JP7032723B2 - 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット - Google Patents

薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット Download PDF

Info

Publication number
JP7032723B2
JP7032723B2 JP2017141689A JP2017141689A JP7032723B2 JP 7032723 B2 JP7032723 B2 JP 7032723B2 JP 2017141689 A JP2017141689 A JP 2017141689A JP 2017141689 A JP2017141689 A JP 2017141689A JP 7032723 B2 JP7032723 B2 JP 7032723B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
evaluating
genes
proarrhythmic
gene
test compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017141689A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019017356A (ja
Inventor
慎哉 渡辺
基樹 高木
亜里砂 比嘉
裕孝 星
順一 今井
恵美 伊藤
夕佳 酒井
玲子 富樫
進 松倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MEDICROME, INC.
Nippon Gene KK
Fukushima Medical University
Original Assignee
MEDICROME, INC.
Nippon Gene KK
Fukushima Medical University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MEDICROME, INC., Nippon Gene KK, Fukushima Medical University filed Critical MEDICROME, INC.
Priority to JP2017141689A priority Critical patent/JP7032723B2/ja
Publication of JP2019017356A publication Critical patent/JP2019017356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7032723B2 publication Critical patent/JP7032723B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキットに関する。
新薬の臨床開発において、最も深刻な副作用として心毒性(特に、致死性の不整脈)が知られている。臨床試験中に開発薬による致死性の不整脈が発生すれば、この副作用が原因で開発中止となる。また、上市された薬剤の中でも、循環器薬領域ばかりではなく、抗アレルギー薬、消化器治療薬、抗菌薬などが、致死性の不整脈の発生により市場から撤退していることも少なくない。従って、医薬品開発企業にとっては、非臨床試験で開発薬が致死性の不整脈作用を持つか否かを判断することができれば、新薬開発の上で非常に有用な技術となる。
一方、薬物の致死性の不整脈作用(QT延長や催不整脈作用)を検出する方法として、in vitro測定としてはhERG(human Ether-a-go-go Related Gene)アッセイ試験、ex vivo試験としてはモルモットの摘出乳頭筋試験 (Action Potential Duration試験)やランゲルドルフ灌流心試験、in vivo試験としてはイヌやサルなどを用いたテレメトリー、あるいは心電図の測定試験や慢性房室ブロックモデルによる試験が行われている。
hERGアッセイは、試験化合物を被験者における心毒性の誘発能に関してスクリーニングするためのアッセイ法であって、例えば、蛍光トレーサーとhERGカリウムイオンチャネルとの間の結合相互作用、及び試験化合物がその結合相互作用に影響を及ぼす性向を利用する方法が開示されている(特許文献1)。
また、医薬品、生物製剤、ならびにその他の化合物又は環境要因に応答して、好ましくは心筋細胞又はhESC由来もしくはヒトiPS由来の心臓特異的細胞から分泌される複数の低分子量分子を同定するための試薬及び方法が開示されている(特許文献2)。
特表2011-517317号公報 特表2013-506438号公報
しかしながら、hERGアッセイ試験の問題点は、技術的に熟練を要すること、活動電位に対する評価ができないこと、偽陽性がでやすいこと、さらに偽陰性も報告されていることが挙げられる。また、in vivo試験においては、ヒトと動物との種差による偽陽性や偽陰性が報告されていること、測定に時間を要すること、コストがかかること、手技の安定性、手法による感度の違いなどの問題が指摘されている。
これらの既存技術は、特定の反応だけを検出するものであり、包括的な心毒性を評価することはできないため、複数の試験を行い、評価する必要があるという問題がある。また、特許文献2に記載のバイオマーカーについても、心毒性薬理物質として、ドキソルビシン、パクリタキセル及びタモキシフェンを用いて評価したものであり、作用機序の異なる薬剤の心毒性評価にまで一般化することはできない。
本発明の課題は、従来技術に比べて簡便かつ再現性良く薬物の心毒性を包括的に評価できる方法を提供することである。
そこで、発明者らは、細胞を用いることで、一度に多数の薬物を短時間で評価することが可能となるシステム開発を行い、心毒性を有する様々な既知化合物を細胞(特に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞)に作用させることにより有意に発現変動する遺伝子群を特定し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の一実施形態における心毒性を評価するための試薬又はキットは、以下の18種類の遺伝子:
(1) cytochrome P450, family 51, subfamily A, polypeptide 1 (CYP51A1) (NM_000786)
(2) 7-dehydrocholesterol reductase (DHCR7) (NM_001360)
(3) farnesyl diphosphate synthase (FDPS) (NM_002004)
(4) squalene epoxidase (SQLE) (NM_003129)
(5) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMGCR) (NM_000859)
(6) lipin 1 (LPIN1) (NM_145693)
