は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2360は、最大で24個のマッピング電極を含む。実施形態では、マッピング電極は、少なくとも1つの治療評価項目を評価するために、心臓の電気的活動度を測定する。
いくつかの実施形態では、バルーン2360、2365とマッピング電極とマッピング部材とを含めて、カテーテル2310の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
図24Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、デュアルバルーン心臓焼灼カテーテル2410の長手方向の斜視図および横断方向の斜視図を示し、図24Bは、カテーテル2410の一部に関する拡大図とともに、長手方向断面図を示し、図24Cは、カテーテルの長尺ボディ2412の横断面図を示している。図24A、図24B、および図24Cを同時に参照すると、特段に言及しない限り、長尺ボディ2412は、近位端と、遠位端と、複数のルーメンと、を有している。
一実施形態では、長尺ボディ2412は、ルーメンを有した外側カテーテル2415と、水/蒸気ルーメン2417を有した内側カテーテル2416と、を含む。内側カテーテル2416は、2つのカテーテル2415、2416の間にリング状の冷却流体吸引ルーメン2422を形成するようにして、外側カテーテル2415のルーメン内に配置されている。2つのカテーテル2415、2416は、実施形態によれば、同軸的に配置されている。リング状の冷却流体吸引ルーメン2422は、第1および第2の冷却流体注入チューブ2420を収容している。
第1および第2の冷却流体注入チューブ2420と、リング状の冷却流体吸引ルーメン2422とは、カテーテル2410の遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン2460と流体連通している。実施形態では、外側カテーテル2415の遠位端、ならびに、第1および第2の冷却流体注入チューブ2420の遠位端は、外側バルーン2460の近位端に位置しているのに対し、あるいは、外側バルーン2460の近位端で終端しているのに対し、内側カテーテル2416の遠位端は、外側バルーン2460の遠位端を超えて突出している。実施形態では、冷却流体は、水、空気、または二酸化炭素、である。動作時には、冷却流体は、カテーテルの近位端から、第1および第2の冷却流体注入チューブ2420内へと導入され、外側バルーン2460を通して循環した後に、リング状の冷却流体吸引ルーメン2422を通してカテーテルの近位端から導出される。冷却流体は、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプを使用することにより、カテーテル2410および外側バルーン2460を通して循環される。
水/蒸気ルーメン2417は、複数の蒸気注入ポート2468を介して、カテーテル2410の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン2460内に配置された膨張可能な内側バルーン2465と流体連通している。いくつかの実施形態では、複数の蒸気注入ポート2468は、内側カテーテル2416のうちの、内側バルーン2465の内部に位置した一部に沿って配置されている。
図24Dにおける、横断面図、長手方向断面図、および斜視図に示すように、いくつかの実施形態では、外側カテーテル2415は、1800mmの長さと、2.2mmの内径と、2.5mmの外径と、を有している。図24Eにおける横断面図および長手方向断面図に示すように、内側カテーテル2416は、1960mmの長さと、1mmの内径と、1.3mmの外径と、を有している。いくつかの実施形態では、内側カテーテル2416上には、7個の蒸気注入ポート2468が配置されており(および、水/蒸気ルーメン2417と連通している)、各ポート2468は、0.5mmの直径を有している。いくつかの実施形態では、近位ポート2468aは、内側カテーテル2416の近位端から1850mmの距離のところに位置しているとともに、内側カテーテル2416の遠位端から110mmの距離のところに位置している。いくつかの実施形態では、図24Bにおける拡大図示2480にも示すように、複数の蒸気注入ポート2468は、互いに10mmの距離だけ離間している。図24Fにおける横断面図および長手方向断面図に示すように、いくつかの実施形態では、第1および第2の冷却流体注入チューブ2420のそれぞれは、1800mmの長さと、0.3mmの内径と、0.4mmの外径と、を有している。
いくつかの実施形態では、複数の電極を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、中央の水/蒸気ルーメン2417の内部にインラインで配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、複数の電極が少なくとも部分的に内側バルーン2465の内部に位置しているようにして、中央の水/蒸気ルーメン2417の内部にインラインで配置される。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水を、滅菌水リザーバから、水/蒸気ルーメン2417を通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバの近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、水を蒸気へと変換し、蒸気を複数の蒸気注入ポート2468から導出することにより、内側バルーン2465を膨張させるとともに、焼灼領域の近くで外側バルーン2460に対して接触させる。内側バルーン2465と外側バルーン2460との間の接触領域では、焼灼ゾーンまたは高温ゾーンが形成され、これにより、内側バルーン2465からの熱エネルギが、外側バルーン2460を通過して、焼灼領域へと到達する。長尺ボディ2412と、外側バルーン2460のうちの、高温ゾーンを除く部分とは、循環する冷却流体のおかげで低温状態のままである。
図24Gの横断方向の図および様々な斜視図を参照すると、一実施形態では、外側バルーン2460は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2460aおよび遠位端2460cを有した実質的に円筒形状の部分2460bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している。端部は、管状構造体2461および2462内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、外側バルーン2460は、管状構造体2461、2462の間において、123mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2460bは、75mmの長さおよび30mmの外径を有し、管状構造体2461、2462のそれぞれは、7mmの長さおよび2.5mmの内径を有し、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の端部2460a、2460cのそれぞれは、18.8mmの長さを有している。一実施形態では、外側バルーン2460は、内側バルーンと比較して、PETなどのより硬い材質から形成されており、その厚さは、0.15mmである。
図24Hを参照すると、一実施形態では、内側バルーン2465は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2465aおよび遠位端2465c(内側バルーン2465に関する側方からの斜視図2444にも示されている)を有した実質的に円筒形状の部分2465bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している。端部は、管状構造体2466および2467内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、内側バルーン2465は、管状構造体2466、2467の間において、114mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2465bは、55mmの長さおよび20mmの直径を有し、管状構造体2466、2467のそれぞれは、15mmの長さおよび1.4mmの直径を有し、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の端部2465a、2465cのそれぞれは、17mmの長さを有している。一実施形態では、内側バルーン2465は、外側バルーンと比較して、ラテックスなどのよりフレキシブルな材質から形成されている。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2465は、外側バルーン2460の内部において内側カテーテル2416の一部に沿って移動可能であり、これにより、カテーテル2410の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めし得るとともに、外側バルーンに対して内側バルーンを適切に接触させること確保することができる。
一実施形態では、長尺ボディ2412の遠位端は、カテーテル2410を体腔内へと導入した時に遠位端を組織に対して相対的に非外傷性のものとするために、楕円形またはオリーブ形状の先端(オリーブチップ)を有し得る球根状の先端部2470を有している。図24Iは、本明細書の一実施形態による、球根状またはオリーブ状の先端部2470に関しての、斜めからの斜視図2471、側方からの斜視図2473、および長手方向断面図2475、を示している。先端部2470は、実質的に楕円形状またはオリーブ形状の遠位部2474へと連接する近位の実質的に円筒形状の部分2472を有している。円筒部分2472は、近位端のところに、先端部2470がカテーテル2410の遠位端上に取り付けられた時にカテーテル2410の遠位端の一部(すなわち、内側カテーテル2416の遠位端)を収容する円筒形状経路2477へと連接する開口2476を有している。
一実施形態では、楕円形状またはオリーブ形状の先端部2470の全長は、5mmである。一実施形態では、近位の実質的に円筒形状の部分2472は、1.8mmの外径および2mmの長さを有している。一実施形態では、開口2476は、1.3mmの直径を有し、円筒形状経路2477は、3.5mmの長さを有している。一実施形態では、実質的に楕円形状またはオリーブ形状の遠位部分2474は、2.5mmの幅および1.3mmの半径を有している。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材が、外側バルーン2460よりも遠位側においてボディ2412の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状または投げ縄形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2460は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2460は、最大で24個のマッピング電極を含む。実施形態では、マッピング電極は、少なくとも1つの治療評価項目を評価するために、心臓の電気的活動度を測定する。
いくつかの実施形態では、バルーン2460、2465と、楕円形状またはオリーブ形状の先端部2470とマッピング電極とマッピング部材とを含めて、カテーテル2410の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
図25Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、デュアルバルーン心臓焼灼カテーテル2510の長手方向の斜視図および横断方向の斜視図を示し、図25Bは、カテーテル2510の一部に関する拡大図とともに、長手方向断面図を示し、図25Cは、カテーテルの長尺ボディ2512の横断面図を示している。図25A、図25B、および図25Cを同時に参照すると、特段に言及しない限り、長尺ボディ2512は、近位端と、遠位端と、複数のルーメンと、を有している。
一実施形態では、長尺ボディ2512は、ルーメンを有した外側カテーテル2515と、第1水/蒸気注入ルーメン2517aおよび第2蒸気吸引ルーメン2517bを有した内側カテーテル2516と、を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2の蒸気ルーメン2517a、2517bは、互いに径方向反対側に位置している。内側カテーテル2516は、2つのカテーテル2515、2516の間に冷却流体吸引経路2522を形成するように、外側カテーテル2515のルーメンの内部に配置されている。冷却流体吸引経路2522は、第1および第2の冷却流体注入チューブ2520を収容している。
第1および第2の冷却流体注入チューブ2520ならびに冷却流体吸引経路2522は、カテーテル2510の遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン2560と流体連通している。実施形態では、外側カテーテル2515の遠位端、ならびに、第1および第2の冷却流体注入チューブ2520の遠位端は、外側バルーン2560の近位端に位置しているのに対し、あるいは、外側バルーン2560の近位端で終端しているのに対し、内側カテーテル2516の遠位端は、外側バルーン2560の遠位端を超えて突出している。実施形態では、冷却流体は、水、空気、または二酸化炭素、である。動作時には、冷却流体は、カテーテル2510の近位端から、第1および第2の冷却流体注入チューブ2520内へと導入され、外側バルーン2560を通して循環した後に、冷却流体吸引経路2522を通してカテーテル2510の近位端から導出される。冷却流体は、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプを使用することにより、カテーテル2510および外側バルーン2560を通して循環される。
第1水/蒸気注入ルーメン2517aは、複数の蒸気注入ポート2568aを介して、カテーテル2510の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン2560内に配置された膨張可能な内側バルーン2565と流体連通している。また、第2蒸気吸引ルーメン2517bは、複数の蒸気吸引ポート2568bを介して、膨張可能な内側バルーン2565と流体連通している。いくつかの実施形態では、蒸気吸引ポート2568bの吸引は、圧力センサにより制御される外部ポンプによって、あるいは、自己開放型の圧力バルブによって、制御される。いくつかの実施形態では、複数の蒸気注入ポート2568aおよび複数の蒸気吸引ポート2568bは、内側カテーテル2516のうちの、内側バルーン2565の内部に位置した一部に沿って配置されている。
図25Dにおける、横断面図、長手方向断面図、および斜視図に示すように、いくつかの実施形態では、外側カテーテル2515は、1800mmの長さと、2.6mmの内径と、2.9mmの外径と、を有している。いくつかの実施形態では、図25Eの横断面図2585に示すように、内側カテーテル2516は、1.8mmの外径を有し、第1および第2蒸気ルーメン2517a、2517bの中心どうしは、0.9mmの距離だけ離間して配置されており、第1蒸気ルーメン2517aおよび第2蒸気ルーメン2517bのそれぞれの内径は、0.7mmである。いくつかの実施形態では、図25Eの長手方向断面図2586に示すように、内側カテーテル2516は、1910.4mmの長さを有している。
いくつかの実施形態では、内側カテーテル2516上には、第1水/蒸気注入ルーメン2517aに沿って、7個の蒸気注入ポート2568aが配置されており、各ポート2568aは、0.8mmの直径を有している。いくつかの実施形態では、近位ポート2568a’は、内側カテーテル2516の近位端から1800mmの距離のところに位置し、内側カテーテル2516の遠位端から110.4mmの距離のところに位置している。いくつかの実施形態では、図25Bの拡大図示2580にも示すように、複数の蒸気注入ポート2568aは、互いに10mmの距離だけ離間して配置されている。いくつかの実施形態では、内側カテーテル2516上には、第2蒸気吸引ルーメン2517bに沿って、6個の蒸気吸引ポート2568bが配置されており、各ポート2568bは、0.8mmの直径を有している。いくつかの実施形態では、図25Bの拡大図示2580にも示すように、複数の蒸気注入ポート2568aは、互いに10mmの距離だけ離間して配置されており、複数の蒸気吸引ポート2568bも、また、互いに10mmの距離だけ離間して配置されている。また、いくつかの実施形態では、蒸気吸引ポート2568bのそれぞれは、連続した直前の蒸気注入ポート2568aおよび連続した直後の蒸気注入ポート2568aから、5mmの距離のところに配置されている。
図25Fの横断面図および長手方向断面図に示すように、いくつかの実施形態では、第1および第2の冷却流体注入チューブ2520のそれぞれは、1800mmの長さと、0.4mmの内径と、0.5mmの外径と、を有している。
いくつかの実施形態では、複数の電極を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、第1水/蒸気注入ルーメン2517aの内部にインラインで配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、複数の電極が少なくとも部分的に内側バルーン2565の内部に位置しているようにして、第1水/蒸気注入ルーメン2517aの内部にインラインで配置される。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水を、滅菌水リザーバから、水/蒸気ルーメン2517aを通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバの近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、水を蒸気へと変換し、蒸気を複数の蒸気注入ポート2568aから導出することにより、内側バルーン2565を膨張させるとともに、焼灼領域の近くで外側バルーン2560に対して接触させる。内側バルーン2565と外側バルーン2560との間の接触領域では、焼灼ゾーンまたは高温ゾーンが形成され、これにより、内側バルーン2565からの熱エネルギが、外側バルーン2560を通過して、焼灼領域へと到達する。長尺ボディ2512と、外側バルーン2560のうちの、高温ゾーンを除く部分とは、循環する冷却流体のおかげで低温状態のままである。収縮のために、蒸気を、内側バルーン2565から、複数の蒸気吸引ポート2568bを介して、第2蒸気吸引ルーメン2517bを通して、吸引する。
図25Gにおける側方からの斜視図および様々な斜視図を参照すると、一実施形態では、外側バルーン2560は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2560aおよび遠位端2560c(外側バルーン2560に関する図25Gにおける側方からの斜視図2542に示されている)を有した実質的に円筒形状の部分2560bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している。端部は、管状構造体2561、2562内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、外側バルーン2560は、管状構造体2561および2562の間において、123mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2560bは、75mmの長さおよび30mmの外径を有し、管状構造体2561、2562のそれぞれは、7mmの長さおよび3mmの内径を有し、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の端部2560a、2560cのそれぞれは、7mmの長さを有している。一実施形態では、外側バルーン2560は、内側バルーンと比較して、PETなどのより硬い材質から形成されており、その厚さは、0.15mmである。
図25Hにおける側方からの斜視図および様々な斜視図を参照すると、一実施形態では、内側バルーン2565は、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の近位端2565aおよび遠位端2565c(内側バルーン2565に関する側方からの斜視図2544にも示されている)を有した実質的に円筒形状の部分2565bを含む複合形状(完全に膨張した状態の時)を有している。端部は、管状構造体2566および2567内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。一実施形態では、内側バルーン2565は、管状構造体2566および2567の間において、114mmの長さを有し、実質的に円筒形状の部分2565bは、55mmの長さおよび20mmの直径を有し、管状構造体2566、2567のそれぞれは、15mmの長さおよび1.7mmの直径を有し、実質的にテーパー形状のまたは円錐形状の端部2565a、2565cのそれぞれは、17mmの長さを有している。一実施形態では、内側バルーン2565は、外側バルーンと比較して、ラテックスなどのよりフレキシブルな材質から形成されている。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2565は、外側バルーン2560の内部において内側カテーテル2516の一部に沿って移動可能であり、これにより、カテーテル2510の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めし得るとともに、外側バルーンに対して内側バルーンを適切に接触させること確保することができる。
一実施形態では、長尺ボディ2512の遠位端は、カテーテル2510を体腔内へと導入した時に遠位端を組織に対して相対的に非外傷性のものとするために、楕円形またはオリーブ形状の先端(オリーブチップ)を有し得る球根状の先端部2570を有している。図25Iは、本明細書の一実施形態による、球根状またはオリーブ状の先端部2570に関しての、斜視図2571、側方からの斜視図2573、および長手方向断面図2575、を示している。先端部2570は、実質的に楕円形状またはオリーブ形状の遠位部2574へと連接する近位の実質的に円筒形状の部分2572を有している。円筒部分2572は、近位端のところに、先端部2570がカテーテル2510の遠位端上に取り付けられた時にカテーテル2510の遠位端の一部(すなわち、内側カテーテル2516の遠位端)を収容する円筒形状経路2577へと連接する開口2576を有している。
一実施形態では、楕円形状またはオリーブ形状の先端部2570の全長は、5mmである。一実施形態では、近位の実質的に円筒形状の部分2572は、2mmの長さを有している。一実施形態では、開口2576は、1.8mmの直径を有し、円筒形状経路2577は、3.5mmの長さを有している。一実施形態では、実質的に楕円形状またはオリーブ形状の遠位部分2574は、2.9mmの幅および1.5mmの半径を有している。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材が、外側バルーン2560よりも遠位側においてボディ2512の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状または投げ縄形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~25mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~8個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2560は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2560は、最大で24個のマッピング電極を含む。実施形態では、マッピング電極は、少なくとも1つの治療評価項目を評価するために、心臓の電気的活動度を測定する。一実施形態では、8個の等間隔のマッピング電極が、外側バルーン2560を囲む円内に配置され、20mmの直径を有したループを形成する。
