以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
図1は、管理対象の例を示す模式図である。本実施形態に係る対象状態情報管理システム1は、管理対象100の対象状態情報Bを管理するシステムである。図1に示すように、管理対象100は、作業者Hが巡回する管理対象となる場所、すなわちエリアである。管理対象100は、作業者Hが巡回するエリアであればよく、例えば、プラント、建築物、地山などである。管理対象100は、場所111、112、113、114を有している。作業者Hは、管理対象100内で、場所111、112、113、114を巡回して、それぞれの場所111、112、113、114の対象状態情報Bを取得する。以下、場所111、112、113、114を区別しない場合は、場所110と記載する。場所110は、管理対象100内で、互いに区分されたエリアであり、例えば管理対象100に設けられている設備である。場所110は、本実施形態では4つ設けられているが、その数は任意である。なお、対象状態情報Bは、場所110の情報であるが、詳しくは後述する。
また、本実施形態では、場所110内には、機器110aが設けられている。機器110aは、例えばポンプなどであるが、所定の動作を行う機器であれば、任意の機器であってよい。また、場所110毎に、異なる機器110aが設けられてもよいし、1つの場所110に複数の機器110aが設けられてもよい。ただし、場所110内には、機器110aが必ずしも設けられていなくてもよい。
図1に示すように、対象状態情報管理システム1は、採取位置入力部10と、対象状態情報採取部12と、外部サーバ14とを有する。採取位置入力部10と対象状態情報採取部12とは、作業者Hが携帯可能な装置(端末)である。作業者Hは、採取位置入力部10と対象状態情報採取部12とを携帯して、場所110を巡回する。作業者Hは、採取位置入力部10を操作して採取位置Aを入力し、対象状態情報採取部12を操作して対象状態情報Bを採取する。
以下、作業者Hの作業を更に具体的に説明する。作業者Hは、管理対象100内での位置、すなわち場所110を移動する。図1の例では、作業者Hは、場所111、112、113、114の順で、管理対象100内での位置、すなわち場所110を移動する。作業者Hは、場所111に到達すると、採取位置入力部10を操作して、場所111であることを示す採取位置Aを入力する。採取位置入力部10は、場所111であることを示す採取位置Aが入力されると、場所111であることを示す採取位置Aが入力された時刻(入力時刻)を取得して、場所111であることを示す採取位置Aが入力された時刻と、場所111であることを示す採取位置Aとを対応づける。作業者Hは、その後、対象状態情報採取部12を操作して、その場所111での対象状態情報Bを採取する。作業者Hは、場所111において、1つの対象状態情報Bだけを採取してよいし、複数の対象状態情報Bを採取してもよい。対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bが採取される毎に、その対象状態情報Bが採取された時刻(採取時刻)を検出(取得)して、それぞれの対象状態情報Bと採取された時刻とを対応付ける。作業者Hは、場所111での対象状態情報Bの採取が終了したら、場所112に移動する。
作業者Hは、場所112に到達すると、採取位置入力部10を操作して、場所112であることを示す採取位置Aを入力する。採取位置入力部10は、場所111の際と同様に、場所112であることを示す採取位置Aが入力された時刻と、場所112であることを示す採取位置Aとを対応づける。作業者Hは、その後、対象状態情報採取部12を操作して、その場所112での対象状態情報Bを採取する。作業者Hは、場所112において、1つの対象状態情報Bだけを採取してよいし、複数の対象状態情報Bを採取してもよい。対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bが採取される毎に、その対象状態情報Bが採取された時刻(採取時刻)を検出(取得)して、それぞれの対象状態情報Bと採取された時刻とを対応付ける。作業者Hは、場所112での対象状態情報Bの採取が終了したら、場所113に移動する。以降の場所113での処理と、場所114での処理は、同様となる。このように、作業者Hは、採取位置入力部10と対象状態情報採取部12とが含まれる対象状態情報管理システム1を用いて、対象状態情報Bの採取を行う。以下、対象状態情報管理システム1について詳細に説明する。
図2は、対象状態情報管理システムの模式的なブロック図である。採取位置入力部10は、作業者Hによる採取位置Aの入力を受け付け、入力された採取位置Aを取得する装置である。採取位置入力部10は、作業者Hに携帯される携帯端末(ここではタブレット型のコンピュータ)である。採取位置Aは、管理対象100内での現在の作業者Hの位置を示す情報であるが、詳しくは後述する。
図2に示すように、採取位置入力部10は、入力部20と、記憶部22と、出力部24と、通信部26と、制御部28とを有する。入力部20は、作業者Hからの情報が入力可能な機構である。入力部20は、本実施形態では、タッチパネルであるが、例えばキーボードなどであってもよい。記憶部22は、制御部28の演算内容、プログラムの情報、および入力部20によって入力された情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などである。出力部24は、制御部28の制御結果や作業者Hからの入力内容などを出力(ここでは表示)する機構であり、本実施形態では、タッチパネル型ディスプレイである。通信部26は、対象状態情報採取部12及び外部サーバ14とデータの送受信が可能な機構である。通信部26は、無線通信により対象状態情報採取部12及び外部サーバ14とデータの送受信を行ってもよいし、有線通信により対象状態情報採取部12及び外部サーバ14とデータの送受信を行ってもよい。制御部28は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部28の構成は後述する。
