開示の内容
〔発明の分野〕
この発明は、外科装置およびその使用方法に関与している。詳細には、この発明は、周囲切除装置アセンブリおよびこのアセンブリに関連した使用方法に関与している。この発明の1つの態様は、詳細には、切除装置の遠位領域に沿って配されたピーナッツ状あるいはバーベル状の可膨張性部材を組み込み、この可膨張性部材によって係合された組織の周囲領域に対する切除を容易にする、アセンブリおよび方法に関与している。
〔発明の背景〕
この明細書において、用語“体内空間”とは、その派生語も含めて、組織壁によって、少なくとも部分的に規定された体内のいかなる腔あるいは管をも意味するものとされる。例えば、心室、子宮、消化管の領域、および動脈あるいは静脈は、すべて、意図された意味に包含される体内空間の例示とみなされる。
この明細書において、用語“体腔”とは、その派生語も含めて、管状の組織壁によって、その長さ方向に沿って境界を定められ、かつ、その体内空間の外部に連通する少なくとも1つの開口部において、両端のいずれもが末端となる体内空間のすべてを意味するものとされる。例えば、大腸、小腸、精管、気管、および卵管は、すべて、意図された意味に包含される体腔の例示とみなされる。また、この明細書において、血管は、分岐点間に存在する樹状血管の領域も含めて、体腔とみなされる。より詳細には、肺静脈は、左心室の壁部に沿う、肺静脈の口部の分岐部間に存在する肺静脈の領域も含めて、意図された意味に包含される体腔であり、上記口部を画定する壁組織は、典型的には、独特に、テーパー状の体腔の形態をなしているとはいえ、この口部も体腔である。
正常な状態ではない体内の種々の組織を治療するために、特に、種々の体内空間を規定する体内空間壁に沿う、異常な組織を治療するために、多くの局所的なエネルギー送出装置および送出方法が開発されている。例えば、局所的なエネルギーの送出によって動脈硬化性の血管を治療する、すなわち、再疎通させるという主要な目的をもつ種々の装置が開示されている。従来、いくつかの装置および方法では、局所的にエネルギーを送出して血管等の疾患体腔内の開通性を維持するために、心血管内ステント装置にエネルギー送出アセンブリを組み合わせている。また、子宮内膜腔に関連し、かつ子宮内膜腔の表面に沿って、深刻なほどに増殖した子宮壁組織によって特徴付けられる、子宮内膜症における他の異常な壁組織も、局所的なエネルギー送出装置および送出方法によって治療されている。また、血管等の特定の体腔内において血栓症を誘発し、かつ出血を制御するという所期の目的にカテーテル系の熱源を使用する他のいくつかの装置および方法も開示されている。上述したタイプ等の局所エネルギー送出装置およびこれに関連した処置の詳細な例示は、次の文献:ヘルシェンソン(Hershenson)に付与された米国特許第4,672,962号、イノクチ(InoKuchi)らに付与された米国特許第4,676,258号、ルイツ(Ruiz)に付与された米国特許第4,790,311号、ストラル(Strul)らに付与された米国特許第4,807,620号、エッガース(Eggers)らに付与された米国特許第4,998,933号、カスプルチュク(Kasprzyk)らに付与された米国特許第5,035,694号、リー(Lee)に付与された米国特許第5,190,540号、スピアース(Spears)らに付与された米国特許第5,226,430号、リー(Lee)に付与された米国特許第5,292,321号、チン(Chin)に付与された米国特許第5,449,380号、エドワーズ(Edwards)に付与された米国特許第5,505,730号、エドワーズ(Edwards)らに付与された米国特許第5,558,672号、スターン(Stern)らに付与された米国特許第5,562,720号、オース(Auth)らに付与された米国特許第4,449,528号、テイラー(Taylor)らに付与された米国特許第4,522,205号、フセイン(Hussein)らに付与された米国特許第4,662,368号、ベール(Behl)に付与された米国特許第5,078,736号、カンダルパ(Kandarpa)に付与された米国特許第5,178,618号中に種々、開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
従来の他の装置および方法は、異常な組織の治療のために局所的なエネルギー送出中に、切除要素に対して流体を電気的に連通させる。このような装置の一部では、エネルギー送出中に、上記切除要素の温度を制御するという主要な目的のために、上記切除要素に対して流体を連通させる。上記の別の装置では、他の温度制御機構自体か、あるいは公知の他の特定用途における局所的なエネルギー送出用の担体または媒体自体かのような装置と組織との境界面に対して、より直接的に流体を連通させる。組織に対して電極を電気的に結合するのを支援する流体を使用する切除装置のより詳細な例示は、次の文献:イムラン(Imran)らに付与された米国特許第5,348,554号、イムラン(Imran)らに付与された米国特許第5,423,811号、エドワーズ(Edwards)らに付与された米国特許第5,505,730号、イムラン(Imran)らに付与された米国特許第5,545,161号、エドワーズ(Edwards)らに付与された米国特許第5,558,672号、エドワーズ(Edwards)に付与された米国特許第5,569,241号、ベイカー(Baker)らに付与された米国特許第5,575,788号、イムラン(Imran)らに付与された米国特許第5,658,278号、パネスク(Panescu)らに付与された米国特許第5,688,267号、イムラン(Imran)らに付与された米国特許第5,697,927号、マクギー(McGee)らに付与された米国特許第5,722,403号、ポメランツ(Pomeranz)らに付与された米国特許第5,769,846号、ポメランツ(Pomeranz)らによるPCT特許出願公開WO97/32525号、ポメランツ(Pomeranz)らによるPCT特許出願公開WO98/02201号に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、上記組み込みが先になされていない範囲内で、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
心房性細動
心不整脈および特に、心房性細動は、異常な心室壁組織に関連した、危険性のある共通の医学的疾患として、いつまでもなくならず、特に、老年個体群において観察されている。心不整脈の患者については、心臓組織の異常な領域では、洞律動の患者における通常の通道組織に関連した同期性の鼓動周期にならない。それよりもむしろ、心臓組織の異常な領域では、その隣接した組織に対して迷走した状態の鼓動を伝えることから、心拍周期を乱し、非同期性の鼓動周期にさせてしまう。このような異常な状態は、例えば、房室(AV)結節およびヒス束の伝達経路に沿う洞房(SA)結節の領域、あるいは心室および心房の壁部を構成する心筋組織等における心臓の種々の領域に発生することが従来から知られている。
心房性不整脈を含む心不整脈は、心房室の回りで散乱し、かつ、しばしば自己増殖する電気インパルスからなる複数の非同期性ループによって特徴づけられた、複数波で構成されたリエントラントタイプとなる可能性がある。この複数波で構成されたリエントラントタイプに代えて、あるいは当該リエントラントタイプに加えて、心不整脈は、心房内の組織における分離領域が、急速かつ反復式に、自発的に律動する場合など、局所的な律動源を有する場合もある。心房性細動を含む心不整脈は、一般に、心電図(EKG)という世界的な技術を用いて検出可能である。心房室に沿う特異的な伝達を写像化する、より高感度の手法は、例えば、ワリンスキー(Walinsky)らに付与された米国特許第4,641,649号、デサイ(Desai)らによるPCT特許出願公開WO96/32897などに開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
多数の臨床的な容態は、不規則的な心臓機能に起因しており、心房性細動に関連し、脳卒中、心不全および他の血栓塞栓的な状況を含む、血行力学的異常を引き起こすことになる。現に、心房性細動は、脳卒中の重大な原因であり、心房性細動に起因する壁運動によって左心房内に発生した血行力学的異常が心房室内において血栓の形成を突然引き起こすと考えられる。血塞栓は、最終的には、取り除かれて左心室内に入り、この左心室はその後に、卒中が発生する脳循環中に血塞栓を送り込む。したがって、心房性不整脈を治療するために、薬理学的手法、外科的手法およびカテーテルによる切除手法(catheter ablation)を含む、多くの手法が開発されている。
いくつかの薬理学的な取り組みとしては、例えば、次の文献:バーン(Berne)らに付与された米国特許第4,673,563号、モーロイ(Molloy)らに付与された米国特許第4,569,801号、および、ハインドリックス(Hindricks )らによる“不整脈の最新管理(Current Management of Arrythmias)”(1991年)等に開示された内容によれば、心房性不整脈の治療薬あるいは他の治療方法を意図したものがある。しかしながら、このような薬理学的な解決策は、一般に、多くの場合に完全に有効であるとは考えられてはおらず、一部の場合において、催不整脈作用(proarrhythmia)となり、かつ長期間の投与でも有効性なしという結果になるものと考えられる。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
また、いくつかの外科的な取り組みは、心房性細動を治療する意図をもって、開発されている。特定の一例は、「胸部および心臓血管外科(Thoracic and Cardiovascular Surgery)」1991年、第101(3)巻、第402頁〜第405頁に記載された、コックス・ジェイ・エルら(Cox,JL et al.)による“心房性細動の外科的治療I.要約(The surgical treatment of atrial fibrillation. I. Summary)”、および、「胸部および心臓血管外科(Thoracic and Cardiovascular Surgery)」1991年、第101(4)巻、第584頁〜第592頁に記載された、コックス・ジェイ・エル(Cox,JL)による“心房性細動の外科的治療IV.外科的方法(The surgical treatment of atrial fibrillation. IV. Surgical Technique)”に開示されているように、“迷路手法(maze procedure)”として知られている。一般に、“迷路手法”では、組織壁について所定のパターンで切開することで、有効な心房性収縮および洞結節制御を回復させることによって心房性不整脈を軽減するように設計されている。報告された初期の臨床的な経験では、“迷路手法”には、左右の心房室の双方に対する外科的切開のステップが組み込まれていた。しかしながら、スエダら(Sueda et al.)による“僧帽弁疾患に関連した慢性心房性細動に対する左心房の簡易処置(Simple Left Atrial Procedure for Chronic Atrial Fibrillation Associated With Mitral Valve Disease)”(1996年)に開示されているように、近年の報告では、外科的な“迷路手法”は、左心房のみに対して実施される場合に、実質的に有効となると予測している。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
一般に左心房に対して実施される“迷路手法”には、2つの上部肺静脈から、下部肺静脈を横切って、僧帽弁の環状領域を終端とする経路で、垂直方向の切開部を形成するステップが含まれている。また、追加の水平切開部は、2つの垂直切開部の上端部につながっている。したがって、肺静脈の口部によって縁取られた心房の壁領域は、他の心房組織から分離されている。この過程では、心房組織の機械的な切除は、導電系の迷路内に伝達ブロックを形成することによって、肺静脈の閉塞領域から心房の残余部分への不整脈の伝達を解消することができる。また、上述された特定のパターンについての他の変化あるいは修正は、不整脈の起点となっているが、あるいは心房壁に沿って伝搬している既知領域または疑義のある領域を分離するという主要の目的を共有する文献に開示されている。
コックスら(Cox and others)によって報告された“迷路手法”およびその変形的な手法が心房性細動を患う患者を治療するのに、多少、成果を上げているが、その非常に侵襲的な方法はほとんどの場合において、禁止すべきものと考えられる。しかしながら、これらの手法は、異常のある心臓組織を電気的に分離することは、心房性不整脈、特に、肺静脈の領域から生じる不整脈の伝達によって引き起こされる心房性細動を成功裏に防止できるという誘導原理を定めている。
心房性細動を治療するための、侵襲性の程度が少ないカテーテル系の取り組みでは、心房内で不整脈の伝達を終了させるための心臓組織の切除を実施することが開示されている。このようなカテーテル系の装置および治療方法の例では、一般に、心房室を規定する壁組織内の直線状あるいは曲線状の病変部(術後の傷)を形成するのに適したカテーテル切除装置および方法で分断される心房の部分を対象としている。特に開示された取り組みでは、組織を結合して直線状の病変部を形成することを意図された切除要素であって、規定の長さにわたって直線状である特定の切除要素を提供している。他に開示された取り組みでは、左心房の後壁に向けて切除用カテーテルの先端部を誘導し、組織の所定の経路に沿う連続的な切除により所望の病変部を形成できるようにすることを目的として構成され、あるいは操舵可能なガイドシース、あるいはシース内シースを提供している。さらに、心房壁に病変部を形成するための種々のエネルギー送出方法が開示されており、この方法には、心臓組織壁に沿って伝達ブロックを形成するために、マイクロ波、レーザー、超音波、熱伝導、および、より一般的な高周波のエネルギーの使用が含まれている。
心房壁に沿って病変部を形成するための切除装置アセンブリおよび切除方法のより詳細な例は、次の文献:ジャン(Jang)らに付与された米国特許第4,898,591号、イスナー(Isner)らに付与された米国特許第5,104,393号、アビトール(Avitall)に付与された米国特許第5,427,119号、米国特許第5,487,385号、スワルツ(Swartz)らに付与された米国特許第5,497,119号、フライシュマン(Fleischman)らに付与された米国特許第5,545,193号、コルディス(Kordis)らに付与された米国特許第5,549,661号、スワンソン(Swanson)らに付与された米国特許第5,575,810号、スワルツ(Swartz)らに付与された米国特許第5,564,440号、スワンソン(Swanson)らに付与された米国特許第5,592,609号、スワルツ(Swartz)らに付与された米国特許第5,575,766号、スワンソン(Swanson)に付与された米国特許第5,582,609号、ムンシフ(Munsif)に付与された米国特許第5,617,854号、アビトール(Avitall)に付与された米国特許第5,687,723号、アビトール(Avitall)に付与された米国特許第5,702,438号に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、上記組み込みが先になされていない範囲内で、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
このような切除装置および切除方法の他の例は、次の文献:スターン(Stern)らによるPCT特許出願公開WO93/20767号、コルディス(Kordis)らによるPCT特許出願公開WO94/21165号、フライシュマン(Fleischman)らによるPCT特許出願公開WO96/10961号、クライン(Klein)らによるPCT特許出願公開WO96/26675号、およびシェア(Schaer)によるPCT特許出願公開WO97/37607号に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、上記組み込みが先になされていない範囲内で、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
このような切除装置および切除方法の別の例は、次の文献:「アメリカン大学の心臓病学会誌(Journal of American College of Cardiology)」1993年、第22巻、第3;第921頁〜第932頁に記載された、アビトール(Avitall)らによる“経カテーテルによる組織の切除の物理工学(Physics and Engineering of Transcatheter Tissue Ablation)”および「心臓血管の電気生理学会誌(Journal of Cardiovascular Electrophysiology)」1996年、第7(12)巻、第1132頁〜第1144頁に記載された、ヘイサーゲル(Haissaguerre)らによる“発作性の心房性細動に対する左右心房への高周波カテーテル治療(Right and Left Atrial Radiofrequency Catheter Therapy of Paroxysmal Atrial Fibrillation)”に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
上述した公知のアセンブリに加えて、左心房における“迷路”タイプの病変部パターンを形成するように、組織の長さ方向に沿って少なくとも1つの所定位置に直線状の切除要素を固定することによって、上記組織の長さ方向に沿って上記直線状の切除要素の安定した接触と不変の位置決めを保証するという特定の目的をもった他の組織切除装置アセンブリも開発されている。このようなアセンブリの一例には、2つの隣接した肺静脈など、左心房壁に沿う2つの所定位置のそれぞれに直線状の切除要素の両端を固定するために、直線状の切除要素の両端のそれぞれに配された固定具が含まれており、これにより、組織は、直線状の切除要素の両端間に延在する組織の長さ方向に沿って切除可能となる。