(7) farnesyl-diphosphate farnesyltransferase 1 (FDFT1) (NM_004462)
(8) fatty acid synthase (FASN) (NM_004104)
(9) transmembrane protein 97 (TMEM97) (NM_014573)
(10) hydroxysteroid (17-beta) dehydrogenase 7 (HSD17B7) (NM_016371)
(11) StAR-related lipid transfer (START) domain containing 4 (STARD4) (NM_139164)
(12) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA synthase 1 (soluble) (HMGCS1) (NM_002130)
(13) methylsterol monooxygenase 1 (MSMO1) (NM_006745)
(14) isopentenyl-diphosphate delta isomerase 1 (IDI1) (NM_004508)
(15) acetyl-CoA acetyltransferase 2 (ACAT2) (NM_005891)
(16) 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24) (NM_014762)
(17) insulin induced gene 1 (INSIG1) (NM_005542)及び
(18) stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD) (NM_005063)
から選択される1以上の遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを含むことを特徴とする。
また、他の実施形態における心毒性の評価方法は、試験化合物の存在又は非存在下で、哺乳動物細胞内における上記18種類の遺伝子から選択される1以上の遺伝子の発現レベルを測定する工程と、前記試験化合物の存在下における選択された遺伝子の発現レベルが、前記試験化合物の非存在下における発現レベルと比較して増加している場合に、前記試験化合物が心毒性を有すると推定する工程を含むことを特徴とする。
これらの遺伝子群を用いた細胞ベースの評価系を構築することにより、in vivo試験よりもはるかにコストを抑えることができるとともに、アッセイ系の安定性及び再現性を確保でき、hERGアッセイ試験に比べて感度が高く、薬物の心毒性を包括的に判断することが可能となる。さらに、in vivo試験とは異なり、個体差を排除できることから、従来の技術よりも偽陽性や偽陰性が少なくなるという利点を有する。
18遺伝子の発現レベルのスコア化による催不整脈リスクの評価(A)催不整脈薬剤により遺伝子発現が上昇をした18遺伝子の発現レベルのヒートマップ。発現量 (subtracted log ratios)は、赤色が高発現、青色が低発現を示す。白色は検出限界以下であったことを意味する。(B)18遺伝子の発現レベルのスコア化。それぞれの化合物を処理した細胞の18遺伝子の発現値の総和を示した。 18遺伝子から任意に選択した10個の遺伝子の発現レベルのスコア化による催不整脈リスク評価結果である。 18遺伝子から任意に選択した1個の遺伝子の発現レベルのスコア化による催不整脈リスク評価結果である。 実施例で使用した薬剤についての催不整脈リスクと血中最高濃度の関係を示す。各薬剤の催不整脈リスクは、細胞を処理した時の濃度で示した。〇:リスクなし、●:リスクあり、◆:Cmax、◇:Cmaxの100倍濃度、横線は◆と◇の間を結んだ。
[遺伝子発現解析による薬剤の心毒性評価システム]
薬剤の心毒性を評価するための遺伝子は、複数の催不整脈性薬剤のそれぞれで処理した細胞と処理しなかった細胞とにおける包括的な遺伝子発現を解析することにより選択される。後述する実施例で詳細に説明するように、臨床上、副作用として催不整脈を持つ薬剤化合物を処理した細胞群(以下「催不整脈群」という。)と、これらの薬剤処理をしなかった細胞群との間でt検定による2群比較を行い、発現レベルに有意差のある遺伝子群を抽出する。さらに、両群それぞれにおいて平均値を算出し、それらの平均値の差が2倍以上になる遺伝子群、かつ、催不整脈群で発現レベルが上昇する遺伝子群を抽出することにより、薬剤処理をしなかった細胞の遺伝子発現と比較して、催不整脈を持つ薬剤化合物を処理したすべての細胞で発現レベルが上昇する複数の遺伝子を選択することができる。選択された遺伝子の発現レベルを数値化(以下「スコア化」と称する場合もある。)し、薬剤の催不整脈リスクを評価し、その閾値を適宜設定することにより、催不整脈を持つ薬剤化合物と、催不整脈を持たない薬剤化合物を識別することができる。
統計的有意性を評価するために、種々のt検定、例えば、パラメトリック変数に適用されるステューデントのt検定の他、正規性条件は満たすが等分散性条件を満たさない遺伝子変数にはAspin-Welch不等分散検定(AW)を使用することができる。さらに、倍率変化(Fold Change)及びROC曲線解析などを行って統計的に有意差のある遺伝子を抽出してもよい。
これらの方法により選択され、本発明で用いる遺伝子の一実施形態は、以下に示す18個の遺伝子である。カッコ内に遺伝子のシンボルとNCBIの参照番号を示す。
(1) cytochrome P450, family 51, subfamily A, polypeptide 1 (CYP51A1) (NM_000786)
(2) 7-dehydrocholesterol reductase (DHCR7) (NM_001360)
(3) farnesyl diphosphate synthase (FDPS) (NM_002004)
(4) squalene epoxidase (SQLE) (NM_003129)
(5) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMGCR) (NM_000859)
(6) lipin 1 (LPIN1) (NM_145693)
(7) farnesyl-diphosphate farnesyltransferase 1 (FDFT1) (NM_004462)
(8) fatty acid synthase (FASN) (NM_004104)
(9) transmembrane protein 97 (TMEM97) (NM_014573)
(10) hydroxysteroid (17-beta) dehydrogenase 7 (HSD17B7) (NM_016371)
(11) StAR-related lipid transfer (START) domain containing 4 (STARD4) (NM_139164)
(12) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA synthase 1 (soluble) (HMGCS1) (NM_002130)