対象状態情報採取部12は、作業者Hの操作により対象状態情報Bを採取(収集)する装置である。本実施形態では、対象状態情報採取部12は、作業者Hに携帯される撮像装置(カメラ)であり、対象状態情報Bは、対象状態情報採取部12によって撮像された、場所110の画像データである。図2に示すように、対象状態情報採取部12は、入力部30と、記憶部32と、出力部34と、対象状態情報獲得部38と、情報採取時刻獲得部40とを有する。入力部30は、作業者Hの入力を受け付ける機構であり、本実施形態では、対象状態情報Bを採取(撮像)するためのシャッターボタンである。記憶部32は、対象状態情報Bを記憶するメモリであり、また、現在の時刻を逐次記憶している。出力部34は、対象状態情報Bを表示する画面である。対象状態情報獲得部38は、作業者Hの入力部30の操作により、対象状態情報Bを検出して獲得、すなわち採取する機構である。本実施形態では、対象状態情報獲得部38は、撮像素子であり、作業者Hの入力部30の操作により、場所110の画像を撮像する。情報採取時刻獲得部40は、記憶部32によって現在の時刻を読み出すことで、対象状態情報獲得部38が対象状態情報Bを収集した時刻を、採取時刻の情報として獲得、すなわち取得する。本実施形態では、採取時刻は、場所110の画像を撮像した時刻である。
ただし、対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bとして、場所110の画像データを採取する装置であることに限られない。対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bとして、画像データ以外の場所110の情報を採取してもよい。例えば、対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bとして、機器110aの状態値を採取してもよい。状態値とは、機器110aの状態を示すパラメータであり、作業者Hが携帯する対象状態情報採取部12で取得可能なパラメータである。状態値としては、例えば機器110aの電流値、機器110aの振動値、および機器110a内の流体の圧力値などが挙げられる。状態値を対象状態情報Bとして収集する場合、対象状態情報獲得部38は、状態値を計測するセンサであるといえる。すなわち、対象状態情報採取部12は、作業者Hが読み取った状態値が入力部30に入力されることにより状態値を採取するわけではない。対象状態情報採取部12は、作業者Hが入力部30を操作することで対象状態情報獲得部38が作動して、機器110aの状態値を計測するものである。
なお、作業者Hは、互いに異なる種類の対象状態情報Bを採取する対象状態情報採取部12を携帯して、それぞれの対象状態情報採取部12を操作して、対象状態情報Bを採取してもよい。この場合、例えば、作業者Hは、1つの対象状態情報採取部12で場所110の画像データを撮像し、他の対象状態情報採取部12で、その場所110に設けられた機器110aの状態値を測定してもよい。また、対象状態情報採取部12が、複数種類の対象状態情報Bを採取可能であってもよい。
外部サーバ14は、作業者Hに携帯されず、位置が固定されている処理装置(コンピュータ)である。外部サーバ14は、管理対象100の外部に設けられているが、作業者Hに携帯されないものであれば、管理対象100内に設けられてもよい。外部サーバ14は、対象状態情報採取部12の通信部26と通信を行うことで、対象状態情報採取部12とデータの送受信を行う。
次に、採取位置入力部10の制御部28について説明する。制御部28は、入力部20から、作業者Hが入力した採取位置Aと、対象状態情報採取部12が採取した対象状態情報Bとを取得し、採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付けることで、対象状態情報Bが管理対象100内のどの位置の情報であるかを特定する。図2に示すように、制御部28は、地図情報制御部50と、採取位置取得部52と、位置入力時刻取得部54と、対象情報取得部56と、紐付け部60と、通知部62とを有する。地図情報制御部50と、採取位置取得部52と、位置入力時刻取得部54と、対象情報取得部56と、紐付け部60と、通知部62とは、記憶部22に記憶されたソフトウェア(プログラム)である。
地図情報制御部50は、出力部24に、管理対象100の地図情報を表示させる。ここで、記憶部22は、管理対象100の地図情報100Aを予め記憶している。この地図情報100Aは、管理対象100の地図であり、管理対象100内における現在の作業者Hおよび採取位置入力部10の位置の情報を含んでいない。すなわち、地図情報100Aだけでは、現在の作業者Hおよび採取位置入力部10の位置は未知である。
図3は、地図情報の例を示す図である。地図情報制御部50は、記憶部22から、管理対象100の地図情報100Aを読み出し、出力部24に表示させる。地図情報制御部50は、作業者Hが、地図情報100Aを読み出す旨の入力を入力部20に行ったことをトリガとして、管理対象100の地図情報100Aを読み出して表示させる。図3は、地図情報制御部50が出力部24に表示させた地図情報100Aの例を示している。図3に示すように、出力部24に表示された地図情報100Aは、場所111A、場所112A、場所113A、場所114Aを表示している。場所111Aは、地図情報100A内における場所111の位置を示しており、場所112Aは、地図情報100A内における場所112の位置を示しており、場所113Aは、地図情報100A内における場所113の位置を示しており、場所114Aは、地図情報100A内における場所114の位置を示している。以下、場所111A、場所112A、場所113A、場所114Aを区別しない場合は、場所110Aと記載する。また、地図情報100Aは、機器110aの位置を示す機器110aAも表示する。
