JP7033191B2 - 窒化アルミニウム粒子 - Google Patents
窒化アルミニウム粒子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7033191B2 JP7033191B2 JP2020507260A JP2020507260A JP7033191B2 JP 7033191 B2 JP7033191 B2 JP 7033191B2 JP 2020507260 A JP2020507260 A JP 2020507260A JP 2020507260 A JP2020507260 A JP 2020507260A JP 7033191 B2 JP7033191 B2 JP 7033191B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum nitride
- nitride particles
- sintered body
- holes
- particles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B21/00—Nitrogen; Compounds thereof
- C01B21/06—Binary compounds of nitrogen with metals, with silicon, or with boron, or with carbon, i.e. nitrides; Compounds of nitrogen with more than one metal, silicon or boron
- C01B21/072—Binary compounds of nitrogen with metals, with silicon, or with boron, or with carbon, i.e. nitrides; Compounds of nitrogen with more than one metal, silicon or boron with aluminium
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Ceramic Products (AREA)
Description
Al2O3+3C+N2→2AlN+3CO・・(1)
酸化アルミニウムを含む原料は、原料中に酸化アルミニウムを含んでいればよく、他の物質を含まない酸化アルミニウム単体(不可避不純物を除く)であってもよいし、原料中に他の物質を含んでいてもよい。例えば、酸化アルミニウムを含む原料は、原料中に、70質量%以上の酸化アルミニウムを含んでいてよく、80質量%以上の酸化アルミニウムを含んでいてよく、90質量%以上の酸化アルミニウムを含んでいてよく、95質量%以上の酸化アルミニウムを含んでいてもよい。また、酸化アルミニウムの結晶構造は、α型、γ型,θ型,η型,κ型,χ型等であってよく、特に、α型,γ型であってよい。特に、酸化アルミニウムとしてαアルミナ,γアルミナ,ベーマイト等を用いることにより、良好な反応性が得られる。以下、「酸化アルミニウムを含む原料」を、単に酸化アルミニウム原料と称する。
酸化アルミニウム原料の形状は、板状であってよく、高アスペクト比を有していてよい。アスペクト比は、3以上であってよく、5以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよく、30以上であってよく、50以上であってよく、70以上であってよく、100以上であってよく、120以上であってもよい。目的とする窒化アルミニウム粒子の用途にも依るが、高アスペクト比(アスペクト比3以上)の酸化アルミニウム原料を用いることにより、高アスペクト比の窒化アルミニウム粒子が得られる。板状で高アスペクト比の窒化アルミニウム粒子は、ドクターブレード等を利用することによって配向させることができ、結晶軸方向(結晶方位)の制御が必要な製品(例えば、透明度の高い窒化アルミニウム焼結体)の原料として好適に使用することができる。
炭素源は、酸化アルミニウムの還元剤として用いられる。炭素源は、窒化アルミニウム粒子を合成する(酸化アルミニウムを加熱する)環境で、酸化アルミニウム原料と接触し得るものであればよい。例えば、炭素源は、酸化アルミニウム原料に混合される固体であってよい。あるいは、炭素源は、窒化アルミニウム粒子を合成する環境内(合成雰囲気内)に供給される炭化物ガスであってよい。あるいは、炭素源は、酸化アルミニウム原料を収容する容器、その容器内に配置される治具等、合成雰囲気内で酸化アルミニウム原料に接触するカーボン製の部品であってもよい。
窒素源として、窒素ガス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスを用いることができる。アンモニアガスは、安価であり、取扱いが容易なため、窒素源として特に有用である。また、窒素源としてアンモニアガスを用いることにより、反応性が向上し、窒化アルミニウム粒子の製造時間を短縮することができる。