心房性不整脈を治療するために、直線状の長い病変部で心房壁を分断する試みに加えて、バルーン等の可膨張性部材を用いて心臓組織を切除する意図を有する他の切除装置および切除方法も開示されている。このような装置の一部としては、心室に沿う壁組織領域を切除するのに主に使用される装置が開示されている。左側の副経路の異常な容態、特にウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群に関連した容態を治療するための他の装置および方法が開示されており、このような種々の開示内容によれば、切除する所望の心臓組織に隣接した冠状静脈洞の関連領域内から切除するためのバルーンが使用される。上述したようなタイプの装置および方法についてのさらに詳細な例は、次の文献:「PACE」、1995年、第18巻、第1518頁〜第1530頁に記載された、フラム(Fram)らによる“冠状静脈洞を経由する房室バイパス管に対する高周波駆動型の熱バルーンによる切除:イヌ生体内研究(Feasibility of RF Powered Thermal Balloon Ablation of Atrioventicular Bypass Tracts via the Coronary Sinus: In vivo Canine Studies)”、「循環(Circulation)」、1992年、第86巻、第947頁〜第954頁に記載された、シューゲル・シー・ディー(Schuger CD)らによる“イヌの冠状静脈洞からの経皮的レーザー照射型バルーンによる切除の長期間の効果(Long-term effects of percutaneous laser balloon ablation from the canine coronary sinus)”、およびマクマス LP(McMath LP)らによる「心臓血管介在物の治療診断(Diagn Ther Cardiovasc Interven)」、1991年、第1425巻、第165頁〜第171頁に記載された“経皮的レーザー照射型バルーンによる副経路の凝固(Percutaneous laser balloon coagulation of accessory pathways)”に様々に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
肺静脈の病巣から生じる不整脈
心房に関連した心筋組織内の分離中心部が急速かつ反復式に律動することによって自然に生じた病巣となる心房性細動の種々のモードも観察されている。このような病巣は、心房性細動の発作の引き金として作用するか、あるいは、さらに、心房性細動状態を維持する可能性がある。種々の開示内容は、心房性不整脈の病巣が、しばしば、左心房の1つまたはそれ以上の肺静脈、より詳細には上部肺静脈に沿う少なくとも1つの組織領域から生じていることを示唆している。
切除の意図をもって設計された端部電極型のカテーテルを使用し、これにより肺静脈内の不整脈の病巣を治療することができる、低侵襲性の経皮カテーテルによる切除手法が開示されている。これらの切除手法は、典型的には、組織に対する電気エネルギーの付与を徐々に増やし、不適切な不整脈の伝達を終了させるように設計された病巣の病変部を形成することによって特徴づけられている。
肺静脈を起源とする不整脈の病巣を治療することを意図した病巣切除方法の一例は、「心臓血管の電気生理学会誌」1996年、第7(12)巻、第1132頁〜第1144頁に記載された、ヘイサーゲル(Haissaguerre)らによる“発作性の心房性細動に対する左右心房への高周波カテーテル治療”に開示されている(上記参照によって組み込まれている)。ヘイサーゲル(Haissaguerre)らは、予備選択された患者の個体群における不整脈の病巣を標的とした病巣切除によって補完された直線状の心房の病変部を用いる、心房性細動の薬剤抵抗性発作に対する高周波カテーテルによる切除を開示している。不整脈の病巣部位は、一般に、上部肺静脈内部に位置すると共に、病巣の切除は、一般に、4mmの標準的な先端部を有する1つの切除用電極を用いて実行されてきた。
心房性不整脈を治療するための他の病巣切除方法は、「循環(Circulation)」、1997年、第95巻、第572頁〜第576頁に記載された、ジェイス(Jais)らによる“不連続的な高周波切除によって治療された心房性細動の病巣源(A focal source of atrial fibrillation treated by discrete radiofrequency ablation)”に開示されている。なお、この文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。ジェイス(Jais)らは、病巣源を切除することによって、病巣源から生じている不整脈の発作を患う患者を治療する方法を開示している。左右の両心房内の不整脈組織の部位に対して、不連続照射型の高周波エネルギー源の数パルスが、細動過程を解消させるために付与された。
肺静脈に沿う部分か、心房壁に沿う肺静脈の口部において、あるいは肺静脈の口部および心房壁に沿う部分を囲む部分のいずれかにおける組織の周囲領域を切除することによって、肺静脈内の不整脈の病巣源を扱う他のアセンブリおよび方法が開示されている。上述したような不整脈の病巣を治療するための装置アセンブリおよび方法のより詳細な例は、デートリッヒ(Diederich)らによるPCT特許出願公開WO99/02096号、「周囲切除装置アセンブリ(Circumferential Ablation Device Assembly)」という名称で、ミカエル・ディー・レッシュ(Michael D.Lesh)らに2000年2月15日に発行された米国特許第6,024,740号、「肺静脈内の周囲伝達ブロックを形成するための装置および方法(Device and Method for Forming a Circumferential Conduction Block in a Pulmonary Vein)」という名称で、ミカエル・ディー・レッシュ(Michael D.Lesh)に2000年1月11日に発行された米国特許第6,012,457号、および「周囲切除装置アセンブリ(Circumferential Ablation Device Assembly)」という名称で、クリス・ジェイ・デートリッヒ(Chris J.Diederich)らに2000年9月12日に発行された米国特許第6,117,101号に開示されている。
米国特許第5,938,660号およびこれに関連したPCT特許出願公開WO99/00064号には、伝達ブロックを形成し、肺静脈内の不整脈の病巣を分離するために、2つのシール部間の組織の周囲領域を切除することによって心房性細動の病巣を治療することを意図した他の特定の装置アセンブリおよび方法が開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
〔発明の概要]
この発明の目的は、肺静脈が心房壁に沿う部分を含む心房から延在する部位における組織の周囲領域を切除する周囲切除装置アセンブリ、およびこれに関連したアセンブリを使用する方法を提供することにある。上記切除装置は、近位端部と、遠位端部と、長軸とを備えた細長い本体を含む。上記遠位端部に沿って配設された接触部材は、周囲壁を有しており、径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能である。この接触部材は、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する一体型チャンバーを含む。接触部材が膨張した状態にあるときには、第1の球状部は、第2の球状部より小さい外径を有している。また、この切除装置は、上記遠位端部に沿って配設された切除エネルギー源を有する切除要素を有しており、上記切除要素は、上記接触部材と協同して、切除エネルギー源が周囲壁を通じて実質的に周方向パターンのエネルギーを発するものである。
他の実施の形態では、肺静脈が心房から延在する部位における組織の周囲領域を切除するための組織切除装置アセンブリが開示されている。この組織切除装置アセンブリは、組織の周囲領域に切除可能に(ablatively)連結するように構成された切除要素を有する周囲切除部材を含む。この周囲切除部材は、第1の状態から第2の状態へ調節可能であり、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する一体型チャンバーを含む。周囲切除部材が第2の状態にあるときには、第1の球状部は、第2の球状部より小さい外径を有している。また、組織切除装置アセンブリは、近位端部と遠位端部とを有する操舵可能な送出部材であって、遠位端部は近位端部を回転させることによって、湾曲可能かつ操舵可能となり、これにより遠位端部が上記部位に沿って位置決め可能となる、操舵可能な送出部材を含めてもよい。上記周囲切除部材は、この周囲切除部材が第1の状態にあるときには、操舵可能な送出部材の遠位端部に連結し、かつ、操舵可能な送出部材によって上記部位へ送出されるように構成されている。
この発明の他の実施の形態は、切除装置に使用される可膨張性部材であって、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する一体型チャンバーを含む。この可膨張性部材は、径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、この径方向に膨張した状態において、第1の球状部は、第2の球状部より小さい外径を有している。
この発明の更に他の実施の形態では、切除装置に使用される可膨張性部材は、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する一体型チャンバーを含む。この可膨張性部材は、径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、この径方向に収縮した状態において、第1の球状部は、第2の球状部より薄い壁厚を有している。
この発明の他の実施の形態は、切除装置に使用される可膨張性部材を含む。この可膨張性部材は、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する一体型チャンバーを含む。この可膨張性部材は、膨張用媒体の導入により径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、この膨張用媒体が可膨張性部材内に導入されたときには、可膨張性部材は、第2の球状部の膨張前に、第1の球状部が膨張し始めるように構成されている。
〔特定の実施形態の詳細な説明〕
この明細書の全体を通じて、種々の用語が定義されており、すべての特定の用語の意味は、以下に記述されているような具体的な状況下で定られた特定の記述あるいは用途に関する文脈に加えて、この文書全体の文脈において理解されるべきである。このような種々の用語は、次のように理解されるべきである。
用語“周囲”あるいは“周囲の”とは、これらの派生語も含めて、この明細書において、閉塞された空間領域を囲み、これにより空間領域の画定する外側の境界すなわち周界を形成する、実質的に連続した経路あるいはラインを意味することを意図している。このような連続的な経路は、上記外側の境界すなわち周界に沿う1つの部位から始まって、当該経路が画定した上記空間領域を囲むために、最初の開始部位において完結されるまで、上記外側の境界すなわち周界に沿ってつながっている。関連用語“境界を定める(circumscribe)”とは、この派生語も含めて、この明細書において、画定された空間領域を実質的に包含し、囲み、あるいは包囲することを意味することを意図している。したがって、これらの定義された用語によれば、空間領域の周囲を辿り、かつ同一の部位において開始しかつ完結した連続したラインは、当該空間領域の“境界を定め”、この連続したラインが上記空間領域の境界を定めている経路に沿ってつながっているように、上記ラインがたどる距離によって画定された“周囲”を有している。
さらに、周方向の経路あるいは要素には、1つまたはそれ以上の種々の形状が含められてもよく、例えば、円形状、長円形状、卵形状、楕円形状、あるいは他の平坦な筐体形状であってもよい。周方向の経路は、例えば、2つの異なる平行な、すなわち軸のない平面間を架橋する線状のセグメントによって両端部が接続され、互いに対向する2つの半円形状の経路等の三次元であってもよい。
更なる図示を目的として、図1A〜図1Eはそれぞれ、周方向のさまざまな経路A,B,C,DおよびEを示しており、各経路は、肺静脈の壁部、静脈の口部あるいは心房室等の体内空間の一部に沿ってつながっており、それぞれa,b,c,dおよびeで示された、画定された空間領域の境界を定めており、境界を定められた各空間領域は、体内空間あるいは体腔の一部となっている。図1Dに示された三次元的な周方向の経路をさらに図示するために、図1Fは、周方向の経路Dを分解して示す斜視図であり、この周方向の経路Dは、図1Dに示されている領域dを共に構成するd´、d´´およびd´´´で示された体腔の多平面部分の境界を定める。
用語“離断”とは、この派生語も含めて、この明細書において、空間領域を分離領域に分割あるいは分離することを意味することを意図している。例えば、図1A〜図1Dに示された周方向の経路によって境界を定められた各領域は、各肺静脈が、例えば、図1Aにおける領域Xで示された離断領域の一方に配設された第1の長尺領域と、例えば図1Aにおける領域Yで示された離断平面の他方に配設された第2の長尺領域とに分割される程度において、各肺静脈あるいは口部を、その体腔および壁部も含めて、離断している。
同様に、図1Eに示された周方向の経路は、左心房等の体内空間を離断してもよく、これにより各心房は、例えば図1Eにおける領域Xで示された離断領域の一方に配設された第1の内部領域と、例えば図1Eにおける領域Yで示された離断経路の他方に配設された第2の外部領域とに分割されることになる。
したがって、この発明による“周囲伝達ブロック”は、肺静脈の壁部、口部あるいは心房室に沿うなど、周方向の経路を辿る組織領域に沿って形成されており、この周囲伝達ブロックは、上記組織領域の長軸に沿って電気的な伝達に関係した当該組織領域の境界を定め、かつ上記組織領域を離断するものである。したがって、離断している周囲伝達ブロックは、伝達ブロックに関係し、かつ上記組織領域の長軸に沿う当該組織領域のうち、互いに対向する長尺領域間の電気的な伝達を分離するものである。
用語“切除する(ablate)”あるいは“切除(ablation)”とは、これらの派生語も含めて、以下において、組織の機械的、電気的、化学的あるいは他の構造的な性質を実質的に変えることを意味することを意図している。以下の図示された実施の形態の変更に関連して、図示され、括記述された心臓内の切除用途の文脈では、“切除”とは、切除された心臓組織から、あるいは当該心臓組織を経由する電気信号の伝達を実質的に遮断するために、組織の特性の十分な変質を意味することを意図している。
“切除要素”の文脈における用語“要素(element)”とは、その派生語も含めて、この明細書において、組織領域を一括して切除するように位置決めされた、1つの電極等の個別素子、あるいは、間隔をおいて配置された複数の電極等の複数の個別素子を意味することを意図している。
したがって、定義された用語によれば、“切除要素”には、画定された組織領域を切除するように構成された種々の具体的な構造を含めることができる。例えば、この発明に使用されるのに適した1つの切除要素は、以下の実施の形態の教示によれば、エネルギー源に連結され、かつ当該エネルギー源によって作動された場合に、組織を切除するのに十分なエネルギーを放出するように構成された“エネルギー放出”タイプの要素から形成されてもよい。したがって、この発明に使用されるのに適した“エネルギー放出”タイプの切除要素には、例えば、直流(“DC”)電源あるいは高周波(“RF”)電源等の交流(“AC”)電源に連結するように構成された電極要素;マイクロ波エネルギー源によって作動されるアンテナ要素;対流式あるいは伝導式の熱伝達、電流による抵抗加熱、あるいは光加熱等によって発熱するように作動される金属要素あるいは他の伝熱体等の加熱要素;光源に連結された場合に組織を切除するのに十分な光を伝送する光ファイバー要素等の発光要素:あるいは、適切な励起源に連結された場合に、組織を切除するのに十分な超音波を発するように構成された超音波水晶発振要素(ultrasound crystal element)等の超音波要素を含めることができる。
さらに、組織の性質を変える他の要素も、以下に、この発明の詳細な記述に従って構成された時、この発明における“切除要素”として適している可能性がある。例えば、上記組織の構造を実質的に変えるのに十分な温度に組織を冷却するように構成された低温式の切除要素は、この発明の教示に従って構成された場合に、適している可能性がある。
さらに、多孔性の壁あるいは分散ポート(すなわち複数のポート)を有する壁等の、流体切除要素は、流体送出源に流体を介して連絡されており、この流体送出源は、切除される組織に切除用媒体を連結するように構成されてもよい。1つの態様では、流体切除要素は、上記壁に隣接する組織の性質を実質的に変えるために、当該組織に対して直接、アルコール含有流体等の切除用媒体を注入してもよい。他の態様では、流体切除要素は、例えば、1つの変更例では、高張生理食塩水とされるイオン性流体等の導電性流体である切除用媒体を介して、上記組織に対して電気切除要素を電気的に連絡することによって、上記組織に高周波あるいは他の電流モードを供給してもよい。さらに、用語“切除用媒体”とは、標的組織に直接、連結し、かつ当該組織を切除するために、この明細書において記述された1つまたはそれ以上のアセンブリと協同する媒体を意味することを意図している。
用語“多孔性”あるいは“透過性”とは、これらの派生語も含めて、この明細書においては交換可能に使用されており、染み出しあるいは流体噴射によって、あるいは上記壁を経由し、かつ当該壁から完全に出る物質の実体的な流れが実質的に制限され、あるいは防止さえされるように上記壁内の空隙中に上記物質を単に吸収させることによって、上記物質が上記壁を経由し、かつ当該壁から出て当該壁をすり抜けることができる態様を含めて、上記物質が上記壁内に、かつ、当該壁を越えて透過することを可能にするのに十分な空隙を有する物質でできた壁構造を意味することを意図している。図示を目的とした“多孔性”あるいは“透過性”材料の例としては、上記壁の形成時から内在している空隙を有する物質でできた壁;本来的な孔ではないが、例えば、機械的な孔開け、あるいはレーザー/光学的な孔開け等によって形成された孔を有する壁要素;および化学的に形成された空隙を有する壁要素を含むが、これらに限定されるものではない。
特定の実施の形態のデザイン
図2には、この発明の有用性の高い実施の形態を提供するものと考えられた1つの周囲切除要素のデザイン例が示されている。以下にさらに詳述されるように、この周囲切除要素および他の周囲切除要素のデザイン例は、心房壁に沿う部分を切除することを含む心房性細動の治療において、肺静脈が左心房から延在している領域であって、心房壁に沿う部分を含む領域に沿って行われる組織切除に特に有用であると考えられる。図2に示されているように、上記デザイン例は、可膨張性部材(210)の作用長Lの近位端および遠位端のそれぞれを内包する2つの絶縁体(202,204)を有する周囲切除部材(200)を含む。図示された特定の実施の形態では、上記絶縁体(202,204)は、バルーンすなわち可膨張性部材(210)のバルーン外皮(212)を覆う別個の材料層である。これらの間隔をおいた絶縁体を設けることによって、非絶縁性のバルーン外皮(212)の周囲バンド(203)は、互いに対向する絶縁体間に配設されている。
図2に示されたような可膨張性部材(210)は、その近位端において、当該可膨張性部材(210)の近傍に延在する細長い本体(201)に結合されている。より詳細には、図2は、一体に形成された可膨張性部材(210)および細長い本体(201)を示しており、細長い本体(201)は可膨張性部材(210)から患者(図示せず)外に配された装置の近位端へ延在している。可膨張性部材(210)の遠位端は、細長い本体(201)および可膨張性部材(210)を経由して、上記装置の近位端へ延在する内側部材(221)に取り付けられている。内側部材(221)内の管腔は、以下においてさらに詳述されるように、ガイドワイヤの通過を可能にする。細長い本体(201)と内側部材(221)との間に画定された管腔は、切除および/またはバルーン(210)の膨張に使用される流体の経路を与える。他のデザイン例も上記周囲切除部材に使用可能であることを正当に評価されるはずである。例えば、可膨張性部材(210)は細長い本体(201)と一体である必要はなく、細長い本体(201)に分離可能に取り付けられてもよい。
この実施の形態が上記切除要素の特定の配置に限定されない点にさらに留意される。むしろ、周囲バンドは、可膨張性部材の作用長に沿い、かつ上述されているように、可膨張性部材の長軸の境界を定めるなら、どこの箇所に形成されてもよい。
図2に示されたバルーン構造は、高周波切除電極を形成している。1つの電極(220)は、内側部材(221)上に設けられており、電気リード線(225)を介して、高周波(“RF”)電源(230)で示された切除アクチュエータに連結され、これによりバルーン(210)内に内部電源を形成することができる。高周波電源(230)は、切除用高周波回路を完成させるために、高周波電極要素と、患者に接触している接地用パッチ(295)との双方に連結されている。膨張したフッ素ポリマー、より詳細にはポリテトラフルオロエチレン材料等の多孔性膜は、可膨張性部材(210)のバルーン外皮(212)全体を構成している。多孔性の外皮(212)は、以下にさらに示される特定の実施の形態に従って展開されるように、切れ目のないポリマー材料中に孔を、機械的な孔開けあるいはレーザーエネルギーの使用を含む方法で形成することによって、いくつかの異なる方法に従って、構成されてもよく、あるいは、多孔性の外皮(212)は、透過性の孔を形成する固有の空隙を有する本質的に透過性の材料で、単純に構成されてもよい。図2に示されているように可膨張性部材の作用長の近位端部および遠位端部を絶縁することによって、非絶縁性の中間領域の周囲バンドに沿う孔のみは、組織に対して切除用の高周波電流を伝える電解液に切除可能に連絡することが許容されている。したがって、この非絶縁性の中間領域は、透過性部分を形成するのに対し、可膨張性部材の絶縁性領域は非透過性部分とされる。
図示された上記バルーン(210)が細長い本体(201)と一体化している実施の形態では、流体がバルーンチャンバーに到達する前に細長い本体(201)の壁を通過するのを防止するために、上記細長い本体(201)が非多孔性である点がさらに正当に評価されるはずである。他の実施の形態では、絶縁体(202)は、細長い本体(201)を絶縁するために、細長い本体(201)を越えて延在してもよい。
図2のアセンブリの操作によれば、例えば、高張生理食塩水等の導電性切除用媒体としての流体は、当該流体が直接、組織に連結するまで、供給源(240)から、外皮によって画定された内部チャンバー内へ、および中間領域に沿うバルーン外皮を構成する多孔性の壁へ外側に向かって通過している。多孔性のバルーン外皮内の流体を高周波電源(230)に電極(220)を介して電気的に連絡することによって、可膨張性部材の多孔性領域は、高周波電流が、上記壁の多孔性の中間領域中に吸収された導電性流体を介して、上記バルーンによって係合された(engaged)組織中を外方に向けて流れる、高周波電極として作用する。
電源(230)を含むなど、アセンブリ全体に関する切除アクチュエータ機構には、モニター回路(図示せず)および/または制御回路(図示せず)が含められるか、あるいは当該回路に連結されてもよい。これらの回路は、共に、切除中に電極を通じて電流を流すフィードバック制御ループにおける高周波回路の電気的なパラメータあるいは温度等の組織パラメータのいずれかを使用する。また、複数の切除要素あるいは1つの切除要素における複数の電極が使用される場合には、種々の要素あるいは電極間で高周波電源を多重化するスイッチ手段が使用されてもよい。
さらに、他の実施の形態(図示せず)も意図されており、この実施の形態は、分離式の可膨張性バルーン等の他の分離式の可膨張性部材の外部にある選択的な多孔性の中間領域を備えた外皮を設けており、電源に連絡した導電性流体は、上記外皮と当該外皮内に収容された可膨張性部材との間の領域内に収容されている。
図2は、切除表面が可膨張性部材の全作用長に沿って設けられている構造の切除バルーンを図示しているが、上記切除表面は、非遮蔽型あるいは非絶縁型の赤道バンドに沿う部分を除く、周囲の組織に放出される切除用エネルギーから遮蔽され、あるいは絶縁されている。そういうものであるから、上記絶縁体の実施の形態は、可膨張性部材の全作用長に沿って配され、かつ両端部が絶縁され、非絶縁型の赤道バンドの周囲のみの組織を選択的に切除する他の切除要素を意図している。他の高周波電極の配置も、図2に示された、選択的に絶縁された切除バルーンの実施の形態に従って使用されるのに適しているとみなされている。1つの他の例示では、金属被覆されたバルーンは、導電性のバルーン外皮を含み、ポリマー性被膜等の電気絶縁体が上記作用長の各端部上あるいは各端部下に位置決めされており、これにより非絶縁型の赤道バンドを介した電流で組織を選択的に切除することができる。バルーン外皮自体は、金、白金あるいは銀を含むが、これらに限定されない導電性金属をポリマー材料に混合して、合成の導電性基質をバルーン外皮として形成することによるなどして、金属被覆されてもよい。あるいは、個別の電極要素は、可膨張性バルーンが上述したように選択された多孔性を有する外皮内に配されている場合の実施の形態等では、バルーン外皮の外表面上に固定されてもよい。他の例では、周囲バンドの多孔性の態様は、アルコール系の媒体等の化学的切除用流体媒体が上記周囲バンドの壁内に吸収され、かつ切除用の上記バンドに係合された組織に連結される、化学的な切除要素モードに有利に適用される。
上述した高周波電極の変形例に代えて、あるいは当該変形例に加えて、上記切除バルーンによって設けられた周囲切除部材は、他の切除用エネルギー源あるいはシンクを含めてもよく、詳細には、可膨張性部材の作用長の外周部の境界を定めた伝熱体を含めてもよい。伝熱体の適切な配置例は、例えば、詳細に示した上記高周波の実施の形態に関して上述したように構成されてもよい金属性要素を含む。しかしながら、伝熱体の実施の形態では、上記のような金属性要素は、概ね、カテーテル内の閉ループ回路による抵抗加熱、あるいは伝熱体に連結された熱源による伝導加熱のいずれかの加熱方式とされる。熱源を備えた伝熱体による伝導加熱の場合には、可膨張性部材は、例えば、抵抗コイル、あるいはバイポーラ高周波電流のいずれかによって加熱された流体で膨張させられたポリマー製のバルーン外皮であってもよい。いずれの場合においても、可膨張性部材の外表面上の伝熱体がこれに隣接する組織を40℃と80℃との間の温度に加熱するように構成された場合に、当該伝熱体が適切であると考えられる。
上述したような種々の切除要素は、この発明の製造方法あるいは使用方法等、種々の他の実施の形態を、この発明の範囲内に包含されるように、さらに組み込んでもよい。
さらに、上述した絶縁体は単に部分的なものであってもよく、かつ周囲バンドに沿って連結している、相対的に絶縁された切除組織を与えるものと意図されている。例えば、高周波電極を備えた導電性バルーンの場合には、部分的な電気絶縁体は、電流の実体成分が上記領域のより低い電気抵抗に対応する“短絡”のために、非絶縁性部分を経由して流れることを可能にすることになる。他の図示された構造では、バルーン外皮(212)は、加熱された流体で膨張させられた場合に、周囲の組織に伝熱してもよく、当該加熱流体には、X線不透過性試薬、生理食塩水、乳酸リンゲル液(ringers lactate)、これらの組み合わせ、あるいは上記目的にとって許容される伝熱性を有する他の公知流体を含めることができる
図2は、X線の視覚化により、肺静脈のうち、選択された切除領域にバンドを容易に配置するために、赤道バンド(203)の配設位置を確認するためのX線不透過性マーカーとしての電極要素(220)の使用をさらに示している。電極要素(220)は、X線不透過性であり、例えば、金、白金、あるいはタングステン等のX線不透過性金属で構成されてもよく、金属充填ポリマー等のX線不透過性ポリマーを含めることができる。図2は、いわゆる当業者にとって明白なように、同軸的なカテーテル構造内に包含された内側管状部材(221)上に同軸的に位置決めされた電極要素(220)を示している。この発明は、上記X線不透過性マーカーと、この明細書において図示され、かつ記述された他の実施の形態との組み合わせを意図している。確認するために、赤道バンドを形成する周囲切除部材が金属製の電極要素を含む場合には、このような電極は、それ自体がX線不透過性であってもよく、別個のマーカーの使用を要しなくてもよい。さらに、意図された種々のデザインは、上記バンド領域に沿って正確に電極(220)を位置決めすることを要しないため、上記のような電極は、X線視覚化によって本体内に上記バンドを配設する機能を保持するために、単純なX線不透過性マーカーと置換されてもよい。
可膨張性部材は、この明細書において、概ね、加圧可能な流体供給源である膨張アクチュエータに連結された膨張可能なバルーンとして示されているが、図示された実施の形態の可膨張性部材は、種々の異なる構成を採ってもよい。上記可膨張性部材は、長尺のカテーテル本体に沿って近位方向に延在し、かつ加圧可能な流体供給源に連結するように構成された近位側の流体ポート近傍を終端とする流体経路(すべての図面において図示せず)に連通する流体チャンバーを形成している。
図2の実施の形態は、膨張したポリテトラフルオロエチレン材料等の多孔性のフッ素ポリマーから形成されたバルーンとしての可膨張性部材(210)を記述している。他の種々の材料は、この明細書において種々の実施の形態に関して記述されているように、上記バルーン、あるいは上記バルーンの部分用に適している点が正当に評価されるはずである。いくつかの使用可能なバルーン材料は以下に記述されている。これらの材料は、この技術分野における当業者に知られているように固有の孔を有してもよく、他の切れ目のないポリマー材料に孔を形成するような、いくつかの異なる方法によって孔が形成されてもよい。
1つの可膨張性部材の変形例では、上記バルーンあるいは当該バルーンの部分は、ポリエチレン(“PE”;好ましくは、低密度あるいは高密度の線状ポリマー、あるいはこれらの混合物)、ポリオレフィン・コポリマー(“POC”)、ポリエチレンテレフタラート(“PET”)、ポリイミド、あるいはナイロン材料等の相対的に非弾性ポリマーで構成されてもよい。この構造では、上記バルーンは、圧力の作用範囲に対する低い放射状の膨張性あるいは順応性を有しており、公知の経皮的なカテーテル技術によって所望の切除部位へのバルーンの導入を容易にするために、収縮時に、所定形状に折畳み可能である。この変形例では、1つのバルーンの寸法は、治療を必要とするすべての患者に対して、この発明の周囲切除方法を実施するために、すべての肺静脈の壁部に適切に係合することができない可能性がある。したがって、膨張時に特有の所定の外径を有する各バルーンの作用長部分を備えた複数の切除カテーテルのキットは、治療を担当する外科医が特定の患者の肺静脈の解剖学的形態に合う特定の装置を選択するという観点から提供されるものと、さらに意図されている。
可膨張性バルーンの他の変形例では、上記バルーンは、例えば、シリコン、ラテックス、ポリウレタンあるいはマイラー(登録商標)製エラストマー(これらに限定されない)等の相対的な順応性を有し、かつ弾性を有する材料で構成されてもよい。このような構成では、上記バルーンは、収縮され、膨張していない状態で管状部材の形態を採る。上記弾性を有する管状部材が、先述した、相対的な順応性を有しない例のような流体で加圧された場合には、上記管状部材の壁部を形成する材料は、弾性的に変形し、かつ、所定の膨張圧力に対応する所定の外径にまで径方向に膨張する。さらに、順応性を有するバルーンは、例えば、ラテックスあるいはシリコン製のバルーン外皮であって、当該外皮中に埋設される金属、ケブラー(Kevlar)(登録商標)、あるいはナイロン繊維等のファイバーを含むバルーン外皮等の複合体として、構成されてもよい。メッシュあるいは編組等の所定パターンで提供された場合における上記のようなファイバーでは、好適な軸に沿って順応性が制御されており、好ましくは、可膨張性部材の径方向へについては許容されているが、長さ方向へについては順応性が制限されている。
他の態様の中では、相対的な順応性の変更は、ただ1つあるいは数個の装置で治療されるべき広範囲の患者あるいは一人の患者体内の多様な血管を考慮に入れることができる様々な作用外径を提供できると考えられる。さらに、この外径範囲は、より高い圧力での膨張に伴って呈示され、特に、膨張したバルーンが上記血管より大きい場合に、潜在的な外傷性血管反応を減少させるものと考えられる相対的に低い圧力範囲にわたって実現可能である。さらに、このような変形例における低圧膨張の態様は、可膨張性バルーンの機能的な要求が、肺静脈の壁部の内層に沿う周囲経路に対して切除要素を単に係合するということにすぎないので、この発明に適している。
内径が1cmから2.5cmまでの範囲等の大肺静脈の口部に係合するのに非常に有利であると考えられる1つの弾性構造によれば、上記バルーンは、3気圧で少なくとも300%の膨張率、より好ましくは同じく3気圧で少なくとも400%の膨張率を呈するように構成されるのが好ましい。用語“膨張率”とは、この明細書において、加圧前のバルーンの内径値で、加圧後のバルーンの外径値を除算した数値を意味することを意図しており、ここで、加圧前のバルーンの内径値は、上記バルーンがぴんと張られた形状になるように流体で実質的に満たされた後に測定されている。換言すれば、“膨張率”とは、この明細書において、応力・歪み関係に適合する材料に帰する径の変化に関連することを意図している。肺静脈の領域における伝達ブロック処置のほとんどにおいて使用に適しているものと考えられる1つのより詳細な構成では、上記バルーンは、当該外径が、約5mm程度の径方向に収縮した状態から約2.5cm程度の径方向に膨張した状態(すなわち約500%の膨張率)へ調節されるような通常の圧力範囲内で膨張するように構成されている。
さらに、周囲切除部材は、以下にさらに展開されるように、可膨張性部材に実質的な順応性を付与することによって、少なくとも部分的に、肺静脈の口部の幾何学的形状に一致するように構成されている。この一致に関しては、図5Aにも示されており、可膨張性部材(570)の作用長Lは、近位端(571)から遠位端(573)に向けて外径が遠位方向に減少しているテーパ部を含むようにも示されている。順応性あるいは非順応性のバルーンのいずれにおいても、上記のような遠位側へ縮径しているテーパ状の幾何学的形状は、周囲伝達ブロックの形成を容易にするために、周囲切除要素を、肺静脈の口部の領域における肺静脈の漏斗状の幾何学的形状に一致させる。
バルーン以外の他の可膨張性部材も、この発明の絶縁体の態様に従えば、適切なものとされる。例えば、種々のモードの公知の可膨張性ケージは、上記開示された実施の形態によって広範囲にわたって意図されているように、切除用流体を組織に連通させるように、流体チャンバーが少なくとも部分的に、上記ケージによって、あるいは当該ケージに関連した他の方法によって囲繞される限り、この発明に十分に適した可膨張性部材とされる。
図面全体を通じて、図2および他の図に示された周囲バンド(203)は、概ね、上記作用長Lの長軸に対するバンドの機能幅wを有しており、この幅には、上記長軸に対して平行な方向の肺静脈の壁に沿う伝達に対する完全な伝達ブロックを形成するのに十分な幅であるだけを要求されている。対照的に、各可膨張性部材の作用長Lは、上記切除要素が切除される肺静脈の選択領域にしっかりと位置決めされるように、所定の位置に遠位端を確実に固定するように構成されている。したがって、バンド幅wは、可膨張性部材の作用長Lに対して相対的に狭く、これにより電極バンドは、可膨張性部材の作用長Lの2/3、あるいは、さらに1/2未満であるバンド幅を有する、相対的に狭い赤道バンドを形成してもよい。さらに、狭いバンドは、好ましくは、上記バンドが作用長Lの部分だけ、両側に広くなっている限り、可膨張性部材の赤道部分以外の部位に、配置されてもよいものと、明細書全体の各箇所において、留意されるべきである。
この発明の相対的に狭い周囲バンドの態様に関しては、これにより形成される周囲の病変部は、上記バンドの円周に比べて、相対的に狭くなる可能性があり、可膨張性部材が膨張したときに、当該可膨張性部材上の上記バンドの円周の2/3、あるいは、さらに1/2未満となる可能性がある。心臓室あるいは肺静脈内の周囲病変部を切除するのに適しているものと考えられる1つの配置例では、膨張時のバンド幅wは、1.5cmより大きい作用長上の円周が1cm未満とされる。
図2の実施の形態に関しては、さらに、エネルギーの大部分は、膨張用流体および多孔性あるいは透過性のバルーン外皮によって供給される切除用媒体を介して組織に加えられる。この発明を生体中で使用する場合には、上記組織に加えられるエネルギー効率、それゆえに切除効率は、バルーン外皮と組織との間の界面との接触および一致が少ない場合に、円周を十分に減少させることができるものと考えられる。したがって、さらに以下の他の箇所において展開されるように、例えば、同一または異なる患者のいずれかにおいて、種々の異なる肺静脈を分離するために組織の周囲領域を切除する場合に生じた様々な形状を収容するためなど、切除されるべき組織の特定の領域用に特定の形状を選択できるように、いくつかの異なるタイプのバルーンは、異なる構造の組織を切除するために提供されてもよい。
図2およびこの明細書の開示内容の全体にわたって他の適切な箇所に示された全カテーテルアセンブリの細長い本体(201)は、約1.65mm(約5フレンチ)から約3.33mm(約10フレンチ)までの範囲、および、より好ましくは、約2.31mm(約7フレンチ)から約3.00mm(約9フレンチ)までの範囲内で定められた外径を有してもよい。図2に示されているような“ガイドワイヤ追尾デザイン”では、ガイドワイヤの管腔は、好ましくは、約0.25mm(約0.010インチ)から約0.97mm(約0.038インチ)までの範囲の外径を有するガイドワイヤを摺動可能に収容するように構成されており、好ましくは、約0.46mm(約0.018インチ)から約0.89mm(約0.035インチ)までの範囲の外径を有するガイドワイヤと共に使用するように構成されている。0.89mm(0.035インチ)径のガイドワイヤが使用されるべき場合には、当該ガイドワイヤの管腔は、好ましくは、約1.02mm(約0.040インチ)から約1.07mm(約0.042インチ)までの範囲の内径を有している。膨張用の管腔は、急速な収縮時間を考慮に入れるために、約0.51mm(約0.020インチ)の内径を有することが好ましいとはいえ、膨張性管腔の内径は、使用される膨張性の媒体の粘性、当該管腔の長さ、および流体の流量および圧力に関連する他の動的ファクタに基づいて変更される可能性がある。
また、細長い本体(201)は、左心房内に導入され、これによりバルーンおよびトランスデューサを備えた遠位端部が経皮的経腔的処置、より好ましくは、この明細書の他の箇所で定められているように経中隔的な処置において肺静脈の口部内に配置されるように構成されるべきである。したがって、細長い本体(201)の遠位端部は、好ましくは可撓性であり、標的の肺静脈内に配されたガイドワイヤ上および当該ガイドワイヤに沿って追尾するように構成されている。適切であると考えられる、より詳細な構造では、上記近位端部は、上記遠位端部より、少なくとも30%硬くなるように構成されている。この関係によれば、上記遠位端部が、生体中の所望の切除領域内へ切除装置の遠位端部を送出している間に、屈曲している解剖学的構造を経由して追尾するように適切に構成されているのに対して、上記近位端部は、上記遠位端部に動力伝達(push transmission)するように適切に構成されてもよい。
上述した特定の装置の構造であるが、所望の切除領域に対して周囲切除部材を送出するための他の送出機構も意図されている。例えば、図2の変形例では、“ワイヤ外型(over−the−wire)”のカテーテル構造として示されているが、ガイドワイヤを追尾する他のデザインは、例えば、ガイドワイヤがカテーテルの遠位領域におけるカテーテルの管腔内に同軸的に収容されただけの“急速交換型”あるいは“モノレール型”の変形例として知られたカテーテル装置等の適切な置換体であってもよい。他の例では、可撓性の先端部のデザインは、所望の肺静脈を独立して選択し、かつ上記トランスデューサアセンブリを上記所望の切除部位に誘導するように構成された適切な置換体であってもよい。
上記後者の変形例に関しては、さらに、図2の変形例におけるガイドワイヤの管腔およびガイドワイヤは、カテーテルの長さ方向に沿う硬質変化移行部に沿って張力を印加することによって、カテーテルの先端部を振らせるように構成された“引張ワイヤ(pullwire)”の管腔およびこれに関連の固定された引張ワイヤと置換されてもよい。この引張ワイヤの変形例に関しては、許容される引張ワイヤは、約0.2mm(約0.008インチ)から約0.51mm(約0.020インチ)までの範囲内の外径を有してもよく、さらに、例えば約0.51mm(約0.020インチ)から約0.2mm(約0.008インチ)まで縮径するテーパー状の外径部等のテーパー部を含めてもよい。
図3Aおよび図3Bは、組織切除装置アセンブリ(300)についての追加の変形例を示しており、切除バルーン(310)は操舵可能な送出部材(302)上に有利に固定されており、上記操舵可能な送出部材(302)は、この技術分野において知られているように、例えば、歪曲可能の先端部を有する電極型カテーテルに類似してもよく、および/または電気生理学的なマッピング用の操舵可能な種々の心臓カテーテルによるものであってもよい。外側部材(301)は、外側シース(301)に備えられたバルーン(310)の透過性バンド(303)が上記操舵可能な送出部材(302)上に設けられた電極(320)の周囲に配されているように、操舵可能な送出部材(302)上に同軸的に配された状態で示されている。膨張装置(340)は、バルーン(310)によって形成された内部流体チャンバーと流体連通しており、導電性流体等の切除用媒体の加圧供給源を含む。図3Aの実施の形態においては高周波電源(330)である切除アクチュエータは、電極(320)に連結されている。さらに、マッピング/アクチュエータアセンブリの電極先端部(314)も電極リード線の先端部(313)を介して電極先端部(310)に連結された状態で示されている。図3Aおよび図3Bに示された特定の変形例に関しては、引張ワイヤ(311)の遠位端は、操舵可能な送出部材(301)の遠位端に固定された状態で示されているのに対して、引張ワイヤ(311)の近位端は、引張ワイヤ(311)に制御可能に力を付与し、これにより組織切除装置アセンブリ(300)の遠位端が振れるか、あるいは成形されて所望の捻れ方向に操舵されるように構成された振り動作アクチュエータ(314)に連結された状態で示されている。
バルーン(310)は、接着剤(305)により操舵可能な送出部材(302)の外表面(321)に固定され、これにより流体封止が与えられ、さらにバルーン(310)および操舵可能な送出部材(302)が互いに固定される関係となり、これらバルーン(310)および操舵可能な送出部材(302)が経カテーテル技術によって操作され、かつ互いに制御可能に位置決めされることになる。図3Bに示された好適な使用モードでは、組織切除装置アセンブリ(300)は、経中隔用のシース(350)を介して左心房内に送出された状態で示されており、上記アセンブリ(300)は(図3Bにおける両矢印によって示された方向に)成形され、かつ肺静脈内に位置決めされている。より詳細には、バンド(303)は、このバンド(303)を通じて電極(320)に対して切除可能に連結するために、組織の周囲領域(370)に係合され、かつ、上記バンド(303)の壁内に吸収された切除用流動媒体を介して、組織の周囲領域(370)に係合されている。
電極(320)は、この電極(320)を流体に対して、それゆえにバンド(303)およびこのバンド(303)を囲む組織に対して、電気的に連結するために、装置アセンブリ(300)の長軸を基準にして、バンド(303)に沿って正確に位置決めされる必要はない。しかしながら、電極(320)は、上記電極(320)を上記バンド(303)から更に離す方向に移動させた場合にインピーダンスが増加することを考慮すると、好ましくは、金属等のX線不透過性材料で構成されており、この図示の実施の形態は、非常に有利であると考えられる。仮に、バルーン(310)内に電極(320)が存在しないように、他の電源が設けられている場合には、図3Bに示されているように組織の周囲領域に沿うなど、所望の位置にバンド(303)をマーカーにより位置決めするために、電極(320)が図3Aに示された位置と同様の位置に、別個のX線不透過性バンドが設けられてもよい。
図4A〜図4Cの実施の形態は、操舵可能な電極型カテーテル/バルーンアセンブリ(400)を与えるものであり、このアセンブリ(400)は、操舵可能な送出部材(402)を囲む別個のシースアセンブリ内にバルーン(410)を提供する別個の外側部材(401)の内部経路の内部で移動可能に係合されている点で、図3A〜図3Cの実施の形態と異なっている。図4Aにおける区間Aは、流体で満たされた場合に膨張しない外側部材(401)の部分を示しているのに対し、図4Aにおける区間Bは、流体で満たされた場合に膨張するバルーン部分を画定している。より詳細には、外側部材(401)は、(a)遠位端が閉じられ、かつ(b)仮に導電性の流体を含む加圧流体供給源(440)から供給された流体で加圧された場合に、バルーン(410)に沿って膨張可能である点に特徴がある。経路(401´)内で操舵可能な送出部材(402)を前進させることによって、電極(420)は、バルーン(410)の膨張および電極(420)の作動が、図4Bに示されているように、バンド(403)に係合された組織の周囲領域(470)を切除するように、バンド(403)と一直線上に配列される。さらに、図3A〜図3Cと同様に、操舵可能な送出部材(402)は、この技術分野において公知の振り動作に変化をもたせることが好ましく、それゆえに、膨張および周囲切除の前、中、あるいは後に、バルーン(410)を制御可能に位置決めすることを可能にしており、図4Cには、上記振り動作が図示を目的として示されている。しかしながら、有利なことには、図4A〜図4Cの実施の形態では、外側部材(401)が、例えば、市販されている“首振り可能な先端部”を有する高周波切除カテーテル等、すべての操舵可能な市販のカテーテルに対して選択的に適合し、かつ当該市販のカテーテルを使用することを可能にしている。
バルーン(410)内においてバンド(403)を基準として電極(420)を適切に位置決めすることを加えるために、いくつかの形態の表示が、細長い本体の外側に延在している関連部材の部分上に配された可視マーカーあるいは上記アセンブリのX線誘導による位置決めを許容するX線不透過性マーカーのいずれか一方等、上記アセンブリの内外カテーテルのいずれか一方あるいは双方に配されてもよい。
図5Aおよび図5Bは、この発明の他の実施の形態における変形例を示しており、周囲切除部材(550)は径方向に順応する可膨張性部材(570)を含み、この可膨張性部材(570)は、左心房内に配されている可膨張性部材(570)を径方向に膨張した位置に調節した後に、肺静脈の口部(554)内に前進させることによって、少なくとも部分的に肺静脈の口部(554)に可膨張性部材(570)を整合させるように構成されている。図5Aは、左心房内に配されている可膨張性部材(570)を径方向に膨張した位置に調節した後の可膨張性部材(570)を示している。図5Bは、周囲バンド(552)を含む、周囲切除部材(550)の膨張した作用長Lの少なくとも一部が肺静脈の口部(554)に係合するまで、肺静脈(551)内に前進した後の可膨張性部材(570)を示している。図5Cは、肺静脈の口部(554)の領域内に周囲伝達ブロックを形成した後に、周囲切除要素を作動して形成された周囲病変部の一部(572)を示している。
肺静脈の口部に順応させることに加えて、口部(554)を囲む後部左心房壁に沿う組織の周囲経路に係合する可膨張性部材(570)が図5Bに示されている。さらに、周囲切除部材の周囲バンド(552)も心房壁の組織に係合するように構成されている。このため、図5Aおよび図5Bに関して、図5Cにも部分的に示された連続ステップとして示され、かつ記述された方法に従って形成された周囲伝達ブロックは、口部(554)を囲む心房壁の組織の周囲経路を切除することを含む。したがって、図5Aおよび図5Bに示された連続ステップ方法によれば、図5Cに示された結果的に得られた周囲病変部(572)を参照することによって、当業者にとって明白なように、口部を含む肺静脈の全体は、少なくとも左心房壁の実体部分であって、もう一つの肺静脈の口部を含む部分から電気的に絶縁されている。
図5Cに示された病変部は肺静脈を分離するが、上記肺静脈を囲むと同時に当該肺静脈内に存在する組織を切除することにとって形成されている。このような病変部は、肺静脈あるいはその口部の管腔あるいは内層に沿う組織を切除することなく、バルーンの特定の形状および/または当該バルーンに沿う切除バンドの幾何学的構造および位置に依存して、後部左心房壁に沿い、かつ肺静脈の口部を囲む領域にのみ形成される可能性があることがさらに意図されている。この実施の形態の1つの態様では、可膨張性部材の順応性については、周囲バンドが単に順応性という目的で、心房壁組織に対して配置されるように、上記口部領域に対して自動的に順応するタイプであってもよい。
他の例によれば、遠位方向に外径を縮径させた洋ナシ形状のバルーンは、“直視面”を備えてもよく、この“直視面”は、心房壁組織に対して前進して切除するように構成され、かつ上記直視面に沿って設けられた切除バンドを備えている。このような洋ナシ形状は、可膨張性部材すなわちバルーン内に向けて実施可能であり、言いかえれば当該可膨張性部材は、例えば、バルーン構造内に複合構造を使用するなどして、可膨張性部材が膨張したときに、順応性が制御されることを目的として、上記形状を形成するように構成されてもよい。いずれの場合にも、“洋ナシ”形状の変形例によれば、切除部材の周囲バンドは、例えば、図5Aおよび図5Bによって示された方法などにより、使用時には、後部左心房壁に対向するように構成されたテーパー状の表面に沿って配設されることが好ましい。
図6A〜図6Cは、肺静脈およびその口部を後部左心房壁の実体部分から電気的に絶縁するように構成された周囲切除部材アセンブリにおける上記洋ナシ状の切除バルーンを示しており、この実施の形態は、肺静脈の口部の管腔あるいは内層に沿う組織を切除することなく、肺静脈を分離するものである。
より詳細には、図6Aは、可膨張性部材(670´)に沿う幾何学的構造(主として幅)および位置を有する周囲バンド(652´)を示しており、この周囲バンド(652´)は肺静脈の口部を囲む後部左心房壁に沿う組織の周囲経路のみに係合するように構成されている。この実施の形態の1つの態様では、可膨張性部材の順応性については、周囲バンドが単に順応性という目的で、心房壁組織に対して配置されるように、上記口部領域に対して自動的に順応するタイプであってもよい。
他の変形例では、テーパー形状を含む“洋ナシ”形状の可膨張性部材すなわちバルーンは、図6Bにおいて例示を目的として示されているように、図6Aの実施の形態による使用に適している可能性がある。このような洋ナシ形状は、可膨張性部材すなわちバルーン内に向けて実施可能であり、言いかえれば当該可膨張性部材は、例えば、バルーン構造内に複合構造を使用するなどして、可膨張性部材が膨張したときに、順応性が制御されることを目的として、上記形状をなすように構成されてもよい。いずれの場合にも、“洋ナシ”形状の変形例によれば、切除部材の周囲バンド(652´)は、図6Aによって示された方法などにより、使用時には、後部左心房壁に対向するように構成されたテーパー状の表面に沿って配設されることが好ましい。切除要素は、図6Bにおいて伸張状態のバンド(652´´)の例が影で示されているように、上記テーパ部の他の部分に沿って、さらに伸張あるいは位置決めされてもよいと、さらに意図されている。したがって、図6Bに示され、伸張状態のバンド(652´´)を含む変形例は、図6A〜図6Cに示された上述の方法によるなどして、肺静脈およびその口部内の組織に沿う周囲伝達ブロックを形成するのに使用される特定の装置に係る実施の形態に適合させてもよい。
以下に図示され、かつ記述される組織切除装置システムは、1つまたはそれ以上の肺静脈が心房から延在している特定の部位に存在する組織を切除するのに有利であると考えられる。
図7Aおよび図7Bに示された組織切除装置システム(700)は、心房壁に沿って隣接する口部を構成する2つの肺静脈の分枝部(710,720)内に配された2つの周囲切除装置(730,740)を含む。各周囲切除装置(730,740)は、それぞれ周囲切除部材(732,742)を有しており、各周囲切除装置(730,740)は、それぞれ可膨張性部材(735,745)と切除用エネルギー源(737,747)を含むように示されている。各切除用エネルギー源(737,747)は、それぞれ肺静脈(710,720)の基部に存在する組織の周囲領域に切除可能に連結するように構成されており、仮に適切に位置決めされた場合には、図7Bに詳細に示されているように、隣接する肺静脈(710,720)間の組織を切除するために併用可能である。ここで、可膨張性部材(735,745)は上記肺静脈(710,720)を膨張することで、各装置(730,740)からの切離しと両肺静脈(710,720)間の組織への連結とを組み合わせることを両可膨張性部材(735,745)に支援させる。
上述したように、切除要素には、超音波トランスデューサを含めてもよい。図8Aおよび図8Bは、超音波エネルギー源を利用して組織を切除する周囲切除装置アセンブリの様々な特定の実施の形態を示している。この周囲切除装置は、周囲伝達ブロックを形成するために、肺静脈の口部内あるいは当該口部の周囲、あるいは当該肺静脈自体の内部に周囲病変部を形成することに関連した特定の設備を有している。しかしながら、この発明の切除装置の用途は、単に例示にすぎないものであり、この技術分野における当業者が上記切除装置の他の体内空間への適用に容易に適合させることができるものと理解される。
次の実施の形態に共通する要素として、音響エネルギー源は、固定機構を含む送出装置に設けられている。1つの形態では、上記固定装置は、体内に上記音響エネルギー源を位置決めする可膨張性部材を含むが、例えばバスケット機構等の他の固定装置および位置決め装置も使用されてもよい。より具体的な形態では、音響エネルギー源は、上記可膨張性部材内に配設されており、この可膨張性部材は、左心房壁に沿う肺静脈の口部の領域において肺静脈の周囲か、あるいは当該肺静脈に沿う位置のうち、いずれかに存在する組織の周囲経路に係合するように構成されている。そして次に、音響エネルギー源は、音響エネルギー作動装置により作動された場合に、周方向および長さ方向に平行化された超音波信号を発することによって、上記可膨張性部材の壁部に音響学的に連結され、これにより可膨張性部材によって係合された組織の周囲領域に音響学的に連結されている。音響エネルギー、特に超音波エネルギーの使用は、心臓を大電流に曝すことなく、心臓の内部および近傍における相対的に大きな表面を所望の加熱深さまで切除するのに十分な量のエネルギーを同時に供給できるという点で有利である。例えば、平行化超音波トランスデューサは、約1.5mm幅で、肺静脈等の管腔の径である約2.5mm径、および有効な伝達ブロックを形成するのに十分な深さを有する病変部を形成することができる。有効な伝達ブロックは、経壁であるか、あるいは実質的に経壁である組織内の病変部を形成することによって、形成可能であると考えられる。患者にも肺静脈の口部内の部位にも依存して、上記病変部は約1mmから約10mmまでの深さを有してもよい。平行化超音波トランスデューサは、肺静脈と左心房の後部壁との間に有効な伝達ブロックを形成するように、上記パラメータを有する病変部を与えるためにエネルギー供給されることが可能であると確認されている。