図2に示す採取位置取得部52は、採取位置Aを取得する。採取位置Aは、作業者Hが入力部20に入力することで設定された、管理対象100内における対象状態情報Bを採取する位置を示す情報である。本実施形態では、採取位置Aは、作業者Hのいる場所110が、管理対象100内においてどこに位置しているのかを示す情報である。作業者Hは、管理対象100を巡回して対象状態情報Bを採取する際に、対象状態情報Bを取得する場所110に到達したら、入力部20に、その場所110の位置を、採取位置Aとして入力する。これにより、採取位置Aが設定される。
より詳しくは、作業者Hは、対象状態情報Bを取得する場所110に到達したら、入力部20を操作して、地図情報制御部50によって、出力部24に、管理対象100の地図情報100Aを表示させる。作業者Hは、出力部24に表示された地図情報100Aから、到達した場所110に対応する場所110Aを選択することで、採取位置Aを設定する。例えば、作業者Hが場所111に到達した場合、作業者Hは、図3に示す場所110Aをタッチすることで、場所111Aを選択する。この場合、場所111A(場所111)が、採取位置Aとして設定される。
なお、後述のように、作業者Hは、対象状態情報Bの採取の実行前のタイミングに、入力部20に採取位置Aを入力する。作業者Hは、位置を移動しながら採取位置Aを入力するため、採取位置Aは、対象状態情報Bを採取するそれぞれの位置の情報であるといえる。さらに言えば、採取位置Aは、対象状態情報Bの採取の実行前のタイミングに作業者Hにより採取位置入力部10を通じて入力された、対象状態情報Bを採取するそれぞれの位置(ここでは場所110)の情報であるといえる。採取位置取得部52は、このように入力部20に入力された採取位置Aを取得する。採取位置取得部52は、作業者Hの手入力により、採取位置Aを取得するものであり、自動で採取位置Aを取得するものではない。すなわち、本実施形態に係る対象状態情報管理システム1は、現在の作業者Hや対象状態情報採取部12の位置を検出するための検出装置を備えていない。言い換えれば、対象状態情報管理システム1は、位置検出のためのGPS(Global Positioning System)を備えていない。また、対象状態情報管理システム1は、管理対象100に、位置を示すための装置(発信器)を備えていない。さらに言えば、例えGPSが対象状態情報採取部12に備えられていたり、位置を示すための装置が管理対象100に備えられていたりしても、対象状態情報管理システム1は、採取位置Aの取得のために、これらを用いない。
位置入力時刻取得部54は、入力時刻を取得する。ここで、記憶部22は、現在の時刻を逐次更新して記憶している。入力時刻とは、採取位置取得部52が採取位置Aを取得した時刻であり、言い換えれば、採取位置Aが設定された時刻である。採取位置Aは、位置毎にそれぞれ入力される情報であるため、入力時刻は、採取位置Aが入力されたそれぞれの時刻であるといえる。ここでの入力時刻は、年、月、日、及び時刻の情報を含む。位置入力時刻取得部54は、採取位置取得部52によって採取位置Aが取得されたら、その取得した際の時刻を、入力時刻として取得する。位置入力時刻取得部54は、採取位置Aと入力時刻とを紐付ける。
採取位置Aと入力時刻とが取得されたら、すなわち、作業者Hによる採取位置Aの設定が完了したら、作業者Hは、対象状態情報採取部12を操作して、作業者Hが到達した場所110の対象状態情報Bを採取する。すなわち、対象状態情報採取部12は、作業者Hの操作により、対象状態情報獲得部38で、対象状態情報Bを採取する。そして、対象状態情報採取部12は、情報採取時刻獲得部40により、対象状態情報獲得部38が対象状態情報Bを採取した時刻を、採取時刻として取得する。情報採取時刻獲得部40は、対象状態情報Bを採取する毎に、採取時刻を取得して、対象状態情報Bと採取時刻とを紐付ける。
上述のように、作業者Hは、1つの場所110(ここでは場所111)での対象状態情報Bの収集が終わったら、次の場所110(ここでは場所112)へ移動する。作業者Hは、次の場所110(場所112)へ到達したら、採取位置入力部10に対し上記と同様の操作をして、次の場所110(場所112)の採取位置Aを入力する。採取位置入力部10は、作業者Hが入力した次の場所110(場所112)を示す採取位置Aと、その採取位置Aを設定した入力時刻とを取得する。その後、作業者Hは、対象状態情報採取部12に対し上記と同様の操作をして、次の場所110(場所112)の対象状態情報Bを採取させる。対象状態情報採取部12は、その対象状態情報Bと、その対象状態情報Bを採取した採取時刻とを取得する。作業者Hは、次の場所110での対象状態情報Bの収集が完了したら、更に次の場所110(ここでは場所113)へ移動して、同様の処理を繰り返して、採取位置Aと対象状態情報Bとを採取する。このように、採取位置入力部10の採取位置取得部52は、作業者Hの設定毎に採取位置Aを取得することで、複数の採取位置Aを取得する。また、対象状態情報採取部12の対象状態情報獲得部38は、作業者Hの操作毎に対象状態情報Bを収集することで、複数の対象状態情報Bを採取する。
なお、作業者Hは、1つの場所110につき、1つの対象状態情報Bを採取することに限られず、1つの場所110につき、複数の対象状態情報Bを採取してもよい。例えば、作業者Hは、複数の対象状態情報Bとして、1つの場所110において別のアングルや別の箇所の画像データを採取してもよいし、画像データと、機器110aの状態値とを採取してもよい。また、作業者Hは、場所110毎に、採取する対象状態情報Bの数を変えてもよい。