(13) methylsterol monooxygenase 1 (MSMO1) (NM_006745)
(14) isopentenyl-diphosphate delta isomerase 1 (IDI1) (NM_004508)
(15) acetyl-CoA acetyltransferase 2 (ACAT2) (NM_005891)
(16) 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24) (NM_014762)
(17) insulin induced gene 1 (INSIG1) (NM_005542)及び
(18) stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD) (NM_005063)
これらの遺伝子配列は、DDBJ/ENA/GenBank等の公的データベースから参照番号に基づき入手することが可能である。
[薬剤の心毒性評価用試薬]
本発明に係る心毒性評価に用いるヌクレオチドは、上記18種類の遺伝子から選択される1以上の遺伝子配列を含むヌクレオチド又はその断片配列からなるヌクレオチドを含む。また、本発明に用いるヌクレオチドは、上記ヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド及びその断片配列からなるヌクレオチドも含まれる。このようなヌクレオチドとしては、例えば、上記塩基配列との配列同一性の程度が、全体の平均で約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、特に好ましくは約98%以上である塩基配列を含むヌクレオチド等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、「1XSSC、0.1%SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5XSSC、0.1%SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2XSSC、0.1%SDS、65℃」程度の条件である。このようにハイブリダイゼーションの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い配列同一性を有するヌクレオチドを単離し得る。ただし、上記のSSC、SDS及び温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であればハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記もしくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーションの反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。さらに、これらの遺伝子はバリアントを有する場合もあり、本発明で用いる遺伝子には上記遺伝子のバリアントも含まれる。バリアントの塩基配列は遺伝子データベースにアクセスすることにより得ることができる。本発明のヌクレオチドは該バリアントの塩基配列を含むヌクレオチド又はその断片配列からなるヌクレオチドも含む。
本発明において、遺伝子の発現レベルとは、遺伝子の発現量、発現強度又は発現頻度をいい、通常、遺伝子に対応する転写産物の産生量、又はその翻訳産物の産生量、活性等により解析することができる。また、発現プロファイルとは、各遺伝子の発現レベルに関する情報をいう。遺伝子の発現レベルは、絶対値で表してもよく、また相対値で表してもよい。なお、発現プロファイルを発現パターンという場合もある。
発現レベルの測定は、遺伝子の転写産物、すなわちmRNAの測定により行ってもよいし、遺伝子の翻訳産物、すなわちタンパク質の測定により行ってもよい。好ましくは、遺伝子の転写産物の測定により行なう。遺伝子の転写産物には、mRNAから逆転写されて得られたcDNAも含まれる。
遺伝子の転写産物の測定は、上記の遺伝子の塩基配列の全部又は一部を含むヌクレオチドをプローブ又はプライマーとして用いて遺伝子発現の程度を測定すればよい。遺伝子発現の程度は、定量しようとする遺伝子又はその断片をターゲットとした定量PCR法、マイクロアレイ(マイクロチップ)を用いた方法、ノーザンブロット法等で測定することが可能である。好ましくは定量PCR法又はDNAマイクロアレイで遺伝子発現を測定する。
定量PCR法としては、アガロースゲル電気泳動法、蛍光プローブ法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、ATAC-PCR法(Kato,K.et al.,Nucl.Acids Res.,25, 4694-4696,1997)、Taqman PCR法(SYBR(登録商標)グリーン法)(Schmittgen TD,Methods25,383-385,2001)、BodyMap法(Gene,174,151-158(1996))、Serial analysis of gene expression(SAGE)法(米国特許第527,154号、第544,861号、欧州特許公開第0761822号)、MAGE法(Micro-analysis of Gene Expression)(特開2000-232888号)等がある。リアルタイムPCRとしては、例えばTaqMan(登録商標)プローブを用いた方法等が挙げられる。ここに挙げた方法はいずれも公知の方法で行うことができる。
PCR法は公知の手法で行うことができる。用いるプライマーの塩基長は、5~50、好ましくは10~30、さらに好ましくは15~25である。通常、標的遺伝子の塩基配列に基づいてフォワードプライマー及びリバースプライマーが設計される。本発明の方法において、配列番号1~18の標的遺伝子の塩基配列に基づいてプライマーの配列を設計することができる。
これらの方法を用いて、上記遺伝子の全部又は一部から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の量を測定すればよい。
DNAマイクロアレイ(DNAチップ)は、前記遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを適当な基板上に固定化することにより作製することができる。