いくつかの実施形態では、バルーン2560、2565と楕円形状またはオリーブ形状の先端部2570とマッピング電極とマッピング部材とを含めて、カテーテル2510の表面全体が、ヘパリンによってコーティングされる。
患者の解剖学的構造に応じてサイズが好ましくは可変とされた別個の焼灼ゾーンを形成することは、本明細書の一実施形態の目的の1つである。別の目的は、焼灼ゾーンの近位側および遠位側に「移行」ゾーンまたは「断熱」ゾーンを形成することである。図25Jは、内側バルーン2565を蒸気によって膨張させた際に、内側バルーン2565が外側バルーン2560の所望部分または所望領域に対して接触して、ターゲット心臓組織を焼灼するために使用される高温ゾーン/高温領域または焼灼ゾーン/領域2580を形成した様子を示している。外側バルーン2560の構成が、この外側バルーンが患者の肺静脈に対してどのように押し付けられるかに基づいて変化することにより、詳細な焼灼ゾーン2580の構成も変化し、これにより、患者の肺静脈および肺静脈口の解剖学的構造に合わせてそれ自体を成形する。より具体的には、本明細書の一実施形態によれば、外側バルーン2560は、肺静脈に対して最適に接触するように変形し、その変形に基づいて、内側バルーン2565は、変形したポイントで外側バルーン2560に対して主に接触し、これが所望の焼灼位置をなす。これは、水蒸気による焼灼では、熱が隣接する構造や血液に伝わって合併症を引き起こさないように、加熱を特定の解剖学的領域に限定する必要があるためである。この概念により、個々の患者の解剖学的構造に対してカスタムフィットする動的な焼灼ゾーンが形成される。
図25Kおよび図25Lは、接触領域2580aおよび2580bによって規定される焼灼ゾーン2580として識別される隔離領域を有した例示的なダブルバルーンの一実施形態を示している。焼灼ゾーン2580は、患者の肺静脈の解剖学的なサイズおよび形状に対応する周縁を有することができる。焼灼ゾーンは、患者の解剖学的構造に基づいて変化することができる。内側バルーン2565と外側バルーン2560との間の非接触領域または低温ゾーンは、空気によって充填されており、外側バルーン2560の近位側の断熱ゾーン2582aとして、および、外側バルーン2560の遠位側の断熱ゾーン2582bとして、機能する。いくつかの実施形態では、断熱ゾーンは、内側バルーン2565と外側バルーン2560の間の領域の円周まわりにおいて、約0.1mmの幅で延びている。さらに、実施形態では、断熱ゾーン2582aおよび2582bは、1mm~20mmの長さにわたって延びている。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン2580は、外側バルーン表面の1%~99%の範囲の領域をカバーし、断熱ゾーンは、これに対応して、99%から1%まで減少する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン2580は、外側バルーン表面の5%~95%の範囲の領域をカバーし、断熱ゾーンは、これに対応して、95%から5%まで減少する。
膨張した内側バルーン2565と外側バルーン2560との接触領域によって規定されしたがって外側バルーン2560が患者の組織に対して接触している領域によって規定される焼灼ゾーン2580は、血液が流れ得ない領域である。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン2580は、1mm~20mmの幅内に広がっている。断熱ゾーン2582a、2582bの外面の温度は、焼灼ゾーン2580の温度よりも低い。本明細書の様々な実施形態によれば、可変焼灼ゾーン2580が得られ、断熱ゾーン2582aおよび2582bによって囲まれている。可変焼灼ゾーン2580は、異なる患者の解剖学的構造内におけるより良好な断面適合性を提供する。可変焼灼ゾーン2580は、また、可変断熱ゾーン2582aおよび2582bをもたらす。この可変性は、2つのバルーン2560および2565が、可変の形状、可変のサイズ、および可変のデュロメータ硬さ、を有することに起因する。その結果、内側バルーン2565は、柔軟性が低く、比較的剛直な形状を維持し、他方、外側バルーンは、より柔軟であって、患者の心房および肺静脈の解剖学的構造に合わせた形状をなす。心臓組織と、柔軟であって容易に変形する外側バルーンと、中程度に柔軟であって剛直な内側バルーンと、の間の相互作用により、動的で/可変的な焼灼ゾーンが形成される。したがって、内側バルーンは、外側バルーンの柔軟性よりも、より低い柔軟性を有している。
任意選択的に、内側バルーン2565は、外側バルーン内で「浮遊」しており、ガイドシースを介してユーザが軸線方向に力を印加することができ、外側バルーンをさらに変形させ得るとともに、内側バルーン2565を任意の向きに押し込むことができ、組織に対する接触が、外側バルーンと内側バルーンとの交差によって行われている焼灼ゾーン2580を形成することができる。焼灼ゾーン2580の幅は、ガイドシースを介して外側バルーンおよび内側バルーンに対して伝達される軸線方向の力を増強することにより、増加させることができる。これに加えて、内側バルーンは、外側バルーンに対して浮遊することができ、ガイドシースの圧力を使用して、内側バルーンを外側バルーンに対して移動させることができる。
図25Lは、また、本明細書の一実施形態による、内側バルーン2565上の、断熱ゾーン2582aおよび2582b内において断熱材として機能するコーティング部分2584を示している。いくつかの実施形態では、内側バルーン2565の外側部分に代えて、外側バルーン2560の内側部分が、断熱材を提供するためにコーティングされる。実施形態では、コーティングは、例えばパリレンなどのセラミックコーティングである、あるいは、ゲルコーティングである。コーティングは、断熱ゾーン2582aおよび2582bである可能性が高い領域において提供され、焼灼ゾーン2580には存在しない。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2565および外側バルーン2560の一方または双方の膜厚は、その長手方向軸線に沿った円周方向の長さに沿って可変である。図25Mは、ダブルバルーン構成の例示的な実施形態を示しており、外側バルーン2563は、断熱ゾーン2583a、2583bに沿ってより厚い膜2584、2587を有し、熱伝達が必要とされる焼灼ゾーン2581に沿って相対的に薄くなっており、相対的な程度の断熱性を生成するものとされている。
図25Nは、本明細書による、2つのバルーン2560’のうちの少なくとも1つが、その円周方向に延びる複数の離散的なチャネル2588を含む、ダブルバルーンの一実施形態を示している。バルーン2560’は、バルーン2565などの内側バルーン、または、バルーン2560などの外側バルーン、のいずれかである。各チャネル2588は、水蒸気が通過するルーメンに対して接続されている。いくつかの実施形態では、チャネル2588は、バルブを介してルーメンに対して接続されている。バルーン2560’が適切な位置に配置された後に、その表面まわりに位置した放射線不透過性マーカ2590を使用することにより、どのチャネル2588が、焼灼のためのターゲット表面に対して最良に接触しているかが決定される。最適なチャネルが特定されると、特定されたチャネルに関して適切なバルブを開放することができ、水蒸気をそのチャネルに対して送出し、これにより、ターゲット表面を焼灼することができる。
代替的な実施形態では、断熱ゾーン2582aおよび2582bなどの断熱材が、様々な手段によって形成される。1つの方法では、内側バルーン2565の外面に対して、または、外側バルーン2560の内面に対して、パッチ状の膜または発泡体あるいは任意の他の材料を接着することによって、エアギャップが形成される。別の実施形態では、内側バルーン2565の表面上において断熱ポケットを使用することで、断熱が促進される。
図25Oは、本明細書のいくつかの実施形態による、ダブルバルーン焼灼デバイスを膨張させるための例示的なプロトコルを示すフローチャートである。最初に、2592では、バルーン2560などの外側バルーンを、少量の二酸化炭素(CO2)を使用して部分的に膨張させる。一実施形態では、外側バルーンを、CO2を使用して、約30立方センチメートル(cc)の容積へと膨張させる。次に、2593では、バルーン2565などの内側バルーンを、そのプライミング機能の一部として、CO2を使用して部分的に膨張させる。2594では、内側バルーンを、水蒸気を使用して、さらに膨張させる。いくつかの実施形態では、水蒸気の生成に、最大で15ccの生理食塩水を使用する。2595では、内側バルーンを水蒸気によって膨張させることにより、外側バルーンを自動的に膨張させる。外側バルーンが膨張するにつれて、外側バルーンは、血液を、焼灼ゾーンから近位側へとおよび遠位側へと押し出すように機能する。いくつかの実施形態では、外側バルーンの表面は、20mm~100mmの範囲の直径へと膨張する。
内側バルーンに対して接続された流出チャネル内の圧力バルブを使用して、および、外側バルーンに対して接続された流出チャネル内の圧力バルブを使用して、膨張させたバルーン内の圧力を調節する。実施形態では、圧力は、外側バルーンと内側バルーンとの両方内で、0psi~50psiに維持される。いくつかの実施形態では、逆止バルブ(自己開放型バルブ)が、外側バルーンから来る流出チャネル内に配置され、0psi~5psiの範囲の重量ポンド毎平方インチ(psi)値に設定される。いくつかの実施形態では、別の逆止バルブ(自己開放型バルブ)が、内側バルーンから来る流出チャネル内に配置され、0.5~10の範囲のpsi値に設定される。いくつかの実施形態では、外側バルーンバルブは、0psi~1.0psiの圧力の間で開放する。いくつかの実施形態では、内側バルーンの圧力は、2.0psi~3.0psiを超えて解放される。内側バルーンおよび外側バルーンに関して維持される容積比率は、動的であり、バルーン内の圧力を制御することによって制御される。いくつかの実施形態では、まず、外側バルーンを最大容積へと膨張させ、内側バルーンを「プライミング」してから、水蒸気を生成する。圧力バルブの制御により、水蒸気が生成しても外側バルーンの容積は変化しないが、内側バルーンの容積は、その容積の100%へと増加し、これは、いくつかの実施形態では、外側バルーンの容積の約40%に等しい。逆止バルブは、バルーン内の圧力を自動的に制御するように機能する。いくつかの実施形態では、内側バルーン内の圧力は、外側バルーン内の圧力と同じかあるいはそれよりも大きい。したがって、圧力は、予め規定された範囲に維持され、そうでなければ逆止バルブが開放する。代替的な実施形態では、吸引などの、能動的な圧力管理システムを使用することにより、圧力を調節する。
最適の耐熱性、最適の膨張性、および最適の柔軟性、を達成するためには、外側バルーンおよび内側バルーンの製造に際して、適切な材質を使用することが重要である。バルーン材質の軟化温度(Tg)が低すぎると、使用時に水蒸気に対して曝された際に、バルーンが変形してしまいかねない。例えば、PETのTgは、75℃である。これは、たった1回の使用で、PETバルーンが変形してしまう可能性があり、患者の所与のPVまたは他の複数のPVsに関する追加的な焼灼ショットを実行し得ない可能性があることを、意味する。したがって、機能的であるように、100℃よりも大きなTgを有した材質を使用することが望ましい。実施形態では、2つのバルーンがあり、各バルーンは、異なるTg値を有している。実施形態では、各バルーンのTg値は、60℃~約200℃の範囲である。いくつかの実施形態では、Tgは、80℃である。いくつかの実施形態では、Tgは、150℃である。
また、様々な動作温度で充分に広い弾性範囲を有した材質を使用することも、望ましい。弾性範囲が狭すぎると、動作時に降伏点を通過してしまい、バルーンが変形して、動作時に焼灼ゾーンが適切に位置決めされない可能性がある。実施形態では、Arnitel社が提供するものなどの熱可塑性コポリエステル材料を使用してもよく、これは、約150℃のTgを有している。
実施形態では、内側バルーンの材質は、半柔軟なものであり、これは、材質が、包装時に存在していた可能性のある折り目を排除し、心房の解剖学的構造に対して適合してより良好に接触することを意味する。柔軟なバルーンは、一定の圧力で一定の容積を有する傾向がある。特定の形状を維持するためには、内側バルーンの材質が、外側バルーンの材質よりも硬いことが望ましく、心臓組織に対して押圧されることによって容易に変形しないことが望ましい。例えばPEBAファミリーなどの、いくつかの半柔軟なバルーン材質は、水蒸気に対して曝された時に、機械的な問題点および熱的な問題点に直面する。したがって、1つの可能なバルーン材質は、Arnitel(登録商標)と称されるコポリマーである。Arnitel(登録商標)も、比較的半柔軟であるけれども、標準的なPEBAポリマーと比較して、軟化温度および溶融温度がより大きい。Arnitel(登録商標)などの材質は、本明細書の一実施形態による、内側バルーンおよびシャフト用途部材を作製するために使用してもよい。シャフト材質としてそれを使用する利点は、PETを使用して現在作製されている内側バルーンに対して熱的に結合可能なことであり、これにより、接着剤結合プロセスを使用する必要がないことである。
図26A、図26B、図26C、図26D、図26E、図26G、図26H、図26J、および図26Kは、本明細書のいくつかの実施形態による、デュアルバルーン心臓焼灼カテーテル2610の斜視図を示し、図26F、図26I、図26L、および図26Mは、カテーテル2610の長手方向断面図を示し、図26Nおよび図26Oは、カテーテル2610の長尺ボディ2612の横断面図を示し、さらに、図26Pおよび図26Qは、長尺ボディ2612のそれぞれ外側カテーテルおよび内側カテーテルの横断面図を示している。いくつかの実施形態では、心臓焼灼カテーテル2610は、心房細動などの不整脈を処置するために心臓組織を焼灼するに際して、使用することができる。
ここで図26A~図26Qを参照すると、長尺ボディ2612は、近位端と、遠位端と、外側カテーテル2615と、任意選択的な内側カテーテルまたはルーメン2650と、を有している。好ましい一実施形態は、内側カテーテル2650を有しておらず、説明したように、関連するルーメンを有した外側カテーテル2615のみを含む。ボディ2612の近位端には、ハンドルが配置されている。いくつかの実施形態では、外側および内側の、カテーテルまたはルーメン2615、2650は、同軸的である。代替的な実施形態では、外側および内側の、カテーテルまたはルーメン2615、2650は、偏心している。
一実施形態では、外側カテーテル2615(図26N、図26O、図26P)は、円形または楕円形とされ得る中央の蒸気ルーメン2617と、円周まわりに配置された複数の追加的なルーメンと、を含み、追加的なルーメンのそれぞれは、カテーテルの長さに沿って、中央の蒸気ルーメン2617からおよび互いから、流体的に隔離されている。実施形態では、ルーメンのそれぞれは、他のルーメンのそれぞれの直径の25%~300%の範囲の直径を有している。円周まわりに配置された複数のルーメンは、冷却流体注入ルーメン2620と、冷却流体吸引ルーメン2622(いくつかの実施形態では、注入ルーメン2620に対して径方向反対側に配置されている)と、2つの流体吸引ルーメン2625(いくつかの実施形態では、互いに径方向反対側に配置されている)と、少なくとも1つの操縦可能なワイヤを内部に導入して双方向的な操縦性を可能とするため2つのルーメン2638(いくつかの実施形態では、互いに径方向反対側に配置されている)と、ハンドルからの1つまたは複数の電気リード線を、限定するものではないが熱電対や圧力変換器などのセンサに対して接続可能とするための2つのセンサルーメン2640(いくつかの実施形態では、互いに径方向反対側に配置されている)と、を含む。様々な実施形態では、冷却流体は、空気、水、または二酸化炭素、を含む。
一実施形態では、内側カテーテルまたはルーメン2650(図26N、図26O、図26Q)は、外側カテーテル2615の蒸気ルーメン2617の内部に同軸的に配置された中空コアを含む。内側カテーテルまたはルーメン2650は、カテーテルの近位端から遠位端まで延びており、ガイドワイヤまたは感知ペーシングワイヤを挿通させるように構成され、また、洗浄剤や冷却材や造影剤を注入するように構成されている。いくつかの実施形態では、内側カテーテルは、中実コア構造2650であり、実際のカテーテルとしては機能しない。他の実施形態では、内側カテーテル2650は存在せず、図示のようなルーメンを有した外側カテーテル2615のみが存在する。中央の水/蒸気ルーメン2617の内部にインラインで配置された少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ2630(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)は、外側カテーテル2615と内側カテーテル2650との間に配置された複数の電極2655を含む。電気リード線は、電極2655を、ハンドル内のプラグに対して接続する。いくつかの実施形態では、内側カテーテル2650は、カテーテル2650の外面と電極2655との間に生理食塩水の流れに関するチャネルを提供するために、複数の円周方向の突起またはフィン2652(図26Oおよび図26Q)を含む。
実施形態では、2つの冷却流体ルーメン2620、2622は、カテーテル2610の遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン2660と流体連通している。2つの冷却流体ルーメン2620、2622は、外側バルーン2660から、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプまで、延びている。いくつかの実施形態では、冷却流体ルーメン2620、2622は、圧力制御される、あるいは、冷却流体ポンプ内に統合され、結合式調節型流体回路として機能する。動作時には、冷却流体ポンプは、冷却流体を、注入ルーメン2620内に(任意選択的なフィルタを介して)押し込み、図26Bに示す第1注入ポート2662aおよび第2注入ポート2662bを介して導出し、これにより、外側バルーン2660を膨張させる。一実施形態では、冷却流体ポンプは、可逆的であり、これにより、必要に応じて、またコントローラが送出した指示に応じて、冷却流体を、第1吸引ポート2664aおよび第2吸引ポート2664bを介して、冷却流体吸引ルーメン2622を通して、バルーン2660から冷却流体を導出することができる。第1注入ポート2662aおよび第2注入ポート2662bは、外側バルーン2660のそれぞれ遠位端および近位端に配置されている。第1吸引ポート2664aおよび第2吸引ポート2664bは、外側バルーン2660のそれぞれ遠位端および近位端に配置されている。いくつかの実施形態では、第1注入ポート2662aおよび第2注入ポート2662bは、0.2mmの直径を有している。いくつかの実施形態では、第1吸引ポート2664aおよび第2吸引ポート2664bは、0.2mmの直径を有している。
蒸気ルーメン2617は、カテーテル2610の遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン2660の内部に配置された膨張可能な内側バルーン2665と流体連通している。蒸気ルーメン2617は、内側バルーン2665から、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプまで、延びている。蒸気ルーメン2617の近位端は、ハンドルのところに、滅菌水/生理食塩水リザーバに対してのルアーロック接続を有している。任意選択的に、ガイドワイヤ/マッピングカテーテルを挿通させるためのY字型アダプタが含まれており、生理食塩水を蒸気ルーメン内へと注入して、遠位先端の電極を通過する際に水蒸気へと変換することができる。水/生理食塩水は、水/蒸気ポンプによって、滅菌水/生理食塩水リザーバから、水/蒸気ルーメン2617を通してポンピングされ、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ2630(図26Bに示す)の近位端内へと導入される。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ2630は、水を蒸気に変換して、蒸気を、ボディ2612のうちの、内側バルーン2665の内部に位置した一部上に配置された少なくとも1つの蒸気注入ポート2668を介して導出し、これにより、内側バルーン2665を膨張させる。いくつかの実施形態では、フレキシブルな加熱チャンバ2630は、内側バルーン2665に対して取り付けられている。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、外側バルーン2660内の予め規定された位置内でのみ膨張するように構成されている。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、内側バルーン2665が予め規定された位置内で膨張することを確保するための保持構造を含む。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、少なくとも125℃の動作温度に耐えるように構成されている。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、定格温度で少なくとも5気圧の破裂圧力定格を有するように構成されている。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、少なくとも30ワットの電力レベルを使用して実施される0秒間~180秒間の焼灼処置の少なくとも50サイクルに耐えるように構成されている。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、少なくとも110℃の動作温度に耐えるように構成されている。
いくつかの実施形態では、図26Bに見えるように、少なくとも1つの蒸気注入ポート2668は、内側バルーン2665の遠位端の近くに配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの蒸気注入ポート2668は、2.0mmの直径を有している。少なくとも2つの水吸引ポート2669が、ボディ2612にうちの、内側バルーン2665内に位置した部分上に配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの水吸引ポート2669は、内側バルーン2665の近位端の近くに配置されている。内側バルーン2665に蒸気が充填された時には、蒸気の一部は、バルーン表面との接触部分上で、水へと変換または凝縮する。この水(凝縮した蒸気)は、2つの水吸引ルーメン2625とそれぞれ流体連通している少なくとも2つの水吸引ポート2669を介して、内側バルーン2665から吸引される。
いくつかの実施形態では、図26N、図26O、および図26Pに示すように、外側カテーテル2615は、3.5mmの外径と、2mm~2.5mmの内径(すなわち、中央の蒸気ルーメン2617の内径は、2mm~2.5mmである)と、を有している。いくつかの実施形態では、図26F、図26I、および図26Lに示すように、外側カテーテル2615は、4.8mmの外径を有している。いくつかの実施形態では、外側カテーテルの最大外径は、7.4mmである。