このように、採取位置入力部10は、作業者Hが、現在位置している場所110を変える度に、採取位置Aと入力時刻とを取得する。採取位置入力部10は、採取位置Aと、その採取位置Aを設定した入力時刻とを紐付け、紐付けた採取位置Aと入力時刻とを、入力時刻関係テーブルとして、記憶部22に記憶する。すなわち、入力時刻関係テーブルは、採取位置Aと、その採取位置Aを設定した入力時刻との関係を示す情報である。入力時刻テーブルは、採取位置Aと入力時刻との関係を示す情報、すなわち紐付けた情報を、設定された採取位置Aの数だけ含んでいる。言い換えれば、採取位置入力部10が有する位置入力時刻取得部54は、それぞれの採取位置Aが入力された時刻である入力時刻を、それぞれの採取位置Aに対応付けて取得しているということができる。
図4は、入力時刻関係テーブルの一例を示す表である。図4は、採取位置Aとして、採取位置A1、A2、A3、A4が設定された例を示している。図4の例では、採取位置A1は、作業者Hが、場所111を現在の場所110として設定した場合の採取位置Aを示している。また、採取位置A2は、作業者Hが、場所112を現在の場所110として設定した場合の採取位置Aを示している。また、採取位置A3は、作業者Hが、場所113を現在の場所110として設定した場合の採取位置Aを示している。また、採取位置A4は、作業者Hが、場所114を現在の場所110として設定した場合の採取位置Aを示している。そして、図4の例では、採取位置A1を設定した時刻が、S年T月U日の10時00分となっている。そして、採取位置A2を設定した時刻は、採取位置A1の入力時刻より後の、S年T月U日の10時20分となっている。そして、採取位置A3を設定した時刻は、採取位置A2の入力時刻より後の、S年T月U日の10時30分となっている。そして、採取位置A4を設定した時刻は、採取位置A3の入力時刻より後の、S年T月U日の11時00分となっている。ただし、図4に示す入力時刻は、あくまで一例である。
図2に戻り、対象状態情報採取部12は、作業者Hが対象状態情報採取部12を操作する度に、対象状態情報Bと、その対象状態情報Bを採取した採取時刻とを取得する。対象状態情報採取部12は、対象状態情報Bと、その対象状態情報Bを採取した採取時刻と紐付け、紐付けた対象状態情報Bと採取時刻とを、採取時刻関係テーブルとして、記憶部32に記憶する。すなわち、採取時刻関係テーブルは、対象状態情報Bと、その対象状態情報Bを採取した採取時刻との関係を示す情報である。採取時刻テーブルは、対象状態情報Bと採取時刻との関係を示す情報、すなわち紐付けた情報を、採取された対象状態情報Bの数だけ含んでいる。なお、対象状態情報採取部12は、採取位置Aの情報を取得していない。従って、対象状態情報採取部12は、採取時刻関係テーブルを作成した時点では、対象状態情報Bがどの場所110の情報であるかを、把握していない。
図5は、採取時刻関係テーブルの一例を示す表である。図5は、対象状態情報Bとして、対象状態情報B1、B2、B3、B4、B5が収集された例を示している。図5の例では、対象状態情報B1を採取した時刻が、S年T月U日の10時5分となっている。そして、対象状態情報B2を採取した時刻は、対象状態情報B1の採取時刻より後の、S年T月U日の10時10分となっている。そして、対象状態情報B3を採取した時刻は、対象状態情報B2の採取時刻より後の、S年T月U日の10時22分となっている。そして、対象状態情報B4を採取した時刻は、対象状態情報B3の採取時刻より後の、S年T月U日の10時35分となっている。そして、対象状態情報B5を採取した時刻は、対象状態情報B4の採取時刻より後の、S年T月U日の11時10分となっている。ただし、図5に示す採取時刻は、あくまで一例である。
作業者Hは、巡回を予定していた全ての場所110を巡回して対象状態情報Bの採取が終わったら、採取位置入力部10の入力部20に、その旨を入力する。図2に示す採取位置入力部10の対象情報取得部56は、その旨の入力、すなわち対象状態情報Bの採取が終了したことをトリガとして、通信部26を介して、対象状態情報採取部12から、採取時刻関係テーブル、すなわち対象状態情報Bと採取時刻とを取得する。対象情報取得部56は、取得した採取時刻関係テーブルを、記憶部22に記憶させる。このように、対象情報取得部56は、対象状態情報Bと採取時刻とを取得するため、対象状態情報取得部と、情報採取時刻取得部とを構成しているといえる。情報採取時刻取得部としての対象情報取得部56は、それぞれの対象状態情報Bが採取された時刻である採取時刻を、それぞれの対象状態情報Bに対応付けて取得するといえる。
なお、通信部26は、対象状態情報採取部12との無線通信により、採取時刻関係テーブル(対象状態情報Bと採取時刻)を取得するが、無線通信により採取時刻関係テーブルを取得することに限られない。例えば、通信部26は、対象状態情報採取部12と有線で接続され、有線を介して採取時刻関係テーブルを取得してもよい。また、対象状態情報採取部12の記憶部32が、取り外し可能なメモリである場合、記憶部32を通信部26に接続することで、記憶部32から直接採取時刻関係テーブルを取得してもよい。
図2に示す採取位置入力部10の紐付け部60は、採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付ける。言い換えれば、紐付け部60は、対象状態情報Bが、どの採取位置Aに所属するか、すなわちどの場所110で収集されたものなのかを、設定する。以下、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付けについて、具体的に説明する。
