A.第1実施形態:
図1を参照して、第1実施形態の液体収容容器10Aが装着される液体消費装置500の構成を説明した後、図2~図26を参照して、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成を説明する。
A1.液体消費装置の構成:
図1は、液体消費装置500の構成を示す概略斜視図である。図1には、互いに直交する3つの方向を示す矢印X,Y,Zが図示されている。なお、矢印X,Y,Zは、本明細書において参照される他の各図においても、図1に対応するように、適宜、図示されている。
矢印X,Y,Zが示す方向は、通常の使用状態にあるときの液体消費装置500の配置姿勢に対応している。「通常の使用状態」とは、液体消費装置500が水平面に配置されて使用される状態を意味する。以下では、液体消費装置500が通常の使用状態にあるときの姿勢を基準として説明する。また、以下では、矢印X,Y,Zが指す方向に沿った方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と呼ぶ。各X方向のうちの矢印Xが指す方向を「+X方向」と呼び、その反対の方向を「-X方向」と呼ぶ。Y,Z方向についても、同様に、矢印Y,Zのそれぞれが指す方向を「+Y方向」、「+Z方向」と呼び、それらの反対の方向をそれぞれ「-Y方向」、「-Z方向」と呼ぶ。
X,Y,Z方向について、Z方向、Y方向、X方向の順で説明する。Z方向は、重力方向に平行な方向を示している。-Z方向は重力方向であり、+Z方向は、重力方向とは反対の方向である。本明細書において、「上」または「下」と言うときは、基本的には重力方向を基準とした上下方向を意味している。Y方向は、水平面に平行な方向を示しており、液体消費装置500の前後方向(奥行き方向)を示している。-Y方向は、液体消費装置500のユーザーが正対することが想定されている液体消費装置500の前面側から背面側に向かう方向である。+Y方向は、液体消費装置500の背面側から前面側に向かう方向である。X方向は、水平面に平行な方向を示しており、液体消費装置500の左右方向(幅方向)を示している。+X方向は、液体消費装置500の前面に正対したときに左側から右側に向かう方向を示し、-X方向は、右側から左側に向かう方向を示している。
第1実施形態の液体消費装置500は、インクジェットプリンターである。液体消費装置500が消費する液体はインクである。液体消費装置500は、インクを媒体に向かって吐出して、当該媒体上にインクドットを記録して画像を形成する。前記の媒体は、例えば、印刷用紙である。
液体消費装置500は、装置本体部501と、脚部502と、を備える。第1実施形態では、装置本体部501は、X方向を長手方向とする形状を有しており、X方向における幅が最も大きい。脚部502は、装置本体部501の下方に設けられ、装置本体部501を水平に支持する。脚部502には、液体消費装置500の移動を円滑化するための車輪503が設けられている。
装置本体部501は、制御部510と、ヘッド511と、キャリッジ512と、を内部に有する。図1では、便宜上、制御部510、ヘッド511、キャリッジ512の配置位置を、破線で例示してある。制御部510は、液体消費装置500における各構成部の駆動を制御する。制御部510は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成される。制御部510は、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。制御部510は、マイクロコンピューターの代わりに回路によって構成されてもよい。
ヘッド511は、自身の下方に搬送されていく媒体(図示は省略)の表面に向かって液体を噴射する。ヘッド511は、液体を収容する液体室と、当該液体室の底面において下方に向かって開口する複数のノズルと、を有する(図示は省略)。ヘッド511は、制御部510の制御下において、例えば、ピエゾ素子による液体室の液体への圧力の印加などの公知の方法によって、液体をノズルから吐出する。
キャリッジ512は、ヘッド511を下面に搭載し、制御部510の制御下において、ヘッド511を主操作方向に運搬する。第1実施形態では、液体消費装置500の主走査方向はX方向に沿った方向である。装置本体部501は、キャリッジ512を移動させる駆動機構として、キャリッジ512の移動をガイドするガイド軸と、キャリッジ512を移動させる駆動力を発生するモーターと、その駆動力をキャリッジ512に伝達するプーリーと、を備える。なお、それらについての図示および詳細な説明は省略する。
装置本体部501の-Y方向側の上端部には、外部から媒体を導入するための挿入口515が設けられている。挿入口515は、X方向に延び、+Z方向に開口するスリット状の開口部として設けられている。挿入口515の下方には、媒体収容部516が設けられている。媒体収容部516の内部には、挿入口515から導入される媒体とは別の媒体が、ロール状にまるめられた状態で収納されている(図示は省略)。装置本体部501の前面には、媒体が排出される排出口517が設けられている。排出口517は、X方向に延び、+Y方向に開口するスリット状の開口部として設けられている。
液体消費装置500では、挿入口515から挿入された媒体、または、媒体収容部516に収納されている媒体は、装置本体部501の内部に設けられている搬送ローラー(図示は省略)によって、ヘッド511の下方に搬送される。媒体は、ヘッド511の下方の領域においてY方向に沿って搬送される。第1実施形態では、液体消費装置500の副走査方向はY方向に沿った方向である。媒体は、ヘッド511の下方領域を通過し、排出口517から排出される。
液体消費装置500では、制御部510は、ヘッド511の下方領域において媒体を上述した副走査方向に搬送しつつ、ヘッド511を主走査方向に往復移動させ、印刷データに基づいて予め決定されているタイミングで、ヘッド511からインク滴を吐出させる。これによって、媒体上に、印刷データに基づいて決定された位置にインクドットが記録され、印刷データに基づく画像が形成される。
装置本体部501の前面には、操作部518が設けられている。第1実施形態では、操作部518は、+X方向側の端部に設けられている。操作部518は、ユーザーに対する情報を表示する表示部518iと、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタン518bと、を有する。
装置本体部501は、液体供給部520を有している。第1実施形態では、液体供給部520は、操作部518を操作しているユーザーがアクセスしやすいように、操作部518の下方に設けられている。液体供給部520は、ヘッド511に吐出対象である液体を供給する。液体供給部520には、複数の液体収容容器10Aが着脱可能に装着される。図1では、5個の液体収容容器10Aが装着されている状態が例示されている。
液体収容容器10Aは、液体消費装置500に供給される液体を収容している。液体供給部520は、吸引ポンプ524を備えており、吸引ポンプ524によって、可撓性を有するチューブ513を介して、液体収容容器10Aの液体を吸引して、ヘッド511に供給する。吸引ポンプ524およびチューブ513は、後に参照する図26~図28に図示されている。
装置本体部501の前面には、装着される液体収容容器10Aが挿入される容器挿入口521が、+Y方向に開口している。液体消費装置500では、複数の液体収容容器10Aが、液体供給部520の容器挿入口521に対して、X方向に配列された状態で並列に挿入されるように構成されている。各液体収容容器10Aには異なる色のインクが収容されている。
液体消費装置500では、液体収容容器10Aは、液体消費装置500に対して、重力方向に交差する方向に挿入される。第1実施形態では、液体収容容器10Aが液体消費装置500に挿入される方向は-Y方向である。以下、液体収容容器10Aが液体消費装置500に対して挿入される方向である-Y方向を、単に「挿入方向」とも呼ぶ。
液体消費装置500では、各液体収容容器10Aは、その一部が挿入方向に突出している状態で液体消費装置500に装着される。以下、各液体収容容器10Aが液体消費装置500に適切に装着された状態を、単に「装着状態」とも呼ぶ。液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの装着のメカニズムの詳細については後述する。
A2.液体収容容器の構成:
A2-1.液体収容容器の外部構成の概略:
図2~図9を参照して各液体収容容器10Aの外部構成の概略を説明する。図2は、液体収容容器10Aを、+Y方向側、かつ、+Z方向側から見たときの概略斜視図である。図3は、液体収容容器10Aを、-Y方向側、かつ、+Z方向側から見たときの概略斜視図である。図4は、液体収容容器10Aを、-Y方向側、かつ、-Z方向側から見たときの概略斜視図である。図5は、液体収容容器10Aを-Z方向に見たときの概略平面図である。図6は、液体収容容器10Aを+X方向に見たときの概略側面図である。図7は、液体収容容器10Aを+Z方向に見たときの概略低面図である。図8は、液体収容容器10Aを-Y方向に見たときの概略正面図である。図9は、液体収容容器10Aを+Y方向に見たときの概略背面図である。なお、本明細書において、液体収容容器10Aに関するX,Y,Z方向の記述はいずれも、通常の使用状態にあるときの液体消費装置500に装着された装着状態での液体収容容器10Aの配置姿勢を基準とする。
A2-1-1.容器本体の壁部:
液体収容容器10Aは、液体が収容される収容室31が内部に設けられている容器本体11を有する。図2~図9では、便宜上、収容室31の位置に破線で符号を付してある。収容室31は、後に参照する図10~図12に図示されている。
容器本体11は、挿入方向に沿ったY方向を長手方向とする形状を有している。つまり。容器本体11は、Y方向の長さが、X,Z方向の長さよりも長い形状を有している。第1実施形態では、容器本体11は、略直方体形状を有しており、Y方向における長さが、X方向における幅、および、Z方向における高さよりも大きい(図2~図4)。容器本体11のX方向における幅は、Z方向における高さよりも小さい(図8,図9)。容器本体11は、例えば、ポリプロピレン(PP)などの樹脂部材によって構成される。
容器本体11は、その長手方向における端部である第1端部12と、第2端部13と、を有する(図2~図7)。第1端部12は、挿入方向側、つまり、-Y方向側の端部である。第2端部13は、挿入方向とは反対側、つまり、+Y方向側の端部である。
容器本体11は、第1部位15と、第2部位16と、を有する(図2~図7)。第1部位15は、液体収容容器10Aが装着状態にあるときに、液体消費装置500の外部に露出している部位であり、容器挿入口521よりも+Y方向側の部位である(図1)。第2部位16は、液体収容容器10Aが装着状態にあるときに、液体消費装置500の内部に収納されている部位であり、容器挿入口521よりも-Y方向側の部位である。前述した第1端部12は第2部位16に含まれ、第2端部13は第1部位15に含まれている。
容器本体11は、複数の壁部として、以下に説明する6つの壁部21~26を有している。なお、本明細書において、「壁部」の壁面は、平面状に構成されていなくても良く、曲面状に構成されていてもよいし、凹部や凸部、段差、溝、屈曲部、傾斜面、穴、スリットなどを有していてもよい。また、以下の説明において、壁部が「交差する」とは、各壁部の壁面が相互に実際に交差する状態と、一方の壁部の壁面の延長面が他方の壁部の壁面に交差する状態と、2つの壁部のそれぞれにおける壁面の延長面同士が交差する状態と、のいずれかの状態であることを意味する。交差する壁部の間には、湾曲面を構成する面取り部などが介在していてもよい。
第1壁部21は、先端壁部であり、収容室31の挿入方向側に位置し、挿入方向に向く外壁面を有する(図3~図7,図9)。第2壁部22は、後端壁部であり、挿入方向において、収容室31を挟んで第1壁部21とは反対側に位置し、挿入方向とは反対の方向を向く外壁面22oを有する(図2,図8)。なお、後に参照する図10および図11に図示されているように、第2壁部22の外壁面22oとは反対側の内壁面22iは、収容室31と面する。
第3壁部23は、上面壁部であり、Y方向における両端において、第1壁部21と第2壁部22とに交差する(図2,図3,図5)。第3壁部23は、上壁面23sを有する。上壁面23sは、挿入方向に沿った液体収容容器10Aの外壁面であり、収容室31の上方に位置して、上を向く外壁面である。
第4壁部24は、底面壁部であり、Y方向における両端において、第1壁部21と第2壁部22とに交差し、収容室を挟んで第3壁部23とZ方向に対向する(図4,図6,図7)。本明細書において「対向する」と言うときは、向かい合う対象物同士が直接面している状態と、向かい合う対象物同士の間に他の物が介在して間接的に面している状態と、を含む。第4壁部24は、底壁面24sを有する。底壁面24sは、挿入方向に沿った液体収容容器10Aの外壁面であり、収容室31の下方に位置し、下を向く。
第5壁部25は、左側面壁部であり、液体収容容器10Aを挿入方向に見たときに収容室31の左側に位置する(図2,図8)。第5壁部25は、第1壁部21と第2壁部22と第3壁部23と第4壁部24とに交差している(図2,図3)。
第6壁部26は、右側面壁部であり、液体収容容器10Aを挿入方向に見たときに収容室31の右側に位置する(図5,図7,図8)。第6壁部26は、第1壁部21と第2壁部22と第3壁部23と第4壁部24とに交差しており、X方向において、収容室31を挟んで第5壁部25と対向している。
A2-1-2.液体出口:
液体収容容器10Aは、液体出口33を有している(図3,図4,図9)。液体出口33は、装着状態において、液体消費装置500に接続され、収容室31の液体を液体消費装置500に流出させる。液体出口33は、挿入方向において、容器本体11の第1端部12側に設けられている。液体出口33は、第1壁部21において、挿入方向に開口している。液体出口33は、第1壁部21において+Y方向に窪んでいる凹部34内に設けられている。以下、凹部34を「出口収納凹部34」とも呼ぶ。容器本体11の内部に設けられている収容室31と液体出口33とを接続する液体の流路の構成および出口収納凹部34の機能については後述する。
A2-1-3.液体入口:
液体収容容器10Aは、液体入口35を有している(図2,図3,図5)。図2には、蓋部材85が開かれ、液体入口35が開放されている状態が図示されており、図3では蓋部材85が閉じられ、液体入口35が閉塞されている状態が図示されている。図3,図5では、便宜上、液体入口35の位置に破線で符号を付してある。
液体入口35は、収容室31に連通している。液体入口35は、ユーザーによる容器本体11の外部から収容室31への液体の注入を受け入れる。液体入口35は、挿入方向において、容器本体11の第2端部13側に設けられている。液体入口35は、上面壁部である第3壁部23において、先端壁部である第1壁部21よりも、後端壁部である第2壁部22に寄った位置に設けられている。液体入口35の周囲は、入口周囲壁部36によって囲まれている。入口周囲壁部36は第3壁部23において上方に突起している筒状の壁部である。
液体入口35は、装着状態において、液体消費装置500の外部に露出する第1部位15に位置している(図1)。そのため、ユーザーは、液体収容容器10Aを液体消費装置500に装着させたまま、液体収容容器10Aに対して液体の補充をおこなうことができる。蓋部材85を含む液体入口35の周辺の構成およびユーザーによる液体入口35に対する液体の注入作業については後述する。
A2-1-4.視認部:
液体収容容器10Aは、後端壁部である第2壁部22に、視認部38を有している(図2,図8)。視認部38は、収容室31に収容されている液体の液面の位置を、ユーザーが容器本体11の外部から視認できるように透過する。容器本体11は、少なくとも、視認部38が設けられている第2壁部22が、収容室31内の液体の液面を視認できる程度の光の透過性を有する半透明の部材によって構成されている。液体収容容器10Aでは、第2壁部22は透明な部材によって構成されてもよい。また、液体収容容器10Aでは、容器本体11の全体がそうした光の透過性を有する部材によって構成されていてもよい。視認部38には、収容室31に収容されている液体の量の目安となる目盛39が設けられている。目盛39の詳細については後述する。
液体収容容器10Aによれば、ユーザーは、装着状態において、液体消費装置500の外部に露出する第1部位15に設けられている視認部38によって、収容室31に収容されている液体の量を確認することができる。よって、液体消費装置500の駆動中に、液体収容容器10Aの液体が不足してしまうことを未然に防止することができる。また、ユーザーは、視認部38によって、収容室31に収容されている液体の量を確認しながら、液体入口35からの液体の注入作業をおこなうことができる。
A2-1-5.手掛け部:
液体収容容器10Aは、底面壁部である第4壁部24に手掛け部40が設けられている(図4,図7)。手掛け部40は、ユーザーが液体消費装置500に対して液体収容容器10Aを着脱する際に、ユーザーが手を掛けるための部位である。第1実施形態では、手掛け部40は、ユーザーの指先を引っ掛けることができる程度の凹部として形成されている。手掛け部40は、挿入方向において第1壁部21よりも第2壁部22に近い位置に設けられている。手掛け部40は、装着状態において、液体消費装置500の外部に露出する第1部位15に位置している。そのため、液体消費装置500から液体収容容器10Aを取り外す際に、ユーザーが手掛け部40に触れやすい。