固定基板としては、ガラス板、石英板、シリコンウェハーなどが挙げられる。基板の大きさとしては、例えば3.5mm×5.5mm、18mm×18mm、22mm×75mmなどが挙げられるが、これは基板上のプローブのスポット数やそのスポットの大きさなどに応じて様々に設定することができる。ポリヌクレオチド又はその断片の固定化方法としては、ヌクレオチドの荷電を利用して、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンなどのポリ陽イオンで表面処理した固相担体に静電結合させたり、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などの官能基を導入した固相表面に、アミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入したヌクレオチドを共有結合により結合させたりすることもできる。固定化は、アレイ機を用いて行ってもよい。上記18個の遺伝子から選択される1以上の遺伝子又はその断片を基板に固相化してDNAマイクロアレイを作製し、該DNAマイクロアレイと蛍光物質で標識した被験体由来のmRNA又はcDNAを接触させ、ハイブリダイズさせ、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度を測定することにより、mRNAの種類と量を決定することができる。その結果、被験体において発現レベルが変動している遺伝子がわかり、遺伝子発現プロファイルを得ることができる。被験体由来のmRNAを標識する蛍光物質は、限定されず、市販の蛍光物質を用いることができる。例えば、Cy3、Cy5等を用いればよい。mRNAの標識は公知の方法で行うことができる。DNAマイクロアレイを用いた方法は、上記遺伝子のmRNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブの使用により測定することができる。測定に用いるプローブの塩基長は、10~100 mer、好ましくは10~80 mer、さらに好ましくは15~50 merである。なお、プローブにはPCR産物を用いることもでき、そのプローブの塩基長は、50~5,000bp、好ましくは50~2,000bp、さらに好ましくは100~1,000bpである。
本発明の一実施形態として、DNAマイクロアレイに搭載するオリゴDNAの配列として以下の80塩基からなる配列を挙げることができる。
Figure 0007032723000001
遺伝子の翻訳産物の測定は、翻訳されたタンパク質を定量するか、又はタンパク質の活性を測定すればよい。タンパク質の定量はELISA等の免疫測定法により行うことができる。
本発明の心毒性を評価するための試薬又はキットには、表4に記載の18種類の遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子又はそのホモログ遺伝子の遺伝子産物に特異的なプローブ又はプライマー、又は上記遺伝子の遺伝子産物に特異的な抗体が含まれている。本発明の心毒性を評価するための試薬又はキットには、更に所望により、標識、標識二次抗体、担体、サンプル希釈液、酵素基質、反応停止液、標準物質、遺伝子の発現量、発現変動、発現変動量などを含めてもよい。さらに必要に応じて、洗浄バッファー、保存剤、防腐剤などを加えることもできる。本発明の試薬又はキットに含まれるプライマー、プローブ、抗体などは、1種のみでもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらは、固体でも液体でもよく、単一又は複数の固相上に固定されているもの、例えば、マイクロタイタープレートのようなプレートに個別に分注された状態となっていてもよいし、アレイ・チップに固定された状態でもよい。
本発明の好ましい実施形態では、上記18種類の遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを含む、心毒性を評価するためのDNAマイクロアレイを挙げることができる。
[薬剤の心毒性の評価方法]
本発明に係る薬剤の心毒性の評価方法は、試験化合物の存在又は非存在下で、哺乳動物細胞内における、上記18種類の遺伝子から選択される1以上の遺伝子の発現レベルを測定する工程を含む。より具体的には、本工程の一実施形態として、以下の工程を含むことができる。
(a)哺乳動物細胞を試験化合物と接触させる工程、
(b)上記工程(a)で試験化合物と接触させた細胞及び試験化合物と接触させなかった対照細胞からRNAを抽出する工程、及び
(c)抽出されたRNAを用いて、上記選択された遺伝子の発現レベルを決定する工程、である。
以下、(a)~(c)の各工程について詳細に説明する。
工程(a)において試験化合物と接触させる細胞は、培養可能な哺乳動物細胞であれば特に制限されないが、ヒト、ラット及びマウス由来の細胞が好ましく、なかでもヒト由来の細胞が好ましい。細胞の由来する組織についても特に制限されないが、心筋由来細胞が好ましい。心筋細胞は、幹細胞から分化誘導したものであってもよく、ES細胞及びiPS細胞を公知の方法にて心筋に分化誘導して得られた心筋細胞を含む。特に好ましくは、ヒトのiPS細胞又はES細胞由来の心筋細胞であり、これらを用いることで哺乳動物種差による遺伝子発現の違いによる影響も解決することができる。
工程(b)は、当業者に周知の種々の方法により、哺乳動物細胞からRNAを抽出すればよい。
工程(c)における18種類の遺伝子の発現レベルは、例えばin situハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、核酸増幅技法(例えばPCR、定量PCR、リガーゼ連鎖反応など)、RNASeq及びマイクロアレイ解析などといったさまざまな技法のいずれかによって、同定及び/又は定量することができる。mRNAのレベルは、最も簡便にはノーザンブロッティングによって定量的に測定することができる。RNAの試料をアガロースゲル上で分離し、ターゲット配列に相補的な放射標識RNAプローブにハイブリダイズさせる。次に、オートラジオグラフによって放射標識RNAを検出する。
mRNAの存在量を測定するための他のアプローチは、逆転写定量ポリメラーゼ連鎖反応である。RT-PCRは、まず、mRNAから逆転写によって、cDNAと呼ばれるDNAテンプレートを生成させる。次に、このcDNAテンプレートを、プローブの蛍光の変化がDNA増幅プロセスの進行に伴って変化するqPCRに使用する。qPCRは、標準曲線を使って、mRNAのコピー数などの絶対値の測定を、典型的には、ホモジナイズした組織1ナノリットルあたりのコピー数又は1細胞あたりのコピー数という単位で、もたらすことができる。qPCRは非常に高感度である(単一mRNA分子の検出が可能である)。
もう一つのアプローチは、直接的なデジタル定量のために一つずつ検出して数え上げることができる蛍光バーコード(ナノストリング)で単一mRNA分子を個別にタグ付けすることである(Krassen Dimitrov、NanoString Technologies)。また、異なるmRNAの細胞濃度の相対的尺度を与えることができる逐次遺伝子解析(Serial analysis of gene expression)法(SAGE)のような「タグベース」の技術も、使用することができる。
また、数多くの遺伝子について転写産物レベルを一度に決定するために(発現プロファイリング)、DNAマイクロアレイを使用することもできる。マイクロアレイ技術の最近の進歩により、ヒトを含むいくつかの生物のゲノムにおけるあらゆる公知遺伝子について、転写産物レベルを一つのアレイ上で定量することが可能になっている。