図6は、位置情報と場所情報との関係を説明する図である。紐付け部60は、位置入力時刻取得部54が作成した入力時刻関係テーブルを、記憶部22から読み出す。また、通信部26は、対象情報取得部56によって取得された採取時刻関係テーブルを、記憶部22から読み出す。紐付け部60は、入力時刻関係テーブルに含まれる入力時刻と、採取時刻関係テーブルに含まれる採取時刻とに基づき、採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付ける。言い換えれば、紐付け部60は、位置入力時刻取得部54により取得された採取位置A及びその入力時刻と、対象情報取得部56(情報採取時刻取得部)により取得された対象状態情報B及びその採取時刻とに基づき、対象情報取得部56(対象状態情報取得部)により取得された対象状態情報Bを、採取位置取得部52により取得された採取位置Aに紐付ける。
より詳しくは、紐付け部60は、ある採取位置A(ここでは採取位置A1)に紐付ける対象状態情報Bを、次のように選択する。すなわち、紐付け部60は、その採取位置A(採取位置A1)の入力時刻より後の採取時刻を有する対象状態情報Bであって、その採取位置A(採取位置A1)の直後の採取位置A(ここでは採取位置A2)の入力時刻より前の対象状態情報Bを、その採取位置A(採取位置A1)に紐付ける。紐付け部60は、この紐付け処理を、全ての対象状態情報Bについて行い、対象状態情報Bを、いずれかの採取位置Aに紐付ける。
上記を言い換えれば、採取位置Aのうちの任意の一つを、第1の採取位置(例えば採取位置A1)とする。そして、全ての採取位置Aのうち、第1の採取位置の入力時刻の直後の入力時刻と紐付けられた採取位置Aを、第2の採取位置(ここでは採取位置A2)とする。この場合、紐付け部60は、採取時刻が、第1の採取位置の入力時刻より後であって第2の採取位置の入力時刻の前の時刻である対象状態情報Bを、第1の採取位置に紐付ける。
図6は、位置情報と場所情報との関係を説明する図である。図6の例では、対象状態情報B1、B2は、採取位置A1の入力時刻よりも後の採取時刻であって、直後の採取位置A2の入力時刻よりも前の採取時刻を有する。従って、対象状態情報B1、B2は、採取位置A1に紐付けられる。すなわち、対象状態情報B1、B2は、採取位置A1で取得された対象状態情報Bであると設定される。言い換えれば、紐付け部60は、採取位置A1の入力時刻よりも後の採取時刻であって、直後の採取位置A2の入力時刻よりも前の採取時刻を有する対象状態情報Bが複数ある場合、それら複数の対象状態情報Bを、一群のデータとして、全て採取位置A1に紐付ける。言い換えれば、紐付け部60は、第1の採取位置の入力時刻と第1の採取位置の入力時刻との間が採取時刻である対象状態情報Bが複数ある場合、それら複数の対象状態情報Bを、一群のデータとして、全て第1の採取位置に紐付ける。
また、対象状態情報B3は、採取位置A2の入力時刻よりも後の採取時刻であって、直後の採取位置A3の入力時刻よりも前の採取時刻を有する。従って、対象状態情報B3は、採取位置A2に紐付けられる。そして、対象状態情報B4は、採取位置A3の入力時刻よりも後の採取時刻であって、直後の採取位置A4の入力時刻よりも前の採取時刻を有する。従って、対象状態情報B4は、採取位置A3に紐付けられる。また、対象状態情報B5は、採取位置A4の入力時刻よりも後の採取時刻を有する。採取位置A4は、それよりも直後の採取位置Aを有さないので、この場合、対象状態情報B5は、採取位置A4に紐付けられる。すなわち、対象状態情報Bは、自身の採取時刻の直前の入力時刻に紐付けられた採取位置Aに、紐付けられる。
図7は、紐付けテーブルの一例を示す表である。紐付け部60は、このように、全ての対象状態情報Bを、採取位置Aに紐付ける。紐付け部60は、紐付けた採取位置Aと対象状態情報Bとを、紐付けテーブルとして、記憶部32に記憶する。すなわち、紐付けテーブルは、採取位置Aと、その採取位置Aに属する対象状態情報Bとの関係を示す情報である。紐付けテーブルは、採取位置Aに属する対象状態情報Bとの関係を示す情報を、収集された対象状態情報Bの数だけ含んでいる。さらに言えば、紐付けテーブルは、採取位置Aと、その採取位置Aに属する対象状態情報Bと、その対象状態情報Bを採取した採取時刻との関係を示している。
図7は、紐付けテーブルの一例を示す表である。図7の例では、紐付けテーブルは、対象状態情報B1、B2が採取位置A1に属し、対象状態情報B3が採取位置A2に属し、対象状態情報B4が採取位置A3に属し、対象状態情報B5が採取位置A4に属している旨を示す情報となる。また、各対象状態情報Bの採取時刻も、それぞれの対象状態情報Bに紐付けられている。
紐付け部60は、入力時刻と採取時刻とに基づきこのように紐付けテーブルを作成して、採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付ける。このように入力時刻と採取時刻とに基づき採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付けることで、対象状態情報Bがどの場所110の撮像データであるかを、後からでも確認することが可能となる。
また、紐付け部60は、作業者Hの入力により、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付け関係を、変更してもよい。例えば、図7に示す紐付けテーブルでは、対象状態情報B2が採取位置A1に紐づいている。この場合、作業者Hが、対象状態情報B2を採取位置A2に変更する入力を行った場合、紐付け部60は、対象状態情報B2が採取位置A2に紐づくように、紐付けテーブルを修正する。
紐付け部60がこのように作成した紐付けテーブルは、記憶部22に記憶される。通信部26は、この紐付けデータ、すなわち互いに紐付けられた採取位置Aと対象状態情報Bとを、外部サーバ14に送信する。外部サーバ14は、この紐付けテーブルを記憶する。これにより、外部サーバ14に紐付けテーブルが蓄積されるので、巡回の後に、適宜、採取位置Aに紐付けられた対象状態情報Bを確認することができる。
また、採取位置入力部10は、通信部26により、外部サーバ14から、過去の巡回で設定された採取位置A、言い換えれば、作業者が過去に入力した採取位置Aを取得してもよい。ここで、作業者Hは、同じ管理対象100を、例えば数か月ごとなど、時間をおいて定期的に巡回する場合がある。この場合、地図情報制御部50は、同じ管理対象100の地図情報100Aを読み出した際に、外部サーバ14から取得された、過去の巡回で入力された採取位置Aを、地図情報100Aに表示させる。例えば、地図情報制御部50は、地図情報100Aのうちから、過去の巡回で設定された採取位置Aの位置(場所110A)に、マーキングなどを付けることで、過去の巡回で設定された採取位置Aを表示する。作業者Hは、過去の採取位置Aが表示された地図情報100Aを確認することで、どの場所110を巡回すればよいかを容易に認識することができる。
以上説明した採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付け処理のフローを、フローチャートを用いて説明する。図8は、位置情報と場所情報との紐付け処理のフローを説明するフローチャートである。図8に示すように、作業者Hが管理対象100の巡回を行う際、採取位置入力部10は、地図情報制御部50によりその巡回する管理対象100の地図情報100Aを、出力部24に表示させる(ステップS10)。地図情報100Aを表示した後、採取位置取得部52は、採取位置Aを取得する(ステップS12)。すなわち、作業者Hは、対象状態情報Bを採取する場所110に到達したら、入力部20に、その場所110を示す採取位置Aを入力する。採取位置取得部52は、その作業者Hが入力した採取位置Aを、取得する。採取位置Aを取得したら、位置入力時刻取得部54は、その採取位置Aが取得された入力時刻を取得する(ステップS14)。位置入力時刻取得部54は、採取位置Aと、その入力時刻とを紐付け、採取位置Aがいつ(どの時刻)に取得されたかを、入力時刻関係テーブルとして、記憶部22に記憶させる。
入力時刻が取得された後、対象状態情報採取部12は、対象状態情報獲得部38により、対象状態情報Bを採取する(ステップS16)。作業者Hは、採取位置Aと入力時刻とが取得されたら、採取位置入力部10を操作して、作業者Hが到達した場所110の対象状態情報Bを採取する。すなわち、対象状態情報獲得部38は、作業者Hの操作により、対象状態情報Bを採取する。対象状態情報Bが採取された後、対象状態情報採取部12は、情報採取時刻獲得部40により、その対象状態情報Bを採取した採取時刻を取得する(ステップS18)。情報採取時刻獲得部40は、対象状態情報Bと、その採取時刻とを紐付け、対象状態情報Bがいつ(どの時刻)に取得されたかを、採取時刻関係テーブルとして、記憶部32に記憶させる。対象状態情報獲得部38は、作業者Hの操作に応じて、対象状態情報Bを複数回収集してもよい。この場合、情報採取時刻獲得部40は、それぞれの対象状態情報Bについて、採取時刻を取得する。
その後、採取位置入力部10は、次の採取位置Aが入力されたかを判断し(ステップS20)、次の採取位置Aが入力されたら(ステップS20;Yes)、ステップS12に戻り、入力された、次の採取位置Aを取得して、それ以降の処理を繰り返す。すなわち、作業者Hは、次に巡回する場所110がある場合、その場所110に移動して、その場所110の採取位置Aを入力し、その場所110における対象状態情報Bの収集を行う。
一方、採取位置入力部10は、次の採取位置Aが入力されない場合(ステップS20;No)、対象状態情報Bの採取が終了したかを判断する(ステップS22)。採取位置入力部10は、例えば作業者Hが、対象状態情報Bの採取が終了した旨の入力を入力部20に行った場合に、対象状態情報Bの採取が終了したと判断し、その入力が無い場合は、対象状態情報Bの採取が終了していないと判断する。採取位置入力部10は、対象状態情報Bの採取が終了していないと判断した場合(ステップS22;No)、ステップS20に戻り、次の採取位置Aの入力を受け付ける。
採取位置入力部10は、対象状態情報Bの採取が終了したと判断した場合(ステップS22;Yes)、対象情報取得部56により、対象状態情報採取部12から、対象状態情報Bと採取時刻とを取得する(ステップS24)。対象状態情報Bと採取時刻とを取得した後、採取位置入力部10は、紐付け部60により、対象状態情報Bと採取位置Aとを紐付ける(ステップS26)。紐付け部60は、入力時刻と採取時刻とに基づき、採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付ける。これにより、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付け処理が終了する。
次に、図2に示す通知部62について説明する。通知部62は、作業者Hに採取位置Aを入力する旨の通知を行う。上述のように、採取位置入力部10は、作業者Hの入力によって採取位置Aを取得する。従って、作業者Hが、実際には次の場所110(例えば場所112)に移動しているのに、採取位置Aの更新を忘れた場合、次の場所110(場所112)で採取された対象状態情報Bが、それより前の場所110(場所111)に紐付けられるおそれがある。それに対し、通知部62は、作業者Hに採取位置Aを入力する旨を通知することで、作業者Hの採取位置Aの入力を促し、対象状態情報Bの紐付けが不正確となることを抑制する。本実施形態では、通知部62は、最後に採取位置Aを取得した入力時刻から、所定の時間が経過したら、出力部24に、新たに採取位置Aを入力することを指示する情報を、通知させる。例えば、通知部62は、表示部としての出力部24に、新たに採取位置Aを入力することを指示する情報を表示させてもよいし、新たに採取位置Aを入力することを指示するための音声や振動などを、出力部24に出力させてもよい。作業者Hは、この通知を認識すると、新たに採取位置Aを入力する。作業者Hは、まだ場所110を移動していない場合は、前回と同じ場所110を指定してもよいし、まだ場所110を移動していない旨の入力を行ってもよい。