いくつかの実施形態では、図26F、図26I、図26L、図26H、図26I、および図26Kに示すように、内側カテーテル2650は、複数の電極フィン2652を含めて、2mmの外径を有している。内側カテーテル2650が中空である実施形態では、内側カテーテル2650は、~1mm±0.5mmの内径を有している。しかしながら、内側カテーテル2650が任意選択的なものであること、そして、好ましい実施形態が、中央の楕円形ルーメンと、中央ルーメンの周囲において円周方向に配置された複数の追加的なルーメンと、を有した単一のカテーテル(外側カテーテル2615)のみを含むこと、そして、複数の追加的なルーメンのそれぞれが、カテーテルの長さに沿って、中央の楕円形ルーメンから流体的に分離されていることを、理解されたい。
図26Cは、本明細書の代替的な実施形態による、カテーテル2610の3つのルーメンのフロー機構を示す断面図2695である。断面図2695は、2フレンチサイズ~9フレンチサイズの範囲を有した同軸的なルーメン2650cを有したカテーテル2615cを示している。カテーテル2615cは、内側バルーン2665から生理食塩水または水または蒸気を吸引するために、内側バルーン2665と流体連通した水/蒸気用の第1ルーメン2696と、外側バルーン2660と流体連通した流体注入用および/または流体吸引用の第2ルーメン2697と、を有している。カテーテルは、近位端から導入された水を水蒸気へと変換するインラインのフレキシブルな加熱部材を含むとともにその蒸気を少なくとも1つの蒸気注入ポートを介して内側バルーン2665へと導入する第3ルーメン2698を有している。
ここで図26A~図26Lを参照すると、いくつかの実施形態では、膨張可能な外側バルーン2660は、実質的に丸められたまたは球形状の遠位端2673に向けて先細りする遠位側の円錐形状の第2部分2672へと移行する近位側の半球形状の第1部分2670によってほぼ規定され得る(膨張または拡張した時の)洋ナシ形状である。別の言い方をすると、外側バルーンは、膨張した時には、長さと、この長さに沿って外側バルーンの中心を通って延びている軸線と、この軸線から外側バルーンの外面までの距離と、を有している。その距離は、外側バルーンの長さに沿って変化し、軸線の遠位端(D1)から外側バルーンの外面まで延びるとともに軸線にそって順次的に近位方向に移動する4つの異なる距離、D1、D2、D3、およびD4によって規定することができる。
具体的には、図26Wを参照すると、外側バルーンの遠位端から出発して、カテーテルに対しての外側バルーンの遠位取付ポイントから0mm~4mm(好ましくは0mm)のポイントに位置した距離D1は、1mm~20mmの範囲である。近位側に移動して、カテーテルに対しての外側バルーンの遠位取付ポイントから7mm~14mm(好ましくは10mm)のポイントに位置した距離D2は、15mm~30mmの範囲である。近位側に移動して、カテーテルに対しての外側バルーンの遠位取付ポイントから25mm~35mm(好ましくは30mm)のポイントに位置した距離D3は、20mm~50mmの範囲である。近位側に移動して、カテーテルに対しての外側バルーンの遠位取付ポイントから30mm~45mm(好ましくは33mm)のポイントに位置した距離D4は、1mm~20mmの範囲である。したがって、D1およびD4は、好ましくは、D3またはD2よりも小さく、D3は、好ましくは、D1、D2、およびD4のそれぞれよりも大きい。
別の実施形態では、外側バルーンの中心軸線から外側バルーンの外面までの最大距離(例えば、D3)は、カテーテルに対しての外側バルーンの近位取付ポイントからカテーテルに対しての外側バルーンの遠位取付ポイントまでにわたって測定した外側バルーンの長さと比較して、より小さい。別の実施形態では、中心軸線から外側バルーンの外面までの距離は、外側バルーンの長さに沿って遠位向きに進むにつれて、第1最小値から第1最大値へと増加する。第1最大値に到達した後、距離は、第2最小値へと減少し、第2最小値は、第1最小値よりも大きい。第1最大値から第2最小値までの距離は、2mm~35mmの範囲である。第2最小値に到達した後、距離は、第3最小値へと再び減少し、第2最小値は、第3最小値よりも大きい。第2最小値から第3最小値までの距離は、2mm~25mmの範囲である。
実施形態では、膨張可能な外側バルーン2660の洋ナシ形状は、長手方向軸線2674に関して対称的である。実施形態では、外側バルーン2660の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2681、2682内へと延びており、これらは、カテーテル2610をバルーンに通す際にカテーテル2610を所定位置に維持するのに役立つ。代替的な実施形態では、外側バルーン2660は、肺静脈内に位置するように構成されたあるいは肺静脈内に留まるように構成された短い円筒形状を有している。
いくつかの実施形態では、図26B~図26Fに示すように、内側バルーン2665は、球形状である。いくつかの実施形態では、図26G、図26H、および図26Iに示すように、内側バルーン2665は、実質的に卵形状を有している。いくつかの実施形態では、図26J、図26K、および図26Lに示すように、内側バルーン2665は、実質的に円錐形状を有している。様々な実施形態では、内側バルーン2665の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2666、2667内へと延びており、これらは、カテーテル2610をバルーンに通す際にカテーテル2610を所定位置に維持するのに役立つ。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665内の空間は、複数のセグメントに分割されており、セグメントのそれぞれは、蒸気によって独立的に膨張させることができる。
他の実施形態では、膨張可能な内側バルーン2665は、円盤形状、楕円形状、角柱形状、および三角柱形状、などの形状を有するが、これらに限定されない。図26Rは、本明細書のいくつかの実施形態による、内側バルーン2665に関する複数の例示的な形状を示している。第1の図示2686aは、実質的に球形状の内側バルーン2665aを示し、第2の図示2686bは、半球形状の内側バルーン2665bを示し、第3の図示2686cは、円錐の頂点が近位端に位置しつつ円錐の基部が遠位端に位置した円錐形状の内側バルーン2665cを示し、第4の図示2686dは、円錐の頂点が遠位端に位置しつつ円錐の基部が近位端に位置した別の円錐形状の内側バルーン2665dを示し、第5の図示2686eは、楕円形状の内側バルーン2665eを示している。他の実施形態では、半分のバルーンは、図示2686a、図示2686c、図示2686d、および図示2686eに図示されたフル形状のバルーンのいずれかに由来することができる。実施形態では、四分の一または1/4のバルーンは、図示2686a、図示2686c、図示2686d、および図示2686eに図示された形状のバルーンのいずれかに由来することができる。
図26B~図26Lに示すように、本明細書の一態様によれば、外側バルーン2660および内側バルーン2665が完全に膨張した時には、洋ナシ形状の外側バルーン2660は、3つのエリアまたは領域またはゾーンによって特徴づけられる、すなわち、a)低温ゾーン(外側バルーン2660および内側バルーン2665は、このゾーンでは接触しないため)であって、肺静脈に留まるようなサイズおよび形状を有した遠位第1ゾーン2675と、b)外側バルーン2660が、蒸気によって充填された内側バルーン2665に対して接触しており、これにより高温ゾーンまたは焼灼ゾーンを形成している中間第2ゾーン2676(高温ゾーンまたは焼灼ゾーンとも称される)と、c)心房を火傷させないよう、低温表面(外側バルーン2660および内側バルーン2665は、このゾーンでは接触しないため)を提供するために左心房に配置される近位第3ゾーン2677と、によって特徴づけられる。様々な実施形態では、高温ゾーンまたは焼灼ゾーンの形状は、内側バルーンおよび外側バルーンの形状に依存し、いくつかの実施形態では、トーラスまたはドーナツの外周の外面のような形状であり、外面の面積にしたがって焼灼ゾーンの面積は、患者の生理機能に依存する。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、高温ゾーンまたは焼灼ゾーン2676に向けて外側バルーン2660の内部に配置されるリングチューブである。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、ドーナツまたはチューブの形状を有しており、このため、内側バルーン2665の赤道のところにおける外周縁が、外側バルーン2660の赤道のところにおける内側面に対して取り付けられる。
いくつかの実施形態では、図26Bに示すように、完全に拡張した時には、外側バルーン2660の近位半球第1部分2670は、32mmの直径を有し、他方、外側バルーン2660の長さは、長手方向軸線2674に沿って36mmである。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665の直径は、完全に拡張した時には、28mmである。
いくつかの実施形態では、図26Cに示すように、完全に拡張した時には、外側バルーン2660の近位半球第1部分2670は、30mmの直径を有し、他方、外側バルーン2660の長さは、長手方向軸線2674に沿って36mmである。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665の直径は、完全に拡張した時には、28mmである。
いくつかの実施形態では、図26E、図26H、および図26Kに示すように、完全に拡張した時には、近位半球第1部分2670は、20mm~60mmの範囲の直径を有し、遠位円錐第2部分2672は、2mm~50mmの範囲の(長手方向軸線2674に沿った)長さを有し、さらに、ネック2681、2682のそれぞれの長さは、1mm~10mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、図26Eに示すように、完全に膨張した時には、内側バルーン2665は、15mm~50mmの範囲の直径「d」を有した球形状を形成する。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、1mm~50mmの範囲の幅を有している。いくつかの実施形態では、非焼灼ゾーンにおける、内側バルーン2665の直径「d」に沿った、外側バルーン2660と内側バルーン2665との間のギャップまたは幅「w」は、0.1mm~50mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、図26Hに示すように、完全に拡張した時には、内側バルーン2665は、長手方向軸線2674に沿った水平方向軸線2674hと、長手方向軸線2674に対して実質的に垂直な垂直軸線2674h’と、を有した卵形状を形成する。いくつかの実施形態では、水平方向軸線2674hに沿った第1長さは、15mm~45mmの範囲であり、垂直軸線2674h’に沿った第2長さは、15mm~50mmの範囲である。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、1mm~50mmの範囲の幅を有している。いくつかの実施形態では、非焼灼ゾーンにおける、垂直軸線2674h’に沿った、外側バルーン2660と内側バルーン2665との間のギャップまたは幅「w」は、0.1mm~50mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、図26Kに示すように、完全に膨張した時には、内側バルーン2665は、長手方向軸線2674に沿った水平方向軸線2674kと、長手方向軸線2674に対して実質的に垂直な垂直軸線2674k’と、を有した円錐形状を形成する。いくつかの実施形態では、水平方向軸線2674kに沿った第1長さは、15mm~45mmの範囲であり、垂直軸線2674k’に沿った第2長さは、15mm~50mmの範囲である。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、1mm~50mmの範囲の幅を有している。いくつかの実施形態では、非焼灼ゾーンにおける、垂直軸線2674k’に沿った、外側バルーン2660と内側バルーン2665との間のギャップまたは幅「w」は、0.1mm~50mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、図26D、図26E、図26J、および図26Kに示すように、内側バルーン2665は、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676において、外側バルーン2660に対して、後方ではなくより前方で接触する。言い換えれば、内側バルーンと外側バルーンとの間の接触領域は、接触領域の50%超が外側バルーンの近位端の内部に位置するようにして、配置されており、遠位端または後端は、外側バルーンのうちの、外側バルーンが膨張した時に外側バルーンの長さに沿って半分以上の部分(より遠位)として規定され、近位端または前端は、外側バルーンのうちの、外側バルーンが膨張した時の外側バルーンの長さに沿って半分以下の部分(より近位)として規定される。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2660の前方表面2676a上の接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、外側バルーン2660の後方表面または後方端部上よりも少なくとも10%は多い。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、外側バルーン2660の前方表面2676aの10%~95%の範囲である。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、外側バルーン2660の周長の25%よりも大きい。いくつかの実施形態では、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676は、外側バルーン2660の表面領域の10%~50%の範囲である。
いくつかの実施形態では、図26D、図26E、図26J、図26H、図26J、および図26Kに示すように、外側バルーン2660上の第1円周方向マーカ2690は、接触ゾーンまたは焼灼ゾーン2676を示している。いくつかの実施形態では、図26Dに示すように、外側バルーン2660上の第2円周方向マーカ2691は、外側バルーン2660の遠位端の近くにマークされている。様々な実施形態では、円周方向マーカは、バルーンのX線写真による視覚化を提供するために放射線不透過性であり、これにより、焼灼手順時の適切な配置が確保される。
いくつかの実施形態では、図26F、図26I、および図26Lに示すように、完全に拡張した時には、外側バルーン2660の近位半球第1部分2670は、26mmの直径を有し、他方、外側バルーン2660の長さは、長手方向軸線2674に沿って39mmである。円錐第2部分2672の長さは、長手方向軸線2674に沿って7.5mmであり、他方、円錐第2部分2672の遠位端に向けての幅は、10mmである。いくつかの実施形態では、ネック2681、2682のそれぞれの直径は、5mmである。いくつかの実施形態では、外側カテーテル2615は、4.8mmの外径を有し、他方、内側カテーテルまたはルーメン2650は、1mmの内径を有している。
いくつかの実施形態では、図26Fに示すように、内側バルーン2665の直径は、完全に拡張した時には、28mmであり、バルーン2665は、球形状である。いくつかの実施形態では、図26Iに示すように、内側バルーン2665の(垂直軸線2674iに沿った)直径は、完全に拡張した時には、28mmであり、バルーン2665は、卵形状である。いくつかの実施形態では、図26Lに示すように、内側バルーン2665の(垂直軸線2674lに沿った)直径は、完全に拡張した時には、28mmであり、バルーン2665は、円錐形状である。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、内側バルーン2665よりも、柔軟である。いくつかの実施形態では、外側バルーンは、1気圧の圧力で10%~25%の範囲の半径方向の膨張を有している。実施形態では、内側バルーン2665は、半柔軟性であり、1気圧で10%未満の半径方向の膨張を有することができる。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、親水性コーティングによって、あるいは、X線写真による視覚化のために、バリウム、金、白金、または他の放射線不透過性材料によって、コーティングまたは複合化されている。他の実施形態では、バルーンの外面には、X線写真による視覚化のために、銀または金による塗料ドットが付けられている。いくつかの実施形態では、各バルーン上には、最大で25個のドットがペイントされている。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ2630が、複数の電極2655が少なくとも部分的に内側バルーン2665の内部に位置しているようにして、中央の水/蒸気ルーメン2617の内部にインラインで配置される。一実施形態では、図26Bに示すように、フレキシブルな加熱チャンバ2630は、チャンバ2630の遠位端が、外側バルーン2660の近位端から、内側バルーン2665の内部において30mmの距離のところに位置するようにして、配置されている。
いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、長手方向軸線2674に沿って、および、外側バルーン2660の内部において外側バルーン2660の長さの一部に沿って、移動可能であり、これにより、カテーテル2610の近位端に位置したハンドル内のワイヤ機構を使用して、外側バルーンの内部において内側バルーンをより良好に位置決めし得るとともに、外側バルーンに対して内側バルーンを適切に接触させること確保することができる。
いくつかの実施形態では、図26Mに示すように、近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bが、内側バルーン2665が拘束されて近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bの間で膨張または拡張するように、外側バルーン2660の内部に配置されている。実施形態では、近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bは、内側バルーン2665が半柔軟性または柔軟性である場合に望ましい。本明細書の態様によれば、近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bは、好ましくは予め規定されたターゲット中間ゾーンまたは焼灼ゾーン2676において内側バルーン2665と外側バルーン2660との接触を可能とするように、膨張する内側バルーン2665の形状を制御または修正する。近位部材2680aは、動作時に内側バルーン2665が所望の中間ゾーンまたは焼灼ゾーン2676から近位向きに移動しないことを確保する。実施形態では、近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bは、空気または二酸化炭素などの冷却流体を外側バルーン2660内へと流入させて外側バルーン2660を完全に膨張させ得るよう透過性であるが、内側バルーン2665が近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bの間の空間をちょうど充填するように、内側バルーン2665の拡張または膨張を機械的に拘束する。いくつかの実施形態では、近位側および遠位側の拘束部材2680a、2680bは、メッシュまたはネットである。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、外側カテーテル2615と同じ材質のストリップまたはウェビングを使用してセグメント化される。
本明細書の一態様によれば、焼灼時には、外側バルーン2660は、圧力下に維持され、決して真空ではない。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、第1圧力下にあり、他方、内側バルーン2665は、第2圧力下にある。いくつかの実施形態では、第1圧力は、第2圧力以下である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660と内側バルーン2665との間の圧力差は、20psi未満である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660と内側バルーン2665との間には、最小の所望の容積差がある。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、動作時には、内側バルーン2665の容積よりも、少なくとも10%は大きな容積を有している。いくつかの実施形態では、少なくとも10%の容積差は、第1ゾーン2675および第3ゾーン2677の間に分配される。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、動作時には、内側バルーン2665の容積よりも、少なくとも5%は大きな容積を有している。いくつかの実施形態では、少なくとも5%の容積差は、第1ゾーン2675および第3ゾーン2677の間に分配される。
いくつかの実施形態では、遠位延長部分、カテーテル、あるいは、複数のセンサや複数の検出器や複数の電極を含む任意の基板、とされ得るマッピング部材2685が、外側バルーン2660よりも遠位側においてボディ2612の遠位端に対して取り付けられている。マッピング部材2685は、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングする。いくつかの実施形態では、マッピング部材2685は、最大で75mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材2685は、壁に対する接触を可能とするために、ピッグテール形状へと、事前成形されている。実施形態では、ピッグテールの直径は、5mm~35mmである。いくつかの実施形態では、マッピング部材2685は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~32個の電極を含む。いくつかの実施形態では、カテーテルボディは、マッピング部材を前進させるためのルーメンをさらに含む。いくつかの実施形態では、マッピング部材を前進させるためのルーメンは、0.5mm~1.5mmの範囲の直径を有している。いくつかの実施形態では、マッピング部材を前進させるためのルーメンは、1.0mmの直径を有している。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、複数のマッピング電極を含み、マッピング電極は、接着された金属電極または印刷された電極のいずれかであるとともに、その長手方向軸線の中央部分においてその壁の外面内に環状に配置されたあるいは外面に対して環状に取り付けられた電極であり、さらに、不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするために心臓信号を記録するように構成された電極である。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、最大で24個のマッピング電極を含む。実施形態では、マッピング電極は、少なくとも1つの治療評価項目を評価するために、心臓の電気的活動度を測定する。
いくつかの実施形態では、バルーン2660、2665とマッピング電極とマッピング部材2685とを含めて、カテーテル2610の表面全体が、ヘパリンまたは親水性コーティングによってコーティングされる。