窒化温度(保持温度)は、1450℃以上1900℃以下であってよい。窒化温度は、1450℃以上であってよく、1500℃以上であってよく、1600℃以上であってもよい。窒化温度を1450℃以上にすることにより、製造時間の長期化、及び、未反応の酸化アルミニウムの残存を防止することができる。さらに、窒化温度を1450℃以上にすることにより、結晶方位の不整合を防止することもできる。また、エネルギーコストを抑制するという観点より、窒化温度は、1800℃以下であってよく、1700℃以下であってもよい。なお、窒化温度が1800℃を超えると、窒化アルミニウム粒子の内部で焼結が起こり、孔が塞がる現象が起こり得る。なお、窒化時間(保持時間)は、未反応の酸化アルミニウムの残存を防止するという観点より、3時間以上であってよく、5時間以上であってよく、8時間以上であってもよい。また、窒化時間は、工業的な観点より、20時間以下であってよく、15時間以下であってよく、10時間以下であってもよい。
窒化アルミニウム粒子の合成後、大気または酸素雰囲気で加熱(熱処理)し、得られた窒化アルミニウム粒子中に残存している炭素を除去してもよい。この熱処理は、炭素源が酸化アルミニウム原料に混合される固体である場合に特に有用である。後熱処理温度は、残存炭素を確実に除去するという観点より、500℃以上であってよく、600℃以上であってよく、700℃以上であってもよい。また、後熱処理温度は、窒化アルミニウム粒子の表面の酸化を抑制するという観点より、900℃以下であってよく、800℃以下であってもよい。なお、後熱処理時間は、後熱処理温度に応じて適宜選択することができるが、例えば3時間以上であってよい。
窒化アルミニウム粒子は、結晶方位が揃っていてよい。窒化アルミニウム粒子の結晶方位が揃っていれば、焼成前成形体内で窒化アルミニウム粒子を規則正しく配置することによって、窒化アルミニウム焼結体の結晶方位を揃えることができる。窒化アルミニウム焼結体の結晶方位を揃えることによって、透明度の高い窒化アルミニウム焼結体が得られる。換言すると、窒化アルミニウム粒子の結晶方位が揃っていないと、焼成前成形体内で窒化アルミニウム粒子を規則正しく配置しても、窒化アルミニウム焼結体の結晶方位が揃わず、透明度が低下する。なお、窒化アルミニウム結晶のc軸が粒子表面(粒子を構成する面のうちの面積が最も大きい面)に表れていてよい。すなわち、c軸が窒化アルミニウム粒子の厚み方向(粒子表面に略直交する方向)に伸びていてよい。なお、結晶方位が揃っているか否かは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で得られた電子画像を後方散乱回折法(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)で結晶方位毎にマッピングし、全体に占める特定の結晶方位の割合に基づいて決定してよい。例えば、EBSDを用いて窒化アルミニウム粒子の表面(または裏面)を結晶方位毎にマッピングし、全体に占める(001)面の割合(面積比)を算出し、面積比が80%以上の状態を「結晶方位が揃っている」と判断してよい。
窒化アルミニウム粒子に含まれる不純物(不純物金属、酸素等)は、少ないことが好ましい。具体的には、不純物金属は、0.2wt%以下であってよく、0.1wt%以下であってよく、0.07wt%以下であってよく、0.05wt%以下であってもよい。また、酸素含有量は、2wt%以下であってよく、1.5wt%以下であってよく、1wt%以下であってよく、0.9wt%以下であってもよい。窒化アルミニウム粒子内の不純物濃度が高くなると、窒化アルミニウム焼結体に含まれる不純物濃度も高くなる。窒化アルミニウム焼結体内の不純物濃度が高くなると、窒化アルミニウム焼結体の透明度が低下(直線透過率の低下)したり、熱伝導率が低下することが起こり得る。窒化アルミニウム粒子内の不純物濃度が上記範囲(不純物金属0.2wt%以下、酸素含有率2wt%以下)であれば、透明度の高い窒化アルミニウム焼結体を製造することができる。
窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム粒子を含むスラリー状の原料をシート状に成形し、シート状成形体を積層して焼成前成形体を形成し、1次焼成、2次焼成を経て製造することができる。スラリー状の原料は、窒化アルミニウム粒子と炭酸カルシウム,イットリア、Ca-Al-O系の焼成助剤等の助剤を混合した混合原料を作成し、その混合原料にバインダ、可塑剤、分散剤等を添加して生成することができる。バインダとして、ポリビニルブチラール(品番BM-2、積水化学工業(株)製)を用いることができる。可塑剤として、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート(黒金化成(株)製)を用いることができる。分散剤としてトリオレイン酸ソルビタン(レオドールSP-O30、花王(株)製)、分散媒として2-エチルヘキサノール、キシレン、1-ブタノール、それらの混合液等を用いることができる。なお、スラリー状の原料内に、0.1~2μmの粒状の窒化アルミニウム粒子を加えてもよい。なお、球状窒化アルミニウム粒子は、市販のものを用いることができ、一例として、市販の窒化アルミニウム粉末(トクヤマ(株)製、Fグレード、平均粒径1.2μm)が挙げられる。シート成形体は、例えばドクターブレード法を用いて成形することができる。1次焼成及び2次焼成の温度は、1400~2100℃で行うことができる。また、1次焼成は、焼成前成形体(焼成用積層体)を加圧した状態で行うことができる。1次焼成により窒化アルミニウム粒子が粒成長し、2次焼成により1次焼成後の窒化アルミニウム焼結体に残存していた助剤を除去することができる。