さらに本発明の方法は、上記決定された遺伝子発現結果に基づいて、試験化合物の存在下における上記選択されたすべての遺伝子の発現レベルが、試験化合物の非存在下における発現レベルと比較して増加している場合に、試験化合物が心毒性を有すると推定する工程を含む。あるいは、試験化合物の非存在下での発現レベルに対して、試験化合物の存在下での各遺伝子の発現レベルの比率(倍率変化)を計算し、これらの総和が所定値以上のときに当該試験化合物が心毒性を有すると判断することもできる。判断基準となる所定値は、心毒性を有する薬剤と、心毒性を有しない薬剤とを識別できるように適宜設定することが可能である。上記18種類の遺伝子の中から選択される遺伝子としては、特に制限されないが、5個以上の任意の遺伝子が好ましく、10個以上の任意の遺伝子がさらに好ましく、15個以上の任意の遺伝子がさらになお好ましく、18個すべての遺伝子を用いることが最も好ましい。単一の遺伝子を用いる場合は、コントロール(薬剤非処理又は溶媒処理)の場合と比べて発現レベルの差が小さく識別力が弱いものの、上記18種類の遺伝子の中で、(1)、(3)、(4)及び(12)~(16)の遺伝子は、実施例における表2のすべての催不整脈薬について、コントロールよりも発現レベルが上昇しているためこれらの少なくとも1つを含むことが好ましい。また、単一の遺伝子について、少数の催不整脈薬についてはコントロールよりも発現レベルが低下する偽陰性データが含まれる場合でも、これらを組み合わせることで、試験化合物についての偽陰性結果の確立を減少させることができる。
以下の実施例は、本発明の一定の態様及び局面を実証し、さらに例示するために掲載されるものであって、本発明の範囲を限定していると解釈すべきではない。
[実施例1]ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた遺伝子発現解析による薬剤の催不整脈活性評価
使用した薬剤と試薬
アンブリセンタン、アムロジピン、ビソプロロール、カンデサルタン、リナグリプチン、ナフトピジル、プラスグレル、スマトリプタンは、セレックケミカルズ社(Selleck Chemicals, Houston, TX, USA)から、クロニジン、グリブリド、リシノプリル、ニコランジル、プロパフェノンは和光純薬工業株式会社から、エホニジピン、ミベフラジル、テルフェナジン、テロジリンはシグマ社から、アリスキレン、ワーファリンはLKT Laboratories社から、アステミゾール、ベプリジルはTocris Bioscience社から、アミオダロン、アトルバスタチンはToronto Research Chemicals社から、シサプリドはAbcam社から、ケトチフェンは東京化成工業株式会社からそれぞれ購入した。すべての薬剤はジメチルスルフォキシド(DMSO):メタノール(7:3)の混合液で溶解し、-80℃の冷凍庫で凍結保存した。細胞培養のためのゲンタマイシンとゼラチン(Type A, Cell Culture Tested)は、それぞれ和光純薬工業株式会社とシグマ社から購入した。
細胞培養
iCell Cardiomyocytesは、Cellular dynamics international社から購入し、添付のプロトコールに従い培養を行った。6ウェルプレートに5×10個/ウェルになるように細胞を播種し、細胞に添付されている播種用培地を用いて、37℃、7%COインキュベーターで培養した。播種48時間後に、ゲンタマイシン (50μg/mL)を含む維持培地に培地交換した。維持培地は、1日おきに培地交換を行い、播種後6日間培養を行った。薬剤処理のために、使用直前に薬剤を維持培地に添加し、その培地を用いて培地交換を行った。薬剤処理時間は24時間とした。また、薬剤無処理のコントロールとしてDMSO/メタノールの混合液を最終濃度で0.1%になるように処理した。
包括的な遺伝子発現解析
14400種類のヒトゲノムの転写産物に対する80塩基の合成ポリヌクレオチドを合成し、カスタムアレイを作製した(MicroDiagnostic, Tokyo, Japan )。薬剤処理又は非処理の細胞からの全RNA抽出は、株式会社ニッポンジーン製のアイソジェン(ISOGEN)を用いて行った。全RNAは、Super Script II(インビトロジェン社製)を用い、各サンプルについてはシアニン-5-dUTP(パーキンエルマー社製)で標識し、22種類のヒト細胞株から抽出した全RNAを等量混合して調製したヒト共通参照RNAについてはシアニン-3-dUTP(パーキンエルマー社製)で標識した。ハイブリダイゼーションは、Labeling and Hybridization kit (MicroDiagnostic社製)を用いて行った。マイクロアレイからのシグナルは、GenePix 4000B scanner (Molecular Devices社製)を用いて測定した。
臨床上、副作用として催不整脈を持つ薬剤8化合物と、持たない薬剤17化合物を心筋細胞に100μM、64μM、50μM又は10μMの濃度で24時間処理し、溶媒無処理及び薬剤無処理(DMSO/メタノールの混合液処理)の細胞とともに、それらからDNAマイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを取得した(以下「一次比データ」という。)。取得した遺伝子発現プロファイルを用い、まず、溶媒無処理及び薬剤無処理(DMSO/メタノールの混合液処理)の細胞から得られた発現データの平均値を遺伝子ごとに算出した(以下「平均値」という。)。次に、一次比データの値から、遺伝子ごとにその平均値を減算した(以下「二次比データ」という。)。溶媒無処理及び薬剤無処理(DMSO/メタノールの混合液処理)の細胞群(以下「対照群」という。)と臨床上、副作用として催不整脈を持つ薬剤8化合物を処理(100μM、64μM、50μM、10μM又は1μMの濃度で処理したもの全てを含む。)した細胞群(以下「催不整脈群」という。)との間でt検定による2群比較を行いP値が1×10-12以下になる遺伝子群を抽出した。さらに、両群それぞれにおいて平均値を算出し、それらの平均値の差が2倍以上になる遺伝子群、かつ、催不整脈群で発現レベルが上昇する遺伝子群を抽出した。
結果と考察
QT延長に伴う催不整脈活性の評価システムを構築するため、循環器系、アレルギー系並びに泌尿器及び肛門系の経口薬を含む、8種類の催不整脈薬(表2)及び17種類の非催不整脈薬(表3)を選択した。この8種類の催不整脈薬の中には、QT延長による心室頻拍(TdP)を誘導することが原因で撤退した5種類の薬剤を含む (the Japan Pharmaceutical References; Fermini and Fossa, 2003)。
Figure 0007032723000002
Figure 0007032723000003
維持培地で培養したiCell心筋細胞は、播種後24時間で拍動を開始した。自発的かつ安定して拍動を行う播種後6日目の細胞を各種薬剤にて処理した。最初に、すべての薬剤を100μMにて24時間処理した。細胞毒性を示すか又は培地中で不溶化した薬剤については、アトルバスタチン、エホニジピン、リナグリプチン及びスマトリプタンを除き、10μMにて処理した。加えて、アトルバスタチン又はエホニジピン、リナグリプチン及びスマトリプタンについては、最終濃度が64又は50μMで細胞を処理した(表3参照)。
