JP7032177B2 - 軟質ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
前記軟質ポリウレタンフォームが、
(1)ポリオールと、イソシアネートを反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、前記ポリオールが、1,6-ヘキサンジオール由来とカプロラクトン由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールを少なくとも1種含み、
前記ポリオールの総量100質量部において、前記ポリカーボネートジオールが60質量部以上100質量部以下の範囲で含有されており、イソシアネートインデックスが100以上130以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
(2)有効塩素5.0%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬下において、20時間経過後で浸漬前の形状を保持する前記(1)に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
(3)JIS L 0855:2005の弱試験に準拠して650ppmのNOx雰囲気下に15分間暴露した後に染色堅ろう度試験においてNOxガスの退変色度合いが2級以上である前記(1)または(2)に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
(4)JIS K 6400-5:2012に準拠して測定された伸びが260%以上、引張強さが130kPa以上である前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
このような本発明の軟質ポリウレタンフォームは、例えば、ブラジャーカップに代表される白度を重要視するような衣料用途や、クリーナーや水着部材等の次亜塩素酸ナトリウム溶液に曝されるような用途に好適である。
尚、以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲に関し上限と下限を示す場合がある。この場合に、数値範囲の好ましい範囲は、示される上限および下限の全ての組み合わせから決定することができる。
前記ポリオール成分は、少なくとも、ポリカーボネートジオールを1種含む。
前記イソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する化合物であって、ポリウレタンフォームを製造するために用いられ得るものであればよい。具体的には、トルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらは1種、または2種以上を混合して使用することができる。
また本発明は、酸化防止剤に代表される変色防止剤の使用に関わらず、耐NOxガス変色性に優れる軟質ポリウレタンフォームを提供するものであるが、本発明は、所定の構成を備える範囲において、酸化防止剤等の使用を何ら禁止するものではない。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、JIS L0855:2005の弱試験に準拠し、650ppmのNOx雰囲気下に15分間暴露した後の変色堅ろう度試験において、退変色度合いが2級以上であることが好ましい。上記退変色度合いは、変色の少ないほうから5級から1級で判定される。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、有効塩素5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬下において20時間経過後でも浸漬前の形状を保持することができる。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、20kg/m3以上50kg/m3以下であることが好ましい。上記密度は、JIS K 7222:2005に準拠して測定される。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、良好な伸びを示し、機械的強度という観点からは260%以上であることが好ましい。伸びの上限は特に限定されず、軟質ポリウレタンフォームの用途に応じて適宜調整されるが、一般的には700%以下である。上記伸びは、JIS K 6400-5A法:2012に準拠して測定される。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、良好な引張強さを示し、機械的強度という観点からは130kPa以上であることが好ましい。引張強さの上限は特に限定されず、軟質ポリウレタンフォームの用途に応じて適宜調整されるが、一般的には500kPa以下である。上記引張強さは、JIS K 6400-5A法:2012に準拠して測定される。
ポリオール(A):1,6-ヘキサンジオール由来とカプロラクトン由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール(ETERNACOLL UHC50-100、宇部興産株式会社製)、水酸基価112
ポリオール(B):1,6-ヘキサンジオール由来と3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオール(クラレポリオール C-1090、クラレ株式会社製)、水酸基価112
ポリオール(C):3官能ポリエーテルポリオール(アクトコールT-3000、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)、水酸基価56
ポリオール(D):2官能ポリエステルポリオール(クラレポリオールP-2050、クラレ株式会社製)、水酸基価56
イソシアネート:トルエンジイソシアネート(コスモネートT-80、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)
整泡剤:シリコーン整泡剤(SF-2904、東レ・ダウコーニング株式会社製)
触媒A:第3級アミン触媒(TOYOCAT-TEDA L-33、東ソー株式会社製)
触媒B:オクチル酸スズ(ネオスタンU-28、日東化成株式会社製)
発泡剤:水
表1に記載の配合比率にて、ポリオール成分に、整泡剤、触媒、および発泡剤を混合した後、表1に記載のイソシアネートと、混合し撹拌調製した混合物を、ベルトコンベア上に吐出した。ベルトコンベアを移動させ、常温、大気圧下において、上記混合物を自然発泡させウレタン反応させることにより、軟質ポリウレタンフォームを連続的に製造した。
その後、得られた軟質ポリウレタンフォームを、120℃の温度に維持された乾燥炉内に移動させ、硬化(キュア)させ、幅が約1000mm、高さが約500mmである長尺ブロック状の軟質ポリウレタンフォームとした。
得られたブロック状の軟質ポリウレタンフォームを所定長さに切り出し、24時間放置した後、軟質ポリウレタンフォーム裁断面を目視により観察し、以下のとおり評価した。
良好:正常な軟質ポリウレタンフォームが形成され、セルの大きさが均一で整っている。
収縮:セルの大きさが不均一で一部が収縮している。
崩壊:セルの安定化が不十分なため、軟質ポリウレタンフォームが形成される前に崩壊する。
軟質ポリウレタンフォームを、スキン層を除き、縦380mm×横380mm×厚み50mmの寸法に裁断してブロック体を作成した。上記ブロック体を用い、JIS K7222:2005に準拠して、軟質ポリウレタンフォームの見掛け密度(kg/m3)を測定した。