図8A〜図8Dに図示された実施の形態に具体的に関連して、周囲切除装置アセンブリ(800)は、近位端部(810)および遠位端部(812)を備えた長尺のカテーテル本体(802)と、この長尺のカテーテル本体(802)の遠位端部(812)に沿って配設された可膨張性バルーン(820)と、この可膨張性バルーン(820)に音響学的に連結された周囲切除部材を構成する周囲超音波トランスデューサ(830)とを含む。より詳細には、図8A〜図8Cは、ガイドワイヤ用管腔(804)と、膨張用管腔(806)と、電気リード線用管腔(808)とを含む長尺のカテーテル本体(802)を示している。しかしながら、上記周囲切除装置アセンブリ(800)は、ワイヤ外型の装置ではなく、自己操舵型の装置とされている。
上記各管腔は、近位側ポート(図示せず)と、遠位側ポートとの間に延在しており、これらの遠位側ポートは、ガイドワイヤ用管腔(804)については遠位側ガイドワイヤポート(805)として、膨張用管腔(806)については遠位側膨張ポート(807)として、および電気リード線用管腔(808)については遠位側リード線ポート(809)として示されている。ガイドワイヤ用管腔(804)、膨張用管腔(806)および電気リード線用管腔(808)は概ね並列関係に配されているが、上記長尺のカテーテル本体(802)は、同軸的な関係、あるいはこの技術分野における当業者にとって簡単明瞭な種々の広範囲な形状で配された1つまたはそれ以上の管腔で構成することができる。
さらに、上記長尺のカテーテル本体(802)は、遠位側膨張ポート(807)および遠位側リード線ポート(809)を越え、可膨張性バルーン(820)によって形成された内部チャンバーを経由し、長尺のカテーテル本体(802)の終端をなす遠位側先端部に位置する可膨張性バルーン(820)を越えるまで、遠位側へ延在する内側部材(803)を含むように、図8Aおよび図8Cに示されている。内側部材(803)は、遠位側膨張ポート(807)および遠位側リード線ポート(809)を越えて、ガイドワイヤ用管腔(804)の遠位領域を構成しており、以下にさらに詳述されるように、円筒状の超音波トランスデューサ(830)および可膨張性バルーン(820)の遠位側頚部を支持する支持部材を与えるものである。
左心房に対する経中隔的な切除処置への使用に適しているものと考えられる上記長尺のカテーテル本体(802)の部品に関する更なる詳細な構造は、次に記述される。長尺のカテーテル本体(802)自体は、約1.65mm(約5フレンチ)から約3.3mm(約10フレンチ)までの範囲内、より好ましくは、約2.31mm(約7フレンチ)から約3.0(約9フレンチ)までの範囲内で定められた外径を有してもよい。ガイドワイヤ用管腔(804)は、好ましくは約0.25mm(約0.010インチ)から約0.97mm(約0.038インチ)までの範囲の外径、より好ましくは約0.46mm(約0.018インチ)から約0.89mm(約0.035インチ)までの範囲の外径を有するガイドワイヤを摺動可能に収容するように構成されている。0.89mm(0.035インチ)の外径を有するガイドワイヤが使用される場合には、ガイドワイヤ用管腔(804)は、約1.02mm(約0.040インチ)から約1.07mm(約0.042インチ)までの範囲の内径を有することが好ましい。さらに、膨張用管腔(806)は、急速な収縮時間を考慮に入れるために、約0.51mm(約0.020インチ)の内径を有することが好ましいとはいえ、膨張性管腔(806)の内径は、使用される膨張性の媒体の粘性、当該管腔の長さ、および流体の流量および圧力に関連する他の動的ファクタに基づいて変更される可能性がある。
上記超音波トランスデューサアセンブリに必要な管腔および支持部材を設けることに加えて、この実施の形態における長尺のカテーテル本体(802)は、上記可膨張性バルーン(820)および周囲超音波トランスデューサ(830)を備えた遠位端部(812)が経皮経管処置、より好ましくは経中隔的処置において、肺静脈の口部内に配されるように、左心房内に導入されるように構成されなければならない。したがって、遠位端部(812)は、好ましくは可撓性を有し、かつ標的となる肺静脈内に配されたガイドワイヤをその全体にわたって、かつ当該ガイドワイヤに沿って追尾するように構成されている。適切なものと考えられる他のより具体的な構造では、近位端部(810)は、上記遠位端部(812)より、少なくとも30%硬くなるように構成されている。この関係によれば、上記遠位端部(812)が、生体中の所望の切除領域内へ切除装置の遠位端部を送出している間に、屈曲している解剖学的構造を経由して追尾するように適切に構成されているのに対して、上記近位端部(810)は、上記遠位端部(812)に動力伝達するように適切に構成されてもよい。
上述した特定の装置の構造であるが、所望の切除領域に対して超音波切除部材を送出するための他の送出機構も意図されている。例えば、図8Aの変形例では、“ワイヤ外型”のカテーテル構造として示されているが、ガイドワイヤを追尾する他のデザインは、例えば、ガイドワイヤがカテーテルの遠位領域におけるカテーテルの管腔内に同軸的に収容されただけの“急速交換型”あるいは“モノレール型”の変形例として知られたカテーテル装置等の適切な置換体であってもよい。他の例では、可撓性の先端部のデザインは、所望の肺静脈を独立して選択し、かつ上記トランスデューサアセンブリを上記所望の切除部位に誘導するように構成された適切な置換体であってもよい。上記後者の変形例に関しては、図8Aの変形例におけるガイドワイヤの管腔およびガイドワイヤは、カテーテルの長さ方向に沿う硬質変化移行部に沿って張力を印加することによって、カテーテルの先端部を振らせるように構成された“引張ワイヤ”の管腔およびこれに関連の固定された引張ワイヤと置換されてもよい。この引張ワイヤの変形例に関しては、許容される引張ワイヤは、約0.2mm(約0.008インチ)から約0.51mm(約0.020インチ)までの範囲内の外径を有してもよく、さらに、例えば約0.51mm(約0.020インチ)から約0.2mm(約0.008インチ)まで縮径するテーパー状の外径部等のテーパー部を含めてもよい。
図8Aから図8Cまでにおいて、より詳細に示された可膨張性バルーン(820)に関しては、中央領域(822)は、内側部材(803)に対して概ね同軸的に配されており、当該中央領域(822)の両頚部領域において近位側調節部(824)および遠位側調節部(826)によって縁取りされている。この近位側調節部(824)は、長尺のカテーテル本体(802)のうち、遠位側膨張ポート(807)および遠位側リード線ポート(809)の近位側を覆って封止し、遠位側調節部(826)は、内側部材(803)を覆って封止している。この配置例によれば、可膨張性バルーン(820)内には流体密閉型の内部チャンバーが形成される。この内部チャンバーは、膨張用管腔(806)を介して加圧流体供給源(図示せず)と流体連通している。膨張用管腔(806)に加えて、電気リード線用管腔(808)も、可膨張性バルーン(820)の内部チャンバーと連通して、これにより、上記内部チャンバー内かつ内側部材(803)上に位置決めされた超音波トランスデューサ(830)は、以下にさらに詳述されるように、超音波駆動源あるいはアクチュエータに電気的に連結されてもよい。
上述したように、可膨張性バルーン(820)は、公知の種々の材料から構成されてもよいとはいえ、当該可膨張性バルーン(820)は肺静脈の口部の輪郭に一致するように構成されることが好ましい。このような目的では、バルーン材料は、非常に広範囲な順応性を有することができ、これにより当該材料は圧力を印加されたときに、引き延ばされ、かつ完全に膨張したときに体内管腔あるいは体内空間の形状を呈するようになる。バルーン用に適切な材料は、例えば、シリコン、ラテックスあるいは低デュロメータのポリウレタン(例えば、約80Aのデュロメータ硬さ)等のエラストマーを含むが、これらに限定されるものではない。
非常に順応性の高い材料でバルーンを構成することに加えて、あるいは当該構成に代えて、バルーン(820)は、当該バルーン(820)が膨張した状態で、体内管腔の解剖学的構造に概ね一致するような、完全に膨張した場合の所定の形状(すなわち、既定形状)を有するように形成可能である。例えば、上述したように、上記バルーンは、肺静脈の口部の形状に概ね一致するような、遠位側へ勾配を有するテーパー形状を有することができ、および/または、上記肺静脈の口部に隣接する心房の後部壁の移行領域に概ね一致するような球状の近位端を含めることができる。この方法では、肺静脈あるいは当該肺静脈の口部の不規則的な幾何学的形状内への所望の配置は、順応性のある材料で構成したバルーンの変形例と順応性のない材料で構成したバルーンの双方で、実現可能である。
上記変形例は上述したように許容されるものであるが、バルーン(820)は、3気圧で少なくとも300%の膨張率、より好ましくは同じく3気圧で少なくとも400%の膨張率を呈するように構成されるのが好ましい。用語“膨張率”とは、この明細書において、加圧前のバルーンの内径値で、加圧後のバルーンの外径値を除算した数値を意味することを意図しており、ここで、加圧前のバルーンの内径値は、上記バルーンがぴんと張られた形状になるように流体で実質的に満たされた後に測定されている。換言すれば、“膨張率”とは、この明細書において、応力・歪み関係に適合する材料に帰する径の変化に関連することを意図している。肺静脈の領域における伝達ブロック処置のほとんどにおいて使用に適しているものと考えられるもう1つの詳細な構成では、上記バルーンは、当該外径が、約5mm程度の径方向に収縮した状態から約2.5cm程度の径方向に膨張した状態(すなわち約500%の膨張率)へ調節されるような通常の圧力範囲内で膨張するように構成されている。
図8A〜図8Dに示された切除部材は、環状の超音波トランスデューサ(830)の形態を採っている。図示された実施の形態では、環状の超音波トランスデューサ(830)は、中空の内部空間を有する一体型の円筒形状(すなわち、管状の形状)を有しているが、当該超音波トランスデューサ(830)は、概ね環状の形状を有することができ、かつ複数のセグメントから形成可能である。例えば、上記超音波トランスデューサ(830)は、全体で環状の形状を構成する複数の管状セクターによって形成可能である。これらの管状セクターは、これらの管状セクターが結合したときに、セクターアセンブリが“クローバーの葉”の形状を構成するのに十分な円弧長さを有することができる。この“クローバーの葉”の形状は、隣接する要素間の加熱領域において重複部分を与えるものと考えられる。また、上記超音波トランスデューサ(830)の概ね環状の形状は、多角形(例えば、六角形)に配された複数の平坦なトランスデューサセグメントによって形成可能である。さらに、図示された実施の形態では、上記超音波トランスデューサ(830)は単一のトランスデューサ要素を構成しているが、このトランスデューサは、以下に詳述されるように、複数の要素の配列から形成可能である。
図8Dに詳細に示されているように、円筒状の超音波トランスデューサ(830)は、同心の3つの管状層を有する管状壁部(831)を含む。中心層(832)は、圧電性セラミックあるいは圧電性結晶材料から構成された管状部材である。トランスデューサは、好ましくは、高出力特性を確保するPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)−4、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)−5あるいはPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)−8、水晶あるいはニオブ酸リチウムタイプ(Lithium-Niobate)の圧電性セラミック材料から形成される。これらのタイプのトランスデューサ材料は、米国コネチカット州イースト・ハートフォールドのステーブリセンサーズ(Stavely Sensors)社あるいは米国マサチューセッツ州ホプキントンのバルペイ・フィッシャー(Valpey−Fischer)社から市販されている。
外側管状部材(833)および内側管状部材(834)(以下、電極ともいう)は、これらの同軸的な空間内において上記中心層(832)を囲繞すると共に、導電性材料から構成されている。図示された実施の形態では、これらトランスデューサ用電極(833,834)は、金属被膜を含み、より好ましくは、ニッケル、銅、銀、金、白金あるいはこれらの合金からなる被膜を含む。
この出願に使用される円筒状の超音波トランスデューサに関する更なる詳細な構造は、次に記述される。超音波トランスデューサ(830)あるいはトランスデューサアセンブリ(例えば、複数のトランスデューサ要素の配列)の長さは、所定の臨床上の応用例に応じて選択されることが望ましい。心臓あるいは肺静脈の壁組織内に周囲伝達ブロックを形成することに関連して、上記トランスデューサの長さは、約2mmから約10mmを越えるまでの範囲内に含まれ、好ましくは約5mmから約10mmまでの範囲に等しい。したがって、所定の大きさに形成されたトランスデューサは、過度に組織を切除することなく、形成された伝達ブロックの完全性を確保するのに十分な幅を有する病変部を形成するものと考えられる。しかしながら、他の応用例では、トランスデューサの長さを非常に長くすることができる。
同様に、上記トランスデユーサの外径は、特定の体内空間内への適切な配置および位置決めのため、および所望の切除効果を達成するための特定のアクセス経路(例えば、経皮的および経中隔的な経路)を介して送出することを考慮して選択されることが望ましい。肺静脈の口部内あるいはその近傍への所定の応用例では、上記超音波トランスデューサ(830)は、約1.8mmから約2.5mmまでの範囲内の外径を有することが好ましい。約2mmの外径を有するトランスデューサが、約2mmまでの外径を有するバルーンの外側によって係合された組織を切除するのに十分であると考えられる、1cm当たり20ワット以上の放射体に匹敵するレベルの音響出力を心筋組織あるいは血管組織内において発生することが確認されている。他の体内空間への応用例に関しては、トランスデューサアプリケータ(830)は、約1mmから3〜4mmを越えるまでの範囲内の外径(例えば、一部の体内空間内への応用例では1cmから2cmまでの範囲に大きくなる)を有してもよい。
上記超音波トランスデューサ(830)の中心層(832)は、所望の動作周波数を生成するために選択された厚さを有している。この動作周波数は、勿論、許容できる切除部分の外径寸法および加熱深さ等の臨床上の必要性ばかりでなく、送出経路および標的部位の寸法によって制限されるようなトランスデューサの寸法に依存して、変更されるはずである。以下に詳述されるように、図示された実施の形態における超音波トランスデューサ(830)は、約5MHzから約20MHzまでの範囲内、より好ましくは約7MHzから約10MHzまでの範囲内で操作されることが好ましい。したがって、例えば、上記トランスデューサは、約7MHzの動作周波数については約0.3mmの厚さ(すなわち、上記所望の動作周波数に関連した波長の1/2に概ね等しい厚さ)を有することができる。
上記超音波トランスデューサ(830)は、当該厚さの壁を越えて振動して、平行化した音響エネルギーを径方向に向けて放射する。このような目的では、図8Aおよび図8Dに最も良く示されているように、電気リード線(836,837)の遠位端は、例えば、当該リード線を上記金属被膜にハンダ付けあるいは抵抗溶接によるなどして、外側管状部材(833)および内側管状部材(834)すなわち電極(833、834)に電気的に連結されている。図示された実施の形態では、電気リード線は、4〜8ミル(0.004インチから0.008インチまで)の外径を有する銀線あるいはこの同等物である。
上記電気リード線(836,837)の近位端は、超音波駆動装置すなわち、図8Dに模式的に示されているアクチュエータ(840)に連結するように構成されている。図8A〜図8Dは、電気リード線用管腔(808)内の独立した配線としての電気リード線(836,837)をさらに示しており、これらの電気リード線は互いに接触した場合に適切に絶縁されるべき構成となっている。したがって、電気リード線(836,837)に関する他の構成も意図されている。例えば、同軸ケーブルは、インダクタンス干渉に関して適切に絶縁された両リード線に対して1つのケーブルを与えることができる。あるいは、上記リード線は、長尺のカテーテル本体(802)によって分離された異なる管腔を経由してカテーテル本体(802)の遠位端部(812)に向けて連絡されてもよい。
また、上記超音波トランスデューサ(830)は、図8Eに示されているように、超音波トランスデューサ(830)の長軸Lに平行な線に沿って、外側トランスデューサ用電極(833)および中心層(832)の部分に刻み目を入れることによってセクターに分けることができる。独立した電気リード線は、上記セクターを専用の出力制御に結びつけるために各セクターに接続し、かつ、トランスデューサの対応セクターを個別に励起する。各セクターに対する駆動力および動作周波数を制御することによって、駆動源あるいはアクチュエータ(840)は、超音波トランスデューサ(830)周囲の超音波ビームの均一性を向上させることができるばかりでなく、環状の範囲内での加熱の程度(すなわち、病変部の制御)を変更することができる。
上述した超音波トランスデューサ(830)は、次の実施の形態による切除装置アセンブリ全体と組み合わせられる。アセンブリの状態では、上記超音波トランスデューサ(830)は、この技術分野において公知なように、より大きなエネルギーを生成し、かつエネルギーの分散均一性を向上させる“空気支持型(air−backed)”であることが望ましい。換言すれば、内側部材(803)は、内側管状部材(834)の内表面に対して明らかに接触しない。この理由は、交流電流が電源から供給され、電気リード線(836,837)を経由して、圧電性結晶材料で構成された外側管状部材(833)および内側管状部材(834)を越えて印加される場合に、超音波トランスデューサ(830)の中心層(832)を構成する圧電性結晶材料が径方向に接触し、かつ膨張(あるいは径方向に“振動”)するように構成されているからである。この制御された振動は、この実施の形態によれば、組織を切除し、かつ周囲伝達ブロックを形成するように構成された超音波エネルギーを発する。したがって、上記圧電性結晶材料で構成された表面に沿って明らかなレベルで接触することが上記圧電性結晶材料の振動を減少させることになる減衰効果を与え、これにより超音波の伝達効率を制限する可能性があると考えられる。