24時間後、処理した細胞を顕微鏡で観察した。テルフェナジンを除く催不整脈薬剤は、細胞の拍動を停止させた。一方、テルフェナジンは、拍動数を増加させた(表2)。さらに、アステミゾール、ベプリジル、ミベフラジル、プロパフェノン、テルフェナジン及び テロジリンは、心筋細胞の形態変化をひき起こした(データ示さず)。アリスキレン(100μM)、アムロジピン(10、1μM)及びエホニジピン(50、10μM)は、非催不整脈薬であるが、これらは細胞の拍動を停止させた。グリブリド、ナフトピジル、ニコランジル、及びプラスグレルは、拍動数を増加させ、リナグリプチンは拍動数を低下させた(表3)。さらに、アムロジピン、エホニジピン及びリシノプリルで処理した細胞は形態変化を示した(データ示さず)。
次に、維持培地中の8種類の催不整脈薬により発現量が増加した遺伝子を探索するため、包括的な遺伝子発現解析を行った。薬剤無処理細胞に比べ催不整脈薬で処理した細胞内で発現量が増加する18種類の遺伝子を表4に示す。この18種類の遺伝子の発現レベルを、試験化合物の非存在下での発現レベルの平均値に対する存在下での発現レベルの比率でスコア化し、薬剤の催不整脈リスクをこのスコアで評価した(図1)。スコアの算出は高い再現性を示し、15以上のスコアを有する薬剤が催不整脈リスクを有することを示した(図1)。
また、上記18種類の遺伝子の中から、任意に選択した10個の遺伝子の発現レベルのヒートマップ及びスコアを図2に示す。図2に示したように、催不整脈薬の中で最もスコアが低かった10μMのシサプリド処理における10個の遺伝子発現レベルは、薬剤無処理(溶媒のみ)の場合と比べて有意に増加しており、10個の遺伝子を用いた場合でも薬剤の心毒性の有無を評価できることが分かった。
さらに単一の遺伝子を用いた場合の発現レベルとして、(1) CYP51A1 (NM_000786)、(2) DHCR7 (NM_001360)及び(3) FDPS (NM_002004)のそれぞれの遺伝子についてのヒートマップ及びスコアを図3に示す。これらの遺伝子単独では、スコアが小さく識別力は弱いものの、薬剤無処理又は溶媒無処理の場合と比べて遺伝子発現レベルが増加していることが分かる。
Figure 0007032723000004
予測通り、すべての催不整脈薬は催不整脈リスクを示した(図1)。非催不整脈薬のほとんどは催不整脈リスクを示さなかったが、アリスキレン、アムロジピン、ビソプロロール及びリナグリプチンは催不整脈リスクを示した(図1)。さらに、この催不整脈リスク評価は、薬剤による拍動頻度の変化と一致していなかった。そこで、このリスクと薬剤の最高血中濃度(Cmax)との関係を調べた。催不整脈薬の処理濃度は、その薬剤のCmax値の100倍以内であった(図4)。一方、非催不整脈薬のうち崔不整脈リスクを示したアリスキレン、アムロジピン、ビソプロロール及びリナグリプチンの処理濃度は、Cmax値の100倍を超えていた。そこで、これらの化合物については1μM又は10μMの濃度にて再試験を行った(図4)。その結果、Cmax値の100倍を超える1μM又は10μMの濃度では、これらの化合物は催不整脈リスクを示さなかった(図4)。全体として、これらの結果は、本発明の方法を用いて薬剤のCmax値の100倍以下の濃度で催不整脈リスクを示したときは、その薬剤が経口投与により催不整脈を起こすことを示唆する。
発現レベルの上昇していた18種類の遺伝子のうち、11種類の遺伝子(DHCR7, FDPS, SQLE, HMGCR, FDFT1, HSD17B7, HMGCS1, MSMO1, IDH, ACAT2, and DHCR24)は、コレステロール生合成遺伝子である(表4)。コレステロール生合成におけるこれらの遺伝子により合成される酵素は、細胞膜の流動性に関わり、これらの酵素の活性化によるコレステロールの増加は、膜の流動性を低下させる。これらの結果は、催不整脈薬を長期間服用することで、心筋細胞の膜の流動性に変化を誘導することが示唆される。

Claims (14)

  1. 以下の18種類の遺伝子:
    (1) cytochrome P450, family 51, subfamily A, polypeptide 1 (CYP51A1)
    (2) 7-dehydrocholesterol reductase (DHCR7)
    (3) farnesyl diphosphate synthase (FDPS)
    (4) squalene epoxidase (SQLE)
    (5) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMGCR)
    (6) lipin 1 (LPIN1)
    (7) farnesyl-diphosphate farnesyltransferase 1 (FDFT1)
    (8) fatty acid synthase (FASN)
    (9) transmembrane protein 97 (TMEM97)
    (10) hydroxysteroid (17-beta) dehydrogenase 7 (HSD17B7)
    (11) StAR-related lipid transfer (START) domain containing 4 (STARD4)
    (12) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA synthase 1 (soluble) (HMGCS1)
    (13) methylsterol monooxygenase 1 (MSMO1)
    (14) isopentenyl-diphosphate delta isomerase 1 (IDI1)
    (15) acetyl-CoA acetyltransferase 2 (ACAT2)
    (16) 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24)
    (17) insulin induced gene 1 (INSIG1)及び
    (18) stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD)
    から選択される1以上の遺伝子の哺乳動物由来の心筋細胞内での発現レベルに基づいて、薬剤の催不整脈作用を評価するための試薬又はキットであって、前記選択された各遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを含むことを特徴とする、催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  2. 前記選択された遺伝子が、(1)、(3)、(4)及び(12)~(16)の何れか1つ以上を含む請求項1に記載の催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  3. 前記選択された遺伝子が、(2)、(5)~(11)、(17)及び(18)の組み合わせからなる請求項1に記載の催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  4. 前記各遺伝子の塩基配列の一部配列を含むヌクレオチドが、PCR用の一対のプライマーである請求項1~3何れか一項に記載の催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  5. 前記各遺伝子の塩基配列の一部配列を含むヌクレオチドが、DNAマイクロアレイ用のプローブである請求項1~何れか一項に記載の催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  6. 前記各遺伝子の塩基配列の一部配列を含むヌクレオチドが、RNAシークエンス用のプライマーである請求項1~何れか一項に記載の催不整脈作用を評価するための試薬又はキット。