A2-1-6.レール部:
液体収容容器10Aの第3壁部23の上壁面23sには、レール部41が設けられている(図2,図3,図5)。レール部41は、挿入方向に沿って直線状に延びる凸部として形成されている。レール部41は、上壁面23sのX方向の中央部位において突起している。X方向は、挿入方向に直交する幅方向に相当する。
本明細書において「中央」とは、実質的に中央の位置を意味し、「中央部位」は、両端からある程度離れている部位を意味する。上壁面23sのX方向における幅をxとするとき、レール部41は、上壁面23s内において、上壁面23sのX方向における中心を中心とし、X方向における幅が0.5・x以内の領域内に形成されているものとしてもよい。当該領域のX方向における幅は0.3・x以内であることが望ましく、0.2・x以内であることがより望ましい。
レール部41のY方向の長さは、容器本体11のY方向における長さの半分以上である。レール部41は、挿入方向において、第1壁部21側にわずかに寄った位置に設けられている。
液体収容容器10Aでは、第4壁部24の底壁面24sにもレール部42が設けられている(図4,図6,図7)。以下、区別するために、上壁面23sのレール部41を「第1レール部41」とも呼び、底壁面24sのレール部42を「第2レール部42」とも呼ぶ。第2レール部42は、底壁面24sのX方向の中央部位において突起している。第2レール部42の底壁面24sのX方向における位置は、上述した第1レール部41の上壁面23sのX方向における位置と同様である。なお、第2レール部42は第1レール部41に対して+Y方向にずれた位置に設けられている(図6)。
第1レール部41の-Y方向側の端部は、第2レールの-Y方向側の端部よりも-Y方向側に位置している。一方、第2レール部42の+Y方向側の端部は、第1レール部41の+Y方向側の端部よりも+Y方向側に位置している。なお、第1レール部41のY方向における長さは、第2レール部42のY方向における長さよりも長い。第2レール部42の-Y方向側には、容器蓋部材62のフィルター室壁部67f(後述)が配置されている(図7)。
レール部41,42は、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの着脱の際に、液体収容容器10Aの移動方向をガイドする。レール部41,42は、ユーザーが液体収容容器10Aを把持して運搬するときに指を掛ける部位として機能する。その他に、レール部41,42は、液体収容容器10Aの組立の際の位置決めの基準部位としての機能を有する。レール部41,42の機能についての詳細は後述する。
A2-1-7.電気的接続部:
液体収容容器10Aの第1端部12には、液体消費装置500に対して電気的に接続される電気的接続部50が設けられている(図3,図5,図9)。液体消費装置500の制御部510は、電気的接続部50から受け取る電気的信号によって、液体収容容器10Aに収容されている液体に関する情報を取得する。「液体に関する情報」には、例えば、液体の種類や液体収容容器10Aにおける現在の液体の収容量などが含まれる。また、制御部510は、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの装着状態を電気的に検出する。
電気的接続部50は、液体出口33の上方に設けられている(図9)。電気的接続部50は、基板によって構成されており、第1壁部21と第3壁部23との間の角部に設けられた凹部51内に配置されている(図3)。凹部51内には、+Y方向と+Z方向との間の斜め上方に向いている傾斜面51sが形成されており、電気的接続部50は、当該傾斜面51s上に配置されている。電気的接続部50は、基板面52が斜め上方を向くように配置されている。電気的接続部50の基板面52には、複数の電極板53が配置されている(図9)。基板面52の裏面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置を含む電気回路部54が設けられている。電気回路部54は、後に参照する図17に図示されている。
液体消費装置500に液体収容容器10Aが装着されるときには、弾性部材によって下方に付勢されている液体消費装置500の接続端子527(後に参照される図28において図示。)が、電気的接続部50の電極板53に上方から接触する。このとき、各電極板53は、液体収容容器10Aが液体消費装置500に挿入されるときの+Y方向の力に加えて、当該接続端子527からの-Z方向の付勢力も受ける。これら二方向の力によって、液体消費装置500に対する電気的接続部50の電気的な接続性が高められている。また、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの挿入の際に液体消費装置500の接続端子527が各電極板53の表面を擦るため、電極板53に付着している油脂分や塵芥などの異物が除去される。よって、液体消費装置500に対する電気的接続部50の電気的な接続性が高められる。
液体収容容器10Aでは、電気的接続部50をX方向に挟む凹部51の側壁面に、Y方向に沿って延びる溝部51gが設けられている(図3)。液体収容容器10Aが液体消費装置500に装着されたときに、溝部51gには、液体消費装置500の液体供給部520が有する凸部(図示は省略)が挿入される。これによって、液体消費装置500の接続端子527に対する液体収容容器10Aの電気的接続部50の位置ずれが抑制される。
電気的接続部50は、液体収容容器10Aの長手方向であるY方向において液体入口35とは反対側の端部に設けられているため、液体入口35からこぼれた液体が付着してしまうことが抑制されている。電気的接続部50は、液体出口33の上方に設けられているため、液体出口33から垂れ落ちる液体が電気的接続部50に付着することが抑制されている。また、電気的接続部50は凹部51内に設けられている。そのため、液体収容容器10Aが、液体消費装置500から取り外されている状態において、ユーザーが各電極板53に触れてしまうことや、液体収容容器10Aが落下したときに電気的接続部50が損傷してしまうことなどが抑制される。
A2-1-8.第1壁部の他の構成要素:
液体収容容器10Aの第1壁部21には、複数の凹部55が設けられている(図3,図4,図9)。凹部55は、+Y方向に窪んでいる有底の孔部である。第1実施形態では、複数の凹部55として、3つの凹部55a,55b,55cが設けられている(図9)。第1凹部55aは、電気的接続部50と液体入口35との間に設けられている。第2凹部55bは、液体出口33の下方に設けられている。第3凹部55cは、第2凹部55bの下に設けられている。第2凹部55bは、液体収容容器10Aを液体消費装置500に装着するときに、液体収容容器10Aの位置を規定する位置決め部として機能する。
第1壁部21と第4壁部24との間の角部には、-Y方向および-Z方向に開口する凹部58が設けられている。液体収容容器10Aが液体消費装置500に装着されたときに、凹部58には、液体消費装置500に設けられている識別部材528が収容される。識別部材528は、後に参照する図28に図示されている。各凹部55,58の構成および機能の詳細については後述する。
A2-2.液体収容容器の組立構造および内部構成の概略:
図10~図12を参照して、液体収容容器10Aの組立構造およびその内部構成の概略を説明する。図10は、液体収容容器10Aの概略分解斜視図である。図11は、開口筐体部材60を+X方向に見たときの概略側面図である。図12は、フィルム部材63が溶着された開口筐体部材60を示す概略斜視図である。
液体収容容器10Aの容器本体11は、開口筐体部材60と、容器蓋部材62と、フィルム部材63と、によって構成される(図10)。開口筐体部材60は、略直方体形状を有する箱状の部材であり、挿入方向に交差する方向である-X方向に開口している(図10,図11)。
開口筐体部材60は、液体収容容器10Aの第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23、第4壁部24、第6壁部26を構成する壁部を有している(図10,図11)。上述した液体出口33、液体入口35、電気的接続部50が配置される凹部51、レール部41,42、手掛け部40、複数の凹部55は、開口筐体部材60に設けられている。
開口筐体部材60は、+X方向側に窪み、-X方向に開口している3つの凹部61a,61b,61cを有している(図11)。第1凹部61aは、上面壁部である第3壁部23を構成する壁部と、底面壁部である第4壁部24を構成する壁部との間において、挿入方向に交差する方向に開口している。第1凹部61aの内部空間は、収容室31を構成する。以下では、第1凹部61aを「収容室凹部61a」とも呼ぶ。収容室凹部61aの内部空間は略直方体形状を有している。収容室凹部61aの内部空間は、開口筐体部材60のほとんど全体にわたって形成されている。収容室31は、収容室凹部61aによって、容器本体11の内部において容器本体11の長手方向に沿って延びている形状に構成される。
収容室凹部61a内には、複数の補強壁部64が設けられている(図10,図11)。補強壁部64は、開口筐体部材60の壁部の変形を抑制するリブとして機能する。第1実施形態では、3つの補強壁部64が設けられている。各補強壁部64は、収容室凹部61a内においてZ方向にわたって延在している。本明細書において、「延在する」とは、ある方向に切れ間なく延びている状態を意味する。各補強壁部64は、収容室凹部61内においてY方向に予め決められた間隔で配列されている。
各補強壁部64は、第3壁部23を構成する壁部と、第4壁部24を構成する壁部と、第6壁部26を構成する壁部と、に連結されている。各補強壁部64の-X方向側の端面は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23、第4壁部24を構成する各壁部の-X方向側の端面よりも+X方向側に位置している。各補強壁部64の-X方向側の端面は、フィルム部材63に溶着されない(図12)。液体収容容器10Aでは、各補強壁部64の-X方向側の端面全体とフィルム部材63との間に空間が形成されていることによって、収容室31内において液体をY方向に行き渡らせることができる。なお、液体収容容器10Aでは、補強壁部64の-X方向側の端面に、+X方向側に窪んでいる凹部を設け、補強壁部64の-X方向側の端面における当該凹部以外の部位にフィルム部材63を溶着してもよい。この構成の場合には、当該凹部が、収容室31内において液体が流通する流路として機能する。
収容室凹部61a内には、内壁部65が設けられている(図10,図11)。内壁部65は、収容室31の上面31u側から底面31bに向かって下方に垂下し、下端65eが収容室31の上面31uと底面31bとの間に位置している。内壁部65は、収容室凹部61a内においてX方向の全体にわたって延在している。内壁部65の+X方向側の端部は第6壁部26の収容室31側の壁面である内壁面26sに連結されている。内壁部65の-X方向側の端部は、収容室31の-X方向側の内壁面を構成するフィルム部材63(図10)に溶着されて連結される。
収容室凹部61aの内部空間、つまり、収容室31は、内壁部65を挟んで挿入方向に隣り合う2つの領域A1,A2に仕切られる(図11)。内壁部65は、挿入方向において第1壁部21よりも第2壁部22に近い位置に設けられている。内壁部65は、液体入口35よりも挿入方向側に位置している。第1実施形態では、内壁部65は、液体入口35の挿入方向側に位置する入口周囲壁部36の下方において、収容室31の上面31uから垂下している。内壁部65の構成および機能の詳細については後述する。なお、上述した複数の補強壁部64は、内壁部65の-Y方向側の領域A1に設けられている。
第2凹部61bの内部空間は、収容室31に外気を導入する通路である大気導入部110を構成する。第2凹部61bは、収容室凹部61aの上方に設けられている。第2凹部61bのZ方向の幅は、収容室凹部61aのZ方向の幅に比較して著しく小さい。第2凹部61bは、Y方向において、収容室31の中央から第1壁部21に向かって延びている。第2凹部61bによって構成される大気導入部110についての詳細は後述する。
第3凹部61cは、フィルター室71と液体出口33とを接続する液体の流路である出口流路78の一部を構成する。図11では、液体出口33およびフィルター室71は隠れて見えないため、その位置に破線で符号を付してある。フィルター室71の構成については後述する。第3凹部61cは、収容室凹部61aの-Y方向側の端部の下端領域から、収容室凹部61aの角部に沿って+Z方向に曲がって、液体出口33まで+Z方向に延びている。
開口筐体部材60の3つの凹部61a,61b,61cの開口部は、フィルム部材63によって共通に閉塞される(図12)。フィルム部材63は、可撓性、ガスバリア性、および、液不透過性を有する素材によって構成される。フィルム部材63は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどの樹脂フィルムによって構成される。
フィルム部材63は、開口筐体部材60の3つの凹部61a,61b,61cのそれぞれを囲む壁部60wの端面に溶着される(図12)。壁部60wは、-X方向に突出しており、その端面の-X方向における位置が揃っている。フィルム部材63は、内壁部65の-X方向側の端面に溶着される。壁部60wの-X方向の端面と内壁部65の-X方向の端面とは-X方向における位置が揃っている。
第1実施形態の液体収容容器10Aでは、開口筐体部材60に対するフィルム部材63の溶着によって、容器本体11の内部に、収容室31、大気導入部110、出口流路78を構成する空間が簡易に構成されている。液体収容容器10Aでは、フィルム部材63の溶着により、収容室31における液体の封止性が高められている。また、軽量で厚みの薄いフィルム部材63の使用により、液体収容容器10Aの軽量化や小型化が実現されている。
液体収容容器10Aでは、開口筐体部材60に溶着されたフィルム部材63は、容器蓋部材62によって覆われる(図10)。容器蓋部材62は、本体壁部66と、2つの周縁壁部67,68と、を有する。本体壁部66は、容器本体11の第5壁部25を構成する平板状の部位であり、略長方形形状を有する。
第1の周縁壁部67は、本体壁部66の上端と下端とに設けられ、+X方向に庇状に突出している縁部を構成する(図10)。なお、図10では、本体壁部66の下端に設けられている周縁壁部67は隠れて見えない。周縁壁部67は、挿入方向(-Y方向)に沿って延びている。容器蓋部材62を開口筐体部材60に取り付けたときに、開口筐体部材60の外壁面上に配置され、容器本体11の第3壁部23および第4壁部24の一部を構成する(図5,図7)。周縁壁部67は、開口筐体部材60に対して容器蓋部材62を位置決めする位置決め部として機能する(詳細は後述)。
第2の周縁壁部68は、本体壁部66の+Y方向側の端部に設けられ、+X方向に庇状に突出している縁部を構成している(図2)。周縁壁部68の-Z方向側の下端部は、本体壁部66の下端側に設けられている第1の周縁壁部67の+Y方向側の端部に連結されている。周縁壁部68は、容器蓋部材62が開口筐体部材60に取り付けられたときに、開口筐体部材60の外壁面上に配置され、容器本体11の第2壁部22の一部を構成する。周縁壁部68の+Z方向側の上端部68eは、第2壁部22の上端よりも-Z方向側に位置している。この理由については後述する。
容器蓋部材62の本体壁部66は、本体壁部66の上端に設けられている周縁壁部67の+Y方向側に、Y方向に沿って直線状に延びる端部である外周端部66eを有している(図10)。外周端部66eは、容器蓋部材62が開口筐体部材60に取り付けられたときに、液体入口35の周囲に設けられている液体受部80(後述)に沿って配置さる(図2)。また、外周端部66eは、液体入口35を閉じている状態にある蓋部材85に沿って配置される(図3)。容器蓋部材62の下端に設けられている周縁壁部67は、+Y方向側に、手掛け部40に沿って配置される端部部位67eを有している(図7)。外周端部66eや端部部位67eの機能については後述する。
このように、液体収容容器10Aでは、容器蓋部材62は、収容室凹部61aの開口を閉塞するように、開口筐体部材60に取り付けられる(図10)。また、容器蓋部材62の本体壁部66は、上壁面23sに交差し、挿入方向に沿った容器本体11の外壁面である側壁面、つまり、第5壁部25の外壁面を構成する(図3,図4)。液体収容容器10Aでは、容器蓋部材62によってフィルム部材63が保護される(図10)。
また、液体収容容器10Aでは、容器蓋部材62の周縁壁部67,68が、開口筐体部材60の第3壁部23を構成する壁部、第4壁部24を構成する壁部、第2壁部22を構成する壁部の上に重ねて配置されている(図5,図7,図8)。これによって、液体収容容器10Aでは、外部に露出する開口筐体部材60と容器蓋部材62との間に大きな隙間が生じてしまうことが抑制されている。
A2-3.収容室と液体出口とを接続する液体の流路:
A2-3-1.流路の構成:
図13~図16を参照図として加えて、液体収容容器10Aにおける収容室31と液体出口33とを接続する液体の流路70の構成を説明する。図13は、図11に示す13-13切断における開口筐体部材60の概略断面図であり、-Z方向に見た収容室31の底面31bを示している。図13には、液体収容容器10Aを-Z方向に見たときの液体出口33と液体入口35の位置を破線で図示してある。図14は、図13に示されている領域Aに含まれる開口筐体部材60の部位を+Z方向に見たときの概略底面図であり、第4壁部24内に設けられたフィルター室71を示している。図15は、Y方向に沿った切断面におけるフィルター室71の断面構造を模式的に示す概略断面図である。図16は、フィルター室71が設けられている開口筐体部材60の第1壁部21側の端部を下方から見たときの概略斜視図である。
図16には、収容室31から液体出口33に至る液体の流れを示す矢印FLが図示されている。液体収容容器10Aの容器本体11には、収容室31と液体出口33とを接続する液体の流路70が設けられている(図16)。流路70は、フィルター室71と、出口流路78と、を含む。フィルター室71は、液体に含まれる異物や気泡を捕捉して液体から除去するフィルター72を収容する空間である(図14)。つまり、液体収容容器10Aでは、フィルター72が、収容室31と液体出口33との間に設けられている。なお、本明細書において、フィルター72が捕捉して除去する液体中の異物には液体の成分に含まれない物質のみならず、液体の成分として分散している微粒子が凝集し、規定のサイズ以上になっている粒子も含まれる。
フィルター室71は、収容室31の下方に設けられている(図14,図16)。フィルター室71は、容器本体11の第4壁部24の内部に設けられている(図7,図13)。図7および図13では、フィルター室71は隠れて見えないため、その位置を破線で図示してある。液体収容容器10AをZ方向に見たときに、フィルター室71は、液体入口35と挿入方向に沿って並ぶ(図13)。フィルター室71は、容器本体11の第4壁部24を構成する開口筐体部材60の壁部の-Z方向側の面において、-Z方向に突出するリブ73に囲まれた凹部空間として形成されている(図14,図16)。
フィルター室71を構成する凹部空間の開口は、フィルター72が凹部空間内に配置された後、リブ73にフィルム部材74が溶着されることによって封止される(図10,図15)。図14にはフィルム部材74の配置領域を一点鎖線で示してある。開口筐体部材60に容器蓋部材62が取り付けられたときに、容器蓋部材62のフィルター室壁部67fがフィルム部材74を覆うように配置される(図4,図7)。フィルター室壁部67fは、容器蓋部材62の-Z方向側の端部に設けられている周縁壁部67の一部である。なお、フィルター室壁部67fは、第2レール部42の-Y方向側の端部に当接するように配置される(図7)。
フィルター72は、細孔を有する膜状の部材によって構成されており、細孔を通じて厚み方向に液体を通過させ、細孔の径より大きいサイズの液体に含まれる異物や気泡を除去する(図15)。フィルター72は、厚み方向がZ方向に一致するように、フィルター室71の上面から-Z方向に突出している凸部であるフィルター支持壁75に接合されて支持される。フィルター支持壁75に囲まれた領域が、フィルター72において液体が通過する領域であり、当該領域の外周形状は、フィルター72の外周形状に沿った形状を有している。
液体収容容器10Aでは、フィルター72の外周形状、つまり、フィルター72を厚み方向に沿って見たときの形状は、略四角形形状を有している(図14)。第1実施形態では、フィルター72の外周形状は、略平行四辺形である。フィルター72は、挿入方向側に位置する第1の辺s1と、第1の辺s1に対して挿入方向とは反対側に位置する第2の辺s2と、を有する。フィルター72は、第1の辺s1の両端にある第1の一対の角部c1,c2と、第2の辺s2の両端にある第2の一対の角部c3,c4と、を有している。第1の一対の角部c1,c2のうちの一方の角部c1は、他方の角部c2よりも挿入方向側に突出した位置に位置している。第2の一対の角部c3,c4のうちの一方の角部c3は、他方の角部c4よりも挿入方向とは反対側に突出した位置に位置している。
フィルター室71は、フィルター72によって、フィルター72の上流側に位置する上流側空間71uと、フィルター72の下流側に位置する下流側空間71dと、に仕切られる(図15)。上流側空間71uは、第1連通口76aと第2連通口76bとを介して収容室31に接続されている。下流側空間71dは、フィルター支持壁75に囲まれた空間であり、出口流路78に接続されている(図15,図16)。上流側空間71uは、フィルター72および下流側空間71dよりも下方に位置している。
上流側空間71uに連通している第1連通口76aと第2連通口76bとは、収容室31の底面31bにおいて開口している(図13,図14,図16)。第1連通口76aは、挿入方向において、フィルター室71よりも液体入口35に近い位置に設けられている(図13)。第1連通口76aは、X方向において、第6壁部26よりもフィルム部材63(図12)が配置される第5壁部25に近い位置に設けられている(図13)。第2連通口76bは、挿入方向において、フィルター72を挟んで、第1連通口76aとは反対側に設けられており、フィルター室71よりも液体出口33に近い位置に設けられている。第2連通口76bは、X方向において、第5壁部25よりも第6壁部26に近い位置に設けられている。第1連通口76aは、フィルター72の第4の角部c4よりも第3の角部c3に近い位置に設けられている(図14)。第2連通口76bは、フィルター72の第2の角部c2よりも第1の角部c1に近い位置に設けられている。
第1連通口76aは、上述したように、X方向において第6壁部26よりも第5壁部25に近い位置に設けられている(図13)。そのため、補強壁部64とフィルム部材63との間を通過した液体は、第1連通口76aを通じてフィルター室71へと流入しやすくなっている。また、第1連通口76aと第2連通口76bとは、底面31bの中でも段差31s(図13)を介してわずかに高くなっている面上において開口している。これによって、底面31bの低い面に沈降している異物が段差31sを乗り越えて第1連通口76aと第2連通口76bへと流入することが抑制されている。
フィルター室71を囲むリブ73は、フィルター72と第1連通口76aと第2連通口76bとを、それらの外周輪郭線に沿って囲むように形成されている(図14)。フィルター室71の外側には、フィルター室71の周りの強度を高めるための補強リブ79が格子状に形成されている。これによって、フィルター室71周囲の壁部の変形が抑制され、フィルター72やフィルム部材74の剥離が抑制される。
A2-3-2.流路における液体の流れ:
図15,図16を参照して、流路70における液体の流れを説明する。収容室31の液体は、第1連通口76aと第2連通口76bとを通じて、フィルター室71の上流側空間71uに流入する(図15の矢印FL)。液体は、フィルター72の内部を重力方向とは反対の方向に流れ、下流側空間71dへと流入する。このとき、液体に混入していた異物や気泡は、上流側空間71uに残留する。下流側空間71dへと流入した液体は、下流側空間71dに接続されている出口流路78へと流れ、出口流路78を通じて、液体出口33へと流れる(図16の矢印FL)。
図13を参照する。液体収容容器10Aでは、フィルター72は、挿入方向において、液体入口35よりも液体出口33に近い位置に設けられている。これにより、液体入口35を通じて注入された液体に混入している異物をフィルター72に到達する前に沈降させることができる。よって、フィルター72まで当該異物が到達することが抑制され、異物によるフィルター72の目詰まりが抑制される。また、液体入口35からの液体の注入によって、収容室31の液体中に気泡が混入したとしても、フィルター72にまで到達する気泡の量を低減させることができる。液体出口33とフィルター72との距離が短いため、フィルター72と液体出口33の間の圧損が大きくなることが抑制されている。よって、液体消費装置500の吸引ポンプ524(図26~図28)において発生させる液体を液体出口33へと吸引する吸引力の低減が可能である。
特に、第1実施形態では、液体入口35が第1壁部21よりも第2壁部22に近い位置に設けられ、フィルター72が第2壁部22よりも第1壁部21に近い位置に設けられており、液体入口35とフィルター72との距離がより大きくなるように構成されている。よって、液体中の異物のフィルター72への到達がより困難になっている。また、液体中の異物を、液体入口35とフィルター72との間に設けられている複数の補強壁部64によって捕捉させることができ、フィルター72まで到達する異物を低減させることができる。よって、フィルター72の目詰まりが抑制され、フィルター72の寿命の長期化が可能である。
図13には、液体入口35の中心軸CXと、中心軸CXに交差し、挿入方向に平行な軸線PXと、が図示されている。液体収容容器10Aでは、フィルター室71に連通する第1連通口76aは、軸線PXからずれた位置に設けられている。この構成では、第1連通口76aが軸線PX上にある場合よりも、第1連通口76aと液体入口35の中心位置との間の距離が長くなっている。そのため、その距離が増大している分だけ、液体入口35から進入した異物が第1連通口76aにまで到達することがさらに抑制される。よって、フィルター72の目詰まりがさらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、フィルター室71は、収容室31の下方に設けられている(図15)。そのため、重力によって、収容室31からフィルター室71へと液体を誘導させることができ、フィルター室71への液体の流入が円滑化される。よって、液体収容容器10Aから液体消費装置500への液体の流れをより円滑にすることができ、液体収容容器10Aによる液体消費装置500に対する液体の供給性能が高められる。
液体収容容器10Aでは、フィルター室71の上流側空間71uは、フィルター72および下流側空間71dよりも下方に位置しており、フィルター室71の液体は、重力方向とは反対側の方向にフィルター72を通過する。そのため、フィルター72によって液体中から除去された異物を、重力によってフィルター72の下方に沈降させることができる。従って、フィルター72の目詰まりの発生が、さらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、収容室31とフィルター室71とは、液体入口35に近い位置に設けられた第1連通口76aと、第1連通口76aよりも-Y方向側に位置し、液体入口35から遠い位置に設けられた第2連通口76bと、によって連通している。これによって、空の収容室31に液体を注入したときに、第1連通口76aからフィルター室71の上流側空間71uに液体を流入させつつ、第2連通口76bから上流側空間71uの空気を収容室31へと逃がすことができる(図15の矢印AF)。よって、フィルター室71の上流側空間71uに空気が滞留してしまうことが抑制され、そうした空気の滞留によって、フィルター室71への液体の補充が阻害され、液体消費装置500への液体の供給性能が低下してしまうことが抑制される。
液体収容容器10Aでは、フィルター72の第1の角部c1は第2の角部c2よりも挿入方向側に突出した位置に位置しており、第3の角部c3は、第4の角部c4よりも挿入方向とは反対側に突出した位置に位置している(図14)。つまり、第1の角部c1は、第2の角部c2よりも-Y方向側に位置しており、第3の角部c3は、第4の角部c4よりも+Y方向側に位置している。そして、フィルター支持壁75に囲まれているフィルター72における液体の通過領域PAの外周形状もフィルター72の外周形状に沿った形状にされている。これによって、フィルター72の外周形状を、第2の角部c2および第4の角部c4の位置に角部を有する長方形形状とし、液体の通過領域PAの外周形状をそれに合わせた形状とした場合よりも、フィルター72における液体の通過領域PAの面積が増大されている。よって、その分だけ、フィルター72による異物の除去効果が高められている。また、フィルター72は、その表裏を反転させたときの外周形状が一致しない。そのため、フィルター72の上面と下面の識別が容易化されている。よって、液体収容容器10Aの容器本体11に対するフィルター72の組み付け工程が簡易化される。
液体収容容器10Aでは、開口筐体部材60から容器蓋部材62を取り外すことによって、フィルター室71が外部に露出する(図7,図16)。そのため、フィルター72の交換やメンテナンスを容易におこなうことができる。
A2-4.第1壁部の出口収納凹部と複数の凹部:
A2-4-1.出口収納凹部:
図17は、図5に示す17-17切断における液体収容容器10Aの第1壁部21の概略断面図である。第1壁部21において、液体出口33は、出口収納凹部34のほぼ中央の位置において-Y方向に突出している管部33pの先端において開口している。液体出口33は、出口収納凹部34の内壁面に囲まれている。これによって、液体出口33からこぼれた液体が、出口収納凹部34によって受け止められるため、液体出口33からこぼれた液体による液体収容容器10Aの汚損が抑制される。
出口収納凹部34では、液体出口33の下方の方が、液体出口33の上方よりも+Y方向の深さが大きくなっている。これによって、液体出口33から下方に漏洩した液体を出口収納凹部34内に貯留できる量が増大している。よって、液体出口33から漏洩した液体が、出口収納凹部34よりも下方の領域へと伝っていくことが抑制され、そうした液体による液体収容容器10Aの汚損が、さらに抑制される。
A2-4-2.第1壁部の凹部:
液体収容容器10Aが液体消費装置500に装着される際に、第1壁部21に形成されている第2凹部55bには、液体消費装置500の容器挿入口521内に設けられたロッド525(破線で図示)が挿入される。ロッド525は、+Y方向に延びている軸状の部材によって構成され、第2凹部55bの開口形状および開口深さに応じた形状を有している。
第2凹部55bは、+Y方向側に底部56を有しており、液体収容容器10Aの装着状態において、各ロッド525の先端は底部56に接触する。これによって、液体収容容器10Aの液体消費装置500への挿入の際に、液体収容容器10Aが、規定の装着位置よりも-Y方向側に押し込まれ過ぎてしまうことが抑制される。
液体収容容器10Aでは、液体出口33は、液体収容容器10Aの位置決め部として機能する第2凹部55bの上方に設けられている。よって、液体出口33の位置ずれに起因して、液体出口33に接続される液体消費装置500の液体導入口(図示は省略)と液体出口33との接続不良が発生することが抑制される。
液体収容容器10Aでは、第2凹部55bは、Z方向の両端が平坦に切り欠かれたような略円形形状を有している(図9)。これによって、第2凹部55bに挿入されるロッド525の中心軸に対して液体収容容器10Aの姿勢がZ方向に傾斜することが抑制されている。
液体収容容器10Aでは、電気的接続部50と液体出口33との間に、第1凹部55aが設けられている。そのため、液体収容容器10Aが、第3壁部23が第4壁部24よりも下方に位置する姿勢にされたとしても、液体出口33からこぼれた液体が、電気的接続部50まで伝って行くことが、第1凹部55aによって抑制される。よって、電気的接続部50に液体が付着することによる電気的接続部50の劣化や、液体消費装置500に対する電気的接続部50の電気的接続性の低下が抑制される。
また、液体収容容器10Aでは、液体出口33の下方に、第2凹部55bと第3凹部55cが設けられている。そのため、液体収容容器10Aが、第4壁部24が第3壁部23よりも下方に位置する姿勢にされたとしても、液体出口33からこぼれた液体が、第4壁部24まで伝って行くことが、それら2つの凹部55b,55cによって抑制される。よって、液体出口33からこぼれた液体によって汚損される領域の拡大が抑制される。
なお、液体収容容器10Aでは、各凹部55と、液体出口33と、電気的接続部50のそれぞれのX方向における中心位置は、Z方向に平行な軸CY上に一列に配列される(図9)。それらの中心位置はそれぞれ、当該軸CYに対して、わずかにずれた位置に配置されていてもよい。液体出口33および電気的接続部50の中心位置に対する各凹部55の中心位置のX方向におけるずれは、液体出口33からこぼれた液体の回収が円滑に行える範囲で許容されてよい。各凹部55の中心位置は、液体収容容器10AをY方向に見たときに、液体出口33および電気的接続部50に対して各凹部55の少なくとも一部が重なる範囲でずれていてもよい。
A2-5.液体収容容器の第2端部側の構成:
図18~図23を参照して、液体収容容器10Aの第2端部13側の構成についての詳細を説明する。図18は、蓋部材85が開かれた状態の液体収容容器10Aの第2端部13側の構成を示す概略斜視図である。図19は、蓋部材85が開かれた状態の液体収容容器10Aの第2端部13の上端部位を+X方向に見たときの概略側面図である。図20は、蓋部材85が開かれた状態の液体収容容器10Aの第2端部13を-Z方向に見たときの概略平面図である。図21は、図20に示す21-21切断における液体収容容器10Aの第2端部13の概略断面図である。図21では、蓋部材85が閉じられた状態が図示されている。図22は、蓋部材85を閉じる方向に移動させているときの様子を例示する概略斜視図である。図23は、液体消費装置500に装着されている液体収容容器10Aに対する液体の注入作業の様子を示す概略斜視図である。
上述したように、液体収容容器10Aの第2端部13側には、液体入口35が設けられ、さらに、液体入口35よりも下方に、目盛39を有する視認部38、手掛け部40が設けられている。以下では、視認部38の目盛39、手掛け部40、液体入口35周辺の構成、液体入口35に対する液体の注入作業、について順に説明する。
A2-5-1.視認部の目盛:
第2壁部22に設けられている視認部38には、上述したように、目盛39が設けられている(図18)。液体収容容器10Aでは、目盛39の少なくとも一部が、視認部38における収容室31の外側の外壁面22oと、視認部38における収容室31の内側の内壁面22iと、に設けられている。以下、外壁面22oに設けられた目盛39を「外側目盛39o」と呼ぶ。また、内壁面22iに設けられた目盛39を「内側目盛39i」と呼ぶ。
外側目盛39oは、外壁面22oの凸部として構成されている。外側目盛39oを構成する凸部は、X方向に延びている線状の形状を有している。外側目盛39oは、収容室31に収容される液体の量の下限を示す下限目盛39Lとして形成されている。外側目盛39oとしては、下限目盛39Lに加えて、他の液量を示す目盛が追加されてもよい。
内側目盛39iは、収容室31内の複数のリブとして構成されている。内側目盛39iを構成するリブは、収容室31内において上下方向に予め決められた間隔で配列されている。また、内側目盛39iを構成するリブは、第2壁部22と第6壁部26との角部に設けられており、第2壁部22と第6壁部26とを連結するように、X方向およびY方向に沿って延在する略三角形状の壁部として構成されている。内側目盛39iを構成する複数のリブは、開口筐体部材60の強度を高める補強リブとしても機能する。
内側目盛39iは、収容室31において最も低い位置に設けられている下限目盛39Lを含む。下限目盛39Lを構成する内側目盛39iは、下限目盛39Lを構成する外側目盛39oとY方向に対向する位置に設けられている。
液体収容容器10Aによれば、目盛39として、内壁面22i側の内側目盛39iと、外壁面22o側の外側目盛39oと、が設けられている。そのため、ユーザーは、何らかの理由で、内側目盛39iの一部の視認性が低下したとしても、外側目盛39oによって収容室31内の液体量を確認できる。また、外側目盛39oについても同様に、外側目盛39oの摩耗や、外側目盛39oへの液体の付着などによって、その視認性が低下したとしても、内側目盛39iによって収容室31内の液体量を確認できる。このように、内側目盛39iと外側目盛39oのいずれかに不具合が生じたとしても、ユーザーが液量の確認をできなくなってしまう状態に陥ることが抑制される。
液体収容容器10Aによれば、外側目盛39oが第2壁部22の外壁面22oの凸部によって構成されている。そのため、例えば、液体入口35からこぼれた液体が外側目盛39oに付着して、外側目盛39oの視認性が低下したとしても、ユーザーは、触覚によって外側目盛39oの位置を確認することができる。
液体収容容器10Aによれば、内側目盛39iは、内壁面22iに設けられたリブとして構成されている。そのため、当該リブの周りが収容室31に収容されている液体に浸漬されると、内側目盛39iの形成部位と、その周りの領域との明度や色彩の差が大きくなるため、内側目盛39iの視認性が高められる。
液体収容容器10Aによれば、下限目盛39Lは、外壁面22oと内壁面22iの両方に設けられている。これによって、下限位置を示す目盛39の視認性の低下が抑制されるため、液体収容容器10Aの液体が不足し、液体消費装置500への液体の供給が滞ってしまう状態に陥ることが抑制される。
A2-5-2.手掛け部:
上述したように、液体収容容器10Aでは、手掛け部40が、第1部位15に設けられている(図4,図21)。液体収容容器10Aでは、手掛け部40によって、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの着脱操作の際のユーザーの操作性が高められている。手掛け部40は、液体入口35が開口している第3壁部23の上壁面23sとは反対側の第4壁部24の底壁面24sに設けられている。これによって、液体入口35からこぼれた液体が手掛け部40まで到達することが抑制されており、手掛け部40に液体が付着してしまうことが抑制される。よって、手掛け部40を介してユーザーの身体に液体が付着してしまうことが抑制される。
上述したように、液体収容容器10Aでは、手掛け部40の上方に、視認部38の下限目盛39Lである外側目盛39oを構成する外壁面22oの凸部が設けられている。この外側目盛39oを構成する凸部によって、液体入口35からこぼれて第2壁部22の外壁面22oに伝ってきた液体を受け止めさせることができる。よって、そうした液体が、手掛け部40(図4)にまで到達してしまうことが、さらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、手掛け部40が第4壁部24の底壁面24sに設けられているため、手掛け部40の形成領域と、第2壁部22に設けられている視認部38の形成領域とが干渉することが抑制されている。よって、手掛け部40を設けた場合であっても、視認部38の形成領域を大きくとることができる。また、手掛け部40によって、ユーザーによる視認部38の視認が阻害されてしまうことが抑制される。
液体消費装置500では、複数の液体収容容器10AがX方向に配列された状態で並列に装着される(図1)。つまり、複数の液体収容容器10Aは、液体消費装置500において、挿入方向と、液体収容容器10Aの上壁面23sから底壁面24sに向かう方向(図6)と、に交差する方向に配列される(図1)。上記のように、手掛け部40が底壁面24sに設けられていれば、液体消費装置500での液体収容容器10AのX方向における配列間隔を小さくしたとしても、ユーザーによる手掛け部40へのアクセス性の低下は抑制される。よって、液体消費装置500における液体収容容器10Aの配置領域をよりコンパクトに構成することができる。
液体収容容器10Aでは、上記のように、視認部38が設けられているため、液体入口35を通じた収容室31への液体の注入作業において、液体の注入量の過多により、液体入口35から液体が溢れ出てしまうことが抑制される。従って、そうした溢れた液体によって手掛け部40が汚損され、手掛け部40を介してユーザーの身体に液体が付着してしまうことが抑制される。また、液体収容容器10Aでは、液体入口35からの液体の漏洩や、液体入口35から漏洩した液体の拡散を抑制することができる液体入口35の周辺の種々の構成によって、手掛け部40に液体が付着してしまうことが抑制されている。 このように、液体収容容器10Aでは、手掛け部40が設けられるとともに、視認部38がユーザーに見やすく構成されているため、ユーザーにとっての利便性が高められている。
A2-5-3.液体入口の周辺の構成:
(1)液体受部:
液体収容容器10Aには、上面壁部である第3壁部23の上壁面23sには、液体入口35からこぼれた液体を受け入れる液体受部80が設けられている(図18,図20)。液体受部80は、液体入口35の周囲に設けられた凹部として構成されている。液体受部80は、入口周囲壁部36の下端に設けられている(図18)。液体受部80は、液体入口35と第2壁部22との間の領域と、液体入口35と第5壁部25との間の領域と、液体入口35と第6壁部26との間の領域と、に設けられている(図20)。
液体収容容器10Aによれば、液体入口35からこぼれた液体は、液体受部80に受け止められる。従って、液体入口35からこぼれた液体によって液体収容容器10Aの外壁面が汚損されてしまうことが抑制される。よって、液体入口35からこぼれた液体が、ユーザーの身体に付着してしまうことが抑制される。また、液体入口35からこぼれた液体が第2壁部22の視認部38まで伝っていき、目盛39の視認性が低下してしまうことが抑制される。
液体受部80を構成する凹部には、当該凹部内の空間を複数に仕切る液体受部仕切壁81が設けられている(図20)。液体受部仕切壁81は、液体受部80内において上方に延びている壁部によって構成されている。液体収容容器10Aでは、液体受部80の内部空間が液体受部仕切壁81によって複数に分断されていることによって、液体受部80内での液体の流動が抑制され、液体受部80から液体がこぼれてしまうことが抑制される。よって、液体入口35からこぼれた液体によって液体収容容器10Aの外壁面が汚損されてしまうことが抑制される。液体入口35からこぼれた液体が、ユーザーの身体に付着してしまうことが、さらに抑制される。液体入口35からこぼれた液体に起因する目盛39の視認性の低下が、さらに抑制される。
(2)凸壁部:
液体収容容器10Aには、第3壁部23の上壁面23sには、液体入口35と第2壁部22との間、つまり、液体入口35の+Y方向側に、上方に突起する凸壁部82が形成されている(図18,図19)。凸壁部82は、ユーザーによる液体入口35への液体の注入作業等において、液体入口35から、液滴が+Y方向に飛散することを防止する防止壁として機能する。よって、液体による液体収容容器10Aの汚損や、液体注入作業中のユーザーの身体に液体が付着することが抑制される。また、第2壁部22の外壁面22oに液体が付着して目盛39の視認性が低下してしまうことが抑制される。なお、凸壁部82の上端部には、-Z方向に窪んでいる切り欠き状の凹部82rが設けられている(図18)。凹部82rの機能については後述する。
(3)蓋部材:
液体収容容器10Aには、上面壁部である第3壁部23の上壁面23sに対して回動して、液体入口35を開閉する蓋部材85が設けられている(図18~図23)。蓋部材85は、第3壁部23に対して連結部86を介して連結されている(図18)。連結部86は、ヒンジ機構によって構成されており、蓋部材85は、連結部86の回動軸RXを中心に回動する。連結部86は、液体入口35の-Y方向側に設けられ、回動軸RXは、X方向に沿って配置されている。蓋部材85は、Y方向に沿って上壁面23s上において回動する。
蓋部材85は、液体入口35側に向く封止面87sと、その反対側の外面87oと、を有する(図19)。封止面87sは、蓋部材85が+Y方向側に回動することによって、液体入口35を覆って液体入口35を閉塞する状態をとる(図21)。封止面87sは、蓋部材85が-Y方向側に回動することによって、液体入口35から離れて液体入口35を開放する状態をとる(図18,図19)。
液体収容容器10Aによれば、液体の注入作業以外のときには、蓋部材85によって液体入口35を閉じた状態にしておけるため、液体入口35からの液体がこぼれてしまうことを抑制することができる。よって、液体入口35からこぼれた液体に起因する液体収容容器10Aの汚損が抑制される。また、液体入口35からこぼれた液体が第2壁部22の視認部38に付着して、目盛39の視認性が低下してしまうことが抑制される。液体収容容器10Aによれば、蓋部材85によって液体入口35を閉じておくことによって、液体入口35から収容室31への異物の進入を抑制することができる。なお、ユーザーは、蓋部材85を閉じるときには、蓋部材85の取り付け位置に沿って配置されている容器蓋部材62の外周端部66eの位置を基準として、蓋部材85の位置決めをおこなうことができる(図22)。よって、ユーザーによる蓋部材85の操作性が高められている。
封止面87sには、シール部材88が配置されている(図18,図21)。封止面87sが液体入口35を閉塞している状態にあるときに、シール部材88は、入口周囲壁部36の上端面36sに当接して、液体入口35をシールする(図21)。シール部材88は、例えば、エラストマーやゴムなどの樹脂部材によって構成される。液体収容容器10Aでは、シール部材88によって、蓋部材85による液体入口35の閉塞性が高められているため、液体入口35からの液体の漏洩がさらに抑制される。よって、液体入口35からこぼれた液体による液体収容容器10Aの汚損や、目盛39の視認性の低下が、さらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、第3壁部23に、蓋部材85の-Y方向への回動を規制するストッパー部89が設けられている(図18,図19,図21)。ストッパー部89は、液体入口35が開放されている状態が維持されるように、蓋部材85を、第3壁部23の上壁面23sに対して傾斜した状態で支持する(図19)。ストッパー部89は、連結部86の-Y方向側に設けられた上壁面23sの凸構造として設けられている。
ストッパー部89は、上壁面23sに対して傾斜角を有する傾斜面89sを有している(図19,図21)。ストッパー部89の傾斜面89sは、蓋部材85を、液体入口35を開放する方向に回動させ、蓋部材85の上壁面23sに対する角度θが所定の角度に到達したときに、蓋部材85の外面87o側の下端部に当接する(図19)。蓋部材85は自重に対する反力をストッパー部89の傾斜面89sから受けて、上壁面23sに対して傾斜した状態で支持される。
液体収容容器10Aによれば、ユーザーによる液体入口35への液体の注入作業の際に、蓋部材85がその注入作業の邪魔になることが抑制される。よって、ユーザーが液体の注入作業の際に誤って液体をこぼしてしまうことが抑制され、こぼれた液体による液体収容容器10Aの汚損や、目盛39の視認性の低下が抑制される。また、ユーザーが液体入口35を閉塞するために蓋部材85を回動させようとするときに、蓋部材85が傾斜した状態にあるため、ユーザーが蓋部材85の外面87oに指を掛けやすく、蓋部材85を持ち上げやすい。よって、蓋部材85の操作性が高められる。
第1実施形態では、蓋部材85がストッパー部89に支持されているときの蓋部材85と上壁面23sとの間の+Y方向側の角度θは、100°以上である。これによって、蓋部材85が、ユーザーによる液体入口35への液体の注入作業の邪魔になることがさらに抑制される。また、液体の注入作業の際に、液体入口35から-Y方向へと飛散する液滴を蓋部材85によって受け止めることができる。よって、液体入口35から飛散する液滴による液体収容容器10Aの汚損が抑制される。
蓋部材85の外面87oには、連結部86によって連結されている基端側とは反対側の先端側の端部に、外面87oから突起している外面凸部90が設けられている(図18,図19)。ユーザーは、蓋部材85を開閉する際に、外面凸部90に指を掛けることができる。よって、ユーザーによる蓋部材85の操作が円滑化され、蓋部材85の操作性が高められる。
外面凸部90は、封止面87sに設けられている凹部である封止面側凹部91を内部に包含している(図18,図21)。封止面側凹部91は、蓋部材85が液体入口35を閉塞したときに、凸壁部82を内部に受け入れて収納する(図21)。凸壁部82は、例えば、蓋部材85を閉じるときの位置決めの基準として利用することができる。蓋部材85によって液体入口35を閉じるときに、ユーザーに、凸壁部82を目印として、凸壁部82に向かって外面凸部90を回動させれば、ユーザーによる蓋部材85の開閉操作が円滑化される。
蓋部材85の先端部には、封止面87sに交差する方向に舌片状に延びている係止部93が設けられている(図18,図21)。係止部93には、蓋部材85が液体入口35を閉じたときに、第2壁部22の上端において+Y方向に開口している凹部である被係止部94に係る爪部93cが形成されている。蓋部材85の係止部93が被係止部94に係止することによって、蓋部材85による液体入口35の封止性が高められる。また、蓋部材85が液体入口35を閉塞した状態にあるときには、係止部93は、第2壁部22から+Y方向に突出している(図6)。これによって、蓋部材85を開くときに、ユーザーが係止部93の下側の面に指を掛けやすい。また、係止部93は、第2壁部22の上端から斜め下方に延びている。これによって、ユーザーが係止部93の下側の面に指を掛けて蓋部材85を+Z方向に回動させようとすると、係止部93に、爪部93cが被係止部94から離間する方向の力が働く。そのため、被係止部94から係止部93を外しやすい。
蓋部材85が液体入口35を閉塞している状態にあるときには、蓋部材85の係止部93は、第2壁部22上に配置されている(図8)。第2壁部22の-X方向側の端部は、容器蓋部材62の周縁壁部68によって構成されている。周縁壁部68の上端部68eは、第2壁部22上に配置されているときの係止部93の先端との間に予め決められた間隔の隙間が形成されるように、係止部93の先端の配置位置より下方に位置している。これによって、第2壁部22の外壁面22oには、係止部93の先端の外周形状に沿った凹部が形成されている。ユーザーは、蓋部材85を閉じるときには、係止部93の先端を周縁壁部68の上端部68eの位置まで移動させるべきであることを認識する。このように、容器蓋部材62の周縁壁部68の上端部68eは、蓋部材85によって液体入口35を確実に閉塞させるための係止部93の位置決め部として機能する。
蓋部材85の封止面87sの第2壁部22側の端部には、封止面87sから突出している突起部95が設けられている(図18)。突起部95は、+X方向側の端と、-X方向側の端と、に設けられている。突起部95は、連結部86とシール部材88との間に設けられている。突起部95には、溝部96が設けられている。溝部96は、突起部95が突出している突出方向に沿って延び、蓋部材85の回動軸RX側に底部96tを有する(図18,図20)。
突起部95の溝部96は、蓋部材85を液体入口35に向かって回動させている間に、突起部95の突出方向の先に、液体受部80が位置する状態をとる(図22)。蓋部材85の封止面87sに付着した液体は、蓋部材85が液体入口35を開放した状態(図18)にある間に、重力によって溝部96まで伝ってくる。蓋部材85によって液体入口35を閉じようとするときには、溝部96に溜まっている液体は、溝部96に誘導されて液体受部80へと流れ、液体受部80内に貯留される(図22)。
このように、突起部95は封止面87sに付着した液体を液体受部80に誘導する樋として機能する。これによって、蓋部材85の封止面87sに付着した液体が、液体受部80以外の他の部位に伝って行くことが抑制され、液体による液体収容容器10Aの汚損が抑制される。また、蓋部材85の封止面87sに付着した液体が第2壁部22へと伝って視認部38に付着し、目盛39の視認性が低下してしまうことが抑制される。
A2-5-4.液体入口に対する液体の注入作業:
図18,図20,図23を参照して、液体入口35に対する液体の注入作業を説明する。液体の注入作業の際には、液体注入用具600が用いられる(図23)。液体注入用具は、内部に液体を収容する袋状部材601の端部に、袋状部材601内部の液体を流出させる筒状の注ぎ口602が取り付けられた構成を有している。注ぎ口602は、袋状部材601から延び出ている。袋状部材601は、張出部603を有している。張出部603は、注ぎ口602が取り付けられている部位から、注ぎ口602が延び出ている方向に交差する方向に張り出している部位である。
ユーザーは、液体の注入作業を、注ぎ口602の開口端部を液体入口35に向け、袋状部材601を傾けた状態でおこなう。ユーザーは、液体の注入作業の際には、視認部38の目盛39を参照して、収容室31の液体の収容量を確認することができる。
図18には、液体注入作業がおこなわれているときの液体注入用具600の位置を一点鎖線で例示してある。容器本体11の第3壁部23の上壁面23sに設けられている凸壁部82の上端部には、上述したように、凹部82rが設けられている。また、容器本体11の第2壁部22と第3壁部23との間の角部には、-Y方向および-Z方向に窪んでいる凹部98が設けられている。2つの凹部82r,98は、液体入口35とY方向に並ぶように設けられている。より具体的には、2つの凹部82r,98は、液体入口35の中心軸CXに交差し、Y方向に平行な軸線PX上に位置するように設けられている(図20)。
液体の注入作業の際には、2つの凹部82r,98は、液体注入用具600の一部を受け入れる。2つの凹部82r,98は、液体注入用具600の張出部603の端部であるマチ部を受け入れて液体注入用具600を支持する。以下、凹部82r,98をそれぞれ「支持凹部82r,98」とも呼ぶ。また、両者を区別する場合には、凹部82rを「第1支持凹部82r」とも呼び、凹部98を「第2支持凹部98」とも呼ぶ。
液体収容容器10Aによれば、液体の注入作業の際に、液体注入用具600を第1支持凹部82rに支持さることによって、液体注入用具600の姿勢が不安定になり、液体がこぼれてしまうことが抑制される。特に、液体注入用具600を第1支持凹部82rと第2支持凹部98の2点において支持させれば、液体の注入作業の際の液体注入用具600の姿勢の安定性がさらに高められる。また、液体収容容器10Aによれば、液体注入用具600から凸壁部82へと伝ってくる液体を、その上端の第1支持凹部82rに受け止めさせることができる。よって、液体収容容器10Aの外壁面に液体が付着してしまうことが、さらに抑制される。また、液体入口35からこぼれた液体に起因する目盛39の視認性の低下が、さらに抑制される。
A2-5-5.内壁部の詳細:
収容室31内には、液体入口35の近傍において内壁部65が下方に垂下している (図21)。第1実施形態では、内壁部65は、その壁面が液体入口35の-Y方向側の内周面から連続して延在するように設けられている。液体収容容器10Aによれば、液体の注入作業の際に、液体入口35から注がれた液体を、内壁部65を伝わせて、収容室31の底面31bへと円滑に誘導することができる。よって、液体入口35から注がれた液体によって、収容室31内の液体が泡立つことが抑制され、液体中に気泡が混入してしまうことが抑制される。そのため、液体中の気泡に起因する液体消費装置500に対する液体の供給性の低下が抑制される。
また、収容室31内での液体の泡立ちにより、視認部38から視認される液面の位置が不鮮明になり、ユーザーによる視認部38を介した液体の量の確認が困難になってしまうことが抑制される。よって、液体の注入量の過多により、液体入口35から液体がこぼれてしまうことが抑制される。その他に、内壁部65によって収容室31への液体の導入が円滑化されるため、液体の注入中に液体入口35を通じて収容室31の外部に飛散する液滴が生じてしまうことが抑制される。よって、そうした液滴による液体収容容器10Aやユーザーの身体の汚損が抑制される。
内壁部65は、容器本体11の外部から液体入口35を見たときに少なくとも一部が見える位置に設けられていることが望ましい(図20)。これによって、液体の注入作業の際に、ユーザーに内壁部65の位置を視認させることができ、ユーザーが液体を内壁部65に向かって注ぐように促すことができる。なお、この場合に、容器本体11の外部から液体入口35を見る方向は、図20のように-Z方向でなくてもよく、液体の注入作業の際のユーザーの位置から液体入口35に向かう方向でよい。
内壁部65の上端は、第3壁部23に連結され、+X方向側の端部は、第6壁部26に連結されている(図10)。これによって、開口筐体部材60の強度が高められている。また、内壁部65の-X方向側の端面は、フィルム部材63に溶着されている(図12)。これによって、液体収容容器10Aでは、内壁部65の到着領域の分だけ、フィルム部材63の溶着面積が増加しており、開口筐体部材60に対するフィルム部材63の接合強度が高められている。このように、液体収容容器10Aでは、内壁部65は、液体収容容器10Aの強度や耐久性を高める収容室31内の補強リブとして機能する。
液体収容容器10Aでは、内壁部65の下端65eは、底面31bより上方に位置している(図11)。そのため、液体消費装置500において収容室31の液体が消費されていったときに、内壁部65によって、内壁部65より+Y方向側の領域A2に、液体が残留してしまうことが抑制される。第1実施形態では、内壁部65の下端65eは、収容室31の上面31uよりも底面31bに近い位置に設けられている。内壁部65の下端65eは、下限目盛39Lよりも上方に位置している。より具体的には、内壁部65の下端65eは、上面31uと下限目盛39Lとの間のZ方向における距離をHとするとき、下限目盛39Lの高さから(1/4)・H以下の高さに位置している。これによって、液面の位置が下限目盛39Lの位置に近づくまで、内壁部65が液体に接触する状態が維持される。よって、上述したような液体の注入作業における収容室31内での液体の泡立ちや液滴の発生を抑制する効果を、収容室31内の液体が下限量に近づくまでの広い範囲で得ることができる。
内壁部65は、下端65eに、挿入方向に沿って突起している端部凸部101を有している(図21)。端部凸部101は、内壁部65の下端65eにおいて厚みが局所的に増大し、内壁部65の壁面から突起している部位として形成されている。第1実施形態では、端部凸部101は、液体入口35側に向かって+Y方向に突起している。そのため、収容室31における液面の位置が端部凸部101より下方に位置するときの液体の注入作業の際には、端部凸部101によって、内壁部65を伝って下方に流れる液体の勢いを削ぐことができる。よって、収容室31内の液面の位置が内壁部65の下端65eよりも下方に位置する場合であっても、液体の注入作業の際の収容室31内における液体の泡立ちを抑制することができる。また、収容室31内の液体の液面に液体が勢いよく衝突することによる液滴の発生が抑制される。よって、そうした液滴が液体入口35を通じて外部に飛散し、液体収容容器10Aの外壁面やユーザーの身体が汚損されてしまうことが抑制される。第1実施形態では、端部凸部101の+Z方向に向いている上面が、Y方向に沿った平面を構成している。そのため、内壁部65を伝って流れる液体の勢いを、より効果的に和らげることができ、上述したような収容室31内における液体の泡立ちや、液体入口35からの液滴の飛散が、さらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、内壁部65が端部凸部101を有していることによって、内壁部65と収容室31の内壁面26sとの連結部が拡大されている。そのため、収容室31の内壁面26sに対して内壁部65がより強固に固定される。また、端部凸部101によって、内壁部65の下端65eにおけるフィルム部材63との溶着面積が増大している(図12)。そのため、内壁部65の下端65eを起点として内壁部65からフィルム部材63が剥離することが抑制される。このように、液体収容容器10Aでは、内壁部65の端部凸部101によって、内壁部65の壁部25,26に対する固定性が高められており、内壁部65の補強リブとしての機能がより一層高められている。
内壁部65の上端には、内壁部65によって挿入方向に仕切られた収容室31内の隣り合う2つの領域を互いに連通させる連通部102が設けられている(図11)。連通部102は、内壁部65の-X方向側の端部において局所的に+X方向に窪んでいる凹部と、フィルム部材63と、の間の流路として形成されている(図11,図12)。これによって、液体入口35からの液体の注入作業の際に、収容室31内の内壁部65より挿入方向側の領域に存在する空気を、連通部102を通じて、液体入口35の方へと逃がすことができる。よって、液体収容容器10Aへの液体の注入作業がより円滑化される。
A2-6.大気導入部の構成:
図24A,図24Bおよび図25を参照図として加えて、液体収容容器10Aに設けられている大気導入部110の構成を説明する。図24Aは、開口筐体部材60において大気導入部110を構成する第2凹部61bが形成されている部位を抜き出して示す概略斜視図である。図24Bは、大気導入部110の内部構造を示す概略斜視図である。図24Bでは、図24Aに示されている構成から大気導入部110の上方を覆っている壁部を省略してある。図25は、開口筐体部材60における図24Aと同じ部位を+X方向に見たときの概略側面図である。
大気導入部110は、収容室31の上方に設けられている(図10~図13)。大気導入部110は、挿入方向における第1壁部21側の領域において、挿入方向に沿って設けられている。大気導入部110は、レール部41の下方に設けられている。大気導入部110は、収容室31と液体収容容器10Aの外部とを接続する。液体収容容器10Aでは、収容室31での液体の消費に伴って、大気導入部110を通じて、収容室31に外気が導入される。大気導入部110は、収容室大気口111と、容器大気口112と、大気通路113と、を有する(図24A,図24B)。
収容室大気口111は、収容室31において開口している(図24A,図24B)。収容室大気口111は、収容室31に対する空気の出入口として機能する。収容室大気口111は、開口筐体部材60の壁部60wの-X方向側の端部において局所的に+X方向に窪むように設けられた凹部と、フィルム部材63と、の間に形成される貫通孔として構成されている(図12)。
収容室大気口111は、収容室31の長手方向における中央部位に設けられている(図11,図12)。上述したように、本明細書において「中央」は実質的に中央の位置であることを意味しており、両端からある程度、離れている位置を意味し、「中央部位」は、両端からある程度離れている部位を意味する。収容室31の長手方向であるY方向における長さをLとするとき、収容室大気口111は、収容室31のY方向における中心を中心とし、Y方向における幅が0.5・L以内の領域内に形成されている。収容室大気口111は、収容室31のY方向における中心から離れすぎない位置に設けられていることが望ましい。前述の収容室大気口111の形成領域のY方向における幅は、0.3・L以内であることが望ましく、0.1・L以内であることがより望ましい。
容器大気口112は、第6壁部26の+X方向側の壁面である外壁面において開口している(図24A,図24B)。図24Aおよび図25では、容器大気口112は見えないため、便宜上、破線で図示してある。容器大気口112は、容器本体11の外部において開口し、大気導入部110と液体収容容器10Aの外部との間の空気の出入口として機能する。容器大気口112は、第1端部12において開口している(図25)。容器大気口112は、第1壁部21(図11)の近傍において開口している。なお、容器大気口112は、大気通路113の上側の領域において第6壁部26からX方向に沿って延びている貫通孔として構成されている貫通流路115を通じて、大気通路113に接続されている。貫通流路115の-X方向側の端部は、X方向における第5壁部25(図10)に寄った位置において開口している(図24B)。
大気通路113は、挿入方向に沿って延び、収容室大気口111と容器大気口112とに接続されている空気の通路である(図24A,図24B,図25)。大気通路113は、収容室大気口111と容器大気口112との間に設けられた通路仕切壁116によって、+Y方向側の第1大気通路部121と、-Y方向側の第2大気通路部122と、に仕切られている。通路仕切壁116は、挿入方向において、収容室大気口111よりも容器大気口112および貫通流路115に近い位置に設けられている(図25)。通路仕切壁116の+X方向側の端部は、第6壁部26の内壁面26sに連結され、-X方向側の端部は、フィルム部材63に溶着される(図10)。
第1大気通路部121と第2大気通路部122とは、通路仕切壁116を厚み方向に貫通する大気連通部117を介して互いに連通している(図24A,図24B,図25)。第1実施形態では、大気連通部117は、通路仕切壁116を挿入方向に貫通している。液体収容容器10Aでは、大気連通部117は、通路仕切壁116の-X方向側の端部を局所的に+X方向に窪ませて形成された凹部とフィルム部材63との間に形成される貫通孔として構成される(図11,図12)。大気連通部117は、通路仕切壁116の上端に設けられている(図25)。
収容室大気口111は、第1大気通路部121に設けられている(図24A,図24B,図25)。収容室大気口111は、第1大気通路部121の下端に設けられている。収容室大気口111は、第1大気通路部121において+Y方向における端部に位置している。また、収容室大気口111は、第1大気通路部121において-X方向における端部に位置している。
容器大気口112は、貫通流路115を介して、第2大気通路部122に接続されている(図24B,図25)。容器大気口112は、貫通流路115を介して、第2大気通路部122の-Y方向側の端部に接続されている。容器大気口112は、貫通流路115を介して、第2大気通路部122の下端よりも上端に近い位置において第2大気通路部122に接続されている。
大気通路113は、容器大気口112から収容室大気口111に向かう方向に下降傾斜している底面である傾斜壁面118を有する(図24A,図24B,図25)。傾斜壁面118は、第1大気通路部121に設けられている。傾斜壁面118は、収容室大気口111に接続されている。傾斜壁面118は、収容室大気口111に向かって、+Y方向に次第に低くなるように傾斜している(図25)。また、傾斜壁面118は、収容室大気口111に向かって、-X方向に次第に低くなるように傾斜している(図24A,図25B)。
第1大気通路部121および第2大気通路部122にはそれぞれ、X方向に沿って延在している1つまたは複数の通路リブ123が設けられている(図24B)。第1大気通路部121には、複数の通路リブ123が、所定の間隔でY方向に配列されている。第2大気通路部122には、1つの通路リブ123が、-Y方向側の端部に寄った位置に設けられている。
各通路リブ123は、大気通路113においてZ方向にわたって延在している(図25)。各通路リブ123は、大気通路113の+X方向側の端部から-X方向に延在している(図24B)。各通路リブ123の-X方向側の端部は、大気通路113における大気の流通を妨げないように、X方向における大気通路113の端部より、+X方向側に位置している。
第2大気通路部122では、通路リブ123は、貫通流路115の+Y方向側において、貫通流路115に沿ってX方向に延びている(図24B)。第2大気通路部122の通路リブ123の-X方向側の端部は、貫通流路115の-X方向側の端部よりも-X方向に突出している。
液体収容容器10Aでは、大気導入部110は、収容室31の上方において、容器本体11のY方向における中央よりも第1壁部21側の領域に設けられている(図10,11)。これに対して、液体入口35は、容器本体11のY方向における中央よりも第2壁部22側の領域に設けられている。このように、液体収容容器10Aでは、大気導入部110が、液体入口35から-Y方向に離間した位置に形成されている。そのため、大気導入部110との干渉を避けつつ、液体入口35のY方向における開口幅を拡大して、液体入口35の開口面積を大きくすることができる。また、大気導入部110と液体入口35とがY方向に直列に配列されているため、それらをX方向に並列に配列される部位を有するように構成した場合よりも、容器本体11のX方向における幅を小さくし、液体収容容器10Aをコンパクトにすることができる。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、容器大気口112は、大気通路113に対して、収容室大気口111よりも上方の位置において接続されている(図24B,図25)。そのため、大気通路113に液体が入り込んだとしても、その液体が、大気通路113から容器大気口112まで到達することが抑制される。よって、容器大気口112から液体が漏れ出ることが抑制される。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、大気通路113が傾斜壁面118を有している(図25)。従って、収容室大気口111を通じて大気通路113に液体が入り込んだとしても、当該液体は、重力によって傾斜壁面118に沿って収容室大気口111へと誘導され、収容室31に戻される。よって、大気導入部110を通じて、収容室31の液体が漏洩してしまうことが抑制される。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、収容室大気口111は、収容室31のY方向における中央部位に設けられている(図25)。収容室31のY方向における中央部位では、収容室31の液面が、収容室31のY方向における両端が交互に上下に変位するように揺動したときの液面の変位が比較的小さい。よって、収容室31の液面が大きく揺動したとしても、収容室大気口111を通じて収容室31の液体が大気導入部110に入り込んでしまうことが抑制され、大気導入部110を通じた液体収容容器10Aの外部への液体の漏洩が抑制される。第1実施形態の液体収容容器10Aでは、Y方向は収容室31の長手方向に一致する。こうした収容室31では、その長手方向における両端において液面の位置が交互に変位する液体の揺動が生じやすい。また、そうした揺動が生じたときの長手方向における中央部位では、他の部位に比較して、液面の変位が、より一層、抑制される。よって、収容室31がY方向を長手方向とする形状を有している液体収容容器10Aでは、そうした液体の揺動によって、収容室大気口111に液体が入り込んでしまうことがより一層、抑制される。なお、上述したような収容室31における液面の揺動は、例えば、液体収容容器10Aを振って収容室31内の液体を攪拌する作業がおこなわれる際や、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの着脱操作の際、液体収容容器10Aの運搬の際などに生じる。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、大気通路113が、通路仕切壁116によって、第1大気通路部121と、第2大気通路部122と、に仕切られている(図24A,図24B,図25)。そのため、収容室大気口111を通じて、大気導入部110に液体が入り込んだとしても、第1大気通路部121から第2大気通路部122へと液体が移動することが抑制される。よって、大気導入部110を通じて液体収容容器10Aの外部に液体が漏洩することが抑制される。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、収容室大気口111は、第1大気通路部121において、通路仕切壁116とは反対側の端部に設けられている(図24B,図25)。このように、収容室大気口111が通路仕切壁116から離れた位置に設けられているため、収容室大気口111から第1大気通路部121に入り込んだ液体が、通路仕切壁116まで到達することが抑制される。
また、液体収容容器10Aでは、通路仕切壁116が、収容室大気口111よりも容器大気口112および貫通流路115に近い位置に設けられており、収容室大気口111と通路仕切壁116との間の距離がより一層、長くとられている(図24B,図25)。よって、第1大気通路部121に入り込んだ液体が、通路仕切壁116まで到達することが、さらに抑制される。
液体収容容器10Aでは、第1大気通路部121および第2大気通路部122のそれぞれに通路リブ123が設けられている。これによって、大気通路113を構成する壁部の変形によって、各大気通路部121,122において大気の流通経路が遮断されてしまうことが抑制されている。また、第1大気通路部121では、通路リブ123によって、第1大気通路部121に入り込んだ液体が、通路仕切壁116まで到達することが抑制されている。第2大気通路部122では、上述したように、通路リブ123の-X方向側の端部が貫通流路の-X方向側の端部よりも-X方向側に位置している。これによって、第2大気通路部122まで到達した液体が、貫通流路115へと入り込んでしまうことが抑制される。
液体収容容器10Aでは、第1大気通路部121と第2大気通路部122とを連通する大気連通部117は、通路仕切壁116の上端に設けられている(図24B,図25)。これによって、第1大気通路部121に入り込んだ液体が通路仕切壁116をのり越えて第2大気通路部122に到達することが、さらに抑制される。
液体収容容器10Aの大気導入部110では、容器大気口112は、第2大気通路部122における通路仕切壁116とは反対側の端部において接続されている(図24B,図25)。このように、容器大気口112が、通路仕切壁116から離れた位置において第2大気通路部122に接続されているため、通路仕切壁116を越えて第2大気通路部122に入り込んだ液体が、容器大気口112まで到達することが、さらに抑制される。また、液体収容容器10Aでは、第2大気通路部122に対する容器大気口112の接続位置が、第2大気通路部122の上端に寄った位置であるため、第2大気通路部122の液体が容器大気口112まで到達することがさらに困難になっている。
図11,図12を参照して説明したように、液体収容容器10Aでは、開口筐体部材60の各凹部61a,61b,61cを、フィルム部材63によって閉塞することによって、収容室31と大気導入部110と出口流路78とが形成されている。このように、液体収容容器10Aによれば、容器本体11の内部に収容室31と出口流路78と大気導入部110とが、簡素な構成により、簡易に構成されている。
A2-7.液体供給部に対する液体収容容器の装着:
図26,図27および図28を参照図として加えて、液体消費装置500の液体供給部520に対する液体収容容器10Aの装着状態を説明する。図26は、複数の液体収容容器10Aが装着されている液体供給部520を示す概略斜視図である。図27は、複数の液体収容容器が装着されている液体供給部520を-Z方向に見たときの概略平面図である。図28は、図27に示す28-28切断における液体収容容器10Aと液体供給部520の概略断面図である。なお、図28では、便宜上、断面のハッチングが省略されている。
液体供給部520は、+Y方向に延び出ている液体供給管523を有する(図28)。液体収容容器10Aが装着されると、液体供給管523の+Y方向側の先端部が、液体収容容器10Aの液体出口33に挿入されて接続される。液体供給管523は、可撓性を有するチューブ513に接続されている(図26~図28)。液体供給部520は、吸引ポンプ524が発生させる吸引力によって、液体出口33から液体供給管523へと、液体収容容器10Aの収容室31の液体を流出させ、チューブ513を通じて、当該液体をヘッド511(図1)へと供給する。
液体供給部520は、液体供給管523の下方に、図17を参照して説明したロッド525を有している(図28)。ロッド525は、液体供給管523と並列に+Y方向に延び出ている。ロッド525は、上述したように、液体収容容器10Aが液体供給部520に装着されるときに、液体収容容器10Aの第2凹部55bに挿入される。
液体供給部520は、さらに、液体供給管523の上方に、装置側端子部526を有している(図28)。装置側端子部526は、液体収容容器10Aの電気的接続部50に電気的に接触する接続端子527を有している。上述したように、液体収容容器10Aが液体供給部520に装着されると、装置側端子部526の接続端子527が上方から電気的接続部50の電極板53(図9)に接触する。
液体供給部520は、その底面部に識別部材528を有する。識別部材528は、底面部から上方に突起する矩形状の構造物として構成されている。液体収容容器10Aが液体供給部520に装着されたときに、識別部材528は、液体収容容器10Aの第1壁部21の下端の角部に設けられている凹部58に収容される。
液体消費装置500に装着される複数の液体収容容器10Aの凹部58の内壁面はそれぞれ、収容している液体の種類(第1実施形態では、例えば、インクの色)に応じて異なる形状を有している。液体供給部520の識別部材528は、装着される液体収容容器10Aが有する凹部58の内壁面の形状に嵌合する形状を有している。これによって、液体収容容器10Aが、間違った装着部に挿入されてしまうことが抑制される。
A2-8.レール部の機能:
図26を参照する。液体消費装置500の液体供給部520が有する容器挿入口521の上端には、Y方向に沿って延びるガイド溝522が設けられている。ガイド溝522は、液体収容容器10Aの上壁面23sにおいて突起し、挿入方向に沿って延びている第1レール部41が嵌まる形状を有している。なお、容器挿入口521の下端には、液体収容容器10Aの底壁面24sにおいて突起し、挿入方向に沿って延びている第2レール部42が嵌まる形状を有するガイド溝522が設けられている(図28)。
液体収容容器10Aが液体消費装置500に装着される際には、ガイド溝522に第1レール部41が挿入されることによって、容器挿入口521に対する液体収容容器10Aの挿入がガイドされる。従って、ユーザーによる液体消費装置500の液体供給部520に対する液体収容容器10Aの着脱操作が容易化される。特に、液体収容容器10Aでは、上下に設けられている2つのレール部41,42によって液体収容容器10Aの挿入がガイドされるため、液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの挿入の際の液体収容容器10Aの姿勢がより一層、安定化される。
なお、2つのレール部41,42は、装着状態において、ガイド溝522よりも+Y方向に延び出ている。これによって、液体消費装置500に対する装着が完了するまで、液体収容容器10Aの挿入がガイドされる。また、2つのレール部41,42のY方向の長さが長いため、液体収容容器10Aは、Y方向におけるガイド溝の長さが長いタイプの種々の液体消費装置に対して安定した姿勢での挿入操作が可能である。
図5,図7,図10~図12を参照して、液体収容容器10Aの製造工程を説明する。レール部41,42は、液体収容容器10Aの組立の際の位置決めの基準部位として機能する。
第1工程では、開口筐体部材60が準備される(図10)。この工程では、レール部41,42が、開口筐体部材60を取り回すためのハンドリング部として利用されてもよい。第1工程では、開口筐体部材60の凹部51内に電気的接続部50が取り付けられる。また、開口筐体部材60のフィルター室71内にフィルター72が配置され、フィルター室71がフィルム部材74によって封止される。第1工程では、開口筐体部材60に対してフィルム部材63が溶着され、開口筐体部材60の各凹部61a,61b,61cの開口が一度に閉塞される(図12)。
第2工程では、フィルム部材63が溶着された開口筐体部材60に対して、容器蓋部材62(図10)が取り付けられる。容器蓋部材62が開口筐体部材60に対して適切に取り付けられた状態では、容器蓋部材62の周縁壁部67の+X方向側の端面67tがレール部41,42に当接する(図5,図7)。周縁壁部67の+X方向側の端面67tでは、周縁壁部67は、レール部41,42に対して、挿入方向に沿って線状に延びている接触領域CAにおいて接触する。なお、第2工程では、容器蓋部材62の本体壁部66によってフィルム部材63が覆われるとともに、周縁壁部67の一部であるフィルター室壁部67fによって、フィルター室71を封止しているフィルム部材74が覆われる(図7)。
このように、第2工程では、容器蓋部材62の周縁壁部67は、容器蓋部材62が開口筐体部材60に取り付けられたときに、レール部41,42に当接して、容器蓋部材62の位置決めをする位置決め部として機能する。そして、レール部41,42は、容器蓋部材62の位置決めのための基準部位として機能する。
液体収容容器10Aによれば、開口筐体部材60において、確認しやすく目立つレール部41,42に対して、容器蓋部材62の位置決めがされる。従って、液体収容容器10Aの製造時に、容器蓋部材62と開口筐体部材60との間に隙間が生じてしまうことが抑制される。よって、そうした隙間から液体収容容器10Aに異物が入り込んでしまうことが抑制される。よって、例えば、フィルム部材63,74が破れるなど、そうした異物の進入による液体収容容器10Aの故障の発生が抑制される。
液体収容容器10Aによれば、周縁壁部67は、レール部41,42に対して、挿入方向に沿って線状に延びている接触領域CAにおいて接触する。このように、位置決め部とその基準部位との接触領域が大きいため、レール部41,42に対する容器蓋部材62の位置決め精度が高められている。よって、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間に隙間が生じてしまうことが、さらに抑制される。
液体収容容器10Aによれば、各レール部41,42は、上壁面23sまたは底壁面24sのX方向における中央部位に設けられている。そのため、製造工程においては、レール部41,42に容器蓋部材62の周縁壁部67を当接させるために、容器蓋部材62の周縁壁部67が開口筐体部材60の外壁面に対してX方向に深く乗り上げるように押し込まれることになる。よって、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間の隙間の発生が、さらに抑制される。液体収容容器10Aでは、周縁壁部67が有するフィルター室壁部67fも、第2レール部42の-Y方向側の端部に当接して、容器蓋部材62の位置決めをする位置決め部のひとつとして機能する(図7)。これによって、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間の隙間の発生が、さらに抑制されている。
液体収容容器10Aの製造工程では、容器蓋部材62の位置決めの基準として、液体消費装置500に液体収容容器10Aが着脱される際のガイド部として機能するレール部41,42を利用している。従って、開口筐体部材60に新たに容器蓋部材62の位置決め部を設ける場合よりも効率的である。
上記の第2工程では、液体受部80を構成する凹部や液体入口35、蓋部材85の取り付け位置を、容器蓋部材62の外周端部62eの配置位置の目印として開口筐体部材60に容器蓋部材62を取り付けることができる。つまり、容器蓋部材62の外周端部66eを、容器蓋部材62を開口筐体部材60に取り付けるときの位置決め部のひとつとして利用することができる。これによって、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間に隙間が生じてしまうことが抑制される。なお、容器蓋部材62の外周端部62eと開口筐体部材60との間に隙間が生じていたとしても、異物が液体受部80を構成する凹部に受け止められるため、当該隙間に異物が入り込んでしまうことが抑制される。また、液体入口35からこぼれた液体が液体受部80に受け止められるため、容器蓋部材62の汚損による劣化が抑制される。そのため、容器蓋部材62を開口筐体部材60から取り外す際に、その作業をおこなう者の身体に液体が付着してしまうことが抑制される。
また、上記の第2工程では、手掛け部40を、容器蓋部材62の端部部位67eの配置位置の目印として、開口筐体部材60に容器蓋部材62を取り付けることができる。つまり、容器蓋部材62の端部部位67eを、容器蓋部材62を開口筐体部材60に取り付けるときの位置決め部のひとつとして利用することもできる。このように、液体収容容器10Aでは、容器蓋部材62が、位置決め部として機能させることができる部位を複数、有している。従って、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間に隙間が生じてしまうことがさらに抑制されている。
A3.第1実施形態のまとめ:
以上のように、第1実施形態の液体収容容器10Aによれば、手掛け部40によって、ユーザーによる液体消費装置500に対する液体収容容器10Aの着脱操作が容易化されている。また、手掛け部40を介してユーザーの手に液体収容容器10Aの液体が付着してしまうことが抑制される。加えて、液体収容容器10Aへの液体の付着が抑制されているため、ユーザーの身体にそうした液体が付着してしまうことが抑制される。その他に、第1実施形態の液体収容容器10Aによれば、第1実施形態中で説明した種々の作用効果を得ることができる。
B.第2実施形態:
図29を参照して、第2実施形態の液体収容容器10Bの構成を説明する。図29は、第2実施形態の液体収容容器10Bが備える開口筐体部材60Bを+X方向に見たときの概略側面図である。図29には、液体収容容器10Bが装着状態にあるときの水平方向に平行な軸線HXを図示してある。第2実施形態の液体収容容器10Bの構成は、収容室31が傾斜している底面31bBを有し、補強壁部64が省略されている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。第2実施形態の液体収容容器10Bは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。