図9は、位置情報を入力する旨の通知のフローを説明するフローチャートである。通知部62は、採取位置Aの取得から所定時間が経過したかを判断し(ステップS30)、所定時間が経過していない場合(ステップS30;No)、ステップS30に戻り、判断を続ける。通知部62は、所定時間が経過した場合(ステップS30;Yes)、対象状態情報Bの採取が終了したかを判断する(ステップS34)。通知部62は、対象状態情報Bの採取が終了したと判断した場合(ステップS34;Yes)、本処理を終了する。また、通知部62は、対象状態情報Bの採取が終了していないと判断した場合(ステップS34;No)、採取位置Aを入力する旨を、作業者Hに通知する(ステップS36)。
また、通知部62は、作業者Hが収集すべき対象状態情報Bの種類をリストアップして、作業者Hに通知させてもよい。この場合、記憶部22は、収集すべき対象状態情報Bの種類(例えば機器110aの画像データや、機器110aの状態値の種類)を、記憶している。通知部62は、採取位置取得部52が採取位置Aを取得したら、その場所110において収集すべき対象状態情報Bの種類を、記憶部22から読み出す。そして、通知部62は、読み出した対象状態情報Bの種類を、出力部24によって、作業者Hに通知する。作業者Hは、この対象状態情報Bの種類の通知を認識することで、その場所110において、どのような対象状態情報Bを採取する必要があるかを認識することができ、対象状態情報Bを適切に採取することができる。特に、採取すべき対象状態情報Bの種類が複数ある場合、このような通知を行うことで、対象状態情報Bの採取忘れを効果的に抑制することができる。なお、対象状態情報Bの種類の通知としては、例えば、表示部としての出力部24に、対象状態情報Bの種類を指示する情報を表示させてもよいし、対象状態情報Bの種類を示す音声などを、出力部24に出力させてもよい。また、収集すべき複数種類の対象状態情報Bとは、例えば、画像データと状態値とや、異なるアングル又は箇所の画像データなどの組み合わせが挙げられる。
以上説明したように、本実施形態に係る対象状態情報管理システム1は、作業者Hが位置を移動しながら位置毎に採取した、管理対象100の状態を示す情報である対象状態情報Bを管理するシステムであって、採取位置取得部52と、位置入力時刻取得部54と、対象状態情報収集部および採取時刻取得部(対象情報取得部56)と、紐付け部60と、を有する。採取位置取得部52は、採取位置Aを取得する。採取位置Aは、それぞれの位置毎の対象状態情報Bの採取が実行される前のそれぞれのタイミングで、作業者にHより採取位置入力部10を通じて入力された情報であり、対象状態情報Bが採取されるそれぞれの位置を示す情報である。位置入力時刻取得部54は、それぞれの採取位置Aが入力された時刻である入力時刻を、それぞれの採取位置Aに対応付けて取得する。対象状態情報取得部は、対象状態情報Bを取得する。対象状態情報Bは、作業者Hにより対象状態情報採取部12を通じて採取された情報である。採取時刻取得部は、それぞれの対象状態情報Bが採取された時刻である採取時刻を、それぞれの対象状態情報Bに対応付けて取得する。紐付け部60は、位置入力時刻取得部54により取得された採取位置A及びその入力時刻と、対象情報取得部56(情報採取時刻取得部)により取得された対象状態情報B及びその採取時刻とに基づき、対象情報取得部56(対象状態情報取得部)により取得された対象状態情報Bを、採取位置取得部52により取得された採取位置Aに紐付ける。そして、紐付け部60は、採取時刻が、第1の採取位置の入力時刻より後であって第1の採取位置の直後に入力された第2の採取位置の入力時刻より前である、対象状態情報Bを、第1の採取位置に紐付ける。
ここで、管理対象100は、作業者Hが定期的に巡回して、各場所110の対象状態情報Bが収集される。この対象状態情報Bは、管理対象100の状態を示す情報であるため、管理対象100の管理に用いられる。しかし、対象状態情報Bが、どの場所110の情報であるかを記録していない場合、どの場所110の対象状態情報Bか分からず、適切に管理ができなくなる。従って、対象状態情報Bを採取する際には、どの場所110の情報であるかを記録しておく必要がある。その記録のために、GPSなどの通信手段を用いて、対象状態情報Bを収集した位置を把握する場合がある。しかし、この場合、例えば地下など、GPSによる通信ができない場所110では、位置の認識ができなくなる。また、巡回時に対象状態情報Bを採取する装置は、電源としてバッテリーを用いている。位置情報を取得するための通信は、電力量が多く必要であり、さらに、対象状態情報Bの採取毎に通信を行うと、更に電力消費が高くなる。この場合、装置の電力消費が大きくなり、多くの対象状態情報Bの採取ができなくなるおそれがある。
また、場所110毎に、発信器を設けて、その発信器からの信号を受信することで、位置を把握する場合もある。しかし、この場合、場所110毎に発信器を設ける必要があるため、コストが高くなるし、建設中の設備などには、発信器を設けること自体が困難となる。このように、外部との通信によって位置の把握を行うことは、適切でない場合がある。
それに対し、本実施形態に係る対象状態情報管理システム1は、対象状態情報Bを採取する位置、すなわち採取位置Aの把握を、作業者Hが携帯する採取位置入力部10の入力により行う。そして、対象状態情報管理システム1は、採取位置Aの入力された時刻と、対象状態情報Bの採取された時刻とを把握して、それらの時刻に基づき、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付けを行う。従って、この対象状態情報管理システム1は、通信を行うことなく、対象状態情報Bを採取しようとする位置の特定が可能となり、さらに、時刻に基づき紐付けを行うため、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付けを、精度良く行うことができる。また、対象状態情報管理システム1は、採取位置Aを設定した時刻より後の時刻に収集された対象状態情報Bであって、その採取位置Aの直後の採取位置Aが設定された時刻より前に採取された対象状態情報Bを、その採取位置Aに紐付ける。従って、対象状態情報管理システム1は、採取位置Aの入力を、対象状態情報Bの採取の都度行うことなく、適切に採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付けることができる。