  7. 請求項1に記載された18種類の遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを含む、催不整脈作用を評価するためのDNAマイクロアレイ。
  8. 試験化合物の存在又は非存在下で、哺乳動物由来の心筋細胞内における以下の18種類の遺伝子:
    (1) cytochrome P450, family 51, subfamily A, polypeptide 1 (CYP51A1)
    (2) 7-dehydrocholesterol reductase (DHCR7)
    (3) farnesyl diphosphate synthase (FDPS)
    (4) squalene epoxidase (SQLE)
    (5) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMGCR)
    (6) lipin 1 (LPIN1)
    (7) farnesyl-diphosphate farnesyltransferase 1 (FDFT1)
    (8) fatty acid synthase (FASN)
    (9) transmembrane protein 97 (TMEM97)
    (10) hydroxysteroid (17-beta) dehydrogenase 7 (HSD17B7)
    (11) StAR-related lipid transfer (START) domain containing 4 (STARD4)
    (12) 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA synthase 1 (soluble) (HMGCS1)
    (13) methylsterol monooxygenase 1 (MSMO1)
    (14) isopentenyl-diphosphate delta isomerase 1 (IDI1)
    (15) acetyl-CoA acetyltransferase 2 (ACAT2)
    (16) 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24)
    (17) insulin induced gene 1 (INSIG1)及び
    (18) stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD)
    から選択される1以上の遺伝子の発現レベルをin vitroにおいて測定する工程と、
    前記試験化合物の存在下における選択された遺伝子の発現レベルが、前記試験化合物の非存在下における発現レベルと比較して有意に増加している場合に、前記試験化合物が催不整脈作用を有すると推定する工程を含むことを特徴とする、前記試験化合物の催不整脈作用の評価方法。
  9. 前記選択された遺伝子が、(1)、(3)、(4)及び(12)~(16)の何れか1つ以上を含む請求項8に記載の催不整脈作用の評価方法。
  10. 前記選択された遺伝子が、(2)、(5)~(11)、(17)及び(18)の組み合わせからなる請求項8に記載の催不整脈作用の評価方法。
  11. 前記哺乳動物由来の心筋細胞が、ヒト、ラット又はマウス由来の細胞である請求項8~10何れか一項に記載の催不整脈作用の評価方法。
  12. 前記哺乳動物由来の心筋細胞が、iPS細胞又はES細胞由来の心筋細胞である請求項8~11何れか一項に記載の催不整脈作用の評価方法。
  13. 前記選択された各遺伝子について、試験化合物非存在下での発現レベルに対して、試験化合物の最高血中濃度の100倍以下の濃度における試験化合物存在下での発現レベルの比率(倍率変化)を計算し、その比率の総和が所定の値以上であるときに、前記試験化合物が催不整脈作用を有すると判定する請求項8~12何れか一項に記載の催不整脈作用の評価方法。
  14. 請求項8に記載の18種類の遺伝子を選択したとき、前記所定の値が15である請求項13に記載の催不整脈作用の評価方法。
JP2017141689A 2017-07-21 2017-07-21 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット Active JP7032723B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017141689A JP7032723B2 (ja) 2017-07-21 2017-07-21 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017141689A JP7032723B2 (ja) 2017-07-21 2017-07-21 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019017356A JP2019017356A (ja) 2019-02-07
JP7032723B2 true JP7032723B2 (ja) 2022-03-09

Family

ID=65352496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017141689A Active JP7032723B2 (ja) 2017-07-21 2017-07-21 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7032723B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005517400A (ja) 2001-07-10 2005-06-16 ジーン ロジック インコーポレイテッド 心臓毒分子毒性モデリング
JP2009533017A (ja) 2006-02-27 2009-09-17 ターゲッティド・モレキュラー・ダイアグナスティクス・エルエルシー 細胞脂肪を減少させるため、心毒性を予測するため、チロシンキナーゼ阻害剤による処置による組成物および方法