第2実施形態の液体収容容器10Bでは、収容室31の底面31bBは、挿入方向において液体入口35側よりもフィルター室71側が下方に位置するように、フィルター室71に向かって下降傾斜している。収容室31の底面31bBは、-Y方向に向かって、次第に低くなるように傾斜している。これによって、フィルター室71への液体の流動性をより高めることができ、液体収容容器10Bの液体消費装置500に対する液体の供給性能が高められている。また、収容室31の液体が残り少なくなったとしても、底面31bBの水平に対する傾斜によって、残りの液体をフィルター室71へと誘導することができる。よって、収容室31に液体が残留してしまうことが抑制される。よって、ユーザーが視認部38を介して液体が残留していることを確認しているのに、液体収容容器10Bからの液体消費装置500に対する液体の供給が不意に止まってしまう状態に陥ることが抑制される。なお、底面31bBは、フィルター室71への液体の流動を促進させることができる一方で、底面31bBに沈降している異物がフィルター室71へと誘導されることが抑制される程度のわずかな傾斜角を有していることが望ましい。なお、第2実施形態の収容室31においても、第1実施形態で説明した補強壁部64(図11)が設けられてもよい。
以上のように、第2実施形態の液体収容容器10Bによれば、フィルター室71に向かって傾斜している収容室31の底面31bBを有することによって、液体消費装置500に対する液体の供給性能が高められている。その他に、第2実施形態の液体収容容器10Bによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
C.第3実施形態:
図30を参照して、第3実施形態の液体収容容器10Cの構成を説明する。図30は、第3実施形態の液体収容容器10Cに設けられているフィルター室71のY方向に沿った切断面における構成を模式的に表した概略断面図である。第3実施形態の液体収容容器10Cの構成は、フィルター室71に、第1実施形態で説明したフィルター72に代えて、フィルター72Cが配置されている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。第3実施形態の液体収容容器10Cは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。
第3実施形態のフィルター72Cは、液体が通過する細孔の目の粗さが異なる2以上の部材が積層された多層構造を有する。より具体的には、フィルター72Cは、目の粗い第1フィルター層f1が下層に配置され、目の細かい第2フィルター層f2が上層に配置されている二層構造を有している。
第3実施形態の液体収容容器10Cによれば、フィルター72Cによって、種々の大きさの異物を効率よく除去することができ、フィルター72Cの目詰まりの発生を抑制できる。なお、フィルター72Cは二層構造に限定されることはい。フィルター72Cは、除去対象として想定される異物のサイズの幅に応じて、さらに、複数の層が積層された構成にされてもよい。
以上のように、第3実施形態の液体収容容器10Cによれば、多層構造を有するフィルター72Cによって、液体中の異物の除去性能が高められている。その他に、第3実施形態の液体収容容器10Cによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
D.第4実施形態:
図31A,図31Bを参照して、第4実施形態の液体収容容器10Dの構成を説明する。図31Aは、第4実施形態の液体収容容器10Dの収容室31に設けられている内壁部65Dの構成を示す概略斜視図である。図31Bは、第4実施形態の液体収容容器10Dの収容室31に設けられている内壁部65Dを+X方向に見たときの概略側面図である。第4実施形態の液体収容容器10Dの構成は、第1実施形態で説明した内壁部65の代わりに、配置角度が異なる内壁部65Dを備えている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。第4実施形態の液体収容容器10Dは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。
第4実施形態の内壁部65Dは、配置角度が異なっている点以外は、第1実施形態の内壁部65とほぼ同じ構成を有している。内壁部65Dは、下端65eが上端よりも第2壁部22の近くに位置するように、傾斜した状態で、上面31uから垂下している。
第4実施形態の液体収容容器10Dによれば、液体入口35からの液体の注入作業において、注入される液体に異物が含まれていたとしても、当該異物を、内壁部65Dによって、第2壁部22の方へと誘導することができる。よって、フィルター72まで異物が到達することが抑制され、フィルター72の目詰まりの発生が抑制される。その他に、第4実施形態の液体収容容器10Dによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
E.第5実施形態:
図32A,図32Bを参照して、第5実施形態の液体収容容器10Eの構成を説明する。図32Aは、第5実施形態の液体収容容器10Eの収容室31に設けられている内壁部65a,65bの構成を示す概略斜視図である。図32Bは、第5実施形態の液体収容容器10Eの収容室31に設けられている内壁部65a,65bを+X方向に見たときの概略側面図である。第5実施形態の液体収容容器10Eの構成は、第1実施形態で説明した内壁部65の代わりに、一対の内壁部65a,65bを備えている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。第5実施形態の液体収容容器10Eは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。
第5実施形態の一対の内壁部65a,65bのそれぞれは、以下に説明する点以外は、第1実施形態の内壁部65とほぼ同じ構成を有している。第1内壁部65aは、液体入口35の-Y方向側に位置し、第2内壁部65bは液体入口35の+Y方向側に位置している。第1内壁部65aは、第2内壁部65bに向かう方向に下降傾斜している。第1内壁部65aの下端は、Z方向において液体入口35の開口領域と重なり、第2内壁部65bから-Y方向に離間した位置にある。第1内壁部65aの下端は、第2内壁部65bの下端よりも上方に位置している。
第2内壁部65bは、第2壁部22から離れる方向に向かって下降傾斜している。第2内壁部65bの下端は、Z方向において液体入口35の開口領域と重なる位置にある。第2内壁部65bの下端65eに設けられている端部凸部101は、-Y方向に突起している。第2内壁部65bの端部凸部101は、-Y方向に第2内壁部65bの厚みを局所的に増大させることによって形成されている。
液体収容容器10Eでは、ユーザーが液体入口35から注ぐ液体は、第1内壁部65aの液体入口35側の面に沿って第2内壁部65bの方に誘導された後、第2内壁部65bの液体入口35側の面に沿って、収容室31の底面31bへと伝っていく。このように、液体入口35から注がれる液体は、2枚の内壁部65a,65bによって流入方向を変えられながら収容室31に注入される。よって、その勢いが2枚の内壁部65a,65bによって2段階で減殺されるため、収容室31内の液体が泡立つことが、より一層、抑制される。
また、2枚の内壁部65a,65bのそれぞれに設けられている端部凸部101の上端において、注がれる液体中に含まれている異物を捕捉させることができる。よって、フィルター72まで液体中の異物が到達することが抑制され、フィルター72の目詰まりが抑制される。
液体収容容器10Eでは、液体入口35より第2壁部22側に位置している第2内壁部65bによって、液体入口35から注がれた液体による液面の波立ちが、第2壁部22の視認部38に面している液面にまで伝わることが抑制される。よって、液体入口35からの液体の注入作業の際に、視認部38を介した収容室31内の液量の確認が不正確になってしまうことが抑制される。
液体収容容器10Eでは、2枚の内壁部65a,65bによって、開口筐体部材60の強度が高められている。また、開口筐体部材60に対する容器蓋部材62の接合強度が高められている。その他に、第5実施形態の液体収容容器10Eによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
F.第6実施形態:
図33を参照して、第6実施形態の液体収容容器10Fの構成を説明する。図33は、第6実施形態の液体収容容器10Fの第1端部12側の部位を示す概略斜視図である。第6実施形態の液体収容容器10Fの構成は、電気的接続部50が着脱可能に構成されている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。第6実施形態の液体収容容器10Fは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。
液体収容容器10Fでは、電気的接続部50が配置される凹部51を含む第1壁部21と第3壁部23の角部の一部が、開口筐体部材60から分離された別の部材として構成されている。当該部材は、電気的接続部50が配置されて、コネクターユニット125を構成する。コネクターユニット125は、開口筐体部材60に対して係合する係合部126を有しており、開口筐体部材60に対して着脱可能に構成されている。
液体収容容器10Fによれば、液体収容容器10Fのメンテナンス時にコネクターユニット125を容器本体11から分離させておくことによって、電気的接続部50への液体の付着を抑制できる。また、液体収容容器10Fが不意に落下してしまった場合などに、コネクターユニット125が液体収容容器10Fの容器本体11から分離することによって、落下によって受ける衝撃力を分散させることができ、液体収容容器10Fの破損が抑制される。その他に、第6実施形態の液体収容容器10Fによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
G.第7実施形態:
図34を参照して、第7実施形態の液体収容容器10Gの構成を説明する。図34は、第7実施形態の液体収容容器10Gが液体消費装置500の液体供給部520に装着されている状態を示す概略斜視図である。第7実施形態の液体収容容器10Gの構成は、装着状態にある複数の液体収容容器10G同士を連結する連結部130が設けられている点以外は、第1実施形態の液体収容容器10Aの構成とほぼ同じである。
第7実施形態の液体収容容器10Gは、第1実施形態で説明した液体消費装置500に装着される。液体消費装置500では、第1実施形態で説明したように、複数の液体収容容器10Gが挿入方向と、つまり、液体収容容器10Gの上壁面23sから底壁面24sに向かう方向と、に交差するX方向に配列された状態で並列に装着される。
連結部130は、連結バー131と、バー支持部132と、によって構成される。連結バー131は、液体消費装置500における液体収容容器10Gの配置領域のX方向における幅と同程度、あるいは、その幅以上の長さを有する。連結バー131は、図示されているような板状の部材として構成される。連結バー131は、板状ではなく、棒状の部材として構成されてもよい。
バー支持部132は、液体収容容器10Gの第1部位15に設けられている。バー支持部132は、液体収容容器10Gが装着状態にあるときに、連結バー131を受け入れて支持するように構成されている。バー支持部132は、第2壁部22から突出して設けられた鉤状の部位として構成されており、第1壁部21から+Y方向に延びる基端部132aと、当該基端部132aから+Z方向に延びる先端部132bと、を有している。連結バー131は、基端部132aの上に配置され、先端部132bと第2壁部22とに挟まれて支持される。バー支持部132は、視認部38における目盛39の形成領域を避けて設けられていることが望ましい。
連結バー131は、ユーザーによって、全ての液体収容容器10Gが液体消費装置500に装着されている状態において、各液体収容容器10Gのバー支持部132にX方向に架設されるように配置される。これによって、液体消費装置500では、装着状態にある液体収容容器10G同士が連結された状態になる。
このように、液体収容容器10Gには、第1部位15にある後端壁部である第2壁部22側の第2端部13に、自身と、液体消費装置500に装着されている他の液体収容容器10Gと、を連結する連結部130が設けられている。これによって、液体消費装置500の駆動中に、一部の液体収容容器10Gのみが抜き取られてしまうことを抑制することができる。また、ユーザーが一部の液体収容容器10Gが装着されていない状態で液体消費装置500の駆動を開始させてしまうことを抑制できる。その他に、第7実施形態の液体収容容器10Gによれば、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
H.第8実施形態:
図35および図36を参照して、第8実施形態の液体収容容器10Hの構成を説明する。図35は、第8実施形態の液体収容容器10Gの連結作業の様子を模式的に示す概略斜視図である。図36は、第8実施形態の液体収容容器10Gの連結状態が解除される様子を模式的に示す概略斜視図である。第8実施形態の液体収容容器10Hの構成は、第7実施形態で説明した連結部130とは異なる構成を有する連結部135を備えている点以外は、第7実施形態の液体収容容器10Gの構成とほぼ同じである。
第8実施形態の液体収容容器10Hは、第8実施形態の液体消費装置500Hに装着される。液体消費装置500Hは、以下に説明する点以外は、第1実施形態の液体消費装置500とほぼ同じ構成を有している。液体消費装置500Hは、キー部材530と、キー部材530が着脱されるキー部材取付部531と、を備える(図35)。
キー部材取付部531は、キー部材530の挿入を受け入れる液体消費装置500Hの孔部として設けられている。キー部材取付部531は、容器挿入口521の近傍に設けられている。キー部材取付部531は、キー部材530の挿入を検出するキー検出部532を有する。キー検出部532は、キー部材取付部531に挿入されたキー部材530を光学的に検出するセンサーによって構成される。なお、キー検出部532は、キー部材530のキー部材取付部531に対する挿入・抜き取りによって電気的な導通状態を変化させるスイッチによって構成されてもよい。
液体消費装置500Hの制御部510は、キー検出部532の検出結果を用いて、液体消費装置500Hが、キー部材530が取り付けられている状態か、取り外されている状態か、を判定する。制御部510は、キー部材530が液体消費装置500Hに取り付けられているときには、液体消費装置500Hの駆動を許容する。一方、制御部510は、キー部材530が液体消費装置500Hから取り外されているときには、液体消費装置500Hの駆動を禁止する。
第8実施形態の連結部135は、連結バー136と、バー支持部137と、によって構成される。第8実施形態の連結バー136は、液体消費装置500における液体収容容器10Gの配置領域のX方向における幅より小さい長さを有する。連結バー136は、図示されているような棒状の部材として構成されてもよい。連結バー136は、棒状ではなく、第7実施形態の連結バー131のように板状の部材として構成されてもよい。
第8実施形態のバー支持部137は、液体収容容器10Hの第1部位15において第4壁部24から下方に突出するように設けられている。バー支持部137には、X方向に貫通する貫通孔138が設けられている。貫通孔138は、連結バー136を挿入可能な径を有している。また、貫通孔138の開口端部は、キー部材530の一部の挿入を受け入れることができる開口形状を有している。
第8実施形態の液体消費装置500Hでは、第1実施形態の液体消費装置500と同様に、複数の液体収容容器10Hが挿入方向に交差するX方向に配列された状態で並列に装着される(図35)。連結バー136は、ユーザーによって、全ての液体収容容器10Hが液体消費装置500Hに装着されている状態において、各液体収容容器10Hのバー支持部137の貫通孔138に挿入される。これによって、液体消費装置500Hでは、装着状態にある液体収容容器10H同士が連結された状態になる。この連結状態では、連結バー136は、その全体がバー支持部137の貫通孔138内に収納された状態にされる。
連結部135による液体収容容器10Hの連結状態を解除する際には、ユーザーは、キー部材530を用いる(図36)。ユーザーは、キー部材取付部531に取り付けられていたキー部材530を抜き取り、キー部材530の一部をバー支持部137の貫通孔138に挿入し、連結バー136の一部を、キー部材530が挿入された側とは反対側から突出させる。これによって、ユーザーは、連結バー136をバー支持部137の貫通孔138から抜き取って、液体収容容器10Hの連結状態を解除することが可能になる。
液体消費装置500Hには、キー部材530およびキー部材取付部531に代えて、あるいは、キー部材530およびキー部材取付部531とともに、それらと同様な機能を有する別のキー部材535および別のキー部材取付部536を有していてもよい。キー部材取付部536は、図35に例示されているように、容器挿入口521の上方、かつ、+X方向側に設けられていてよい。キー部材536は、対応するキー部材535の着脱を検出するキー検出部を有する(図示は省略)。また、キー部材535は、キー部材530と同様に、液体収容容器10Hの連結状態の解除に用いることができるように構成される。なお、液体消費装置500Hが2つのキー部材530,535を有する構成の場合には、制御部510は、少なくとも一方のキー部材530,535がキー部材取付部531,536から取り外されているときに、液体消費装置500Hの駆動を禁止する。
このように、第8実施形態の液体収容容器10Hによれば、連結部135による連結状態は、液体消費装置500Hから取り外されたキー部材530,536によって解除される。従って、ユーザーが連結部135による連結状態を解除しようとするときには、制御部510によって液体消費装置500Hの駆動が禁止された状態になる。よって、液体消費装置500Hから液体収容容器10Hを抜き取る際に、誤って液体消費装置500Hが駆動してしまうことが抑制される。その他に、第8実施形態の液体収容容器10Hによれば、第7実施形態の液体収容容器10Gや、第1実施形態の液体収容容器10Aと同様な種々の作用効果を奏することができる。
I.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することも可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の実施形態と同様に、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。
I1.フィルターに関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター72,72Cは、フィルター室71に配置されていなくてもよい。フィルター72,72Cは、例えば、出口流路78の中に配置されていてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター72,72Cは、厚み方向に沿って見たときの外周形状が略平行四辺形でなくてもよく、例えば、台形形状であってもよい。また、フィルター72,72Cは細孔を有する膜状の部材によって構成されていなくてもよい。フィルター72,72Cは、例えば、円柱状や矩形状の多孔質部材によって構成されてもよい。
(3)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター72,72Cは、自身の内部を重力方向とは反対の方向に液体が通過するように設置されていなくてもよい。フィルター72,72Cは、例えば、自身の内部を液体が水平方向に通過するように設置されていてもよい。フィルター72,72Cは装着状態において水平方向に対して傾斜するようにフィルター室71に設置されていてもよい。これによって、フィルター72,72Cによって除去された異物や気泡をフィルター72,72Cの傾斜している表面に沿って誘導して集めることができる。
(4)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター室71は、収容室31の下方に設けられていなくてもよい。フィルター室71は、収容室31の底面31b,31Bよりも上方の位置に設けられていてもよい。例えば、フィルター室71は、第6壁部26の内部に設けられていてもよい。フィルター室71に連通する第1連通口76aまたは第2連通口76bのいずれか一方は省略されてもよい。
(5)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター室71の底面には、フィルター72への異物の到達を抑制するためのリブや凹凸構造が設けられていてもよい。上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、フィルター室71よりも下流に、収容室31の液体量の不足を検出するセンサー部が設けられてもよい。そのセンサー部は、収容室31の液体量に応じて変位して開閉する弁体によって構成されてもよい。
I2.視認部に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内側目盛39iは、1つのみ設けられていてもよい。内側目盛39iは、下限目盛39Lのみ設けられていてもよいし、収容室31における液体の収容量の上限を示す上限目盛のみが設けられてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内側目盛39iは、第6壁部26と第2壁部22との間の角部のリブとして設けられていなくてもよい。内側目盛39iは、第6壁部26と第2壁部22のうちの少なくとも一方にのみ連結するようにもうけられていてもよい。内側目盛39iを構成するリブは、略三角形状を有していなくてもよく、他の形状を有していてもよい。内側目盛39iを構成するリブは略四角形状を有していてもよい。内側目盛39iは、第2壁部22の内壁面24iの凸部や凹部、内壁面24iに貼付されたシール、内壁面24iに付着されたインクなどによって構成されてもよい。
(3)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内側目盛39iは、-X方向または-Y方向の少なくとも一方に向かって下降傾斜するリブとして構成されていてもよい。これによって、当該リブの上面の液体を重力によって、収容室31の底面31bへと誘導することができるため、当該上面に液体が残留してしまうことが抑制される。
(4)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、外側目盛39oは、第2壁部22の外壁面22oの凹部や、外壁面22oに貼付されたシール、外壁面22oに付着されたインクなどによって構成されてもよい。外側目盛39oを外壁面22oの凹部として構成した場合には、外側目盛39oを外壁面22oの凸部として構成した場合と同様に、外壁面22oに付着して下方に伝って行く液体を受け止めさせることができる。従って、液体が手掛け部40へと液体が到達することを抑制できる。外側目盛39oは、容器蓋部材62に設けられていてもよい。外側目盛39oは、上限目盛を含んでいてもよい。
(5)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、目盛39は、X方向に沿って延びる直線状の形状を有していなくてもよい。目盛39は、例えば、略半球形状の凹凸や、円形形状、三角形状など種々の形状の図形によって構成されてもよい。
I3.大気導入部に関する他の実施形態:
(1)上記の液体収容容器10A~10Hにおいて、大気導入部110は収容室31の上方にもうけられていなくてもよい。大気導入部110は、例えば、収容室31のZ方向における中央の位置において、第6壁部26の内部に設けられていてもよい。収容室大気口111は、収容室31の長手方向における中央部位に設けられていなくてもよい。収容室大気口111は、例えば、第1壁部21よりも第2壁部22に寄った位置に設けられていてもよい。
(2)上記の液体収容容器10A~10Hにおいて、収容室大気口111は、第1大気通路部121の+Y方向側の端部よりも通路仕切壁116に近い位置に設けられていてもよい。容器大気口112は、第2大気通路部122の-Y方向側の端部よりも通路仕切壁116に近い位置において、第2大気通路部122に接続されていてもよい。
(3)上記の液体収容容器10A~10Hにおいて、大気導入部110の通路仕切壁116は省略されてもよい。大気連通部117は、通路仕切壁116の上端に設けられていなくてもよい。大気連通部117は、例えば、通路仕切壁116の中央に設けられていてもよい。
I4.手掛け部に関する他の実施形態:
上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、手掛け部40は、第4壁部24の底壁面24sにおける凹部として設けられていなくてもよい。手掛け部40は、手掛け部40は、例えば、ユーザーが指を掛けやすい凸部として設けられていてもよい。手掛け部40は、容器本体11に取り付けられた持ち手として構成されていてもよい。持ち手は、容器本体11の内部に収納可能に構成されていてもよい。手掛け部40は、例えば、ユーザーの手が滑りにくくなるように、底壁面24sにおいて他の部位よりも摩擦係数が高い部位として設けられていてもよい。手掛け部40は、底壁面24sに設置された板状のゴム部材を設置することによって構成されていてもよい。手掛け部40は、底壁面24sをシボ加工した領域として設けられていてもよい。手掛け部40は、例えば、底壁面24sにおいて他の部位よりも軟らかく、良好な触感が得られる部位として設けられていてもよい。手掛け部40の周囲には、ユーザーに、触覚によって手掛け部40の位置を認識させるための構造物が設けられていてもよい。当該構造物は、例えば、手掛け部40の周囲を囲む凸部または凹部、手掛け部40の周囲の一部に設けられた凸部または凹部によって構成されてもよい。なお、当該構造物が設けられることによって、手掛け部40へと液体が伝って行くことも抑制される。
I5.レール部に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、レール部41,42の少なくとも一方は省略されてもよい。レール部41,42は、Y方向において複数に分断されていてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、レール部41,42は、上壁面23sおよび底壁面24sにおいて、X方向における中央部位に設けられていなくてもよい。レール部41,42は、上壁面23sおよび底壁面24sにおいて、第5壁部25や第6壁部26に寄った位置に設けられていてもよい。
(3)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、容器蓋部材62は、周縁壁部67の端面67t以外の部位でレール部41,42に当接して、開口筐体部材60に対する位置決めがおこなわれてもよい。容器蓋部材62は、周縁壁部67とは別に設けられたX方向に延び出ている凸部などによって、レール部41,42に当接して、開口筐体部材60に対する位置決めがおこなわれてもよい。
I6.内壁部に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bは、その表面に、液体の流れを制御するための凹凸構造や、液体中に含まれる異物を捕捉するための凹凸構造が設けられてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bは、平板状の壁部として設けられている。これに対して、内壁部65,65D,65a,65bの形状は、平板状に限定されることはない。内壁部65,65D,65a,65bは、湾曲面や、屈曲部を有する壁部として設けられてもよい。
(3)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bは、液体入口35の下方において垂下するように設けられている。これに対して、内壁部65,65D,65a,65bは、液体入口35からY方向に離れた位置に設けられていてもよい。
(4)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bの端部凸部101は省略されてもよい。端部凸部101は、内壁部65の壁面から+Y方向側に突起していなくてもよく、-Y方向側に突起していてもよい。端部凸部101は、内壁部65の壁面から+Y方向側と-Y方向側の両方に突起していてもよい。
(5)内壁部65,65D,65a,65bの上端の連通部102は省略されてもよいし、内壁部65,65D,65a,65bの上端以外の他の部位において内壁部65,65D,65a,65bを貫通する貫通孔として設けられていてもよい。連通部102は、内壁部65,65D,65a,65bの上端と収容室31の上面31uとの間のスリット状の隙間として構成されていてもよい。
(6)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bは、第6壁部26の内壁面26sに連結されていなくてもよいし、フィルム部材63に溶着されていなくてもよい。内壁部65,65D,65a,65bは、収容室31の上面31uに連結されていなくてもよい。内壁部65,65D,65a,65bは、収容室31の上面31uから離れた位置であって、Z方向において上面31u側の位置から底面31bに向かって垂下するように構成されていてもよい。
(7)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、収容室31の内部には、内壁部65,65D,65a,65b以外の液体の流れを制御するための壁部が設けられていてよい。上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、内壁部65,65D,65a,65bは、省略されてもよい。
I7.容器本体に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、開口筐体部材60に溶着されるフィルム部材63は省略されてもよい。この場合には、例えば、開口筐体部材60と容器蓋部材62との間に収容室31のシール性を確保するためのシール部を設けるものとしてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、容器本体11は、略直方体形状以外の形状を有していてもよい。例えば、容器本体11は、X方向に見たときの外周輪郭が略楕円形を有する形状を有していてもよい。収容室31の補強壁部64は省略されてもよい。また、収容室31には、補強壁部64とは異なる構成を有する補強リブが設けられてもよい。
I8.蓋部材に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、蓋部材85は、X方向に沿った回動軸RXを中心に回動している。これに対して、蓋部材85は、Y方向やZ方向に沿った回動軸RXを中心に回動してもよい。蓋部材85は、容器本体11に回動可能に連結されていなくてもよい。蓋部材85は、紐状の部材によって容器本体11に連結されていてもよいし、容器本体11から分離されるように構成されていてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、蓋部材85のシール部材88や、外面凸部90、封止面側凹部91、突起部95、蓋部材85を支持するストッパー部89は省略されてもよい。上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、蓋部材85は省略されてもよい。
I9.液体消費装置に関する他の実施形態:
(1)上記の各実施形態において、液体収容容器10A~10Hは、液体消費装置500,500Hに対して、-Y方向以外の他の重力方向に交差する方向に挿入されて装着されてもよい。液体収容容器10A~10Hは、例えば、液体消費装置500,500Hに対して、+Y方向や、±X方向に挿入されてもよいし、水平面に対して斜めの方向に挿入されてもよい。
(2)上記の各実施形態において、液体収容容器10A~10Hは、液体消費装置500,500Hに対して、X方向以外の挿入方向に交差する方向に配列された状態で並列に装着されてもよい。液体収容容器10A~10Hは、例えば、Z方向に配列された状態で、液体消費装置500,500Hに装着されてもよい。
(3)上記の第7実施形態および第8実施形態を除く各実施形態において、液体消費装置500は、複数の液体収容容器10A~10Fを装着可能に構成されていなくてもよい。液体消費装置500は、例えば、単一の液体収容容器10A~10Fのみを装着可能に構成されていてもよい。
(4)上記の各実施形態の液体消費装置500,500Hにはそれぞれ、同じ構成の液体収容容器10A~10Hが複数、装着されている。これに対して、液体消費装置500,500Hには、液体収容容器10A~10Hとともに、異なる構成の液体収容容器が装着されてもよい。例えば、液体消費装置500,500Hには、液体入口35を有する液体収容容器10A~10Hとともに、液体入口35を有しておらず、未使用時から収容されている液体を使い切るタイプの液体収容容器が装着されてもよい。
(5)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hの構成は、インクジェットプリンター以外の液体消費装置に装着される液体収容容器に適用されていてもよい。例えば、液体洗剤を消費する洗浄装置に装着される液体収容容器に適用されてもよい。
I10.その他:
(1)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、第1壁部21の3つの凹部55a,55b,55cのうち、第2凹部55bは、ロッド525が挿入されることによって位置決め部として機能している(図17)。上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hでは、第1壁部21の第1凹部55a,第3凹部55cの少なくとも一つが、第2凹部55bと同様に、ロッド525と同様な突起部が挿入される位置決め部として機能してもよい。また、第2凹部55bは、位置決め部としての機能を有していなくてもよく、ロッド525が挿入されなくてもよい。
(2)上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、視認部38、レール部41,42、周縁壁部67,68、フィルター72,72C、大気導入部110は省略されてもよい。上記の各実施形態の液体収容容器10A~10Hにおいて、電気的接続部50、位置決め凹部55、液体受部80、凸壁部82、第1支持凹部82r、第2支持凹部98は省略されてもよい。
本発明は、上述の実施形態や他の実施形態、実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、他の実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須ではないと説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。