また、対象状態情報管理システム1は、巡回が終了した後に、紐付け処理を行うことができるため、巡回中の採取位置入力部10の電力消費を抑えることができる。
また、通信部26は、作業者Hが過去に入力した採取位置Aを、外部サーバ14との通信により取得する。この対象状態情報管理システム1は、過去の採取位置Aを取得することにより、作業者Hがその過去の採取位置Aを参照して、どの場所110を巡回すればよいかを容易に認識することができる。
また、通信部26は、互いに紐付けられた採取位置Aと対象状態情報Bとを、外部サーバ14に送信する。この対象状態情報管理システム1は、外部サーバ14に紐付けられた採取位置Aと対象状態情報Bとを蓄積することができるので、巡回の後に、適宜、採取位置Aに紐付けられた対象状態情報Bを確認することができる。
また、対象状態情報管理システム1は、通知部62を有する。通知部62は、作業者Hが採取位置Aを入力してから所定時間が経過したら、採取位置Aを再度入力する旨を通知する。もし作業者Hが採取位置Aの更新を忘れた場合、対象状態情報Bが、誤った採取位置Aに紐付けられるおそれがある。それに対し、通知部62は、所定時間経過後に、採取位置Aを入力する旨を通知することで、作業者Hの採取位置Aの入力を促し、対象状態情報Bの紐付けが不正確となることを抑制する。
また、対象状態情報Bは、撮像装置である対象状態情報採取部12によって撮像された、管理対象100の画像データを含む。対象状態情報管理システム1は、対象状態情報Bとして画像データを収集することで、管理対象100を適切に管理できる。
また、対象状態情報Bは、対象状態情報採取部12によって検出された管理対象100の状態値を含む。対象状態情報管理システム1は、対象状態情報Bとして状態値を収集することで、管理対象100を適切に管理できる。
また、紐付け部60は、作業者Hの入力に基づき、対象状態情報Bと採取位置Aとの紐付けを変更する。このように紐付け関係を変更可能とすることで、対象状態情報Bの紐付けをより正確にすることができる。
本実施形態に係る対象状態情報管理システム1は、採取位置Aを入力する採取位置入力部10と、対象状態情報Bを収集する対象状態情報採取部12とが、別の装置であった。このように別の装置とすることで、どのような対象状態情報採取部12を用いることができ、柔軟に対象状態情報Bの取得が可能となっている。ただし、採取位置入力部10と、対象状態情報Bを収集する対象状態情報採取部12とは、一つの装置であってもよい。
図10は、本実施形態の他の例に係る対象状態情報管理システムの模式的なブロック図である。図10は、位置情報入力部と対象状態情報採取部とが一体となった例を示している。図10に示す対象状態情報管理システム1Aが有する採取位置入力部10Aは、採取位置Aの入力を受け付けつつ、対象状態情報Bを採取する。採取位置入力部10Aは、入力部20と、記憶部22と、出力部24と、通信部26と、制御部28Aと、対象状態情報獲得部38とを有する。制御部28Aは、地図情報制御部50と、採取位置取得部52と、位置入力時刻取得部54と、対象情報取得部56Aと、紐付け部60と、通知部62とを有する。採取位置入力部10Aは、対象状態情報獲得部38が対象状態情報Bを採取する。また、対象情報取得部56Aは、対象状態情報獲得部38が採取した対象状態情報Bを取得し、対象状態情報Bが採取された採取時刻を取得する。対象情報取得部56Aは、対象状態情報Bと採取時刻とに基づき、採取時刻関係テーブルを生成する。採取位置入力部10Aは、その他の点は、図2に示す採取位置入力部10と同様の機能を有する。採取位置入力部10Aは、このように一体の装置であることで、作業者Hの形態する携帯端末を少なくすることができる。
また、本実施形態においては、採取位置入力部10が、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付けを行っていた。ただし、採取位置Aと対象状態情報Bとの紐付けは、採取位置入力部10以外が行ってもよい。図11は、本実施形態の他の例に係る対象状態情報管理システムの模式的なブロック図である。図11は、外部サーバ14Bが紐付けを行う例を示している。図11に示す対象状態情報管理システム1Bは、採取位置入力部10Bと、対象状態情報採取部12と、外部サーバ14Bとを有する。採取位置入力部10Bは、制御部28Bが、対象情報取得部56と、紐付け部60とを有さない以外は、図2に示す採取位置入力部10と同様である。外部サーバ14Bは、対象情報取得部56と、紐付け部60とを有する。対象情報取得部56は、採取位置入力部10Bから、入力時刻関係テーブル、すなわち採取位置Aと入力時刻とを取得する。また、対象情報取得部56は、対象状態情報採取部12から、採取時刻関係テーブル、すなわち対象状態情報Bと採取時刻とを取得する。紐付け部60は、対象情報取得部56が取得した採取位置Aと対象状態情報Bとを紐付ける。このように、外部サーバ14が紐付けを行うことで、採取位置入力部10Bが、紐付けを行う必要がなくなり、携帯端末である採取位置入力部10Bの電力消費を抑制することができる。なお、対象情報取得部56と、紐付け部60とは、対象状態情報採取部12に設けてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。