動作時には、心臓焼灼カテーテル2610を、経中隔穿刺を介して、左心房内へと導入し、外側バルーンを、心臓の肺静脈へと前進させる。次に、外側バルーン2660を、空気または二酸化炭素などの冷却流体/断熱流体によって膨張させて、肺静脈から左心房への血液流を閉塞させる。いくつかの実施形態では、血液流の閉塞を、色素検査で確認する。その後、内側バルーン2665を、蒸気によって膨張させ、これにより、内側バルーン2665を、外側バルーン2660の所望部分または所望領域(すなわち、中間高温ゾーン2676)に対して接触させるとともに、外側バルーン2660を、ターゲット心臓組織を含む焼灼ゾーンに対して接触したままとする。低温ゾーンまたは低温領域2675、2677は、外側バルーン2660上において、膨張した内側バルーン2665が、膨張した外側バルーン2660に対して接触していない場所に、位置している。その結果、熱エネルギは、内側バルーン2665の内部から、外側バルーン2660を介して、中間高温ゾーン2676(焼灼ゾーン)のところにおいて心臓組織に対して伝達され、これにより、組織を焼灼して不整脈を処置する。
内側バルーンと外側バルーンとの間の非接触領域または低温ゾーン2675、2677は、断熱材として機能する冷却流体/断熱流体によって充填されている。熱エネルギは、所望の持続時間にわたって供給され、その後、内側バルーン2665は、蒸気の凝縮により自己収縮し、外側バルーン2660が収縮する。カテーテル2610を取り外すと、肺静脈(あるいは、いくつかの実施形態では、必要に応じて左心房)内には、円周方向の焼灼が形成されており、心房性不整脈が処置されている。任意選択的に、肺静脈(あるいは、いくつかの実施形態では、必要に応じて左心房)をペーシングして、円周方向の焼灼の完全性を確認する。
いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、内側バルーン2665と外側バルーン2660との接触を検出するために、所定領域に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、ターゲット心臓組織に対しての熱エネルギの供給を監視するために、所定領域に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、外側バルーン2660は、外側バルーン2660内の温度を測定するとともに、所定領域の外側の温度を、60℃未満に、理想的には54℃未満に維持するように制御するために、外側バルーン2660の所定領域の外側に熱電対を含む。いくつかの実施形態では、内側バルーン2665は、内側バルーン2665内の圧力を測定するための圧力センサを含む。いくつかの実施形態では、熱電対および/または圧力センサは、2つのセンサルーメン2640を通して導入される。
図26Sは、本明細書のいくつかの実施形態による、外側バルーンに代えて使用するための外側拡張可能部材2671を示している。いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルは、外側バルーンではなく、外側拡張可能部材2671を含み、内側バルーンは、外側拡張可能部材2671の内部に配置される。いくつかの実施形態では、外側拡張可能部材2671は、その遠位端2671dに向けて先細りとなる長尺ボディを有した円錐形状を有している。外側拡張可能部材2671は、フレキシブルな材料2678から構成され、そのボディに沿って延びる形状記憶ワイヤ2679を含む。いくつかの実施形態では、フレキシブルな材料2678は、シリコーンを含む。いくつかの実施形態では、形状記憶ワイヤ2679は、ニチノールを含む。いくつかの実施形態では、外側拡張可能部材2671を、収縮させた外側バルーンと同様に、送達に際して圧縮させ、カテーテルを、患者の左心房へと前進させる。遠位端2671dを、患者の肺静脈内に配置する。形状記憶ワイヤ2679は、例えば患者の体温に応答して、送達時にその展開後の形状へと変化し、その結果、図26Sに見られるように、外側拡張可能部材2671は、その展開後の形状へと拡張することとなる。本明細書のダブルバルーンカテーテルの実施形態と比較して、外側拡張可能部材2671は、外側バルーンの場合のようにガスまたは液体の注入によって能動的に拡張するのではなく、その形状記憶特性のために受動的に拡張する。外側拡張可能部材2671がその展開後の形状へと変化した後に、内側バルーンを、例えば水蒸気などの焼灼剤によって膨張させ、高温ゾーンのところにおいて外側拡張可能部材2671の一部に対して接触させる。熱エネルギは、この高温ゾーンから、焼灼のためにこの高温ゾーンに対して接触している心臓組織に対して伝達される。いくつかの実施形態では、高温ゾーンの遠位側および近位側の外側拡張可能部材2671の一部が、心臓組織に対して接触する。これらの部分は、血液が高温ゾーン表面に対して接触して凝固させることを防止するように機能するとともに、高温ゾーンの近位側および遠位側の心臓組織に対しての外側断熱材としても機能する。
図26Tは、本明細書による焼灼カテーテル26102の別の実施形態に関する断面図を示している。実施形態では、カテーテル26102は、Arnitel(登録商標)またはPebaxなどのコポリマーを使用して製造される。実施形態では、カテーテル26102は、チャネル26104と、チャネル26106と、少なくとも2つの径方向反対側に位置するチャネル26108と、を含むマルチルーメン押出(MLE)カテーテルである。いくつかの実施形態では、焼灼カテーテル26102の直径は、2mm~10mmの範囲内である。チャネル26104、26106、および26108は、焼灼カテーテル26102の中心に位置している。チャネル26104は、電極を配置したり、生理食塩水を通したり、するために使用される。チャネル26014は、内側バルーン2665などの内側バルーンに対して、開放されている。チャネル26104は円形であり、少なくとも0.07mmの電極ピンを通過させ得るように構成されており、したがって、チャネル26104は、0.072mm~0.078mmの範囲の直径であるように構成されている。約0.010mmの壁が、チャネル26104を他のチャネル26106および26108から隔てている。チャネル12104が円形であることにより、電極の周縁に隙間を形成することなく、電極に対して最適に適合することができる。隙間がある場合には、生理食塩水は、電極の背面を通過し、加熱されない。いくつかの実施形態では、チャネル26104の内周面は、流体を引き付けるために親水性コーティングによってコーティングされている。いくつかの実施形態では、チャネル26104は、内側バルーン内へのチャネル26104の出口よりも遠位側のポイントで除去され、これにより、折り畳まれた/プリーツが付けられたバルーン材質のための追加的な空間が提供される。これは、さらに、焼灼カテーテルのサイズの低減を可能とし、剛性の減少のためにより良好な操縦を可能にする。
チャンネル26106は、ガイドワイヤ、マッピングカテーテル、およびペーシングカテーテル、のうちの少なくとも1つを受領するように構成されている。さらに、チャネル26108は、内側バルーンに対して開放されており、内側バルーンから高温流体を受領する。実施形態では、内側バルーンとチャネル26108との間のバルブは、バルーン内の圧力がしきい値を超えた時、あるいは、内側バルーンから排出を行うためにバルブが開放される時、のいずれかにおいてのみ、高温流体が流出することを確保する。
図26Uは、本明細書のいくつかの実施形態による、焼灼カテーテル26102の外周面と外側シャフトとの間に同心円状に配置されたチャネル26110を示している。実施形態では、チャネル26110は、外側バルーン2660などの外側バルーンを膨張させたり収縮させたりするよう、CO2を通すために使用される。実施形態では、チャネル26110は、バルブを介して外側バルーンに対して接続される。
図26Vは、本明細書による焼灼カテーテル2692の別の実施形態に関する断面図を示している。カテーテル2692は、バルーンに対する注入のための、ガイドワイヤを前進させるための、電極/水蒸気生成(水蒸気導入)を収容するための、および蒸気導出のための、複数の別個のルーメンを含む。一実施形態では、カテーテル2692は、焼灼後にカテーテル2692から蒸気を放出または吸引し得るように構成された第1ルーメン2693を含む。第1ルーメン2693は、カテーテル壁2643によって境界が定められて、カテーテル内に配置されている。第1長尺管状部材2644は、第1ルーメン2693内に配置され、プッシュ/プルガイドワイヤを受領するように構成された第2ルーメン2694を含む。いくつかの実施形態では、第1長尺管状部材2644は、円形の断面を有している。第2管状長尺部材2649も、また、第1ルーメン2693内に配置され、電極を収容するように構成されそして蒸気へと変換(水蒸気導入)される第1流体を受領するように構成されさらに内側バルーンを膨張させるように構成された第3ルーメン2699を含む。いくつかの実施形態では、内側バルーンを部分的に膨張させるために、CO2を、最初に第3ルーメン2699に対して供給してもよい。いくつかの実施形態では、第2長尺管状部材2699は、楕円形の断面を有している。カテーテル壁2643の長尺部分2642は、カテーテルの全長に沿って第1ルーメン2693内を内向きに延びており、外側バルーンを膨張させるための第2流体を受領するように構成された第4ルーメン2647であって、外側バルーンを収縮させるために第2流体を放出または吸引するように構成された第4ルーメン2647を形成する。
図26Wは、本明細書のいくつかの実施形態による、焼灼カテーテル2600の遠位端を示す図であって、外側バルーン2602内に配置された内側バルーン2601を図示している。長尺管状部材2603は、カテーテルボディ2604のルーメン内を延びており、プッシュ/プルガイドワイヤを受領するように構成されている。
図26Xは、本明細書のいくつかの実施形態による、心臓組織を焼灼する方法におけるステップを列挙したフローチャートである。ステップ2601では、カテーテルを、患者の心臓組織に近接して配置する。実施形態では、カテーテルは、ルーメンと近位端と遠位端とを有した長尺ボディと、外側バルーンと、内側バルーンが外側バルーンの内部に配置するようにして遠位端に配置された内側バルーンと、を含む。様々な実施形態では、心臓組織は、肺静脈、肺静脈の一部、肺静脈口、心房、肺静脈前庭部に近接した組織、または左心耳、である。いくつかの実施形態では、本方法は、外側バルーンを膨張させることによって達成された肺静脈閉塞の程度を記録することを、さらに含む。ステップ2602では、外側バルーンを第1流体によって膨張させて、外側バルーンの圧力を、第1外側バルーン圧力へと上昇させる。いくつかの実施形態では、第1流体は、空気またはCO2である。いくつかの実施形態では、第1外側バルーン圧力は、0.01気圧~5気圧であり、好ましくは0.1気圧~5気圧であり、あるいは、この中の任意の範囲または増分である。
ステップ2603では、加熱された蒸気を、内側バルーン内に注入して、内側バルーンの圧力を第1内側バルーン圧力まで上昇させ、加熱された蒸気を内側バルーン内に注入することにより、焼灼ゾーンを形成し、焼灼ゾーンの表面領域は、内側バルーンの一部が外側バルーンの一部に対して接触することにより規定され、これにより、内側バルーン内の加熱された蒸気からの熱を、焼灼ゾーンを介して心臓組織へと伝達することができる。いくつかの実施形態では、加熱された蒸気は、水蒸気を含み、加熱された蒸気の温度は、少なくとも100℃である。いくつかの実施形態では、本方法は、加熱された蒸気を内側バルーン内へと注入する前に、第2流体によって内側バルーンを膨張させることを、さらに含む。実施形態では、第2流体は、空気またはCO2である。ステップ2604では、第1内側バルーンの圧力を、第1所定期間にわたって維持し、これにより、心臓組織を所定範囲まで焼灼する。いくつかの実施形態では、第1所定期間は、1秒間~5分間である。いくつかの実施形態では、第1外側バルーン圧力は、第1所定期間にわたって、維持される。ステップ2605では、加熱された蒸気の注入を停止し、この停止により、内側バルーン圧力を、第2内側バルーン圧力まで低下させる。ステップ2606では、外側バルーンを、第2外側バルーン圧力へと収縮させる。
いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンの表面領域は、患者の肺静脈と患者の左心房との間の接合部のところに配置された組織の表面領域の関数である。いくつかの実施形態では、本方法は、内側バルーン内の加熱された蒸気の凝縮によって生じた流体を除去することを、さらに含み、流体の除去は、内側バルーンの圧力を、第1内側バルーン圧力以下の第3内側バルーンの圧力へと低下させる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルの遠位端に近接して配置された複数の電極を含み、加熱された蒸気は、生理食塩水を、ルーメンを通して複数の電極上へと案内することによって生成される。いくつかの実施形態では、本方法は、外側バルーンを収縮させた後に、肺静脈の閉塞を除去する程度を記録することを、さらに含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを、患者の心臓内に配置することと、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテル上にカテーテルを配置することと、をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを使用することにより、肺静脈を感知または刺激して、肺静脈隔離の程度を決定することを、さらに含む。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位先端は、直線状の構成から湾曲した構成へと偏向するように構成され、湾曲した構成は、遠位先端が0.5インチ~2.5インチの範囲の半径にわたって最大で150°まで回転するように構成されることにより、規定される。
いくつかの実施形態では、膨張した外側バルーンは、肺静脈口の一部に対して接触し、肺静脈の少なくとも一部を、少なくとも肺静脈口から2mm~15mmだけ遠位側の部分において閉塞する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンは、2mm~15mmの幅を有し、膨張した外側バルーンと心臓組織表面との間の接触範囲によって少なくとも部分的に規定される湾曲した長さを有している。いくつかの実施形態では、膨張した外側バルーンの外面と、膨張していない内側バルーンの外面と、の間の距離は、1mm~25mmの範囲である。
いくつかの実施形態では、本方法は、内側バルーン、外側バルーン、および心臓組織、のうちの少なくとも2つの間の接触範囲を決定するために、透視、三次元マッピング、または内視鏡手順、のうちの少なくとも1つを使用することを、さらに含む。
いくつかの実施形態では、カテーテルは、少なくとも1つのセンサをさらに含む。実施形態では、センサは、内側バルーンと外側バルーンとの接触を監視するように構成される、あるいは、外側バルーンの温度や圧力を監視するようにまたは内側バルーンの温度や圧力を監視するように、構成される。
いくつかの実施形態では、患者の大腿静脈の静脈穿刺を介してカテーテルを導入することと、経中隔穿刺を介してカテーテルを患者の左心房内および肺静脈内へと、あるいは、左心耳内へと、前進させることと、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンは、加熱された蒸気の生成源から、100mmを超えない位置に配置される。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンは、外側バルーンの表面に対向する圧力が0.1psiよりも大きい場合にのみ形成される。
いくつかの実施形態では、本方法は、心臓組織を焼灼するステップを第2所定期間にわたって繰り返すことをさらに含み、第2所定期間は、第1所定期間の50%~250%に等しい。
いくつかの実施形態では、焼灼は、心房細動を処置するために、あるいは、患者の左心耳を焼灼するために、実行される。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーンは、洋ナシ形状の構成を有し、洋ナシ形状の構成は、テーパー形状の遠位端へと先細りとなる近位ボディを含む。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーンの形状は、カテーテルの全長と交差する平面によってさらに規定される外側バルーンの表面の曲線によって規定され、曲線は、近位ポイントと遠位ポイントとの間において、カテーテルの長さに沿って延びる、順次的に配置された、第1ポイント、第2ポイント、および第3ポイント、によって特徴づけられ、近位ポイントと第1ポイントとの間の第1傾斜は、第1値を有し、第1ポイントと第2ポイントとの間の第2傾斜は、第2値を有し、第2ポイントと第3ポイントとの間の第3傾斜は、第3値を有し、第3ポイントと遠位ポイントとの間の第4傾斜は、第4値を有し、第1値の絶対値は、第2値の絶対値、第3値の絶対値、または第4の値の絶対値、よりも大きく、第2値の絶対値は、第3値の絶対値よりも大きく、第4値の絶対値は、第3値の絶対値よりも大きく、内側バルーンは、膨張時には、短軸すなわち短い方の軸がカテーテルの長手方向軸線と一致しかつ長軸すなわち長い方の軸がカテーテルに対して垂直であるような扁平球形状を有している。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーンの形状は、外側バルーンの中心軸線から外側バルーンの外面上の第1近位ポイントまでの第1距離と、中心軸線から外側バルーンの外面上の第2近位ポイントまでの第2距離と、中心軸線から外側バルーンの外面上の第3ポイントまでの第3距離と、中心軸線から外側バルーンの外面上の第1遠位ポイントまでの第4距離と、中心軸線から外側バルーンの外面上の第2遠位ポイントまでの第5距離と、によって規定することができ、第1近位ポイント、第2近位ポイント、第3ポイント、第1遠位ポイント、および第2遠位ポイント、のそれぞれは、近位位置から始まって遠位向きに中心軸線の長さに沿って順次的に配置され、第2距離は、第1距離、第3距離、および第5距離、よりも大きく、第4距離は、第1距離、第2距離、第3距離、および第5距離、よりも大きい。
いくつかの実施形態では、内側バルーンおよび外側バルーンが膨張した時には、焼灼ゾーンは、外側バルーンと心臓組織の一部との間の接触範囲によって規定される、幅および湾曲した長さを有している。
図26Yは、本明細書の一実施形態による、心臓組織を焼灼するためのシステム26200を示している。システム26200は、患者の心臓組織に近接して配置されるように構成されたカテーテル26201であり、遠位端26202と、近位端26203と、第1ルーメン26204と、加熱部材26206を含む第2ルーメン26205と、カテーテル26201の遠位端26202に配置され、かつ、第2ルーメン26204と流体連通している内側バルーン26207と、カテーテル26201の遠位端26204に配置され、かつ、内側バルーン26207を囲んでいる外側バルーン26208であり、第1ルーメン26204を介して第1流体源26209と流体連通しており、さらに、外側バルーン26208を第1流体によって膨張させかつ内側バルーン26207を加熱された蒸気によって膨張させた時には、内側バルーン26207と外側バルーン26208との接触領域のところに、焼灼ゾーン26210が形成される、外側バルーン26208と、を含むカテーテル26201と、プログラム命令を含むコントローラ26211であり、プログラム命令は、実行時には、外側バルーン内に第1流体を注入することと、第2ルーメンを通して第2流体を案内するとともに第2流体を加熱部材に対して接触させて、加熱された蒸気を形成することと、を引き起こす、コントローラ26211と、を含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン26208は、接触領域において内側バルーン26207に対して固定的に取り付けられていない。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン26210の表面領域の輪郭は、患者の肺静脈の一部の関数であるとともに、患者の肺静脈の一部に依存する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン26210は、表面領域によって規定され、この表面領域のサイズは、内側バルーン26207または外側バルーン26208のうちの少なくとも一方の表面領域の5%~95%の範囲である。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン26210は、1mm~20mmの範囲の幅を有している。いくつかの実施形態では、第1流体は、空気またはCO2である。いくつかの実施形態では、第2流体は、生理食塩水または炭酸生理食塩水であり、加熱された蒸気は、水蒸気であり、加熱された蒸気は、少なくとも100℃の温度を有している。いくつかの実施形態では、加熱部材26206は、フレキシブルであり、第2ルーメン26205内に配置された複数の電極26212でありかつコントローラによって活性化される電流を受領するように構成された複数の電極26212を含む。いくつかの実施形態では、複数の電極26212のそれぞれは、第2ルーメン内に存在する流体に対して露出されるように構成された少なくとも1つのエッジを含む。いくつかの実施形態では、加熱部材26206は、遠位端によって規定され、遠位端は、外側バルーン26208の近位端から、0mm~80mmの範囲の距離のところに配置されている。
いくつかの実施形態では、システム26200は、1つまたは複数の断熱ゾーン26213をさらに含み、1つまたは複数の断熱ゾーン26213のそれぞれは、外側バルーン26208のうちの、焼灼ゾーン26210の近位側または遠位側に位置した表面領域によって規定され、1つまたは複数の断熱ゾーン26213のそれぞれは、焼灼ゾーン26210の平均温度よりも低い平均温度を有している。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の断熱ゾーン26213のそれぞれは、少なくとも0.1mmの幅を有し、1mmから外側バルーンの周長までの範囲の湾曲した長さに沿って、あるいはその中の任意の増分における湾曲した長さに沿って、延びている。
いくつかの実施形態では、内側バルーン26207は、外側バルーン26208の内部において水平方向長手方向軸線に沿って移動可能であるように構成され、カテーテル26201は、外側バルーン26208の内部において内側バルーン26207を移動させるように構成された機構26214をさらに含む。
いくつかの実施形態では、コントローラ26211は、実行時には、外側バルーン26208を第1圧力へと膨張させることと、外側バルーン26208を焼灼時に第1圧力に維持することと、を引き起こすプログラム命令をさらに含む。いくつかの実施形態では、コントローラ26211は、実行時には、内側バルーン26207を焼灼時に第2圧力へと膨張させるプログラム命令をさらに含み、第1圧力は、第2圧力以下である。いくつかの実施形態では、第1圧力は、0.01気圧~5気圧であり、好ましくは0.1気圧~5気圧であり、あるいは、その中の任意の範囲または増分である。
いくつかの実施形態では、システム26200は、第1ルーメン26204と流体連通した1つまたは複数の圧力バルブ26215をさらに含み、1つまたは複数の圧力バルブ26215のそれぞれは、所定の圧力レベルに基づいて、外側バルーン26208内への流体移動または外側バルーン26208からの流体移動を制御するように構成されている。
いくつかの実施形態では、コントローラ26200は、実行時には、焼灼ゾーン26210を1秒間~5分間の期間にわたって維持することを引き起こすプログラム命令をさらに含む。
いくつかの実施形態では、システムは、カテーテル26201の遠位端26202に配置されかつ心臓の不整脈の原因となる心臓組織の領域をマッピングするように構成されたマッピング部材26216をさらに含み、マッピング部材26216は、複数のセンサ、複数の検出器、または複数の電極26217、を含む。いくつかの実施形態では、マッピング部材26216は、肺静脈からの信号を、または肺静脈のペーシングを、記録するように構成された1個~64個の電極を含む。
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つのセンサ26218をさらに含み、少なくとも1つのセンサ26218は、カテーテル26201の遠位端26202にあるいはカテーテル26201の近位端26203に、配置されている。いくつかの実施形態では、センサ26218は、心臓組織に対しての熱エネルギの供給を監視するように構成された温度センサを含む。いくつかの実施形態では、センサ26218は、内側バルーンの内部の圧力を測定するように構成された圧力センサを含む。
いくつかの実施形態では、外側バルーン26208は、洋ナシ形状によって規定され、肺静脈を閉塞するために患者の肺静脈内に配置されるように構成されている。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーン26208は、外側バルーン26208の長さに沿ってかつ外側バルーン26208の中心を通して延びる軸線を有し、この軸線から外側バルーンの外面までの距離は、長さに沿って変化する。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーン26208の形状は、カテーテル26201の全長と交差する平面によってさらに規定される外側バルーン26208の表面の曲線によって規定され、曲線は、近位ポイントと遠位ポイントとの間において、カテーテル26201の長さに沿って延びる、順次的に配置された、第1ポイント、第2ポイント、および第3ポイント、によって特徴づけられ、近位ポイントと第1ポイントとの間の第1傾斜は、第1値を有し、第1ポイントと第2ポイントとの間の第2傾斜は、第2値を有し、第2ポイントと第3ポイントとの間の第3傾斜は、第3値を有し、第3ポイントと遠位ポイントとの間の第4傾斜は、第4値を有し、第1値の絶対値は、第2値の絶対値、第3値の絶対値、または第4の値の絶対値、よりも大きく、第2値の絶対値は、第3値の絶対値よりも大きく、第4値の絶対値は、第3値の絶対値よりも大きく、内側バルーンは、膨張時には、短軸すなわち短い方の軸がカテーテル26201の長手方向軸線と一致しかつ長軸すなわち長い方の軸がカテーテル26201に対して垂直であるような扁平球形状を有している。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーン26208の形状は、外側バルーン26208の中心軸線から外側バルーン26208の外面上の第1近位ポイントまでの第1距離と、中心軸線から外側バルーン26208の外面上の第2近位ポイントまでの第2距離と、中心軸線から外側バルーン26208の外面上の第3ポイントまでの第3距離と、中心軸線から外側バルーン26208の外面上の第1遠位ポイントまでの第4距離と、中心軸線から外側バルーン26208の外面上の第2遠位ポイントまでの第5距離と、によって規定することができ、第1近位ポイント、第2近位ポイント、第3ポイント、第1遠位ポイント、および第2遠位ポイント、のそれぞれは、近位位置から始まって遠位向きに中心軸線の長さに沿って順次的に配置され、第2距離は、第1距離、第3距離、および第5距離、よりも大きく、第4距離は、第1距離、第2距離、第3距離、および第5距離、よりも大きい。
いくつかの実施形態では、内側バルーン26207は、球形状、卵形状、円錐形状、円盤形状、楕円形状、角柱形状、または三角柱形状、を有している。
いくつかの実施形態では、膨張時には、外側バルーン26208は、カテーテル26201に沿って長手方向に延びる軸線上における中心ポイントから、外側バルーン26208を通して、外側バルーン26208の表面上のポイントへと延びる、少なくとも1つの第1径方向長さによって特徴づけられ、内側バルーン26207は、膨張時には、カテーテル26201に沿って長手方向に延びる軸線上における中心ポイントから、内側バルーン26207を通して、内側バルーン26207の表面上のポイントへと延びる、少なくとも1つの第2径方向長さによって特徴づけられ、少なくとも1つの第1径方向長さは、少なくとも1つの第2径方向長さとは、相違する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1径方向長さは、少なくとも1つの第2径方向長さよりも、任意の量だけ、あるいは、少なくとも10%は、大きい。
いくつかの実施形態では、内側バルーン26207および外側バルーン26208が膨張した時には、焼灼ゾーン26210は、外側バルーン26208と心臓組織との間の接触範囲によって規定される幅および湾曲した長さを有している。
図27は、本明細書のいくつかの実施形態による、複数のダブルバルーン構成を示している。図27は、第1、第2、第3、第4および第5のダブルバルーンカテーテル2705、2710、2715、2720、および2725を示している。第1カテーテル2705は、カテーテル2705の遠位先端に対して取り付けられた実質的に楕円形状の外側バルーン2706を示している。双円錐形状の内側バルーン2707が、外側バルーン2706の内部においてカテーテル2705の遠位先端に対して取り付けられている。一実施形態によれば、双円錐内側バルーン2707は、それらの基部どうしで結合された第1円錐部分2707aおよび第2円錐部分2707bを含む。一実施形態では、第1円錐部分2707aの高さは、第2円錐部分2707bの高さよりも高い。
第3カテーテル2715も、また、カテーテル2715の遠位先端に対して取り付けられた実質的に楕円形状の外側バルーン2716を示している。双切頭円錐形状の内側バルーン2717が、外側バルーン2716の内部においてカテーテル2715の遠位先端に対して取り付けられている。一実施形態によれば、双切頭円錐内側バルーン2717は、それらの基部どうしで結合された第1切頭円錐(または、円錐台)部分2717aおよび第2切頭円錐(または、円錐台)部分2717bを含む。一実施形態では、第1切頭円錐部分2717aの高さは、第2切頭円錐部分2717bの高さよりも高い。
第2カテーテル2710は、カテーテル2710の遠位先端に対して取り付けられた実質的に球形状の外側バルーン2711を示している。円錐形状の内側バルーン2712が、外側バルーン2711の内部においてカテーテル2710の遠位先端に対して取り付けられている。一実施形態によれば、円錐内側バルーン2712の尖端または頂点は、外側バルーン2711の遠位端に向けて位置しており、他方、円錐内側バルーン2712の基部は、外側バルーン2711の近位端に向けて位置している。
第5カテーテル2725も、また、カテーテル2725の遠位先端に対して取り付けられた実質的に球形状の外側バルーン2726を示している。円錐形状の内側バルーン2727が、外側バルーン2726の内部においてカテーテル2725の遠位先端に対して取り付けられている。一実施形態によれば、第2カテーテル2710とは対照的に、円錐内側バルーン2727の尖端または頂点は、外側バルーン2726の近位端に向けて位置しており、他方、円錐内側バルーン2727の基部は、外側バルーン2726の遠位端向けて位置している。
第4のカテーテル2720は、カテーテル2720の遠位先端に対して取り付けられた実質的に双円錐形状の外側バルーン2721を示している。一実施形態によれば、双円錐形状の外側バルーン2721は、それらの基部どうしで結合された第1円錐部分2721aおよび第2円錐部分2721bを含む。一実施形態では、第1円錐部分2721aの高さは、第2円錐部分2721bの高さと実質的に等しい。実質的に楕円形状の内側バルーン2722が、外側バルーン2721の内部においてカテーテル2720の遠位先端に対して取り付けられている。
カテーテル2705、2710、2715、2720、および2725のそれぞれについて、内側バルーンの容積は、外側バルーンの容積よりも小さい。いくつかの実施形態では、両方のバルーンが完全に膨張した時には、外側バルーンの容積は、内側バルーンの容積よりも少なくとも10%は大きい。様々な実施形態では、完全に膨張した状態で、内側バルーンと外側バルーンとの間の接触表面領域は、90%未満である。
第1、第2、第3、第4、および第5のダブルバルーンカテーテル2705、2710、2715、2720、および2725、のそれぞれは、それらのそれぞれ対応する近位端に対して取り付けられたハンドルを有している。図27は、例えば空気または二酸化炭素などの冷却流体がポンピングされて外側バルーンを膨張させる第1入口ポート2702と、例えば蒸気などの焼灼剤がポンピングされて内側バルーンを膨張させる第2入口ポート2703と、を含む例示的なハンドル2730を示している。様々な実施形態では、ハンドル2730は、単一の操作者によって操作されるように構成されている。
図28は、本明細書のいくつかの実施形態による、複数のダブルバルーン構成を示している。図28は、完全に膨張した状態で、第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7のダブルバルーン構成2805、2810、2815、2820、2825、2830、2835を示している。第1構成2805は、実質的に楕円形状の遠位部分2806bへと移行する実質的に球形状の近位部分2806aを含む複合形状を有した外側バルーン2806を示している。内側バルーン2807は、実質的に球形状である。一実施形態では、外側バルーン2806および/または内側バルーン2807は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2807が外側バルーン2806に対して接触する焼灼ゾーンまたは高温ゾーンを識別する放射線不透過性マーカ2808を含む。
第2構成2810は、短い実質的に球形状の近位部分2811aと、実質的に円筒形状の中間部分2811bと、短い実質的に円錐形状またはテーパー形状の遠位部分2811cと、を含む複合形状を有した外側バルーン2811を示している。内側バルーン2812は、構成2810の近位端に向いたその尖端または頂点2812aを有した、実質的に涙滴形状または液滴形状を有している。一実施形態では、外側バルーン2811および/または内側バルーン2812は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2811が外側バルーン2812に対して接触する焼灼ゾーンまたは高温ゾーンを識別する放射線不透過性マーカ2813を含む。
第3構成2815は、実質的に涙滴形状または液滴形状を有した外側バルーン2816を示しており、この場合、尖端または頂点2816aが、遠位端を形成しつつ、球根状の端部2816bが、外側バルーン2816の近位端を形成している。内側バルーン2817も、また、実質的に涙滴形状または液滴形状を有しており、尖端または頂点2817aが、近位端を向いており、球根状の端部2817bが、外側バルーン2816の遠位端を向いている。一実施形態では、外側バルーン2816および/または内側バルーン2817は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2817が外側バルーン2816に対して接触する焼灼ゾーンまたは高温ゾーンを識別する放射線不透過性マーカ2818を含む。
第4構成2820は、実質的に涙滴形状または液滴形状を有した外側バルーン2821を示しており、この場合、尖端または頂点2821aが、遠位端を形成しつつ、球根状の端部2821bが、外側バルーン2821の近位端を形成している。内側バルーン2822も、また、実質的に涙滴形状または液滴形状を有しており、尖端または頂点2822aが、近位端を向いており、球根状の端部2822bが、外側バルーン2821の遠位端を向いている。外側バルーン2821および内側バルーン2822は、長尺ボディ2823の遠位端に対して取り付けられた状態で示されている。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン2824は、両方が完全に膨張した状態の時に内側バルーン2822が外側バルーン2821に対して接触している場所に、形成される。いくつかの実施形態では、内側バルーン2822は、第3構成2815に示すバルーン2816、2817と比較した時に、第4構成2820の外側バルーン2821の内部のより小さな領域を占める。
第5構成2825は、比較的小さな実質的に楕円形状の遠位部分2826bへと移行する実質的に楕円形状の近位部分2826aを有した外側バルーン2826を示している。内側バルーン2827は、その尖端または頂点2827aが外側バルーン2826の近位端を向いた実質的に涙滴形状または液滴形状を有している。外側バルーン2826および内側バルーン2827は、長尺ボディ2828の遠位端に対して取り付けられた状態で示されている。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン2829は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2827が外側バルーン2826に対して接触している場所に、形成される。いくつかの実施形態では、楕円遠位部分2826bは、別個の楕円近位バルーン2826aとは独立的に操作される第3バルーンでありかつ冷却流体/断熱流体もしくは水蒸気などの焼灼剤のいずれかによって膨張させ得る第3バルーンを含む。
第6構成2830は、実質的に涙滴形状または液滴形状を有した外側バルーン2831を示しており、この場合、尖端または頂点2831aが、遠位端を形成しつつ、球根状の端部2831bが、外側バルーン2831の近位端を形成している。内側バルーン2832は、実質的に球形状を有している。外側バルーン2831および内側バルーン2832は、長尺ボディ2833の遠位端に対して取り付けられた状態で示されている。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン2834は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2831が外側バルーン2832に対して接触している場所に、形成される。
第7構成2835は、比較的小さな実質的に球形状の遠位部分2836bへと移行する実質的に球形状の近位部分2836aを含む複合形状を有した外側バルーン2836を示している。内側バルーン2837は、実質的に楕円形状を有しており、この場合、内側バルーン2837の長軸2837aが、構成2835の長手方向軸線2838aに対して実質的に直交している。外側バルーン2836および内側バルーン2837は、長尺ボディ2838の遠位端に対して取り付けられた状態で示されている。焼灼ゾーンまたは高温ゾーン2839は、両方が完全に膨張した状態にある時に内側バルーン2836が外側バルーン2835に対して接触している場所に、形成される。いくつかの実施形態では、球形状の遠位部分2836bは、別個の球形状の近位バルーン2836aとは独立的に操作される第3バルーンでありかつ冷却流体/断熱流体もしくは水蒸気などの焼灼剤のいずれかによって膨張さ得る第3バルーンを含む。
図29は、本明細書のいくつかの実施形態による、デュアルバルーンカテーテルの外側バルーンまたは内側バルーンに関する複数の例示的な形状を示している。第1図示2905は、それらの基部どうしで結合された第1円錐部分2906aおよび第2円錐部分2906bを含む円錐形状または双円錐形状のバルーン2906を示している。バルーン2906の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2907内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第2図示2910は、正方形のバルーン2911を示している。「正方形」という修飾語が、バルーン2911の実質的に直角または正方形の端部またはコーナーを示していることを、理解されたい。バルーン2911の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2912内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。第3図示2915は、球形状のバルーン2916を示している。バルーン2916の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2917の内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第4図示2920は、(正方形のバルーン2911と同様に)実質的に直角または正方形の端部またはコーナーを有した短い筒形状の第2部分2921bに対してその基部で結合された錐体形状の第1部分2921aを含む錐体-筒(短い)バルーン2921を示している。第2部分2921bの長さは、第1部分2921aの長さよりも実質的に短い。バルーン2921の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2922内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。「短い」という修飾語が、第2部分2921bが矮小であることまたは短いことを示していることを、理解されたい。
第5図示2925は、(正方形のバルーン2911と同様に)実質的に直角または正方形の端部またはコーナーを有した長い筒形状の第1部分2926bにその基部で結合された錐体形状の第1部分2926aを含む錐体-筒(長い)バルーン2926を示している。筒形状の第2部分2926bの長さは、錐体形状の第1部分2926aの長さよりも実質的に長い。バルーン2926の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2927内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。「長い」という修飾語が、第2部分2931bが長尺であることを示していることを、理解されたい。
第6図示2930は、実質的に球形状のまたは丸められた端部またはコーナーを有した長い円筒形状の第2部分2931bにその基部で結合された円錐形状の第1部分2931aを含む円錐-円筒(長い)バルーン2931を示している。第2部分2931bの長さは、第1部分2931aの長さよりも実質的に長い。バルーン2931の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2932内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。「長い」という修飾語が、第2部分2931bが長尺であることを示していることを、理解されたい。
第7図示2935は、実質的に球形状のまたは丸められた端部またはコーナーを有した長い円筒形状のバルーン2936を示している。バルーン2931の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2937内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。「長い」という修飾語が、バルーン2936が長尺であることを示していることを、理解されたい。
第8図示2940は、テーパー形状の円筒部分2941cの第1テーパー形状端部2941aと第2円錐形状端部2941bとを含むテーパー形状のバルーン2941を示している。バルーン2941の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2942内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第9図示2945は、ドッグボーン形状のバルーン2946を示している。バルーン2946は、第1円筒部分2946a、第2円筒部分2946b、および第3円筒部分2946cを有したドッグビスケットまたはドッグボーンの玩具に似た複合形状を有しており、この場合、中間/第2円筒部分2946bの直径が、中間/第2円筒部分2946bの端部を形成する第1円筒部分2946aおよび第3円筒部分2946cよりも小さい。第1円筒部分2946aおよび第3円筒部分2946cのそれぞれは、テーパー形状または円錐形状の端部2947を有している。バルーン2946の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2948内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第10図示2950は、第1円筒部分2951a、第2円筒部分2951b、および第3円筒部分2951cを含む段付き形状のバルーン2951を示しており、ここで、第2部分2951bの直径は、第1部分2951aの直径よりも大きく、第3部分2951cの直径は、第2部分2951bの直径よりも大きい。バルーン2950は、テーパー形状または円錐形状の、近位端および遠位端2952を有している。テーパー形状または円錐形状の部分2953は、第1部分2951aと第2部分2951bとの間に、ならびに、第2部分2951bと第3部分2951cとの間に、含まれている。バルーン2946の近位端および遠位端2952は、管状構造体または管状ネック2954内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第11図示2955は、オフセット形状のバルーン2956を示している。バルーン2956のオフセット形状は、中間円筒部分2956bのテーパー形状または円錐形状の端部2956a、2956cを有した複合形状に関する、長手方向の半体を含む。バルーン2956の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2957内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
第12図示2960は、円錐-オフセットバルーン2961を示している。バルーン2961は、完全な円錐形状またはテーパー形状を有した第1端部2961aと、長手方向に半分の円錐形状またはテーパー形状の第2端部2961cと、を有した完全な円筒形状の部分2961bを含む。バルーン2961の近位端および遠位端は、管状構造体または管状ネック2962内へと延びており、これらは、カテーテルをバルーンに通す際にカテーテルを所定位置に維持するのに役立つ。
図30は、本明細書のいくつかの実施形態による、複数の例示的なバルーン端部またはコーナーを示している。第1図示3005は、正方形のまたは先鋭なコーナー付きの基部3006bを有した円錐形状またはテーパー形状の部分3006aを有した円錐形状の先鋭なコーナー3006を示している。第2図示3010は、球形状のまたは丸められたコーナー付きの基部3011bを有した円錐形状またはテーパー形状の部分3011aを有した円錐形状の半径コーナー3011を示している。第3図示3015は、正方形のまたは先鋭なコーナーを有した正方形の端部3016を示している。第4図示3020は、球形状のまたは丸められたコーナーを有した球形状の端部3021を示している。第5図示3025は、テーパー形状または円錐形状の部分3026aの長手方向半体であるオフセット形状のネック3026を示している。
図31は、本明細書のいくつかの実施形態による、少なくとも1つの実質的にテーパー形状または円錐形状の端部を有した複数のバルーン形状を示している。この図は、第1、第2、第3、および第4のバルーン3105、3110、3115、3120を示している。第1バルーン3105は、実質的に円筒形状の中間部分3105bを有するとともに、近位側および遠位側のテーパー形状または円錐形状の端部3105a、3105cを含む、複合形状を有している。近位側および遠位側の、テーパー形状または円錐形状の端部3105a、3105cのそれぞれは、第1円錐角度を有している。第2バルーン3110も、また、実質的に円筒形状の中間部分3110bを有するとともに、近位側および遠位側のテーパー形状または円錐形状の端部3110a、3110cを含む、複合形状を有している。近位側および遠位側の、テーパー形状または円錐形状の端部3110a、3110cのそれぞれは、第2円錐角度を有している。第3バルーン3115も、また、実質的に円筒形状の中間部分3115bを有するとともに、近位側および遠位側のテーパー形状または円錐形状の端部3115a、3115cを含む、複合形状を有している。近位側および遠位側の、テーパー形状または円錐形状の端部3115a、3115cのそれぞれは、第3円錐角度を有している。第4バルーン3120も、また、遠位側のテーパー形状または円錐形状の端部3120aと、実質的に円筒形状の近位部分3120bと、を含む複合形状を有している。遠位側のテーパー形状または円錐形状の端部3120aは、第4円錐角度を有している。
実施形態では、異なる第1、第2、第3、および第4の円錐角度は、それぞれのバルーンが異なるテーパー要件を満たすことを可能とする。
図32は、本明細書の一実施形態による、膨張可能な拡張バルーン3220を有したダブルバルーンカテーテル3200を示している。カテーテル3200は、長尺ボディ3212を有している。膨張可能な外側バルーン3260は、長尺ボディ3212の遠位端に近接して取り付けられている。膨張可能な内側バルーン3265も、また、長尺ボディ3212の遠位端に近接して取り付けられており、ここで、内側バルーン3265は、外側バルーン3260の内部に配置されている。膨張可能な拡張バルーン3220は、バルーン3220が外側バルーン3260の遠位側に位置するように、長尺ボディ3212の遠位端に対して取り付けられている。
動作時には、限定するものではないが水または空気などの冷却流体を、バルーン3220内へと注入することにより、バルーン3220を膨張させるとともに、例えば心房中隔内に形成された開口または穿刺部を、拡張または拡径させる。一実施形態では、拡張バルーン3220は、完全に膨張した状態の時には、近位側および遠位側の実質的にテーパー形状または円錐形状の端部3220a、3220cと、実質的に円筒形状の中間部分3220bと、を含む複合形状を有している。
カテーテル3200が、肺静脈内などのようにターゲット組織に近接して配置された後には、外側バルーン3260内へと流体を循環させつつ、内側バルーン3265内へと、水蒸気などの焼灼流体を注入し、これにより、外側バルーン3260および内側バルーン3265を、それぞれ膨張させる。一実施形態では、外側バルーン3260は、完全に膨張した状態では、実質的に楕円形状である。一実施形態では、完全に膨張した状態では、内側バルーン3265は、基部どうしで結合または融着された第1円錐部分3265aと第2円錐部分3265bとを含む双円錐形状を有している。
図33は、本明細書のいくつかの実施形態による、体腔の幾何学的形状を測定するためのバルーンカテーテル3310を示している。図示3305を参照すると、カテーテル3310は、ボディ3312の遠位端上に取り付けられた膨張可能な柔軟なバルーン3360を有した長尺ボディ3312を含む。ボディ3312は、バルーン3360と流体連通した少なくとも1つのルーメンを有している。バルーン3360は、電圧を測定する複数の電極対3315を、バルーン3360の長手方向の長さ全体にわたって間隔をおいて収容している。カテーテル3310は、これらの電圧を使用することにより、体腔3320に沿った複数のポイント(一実施形態では、例えば16個のポイントなど)において直径を推定する。任意選択的に、ソリッドステート圧力変換器を、バルーン3360の遠位端に配置してもよい。
体腔3320の形状およびサイズ(幾何学的形状)を推定するために、カテーテル3310を、体腔3320内に配置し、バルーン3360を、導電性溶液によって膨張させる。カテーテル3310は、体腔3320に沿った複数の(例えば、16個の)管腔断面積を測定する(これにより、形状およびサイズを推定する)とともに、体腔内のバルーン3360に関する制御された容積膨張時の圧力も測定する。
いくつかの実施形態では、カテーテル3310は、体腔3320の幾何学的形状(形状およびサイズ)を特徴づけるために、インピーダンス面積測定を使用する。インピーダンス面積測定は、電極対の間における交流(AC)電圧測定を使用することにより、それら電極の間の中間点における媒体(導電性流体)の直径を推定する。電圧測定は、媒体を通しての電圧降下が一定のAC電流源から生成され、媒体の導電率が一定であるとともに、所定の温度に関して既知である場合に、得ることができる。
次に図示3330を参照すると、バルーン3360は、体腔3320の内部において、導電性溶液によって膨張した状態で示されている。一対の電極3315は、一定の距離(L)だけ離間して示されており、配線を介して電圧計3335に対して接続されている。定電流源3340が印加され、体腔3320の壁3322によって拘束された膨張バルーン3360内に含まれた導電性媒体内には、電界(複数の電気力線3345によって表されている)が生成する。
さて、抵抗(R)またはインピーダンスは、以下のようにして決定することができる。
V/I=R
=L/(Aσ)
=L/[Π(Dest/2)2.σ]
ここで、Rは、V/Iで与えられる抵抗(インピーダンス)であり、σは、媒体の導電率であり、Lは、対をなす電極3315間の距離であり、Aは、円筒の面積であり、Destは、円筒の直径である。抵抗(インピーダンス)をなすRは、交流電流(I)が既知でありかつ一定であるため、また、対をなす電極間において交流電圧(V)が測定されるため、計算することができる。また、Lが電極間の一定の距離であり、媒体の導電率(σ)が所与の温度において既知であるため、Destを求めることができる。所与の電極位置におけるバルーンまたは円筒の直径(Dest)の推定値は、バルーン3360がその電極位置においてその長手方向軸線まわりに対称であるという仮定を使用して、測定された円筒面積(A)から導出される。
よって、バルーン3360が導電性溶液によって充填された後には、16個の管内断面積(CSA)がインピーダンス測定電極3315によって測定され、他方、圧力変換器が、対応するバルーン内圧力を提供する。直径Destおよびバルーン内圧力に関する測定値は、ソフトウェアアプリケーションにエクスポートされ、これにより、トポグラフィプロット3350が生成されて表示される。プロット3350は、計算された断面積(CSAs)を、様々な直径の円筒として表示する。体腔の幾何学的形状は、効果的な焼灼を達成するために供給が必要な焼灼剤の量を指示するために、使用することができる。
図34は、本明細書のいくつかの実施形態による、焼灼カテーテルにおける冷却流体および焼灼流体の相対的な流路を示している。図示のように、本明細書の様々な焼灼カテーテルでは、焼灼流体(例えば、蒸気または水蒸気など)は、第1経路3405を流れ、他方、第2流体(例えば、水、空気、または二酸化炭素など)は、第2経路3410を流れる。
いくつかの実施形態では、第1経路3405は、実質的に直線状であり、他方、第2経路3410は、第1経路3405のまわりで実質的に渦巻き状または螺旋状である。
いくつかの実施形態では、第1経路3405は、第2経路3410と比較して、1.1倍~10倍の分だけ、より長い。いくつかの実施形態では、第1経路3405と第2経路3410との間の長さの比率は、πである。
図35Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、双角の心臓焼灼カテーテル3500を示している。カテーテル3500は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ3512を有している。長尺ボディ3512は、遠位端のところにおいて、第1ブランチ3515および第2ブランチ3516へと分岐している。膨張可能な外側バルーン3560が、遠位端に対して取り付けられており、他方、膨張可能な内側バルーン3565も、また、遠位端に対して取り付けられ、外側バルーン3560の内部に配置されている。
一態様によれば、完全に膨張した状態では、外側バルーン3560は、第1および第2の実質的に球形状または楕円形状の遠位双角または部分3560b、3560cとともに、実質的に楕円形状の近位部分3560aを含む複合形状を有している。一実施形態では、実質的に楕円形状の近位部分3560aの長軸3520は、長尺ボディ3512の長手方向軸線3525に実質的に直交している。第1ブランチ3515は、外側バルーン3560の第1遠位双角3560bを向いており、他方、第2ブランチ3516は、外側バルーン3560の第2遠位双角3560cを向いている。いくつかの実施形態では、第1ブランチ3515は、そこから遠位向きに延びるマッピング部材3527を含み、第2ブランチ3516からは、そこから遠位向きに延びる第2マッピング部材3526が延びている。
いくつかの実施形態では、長尺ボディ3512は、第1冷却流体注入ルーメンおよび第2冷却流体吸引ルーメンを含み、これらのルーメンは、両方とも、双角3560b、3560cを含む外側バルーン3560と流体連通している。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプは、冷却流体を、冷却流体注入ルーメンを通して、外側バルーン3560内へとポンピングし得るとともに、冷却流体を、冷却流体吸引ルーメンを通して、外側バルーン3560から吸引することができる。
いくつかの実施形態では、長尺ボディ3512は、複数の蒸気注入ポートを介して内側バルーン3565と流体連通している水/蒸気ルーメンも含む。いくつかの実施形態では、複数の電極を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、水/蒸気ルーメンの内部にインラインで配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、複数の電極が少なくとも部分的に内側バルーン3565の内部に位置しているようにして、中央の水/蒸気ルーメンの内部にインラインで配置される。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水を、滅菌水リザーバから、水/蒸気ルーメンを通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバの近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバは、水を蒸気へと変換し、蒸気を少なくとも1つの蒸気注入ポートから導出することにより、内側バルーン3565を膨張させるとともに、焼灼領域の近くで外側バルーン3560に対して接触させる。
焼灼ゾーンまたは高温ゾーン3530は、内側バルーン3565と外側バルーン3560との間の接触領域で形成され、これにより、内側バルーン3565からの熱エネルギが、外側バルーン3560を介して、焼灼領域へと到達する。長尺ボディ3512と、外側バルーン3560のうちの、高温ゾーンを除く部分とは、循環する冷却流体のおかげで低温状態のままである。
一実施形態によれば、焼灼ゾーンまたは高温ゾーン3530は、図示3540に示すように、ほぼ「8」の形状をした焼灼領域または変性領域3535を形成する。動作時(図示3540における肺静脈隔離手順時など)には、カテーテル3500を、第1双角3560bおよび第2双角3560cがそれぞれ対応する第1肺静脈3542aおよび第2肺静脈3542b内に位置するように、あるいは、それぞれ対応する第3肺静脈3543aおよび第4肺静脈3543b内に位置するように、左心房内へと案内する。2つの肺静脈3542a、3542bまたは3543a、3543bの間の左心房は、バルーン3560が肺静脈内へと滑り込むことを防止する。よって、2つの肺静脈3542a、3542bまたは3543a、3543bでの同時焼灼を、「8」の字に似た焼灼領域または変性領域3535をもたらす双角カテーテル3500を使用して実行することができる。実施形態では、双角カテーテル3500を使用した2つの肺静脈の同時焼灼により、焼灼時間が50%へと短縮される。
一態様によれば、図14Aのカテーテル1442などのバルーン心臓焼灼カテーテルにおける、膨張可能な焼灼バルーンは、互いに融着された外側バルーン層および内側バルーン層を含む多層構造である。外層と内層との間には、複数の焼灼流体チャネルまたは焼灼流体経路が規定され挟まれている。動作時には、バルーンを膨張させてターゲット組織に対して接触させ、水蒸気/蒸気を、複数の焼灼流体チャネルを通して循環させ、連続した円周方向の瘢痕を形成することなく、ターゲット組織に対して深い火傷を形成する。これにより、制御されつつ循環させ得る態様で、熱エネルギが、組織領域上にわたって非連続的に広がることとなり、連続した円周方向の瘢痕形成ひいては狭窄形成をもたらすことがない。
様々な実施形態では、複数の焼灼流体チャネルは、複数のパターンまたは輪郭で(例えば、限定するものではないが、波型、一連のライン、正弦波、方形波など)構成され、循環する水蒸気/蒸気は、チャネルの領域の近くで焼灼を実行し、バルーンの残部領域(すなわち、チャネルの無い領域)では一切焼灼を行わない。PV(肺静脈)焼灼に関する例示的な用途では、複数のチャネルは、PV内に著しい狭窄を引き起こすことなく、PVから左心房(LA)への電気的活動度の伝導を遮断するのに充分な焼灼パターンをPV内に形成し、焼灼の円周方向パターンの長さは、焼灼に近接するPVの周長よりも長い。いくつかの実施形態では、焼灼の円周方向パターンの長さまたは幅は、焼灼に近接しているPVまたは焼灼される他の器官の円周の幅よりも、1.2倍は大きい。したがって、一実施形態では、PVの円周の幅が10mmの場合、焼灼の円周の幅は、12mm以上となる。いくつかの実施形態では、2つの隣接する円周方向焼灼パターンどうしの間の距離は、PVの厚さと比較して、あるいは、焼灼される器官の壁または壁層の厚さと比較して、2倍を超えて大きい。
図35Bは、本明細書の様々な実施形態による、焼灼カテーテルの多層バルーン内に規定された焼灼流体チャネルまたは焼灼流体経路3570に関する複数のパターンを示している。この図は、第1、第2、第3、第4、および第5の例示的なパターン3575、3576、3577、3578、および3579、を示している。チャネル3570のパターンは、焼灼の輪郭またはパターンを決定する。
様々な実施形態では、本明細書の焼灼カテーテルにおける内側バルーンおよび外側バルーンのバルーン圧力は、水蒸気が生成される際に管理される。いくつかの実施形態では、カテーテルは、膨張剤および焼灼剤を供給および除去するための複数のポートを、近位端に含む。いくつかの実施形態では、焼灼カテーテルは、少なくとも1つの焼灼剤「導入」ポートと、少なくとも1つの焼灼剤「導出」ポートと、少なくとも1つの膨張剤「導入」ポートと、少なくとも1つの膨張剤「導出」ポートと、を含む。様々な実施形態では、焼灼剤は、蒸気であり、膨張剤は、CO2である。各ポートは、カテーテル内の対応するルーメンと流体連通している。
いくつかの実施形態では、蒸気の導入、蒸気の導出、CO2の導入、CO2の導出、といったすべてのポートは、コントローラによって能動的に管理され、コントローラは、水蒸気/蒸気発生器も能動的に管理する。いくつかの実施形態では、各ポートは、コントローラからの指示に応答して開閉してもよい。ポートの開閉状態を制御することで、漏れが防止され、また、蒸気の供給時に、導出ポートが閉塞されることおよび/または制御されることが確保される。いくつかの実施形態では、蒸気または水蒸気の流出は、水蒸気または蒸気の「導出」ルーメン内へとバックロードされる流体カラムによって制御される。流体の液位は、カテーテルの近位端に設けられた導入導出ポンプであるとともに圧力および容量によって制御される導入導出ポンプによって管理される。様々な実施形態では、ポートを能動的に管理することは、各ポートの圧力および温度を感知することと、所望の範囲の値に基づいて各ポートでの入力を変更することと、を含む。様々な実施形態では、各ポートは、コントローラによって開閉されるように構成されたバルブを含む。
様々な実施形態では、カテーテルは、任意の向きでもって流体を供給および/または除去/吸引するように構成されている。バルーンに対しての、ルーメン内の空気は、少なくとも初期的にバルーンを膨張させる。蒸気は、バルーン内の温度が100℃を超えて水蒸気が凝縮しなくなった後にのみ、膨張することができる。内側バルーンを膨張させるにつれて、外側バルーン内の圧力は、上昇することとなる。いくつかの実施形態では、内側バルーンを、加熱された蒸気によって膨張させる際には、外側バルーンを能動的に収縮させ、これにより、一定の圧力を維持する。いくつかの実施形態では、カテーテルのルーメンに予め存在する量の空気は、供給される蒸気または水蒸気からの熱によって膨張し、内側バルーンのいくらかの膨張を引き起こす。いくつかの実施形態では、内側バルーンを一定の圧力に維持しつつ、内側バルーンを、水蒸気によって膨張させる前に、CO2によって部分的に膨張させる。いくつかの実施形態では、カテーテルは、内側バルーンの膨張を補助するために、CO2を別個に注入するための追加的なポートを含む。別の実施形態では、CO2を、生理食塩水(炭酸生理食塩水)と混合し、生理食塩水の気化と同時に放出して、内側バルーンの膨張を補助する。
いくつかの実施形態では、焼灼カテーテルの適切な機能を確保するために、特定のプロトコルに基づいて内側バルーンおよび外側バルーンを膨張させる。いくつかの実施形態では、膨張プロトコルは、外側バルーンを、0.5psi~100psiの範囲の第1圧力レベルへと膨張させることと、内側バルーンを、最初はCO2によって、第1圧力レベルよりも少なくとも5%は小さな第2圧力レベルまたは容積へと膨張させることと、内側バルーンを、水蒸気によって、第1圧力レベルおよび第2圧力レベルよりも大きな第3圧力レベルまたは容積へと膨張させることと、外側バルーンの圧力レベルを監視して、そのレベルを維持するためにCO2を除去または追加することと、を含む。別の実施形態では、内側バルーンの第3圧力レベルを監視して、内側バルーン内のCO2または蒸気をカテーテルの外部へと逃がすことによって、維持する。
様々な実施形態では、本明細書のカテーテルボディは、内部に複数のルーメンを有した押出シャフトを含む。他の実施形態では、本明細書のカテーテルボディは、単一のルーメンを有し、この単一のルーメン内に、複数の束ねられたライナーを有している。束ねられたライナーは、膨張剤の供給および吸引ならびに焼灼剤の供給および吸引を含めたカテーテルの様々な機能のために、別個の独立したルーメンとして機能するように構成されている。様々な実施形態では、複数の束ねられたライナーのそれぞれは、異なる直径を有している。別個のルーメンは、各ルーメンの識別を容易とし、また、内側バルーンの独立性を高め、さらに、断熱のために束ねられたライナーどうしの間に空隙を提供する。一実施形態では、蒸気供給ルーメンは、その遠位端に断熱ライナーをさらに含む。一実施形態では、断熱ライナーは、編組ポリイミド/Pebaxシャフトを含む。
実施形態では、焼灼ゾーンは、外側バルーンに対する対向圧力が外側バルーンに対して0.1psiよりも大きい場合に、形成される。焼灼ゾーンの一部を横切る血液流が、1ml/分よりも大きい場合には、焼灼ゾーンは形成されない。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンの一部を横切る血液流が、10ml/分よりも大きい場合には、あるいは、100ml/分よりも大きい場合には、焼灼ゾーンは形成されない。実施形態では、ここで言及する血液流は、外側バルーンの外面と、焼灼されるべき組織と、の間の血液の流れを指す。一実施形態では、血液流は、焼灼されるべき肺静脈から、左心房へと、導出される。
実施形態では、焼灼のための水蒸気は、焼灼されるべき組織から所定の範囲の距離内で生成される。したがって、いくつかの実施形態では、組織に対して接触する領域は、すなわち焼灼ゾーンは、0mm~100mmの範囲の距離に位置した水蒸気生成源から、離間している。いくつかの実施形態では、バルーンは伸縮可能であり、ハンドル内のコントローラを介して拡張することができる。
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルの外面と、加熱された蒸気が生成されるルーメンの内面と、の間の温度差が、40℃以上であるように構成される。より具体的には、カテーテルの外面は、60℃未満であるべきであり、好ましくは45℃未満であるべきである。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、ガイドシースによって、および、一定の生理食塩水の流れによって、断熱されている。断熱は、水蒸気生成時に、伝導によってシャフト温度を上昇することを防止する。
様々な実施形態では、外側バルーンは、シリコーンを含む。様々な実施形態では、内側バルーンは、中程度のデュロメータ硬さのウレタン、PET、またはPebax、を含む。様々な実施形態では、内側バルーンは、半柔軟であるように構成されかつ耐熱性でもあるように構成された材質を含む。
図36Aは、本明細書の一実施形態による、焼灼処置時に心臓焼灼カテーテルのバルーンを膨張させてバルーン内の圧力を管理する複数の例示的なステップを示すフローチャートである。本明細書の一実施形態による心臓焼灼カテーテルの遠位端を、患者の肺静脈へと前進させた後に、ステップ3610では、外側バルーンを、流体によって第1圧力P1へと膨張させる。様々な実施形態では、P1は、0.01気圧~5気圧の範囲である。
ステップ3612では、肺静脈の閉塞を記録する。様々な実施形態では、肺静脈の閉塞は、放射線的に、超音波を介して、または内視鏡的に、記録される。任意選択的に、閉塞は、全く記録されない。他の処置アプローチとは異なり、閉塞がない場合には、焼灼ゾーン表面領域に対して対向圧力が印加されないため、焼灼ゾーンは、何らの効果も発揮しない、すなわち、組織を焼灼することはない。焼灼ゾーン表面に対する対向圧力がない場合には、組織の焼灼を引き起こすのに充分な焼灼ゾーン表面領域からの熱伝達は起こらない。よって、一実施形態では、本発明は、焼灼ゾーン表面に対しての、しきい値を超える対向圧力がない場合には、組織の焼灼を引き起こすのに充分な焼灼ゾーン表面領域からの熱伝達が起こらない、心臓組織を焼灼する方法に関する。
ステップ3614では、内側バルーンを、第1容積V1へと膨張させる。様々な実施形態では、内側バルーンを、空気またはCO2によって膨張させる。ステップ3616では、蒸気を、100℃でまたはそれよりも高温で注入し、内側バルーンの温度を、100℃以上へと上昇させ、バルーンの容積を、第2容積V2へと上昇させる。次に、ステップ3618では、蒸気を100℃で注入し続けて、バルーンの容積を、V2と等しいかそれ以上の第3容積V3へと上昇させ、V3を、所定の期間T1にわたって維持し、ここで、T1は、肺静脈、肺静脈口、または心房、の一部を焼灼するのに充分なものであり、あるいは、T1は、1秒間~5分間である。このステップにより、本明細書において説明する焼灼ゾーンが、近位側および遠位側に配置された移行ゾーンとともに、形成されることを、理解されたい。移行ゾーンとは、少なくとも部分的に外側バルーンの表面によって規定された領域であり、焼灼ゾーンに隣接した領域(近位側、遠位側、またはその両方)であり、その表面領域の温度が、焼灼ゾーンの温度の95%を超えない、好ましくは80%を超えない、さらに好ましくは60%を超えない、あるいは30%~95%の間の任意の増分である、領域である。断熱ゾーンとは、少なくとも部分的に外側バルーンの表面によって規定された領域であり、焼灼ゾーンに隣接した領域(近位側、遠位側、またはその両方)であり、外側バルーンの内面と内側バルーンの外面との間に、限定するものではないが、気体、液体、空気、またはCO2、などの材料または流体が配置され、これにより、内側バルーンの加熱された表面と、外側バルーンと、の間に離間またはギャップが形成されている領域である。ギャップまたは離間とは、外側バルーンによって囲まれた空間であり、外側バルーンの内面と内側バルーンの外面との間の距離によって規定される空間であり、焼灼ゾーン内では0であり、焼灼ゾーン外では0よりも大きい。
ステップ3620では、外側バルーン内の圧力を、0.01気圧~5気圧に維持する。ステップ3622では、蒸気の流れを停止して、蒸気を凝縮可能とし、内側バルーンを、V1<V4<V2/V3である容積V4へと収縮させる。ステップ3624では、内側バルーンから蒸気の凝縮によって生成した流体および水を、除去または吸引することにより、内側バルーンの容積を、膨張前の容積またはV1未満とする。ステップ3626では、外側バルーンを、P1未満の圧力へと収縮させ、肺静脈閉塞の回復を、任意選択的に記録する。ステップ3628では、サイクルを、同じ肺静脈内においてあるいは別個の肺静脈内において、繰り返す。
図36Bは、本明細書のいくつかの実施形態による、心房細動焼灼を実行する方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ3630では、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを、患者の肺静脈内に配置する。様々な実施形態では、ペーシングカテーテルまたはペーシングワイヤのルーメンは、ペーシングカテーテルまたはペーシングワイヤがルーメンを占める際に、造影剤を導出するように構成される。いくつかの実施形態では、ペーシングワイヤのルーメンは、0.045インチの直径を有している。ステップ3632では、本明細書のダブルバルーンカテーテルを、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテル上を通して、肺静脈内に配置する。様々な実施形態では、カテーテルを、大腿挿入部位を介して導入して、処置領域へとナビゲートし、カテーテルは、大腿挿入部位から肺静脈へと到達するのに充分な長さを有している。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位先端は、左心房から肺静脈へとアプローチするための特定の角度を有している。様々な実施形態では、角度は、0°~180°の範囲である。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位先端は、1インチの半径まわりに180°偏向するように構成されている。別の実施形態では、カテーテルの遠位先端は、2インチの半径まわりに180°偏向するように構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位先端は、0.5インチ~2.5インチの半径まわりに150°偏向するように構成されている。
さて、ステップ3634では、ダブルバルーンカテーテルの外側バルーンを、例えば二酸化炭素などの断熱流体によって膨張させ、これにより、肺静脈を閉塞させる。いくつかの実施形態では、膨張した外側バルーンは、肺静脈口の全体に対して物理的に接触する。他の実施形態では、膨張した外側バルーンは、肺静脈口の一部に対して接触する。いくつかの実施形態では、洋ナシ形状のバルーンは、肺静脈口に対して接触するように構成される。いくつかの実施形態では、膨張した外側バルーンは、肺静脈のうちの、肺静脈口から2mm~15mmだけ遠位側の少なくとも一部を閉塞する。いくつかの実施形態では、内側バルーンを膨張させる前の時点では、膨張した外側バルーンと、膨張していない内側バルーンと、の間の距離または物理的な隙間は、5mm~15mmの範囲である。いくつかの実施形態では、0.1mm~10mmの範囲の隙間が、膨張した外側バルーンの近位端と、膨張していない内側バルーンと、の間に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも5mmの隙間が、膨張した外側バルーンの近位端と、膨張していない内側バルーンと、の間に存在する。
造影剤を、ルーメン内に注入することにより、外側バルーンが肺静脈を閉塞していることを確認する。一実施形態では、肺静脈の閉塞を記録し、放射線的に確認する。その後、ステップ3636では、ダブルバルーンカテーテルの内側バルーンを、水蒸気または水の蒸気によって膨張させ、これにより、膨張した内側バルーンを、膨張した外側バルーンに対して、焼灼ゾーンで接触させる。いくつかの実施形態では、膨張した内側バルーンは、膨張した外側バルーンのうちの、外側バルーンが肺静脈口の軸線方向表面に対して接触している360°の円周に沿って、少なくとも2mm~15mmにわたって接触する。いくつかの実施形態では、内側バルーンと外側バルーンとの間の接触は、治療時に一定である。様々な実施形態では、内側バルーンは、円盤形状またはボール形状である。いくつかの実施形態では、内側バルーンは、放射線不透過性である。いくつかの実施形態では、内側バルーンは、バリウムコーティングを含む。続いて、ステップ3638では、熱エネルギを、内側バルーンから、外側バルーンを介して伝達し、肺静脈、肺静脈口、または左心房を焼灼する。さらに、ステップ3640では、ペーシングカテーテルによって肺静脈を刺激し、完全な肺静脈隔離(PVI)を記録する。ステップ3641では、治療の各サイクルの後、充分な量の流体を内側バルーンから排出し、外側バルーンを収縮させて、カテーテルを取り外し可能とする。
図36Cは、本明細書のいくつかの実施形態による、心房細動焼灼を実行する別の方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ3642では、静脈穿刺を介して、患者の心臓の右心房に対してアクセスする。次いで、ステップ3644では、経中隔穿刺を介して、患者の心臓の左心房に対してアクセスする。ステップ3646では、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを、蛍光透視誘導を使用して、肺静脈内に配置する。ステップ3648では、本明細書のダブルバルーンカテーテルを、肺静脈内のガイドワイヤまたはペーシングカテーテル上を通して、配置する。
さて、ステップ3650では、ダブルバルーンカテーテルの外側バルーンを、例えば二酸化炭素などの断熱流体によって膨張させて、肺静脈を閉塞し、左心房内の血液を、焼灼部位から追い出す。一実施形態では、肺静脈の閉塞を記録し、色素検査によって放射線的に確認する。膨張した外側バルーンの圧力および容積を、監視する。一実施形態では、膨張した外側バルーンの圧力は、5気圧未満に維持される。
その後、ステップ3652では、ダブルバルーンカテーテルの内側バルーンを、水蒸気または水の蒸気によって膨張させ、これにより、膨張した内側バルーンを、焼灼ゾーンのところにおいて、膨張した外側バルーンに対して接触させる。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンのところにおける内側バルーンと外側バルーンとの接触を、蛍光透視法、3Dマッピング、および/または内視鏡を使用して、記録して確認する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン内の1つまたは複数のセンサを利用することにより、内側バルーンおよび外側バルーンの接触を監視する。実施形態では、内側バルーンの温度または圧力を、監視する。
その後、ステップ3654では、熱エネルギを、内側バルーンから、外側バルーンを介して伝達し、肺静脈、肺静脈口または左心房を焼灼する。外側バルーン内の温度と圧力を監視して、望ましい治療値に維持する。ステップ3656では、熱を、肺静脈、肺静脈口、または左心房に対して、第1持続時間にわたって、供給する。いくつかの実施形態では、第1持続時間は、5秒間~5分間の範囲である。
さて、ステップ3658では、ペーシングカテーテルによって肺静脈を刺激し、完全な肺静脈隔離(PVI)を記録する。任意選択的に、ステップ3660では、焼灼ステップ3656を繰り返し(必要に応じて)、熱を、第2持続時間にわたって供給する。いくつかの実施形態では、第2持続時間は、第1持続時間の50%~250%の間の範囲である。
図36Dは、本明細書のいくつかの実施形態による、左心耳焼灼を実行する方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ3662では、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを、患者の左心耳内に配置する。ステップ3664では、本明細書のダブルバルーンカテーテルを、左心耳内へと、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテル上を通して配置する。
さて、ステップ3666では、ダブルバルーンカテーテルの外側バルーンを、例えば二酸化炭素などの断熱流体によって膨張させ、これにより、左心耳を閉塞させる。一実施形態では、左心耳の閉塞を記録し、放射線的に確認する。その後、ステップ3668では、ダブルバルーンカテーテルの内側バルーンを、水蒸気または水の蒸気によって膨張させ、膨張した内側バルーンを、焼灼ゾーンのところにおいて、膨張した外側バルーンに対して接触させる。その後、ステップ3670では、熱エネルギを、内側バルーンから、外側バルーンを介して伝達し、左心耳を焼灼する。さらに、ステップ3672では、左心耳を、無細胞マトリクスによって充填し、細胞成長と左心耳の閉塞とを促進させる。一実施形態では、ダブルバルーンの遠位側に位置した第3バルーンを使用することにより、左心耳を焼灼する。別の実施形態では、ダブルバルーンの遠位側に位置した第3バルーンを膨張させて、左心耳から血液を追い出す。さらに別の実施形態では、左心耳を流体によって洗浄し、左心耳から血液を排出する。別の実施形態では、閉塞された左心耳内に吸引を適用することにより、真空を発生させ、これにより、左心耳の壁を、バルーンの焼灼面に対してより良好に近似させる。
図36Eは、本明細書のいくつかの実施形態による、左心耳焼灼を実行する別の方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ3674では、静脈穿刺を介して、患者の心臓の右心房に対してアクセスする。次に、ステップ3676では、経中隔穿刺を介して、患者の心臓の左心房に対してアクセスする。ステップ3678では、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテルを、蛍光透視誘導を使用して、左心耳内に配置する。ステップ3680では、本明細書のダブルバルーンカテーテルを、左心耳内へと、ガイドワイヤまたはペーシングカテーテル上を通して配置する。
さて、ステップ3682では、ダブルバルーンカテーテルの外側バルーンを、例えば二酸化炭素などの断熱流体によって膨張させて、左心耳の一部を閉塞し、左心耳内の血液を焼灼部位から追い出す。一実施形態では、左心耳の閉塞を、色素検査によって放射線的に記録して確認する。膨張した外側バルーンの圧力および容積を監視する。一実施形態では、膨張した外側バルーンの圧力は、5気圧未満に維持される。
その後、ステップ3684では、ダブルバルーンカテーテルの内側バルーンを、水蒸気または水の蒸気によって膨張させ、これにより、膨張した内側バルーンを、左心耳内の焼灼ゾーンのところにおいて、膨張した外側バルーンに対して接触させる。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンにおける内側バルーンと外側バルーンとの接触を、蛍光透視法、3Dマッピング、および/または内視鏡を使用することにより、記録して確認する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン内の1つまたは複数のセンサを利用することにより、内側バルーンおよび外側バルーンの接触を監視する。実施形態では、内側バルーンの温度を監視する。
その後、ステップ3686では、熱エネルギを、内側バルーンから、外側バルーンを介して伝達し、左心耳を焼灼する。外側バルーン内の温度および圧力を監視し、所望の治療値に維持する。ステップ3688では、熱を、第1持続時間にわたって、左心耳に対して供給する。いくつかの実施形態では、第1持続時間は、5秒間~5分間の範囲である。
任意選択的に、ステップ3690では、焼灼ステップ3688を繰り返し、熱を、第2持続時間にわたって供給する。いくつかの実施形態では、第2持続時間は、第1持続時間の50%~250%の範囲である。
さて、ステップ3692では、左心耳を、任意選択的に、無細胞マトリクスによって充填する。さらに、ステップ3694では、無細胞マトリクス内での組織内方成長を可能とし、左心耳を閉塞する。別の実施形態では、左心耳内へとステント構造または足場を挿入し、再上皮化または組織成長を促進させる。
いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、内側バルーンを有していないけれども、左心耳焼灼のために使用される遠位バルーンと、左心耳口の閉塞のために使用される近位バルーンと、を含む。この用途における遠位側焼灼バルーンと内側焼灼バルーンとは、外側バルーンと同等のデュロメータ硬さを有した柔軟バルーンまたは半柔軟バルーンである。ダブルバルーン構成では、外側バルーンの前方半球の大部分が、左心耳口を閉塞する。
図36Fは、本明細書のいくつかの実施形態による、血管または気管支の焼灼を実行する方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ3695aでは、ガイドワイヤを、患者のターゲット血管またはターゲット器官(例えば、肺動脈または肺など)内に配置する。ステップ3695bでは、本明細書のバルーンカテーテルを、ガイドワイヤ上を通して、あるいは、内視鏡を介して、ターゲット器官内に配置する。
さて、ステップ3695cでは、バルーンカテーテルのバルーンを、例えば二酸化炭素などの断熱流体によって膨張させて、ターゲット部位に対して接触させてターゲット部位を閉塞する。一実施形態では、ターゲット部位の閉塞を記録し、放射線的に、あるいは、バルーン内の圧力監視によって、確認し、圧力を、5気圧未満に維持する。
その後、ステップ3695dでは、水蒸気または水の蒸気を、バルーンの壁内のチャネルに通して流し、これにより、ターゲット部位またはターゲット組織に、所望パターン(図36Aを参照して示したものなど)で焼灼を形成する。任意選択的に、ステップ3695eでは、所望であれば、焼灼ステップ3695dを繰り返す。
図36Iは、左心房3601を示す図であって、左心房3601の壁3605内の左心耳3603を図示している。図36Jは、複数の左心耳3611、3613、3615、3617を示す図であって、左心耳3611、3613、3615、3617の様々な形状を図示している。
様々な実施形態では、血液の凝固を防止するために、本明細書の焼灼カテーテルによる治療を開始する前に、処置領域から血液を排出する。いくつかの実施形態では、焼灼手順時に、焼灼されるべき心臓組織領域として規定される処置領域が、100mL未満の血液によって、好ましくは75mL未満の血液によって、さらに好ましくは50mL未満の血液によって、覆われるように、処置領域から所定量の血液が排出される。いくつかの実施形態では、焼灼手順の前に、処置領域からは、25%~100%の血液が除去される。
いくつかの実施形態では、本明細書の焼灼カテーテルによって提供される焼灼は、1mm~15mm、より好ましくは5mm~10mm、の幅を有したものとして規定される処置領域であり、また、肺静脈の内面まわりに延びる湾曲した帯形状を有したものとして規定される処置領域であり、さらに、肺静脈口を含むものとして規定される処置領域、を焼灼するように構成される。
いくつかの実施形態では、処置領域の形状を管理するために、本明細書の焼灼カテーテルにおける拡張可能部材または外側バルーンは、完全に拡張した時には、カテーテルの中心軸線から0cm~10cmの範囲内に0.01気圧~5気圧の範囲の圧力を印加するように構成されている。複数のバルーンが設けられている実施形態では、いずれかのバルーンを最初に膨張させてもよい。
実施形態では、生理食塩水を供給するために、1ml/分~25ml/分の範囲の生理食塩水流量が使用される。実施形態では、蒸気を生成するために電極に対して供給される電力は、10W~800Wの範囲内である。実施形態では、焼灼は、1秒間~600秒間の範囲内の時間で実行される。
実施形態では、肺静脈口または肺静脈周囲の心房の周長の少なくとも連続した25%が焼灼され、左心房壁または肺静脈口または肺静脈の一部の厚さの少なくとも25%が焼灼される。
加えて、様々な実施形態では、本明細書の焼灼カテーテルは、非ターゲット組織および血液を、過度の熱に対して断熱するように構成されている。いくつかの実施形態では、動作時には、処置領域の外側であって処置領域から5cm以内に位置した組織および/または血液は、20℃を超えない温度上昇を経験し、また、処置領域から少なくとも5cmのところに位置した組織および/または血液は、10秒間を超える持続時間にわたって10℃を超えない温度上昇を経験する。
様々な実施形態では、本明細書の蒸気焼灼システムによって提供される焼灼治療は、心臓焼灼のための以下の治療目的または治療評価項目のうちの少なくとも1つを達成するために提供される。
・組織温度を、110℃以下に維持すること。
・食道組織を損傷することなく、心臓組織を焼灼すること。
・患者の少なくとも10%が、少なくとも1週間にわたって、正常な洞調律へと戻ること。
・患者の少なくとも10%が、少なくとも1週間にわたって、正常な洞調律を維持すること。
・処置前の心房性不整脈症状の数と比較して、心房性不整脈症状の数を、少なくとも5%は減少させること。
・処置前の上室性不整脈症状の数と比較して、上室性不整脈症状の数を、少なくとも5%は減少させること。
・処置前の心室性不整脈症状の数と比較して、心室性不整脈症状の数を、少なくとも5%は減少させること。
・処置時のまたは処置後の任意の時点での食道粘膜温度の上昇が、8℃未満であること、あるいは、処置時のまたは処置後の任意の時点での食道粘膜温度が、45℃未満であること。
・円周方向に沿った心臓組織の一部の温度を、60℃以上へと上昇させること。
・心外膜の温度を100℃以下に維持すること、または、横隔神経の温度を75℃以下に維持すること、または、食道の温度を60℃以下に維持すること。
・円周方向において心内膜の25%の温度を、60℃以上へと上昇させ、その温度を、10秒間よりも長く維持すること。
・円周方向において心筋の25%の温度を、60℃以上へと上昇させ、その温度を、10秒間よりも長く維持すること。
・処置を受けた患者の少なくとも25%において、処置前の不整脈の症状の数と比較して、不整脈の症状の数を、少なくとも25%は減少させること。
・処置を受けた患者の少なくとも25%において、処置前の不整脈処置薬の必要性と比較して、不整脈処置薬の必要性を、少なくとも25%は減少させること。
・処置を受けた患者の少なくとも25%において、正常な洞調律が回復すること。
・焼灼後の永続的な横隔神経損傷の発生率を、25%以下へと減少させること。
・焼灼後の経壁的な永続的食道損傷の発生率を、25%以下へと減少させること。
・PVまたは左心房壁の連続した円周の少なくとも25%の深さにまで、および、PVまたは左心房壁の連続した厚さの少なくとも25%の深さにまで、組織を焼灼すること。
本明細書の様々な実施形態によるダブルバルーン心臓焼灼カテーテルを使用する方法は、カテーテルの位置決め、閉塞、血液の押し流し、焼灼ゾーンの形成、更には、ペーシングによるモニタリング、というタスクの下で、広範に説明することができる。図36Gは、本明細書の様々な実施形態による、ダブルバルーン心臓焼灼カテーテルを使用するプロセスを実装するに際して実行され得るそれらタスクのそれぞれの下での例示的なステップを示すフローチャートである。これらのステップは、各タスクの下で言及され、例示的な使用方法を提供する。
位置決め
ステップ36102では、血液流のリアルタイム撮像を増強するために、造影材料を、静脈内へと注入する。36104では、ワイヤの形態などのガイドレールを、患者の血管系を通して、心臓内へと、中隔を横断して、上肺静脈内へと、通すことができる。このワイヤは、後続のカテーテルのためのガイドレールとして機能する。36106では、ガイドレール上を通してガイドシースを通す。ガイドシースの目的は、焼灼カテーテルのための、拘束された経路を提供することである。ガイドシースを使用することにより、カテーテルの一次元的な操縦性が提供され、したがって、有用である。焼灼カテーテルは、S字形状の経路を通して押し出すことができ、反対側の端部から出てきた時には、二次元的な操縦性を提供するように、遠位先端が湾曲することができる。36108では、焼灼カテーテルを、ガイドレール上を通して、ガイドシースの内部を通過させる。焼灼カテーテルの遠位先端が、肺静脈(PV)口の直前において前庭部内に配置された時には(そして、ガイドワイヤがPVの内部に配置された時には)、ガイドシースを退避させて、バルーンを露出させる。
閉塞
36110では、外側バルーンを、0.1psi~10psiの範囲の圧力へと、好ましくは0.5psi~1psiの範囲の圧力へと、膨張させる。所定範囲を超えて膨張させた際には、空気またはCO2は、導出逆止バルブを介してカテーテル内に逆流することがあり得る。36112では、外側バルーンを、焼灼カテーテルのガイドシースまたはシャフトを使用して押すことにより、肺静脈の開口内に位置させる。36114では、リアルタイム撮像を増強するために、より多くの造影剤を追加することができる。造影剤を使用した撮像により、外側バルーンが適正な位置にあるかどうかを、また、血液流が効果的に閉塞されているかどうかを、決定することを補助することができる。白または黒などの所定色を有した画像により、血液が存在しないことを確認することができる。本明細書のいくつかの実施形態による外側バルーンまたはカテーテルの表面上に、放射線不透過性マーカが存在する場合には、蛍光透視下において閉塞を視覚化することができる。マーカは、任意の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、マーカは、バルーンがカテーテルに対して近位側で取り付けられているカテーテル近位部分上に、または、バルーンがカテーテルに対して遠位側で取り付けられているカテーテル遠位部分上に、または、それら2つのポイントの間においてカテーテルの長さに沿って、外側バルーンの外面上に配置される。一実施形態では、マーカをなすリングが、焼灼ゾーンが存在し得る場所の周縁に延びている。一実施形態では、肺静脈の閉塞を記録して、放射線的に確認する。
血液の押し流し
36116では、ガイドレールを取り外して、マッピングカテーテルと交換する。マッピング(監視)カテーテルは、ワイヤの端部にループを有した延長ワイヤであって、電気的に活性な細胞を感知するように構成された延長ワイヤである。いくつかの実施形態では、マッピングカテーテルに代えて、ペーシングカテーテルが使用される。監視カテーテルは、電気信号を受動的に検出する。ペーシングカテーテルは、電気パルス(ペーシングパルス)を提供し、その信号が肺静脈を通してどのように伝搬するかを監視する。いずれの場合においても、目的は、焼灼によって電気的隔離の形成に成功したかどうかを決定することである。代替的なアプローチでは、マッピング/ペーシング電極は、焼灼カテーテルの先端から展開するように構成される。ガイドレールは、焼灼カテーテルの先端を通して移動した後に、退避させることができる。ガイドレールを退避させつつ、ガイドレールが引っ掛かることで、マッピング/ペーシング電極を展開させる。
焼灼ゾーンの形成
ガイドシース、焼灼カテーテル、およびマッピング/ペーシングカテーテルを、所定位置に配置し、外側バルーンを膨張させた後には、ステップ36118で、内側バルーンを膨張させる。医師または本明細書によるシステムを操作する他の人は、スイッチ、ボタン、またはペダルを押すことによって、内側バルーンの膨張をトリガすることができる。これに応答して、いくらかの量の空気またはCO2を供給することができ、これにより、内側バルーンおよび/または外側バルーンを、部分的に膨張させる。内側バルーンと外側バルーンとの両方を膨張させる場合、それらを、同時に膨張させてもよいし、順次的に膨張させてもよい。いくつかの実施形態では、外側バルーンを、0.1psi~10psiの範囲の圧力へと膨張させる。いくつかの実施形態では、内側バルーンを、0.5psi~20psiの範囲の圧力へと、好ましくは2.5psi~3.5psiの範囲の圧力へと、膨張させる。実施形態では、内側バルーン内の圧力は、焼灼ステップ時には、外側バルーンの圧力よりも常に大きい。実施形態では、外側バルーンは、内側バルーンと比較して、3cc~75ccの分だけ大きな容積を有し、外側バルーンと内側バルーンとの間には、遠位端上においておよび近位端上において、空隙が存在する。この空隙は、焼灼ゾーンの遠位側および近位側において、断熱ゾーンを提供する。実施形態では、断熱ゾーンは、0.01mm~20mmの範囲の距離を有している。