窒化アルミニウム焼結体のc面配向度(窒化アルミニウム焼結体を構成している窒化アルミニウム結晶のc軸の配向度)は、95%以上であってよく、97%以上であってよく、100%であってもよい。また、窒化アルミニウム焼結体の相対密度は、99%以上であってよく、99.8%以上であってよく、100%であってもよい。窒化アルミニウム粒子に含まれる不純物金属濃度は、0.04wt%以下であってよい。窒化アルミニウム粒子に含まれる酸素濃度は、0.6wt%以下であってよい。また、窒化アルミニウム焼結体の直線透過率は、波長450nmの光を用いてときに、30%以上であってよく、60%以上であってよく、65%以上であってもよい。
まず、板状の酸化アルミニウム100g,カーボンブラック(三菱化学(株))50g,アルミナ玉石(φ2mm)1000g,IPA(イソプロピルアルコール:トクヤマ(株)製、トクソーIPA)350mLを、30rpmで240分間混合し、混合物を得た。なお、酸化アルミニウムは、平均粒径(面方向長さ)10μm、平均厚さ(厚み方向長さ)0.5μm、アスペクト比20のものを用いた。得られた混合物からアルミナ玉石を除去し、その混合物をロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。その後、残存した混合物を乳鉢で軽く解砕し(比較的弱い力で、凝集した粒子を分離させ)、カーボン製の坩堝に150g充填した。その後、混合物を充填した坩堝を加熱炉内に配置し、窒素ガス3L/min流通下で昇温速度50℃/hrで1600℃まで昇温し、1600℃で20時間保持した。加熱終了後、自然冷却し、坩堝から試料を取り出し、マッフル炉を用いて酸化雰囲気下で650℃で10hr熱処理(後熱処理)し、板状の窒化アルミニウム粒子を得た。なお、後熱処理は、試料中に残存している炭素を除去するために行った。
得られた窒化アルミニウム粒子について、粒子形状、結晶方位、表面状態(孔の有無)の評価を行った。評価結果を図5に示す。
窒化アルミニウム粒子の形状は、得られた窒化アルミニウム粒子をSEM(日本電子(株)製,JSM-6390)を用いて1000~2000倍で撮影し、撮影した画像から無作為に30個の粒子を選択し、面方向長さ(粒径)及び厚み方向長さの測定を行った。また、面方向長さL(μm)、厚み方向長さD(μm)より、アスペクト比(L/D)を計算した。図5に示すように、得られた窒化アルミニウム粒子の形状は、原料(酸化アルミニウム)とほぼ同一であった。
結晶方位の測定は、SEMに取り付けられたEBSD(オックスフォード・インストゥルメンツ(株)製 Aztec HKL)を用いて評価した。なお、結晶方位の評価は、窒化アルミニウム粒子の表面または裏面について、孔が形成されていない部分について行った。すなわち、窒化アルミニウム粒子の厚み方向に直交する面(表面または裏面)であり、窒化アルミニウム粒子を構成する面のうちの面積が最も大きい面について結晶形態の評価を行った。具体的には、窒化アルミニウム粒子の表面(または裏面)のうち、孔が形成されていいない部分を結晶方位毎にマッピングし、全体に占める(001)面の割合(面積比)を算出し、結晶方位が揃っているか否かを判断した。面積比が80%以上の場合は結晶方位が揃っているとし、80%未満の場合は結晶方位が揃っていないと判断した。図5に、結晶方位が揃っている場合「○」、結晶方位が揃っていない場合「×」を付している。図5に示すように、得られた窒化アルミニウム粒子の結晶方位は揃っていた。
窒化アルミニウム粒子の表面状態は、得られた窒化アルミニウム粒子をSEM(日本電子(株)製,JSM-6390)を用いて1000~2000倍で撮影し、撮影した画像から無作為に30個の粒子を選択して評価した。具体的には、孔の有無、孔の種類(くぼみ、又は、貫通孔)、孔の数(1個、又は、複数)、孔が存在しない領域に作成される最大円の径の面方向最大長さに対する比(長さ比β)、孔が存在しな領域の合計面積に対する孔の合計面積の割合(面積割合α)について評価した。孔の有無及び孔の数については、目視で評価した。また、孔の種類(くぼみ,貫通孔)についても、SEMで撮影した画像から判断した。孔が貫通孔の場合は、孔内にSEM試料台が確認される。面積割合αについては、撮影した画像から窒化アルミニウム粒子の表面の面積Sと孔の合計面積S2を算出し、その結果より孔が存在しない領域の合計面積S1を算出し(S1=S-S2)、面積割合α=S2/S1を算出することにより得た。長さ比βについては、図1で説明したように、窒化アルミニウム粒子の面方向長さ10a(最大長さ)を測定し、窒化アルミニウム粒子の表面に孔を含まない最大円6を作成し、最大円6の直径6rを求め、長さ比β=6r/10aを算出することにより得た。図5に示すように、窒化アルミニウム粒子は複数の貫通孔を有しており、長さ比β:0.30,面積割合α:0.32という結果が得られた。