US20110118127A1 (en) 2009-11-16 2011-05-19 Korea Institute Of Science And Technology Marker genes for screening of drug-induced toxicity in human cells and screening method using the same
JP2015520375A (ja) 2012-05-22 2015-07-16 バーグ エルエルシー 薬物誘発毒性マーカーを同定するための照合による細胞に基づくアッセイ
JP2015529335A5 (ja) 2013-09-12 2016-11-10

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2884637A1 (en) 2012-09-12 2014-03-20 Berg Llc Use of markers in the identification of cardiotoxic agents

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005517400A (ja) 2001-07-10 2005-06-16 ジーン ロジック インコーポレイテッド 心臓毒分子毒性モデリング
JP2009533017A (ja) 2006-02-27 2009-09-17 ターゲッティド・モレキュラー・ダイアグナスティクス・エルエルシー 細胞脂肪を減少させるため、心毒性を予測するため、チロシンキナーゼ阻害剤による処置による組成物および方法
US20110118127A1 (en) 2009-11-16 2011-05-19 Korea Institute Of Science And Technology Marker genes for screening of drug-induced toxicity in human cells and screening method using the same
JP2015520375A (ja) 2012-05-22 2015-07-16 バーグ エルエルシー 薬物誘発毒性マーカーを同定するための照合による細胞に基づくアッセイ
JP2015529335A5 (ja) 2013-09-12 2016-11-10

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019017356A (ja) 2019-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101579934B1 (ko) 직장결장암용 예후 예측
KR101987358B1 (ko) 신규한 간암 진단용 바이오 마커 및 이의 용도
KR102110039B1 (ko) 비만 진단을 위한 마이크로RNA-26b 또는 마이크로RNA-4449 바이오마커 및 이의 용도
WO2013103945A1 (en) Composite assay for developmental disorders
CA2729554C (en) Molecular signature of liver tumor grade and use to evaluate prognosis and therapeutic regimen
KR20140121524A (ko) 위암에 대한 예후 예측 모형의 제조방법
CN112553335A (zh) 肾细胞癌生物标志物及其应用
WO2013033019A1 (en) Methods for determining the integrity of a biological sample
US8173367B2 (en) In situ dilution of external controls for use in microarrays
KR101784714B1 (ko) 재발 난소암 진단 또는 난소암 재발 예측용 mirna 마커 및 그 용도
EP2182357A1 (en) Cell monitoring and molecular analysis
EP1550731A1 (en) A method for quantitative determination of multi-drug resistance in tumours
US20090269775A1 (en) Prognostic markers for classifying colorectal carcinoma on the basis of expression profiles of biological samples
Ranade et al. Methods for microRNA microarray profiling
JP7032723B2 (ja) 薬剤の心毒性評価方法及びそのための試薬又はキット
WO2020174211A1 (en) High-grade serous ovarian carcinoma (hgsoc)
KR101992539B1 (ko) miRNA 기반의 인지장애 질환 진단용 조성물 및 방법
JP2002223753A (ja) 薬物応答解析用オリゴヌクレオチドアレイ
CN112646885A (zh) 肾细胞癌miRNA分子标志物及其应用
US20160145686A1 (en) Biomarker for senescence and use thereof
US20070218460A1 (en) Method of Estimating Toxicity of Drug
RU2755663C1 (ru) Способ измерения числа копий митохондриальной ДНК человека методом цифровой полимеразной цепной реакции
EP2039780A1 (en) Single-readout multiplexing of metagenes
van Buggenum et al. Immuno-Detection by sequencing (ID-seq) enables large-scale high-dimensional phenotyping in cells
RU2749465C1 (ru) Способ определения генетических маркеров для оценки полигенного риска развития рака молочной железы (гормон-негативного и гормон-позитивного подтипов)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210730

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20210902

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210917

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7032723

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150