内側バルーンを膨張させた後に、電源がポンプを駆動し、ポンプは、生理食塩水(0.9%の生理食塩水)を、チューブを通して焼灼カテーテル内へと押し込む。押し込まれる生理食塩水の量は、最初は電極を濡らすのに充分ではあるが、内側バルーンを充填するには不充分である。その後、RF電極を活性化させて、生理食塩水を加熱する。水蒸気が内側バルーン内へと導入され、一方向の逆止バルブを介して内側バルーンからCO2を押し出す。水蒸気の流入によって、内側バルーンをさらに膨張させ、外側バルーンと一緒に、明確に規定された焼灼ゾーンを形成する。焼灼ゾーンとは、外側バルーンの表面領域のうちの、組織に対しての接触時に組織の焼灼を引き起こすのに充分な温度を達成した部分を指す。焼灼ゾーンの外部においては、外側バルーン表面は、37℃~60℃の範囲の、好ましくは37℃~40℃の範囲の、温度を有することができ、他方、焼灼ゾーン内の温度は、80℃~150℃の範囲、好ましくは90℃~110℃の範囲、とすることができる。実施形態では、焼灼ゾーンの表面領域は、外側バルーンの表面領域の50%未満であり、かつ、外側バルーンの表面領域の少なくとも5%である。いくつかの実施形態では、外側バルーンの表面領域の少なくとも25%が、焼灼ゾーン内に位置している。
ステップ36120では、予め規定された期間にわたって、水蒸気を生成する。この期間は、数秒間~数分間の範囲であるように予め規定することができる。いくつかの実施形態では、範囲は、15秒間~2分間である。一実施形態では、期間は、20秒であるように規定される。予め規定された期間の後、システムは遮断し、蒸気の生成および供給を停止する。水蒸気供給の期間を規定するための治療評価項目は、内皮を85℃超へと上昇させることであり、あるいは、心房の外面の一部の温度を、45℃以上へと上昇させることであり、あるいは、ペーシングが2秒超にわたって好ましくは恒久的に急変する時点まで上昇させることである。安全上の理由から、温度は、好ましくは、せいぜい1分間にわたって、10%未満までしか食道温度を超えないように、上昇させる。治療的な、安全的な、または時間的な、評価項目に到達した後には、まず電極が遮断され、次に生理食塩水が遮断される。いくつかの実施形態では、水蒸気を操作するために、また、生理食塩水を供給するために、電源によって60Wの電力が使用される。ワット数は、電極に依存して、増大または改変することができる。いくつかの実施形態では、水蒸気の温度は、生理食塩水の流量に基づいて制御することができる。その結果、生理食塩水の流量が少ない場合には、エネルギレベルが調整されて小さくなり、これにより、低インピーダンス障害を防止する。
生理食塩水の流量は、また、電極の長さ、電極の幅、および電極の周縁、を含む電極のサイズにも依存することができ、また、供給される電力にも依存することができる。水蒸気の生成は、内側バルーンから外側バルーンを介しての熱エネルギの伝達をもたらし、ターゲット組織を焼灼する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーンでの内側バルーンと外側バルーンとの接触を、蛍光透視法、3Dマッピング、および/または内視鏡を使用することにより、記録して確認する。いくつかの実施形態では、焼灼ゾーン内の1つまたは複数のセンサを利用することにより、内側バルーンおよび外側バルーンの接触を監視する。実施形態では、内側バルーンの温度を監視する。焼灼時にはおよび焼灼後には、外側バルーンの温度および圧力を監視して、所望の治療値に維持する。
ステップ36122では、電極/生理食塩水が遮断され、その結果、内側バルーンがほぼ瞬時に収縮する。いくつかの実施形態では、この時点で、外側バルーンの容積または圧力を維持するために、CO2を自動的に注入することができる。外側バルーンの容積を維持することにより、(必要に応じて)焼灼ステップが繰り返され、第2持続時間にわたって熱が供給される。いくつかの実施形態では、第2持続時間は、第1持続時間の50%~250%の範囲である。一実施形態では、内側バルーンは、電極へのRFエネルギを終了した後にあるいは生理食塩水の流れを終了した後に、負圧を印加することなく、容積を減少させるように構成されている。一実施形態では、外側バルーンは、圧力や温度や容積の変化を測定することなく、電極/生理食塩水の終了後には、流体(CO2など)の入力を自動的に受領するように構成される。
ペーシングによる監視
ステップ36124では、マッピング/ペーシングによって、焼灼の成功を確認する。マッピングカテーテルは、電気信号を受動的に検出する。ペーシングカテーテルは、電気パルス(ペーシングパルス)を提供し、その信号が肺静脈を通してどのように伝搬するかを監視する。いずれの場合においても、目的は、焼灼が電気的隔離の形成に成功したかどうかを決定することである。
ステップ36126では、焼灼カテーテルに対して再びシースを被せ、邪魔にならないように配置する。次いで、必要に応じて、プロセスの全体を繰り返すために、ガイドレールを、異なる肺静脈に関して再配置する。
いくつかの実施形態では、2つ(内側および外側)のバルーンに加えて、別のバルーンが焼灼のために使用される。ここで図36Hを参照すると、長尺カテーテルボディ36212は、近位端と、遠位端と、外側カテーテル36215と、内側カテーテル36250と、を有している。ボディ36212の近位端には、ハンドルが配置されている。いくつかの実施形態では、外側カテーテル36215および内側カテーテル36250は、同軸的である。代替的な実施形態では、外側カテーテル36215および内側カテーテル36250は、偏心している。別の実施形態では、外側カテーテル36215および内側カテーテル36250は、MLEによって置き換えられる。一実施形態では、図36Hの異なるシステム構成部材の構成は、図26A~図26Oの文脈で説明したものと同様である。同様の構成部材については、説明の明瞭さのために、ここでは再び説明しない。
図36Hの構成は、カテーテル構成36210の遠位端36280に、第2バルーン36290の形態で追加的な構成部材を有している。図36Dでは、本明細書のいくつかの実施形態による、左心耳焼灼(LAA)を実行する方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートを説明した。図36Hの実施形態は、図36Dにおいて説明したプロセス内で使用される。実施形態では、第2バルーン36290は、内側バルーン36265と同様に、焼灼のために構成されている。2つのバルーン36290、36265は、同時に動作させることができる、あるいは、任意の特定の順序で動作させることができる。第2焼灼バルーン36290は、0.5psi~10psiの圧力へと膨張されるものであり、LAAの解剖学的構造に適合するように長尺バルーンである。第2焼灼バルーン36290の直径は、5mm~25mmであり、長さは、20mm~50mmである。第2焼灼バルーン36290は、内側バルーンと同じルーメンを使用して動作することができる、あるいは、動作のための独立したルーメンを有することができる。第2バルーン36290は、内側バルーン36265よりも柔軟性の高い材質からなるものである。したがって、内側バルーンは、1気圧で10%未満の径方向膨張を有し得るけれども、第2バルーン36290は、1気圧で10%~25%の範囲の径方向膨張を有することができる。第2バルーン36290は、内側バルーン36265および外側バルーン36260によって実行される焼灼に加えて、LAAの一部を焼灼するための焼灼剤によって膨張される。これらの焼灼機能を組み合わせることで、LAAキャビティのサイズを5%以上低減することができる。異なる実施形態では、デュアルバルーン構成と第2バルーン36290との組合せによる焼灼により、最大で、10%、20%、または25%、のサイズ低減を達成することができる。
例示的な事例研究
1つの例示的な事例研究では、複数の焼灼手順を、凍結したブタの心臓において実施した。焼灼手順は、図37A~図37Cに示すダブルバルーン心臓焼灼テストカテーテル3700を使用して実施した。ここで図37A~図37Cを参照すると、カテーテル3700は、近位端3701と遠位端3720と複数のルーメンとを有した長尺ボディ3712を含む。
注入ポート3720(長尺ボディ3712の近位端に位置している)は、冷却流体の注入および吸引ルーメンを介して、長尺ボディの遠位端に対して取り付けられた膨張可能な外側バルーン3760と流体連通している。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される冷却流体ポンプによって、冷却流体(水、空気、または二酸化炭素などであるが、これらに限定されない)を、冷却流体の注入および吸引ルーメンを通して、外側バルーン3760内へと注入したり、また、外側バルーン3760から吸引したり、することができる。
蒸気ポート3725(長尺ボディ3712の近位端に位置している)は、蒸気ルーメンを介して、長尺ボディの遠位端に対して取り付けられかつ外側バルーン3760の内部に配置された膨張可能な内側バルーン3765と流体連通している。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される蒸気ポンプによって、内側バルーン3765の内部において長尺ボディ3712上に配置された複数の蒸気注入ポートを介して、内側バルーン3765内へと水蒸気を注入することができ、これにより、内側バルーン3765を膨張させて、焼灼領域の近くで、膨張した外側バルーン3760に対して接触させ、これにより、外側バルーン3760上に高温ゾーンを形成する。図37Cに示すガイドワイヤ3730は、ガイドワイヤルーメンの近位開口を介して挿入され、バルーン3760、3765が焼灼のために配置されることを可能とする。
図37Dは、カテーテル3700を使用して凍結ブタ心臓3740で実行している焼灼を示している。両方のバルーン3760、3765を完全に膨張させた時には、外側バルーン3760の表面上の高温ゾーンは、98℃~102℃の範囲の温度に近づいた。肺静脈がないため、複数の心房焼灼処置を実施し、以下のような結果を得た。
・1回の20秒間の処置により、約1mmの深さの処置が得られた(すなわち、1mmの深さまで組織が焼灼された)。
・1回の30秒間の処置により、約1.75mmの深さの処置が得られた。
・2回の15秒間の処置により、約1mmの深さの処置が得られた。
・2回の20秒間の処置により、約2mmの深さの処置が得られた。
外側バルーン3760は、いずれの焼灼処置時にも、ターゲット組織に対して固着しなかった。図37Eは、カテーテル3700を使用した焼灼処置の結果として、円周方向に焼灼された組織3770(薄い色の組織)を示している。
別の焼灼処置では、膨張させたバルーン3760、3765を心耳内に配置することにより、30秒間の焼灼を行った(組織の白い変色が見えるまで)。これにより、壁の硬直化とコラーゲンの変性(約70℃)とを伴うターゲット組織の全厚さにわたっての焼灼が得られた。処置時には、外側バルーン3760の表面温度は、85℃~100℃であった。
さらに、複数の動物由来のサンプルに関して、焼灼の円形度の巨視的な評価を行った。すべての場合において、焼灼は、周長全体の75%超であることが確認され、残りの組織では50%超の焼灼が確認された。顕微鏡での評価のために、少なくとも3つの規定された組織スライスを使用した。評価は、焼灼の成功度合いを反映する表3に示す以下のスケールに従って、焼灼に関連する凝固の度合い(壊死/凝固)によって採点した。
サンプルとなった動物では、45秒間および60秒間の焼灼で、最大の成功が見出された。技術的な誤動作のため、45秒間の1回の試みだけが、最大の成功とはならなかった。結果を、以下の表4に示す。
上記の研究で収集されたデータは、焼灼の瘢痕が生存動物で約48時間にわたって成長することを示しており、表4に示されたスコアは、実生活での完全な成功に近いことを示唆している。
図38は、本明細書のいくつかの実施形態による、凍結したブタの心臓で焼灼を実行するための別のテストカテーテル3800を示している。カテーテル3800は、近位端と遠位端と水/蒸気ルーメン3815とを有した長尺ボディ3812を有している。膨張可能バルーン3860が、ボディ3812の遠位端に対して取り付けられている。バルーン3860は、ボディ3812のうちの、バルーン3860の内部に位置した一部に形成された複数の蒸気注入ポートを介して、ルーメン3815と流体連通している。
複数の電極3835を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ3830(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、ルーメン3815の内部にインラインで配置されている。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水/生理食塩水を、滅菌生理食塩水リザーバから、ルーメン3815を通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ3830の近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ3830は、水/生理食塩水を、蒸気へと変換し、この蒸気を、少なくとも1つの蒸気注入ポートから導出して、バルーン3860を膨張させる。蒸気によって膨張させたバルーン3860は、バルーン3860に近接したターゲット組織を、焼灼することができる。
図39は、本明細書のいくつかの実施形態によるカテーテル3900を示している。カテーテル3900は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ3912を有している。ボディ3912の近位端は、水蒸気カテーテル3925のための入口3930を有している。ボディ3912の遠位端は、水/生理食塩水のための出口3935を有している。膨張可能バルーン3960が、ボディ3912の遠位端に近接して取り付けられている。ボディ3912は、ルーメン3920と、バルーン3960内に配置された複数のポート3925と、を有している。水蒸気カテーテル3925は、入口3930を介してルーメン3920内へと導入される。
経動脈蒸気焼灼
図40は、本明細書のいくつかの実施形態による経動脈蒸気焼灼カテーテル4000を示している。カテーテル4000は、近位端および遠位端を有した長尺ボディ4012を有している。電気ケーブル4050が、ボディ4012の近位端に位置したハンドル4025のところにおいて、電力を供給する。例えば膨張可能バルーン4060などの位置決め部材または閉塞部材が、長尺ボディ4012の遠位端に近接して取り付けられている。膨張可能バルーン4060は、第1ルーメンを介して、ハンドル4025のところにおけるバルーン膨張/収縮ポート4020と流体連通している。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される流体ポンプは、流体(水、空気、または二酸化炭素、などであるが、これらに限定されない)を、第1ルーメンを通して、バルーン4060内へとポンピングしたり、バルーン4060から吸引したり、することができる。
少なくとも1つの蒸気供給ポート4030が、ボディ4012の遠位端のところにおいて、バルーン4060よりも遠位側に、位置している。蒸気供給ポート4030は、第2ルーメンを介して、ハンドル4025のところにおける生理食塩水ポート4035と流体連通している。いくつかの実施形態では、複数の電極4042を含む少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ4040(図19A~図19Dを参照して説明したものなど)が、第2ルーメンの内部にインラインで配置される。動作時には、コントローラとデータ通信しかつコントローラによって制御される水/蒸気ポンプが、水/生理食塩水を、滅菌生理食塩水リザーバから、第2ルーメンを通してポンピングし、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ4040の近位端へと導入する。少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ4040は、水/生理食塩水を、蒸気へと変換し、この蒸気を、蒸気供給ポート4030を通して導出し、ポート4030に近接したターゲット組織を焼灼する。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ4040は、加熱チャンバ4040の近位端がバルーン4060の近位端よりも近位側に位置しかつ加熱チャンバ4040の遠位端がバルーン4060の遠位端よりも遠位側に位置しているようにして、第2ルーメンの内部にインラインで配置される。言い換えれば、チャンバ4040の近位端および遠位端は、いくつかの実施形態では、バルーン4060のそれぞれ対応する近位端および遠位端を超えて、延びている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフレキシブルな加熱チャンバ4040は、複数の電極4042が少なくとも部分的にバルーン4060の内部に存在するようにして、第2ルーメンの内部にインラインで配置される。
図41Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、腫瘍の経動脈蒸気焼灼を実行する方法における複数の例示的なステップを示すフローチャートである。ステップ4105では、図40のカテーテル4000などの経動脈蒸気焼灼カテーテルを、腫瘍に対して血液を供給している動脈の内部へと、配置する。図41Bは、本明細書の一実施形態による、肝臓4108内の腫瘍4107に対して血液を供給している動脈4106の内部に配備された(図40の)カテーテル4000を示している。
ステップ4110では、カテーテル4000のバルーン4060を膨張させて、動脈4106内への血液流を閉塞する。任意選択的に、ステップ4115では、カテーテルの正確な配置を確認するための動脈造影図を得るために、また、腫瘍4107の灌流スキャンを取得して、腫瘍血管系を強調するために、放射性医薬品色素を注入する。ステップ4120では、蒸気を投与することにより、腫瘍4107に対して血液を供給している動脈4106を焼灼するとともに、腫瘍血管系からの放射性医薬品色素の排出度合いを測定することにより、焼灼の適切さを確認する。任意選択的に、ステップ4125では、放射性医薬品色素を注入することにより、動脈造影図または灌流スキャンを取得し、焼灼の適切さを確認する。必要であれば、ステップ4120の蒸気焼灼を繰り返す。
任意選択的に、ステップ4130では、化学療法剤、塞栓剤、または放射性薬剤を、蒸気焼灼と併せて投与する。任意選択的に、ステップ4135では、動脈4106内の圧力を、5気圧未満に維持する。一実施形態では、蒸気を吹き込む前に血液を置換するために、液体CO2を注入する。別の実施形態では、炭酸生理食塩水を使用して蒸気およびCO2を同時に生成し、動脈を焼灼する。上記のデバイスおよび方法は、動脈、静脈、あるいは、左心耳などの心臓狭窄部分、を焼灼するために使用することができる。
図42Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、ループ構成をなすマッピング部材4200を示している。マッピング部材4200は、半柔軟な長尺のワイヤまたはカテーテル4201を含み、ワイヤまたはカテーテル4201上には、複数の電極4202が配置されている。マッピング部材4200は、ループ形状でまたは投げ縄形状で、構成されている。
図42Bは、本明細書のいくつかの実施形態による、ダブルバルーンカテーテル4215の遠位端から延びるフレキシブルなループ形状のマッピング部材4210を示している。マッピング部材4210は、複数の電極4212を有したフレキシブルなワイヤまたはカテーテル4211を含み、ワイヤまたはカテーテル4211は、外側バルーン4217の外面から遠位向きに離間して延びている。
焼灼ゾーンからマッピング部材までの距離が大きすぎると、肺静脈内の興奮性組織の長さが短いため、焼灼しながらペーシングまたはセンシングを行うことが困難となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、マッピング部材は、ペーシング/センシング電極が、外側バルーンの上半球の近くで焼灼ゾーンに対してより近接しているようにして、配置されるように構成される。図42Cは、本明細書のいくつかの実施形態による、縦方向ループ4233および横方向ループ4234を有したフレキシブルなワイヤまたはカテーテル4231を含むフレキシブルなマッピング部材4230を示しており、ワイヤまたはカテーテル4231上には、複数の電極4232が配置されている。実施形態では、電極4232は、横方向ループ4234上に配置されている。縦方向ループは、いくつかの実施形態では5mm~20mmの範囲である第1直径D1を有している。横方向ループは、いくつかの実施形態では10mm~40mmの範囲である第2直径D2を有している。いくつかの実施形態では、直径D1は、直径D2の約半分に等しい。マッピング部材4230の構成により、ユーザは、横方向ループ4234を、外側バルーンの上半球(または、カテーテルの「ノーズ」)上へと、引っ張ることができ、焼灼ゾーンの近くでペーシングおよびセンシングを行うことができる。
図42Dは、本明細書のいくつかの実施形態による、ダブルバルーンカテーテル4245の遠位端から延びているとともに、縦方向ループ4243および横方向ループ4244を有したフレキシブルなワイヤまたはカテーテル4241を含むフレキシブルなマッピング部材4240を示しており、ワイヤまたはカテーテル4241上には、複数の電極4242が配置されている。実施形態では、電極4242は、横方向ループ4244上に配置されている。実施形態では、マッピング部材をゆっくりと引き寄せることにより、横方向ループ4244を、カテーテル4245の「ノーズ」上へとあるいは外側バルーン4247の上半球上へと引っ張り、これにより、焼灼ゾーン4249へと近づける。外側バルーン4247は、球形状を有している。
図42Eは、本明細書のいくつかの実施形態による、ダブルバルーンカテーテル4255の遠位端上へと引き寄せられるとともに、縦方向ループ4253および横方向ループ4254を有したフレキシブルなワイヤまたはカテーテル4251を含むフレキシブルなマッピング部材4250を示しており、ワイヤまたはカテーテル4251上には、複数の電極4252が配置されている。実施形態では、電極4252は、横方向ループ4254上に配置されている。実施形態では、マッピング部材をゆっくりと引き寄せることにより、横方向ループ4254を、カテーテル4255の「ノーズ」上へとあるいは外側バルーン4257の上半球上へと引っ張り、これにより、焼灼ゾーン4259へと近づける。外側バルーン4257は、洋ナシ形状を有しており、これにより、横方向ループ2554の電極4252は、焼灼ゾーン4259へと近づくことができる。
上記の例は、本発明のシステムの多くの用途に関する単なる例示である。本発明のいくつかの実施形態のみを本明細書において説明したけれども、本発明が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の多くの特定の形態で具現され得ることを、理解されたい。したがって、本実施例および実施形態は、例示的なものであって制限的なものではないと見なされるべきであり、本発明は、添付の請求項の範囲内で改変することができる。