得られた窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造する方法について説明する。まず、窒化アルミニウム焼結体を焼結する際に用いる助剤(Ca-Al-O系の焼成助剤)の合成方法について説明する。助剤は、窒化アルミニウム粒子に混合し、窒化アルミニウム粒子と共に焼成される。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、Shilver-W)47g,γ―アルミナ(大明化学工業(株)製、TM-300D)24g、アルミナ玉石(φ15mm)1000g,IPA(トクヤマ(株)製、トクソーIPA)125mLを、110rpmで120分間粉砕・混合し、混合物を得た。その後、混合物からアルミナ玉石を除去し、得られた混合物は、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。混合物をアルミナ製の坩堝に70g充填した。その後、混合物を充填した坩堝を加熱炉内に配置し、大気中で昇温速度200℃/hrで1250℃ まで昇温し、1250℃で3時間保持した。加熱終了後、自然冷却し、坩堝から混合物(助剤)を取り出した。
次に、上記した助剤を用いて原料を調整する工程について説明する。上記した窒化アルミニウム粒子に対して、助剤(Ca-Al-O系助剤)を4.8質量部添加し、合計20gとなるように秤量した。この混合物とアルミナ玉石(φ15mm)300g,IPA(トクヤマ(株)製、トクソーIPA)60mLを、30rpmで240分間混合した。得られた混合物からアルミナ玉石を除去し、その混合物をロータリーエバポレータを用いて乾燥させ、合成用原料を得た。
上記合成用原料100質量部に対し、バインダとしてポリビニルブチラール(積水化学工業製、品番BM-2)7.8質量部と、可塑剤としてジ(2-エチルヘキシル)フタレート(黒金化成製)3.9質量部と、分散剤としてトリオレイン酸ソルビタン(花王製、レオドールSP-O30)2質量部と、分散媒として2-エチルヘキサノールを加えて混合し、原料スラリーを調整した。なお、分散媒の添加量は、スラリー粘度が20000cPとなるように調整した。得られた原料スラリーを、ドクターブレード法によってPETフィルム上に成形した。ドクターブレード法を用いることにより、窒化アルミニウム粒子の板面(c面)がPETフィルムの表面に並ぶように、PETフィルム上に原料スラリーが形成される。なお、スラリー厚みは、乾燥後の厚さが30μmとなるように調整した。以上の工程により、シート状のテープ成形体を得た。得られたテープ成形体を直径20mmの円形に切断した後、円形のテープ成形体を120枚積層し、焼成前成形体を得た。得られた焼成前成形体を、厚さ10mmのアルミニウム板上に載置した後、真空パッケージに入れて内部を真空にした。その後、真空パッケージを85℃の温水中で100kgf/cm2で静水圧プレスし、円板状の焼成前成形体(焼成用積層体)を得た。
次に、焼成前成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で10時間脱脂を行った。その後、1900℃で10時間、面圧200kgf/cm2の条件下で焼成し、その後室温まで降温させ、窒化アルミニウム1次焼結体を得た。なお、ホットプレスの際の加圧方向は、焼成前成形体の積層方向(テープ成形体の表面に略直交する方向)とした。また、加圧は、室温に降温するまで維持した。1次焼成により焼成前成形体を構成していた窒化アルミニウム粒子が粒成長し、成形体内の気孔がなくなることにより、密度(相対密度)の高い窒化アルミニウム1次焼結体が得られる。
窒化アルミニウム1次焼結体の表面を研削し、φ20mm、厚さ0.7mmの試料を作製した。この試料を窒化アルミニウム製の板上に配置し、加熱炉内を窒素雰囲気とし、焼成温度1900℃で75時間焼成し、窒化アルミニウム焼結体を得た。2次焼成により、窒化アルミニウム1次焼結体内に残存していた助剤(焼結の際に用いた助剤)が除去され、透明な窒化アルミニウム焼結体が得られる。
得られた窒化アルミニウム焼結体について、c面配向度(c軸の配向度)、相対密度、直線透過率の評価を行った。評価結果を図5に示す。
窒化アルミニウム焼結体の表面を研磨した後、研磨面に対してX線を照射し、c面配向度を測定した。具体的には、XRD装置(リガク(株)製、RINT-TTR III)を用い、CuKα線を用いて電圧50kV,電流300mAの条件下、2θ=20~70°の範囲でXRDプロファイルを測定した。なお、c面配向度(f)は、ロットゲーリング法によって算出した。具体的には、以下の式(3),(4)で得られた結果P,P0を、式(2)に代入することにより算出した。なお、式中、Pは得られた窒化アルミニウム焼結体のXRD測定から得られた値であり、P0は標準窒化アルミニウム(JCPDSカードNo.076-0566)から算出した値である。なお、(hkl)として、(100),(002),(101),(102),(110),(103)を使用した。
f={(P-P0)/(1-P0)}×100・・・(2)
P0=ΣI0(002)/ΣI0(hkl)・・・(3)