このような目的では、上記超音波トランスデューサ(830)は、内側部材(803)に対して同軸的に配置され、内側部材(803)とトランスデューサの内側管状部材(834)との間の間隙を与える方法で、内側部材(803)の周囲に支持されている。すなわち、上記内側管状部材(834)は、上記内側部材(803)を緩く収容する内孔(835)を構成している。様々な構造のいずれもが、上記内側部材(803)の周囲に上記超音波トランスデューサ(830)を支持するために使用可能である。例えば、スペーザーあるいはスプラインは、上記内側部材(803)の周囲に上記超音波トランスデューサ(830)を同軸的に位置決めするのに使用可能である一方、これらの部品間には概ね環状の空間を残すことになる。1つの変形例では、トランスデューサを支持するための従来、公知の他の取り組みも使用可能である。例えば、上記内側部材(803)の境界を定め、かつ上記内側部材(803)と上記超音波トランスデューサ(830)との間に配置されるOリングは、「超音波装置を有するカテーテル」という名称で、1997年3月4日付けでカステラーノ(Catellano)に発行された米国特許第5,606,974号に示された方法と同様の方法で、上記超音波トランスデューサ(830)を支持することができる。記述された他のトランスデューサ支持構造の詳細な例は、「腫瘍の温熱療法用の方法および装置」という名称で、1997年4月15日付けでデートリッヒ(Diederich)に発行された米国特許第5,620,479号に開示されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体に組み込まれる。
図示された実施の形態では、少なくとも1つの離間領域(838)は、上記超音波トランスデューサ(830)が上記内側部材(803)から径方向に離間して、空気および/または流体で満たされた間隙を形成することを確保するために、上記内側部材(803)の周囲に設けられている。図8Cに示された1つの好適な形態では、離間領域(838)は、周方向に間隔をおいて配された外側スプライン(839)を有する管状部材であり、これらの外側スプライン(839)は、当該スプライン間に存在する離間領域(839)の表面から離れている上記超音波トランスデューサ(830)の内表面の大半を保持するものであり、これにより、カテーテルへの上記超音波トランスデューサ(830)の連結後の減衰効果を最少にすることができる。図8Cの実施の形態によるなどして、内側部材を構成する他の管状部材上に同軸的に離間部を設ける変形例において、図8Cに示された離間領域(838)のような離間部を構成する管状部材は、上記超音波トランスデューサ(830)の領域内のガイドワイヤ用管腔としての内孔を与えることもできる。
他の形態では、長尺のカテーテル本体(802)は、ガイドワイヤ用管腔(804)に対して並列あるいは同軸的のいずれかの形態で配置され、かつ上記内側部材(803)と上記超音波トランスデューサ(830)との間の空間内に配設されたポートを終端とする追加の管腔を含めることもできる。冷却媒体は、上記追加の管腔を経由して上記内側部材(803)と上記超音波トランスデューサ(830)との間の離間領域(838)によって画定された空間を通じて循環することができる。例示を目的として、5リットル/分の流速で循環される炭酸ガスは、上記超音波トランスデューサ(830)をより低い操作温度に維持するのに適切な冷却媒体として使用可能である。このような熱冷却は、トランスデューサ材料を劣化させることなく、より多くの音響出力が標的組織に伝達できるものと考えられる。
上記超音波トランスデューサ(830)は、バルーン(820)の内部から電気的に絶縁され、かつ機械的に分離されることが望ましい。再度、カステラーノ(Catellano)に発行された米国特許第5,606,974号およびデートリッヒ(Diederich)に発行された米国特許第5,620,479号に開示されているように、種々の被膜、シース、密封材、チューブ材およびこれらの同等物のいずれかは、上記目的に適切なものとされる。図示された実施の形態では、図8Cに最も良く図示されているように、従来の可撓性および音響学的な適合性を呈する医療レベルのエポキシ樹脂部(842)は、上記超音波トランスデューサ(830)上に塗布されて形成されている。このエポキシ樹脂部(842)は、例えば、エポキシテクノロジー(Epoxy Technology)社から市販されているエポテック(Epotek)301、エポテック(Epotek)310、あるいはトラコン(Tracon)FDA−8とされる。さらに、例えば、ゼネラルエレクトリック(General Electric)製のシリコンIIガスケット用粘着性封止材等の従来の封止材は、内側部材(803)、電気リード線(836,837)および離間領域(838)の露出部分の周囲に存在する超音波トランスデューサ(830)の近位端および遠位端に塗布され、これらの塗布部位であって上記超音波トランスデューサ(830)と上記内側部材(803)との間の空間を封止する。
壁厚が極めて薄く、熱収縮性を有するポリエステルチューブ(844)あるいはこの同等物は、エポキシ被覆したトランスデューサを封止する。これに代えて、エポキシ被覆トランスデューサ(830)と、離間領域(838)に沿う内側部材(803)は、テフロン(Teflon:登録商標:ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリウレタン、シラスティックあるいはこれらの同等物等の材料から形成された、薄く硬い壁部を有するゴムあるいはプラスチックチューブ内に挿入可能である。上記チューブは、0.013mm(0.0005インチ)から0.076mm(0.003インチ)までの厚さを有することが望ましい。
上記切除装置アセンブリを組みたてる場合には、上記チューブがエポキシ被覆トランスデューサ(830)上に配置された後に、当該チューブ内に追加のエポキシ樹脂が吹き付けられる。上記チューブが収縮するときに、過剰のエポキシ樹脂は流出し、エポキシ薄層が上記エポキシ被覆トランスデューサ(830)と熱収縮したチューブ(844)との間に残留する。上記層状の構造体(842,844)は、上記エポキシ被覆トランスデューサ(830)の表面を保護し、当該エポキシ被覆トランスデューサ(830)を負荷に対して音響学的に整合させるのを支援し、上記切除装置アセンブリをより強固な構造とし、空気支持構造の気密保全性を確保するものである。
図面を簡素化するために図8Aには図示されていないが、チューブ(844)は、上記トランスデューサ(830)の両端部を越えて延在し、当該トランスデューサ(830)の片側上で内側部材(803)の一部を囲繞している。充填材(図示せず)も、チューブ(844)の両端部を支持するために使用可能である。適切な充填材は、エポキシ樹脂、テフロン(Teflon:登録商標:ポリテトラフルオロエチレン)テープおよびこの同等物等の可撓性材料を含むが、これらに限定されるものではない。
上記超音波アクチュエータ(840)は、上記トランスデューサ(830)を駆動する交流電流を発生する。この超音波アクチュエータ(840)は、約5MHzから約20MHzまでの範囲内の周波数で、および、図示した応用例では約7MHzから約10MHzまでの好適な範囲内の周波数でトランスデューサ(830)を駆動する。さらに、上記超音波駆動装置は、生成された超音波平行ビームを円滑かつ一元化するために、駆動周波数の調整および/または出力の変更を行うことができる。例えば、超音波アクチュエータ(840)のエネルギー発生器としての機能は、6.8MHzから7.2MHzまでの範囲内の周波数で、これらの周波数の間を連続的にあるいは不連続的に掃引することによって、超音波トランスデューサ(830)を駆動することができる。
この実施の形態の超音波トランスデューサ(830)は、肺静脈が心房から延在している部位に周囲伝達ブロックを形成する方法で、次のように、バルーン(820)の外皮に音響的に連結している。まず、上記超音波トランスデューサ(830)は、この長軸Lを基準した当該超音波トランスデューサ(830)の長さ方向に沿って高度に平行化された周方向パターンでエネルギーを発するものと考えられる。したがって、周囲バンドは、その幅と、上記超音波トランスデューサ(830)における超音波供給源から離れた外径部の相当範囲にわたって形成される周方向パターンを維持する。また、上記バルーン(820)は、例えば脱気された水等、相対的に超音波を透過する流体で膨張されることが好ましい。したがって、上記バルーン(820)が膨張されている間に、超音波トランスデューサ(830)を駆動することによって、エネルギーの周囲バンドは、膨張用媒体を通じて平行移動し、かつ、最終的には、バルーン(820)の境界を定めるバルーン外皮の周囲バンドに音響的に連結することが可能となる。さらに、バルーン外皮材の周囲バンドは、例えば、仮に当該バルーンが肺静脈の壁部、口部あるいは心房壁領域内で膨張しかつ係合している場合など、上記バルーンに外接する組織の周囲経路に沿ってさらに係合されてもよい。したがって、上記バルーンが相対的に超音波を透過する材料で構成されている場合には、超音波エネルギーの周囲バンドは、バルーン外皮を通過し、かつ上記組織の周囲経路が切除されるように係合された組織の周囲経路内に入ることが可能となる。
上述したトランスデューサとバルーンとの関係に関しては、さらに、上記超音波エネルギーは、膨張用流体およびバルーン外皮を介して広く上記組織に連絡される。この発明を生体中で使用する場合には、組織へのエネルギーの連絡効率すなわち切除効率は、バルーン外皮と組織との界面への接触不良および当該界面との整合不足が存在している状況において、著しく減少する可能性がある。したがって、数種の異なるタイプのバルーンは、切除されるべき組織の特定の領域に応じて特定の形状が選択されるように、異なる構造の組織を切除することが定められてもよいと意図されている。
図8Aに示されたバルーンとトランスデューサとの特定の組み合わせでは、上記超音波トランスデューサ(830)は、上記平行化された超音波信号と同様の長さdを有するバルーン外皮の超音波的に連結されたバンドがバルーンの作用長Dより短くなるような長さを有することが好ましい。この関係の態様によれば、上記トランスデューサ(830)は、上記バルーンに連結され、当該バルーンの周囲バンドに沿って切除要素を構成し、これにより上記バルーンの境界を定める周囲切除要素バンドを形成することができる、周囲切除部材として構成されている。上記トランスデューサ(830)は、好ましくは、上記バルーンの作用長の2/3未満の長さ、より好ましくは上記バルーンの作用長の1/2未満の長さを有している。バルーン(820)の作用長Dより短い長さdを有し、これによりバルーン(820)と体内空間(例えば、肺静脈の口部)の壁部との間に存在する係合領域の長手方向の長さより短い長さdを有する超音波トランスデューサを所定の大きさに形成し、上記バルーンの作用長D内の中心に上記トランスデューサ(830)を位置決めすることによって、上記トランスデューサ(830)は、血液溜まりから分離された場で操作することができる。この配置例によるトランスデューサの配設は、病変部、特に左心房の病変部に生じる可能性がある血栓形成を防止することができるものと考えられる。
上記において詳細に記述された種々のレベルでの超音波トランスデューサは、伝達ブロックを切除するための所望の部位に上記エネルギー源を位置決めするのに適切なX線不透過度を与えることが確認されている。しかしながら、長尺のカテーテル本体(802)は、X線の視覚化により、肺静脈のうち、選択された切除領域に上記超音波トランスデューサ(830)を容易に配置するために、超音波トランスデューサ(830)の配設位置を確認するためのX線不透過性マーカーあるいは複数のX線不透過性マーカー(図示せず)を含めることができるものとさらに意図されている。上記X線不透過性マーカーは、X線に対して不透過であり、例えば、金、白金、あるいはタングステン等のX線不透過性金属で構成可能であり、あるいは金属充填ポリマー等のX線不透過性ポリマーを含めることができる。上記X線不透過性マーカーは、管状の内側部材(803)にわたって同軸的に位置決めされている。
この発明による周囲切除装置は、左心房の肺静脈内に導入される。一旦、上記周囲切除装置が肺静脈あるいは静脈口部内に適切に位置決めされると、加圧流体供給源は、肺静脈の口部の管腔表面に係合させるために、バルーン(820)を膨張する。一旦、適切に位置決めされると、超音波駆動源(840)は、励磁されて超音波トランスデューサ(830)を駆動する。7MHzの動作周波数で20音響ワットで超音波トランスデューサ(830)を駆動することによって、所定の大きさに形成された病変部は、相対的に短い時間(例えば、1分〜2分以下)で、肺静脈の口部の周囲に周方向に形成可能であると考えられる。また、制御されたレベルのエネルギーが送出された後に、肺静脈内において、超音波カテーテルの先端部領域に設けられた電極からの刺激、あるいは超音波カテーテルを介するガイドワイヤ等の別個の装置上の刺激のいずれかによる試験刺激により病変部が形成されるか否かが試験されることになるものと意図されている。したがって、上記処置には、遅れずに第1のエネルギーでの切除するステップと、結果として得られた病変部によって与えられた伝達ブロックが有効であるか否かが試験されるステップと、その後に、完全な伝達ブロックが形成されるまで、切除および試験を続行するステップとを含めてもよい。変形例では、例えば、仮に熱電対がバルーンの外表面に沿って形成された周囲要素に設けられる場合には、周囲切除装置には、フィードバック制御部を含めてもよい。この部位における温度をモニターすることは、病変部の経過に関する表示を与えるものである。このフィードバックの態様は、上述した複数ステップによる処置に加えて、あるいはこれに代えて、使用されてもよい。
図9A〜図9Cは、上述したこの発明の超音波トランスデューサとバルーンとの関係を図示することを目的として、この発明の種々の変形的な実施の形態を示している。より詳細には、図9Aは、作用長Dを備え、かつ近位端(824)と遠位端(826)との間の相対的に一定の外径Xを備えた“直線的”な形状を有するバルーン(820)を示している。図9Aに示されているように、この変形例は、肺静脈の壁部に外接しかつ横断する組織の周囲経路に沿って周囲伝達ブロックを形成するのに使用されるように、特別に構成されるものと考えられる。しかしながら、バルーンが高度の伸展性および順応性を有する材料で構成されない限り、この形状は、組織の所望の周囲バンドとバルーン(820)の作用長に沿うバルーン外皮の周囲バンドとが接触する間隙を設けてもよい。
図9Aにおけるバルーン(820)は、長尺のカテーテル本体(802)の長軸を基準にして同心的に位置決めされている。しかしながら、バルーン(820)は、長尺のカテーテル本体(802)上に非対称的に位置決め可能であり、かつ切除装置が1つの以上のバルーンを含めることができるものと理解される。
図9Bは、この発明による他の切除装置アセンブリを示しているが、このアセンブリは、近位側の外径X1から、この外径X1より小さい遠位側の外径X2まで縮径したテーパー状の外径を有するバルーン(820)を含む。(実施の形態間に概ね共通する要素を特定するために、同様の符号は各実施の形態において使用されている。)この形態によれば、このテーパー形状は、テーパー状の他の空間領域に十分に順応するものと考えられ、肺静脈の口部に沿う組織の周囲経路に係合しかつ当該経路を切除する際に使用される場合に特に有利なものとなる可能性がある。
図9Cの実施の形態がバルーン(820)および球状の近位端(846)をさらに含むことを除き、図9Cは、図9Bを参照することによって図示された形状と同様の形状を有するバルーンを示している。図示された実施の形態では、中心領域(822)の球状の近位端(846)は、バルーン(820)に“洋ナシ”形状を与える。より詳細には、外形表面(848)は、バルーン(820)の作用長Lのテーパー状部分に沿いかつ近位側の肩部(824)と遠位側の小肩部(826)との間に位置決めされている。図9Cの図面によって示唆されているように、この洋ナシ形状の実施の形態は、肺静脈の口部を囲繞し、あるいは含む心房壁組織の周囲経路に沿う周囲伝達ブロックを形成するのに有利であると考えられる。例えば、図9Cに示された装置は、図9Dに示された周囲病変部(850)と同様の病変部を形成するように構成されるものと考えられる。周囲病変部(850)は、各肺静脈(852)を左心房の壁部の実体部分から電気的に絶縁する。図9Cに示された装置は、例えば、図示された病変部(850)の近位縁部と、このような長尺の病変部(850)の遠位縁部を模式的に示す破線部(856)との間に存在する肺静脈の口部(854)の実体部分に沿って延在する長尺の病変部を形成するように構成されるものと考えられる。
上述したように、トランスデューサ(830)は、直列的かつ同軸的に配された複数のトランスデューサ要素からなる配列で構成可能である。また、このトランスデューサは、複数の長尺のセクターを有するように構成可能である。上記トランスデューサの上記形態は、図9Bおよび図9Cに図示されたバルーンのテーパー状デザインに関連して特定の有用性を有している。これらの場合には、上記トランスデューサと標的組織との間における、上記トランスデューサの長さ方向に沿う異なる距離のために、上記トランスデューサが一定の電力で駆動された場合に加熱深さが不均一となるものと考えられる。トランスデューサアセンブリの長さ方向に沿う上記標的組織を均一に加熱するためには、電力が水中の供給源(すなわちトランスデューサ)からの半径の逆数(1/半径)だけ減衰することから、近位端における電力は、遠位端における電力よりも大きくする必要がある。さらに、上記トランスデューサ(830)が減衰させる流体中で動作されている場合には、所望の電力レベルには、上記流体によって生じる減衰量を考慮に入れる必要がある。上記遠位端近傍のバルーンの小径領域は、上記近位端近傍のバルーンの大径領域より、トランスデューサ電力出力を小さくする必要がある、このような前提に立つと、より具体的な実施の形態では、個別に電力供給されるトランスデューサ要素あるいはセクターは、テーパー勾配を有するように印加される超音波出力を生成しかつ提供することができる。すなわち、近位側のトランスデューサ要素あるいはセクターは、上記トランスデューサが標的部位に対して曲げられた場合に、加熱の均一性を向上させるように、遠位側のトランスデューサ要素あるいはセクターよりも高い電力レベルで駆動可能である。
また、周囲切除装置(800)には、加熱深さを制御するための追加の機構を含めることができる。例えば、長尺のカテーテル本体(802)には、閉鎖系を経由する膨張性流体を循環させるように、上記カテーテル本体(802)上に配された追加の管腔を含めることができる。熱交換器は、上記膨張性流体から熱を除去することができると共に、上記閉鎖系を経由する流体の流速は、膨張性流体の温度を調節するために制御可能である。したがって、バルーン(820)内の冷却された膨張性流体は、標的組織からの熱の一部を放出すると共に、上記組織を所望の温度(例えば、90℃)以下に維持し、これにより加熱深さを増大させる放熱器としての役割を果たすことができる。すなわち、バルーンと組織との界面における組織温度を所望の温度以下に維持することによって、より大きな電力をより深い組織中に印加することができる。逆に、流体は温められる。この態様の使用および膨張性流体の温度は、所定の応用例あるいは患者に応じて切除の程度を合わせるために、処置間で、並びに特定の処置中においても、変更可能である。
加熱深さは、特定の吸収特性を有する膨張性材料を選択することによっても制御可能である。例えば、水よりも吸収性が高い膨張性材料を選択することによって、より少ないエネルギーをバルーン壁に到達させることになり、これにより上記組織への熱的な貫入を制限することができる。次の流体:植物性油、シリコン油およびこれらの同等物は、上記応用例に適している可能性があると考えられる。
また、加熱の均一性については、バルーン内でトランスデューサを回転させることによって向上させることができる。このような目的では、トランスデューサ(830)は、長尺のカテーテル本体(802)によって構成された管腔内に移動可能に係合されたトルク回転可能な部材上に設けられてもよい。
上述した実施の形態は、心房性細動の治療において、肺静脈が左心房から延在している領域に沿う組織を切除するために特別に構成されたカテーテルアセンブリに特に有用であると考えられる。したがって、この発明のアセンブリおよび方法は、肺静脈が心房から延在している部位における周囲切除を取り扱う次の米国特許文献:「周囲切除装置アセンブリ(CIRCUMFERENTIAL ABLATION DEVICE ASSEMBLY)」という名称で、2000年2月15日付けでミカエル・ディー・レッシュ(Michael D. Lesh)らに発行された米国特許第6,024,740号;「肺静脈内の周囲伝達ブロックを形成するための装置および方法(DEVICE AND METHOD FOR FORMING A CIRCUMFERENTIAL CONDUCTION BLOCK IN A PULMONARY VEIN)」という名称で、2000年1月11日付けでミカエル・ディー・レッシュ(Michael D. Lesh)に発行された米国特許第6,012,457号;「周囲切除装置アセンブリ(CIRCUMFERENTIAL ABLATION DEVICE ASSEMBLY)」という名称で、2000年9月12日付けでクリス・ジェイ・デートリッヒ(Chris J.Diederich)らに発行された米国特許第6,117,101号;「肺静脈の口部を心房壁から電気的に絶縁するための組織切除装置アセンブリおよび方法(TISSUE ABLATION DEVICE ASSEMBLY AND METHOD FOR ELECTRICALLY ISOLATING A PULMONARY VEIN OSTIUM FROM AN ATRIAL WALL)」という名称で、2003年11月25日付けでマグアイア(Maguire)らに発行された米国特許第6,652,515号;および「周囲切除装置アセンブリおよび可膨張性部材に沿う切除周囲バンドの使用方法および製造方法(CIRCUMFERENTIAL ABLATION DEVICE ASSEMBLY AND METHODS OF USE AND MANUFACTURE PROVIDING AN ABLATIVE CICUMFERENTIAL BAND ALONG AN EXPANDABLE MEMBER)」という名称で、2002年12月31日付けでマグアイア(Maguire)らに発行された米国特許第6,500,174号に図示されかつ記述された種々の特定の態様および実施の形態と組み合わせて、あるいは当該開示内容に対する適切な変形例に使用されることも意図されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。“ワイヤ外型”の送出モードの使用がこの明細書に図示されかつ記述されている場合には、上述した振り動作可能にして操舵可能なモード等の他の送出モードも使用可能であると意図されている。
肺静脈の各口部については、組織の肉厚の折返し部が存在することが確認されており、当該肉厚の折返し部は、心房から口部を越えて、より高い順応性を有しかつ当該口部に隣接する静脈内へ延在する作用長を有する可膨張性部材の膨張に対して固有の抵抗性を呈するものと考えられる。したがって、この発明による1つの実施の形態では、くびれ形状を有する可膨張性バルーンをさらに意図しており、上記くびれ形状は、上記バルーンを、肉厚で、順応性が不足している口部に配置し、その箇所に切除アセンブリの周囲切除バンドを位置決めするのを支援する。このような実施の形態は、図10に示されており、切除装置アセンブリ(1000)は、上記作用長のうち、相対的に大きな幅を有する端部(1020,1024)間に相対的に狭い幅を有するくびれ部(1023)を備えたバルーンである可膨張性部材(1022)を有する周囲切除部材(1010)を有するものとして示されている。図示されているように、上記バルーンの作用長のうち、遠位側の端部(1024)は、静脈壁部と共に膨張すると共に、上記バルーンの作用長のうち、近位側の端部(1020)は、上記口部が心房化する程度の相対的に大きな外径まで膨張する。しかしながら、縮径したくびれ部(1023)は、上記切除アセンブリが、可膨張性部材(1020)を介して、肉厚の口部に沿う組織の周囲領域に対して切除可能に連結されるように適切に位置決めされた切除要素(1030)と共に肉厚の口部に配置可能である。
種々の特定の材料構成は、図10に記述されたようなバルーンに、さらに特定の切除要素/可膨張性部材の構造に使用可能であり、かつ肺静脈の口部の切除に関する“ピーナッツ状”すなわちくびれ形状のバルーンにより更に有利となる。特に、材料構成に関しては、実質的に順応性あるいは弾性を有するバルーン材料か、あるいは実質的に非順応性あるいは非弾性を有する種々のバルーン材料のいずれかが使用可能である。これに代えて、この明細書において記述されたような作用長に沿う、弾性/順応性領域と非弾性/非順応性領域とを組み合わせたバルーン構成は適切である可能性がある。
バルーン形状は、同時に固定並びに局所的な切除を行うバルーン特性を向上させることができる1つのファクタである。この発明の他の実施の形態では、異なる外径を有する近位側および遠位側の球状部を備えたダンベル形状のバルーンも使用可能である。図11A〜図11Eは、この発明の1つの実施の形態による、異なる外径を有する近位側および遠位側の球状部を備えたダンベル形状のバルーンの種々の図面を示している。
図11Aを参照すると、ダンベル形状のバルーン(1100)は、長軸方向の中間部(1115)によって分離された2つの球状部、すなわち近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)からなる一体の構成部品から構成されている。遠位側球状部(1110)は、標的の血管内のバルーン(1100)(したがって、切除装置)を固定し、当該部位に対する切除を容易にするものである。近位側球状部(1105)は、上記部位の組織を切除するための切除要素を適切に位置決めするのに使用される。この発明の好適な実施の形態では、近位側球状部(1105)は、上記切除要素を収容するのにも使用可能である。中間部(1115)は、切除されるべき体内空間の解剖学的構造に基づいて、上記2つの球状部(1105,1110)を最も有利に分離するような寸法で形成されている。例えば、心房室あるいは肺静脈の口部内あるいはその周囲の組織を切除する場合には、遠位側球状部(1110)は、肺静脈内の装置を固定するのに対して、近位側球状部(1105)は、肺静脈の口部あるいは心房後壁の組織を切除する切除要素を配置する。したがって、遠位側球状部(1110)は、肺静脈および口部の心房性の解剖学的構造を反映する近位側球状部(1105)より小さな外径を有するようにデザインされている。
上述したように、種々の順応性、非順応性、あるいは、半順応性を呈する材料は上記バルーン構造に使用可能である。これに代えて、順応性、非順応性、あるいは、半順応性を呈する材料の種々の組み合わせも適している可能性がある。上記切除が心房室および/または肺静脈の口部内に行われる場合には、好適なバルーンは、シリコンから構成され、かつ、ディップ成形法(dip molding)あるいは液体射出成形法(LIM)を利用する一体型ユニットとして形成されるはずである。しかしながら、この材料は、この発明の範囲を限定することを意味するものではなく、ポリウレタン等の半順応性材料、あるいはナイロン等の非順応性材料などの他の適切な材料も個別にあるいはこれらを組み合わせて使用可能である。当業者によって理解されている他の材料も使用可能である。
上記切除装置が肺静脈、肺静脈の口部あるいは心房室の後壁内の組織を切除するのに使用される場合には、遠位側球状部(1110)は、肺静脈内に固定するような寸法で形成されている。1つの実施の形態では、遠位側球状部(1110)は、0.431cm(0.170インチ)から0.508cm(0.200インチ)までの間の膨張前の外径を有しており、0.292cm(0.115インチ)から0.317cm(0.125インチ)までの間の作用長(l)は、3気圧で少なくとも300%の膨張率で膨張したときに、上記バルーン(1100)を固定するために許容できることが確認されている。意図された膨張圧力および最終的な外径が球状部の最初の壁厚を既定する点が留意されるべきである。最も好ましい場合には、膨張前で、0.457cm(0.180インチ)±0.005cm(0.002インチ)の外径を有し、かつ0.307cm(0.121インチ)±0.008cm(0.003インチ)の作用長(l)を有する遠位側球状部(1110)が許容されるものであると確認されている。
心房への切除中に、上記切除要素を含む近位側球状部(1105)は、好ましくは、肺静脈と心房との界面に配置され、最も好ましい場合には、肺静脈の口部に配置される。この配置は、上記切除要素が、上記口部内の組織あるいは心房後壁に沿う口部に位置する組織を切除することを可能にする。上記切除要素を適切に配置するためには、0.635cm(0.250インチ)から0.762cm(0.300インチ)までの間の膨張前の外径を有し、かつ0.508cm(0.200インチ)から0.762cm(0.300インチ)までの間の作用長(l)を有する近位側球状部(1105)が許容されるものであると確認されている。最も好ましい場合には、膨張前で、0.673cm(0.265インチ)±0.005cm(0.002インチ)の外径を有し、かつ0.673cm(0.265インチ)±0.005cm(0.002インチ)の作用長(l)を有する近位側球状部(1105)が許容されるものであると確認されている。
配置および固定を容易にするためには、近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)をそれぞれ順に膨張させることが望ましい場合がある。例えば、近位側球状部(1105)を完全に膨張させ、かつ上記切除要素を配置しようとする前に、遠位側球状部(1110)を膨張させることによって肺静脈内に上記切除要素を固定することが望ましい場合がある。このような構成は、上述したように、それぞれ個別に設けられ、個別の膨張用管腔および膨張性媒体供給源を有する、近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)を有することによって達成される。好適な実施の形態では、近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)は、図11Aに示されたチャンバーと同一の1つの膨張用管腔および膨張性媒体供給源を有するチャンバーの部分である。1つのチャンバーを構成する近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)を順に膨張させることは、例えば、異なる壁厚を有する球状部を設けることによって達成可能である。
図11Bおよび図11Cは、異なる壁厚を有する球状部を示している近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)をそれぞれ示す断面図である。これら図面に示されているように、遠位側球状部(1110)は、壁厚(t´)を有する近位側球状部(1105)より薄い壁厚(t)を有するようにデザインされている。この壁厚の差は、近位側球状部(1105)が実質的に膨張する前に、遠位側球状部(1110)の膨張を促進するのに十分である。上記バルーンがシリコンで構成され、かつ心房に対する切除に使用される好適な実施の形態では、0.051cm(0.020インチ)から0.0762cm(0.030インチ)までの間の膨張前の壁厚(t´)を有し、好ましくは、0.064cm(0.025インチ)±0.008cm(0.003インチ)を有する近位側球状部(1105)が許容されるものであると確認されている。同様に、0.025cm(0.010インチ)から0.051cm(0.020インチ)までの間の膨張前の壁厚(t)を有し、好ましくは、0.038cm(0.015インチ)±0.008cm(0.003インチ)を有する遠位側球状部(1110)が許容されるものであると確認されている。
壁厚(t)をより薄くすることで、遠位側球状部(1110)が、膨張中に、径方向への低い抵抗性を呈することになる。したがって、上記バルーン(1100)が膨張性流体で満たされた場合に、遠位側球状部(1110)は膨張し始め、近位側球状部(1105)よりも速く膨張する。遠位側球状部(1110)が適切な位置で膨張しかつ固定されたときに、膨張性流体が増加すると、より厚い壁厚(t´)を有する近位側球状部(1105)は膨張を開始することが可能となる。
上述したように、中間部(1115)は、切除されるべき体内空間の解剖学的構造に基づいて、上記球状部(1105,1110)を最も有利に分離するような寸法で形成されている。肺静脈と心房との界面に位置する組織を切除するのに使用されるシリコン製のバルーン(1100)に関しては、0.254cm(0.100インチ)から0.508cm(0.200インチ)までの間の膨張前の作用長を有し、好ましくは0.305cm(0.120インチ)から0.381cm(0.150インチ)までの間の作用長を有する中間部が許容されるものであると確認されている。膨張に対して必要とされる硬さおよび径方向への抵抗性を与えるためには、上記中間部(1115)は、0.051cm(0.020インチ)から0.127cm(0.050インチ)までの間の壁厚(t´´)を有し、好ましくは0.071cm(0.028インチ)±0.010cm(0.004インチ)の壁厚(t´´)を有してもよい。この中間部(1115)は、図11Cに断面図で示されている。
壁厚(t´)、壁厚(t)および壁厚(t´´)を有する膨張前の近位側球状部(1105)、遠位側球状部(1110)および中間部(1115)を示す寸法は、バルーン(1100)が送出部材上で折畳まれ、あるいはひだを付けられる前において、特定の大きさの要素を呈するものと理解されるべきである。
また、近位側球状部(1105)および遠位側球状部(1110)は、材料を変えることによって、順に膨張させることができる。例示を目的として、遠位側固定部すなわち遠位側球状部(1110)は、シリコン等の順応性を呈する材料から構成されてもよいが、これに対して、近位側球状部(1105)は、ポリウレタン等、適合性を有するが僅かに低い順応性あるいは半順応性を呈する材料で構成されている。これら材料の説明は例示であり、当業者は、順応性、半順応性および/または非順応性を呈する材料との組み合わせも使用可能であると理解するはずである。一体チャンバー型のバルーン(1100)が膨張したときに、遠位側球状部(1110)は、膨張性媒体によって引き起こされた圧力に応じて、順応性の低い近位側球状部(1105)よりも速く膨張する。
種々の装置アセンブリの製造方法および使用方法に加えて、この明細書において開示され、切除周囲バンドを備えた切除バルーンを有する種々の装置アセンブリは、詳細に記述された多孔性電極タイプの切除要素モード以外のモードにも適用可能であるとみなされる。例えば、伝熱材料から構成されたバンドは、加熱切除要素を構成するために、バルーン構造の中間領域に沿って、多孔性材料に代えて使用されてもよく、このような態様は、例えば、作用長の遠位部分に沿う部分のみを弾性材料で構成し、かつ、縮径したくびれ部および/またはテーパー部を有する各可膨張性部材に応じた形状を有する上記アセンブリ等に関して開示された種々の実施の形態に有用であると考えられる。さらに、これらの実施の形態によるバルーンの中間領域と遠位部分との間で変更された構造は、例えば、超音波伝導特性に基づいて、あるいはこの明細書に記述される他の目的のために、上記部分間で材料を変更することによって、超音波切除部材にも適用可能である。
また、この発明の組織切除装置アセンブリには、フィードバック制御部を含めてもよい。例えば、1つまたはそれ以上の温度センサ(例えば、熱電対、サーミスタ等)は、例えば、多孔性の周囲バンドの外側あるいは内側のいずれかの上など、上記周囲切除装置アセンブリに設けられてもよい。上記部位における温度をモニターすることは、病変部の経過に関する表示を与えるものである。熱電対の数は、切除されるべき組織の周囲の大きさによって決定されてもよい。仮に温度センサが多孔性膜の内側に配されている場合には、フィードバック制御部は、上記多孔性膜を通過する際に生じるいかなる温度勾配をも考慮に入れる必要がある。さらに、上記多孔性膜の外側に配されたセンサは、信号リード線を、信号処理ユニットの異なる入力部に再接続することによって電位図の信号を記録するのに使用されてもよい。このような信号は、切除の前後の両方において、標的組織をマッピングするのに有用となる。