JIS K 6400-5:2012に準拠して軟質ポリウレタンフォームの引張強さ(kPa)及び伸び(%)を測定した。具体的には軟質ポリウレタンフォームを、JIS K 6400-5:2012で規定している2号形ダンベル形状の寸法に裁断して試験片を作成し、当該試験片の両端部を固定具に挟み、引張速度500mm/分で長さ方向に引っ張り、破断したときの最大力と標線間距離を測定し、下記(式1)及び(式2)にて求めた。
(式1)
引張強さ(kPa)
=(破断時の最大力/測定前断面積の平均値)×1000
(式2)
伸び(%)
=((破断時の標線間距離-破断前の標線間距離)/破断前の標線間距離)×100
得られた軟質ポリウレタンフォームを用い、スキン層を除いて30mm×40mm×10mmの試験片を作製した。その試験片を、JIS L0855:2005の弱試験に準拠し、650ppmのNOx雰囲気下に15分間暴露した後の変色具合を評価した。判定は、JIS L0805に基づく、変退色用グレースケールを用いて、級数を判定した。
化学特性1の試験と同様、30mm×40mm×10mmに切り出した試験片を、有効塩素5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)に完全浸漬した状態にて20時間静置した。その後、試験片を良く水洗いし、乾燥させた後の状態を確認し、形状を○、△、×で評価した。
○:形状保持した △:形状保持したが変色した ×:溶解した
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、染色堅ろう度試験において、NOxガスによる退変色度合いが2級以上で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において形状保持された。
実施例1、4、8においては、NOxガスによる退変色度合いが3級であった。
ポリオール成分として、ポリオールA50質量部とポリオールC50質量部の配合割合で使用した。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
ポリオール成分として、ポリオールA50質量部とポリオールD50質量部の配合割合で使用した。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
イソシアネートインデックスを90とした。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
イソシアネートインデックスを140としたが、収縮し良好な軟質ポリウレタンフォームは得られなかった。
ポリオール成分として、ポリオール原料にカプロラクトンを含まないポリカーボネートジオールであるポリオールBのみを使用したが、セルが安定化せず軟質ポリウレタンフォームは崩壊した。
ポリオール成分として、ポリオール原料にカプロラクトンを含まないポリカーボネートジオールであるポリオールBとポリエーテルポリオールであるポリオールCを使用した。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
ポリオール成分として、ポリオール原料にカプロラクトンを含まないポリカーボネートジオールであるポリオールBとポリエステルポリオールであるポリオールDを使用した。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
ポリオール成分としてポリカーボネートポリオールを含まないポリオールCまたは、ポリオールDを使用した。軟質ポリウレタンフォームは得られたが、NOxガスによる退変色度合いは1級で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の浸漬において溶解した。
軟質ポリウレタンフォームが、
(1)ポリオールと、イソシアネートを反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、前記ポリオールが、1,6-ヘキサンジオール由来とカプロラクトン由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールを少なくとも1種含み、
前記ポリオールの総量100質量部において、前記ポリカーボネートジオールが60質量部以上100質量部以下の範囲で含有されており、イソシアネートインデックスが100以上130以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
(2)有効塩素5.0%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬下において、20時間経過後で浸漬前の形状を保持する前記(1)に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
(3)JIS L 0855:2005の弱試験に準拠して650ppmのNOx雰囲気下に15分間暴露した後に染色堅ろう度試験においてNOxガスの退変色度合いが2級以上である前記(1)または(2)に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
(4)JIS K 6400-5:2012に準拠して測定された伸びが260%以上、引張強さが130kPa以上である前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
かかる構成を備える本発明は、酸化防止剤に代表される各種変色防止剤の使用に関わらず、NOxガスに対して優れた耐変色性を示し、通常の軟質ポリウレタンフォームの弱点とされていた次亜塩素酸ナトリウム水溶液に対しても耐性を示す。また、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、引張強さと伸びが優れ、良好な物性を発現する。
Claims (4)
- ポリオールと、イソシアネートを反応させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、前記ポリオールが、1,6-ヘキサンジオール由来とカプロラクトン由来の繰り返し単位を含むポリカーボネートジオールを少なくとも1種含み、
前記ポリオールの総量100質量部において、前記ポリカーボネートジオールが60質量部以上100質量部以下の範囲で含有されており、イソシアネートインデックスが100以上130以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。 - 有効塩素5.0%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬下において、20時間経過後で浸漬前の形状を保持する請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- JISL 0855:2005の弱試験に準拠して650ppmのNOx雰囲気下に15分間暴露した後の染色堅ろう度試験においてNOxガスの退変色度合いが2級以上である請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- JIS K 6400-5:2012に準拠して測定された伸びが260%以上、引張強さが130kPa以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
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