P=ΣI(002)/ΣI(hkl)・・・(4)
相対密度は、JIS R1634に記載の方法でかさ密度を測定し、理論密度(3.260)に対する値を算出した。
焼結後の窒化アルミニウム焼結体をφ10mmサイズに切断し、4個の窒化アルミニウム焼結体をアルミナ製の定盤(φ68mm)の外周部分に等間隔に(定盤の中心と隣り合う窒化アルミニウム焼結体が成す角度が90°になるように)固定し、粒径が9μm及び3μmのダイヤモンド砥粒を含むスラリーを滴下した銅製ラッピング盤によって研磨し、さらに、コロイダルシリカを含むスラリーを滴下したバフ盤で300分間研磨した。その後、研磨後のφ10mm×0.3mm厚の試料をイオン交換水、アセトン、エタノールの順でそれぞれ3分間洗浄した後、分光光度計(Perkin Elmer製、Lambda900)を用いて波長450nmにおける直線透過率を測定した。
実施例1と全く同一の製造方法で窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム焼結体を製造した。そのため、図5に示すように、窒化アルミニウム粒子の形状、結晶方位、孔の有無、孔の種類、孔の数、面積割合αについては、実施例1と同じ結果であった。しかしながら、実施例2及び3は、実施例1と比較して孔が偏在しており、長さ比βが実施例1よりも大きくなる結果であった。そのため、窒化アルミニウム焼結体の特性(c面配向度、相対密度、直線透過率)は良好であったものの、実施例1の窒化アルミニウム焼結体と比較すると、やや低い結果であった。この結果は、長さ比βが大きくなり過ぎると、窒化アルミニウム粒子の焼結を促進する効果が得られ難くなることを示している。
実施例1と同じサイズの酸化アルミニウムを用いて、窒素ガスの流量を変えたことを除き、実施例1と同様の方法で窒化アルミニウム粒子を製造し、得られた窒化アルミニウム粒子を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造した。また、得られた窒化アルミニウム粒子及び窒化アルミニウム焼結体について、実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例4及び5は窒素ガスの流量を6L/min(実施例1よりも多い)とし、実施例6は窒素ガスの流量を5L/min(実施例1よりも多い)とし、実施例7は窒素ガスの流量を2L/min(実施例1よりも少ない)とし、実施例8は窒素ガスの流量を1L/min(実施例1よりも少ない)とした。
実施例1とサイズの異なる酸化アルミニウムを用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム焼結体を製造した。なお、実施例9は、面方向長さL及び厚み方向長さDが実施例1と異なり、アスペクト比は実施例1と同一である。具体的には、実施例9は面方向長さL及び厚み方向長さDが実施例1より小さい。また、実施例10は、面方向長さLが実施例1より小さく、厚み方向長さDは実施例1と同一である。そのため、実施例10は、アスペクト比が実施例1より小さい。実施例10は、アスペクト比は実施例1と同一であるが、面方向長さL及び厚み方向長さDが実施例1より大きい。得られた窒化アルミニウム粒子の形状は、原料である酸化アルミニウムとほぼ同一であった。また、実施例9~11の全てにおいて結晶方位は揃っており、表面状態も実施例1と同等であった。また、窒化アルミニウム焼結体の特性(c面配向度、相対密度、直線透過率)は全て良好であった。実施例9の窒化アルミニウム焼結体は、相対密度が実施例1より良好であった。実施例10の窒化アルミニウム焼結体は、相対密度が実施例1より良好であった。実施例11の窒化アルミニウム焼結体は、c面配向度が実施例1より良好であった。この結果は、窒化アルミニウム粒子の表面状態を調整することにより、粒子サイズ(粒子形状)が変化しても、良好な特性の窒化アルミニウム焼結体が得られることを示している。
実施例11と同じサイズの酸化アルミニウムを用いて、窒素ガスの流量を10L/min(実施例1~11よりも多い)としたことを除き、実施例11と同様の製造方法(すなわち、実施例1と同様の製造方法)で窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム焼結体を製造した。比較例1の窒化アルミニウム粒子は、結晶方位は揃っていたが、表面に孔が形成されなかった。比較例1の窒化アルミニウム焼結体は、全ての特性において実施例1~10の全てより低い結果であった。この結果は、窒化アルミニウム粒子の表面に孔を設けることにより(実施例1~10)、窒化アルミニウム焼結体の特性を向上させることができることを示している。
実施例1と同サイズの酸化アルミニウムを用いて、窒化温度を1440℃としたことを除き、実施例1と同様の製造方法で窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム焼結体を製造した。比較例2の窒化アルミニウム粒子は、表面状態は実施例1と同一であったが、窒化温度が低過ぎ、結晶方位の不整合が生じた。すなわち、比較例2の窒化アルミニウム粒子は、結晶方位が揃っていなかった。そのため、比較例2の窒化アルミニウム焼結体は、相対密度は実施例1と同一であったが、c面配向度が低く、直線透過率も低い結果であった。