1つの実施の形態では、温度センサは、周囲バンドに沿う上記膜の外側に位置決めされた熱電対を含む。この部位では、熱電対は、この熱電対が組織と電極との界面に直接、接触できるバンドの外側上に配されている。また、熱電対は、滑らかなプロファイル(輪郭)を呈するように、切除バルーンの外表面内に融合されてもよい。接着剤あるいは溶融したポリマーチューブのいずれかによって形成される可能性がある移行領域は、切除部材の表面が多孔性膜の外表面から熱電対の表面へ段差がある場合に、当該切除部材の表面を“平らにする”。信号線は、概ね、熱電対から、周囲組織切除尾装置アセンブリの近位端上の電気コネクタへ延在している。上記信号線は遮蔽されてもよい。熱電対の配線は、割り当てられ、あるいは共有された管腔内に長さ方向に配されたカテーテルシャフトに沿って延在してもよく、あるいは上記配線は、長尺のカテーテル本体に沿って延在する編組み構造を構成することができる。また、上記配線は、上記長尺のカテーテル本体に平行に延在し、かつ当該本体に採り付けられた1つまたはそれ以上のチューブ内の近位側に引き回されてもよい。また、上記配線は、周囲バンドに沿う壁内に縫い込まれてもよい。これらの態様は、熱電対の配線を、組織切除装置アセンブリの近位端へ引き回す種々の方法における少数の変更例を示している。
切除の経過を検知し、かつモニター用のセンサおよびシステムを位置決めするための機構を含む他のフィードバックセンサおよびこれに関連したアセンブリは、この開示された実施の形態との組み合わせも、特に意図されている。
さらに、この発明による周囲切除装置アセンブリは、低侵襲性“迷路”タイプの処置などにおいて、直線状の長い病変部の形成に補助的に寄与する周囲伝達ブロックを形成するために、他の直線状の切除アセンブリおよび方法、並びに種々の関連部品あるいは組立ステップあるいは方法と組み合わせて使用可能である。直線状の病変部の形成に関連したアセンブリおよび方法の例は、次の米国特許:ミカエル・レッシュ、M.D.(Michael Lesh M.D.)によって1997年5月9日に出願され、「組織切除装置および使用方法(TISSUE ABLATION DEVICE AND METHOD OF USE)」という名称で、1999年10月26日に発行された米国特許第5,971,983号;「組織切除装置および直線状の長い病変部の形成方法(TISSUE ABLATION SYSTEM AND METHOD FOR FORMING LONG LINEAR LESION)」という名称で、ラングバーグ(Langberge)らに2003年3月4日に発行された米国特許第6,527,769号;アラン・シェアラー(Alan Schaer)らによって1998年5月6日に出願され、「流体洗浄した電極を有する組織切除装置(TISSUE ABLATION DEVICE WITH FLUID IRRIGATED ELECTRODE)」という名称で、2003年2月18日に発行された米国特許第6,522,930号に図示され、かつ記述された実施の形態と組み合わせることも意図されている。なお、これらの文献の開示内容は、この明細書において、参照されることによって、全体が組み込まれる。
この明細書に詳細に記述されていない上記実施の形態についての他の追加的な変更例あるいは修正例は、この発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってなされる可能性がある。例えば、この明細書に図示され、かつ記述された詳細な実施の形態についての明白な変更例あるいは修正例であって、例えば、上記詳細な実施の形態についての態様中の種々のコンビネーションあるいはサブコンビネーションを含む変更例あるいは修正例は、この明細書中の開示内容に基づいて当業者によってなされる可能性があり、この発明の範囲内に留まるものである。
〔実施の態様〕
以下、この発明の実施の態様を説明する。
(1)肺静脈が心房から延在する体内空間内の組織の周囲領域を切除するための切除装置アセンブリにおいて、
近位端部、遠位端部、および長軸を備えた細長い本体と、
前記遠位端部に沿って配設された接触部材であって、周囲壁を有しており、径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する単一チャンバーを含み、前記接触部材が膨張した状態にあるときに、前記第1の球状部は、前記第2の球状部より小さい外径を有している、接触部材と、
前記遠位端部に沿って配設された切除エネルギー源を有する切除要素であって、前記接触部材と協働して、前記切除エネルギー源が前記周囲壁を通して周方向パターンのエネルギーを発する、切除要素と、
を含む、アセンブリ。
(2)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記接触部材は、可膨張性のバルーンを含み、前記周囲壁は、前記バルーンの外皮を含み、前記切除エネルギー源は、前記バルーンの前記外皮を通して、前記組織の周囲領域内に向けて、前記周方向パターンでエネルギーを発するように構成されている、アセンブリ。
(3)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、熱式の切除要素を含む、アセンブリ。
(4)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、超音波式の切除要素を含む、アセンブリ。
(5)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、マイクロ波式の切除要素を含む、アセンブリ。
(6)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、低温式の切除要素を含む、アセンブリ。
(7)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、流体送出要素を含む、アセンブリ。
(8)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記切除要素は、発光式の切除要素を含む、アセンブリ。
(9)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記接触部材は、前記径方向に膨張した状態にあるときに、第1端部と、第2端部と、前記長軸に対して前記第1端部と前記第2端部との間に延在し、かつ切除用媒体源に連結するように構成されたチャンバーを少なくとも部分的に囲む中間領域とを含み、
前記中間領域は、前記組織の周囲領域の実体部分に係合するように構成された膨張時の外径を有し、
前記チャンバー内の多量の切除用媒体を、前記中間領域によって係合された前記組織の周囲領域の前記実体部分に切除可能に連結させることができるように、前記中間領域は十分に透過性であり、
前記チャンバー内の多量の切除用媒体が、前記第1端部および第2端部を通って、直接、組織に切除可能に連結することを防止するように、前記第1端部および前記第2端部は不透過性である、
アセンブリ。
(10)実施態様9記載のアセンブリにおいて、
前記中間領域は、当該中間領域を通して形成された複数の孔を有する材料を含み、これにより前記多量の切除用媒体は主として前記孔を通じて、前記組織の周囲領域の実体部分に切除可能に連結するように構成されている、アセンブリ。
(11)実施態様9記載のアセンブリにおいて、
前記中間領域は、固有の空隙容量を有する多孔性の材料を含み、これにより前記多量の切除用媒体は、主として前記孔を通じて、前記組織の周囲領域の実体部分に切除可能に連結するように構成されている、アセンブリ。
(12)実施態様9記載のアセンブリにおいて、
前記中間領域は、多孔性のフッ素ポリマー材料を含む、アセンブリ。
(13)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記細長い本体の前記遠位端部に沿うガイドワイヤ追尾部材をさらに含み、該ガイドワイヤ追尾部材は、前記体内空間内に位置決めされたガイドワイヤにスライド可能に係合し、かつ該ガイドワイヤの全体にわたって追尾するように構成されている、アセンブリ。
(14)実施態様13記載のアセンブリにおいて、
前記ガイドワイヤ追尾部材は、前記近位端部に沿って配設された近位側のガイドワイヤポートと、前記遠位端部に沿って配設された遠位側のガイドワイヤポートとの間を前記細長い本体に沿って延在するガイドワイヤ経路をさらに含む、アセンブリ。
(15)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記接触部材は、成形されたバルーンをさらに含み、当該バルーンは、前記チャンバーを形成するバルーン外皮を含み、かつ、前記径方向に収縮した状態から前記径方向に膨張した状態へ膨張するように、膨張用媒体により膨張可能である、アセンブリ。
(16)実施態様15記載のアセンブリにおいて、
前記バルーンは、ポリウレタン、シリコン、マイラー製ポリエステルフィルム、ラテックス、これらの組み合わせ、およびこれらの混合物からなる材料群で構成されている、アセンブリ。
(17)実施態様15記載のアセンブリにおいて、
前記バルーンは、膨張前の少なくともほぼ400%の弾性膨張率を呈するものである、アセンブリ。
(18)実施態様15記載のアセンブリにおいて、
前記バルーンは、前記径方向に収縮した状態において、2.3mm(0.091インチ)から0.396mm(0.156インチ)までのプロファイルを有しており、前記膨張時の外径は、1.0cmから2.5cmまでである、アセンブリ。
(19)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記長尺の本体は、近位側ポートと遠位側ポートとの間で延在する流体経路をさらに含み、前記近位側ポートは、前記近位端部に沿って配設され、かつ、加圧可能な流体供給源に連結するように構成されており、前記遠位側ポートは、前記遠位端部に沿って配設され、当該遠位側ポートを通して前記流体経路は、前記接触部材に流体を通流可能に連結している、アセンブリ。
(20)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記可膨張性部材を前記径方向に収縮した状態から前記径方向に膨張した状態へ膨張させるように構成された膨張アクチュエータをさらに含む、アセンブリ。
(21)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記第1の球状部の壁厚は、前記第2の球状部の壁厚よりも薄い、アセンブリ。
(22)実施態様1記載のアセンブリにおいて、
前記接触部材は、前記第1の球状部が前記第2の球状部により適合するように構成されている、アセンブリ。
(23)肺静脈が心房から延在する部位における組織の周囲領域を切除するための組織切除装置アセンブリにおいて、
前記組織の周囲領域に切除可能に連結するように構成された切除要素を有する周囲切除部材であって、第1の状態から第2の状態へ調節可能であり、長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する単一チャンバーを含み、前記周囲切除部材が第2の状態にあるときに、第1の球状部は、第2の球状部より小さい外径を有している、周囲切除部材と、
近位端部と遠位端部とを有する操舵可能な送出部材であって、前記遠位端部は前記近位端部を回転させることによって、湾曲可能かつ操舵可能となり、これにより前記遠位端部が前記部位に沿って位置決め可能となる、操舵可能な送出部材と、
を含み、
前記周囲切除部材は、当該周囲切除部材が前記第1の状態にあるときに、前記操舵可能な送出部材の前記遠位端部に連結し、かつ、前記操舵可能な送出部材によって前記部位へ送出されるように構成されている、
アセンブリ。
(24)切除装置に使用される可膨張性部材において、
長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する単一チャンバーを含み、かつ径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、当該径方向に膨張した状態において、前記第1の球状部は、前記第2の球状部より小さい外径を有している、可膨張性部材。
(25)切除装置に使用される可膨張性部材において、
長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する単一チャンバーを含み、かつ径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、当該径方向に収縮した状態において、前記第1の球状部は、前記第2の球状部より薄い壁厚を有している、可膨張性部材。
(26)切除装置に使用される可膨張性部材において、
長軸方向の中間部によって分離された第1および第2の球状部を有する単一チャンバーを含み、かつ膨張用媒体の導入により径方向に収縮した状態から径方向に膨張した状態へ膨張可能であり、前記膨張用媒体が前記可膨張性部材内に導入されたときに、前記可膨張性部材は、前記第2の球状部の膨張前に、前記第1の球状部が膨張し始めるように構成されている、可膨張性部材。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
この発明による異なるタイプの周方向パターンを示す斜視図である。
絶縁され、かつ切除用でない2つの端部間に配された周囲切除バンドと共に作用長を有する“ワイヤ外型(over−the−wire)”のカテーテルの遠位端に固定されたバルーン型の切除部材を有する周囲切除装置の1つのタイプを長さ方向に切断して示す断面図である。
可動な送出部材の遠位端部に固定されたバルーン型の切除部材を示す以外は、図2に示されている部材と同様のバルーン型の切除部材を有する他の周囲切除装置を長さ方向に切断して示す断面図および斜視図である。
可動な送出部材の遠位端部に固定されたバルーン型の切除部材を示す以外は、図2に示されている部材と同様のバルーン型の切除部材を有する他の周囲切除装置を長さ方向に切断して示す断面図および斜視図である。
可動な送出部材がバルーン型の切除部材内に移動可能に配されるように、上記可動な送出部材の周りに配されたバルーン型の切除部材を示す以外は、図3Aおよび図3Bに示された装置と同様の周囲切除装置を示す断面図である。
可動な送出部材がバルーン型の切除部材内に移動可能に配されるように、上記可動な送出部材の周りに配されたバルーン型の切除部材を示す以外は、図3Aおよび図3Bに示された装置と同様の周囲切除装置を示す断面図である。
可動な送出部材がバルーン型の切除部材内に移動可能に配されるように、上記可動な送出部材の周りに配されたバルーン型の切除部材を示す以外は、図3Aおよび図3Bに示された装置と同様の周囲切除装置を示す断面図である。
この発明の他のモードに従って、肺静脈が心房へ延在する部位に沿う組織の周囲領域を切除する周囲切除装置についての種々の使用モードを示す断面図である。
この発明の他のモードに従って、肺静脈が心房へ延在する部位に沿う組織の周囲領域を切除する周囲切除装置についての種々の使用モードを示す断面図である。
図5Aおよび図5Bに示されたモードによるなどして、周囲切除装置によって形成されるような肺静脈内の周囲伝達ブロックを示す断面図である。
心房壁部に沿いかつ肺静脈の口部を囲繞する組織の周囲領域を切除するために、この発明による他の周囲切除装置についての1つの使用モードを示す断面図である。
図5Aに示された切除装置に従って使用される周囲切除部材を示し、かつバルーンのテーパー部に沿う“遠位側を向く”面に沿って少なくとも部分的に配置された周囲切除バンドと共に“洋ナシ”形状のバルーンを示す斜視図である。
図5Aおよび図5Bに示された方法および装置に従って形成され、左心房の後部壁に沿いかつ肺静脈の口部を囲繞する周囲伝達ブロックを切断して示す斜視図である。
2つの隣接した肺静脈が分岐し、それぞれ心房壁から延在する2つの部位における組織の2つの周囲領域を切除するための二重切除バルーンシステムの連続的な使用モードを示す断面図である。
2つの隣接した肺静脈が分岐し、それぞれ心房壁から延在する2つの部位における組織の2つの周囲領域を切除するための二重切除バルーンシステムの連続的な使用モードを示す断面図である。
径方向に膨張した状態で示された可膨張性バルーン内に内側部材に沿って位置決めされた円筒状の一体型超音波トランスデューサを有する切除要素と共に他の周囲切除用カテーテルを長さ方向に切断して示す断面図である。
図8Aに示された周囲切除用カテーテルを図8Aに示された8B−8B線に沿って切断して示す断面図である。
図8Aに示された周囲切除用カテーテルを図8Aに示された8C−8C線に沿って切断して示す断面図である。
図8Aに示された分離状態の超音波トランスデューサを示す斜視図である。
図8Dに示され、独立駆動セクターを有する超音波トランスデューサの修正例を示す斜視図である。
図8Aに示されたカテーテルと同様の周囲切除用カテーテルを示し、かつ、肺静脈が心房から左心房壁(断面が影で示された)に沿って肺静脈の口部の領域内に延在する部位において周囲伝達ブロックを形成する際の1つの使用モード時の周囲切除用カテーテルの遠位端を示す斜視図である。
バルーンがテーパー状の外径を有する、他の周囲切除用カテーテルを示しているが、図9Aに示された周囲切除用カテーテルおよび肺静脈の口部と同様の周囲切除用カテーテルおよび肺静脈の口部の断面部分を影で示す斜視図である。
バルーンが肺静脈の口部内に配置されるように構成されたテーパーに沿って形成された表面を有する“洋ナシ”形状の外径部を有する、他の周囲切除用カテーテルを示しているが、図9Aおよび図9Bに示された周囲切除用カテーテルおよび肺静脈の口部と同様の周囲切除用カテーテルおよび肺静脈の口部を示す斜視図である。
図9Cに示された周囲切除用カテーテルと同様の周囲切除用カテーテルの使用によって形成される可能性がある1つの周囲伝達ブロックを示す断面図である。
この発明による組織切除装置および処置に従う他の形状の可膨張性部材を示す断面図である。
この発明による組織切除装置および処置に従う、さらに付加されたバーベル形状の可膨張性部材を示す断面図である。
この発明による組織切除装置および処置に従う、さらに付加されたバーベル形状の可膨張性部材を示す断面図である。
この発明による組織切除装置および処置に従う、さらに付加されたバーベル形状の可膨張性部材を示す断面図である。
この発明による組織切除装置および処置に従う、さらに付加されたバーベル形状の可膨張性部材を示す断面図である。