板状でない酸化アルミニウム(アスペクト比2)を用いて、実施例1と同様の製造方法で窒化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム焼結体を製造した。比較例3の窒化アルミニウムは、粒子形状が板状でなかったものの、結晶方位は揃っており、表面状態も実施例1と同一であった。比較例3の窒化アルミニウム焼結体は、相対密度は実施例1と同レベルであったが、c軸配向度が低く、直線透過率が低い結果であった。窒化アルミニウム粒子を積層して焼成前成形体を作成するときに、アスペクト比が小さい(板状でない)ので、窒化アルミニウム粒子の結晶方位が揃わなかったことが原因である。
Claims (5)
- 窒化アルミニウム焼結体の原料として利用される窒化アルミニウム粒子であって、
板状であり、
表面に孔を有しており、
厚み方向に直交する面のうちの前記孔が形成されていない部分の結晶方位を測定したときに、全体に占める(001)面の割合が80%以上である、窒化アルミニウム粒子。 - 前記孔が貫通孔である請求項1に記載の窒化アルミニウム粒子。
- 前記孔が複数設けられている請求項1または2に記載の窒化アルミニウム粒子。
- 表面において前記孔が存在しない領域に作成される最大円の径が、表面における面方向最大長さに対して、0.1以上0.9以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム粒子。
- 前記表面における前記孔の合計面積が、孔が存在しない領域の合計面積に対して、0.01以上1.5以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム粒子。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2018/011805 WO2019180937A1 (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 窒化アルミニウム粒子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2019180937A1 JPWO2019180937A1 (ja) | 2020-12-03 |
JP7033191B2 true JP7033191B2 (ja) | 2022-03-09 |
Family
ID=67986806
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020507260A Active JP7033191B2 (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 窒化アルミニウム粒子 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7033191B2 (ja) |
WO (1) | WO2019180937A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6346718B1 (ja) * | 2017-03-22 | 2018-06-20 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム粒子 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010138056A (ja) | 2008-12-15 | 2010-06-24 | Mitsubishi Chemicals Corp | 高アスペクト比を有する窒化アルミニウム、その製造方法、それを用いた樹脂組成物 |
JP2013189319A (ja) | 2010-07-02 | 2013-09-26 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法および窒化アルミニウム結晶粒子 |
WO2014123247A1 (ja) | 2013-02-08 | 2014-08-14 | 株式会社トクヤマ | 窒化アルミニウム粉末 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06321511A (ja) * | 1993-03-16 | 1994-11-22 | Takeshi Masumoto | 窒化アルミニウム超微粒子及びその製造方法と超微粒子焼結体 |
-
2018
- 2018-03-23 WO PCT/JP2018/011805 patent/WO2019180937A1/ja active Application Filing
- 2018-03-23 JP JP2020507260A patent/JP7033191B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010138056A (ja) | 2008-12-15 | 2010-06-24 | Mitsubishi Chemicals Corp | 高アスペクト比を有する窒化アルミニウム、その製造方法、それを用いた樹脂組成物 |
JP2013189319A (ja) | 2010-07-02 | 2013-09-26 | National Univ Corp Shizuoka Univ | 窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法および窒化アルミニウム結晶粒子 |
WO2014123247A1 (ja) | 2013-02-08 | 2014-08-14 | 株式会社トクヤマ | 窒化アルミニウム粉末 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2019180937A1 (ja) | 2020-12-03 |
WO2019180937A1 (ja) | 2019-09-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6822362B2 (ja) | 窒化珪素基板の製造方法、及び窒化珪素基板 | |
JP6872075B2 (ja) | 窒化アルミニウム板 | |
JP5121268B2 (ja) | 窒化アルミニウム焼結体及び半導体製造装置用部材 | |
TWI670251B (zh) | 透明氧化鋁燒結體的製法 | |
JP7033191B2 (ja) | 窒化アルミニウム粒子 | |
KR102124766B1 (ko) | 플라즈마 처리 장치 및 그 제조방법 | |
Villegas et al. | Effects of PbO excess in Pb (Mg1/3Nb2/3) O3–PbTiO3 ceramics: Part I. Sintering and dielectric properties | |
JP6346718B1 (ja) | 窒化アルミニウム粒子 | |
US20100227145A1 (en) | Aluminum oxide sintered body, method for producing the same and member for semiconductor producing apparatus | |
US11014855B2 (en) | Transparent AlN sintered body and method for producing the same | |
CN108349823B (zh) | 取向烧结体的制造方法 | |
Xie et al. | Spark plasma sintering of tungsten bronze Sr2− xCaxNaNb5O15 (x= 0.1) piezoelectric ceramics: I, processing and microstructure | |
Khanal et al. | Optimization of preparation conditions of highly textured piezoelectric (Bi0. 5K0. 5) TiO3 ceramics | |
JP2018158885A (ja) | 窒化アルミニウム粒子 | |
CN111263741B (zh) | 金刚石多晶体、包括金刚石多晶体的工具以及制造金刚石多晶体的方法 | |
WO2021131407A1 (ja) | 窒化アルミニウム粒子 | |
US20190016936A1 (en) | Abrasive particles and method of forming same | |
飛田将大 et al. | Fabrication of submicron alumina ceramics by pulse electric current sintering using Mg2+-doped transition alumina powders | |
HIDA et al. | c~ ÄêáÅ~ íáçå çÑ pìÄãáÅêçå^ äìãáå~Éê~ ãáÅë Äó mìäëÉ bäÉÅíêáÅìêêÉåí páåíÉêáåÖ rëáåÖ jÖO açéÉÇ qê~ åëáíáçå^ äìãáå~ mçïÇÉêë |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200416 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210511 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210628 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211109 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220215 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220225 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7033191 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |